○
説明員(
後藤博君) 私
自治庁の
財政部長の後藤と申します。
地方制度調査会の
財政部会の
答申案について簡単に御説明申上げます。丁度
委員であられる森下さんがおられまするので、私が間違
つておりましたら
一つ御訂正を願いたいと思います。
財政制度の改革に関する問題といたしまして第一は
地方財源の
所要額の
総額に関する問題が前からあるのであります。これは現在
地方団体に必要な
財源が果して確保されておるかどうかという問題なのでありまして、これに関する従来からの
問題点を簡単に申上げますと、先ず第一に、現在の
地方財政計画の
基礎にな
つておりますところの
財政規模でありますが、この
財政規模が果して妥当であるかどうか、こういう問題であります。従来から先ず第一に
問題点として、この
財政規模の
基礎にな
つております数字は、
昭和二十五年の
決算を
基礎にしております。
昭和二十五年の
決算を
基礎にいたしまして、その後の必要な
財政需要を毎年伸ばして参りまして、現在第一次
補正予算までに八千九百億という
財政規模を作つそおるわけであります。これを
基礎にいたしまして現在
平衡交付金の算定をいたしておるのであります。その
昭和二十五年の
決算を
基礎にいたしましたこと自体に
一つ問題がありはしないかというのであります。これは
昭和二十五年というのは御承知の
通りシヤウプ税制ができました年でありまして、
昭和二十四年以来
地方財政が非常に
赤字に悩んでおりまして、
財政規模が非常に圧縮されて参
つておる。その非常に圧縮されて参
つておる
決算を
基礎にしておるから、ここに非常に実際の
財政規模と狂
つておる。この問題が第一の問題であります。
第二の問題は、現在
市町村でや
つておりますいわゆる
単独事業、独自の
支出によるところの
財政需要の増加が十分に織込んでないというのが第二の問題であります。現在の
財政規模の中には義務的必要のものは入
つておりますけれども、独自の
支出によるところの、いわゆる
単独事業というものが十分に見込まれていないのであります。現在の
財政規模の中で六百七十億
程度のものを
単独事業として見ております。六百七十億というものは少いのではないか、この
議論が常にあるわけであります。これが第二の問題であります。
それから第三に、
給与費が過小である。これは毎
回議会で問題にな
つておりますが、
市町村及び
府県の職員の
給与と、国の
給与とが非常に単価が違うのであります。従来から
市町村の
給与は国の
給与より非常に高か
つたのが通例であ
つたのでありますが、それが
財源計算的には同じ単価、同じべースであるという立場に立
つて計算がなされておる。教員なんかは特にその問題でやかましい問題があるのでありますが、
つまり給与費が非常に過小に見積られておるというのが第三の
問題点であります。
それから第四の
問題点は、
国庫補助の
基本額、
国庫補助職員及び
国庫補助事業というのがございますが、この
国庫補助の
基本額が非常に過小に出ておる。これはまあ
補助金というものが非常に細分されて参
つております。
従つて、国の
予算で上
つておるものを、そのまま例えば三分の一
補助といろ
事業があるといたしますると、三分の二の
地方負担があるわけでありますが、それが現実には三分の二以上の
地方負担にな
つておる、と申しますのは、基にな
つておるところの
基礎が過小であるために、
地方負担額にしわ寄せが来ておる、こういう問題がございます。これが
一つの大きな問題だそろうと思います。
それから第五に、
地方税の現在の
財源計算のうちで、
地方税のうち
増税部分に当るべきものが入
つておる。これはまあ具体的に申しますと、
市町村民税の取り方にいろいろあるわけであります。第一のほうは
所得税の一八%を取る
方式、第二の
方式は
所得税の元でありますところの課税総
所得金額を
課税標準とする
方式と、それから
税引所得を
課税標準とする場合と三つあります。その第一の
所得税を
課税標準にするという
方式が、まあ大都市はそうでありますが、従来は、二十五年は大体第一
方式が多か
つたのでありますが、だんだん第二
方式が多くな
つて参りました。現在は八割五、六分のものが第二
方式をと
つております。第二
方式をとるというのは、第一
方式がとれなく
なつた、
所得税が滅
つて参りましたので、とれなくな
つたので第二
方式をとりますと、大体増税にな
つておるのであります。
従つて、その
増税分が
財源計算の中に入
つておる、これが大体八、九十億毎年入
つております。それから
法定外普通税というものが
財源の中に入
つております。これはよした額ではございませんけれども、
法定外普通税というものは大体見合うところのものがありまして、これは目的税的に使われておりまするから、そういうものを
一般財源として持
つて行くのはおかしくはないか、こういう
議論が前からあるのであります。そういうふうな従来の
財源の
総額、
地方財政の規模の中に含んでおる問題があるのであります。この問題に対して
地方制度調査会におかれましては、大体三百億
程度のものが抜けておるような御決定をされております。細かく
計算しまうと三百六、七十億になると思いますが、丸くいたしますと三百億の
財源不足がある。更に
国家地方警察事務を
都道府県に委譲するということが
行政部会のほうで決定されておりますので、なお国から
都道府県に百四十億
程度の
財源を与えなければならん。
つまり三百億と百四十億
程度のものが更に加わ
つてそれを
財源の
所要額に加えなければならない。こういうことになるわけであります。併し一方積極的に
法令改廃を
行なつたり、膨脹いたしました
行政機構、
人員整理を行いますならば、大体二百億円
程度の
財源が出るのではないか、こういう決定をされておるのであります。この内訳は大まかに申しますと、国警と
自治体警察との縮減によ
つて大体六、七十億の節約ができるわけであります。それから
教育職員の
設置基準の法定をいたしますと、その結果で大体五十億
程度の節約ができはしないか。各種の
行政委員会の改廃によ
つて大体五、六十億、それから各種の
行政事務の整備によ
つて約三十億、合せて二百億ちよつと出るのでありますが、大体二百億
程度の
財源は捻出される、その差額が
財源の
所要額としてプラスすべきものではないか。こういうふうに御決定にな
つておるのであります。これが
財源の
所要額の
総額に関する
つまり必要な
財源が確保されるためには、もう二百四十億
程度のものが必要ではないか、こういうことであります。
それから第二に
税制の
改正の問題でありますが、
地方税制の
問題点として現在までいろいろ言われておるものに五つか
六つ問題点があるのでありますが、それを極く簡単に申しますと、第一は税の
総額が不十分であるということであります。現在
地方団体の総収入のうちで税が占める地位が大体三五%ぐらいになります。
府県におきましてはこれが非常に低くな
つております。県によりましては全体の一二、三%、総収入の一二、三%のような県があります。一五%前後の県が非常に多くあります。
市町村にな
つて参りますると、これは四〇%乃至五〇%、非常に税のウエイトが大きくな
つて参りますが、
府県において非常に
総額が不十分である。
従つて平衡交付金に待つところが非常に大きいという問題が第一にあります。第二に、
道府県税に普遍的な
税種がないという問題があります。
道府県税の一番大きいものは
事業税でありますが、
事業税も大体都市的な
税種であります。それから
遊興飲食税、
入場税もやはり都市的な
税種で、非常に
偏在をいたしております。
従つて普遍的な
税種がないために
府県の
行政運営がうまく行かない、こういう問題が従来からあるのであります。
従つて、
府県に普遍的な
税種を設けてもらいたいという要望があるのであります。これが第二の問題であります。第三の問題は税源が非常に
偏在をしておるということであります。これは
事業税、特に
法人事業税を御覧になるとよくわかりますガ、これは非常に
偏在をいたしております。それから
遊興飲食税、
入場税も非常に
偏在いたしております。それから
市町村のほうの
固定資産税の、例えは
償却資産あたりも非常に
偏在いたしております。そういう
偏在和種が非常に
地方団体に多いために非常にロスが多くな
つて参ります。或る
一つの
団体は、
偏在いたしておりますために非常に有利にな
つておりますけれども、全体から見ますると
総額の
計算においては
偏在しないような
計算にな
つていますから、全体として見る場合には
偏在しておるために非常にロスが多くなるという問題があります。第四に
非課税規定や
税率の
特例が非常に多くな
つて参つたのであります。
事業税の
非課税規定、それから
固定資産税の
非課税規定、
電気ガス税の
非課税規定、そういうものがだんだん毎
議会ごとに殖えて参ります。それから
税率の
特例が非常に多くな
つて来ておる。
国税のほうはそういうことはないのでありますが、例えば
事業税で申しますと、クリーニングに対して特別な
税率を作るとか、
散髪屋に特別な
税率を作るとか、風呂屋に特別な
税率を作るとかというようなのが、毎
議会ごとに
一つずつ殖えて参るのであります。
税率の
特例が多くな
つて来て、非常に
租税体系が混乱をして参
つております。この問題を何とかしてもらいたいというのが第四の問題、それから第五に、
課税手続をもう少し
簡素化してもらいたいという要望があります。で、これは独立税的な建前にした
シヤウプ税制でありますから、
従つて従来の
賦課秤制度のものと違いまして、それぞれの
地方団体において
調査をし、
調整をし、徴収する、こういうことにな
つております。
従つて、
徴税費が非常にかかるのであります。
国税でありますと、大体
徴税費は、二・五%ぐらいが
徴税費だと思います。ところが
地方団体に参りますと、
県税で大体二十六年は五%くらいでしたが、二十七年になりますと、六、七%にな
つているかと思います。それから
市町村税にな
つて参りますと、
固定資産税という厄介な
税種がありますから、大体八%から九%くらいの
徴税費がかかります。非常に
コストの高い税ばかりが
地方税にありますから、そういうことになるのでありますけれども、この
徴税費を何とか減らす方法はないか、もう少し
徴収手続の
簡素化を図る必要はないか、こういう問題がございます。
大体、大まかに申しまして、そういう問題が
地方税の問題としてあるのであります。それに対して、まあ
調査会におきましては、いろいろ検討をされた結果、そこにありますような一応の結論が出ているわけであります。第一は、
附加価値税を廃止いたしまして、
現行事業税及び
特別所得税に改変を加えて存置する、これは今申しました点とちよつと離れておりますが、
シヤウプ税制の一番問題になりました
附価値税をどうするかという問題が、今まで長い間検討されてお
つたのでありますが、
調査会におきましては、
附加価値税を廃止して、
事業税及び
特別所得税の名称を
事業税に直しまして、
非課税規定を廃止して存続する。
課税標準はおおむね現状の
通り所得を
基礎にいたしまして課する、
つまり内容は人税的なもので多るが、表向きは物税的なものとしての
事業税を存置して行く、これを残して
附加価値税をやめる、こういうことに
なつたわけであります。
それから、新らしく先ほど申上げました
普遍的税種を
府県に与えるために、
道府県民税を創設するということが第二に決定されております。これは
納税義務者は、
市町村民税の
納税義務者の範囲でありますが、大体百七十五億
程度の税を徴収し、
所得の段階によ
つて税率に差等を設ける。徴収は
市町村に任せる。できるだけ
徴税費のかからないようにいたしたい。
府県民税というのは非常にいい
税種でありますが、残念なことに非常に金のかかる税でありますが、
コストは、私どもは九%から一割、一割以上かかりはしないかと、こういうように私ども考えております。併し理論的に申しますと、こういう
税種は必要なのでありますから、一応
調査会では採用されたわけであります。現実には非常に金のかかる税金ではないかと私は思
つております。
それから三番目に、この先ほど申しました税源が非常に
偏在しておるという問題に対して、
遊興飲食税、
入場税のような非常な
偏在税種は、大体大きな県の五つか六つかくらいで、半分ぐらいと
つておるのでありますが、そういう
偏在しておりますところの
税種を
国税に委譲して、税源としては、委譲するこの大部分を更に入
品按分によ
つて都道府県に返して行く、
譲与税と由しておりますが、
つまり跡興飲食税び入場税を
譲与税にして、そして
財源は国に置くが、
とつたものは環付してやる、譲与をする、こういう
方式をと
つておられるのであります。
第二に、非常に
偏在しております
償却資産の、
固定資産税の半分だけ
市町村にやるが、半分だけは
府県に移して行く、こういうふうにこれがきま
つております。それからもう
一つ、
市町村民税のうちで
法人税割というものは非常に
偏在をしている、これは
法人税と同じでありますが、非常に
偏在をしているのです。その二割
程度を
国税に譲るということ、まあこの三つの方法によ
つて現在の
偏在の是正をしよう、こういうことであります。
それから次に第四として、新たに
財源不足を、最初に申しましたように松額が非常に不十分である、こういう問題を解決するために、
たばこの
消費税を新らしく創設する。で、
たばこの消費に対して、
都道府県及び
市町村にそれぞれ
たばこ消費税を起させる。これは
府県には大体
小売価格の一〇%
程度、それから
市町村は二〇%
程度の税額を徴収することを目途として
税率を定める、この徴収の方法はできるだけ簡素にいたしまして、
徴税費のかからないようにしたい。このとり方はこれは現在の段階では恐らく本数を、
売上げ金額じやなくて、本数を
基礎にするという
意見が非常に強か
つたようであります。
税制調査会のほうでもやはりそういうことでありましたので、恐らくそういうふうになると思います。
つまり売上げ金額をそのままと
つて行かないで、一本幾ら、こういうふうな
計算でとるのであります。
つまり従価税でなくて従量税、こういうことになるかと思います。
それから第五に、
たばこ及び
都道府県民税の創設に
伴つて、
市町村民税中の
都道府県税を減額すること、
つまりこれは
府県民税を起しますけれども、その
府県民税は増税ではなくて、
市町村民税の
所得割を減らして、
所得割ばかりでなしに
法人割も含むと思いますが、
市町村民税を減らして、そうしてその分を
府県のほうへ持
つて行く、こういうことになるのであります。
それから第六に、
地方税の各
税日において、
非課税規定及び
税率特例規定、先ほど申しましたいろいろな
特例規定を整理する。
徴収手続につきまして、国及び
地方公共団体の
協力体制を確立する。
次は、その
財政状況と睨み合せて雑税を整理する。現在あります荷車とか自転車とか、そういうふうな雑税が相当
地方団体の税としてあるのでありますが、こういうものはできるだけ早く整理をする、こういうことであります。これが
税制改正に関する答申の大体の
内容であります。
それから次に岡及び
地方公共団体間及び
地方公共団体その他の
財源調整に関する事項、これは簡単に申しますと、現在の
平衡交付金制度というものがいいか悪いか、これを直す必要はないかという問題であります。現在の
交付金制度というのは、御存じの
通り財政調整と
財源付与と二つの機能を課せられているのであります。ところが、この
地方財政平衡交付金制度についてていろいろまあ従来から非難があるのであります。それは
総額の
予算計上に当
つて、例年のように国と
地方団体との間に争いが絶えない。毎
予算時期になりますと、
地方団体の連中が押し掛けて参ります。そうして
大蔵省乃至国会にいろいろ陳情を申上げて、
交付金の増額を要求している。こういう争いをやめたらどうか、こういうことが
一つであります。
それから第二の問題といたしまして、
交付金の
交付額というものは
年度当初によくわからん。
年度の途中にな
つて、まあいろいろ
改正をされまして、
地方団体としては非常に迷惑をしているのじやないか。
従つて、もう少しはつきり
地方団体に
年度当初にわかるような
方式に変えたらどうか、こういう大きな問題があります。こういうふうに
地方財政そのほかにもいろいろ
地方財政平衡交付金につきまして、
議論があるのであります。で、
地方財政平衡交付金を昔のように
分与税制度に直して行つたほうがいいではないかという
意見が一方にございます。どちらがいいかということでありますが、私どもは
平衝交付金のほうがいいのじやないかと思
つておりますけれども、それについていろいろ
議論がありまて
交付税という一種の税の形を
とつたらどうかという
意見が出て参りましてそうしてそういう
方式に
なつたわけであります。
平衡交付金制度をやめまして、
地方交付税ということにいたしまして、今までのような
財源の細かい
計算をして
平衡交付金を出す、こういう恰好でなくて、
所得税とか
法人税、酒税のそれぞれ
一定割合を法定いたしまして、それによ
つて年度当初に
交付税の
総額をきめて、もう動かさない、こういう
方式にしたらどうか、こういうことであります。ここにいろいろ書いてありますが、大体
内容はそうでありまして、その九二%は
普通交付税にし、八%は現在の
特別交付金のように
特別交付税にしたほうがよろしい、こういうことであります。ただ
年度の半ばに非常に
財政需要が多くな
つて参りましたり、それから
財政需要が減少したりするような場合がございますので、そういう場合の
年度間の
調整を図るために
特別会計を設ける、そして超過した場今と不足した場合との措置を考えて行つたらどうかというのが、この五に書いてあることであります。
つまり「繰入額が
普通交付金の
総額の九十二分の百四
程度をこえる場合は、そのこえる額をも
つて2により借り入れた金額を返済し、なお余りあるときはその
超過額は
特別会計において積み立てる」、
つまり余りがあれば積立てをし、足りなければ借り入れをするということによ
つて年度間の
調整をしよう、こういうふうにな
つております。
税制調査会のほうの
答申案はここのところは少し違
つておりまして、これはやらない、やらないで
特別交付税の八%でも
つて操作する、こういうことにな
つて多少異
つております。まあそういうのが
交付税の
制度であります。
それから第四に
地方債の
制度でありますが、最近の
地方債の現状を見ますると、
地方債というのはもとは非常に
政府資金に依存しておる率が多か
つたのであります。一番昔には大体
公募公債でありましたが、大体戦争中から戦後にかけて九一%から九四、五%は
政府資金に依存してお
つたのであります。ところが
資金部資金が
財政投資、
産業投資、いろいろな方面に出される結果、
地方団体の
起債に充当される額が非常に減
つて参
つておるのであります。現在では四五%、
起債総額の半分ぐらいしか
政府資金はないということになるのでありますが、昔、
昭和二十四年は九五%であ
つたのでありますが、それが現在では半分以下にな
つております。現在
起債の
総額は千二百十八億でありますが、公募が非常に殖えて参
つております。それで本年の公募も現在までのところ二百二十五億ぐらいにな
つておりますが、そのほか
地方団体の一時
借入れあたりでも銀行を非常に使
つておりまして、
資金部資金をなかなか借りるのがむずかしくな
つております。
公募債が非常に殖えて参りましたので、その
公募債の消化を図るためにどうしたらいいかというのが問題になるわけであります。それに対して
地方公共団体中央金庫というものを設けたらどうかという
意見が
地方団体間にあるわけであります。それを取上げられまして、
地方団体中央金庫を作るということが、この
地方債制度に関する答申の
内容の第一であります。
第二の点は、現在の
地方債の
許可手続につきまして、許可及び融資の
手続が非常に煩雑にな
つておりますので、それをもう少し
簡素化したらどうか、こういうことで実際問題として
大蔵省と私どものほうでいろいろ協議をしておるのでありますが、それに対して
調査会のほうでも、ここにありますような
簡素化の
方式をお示しにな
つておるのであります。
それから第五でありますが、第五に
赤字地方公共団体の
財政再建整備に関する事項、これは
赤字団体が非常に殖えて参りまして、二十七
年度の
決算で見ますると大体
赤字の
総額が三百億くらいであります。そのうち
府県が百四十億、
あと残りが
市町村ということになります。
府県の
赤字、これは形式上の
赤字と実質上の
赤字と両方ありますが、約百四十億くらいと記憶しておりますが、全体の
地方団体で約三百億くらいあります。この傾向がベース・アツプことに
赤字が殖えて参
つております。
従つて、この
再建整備をまあしなければならないという声がほうぼうからあるのであります。
地方制度の
改正を機会に従来の
赤字を整理する
方式を
一つ考えるというので、いろいろ研究の結果、ここにありますように、簡単に申しますと
赤字の
整理計画を立てて、そうしてその場合には必ず税を二割以上徴収するか、それに代るような節約をするか、どちらかの
方式をと
つて行く。国はこの
赤字に対して二百億を限度として
地方の
赤字起債を認める、こういうことであります。で、一応その
再建整備計画を立てて、
赤字起債をやる
団体に対しては相当準禁治産者的な制限を加える、これが
再建整備の
内容であります。将来の
赤字の問題もありますが、一応この
赤字公債で以て
再建整備をやらせるということであります。その場合大体二百億を限度として、原則として五年償還の無利子、こういうふうに決定されておるのであります。
それからその次に
国庫支出金及び
使用料、
手数料に関する事項であります。
国庫支出金及び
使用料、
手数料につきましていろいろ従来問題があ
つたのでありますが、
補助金制度そのものに伴うところのいろいろな讐がございます。例えば非常に総花的に
補助金がまかれておりますために起るところの弊害、それから
補助金を通じて人事に干渉して行く、これは各省がしております。それから非常に少額の
補助金のために非常に煩瑣な
手続をしなければならない。例えば十万円か二十万円くらいの
補助金のために
地方団体の職員を東京に出張させて、そうして書類の整理をさせる、旅費と
補助金とが殆んど違わない、こういうふうの例も現実にあるのであります。そういうふうなものとか、非常に陳情が多くな
つて参りまして、そのために労力と経費が非常に嵩んで来る、こういう問題もございます。それから
補助金が多くな
つて参りますと、監督とか監査とかいう名前でも
つて二重、三重の監督、監査を受ける。そのために
地方団体は非常に困
つておる。こういうふうないろいろ
補助金制度をめぐ
つての問題がございます。それについていろいろ御検討の結果、ここにありますような結論が出ておるのであります。現在
地方団体で申しますと、
補助金の
総額は大体二十八
年度の当初
予算では二千三百八十四億であります。それに見合うところの
地方負担額は千八百億であります。
事業の
総額は合せますと四千百八十億、これは全体の歳出の四九%にな
つております。全体の
地方の歳出の四九%が
補助金及び
地方負担額であります。で、税及び
交付金のこれは四一%くらいに当
つておりまして、
地方財源としては非常に大きなものであります。これに対して公共
事業費に対する総花的な
補助金制度を検討して更に効率的な
補助制度を、国庫負担の
制度に改めるというふうに、これは
府県の例を見ますと、例えば県で申しますと十五万円以下の
補助が百種類ぐらいはあると思います。非常に細かい、例えば県で千円ぐらいの
補助があるのであります。意味はないのじやないかと思うくらいの、まあ旅費の
補助みたいなものでありますが、そういう詰らん
補助がたくさんございますので、そういうものを
一つこの際やめてもらいたい、こういう意味であります。
それから義務教育につきまして、全額国庫負担及び半額国庫負担と、二つの説がございますが、
制度調査会では現在の半額国庫負担
制度がよくて全額国庫負担
制度はとるべきものじやないという結論を出しております。
それから警察
制度が今度国警と自治警と一緒になりまして
府県に参るわけでありますが、その場合に警察行政に対する
国庫支出金をどうするかという問題でありますが、これは義務教育とは異な
つて教育、装備、通信、鑑識等の極度に全国的百
調整を必要とする経費については、全額を国庫負担にする。それ以外のものは大体
地方負担にする、こういうことにな
つております。これを半分に、昔のように分担金といいますか、連帯支弁金の
制度にするかどうかということが問題に
なつたわけであります。そういう連帯支弁金
制度ではなくて、全国的
調整を必要とする経費のみを金額国庫負担、それ以外を
地方負担、こういうことに決定されております。
それから
国庫補助負担金は先ほど申しましたように、特に存続を必要とするもの以外は
一般財源に振替わり、少額のものは整理してもらいたい、こういうことであります。それからまあ
手続を非常に簡素にしてもらいたい。それから許可認可
制度をもう少し整理してもらいたい。それから
使用料、
手数料を原則として
地方公共団体の決定に委ねてもらいたい。これは国でいろいろな法令がありまして、その法令に基いて
使用料、
手数料はきま
つておるのでありますが、必ずしもこれが各省の間でうまく均衡が保
つておるかどうかというような問題がございます。
従つて、これは
地方公共団体に全部任せて、それぞれの
使用料、
手数料の料率をきめるようにして頂きたい、こういうことであります。
それから最後は自転車競走、小型自動車競走、モーターボート競走による売上金の一部を国庫に納付させる
制度は廃止してもらいたい。これは
地方財源として
地方団体が取るようにしてもらいたい。現在はたしか八%か九%が国のほうに参ります。そのうち自転車におきますと、連合会が三%ぐらい取りますが、あとは国に参るわけであります。
それから最後に、大都市
制度に関する事項でありますが、これは
行政部会のほうで警察及び教育
制度が大体大都市が
府県と同じようになりまするので、そのために必要なこの
調整措置を考えなければなりません。
従つて、まあ税につきまして
調整の措置を図る必要がありますので、大都市の区域に属する
償却資産税、
たばこ消費税、自転車税は大都市のほうに持
つて行く。
府県税から大都市のほうべ移す。それから道
府県の
遊興飲食税及び
入場税のうち、大部市の区域にかかる分は大都市に持
つて行く。これは教育及び警察が大都市に移りますために、非常に
財政需要が多くな
つて参りますので、それに見合うところの税を移して行くということであります。
それから
地方交付税のうちの交付基準についても特別の配慮を加えてもらいたい。現在は
平衡交付金制度で態容補正ということで、補正係数で以て
財政需要を延ばしております。そういう措置をと
つておりますが、それでも十分に見られない点がありますので、更に特別な配慮をしてもらいたいということであります。
それから最後の
地方債の配分についても特別な配慮、大都市でありますために、普通の都市にはない異常な
財政需要があるのであります。それに対して現在の枠の中で、もつと考えてもらいたいということであります。大体
財政部会の
答申案を概括的に簡単に申上げた次第であります。