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井堀委員 政府を代表いたします総理
大臣に
お尋ねいたしたいのでありますが、御
出席がございませんので、これにかわるべき
責任ある御答弁を国務
大臣にお願いしようと思いますが、国務
大臣は
労働大臣お一人のようでございまするので、かわ
つて御答弁を願えるならば、
責任ある立場においてはつきりお答えをいただきたい。もしお答えができなければ、保留いたしまして、総理の
出席の機会を得て
お尋ねいたしたい。次は各省の
関係事項についてもそれぞれ所管されおりまする
大臣の御意思を
お尋ねすべきが妥当と思いまするが、これも御
出席がありませんので、国務
大臣の資格において、これが代行できるならば、これにかわ
つての御答弁を願いたいと思います。
第一に
お尋ねいたしたいのは、去る本会議におきまして、
政府は
仲裁裁定の尊重をそれぞれ明言されております。当然なことでありますが、その
裁定を尊重するという具体的内容について、
お尋ねをいたそうと思うのであります。今
裁定につきまして、この
委員会におきまして、仲裁
裁定委員会の
委員長から明らかにされておりまするように、中心は何といいましても、基本給の昇給を含む経済
要求であります。でありますから、こういう一切の
裁定を尊重し
実施するという
意味であろうと思いますが、ここに
提案しておりまする法第十六条によりまする
予算上、資金上の
理由で、
政府は
昭和二十八
年度政府関係予算にその準備のないことを
理由にしております。そうであるといたしますならば、その実行のためには、当然
補正予算が用意されなければならぬと思うのでありますが、その用意がいつ
国会に上程されるかを、この際はつきり伺
つておきたいと思います。
次に
お尋ねいたしたいのは、
団体交渉についてであります。この報告によりますと、各省それぞれにおいて数次にわた
つて団体交渉を行われたという報告が出ております。数のことを言うのではありませんが、仲裁
裁定委員会に両者から仲裁を
要求いたしまするには、それぞれの
理由がつまびらかに
なつておるはずだと思いまして、先ほど
委員長の
説明を求めましたところ、
団体交渉はほんの形式的なものであ
つて、
団体交渉とみなすことは疑わしいというきわめて明確な御発言がありました。そこで、こういう
団体交渉をも
つて責任ある雇い主の立場として
責任を十分とつたものとお考えかどうか。もし
団体交渉が、
今井委員長のおつしやられるような実情であるといたしますならば、
公労法の精神にいう労使
関係が一番望ましい姿である
団体交渉に期待が置けない。
従つて、
調停も
意味をなしませんし、結果は
仲裁裁定というごく少数の最も限られた限界において、こんな貴重な労働問題の解決をするということになるのでありますが、こういうような今後労使
関係の解決の
機関をどうするというお考えであるかについて伺いたいのであります。
そこで具体的に
お尋ねをいたしますと、
団体交渉がどうして法律の希望するような形に運営ができないか、その原因を
お尋ねいたしたい。
次にその原因が明らかにされて来るといなとにかかわらず、事実において困難であつたということに
なつておりまする以上、それでは今後も依然として
仲裁裁定のごやつかいに
なつて、
政府は労使
関係における労働条件の処理を続けて行かれるという御意思か。でないとすれば、どういう方法で
団体交渉を円滑に今後押し進めて行く方法をお考えに
なつておるかどうか。
第三に
お尋ねをいたしておきたいと思いますのは、給与の内容についてであります。給与につきましては、今日
仲裁裁定の場合にも明らかにされましたように、仲裁
裁定委員会が、賃金のような非常にむずかしい、いわば社会的経済的に、ことに労資
関係の一切を決定するとい
つてもいいくらいに重大な、しかも複雑な困難な問題を、こういう
委員会が処理するということは適当でないという
意味も明らかにされておるのであります。そうすると、
政府の
賃金給与に関する問題を処理する自信を、あるいはその
責任をみずから懸念されておる
委員会に依存するというような現状であ
つてはならぬのでありまするから、
従つてそこには
政府自身がはつきりした労働条件、ことに給与に関する確固不動の方針というものを持たなければ、今後の労務管理が遂行できないようになるのではないか。
従つて、それぞれの職種やいろいろかわつた業種を持
つておいででありますが、それぞれについて何か格づけをして、統一的な均衡のとれた労働条件を打立てるということでありますならば、そういうことを
政府のどの
機関でおきめになるのか、あるいは従来
通り各個ばらばらでやるとすれば、
団体交渉がスムーズに運営できるような権限というか、そういう立場をそれぞれの所管の
責任の地位にある人、あるいは衝にある人に与えなければならぬのでありますが、そういう与える方針について、何か決定しておりますならば聞きたいし、決定してないとすれば、どうするかという
政府の
責任の立場を明らかにしていただきたいと思うのであります。
次には賃金のきめ方であります。今申し上げました
通り、
仲裁裁定が
政府の賃金あるいは労働条件の基準を定めるところだとい
つてしまえば、この
質問は
意味をなさぬのでありますが、まさかそうは言わぬと思います。そうだとすれば、一体
政府は
国鉄の場合あるいは全専売の場合、あるいは印刷のごとき、民間企業とまつたく選ぶところがなく、製紙事業のような生産事業を営む職場を持
つておるのであります。こういうようにいろいろなものを持
つておりますものに対する賃金なり待遇なりというものについて、民間給与と均衡をはかるということを考えなければならぬことは申すまでもないことでありますが、その民間との均衡をはかる場合に、一体何を目安にしてどういう根拠に基いてこういう種類の賃金を定めようという方針を持
つておるか。全般的なものといたしましては、公務員との均衡の問題も出て来ると思いますが、そういう賃金の最も重要な要素と申しますものは、何といいましても
政府の場合は一般の営利企業と異なるのでありまして、
説明するまでもなく、営利企業はその支払い能力の限界は、営利社団である限りにおいては工場、会社の破綻をしてまで賃金の支払い能力を
要求することは限界であります。
政府の場合はその限界が多少異
なつて来ると思うのであります。こういう立場の違つた雇い主が定める労働条件というものは、民間の労働条件にいつでも範たるものでなければならぬことは言うまでもありません。そういう
意味でも民間給与との
関係だけにその均衡を保つということだけではなくて、むしろこうあるべきだという一つの範をつくるに足る計数が用意されなければならぬと思うのでありますが、そういうものを御研究なさ
つておるか、またそういうものをどこでおやりに
なつておるか、そういうものをお示しに
なつて各省の交渉を進めさせておるのかどうか、あるいはまた逆にそういう事柄について報告を受けて調整をとるというようなことをや
つておいでになるかどうか、や
つていないとするならば、今後そういうことについてどうなされるか。ことに賃金の問題につきましては、労働基準法に基いて
政府は必要な場合には最低賃金をも定めなければならぬという日本の法律構成であります。こういう
関係からいたしまして、どうしても賃金に対しては
政府自身が確固たる方針を持
つていないはすがないと私どもは思うのであります。そういうものがあ
つて、それを内々交渉の衝に当
つている人々に内示して交渉せしめておるのか、そういうものが全然ないのか、ないとするならば、まことにずさんきわまる話だと思います。
最後に法十六条と二十五条の
関係について、これは
労働大臣が本会議におきましてはつきり答弁されておることでありますが、私はここで法律解釈について法律学的な議論をしようと思うものではありません。こういう法の生れて来た社会的なそれぞれの
理由が、むしろ重要であろうと思うのであります。ことに
政府がみずから雇用する
政府職員の労働条件をきめるときに、この法律に依存するという現状を、先ほど来具体的に
お尋ねした場合にもおわかりのように、こういうものか、ことに
労働大臣について
お尋ねしなければなりませんが、か
つて第十六
国会でスト規制法を論議いたしまする場合に、
政府はたびたび言
つております。民間の労働者、ことに民主主義の自由を保障されておりまする今日の日本の労働者の組織というものは、労働者の社会的、経済的な地位を保障する基本的なものとして、団結が裏打ちされておりますことは申すまでもありませんが、そういう労働者の基本的な立場というものについても、
政府は公共福祉という名文句を表に打出して参りまして、とにかく全体の利益のために、労働者のこういう生活を守る唯一のとりでも制限をしなければならぬという
理由で、あの法律の
提案が行われました。これは私どもからいいますと、もちろん反対でありますから、そのことをここで繰返そうとするものではありませんが、百歩譲
つて、
政府の主張
通りに、あの当時の
労働大臣の
説明を承認いたすといたしましても、ここで公務員の場合にこれを考えなければなりません。公務員の場合に、あるいは今当面しておりまする公企業体あるいは
政府の経営する事業のもとにおける労働者については、一般の労働者の罷業権を、この法律によ
つていろいろと制約を加え、またそれにかわるべき保護を与えておることは明らかでありますが、こういう民間の労働者と同一の労働条件しか与えられない労働者について、争議権がはつきり、ここでは制約ではなくて奪
つておるわけであります。
労働大臣はたびたび、争議権養うというようなことは考えていない、争議権の好ましからざる行為の一、二を規制するという
意味であの法律を出したということを答弁されておるわけであります。ところが、今日この公企労法のもとに置かれておる労働者が、法律において争議権がまつたく制約されておりますことは、スト規制法と比較いたしまする場合に、明確に
なつて来るわけであります。こういう点で、
労働大臣は本会議におきまして、何か
予算上資金上の
理由で
仲裁裁定が守られなくても、法律の上から矛盾を感じない
意味の法律論を展開されておりましたが、私は条文の解釈をどうこうというのではなくて、今申し上げた大筋で明らかに労働者の行過ぎを一部是正するということについてもたいへんやかましい時代、まつたくそれを規制しておる法律であり、それにかわるべき
仲裁裁定でありますることは、述べるまでもないわけであります。だからこれがはつきりしていないと、先ほど来私の
質問をいたしましたことについても、あいまいに
なつて来ると思うのでありまして、もし依然として、
労働大臣としては、労働者のスト権を一方において奪
つておるが、その奪つた
理由について何か確固たる信念でもおありでありまするならば、この際それを伺
つておきたいと思います。その御答弁のいかんによりまして、この点については少しく
質疑を続けたいと思いますので、一応御答弁を願いたいと思います。