○
専門員(
森莊三郎君) 民衆駅に関する事柄について調査をせよという御命令でございましたが、特に池袋駅、秋葉原駅、高円寺駅、その三つのものに重点を置くようにということでございましたから、そのつもりで
君主調査をいたしました。昨日から本日へかけまして御配付いたしました書類について先ずちよつと御参考に申上げますると、ここに一つの部厚な報告がございます。それは国鉄から出されたものでありまして、「東京駅
八重洲口本屋建設等の諸工事について」、それは
会計検査院の照会並びにそれに対する国鉄の回答などが記されたものであります。それから次に只今お席へ配付いたしました一枚刷りのものでありますが、「
日本国有鉄道所有財産貸付行為の性質について」、これはこの閉会中に参議院の法制局において詳細御検討の結果、本日午前その正式の回答を得たものでありまするので、印刷に付して
只今御覧に入れる次第でございます。それ以外のいろいろな籍につきましては、これから追い追い申し上げることにいたします。
先ず最初に、「池袋駅
西口本屋新設の件」という
専門員室で作りました三枚ばかり綴じてございますものと、それと対照して頂きたいのは、
会計検査院から頂きました「池袋駅、秋葉原駅
関係調書」、横綴りになつておりますが、
相当部厚なものであります。先ずそれを御参照願いたいと思います。
専門員室で作りましたこの
ガリ版刷りに従いまして一応事情を申上げまするが、
日本停車場株式会社という会社があるのでございます。この会社は
停車場及びその
附帯施設の建設、経営、賃貸その他いろいろな営業を目的とする会社でありまして、現在の社長の
矢下治藏という方が昭和二十三年の二月に発起をされて、
資本金三千五百万円を以て二十三年六月その設立の登記を完了したものであります。併しこの会社がまだできませんうちにこれより先二十二年十一月二十七日にこの
会社関係の、つまり将来この会社ができようという時、その関係者の方面から、池袋駅西口の駅の
本屋建設の申請がありまして、二十三年の十二月十三日に国鉄はこれを承認されたのであります。その
承認条件につきましては、
会計検査院から頂きましたこの、
ガリ版刷りの一番最初の所にそれが出ているのでございまするが、それについては後で又追い追いに申上げます。
そもそもこの池袋駅なるものが、いわゆる民衆駅の一番の初めのものであ
つたのだそうであります。そうしてこの
日本停車場株院式会社という会社それ自体も、その会社の名前が示しておりまするように、先ず最初に池袋駅を手がけるが、事情が許すならばもつともつと各地に自分の会社の手で同様のものを造る、或いはほかの人が同様のことをする場合には、設計その他のことについての相談にもあずかるという、かなり大きい考えを持つてこの会社ができたというふうに話を聞いております。併し実際問題としては、この会社はただ池袋のこのものを造つただけで、それ以上に手は延ばしておられない模様であります。それで、この建設の事業がどんな工合に進んだか、その日附けがいろいろと関係をもちまするので、ここに一覧表にしておきましたが、二十二年の十一月二十七日に
駅本屋建設の申請がありました。二十三年の六月にはこの会社が
資本金三千五百万円で設立されました。二十三年十二月十三日に国鉄がそれに承認を与えました。二十四年の十一月一日に工事が始められたのであります。そうして二十五年の十二月六日に
鉄筋コンクリート建四階のものが完成いたしました。二十五年の十二月八日、即ち
工事完成直後に営業を開始したのでありまするが、それは
東横デパートが殆んど全部を借りきりまして、
日本勧業銀行の支店が一部使用している状態であります。二十六年の八月二十四日に
至つて漸く国鉄とこの会社との間に料金をどういうふうにするかというような協定ができ上つたというわけでございます。この場合に
工事資金はどういうふうにして調進したかと申しますると、五千七百五十万円は部屋を借りるほうの人、即ち
東横デパート及び
勧業銀行などから保証金という名義で取立てたのであります。それから七千万円は銀行から借入たということであります。三千五百万円は
資本金がそのままここに入つておる、合計一億六十二百五十万円で建設するという、こういう予定で進行して
行つたのであります。そこで、先ほど申しました
承認条件というものを
会計検査院のほうの書類について見ますると、そのうち注意すべき一点だけを一、二給い挙げまするが、「1、
一般的事項について」という中の(2)の所に、「会社の営む営業は原則として直営たること。」となつております。この「原則として」という文字がついてはありまするが、実は全部を
東横デパートと勧銀とが使つているということになつておりますし、それから次に「2、
工事施行について」という所で、「一切の費用は会社におい負担する。」、即ち建物全体は会社が建てたの、あります。その次の「(2)用地は省いておいて提供する。」
つまり国鉄のほうからその土地を提供されたというわけなのであります。それから「3、
土地建物の使用について」、その「(1)会社に使用せしめる用地の地積及び
使用料金等は別途指定する。」これがかなり遅れて協定されたものなのであります。
それからずつとあとなりまして、「4、保守並びに営業について」という所の(3)の所に、「会社の営業については省の承認を経るものとする。」この当時はまだいわゆる国鉄ではなくて運輸省であつたものですから、省の文字が使われているわけなのであります。
それから次の「5、建物並びに
電気設備の
所有権等について」、その「(1)建物は
減価償却年数(
鉄筋コンクリート造六十年、木造二十五年)を経過したときは無慣で省有とする。」つまり今後六十年経てば建物は国鉄のものになる。それ以前は建物を会社が持つておりまして、それに国鉄は借賃を払うという、こういう型約なのであります。先ず大体注意すべき点はそれぐらいのことかと思います。
それで、元へ戻りまして、敷地のことについて申上げますると、池袋駅西口の土地は、まだあの辺は非常に混雑をしております。終戦直後などには、もうあの辺は焼野原でめちやくちやであ
つたのでありまするが、いわゆる駅前のマーケットというふうなものが乱雑に建つておりまして、それがまだ現在でも残つております。その代りあの辺はもう一躍して大変な繁華街になつてしまいまして、昨日も或る新聞にその辺のことが大きく記事が出ておりましたが、それで見ると、土地の人々は、土一升に金一弁じやない、土一升に金二升だたというようなことをまあ育つておるというような
新聞記事が出てお
つたのであります。それが東京都の
区画整理がまだ完了しておりませんので、それが完了すれば、この敷地全部が国鉄のものとなるはずであります。東京都からはその旨が内示されているそうであります。現在では
私有地でありまするので、その関係の地主もこのことは承認をしているわけだそうであります。ところが東京都の
区画整理がなかなか思うように進行しませんので、現在ではその大部分が民有地であり、これに対して国鉄は地代を払つているのであります。その地代は毎月
坪当りで申しますると百八十七円でありまするが、当年度に入りましてこれは二百二十二円に引上げたということであります。その土地の状況は、
会計検査院から一項きましたこの書類の
丁度真中の所にこんなふうに折たたみになつているものがございまするが、こんな工合に非常に混雑した土地なのであります。この土地の上に現在の立派な建物が建つているわけであります。それで、その中には道路も入つております。引物のために道路が潰されておるという所もあるわけですが、それなどは東京都の了解が得てあるということであります。又一部分には東京都自身の所有の土地もありまするし、
東武鉄道に属するものもありまするが、この
東武鉄道に対しては、代りの土地を
東武鉄道に提供して、ここにある
東武鉄磁の土地はこちらが借りてしまつているというような、こういうふうの関係のところであります。
そこで、先ず最初に問題になりまするのは、今も申しまし通り、国鉄はこれらの
私有地の全部、正確に申しますると一部東京都のものがあつたり、或いは道路があつたりなんかいたしますけれども、それはもう全体から申せば五%にもなるかどうかという極く僅かかなことでありまして、殆んど全部を
私有地と考えて頂いても大差ないと思いまするが、この土地全部を会社のほうへ貸付けまして、これに対して会社から毎月
坪当り八十二円五十銭の地代を受取つているのであります。ここに八十三円五十銭と書きましたのは書き誤りでありまして八十二円五十銭というのが正当であります。そこで問題は
私有地を国鉄が借りて、その借り賃として百八十七円を払いながら、それを池袋駅のこの会社に貸す場合には坪八十二円五十銭で貸している。これではみすみす国鉄が損をしているのじやないか、こういう問題が起りまするが、これに対する
国鉄側の答えは、それだけを御覧になると損なようにみえるが、このほかに
構内営業料、この土地の上で商売をしておるならばその
売上高に対して何パーセントかの
営業料を取立てる。それが
坪当り百六十六円ばかりとりまするから、地代と
営業料とを合計すると実は二百五十円収入しているという関係になるので、
営業料というと別のようにみえるかも知れないが、実はそれが地代の一部分だ、だからそれを合計すると二百五十円になるから決して損ではない、こういう答えなのであります。それから建物について申しますると、
承認条件の中に
木造建築部分が云々と書いてありまするけれども、この土地は
防火地区に指定されたものでありまするから、
木造建築は全然ありません。現在では全部が
鉄筋コンクリート造りになつております。それから建物の建築費は全部で一億五千万円ほどのものが
会社負担で作られ、国鉄はそれに対して
使用料を払つているのでありまするが、
減価償却を六十年、これはのちに申上げまするけれども、計算上いろいろな関係になりまするが、とにかくこの
建物そのものとしましては、
減価償却を六十年と見まして、それが完了したならば無償で国鉄の資産となる約束になつております。それから初めは四階建の建物でありましたが、本年の六月十日にこれを五階に増築することを国鉄は承認を与えたのであります。
それから
構内営業につきましては、
承認条件には会社の営業は原則として直営たること、それから会社の営業は国鉄の承認を経るものとすること、それから会社は国鉄の承認なくして建物を第三者に貸付けすることはできないこと、などが契約されているわけであります。又国鉄の
構内営業規則によりますれば、営業は直営ということに定められているのであります。併し実際は先ほど申上げました通り、殆んど全部が
東横デパートの営業となつておりまするし、若干の部分が勧銀の支店に貸してあるというのであります。そこでこれらの建物の中で営業するのを直営でやらないで、よそにやらしているということは、要するに一種の転貸であるというふうに見られるが、
構内営業規則違反ではないかという問題が起りまするが、それに対する
国鉄側の答えとしましては、これは
国鉄総裁の決裁によ
つて構内営業規則の例外を認めたものである。かような行政上の裁量は
国鉄総裁の権限というものにあるのでもあるし、殊にその基本になるところの
構内営業規則、それ自体も
国鉄内部で定めたものであるから、別に
規則違反とか不当だとかいうことはない、こういうふうの一応の答えであります。併しここで考えなければならないことは、
構内営業規則なんというものは、
一般国民にこれが公示されている規則であります。それにもかかわらず特定の人に対する場合に例外を認めるということは穏当ではなかろうと思われまするが、どうすればよいか、即ち一般的な
構内営業規則を改正するか、或いは民衆駅に関しては一般的な規則を定めて、而もこれを世間に公示するか何とかしなければ、この間に何らか割切れないものが残るのではないかと思われるのであります。それから
構内営業料というものは、普通の場合には
売上金額の何パーセントというものを取ることになつているのが普通でありまするが、この場合に
限つて月額二十六万円余というふうに一定額にしたという点があるのであります。この計算の基礎を聞いてみますと、
売上高その他に関していろいろな
推定条件を用いて算出したものであります。その詳細は
検査院から提出の書類がございますので、あとで申上げまするが、それにしましても、
営業規則の
一般原則とは違つたものをこの場合には持つて来たという点が一つ問題でもありまするし、なお又こういう所の営業というものは、だんだんその土地が発展する、
開業早々にはそんなに
売上高は多いものではありませんが、月を経るに
従つて売上面は多くなるはずで、一般的に言えば絶えず増加して行くべきはずのものを、毎月二十六万円というふうに一定額にしてしまつたというところに多少の問題があるのではないかと思われるような節もあるのでございます。
それから、どのくらいの賃賃を取るようにしたか、その計算の基礎は何かという点につきましては、
会計検査院から頂いた書類の第六枚品から第八枚目まででありまするので、これについてはあとで私からもちよつと申上げまするが、或いは国鉄から説明されまするか、或いは
検査院から説明をしてもらいまするか、何かしてしたほうがよいかと思いまするが、特に注意すべき点は、
会計検査院は、この計算をば適当とお認めになつているかどうかという意見を聞くことができるならば好都合ではないかと思いまするが、ちよつとついでに申上げまするが、この池袋の件に関してもほかの問題に関しても、常にこちらのほうへは
検査院から、書類を頂いておりまするが、これにつきまして、
検査院は、こちらへ提出した書数は、ことごとく国鉄から
検査院のほうへ提出されたものを、ただ引き写してこちらへ提出した、だけであつて、この中には
会計検査院の意見というものは何にも書き入れてないということなのでございまするから、それも附け加えて申上げておきます。そうしてこれらの料金は二十六年の八月に
至つてようやく協定をしたのでありまして、
営業開始の時、即ち二十五年十二月分から徴収したのであります。それらは全部完全に納入されているのであります。併しこの場合に、少くとも
土地使用料だけは
工事開始の時、即ちもう少し前に遡つて徴収すべきものであろうと思いまするが、まあどういうわけか、その点が上例なこれは取扱いをされているように思われます。
それから
料金協定については、二十六年の八月に二十七年三月までを
有効期間として契約されておりまして、その後一年ごとに改訂を申込めば改訂し得るということにはなつておりまするが、その後今日までどんなふうに改訂をされたか、先ほども申しましたように、
売上高などは恐らく次第に増加しているというようなこともあろうと思われまするが、聞いてみますると、今日までのところではまだ一度も改訂したことはないとこういうふうの話なのであります。それで、この
検査院の書類の
協定書という先ほど見ましたもののすぐ続きでありますが、紙数で申しますると、表紙共で五枚目のところにございます。で、その
協定書につきましては、これについては別段特に申上げることはございませんが、それに続く次の紙に「3、池袋駅
西口本屋の諸料金の算定方」というものが出ております。それをどう、ぞ御覧を願いたいと思います。
その初めに、日停、
日本停車場株式会社、日停への
貸付面積は千九百二十八平方メートル、そのうち日停自体で使用するものが千二百三十六平方メートル、国鉄が使用する土地の面積が六百九十一平方メートルと書いてあります。これはこの土地の面積のことであります。
次に国鉄の徴収する分、どれだけのものを徴収するかといいますると、この土地、そこにAとしまして
用地使用料金一平米当り三百円を徴収する。これはその一年分が三百円であります。従つてそれを十二カ月に割りますれば、一カ月が三十五円、その料金に対して千九百二十八平方メートル全体を貸付けたという形をとりまして計算をすれば、これだけの地代が入つて来るということになつております。そこでちよつと参考のために、この土地が
坪当り一円くらいにその地価が評価されているかということがここに現われておりませんので、一平方メートル当り三百円と出ておりまするから、これから逆に計算いたしますると、これは年に六分で計算したということでありまするが、
坪当り一万六千五百円くらいに当るように思います。
坪当り一万六千五百円くらいに当る計算になります。若しほかの関係から平方メートルで現わそうというのであるならば、これを三・三で割つて頂きまするとその平方メートル当りの数字がが出るわけであります。あの池袋のあの大変な繁華街、先ほど申しましたように土一升金二升と言われておるその土地が、この価で評価されているということを先ず注意しなければならないかと思います。併し先ほども申しました通り、国鉄は、地代というものは
用地使用料というものだけが地代じやないのだ、その次に並べてある
画業料金というものと、この二つを合せたものが地代である、こういうふうの見解のようでありまするので、先ほどもその点について問題と書いておいたのでございまして、なお御参考までに申上げますると、
勧業銀行におきまして、この土地の地価を評価しております。その
勧業銀行の地価の評価は、一方
工事開始の時、即ち二十四年の十一月を標準といたしまして勧銀で鑑定したものがありまするが、それによりますると
坪当り約十三万円と評価されております。それから若しもその評価の時期を、料金に関する協定ができたのは二十六年の八月でありまするから、それより少し前の二十六年の四月現在の勧銀の評価によりますると
坪当り約四十万円という……ちよつと間違いました。最初から申します、万一間違いましたらいけませんから。
最初工事を始めました時の二十四年十一月を標準にして評価しますると
坪当り七万円、それから
料金協定ができましたちよつと前の二十六年四月を標準にして計算しますると約十三万円という評価ができておりますることを御参考のために申上げておきます。次に、
営業料金につきましては、
売上高の千分の十をとるということがありまするが、併し一階及び二階については千分の十でよろしいが、三階に関してはもう少しその率を低めて千分の四、それから四階については千分の二というふうに率を下げるということになつております。それから銀行などに関しては周囲の事情を考慮した上できめると、こういうふうになつております。それから裏へ廻りまして、売上額の推定というものがあります。これは一階においては一日一平方メートル当り八百四十八円くらいな売上がある、それを一カ月を二十五日として千算をし、且つ十二カ月分、十二を掛けますると、一年間にこれだけの売上がある、一階、三階、四階又これに準じてそれぞれ計算がしてありまするが、
売上高の推定が上のほうへ行けば行くほど、だんだんとこう少く見積られているのであります。そういうような計算をした根拠がどこにあるかということがすぐ続いて書いてありまするが、(註)としてありまするその後で、二階につきましては一階が八百四十八円の売上がある、それの七割五分しかない、従つて六百三十六円という計算が出る、三階については一階の売上一局の六割四分というふうに見る、四階は五割二分というふうに見ると、こういうふうの計算でありまして、すぐその下にこの売上の算定についてはほかの所の主なデパートの実情を調べた上でこういう率を計算したのであるという断り書きが出ております。まあこういう工合にして、余り煩雑でありまするから、少し説明は飛ばしまするが、その次の紙の裏へ廻りまして、以上合計いたしますると、ABCのCとして、国鉄のほうへ徴収するところの合計がこれだけという金額が出ております。ところがその次に、「3、国鉄が支払う分」というところで、建物の使用料金、これは建物は会社のものでありまするから、それを国鉄が借りるということになつております。その際の建物の
使用料金をきめるについては、その建築費を基礎にし、それを何年間に償却するかという償却年数ということが非常に関係を持つわけでありまするが、それは三十八年ということに計算がされてありまして、そこに註が付いておりまするが、これは建物は六十年、それから附帯設備は二十年というふうに見て、これを加重計算して見ると平均して三十八年という数字が出るということが、そこに断つてございます。それが建物の
使用料金でありまするが、次にその次のベージのずつと終りの方でありまするが、B、
用地使用料金、これはちよつと御覧になると変に聞こえるかもしれませんけれども、国鉄のほうではその土地全部を向うへ貸して、そうして国鉄が使う部分は向から又借りると、こういうふうに計算を立てたのだそうであります。従つて
用地使用料金というものを国鉄が向うへ払わなきやならないことになりまするが、その場合においてやはり一平方メートル当り一年三百円という同じ料金を持つて来ましたが、ここに三分の二をかけるという三分の二という率がそこに出ております。これは国鉄は一階だけ使いまして、その上の二階以上の所にはデパートがありまして向うが使いまするから、いわば三分の一を向うに負担させる、国鉄は下の土地そのものを直ちに使つておりまするから三分の二だけの料金だと、こういうふうの計算になるわけと思いまするが、それを六百九十二平方メートル使つておりまするから、それだけの金を向うへ払わなきやならない。それで裏へ廻りまして結局国鉄が支払うところのものの合計は、建物
使用料金がこれだけ、
用地使用料金がこれだけ、従つて最後のところに差引き国鉄は日停から一年間に百十三万円余りを徴収する、こういう計算であるということなのでございます。以上が池袋駅について申上げることなんでございます。
ついででございますから、秋葉原の駅のことを申上げたいと思います。
ガリ版刷りに
専門員室で話しましたことを読上げながら多少註釈を付加えまする。秋葉原駅の構内及び高架線下の……あそこにはお茶の水の駅から秋葉原の駅を通りまして、それからずつと千葉のほうへ出かけて行きまするあの高架線がありまする。その高架線の下が実は主として使用されているのであります。それで秋葉原駅構内及び高架線下の使用願は昭和二十三年から二十四年にかけまして五件ほどの申請がありましたが、遂に二十四年の八月に株式会社旅行文化社というものに仮承認が与えられたのであります。ここに国鉄関係者の名前がちよつと見えております。それから一年余りを過ぎまして、二十五年の十月二十七日付で
承認条件が正式に示されて、工事の予算八千六百万円で二十六年七月から工事に着手し、二十七年の二月に工事が完成しました。これより先ほんの数カ月前すでに二十六年十一月から営業は開始されていたのであります。旅行文化社はその後株式会社産業会館と名前が改まり、更に又株式会社秋葉原会館と名前が改まりまして、当初
資本金一千万円で二十五年十二月に成立したのでありまするが、その後四回増資しまして、現在の
資本金は七千万円となつております。
この工事費の予算は左のごとくに調達されたということでありまする。五千万円は、ここは場所を借りて店を出しておる者がたくさんありまする、その出店者及び銀行などに部屋を貸しておりまするその部屋借人などからの保証金として取立てたものであります。それから二千六百万円は借入金であり、一千万円は当初の
資本金で、合計八十六百万円で竣工をしたのでありまするが、実際の建築費は九千五百五十万円かかつたという話であります。
営業の目的は初めはホテル及び物品販売業でありましたが、後に国鉄の再認を受けましてホテル業は全然除きました。そして現在では物品の販売、飲食店、貸室などを営業としておりまするので、世間ではこれを秋葉原デパートという名前で呼んでおるのであります。
国鉄の
承認条件には転貸を許さないことになつてお
つたのでありまするが、後に
至つて営業目的の変更、例えばホテル業を除くというようなことにな
つたのでありまするが、現在実際営業しておるところのものは貸店による販売業、それから会社直営による販売業及び千葉銀行その他への貸室、信用組合とか何か若干のものが入つておりまするが、それらのものが現に営業をしているという状態であります。
そこで問題は、この前の池袋の場合と同様でありまするが、
構内営業規則によれば、営業は直営に限るとなつておりながら転貸を認めているのはどういうわけかという問題が起るのでありまするが、これ又特別を認めたのであるという回答であります。なお付加えて申しますると、仮にこれを転貸と見たと仮定しても、そこまでで以て線を引きまして、それ以上第二、第三の転貸というものはこれはもう絶対に禁止しているという話でございます。
で、どんな工合に使用料などを定めているかということを見ますると、先ず第一に、国鉄は国鉄の業務上必要な駅舎、切符を売つたり事務をとる本当のいわゆる駅というものを会社の費用で建てさせまして、これを無慣で寄付を受けたわけなのであります。ただで以て寄付を受けているのでありまするが、それじやその反対給付が何かあるべきだということが想像されるのでありまするけれども、それはまあ別問題であります。なおここに注意すべきことは、この国鉄へ寄付を受ける部分についての建設費の予算は七百万円余りであつたということでありまするが、実際には物価騰貴などの関係で二千八百万円余りを要したということであります。これがあとで申しまするように、この会社から国鉄に向つて使用料をもつと負けてくれというような要求が出て来た一つの理由であるというように聞いております。
それから用地の
使用料及び建物の
使用料は一年間百七十余方円でありまするが、これは確定金額を約束したわけではありません。普通の計算方法によつたわけでありまするが、これについてはあとで申しまするが、
会計検査院からの書面で詳細がわかるのであります。ここで念のために申上げておきたいことは建物使用料、国鉄は何も建てていないのに建物の
使用料というのはどういうわけかという疑問が起るかと思いまするが、これは高架線のそのガード下を利用するのでありまするので、その柱或いは高架線の線路それ自体が屋根の代りになるといつたような工合に、鉄道の建物それ自体を今度新しい建物を建てる際に利用するわけでありまするから、そういう意味で建物の
使用料という言葉が出て来るわけなのであります。この計算につきましてはいずれあとで申上げまするが、ほかの場合例えば池袋又は高円寺などの場合と計算の基礎が多少違つているように見受けられるのであります。同じ国鉄でありながらどうしてそんなに計算の基礎を異にしたか、若し仮に秋葉原のほうが正しいならばほかのほうは間違つておる、ほかのほうが正しいのであるならば秋葉原は間違つておるということを指摘されるのではないかと思うのでございます。
それから次に
構内営業料でありまするが、
売上高の一%でありまするが、これも
会計検査院の報告であとから申上げます。ただこの場合に直営でやつておりまする部分の
売上高は幾らと出ておりまするが、これは会社の報告によつております。それは当然のことでありまするが、「「その他」の部分」というところがあります。若しその他の部分というものが銀行などを指すのであるならばこれでよいわけでありまするが、店を借りて営業いたしておるもの、即ち出店者というものの
売上高をこのような方法で推定額としたとするならば、これは間違つておる。私は直接出店者についてこの場合に聞き質しましたところ、出店者は秋葉原会館へ向つて売上料金の何%かを借賃として納めなければならない、それで毎日毎日その
売上高を会社から監督を受けている。その監督の方法としては、現金の出納は一々現金登録機というものに現われるわけでありまするが、あれを毎日会社のほうへ取上げられるんだそうであります。そうして十日目ごとに計算をして、会館へ支払うべきものはその中から引かれて、残りだけを返してもらうというふうに、最も厳重なる監督をやつておるのでありまするからして、その
売上高の詳細はこの会館のほうにわかつているはずであります。決してその推定額などによるようなことはしなくてもよいのじやないかという疑いがここにあるのでございます。
それからどういう工合にこの使用料などを徴収したかと申しますると、二十七年の六月七日に、用地及び建物
使用料の徴収の通知を発したということでありまするが、これもえらく遅いとも言えないかも知れませんが、決して事務の扱いが早かつたとは申しかねるであろうと思います。それは建築工事を始めました最初が二十六年七月でありまするから、ちよつと一年近いものが経過しております。ところが先ほどもちよつと申しました通り、どうも
使用料及び
構内営業料を少し負けてもらいたいということを折返書して会館のほうから願い出ております。その理由はほかにもあるかも知れませんが、さつき申しました通り、国鉄に寄付する処物の建築の予算が余りにも高くついたから、それで代りに負けてくれということが主な理由のように聞いております。そこで国鉄はすぐにも何とか返事すればよいはずと思いますけれども、一年以上を経過しまして、本年の七月の二十九日と申しますると、もはや国会における八重洲口の鉄道会館などの審議が進んでいるときでありまするが、漸くこのときになりまして右の出願を却下しまして、収入告知書を発したというようなわけなのであります。そんなわけでありまするから、このときに発行しました収入告知書は過去約二年ほどに遡つて徴収しなければならないというわけであります。で、用地及び建物の
使用料については二十六年の七月分から、
営業料については実際営業した二十六年の十一月分から、これだけ同時に取立てることにな
つたののであります。ところが実際納めて参りましたのはこれら二日、
土地建物の
使用料と
構内営業料と、これら三品共に二十七年の三月分まで、言い換えれば二十六年度末までのものを納めたのでありまして、その納めたという日は収入告知書を発行した日と同日付でありまするから、つまり向うから金を持つて来たから、こちらから徴収の手続をしたという形と察せられるのであります。従つて今日のところ未納の分が、用地及び建物の
使用料が二十七年度分として百七十七万円余り、同じく二十八年度分として百七十七万円余り、
構内営業料については二十七年度分が四百二十二万円余り、同じく二十八年度の、こちらのほうは半年々々取立てることになりまするので、上半期分が二百十一万円余り、なおもう今日となりますると、恐らく下半期分を取らなければならない、時期が来ておることと思われます。なお、かくのごとくに納入が遅れておりまするが、国鉄の規則によりますると延滞償金、即ち延滞利息というようなものは取ることがないのでありまして、延滞しておけばしておくほど得というわけで、ありまするが、ただ強いて言うならば、余り極端な場合には営業停止をするとか、最後には許可の取消というような制裁はあることはありまするが、それはもう最後の手段でおりまして、通常、延滞償金は取らないということのようであります。
ついでに国鉄とこの会社との人事関係ということについて聞いてみたのでありまするが、これは何も特にこちらから聞くつもりはなか
つたのでありまするけれども、八重洲口の鉄道会館の問題で非常に人事関係が世上の問題となつておりましたので、そんな関係からつい聞くともなく聞いてみたわけでございまするが、一番最初の出願者の中には国鉄関係者の名前が少くとも一名は見えております。その以外の人はどういう人であるか詳しくは聞いておりません。この名前はNという人でありまするが、近年の営業
報告書を見ますると、その中には重役とかいうようなところには名前は見えておりません。もう一つは近年の営業
報告書を見ますると、常務取締役の中に一名だけTという人が国鉄関係者、即ち元の鉄道管理局長をしたことのある人、だという人の名前が出ております。この人は会社創立の当初からの重役であつたとかいう話でありまするが、本年六月に退任しておられます。その退任された理由について世間では何か風評をしておるようでもありますが、これは単純な風評であろうかと思います。
それから会社と出店者との関係につきましては、これはこの前の
委員会におきまして、或る委員のかたからこの点についてこの席上で御発言がありまして、調べることができるならば調べておけということでございましたので、一応聞いてみたのでありまするが、一般の備品を販売する場合には、
売上高の五%を会社が貸賃として徴収する契約であ
つたのであります。これは契約書第五条に出ておりまするが、ところが開店後ほどなく七%に引上げられた。併しまあこれも止むを得ず承諾するよりほかに途がなかつたということであります。なお食堂のほうは利益が多いせいか何か知りませんが、特に一〇%を会館が出店者から取上げるということになつていることであります。ところがそのほかに宣伝の費用とか、雑費とか、運賃とか、いろいろな名義で出店者に会館から負担させられるものがあるそうであります。従つて前に申しました売上金の歩合を取られる、それは表面は七%であるにもせよ、これらのものを合せますと、一〇%から、一二%くらいの負担になるのが通例であるというふうに申しております。勿論この出店者について聞いたと言いますものは、私はただ一カ所だけで聞いたのでありますして、多数の人について聞いたのではございません。併しいろいろな契約書、その他必要な書類は見たのでございます。そうしてこの宣伝費などと言つて取立てられる金が相当多額に上るが、自分たちは余儀なくこれを負担している。併し実際に幾ら実費がかか
つたのか、そんなことは一切知る由もない、こういうふうに言つております。
次に、開店の当初は出店者に会館のほうから便宜を図りまして、成るべく競争営業者のないように商品の種類の違つた物を売るように注意をされてお
つたのでありますが、のちになつてだんだんと出店者を追い払つて、利益の多いようなところは追い出してしまつて、その代りに直営事業を拡張するということに努めておるというふうに悪口を申しております。その悪口は果してそれが真実であるかどうかわかりませんし、追い出されるほうの者に何か過失があるのかも知れません。併し又一方
国鉄側の方針としましては、一体出店者に営業させるということ自体が余り面白くないので、会館自体も直営であるべきはずのものであるから、成るべく直営事業を拡張させるような方針であると聞いたこともあるのでございます。とにかく出店者の申しまするところでは、初めの頃は大部分が出店者の営業であつたものが今では出店者の数は五十四人、その店舗の面積は四八%に減じているということも申しております。
それから本年の七月に国鉄が会館から
構内営業料を徴収するということになつたことは先ほど申上げましたが、そのとき会館は出店者に過去数年分の七百余万円の負担を臨時に課して来たのであります。これは会館が国鉄へ
営業料として納めるべき金額の全部に相当する金額なのであります。そこで出店者のほうでは毎月
売上高の七%を納めている。その中から会館が国鉄へ納めるのが当り前で、改めて出店者が国鉄へ納めるなんということはないはずだというので、出店者が団結して騒ぎ立てまして、
新聞記事にも、例えば八月三日の読売新聞等には大きくそれを掲げてもおりますし、又前回この
委員会で或る委員のかたから御発言がありました通り、或る方面の陳情もあ
つたのでありまして、大分騒ぎが大きくなつたものですから、会社は一時その徴収を見合わせているということであります。
なお最後に会社の営業
報告書を見ますると、毎期多額の欠損を計上しております。本年の上半期の欠損は二千五百万円あります。従来からの欠損の繰越とこれらを合せますと、合計四千四百余万円の欠損を決算
報告書には掲げておるのであります。なぜかような営業が思わしく行かないのかということについてこの出店者の一人について聞きましたところが、これは必ずしも会社が本当の意味でこんなに成績が悪いのじやない、黒字であるべきはずのものである、それをいろいろ内部からくりがある関係上数字の上でこういうふうの欠損が出ておるもののように思われるという風評を立てていたのでございます。それで秋葉原の駅に関しましては、
会計検査院から先ほど池袋駅に関して提出されました資料のすぐ続きに秋葉原の分がございますが、先ず最初に昭和二十五年十月二十七日付の請書を見ますると、それの2というところに、「使用権を他に譲渡し又は転貸することはできない」ということが明示されております。それから3には、「使用期間は昭和二十五年十一月一日から十カ年とする」というふうに一応の年限が定められてあります。勿論それが継続されることは当然のことと思います。それからずつと飛びまして15というところに、「
構内営業については別に東京地方営業事務所長の承認を受けること」とあります。それから次の紙は二十七年六月七日付で使用目的の一部変更を許したというものでありますが、これらの書類に現われておりまする日付を見ますると、これはこの前のときに鉄道会飢について申上げましたと同じようなわけで、日付は、実はもう厳格に申せば、前後いろいろになつております。ただもう本当に書類を整理するために日付を入れたというだけのことでありまして、この書類に従つて、何日にこういうことがあつたというような厳格なことは申すことができないような状態であります。
それからその次に二十七年六月七日付の計数もありまするが、それももう別段申上げることはありません。
その次に
使用料算定についてというところがあります。そこのところを若干申上げたいと思います。それは終りのほうから数えまして三枚目の表のところでございます。その一、
用地使用料というものは、附近の類地の賃貸価格により、この土地を宅地八十九級乃至九十級と類推する。地方税法の第四百十二条を引用して、その九百倍、即ち
坪当り四万五百円というふうにこの地価を算定されているのであります。勿論権利金をへ含まないという条件を備えております。そうしてそれの年六分一に相当するところのもの、即ち二十四百円という
土地使用料を一年間
坪当り取るということになつております。そのすぐ次にその計算、算術がやつてありまするが、これは四万五百円に六分という金利をかけまして、それを三・三で割つてある。そのわけは、元来これは
坪当り四万円というふうに出ておりまするから、それを平方メートルに血さなければならない。平方メートルに直すのには、三・三で割れば出て来まするので、七百三十六円三十六銭というのは、これは一平万メートルという計算なのであります。それから2建造物使用料というほうは、これは先ほど申しました通り、高架線下を使うわけでありますから、現在はあの建物、建築物をどれだけ使うか。言いかえれば、それを利用して家を建てるがためにどれだけ費用が節約されるかという点を見まして、その節約される金額、言い抑えれば建築費を一平方メートル当り六千円とこう見まして、それの年六分に相当する金額を使用料にするというので、六千円にかける〇・〇六で三百六十円にいう金額が出ております。それで以上二口を合計したところの一千九十六円三十六銭という、これが拠用料の単位となるわけなのでありまして、土地の使用料と建物の使用量と双方を合せた意味なのであります。
裏へ廻りまして、使用の土地の面積は一階の使用部分は四百四十二平方メートルだ。一階がこんなに少いのは、一階の方は主として駅が駅の庁舎として使いまするから、会館のほうで使いまする分はこんなに少いわけです。その代り二階と三階は、その建物全部を会館が使つております。次に(1)、これは一階でありまするが、これは四百四十二平方メートルの部分は、
一階も使えるし、二階も三階も使えるわけでありまするから、それで先ほど申しました、あの単価一千九十六円三十六銭というものに五割増をする。三重に使えるから五割増をするということにしましたので、その下に計算してあるまする通り、一・五をかけまして、更にそれに四百四十二平方メートルかけますると、これだけが一階の
使用料に、いや一階と申しましては言葉が悪いのですが、四百四十二平方メートルの土地を、一階、二階、三階と、上のほうへ使用する
使用料だという考え方で、それで二階のほうは使用面積が千六百九十一平方メートル。ありまするが、そのうちすでに申しました通り、四百四十二平方メートルの部分は、前の計算で二階分も三階分も取つてしまつておりまするから、引きましたものに、更に二階のほうは利用価値が少いというようなふうに見られまするのでそれに十分の三、それの三割だけを取るというような計算にされてあります。それから次に、三階の部分につきましても同じように、最初(1)のところで見ました四百四十二平方メートルだけはもうすでに三階分も取つてあるから、その部分を除いて、残りの面積に対して、これは又三階のことであるからなお、利用価値が少いというので、十分の二だけを課するということにして計算されてありまして、結局その三口合計したものが百七十七万四千幾らということになつているのであります。
これで見ますると、先ほど私が、秋葉原の場合と池袋及び岡円寺などの場合と考え方、計算方法が違つておるということを申したのは、ここに一つ問題があるのであります。殊に三階の部分が少し計算がまずいのじやないかと思われる節もございまするし、これらにつきましては、
会計検査院で、最近に詳細に御検査なさつておられまするから、専門家の御見解をあとで承われば結構と存じます。
それからすぐ続きまして、
構内営業料を計算するに当つて、ここに直営部分の売上実績が十四ケ月分ここに出ております。それを十四で割れば一カ月平均が幾ら、それだけが会館直営部分というもののようで、あります。ところが、直営部分に使つておりまする面積、は三千五十五平方メートルで、それ以外に人に貸しておく部分が二千三百平方メートル、従つてそこに3書いてあります「その他の部分の売上予想」は、これは会館ではこれだけの金額の売上げがある。それを直営部分の面積を分母にしまして、その他の部分の面積を分子にしまして、つまり割合で以て計算した、これが予想額と言われるものなのであります。それを私が先ほど、銀行などに貸した部分は余儀なくこういう形をとるべきであるが、出店者自身が営業をしておるものは、
売上高は最も正確に会館のほうにわかつておるのだから、そちらから取つたらばよか
つたのじやないかということを申したのでございまするが、結局かくのごとくにして
構内営業料が計算されております。
それで最後の紙でありまするが、これは収入の告知は、今年の七月二十九日付で告知書を発しておられまするが、同日付で受取つたところのものは最初の一筆だけ、即ち二十六年度の部分だけでありまして、二十七年度及び二十八年度はまだ入つておらないという、こういう報告なのでございます。
それで秋葉原の土地は、先ほどの中にも出ておりまするが、
坪当り四万五百円というふうに計算されてあります。
坪当り四万五百円と見まして、その上に更に営業をしておる、その営業の
売上高に対してはよそと同じように一定の率を掛けるということになつております。そうすると、あの秋葉原の土地は四万五百円くらいな値打と見るべきか。なお又それと比べて池袋のあの繁華街が一万六十五百円ということになるのが果してどんなものであろうか。なおすぐ続いて申上げまするが、高円寺のようなあんな田舎のところ、勿論停車湯の位置でありまするから、その地方の中心地ではありまするけれども、池袋などに比べれば遥かに田舎であるところの土地が
坪当り一万二千円というふうにまあ計算されていることもついでだから申上げておきます。
甚だ同じようなことばかり申上げて御退屈とは存じますが、もう本当の一口ですから、最後に高円寺の部分を簡単に申上げたいと思います。
これにつきましては
専門員室で作りました薄い
ガリ版刷りのものと、なお別に
会計検査院から御提出下さいました横綴の印刷物がございます。高円寺のことを申上げまするが、昭和二十一年に東京都から都市計画に基く高円寺駅前広場の計画が発表され、二十三年に高円寺は
区画整理地区として指定され、国鉄の中央線とそれから東京の外側を大きく幅の広い環状線の第七号というのがあそこを通るはずになつておりまして、予定地になつておりまして、その国鉄の中央線と環状線とがここで交叉をする。そうすれば高円寺の駅のところが中央線の中心となるものであるということが予想されまするので、地元の有志が集まつて高円寺復興協力会というものが生まれたのであります。その計画は、高円寺の駅の建物を近代的の建築で建てまして、それを国鉄に提供する。国鉄が使用する以外に余る都合がありますから、そこには商半施設、即ちデパートなどを設けて、そこで収益を挙げまして、その収益で以て社会事業を営もう、こういう計阿であ
つたのであります。従つて社会事業を営むためには、単に甲合組合であるところの協力会ではいけませんので、財団法人東京
停車場社会事業協会というものの設立を計画されたのであります。ところがその財団法人の代表者も、復興協力会の代表者も、結局は同一人なのであります。なかなか財団法人の認可は容易でありませんのれ協力会の会長である人から駅舎建築の申請が二十五年の十月に提出されたのであります。本当を言えば、国鉄では財団法人の認可があるまでは、相手にする人はないわけでありますけれども、実際問題としてそうも言つておられませんので、復興協力会を相手方と考えまして、二十六年の三月に駅舎の建築を承認したのであります。この財団法人は本年の極く最近、漸く九月四日付で東京都の教育庁から設立を認可されたのであります。認可が下るまでには三カ年を要しておりますが、これについては東京都のほうで少し財力、基本金とか何とかというような面について難色があつたようでありまするが、とにかく許された。従つて今日までの国鉄の交渉は、復興協力会を相手として交渉しておられまするが、今後はこの財団法人を相手にすることになる順序なのでございます。なおちよつとここで一言付加えて申しますが、この復興協力会の人々の一番最初の計画は、ここに立派な建物を建てまして、そこへ自分たち自身で、あの辺の高円寺の地方には小さい商店ばかりがありますが、それらの人の中の有志者が勧工場式にあそこに店を出して、自分たちでやろうということであ
つたのだそうであります。ところが計画を発表すれば多くの人が賛成しますけれども、さていよいよ建築となると金が要る。金を出せと言えば、なかなかすべての人が必ずしも出してくれる人ばかりでないというようなことから、結局その途中でその計画を改めて、これを大きいデパート或いは銀行などに貸すというような方針に改ま
つたのであるという、こういう事情があつたそうであります。
それで今回漸く認可されました財団法人は、東京青少年文化協会というのでありますが、何をするかと申しますれば、文化協会は、三階建の駅舎を建築して、この建物全部を国鉄に寄附してしまうのであります。それからその中で一階と二階の一部は国鉄に使用してもらう。ほかの一部分はデパート及び銀行に貸付ける。デパートというのは白木屋であります。銀行というのは協和銀行であります。そこへ貸付けて収益を上げる。この収益を以て三階に、実は最初の計画は二階建でありましたが、後になつて一階つぎ足しをするということにな
つたのでありまするが、三階に婦人及び青少年のために有益なる各種の社会事業を営むということがその目的であります。で国鉄のな認条件は、二十六年三月二十日付のもの、これ又
検査院のほうからの誓願でわかりまするが、あとで申上げます。
又その中から特に
使用料方面の、金銭関係のことを申上げますると、土地の面積は一千五十六平方メートルで、そのうち六百十四平方メートルは国鉄自身がすでに持つている土地であります。ところが四百四十二平方メートルの現在のところは
私有地なのであります。これ又現在
区画整理が終りませんので、土地の換地などの関係で所有権が非常に複雑な関係になつておりまするが、
区画整理、が終つたならば、この土地は現在はほかの人が持つておりまするが、その土地を復興協力会の会長である人の所有地と交換をしまして、協力会のものになる。それを改めて又国鉄に無位で寄付をする。こういうことになる約束でありまするので、現在国鉄ではこれをば無慣で使用しているわけであります。いわば無慣で使用しているとはいいながら、実際問題としてはもはや国鉄に所有権が移つたも同様でありまするが、なぜそれが名義を国鉄のものにすることができないかといいまするわけは、一つにはまだ
区画整理が終らない。換地などがきまらないという点がありまするのと、もう一つは、寄付条件の中に財団法人から寄付を受けるのであり、個人から受けるのではないということがはつきりしておりまする、そういう点がありまするので、やかましく申せば現在のところ甚だあいまいだということになりまするが、これはまあ一時の余儀ない方法かも知れんと思います。
それから
土地使用料の徴収の開始期は二十七年二月から、即ち工事、この工事は国鉄自身が委託を受けまして、国鉄の手で建築をしたものであります。予納金を納めろということを申請者のほうへ申渡したのがその二月なのであります。従つてそのときからもう土地の
使用料を取るという非常に厳格な据置をとつておられるのであります。実は予納金の納付が遅れまして、納めて来るのが遅か
つたので、実際工事に着手したのは六月でありましたが、併し六月から取らないで、もつと遡つて二月から徴収をしておられます。
それから
土地使用料の計算は、
私有地の部分は現在無償で借りているわけでありまするから、いわば相手方の所有物であり、従つてそういうものには
使用料は課さないというのが当然というわけで、これは無償になつております。ところが国有地の部分に関しましては、地価を一万二千円、先ほどもちよつと申しましたが、一万二千円と計算をしまして、この場合には金利を七%、通例多くの場合には六%で以ておられますが、この場合は七%というふうに見ておられまするので、そうするとその土地の
使用料は
坪当り年八百四十円、それを平方メートル当りに直しますと、年一百五十四円五十五銭となつております。
会計検査院の書類を見ますると、一階からは幾ら、二階からは幾ら、合計幾らと、こうなつておりますが、後に国鉄から提出されました書類、それは先ほどこの席でこの大きい一枚刷りのものを差上げておきましたが、それによりますと少し金額が違つております。それで金額が違つている点を、私のほうからは当局にも、又
会計検査院のほうにも、双方へ御注意を申し上げておきました。その後国鉄のほうからは今朝ほど返事がありまして、少し間違つておつた、これは直すつもりだという、そういう返事がございました。それから土地の
使用料については、国鉄は二十八年の十月十四日、これはもうほんの面々のことでありますが、十月十四日に徴収手続を完了したと、こう書いてはございますけれども、ただ向うへ通知したというだけのことで、少しも収納はしていないはずであります。
なお、この場合に小さいことではありまするが、こういうような建物について国鉄が寄附を受けている。或いはまさに受けようとするような建物を、それに地方税で以て本年の四月からは国鉄としても固定資産税は納めなければならない。若しそれが個人の所有物であるならば、無論個人が納めなければならないわけです。或いは少し私の申の方が……間違いました。私は今土地について申しておるのでありますが、この土地は所有者は飽くまで現在のところでは個人の所有地であります。それを国鉄が無料で借りておりまするが、国鉄は恐らくそれを負担をしていないようでありまして、現在のところでもその
私有地の税はその個人が負担をしておるという状態であるようであります。
次に建物について申しますると、第一期工事は、つまり二階建の建物を最初に作
つたのでありまするが、二十七年の十一月末日に終了しました。それは
承認条件の第五条によりますれば、建築終了と同時に直ちに国鉄の所有になるはずでありまするが、実は国鉄はまだ受取つておりません。所有権の所在は、恐らく形式上は復興協力会の所有のような形になつておるものだと思われます。その理由は、財団法人からでなければ受取らないということでありまするが、財団法人の認可が漸く今年の九月というようなわけで、それがために遅れているという話であります。この一階建の建物の中で、国鉄が使用する以外の部分は、これを申請者が国鉄から借受ける。借受けてこれを更に他人に転貸する、こういうようなことになるわけであります。これは又先ほどからたびたび申しまするように
構内営業規則にも違反するわけでありますが、国鉄は例外的の承認を与えたのだというふうに見ておられるわけであります。
それから建物の
使用料については、国鉄ではこれは徴収はいたしません。それは建築費全部を向うが負担しているからであります。この場合に固定資産税はどうするか。国鉄の物となつても、こういうふうによそに貸してやれば、本年の四月以後は固定費産税を納めなければならないのではないかという問題がありまするが、これはまあこの税金を取りまするのは東京都と思われまするが、今まだ過渡時代、建物が最近に漸くできたという状態でありまして、納めているのやら、又徴収令状が来ているのやら、その辺のことはわからないという状態であります。
それから第二期工事としまして、三階を増築しておりまするが、現在工事中であり、十一月に竣工する予定であるということであります。これは全部を社会事業に充てる予定だということでありまするが、果してその通り全部を社会事業に充てられるかどうか。これはまあ将来の問題であろうと思われます。若し社会事業に充てられるとしまするならば、ここには
売上高というようなものがありませんから、
営業料というものは取らないはずであります。
話は前後いたしましたが、建築資金の調達がどうであつたかと申しますると、保証金としまして白木屋から四千万円、協和銀行から二千万円を取立てました。そうして借入金を協和銀行から最初に三千万円、後に増築する関係で一千万円、合せて三千万円を借入れました。合計九千万円によつて建築を進めるという計画であり、そうして実際の建物は最初に二階建のために六千三百万円を使い、あとで三階増築のために二千七百万円を使う予定であるということであります。
最後に、
構内営業のことを申しますると、これは申請者の直営ではありません。申請者が借受人となり、それが更に他に転貸をいたしまするので、実際の営業者は白木屋と協和銀行とであります。これ又
構内営業規則に違反するわけでありまするが、国鉄はこれをすでに
承認条件の七条の(5)というところにこれを明らかに認めておりまするが、これ又特例を認めたのだという説明であります。それから営明は、
営業開始のときから徴収をすることになつておりまして、本年の十月の十四日に徴収の通知を出したのでありまするが、まだ納まつてはいないはずであります。それから
営業料の金額につきましては、国鉄では、先ほどの一枚刷りのものでは、十五万二千六十五円と書かれてありますが、
検査院から参りましたほうのものでは十七万六千百六十六円となつておりまして、少し金額が食い違いがありまするので、これ又
検査院において国鉄とよくお話合いを願いたいと思う一つの点でもあります。
それで
検査院から来なした高円寺関係の調書の中で、ちよつと注意すべき点を申上げますが、一番初めにありまするのは、二十六年三月三十日付で、これが、いわば
承認条件が記されているわけなのであります。それの「5」というところに「本施設は竣工と同時に国鉄の所有とする。」その表紙とも二枚品の裏のほうで上のほうに「5」とございますが、「本施設は竣工と同時に国鉄の所有とする。」次の「6」、「請願者は請願の内容による財団法人を至急設立すること。財団法人が設立できなかつたときは請願者の寄附を受けない。」こういうことがありまするので、建物はできても、まだ現在寄附は受けていないという形になつているのであります。それから次の「7」「財団法人に駅舎を使用させる条件は概ね次の通り一ということで、いろいろ条件が出ておりまするが、その「(8)」のところに、「財団法人使用部分における営業については財団法人並びに地元区長その他の意見を徴し国鉄において決定する。」ここに地元の区長その他というふうにありまするのは、これは公益的な事業であり、不都合のないように、又世間一般公衆の代表者の意見をも取入れるという、公益性を発揮したつもりだということであります。
それからその次に、二十七年二月二十六日付の書類が、表紙とも三枚目のところに出ておりまするが、それの裏のほうを見ますると、「3、前号工事に要する当局用地外の土地は」即ち
私有地のことでありまするが、「工事着手前に申請者から当局に寄附の手続をするものとする。」ということになつております。これ又財団法人がまだできておりませんので、正式な寄附はまだ受けておりません。それから次に「5」というところ、「この施設物は竣工と同時に当局の所有とする。」これがやはり財団法人ができておりませんから、まだ国鉄の所有にはなつておりません。その次の「6」のところにも「申請者は……南団法人を至急設立するものとし、」法人ができないときには申請者の寄附は受けないということが、重ねてそこに出ております。
まあそのような点もありまするが、その次の紙の一番下のほうに「駅舎使用開始について」というのがありまするが、これは今までのように公の書面を引き写したものじやないのでありまして、ただ、聞くところによりますると、国鉄のほうの或る事務官が、心覚えに書いておられたものがここに出ておるのではないかと思われるのでありまして、駅舎使用開始についてというものは、これで内容はよくわかりまするが、そこに、その裏のほうに、白木屋と復興協力会との契約書、それから次の頁に、協和銀行と復興協力会との間の契約書の要点が出ております。今白木屋の部分を見ますると、その第四条に、保証金として四千万円を受取つたということが出ております。その次の五条に、この保証金は十五年間据置いて、その後四十五年の月賦で返還する。併しながらこの返還金は、白木屋のほうから支払うべき
使用料と相殺するというふうになつております。次の第七条の
使用料は、一カ月について三十二万円也とする、括孤の中に、
構内営業料金を含むということに定めてありまするが、この三十二万円というものを復興協力会と白木屋との間では一定金額に限定しております。売上の幾らというような形でなくて、これは恐らく当局側の、両当事者の間において、絶えず相談の上で変更される金額であろうとは思いまするが、とにかく形式はかような形式になつております。それから次の、協和銀行との契約を見ましても、内容は殆んど同じことなのでございますから、重ねて申上げる必要はないと思います。
その次に用地関係というものが、ちよつと印刷が少し形式上まずいので、いろいろなものが続いて書いてありまするが、実は話はそれぞれ別々になるわけであります。この書類の表紙とも五枚目の、ずつと終りのほうの部分に出ておりまするが、用地関係、それは国鉄がどれだけの土地を使用するか、白木屋がどれほど、銀行がどれほどということが記されてあります。それからその裏に所有区分、これは国鉄の所有地がこれだけあつて、国鉄が寄附を受けた用地と書いてありますが、まだ本当は受けておりません。受ける約束のもので、現在は
私有地という、まあそれであります。
それから建物の使用面積というものがここに一階、二階、それから地下が若干ございます。もう一つ中二階というものが、小さいものが一つあります。それを国鉄と銀行と白木屋とがこういう工合に使つておるということがそこでわかります。
それからその次に十行ばかりいろいろな意見書みたようなことが書いてありまするが、これは国鉄の公式の意見書ではありません。又
会計検査院で記されたものでもないのであります。先ほど申しましたように、今日頂いておりまするこれらの書類の中には、
会計検査院の意見というものはちつとも出ていないのであるそうであります。要するにこの辺に書いてありますることは国鉄の一事務官がいろいろと前後の計算をしたり、相談の材料にするようなつもりで筆をとつていたというものを、
検査院の検査の際に取りあえず何らかの参考になるから一応出せというようなことであ
つたので、余儀なく出したようなものである。従つて決して公式のものでないということを御了承願いたいということでございました。
その次のページに
用地使用料というところがございますが、表紙共第六枚目の表のほうにありますこの
用地使用料、この辺の計算が必ずしも正確でありませんが、今ここに出ておりまする面積は、
会計検査院から出ておる面積でありまして、それを
会計検査院に聞きますと、これは国鉄から
会計検査院へ提出された書類をそのまま複写しただけのものであるということであります。ところが先ほどからお持ちになつております一枚刷りの資料で見ますと、それとは数字が違つておるのでありますそのことは
検査院にも国鉄にも、双方に私のほうから注意をいたしておきました。
それからあとに、なおいろいろなことが、協力会のほうの収支計算、今後数年間どんなことをするであろうかというような、又計算が赤字になるか黒字になるかということまで着いてありまするが、これらも決して公式の書類ではないということを、くれぐれも国鉄のかたから断つておられました。殊に表紙共七枚目の裏のほうのまん中のところに結論と書いてありまするが、三行上のほう、「復興協力会は経費として年間盲万円の支出がいる。」結局協力会は百万円とプラス四万五千円イコール百四万五千円余りの赤字となるということが書いてあります。これを受けまして、その結請のまん中どころから下であります。しかし三階部分の完成によつて営業を開始するならば年間約三百六十万円の収入を予定しているから、そのときは国鉄の
使用料は支払い可能となる三百六十万円の収入を予定している。社会事業からこれだけの収入を予定しているというようなことがほのかに示されているのであります。以上のようなわけでございます。
なお当局並びに
検査院から詳細お開音下されば一層はつきりするかと存じます。いずれにしましても、一カ所だけの契約を見ておりますれば、大したことはないようにも見えまするが、全体を通じて相互比較して研究いたしますると、原則の一貫しておらないものがあるということは一番注意される点だろうと思われるのであります。それからなおものによりましては著しく安く評価されているところがあるのではないかというような疑いも持ち得るのでありますが、併し、その点については私ども全然素人でありますから何とも申上げかねます。