○
青柳秀夫君
主税局長に申上げたいのでありますけれ
ども、先ほど
企業局長に
お話を申上げたのでありますけれ
ども、ほかの
業態については私詳しく存じませんから、これはまあ
自分としては不適当で何とも言えませんけれ
ども、
毛織物についてでございますが、
毛織物というのは、日本でも戦前におきましては、むしろ綿を凌駕するくらいの
輸出を日本がや
つておつたことは御
承知の
通りであります。その商圏というのも単に日本
内地でなしに、満州からインド、或いはヨーロツパまでも、
毛織の
輸出が及んだということは事実でございます。国策としても、これはイギリスの品物に負けないように、日本の
毛織の
加工と言いますか、
織物を盛大にいたしまして、
輸出増進に当てることを国策として私は
はつきりきめなければならないと思います。非常に今では消極的な
考えで、何か外国に押されて、極く僅かな地歩を築いておるように思いまするけれ
ども、これは私は根本的に今の
繊維状況から言いまして、或いは化繊のようなものが出て来ましたから、業体は違
つておりますけれ
ども、併しやはり日本の伝統的な
技術を活かしまして、これで
内地は勿論、海外に向
つても、
毛織の品物を広く
輸出することが、
貿易増進の
一つの根幹であるというふうに
確信しております。その
意味におきまして、
毛織の
業態を検討いたしますると、ほかの
業態とは違
つて、先ほど申上げましたように、羊毛を糸にいたしまして、次にこれを織る。次に
染色加工する。その
染色加工というのも、
毛織においては特殊な
技術でありまして、この表にもありまするように、殆んど八割
程度は
愛知県でや
つておるわけであります。これは糸にするのは大
企業家でありまして、それから織るのは極く小規模でもできるわけであります。柄等いろいろ変化いたしますので、
愛知県では大都市でなしに、
農村でも極く五台十台でや
つております。又
相当いい柄と言いますか、いろいろその時に合うものを
作つておりますが、
加工する、
染色するという点が、
毛織の結局海外と競争するそれをきめる極めて重大なところでありますけれ
ども、これは
業者の数が少いのであります。これはほかの
業態と違いまして、立派な
技術が要りますために、中でもつやきんというのが日本で一番であります。つやきんの
マークの入つた
毛織物というのは、どこでも第一等品として全然問題なしに取扱われております。つやきん以外のところがそれに準じておりますけれ
ども、こころが、まあ例を申しますると、
ちよつとおかしくなりますが、女がお化粧するようなものでありまして、そのお化粧如何によ
つて、非常に立派になるのであります。
織物というのは如何に柄が良くても、極めて
毛織というものは妙なものでありますけれ
ども、これを
整理いたしまするときれいになりまして、いわゆるロンドン・シユランクと言いますか、全くどこへ出しても恥しくないような、立派に収縮して伸び縮みがないようにな
つて参りまするし、すべてが取扱
貿易業者についても安心してやれる。又それを需要する個々の消費者においても、この種のものなら大丈夫であるというところにまで至るわけでありますけれ
ども、それがやはり
全国どこでもできるかというと、やはり
一つの
技術がありますので、ここにあります
業者が大体や
つているわけであります。そういうわけでありますので、いろいろの関連はありますし、殊にこれは
織物だけでなしに、ほかの
造船なり幅は拡がりますけれ
ども、併し
織物、殊に
毛織を日本の
貿易として
振興させるには
是非一つ染色加工業者にも思典を与えて頂きたい。この
恩典がありませんと、
染色加工の人のいろいろな点が非常に不利になると思います。
工場に行
つて見ますると、そこで
加工しているのに少しの傷がありましても、
ちよつとした傷があ
つても、それはオミツトしなければならない。丁度紙の
工場に行きますと、少しの傷があ
つても、大きな紙をそのまま捨てております。王子製紙の
工場でもそうであります。それは
一つ傷がありますとクレームがつきまして、全体でこんな厚い品物が全部クレームで、非常に取引がむずかしくなると同様に、非常に綿密に女の工員が細かい点まで注意してや
つております。これは御覧に
なつたかと思いますけれ
ども、そういうふうにや
つて日本の信用を高めて行くにはどうしてもこの
染色加工業者というものを十分に
政府でも御指導願いますと同時に、一面これに対する奨励ということが必要であります。それ故に私は今度の
法案が非常に幅の広い
法案でございますので、大蔵御当局としては他の
関係からいたしまして、今
お話の点もよくわかるのでありますけれ
ども、何とか積極的にこの
織物、殊に
毛織については御考慮を
願つて、これなら尤もである、又ほかの
輸出業者との
関係も円満に行く、これは話合がつくと思うのであります。
輸出業者も
染色加工のほうがうまく行かなければ
輸出が実際できないのであります。そういう点から言いまして、何とかこれを取上げて頂きたいというのが私の
希望であり、又特に御考慮を願いたい点でございまするので、どうか非常にこの
法案は幅は広くな
つておりますけれ
ども、
小林さんのお説のように
一つ一つ具体的に取上げて検討してお進めを願うことが
貿易増進になるのじやないか、私はかように思いますので、特に御
配慮を願いたくお願い申上げたのでございます。