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1953-11-21 第17回国会 参議院 大蔵委員会 閉会後第4号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和二十八年十一月二十一日(土曜 日)    午前十一時十七分開会   —————————————  出席者は左の通り。    委員長     大矢半次郎君    理事            西川甚五郎君            小林 政夫君            菊川 孝夫君            森下 政一君    委員            青柳 秀夫君            木内 四郎君            藤野 繁雄君            山本 米治君            土田國太郎君            成瀬 幡治君            永岡 光治君            松永 義雄君            平林 太一君   事務局側    常任委員会専門    員       木村常次郎君    常任委員会専門    員       小田 正義君   説明員    自治庁財政部長 後藤  博君   —————————————   本日の会議に付した事件 ○租税金融制度及び専売事業等に関  する調査の件  (税制改正に関する件)   —————————————
  2. 大矢半次郎

    委員長大矢半次郎君) これより大蔵委員会を開会いたします。  租税金融制度及び専売事業等に関する調査について御審議を願います。  地方制度調査会財政部会答申案について、自治庁後藤財政部長から説明を願います。
  3. 後藤博

    ○説明員(後藤博君) 私自治庁の財政部長の後藤と申します。地方制度調査会財政部会の答申案について簡単に御説明申上げます。丁度委員であられる森下さんがおられまするので、私が間違つておりましたら一つ御訂正を願いたいと思います。  財政制度の改革に関する問題といたしまして第一は地方財源の所要額の総額に関する問題が前からあるのであります。これは現在地方団体に必要な財源が果して確保されておるかどうかという問題なのでありまして、これに関する従来からの問題点を簡単に申上げますと、先ず第一に、現在の地方財政計画の基礎になつておりますところの財政規模でありますが、この財政規模が果して妥当であるかどうか、こういう問題であります。従来から先ず第一に問題点として、この財政規模の基礎になつております数字は、昭和二十五年の決算を基礎にしております。昭和二十五年の決算を基礎にいたしまして、その後の必要な財政需要を毎年伸ばして参りまして、現在第一次補正予算までに八千九百億という財政規模を作つそおるわけであります。これを基礎にいたしまして現在平衡交付金の算定をいたしておるのであります。その昭和二十五年の決算を基礎にいたしましたこと自体に一つ問題がありはしないかというのであります。これは昭和二十五年というのは御承知の通りシヤウプ税制ができました年でありまして、昭和二十四年以来地方財政が非常に赤字に悩んでおりまして、財政規模が非常に圧縮されて参つておる。その非常に圧縮されて参つておる決算を基礎にしておるから、ここに非常に実際の財政規模と狂つておる。この問題が第一の問題であります。  第二の問題は、現在市町村でやつておりますいわゆる単独事業、独自の支出によるところの財政需要の増加が十分に織込んでないというのが第二の問題であります。現在の財政規模の中には義務的必要のものは入つておりますけれども、独自の支出によるところの、いわゆる単独事業というものが十分に見込まれていないのであります。現在の財政規模の中で六百七十億程度のものを単独事業として見ております。六百七十億というものは少いのではないか、この議論が常にあるわけであります。これが第二の問題であります。  それから第三に、給与費が過小である。これは毎回議会で問題になつておりますが、市町村及び府県の職員の給与と、国の給与とが非常に単価が違うのであります。従来から市町村の給与は国の給与より非常に高かつたのが通例であつたのでありますが、それが財源計算的には同じ単価、同じべースであるという立場に立つて計算がなされておる。教員なんかは特にその問題でやかましい問題があるのでありますが、つまり給与費が非常に過小に見積られておるというのが第三の問題点であります。  それから第四の問題点は、国庫補助の基本額、国庫補助職員及び国庫補助事業というのがございますが、この国庫補助の基本額が非常に過小に出ておる。これはまあ補助金というものが非常に細分されて参つております。従つて、国の予算で上つておるものを、そのまま例えば三分の一補助といろ事業があるといたしますると、三分の二の地方負担があるわけでありますが、それが現実には三分の二以上の地方負担になつておる、と申しますのは、基になつておるところの基礎が過小であるために、地方負担額にしわ寄せが来ておる、こういう問題がございます。これが一つの大きな問題だそろうと思います。  それから第五に、地方税の現在の財源計算のうちで、地方税のうち増税部分に当るべきものが入つておる。これはまあ具体的に申しますと、市町村民税の取り方にいろいろあるわけであります。第一のほうは所得税の一八%を取る方式、第二の方式は所得税の元でありますところの課税総所得金額課税標準とする方式と、それから税引所得課税標準とする場合と三つあります。その第一の所得税課税標準にするという方式が、まあ大都市はそうでありますが、従来は、二十五年は大体第一方式が多かつたのでありますが、だんだん第二方式が多くなつて参りました。現在は八割五、六分のものが第二方式をとつております。第二方式をとるというのは、第一方式がとれなくなつた、所得税が滅つて参りましたので、とれなくなつたので第二方式をとりますと、大体増税になつておるのであります。従つて、その増税分が財源計算の中に入つておる、これが大体八、九十億毎年入つております。それから法定外普通税というものが財源の中に入つております。これはよした額ではございませんけれども、法定外普通税というものは大体見合うところのものがありまして、これは目的税的に使われておりまするから、そういうものを一般財源として持つて行くのはおかしくはないか、こういう議論が前からあるのであります。そういうふうな従来の財源の総額、地方財政の規模の中に含んでおる問題があるのであります。この問題に対して地方制度調査会におかれましては、大体三百億程度のものが抜けておるような御決定をされております。細かく計算しまうと三百六、七十億になると思いますが、丸くいたしますと三百億の財源不足がある。更に国家地方警察事務都道府県に委譲するということが行政部会のほうで決定されておりますので、なお国から都道府県に百四十億程度の財源を与えなければならん。つまり三百億と百四十億程度のものが更に加わつてそれを財源の所要額に加えなければならない。こういうことになるわけであります。併し一方積極的に法令改廃を行なつたり、膨脹いたしました行政機構人員整理を行いますならば、大体二百億円程度の財源が出るのではないか、こういう決定をされておるのであります。この内訳は大まかに申しますと、国警と自治体警察との縮減によつて大体六、七十億の節約ができるわけであります。それから教育職員設置基準の法定をいたしますと、その結果で大体五十億程度の節約ができはしないか。各種の行政委員会の改廃によつて大体五、六十億、それから各種の行政事務の整備によつて約三十億、合せて二百億ちよつと出るのでありますが、大体二百億程度の財源は捻出される、その差額が財源の所要額としてプラスすべきものではないか。こういうふうに御決定になつておるのであります。これが財源の所要額の総額に関するつまり必要な財源が確保されるためには、もう二百四十億程度のものが必要ではないか、こういうことであります。  それから第二に税制の改正の問題でありますが、地方税制の問題点として現在までいろいろ言われておるものに五つか六つ問題点があるのでありますが、それを極く簡単に申しますと、第一は税の総額が不十分であるということであります。現在地方団体の総収入のうちで税が占める地位が大体三五%ぐらいになります。府県におきましてはこれが非常に低くなつております。県によりましては全体の一二、三%、総収入の一二、三%のような県があります。一五%前後の県が非常に多くあります。市町村になつて参りますると、これは四〇%乃至五〇%、非常に税のウエイトが大きくなつて参りますが、府県において非常に総額が不十分である。従つて平衡交付金に待つところが非常に大きいという問題が第一にあります。第二に、道府県税に普遍的な税種がないという問題があります。道府県税の一番大きいものは事業税でありますが、事業税も大体都市的な税種であります。それから遊興飲食税、入場税もやはり都市的な税種で、非常に偏在をいたしております。従つて普遍的な税種がないために府県の行政運営がうまく行かない、こういう問題が従来からあるのであります。従つて、府県に普遍的な税種を設けてもらいたいという要望があるのであります。これが第二の問題であります。第三の問題は税源が非常に偏在をしておるということであります。これは事業税、特に法人事業税を御覧になるとよくわかりますガ、これは非常に偏在をいたしております。それから遊興飲食税、入場税も非常に偏在いたしております。それから市町村のほうの固定資産税の、例えは償却資産あたりも非常に偏在いたしております。そういう偏在和種が非常に地方団体に多いために非常にロスが多くなつて参ります。或る一つの団体は、偏在いたしておりますために非常に有利になつておりますけれども、全体から見ますると総額の計算においては偏在しないような計算になつていますから、全体として見る場合には偏在しておるために非常にロスが多くなるという問題があります。第四に非課税規定や税率の特例が非常に多くなつて参つたのであります。事業税非課税規定、それから固定資産税非課税規定電気ガス税非課税規定、そういうものがだんだん毎議会ごとに殖えて参ります。それから税率の特例が非常に多くなつて来ておる。国税のほうはそういうことはないのでありますが、例えば事業税で申しますと、クリーニングに対して特別な税率を作るとか、散髪屋に特別な税率を作るとか、風呂屋に特別な税率を作るとかというようなのが、毎議会ごとに一つずつ殖えて参るのであります。税率の特例が多くなつて来て、非常に租税体系が混乱をして参つております。この問題を何とかしてもらいたいというのが第四の問題、それから第五に、課税手続をもう少し簡素化してもらいたいという要望があります。で、これは独立税的な建前にしたシヤウプ税制でありますから、従つて従来の賦課秤制度のものと違いまして、それぞれの地方団体において調査をし、調整をし、徴収する、こういうことになつております。従つて、徴税費が非常にかかるのであります。国税でありますと、大体徴税費は、二・五%ぐらいが徴税費だと思います。ところが地方団体に参りますと、県税で大体二十六年は五%くらいでしたが、二十七年になりますと、六、七%になつているかと思います。それから市町村税になつて参りますと、固定資産税という厄介な税種がありますから、大体八%から九%くらいの徴税費がかかります。非常にコストの高い税ばかりが地方税にありますから、そういうことになるのでありますけれども、この徴税費を何とか減らす方法はないか、もう少し徴収手続の簡素化を図る必要はないか、こういう問題がございます。  大体、大まかに申しまして、そういう問題が地方税の問題としてあるのであります。それに対して、まあ調査会におきましては、いろいろ検討をされた結果、そこにありますような一応の結論が出ているわけであります。第一は、附加価値税を廃止いたしまして、現行事業税及び特別所得税に改変を加えて存置する、これは今申しました点とちよつと離れておりますが、シヤウプ税制の一番問題になりました附価値税をどうするかという問題が、今まで長い間検討されておつたのでありますが、調査会におきましては、附加価値税を廃止して、事業税及び特別所得税の名称を事業税に直しまして、非課税規定を廃止して存続する。課税標準はおおむね現状の通り所得を基礎にいたしまして課する、つまり内容は人税的なもので多るが、表向きは物税的なものとしての事業税を存置して行く、これを残して附加価値税をやめる、こういうことになつたわけであります。  それから、新らしく先ほど申上げました普遍的税種を府県に与えるために、道府県民税を創設するということが第二に決定されております。これは納税義務者は、市町村民税納税義務者の範囲でありますが、大体百七十五億程度の税を徴収し、所得の段階によつて税率に差等を設ける。徴収は市町村に任せる。できるだけ徴税費のかからないようにいたしたい。府県民税というのは非常にいい税種でありますが、残念なことに非常に金のかかる税でありますが、コストは、私どもは九%から一割、一割以上かかりはしないかと、こういうように私ども考えております。併し理論的に申しますと、こういう税種は必要なのでありますから、一応調査会では採用されたわけであります。現実には非常に金のかかる税金ではないかと私は思つております。  それから三番目に、この先ほど申しました税源が非常に偏在しておるという問題に対して、遊興飲食税、入場税のような非常な偏在税種は、大体大きな県の五つか六つかくらいで、半分ぐらいとつておるのでありますが、そういう偏在しておりますところの税種を国税に委譲して、税源としては、委譲するこの大部分を更に入品按分によつて都道府県に返して行く、譲与税と由しておりますが、つまり跡興飲食税び入場税を譲与税にして、そして財源は国に置くが、とつたものは環付してやる、譲与をする、こういう方式をとつておられるのであります。  第二に、非常に偏在しております償却資産の、固定資産税の半分だけ市町村にやるが、半分だけは府県に移して行く、こういうふうにこれがきまつております。それからもう一つ、市町村民税のうちで法人税割というものは非常に偏在をしている、これは法人税と同じでありますが、非常に偏在をしているのです。その二割程度を国税に譲るということ、まあこの三つの方法によつて現在の偏在の是正をしよう、こういうことであります。  それから次に第四として、新たに財源不足を、最初に申しましたように松額が非常に不十分である、こういう問題を解決するために、たばこの消費税を新らしく創設する。で、たばこの消費に対して、都道府県及び市町村にそれぞれたばこ消費税を起させる。これは府県には大体小売価格の一〇%程度、それから市町村は二〇%程度の税額を徴収することを目途として税率を定める、この徴収の方法はできるだけ簡素にいたしまして、徴税費のかからないようにしたい。このとり方はこれは現在の段階では恐らく本数を、売上げ金額じやなくて、本数を基礎にするという意見が非常に強かつたようであります。税制調査会のほうでもやはりそういうことでありましたので、恐らくそういうふうになると思います。つまり売上げ金額をそのままとつて行かないで、一本幾ら、こういうふうな計算でとるのであります。つまり従価税でなくて従量税、こういうことになるかと思います。  それから第五に、たばこ及び都道府県民税の創設に伴つて、市町村民税中の都道府県税を減額すること、つまりこれは府県民税を起しますけれども、その府県民税は増税ではなくて、市町村民税の所得割を減らして、所得割ばかりでなしに法人割も含むと思いますが、市町村民税を減らして、そうしてその分を府県のほうへ持つて行く、こういうことになるのであります。  それから第六に、地方税の各税日において、非課税規定及び税率特例規定、先ほど申しましたいろいろな特例規定を整理する。徴収手続につきまして、国及び地方公共団体協力体制を確立する。  次は、その財政状況と睨み合せて雑税を整理する。現在あります荷車とか自転車とか、そういうふうな雑税が相当地方団体の税としてあるのでありますが、こういうものはできるだけ早く整理をする、こういうことであります。これが税制改正に関する答申の大体の内容であります。  それから次に岡及び地方公共団体間及び地方公共団体その他の財源調整に関する事項、これは簡単に申しますと、現在の平衡交付金制度というものがいいか悪いか、これを直す必要はないかという問題であります。現在の交付金制度というのは、御存じの通り財政調整財源付与と二つの機能を課せられているのであります。ところが、この地方財政平衡交付金制度についてていろいろまあ従来から非難があるのであります。それは総額の予算計上に当つて、例年のように国と地方団体との間に争いが絶えない。毎予算時期になりますと、地方団体の連中が押し掛けて参ります。そうして大蔵省乃至国会にいろいろ陳情を申上げて、交付金の増額を要求している。こういう争いをやめたらどうか、こういうことが一つであります。  それから第二の問題といたしまして、交付金の交付額というものは年度当初によくわからん。年度の途中になつて、まあいろいろ改正をされまして、地方団体としては非常に迷惑をしているのじやないか。従つて、もう少しはつきり地方団体に年度当初にわかるような方式に変えたらどうか、こういう大きな問題があります。こういうふうに地方財政そのほかにもいろいろ地方財政平衡交付金につきまして、議論があるのであります。で、地方財政平衡交付金を昔のように分与税制度に直して行つたほうがいいではないかという意見が一方にございます。どちらがいいかということでありますが、私どもは平衝交付金のほうがいいのじやないかと思つておりますけれども、それについていろいろ議論がありまて交付税という一種の税の形をとつたらどうかという意見が出て参りましてそうしてそういう方式になつたわけであります。平衡交付金制度をやめまして、地方交付税ということにいたしまして、今までのような財源の細かい計算をして平衡交付金を出す、こういう恰好でなくて、所得税とか法人税、酒税のそれぞれ一定割合を法定いたしまして、それによつて年度当初に交付税の総額をきめて、もう動かさない、こういう方式にしたらどうか、こういうことであります。ここにいろいろ書いてありますが、大体内容はそうでありまして、その九二%は普通交付税にし、八%は現在の特別交付金のように特別交付税にしたほうがよろしい、こういうことであります。ただ年度の半ばに非常に財政需要が多くなつて参りましたり、それから財政需要が減少したりするような場合がございますので、そういう場合の年度間の調整を図るために特別会計を設ける、そして超過した場今と不足した場合との措置を考えて行つたらどうかというのが、この五に書いてあることであります。つまり「繰入額が普通交付金の総額の九十二分の百四程度をこえる場合は、そのこえる額をもつて2により借り入れた金額を返済し、なお余りあるときはその超過額は特別会計において積み立てる」、つまり余りがあれば積立てをし、足りなければ借り入れをするということによつて年度間の調整をしよう、こういうふうになつております。税制調査会のほうの答申案はここのところは少し違つておりまして、これはやらない、やらないで特別交付税の八%でもつて操作する、こういうことになつて多少異つております。まあそういうのが交付税の制度であります。  それから第四に地方債の制度でありますが、最近の地方債の現状を見ますると、地方債というのはもとは非常に政府資金に依存しておる率が多かつたのであります。一番昔には大体公募公債でありましたが、大体戦争中から戦後にかけて九一%から九四、五%は政府資金に依存しておつたのであります。ところが資金部資金財政投資産業投資、いろいろな方面に出される結果、地方団体の起債に充当される額が非常に減つて参つておるのであります。現在では四五%、起債総額の半分ぐらいしか政府資金はないということになるのでありますが、昔、昭和二十四年は九五%であつたのでありますが、それが現在では半分以下になつております。現在起債の総額は千二百十八億でありますが、公募が非常に殖えて参つております。それで本年の公募も現在までのところ二百二十五億ぐらいになつておりますが、そのほか地方団体の一時借入れあたりでも銀行を非常に使つておりまして、資金部資金をなかなか借りるのがむずかしくなつております。公募債が非常に殖えて参りましたので、その公募債の消化を図るためにどうしたらいいかというのが問題になるわけであります。それに対して地方公共団体中央金庫というものを設けたらどうかという意見が地方団体間にあるわけであります。それを取上げられまして、地方団体中央金庫を作るということが、この地方債制度に関する答申の内容の第一であります。  第二の点は、現在の地方債の許可手続につきまして、許可及び融資の手続が非常に煩雑になつておりますので、それをもう少し簡素化したらどうか、こういうことで実際問題として大蔵省と私どものほうでいろいろ協議をしておるのでありますが、それに対して調査会のほうでも、ここにありますような簡素化の方式をお示しになつておるのであります。  それから第五でありますが、第五に赤字地方公共団体財政再建整備に関する事項、これは赤字団体が非常に殖えて参りまして、二十七年度の決算で見ますると大体赤字の総額が三百億くらいであります。そのうち府県が百四十億、あと残りが市町村ということになります。府県の赤字、これは形式上の赤字と実質上の赤字と両方ありますが、約百四十億くらいと記憶しておりますが、全体の地方団体で約三百億くらいあります。この傾向がベース・アツプことに赤字が殖えて参つております。従つて、この再建整備をまあしなければならないという声がほうぼうからあるのであります。地方制度の改正を機会に従来の赤字を整理する方式を一つ考えるというので、いろいろ研究の結果、ここにありますように、簡単に申しますと赤字の整理計画を立てて、そうしてその場合には必ず税を二割以上徴収するか、それに代るような節約をするか、どちらかの方式をとつて行く。国はこの赤字に対して二百億を限度として地方の赤字起債を認める、こういうことであります。で、一応その再建整備計画を立てて、赤字起債をやる団体に対しては相当準禁治産者的な制限を加える、これが再建整備の内容であります。将来の赤字の問題もありますが、一応この赤字公債で以て再建整備をやらせるということであります。その場合大体二百億を限度として、原則として五年償還の無利子、こういうふうに決定されておるのであります。  それからその次に国庫支出金及び使用料、手数料に関する事項であります。国庫支出金及び使用料、手数料につきましていろいろ従来問題があつたのでありますが、補助金制度そのものに伴うところのいろいろな讐がございます。例えば非常に総花的に補助金がまかれておりますために起るところの弊害、それから補助金を通じて人事に干渉して行く、これは各省がしております。それから非常に少額の補助金のために非常に煩瑣な手続をしなければならない。例えば十万円か二十万円くらいの補助金のために地方団体の職員を東京に出張させて、そうして書類の整理をさせる、旅費と補助金とが殆んど違わない、こういうふうの例も現実にあるのであります。そういうふうなものとか、非常に陳情が多くなつて参りまして、そのために労力と経費が非常に嵩んで来る、こういう問題もございます。それから補助金が多くなつて参りますと、監督とか監査とかいう名前でもつて二重、三重の監督、監査を受ける。そのために地方団体は非常に困つておる。こういうふうないろいろ補助金制度をめぐつての問題がございます。それについていろいろ御検討の結果、ここにありますような結論が出ておるのであります。現在地方団体で申しますと、補助金の総額は大体二十八年度の当初予算では二千三百八十四億であります。それに見合うところの地方負担額は千八百億であります。事業の総額は合せますと四千百八十億、これは全体の歳出の四九%になつております。全体の地方の歳出の四九%が補助金及び地方負担額であります。で、税及び交付金のこれは四一%くらいに当つておりまして、地方財源としては非常に大きなものであります。これに対して公共事業費に対する総花的な補助金制度を検討して更に効率的な補助制度を、国庫負担の制度に改めるというふうに、これは府県の例を見ますと、例えば県で申しますと十五万円以下の補助が百種類ぐらいはあると思います。非常に細かい、例えば県で千円ぐらいの補助があるのであります。意味はないのじやないかと思うくらいの、まあ旅費の補助みたいなものでありますが、そういう詰らん補助がたくさんございますので、そういうものを一つこの際やめてもらいたい、こういう意味であります。  それから義務教育につきまして、全額国庫負担及び半額国庫負担と、二つの説がございますが、制度調査会では現在の半額国庫負担制度がよくて全額国庫負担制度はとるべきものじやないという結論を出しております。  それから警察制度が今度国警と自治警と一緒になりまして府県に参るわけでありますが、その場合に警察行政に対する国庫支出金をどうするかという問題でありますが、これは義務教育とは異なつて教育、装備、通信、鑑識等の極度に全国的百調整を必要とする経費については、全額を国庫負担にする。それ以外のものは大体地方負担にする、こういうことになつております。これを半分に、昔のように分担金といいますか、連帯支弁金の制度にするかどうかということが問題になつたわけであります。そういう連帯支弁金制度ではなくて、全国的調整を必要とする経費のみを金額国庫負担、それ以外を地方負担、こういうことに決定されております。  それから国庫補助負担金は先ほど申しましたように、特に存続を必要とするもの以外は一般財源に振替わり、少額のものは整理してもらいたい、こういうことであります。それからまあ手続を非常に簡素にしてもらいたい。それから許可認可制度をもう少し整理してもらいたい。それから使用料、手数料を原則として地方公共団体の決定に委ねてもらいたい。これは国でいろいろな法令がありまして、その法令に基いて使用料、手数料はきまつておるのでありますが、必ずしもこれが各省の間でうまく均衡が保つておるかどうかというような問題がございます。従つて、これは地方公共団体に全部任せて、それぞれの使用料、手数料の料率をきめるようにして頂きたい、こういうことであります。  それから最後は自転車競走、小型自動車競走、モーターボート競走による売上金の一部を国庫に納付させる制度は廃止してもらいたい。これは地方財源として地方団体が取るようにしてもらいたい。現在はたしか八%か九%が国のほうに参ります。そのうち自転車におきますと、連合会が三%ぐらい取りますが、あとは国に参るわけであります。  それから最後に、大都市制度に関する事項でありますが、これは行政部会のほうで警察及び教育制度が大体大都市が府県と同じようになりまするので、そのために必要なこの調整措置を考えなければなりません。従つて、まあ税につきまして調整の措置を図る必要がありますので、大都市の区域に属する償却資産税、たばこ消費税、自転車税は大都市のほうに持つて行く。府県税から大都市のほうべ移す。それから道府県の遊興飲食税及び入場税のうち、大部市の区域にかかる分は大都市に持つて行く。これは教育及び警察が大都市に移りますために、非常に財政需要が多くなつて参りますので、それに見合うところの税を移して行くということであります。  それから地方交付税のうちの交付基準についても特別の配慮を加えてもらいたい。現在は平衡交付金制度で態容補正ということで、補正係数で以て財政需要を延ばしております。そういう措置をとつておりますが、それでも十分に見られない点がありますので、更に特別な配慮をしてもらいたいということであります。  それから最後の地方債の配分についても特別な配慮、大都市でありますために、普通の都市にはない異常な財政需要があるのであります。それに対して現在の枠の中で、もつと考えてもらいたいということであります。大体財政部会の答申案を概括的に簡単に申上げた次第であります。
  4. 大矢半次郎

    委員長大矢半次郎君) 御質疑はございますか。
  5. 松永義雄

    ○松永義雄君 質疑の前に……。今の地方制度調査会ですか、そこで速記録があつて一冊にまとめるのじやないですか。そこでやつていないのですか。
  6. 後藤博

    説明員後藤博君) 速記録はあります。まとまつたものじやありませんけれども、毎回の速記録はございます。
  7. 松永義雄

    ○松永義雄君 それをまとまつて何か謄写版刷りか何かしたようなものはたいですか。
  8. 後藤博

    説明員後藤博君) ちやんと印刷たものができていると思います。
  9. 松永義雄

    ○松永義雄君 それじやそれを一部づつもらいたいのですが。
  10. 後藤博

    説明員後藤博君) 非常に厚いですよ。非常にたくさんあるのですか
  11. 松永義雄

    ○松永義雄君 財政だけでいいですよ。
  12. 後藤博

    説明員後藤博君) さあ、余分がありますかどうか。
  13. 松永義雄

    ○松永義雄君 委員長一つ骨折つてもらいたい、無理なくもらえるようでしたら……。
  14. 大矢半次郎

    委員長大矢半次郎君) できるだけ御都合をつけて配付して頂ければ結構です。
  15. 後藤博

    説明員後藤博君) 一つ聞いてみましよう。私よくわかりませんけれども……。
  16. 森下政一

    森下政一君 この財政部会答申とは別なんですが、行政部会答申して総会で決定したことの中に、府県の性格の問題を明らかにしておりますね。これがかなり財政部会答申に関連を持つたと私は思うのですが、自治庁の端的な考えとして、この答申に現われている府県の性格、即ち、国と市町村との中間に位いしている広域自治団体で、国家的な性格を有する事務を処理するものだから、この答申で余ほど府県というものが国の出先機関のような性格が明瞭にされたと思うのですが、このことはどうですか。自治庁の考え方としてはこれでいい、これでいいというと適当でないかもわからんが、この答申をそのまま呑んでいいというふうなお考えができておりますか、どうですか。ということは、なぜ私がこういうことを聞くかというと、私は行政部会には出席してないのでよく知りませんが、中には、府県はこの際廃止したらいいじやないか、地方自治を伸長して行くということは、要するに市町村を培養して行くことである、府県というものは不用だ、これがあるために不必要に国民の税負担というものが過重になるきらいがある。これはもう止めたほうがよろしいという議論がかなり行われたようであるのですね。税制審議会の例えば代表的な大日本紡の社長の原吉平さんは、極力その主張をされたという話を聞いているのですが、どうもそういうと、あなたがたには耳障りになるかもわからんが、自治庁の役人さんたちは、何といつても現在の府県の人たちとは非常に親密な関係にあるというか、知合いも多い、そういう関係か知らんが、地方団体で言えば、従来市町村というものは比較的なおざりに考えて、府県というものを中堅的に考えて来られたようなきらいがあるように私は思うのですね。だから今度こういう答申が出て、府県の性格というものは、国家的な公益的な事務を処理するのだ、それが大部分の仕事だ、いわゆる地方事務というものは、市町村が、これが担当するのが本来的な姿である、こういうことが打ち出されたと思いますが、そうなつて来ると、今後のいろいろな財政問題なんかにしても、市町村というものをかなり大きく取上げた考え方が自治庁自体においてなされて行かなければならないと思うのですが、そういう意味でこの答申を妥当なり、そういう考え方で行こう、こういう心情えができているかということを聞きたいのです。
  17. 後藤博

    説明員後藤博君) 私がお答えする筋ではないと思うのですけれども、まあ、これにつきまして、調査会答申案全体につきまして、実はまだ政府として、どれを採つてどういうふうに考えるかということをきめておりません。実は今日の午後ぐらいから一つ始めようじやないかということで本当は午前中からやりたかつたのでありますが、私がここに出て参りますし、それからほかのほうにも出て参る者がありまして、そして午後にやることになつたのであります。大体事務当局として全体のうちどれとどれをとつて行くか。全体をとるかという問題もありますが、どういうふうな考えで行くかということを一応事務的にきめて、そして政府の決定されるところの材料にしてもらいたい。そして各党の御意見もお伺いしたい、こういうふうに思つておるのですが、まだこれをそのまま採るかどうかというところまで行つておりません。確定的な意見がまだ出ていないわけであります。
  18. 森下政一

    森下政一君 その点で第二番目に私が開きたいということは今おつしやつた点なんですが、折角こういうふうな地方自治制度調査会答申が出たわけなんですが、殊に財政面ではあの会合の空気はあなたが目の当り目撃されてよく御承知の通りなんですが、利害関係を持つております各団体の中で、みんな不平を言うておる。一応表向から観察すると府県も不満足、都市も不満足、なかんずく大都市も不満足、それから中小都市ももとより不満足、市町村も又不満足だと、こういうふうにまあ述べてはおる。だけれども本当の腹の中を考えてみると、不満足ではあるけれども、この答申に盛られた内容というものに対して、殊に財政面については真底から反対しているものがあるとすると、東京都と大阪府ぐらいだと思うのです。ほかは不満々々と言いながら実は現在よりよくなるというので、もう中小府県の都市は大歓迎、それから大都市も先ずこれで、財政的措置の避け得ない面はたくさんあるけれども一歩前進だというので満足しておる。殊に行政部会答申においても、大都市制度というものが認められ、財政部会も又その裏付けの税財政の措置を講じておるというから、これはまあ非常な、非常なと言うとどうか知らんが、都市も又大歓迎しておると私は観察しておる。中小都市においては勿論のこと、町村も大体これでいいというので満足しておる。だから本当の内心のところはこれが全面的に受入れられて政府において実施されることになつたら本当に不平を持つておるものと思われるのは東京都と大阪府ぐらいであつて、それはみなほかのところは満足たというのが私は本意だろう、真意だろうとこういうふうに伊うのですね。そこでこれを政府が全面的に採択することが望ましい。そうして立法化してもらいたい。そうでなかつたら、この答申というものは何にもならん。殊に財政面においてはこの中の一つだけを取上げて他を捨てられるということになると、これはもう答申を作るのに苦労した調査会の労苦というものは水泡に帰してしまつて、どれ一つ除外しても必らずどこかにしわが寄つて来るということになるのではないだろうか。とるなら全面的に取消さなければならんと私は思う。そのためだと思いますが、税制審議会のほうが出しておる答申も、地方制度調査会財政部会答申というものをかなり尊重して、それと並行的に歩調を合して行けるような工合に答申案が出されておると、こう私は見ておるのですが、そこで事務当局としてどの程度までこれを政府に採択を要請して行こうというお腹構えができておるものだろうか。又これは昼から談判に入るので、今ちよつと渡し得ずという段階にあるかも知れませんが、差障りのない程度にこれを確めたい。私が今日ここにあなたに来てもらつたのは一番の狙いがそれなんです。
  19. 後藤博

    説明員後藤博君) どうも行、財両方にわたつての御意見のようでありますが、私は財政のほうの立場、私は税から財政のほうに途中で代りましたから税のことを申上げるのはちよつと筋が違うかも知れませんが、行政のほうを一応固めてもらわなければ財政のほうは困る。一応段階的には行政をはつきり固めてもらいたい。行政機構は大体今の答申案通りやられるようでしたから、財政はそのままやつてよろしい。併し行政のほうが、例えば警察よりもむしろ教育が問題なのではないかと思う。教育関係がこの通りならなかつた場合には、財政面から申しますと非常に又混乱して参るのであります。税制そのものはいいかも知れませんが、非常に全体が狂つてしまいますので、やるんだつたら全部やつてもらいたいというのが私どもの希望であります。その上で税及び財政制度というものをそれに合して行きたい。これは全体としては合つておると私どもは思つております。ただ財政の中で直ぐやらなければならんことと、そうしないこととは財政の中にもございます。例えば政府は直ぐやらなければなりません国税にするか、交付金にするかということは、これはどつちにしたつて地方財政から見れば大した問題はないのであります。現状をどこがいいかということ、これは比較の問題であります。それから中央金庫の問題もやはり同じような問題があります。従つて行政のほうの問題とは非常に異つたものが財政のほうにはあると思います。一応まあ前提として行政制度のほうを早く固めてもらいたい。その固つた上で我々の財政はどれとどれをつけるか、先ず税をつけなければならんと思います。その税をつけて、併せてほかの制度とも、交付税制度と何かを合せて出す。それから再建整備のほうも出さなければならんし、そういうふうに順序を立てて行きたいと思うのですが、どうか事務的に、いくらこれをやつてもらいたいと言われても、政府全体の気がうまく調子が合わなければやはり私どものほうだけでやるのではないのでありますから、その関係省の法律でもつてやらなければならん。例えば御決定したら御決定したところ自体が出す法律であります。それだから教育関係でしたら、文部省自体が出す法律でたければならない。それがどういうふうに変化するか。如何に変化するかによつて財政は崩れて行くのであります。その行き方を成る程度見通しを立てる段階でない、財政のほうはくつついて行けないと、こういうように私は考えておるのであります。
  20. 森下政一

    森下政一君 それはおつしやる通りで、行政の方面で若しこの中で採択されるものと採択されないものと、できる。例えば今あなたが例として挙げられている教行政が、その答申通り行かなければならんというのは、財政面に影響して来るというの、おつしやる通りであります。地方制度調査会でも、財政部会行政部会答申の出るのを待つて、出たものを一応前提として、その政府財政の裏付けをするというのは、財政部会の仕事の一つでなければならんという行き方をやつたわけですね。だから今おつしやることはよくわかる。ところで、こう解釈してよろしいのですか。今おつしやつたことは、若し行政面の答申が全面的に採択されるということになれば、財政部会、殊に税の面ですが、これはもう全面的にこのまま採択されるべきだ。事務当局の見解としては、そういう考えを持つておられる、こう解釈してよろしいですか。
  21. 後藤博

    説明員後藤博君) 税の問題、税の中で個々のものは、税のやり方をこの通りやるかどうかということにつきましては、これは税務当局にも、私どもにもいろいろ意見があるようであります。併し大きな筋は別に反対ではないのでありますが、ただ問題は例えば入場税遊興飲食税譲与税にしたほうがいいか、そのまま地方財源に移行しておいて、現状通りでよいかということが一つある。これに対しては税制調査会自治庁のほうに、はつきりした意見を求めております。事業税入場税遊興飲食税、これは地方財源として存置しておいてもらいたい、こういうことであります。この問題は府県と国とが問題でありまして市町村とは余り関係のない問題であります。ですから、全体の税の総額については大した変りはないのであります。国は一割ぐらいしか持つて行きませんから、府県府県との間の問題でありますから人口で配分するか、そうでなしに現在の偏在をそのまま認めた制度にしておくか、これだけの問題でありますから、その辺がちよつと自治庁の事務当局の意見と多少違つております。それから例えば固定資産税のやり方、償却資産税のやり方等についても、これ以外の方法はあり得ないという意見もあります。従つてこの償却資産税を設けること自体は別に反対ではないのであります。多少やり方については問題は事務的にあるのであります。従つてこの通りということにはなるかどうかということには私どもはつきりしたことを申上げられないのでありますが、大体財政部会答申基礎にした方向において税制改正をして行くという基本的な考え方は私はとつて行くべきであり、又そうなるだろうと思つております。
  22. 森下政一

    森下政一君 今自治庁の各事務当局の考え方として、税制審議会でははつきり意見を表現したとおつしやつた遊興飲食税及び入場税ですね、それを地方財源として存置して行く、強く堅持して行つてもらいたいということを一言つたというお話ですが、地方制度調査会財政部会ではこれを国税に移管する、そうしてその人口に按分してその大部分府県に返してやる。これは私はシヤウプ税制の、シヤウプ勧告による税制改革の行われた当時に各地方団体がそれぞれの個有の財源を与えられたところは非常にいいことだと思いますが、そういう点に眩惑されて無批判にいいことだと私どもは考えて、私どもというと語弊があるかも知れんが、私自身はそう考えた。ところがその後における地方団体の財政事情を見てみると、府県は比較的、府県という中でも特に大府県ですね、比較的財政に余裕があるところは黒字である。ところがその府県の中にあるところの都市、なかんずく大都市というものは従来健全財政をとつてつたものなどは連続的に赤字である。単独事業整理したり、人員や整理したりしてもなお且つ赤字で困難を来たしておる。一体どこでそういうことになつたかをだんだん究明してみると、結局遊興飲食税とか或いは入場税とかいうものが府県財源になつてしまつておる。これは景気の変動に敏感に響くもので、エラステイシテイーを持つておる、弾力性に富むものである。府県遊興飲食税でどんどん税収が殖えて行く。ところが市のほうは固定資産税とか市民税とか、すぐ景気によつて左右されないようなものが主なる財源になつておるというところに結局しわ寄せが都市に生れて、赤字財政に悩まなければならんことになつておる。だから今度の地方制度調査会答申の中でこの両税を国税に移管するということは、地方に与えられておつた財源を取上げるというだけの短所、欠点からの反対論はあつても、偏在を是正するということでは、而もすべてに潤おいを与えるものだということでは、これは私は一つの非常にいい答申をしておると、こう考えておるのですがね。ところがいずくんぞ知らん自治庁が現在の偏在をそのままに認めて、地方財源に存置することがいいのだというようなな事務当局の理由は一体どうですか。
  23. 後藤博

    説明員後藤博君) 私どもとしては一体税制改正をしてもらいたいということは、地方団体に二分の一基本的な自主財源を殖やしてくれということであります。自主財源を殖やしてくれというのが大事な議論であります。これは地方自治団体としては当然なことだと思うのであります。そういうことを言いながら府県の一部の人が入場税遊興飲食税を取上げられることにどうして賛成するのかということが一つの問題であります。私ども偏在是正とか、いろいろおつしやいましたが、大都市、府県のほうに置いておいても可能ではないか、例えば府県でとりまして半額を市町村に人口按分して還付してやるという手もあります。それによつて偏在も流せる。偏在是正は府県財源地方団体財源として置いておいても可能ではないか。その可能な方法を考えないで持つてつてしまつて譲与税の恰好にしますということは本当の自主財源ではないではないかということなんであります。従来の基本的な考えと逆行するような主張をするのはおかしいじやないかということでありますが、税種として考えても私は遊興飲食税のようなものはこれは国税税種ではない。税種からしてもうこれは地方団体の税であると、こういうように考えております。まあ私どもの連中の意見は大体そうであります。
  24. 森下政一

    森下政一君 ここであなたと論争をしてもしようがないことになるのですけれども、先年遊興飲食税なり入掛税なり、元来が国税であつたことがあるわけでありますね。それを地方税に移管するということを大蔵省は非常に反対した。反対したということはこれを移譲することによつて実は税収が必ず減つて来る。国の税にして置くことによつて仮に一〇〇%の徴税ができるものならば、恐らく半減するだろうということを言うて大蔵当局の意見はこれに猛烈な反対であつた。ところが地方財源を与えることがいいとシヤウプ勧告でやられたものだから、ひとたまりもなくそうなつたものですが、ところが実際の実情はどうかというと、各府県とも料理飲食業組合、それらのそれぞれ喫茶店なら喫茶店、旅館は旅館、料理屋は料理屋というものの組合との折衝によつて馴れ合いの徴税をやつて、それで定めておるところの税金なんか取つていないというのが本当であります。さればこそ今日なんか国税移管ということが具体化されると、早くも猛裂な反対運動をどんどんやつて、幹部連中も若しこれに賛成すれば、国税移管に賛成されるというなら、この次はあなたに投票しないと脅かされるものだから、甘い返事をして、大局を見ることを忘れて、単なるあなたの今言われたような地方財源を与えておくことがいいというようなだけの単純な理由で、国税移管に反対なりということを軽々しく言われておる連中がある。私は非常にこれは大局を見ておらんと思うのですがね。  そこであなたの言われるように、如何さま地方収入を殖やしてもらいたい、財源を殖やしてもらいたいということが地方団体の年来の担いであつたには違いないと思うけれども、そうならばこの偏在地方財源として残しておいても、例えば半額を市町村に移譲しよう、県から市町村に移譲しようというようなことで是正できるじやないかとおつしやるが、その是正よりも国が取上げておいて各府県の人口に按分して返すというほうが、その是正の普遍性ということから非常に豊かになつて来ると私は思うのだが、同時に自治庁の事務局が言われるように、成るべく国のほうから税源地方に委譲さして、これまでもらつておるものはそのまま取つておるということはやらずぶつたくりなんだ、国の事情というものを一面考えて見ると、それは今までも四苦八苦しておるのである。その中からたばこ消費税を出せ、酒の消費税を出せ、但し俺たちの持つておるものは何もかにも国に返してやらんぞということでは国の財政というものは成立つて行かない。総合的に全体を観察して行くことが必要だと思つて、これは私はあなたと論争しても結論が出ることじやないけれども自治庁事務当局が大所高所に立つて観察されることが必要じやないかと思うのですが、どうですか。
  25. 後藤博

    説明員後藤博君) まあおつしやるような考えもときどき承わつておりますけれども、従来から私ども財源を多くするという主張、これはそのためには全然持つておるものを出さないという意味じやありません。今までただ大蔵省系統の連中が盛んに言つておりました法人税割、これも二割しか出しませんけれども、もう少し出してもいいかと思います。丁度これはこういうものは欲しくなくて、逆に遊興飲食税入場税が欲しいということを議論されたので、税制調査会においても同じような議論がされております。但し遊興飲食税入場税が欲しいという理窟が私どもよくわからんのであります。偏在も多いことはそれは事実であります。とり方も非常に悪いことも、これは遊興飲食税においても大府県においては成るほど悪いのであります。併し国税のときが十分にとれたかというと、そのときでも非常にむずかしい税で、とりにくかつた問題の税であります。私どものところに参りましても、だんだん徴収率は上つてつております。これはまあ府県によりまして非常に悪いところがありますけれども、全体的に見ますると、非常に徴収率がよくなつて伸びておる税でありまするから、私どもとしてこういう伸びる税もやはり地方団体に置いてもらいたい。それから税種としてもこれは地方団体の税で、遊興飲食税というものは小さい法定外の普通税で雑種税から始まつたものであります。国税として持つて行くのはおかしくはないかというのが私どもの気持としてあるわけであります。偏在の是正の方法としては私ども別に方法もあるのではないか、従つて譲与税という恰好で持つて参りますと、これは実財源ではなくて非常に不安定な財源ではないか、まあ平衡交付金のようなものではないかも知れませんけれども、非常に不安定のものではないか、本当の実財源とは言えないものでありますが、地方団体としては非常に困る、こういうふうな気持が抜けないのであります。間違つておるかも知れませんけれども……。
  26. 森下政一

    森下政一君 大体遊興飲食税入場税というようなものは営業をやつておる人が納税はしますけれども、その税なるものは実はお取次ぎしておるだけに過ぎないはずなんで、納めておる人は遊興しておる人なんだ、飲食する人が納めておるわけなんだ、それを百とつておいて五十だけ馴れ合いで納めるということは、彼らに非常に都合のいいことなんだ。それなればこそ国税移管に反対しておると思うのだが、そういう不公正なことを自治庁みずからちようちん持ちをするような考えを持つちや困ると私は思うのです。何も営業しておる料理屋が納めておる税金ではあるけれども負担していない、お客さんが負担しておる。それを公正に取次ぎをせずに自分の懐に入れて私腹を肥やしておる。それだからこそ地方税に存置しておいてもらいたいと彼らが言うておる。それのちようちん持ちをするような態度になつてもらうということは僕は非常に困ることだと思うし、殊に国全体として今財政的な収入をどこに求めるかということに悩んでおるときに、そういう不公正なことが行われておるものはすべからく是正すべきなんだ。私はこれを国税に移管することによつて偏在を是正することもできる、全体が潤うものをやるべきだと思うし、それからこれを国税に移管することによつて、これを国税にもらえるのならば、たばこ消費税も出そうという気持にも大蔵省なつたと思うのです。それを大蔵省は一体地方税であるものを国税に取上げて、その大部分地方に返えすならば何にも得るところがないじやないか、而もこれを国税に移管するならば、たばこ消費税を出してもいいんだというような気持になつたのはなぜかということになるかもわからんけれども、国がこれをとることによつて地方団体がとるよりも余計とれる、百とつたものを百返えすんじやない、そこには徴税をするところの大蔵省側の費用もかかるし、多少の潤いがあるだろうということで、河野次官は九〇%まで地方団体に返えせというのを飽くまで大蔵省の考えとしては八〇%ということを力説しておつた。恐らく私は、国が国税に取上げることになつたら地方に還元するのは八〇%くらいで大蔵省が抑えるのじやないか、而もその僅かな鞘を国が稼ぐのだけれども、実はその金額は現行税率に据置いても相当なものだということを睨んでおるのだと私は思うのですが、自治庁みたいにやらずぶつたくりを考えておるのでは、やる代りにくれということにならん。而もその市町村はどうかというと、徴税費は何にもかからないのに、たばこ消費税なんというものをもらえる、非常に私は有難いことだと思うのです。併しこれはあなたとここで論争しておつてもしようがないと思うのですが、一番私の今日聞きたかつたのは、願くば長官に言つてもらつて、どのくらいの決心を持つてこの答申を政府をして採択せしめるという勢いで閣議に臨まれるのか、又政府としてどういう考え方でまとまりつつあるかということが知りたかつたのですが、事務を担当しておるあなたにこれを質しましても、これから相談するのだというお話でありまして、これ以上しようがないと思いますから、以上意見を申上げまして、一つ是非私の考え方にも御再考願いたいという希望を申上げまして、私の質問を打切ります。
  27. 松永義雄

    ○松永義雄君 間接に関係あることですが、今度の救農国会で百十五億円ときまつて、今現にその割当の何といか、調査をやつておるらしい。府県のほうではまあそれの来るのを待つて、そうして府県府県なりの実質上の担になる金を出すことにしないといかん。ところが聞いてみますと、もらうのは有難いが、五割補助なら五割補助ということになると、残りの五割を何とか、捻出しなければならん、ところがその財源はない、金はない、県会を開きたくても開けない、何とか考えなければならんのですけれどもと……こう言つておるのですけれども、そういうことは本当なのか。若しそういうことが本当だとすればどういうふうにやつて行かれるのかというような点で、何か参考になるようなことがありましたら……。
  28. 後藤博

    説明員後藤博君) 災害のお話でしたらそういうことは全然ないはずなんでありますが、災害でありますと、公共災害の地方負担分については全額起債を認めます。これは政府資金で全部私どもやるつもりでおります。従つて、例えば八割五分の補助が、復旧額が査定をされまして、その二割を本年やると、その場合の地方負担額といのがはつきりして参ります。その地方灸拒額につきましては全額起債を認める、その場合には政府資金で認める、こういうような方式でありまして、公共事業関係につきましては私問題はないと思つております。  ただ従前の一般公共事業つまり災害に関係のない公共事業につきましては、従来の地方負担の全額を起債で持つて行くということはできませんので、例えばその地方負担額の七割、八割を起債で行く、あとの二割、三割を一般財源で自分の税で賄つて行く、こういう方式はとつております。併し災害についてはそういうことはないと思います。ただ問題はこういうことじやないかと思うのです。災害の査定がはつきりきまつていない、復旧額というものがはつきり現在きまつておりません。一応政府では十月五日の総災害の二千四百二十億ですか、の災害を基礎にして、千七百七十五億の一応復旧額の査定をいたしまして、それを基礎にして予算を組まれております。併し十月五日の一応の査定でありますから、この査定をもう少し正確にやるために現在やつておられるわけでありますが、それがはつきりきまらないために自己負担額がはつきりきまらん。補助額がはつきりきまらんし、自己負担額がはつきりきまらん、こういう問題がございます。従つて基の査定額がきまらない上、補助額がきまらない。それから施行壁は二割ということになつていますが、その二割は一般の土木事業なんかは恐らく一割なんぼ、二割になつておりません。一割五分ぐらいにしかなつておりません。そういうものがはつきりきまつて参りませんので、地方団体として一体地方負担額が幾らで、起債の量がどのくらいかということが見当がつかないような段階であります。一方においては非常に資金繰りに困つておりますので、そのきまるのを待つておるわけでありますが、待つておる状態が長く続きますと、年末の資金に非常に困つて参りますので、私どもといたしましては、一般公共事業及び過年度災害の補助金を早く出してもらいたい。概算払いを早くしてもらいたい。私どものやれる仕事はそれに対して起債をつける。起債もこの際全部出すわけには参りませんので、大体政府資金の分につきましては、一般公共は大体二百九十億ばかりの起債があります。その起債の八割ぐらいをこの際出そうというので、昨日総務部長会議をやつておりまして、その際に本年の起債を大体このくらい一応出すから、政府資金の手当もつくことになつておるからというので、一応今日全部持たして返すことにいたしております。過年度災害の百億についても大体起債の手当をいたして、年末の資金に困らないように大体合せて三百億、それから公募債の枠も一応公共事業については示しております。それで以て大体三百億乃至四百億ぐらいの金で以て年末の資金繰りをしてもらいたい、大蔵省の理財局とは大体話をつけているから、こういうふうにしてやつておるわけであります。ただ基本になる古いやつはいいのですが、本年度災害の分については先ほど申しましたように、査定がはつきりしておりませんし、補助額がはつきりしておりません。地方負担額がはつきりしておりません。一応は現在の計画では百パーセント地方負担については起債をつける、こういう方針でおるのでありますが、私どもとしては関係各省を督励して早く査定を了えて、早く補助額をきめてもらいたい、概算でもいいからきめてもらいたい、こういう要求を現在しておる段階であります。
  29. 松永義雄

    ○松永義雄君 例えば土地改良なら土地改良があるでしよう。今あなたのお話は、建設省関係の話が主ではないかと思うのですが、土地改良なら土地改良で工事をして、そうして農民の賃金収入をここで現実的に幾らかでも足し前をしてやろうということになつたのが救農国会の趣旨なんですが、ところが土地改良なら土地改良をやるのに、お話の通り府県の負担分のものもあるし、それからそうでないものもあるでしよう。そういつたような場合に、地方債さえすぐ出せればそれでやつて行けると、こういうことなんですか。
  30. 後藤博

    説明員後藤博君) ただ農林省のほうで査定をしまして、そうして事業量をきめまして、それに対して補助をなんぼ出すと、こうきめる。そうすると、私どものほうは負担分が例えば八割五分の補助でしたら一割五分の負担があるのです。これについては全額起債をつける。こういうふうに出て行けるわけですが、その基がきまりませんから起債のつけようがありません。全部起債でやるつもりでおります。
  31. 松永義雄

    ○松永義雄君 そうすると、査定がきまつておらないから困つている……。
  32. 後藤博

    説明員後藤博君) 今おつしやるような土地改良の問題でしたら、組合施行分と地方団体施行分と、こういうふうに分れるわけです。これがまだはつきりしていません。それから事業をどこにどういうものをやらせる、そいつもまだはつきりしないのです。
  33. 松永義雄

    ○松永義雄君 そうなつて来ますと、府県営の場合と団体営の場合とあるとしますね。その団体営のような場合にはそういう金はどうするのですか。五割補助なら五割補助といつてもあとの金は出さなければならんでしよう。
  34. 後藤博

    説明員後藤博君) 府県営の場合と組合施行の場合と二つあります。組合施行の場合は府県は負担をしていないのが従来の例であります。府県常の場合には、組合がやるか府県でやるかという問題がある場合にはよく府県営でやる場合があります。その場合には府県とか市町村でやる場合には組合も負担をしている場合があります。併しまあ組合が負担しないで、自己財源を充てるというような場合には起債を認めなければならんので起債をつけているわけです。
  35. 松永義雄

    ○松永義雄君 実際問題として成るべく細かいものをやるのが今度の趣旨らしいのです。そうすると、団体営なら団体営というものを、今お話のように起債ができると、まあ喜んですぐ受入れればいいのですけれども、とても団体営では自分のところには金はないし、金がないのは凶作なんですから当然のことなんです。そこで起債といつてもおいそれとすぐ起債手続をとるかどうか疑問だと思うのですが、つまり折角救農国会で以て予算をきめたのはいいけれども、出して来る金は金で結構だけれども、それに継ぎ出して行く金がない。そういつた場合にこれはどうするかということなんですが、非常にむずかしい問題かも知れませんけれども……。
  36. 後藤博

    説明員後藤博君) 全然仕事ができないとは私は思われないのでありますが、それは繋ぎ融資も百十八億出ております。それから私ども計算では約五十億ぐらいの市中金融機関から借りておる、地方団体が借りております。その二つを以て一応仕事を私やつておるのじやないかと思います。或る程度の仕事はやつておりますが、それに見合うところの国の補助つまり補助金とそれから起債特別交付金と現在出しておる融資ですね。百十八億プラス五十億ですが、それが変つて行くわけですが、その総量がはつきりしないと、何がどういうふうに変るかということが地方団体としてはわからんわけです。仕事はやつておると思います。繋ぎ融資が出ておりますから、繋ぎ融資を使つて地方団体ではやつておるのですが、どの程度のものができるかという見通しがつく段階にまで行つていないということを先ほどから申上げたわけです。
  37. 松永義雄

    ○松永義雄君 もう一点質問して終わたいと思うのですが、今度の凶作は貧富の差がひどくなつている。それで土地改良なら土地改良をやるにしてもなかなか村はまとまらん、やりたい人と、やつてもらつたんじや、折角融資してもらつても元利を払つて行く余裕がないのだ、非常にそういう点の困難の度が強くなつて来た。そういう場合にどういうふうにこれからして行かれるか。現在営農資金、救農国会の組んだ予算というか、金を出すということについて、実際において農村はこれは受入れるだけの能力を欠いておるものもある。そういうものをどうして行くかということなんですが、実際の事業をやるについてもなかなか困難があるらしい。どこにどういうふうに土地改良をやつて行くかということについても種々府県も相当苦心するのではないかと思うのですけれども、折角金はもらつてもそれが全額補助ならいいけれども、五割とか七割、七割になれば結構だけれども、あとの三割はどうするか、非常に貧乏するような農民が出て来る、借りた金はやはり返さなければ困ると、そういうものに対してどういうふうにされるか。
  38. 後藤博

    説明員後藤博君) 先ほど申上げました地方団体が公共災害について起債をいたしました場合には、その起債の元利償還を財政需要として立てまして、そうして平衡交付金を出しておるわけであります、災害につきましては。ですから地方団体のそれに要する財政需要は先ほどちよつと申上げました財政規模の中には人つておる。現在の交付金計算にも入つております。従つて災害関係につきましては、現在はそう困らないような制度にはなつておるのであります。地方団体がそれ以上のいろいろ負担した場合に、赤字が出た場合にどうするかという問題もありますけれども、それも判別交付金あたりで多少従来いたして来ております。全額を見ることができなければ何分の一かをとつて成るたけ赤字が出ないように載る程度のことをやつておるつもりでおります。
  39. 森下政一

    森下政一君 ちよつと忘れましたので、もう二三点質問しますが、一番府県税として有力な税源事業税なんですね。それで遊興飲食税とか入場税なんてものはあつても貧乏県へ行けば大した収入はない。東京や大阪こそ先ほど申しますように、遊興飲食税とか入場税というのが大きな税源ですが、貧乏県はそうでない。そこで何か財政需要が殖えるときには、いつでも事業税に頼つて貧乏県ではそこへ皺が寄つて行くということになるので、府県民が非常に困つておる。而も国税の関係で、税務署が所得税の関係でいろいろな調査をする、法人税の関係で調査をする、そのほかに府県が出て来て又事業税の関係で調査をする。納税者側からいうと、いろいろ調べられて非常に迷惑を感ずるという声が高いのですガ、今度の地方制度調査会答申で、事業税のほうは純益を課税の対象にする場合においては、その所得税とか法人税の対象になつたものをそのまま事業税の対象にするように答申しておりますが、自治庁の考えはどうですか。こういうことはすべからく地方府県に指示をして、煩瑣なことを何回となく繰返して納税者に迷惑をかけないという瀞殊から、こういう答申をそのまま採択してこれを実施せよというようなことを指示される御意向はありませんか。
  40. 後藤博

    説明員後藤博君) 事業税課税方式は、国税所得をとるということになつておりますし、御意見もその通りつたと思いますので、これは是非そういうふうにするつもりでおります。ただ問題は、それをそういうふうにいたしましても、例えば所得税と個人事業税と比較しますと、所得税はいろいろ控除がございます。ところが事業税基礎控除だけであとの控除はありません。従つて所得税では控除失格者になるが、事業税では控除失格毒にはならないということであります。その控除失格者の分では当分事業税でやらなければならない。ところが所得税の控除失格者の所得調査を見ておりますと、非常に不均衡な例がたくさんあるのであります。そのために地方団体としても従来は非常に均衡をとるために困つてつたのであります。ですから、所得税のほうの所得調査ももう少しはつきりしたものを……、控除失格者が問題で全部所租税がかからんのであります。かからんからその辺は非常に大まかな計算をされておるのであります。ところが兼業税はかかつて来る。ここのところをもう一遍調べて、そうして不均衡にならないようにする、こういう問題はやつぱり残されておるわけであります。その限りにおいては調査をやらなければならない。可得税をそのままとつて来ると非常に不均衡になりはしないか。例えば十五万円までの所得はいろいろな控除でなくなつてしまう。ところが十四万円の所得の人と十三万円の所得の人と、実際は所得税が全然かからんものですから余り遣わないような所得計算をされておるわけです。厳密に言つてみると非常に違う。こつちは十万円でこつちは十四万円だと、こういう差別をもつとつけなければいかん場合があるのです。そういうところはやはり調査をしなければいかんのじやないかと思います。併し所得税がかかつておる人たちは勿論所得税課税所得をそのままとる、これは間違いなくとる、こういう方式で今まで私税務部長をやつておりましたときはその通りやるつもりでおりましたのですが、新らしい税務部長もやはり同じ方針だと思つております。
  41. 森下政一

    森下政一君 それから財政部長に伺いたいのですが、さつきの遊興飲食税なり入場税地方財源として残しておく。偏在是正のためならば、例えば半額を市町村に返してやるというような方法もあるのじやないかということをおつしやつたが、そういう場合、例えば大阪府が遊興飲食税をとり入場税をとつて半額を返すとしまして、半額を市町村に返すというときたには、大阪府下の市町村に返すのであつて、岩手県にけ及ばんでしよう、鳥取県には及ばんでしよう、大阪府下に対して返してやる。こういうことですね、おつしやつたのは。
  42. 後藤博

    説明員後藤博君) そうです。
  43. 森下政一

    森下政一君 そうすると、国へ取上げておいて各県の人口に按分して返してやるほうが偏在是正の度は高くなりますね。
  44. 後藤博

    説明員後藤博君) はい。
  45. 森下政一

    森下政一君 それからもう一つ、これはあなたのほうの管掌ではないことですが、いよいよ今日あたりの新聞を見ると、第二次補正予算が今日あたり本格的に閣議できまるらしい。それによると、富裕府県に対する義務教育費半額国庫負担法としては十二月以降廃止するということに大体きまるらしいのですが、義務教育の面に関する限り富祐府県は富祐じやないと私は見ておるのです。例えば東京都なんというものは、恐らく全国で一番小学校の二部教授の多いのは東京都じやないか。それに次いで大坂府じやないか。これらは年々人口が殖えて就学児童が殖えて行く。毎年千人とか二千人とか収容し得る小学校というものを十も二十も作らなければならんくらい殖えている。だからいつまでたつても二部教授は解消しない。貧弱な校舎の中で、不完全な施設の中で授業を受けなければならんというようなことになつておるのだから、その面だけを取上げて考えても富裕でも何でもない。日本のうち一番貧乏府県だと私は思うのだが、それを富裕府県なるが故に義務教育費半額国庫負担を廃止しようというのですが、自治庁として考えるならばどうですか。そういうことはすべきじやないと、自治庁長官は閣議で言うくらいの立場をとるべきじやないかと思うのですが、どうですか。
  46. 後藤博

    説明員後藤博君) 富裕府県というのは何が富裕であるかという問題が一つあると思います。併し今の平衡交府金の制度の下において、平衡交付金制度というのは一体生存権を保障しているのか、最低生活権を保障しているのか、十分なる生活を保障しているのかという問題があるのであります。これは、私どもは最低の生活権を保障しいるというふうに考えているわけであります。ところが現実の姿は生存権らいしか保障してないじやないか、こういう議論があるわけであります、簡単に申しますと。そこで、全体の地上団体の最低の生活権を保障する制度としての考え方で平衡交付金制度というものができているわけですね。その場合に、富裕であるかないかというのは、つまり財政需要額と財政収入額と比較しまして、財政収入額のほうが財政需要額をオーバーしている。つまり平衡交付金を出さなくてもよろしい不交付団体、それを富裕団体こういうふうに皆言つているわけであります。私どもは実際問題として大部市、大府県に特別な財政需要があるということもよくわかつておりますし、教育についても特に二部教授が非常に多いこともよく知つております。併し全体の市町村を均してみたときに、やはり不交付団体は大府県の交付団体よりも比較的富裕である、こういうことが一応言えるのではないか。まあ一応の超過財源が、ロスが、財政上出るというこが言えるわけであります。そういう平衡交付金制度をそのまま持つて来て、今度は義務教育の頭をちよん切つて行くというのは、どうもおかしくはないかと私どもは思います。そういうことも言うのでありますが、現在の制度として一応不交付団体になつているものにはやはりロスがある。そのロスを解消するのには義務教育の半額国庫負担の頭をちよん切らなければならない、制度としてもこれは法律上できるのじやないか、こういう問題があると思います。私ども財政計画では調子を合せておりません。法律でちやんとそういうふうにきまつてから財政計価は直すけれども、それまでは私どものほうは国の財政計画とは違つてきまるまでは直さない、こういうことで一応突つ張つておるのであります。義務教育につきましても、やはりいろいろ問題がありますし、職員の構成とか、いろいろ違つておりますし、校舎あたりでも復旧が非常に遅れていることもよく知つております。併し現在の制度上出て来る不交付団体を富裕団体と言い得るかどうかという議論はございますが、一応は全体的に見ると、富裕であるということは言えるのではないか、残念ながらそういうことになるのではないかと思います。こういうふうに考えます。
  47. 小林政夫

    ○小林政夫君 これは森下さんに聞いたほうがいいかも知れませんが、法人税割の二割を国に譲るというのは、技術的にはどういうふうにやれという答申なのですか。
  48. 後藤博

    説明員後藤博君) 現在一二・五%のあれを一〇・五%でしたか、税率を下げるわけであります。
  49. 小林政夫

    ○小林政夫君 税率を下げるだけですか
  50. 後藤博

    説明員後藤博君) 法人税のほうは別に上げないで、税制調査会のほうの案を見ますると、むしろ四十二を四十に下げることになりますから、その分だけは負担が軽減されるわけになります。
  51. 大矢半次郎

    委員長大矢半次郎君) 他に御発言なければ、本日はこれを以て散会いたします。    午後零時四十九分散会