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1953-11-02 第17回国会 参議院 厚生委員会 第2号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和二十八年十一月二日(月曜日)    午前十時四十三分開会   —————————————  出席者は左の通り。    理事            大谷 瑩潤君            常岡 一郎君            藤原 道子君    委員            榊原  亨君            高野 一夫君            中山 壽彦君            西岡 ハル君            横山 フク君            林   了君            竹中 勝男君            湯山  勇君            山下 義信君   国務大臣    法 務 大 臣 犬養  健君    厚 生 大 臣 山縣 勝見君   説明員    法務省刑事局刑    事課長     長戸 寛美君    厚生大臣官房会    計課長     堀岡 吉次君    厚生省薬務局長 高田 正巳君    厚生省保険局長 久下 勝次君   —————————————   本日の会議に付した事件社会保障制度に関する調査の件  (覚せい剤取締に関する件)  (厚生関係災害予算その他の件)   —————————————
  2. 藤原道子

    理事藤原道子君) それでは只今から厚生委員会を開きます。前回に引続き覚せい剤取締に関する件を議題といたします。本日は犬養法務大臣山縣厚生大臣出席を願いました。どうぞ御質疑をお願いいたしたいと思います。
  3. 高野一夫

    高野一夫君 覚醒剤取締の件は、この委員会議員立法改正案を作るということになつてつて選挙前の厚生委員会で御相談になつたのですが、その後の選挙後の前国会において私の手許で試案をまとめるということになつてつたのであります。相当まとめてもらつたり、私も吟味したのですが、なかなか非常にむずかしいので、そこで前国会に間に合わなかつたので、次の通常国会までにまとめて、そしてこの厚生委員会の皆さんに御相談申上げるということに御了解を願つておりますが、現在の法律によつて取締のこともやらなければならんと思いますけれども、一応改正案をまとめるということもございますから、覚醒剤のことは通常国会において私は本式にいろいろ御検討を願う機会を作つて頂いたら如何かと思います。今回は時日もございませんし。
  4. 藤原道子

    理事藤原道子君) ほかに御質疑ございませんか。
  5. 中山壽彦

    中山壽彦君 今日は法務大臣が御出席になつておりますから、一つお尋ねしておきたいのですが、覚醒剤取締法案は非常に厳重にできておりまして私ども立法をしつつ今日に至つたのでありますが、現在密造密売ということが非常に多くなつております、そのために非常に犯罪が起つておりますので、こういう問題に関して何か取締方法をなさるというのでしたら大臣から承わりたいと思います。
  6. 犬養健

    国務大臣犬養健君) お答え申上げます。御承知のように青少年犯罪というものが、殊に敗戦後の社会情勢特徴として著しくなつており、第二の日本を背負う青少年にとりましては大問題であると我々も気をつけております。ちようど今月一日から一カ月青少年保護育成運動というものがありまして、その中でも覚醒刑のことについて特に条項を掲げて社会の自覚を促し、取締を強力に進めることになつております。覚醒剤に関する取締法はお触になりましたように、あなたがたに作つて頂きました。これは参議院厚委員会の御努力である感謝をしております。私どもが差当り気付いた問題で二点ほど申上げたいと思います。一つは、これは第三国人密造部落検挙しますと、密造のほうもめつかるのですが、覚醒剤密売のほうも第三国人集団部落犯罪とよくからみ合ておりますので、これは警察として注意をいたしております。もう一つ基地周辺売売関係のところに必ずつきまとつていることが随分ございまして、これは駐留軍当局とも十分に打合わせしております。この二つが極めて特徴をなしているのでございます。問題は非常に立派に法を作つて頂きましたが、麻薬取締のほうの罰則に比べまして覚醒剤のほうの罰則が少し軽いように思うのです。というのは、麻薬のほうは七年の刑でありますが、こつちは三年、この点を将来又いろいろ御配慮願うときに重要なポイントとして御研究を願い、政府も又御一緒に研究をいたしたいと思います。それはどういうふうにしたらよいか。製造販売所持、皆同律にうんと罰するか、或いは多少段階をつけるかという技術面研究余地は残ると思います。とにかく少し軽いのじやないか、これが検挙した後の実感でございます。差当つて気付いている点は右の二点でございます。
  7. 藤原道子

    理事藤原道子君) ほかに御質疑はございませんか。私から、じやお伺いしたいのでございますが、法の麻薬は七年で、覚醒剤は三年で非常に軽いというお答えでございますが、現在密造密売が、取締つた場合にどうも法の判決が非常に軽いと思うんですが、それは体刑が三年というのがありながら殆んど罰金刑解決がついているように思うんです。これらについては大臣はどういうふうにお考えでございますが。
  8. 犬養健

    国務大臣犬養健君) これは麻薬の場合にも同じ感じを持つのであります。どうも判決が軽いように思います。私のほうでは麻薬覚醒剤というのは原則的に非常に厳しくやつております。原則としても起訴をする起訴率も高くなつている。ただ覚醒剤のほうは数字の率としては麻薬取締の場合起訴数よりも少ないので、相手が少年ですから、放り込むというよりも保護観察に廻す。将来又まともな道に戻す余地を残すように努力をいたしますので、起訴というよりは保護観察の対象にするということが多いものですから、数字の上からは麻薬取締ほど起訴数字は多くない。併しそれにしても、麻薬にしても覚醒剤にしても判決か軽いのであります。法務省としましては、こういう場合は控訴いたしまして、そうして十分に論告社会悪のゆえんを説いてそれを裁判官の判決に反映させるという努力をやつておるわけであります。それはケース・バイ・ケース努力で、今申上げましたように法律そのもの罰則をもう少し高めて、輿論の反映として罰則が厳しくなるということを社会に反映させる、裁判にも反映させるということがやはり必要ではないか。私のほうではできるだけそのまま服しませんで上訴をしている次第であります。
  9. 藤原道子

    理事藤原道子君) 相手年少者だからということで、それは年少者に対しては保護指導が非常に必要だろうと思うのですが、製造密造ですね、これは必らずし年少者ではないと思うのです。麻薬覚醒剤常習者の言うところによつても、自分たちは厳しくされるけれども製造している人が捕えられてもまあ五千円か、六千円の罰金で釈放されている。これを断たなければ駄目だ、五千円か、六千円の罰金は一日造れば何倍という儲けがあるのだから、そこに何やらくさいものがある、こういうことが言われている。これらに対しては大臣はどうお考えになりますか。
  10. 犬養健

    国務大臣犬養健君) お答えいたします。御尤もでありまして、私お答えが少し不十分でありまして、只今政府委員室係官相談いたしまして、結局製造するものを極端に厳しくやろうじやないか、その意味で、只今製造所持販売の多少強弱をつけるかどうかと申上げたのはその意味であります。製造青少年でない、これは相当厳しくやつていいのじやないかと思います。
  11. 藤原道子

    理事藤原道子君) 重ねてお伺いしますけれども、今までに一番重く罰せられた例というのはどのくらいですか。
  12. 犬養健

    国務大臣犬養健君) 係官から申上げます。どうも大体常識的に均らしてみると軽いのです。
  13. 長戸寛美

    説明員長戸寛美君) 今手許に書類を持つておりませんが、覚醒剤の違反では判決として重く罰せられたのは二年程度ではないかと思います。
  14. 藤原道子

    理事藤原道子君) 最近聞くところによると自動車運転手なんかが大分ポン中で自動車事故などを起しておる。或いは人殺しなどの原因もやはりポン中が多い。こういうことも社会のもう大変な輿論になつていると思うのです。これらに対して本当に大臣がどういうふうに取締つて行こうとしているかというそのお心構えを一つお開きしたい。
  15. 犬養健

    国務大臣犬養健君) 只今お話がありましたようにそもそも参議院でこれをとり上げて下すつて非常に議員立法の典型的な立派なものとしてきめて頂いた。原因昭和二十六年に埼玉県で非常に暴行、強盗、殺傷事件がありまして、検挙しました百名のうち大体半分ぐらいが覚醒剤使用者であつた、それで大問題になつたのであります。無論犯罪等とも密接な関係があると存じております。これは事のいわれをだんだん聞いてみますと、戦争中爆撃をやつている空軍の将校将士が眠くなつてはいかんというので使つたそうです。終戦のどさくさでこれが多量民間に流れまして麻雀をやるとか、試験勉強をやるとかというときにちよつと使つて、それからだんだん本格的に犯罪等と密接な関係を持つて来るような歴史らしいのでありまして、これは大変なことだと思います。私は終戦後いろいろ考えまして青少年犯罪が多くなつておる、敗戦の破綻から経済生活が壊れまして一番父母の愛情を受ける、そういう健全な中産階級がすつかり没落しまして、一番毎日父母と顔を合わせられる子弟が夜明ししてだんだん悪に染つて来る、これは日本政府の大問題なんです。一番こういう青少年が飛びつきやすいのが薬の関係、それから性行為とか窃盗とかいうことになつて行くわけであります。これは最も私は国家として大きな問題の一つだと思つておりますが、御注意もありますから、十分に真剣に取組みたいと思つております。
  16. 藤原道子

    理事藤原道子君) なお重ねてお願いしておきたいのですが、一面取締に当つて検挙している検挙数は相当あると聞いておりますが、裁判所においてその結果が軽きに失するというので、取締に当る人も少し何と申しましようか、ばからしいというような感じが起つているように見受けられるのです。そういうことのございませんようにこうした社会的に大きな問題になつている人命に関するこういう問題に対しては、もつと法をきびしく適用されるように、なお大臣から御指示を願いたいと思います。
  17. 犬養健

    国務大臣犬養健君) お答えいたします。取締のほうで罰則が軽いから気抜けがするということも人間ですからあり得ると思います。そういう原因を起させるということはやはり政治の欠陥だと思います。私ども当局のほうでも早速罰則改正について早急に結論を出したいと思つております。
  18. 竹中勝男

    竹中勝男君 遅れて参りましたが、第三国人お話もあつたかと思いますけれども、相当それが介在しているというように聞いておりますが、どういうような状態になつておりますか。それに対する検挙だとか取締とか処罰とかいうようなことはどういうようにやつておられますか。
  19. 犬養健

    国務大臣犬養健君) お答えいたします。お見えになります前にちよつと触れたのでありますが、三国人の密造部落等に、密造関係に手入れをしますと必らず附随物として覚醒剤麻薬等のものが押収されるのであります。これは不即不離の関係だと思うのです。今委員長からも御指摘がありましたように、それを掴えましてもとかく最終の判決というものが軽きに失すると思います。そういう場合に私ども上訴いたしまして、十分論告で力説して裁判に反映させております。今私見として申上げましたのは非常に立派な取締法案参議院で作つて頂きましたが、罰則がもつと重いほうがいい、殊に製造者青少年でないのでありまして、これは意識的に犯罪の意図もある。製造する者に殊に重く見ていいのではないかと、こういうように思つております。
  20. 竹中勝男

    竹中勝男君 その原料ですが、私は無智なんですけれども原料といいますか、そういう麻薬覚醒剤を造る原料を手に入れる方法といいますか、どういう径路を経て内地に入つて来るのですか。
  21. 犬養健

    国務大臣犬養健君) 麻薬覚醒剤と違うのであります。私も実は覚えたばかりであります。麻薬香港方面から入つて参ります。その意味駐留軍首脳部との情報交換が是非必要なんです。覚醒剤内地の材料でできる。これがなかなか厄介な原因一つであります。
  22. 高野一夫

    高野一夫君 ちよつと速記をとめて下さい。
  23. 藤原道子

    理事藤原道子君) 速記をとめて下さい。    〔速記中止
  24. 藤原道子

    理事藤原道子君) 速記を始めて下さい。
  25. 湯山勇

    湯山勇君 私は厚生大臣に先ずお尋ね申上げます。先般薬務局長のほうからもお話がありましたのですが、覚醒剤入国径路でございますね。これは大体原料麻黄という日本でできない植物なんですから、製品で入つて来るにしても、原料で入つて来るにしても、必ず国内へ入つて来る径路があると思うのです。これの調査が現在どういうふうに入つて来るかということは御調査中だということをお聞きしたのですが、どの程度に現在把握しておられますか、その点、大臣のほう、どういうようになつておるかお聞かせ頂きたいと思います。
  26. 山縣勝見

    国務大臣山縣勝見君) この覚醒剤は、先ほど来法務大臣からもいろいろお話がありました通り厚生省の立場から見ましても、国民保健の点から、又いろいろな点から重大視いたしておるのであります。原料の点、それから原料の入つてから後の製造正規製造密造、こういうような三つの方面でいろいろ調査をいたして、その社会悪根源を断つということにならなくてはいかんと思いますが、現実調査した結果、というふうなルートで、ということにつきましては、詳細な点については局長から申上げますが、その前に厚生省としての基本的の線は、御承知の、この原料の面においては、恐らくこの前の委員会において局長から詳細に申上げましたような各種の調査をいたしてなおこれ表更に末端に及ぼす。なお又その原料が入つた後の正規製造業者、或いはこの製法機関でありますとか、或いは研究者にしては、地方の各府県におりまする薬事監視員をしてやらしめる。なお密造については先ほど法務大臣お話の中いろいろ今後の調査をやつて行くという方針をとつておりますので、現実の問題につきましては、私もつまびらかに知りませんから、局長からお答えをいたします。
  27. 高田正巳

    説明員高田正巳君) 先般もお尋ねがございましたのでありますが、エブエドリンの原料になる麻黄でありますね。これは二十八年の上半期におきまして、百四十トン入つております。金額にいたしまして約八百七十万円くらいになります。この麻黄からエフエドリンを抽出をいたすわけでありますが、この麻黄のほうは私ども輸入をいたしましたメーカーも筋の立つたメーカーでございますし、余りこれからどうごうということを心配をいたしておりません。それでこの前もお話をいたしましたように、覚醒剤はいろいろな方法で合成ができまするけれども、一番簡単に作れますのは、エフエドリンちよつと手を加えるという意味で、エフエドリンが非常に心配であるということを申上げたのでありますが、そのエフエドリンのほうは、エフエドリンとして輸入をいたしておりまするのが上半期で千五百六十キロ、約金額にいたしまして千二百五十万円くらいのものを輸入いたしております。それで先般お話申上げましたように、この麻黄からできまするエフエドリン、それからエフエドリンとして輸入をいたしましたもの、それらの輸入数量を調べますると同時に、それがどういうふうなところに幾ら販売されておるかということを只今調査をいたしまして、第一段の調査をし終つたところでございます。それでいよいよこれからその販売先を更に確かめまして、それがいろいろほうぼうに廻つておると思いますので、その販売先を次々に辿つて参りたい、かように考えております。
  28. 湯山勇

    湯山勇君 この覚醒剤取締法ができたということは、一つは今日のような事態が或る程度予見できたのではないかと思うのです。そういたしますと、今日になつてこのような調査、或いは販売径路調査をするというのでなくて、すでに取締法ができた途端にそういうことはやらなくちやならないのじやないですか。これにつきましてはどうお考えでございましようか。
  29. 高田正巳

    説明員高田正巳君) 御指摘の点まさしくさようにも申せるのでございますが、今申しましたように、覚醒剤を造りまするのには、必ずしもエフエドリンを経由しなくてもいろいろな方法があるわけでございます。それで今密造は、このエフエドリンから密造されているものが一番多いということにつきましてもまだその確信を実際事件を通じては持つておりません。併しこれじやないだろうかという想像の下に実はやつているわけでございます。  それから附加えて申上げますと、この前申上げましたのですが、覚醒剤取締法自体には、原料面の規制をいたす規定は入つておらないのでございます。それで今密造根源を抑えるということに非常に重要性感じまするので、別の薬事法のほうから、かような覚醒剤関係ありと思われる正規の薬を調査をいたしている。かようなことになつているわけでございます。
  30. 湯山勇

    湯山勇君 只今お話がありましたように、簡単に造るということになれば、やはりエフエドリンから造らなくちやならないという見当は立つと思いますが、そういたしますと、若し八百七十万円の麻黄、或いは千二百五十万円のエフエドリン、こういうものがはつきり抑えられたとすれば、現在大体密売買されているものの原料は、密貿易によるものかどうかという点については、どのようにお考えでございましようか。
  31. 高田正巳

    説明員高田正巳君) その点は正直に申上げまして何とも確実性のある推定をいたしかねております。と申しまするのは、エフエドリンという薬は、これは医薬品として重要な薬でありまして、相当な消費量も持つているわけでありますが、現在消費されているこのエフエドリンとこの数量とが、果して数量的にどういうふうになつているかということをまあ比較して見なければならんわけです。それで十分に検討いたしておりませんことと、もう一つは密輸入のほうの状況を十分に把握をいたしておりません。従つて確信のある推定をいたしかねているわけでございます。御了承を願います。
  32. 藤原道子

    理事藤原道子君) 湯山委員ちよつとお諮りいたします。大臣が衆議院の予算委員会出席を求められているそうでございますから、大臣に基本的な問題の御質問を先にして頂きます。
  33. 湯山勇

    湯山勇君 私は実際の問題につきましてこういうことを聞いているんですが、これは法務大臣にお尋ね申上げたいと思います。  このヒロポンの、主としてヒロポンでございますが、これについて挙げられました場合に、非常に罰が軽い。ですから、挙がりましても結局体刑ではなくて軽い罰金刑で済む。ですから案外挙げられてもこれらの人にとつてはちつとも苦痛にならないのだということを現実に幾つも耳にしているのでございますが、これについては法務大臣はどのようにお考えになりますか。又どのような対策をお考えになつていらつしやいますか。
  34. 犬養健

    国務大臣犬養健君) 先ほどちよつとおいでにならない前にそれに触れましたが、麻薬取締法罰則に比べまして覚醒剤取締法罰則は軽きに失すると思つております。それで御指摘のように、これは委員長からも御注意があつたのでありますが、検挙をしても罰が軽くて張合いがないというような気分があるということも事実でございましよう。そこで非常にいい取締法参議院で作つて頂きまして、これは議員立法の典型的ないいものだと私は思つておりますが、罰の点を私のほうでも改正の用意をいたしますので、罰則をもう少し重くして頂いたらなおいいのじやないか。殊に製造業者は、先ほど申上げましたように業者といいますか、何か知りませんが、製造者青少年でないのでありまして、青少年ならいきなり放り込むというよりも保護観察してまともな道に戻すというのが当局方針でございますが、造るのは明らかに大人でありますから、厳重な罰を加えたいと思つております。
  35. 湯山勇

    湯山勇君 よくわかりましたが、只今法律におきましてもそれの適用の仕方が軽きに失するのではないかということも感じられるのでございますが、この点は如何でございましようか。
  36. 犬養健

    国務大臣犬養健君) これも先ほどちよつと触れましたが、麻薬のほうにしろ、覚醒剤にしろ判決が軽い場合が多い。いつも軽いとちよつと申しては言葉に角が立つと思いますが、大体軽いなあと思う場合が多い。その場合、私のほうでは上訴をいたしまして、上訴の場合に十分検事論告を稠密にいたします。そうしてその論告裁判所に反映するように努力しております。もとの罰則が軽いので、どうも、それだけの効果が上らない憾みがあるということは正直な話、あると思います。
  37. 湯山勇

    湯山勇君 厚生大臣にお尋ねいたしますが、すでに全国で数十万に及ぶ中毒患者があるということは言われているところでございますが、これの収容施設というようなものが非常に乏しいと思うのであります。これもどなたか御質問があつたとすればよろしうございますが、それにつきましては大臣はどのようにお考えになつていらつしやいますでしようか。
  38. 山縣勝見

    国務大臣山縣勝見君) 実はこの問題については、この覚醒剤の害悪ということに対してこれは取上げられた大きな問題であります。そうして今仰せの点については率直に申上げますると、従来政府施策は欠けておつたと私は正直に申上げます。予算的にもそういう面に対しての措置が余りとられていない。今後先ほど来法務大臣が話されたようなふうに、製造業者或いは密売密造、これらに対しては、これはいわゆる厳刑を以て臨むべきでありますが、それの使用者である青少年に対しては勿論相当、どう言いますか、質の悪いものに対しては刑法上の厳刑を以て臨むこともいいのでありますが、やはりこれを誘導、善導して、そうしてこの社会悪から逃れしめるということがやはり一つの大きな主眼でありますから、そういう点から見て今仰せのような養護施設的な施設を設けて、そうしてこれを再び善良な青少年にかえすという措置が必要である、これ私もさように考えますのでありますが、従来率直に申してそれに対する国の施策が欠けておりましたので、今後はそういう点にも十分注意をいたして、何らかの措置をとるべきであるというふうに考えておりますが、まだ予算的にどういうふうにするかという点まで踏切つて具体的に申上げることはできませんけれどもお話の点にきましてては今後十分研究をいたし、又善処いたしたいと思つております
  39. 湯山勇

    湯山勇君 もう一つお尋ね申上げたいのは、警視庁のほうの調査によりますと、学生でこのヒロポン中毒にかかつているものの数は警視庁で調べた中では第三位、非常に高い割合を占めております。学校教育における覚醒剤使用者の取扱いというものは非常に重要だと思うのですが、これにつきまして大臣文部大臣或いは文部当局あたりと何らかの御相談をなさいまして、学校教育においてこのことをどう措置するかというふうなことについて何らか措置をおとりになるようなお考えがありますでしようか、如何でございましよう。
  40. 山縣勝見

    国務大臣山縣勝見君) この問題は仰せので通りであります。この問題については御承知青少年問題協議会がございまして、これには各省も関係もございますことでございますから、やはりこれは文教の面からこういう青少年の善導を図るべきでありますから、先ず精神的にその根本を絶つというような意味から、仰せのようなふうに私も閣内でよく話をいたし、なお又青少年問題協議会においてもそういう問題を取上げ、文教の面からこの問題の解決に当るように適当の連絡をとつて参りたいと思つております。
  41. 藤原道子

    理事藤原道子君) 最後に厚生大臣に、ほかに御質問ございませんでしようか。私からお伺いしたいのでございますが、今ヒロポンから来るところの、覚醒剤から来るところの精神障害ですね、これに対する収容施設というものはどういうふうになつているでしようか。
  42. 山縣勝見

    国務大臣山縣勝見君) その点は局長からお答え申上げさせます。
  43. 高田正巳

    説明員高田正巳君) 只今のは、これは精神病としての程度に至りますれば精神病院でも取扱います。精神病院は御承知のように都道府県にあります。それから特に薬物中毒という観点から精神病に至らない程度のものでありましても、薬物中毒というものを目的に建設されておるものといたしましては、千葉に財団法人復光会が今病院を建設中でございます。これに対しましては厚生省といたしまして、国庫の金を出しまして補助をいたしておるような次第でございます。これはまだ五十床ぐらいしか動いておらんということで、やがて二百床でございましたか、三百床でございましたか、そのくらいの病院になるものと思つております。
  44. 藤原道子

    理事藤原道子君) 一つお伺いしたいのですが、これは法律がどうある、こうあるということよりも、これだけ広範囲に青少年の肉体並びに精神を破壊するこうした覚醒剤に対して、どうも対策が生ぬるいというふうに思うのです。それから一般の子供たちがつい興味でそれに引入れられて行く、このヒロポンの恐ろしさを余り国民が知らない、こういう点にも問題があるのではないか。簡単に引入れられているのです。従いまして厚生省としてはもつと広報活動というか、もう少し被害を全国民に知らせて、この過ちに陥らないように指導されることも大切ではなかろうか、こういうふうに考えるのですが、大臣はこういう点に対してどういうお考えでございましようか。
  45. 山縣勝見

    国務大臣山縣勝見君) 誠に御尤もであります。この点は今後厚生省としても、法務省その他とも連絡をとつて、結局は一般大衆、一般国民に対する啓蒙であろうと思います。御承知通りこの十一月もその意味青少年問題の、殊にこういうような覚醒剤を中心にして不良防止月間を作つておるのはそのゆえんでありますが、仰せの点も誠に同感でありますので、今後より一層の啓蒙運動を展開いたしたいと考えております。
  46. 藤原道子

    理事藤原道子君) では覚醒剤に対しては別に御質問ございませんね。それでは今後、事重大な問題でございますから真剣に一つ対策をお講じ願いたいことを一つ申上げまして。
  47. 榊原亨

    ○榊原亨君 覚醒剤のことではないのでありますが、ちよつと急を要しますので大臣一つお答えを願いたいと思うのでありますが、それは水害地に対しまする国民健康保険につきましては適当な処置を請じて頂いたのでありますが、冷害地につきましても国民健康保険その他の医療につきまして水害地と同じような立法措置がまだとられていないわけであります。ところが聞くところによりますと、それらの冷害地におきましては非常に農民が困つているから国保の運営ができないだろう。そこで医療費その他についてもその意味から考慮をしてもらいたいというような御主張が冷害地の農民のやつております国民健康保険組合その他から出ているように承わつているのであります。そこでそういうふうな国民健康保険がやれないというようなことでございまして、この医療費の犠牲が診療担当者のほうにしわ寄せされるということはこれは非常に遺憾なことでございますので、若しもそういう事実がございますならば水害地におけると同じような立法処置を講ずる必要があるのではないかと、かように考えている次第であります。冷害地におきますところの中小商工業者のほうからも何らかの水害地におけると同じような処置を講じてもらいたいというような御希望があるように承わつておるのでありますが、それらの点におきましてその必要をお認めでございましようかどうか、ということを承わらさして頂きたいと考えます。
  48. 山縣勝見

    国務大臣山縣勝見君) その点は私も実は心配をいたしておる点でございますが、いわゆる風水害の特例法は六、七月から更に八月以降の十三号台風まで各特例法がそれぞれ適用されるようになつております。従つてこの国民健康保険は一応十三号台風までの風水害に対して適用するということにいたしたので、なお又その他の二十確か四の特例法の一応冷害ということを除いて、冷害に対しては一応冷害対策としての予算を組んでおりますようなことであります。従つて形の上から申しますると国民健康保険に対しては他のものと同様、冷害には予算的にも適用しないことに、まあなつておりますが、お説のようなふうに冷害地は或いは風水害の被害地域と同様の、どう言いましようか、地方財政においても困窮しているところもございましよう。併し一応この法律的には他の特例との関係もあつて、これはもう御承知通りすぐに適用するというわけに行きませんが、今後実情を見まして、幸いにして国民健康保険には助成交付金がまだ多少予算がございます。この予算があるという点ついてはいろいろ又議論もありまするけれども、多少適用が厳格であるというふうなこともありましようけれども、一応まだ予算的に残つておりまするし、なお文例の国庫負担のあの分け方につきましてもいろんな事情を勘案して分けることになつておりまするから、冷害地における実情を今後よく調査いたしまして、まあ法律の許す範囲において、できるだけ実情に即したような助成策も講じたい、只今のところはさように考えておる次第でございます。
  49. 榊原亨

    ○榊原亨君 御趣旨はよくわかるのでありますが、例えて申しますと、先日の医療協議会に厚生省が御提出になりました入院料その他の治療費の値上げに向いまして、国民健康保険の側からといたしまして冷害地のほうだけは一つその値上げを成る程度考慮してくれ、こういうふうな御発言があるやに承わつておるのであります。従いまして今大臣がおつしやいましたような処置によつてそういう考慮をする必要がないという事実でございますならばそれで結構でございますが、冷害地だけ特別に考慮を払わなきやならんというようなことが現実に起りますのでございますならば、一応早急に議員立法かその他の法律によりまして一応の考慮を払う必要があるのじやないかということで大臣のお考えを承わつて置きたいと、かように考えたわけであります。
  50. 山縣勝見

    国務大臣山縣勝見君) これは今後の実情によつて決定されるべき問題で、実はその冷害の実際の被害ということについては現にこの冷害に関する予算の編成に当りましても非常に困りましたのでありまして、北海道、東京ほか十九県の冷害地において相当の被害があることは勿論わかつておりまするが、現実にどの程度の被害ということについては農林省等の調査においてまだ的確でない点がありまするので、併しまあ被害があつたことは事実でありましようが、そういう意味において今回のこの補正予算の編成に当りましては一応御承知のような経緯で予算の額もきまつております。冷害に対する予算も一応政府案としてはきまつておりまするので、そんなふうで、今これは政府提案といたしまして、今議員立法というお話でございましたが、予覚的ないろんな財政の関係もございましようと思いますが、今政府側といたしましては現在の法律等の許す範囲において、又予算の範囲において、現行の予算、又補正予算の許す範囲において先ほどから申しましたような実情に即した措置を講じたい、かように考えておるのであります。この点御了承を願いたいと思います。
  51. 山下義信

    ○山下義信君 ちよつと重大なことですから私も念を押して置きたいと思います。今榊原委員から冷害関係について厚生省に何か予算関係の処置をとるかという質問に、大臣の答弁を伺つておると、できるだけ善処するというお答えてあつたようてすが、昭和二十八年度の予算の中には、この今次の災害のような或いは冷害のようなことは予期されていないのですから、昭和二十八年度の予算の中にはないのですね。大臣が善処されると言われてもないはずなんです。ですから冷害関係について厚生省関係の国民健康保険のみにとどまらず生活保護その他一切の災害地に対してなされた厚生省関係の予算措置と大体同じように、だから国民健康保険だけの予算措置を何とかしろということが道理が立つならば、その他生活保護関係であろうと母子福祉関係であろうと、このたび二十四の特別立法をなされたその中で厚生省関係の災害地に対しての補正予算をなされたのと同じ趣旨の建前にやはり冷害対策についてもなされなきやならんのであつて、冷害対策としての国保の補助関係のみを認めてその他は関係ないとは言われない。たまたま榊原委員は国保関係を以つてお問いになつたのですが、国保関係で必要があるならばその他についてもすべて同様の必要があると言わなきやならん。それで冷害地に対して厚生省は特別に考慮するとおつしるということになると、当然これは災害対策と同じような方法に出ずるか、或いは補正予算を要求するか、若し二十八年度予算の中に操作する余地が承るというならば改めて次回に金額と、どういうふうに捻出するかということの構想を承わらなければならない。今臨時国会が開かれて災害予算並びに冷害対策についての重大なる予算の審議中に厚生省としてその冷害地に対する方針を示されるということになれば非常にこれは重大な問題で、予算委員会の問題にも出さなければならない。我我社会党といたしましても漫然とこれを聞き流しておくわけにはいかないのでありまして、どういう方針をおとりになるかということをいま一たび明確にお示しを願いたいと思います。
  52. 山縣勝見

    国務大臣山縣勝見君) 私の言葉が少し足りませんためにであろうと思いますが、私が申上げましたのは、この災害予算は、政府提案の予算の枠等はきまつておりますので、今仰せなつた冷害地に対しては再建整備等の関係でまだ使つておりませんものもありすから、そういう面で補助をいたしたい。なお又いろいろなこの助成交付金等について若しも実情に即して考慮すべき点があればその範囲において考慮いたしたい。今きまつております予算、特に今出ておりまする法律の範内において今申しましたような点にいて考慮すべき点がありましたら一応検討いたして考慮すべきものは考慮する、そのような意味でありますから言葉が少し足らなかつたために或いはいろいろ誤解があつたと思います。さような意味でございますから、御了承願いたいと思います。
  53. 山下義信

    ○山下義信君 そうすると私は念を押しておかなければなりませんが、冷害地に対しましては国保に関する限りは、その他の問題は別途といたしまて、国保に関する限りは冷害地に対しましては厚生省でお手持の予算、再建整備資金等を以て国保の補助に充てる、こういう御方針であると解してよろしうございますか。
  54. 山縣勝見

    国務大臣山縣勝見君) これも私の言葉が更に足らんのかも知れませんが、再建整備資金の貸付についてまだ使つておりませんものがありますので、冷害地について、再建整備貸付金の対象として考慮すべきものが、いろいろな地方財政の点、いろいろな財政上の点について考慮すべき点がありますなれば、これはやはりそういう事情に基いて貸出すのが再建整備資金の建前でございまするから、実情を検討いたして、そうして貸出が適当なりとするようなものがあれば、更に考慮してみようという意味でございます。
  55. 山下義信

    ○山下義信君 私ははつきりまだ呑み込めないのですガ、再建整備資金の使途というものはちやんときまつておりまして、御承知のごとくこれはお互いにわかつていることなんで、きまつておる。それで恐らく榊原委員質問された御趣旨は本年度の予算で国保のいわゆる強化助成費として給付に対する国の補助がきまつた、そういう方面に考慮を要する必要があるので、問題にされたのじやないかと思うのですが、再建整備の貸付の資金をこの国保の給付の補助のほうへ使うというふうに聞えるのでありますが、そういう操作をなさるというお考えでございましようか。
  56. 山縣勝見

    国務大臣山縣勝見君) さような意味ではございません。
  57. 山下義信

    ○山下義信君 そうすると、どういう御趣旨でございましようか。その再建整備資金の貸付を冷害地に関しては特段の考慮をするとこういう御趣旨でございますか。
  58. 山縣勝見

    国務大臣山縣勝見君) 詳細の技術上の点については私はつまびらかにいたしませんから、或いは間違つておりまするならば後ほど訂正いたしまするが、冷害地等において保険財政上、勿論これは再建整備資金貸付法の貸付けるべき基準等はきまつておりまするから、その基準に基いて冷害によつて保険財政上いろいろ問題がある場合においては再建整備資金貸付法の基準に適応する範囲において、若しもその再建整備貸付をいたすことによつて冷害地の保険財政上の負担等を軽減することができるならばいたそう、こういうことでございます
  59. 山下義信

    ○山下義信君  私は厚生大臣の御方針に賛成いたします。非常にその御方針を多とするものであります。これに是非一つ御実行を願いたい、只今大臣が御言明になりましたので、冷害地方面の国保関係者はこれは一大福音であると解すると私は思います。これは是非一つこの御方針で、技術的にはどういうふうになるかわかりませんが、恐らくこれは予算の不足も、もとより生じて参りますでしよう。冷害地の国保関係者はさぞかし私は喜ぶことであろうと思いますので、これは十分御努力を願いたいと存じます。私どもも満腔の賛意を表して御期待を申上げます。
  60. 藤原道子

    理事藤原道子君) ほかに御質問はございませんか。大臣に私一つだけお伺いしたいのでございますか、今度災害地の問題で、あれでございますが、遺族の公債の買上ですね、これの対象が半壊以上の家庭というふうになつておるらしいのですが、ところが家は半壊しなくても全然収入皆無になつた家庭があるのです。そういう者に対してはやはりこれを適用すべきだと思うのでございますが、その点は大臣はどういうふうにお考えですか。
  61. 山縣勝見

    国務大臣山縣勝見君) この点は一応半壊以上でありまして、そして、生活保護の適用の対象にならないまでも、生活に困窮するという、これらのかたがたに対しては或る程度範囲を拡げるよう、いま折衝いたしておりますが、仰せのように半壊しなくとも相当困つておられるかた、従来も仮に生活の保護の対象になりますならば半壊云々にかかわらずこれは適用しておりまして、その点については実は先般も何とかしてこの買上の対象を拡げたいと思つて、私どものほうも、これは結局大蔵省との関係もございますので、できるだけ折衝して、こういう際であるから買上の範囲を拡げるように折衝するように申しておるのでございますが、まだその結論は得ておりませんが、厚生省の態度としてはできるだけ大蔵省のほうと折衝して、この際でございまするので仰せのようなふうに行きたいと、今折衝いたしておるのでございます。
  62. 藤原道子

    理事藤原道子君) この問題は全然半壊でも収入のある所もあるし、半壊でなくとも仮に静岡県なら静岡県で白穂などで全然収入のないような所はうんと困ると思いますので、是非ともこれは範囲を拡げて頂くように、なお一属の御努力をお願いいたします。  もう大臣に対する御質問はございませんか。   —————————————
  63. 藤原道子

    理事藤原道子君) 続きまして災害予算と、それから前国会制定になつた災害関係法律について厚生省当局から御説明をお願いいたします。
  64. 山下義信

    ○山下義信君 この説明最中に保険局長と国民保険課長のここに御出席を要求しますからお呼びを願います。
  65. 藤原道子

    理事藤原道子君) さようなことに御異議ございませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり]
  66. 藤原道子

    理事藤原道子君) では早速手配いたします。  それでは厚生省の堀岡会計課長にお願いいたします。
  67. 堀岡吉次

    説明員(堀岡吉次君) 今般補正予算として御審議を頂いております災害関係予算のうち厚生省所管の関係について概略御説明申上げます。  お手許にプリントで資料をお配りしておりますので、一応それで御説明申上げたいと思います。  第一番の生活保護費七億円でございますが、これは今度の冷害によつて生活保護を受ける対象が殖えると、或いは在来生活保護を受けておられたかたの収入減に伴つて支出が殖えるというのを見込みまして、なおこれの追加計上をお願いした次第でございます。
  68. 山下義信

    ○山下義信君 それは冷害地の分ですか。
  69. 堀岡吉次

    説明員(堀岡吉次君) 冷害地の分として計上したのであります。  それから二番目の水道関係でございますが、上下水道の復旧、上水道六十九カ所、下水道十四カ所、これの分を合せますと一億五千万円、それから特別措置法に基きますところの簡易水道の新設並びに補修としまして、新設分を四億八千万円、それから補修分二千万円、合計五億円を計上いたしました。なお一応予定箇所数等は摘要欄に記載いたしておりますので御覧を願いたいと考えております。  それから三番の事項といたしまして伝染病予防費、予防費そのものにつきましては二億円、それから伝染病院隔離病舎でございますが、これの全然壊れまして新設したほうがよろしいと認められたものについて十四カ所、それから病床の補修について三十七カ所をそれぞれ計上いたしまして、合計伝染病関係におきましては一億二千八百百七十六万五千円という数字を計上をお願いしている次第でございます。  それから四番の環境衛生関係では、これも特別措置法に基きますところの分でございます。(A)としまして屎尿処理及び復旧処理費、災害の急場におけるところの処理の費用、それから施設のほうは屎尿関係施設の復旧ということについての費用、それぞれ一千五百万円並びに二千万円を計上いたしてあるのであります。(B)の塵芥焼却場の  復旧につきまして一千五百万円、それから火葬場の復旧につきまして千八百万円、合計環境衛生関係では六千八百万円の計上を予定したわけであります。  それから次は国立病院であちらこちらの災害復旧がございますので、それを二千九百万円。それから同様国立療養所三十五カ所につきましても各所の災害復旧費に四千三百三十三万三千円の金額を計上いたしております。  それから次の社会福祉、児童福祉施設等はいずれも特別措置法に基くものでありまして、それぞれ施設別箇所数を一応計上いたしておきましたが、社会福祉施設におきましては一千七百万円、児童福祉施設におきましては三千三百八十八万三千円、こういう金額を計上いたしております。  それから九番の母子福祉貸付金、これも災害関係の特別措置法に基くものでございまして、なおこれにつきましては別途一部改正をお願いするという前提の下に五千百四十五万六千円という金額を計上いたしております。  それから十番の国民健康保険貸付及び補助金、これは特別措置法に基きますところの貸付金とそれから補助金、貸付金は御案内のように保険料その他の減免のうち八割が貸付金でございまして、二割が補助金に該当する、そういう積算の下における金額であります。一億二千八百万円。  それから十一番は災害救助費四億九千八百九十四万八千円、こういう予定をいたしておりますのは現場におけるところの災害救助の費用につきましてはそれぞれその都度既定予算並びに予備金から支出いたしておりまして、これはいずれにせよ当該保険と精算をいたさなければなりません。その精算残の見込として四億九千八百九十四万八千円、これだけ更に要するだろうという見込であります。  それから十二番目はその他といたしましてこまごましたものでございまして、各地の保健所の災害復旧、それから公立の結核療養所の災害復旧、婦人保護施設、公益質屋の復旧、それからあちらこちらの検疫所の災害復旧、それから佐世保地方復員残務処理部の災一害復旧、京都の御苑の災害復旧、それからその他本省の災害復旧に関しますところの事務費、それらを復旧させるために計上いたした次第であります。  なお次のページにめくつて頂きまして予備費使用済の分でございますが、災害救助費につきましては、先ほど申しましたように十九億二千九百七十万四千円というものがすでに使用済でございます。  なお検疫所の災害復旧費については一部使用しましたものがございましたので、予備費を以て支出するものが百五十一万九千円、以上合計しまして四十三億九千五百四万五千円、こういうふうな内訳を決定しました。御案内のように事業の年度割にいたしてございます。  それでそれをどういうふうに二十八年度、九年度等に分けて計上したかということを次のページを御覧願いますと、そこにそれぞれの事項別に書いてある次第でございます。以上は全体の枠でございまして、只今お開き願いましたページにございますところの査定額と申しますのは只今申上げました総額でございます。それを八年度と九年度の年度割にいたしまして、なお二十八年度につきましては災害予備費から支出するという予定のものと、それから今回の補正予算に計上してお願いをしている分と、そういうふうにそれぞれ金額を分けました次第でございます。従いましてものによりましては三本になるわけでございます。二十八年度の今回の補正予算にお願いする分、それから八年度内に予備金支出をお願いする分、一九年度の予算において過年度災害分として予定される分、こういう三つになつておる次第でございます。簡易なものは本年度二十八年度の補正等でお願いをするというようなことで、例えば京都の御苑の十五万円の災害復旧等につきましては、金額も小さいので、二十八年度、本年度で見て頂く。保健所等につきましてもこれは補正予算で金額をお願いする、公立の結核療養所においても八年度に全額、伝染病予防費補助に必要な経費は予備金と九年度及び今回の補正予算、これは精算の問題もありますので、精算が事務的に遅れますので、そういうようなこともありまして九年度に予定されているものを四千万円一応計上したような次第でございます。以下それぞれ先ほど申しました伝染病院の災害復旧につきましても、それぞれ年度割と予備金支出分で、一々御説明申上げても恐縮ですので、大体そういうことで御覧おきを願えば大体御見当をつけて頂けるのではないかと思いますが、合計しまして今回補正予算に計上お願いいたしておりますのは、これらのページの最後の二十八年度、一番下の紙でございますが、二十八年度の一番右側の欄の二十八年度と書いてあります補正という欄の十五億三十六万五千円、これが今回の補正予算に計上をお願いしている額でございます。それから本年度、二十八年度は予備費としましてはすでに使用決定済のものを除きまして一億を予備金より支出する予定でございます。残り先ほど申しました四十何がしのうちの二十九年度へ残るものは、八億六千三百四十五万七千円、事業年度割上そういうふうな数字になります。それからここには予算としては出て参りませんが、同じく今回の災害特別措置法の中で病院及び診療所、国立は別でございますが、それ以外の病院及び診療所に対する貸付金の災害の特別措置がございます。これにつきましては中小企業業金融公庫、或いは国民金融公庫その二つを指定いたしまして、そこから貸付を行うという予定でおります。こいつは金額は大体まあ一億ちよつとぐらいの程度と思いますけれども、そこから貸付をする、そういう予定にいたしております。  それからなお御案内のように、特別措置法はそれぞれ六月及び七月の災害の関係でございますので、十三号台風までこれを適用を延ばすということを政府のほうから提出しておるような次第でございます。なお適用地域の指定については政府部内におきまする相談と、それからこれまでの国会とのいろいろ御相談をお願い申上げておりました経緯等から早急に指定をする予定でおりますが、予算の積算としましては今申しました六、七月の特別措置法が十三号台風まで延長されるという前提の下に予算を積算して計上いたしておるような次第でございます。非常に簡単でございますが、一応御説明申上げます。
  70. 林了

    ○林了君 第一番に今御説明があつたのは、この十三号台風までを含んでのこれは予算ですね。
  71. 堀岡吉次

    説明員(堀岡吉次君) さようでございます。
  72. 林了

    ○林了君 それが第一点。それからもう一つは過年度災害の繰越金が大体厚生省分としてどれだけぐらいになつておりますか、今そこでおわかりですか。
  73. 堀岡吉次

    説明員(堀岡吉次君) 今までの分ですか。
  74. 林了

    ○林了君 ええ、そうです。いや、今そこでおわかりにならなければこの次でも結構です。
  75. 堀岡吉次

    説明員(堀岡吉次君) 今度の災害につきましては二十九年度へ繰越すものは八億六千三百四十五万……。
  76. 林了

    ○林了君 今のそれを除いて今までのですね。
  77. 高野一夫

    高野一夫君 今年の災害でない分でしよう、去年までの。
  78. 林了

    ○林了君 今度の災害は除いて今までの。それでは一つわかりましたらできるだけ詳細にそれを一つお願いしたい。  それから第三点は今度の特別立法の中で公立を除いた病院及び診療所の融資の問題であります。国民金融公庫及び中小企業金融公庫からというお話でありましたが、それはまあ医務局のほうと相談をしていろいろ話を問いおるところによると、国民金融公庫はこの対象にはならない、してくれるなという話で、中小企業金融公庫一点張りで行つておるわけなんですが、それで最初に政令の案を持つて来られたときには六億、そのまあ機関を国民金融公庫が三億、それから中小企業金融公庫が三億となつてつたのでありますが、その後の調査によつてそれを四億に更に修正して、そうしてその四億というものの中には一億が公立であり、三億が私立だ、こういうことでまあ一切を引括めてこれは中小企業金融公庫から融資をするという、まあ話になつたわけなんです。ところがこの融資の枠が中小企業庁で話合つて見ると、枠を作つてくれては困るという話だとこういうのです。枠を作つてくれるなということであるならば、中小企業金融公庫か医療機関に貸出ができるという現在の法律になつているので、今度特別立法を設定したという意味がなくなる、こういうことについてこれは災害対策委員会でもお話を出さなければならんと思つているんだけれども、一応この予算の説明のときに今お話がありましたから、今のお話によりますると、一億という今の堀岡さんのお話だが、その食違いがどうなつているかということを一応伺いたい。
  79. 堀岡吉次

    説明員(堀岡吉次君) 御質問の融資の点でございますが、非常に恐縮でございますが、私詳細な事情は実は聞いておりませんので、大体今まで聞いております点では、一億乃至それを若干上廻る程度金額を予定したい。それから枠の問題については、只今先生からお話のような問題が出ているということは承わつております。この点につきましては非常に恐縮でございますが、できますならば誤つてもいけませんので、別途医務局関係の担当者から正確な点を、或いは後刻でも御説明申上げたほうがよろしいと思いますが、どうぞそのようにお取計らいを願いたいと思います。
  80. 林了

    ○林了君 医務局をちよつと呼んで下さいませんか。  それから次に今度の特別立法の中で昭和二十八年八月十七日の法律第二百二十八号、その中に昭和二十八年六月及び七月の水害により被害を受けた公務員等に対する国家公務員共済組合の給付の特例等に関する法律のその条項で、これは私がこの持つて来たものが或いは違つているのか知れませんから、厚生省のほうでお持ちだつた昭和二十八年六月及び七月の水害となつておりますが、それは大水害でありますか、これは私のほうが或いはもう少し調査してくればわかつたのですが、そこでおわかりになりませんか。
  81. 堀岡吉次

    説明員(堀岡吉次君) ちよつと今持つておりませんのですが。
  82. 林了

    ○林了君 わかりました。それではあとで医務局長お見えになりましたら質問させて頂くことにいたします。一応これで。
  83. 高野一夫

    高野一夫君 厚生省の災害復旧の査定額というのは大体四十余億というものが総枠になるわけですか。
  84. 堀岡吉次

    説明員(堀岡吉次君) さようでございます。
  85. 高野一夫

    高野一夫君 そうするとそれを二十八年、二十九年に分けたということは、厚生省関係の災害復旧工事は、この両年の間に全部完了してしまおうとする御方針ですか。
  86. 堀岡吉次

    説明員(堀岡吉次君) 災害復旧についてはさようでございます。
  87. 高野一夫

    高野一夫君 そうすると政府が全体として三カ年いろいろな予算を組んで行こうというあれですが、厚生省では二カ年でやれるというふうに考えてよろしいのですか。
  88. 堀岡吉次

    説明員(堀岡吉次君) その点はさつきちよつと申上げましたが、事柄の如何によりまして、場合によつては簡単なものは本年度限り、それから厚生省といたしましては、一番大きなものでも一応二十九年度で完了したいということでございます。
  89. 高野一夫

    高野一夫君 指定地域がまだ案がきまらないというので、この復旧工事の数字が出るということはおかしいと思うのですが、そういうのも一応のやはり想定はおありなわけでしようね。
  90. 堀岡吉次

    説明員(堀岡吉次君) 適用地域は、先般来それぞれ国会と御相談申上げておりました公共事業費ガ二十八年度の標準税収入を越える府県、それから市町村にあつてはその府県と同一要件を備えるもの、又は災害救助法に基く地元の支出額が二十八年度の標準税収入額の百分の一を越えるものを復旧することになつております。大体この基準で今まであれしております。その基準で一応弾いていけるということでございます。
  91. 高野一夫

    高野一夫君 それで私も水害対策をやつているので、その基準だと思うのですが、その基準に合致するような地域は、厚生省関係としてはどういうところになるか、こういうことです。例えば厚生省関係としてはどういうふうになるか、或いは市町村指定はどういうふうになるか、大よその見当はおつ好きになつているのじやないかと思うのですが、その点はどうですか。
  92. 堀岡吉次

    説明員(堀岡吉次君) 非常に妙な話を申上げて恐縮なんですが、それならば当然市町村で具体的にわからなければ予算が出ないのじやないかということなんでございますが、一応災害があつた府県は大体皆わかつておりますし、それからどういう地域が災害を受けたかということもわかつておる。具体的に全部は出ませんけれども、大体これだけで予算としては仕組めるのじやなかろうかということで計算いたしました。御指摘のように理窟としておかしいじやないかというお叱りは当然受けるかと思いますが、大体これでつかめるのじやないかということで積算いたしました。
  93. 高野一夫

    高野一夫君 只今の点はそういうことで了解いたしますが、ところで私は  この災害復旧工事には金のほかに必要な所要資材が非常に必要だと思うのです。こういうふうな厚生省関係で四十四億、これは復旧工事に使わないものもありますが復旧工事に使う金額に対する必要なる所要資材、これは政府としては全体を一括してお考えになるか。厚生省厚生省として厚生省関係の工事にはセメントが幾ら要るという物量計画も詳細にお立てになつておりますか。これは非常に重要だろうと思うので、お尋ねするのですが、金だけじや工事ができない。
  94. 堀岡吉次

    説明員(堀岡吉次君) 数字は先生のおつしやる通りだと思います。四十何億と申しましても、このうち約半分は先程申しましたように災害救助費でございまして、十九億と、二十九年度に精算を予定されます四億、この二十三億何がしの災害復旧工事の大部分を占めるものは水道関係が多いと思います。お話のようにどれだけのものが要るか、政府全体としてどうなつておるか、現下の生産状態から見てどうなつておるかということは、まあ厚生省ではそういうことはやつたことはございませんので、大体この程度のことは、国全体になりますれば別問題でございますけれども厚生省としては大体この程度でいいのではなかろうかというようなつもりでおります。
  95. 高野一夫

    高野一夫君 私その点は非常に大事な点だと思つてお尋ねしているわけなんで、災害地全体のセメントの所要量、木材の所要量、鋼材の所要量の総計画を見なければならんと思う。そうすれば運輸省なら運輸省、農林省なら農林省、建設省、厚生省、すべて災害復旧工事に対する予算に対して幾らのものが要るということが想定されなければ、一体私は、金は、予算はできたけれども、工事にかかれるのか、かかれないのかわからないということがあり得るのでして、その点は私は非常に問題として考えたいと思つたわけなんですが、わかつていなければ結構です。  それからもう一つ、それじやついでに伺いますが、簡易水道の新設或いは補修という点がございます。新設二百八十七カ所、これは災害地で今まで河川を飲料に供しておつたというようなところで簡易水道を新たに設置さしてもらいたいといつたようなことがいろいろ陳情なんかもあるようでありますが、この二百八十七カ所というのは、大分それは要望をお聞き願つた数になりましようか、相当はねて査定が厳重になつた数でしようか。
  96. 堀岡吉次

    説明員(堀岡吉次君) お答え申上げますが、査定が厳重になつたかどうかということは、ものの感じ方でございます。きついといえばきついほどいいというので、何とも申しかねます。
  97. 藤原道子

    理事藤原道子君) ほかに御質問ございますか。
  98. 山下義信

    ○山下義信君 そうすると生活保護費として出しておる七億は、冷害予算ということになつているわけですね。冷害予算の中には、生活保護費の七億以外にはないのですね。それで水害地に対する、つまり災害地に対する生活保護関係は、災害救助費という意味の中に入つているのですか、生活保護関係はどういうふうにやつたのですか、災害地に関しては。
  99. 堀岡吉次

    説明員(堀岡吉次君) お尋ねの水害関係による生活保護費の増は、当然まあ何億か……。
  100. 山下義信

    ○山下義信君 手持のものでやる……。
  101. 堀岡吉次

    説明員(堀岡吉次君) 一応手持のものでやつて行きたいと思います。なお冷害関係につきましては七億増の予定をいたしております。何しろ生活保護費は義務費でございますので、いずれ足りないところは精算しなければならんのじやないか。そういう気持でなくちやいかんと思いますけれども、最終的にはそういう気持でやろうと思つておりますので、何とかやれると思つております。
  102. 山下義信

    ○山下義信君 災害復旧に対する生活保護費の実際の影響状況を社会局から資料を出すようにおつしやつて下さいませんか。向うの特別委員会のほうは或いは出ておるかも知れませんが、こちらの厚生委員会のほうへ至急に資料を出すようにおつしやつて下さい。  それから今の冷害地に対する生活保護費を別に補正して追加予算を要求したわけですね。これはもう手持のものが足らんということでやつたのか、改めてこういうふうな要求の仕方をしたのか。それでこの七億の積算はどういう推算でやつたのですか。積算の基礎を開きたい。
  103. 堀岡吉次

    説明員(堀岡吉次君) これは詳細は一応一つ社会局から御説明を申上げたほうが最も過ちなくていいと思いますが、ざつくばらんに言いますと約五万戸というものを一応対象として見込まれるだろうということから、あれやこれやと積算をいたした次第であります。
  104. 山下義信

    ○山下義信君 あなたの手許にあるでしよう。大体生活扶助しなくちやならん農家がどのくらいできるかという推察なりいろいろあるでしよう、一応七億のトータル出すには。
  105. 堀岡吉次

    説明員(堀岡吉次君) 非常にまあまずいこと申上げて恐縮ですが。(笑声)
  106. 山下義信

    ○山下義信君 やぼなことは聞きますまい。恐らくこれは一応これだけの予算を確保しておこうというわけでしようから、詳細な資料があろうはずはないと思うのです。それはそれでまあいいですが、今朝の新聞にもあるようにきわものを持出すわけじやないのだが、同じ冷害地、言うまでもなく東北が主なんですが、今朝の新聞に出ておるが、多分四年ほど前であつたか、あの児童の人身売買のことで当委員会で大変御心配下さつて出かけて行つたことがある。今朝の新聞に又ぞろこの冷害凶作の影響で転落農家が児童を売買する事態を非常に憂慮して指摘されてあるわけなんです。ですから、それは生活保護関係の予算を要求すればどうせ腰だめの数字でありましようけれども、本当に役に立つように使つてもらわなければならん、すぐそういう手を打つてもらわなければならない。これは堀岡課長に注文してもどうにも相成らんけれども社会局と児童局がタイアツプして緊急目睫に迫つておるのですから、そういう手をすぐ打つてもらわなければならんのであつて、私はその内容を聞きたいというのは、積算のそういう細かい数字より何より生活保護のこの七億の予算をとつてどういう一体手の打ち方をするかということを実は聞きたかつたのでありますが、社会局来ておりませんから保留しておきますが、そういうことです。  それでさつき説明しましたね、堀岡君。国保の災害予算のあの出し方、何ですか、テン・パーセントだとかいうことを言つておりましたが、あれはどういうことですか。一億二千八百万円のあの出し方ですね。
  107. 堀岡吉次

    説明員(堀岡吉次君) 国民保険特別措置法に基きます一億何千万円の金額は災害を受けました保険者は個々にわかつておりますので、一応これだけ一部の実地調査をやりまして、それに基いて大体これくらいの減免になるであろうということを全部にぶつかけまして、それの八割は貸付金、それから二割は補助金、一応は調査してみたのです。それによつて全国全部災害関係の保険者が同額の減免になるか、これは疑問でありますけれども、一応は一つ調査をいたしまして、それによる減免率はこれくらいになるであろうという予想の下に、あとは八割なら八割になるでありましようけれども、これくらいになるであろうというので積算いたしました。
  108. 山下義信

    ○山下義信君 保険者は災害市町村では減免にしておいて、これはここでこごとを言つてみたところで始まらんけれども、二割しか国はやらんで、あとの八割は貸付ですね、町村は減免しておる、ですから町村であとは穴埋めしなければ補助にならない。  保険局長見えたようですから、私は保険局長にお願いしておくのですが、実は本日の厚生委員会で榊原委員が冷害地に対する国保の補助について何か考えるかという御質問があつて厚生大臣の答弁が非常に抽象的で、できるだけ一つ考慮しようという、結論的に言えばそういうような答弁があつたのです。併し私は有難いと思つて、榊原委員は金的の質問をされたのです。で、私はすぐそれに便乗して、どういうことを考慮するのか具体的に開きたいと言つたのです。それでそれはこの冷害予算の中には厚生省関係は生活保護費しかないのです。で、冷害地に対する国保の特別考慮をするならば、その他厚生省関係においては全部及ぶべき、当然それが筋なんですけれども、今国保の場合に限つて大臣の意向を質したのですが、確めたのですが、どういうことを考慮するのかと言つて聞いたら、やはり初めは……、速記が残つているからあとで見ればすぐわかる。形跡がある。初めは再建整備資金等の予算があるから、まだ使わないのがあるから、それをやり繰りして、そうして冷害地の国保の補助に一つそれを考慮する、こういうことを言つたのです。それで私はこれは非常に注目すべき答弁だと思つたものですから、その再建整備の資金をどういうふうに使おうとするのか、その使途を変更するのか、どうも変更することは一方は法律で使途を決定されてあるのに、片方の先般の四十一億の国保の強化育成関係のあれに、あの補助に使うように私の耳には聞こえたものですから、それを確めたらば、そうじやない、こう言うのですね。それで結局とどのつまりは再建整備のあの資金の貸付を結局冷害地の国保に対しては特別に考慮を払う、そうして一般的な貸付以外に冷害地の国保に対してはその資金を一つ特段の考慮を廻らしてこの対策を考える、こういう答弁を今三十分ほど前にして大臣が帰つたところなんです。私が今繰返して大臣の答弁を申上げたのですが、大体筋は間違いないと思うのです。で、これは非常に注目すべき答弁をされたと思うのです。恐らく北海道その他東北十県内外の冷害地の各府県の国保は非常に私はこの大臣の言明で喜ぶと思うのです。それで保険局においてはこの大臣の答弁を直ちに実現をせられるように我々としても要求しますし、これは他のことと違つて冷害関係は特に臨時国会を開かれてまで緊急を要する事態として国会が今審議しつつあることなんです。その冷害地に対する対策は明日でも明後日でもいいわけじやないのでありまして、本日大臣が言明すれば厚生省の事務当局大臣の言明に従つて直ちに具体策を立案して善処してもらわなければならんわけでありまして、それでこれは改めて大臣から答弁の趣旨をお聞き下さつて、私は今のように承わつたのでありますが、詳しくは速記に残つておるわけでありますから、保険局長は冷害地の国保に対する再建資金の特段の考慮をどういうふうにするかという具体的な対策を立てられて、同時にこの臨時国会の開会中に厚生委員会にも詳細に具体的な当局の対策を御説明を願いたいということを要望するわけなんです。で、今御足労願つたのはそういうことが起きましたから御足労願いましたので、このことは現にこの補正予算を審議中の予算委員会にも関連するので、当局の御答弁やその他があいまいであるならば、改めて別の機会に我々は党の機関に諮りまして、予算委員会等で当局の御意向を更に質してもよろしいと思いますが、幸いに厚生委員会が所管でありますので、この委員会で私はそれを要望すると同時に、保険局長にお願いもするわけであります。それで私が念のために関連して承わつておきたいと思いますのは、例の前国会で審議をいたしまして一部改正をされましたあの貸付資金というものの現状ですね。現状というものがどういうふうな予算の配分になつておられまして、今後のその予算執行の見通しが殆んど貸付の当てがちやんとあつて、第三四半期にも第四四半期にも貸付の当てがあつて、若し冷害地の国保に対して、特別の再建整備の名の下にそれらの貸金を貸付けるという特殊の手段をするならば、更に保険当局としては新たなる資金を要するかどうか、或いはその資金の範囲内で余り貸付の希望が来ないで、その予算に若干のゆとりがあるかどうかという点が第一点。  第二点は冷害地の詳細なる諸資料はまだ政府に全般的には、例えば凶作の程度その影響の度合等々はまだ十分資料がまとまつていないということでありますが、併しながら国保関係においてこの冷害凶作から受くるところの農村の国保等の受くる影響が保険当局には大体情報が入つているかどうか、若し特段の考慮を如上申上げた貸付資金等で十分霑すような余地があるかどうか、あるとすれば当局の見通しはどういうふうであるかというような点を保険局長から承わつておきたいと思います。
  109. 久下勝次

    説明員(久下勝次君) お答え申上げます。先ほど大臣お答えを申上げました点につきましては、丁度私ここに参りますとき途中政府委員室に寄りましたときに大臣がおられまして、大臣の御意向のあるところもお話を聞いて参つておるのでございます。先ず御質問の第一点でございますが、その前に全般的な冷害地に対する私の考え方を申上げておきたいと思うのであります。  冷害につきましては私ども考え方は水害或いは十三号台風の被害等と区別をして考える理由はないものと思つておるわけであります。冷害のために被保険者の負担能力が減りまして、そのために保険料の減免をしなければならないような状況に立ち至りましたものにつきましては災害地の国保に対する場合と同様の措置をとるべきものと考えているのでございます。ただ災害に対する対策が議員立法でできております関係もございまするのと、それからもう一つは第二の御質問に触れるのでありますが、冷害地の国庫の保険料減免の実情が殆んどといつていいほど私どものほうに参つておらないのでございます。新潟その他ほか一県から冷害に対する国保の特別措置を講じてもらいたいという陳情は聞いているのでございまするけれども、具体的にどういうふうに実情がなつているかということがまだ今日のところ私どものほうにつかめておりません事情もありまして今回提出をいたしました補正予算にはこの点が含まれておらないのでございます。そこで再建整備貸付法に基く予算の実情でございまするが、極く大まかな数字でありまするが、今日まで貸付申請のございましたのは昨年度予算から二億本年度に繰越されております。この分につきましては貸付申請が現在のところ一億円程度出ております。それから本年度予算に計上されておりまする再建整備貸付法に基く貸付金の予算は四億六千万円でありまするが、これに対して今日まで申請が出ておりまするのは二億五千万円でございます。これは申請が出ただけでありまして、いろいろ要件の不備等、書類の不備等もありまして照会中のものもありまするので、恐らく実際の貸付は若干の査定をするような結果になろうと思つておるのであります。さような関係から本年度の再建整備貸付法に基く貸付金額は私どもの見通しは相当額剰余を生ずる実情ではないかと見ているわけでありまして、先ほど大臣が申しましたこの予算からということは、そういう意味で申上げたものと理解をいたしておるのでございます。ただ予算的にはさような関係でございまするが、具体的に冷害に対して特別な措置を講じまするためには現行の法律はそれぞれ趣旨が違つておりまするのでありまするので、これは災害地に対しますると同様に特別立法をいたしたほうが合理的である。又災害地全体に対して公平な措置がとられるものと考えておる次第でございます。細かいことになりまするが、再建整備貸付法にもいろいろ貸付の条件がございまして、その条件に合わないものでも災害その他特別の事情のあるものにつきましては特別な考慮ができるという規定はございます。併しながらこれは飽くまでも御承知通り前年度の実績を基礎にして貸付をするという建前になつておりまする関係上、これを以て本年の冷害を全面的に救うことはできないと思うのであります。大臣の申上げました趣旨も、或いは先ほど大臣にお会いしましたら言葉が足らなかつたようなふうにおつしやつておられましたが、その辺で事務当局としてゆとりのできます限度におきましては私ども大臣の趣旨により考慮をいたしたいと思うのですが、併しながら全面的に冷害地の国保に対して公正な措置をとりまするためには、災害地に対しまする場合と同様な特別立法のありましたほうが便宜である。ただそのための財源といたしましては以上申上げたように再建整備貸付法の申請が予想外に少いのでございまするから、そのほうから予算的な措置が特別な一般会計予算を食わなくても相当程度処理ができるのではないかと、こういう趣旨で大臣は一応申上げたと承知をいたしておる次第でありまするし、私どもも又さように考えているものでございます。
  110. 山下義信

    ○山下義信君 大変都合のいいことになりまして、私どもも冷害地に対しては非常に関心を持つておるものですから、或る意味においては冷害予算というものが少いと考えておりましたら、三派の協定等で一部修正もされましたような関係ですが、厚生関係は冷害予算に対して頭を出していないわけです。それでそういう話になつて来て国保の関係で、幸い今日はいい話を先ほどから聞かしてもらいまして実に喜んでおるのでありまして、私は揚足とりが専門ですけれども、今日は揚足とりどころじやない、大いに讃辞を呈しているのですが、大変都合のいいことになりまして前国会にこの国保の貸付の法律改正をするときは、前年度の貸付状況等から見て、又資金が、折角予算をとつても貸付がそれだけ申込がなくてもいけないし、十分条件等も緩和して十分貸せるようにしなくちやならんというようなことをお互いに話合つて、ですから貸付のしやすいような、借りやすいように一部を修正して前年度の繰越も使い、本年度の予算も十分利用があると言つて局長がおつしやつたのですが、資金が残るらしうありまして大変都合がいいと思うのです。この今日の話に対してはですね、それで私はこの冷害地の実際の諸般の状況、資料等がこれは厚生関係に限らず肝心の農林省自体のことにおいてもまだ資料が整つていないのが実情なんですから、これはいろんな報告や申出があるのを待たないで、実は本日そういうことを大臣が言明し、保険局長もその趣旨に副つて対策をやるというのでありますから、この趣旨を冷害関係の各通府県に対して殊に国保関係、保険局関係はこの趣旨に対して考慮を払う考えであるから至急に状況を知らせと言つてこの様子を徴せられては如何でしよう。或いは又すでにそういうふうな御命令が出て、各関係府県の下部機構において状況報告をとりまとめ中であるならば、もう必要はありませんけれども、折角のそういう御趣旨であるとおつしやるならば、出していながらにこの陳情等の来たのを待たないで政府当局のほうから親切に各国保の運営上困難な状況があるかないかというようなことを問合せをなさるという意思はありませんか。
  111. 久下勝次

    説明員(久下勝次君) その点につきましては、私どもすでに各県にそれぞれ連絡をいたしております。なお併しながら十分督促をいたしまして実態を掴むようにいたしたいと思います。
  112. 山下義信

    ○山下義信君 冷害の状況は我々が考えるより以上に深刻である模様でありまして、或いはここ数日前に若干好天気が続きましたので、一部のところでは埋め合せができたところもあるということでありまするが、事態は災害地に劣らないような深刻な状態であるようでありますので、是非一つ国保関係に対しましても御善処を願いたいと強く当局に私は希望いたしておきます。
  113. 藤原道子

    理事藤原道子君) よろしうございますか。
  114. 榊原亨

    ○榊原亨君 当局も大変適宜な処置をとつて頂きまして有難いことでありますが、ただこの際申上げておきたいのは、水害地は局所的なものが多いのでありますが、冷害は広範囲に亘つておる災害でございますので、従つて水害に対するとは少し趣きが違つているということを御認識をお願いいたしたいということが一つであります。  それからもう一つは、実は私先ほど大臣に特別立法がこの際必要なんじやないか、必要であれば議員立法か或いは政府のほうかどちらか早くやらなければいかんじやないかということを実は申上げたのです。ところが大臣の御見解がまだ十分でありませんから、立法措置は入れないでやるというようなお話つたのでありますが、これはまあ事務当局のほうから立法されたほうが都合がいいというようなお話でありますので、これは政府において至急一つ立法化をして頂きたいと思うのであります。と申しますのはすでに中小商工業者のほうは、今日もう冷害地に対して議員立法しようかというようなことで今問題になつている。そこで私はこの問題を出したのでありますので、まあ議員立法のほうがいいか、どちらか、それはいろいろ運営委員会で御相談しなければならんことでありますが、一応これを時間をとらないですぐに立法化して、この国会に出すように御相談を頂きたいと考えておるわけであります。
  115. 久下勝次

    説明員(久下勝次君) 前段の御意見でございますが、私どももさように考えております。後段のほうにつきましては、先ほど私から申上げましたように、冷害地について公正な措置をいたしますためには、現行法をやりくりする限度はおのずから限度がございますので、これはやはり特別立法でいたすほうが適当であると考えておるのでございます。その方法につきましては又後刻委員の皆さんがたに御相談を申上げることにいたしたいと思つております。
  116. 山下義信

    ○山下義信君 保険局長が見えましたついでにちよつと伺つておきたいのですが、最近国保法の補助金を出されてから、その補助金を国保の御趣旨に副つて給付の方面、そのほうへ使わないで一般財政のほうへ流用しているというものがだんだんあるというようなことを聞いておりますが、そういう形跡がありますかどうか。若しあればどういう対策をとつておられますかどうか。  それからもう一つは、実は私ども陰ながら心配しておるのですが、先般国民健康保険の中央団体である連合会関係者の中から非常に不祥事件が起きたということでありますが、あれはどういうふうになつておりまするか、極く概略、今のところどういうふうになつておりますか、関係者が留置されておりますが、どうなつておりますか。国保の連合会、或いは国保の事務等には何ら支障がありませんか。連合会の建直し等もやつておりますかどうか、趣く概略御報告を願いたいと思います。
  117. 久下勝次

    説明員(久下勝次君) 先ず前段のお尋ねでございますが、最近助成交付金につきましては、私どもはまだ具体的にさような報告を聞いておらないのでございまするけれども、もともとその点につきましては私ども非常に心配しておつたものであります。そこで助成交付金を交付いたします場合の条件として、助成交付金は療養の給付費その他国民健康保険事業の運営に直接必要な使途以外に絶対に使つてはならないという補助条件をつけました。その条件に違反いたしました場合には、補助金の全部又は一部を取上げるというようなきつい措置をとつておるのでございます。従いまして御指摘のような点につきましては、若しありといたしますれば確かに重大な問題でありまするので、十分督励をいたしまして、若しもありますれば、さような措置をとらざるを得ないと考えておるものでございます。
  118. 山下義信

    ○山下義信君 今のところありませんか。
  119. 久下勝次

    説明員(久下勝次君) 私は聞いておりません。  それから第二のお尋ねの問題でございますが、国民健康保険団体中央会の前事務局長、すでにこの人は本年の六月に退職をいたしておるのでございまするが、これが在職中から国民健康保険団体中央会とは別個の経済団体を作りまして、ただ事務局長という肩書を僣用していろいろ取引をいたしたのでございます。この点が退職後九月になりまして問題になりまして、本人が留置をされたのであります。その後取調べの結果すでに起訴になつているのでございますが、事件の詳細は私も只今のところ詳しくは存じておりませんが、相当多額の詐欺行為ということになつておるようでございます。併しながらこれは取調べの結果、国民健康保険団体中央会とは何ら関係がなく、前事務局長木谷氏の個人的な詐欺行為ということで事件起訴されておるというような現状でございます。従いましてこの事件そのものは、そういうような意味におきましての不祥事件は、私どもは中央会について何も心配いたしておらないのでございますけれども、併しながら元来国民健康保険団体中央会というのは、全体的にここ数年来財政的にも苦しうございまして、団体そのものの事業の運営等に困難がございましたようで、殊に事務局長が同時に別個の経済的な組織を以て何かはつきりしないような態度をとつておりましたことにつきましては、私どもとしても実は前から厳重な警告をしておりましたような次第でございます。それやこれやで国民健康保険団体中央会といたしましても、特に国会方面の皆様方の御尽力によりまして年来の懸案でございました助成交付金二割の補助も獲得することができたということでありますので、この際もつと地道に傘下の国保経営者を指導し、そうした国家の助成に報いるように十分自分たちの責任においても、会の成績を上げて行くようにしたいというとこから、内部組織は勿論でございますが、事務の運営の方向等も中央、地方一緒になりまして再建をいたすべく、従来の役員は総辞職をして、新たに役員の選任をするということであり、又事務当局におきましても組織替えをいたしまして、今申したような目的に文字通り副い得ますように努力をしておりますところでありまして、私どももそうした中央会の新らしい幹部のかたがたの御意向に即応して、及ばずながらお力添えをいたしているような次第でございます。
  120. 山下義信

    ○山下義信君 この問題はなお調査したいと思いますから、当委員会としても留保しておいて頂きたいと思います。
  121. 藤原道子

    理事藤原道子君) 林委員に申上げます。高田医務局次長が見えておりますが、先ほどの質問の……。それからちよつとお諮りいたします。只今本会議が始りまして大蔵大臣に対する質疑が行なわれることになつておりますが。
  122. 林了

    ○林了君 それでは高田次長にはお気の毒だけれども、次の機会にお願いいたしたいと思います。
  123. 藤原道子

    理事藤原道子君) なお山下委員に伺いします。この次の委員会社会局長呼びますか。
  124. 山下義信

    ○山下義信君 ようございます。
  125. 藤原道子

    理事藤原道子君) それでは本日はこれにて散会いたします。    午後零時四十二分散会