○青木
参考人 ただいま御紹介になりました
アルコール専売労働組合書記長と
賃金対策部長をや
つております青木でございます。
まず
説明は主として、ただいま
委員長から申しましたように、原資の点について御納得していただくということで御
説明させていただきます。その前にまずわれわれ
組合の実体を申し上げますと、
アルコール専売労働組合という唯一の
組合でございまして、しかも
公労法関係の
職員を一人も漏れなく組織いたしている
組合でございます。
今までの
経過につきましては、ただいま
委員長が申した
通りでございますが、このうち三つ注目願う点がございますので、この際御
承知おき願いたいと思いますが、その
一つはうちの
要求が平均三万七十六円ということにな
つております。これは一見非常に高いようでございますが、その
内容を計数的に当りますと、結局、扶養手当が、うちの特殊事情からいたしまして、八社中一番高いわけであります。二・八一という扶養家族をかかえておりまして、これは印刷の場合の一・三に比べますと、すなわち倍以上という家族をかかえて
生活に苦しんでいるわけでございます。なお勤務年数等につきましても、八社中三番目にある。こういう
関係で、
要求は過去まつたく同じ計数を用いておりますけれ
ども、結局うちの特殊事情から、同じ計数を用いてもこの
金額に
なつたということを、あらかじめ御
承知おき願いたいと思います。
それからもう
一つは、調停
委員会におきます
当局側の
答弁でございます。これはここに
政府から御提出にな
つております
仲裁裁定の
内容にもあります
通り、うちの
当局側の代表の方から
調停案の一万四千二百円というものは妥当と思うということを明言しておられます。これは
仲裁の
裁定書の中に明らかに書いてある
通りでございます。
第三点は、
仲裁裁定に対する
組合の態度でございます。これは一万四千二百円という数字は、非常に
不満でございます。特に
調停案よりも、諸般の事情によりという理由だけで、四月という施行期日が八月に延ばされている。この点については、まつたく納得できないという
気持を持
つているわけでございます。しかしながら、いわゆる
公労法の
精神からいたしまして、両者ともこれを尊重して行かなければならないという
気持から、一応この際は
組合としては官側に従来
裁定を軽視する傾向がございますので、今後もつと権威あらしめるということからしまして、
組合がまつ先にこれを尊重するという
気持を持
つている次第でございます。
なお、以下
説明を申し上げますが、この原資につきましては、明らかに現在成立をいたしております本
予算の
わく内で操作できるということが数字的に明らかにな
つておりますので、以下今専門員室の方から御配付願いました「
仲裁裁定実施のための原資について」というこの
説明書によりまして、御
説明いたしたいと思います。
組合の計明によりますと、この
仲裁裁定とそれからこれが諸手当に及ぼすいわゆるはね返り、このために起きます原資、これが総額幾らであるかと申しますと、二千四百六十八万三千六百五十四円という数字にな
つております。この施行によりまして、基準内
賃金ではどの
程度のアツプ率を示すかというと、結局一〇・九%、いわゆる一割九厘というアツプ率になるわけであります。ここに詳しい原資の算出表
はついておりますが、これをほかで、
仲裁委員会と
当局側で算出した数字に比べてみますと、次の
通りにな
つております。すなわち
仲裁委員会で概算算定されたものは、二千二百万円
程度ということが、これは
裁定の理由書に書いてございます。その算出の方法をお聞きしましたとろ、現員の場合で一千七百万円から一千八百万円、
予算定員で行くと約二千三百万円ですから、その中間位として二千二百万円
程度と推測したと申されておるようなわけでございます。
当局側の推定による概算で参りますと、大体三千百万円
程度ということに聞いております。この二千二百万円、それから二千百万円という数字と
組合側が算出しました二千四百六十八万という数字との開き、これはその主要部分は、いわゆる大蔵大臣の言明によります年末手当を一箇月分にするか、一・二五にするかという点にかか
つておるわけでありまして、
組合の計算は大蔵大臣の意思を尊重いたしまして、一・二五という計算で組ましていただいておるわけでございます。でありますから、結局うちの原資といたしましては、二千四百六十八万三千六百五十四円まわしていただければ、これで完全に
裁定とそのはね返り分だけは実施して行ける、こういうことになるわけであります。非常に八社中一番少い
金額でございます。
それからこれを原資的にどこからひつぱり出すかということを以下申し上げますが、
結論といたしまして、この二千四百六十八万円は、現在の
予備費を五四%
給与総額に流用すれば、完全に実施できるという実情にあるわけであります。
予備費の実体を見てみますと、
先国会、第十六通常
国会に提出されました
政府原案によりますと、
予備費は三千万円にな
つております。ところが途中で調停
委員会から
調停案が提示されたために、いわゆる改進党修正という形で、
調停案の出ました翌月から
給与の調整原資分だけを組与総額に織り込んでやろうという案があつたわけでございまして、
林野においては、すでに実施されておるわけでございますが、アルコールと造幣におきましては、これが実施されなかつたわけであります。その理由は、調停の出された時期が
国会の時期とかんがみて、その手数がとれなかつたということにあるわけてございまして、そのために
予備費にとりあえず一千五百三万七千円というものとぶち込みまして、現在の
予備費は総計四千五百三万七千円という数字にな
つているわけであります。この四千五百三万七千円の
支出予定は、ほとんどございません。一部少額なものを除きまして、ほとんど
予定される
支出はありませんので、これを
給与総額に流用しても、ほぼさしつかえないものだと
組合では推測いたしておる次第でございます。でありますから、
政府が現在
説明なさ
つている
予算上
資金上実施不可能ということは、
給与総額の変更という手数は確かにございますが、ただ
予備費の五四%を
給与総額にまわしてくれればそれで十分実施できるわけでございまして、
予算の総
わくからすれば、何も補正をする必要もございませんし、その他考慮の余地はございません。ただ
予備費について御考慮願えばいいという、しごく簡単な事実にな
つておるわけでございます。
なお、この
裁定を実施することによ
つて、アルコールの売渡し
価格に変動を起す懸念はないかということがございますけれ
ども、この
程度のものは現行
価格にすでに織り込まれておりますし、また近く恒例によ
つて価格改訂があると思
つておるわけでございますが、それにも一万四千三百円
程度のものはすでに見込まれているのではないかと
組合では推測いたしているわけでございます。
以上、
結論的に申しまして、うちの所要
金額は二千四百六十八万円であ
つて、この原資は
予備費の中に明らかにあるのだということでございます。
もう
一つ申し述べておきたいことは、以上
説明しました
金額は、
仲裁裁定と、それが諸手当に及ぼすはね返りだけの計算でございますが、この際
組合といたしまして、いろいろな
要求を出しているわけでございます。基準内
賃金は、あくまでも
裁定を尊重するということにいたしまして、宿日直手当を、現在三百六十円の打切り計算であるのを、やはり超過勤務的なものにいたしまして、八百円にしてもらいたい。それから石炭手当は、北海道の地方調停
委員会の勧告書を尊重いたしまして、世帯主三・五トン、その他一・二トンということにしていただいて、これも織り込んでもらいたい。それから特殊勤務手当は、うちは本年初めて実施していただいたのでありますが、
予算が非常に実情に沿わぬので、とりあえず総額を五割増しとしていただきたい。それから
職員特別手当、これはいわゆる期末手当でございますが、夏期手当の分は一応おきまして、年末の分は二箇月分にしていただきたい。この
要求に基きまして、どの
程度の
金額になるかということを
組合ではじいているわけでございますが、それによりますと、これらの
要求を盛り込んでさえも四千六百八十五万五千四百七十三円あれば足りるということにな
つておるわけであります。この四千六百八十五万という数字についても、明らかに原資があるということをここで証明いたします。すなわち、
予備費から全額をまわしたといたしまして、四千五百三万七千円を引きますと、それに足りない分が百八十一万八千四百七十三円不足するわけでございます。これを
組合的に見まして、どこから流用するかということを検討いたしましたところ、まだほかにも
相当余裕金がございます。これは
相当ほかの項目にわた
つて説明できるのでございますが、それは一応おくといたしまして、とりあえず
一般会計繰入れ中に、国債整理基金特別会計繰入れという項目がございまして、これが三千五百四万円組んであるわけでございます。これは
予算総則第六条によりまして、うちの特別会計といたしまして、十六億円の融通証券の発行、あるいは国庫余裕金を繰りかえ使用するということのために、その費用に見込んであるわけでございますが、融通証券の発行は一応見合せて今国庫余裕金を繰りかえ使用しているわけでございまして、この分で過去におきまして四月一日に借入れを
予定していた分が四億円、それから五月十三日に借入れを
予定していた分が二億円、この六億円が
予定の日に借入れできませんで、五月二十五日に借入れいたしました結果、これが日歩八厘でございますので、結局この分の遅延した分につきまして利息の百九十五万三千円という
金額がすでに今までにおいて明らかに余
つているわけでございます。これと
予備費を合併いたしますと、先ほど申し上げました
組合の
要求でさえも明らかにのめるという実態になるわけでございます。ましてやわずかの
仲裁裁定の実施が不可能だという理由は毛頭ないわけでございます。この点よろしく数字的に御審議願いたいと思います。
なお、最後に
結論として申し上げますならば、
当局側でも、
仲裁段階におきまして、
調停案程度の数字なら妥当であるということを申されました。
組合も
仲裁裁定は尊重すると言
つております。それから
予算的にも明らかにできるということはわか
つております。こういう段階にありながら、ある
ちよつとした政治
情勢によりましてわれわれの
要求が満たされないということは、われわれとしては非常に遺憾に存じている次第でございます。
以上申し上げましたように、非常にわずかな
金額でございまして、多少の余裕もございますので、何とぞアルコールについては御採用あらんことをお願いする次第でございます。