○
犬養国務大臣
お答えいたします。この前の
国会において
今澄さんから御注意がありまして、私たちも御同感でございました。爾来全国次席検事会同あるいは経済係検事会同で御注意の点もありましたあの御
趣旨の
通りしばしば警告をいたしておりました。それから本年初めには財政特報というので類似金融をや
つておる者の名簿を全部この中に印刷しまして、それから抜け穴のやり方に対する虎の巻みたいなものをこしらえまして、経済係検事に配
つております。その結果受理いたしました違法行為が三十七件起訴十六件、第一審で有罪判決を受けておるものも二、三あるのでございますが、こういうことになりまして、当局としてもまことに
責任を感じております。
そこでお尋ねの点が二点ございますが、匿名組合の加入人員を制限したらどうか、この問題も私はさように思います。厳密に申しますと、法務省の法律家の
解釈から参りますと、保全経済会が匿名組合の名をあげておるが、厳密に匿名組合かどうかということを疑わしく
解釈している理由の
一つが、今
今澄さん御指摘に
なつた加入人員があまりに多い、つまり気心の知れた者同士が共同経営をや
つているという観念に当てはまらない、こういう意味で厳密な匿名組合とちよつと違うという
解釈を私
どもはしているくらいであります、
従つて匿名組合の取締りという人口から入りますならば、仰せの
通り最上の手段はまさに加入人員を制限して、文字
通り本来の匿名組合の出発点の精神のように、気心の知れた者が一緒にもうけ仕事をするというところに立ちもどらねばならぬと思います。ただ私
どもの
意見を申し上げますと、匿名組合を取締るだけではそれに類似したまた抜け穴の妙なものができ上るおそれがありますので、法務省としましては不正規の受信業務全体を取締るだけの取締り法をつく
つてはどうかというので、実は試案のドラフトも書いておるようなわけでございまして、これは事柄が事柄でございますので、大蔵省の
意見もよく聞いて法務省としての
方針をきめたいと思います。けだし今申し上げましたような精神で、不特定の多数人からの受信、つまりお金や有価証券を受入れて
あとで金銭を払
つた、また有価証券の
債務を負担する行為で、預金や貯金、掛金、出資信託その他何らの名儀をも
つてするを問わず、信用授受の経済的
性質を有するもの、継続的に業務をや
つているものを
一般に取締
つて、そして許容される場合を制限列挙するということが必要ではいか、こういうふうに考えておりまて、実は連日このことについて寄り合い
会議をや
つておる次第でございます。ですから匿名組合というものについて特に取締るか、あるいは今申し上げたように広く不正規な受信業務について取締るか、
あとの方がいいんではないかというのが法務省の
意見でございます。
それから第二の、保全経済会の
財産が隠匿または散逸してしまわないような手を打
つたらどうか、これも私しごく御同感でございまして、ま
つたく同じことを私の省の係官に私も申しているのであります。今のところは民事訴訟の形で
債権者が破産の申
立てをするより道は今の法規上ではないのであります。しかしそのほかのいい知恵はないか、実はこれも連日協議をしておるような次第でございます。この点については打明け話を申し上げますと、法務
委員会の
委員長が何か意思表示をされるというので、法務大臣としてはしごく賛成なんであります。それは保全経済会の会長といいますか、伊藤斗福が、おれの方には
政治的なバツクがあるから大丈夫なんだと、まことに不敵で、不快きわまることを言
つておりまして、あるいは農村の零細な出資者のうちには、そうかもしれないと思
つて、
債権者としての破産申請を見送
つている向きがあるとすればたいへんな見当違いであります。法務
委員長がもしそういうことについて世間に御注意があるということに対しては法務省は異論はございません。
従つて今の点では
債権者の破産申請以外にきめ手がかいのでありますが、どうもそれだけではどうかという研究を今や
つております。