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国務大臣(
岡崎勝男君) これは実は今朝も地方行政
委員会で説明を求められて同じことを申上げたのですが、ダレスさんが話をしてああいうことを言
つた。そこで我々はすぐそれじや奄美群島というのはどれだけの範囲を指すものであるかということを話合
つたところが、なかなかはつきりしないのであります。最後には結局旧鹿児島県に属する島は皆入るのだということになりましたが、これがはつきりするまでには、
ちよつとはつきり覚えておりませんが一月以上かか
つたと思います。それからその次には二、三の施設を
アメリカ軍が持
つているわけであります。この施設をそのままつまり行政協定でやると同じような形に残してもらいたいというので、これは我々は差支えないという二とを言
つたのですが、その場合にでは拡張しようと今ま思えばいつでも拡張できると思
つたから、特に拡張しなくてもいいと思
つて拡張計画もしなか
つたが、実はいよいよ奄美大島返還ということになれば、拡張計画の或る部分については拡張も承認してもらいたいというような話もありまして、これは本当に必要なことならば、それは結構な話だけれども、将来要るかも知らんというので今から返すについては拡張しておくというのはおもしろくないので、これらの点もいろいろ話合いましてこれにも大分時間がかか
つた。そうしていよいよそういう問題も大体話合がついて、さらに今度引継の事項を打合せることに
なつた。引継の事項というのは私どもは素人で比較的簡単に
考えてお
つたのですが、例えばあそこにある通貨をどういうふうに処分するか、今度
日本一が入るわけですが、今までの通貨を全都それは無効とするわけに行きませんから、代えてやるとしてもいつの期間に代えてやるか、又それ以後持
つている者は一体為替法違反になるのか、或いは無効にされるのか、没収されるのかというような問題も出て来ますし、その通貨で金を借りた者に対しては一体どういうことになるのか、或いは営農資金等を
アメリカ側が前貸した場合には、それは一体
あとで返さない場合には
日本側が引受けるのか引受けないのか、細かいことを言うと滞納した者をどういうふうにするか、今までは
アメリカの法律で滞納した、今度は
日本の法律で滞納ということにならなければ、又取扱上どうするか、或いは沖縄にいる奄美大島の人で、今までは同じ
一つの行政区画にな
つているが、今度は全然別個のものになるとすればその取扱はどうするか、殊に
アメリカ側の法律だと子供が生まれると、属地主義といいますか、
日本の子供でも
アメリカで生まれれば二世になるように、
アメリカの市民権を得る。ところが
日本の法律だと属人主義的になるのですが、二重国籍みたいなことになるのではないか。失業した奄美大島の人間が沖縄で働いているのは一体今度
外国人のような者が働いていることになるのか、今までと同様に沖縄も奄美大島も同じ管轄にあ
つたときと同じような取扱になるのか、というようないろいろな法律上、実際上の問題が、たくさん出て来ておるようであります。これを全部
解決しなければ引継ぎができないというものじやありますまいけれども、或る程度のものははつきりしておかないというと、引継ぎできた、奄美大島は完全に復帰したと
言つても、そこにいろいろな混乱が起る場合もありますので、いろいろな点をとに角駄目を押して、間違いのないようにして置く必要はあると思うのですが、そういう問題はこちらでも、いろいろ研究しなきやならん、向うでもいろいろ研究しなきやならん。又あらかじめ研究してお
つても、いよいよ具体的にや
つてみると、ああでもない、こうでもないということも起るものですから、時間がとれておる。それで遅れておるようなわけであります。