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1953-11-02 第17回国会 衆議院 労働委員会 第2号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和二十八年十一月二日(月曜日)     午後一時四十八分開議  出席委員    委員長 赤松  勇君    理事 鈴木 正文君 理事 丹羽喬四郎君    理事 持永 義夫君 理事 高橋 禎一君    理事 山花 秀雄君 理事 矢尾喜三郎君    理事 山村治郎君       池田  清君    黒澤 幸一君       多賀谷真稔君    井堀 繁雄君       竹谷源太郎君    中原 健次君  出席国務大臣         労 働 大 臣 小坂善太郎君  出席政府委員         労働事務官         (労政局長)  中西  實君  委員外出席者         検     事         (刑事局公安課         長)      桃澤 全司君         労働基準監督官         (労働基準局         長)      亀井  光君         労働事務官         (職業安安局         長)      江下  孝君         専  門  員 濱口金一郎君     ――――――――――――― 十一月二日  公共企業体等労働関係法第十六条第二項の規定  に基き、国会議決を求めるの件(印刷事業に  関する件)(内閣提出議決第一号)  公共企業体等労働関係法第十六条第二項の規定  に基き、国会議決を求めるの件(専売公社に  関する件)(内閣提出議決第二号)  公共企業体等労働関係法第十六条第二項の規定  に基き、国会議決を求めるの件(造幣事業に  関する件)(内閣提出議決第三号)  公共企業体等労働関係法第十六条第二項の規定  に基き、国会議決を求めるの件(国有林野事  業に関する件)(内閣提出議決第四号)  公共企業体等労働関係法第十六条第二項の規定  に基き、国会議決を求めるの件(アルコール  専売事業に関する件)(内閣提出議決第五  号)  公共企業体等労働関係法第十六条第二項の規定  に基き、国会議決を求めるの件(国有鉄道に  関する件)(内閣提出議決第六号)   公共企業体等労働関係法第十六条第二項の規  定に基き、国会議決を求めるの件(郵政事業  に関する件)(内閣提出議決第七号)  公共企業体等労働関係法第十六条第二項の規定  に基き、国会議決を求めるの件(電信電話公  社に関する件)(内閣提出議決第八号) の審査を本委員会に付託された。     ――――――――――――― 本日の会議に付した事件  小委員及び小委員長選任  労働行政に関する件     ―――――――――――――
  2. 赤松勇

    赤松委員長 これより会議を開きます。  まず小委員会設置に関する件についてお諮りいたします。今国会におきましても、けい肺病対策小委員会及び港湾労働に関する小委員会を再度設置いたしまして、調査を進めて参りたいと存じますが、御異議ございませんか。     〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  3. 赤松勇

    赤松委員長 御異議なしと認めまして、さよう決定いたします。  つきましては、両小委員会の小委員の数はそれぞれ六名とし、小委員並びに小委員長は、前例によりまして委員長より指名いたしたいと存じますが、御異議ございませんか。     〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  4. 赤松勇

    赤松委員長 御異議がなければさよう決定いたします。  それではけい肺病対策小委員には    持永 義夫君  池田  清君    佐藤 芳男君  多賀谷真稔君    井堀 繁雄君  中原 健次君以上の方を指名いたし、小委員長には持永義夫君を指名いたします。  また港湾労働に関する小委員には、    丹羽喬四郎君  倉石 忠雄君    高橋禎一君 山花秀雄君    矢尾喜三郎君  山村治郎君以上の方を指名いたし、小委員長には丹羽喬四郎君を指名いたします。     ―――――――――――――
  5. 赤松勇

    赤松委員長 これより労働行政一般につきまして調査を進めます。黒澤幸一君。
  6. 黒澤幸一

    黒澤委員 栃木県藤原町にあります労災珪肺病につきまして、基準局長に二、三お聞きしたいと思うのでありますが、その前に全国珪肺病患者がどのくらいの数があるか。またそのうち入院を必要とする罹災病者がどのくらいあるかお聞きしたいと思います。
  7. 亀井光

    亀井説明員 珪肺病患者の数につきましては、労働省におきまして毎年実施しております巡回検診によりまして発見されるものが、大体主体でございます、そのほか各事業場の医師の診断等によりまして、それに追加されて参るのでございますが、現在までに巡回検診の結果、珪肺としてあげられまする数字は八千四百十人でございます。これは二十七年十二月末現在でございます。この八千四百十人の中には、われわれが珪肺の度合いによりまして要療一、要療二、要療三という取扱いを三つの種類にわかちまして、これらに対する補償その他を考えておるのでございますが、補償現実対象となりまする要療三に該当する労働者は、現在千三百二十八人あるものと考えられております。
  8. 黒澤幸一

    黒澤委員 ただいまの御説明によりますと、要療三に該当する罹病者が千三百二十八名あるということになつておりますが、ただいまわが国に唯一の珪肺病院に収容され得る施設は百十ベツトと聞いております。ところが現実におきましてこの珪肺病院入院しております患者は八十名程度にすぎない。それで三十から四十のベツドが現在あいておるという実情を私は聞いておるのであります。全国入院を要する患者が先ほど申されましたような多数あるにもかかわらず、入院する患者が少い。しかもその収容し得る百十名の患者を満たすこともできない非常にふしぎな現象が今日現われておるように聞いておるのでありますが、全国にたくさんの入院を要する患者があるのにかかわらず、なぜ入院患者が現在少いか、その理由をひとつお伺いしておきたいと思います。
  9. 亀井光

    亀井説明員 珪肺病は、御承知のように長期療養を要しまする疾病でございまして、またこれに対しまする的確な治療法が、まだ世界的にも発見されていない現況であるわけでございます。従つて病院に入れば必ずなおるというものでございますれば、これは本人といえども、また家族といえども入院を勧めて参るのでございますが、一応の体力をつけまして病気の進行を停止させる。そうしてできるだけこの病気の進むことを防ぐのが、現在の治療としましてのせい一ぱいの限界であります。そういうふうに長期にわたりまいて療養を要することと、またその治療につきましての目標が立ちません関係上、入りたくとも入れないという結果になつておるのではないかと思います。また、もう一つの問題は、地理的な問題があるのでございまして、現在われわれのところ管理しておりますのは、栃木県の珪肺病院だけでございますが、全国からの労災病院を利用しておる状況を見ましても、大体近県の労働者が多くこれを利用しておりまして、地理的に離れれば離れるほど利用する労働者の数が減つておる。そこでわれわれがこの労災珪肺病院考えます場合においては、今後の計画としましては、全国的に分散をして珪肺病院を建てて行くということが、当然考えられなければならぬのではないかという気がいたすのであります。従つてその計画に基きまして、秋田に本年末から診療が開始されるのでありますが、秋田に箇所、それから岡山に本年度から着工をいたしまして珪肺者病院をつくりたいと考えております。また来年度としましては、北海道の岩見沢に設置するよう大蔵省と目下折衝をいたしております。さらに地理的な分布の点から申しますと、九州地区にも必要なわけでありますが、九州地区には小倉と八代に二箇所病院がございます。この病院のうち小倉病院が特に環境その他の点から申しまして、珪肺病患者を取扱うに適当だと思いますので、将来の問題として珪肺の病棟を増設することによりまして、九州地区珪肺患者をそこに収容して行くということに、この計画が大体実現をいたしますれば、全国的な珪肺患者収容施設が整つて参ります。そうなりますと、今まで地理的に遠いために、また家族と遠く離れるために利用できなかつた患者が、逐次利用して参るのではないかというふうに考えております。
  10. 黒澤幸一

    黒澤委員 ただいま入院患者の少い理由といたしまして、療養期間長期にわたり、また治療についての予定も立たない、あるいは地理的関係、こういうことも一つ理由になつていると思うのでありますが、しかしそのほかに、入院するということになりますと、わずか六〇%の休養手当しか得られないということが、非常に大きな原因になつているのではないかと考えられるのであります。それから家族との二重生活になりまして、家族との面会機会が得られない。また面会に参りましても、家族が宿泊する設備もないということも大きな原因ではないかと考えております。先ごろこの点につきましては、労働大臣もひそかにおいでなつたようでありますが、私も労働大臣おいでになるちよつと前に参りまして、患者人たち座談会をやり、また院長ともいろいろ話をして参つたのでありますが、そういうことが強く患者人たちから訴えられているのでありまして、今基準局長の申されましたような理由のほかに、やはり生活の問題が非常に大きな要素になつておるということについて、というふうにお考えになつておるのですか、お聞きしたいと思います。
  11. 亀井光

    亀井説明員 お話のございました家族との面会施設その他につきましては、御意見の通り私らもその必要性を認め、またそれが一部の原因をなしておることも了解をいたしておるわけであります。従いまして、本年度の予算におきまして、栃木県の珪肺労災病院につきましては、家族面会施設を設置する予定で、今着工の準備をいたしておる次第でございまして、それとあわせまして娯楽室拡充等もいたしております。  それからなお二重生活の問題は、これは確かにそういう点も一つ理由になろうかと存ずるのであります。現在の各鉱山の現状を見ますと、大体珪肺協定というものを結びまして、労働基準法で定めております補償以上の補償を、使用者労働者との間の協定によりまして、可及的に使用者が支給いたしておるようであります。従つて、そういう面の保護を受けられます労働者につきましては、問題はないかと思いますが、そのほかの労働者につきましては、その問題はあろうかと思います。しかし、それだけが利用されない大きな理由だとは私ら考えておりません。むしろ施設の足りないことがやはり大きな理由であります。従つて、この面の努力を進めたいと存ずる次第であります。
  12. 黒澤幸一

    黒澤委員 なお私病院食事についてお伺いしたいのであります。労働大臣も先ほどおいでになりまして、この点お聞きになつておると思うのでありますが、珪肺病院における患者の一日の食費が百十五円と聞いております。この百十五円ときめましたのは、四年ほど前だということを私は聞いておるのでありますが、四年間における物価の上昇は御承知通りであります。ところが、この食費が依然として百十五円である。このために、院長さんが栄養食をつくるために非常なお骨折りになつておる。この百十五円で二千八百カロリーを摂取するということのために、非常に御苦心をされておることを聞いております。かように四年間もすて置きになつておる食費によつて、しかも患者の最低の二千八百カロリーをとるということは、むずかしいのではないか。しかも、一面健康保険によりますと、百四十五円かの食費になつておるということを聞いておるのでありますが、この患者食費に対しまして、政府としてはどういうふうにお考えになつておりますか、お聞きしたいと思います。
  13. 亀井光

    亀井説明員 食事お話が出て参りましたが、われわれも先般大臣にお供いたしまして現地に行きまして、実際の食事状況調査して参つたのでございます。現在のところでは、お話通りの金額によりまして、二千七百から二千八百カロリーを毎日給与いたしますことに努力をいたしておる次第でございます。また蛋白あるいはその他の栄養の点におきましても、一般国民栄養水準を上まわりますように考慮が払われておるのでございますが、百重五円そこそこの毎日の食費で十分でないことは、われわれも了承いたしましたが、できるだけ早い機会にこの問題を処置したいということで今検討いたしておりまして、できれば本月一日からの食糧の給与につきまして処置をいたしたいというふうに考えております。ただお話のございました健康保険の百四十五円の食費よりも低くしておるということは、これは私そういうふうに承知いたしていないのでございまして、健康保険よりも多少上まわつた食費ではございますが、これも決して十分であるとは申し上げかねますので、その増額につきまして今検討いたしております。できるだけ早い機会に実施いたしたいと考えております。
  14. 黒澤幸一

    黒澤委員 もう一点お尋ねしたいと思うのであります。御承知のように、本年は凶作のために食糧事情が非常に逼迫しておることは申し上げるまでもないのでありますが、最近になりまして、この凶作のためかどうか知りませんけれども珪肺病院患者に対する加配米があることを聞いておりますが、その加配米が半減したように私は聞いて参つたのであります。そういう事実があるかどうか。また御承知のように珪肺患者は、相当重患になりましても、食欲は非常に旺盛でありまして、普通の患者とはその食糧摂取量につきましても非常に違うのであります。こういう特殊な患者に対しまして、当然与えらるべき加配米が半減されるというようなことになりますと、私は患者としては非常に苦痛ではないかと思います。またそのことが栄養摂取の面にも影響して参りますので、そういう事実があるかどうか。ありましたならば、そういうことを是正するお考えがあるかどうか。
  15. 亀井光

    亀井説明員 加配米が原則的に数量の減少を見ておるということは事実のようであります。これは最近の米穀事情からやむを得ないのでありますが、制度として半減されたということは、私まだ承知をいたしておりません。ただ食糧事情が好転すれば、元のように実質的に加配米の配給がなされるものと考えております。ただ、それによりまして受けます栄養の低下その他につきましては、食費を引上げることによりましてできるだけカバーをして参りたいというふうに考えております。
  16. 赤松勇

  17. 多賀谷真稔

    多賀谷委員 職業安定局長お尋ねいたしたいのですが、昨年昭和二十七年に職業安定法施行規則改正されて、その第四条の第一項第四号の改正についてお尋ねいたしたいと思います。  基準法の第六条によりまして中間搾取禁止する、日本労働封建制を一掃するために設けられた規定により、職業安定法あるいは施行規則施行によりまして、漸次そういう封建的な労働関係が一掃されて来たことは、慶賀に値するものであると思うわけでありますが、そういう今まで中間搾取のもとに坤吟して来ました労働者が十七万五千人ほど近代的な労働関係に置かれつつあるわけであります。ところが、このたびこれが改正されまして、元の状態に返らんとしておると思うので、それで具体的にお聞きいたしますが、第四号を改正なさつた趣旨についてお尋ねいたしたいと思うわけであります。
  18. 江下孝

    江下説明員 お話通り労働供給事業禁止は、これは戦後特に大きく取上げられた問題でございまして、職業安定法の中にも相当思い切つた規定があつたわけでございます。今お話のように、いわゆる日本人夫請負という形のもとに、相当労働者を搾取する実情があつたわけでございますが、これを根絶するというのが、この法律のできましたねらいでございます。当初この法律ができまして、私どもこの運営に鋭意当つて来たわけでございますが、お話通り、相当の効果をあげたのでございます。しかしながら、労務と申します以上は、やはり企業運営実態に即さねばならない。従いまして、この法律の運用によりまして、どうしても企業運営実態に即さないという面がもし出ましたならば、労働者保護、すなわちこの法律規定趣旨に背反しない限りは、その運営実態に即するよう措置することが適当と考えましたので、この改正を行つたわけでございます。
  19. 多賀谷真稔

    多賀谷委員 それでは具体的にお尋ねいたしますが、第四号の規定は、これはどれも具備しなければならないということではなくて、どれか一つ具備しておればいい規定であります。しかるにもかかわらず、その中で専門的な企画または専門的な技術という点について、これを「又は企画若しくは専門的な技術若しくは専門的な経験を必要とする作業」というように改められた理由を具体的にお示し願いたいと思うわけであります。
  20. 江下孝

    江下説明員 今の御質問の点、ちよつと私はつきりしませんでしたが、従来からも「又は」「若しくは」ということで、いずれか一つ該当すればいいということになつてつたわけでございます。ところが、去年改正いたしましたのは、この中へ「企画」ということ、それから「専門的な経験」、これをたしか入れたと思います。従来は、みずから提供する機械設備器材、それからその作業に必要な材料、資材または専門的な技術経験を必要とする、こういうことではなかつたかと思います。実際の企業運営実態に照しまして、やはり企画なり専門的な経験を持つておるものも、一応労務供給対象として除外する方が適当であろうということに考えたわけでございます。
  21. 多賀谷真稔

    多賀谷委員 昭和二十七年八月十八日、福岡県の労働部長に問い合せたのに対しての回答といたしまして、労働省から回答が参つておりますが、その問題についてさらに具体的にお尋ねをいたしたいと思うわけでございます。それは従来の解釈よりも――単に規則変更しただけでなく、解釈において非常に変更を見ているということを指摘いたしたいと思うのであります。施行規則改正は、なるほど表面に出ておるのでございますけれども、その後解釈をほとんどかえられておる。労務供給業とほとんど同じような状態でも、請負とみなし得るような状態にしておる。こういう点の細部についてお尋ねをいたしたいと思うわけでございます。  まずこの四号の「自ら提供する」という文句については、従来の解釈例規で参りますと、賃貸借しておるところの機械設備器材、こういうものについてはどういうように解釈するかということについて、従来は「自ら提供する」とは、自己所有物または注文主以外の第三者所有物自己責任において装備することをいうのであつて従つて作業に使用する機械器材設備を賃貸借する場合、それが注文主以外の第三者所有物であればいいわけであります。そこで注文主所有物を賃貸借した場合には、これはみずから提供する機械器材にはならないのだということになつてつた。ところが今度の解釈で行きますと、その解釈変更を見ておるわけであります。すなわち「自ら提供する」とは、自己責任と負担において準備調弁して使用することを意味するものであつて、必ずしもその所有関係購入経路等に特別の制限をなすべきでない。従つて、たとえその機械器材等注文主より借り受け、または購入されたものであつても、これが別個の労務契約の上に立つ正当なものと認められ、かつ法を免れるために故意に偽装したものと認められる根拠がない場合には、さしつかえないと解すべきものである、こういうことになつておるわけです。ところが、このたび八幡製鉄所を中心とするいろいろな労務関係において、この施行規則が出たために、ほとんど請負に出されておるという事実を指摘いたしたいと思うわけであります。その訴えはいろいろございます。さらに後ほど詳しく申し上げますけれども、ほとんどそれが工場あるいは設備ごと賃貸借契約をして請負に出しておるということでございます。これは明らかに今申しました第四号の、みずから提供する機械器材という解釈がかわつたために、こういう状態になつておるのであります。それで、みずから提供する機械器材のこういう行政解釈変更された理由について述べていただきたいと思うわけであります。
  22. 江下孝

    江下説明員 今手元にこまかい通牒資料を持つておりませんので、あるいは間違うかもしれませんが、大体私の記憶によりましてお答えをいたします。     〔委員長退席山花委員長代理着席〕  今度の供給規則改正にあたりまして、巷間こういうことがいわれている。すなわち、今までのボス請負禁止は今度は骨抜きになつた、こういうことでは今後ボスの取締りはできないという声でございます。私どもがこれを改正いたしました趣旨は、従来から存じておりました、いわゆる単純な労務提供契約に基きます人夫請負業を、これによつて許すという考えは絶対にございません。そういうものに対しましては、あくまでも従来通り厳重な規制を加えて行くわけでございます。従いまして具体的の個々事件につきましては、単なる労力提供による請負であるか、それとも機械器材等使用等によりまして、単なる労力請負でないかという点について、個々に判定をして決定をするわけでございます。従つて注文主から賃貸借したものも含むということに改正されたというお話でございますが、一応正常な形で、これが先ほど申し上げましたような、単に労力のみによる人夫請負というものでないということになりますならば、私どもとしましては、そういうものは今の段階においてはやむを得ないではないかと思います。しかしこれが今お話にもございましたように、従来のいわゆる人夫請負業が、単に形だけをかえまして、この法律趣旨を歪曲いたしまして、それに籍口して脱法的に自分の事業を続けて行くということになりますならば、これは、かりに賃貸借契約を結んでおりましても、私どもとしては規制を加えて行くということになると思います。なお八幡製鉄の問題につきましては、具体的になりますので、もしなお御質問があればお答えいたしますが、私の方としましても、もう少し資料を持ちましてからお答えした方がいいのではないかというように考えております。
  23. 多賀谷真稔

    多賀谷委員 具体的な資料通牒を持つていらつしやらないので、非常に質問しにくいのですが、たとえば、技術という問題について、また解釈例規で非常に異なつておると思うのであります。従来の認定基準で行きますと、ある一定の制限が加えられておる。その制限がどこにあるか、今度の通牒では見つけることが困難であります。きわめて抽象的に扱われておる。さらに「専門的な経験」といいますけれども技術でなくて専門的な経験というものはどういうものか、こういう点についても全然わからないのであります。現地安定所では非常に困つておるのです。県の労働部でも非常に困つてつて、本省に伺いを出しておるような状態で、早く認定基準をつくれ、こういう催促をして来ておりますけれども認定基準ができていない、その後全然出されてない。すでに一年半ほどたつておる状態であります。そこで現実の問題として、これは請負労務供給業になるかどうか聞きに来るわけじやありませんが、かつて請負に出しておつて、それは労務供給業だといつて、あとからこれは告発する問題で、そういう関係になつておる。ですから、事実関係法律関係がはつきりしない間に、事実問題としてはどんどん進行しておつて請負に出されておる、こういう実情であります。そこで現在経営者としては、直用よりも臨時工臨時工よりも請負、こういう形になつておるのであります。  そこでわれわれは非常に遺憾に思いますが、もう一つ続いて質問をしておきたいと思うのであります。それはわれわれの解釈で行きますと、第四条は一、一、三、四と各号がありまして、この各号はすべて該当する、こういうことが条件であると思うわけであります。ところがその後今度の改正によつて出されました行政解釈例規によりますと、次のようなふかしぎなことが書いてあるのであります。それは、この結果当該請負業者請負企業体として完全な資格を備えている場合には、たといその行う特定な作業がたまたま規則第四条第一項第四号の要件に欠けるところがあるときにおいても、なお労務者の供給を事業として行うものでないと認められる場合もあり得る、こういうことが書いてある。それならば四号はいらないということです。すなわち四号をせつかくつくつておるけれども、四号があつても全般的に見て請負業者であると考えられる場合には、これはそういう労務供給業でないという場合もあり得るんだ、こういうことでは四号はいらないということです。しかるに第四条の場合には、これはすべてどの条項にも当てはまつておらなければならぬ、一つじやだめだ、こう書いてあるにかかわらず、この第四号の解釈にはそういうことが書いてある。こういうように、今度の解釈例規を見ますと、どれもこれも抜けておるのです。それでこれならば、どんな事業つて、これはみな労務供給業でないと、こう言い得ることができますし、また今申し上げましたように、注文主は全部請負に出したい、こういう場合には必ず賃貸をします。これが賃貸をした場合に、必ず正式な賃貸契約であるという立証責任はないのであります。これは逆に労務供給業の理想であるという立証責任安定所の方にある。またそういう理想であるという立証は、普通の場合はできない。でありますから、これはまつたく骨抜きの条文になつておるわけであります。この点について、再度お尋ねいたしたいと思います。
  24. 江下孝

    江下説明員 お話通り認定の基準というものにつきましては、改正前におきましては相当詳細な内容を持つたものをつくりまして、各地方に指示いたしておつたのでございます。改正後におきましては、これも一応の基準というものは、もちろんつくつてございますけれども現実に第一線に行きますと、なかなか判定がむずかしいというようなことを私も聞いておりますので、これについては私も実はもう一月くらい前から、事務の方にもこれをひとつ至急はつきりした認定基準をつくつて出すようにということで、実は命じたばかりでございます。この基準につきましては、いま少しくお待ちを願いたいと思います。  それから先ほどございました通牒の、四号に全部該当しないものでもする場合があるということは、これは調べまして御返事いたします。
  25. 多賀谷真稔

    多賀谷委員 この施行規則改正は、職業安定審議会にかけられたかどうか、お尋ねいたしたいと思います。
  26. 江下孝

    江下説明員 かけたと思います。これはかけることになつておりますから、当然かけたと思います。
  27. 多賀谷真稔

    多賀谷委員 それは間違いありませんか。
  28. 江下孝

    江下説明員 九分九厘間違いないと思います。
  29. 多賀谷真稔

    多賀谷委員 実はもう少し詳しく資料を持つておるわけです。十分質問いたしたいと思うわけですが、政府側の方が準備不足のようでありまして、どうも困るわけですが、この問題につきましては、今会期中にぜひもう一度質問をさせていただきたい、かように委員長に要望いたしまして、この問題を打切りたいと思います。  続いて次の質問に入りたいと思います。次にお尋ねしたのは、これは本日検事総長、それから刑事局長、さらに食糧長官、自治庁長官を呼んでいるわけですが、刑事局のみしか見えておられませんから、この点も刑事局の公安課長さんにのみ質問をして、再度次の機会質問をいたしたいと思います。この問題は八幡市の堂山の旭硝子牧山工場に起つた事件でございますが、この組合は定員を増してくれという要求を出しまして、そうしてストライキに入つたわけであります。そのストライキ中に、一部の労働組合員がデモをやりまして、そうして会社幹部及び第二組合の事務所にデモをかけて、若干へいをこわしたということで、十月の十八日からずつと勾留されておるという事件であります。この事件につきましてお尋ねをいたしたいと思うわけです。なるほど十月の十六日の夜デモをやつて、会社の幹部の社宅に対していろいろ陳情をしたわけでありますが、この際若干のへいがこわれたということで、十八日に六名逮捕する、さらにその後次々と計二十名勾留をされておるのでございます。この問題は、これだけを取上げますと、何もそれほど大きな問題でありませんけれども、この労使関係を争議中に非常にアンバランスにしておいて、そうして国家権力の介入があつたのではなかろうかという危惧さえ組合員に抱かせておるのであります。それはどういうことかと言いますと、十月の七日になりまして第二組合ができまして、保全要員が監禁の状態になつて、千名ほどのものが作業をしたわけであります。その後十月二十五日になりまするまで、会社は工場内から一歩も出さなくて、そうしてこれらの従業員の第二組合員及び警備員、あるいは請負人を食わすために、市役所から応援米を願つておるのであります。しかもその数は百九十七俵の米を市役所が非常米と称して出しておる。この問題は、当然水害後の北九州、さらに食糧事情の窮迫せる今日において、市民の非常な問題になつておる。しかるに、これは全然検挙その他の調査がなされていないのであります。さらに十月の八日、請負人の暴力的な連中が第一組合の組合事務所に参りまして、暴行、すなわち机とか、いすをこわしておる。あるいは窓ガラスを破損し、中におりました組合員を二週間のけがをさしておる、こういう事件が起りました。これにつきましては、当時私服の刑事がおつたわけでありますが、向う側を向いて、しかも一人や二人ではありません、組合の推定で参りますと、三十名程度の私服の刑事がおつたにかかわらず、全然その事件は取上げられていない。そこで政府あるいは検察庁あるいは市警は、第一組合のみを圧迫しているのではないか、こういう疑惑の目をもつて組合員はながめているわけであります。これに対して、なぜ十月八日のこの暴力的な事件を検挙しなかつたか、さらに十月十六日のデモの組合員を今日まで三十名も勾留しているのか。さらに市が行いました応急米の食管法違反の問題に対して、何ら検察庁は手を加えていないが、どういうわけであるかをお尋ねいたしたいと思うわけであります。
  30. 桃澤全司

    桃澤説明員 旭硝子牧山工場のストをめぐつて、いろいろの問題が起きているのでありますが、これらについては、いずれも現在検察庁あるいは市警の方で取調べ中であります。第一の問題の、十月十七日、第一組合員約九十名のデモ隊が、第二組合事務所あるいは工場、幹部社宅等に押しかけて問題を起した、これにつきましては、屋根がわら、ガラス、門のとびらなどを破壊したということで、やはり検察庁といたしましてはそのまま放任できない事件として検挙を始めたのであります。一昨三十一日までに合計四十二名逮捕を見たことになつているのであります。これらについては、慎重に捜査を進めて、御心配のないような結論を得たいと考えております。  次に、十月八日第一組合員が暴行を受けた点については、報告がございませんので、あらためて調査の上お答えいたしたいと存じます。  応援米の点でございますが、これはすでに告発も出ておりまして、これも同時に捜査中でございます。
  31. 多賀谷真稔

    多賀谷委員 実は食糧庁長官あるいは自治庁、さらに警察関係、全部関連がある質問でありまして、どうも公安課長さんだけに質問しておりましてもうまく行かないので、これはまた次の機会にやらせていただきたいと思います。
  32. 山花秀雄

    山花委員長代理 本日はこの程度にとどめまして、次会は明三日午前十時より開会いたすこととし、本日はこれにて散会いたします。     午後二時三十七分散会