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1953-11-04 第17回国会 衆議院 本会議 第7号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和二十八年十一月四日(水曜日)  議事日程 第七号     午後一時開議  第一 社会保険審査会委員長及び同委員任命につき事後承認の件     ————————————— ●本日の会議に付した事件  会期延長の件  緒方国務大臣公共企業体等労働関係法第十六条第二項の規定に基き、国会議決を求めるの件に関する発言並びにこれに対する質疑     午後二時三十分開議
  2. 堤康次郎

    議長堤康次郎君) これより会議を開きます。      ————◇—————
  3. 堤康次郎

    議長堤康次郎君) お諮りいたします。今回の臨時会会期は本日をもつて終了することになつておりますが、会期を明五日から十一月七日まで三日間延長いたしたいと思います。これに賛成諸君起立を求めます。     〔賛成者起立
  4. 堤康次郎

    議長堤康次郎君) 起立多数。よつて会期は三日間延長するに決しました。(拍手)この際暫時休憩いたします。     午後二時三十一分休憩      ————◇—————     午後四時三十七分開議
  5. 原彪

    ○副議長原彪君) 休憩前に引続き会議を開きます。      ————◇—————
  6. 原彪

    ○副議長原彪君) 緒方国務大臣から、公共企業体等労働関係法第十六条第二項の規定に基き、国会議決を求めるの件に関し発言を求められております。この際これを許します。国務大臣緒方竹虎君。     〔国務大臣緒方竹虎登壇
  7. 緒方竹虎

    国務大臣緒方竹虎君) 総理大臣が参議院の予算委員会出席答弁中でありますので、私から日本国有鉄道外公共企業体等にかかる仲裁裁定に対する公共企業体等労働関係法第十六条第二項の規定に基き国会議決を求める件について申し上げます。  まず、仲裁裁定がなされるまでの経過につきまして申し上げます。本年二月二十三日、国有林野事業において、職員側林野庁長官に対し賃金改訂及び増額の要求を提出いたしましたのを初めといたしまして、三月十日専売、三月十八日国鉄、三月二十日電信電話公社、四月十日印刷、四月三十日アルゴール専売、五月十二日郵政、五月十八日造幣職員側からそれぞれ当局側に対して賃金改訂に関する要求が提出され、当事者間において団体交渉を重ねたのでありまするが、遂に団体交渉は妥結いたしませんでしたので、逐次調停段階に入つたのでございます。公共企業体等中央調停委員会は、六月二十六日国有林野事業及び印刷事業に、七月十五日日本専売公社日本電信電話公社及び日本国有鉄道に、七月十六日造幣事業に、翌七月十七日アルコール専売事業に、また七月二十五日郵政事業に対しましてそれぞれ調停案を提示いたしましたが、いずれも調停は成立するに至らず、仲裁手紙に移行いたしたのであります。  以上の経過を経まして、仲裁を開始した公共企業体等仲裁委員会は、九月二十九日、仲裁裁定第十一号といたしまして印刷に、裁定第十二号といたしましてアルコール専売事業に、十月十日裁定第十三号といたしまして日本専売公社に、また十月十三日、裁定第十四号といたしまして日本国有鉄道に、裁定第十五号といたしまして日本電信電話公社に対しまして、また最後に、十月二十七日、裁定第十六号といたしまして造幣事業に、裁定第十七号といたしまして郵政事業に、裁定第十八号といたしまして国有林野事業に対しまして、それぞれこれから御審議をいただきまする仲裁裁定行つた次第であります。  右の裁定給与に関する事項実施及びこれに関連いたします追加経費といたしましては、印刷事業におきましては裁定第一項の実施及びこれに関連する追加経費として約九千万円、アルコール専売事業におきましては裁定第一項の実施及びこれに関連する追加経費として約二千万円、日本専売公社におきましては裁定第一項の実施及びこれに関連する追加経費といたしまして約五億九千万円、日本電信電話公社におきましては裁定第一項及び第三項の実施並びにこれに関連する追加経費として約二十七億二千万円、日本国有鉄道におきましては裁定第一項の実施及びこれに関連する追加経費として約八十数億円、造幣事業におきましては裁定第一項の実施及びこれに関連する追加経費として約三千万円、次に、郵政事業におきましては裁定第一項及び第二項の実施並びにこれに関連する追加経費として約四十億円、最後に、国有林野事業におきましては裁定第一項、第三項及び第五項の実施並びにこれに関連する追加経費として約八億七千万円を必要といたすのであります。しかしながら、これらの追加経費は、日本国有鉄道日本電信電話公社及び日本専売公社につきましては、昭和二十八年度政府関係機関予算収入支出予算に含まれておりませず、給与総額につきましては予算総則給与総額を超過いたし、また郵政事業国有林野事業印刷事業造幣事業及びアルコール専売事業につきましては、昭和二千八年度特別会計予算歳入歳出予算に含まれておらず、給与総額におきましては予算総則給与総額を超過いたすことは明らかでありますので、以上の裁定はいずれも公共企業体等の現在の予算上不可能な支出内容どするものと認められるのであります。よつてここに、公共企業体等労働関係法第十六条所定手続をもちまして、裁定について国会議決を求める案件を提出した次第であります。  何とぞ御審議の上、すみやかに国会の御意思の表明をお願いいたしたいと存じます。(拍手)      ————◇—————
  8. 原彪

    ○副議長原彪君) 緒方国務大臣発言に対して質疑の通告があります。順次これを許します。山花秀雄君。     〔山花秀雄登壇
  9. 山花秀雄

    山花秀雄君 私は、日本社会党を代表いたしまして——ただいま緒方国務大臣より、公共企業体等労働関係法の第十六条第二項の規定に基き、本国会議決を求めんとして上提されました国鉄を初めとする三公社及び五現業職員給与に関する仲裁委員会裁定の結果をそのまま実施しがたき旨を説明されたのであります。この問題は、百数十万に及ぶ政府職員及び関係事業職員生活問題に関連する重要なる審議事項でありますので、吉田総理みずから一括説明の衝に当られ、一つ一つの詳細なる説明をそれぞれの関係各省大臣諸公より行われるのが至当でありますが、それがなされなかつたことについてまず遺憾の意を表し、以下数点にわたり質問をするものであります。(拍手公共企業体等労働関係法制定されましてより今日まで、国鉄公社及び専売公社関係において十回にわたる裁定がなされました。政府はしばしば、この問題に関し、この法律精神を守り、仲裁裁定実施したと確言しておりますが、私の知る範囲におきましては、政府の言明はまつたうそ偽りであります。(拍手)従来の十回の仲裁裁定のうち、これを実施したのは、第四回裁定国鉄関係北海道地域における石炭手当、第七回裁定国鉄関係夜勤手当、第十回裁定国鉄関係退職手当件等につき、この給与の額が僅少なるもののみ実施し、これらの職員諸君生活基礎となるべき、かんじんの俸給を中心とする給与問題に関しては、一度も仲裁裁定通り実施したことは絶対にないのであります。(拍手)願わくは、本会議場において、いま一度、過去十回に至る仲裁裁定を、裁定通り何回完全実施なされたかについて、責任ある答弁要求するものであります。(拍手)きようここにまた八つ仲裁裁定が、国鉄専売、電電の三公社及び五現業にわたり行われ、政府は、これを一括して、裁定通り実施しがたき旨、本国会承認を求めんとしておるのでありますが、一体政府公共企業体等労働関係法精神をいかように理解されておられるや、この際率直なる真意を問いたいのであります。  端的に申しますと、この法律は、職員諸君より、政府事業であるゆえをもつて、また公共企業として、憲法に保障されたる基本的人権一つである団体行動自由権を奪い、その代償として仲裁裁定制度を認め、その仲裁裁定結論は、当事者双方、たといこれに不満があろうとも、最終決定としてこれに従うと定めてあり、当事者双方で守ることがこの法律根本精神であります。この法律は、過ぐる第三国会及び第四国会審議を経て立法化されたものでありますが、この二回にわたる国会審議の過程において、説明の衝に当られました当時の増田労働大臣、及び後の労働大臣、当時の鈴木政務次官は、私並びに同僚議員質問に対する答弁において“明らかに争議権代償として設けた一つ救済規定であると説明され、仲裁裁定制度を高く評価されたのであります。歴代労働大臣は、吉田総理大臣製造業といわれる悪趣味のもとにしばしば交代をされ、現小坂労働大臣に至りましたが、この法律制定した吉田内閣は、今日といえども厳として存在いたしておるのであります。(拍手)みずから制定した法律を、同一内閣のもとに、この制定当時の解釈精神を履行することなく、故意に曲げて解釈し、仲裁裁定実施しがたき承認を求めるに至つた吉田政府見解、すなわち、この法律制定当時の政府責任者説明と、現に政府が行わんとしておる法律精神無視行為との食い違いに対する説明、今公企労法下に働く全国数十万の職員諸君の納得の行く答弁要求するものであります。(拍手)  当時の政府仲裁裁定効力に関する説明は、次のごとく議事録に記載されておるのであります。すなわち「仲裁裁定があつたなれば、当事者双方はこれを最終決定として、これに服すべき義務を負うのであります。これはもちろん行政官庁といたしましては最終決定でありまして」云々と言つておるのであります。政府は、いつの場合も、仲裁委員会決定に対して、法第十六条に規定されたる「公共企業体等予算上又は資金上、不可能な資金支出内容とするいかなる協定も、政府を拘束するものではない。又国会によつて所定行為がなされるまでは、そのような協定に基いていかなる資金といえども支出してはならない。」という条項をただ一つのたよりとして、仲裁裁定の不履行の弁明をしておるのでありますが、この条項に関して、当時増田労働大臣は「賃金等はもちろん協定内容であります。その賃金予算とからみ合せないで、たとえば非常に高く決定されるというような場合には、これは第十六条によつて国会承認あるまでは支出できない」と言つているのであります。  そこでお尋ねいたしたいことは、今度の八つのそれぞれの仲裁裁定予算上、資金上不可能な裁定を行つておるかいなやということであります。昨十一月三日、本院労働委員会において現業関係のうち林野庁職員関係仲裁裁定に関して、柴田長官参考人として、裁定実施に基く資金上の件に関し私より質問いたしましたところ、努力次第で可能であると答えられておるのであります。また、アルコール専売関係においても、中村政府委員は、私が、仲裁委員会裁定書当局側の主張として記載されたる「職員の福祉、労働意欲向上の面と販売価格への影響との両面を勘案して調停案の一万四千二百円は企業経営者としては穏当なるものと考える」とあるをただしたところ、その通りでありますと答えられたのであります。なお、アルコール専売関係給与査定においては、民間企業ど比較し、次のごとく裁定しておるのであります。「全化学工業中における高賃金クラスを望むのはいささか無理であり、この意味からも前記三十人以上の工場男子賃金より若干下まわることはやむを得ないとしなければならない」云々と言い、「なお本事業は本年四月からの要求であるが、諸般の事情考慮した結果、その実施の時期は八月とした」と言つておるのであります。この仲裁委員会見解は、職員生活事情よりもむしろ政府財政的立場に強く考慮が払われていることがうかがわれるのであります。きわめて政府に対して好意的な裁定であり、林野庁職員は一万三千三百五十円ベースであ七、アルコール専売職員については一万四千二百円ベースであり、それぞれの直接責任者の長が資金上可能と言明しているのであります。この答弁は、予算上、資金上の関係がありますので、大蔵大臣以下それぞれの関係大臣より答弁されることを強く要求するものであります。(拍手)  今次八つ仲裁裁定結論は、国鉄郵政は別といたしまして、そのいずれもが資金上可能であると裁定されているのであります。また国鉄郵政においても、努力次第で可能であるということを立証されておるのであります。  国鉄についての仲裁委員会意見の六の項には、「本委員会は、昨年度の賃金裁定にあたり、その経理状況につき詳細な検討と批判を加えておいた。ここにそれを繰返すことを避けるが……高架線下用地広告関係などの使用料賃貸料一般民間水準への引上げ、死過蔵用品遊休不動産払下げや、一般経費節約等特別の手続を要しないで実行し得られる部面についても、見るべき成果が上つていないことは三思に値いしよう。」こうあります。この意見の一節は、政府当局としてどう反省されているや、この仲裁委員会政府に反省を求められている意見に、いなと答え得る自信を持つておられるやいなや、お答え願いたいと思うのであります。(拍手)ことに、国鉄については、最近八重州口の国鉄会館建設について国民が疑惑の眼を向けている今日、なおざらこの仲裁委員会意見に対して政府所信を明らかにされたいものであります。  また、アルコール専売に関する仲裁委員会意見に、「なお今回の紛争がこじれたのは、当局側がしきりに賃上げが国際競争力へ及ぼす影響を強調したためであるが、酒精の原価の八〇%は原材料であり、人件費はわずかに一〇%程度にすぎない。従つてコストを引下げるためには、原材料等の面に力を注ぐべく、殊に生甘藷の量を減らすことが第一であろう。当局自ら技術並びに低コスト自信のある官営工場操業度引上げないでおいて、コストに対し一%程度影響しかもたない賃金アップを拒むことは、コストの切下げに労働者積極的協力を求め、いわゆる官業の弊を除く所以ではなかろう。」と言つているのであります。アルコール専売製品高については、その原因どなることについて、まことに不愉快なことを聞いておるのでありますが、食糧庁よう黄変米払下げを元食糧管理庁長官が会長である会社に行い、その会社通産省アルコール専売事業に売り渡し、多額のトンネル口銭をかせいだといわれているのでありますが、企業採算向上性から、この際この問題を関係大臣より明らかにされて、企業明朗化をはかられんことを希望するものであります。(拍手)  以上二、三の事例を申し上げましたが、今次仲裁委員会裁定案なるものは、一つ一つ具体的な可能の事由を付して裁定されているものであります。その給与金額は、去る七月十八日人事院より政府勧告されたる国家公務員給与ースが一万五千四百八十円であり、それよりおよそ平均して約一千円くらい低目の金額であります。この程度給与ベースは、政府が口ぐせのごとく主張している民間企業との賃金比較においても、むしろあまりにも低きに失する低賃金であります。政府は、予算総則をたてにとり、不可能と言つているが、いずれの公社現業も、努力次第で資金上可能の点が明らかにされているのでありますから、この際この予算措置を行い、即時この裁定に服し、企業能率職員と協力して上げ、官業低能率の世評を一掃することに努力されることが最善の策と考えられますが、従来の行きがかりにとらわれることなく、大局的見地より裁定に服する答弁をされんことを、特に大蔵大臣要求するものであります。また、この機会に、人事院の七月勧告をいかに処理されるや、お尋ねいたしたいのであります。国家公務員給与勧告は、第十六国会の開会中になされたのであります。これまた公企労法と同様に、国家公務員法精神にのつとり、人事院給与勧告は尊重されなくてはなりません。しかるに、今次国会に提出された補正予算には当然組み入れらるべきが至当であるにもかかわらず、それがなされていないことは、はなはだもつて遺憾しごくであります。第二次補正予算は至急組まなければならぬ諸情勢でありますが、公企労法関係仲裁裁定案に示されている八月よりの実施に歩調を合せるため、遡及して予算措置をとられるやいなやも、あわせて大蔵大臣にお尋ねするものであります。  また浅井人事院総裁にお尋ねいたしたきことは、今次勧告されました給与ベース一万五千四百八十円也のこのベースを定めた理論的根拠と、この人事院勧告を無視している政府態度に対して、人事院責任者といたしましてはどうお考えになりますか、その所信をこの際表明してたいだきたいのであります。(拍手)  以上の諸問題を急ぎ解決するために、次の国会をいつごろ召集される用意ありやいなや、重ねてお尋ねするものであります。  従来、政府は、過去における仲裁委員会裁定を、財政的見地から国会審議にかけ、裁定の一部不承認に終ると、その裁定問題に対する政府責任義務は免除されたもののごとくお考えになつておるが、われわれは、仲裁裁定条件拘束力とともに、それを果す政府義務は引続き残つたものと理解するが、この問題に関する政府の所見を伺いたいのであります。  最後に一言いたします。国家公務員法公共企業体等労働関係法人事院勧告制度仲裁委員会制度は、憲法に認められたる争議権代償制度であることを確認されまして、この救済規定が死文にならないようにしてもらいだい。政府みずから法を蹂躪する行為に出、百数十万人に及ぶ政府職員公企労法下職員諸君違法行為を慎めとは、およそ政治の常識をわきまえぬ者のすることであるとわれわれは申し上げたいのであります。(拍手人事院勧告仲裁裁定を唯一のたよりとして、黙々として国家再建のために働く労働者生活に対し、理解ある善政をもつて報われんことを切望し、私の質問を終るものであります。(拍手)     〔国務大臣緒方竹虎登壇
  10. 緒方竹虎

    国務大臣緒方竹虎君) お答えをいたします。  これまで仲裁裁定を何回実施したかという御質問でありまするが、先ほども御指摘のように十回行われておりますが、そのうち五回は完全に実施しております。  次に、仲裁裁定に対して政府はどういう態度をとつておるか。これは、申すまでもなく、公労法制定精神にかんがみまして、常にこれを十分に尊重する態度であるのであります。ただ、今回の三公社、五現業に対する仲裁裁定につきまして、これをただちに実施し得るかいなかにつきましては、今後の各企業経理面、あるいは国家公務員給与に対する考慮も必要でありまして、かれこれ勘案いたしまするところ、当面これをこのまま実施することは、はなはだ困難であろうかと考えるのでありまするけれども、さらに慎重に考慮をいたし、検討いたします。     〔国務大臣小笠原九郎登壇
  11. 小笠原三九郎

    国務大臣小笠原九郎君) お答えいたします。第一に、三公社、五現業等公共企業体に対する仲裁に対してどうするかというお話でございましたが、この点につきましては、仲裁裁定を尊重すべきことはもちろんでありますが、ただ現在の三公社、五現業予算範囲では、予算上そういう措置がとり得ないので、そこで私どもは、国鉄法その他の諸法や給与準則等によりまして、国家公務員及び民間事業従事員に対する給与その他の条件等について考慮いたし、目下これをどうすべきかについて検討中であります。なほ国鉄郵政等につきましては、今年は別として、来年すぐに——翌年度には、あるいは賃金引上げ、料金の値上げ等を行わなければならぬ等の問題もありまするので、彼此十分に検討を要する次第であります。  なお人事院勧告に対しましては、ベースアップ予算措置をとるかというお話でございましたが、この問題につきましての人事院勧告を尊重することはもちろんでありますが、いろいろ予算上、資金上等の問題もありまするので、これまた検討中であります。     〔政府委員浅井清登壇
  12. 浅井清

    政府委員浅井清君) 人事院のべース勧告基礎についてお尋ねがございましたが、これはすでに御承知のごとく、法律規定に基きまして、民間賃金生計費基礎として定められておりまして、このことはすでに各種の資料を添えて国会に提出いたし、また一般に公表をいたしておりまするので、ここで繰返す必要はないと存じておりますが、人事院といたしましては、この給与ベースは妥当なものであると確信をいたしておる次第でございます。  次に、人事院ベース勧告は、争議権はもとより団交権も有しない非現業職員給与に関するものでございますから、人事院といたしましては、勧告が十分に尊重せられ、一日も早く実現せられんことを切望いたしますることは、これまたいまさら繰返す必要もないと存じます。     〔国務大臣小坂善太郎登壇
  13. 小坂善太郎

    国務大臣小坂善太郎君) お答えいたします。  公共企業体等職員につきましては、その特性上争議権は許されておりませず、これにかえて、労使間の紛争最終的解決方法として仲裁制度を設けていることは御承知通りでありまするが、法律的には必ずしも争議権鶴仲裁制度との関連性はないのであります。しかしながら、職員の利益を守るために、この裁定は極力尊重いたしたいと考えます。ただ、いかに裁定を尊重すると申しましても、国会審議権を侵しますることは、民主政治の建前から、とうてい許されないことでありまするので、現行予算資金上不可能なものにつきましては、その処理について国会の御審議を願うことを、公労法第十六条で定めたものであります。  今般の八現業仲裁裁定につきましては、国家財政とにらみ合せまして、目下関係各省慎重検討中でございまするが、現在のところ、現行予算中におきましては、予算総則給与総額を上まわつておりまするから、支出不可能でありまするので、そこで公労法第十六条の規定するところに従つて国会の御審議をお願いしておる次第でございます。仲裁裁定は、原則といたしまして、最終的決定として労使双方を拘束するものでございまするが、しかし、国会予算審議権を侵すことは、ただいま申し上げたように許されないことでありまするから、第三十五条の但書及び第十大条におきまして、予算上、資金上不可能な裁定は、国会に提出して、その意思によつて効力を発生せしめるかいなかを定めておるものでありまして、政府といたしましては、公労法規定従つて所定手続により御審議を煩わしておる次第でございまして、何ら法を蹂躪するごときことは考えておらないのであります。なお、従来の仲裁裁定は、一部の履行などということで、うやむやになつおるというようなお話がございました。なお、この債権債務はこれで打切られないというお考えがございましたが、予算上、資金上履行不可能な仲裁裁定は、ただちに効力を発生するものではなく、国会承認によりまして、その承認のあつた場合に、裁定の日付にさかのぼつて効力を発生するものであることは、公労法の明記するところでございます。従いまして、当該国会会期中に承認議決がなかつたときは、継続審議に付せられた場合を除きまして、効力を発生する機会を失うわけであります。従いまして、公労法第十六条の解釈は、従来もこのように扱われて参つたのでありまして、承認のなかつた裁定がいつまでも債権債務関係を残すものとは考えておりません。
  14. 原彪

    ○副議長原彪君) 答弁が落ちておつたそうでありますから、国務大臣緒方竹虎君。     〔国務大臣緒方竹虎登壇
  15. 緒方竹虎

    国務大臣緒方竹虎君) 答弁を失念たしまして申訳ございません。政府は、米の超過供出奨励金あるいは義務教育費等の問題に関連しまして、第二補正予算を組むことは当然と考えておりまするが、この第二補正予算は、ただいまのところ、通常国会を十二月のなるべく早くに召集いたしまして、その国会の劈頭に審議をお願いするつもりでおります。     〔国務大臣岡野清豪登壇
  16. 岡野清豪

    国務大臣岡野清豪君) お答え申し上げます。仲裁裁定実施につきましては、十分その精神を尊重いたしまして、目下慎重に検討中でございます。
  17. 原彪

    ○副議長原彪君) 井堀繁雄君。     〔井堀繁雄登壇
  18. 井堀繁雄

    井堀繁雄君 ただいま議題になりました仲裁裁定につきまして、二つの角度からお尋ねをいたそうと思うのであります。一つは、仲裁裁定に関する政府態度と、それがやがて影響いたしまする民間産業、ことに産業並びに労働政策についてお尋ねをいたそうと思うのであります。次は、具体的な事実について一、二お尋ねをいたすのであります。  去る第十六国会におきまして、吉田総理政府所信を次のように明らかにされております。日本の再建基盤は経済の自立にあると述べ、次いで、内に自給度の向上、外には貿易の振興、これと並行して最も緊要なるは、実に民生の安定であると強調されたのであります。この言が正しいものでありますならば、ただいま政府の提案されました仲裁裁定を否定してもらうという提案の趣旨は、どうしても納得のできがたい事柄であります。(拍手)申すまでもなく、今仲裁裁定を受けました政府の直轄する八つの職場の従業員は、とりもなおさず、国が雇用主であります。みずから雇用しておりまする従業員の労働条件について、法律が定めておりまする団体交渉によつて円満解決することを望んでおるのであります。団体交渉労働者努力と誠意によつて妥結し得ない場合に、やむを得ざる措置として調停なり仲裁制度規定しておるのでありまするから、正しい労務管理、誠実なる労働者に対する労働条件を施行しようとする雇い主でありまするならば、当然団体交渉の過程において、かかる問題を解決する義務があると言わなければならないのであります。(拍手)この法律は、申すまでもなく、吉田政府関係する立法に関するものでありまして、いまさらこの法律精神を説こうとするものではありません。私どもの最も遺憾に思いますことは、このような法律政府みずからによつて無視されるということになりますると、その結果を恐れるものであります。(拍手)  申すまでもなく、仲裁裁定については、先ほども同僚から述べられましたように、今日の公務員や公企業体のもとにおる労働者は、当然民主主義のもとにおける人権の基礎をなしまする自由を経済的に社会的に保障する意味において、団結権、罷業権が与えられておるものをば、公企業体であるという意味において、これを制約されておるのであります。でありまするならば、それにかわるべきない主は、道徳的にかつ法律の定める精神に基いて、一般仲裁裁定を求むるような事態が発生するような事項についても、みずから誠意を示して、団体交渉の過程において、よき労働条件を施行すべき義務があると喝破しなければなりません。拍手)かような意味からいたしまして、かかる提案がなされるということは、吉田政府のもとにおける産業政策、労働政策というものがまつたく無為無策であるということをみずから暴露するものにほかならぬと思うのであります。ついででありまするが、公労法三十五条について、先ほど労働大臣から弁解がありました。公労法第三十五条によりますると、当事者双方とも最終決定として服従しなければならないという、すなわち裁判の判決と同様の服従の義務規定しておるのであります。ところが、これと十六条の、すなわち予算上、資金上不可能な——労働大臣は、国会にそのしりを向けて、予算審議権と天びんにかけて説明をされましたが、きわめて狡猾なる詭弁と言わなければならぬのであります。(拍手)少くとも法律を理解し、労働法に対しましてまじめに取組む者といたしますならば、かかる詭弁は恐るべき責任を背負うべき将来があることを私は予言いたします。申すまでもなく、労働者の団結権、罷業権というものは、むやみに奪い去られる筋のものでないことは、この法律の立法当時の論議を皆さん御案内、御承知のことと思うのでありますが、ことに、この法律については連合国の示唆に基いたものが多いのでありますが、この中にも強調されております、公務員、政府職員に対する雇い主の立場である政府が、いやしくも民間産業に行われておるような紛議をかもし出す原因を除去することのために、労働条件については率先して政府が善処しなければならぬことを前提といたして警告されたものであることは、いまさら言うまでもないのである。こういう精神からいたしまして今の労働大臣説明は、あまりにも卑劣な、故意にこの要求を通さんがための主張であると私は思いまして、はなはだ残念に思う次第であります。  国鉄、全逓の問題につきましては、多少予算上の問題について検討を要すべきものがありますが、その他の六つの企業体におきましては、独立採算の上に立つて、十分組合側の要求を満たすに足る内容のものであります。これは一々今後具体的にわれわれが検討を続けて行く問題でありますが、この独立採算においてすら可能であるということを、先ほども労働委員会における審議の状況で説明されましたように、当然その当事者は労働組合の要求を妥当なりと認めてこれを容認し、労働条件として施行して行きたいという傾向は、団体交渉の中にもよく見られております。仲裁裁定の理由書の中にも、きわめて明瞭になつておるのであります。こういう問題を無視するがごとき本日の提案であります。私どもは、政府と直接従業員に接しておりまする使用者の立場を考えます場合に、何としても納得のできない労務管理の態度であると言わなければならぬのであります。もしこういうような態度が許されまするならば、これがただちに民間産業に影響を与えますることは議論を要しないところでありまして、最近これが反映したかの傾向は露骨になつて、民間におきまする労使関係というものはきわめて対立的なものになり、産業の平和はまつたく保障しがたく、労使関係というものがだんだんに荒れて参つておりますことは否定できないのであります。  政府は、一方におきましては労使関係の安定を主張し、産業平和を主張しておるのであります。ことに日本経済の再建が日本の復興の基盤になるという大きな建前からいたしましても、その産業のにない手である生産の場所において、労使関係がはげしく対立し、かみ合うような状態をかもし出して、どこに産業平和が求められましようか。(拍手)真に労働者の人格を認めると同時に、労働者の人格的組織である労働組合を正しく理解して、その間に労働条件団体交渉の形において成立せしめて行くところに、民主主義を貫く労務管理があると言わなければならぬのであります。(拍手)その点をゆるがせにし、これを否定するがごとき労務管理がもしあるといたしまするならば、それはきわめて封建的な、きわめて一方的な、因業きわまる労使関係と言わなければならぬのでありまして、かかる態度の許されないことは、あえて申すまでもないのであります。それを政府がみずから範をたれるがごとき今回の仲裁裁定に対する態度は、どうしてもわれわれの納得の行かないところであります。  以下、政府に具体的な答弁を求めようといたしまするのは、もし政府に誠意があるといたしますならば——仲裁委員会の構成は、おわかりのように、経営者側の利益を代表する者、もしくは雇い主側の利益を代表する者、それに学識経験者等をもつて構成しておりまするところの労働委員会にならいまして、それよりはやや官僚化された組織にはなつておりまするが、この仲裁委員会の性格についてわれわれは議論があるところでありまするが、その仲裁委員会においてすら、これは、労働者側の要求はきわめてもつともであるけれども、これでがまんしてもらうという意味での裁定でありますることは、いずれの裁定の理由書の中においてもきわめて明瞭に知ることができるのであります。こういう裁定に対しまして、もし政府がほんとうに誠意を持ちまするならば、数字的な問題を政府は明らかにされておりませんから、このことについて説明を求めたいと思いますが、もし予算上、資金上困難であるということでありまするならば、もの予算上、資金上の困難な理由を具体的に国会に提出して審議を求めるということが正しいやり方であります。(拍手)ところが、最もそのよき機会を与えましたのは補正予算でありますが、この補正予算の中に、政府は、仲裁裁定に対する尊重を口にしながら、額の問題については、意見の相違とか、立場の相違があることはやむを得ぬといたしましても、一銭も予算化しないということは、口に仲裁裁定を尊重し法律を守ると言いながら、法律を無視し、仲裁裁定を蹂躪する行為政府は露骨に示したものと言わざるを得ないのであります。(拍手)従いまして、政府は、補正予算の中になぜこれを組まなかつたのか、その金額の大小は別として、なぜ組まなかつたかということについて答弁を求めたいと思うのであります。  もし金額についてでありますならば、補正予算の中におきましては、最も政府が重視されております国防費、すなわち保安庁費や防衛関係の費用などにつきましては、かなり莫大な金額予算化いたしたのでありますが、私どもは決して独立国の自衛を軽視するものではありません。自衛上の問題につきましては、われわれは十分なる対策を望むものでありますけれども、われわれの主張しなければなりませんことは、今日の防衛の最も重要なる事柄はどこにあるか、私はあえて政府態度をただしたいと思います。従来、いずれの事態をわれわれが想像いたしましても、まず今日国内の治安を無視し、すなわち国内におけるはげしい対立や不安動揺や、ことに今日の物価高における低賃金、低収入のごとき不安きわまる労働条件をそのままに放置して、また労使のはげしい対立が激化しつつある現状を見送りまして、いかに保安隊を強化いたしましても、国内における不統一、思想上の不安や、あるいは生活から起るところの予測せざる不祥事態というものが、いずれの民族をも滅ぼし、その国の防衛を危うくいたしておりますことは顕著な事実であります。万里の長城を築きましても、国内に対立不安がありましては決して牢固たる防衛ではございません。今日の人事院勧告は、労働者の最低の生活を維持するに満たない低い条件でありまして、この条件に対しても、政府は軍事費に一千五百億に近い予算を組む熱意を示しながら、労働者の最低生活を蹂躪しても顧みないというような国防があるといたしますならば、まつたく本末転倒と言わなければならないのであります。(拍手)われわれは、かかる意味におきまして、政府が財政的あるいは資金的理由をもつてこれを拒否することはまつたく成り立たないと思うのでありますが、この点に対する責任ある御答弁を願おうと思うのであります。  最後に、やや具体的の点についてお尋ねをいたそうと思いますが、これらの事業庁は、御案内のように、それぞれ性質を異にいたします。あるものは生産、あるものはサービス、あるものは輸送であります。この個々ばらばらな性格を持つ事業の労務管理を担当されますそれぞれの所管大臣にお尋ねをいたしたいと思いますが、こういうそれぞれの特徴を持つております事業場の労働条件、ことに給与水準等について、政府として統一した均衡のとれたものにするという考え方を了解されるのであるか、またそれぞれの特徴を発揮した、いわゆる労働の担当量に見合うような賃金を独立して定めて行くという考え方であるのかについては、今後の裁定実施にあたつて重大な関係を持つと思いますから、それぞれの所管大臣の見解をただしておきたいと思います。ことに団体交渉につきまして、所管大臣がどのような努力をされ、どの程度具体的な事実に関係されたかについて、参考のために伺つておきたいと思うのであります。  いま一つの問題は、アルコール専売並びに林野関係におきましては、すでに委員会において当事者から数字的な説明を伺つておるのでありますが、その他、専売にいたしましても、印刷庁にいたしましても、電気通信にいたしましても、それぞれ事業庁の特質といたしましての採算があるわけでありますが、こういうような採算を、国の予算と、さらに資金上という政府の統轄した方針のもとに、もし労働条件関係する予算を取扱うというのでありまするならば、今日各省ごとに行われておりまする団体交渉、あるいは各事業庁ごとに取扱われておりまする仲裁裁定というものは意義を失うものでありまするが、(拍手)もしそれを一本にしておやりになるというのでありますならば、ばらばらな団体交渉をおやめになつて、総理ないしは政府を代表される責任ある人が、各労組の代表者を一堂に集めて団体交渉をやるのが正しい行き方と思うのであります。(拍手)そのいずれをとられるかにつきまして、政府の総括責任者並びに所管大臣のそれぞれ異なつた意見があると思いまするから、それぞれ伺つておきたいと思います。(拍手)     〔国務大臣小笠原九郎登壇
  19. 小笠原三九郎

    国務大臣小笠原九郎君) お答えいたします。  なぜ今度の補正予算にこのことを組まなかつたかというお話でございますが、これは御承知のごとく、災害、冷害等対策に関する財源措置をして、その予算措置をとつただけでございましたので、さよう御了承を願います。  なお、それではこの次に補正予算を出すのかというお話については、先にお答え申し上げました通り、私どもは仲裁裁定を尊重する心は十分持つておりまするが、国家公務員及び民間事業の従業員に対する給与その他の条件等について考慮中でありまするので、目下これを検討しておる次第であります。  なお、国防予算を削つてもこれをやるべきではないかとの御意見に対しましては、これはわが国家の現状にかんがみて、なし得ざるところであるということをお答え申し上げます。     〔国務大臣小坂善太郎登壇
  20. 小坂善太郎

    国務大臣小坂善太郎君) 仲裁裁定を極力尊重すべきことは御同感であります。今回の仲裁裁定につきましては、御承知のように、最終のものは、これは林野、造幣印刷でありまするが、今国会開会の二日前に出たような次第でありまして、また、今大蔵大臣からも話がありましたように、今次の補正予算につきましては、救農国会という建前もありますから、これを切り離して考えました次第であります。しかしながら、仲裁裁定実施は、現行予算上は不可能なことは明白でありますから、国会の御意思を求めるために、公労法の第十六条の規定従つて本案件を提出した次第であります。公労法仲裁裁定につきましては、政府といたしましては、極力これを尊重することは先ほども申したことでありまするが、仲裁裁定といえども、国会審議権を無視して、いかなる事情があるにもかかわらず、これを完全実施しなければならぬということは、民主政治の建前から許されないことであります。民主主義の原則の許す限度において、できる限り尊重するということであろうと思うのであります。  なお、今次の裁定の取扱いをいかにすべきであるかということにつきましては、御承知のように、国家財政もきわめてきゆうくつな実情にありまするので、政府といたしましては、これらの事情考慮して、目下慎重に検討中でございまするし、私といたしましても、関係各省と十分に連絡をとつて検討いたしたいと考えております。     〔国務大臣石井光次郎君登壇
  21. 石井光次郎

    国務大臣(石井光次郎君) お答えいたします。仲裁に入る前に団体交渉がいろいろあつたが、主管大臣としてはどうしたかというようなお尋ねが一つつたように思います。この団体交渉の進行の経過はその都度承つておりました。その経過裁定書に書いてある通りでありますから、ここであらためて申し上げません。不幸にいたしまして、話がまとまらなくて調停にまわり、調停で両方とも了承できないということで裁定が出たのでございます。この裁定をどうやつて行くかということは、ただいまのところにおいては予算がないから、これをここに提出したのはその通りであります。しかし、これを実際に今後どう運んで行くかということにつきましては、裁定書の中にも、財源についてもいろいろとサゼスチョンを与えられておるものもあります。これらのそれぞれについて目下研究中でございます。
  22. 原彪

    ○副議長原彪君) これにて質疑は終了いたしました。     —————————————
  23. 荒舩清十郎

    ○荒舩清十郎君 日程第一は延期し、本日はこれにて散会せられんことを望みます。
  24. 原彪

    ○副議長原彪君) 荒船君の動議に御異議ありませんか。     〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  25. 原彪

    ○副議長原彪君) 御異議なしと認めます。よつて動議のごとく決しました。  本日はこれにて散会いたします。     午後五時三十七分散会