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1953-11-04 第17回国会 参議院 外務委員会 第4号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和二十八年十一月四日(水曜日)    午前十時四十一分開会   —————————————  出席者は左の通り。    委員長     佐藤 尚武君    理事            徳川 頼貞君            佐多 忠隆君            曾祢  益君    委員            梶原 茂嘉君            高良 とみ君            羽生 三七君            鶴見 祐輔君            杉原 荒太君   国務大臣    外 務 大 臣 岡崎 勝男君   政府委員    法務省刑事局総    務課長     津田  実君    外務省条約局長 下田 武三君   事務局側    常任委員会専門    員       神田襄太郎君   —————————————   本日の会議に付した事件日本国における国際連合軍隊に対  する刑事裁判権行使に関する議定  書の締結について承認を求めるの件  (内閣送付)   —————————————
  2. 佐藤尚武

    委員長佐藤尚武君) では只今より外務委員会を開きます。  本日の議題は、日本国における国際連合軍隊に対する刑事裁判権行使に関する議定書締結について承認を求める件であります。  本日は追つて外務大臣も出席されるはずでありまするので、その際は総括的な御質問大臣に対してなされるようにお願いしたいと思うのでありまするが、下田条約局長が出席しておられまするので、問題の詳細の点に関しまして下田局長に御質問をして頂くということにいたしたいと思います。
  3. 梶原茂嘉

    梶原茂嘉君 国際連合軍隊に対する刑事裁判権行使に関する議定書に関して、統一司令部として行動するアメリカ合衆国政府が参加しておるわけでありますが、統一司令部として行動するアメリカ合衆国云々ということは、この議定書関連においてどういう意味合効果があるのか。これを一つ説明願いたいと思います。
  4. 下田武三

    政府委員下田武三君) この統一司令部ユニフアイド・コマンドという言葉を使つて来ておりまするが、その法律的な性格は必ずしも明確ではないのでございます。ただその根拠は、一九五〇年七月七日の安全保障理事会決議というのがございまするが、そこで初めて朝鮮において行動する国連加盟国軍隊をすべて統括するものとしてユニフアイド・コマンドというものを設けますことをきめ、同時にアメリカ政府に対してアメリカ人司令官ユニフアイド・コマンド統括者として任命せんことを要求し、同時にそのユニフアイド・コマンドの下にある軍隊国際連合の旗を掲げることを認める、そういう趣旨安保理事会決議ができまして、それによりまして統一司令部というものができたわけでございます。そこで統一司令部は一面におきまして国際的な人格を持つておりまするが、その実質はアメリカ人米国大統領任命いたしましたマッカーサーなりリッジウエーなりというアメリカ人がシュプリーム・コマンダーになつておりまする司令部でございます。そこでまあ一九五〇年以来統一司令部というのができておりまして、もう慣用句としてその性格については何人も疑いを持たないようになつておりますので、本議定書におきましてもそのまま統一司令部という言葉を使つたわけであります。  そこで先ほど申しましたように国際的な人格は持つておりますが、一面シユプリーム・コマンダーアメリカ人であり、その任命アメリカ政府がやつておりますので、米国といたしましてはやはりそのシユプリーム・コマンダー任命権者として、又実際上統一司令部命令というものは米国統合参謀本部等の経路を経まして規制せられておるわけでありますので、そういう関係からアメリカ政府統一司令部という形を通じましてこの議定書関連する、そういうわけであります。でございまするから、米軍将兵がこの議定書適用を受ける客体となつているからという意味ではございませんで、国連の先ほどの決議以来アメリカ政府統一司会部と密接な関係がございますので、その関係において米国政府もやはりこの議定書の当事者として入つて来る必要がある、そういう関係から出て来ておるわけでございます。
  5. 梶原茂嘉

    梶原茂嘉君 統一司令部性格は今のお話で了解したわけでありますが、そうだとしますると、この議定書統一司令部としての合衆国が参加しなくても、議定書としてそれの持つている法律的の効果という点からいたしますと、さしたる意味合いはない、かように考えていいわけですか。
  6. 下田武三

    政府委員下田武三君) この在日国連軍に対しまして、この議定書実施されますと麾下の各国軍隊にいろいろの命令を発しいろいろの示達を行わなければなりませんが、それはやはり統一司令部から発せられるわけであります。でございまするからこの議定書実施を全からしめるためにも、各国ばらばらの単位としてでなくてその上にありまする統一司令部から必要な命令示達を発するということが必要になつて参りますので、やはり統一司令部をこの議定書の中に抱え込んで押えるという必要があるわけでございます。
  7. 梶原茂嘉

    梶原茂嘉君 一応関連性はあるわけでありますけれども、アメリカ軍隊以外の軍人なり軍属はこの議定書によつて刑事裁判関連して拘束を受ける、アメリカ軍に属するものは別途の日米関係議定書によつて規律拘束を受ける。そうしてその客体はそれぞれの何と言いますか刑法関係のことであつて統一司令部命令とかいうものとは直接関連がないような感じがするのですけれどもそこのところはどうなんでしようか。
  8. 下田武三

    政府委員下田武三君) 仰せのように在日米駐留軍に対しましては日米間の行政協定の新しく改訂されました十七条が適用されるわけであります。従いまして在日米軍に対するこの新しい取極の適用は、極東軍司令官としての米軍司令官命令なり示達を行いまして実施の責に任ずるわけであります。ところが在日国連軍につきますと、この議定書に署名しました各国政府ばらばらにそれぞれイギリス政府日本におるイギリス将兵に対し、ニュージーランド政府日本におるニュージーランド将兵に対して、この議定書に署名したから今後はこういうようにやれという命令各国からばらばらにやりましただけでは、国連軍性格からいたしまして足並を揃えた各国一律の実施というものが全きを期せられないわけであります。そこで先ほど申しました国際的性格を有する統一司令部というものから調整のとれた統一的な命令なり示達なりをして、この実施国際的に円滑に実施するということがどうしても必要になつて来るわけであります。その必要から統一司令部というものもこの議定書の枠内に抱え込んだと、そういうわけでございます。
  9. 高良とみ

    高良とみ君 この国連軍との協定ができるまでの刑事違反の件についてはどういうふうな線で、どういうふうに扱つて来ておつたんでしようか。
  10. 下田武三

    政府委員下田武三君) この議定書ができます前の国連軍将兵犯罪につきましては、日本政府国際法一般原則に照して処理して参つたわけでありまするが、ただ正式の国際間の取極ではございませんが、例の吉田書簡という日本政府の一方的な通報がございます。従いまして、その通報吉田書簡趣旨によつて処理して来たわけでございまするが、その吉田書簡というものは実はこの国際法一般原則適用しようという趣旨のものでございまするから、結局特別の条約がなくて国際法原則に放任せられたと言いますか原則そのものに照して処理したわけでございます。
  11. 高良とみ

    高良とみ君 そうすると今のお言葉国際法一般原則従つて放任されておつたという場合は、法務府が実際に当つてつたんでしようか。例えば刑政長官通達日本が自発的に取扱つて来たというような事例があるんでしようか。それとも若しかあちら側との話合でやつたか、そういう点をお伺いいたします。
  12. 下田武三

    政府委員下田武三君) 先方との話合はあつたことはありましたが、合意が成立して取極ができてその取極に基いて処理したという事態ではなかつたわけであります。従いまして何が国際法一般原則かという点につきまして必ずしも常に意見が一致したわけではございませんことは、御承知神戸英水兵事件東京豪州兵自動車強盗事件等につきまして彼我の間に争いが起つた点でも明らかでございますが、今後は議定書ができまして、従来我が方が強く採用方主張しておりました、且つ我が方の見るところの現在の国際法基本原則に最も即応しておると認められますNATO方式によりまして取極ができましたので、今後はもう英豪兵事件のような紛争は発生の余地がないものと考えております。
  13. 高良とみ

    高良とみ君 その国際法一般原則と言いましても、それは日本講和発効後それを完全に実施し得るような状態になかつたと了解して間遠いないわけですか。つまり国際法一般原則というのは属地主義であるというふうに考えてよろしいのですか。
  14. 下田武三

    政府委員下田武三君) 日本平和発効独立国といたしまして国際法一般原則適用し得る地位にあつたわけであります。まあ俗に属地主義とか属人主義とか申しておりまするが、この普通犯罪についてはその滞在国裁判権が及ぶという意味属地主義日本国際法一般原則はやはりそこにあると考え、又今度の取極も俗に言いますならば普通犯罪滞在国裁判権が及ぶということで、属地主義原則をとつておるわけでございます。
  15. 高良とみ

    高良とみ君 更に伺いますが、その吉田書簡にはできるだけの協力をするということを書いてあつたでしよう。そして国連決議に合うようにということであつたと思うのでございますが、それが講和発効後と発効前とはどういうふうな実質的な違いを出しておりましようか。それはもう吉田書簡というものは講和発効前と後とはちつとも違わないので、ただその裁判権に関しては向うが承諾しなかつたというふうに了解しておいてよろしいのでしようか。
  16. 下田武三

    政府委員下田武三君) 実は平和条約発効直前に、つまり発効前から刑事裁判権の取極を作り話を始めておつたのでありますが、平和発効と同時にその協定実施し得るように意見の一致に到達いたしませんでした。そこでそのギヤツプを埋めるために発効直前吉田書簡というものが出されましたので、吉田書簡適用につきまして平和発効前と発効後という区別はないのでございまして、もつばら平和発効後つまり日本独立国なつた場合の処理振りを一方的に通報したわけでございます。
  17. 高良とみ

    高良とみ君 更に伺いたいのですが、実際の例ですがあの頃非常に問題になりました英水兵事件というのはその後どういうふうに処刑されておるのでしようか。英国水兵を通れて帰つてそのまま釈放になつたのか、或いは英国軍法会議で何か処刑になつたのでしようか。
  18. 下田武三

    政府委員下田武三君) 英水兵事件は御承知のように神戸の地方裁判所が実刑を科したわけでありますが、控訴の結果大阪の高等裁判所執行猶予なつたわけであります。この執行猶予ということも裁判権行使の結果としての判決というわけであります。そこで只今お尋ねイギリス側がどういう刑を科したかという点は只今まだ通報を受けておりませんが、イギリス側に聞きまして近い機会にお知らせいたしたいと思います。
  19. 高良とみ

    高良とみ君 もう一点伺いますが、今度のこういう約束ができる前に国連軍将兵の犯した犯罪等は、この問一般米軍も含めての御発表があつたのでありますが、どのくらいであつたのか。そうして特に呉とかああいう地区においてどうであつたかということ。それからその後最近は国連軍日本裁判権を持つておるということになつたために非常に減つておるというようなことがありましようか。
  20. 下田武三

    政府委員下田武三君) 国連軍は御承知のように大体呉、広地区に五、六千人おるわけでございますが、まあ東京エビス・キャンプ等にも少数おりまするが、平和発効後からこの八月三十一日までの件数は全部で五百二十件、月平均に直しますと三十件余りで大体一日一件という発生件数になつております。併しこれはだんだん減少しつつあります。そこで新取極を実施いたしますと、何も日本側に裁判ささるのがいやだという見地からではないのでございましようけれども、やはりますます減少するのではないかという予想が立てられると存ずるのであります。
  21. 高良とみ

    高良とみ君 そうすると今までの五百二十件のうちで日本刑事裁判権が少しでも聞き入れられたという、即ち日本側刑政長官等意見が少しでも国連軍によつて合意されたという例がありましようか。
  22. 下田武三

    政府委員下田武三君) その独立神戸英水兵事件東京豪州兵自動車強盗事件を除きまして他のすべての案件につきましては、何ら我が方の裁判権行使につきまして先方と悶着を起したことはないわけであります。
  23. 佐藤尚武

    委員長佐藤尚武君) 外務大臣が来られましたので、先ほどお話申上げましたごとくこの国連軍関係議定書に関しまして、そうしてこの問題に限つて外務大臣総括質問をして頂きたいと思います。
  24. 曾禰益

    曾祢益君 お尋ねいたしますが、この議定書によつてきめられたことは日本における国際連合軍隊に対する刑事裁判権の問題だと思うのですが、日本における国際連合軍隊という意味ですが、これはもう少しはつきりするとどういうことになるか。例えば外国の軍隊或いは軍隊構成員が一時日本に来るような場合、それは勿論その国が国際連合構成国であつて関係ないのか。例えば勿論それはこの場合は朝鮮に派遣している国、或いは今後派遣する国というように限定しているようですが、例えばフランス軍人日本に来ているような場合には、これは一体日本国における国際連合軍隊ということになるのかならないのか、その点を伺いたいのです。
  25. 岡崎勝男

    国務大臣岡崎勝男君) この今日のやり方だとなかなかはつきりした事実は実際的な限界がむずかしい場合があります。例えばフランスの例をおとりになつたが、フランス朝鮮における軍隊の連絡のために例えば仏印から軍用飛行機で来る人がある。中に乗つている人が国連軍に属する将兵であつて、併し飛行機はインドシナの軍隊飛行機であるというような場合がありまして、これはちよつと厳格にはなかなか行かない場合がありますから一々きめなければなりませんが、大体のところは勿論朝鮮に派遣されている部隊に属する人間であつて、同じ軍人でもその部隊に属さないものは別だ。こういうことになりまして普通の軍人たち旅行者なり何なりという資格になります。今度船の問題がなかなかむずかしいと思いますが、船は大体この朝鮮に派遣されている船とか軍艦とかいうことはきまつておりますが、それが一体任務を解かれて本国に帰るときに日本寄つたのか、それともそうじやなくて本当にただ一時日本寄つて朝鮮に帰るかということは、実際上の取ランシスコ会議でこれこれの条約に一年以内に加入すると言つて 一年経つたときには丁度国会の解散で駄目だつたので、加入して事後承認を求めたというのはこれは非常に異例ですけれども、これもやむを得なかつた。今度のもそういう意味でやむを得ずやつたので、決してこれをルーズに取扱うという考えはないし、又このやむを得なかつた理由については一つ是非国会の御了承を得たい。こういうことは決して我々もやりたくなかつた、こういうことを申上げておきたいと思います。
  26. 曾禰益

    曾祢益君 私に関する限りは只今の釈明によつていわゆるルーズに取扱うつもりはないということを了承いたしますし、今度のやつはまあ内容的にも我が方の主張に合致するものでありまするから、その点は了承したいと思いまするが、これに関連いたしまして、今一つ国会に提出されないほうの、行政協定第十七条を変更するほうの刑事裁判権行使に関する議定書ですが、これは初めのうちは新聞報道だからといえばそれまででしようけれども、独立協定として国会承認を求めるというようなお考え批准条項付き条約にでもされるやに伝わつていたのですが、或いはそれは私のほうの誤解であつたかも知れないけれども、それが最後の瞬間になると、結局これは行政協定第十七条の振替えということで、国会承認を受けないということにされた理由を伺いたいわけなんです。この点についてはつきりした御見解を伺いたい。
  27. 岡崎勝男

    国務大臣岡崎勝男君) これは政策問題としては、結果においては行政協定内容にもいろいろ議論はあつたでしようが、なぜ国会にかけなかつたということの議論が非常に過去においては多かつた従つて或いは国会にかけたほうが簡単に通つたかも知れない、まあ内容は別として形式的にはそうなつたかも知れないという考え方もないことはありません。ありませんが、政府としては、当時両院において安保条約承認を求めるときに、これはさんざん申上げたことですが、第三条で「アメリカ合衆国軍隊日本国内及びその附近における配備を規律する条件は、両政府間の行政協定で決定する。」こう書きまして、特に「両政府間」とこう書いておつて、その説明にもこの条約承認されれば、その条約の範囲内において両政府間で協定しまして、これは国会承認を得ない予定になつておりますということを何遍も申してそれで結局においては承認を得たのですから、そこでこれは国会にかけないという主張を続けて来たわけで、まあやり方としてはうまいまずいはこれは別ですが、そういうことでずつと来ておりますものですから、私のほうでは行政協定の改訂はやはり国会承認を得ないでやるが、その中味は、勿論国会意思はつきりわかつておりますから、できるだけそれに沿うように努力する。こういうことで来ておるので、これは安保条約以来の問題で、繰返してもなんですがそういう主張でずつと来ておるものですから……。
  28. 曾禰益

    曾祢益君 折角良心的に一時やられようとしたのに、前の安保条約の第三条で行政協定国会にかけないということにしてあるので、結局昔の悪い方に右へならえをしたというのは非常に遺憾だと思います。そういうことでなくて、ああいうふうに書いてあるから、それでいいものも国会にかけないというようなことでなくて、やられたらなおよかつたのではないかと思うのですが、これは政治的見解の相違ですが、私としては成るべく条約というものは国会承認を求めるという基本方針帰つて頂きたい。今回、どうも今のお話を聞いても又新聞等で伝わつた空気から言つても、一時非常に良心的にやろうとしたのが、前の政府の立場にこだわつて、再び行政協定関連の事項は国会にかけないということに帰られたのは非常に残念であるし、今後とも刑事裁判権関係だけでなくて、行政協定内容についてこれを変えて行かなければならないものが多々あると思うので、そういうものが全部国際協定という恰好をとらないで、国内法的に改訂できることもあるでしようけれども、いやしくも両者の協定によつて変え得るようなものは、改善し得るものは、やはり大原則帰つて過去の経緯にとらわれずに、国会承認を求めるという態度を重んじて頂きたいことを希望として申上げておきます。  最後にもう一遍裁判管轄権の問題について先ほど聞き落したので伺いますが、今度のまだ議定書に署名してないで日本軍隊を置いている国は、例えば継続的に置かなくても先ほど例がありましたフランス軍隊或いは軍隊構成員等日本に来る場合には、これは国際法原則従つてやるという点だけが残つて、これらの国がこの議定書に調印署名しない限りは、NATO方式による裁判管轄権の我が方に対する帰属というものは明確にならないのじやないか。そこ従つていろいろ事端が起るのではないかという心配を持つのですが、議定書に習知しない国がまだ相当あるわけなんですが、そういう点についての心配はないかどうか。又これらの国々が全部議定書に調印する形になつているのか、或いは逆に事実上日本軍隊をやや継続的に置いている国は、この議定書に調印した四国であるから殆んど問題が起らないからいいというふうに見るべきか、ここらの点の御説明を願いたい。
  29. 岡崎勝男

    国務大臣岡崎勝男君) これは事実上署名してない国に対しても問題は私は起り得ると思います。例えば現にフイリピンの兵隊などについて裁判問題が起つたこともありますから、そこでできれば皆調印してもらいたいと思いましたけれども、やはり国内的な手続その他が国によつて違いまして、これらの署名した国は実際上軍隊として日本に施設、区域を持つているわけであります。これだけは非常に公務公務でないかということがはつきりわかるわけですからこれだけは急いで調印さしたわけであります。ほかのほうは大体休暇で帰つて来るような公務以外の場合が大部分でありまして極く稀に統一司令部司令官としてここにハル大将がおられるものですから、それと打合等の要務で極く稀に高級の将官が来ることがありますが、それ以外は殆どありませんので、先ずこれだけを急いだわけであります。  そこでそのほかの国に対して一体どうするかというと、大体これは、まあ法律的にはそういうことは申せませんから、私の口から言うのはおかしいのですけれども、主なる国連関係軍隊がこういう調印をしましたから、これよりも有利な扱いをするということは彼らも予期してないようであります。これに準じて取扱ができる。殊に公融以外のものが大部分でありますからしてこれはできる、こう私は考えております。又各国でも大体、勿論法律的には承認しておりませんが、できるだけ早く国内手続を済ましてこれに参加したいという気持があるようであります。法律的にはちよつとむずかしいかも知れませんが、実際上は余り問題がないのじやないか、こう考えております。
  30. 曾禰益

    曾祢益君 これで終りますから。大体なるべく速かに派遣国に対しては議定書の署名に加わるように勧誘する。その他のことは国際法原則に従うという一般的な原則があるけれども、それよりも具体的にはやはりNATO方式で、公務以外は日本裁判管轄権主張し且つ行使しても大体トラブルは起らない、仮に起ることはあつても建前はやはりそれを貫いて行きたいと、こういう考えと思いますが、そういうふうに了承してよろしうございましようか。
  31. 岡崎勝男

    国務大臣岡崎勝男君) その通りでありまして又各国もこの協定国際法と言いますか、国際慣習及び国際通念に近いものであるということは認めておりまして、これに反対の意思はないのでありまして、ただ国内手続上今署名できないということでありますから、私はこの協定に準じて取扱えるとこれはもう信じております。
  32. 高良とみ

    高良とみ君 今の関連で。そうすると、まだ署名してない国の国内手続というのはどういう点に困難があるのでしようか、ちよつと御説明願えれば。
  33. 岡崎勝男

    国務大臣岡崎勝男君) これは或る国によつて閣議等の決定でいい場合があります。或る国ではやはり事前に国会承認を得る必要があるのじやないかと考えております。これはつまり何と申しますか、今まで向う主張して来た国際法慣習という意味が違つておりましてアメリカの過去の行政協定なみにということで主張して来ております。今度はそうすると、何か観念的には裁判管轄権日本に相当程度とられるというような考えになつて来るものですから、これは国会承認を得ないと自分の国に不利益なほうの協定に入るからして国会承認を得ておいたほうが安全だという考え方の国もあるようであります。これはおのおの国によつて違いますけれども、そういう意味国内手続を急いでそれから入ると、こういうつもりのようであります。
  34. 高良とみ

    高良とみ君 もう一遍。今まで済んでおらない一般協定というのも、やはり各国国会承認等が必要とすれば、非常に長くむずかしい問題になるのではなかろうかと考えられるのですが、そうしますと、この裁判権のことの承認も得にくいのでありまして、一般協定はなお更にむずかしいと了承して間違いはありませんか。
  35. 岡崎勝男

    国務大臣岡崎勝男君) 一般協定と申しましても、実はほかの問題は例えば税金を取るとか或いは或るものを免除するとか、家賃を取るとか地代を取るとか、こういう種類のものであります。これは日本軍隊として国連軍がおる国、つまり何と言いますかコモンウェルズの国々です。その国以外には実際上ないのであります。従いまして今度一般協定は全部カバーするように書きますけれども、実際上適用があるのは呉その他におりまする、いわゆる英豪軍と称するものに対するものですから、ほかの国には直接関係がないと考えております。
  36. 高良とみ

    高良とみ君 了承いたしました。
  37. 佐多忠隆

    ○佐多忠隆君 先ほどの御説明で、この協定ができる前は国際法一般原則或いは吉田書簡従つて取扱われるのだという話なんですが、そういう国際法一般原則で扱うということになれば、この議定書で認められたようなことは既定の事実として考えているのでありましようか。従つて従来でも現在よりか、より日本に不利であつたということは考えられないのじやないかという気がするのですが、成るほど二、三のいろいろな係争ありましたけれども、ただそれは日本国際法一般原則独立国として完全に主張しなければならない点に関連しているだけに過ぎないと思うのですが、その辺はどういうふうにお考えになりますか。
  38. 岡崎勝男

    国務大臣岡崎勝男君) NATO協定発効しましてからはちよつと別としまして、先ず話をNATO協定発効する前の、過去一年半以上になりまする論争といいますか議論のわかれ道は、我々のほうは一般国際法原則に基いて国連軍に対する裁判管轄権行使する。その一般的原則というのは内容はいろいろありますがとにかくそういうふうな主張をしている。ところが国連側は一般的な国際法原則ということについてこういうふうに主張しておつたのであります。それはつまり動機は如何にあれ、つまり日本が頼んだとか頼まないとかということは別として、或る国の中に外国軍隊を置いた場合に、その外国軍隊に対する取扱に差別があるという理由はない、外国軍隊に対して特権等を与えるのに或る国には厚くし、或る国には薄くするという理由はない。いわんや国連軍アメリカ軍と同様に朝鮮戦線で同じように働いて来たものであるからして、国連軍日本の国内に置くといつた以上は、アメリカ軍も国内に置く。そういう点から国際法の大きな枠から見れば、どつちも日本の国内に置いてある軍隊であるからして取扱は同等であるべきものである。そういうふうに国際法原則はなつているのだという主張をしております。我々のほうは初めはアメリカには頼んで置いた、国連軍はいわば置いてやつたのだ、従つてアメリカ軍国連軍は差別待遇になつても仕方がないじやないかという議論もいたしておつたのであります。そこに区別がありました。従いまして行政協定が改正される前は行政協定と同じような取扱をしてくれ、こういう主張であります。我々のほうは行政協定アメリカ軍隊を頼んで置いているのだから、特にいろいろな点でアメリカ軍に工合のいいようにしてやつたのだが国連軍はそうじやないのだから、これはもつと一般的な国際法の観念で行くのだという主張をして分れておつたのであります。従つてどつちにしてもといいますか、議論が分れておりまして向うの出張とこちらの主張は随分違います。従いましてNATOができますとアメリカもこの協定で行くのだから国連軍もこの協定で行くのだということについては、国連軍は初めからアメリカと同等待遇ということですから文句はない。こちらもNATO協定なら国連軍に対しても別に差支えないとこう思いましたから、今度は意見が一致しましたけれども今までは違いました。従つて国際法原則を厳重に履行するという主張内容がそういうふうに違つておりましたから、こちらの主張を無理やらに通せば別ですけれども意見の相違があつて、なかなか思うように円滑には行かなかつたというのが事実であります。今度はそれが決定したからこれから都合よく行くだろう、こういう考えであります。
  39. 佐多忠隆

    ○佐多忠隆君 そうするとこの協定によつて従来よりもよくなつた、少くともトラブルはなくなつた、御説明によると従来よりよくなるのだから急いでやつたのだし、国会のほうでもこれには異議がないだろうというふうに大臣の繰返しの御説明があつたのですが、今のお話を聞くと仮に国連軍側が主張していたような、外国軍隊との均衡を得るという説に屈服すれば、現在の協定のほうがより日本にとつて有利だということになるのだけれども、当初日本側主張した国際法一般原則によるという考え方からすれば、むしろ一歩後退して国連軍側の言い分に屈服をしたほうがよりいいのだという議論になるが、そういう意味から言えば無協約状態でいい、若し日本側主張を完全に独立国として厳重に主張し通すということを確保されるのならば、そう急いでさつき言われたような国会承認を受けることなしに無理をされる必要はないんじやないかという気がするのですが、それらの点はどういうふうにお考えですか。
  40. 岡崎勝男

    国務大臣岡崎勝男君) これはこの前にもここで御説明をしたと記憶しておりますが、日本側国際法原則従つて裁判管轄権は行うんだという主張の下に、国連協定の案として提案しましたものはNATO協定なんです。従つてこれと同じものを提案した。先方はそれを承知しなかつたのであつて、そのときはつまりアメリカ軍にNATO協定適用されていないからアメリカ軍と同等待遇だ、こういう主張をしておりました。従つて日本側考えておりましたのは、この協定なんであります。これは当時はまだ国際法原則としても、或いは慣習としてもまだ実際上は存立していなかつたのですが、併しこれがいずれ早晩原則的なものになるのだからこれで行くんだということを日本主張しておりました。従つて私としては日本側主張がこれは通つたというふうに威張りやしませんが、たまたまNATO協定発効して、行政協定も変るようになりましたから自然こうなつたのでありますが、実質的には国連側に対する日本側主張がそのまま取入れられた、こういうことになるのであります。
  41. 佐多忠隆

    ○佐多忠隆君 そうすると、この従来は国連軍に対しては若干差別待遇というと語弊がありますけれども若干違つた扱いをしようとしておられたのに、今後は均等の待遇を与えるというふう下方針を変えられたのかどうか。というのは先ほどの御説明にもあつたように、或いは駐留軍が日本に駐留する場合の根拠と国連軍が駐留する場合の根拠とはおのずから違うのであつて、それならばそれに相応したいろいろな相違も出て来ていいはずだと思うのですが、それらの点はもう今後は全部放棄しちやつて、いろんな点において完全に均等方式で行くんだというふうに方針を改められているのかどうか伺いたい。
  42. 岡崎勝男

    国務大臣岡崎勝男君) これはつまり日本側としては当初アメリカ側には厚い待遇をしようとして行政協定を作つたのでありますが、アメリカ側がNATO方式で結構であるということになりましたからそれに強いて厚い待遇を与える必要もない。先方もこれで結構だと、こういう考えですから、結局実質的には国連軍についてもアメリカ軍についても同じ待遇になる、こういうことになるのであります。
  43. 佐多忠隆

    ○佐多忠隆君 それは裁判権についての問題でしようが、その他の財政経済条項あたりではどういうふうになるのか、例えば電気ガス税だとか施設の賃貸料とか輸入物資の関税、砂糖、酒の消費税等の免税、そういうふうないろんな問題があると思うのですが、それらの問題は現にどういうふうに扱われているのですか。或いは駐留軍と同じに扱われているのかどうか、今後はそれらの問題はどういうふうに扱いをされて行くか、全部こういう問題は均等方式で行くというようにお考えになつているのか。
  44. 岡崎勝男

    国務大臣岡崎勝男君) これは今までは御承知通りやはり同じような仕組で、アメリカ駐留軍は家賃地代等は払つてはおりますけれども、これは防御分担金等から払つているので日本政府として半分出して、その中から払つている、従つて無償というわけじやないけれども実際は半分は日本が負担しておる、こういう恰好になります。それに対して国連側に対しては今まで家賃や地代を払えという主張をしておつたところが、国連側はアメリカと同等待遇、殊に家賃地代以外の税の問題、これを同等待遇にしてくれという主張があつて今日まで意見が合わなかつたのであります。併し最近になりますと休戦協定もできまして、国連軍もそういつまでもいるんじやないというような予想もだんだんつきつつある現在でありますから、元来国連協力ということは口だけではなくして実質的に我々は協力の実を挙げるべきであるという考え方もあるのでありまして、余り国民の負担に大きくならない、つまり余りたくさんの額をこちらで負担するのでなければ、協力の趣旨からいつて家賃地代或いは税金等については、考慮してもいいんじやないかという意見国会内にもありますし政府部内にも起つておりますが、まだ決定はいたしておりません。そのために一般協定は実際上遅れておる、こういうわけなのであります。
  45. 佐多忠隆

    ○佐多忠隆君 若し今おつしやつたような施設の賃貸料或いは関税の問題等等に至るまでアメリカ駐留軍と同じになるということになれば、日米の間に特別の行政協定を作つていろいろきめられたこと、それから単に国連軍に対しては吉田・アチソン交換公文で規定されたその違いが抹消されてしまつて、或る意味では国連軍自体と行政協定々結んだということと変らないようなことになつてしまう。そういう点では一歩どころじやなくて二歩、三歩後退して殆んど日本独立国としての面目をつぶして行くことになるのじやないか。成るほど今おつしやつたように経済的の負担その他は余り大きいものでもないかも知らんけれども、これは単に経済的の負担だけの問題ではなくて、もつと重要な問題じやないかと思うのですが、その辺はどういうふうにお考えになつておりますか。それとも、もうそういうものは全部やはり解消してしまつて、いわゆる均等方式なんだというふうにお考えになるのか。
  46. 岡崎勝男

    国務大臣岡崎勝男君) これは私は家質地代を日本で負担したからといつて独立国の面目をつぶすとか何とかいうことじやないと思うのです。むしろ日本に若し財政的の余裕があつたらそんなことはもう問題にせずにしてやつて然るべきものだと思うのですが、ただ財政上の問題がいろいろありますので思い切つてまだ決定までに至つておらない、大蔵当局その他のいろいろ相談をしておるということでありまして、金さえ問題でないならばむしろそんなものは皆負担してやるといつてもいいんで、国連軍を国内に置くということの可否のついてはいろいろ議論がありましようが、置く以上は便宜を供与する。その程度の問題でありましてどの程度やるかということでありますから、これはむしろ財政的な能力というふうな程度の比較問題になるので本質的な問題じやないと、こう私は考えております。
  47. 佐多忠隆

    ○佐多忠隆君 その点は施設の賃貸料だけじやなく、関税の問題についても或いは労務調達その他の問題についてもそういうお考えなんですか。
  48. 岡崎勝男

    国務大臣岡崎勝男君) 労務の調達についてはアメリカ軍との間にもいろいろ意見議論があり最近だんだん固まりつつありますが、関税等はやはり同様のことだ、要するに税収入でこれは国内の産業を保護するためとかいう理由はないので、要するに税収入を確保するかどうかということ、これはまあ予防措置になりますが、税かなくてただで入つたものが闇に流れて国内で売られるということを防がなければならない。こういう点はありますけれども要するに財政的な問題になる、こう考えております。
  49. 佐多忠隆

    ○佐多忠隆君 その点は関税、税の自主権の問題等々に関連して単に経済的な問題だけではないと思うのですが、これは意見の相違になりますから別の機会に述べますが、そうすると今のようなお話でまあ相当むしろ後退をし譲つておるとしか我々には思えないが、而もその譲り方の真意は、恐らくさつきもちよつと言われたように、この国連軍日本に駐屯をするというのは、朝鮮における現地行動に従事する国連加盟国が、その軍隊日本国内及びその附近において維持することを許し、且つ容易にすることを約したという意味で、朝鮮における事態はすでにこういうことの必要のないようなことになりつつあるし、この問題がもう早い機会に解消するのだからそう大したことじやないのじやないか、という御意見のように承わつたのですが、それならば今のような国連軍の地位に関する一般協定の協議もさることながら、もつと根本的に国連軍はもう要らないのだ、帰つてくれというような意向をお持ちかどうか。更にはそういう気持で折衝しておられるのかどうか。私たちはそうであつて然るべきだと思うのですかその点はどうなんですか。
  50. 岡崎勝男

    国務大臣岡崎勝男君) これは元来国連軍の後退というものが、例えばアフリカの中で行われるとか同様なような行動が日本より非常に遠い所で行われれば、日本としては国連憲章の指示に従つてこれに声援を与えたりできる範囲の協力をするということにとどまりますが、これが朝鮮という日本の直ぐ隣の所で行われておりますと意味が大分違つて来ます。つまり国連憲章の平和維持という大原則に協力するのだということ以外に、日本の治安その他にも非常な影響のあることであつて、もう申すまでもなく朝鮮動乱の初めに釜山の近くまで北鮮軍がやつて来たときに、山口県とか福岡県とかの人心の動揺というものは非常に強かつた。その他から思い合せると日本の利益のためにもなつておると少くとも私は信じておる。従いましてできるだけの協力をいたすのであり、これは単に声援ではなくして日本のためにもなるのだから実質的にもできる範囲で協力をする、こういう考えで来ておる。  そこでそういう考えからいたしまして、要するに長くないかも知れないという予想もついておりますから、結局これは財政上の程度の問題になりますから成るべくならば実質的にも国連協力の実を挙げたいというのが先ほど申した趣旨であります。それで国連が要るか要らないかは政治会議の動向に非常に大きく影響される問題でありますが、諸外国も非常な費用を使つて軍隊を出しておるのでありますから、要らないものをいつまでも朝鮮に置いたり日本に置いたりする気持があるはずはありません。ただ国連決議等がありますからこれに従つて行動しておるわけであります。従つて問題は、政治会議の動向を考え国連がどう決議をするか、もう今までのは要らなくなつたというようになるかならないか、それに基いて各国も行動するのであつて我々も国連の判断を待つ以外に、今まだ決議も有効であり、各国も兵隊を出して事態を見守つておる現在において、もう要らなくなつたという日本だけの判断をして帰る交渉をするということは只今のところ考えておりません。私の仄聞するところでは英豪軍等はできるだけ早く引上げたいという希望もあつて、政治会議の結果を大いに期待して待つておるというようなふうに了解しております。
  51. 佐多忠隆

    ○佐多忠隆君 今のお話だと、外務大臣はもつぱら朝鮮の政治会議の決定を待つてそれに従うのだというようなお気持たと思うのですが、そういうふうに向うからきまつたらそれに従うのだというのじやなくて、やはりその政治会議の決定がどうなるかということについては、日本かどう考え日本がどう希望しておるかということも決定に対する大きな因子の一つになり得るのじやないか。外務大臣は曾つて朝鮮の政治会議にも、日本からの出席或いは日本の発言をしたいというような希望なりを持つておられ、或いはそれを主張されたようにも思うのですが、そういう立場からいえば、やはり向うでどうきまるかということを待つのでなくて、こつちからどうきまるかということについて若干でも働きかけるという必要も非常に強いのじやないか。そうだとすればもつと積極的にお考えになつて、而もあそこでは外国軍隊を両方とも撤退した上で平和的な統一政府を作るのだというような方向に進めようと各国がしておる。殊に今おつしやつたようにイギリス連邦諸国はそういう主張を強く考えておると思うのです。やはりそういう傾向なり方向はむしろ日本側も積極的に促進をするということのほうが必要なんじやないかと思うのですが、外務大臣はどう考えられますか。
  52. 岡崎勝男

    国務大臣岡崎勝男君) 政治会議の構成等につきましては例の中立国の問題その他がありまして、派遣した国の主なる代表者ということに国連軍側では強く主張してれるようでありまして、従つて日本としてその中に加わるということは諸般の関係上国難であろうと思いますが、併し日本朝鮮の隣におつて非常に重大な役割をしておることは事実であり、又各国もそれを認めておることでありますから、これに対して日本の鷲見が反映するようにいたすことは当然だと考えております。その方法はいろいろあるだろうと思います。その方はいたしたいと考えております。併し私の考えでは一体朝鮮動乱というものは何で起つたか見てみますると、やはりこれはアメリカ軍等が、私は仮想にというのは語弊があるかも知れませんが、撤退したあとで起つたのでありまして、国連軍の今回の撤退ということは余ほど将来のことを考えて慎重に扱わないと、再び平和が乱されるようなことがあつては非常によくないことになりますから、これは余ほど考えなければならないだろうと思います。単に撤退すればいいという問題ではなかろうと考えております。
  53. 佐多忠隆

    ○佐多忠隆君 そうすると外務大臣のあれでは外国軍隊が撤退することは、むしろ現在の段階においては慎重に考慮し、従つてむしろ反対的なんだというふうなお気持なんですか。
  54. 岡崎勝男

    国務大臣岡崎勝男君) いやそんな……外国軍隊が撤退しないほうがいいというまあ簡単なことを言つておるのではなくして、外国軍隊が撤退するということはもう原則的にいいことは問題ないので、そんなことを議論しておるのではないのです。ただ撤退したが故に、又再び平和が乱されることのないように慎重なる措置を講じたのちでなければいけないのじやないか。却つて又再び動乱が起るようなことがあつては相成らん。これは過去の例もありますから、その点は十分考えてやらなければならんじやないか、こういうことであります。
  55. 佐多忠隆

    ○佐多忠隆君 その点について李承晩政権なり或いはそれと一体になつておるアメリカ等々の考え方は、今外務大臣がおつしやつたような方向で、むしろ結果としては外国軍隊が半永久的に駐留をしているということになりかれないのかも知れませんが、併しあの政治会談の議題をきめたときでも、朝鮮からのすべての外国軍隊の撤退と朝鮮問題の平和的な解決というような議題として、とにかく問題は非常に困難ではあるが、どうして撤退させるか、それらの条件をいろいろ案出し整えるということがあのときの両者の一致した意見つたかも知れません。それがもつと推進されなければならないと思います。そういう考え方からすれば撤退がむずかしいだろうということもさることながら、むずかしくはあるがなお且つ撤退をするというようないろいろな条件を整えるにはどうすればいいかということを、もう少し積極的に考えるべきだろうし、特に日本の場合なんかには利害関係が非常に多いので、そういう方向でそういう心がまえであの政治会談を見守り、更にはそういう方向で日本意見が反映されるように努力をするのが当然だと思うのですが、それらの点については外務大臣はどうお考えになりますか。
  56. 岡崎勝男

    国務大臣岡崎勝男君) それはお説の通り当然だと思います。
  57. 佐多忠隆

    ○佐多忠隆君 そうするとそれらに関連して一般協定その他を結ぶということもさることながら、もつと日本に駐留することの必要がないという方向に持つてつて然るべきではないか。国連軍日本の駐留に対してもそうだと思うのですが、その辺の方向への努力をなさるつもりなんですか。
  58. 岡崎勝男

    国務大臣岡崎勝男君) それは日本に駐留するとか何とかいうことじやなくて、朝鮮の問題が早く平和的に解決して、外国軍隊の駐留が必要がないように努力すべきことは当然だと思います。それから国連軍一般協定というものは今申しました通り、まだ支払も済んでいない地代だとか家賃だとかいろいろなものがありますから、これは要らないなら要らない、要るなら要るでいずれにしてもたとえ明日撤退するにしても協定は必要なんであつて、つまり今まで過去一年有半に亙つておりましたことについてのいろいろな財政上の措置をどういうふうにきめるかということはいずれにしても要ることであります。
  59. 佐藤尚武

    委員長佐藤尚武君) 今朝のこの委員会での外務大臣に対する質問はこの程度で一応終了するということにしたいと思いますが、御意見如何でございましようか。
  60. 曾禰益

    曾祢益君 異議ございませんが、只今佐多委員からも指摘されたようないろいろ大きな問題がございまするから、今日は我々の約束通りにこの特定の問題に関連する質問はこのくらいにしまして、一般的な外交政策等に対する質疑応答のために速かに適当な十分な時間を委員会で設けて、そうして外務大臣の都合を聞いて別に一般質問の時間をとつて頂きたい、かように考えます。
  61. 佐藤尚武

    委員長佐藤尚武君) 只今の曾祢委員からのお申出でもありまするし、私も外務大臣とそういう点についてお打合せをしたいと思つてつたところであります。  ちよつと速記をとめて下さい。    〔速記中止〕
  62. 佐藤尚武

    委員長佐藤尚武君) 速記を始めて下さい。  それでは本日の外務委員会はこれで散会いたします。    午後零時九分散会