運営者 Bitlet 姉妹サービス
使い方 FAQ このサイトについて | login

1953-11-01 第17回国会 衆議院 本会議 第4号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和二十八年十一月一日(日曜日)  議事日程 第四号     午前十一時開議  第一 昭和二十八年度一般会計予算補正(第1号)及び昭和二十八年度特別会計予算補正(特第1号)中修正の件  第二 農林漁業金融公庫法の一部を改正する法律案内閣提出)中修正の件     ————————————— ●本日の会議に付した事件  日程第一 昭和二十八年度一般会計予算補正(第1号)及び昭和二十八年度特別会計予算補正(特第1号)中修正の件  日程第二 農林漁業金融公庫法の一部を改正する法律案内閣提出)中修正の件     午前十一時三十三分開議
  2. 堤康次郎

    議長堤康次郎君) これより会議を開きます。      ————◇—————
  3. 堤康次郎

    議長堤康次郎君) 日程第一、昭和二十八年度一般会計予算補正(第1号)及び昭和二十八年度特別会計予算補正(特第1号)中修正の件を議題といたします。本件について大蔵大臣から発言を求められております。これを許します。大蔵大臣小笠原九郎君。     〔国務大臣小笠原九郎登壇
  4. 小笠原三九郎

    国務大臣小笠原九郎君) 政府さき昭和二十八年度補正予算国会提出し、目下御審議をお願いいたしておるのでありますが、諸般事情を考慮し、これに修正を行うことにいたしたのであります。  ここにその概要を御説明いたしますると、第一は、冷害等対策費を四十五億円増額したことであります。すなわち、そのうち十五億円は農林漁業金融公庫出資増加に充て、三十億円は災害対策予備費を増額することといたしました。第二は、右に関連し、農業保険費追加額を四十五億円減額したことであります。  以上が修正の要点でありますが、これにより、昭和二十八年度一般会計補正予算歳入歳出総額には何ら異動を生ずるものではないのであります。何とぞ御承諾あらんことを切望いたす次第であります。(拍手
  5. 堤康次郎

    議長堤康次郎君) 質疑の通告があります。順次これを許します。山本幸一君。     〔山本幸一登壇
  6. 山本幸一

    山本幸一君 私は、日本社会党を代表いたしましてただいま提案の保守三派妥協による政府修正予算案について、次のごとき二、三点の質問を試みたいと思うのであります。そもそも今国会は、二、三日来同僚議員諸君から強く政府所信をただしている通り、今次大災害を初め、MSA問題、李ライン問題のほか、労働階級が切実に要求する給与問題などを審議するために、かねがねわれわれが要求し来つたものでございます。しかるところ、政府は、いたずらに今国会開会を遅延いたしまして、われわれの強い請求によつて、ようやくにして過ぐる二十九日開会の運びに至つたのでありますが、しかし、わずか一週間の短期日をもつて、結局この大災害対策欺瞞的措置により一時を糊塗しようといたしていることが判明いたしておるのであります。(拍手)さらにまた、吉田内閣の最近きわめて顕著な失政の数々をつかれるのをおそれて、国民に対して不親切きわまる短期国会として、強引に押し切つたものにほかならないのでございます。(拍手)われわれは、今国会冒頭において、かくのごとき弥縫的な国会では、政府所信を十分にただせないのみか、災害対策すら満足に審議することができないことを指摘して来たことは御承知通りであります。しかるところ、われわれの指摘はまさに的中いたしまして、遂に、先ごろようやく政府提出冷害対策予算案説明終つたばかりであるにもかかわらず、今日突如として、保守三党が、事もあろうに、国会の外において、国民の目をおおい、やみ取引による修正協定を結び、政府たこれに屈服し、再び政府の手によつて修正案がここに提出せられたということは、国会無視もはなはだしく、(拍手)さらにまた国会権威失墜これ以上のものはなく、まことに言語道断と言わなければなりません。(拍手)  そこで、私が質問せんとする第一点は、予算修正政治的責任でございます。ただいまも申し上げた通り修正予算経過を見ると、国会の外におけるやみ取引案政府はぬけぬけと提出して来たのでございます。元来、今次の冷災害対策については、過ぐる十六国会の疲れをいやすひまもなく、われわれ議員が引続いてこれが対策とつ組み検討検討を重ねて来たものでございます。その結果、超党派によつて議がまとまり、国民の期待にこたえるべく懸命な努力を払つてたことは、国民を初め、政府のよく知るところであると存じます。このわれわれの超党派的努力は、関係常任委員会においても、あらゆる困難を乗り越え、今日まで満場一致の態度をもつて必要案件を決定し来つたのであります。従つて、当然政府はこの国会意思を尊重し、その実現に努力すべきことが政府責任であることは言うまでもございません。(拍手)しかるところ、わずか一日か二日にして今日までの超党派的決定を蹂躪し、あまつさえ、でつち上げられたところのやみ取引修正予算提出は、被害農家を初め、国民意思をこれほどないがしろに扱つたことはかつてないと言わなければならぬのであります。(拍手)  自由党初め、保守三派の諸君は、先ごろ来災害地をまわつて来られ、罹災者諸君に一体どんなことを約束せられたのでありましようか。この際諸君はようく自分の胸に手を当てて反省していただきたいと思うのであります。(拍手)さすれば、いかにつらあつかましい諸君といえども、(「つらあつかましいとは何だ」と呼び、その他発言する者多し)もし一片の人間的良心があるならば、はずかしくて、とうてい罹災者諸君に合せる顔もないことを思い出すことができるでありましよう。(拍手)さらに吉田内閣も、かくのごとき理不尽なやみ取引をあえて行うに至つては、そのこじき根性は真に嘆かわしい次第と存ずるのであります。(拍手、発言する者あり)すなわち、吉田首相態度は、一見政権に淡々たるごとくに見せかけているのでありますが、今度の修正予算経過を見ても、まつたく政権欲に汲々としているの事実を国民の前に完全に暴露したと考えるのであります。(拍手)また、改進党、鳩自党諸君も、今日まで災害地の復旧に努力すると宣伝したり、あるいは日本の国政を正しくするためには吉田ワンマン首相の退陣を口癖のように主張しながら、吉田首相から解散のあいくちを突きつけられると、国民への約束などはどこ吹く風で、とたんに青菜に塩となつているではありませんか。(拍手)すなわち、皆さんは、自己保全のためにはいかなる醜悪なる取引をもあえて行うという、恥知らずの態度と言わなければなりません。これをまた私に言わせるならば、こじき根性と非難せられても、一言半句の弁解の余地もないと申し上げても過言ではございません。(拍手)さらに、今回のごとく、超党派対策に対する政府並びに保守三派の不信行為は、われわれに対する完全な挑戦的態度であつて、今後国会審議いたずらに混迷せしめる結果となつても、これはあげて政府並びに保守三派諸君責任であることを断言するのであります。(拍手)われわれは、この事実を国民に暴露し、あくまでも被害実情に即した対策を持ちつつ、断固戦う決意をいよいよ強めるに至つたのであります。  政府は、私が先ほどから申し上げております通り、本国会における超党派的決定による対策内容を知りつつ、あえて国会の外の修正協定に屈服した理由は一体那辺にあるのか、吉田総理大臣の明確な御答弁を要求するのであります。(拍手)さらにまた、かくのごとき国会無視やみ取引修正予算案をぬけぬけと提出する政治的責任はきわめて重大であると思われますが、吉田総理はその責任の所在を明らかにしていただきたいと思う次第であります。  第二点は、小笠原大蔵大臣は、昨日の本会議場における答弁で、絶対に信念を持つて予算を組んだと、特別に大きな声をして強調せられたのでございます。われわれは、あなたが信念のある人であるとは考えておりません。あなたの信念は、それは信念ではなく、しんのない人だと私は再確認をいたしたのであります。  そもそも、あなたは、さき水害特別対策委員会で、被害総額二千六百余億に基き、これの国庫負担分を一千八百億円と確約せられたのであるから、当然三・五・二の年度割によれば、初年度においてはその三〇%の割合を実施しなければならないことは、万々承知のことと思うのであります。今回の修正予算案によれば、ぐんと下目に見た千五百六十億円余に減額せられたのであります。それにしても、その三〇%は四百数十億になるにもかかわらず、わずか三百億を計上し、その差引残余金は、つなぎ融資として必要に応じて運用すると言われるのでありますが、これはまことに不可解なことであると存じます。何となれば、ただいま申し上げた通りつなぎ融資は必要に応じてでありますので、そうなれば、政府のかつてな見解で、必要なものを必要でないと断定するならば、実行されなくともよいというような解釈がされがちであるからであります。もちろん、この実行の可否にあたつては、たといやみ取引妥協案を結ばれた保守三派の諸君といえども責任をもつて実行されると強弁されるかもしれないのでありますが、解散の一口で腰くだけになるような諸君では、とても国民を初め私どもは信用することができません。(拍手)また、吉田内閣至つては、今日までの行状を見れば明らかなことく、とうてい信用できると考えることができないのであります。皆さんも御承知のように、池田特使が今アメリカにおいて日本の再軍備をおくめんもなく折衝しているが、この池田特使の資格について、吉田首相答弁によれば、池田君は私個人の特使であると称し、自分つてに公私の使いわけを決定するがごとき不心得きわまる態度や、また事実上再軍備増強をどしどしやりながら保安隊増強なりと称し、白を黒と言いかえ、さぎをからすと言いくるめるような吉田内閣に対して、何人が信頼することができましようか。(拍手)  さらに重要なことは、ただいま申し上げた、つなぎ融資修正予算案の三百億に加えることによつて初年度三〇%の実行ができると政府は言われるのであるが、そうだとするなれば、なぜこれを完全な科目別に正式に予算に組まなかつたのかと私は言うのであります。それを組み込まなかつたところを見れば、つなぎ融資運用を行わない場合もあるという含みが見られるばかりでなく、たとい運用されるとしても、どの方面にこれを充てようとするのか、まるつきり内容が明らかではございません。私はこうした予算編成には大きな疑問を持つものでありますが、この際大蔵大臣は、国庫負担分一千八百億を一千五百億余に減額せられた内容を明らかにされるとともに、つなぎ融資の使途を明確にしていただきたいと存ずるのであります。  第三点は、冷害対策費百十五億とあるが、これはさき政府提出予算の七十億に対して、今回農業共済保険金より四十五億円を削り、これに充当しているのであります。かくのごとき措置こそ、農民をばかにするのもはなはだしいと存ずる次第であります。(拍手)すなわち、この措置は、たこ自分の足を食うのと一緒であつて、言いかえれば、農民のからだのある箇所を削り取り、他の箇所にくつつけて、痛いが、がまんしろという残酷なやり方と思われるのであります。(拍手)加うるに、こうしたやり方は、今後農業保険金不足補填費の処理問題に重大な支障を来すことは当然予期せられるところでございますが、このたこ足的やりくりは、冷害対策の意義をまつたく失うものであつて政府は、かかる場合、いかなる措置を考えているのか、私は承りたいと思うのであります。  最後に、政府並びに保守三派の諸君は、今次災害以来、鳴りもの入り救農国会救農国会と呼びかけて来られたのでありますが、一体、ただいま述べました三点の事実から、どこを押せば救農国会救農国会らしいところがあつたでありましようか。(拍手)私はあえて申し上げます。本日以後、政府並びに諸君は、救農国会などと大きな口をきくことは厳に慎んでいただきたいと思うのであります。(拍手)それどころか、日本外国より侵略せられると称して、ことさらに国民をおどかしつけ、あえて他国を刺激させるような再軍備費はこれを惜しげもなく計上し、せつかく平和持続の現状をして外国の手先のために使われたり、また外国安全保障日本人の犠牲をしいて、いたずらに戦争の危機を早めるような再軍備費を、何ゆえ冷災害にこれを使つて国民を救おうとしないのか。今、災害地国民は、口をそろえてこの点を強く要求していることを、諸君は知らなければならぬと思うのであります。さらにまた、数百億の防衛費使い残りがあるにもかかわらず、他方において、罹災農家を始め、国民が深刻にして困憊し切つた生活状況を訴えつつある今日、何ゆえこれらの金をまわそうとされないのか。これらの処置をとつてこそ初めて政府及び保守党諸君救農国会のかけ声が名実ともなつたと言えるのであります。(拍手)  今や、国民は、政府並びに保守三派諸君のかような冷淡な処置に怨嗟の声をあげつつあることを、よく諸君は知らなければならぬと存じます。政府並びに保守三派の諸君は、アメリカのためや一部大資本家のための施策をやつているとは、よもや言われないであろうけれども、今日の事実は事実として、国民をごまかすことは絶対にできないと思うのであります。真に政府並びに保守三派の諸君に一滴の血や涙があるならば、この際再軍備費用、すなわち防衛費用をもつてこの窮状を救うことが当然の措置であると思われるのであります。  私は、以上これらの諸点に関し責任ある政府側答弁を要求して、私の質問を終りたいと存ずるのであります。(拍手)     〔国務大臣吉田茂登壇
  7. 吉田茂

    国務大臣吉田茂君) お答えいたします。今回、政府は、諸般事情を考慮し、またこ補正予算がすみやかに成立、実施することを希望いたす結果、補正予算修正案を出しましたが、これは政府基本方針に何ら影響するところがないことを確信いたすものでございます。     〔国務大臣小笠原九郎登壇
  8. 小笠原三九郎

    国務大臣小笠原九郎君) お答えいたします。  被害報告二千六百二十億円ということについてのお尋ね、その通りであります。報告はその通りであるが、その後過去三箇年の実績に基く査定及び業種別等査定を加えた結果、千五百六十五億となつた次第であつて、当時の状況とその後調査の結果が違つておるということについては、昨日来本議場でも詳しく申し上げましたから、速記録をごらん願いたいと存じます。  なお融資につきましては、個々の工事進行状況につきまして実地調査の上で、資金運用部資金等より方法を講ずるのでありまして、これについてはすべて実情に即することを主といたしております。  さらに、農業再保険特別会計繰入れ四十五億円を減じて冷害等対策費増加した云々ということでございましたが、これによる不足分につきましては、融資等につき特別な考えをする意向であります。
  9. 堤康次郎

    議長堤康次郎君) 中井徳次郎君。     〔中井徳次郎登壇
  10. 中井徳次郎

    中井徳次郎君 私は、日本社会党を代表いたしまして、政府がただいま提出されました補正予算修正案について質問を行わんとするものであります。  五月以降数次にわたる風水害に見舞われ、加うるに全国的な冷害を伴い、災害総額はきわめて厖大なる数字に上つているのであります。まさに国破れて山河また荒れんといたしておるのである。翻つてわが国財政史をひもときまするに、明治維新以後、その国情よりいたしまして、うるわしき国土を守るために、災害には実は非常に多くの資金を優先的に投入して参つております。昭和十一、二年までは、実はその年に起つた災害はたいていその年度に処理されておるわけであります。しかるに、軍事予算の総予算の中に占める割合が増大するに及びまして、すなわち支那事変の勃発前後になつて災害がその年に処理できないようになつて参つたわけであります。国民生活の安定を中心とする予算、あるいは生産に振り向けらるべき予算は、かくて逐次縮小の一途をたどつたのである。この結果は、今回の災害を招く直接的、間接的の原因となつております。従つて、われわれは、これをとりもどすために全力をいたさねばならぬのであります。(拍手)再軍備費よりもまず国民生活の安定をはかれというのは、この点のみでも十分なその存在理由があるのであります。(拍手)  小笠原大蔵大臣は、十月二十九日、当本会議におきまして財政演説を行われ、今回の災害は、概算国家負担部分は千五百六十五億円、それに対して今回の補正予算総額は五百十億円を上まわることは、まず第一にそのような財源がない、次にインフレになるので、通貨安定のために、どうしてもこの程度の予算にとめなければならぬ、これは信念をもつて言うと、しばしば大きな声で論じておられたのである。(拍手)この金額は、今回の災害に対し、全体としてわずかに二割にも及ばない少額でありまするがゆえに、われわれは、この金額ははなはだ不満である、財源はないはずはないと、たびたび申したのでありまするが、大臣は幾度も原案を固執されて来たのであります。にもかかわりませず、三十日夜に開かれました保守三党の補正予算修正の折衝で、三党協定が発表されるやいなや、ただちにその案に同調されました。政府みずからが補正予算修正して国会に本日提出されるという、まことにみごとなる転身ぶりを示されたのであります。(拍手)私どもは、このことについて、予算増加についてはもとより反対するものではありません。かえつて、もつと増加を要求したいのであります。ただ、その内容において、その修正手段方法において、またその不明確なる政治的責任において、まことに承服できない点が多々あるのであります。  以下二、三、私は吉田総理大臣小笠原大蔵大臣戸塚建設大臣塚田自治庁長官にその所見を伺いたいと思うのであります。  まず第一に、建設大臣にお尋ねいたします。今回の災害予算編成に際しましては、大臣は非常に苦労をなさいました。閣議を病気で欠席されるほど苦労をなされたのであります。しかし、残念ながら、その結果は、建設省所管災害予算約百七十八億円をとるために、本年八月せつかく成立いたしました予算のうちから、成立早々本予算において約四十億円、また住宅公庫出資金二十二億円、合計約六十億円を削りとられ、建設予算は結局において、たこ配当のごとく、百十数億円の増加に実はとどまつたのであります。災害の遠因の一つは、建設予算の本格的、基本的工事の実施の遅延にありまする今日、大臣はこの予算を削られることにつきましては、建設大臣といたしまして断腸の思いであつたと御同情申し上げるのでありまするけれども大蔵大臣の、財源がない、インフレになるという説明によりまして、やむにやまれぬところを、やむなく承服されたと私は推察いたします。しからば、今回の修正により、財源が必ずしもないのではなかつた。ただいま、諸般状況によつて、ちつとも本質はかわつていないと申されましたが、それならば予算の再修正はやめられたらどうか。実はインフレの要因にはならないというような状態になつたのでありまするから、この際重大なる建設予算、特に今日三百十八万戸に及ぶという全国の住宅不足をカバーするための公庫に対する出資の復活をなぜまつ先に強く要求されなかつたのであるか。(拍手)聞くところによれば、公庫出資金は、公庫事務的技術の拙劣と、経済界の変動に即応せざる旧態依然たる官僚的運営のために、十分なる運営がなされていないといわれる。これが真実といたしますならば、とりもなおさず、現下日本の最も切実なる住宅問題に対する政府失政以外の何ものでもないのであります。(拍手)この重大なる問題において、建設大臣は、ちと西独の住宅政策でも見習つてはどうかと思うのであります。  次に、塚田自治庁長官にお尋ねいたします。そもそも終戦後、災害が大きく取上げられ、その金額厖大になりまする裏には、地方財政の貧困という問題が横たわつております。これは天下周知の事実であります。今日の災害特別立法において、かなり高率の補助金を認められておりまするが、もちろん、災害の性質より申しまして、全部の金額国庫負担というわけには行きません。災害地方の府県、市町村は、まことに財源に四苦八苦であります。一時融資つなぎ融資、もちろん必要でありまするが、実はこれにも相当不公平があるといわれております。きようはそこまで質問はいたしません。本質的には、こういうものはあくまで借金であります。(拍手)あくまで地方負担であります。災害自治団体の赤字は起債を認めると言われるかもしれません。もとより、これも借金であります。かくして借金がふえるばかりであります。この際、政府は、思い切つて地方に固有の財源を与えるか、それができなければ、本年度の便法として、さしあたり平衡交付金大幅増額をはかることにいたさなくてはならないのであります。(拍手)今回の補正予算並びに本日の修正に、自治庁関係予算は少しも頭を出しておらないのは、いかなる理由によるものでありましようか。建設大臣同様、自治庁長官として再度大いに強力に主張すべきものであると思います。災害冷害こそ大部分地方自治体の本年の最大の問題であると思うが、この点について、長官所見、これまでとられた態度について伺いたいと存じます。(拍手)  最後に、政府の今回の補正予算修正方法につきましての憲法上の解釈の問題であります。この点について、吉田総理大臣及び大蔵大臣にお尋ねいたします。  いまさら私が説くまでもなく、予算提出権政府に存在し、その予算審議修正する権限と義務は国会に存在するわけであります。政府がみずから国会提出した予算修正する場合には、原則として、数字について重大なる錯誤があつたか、その他予算編成に関する純技術的な問題か、それとも予算提出後の突発的な社会情勢の変化に応ずるものかに限定されるべきものと考えられます。(拍手かくて初めて、政府として民主主義における責任ある予算提出、あるいは責任あるその修正であると言うことができるのであります。このたびのごとく、保守三派の補正予算修正の会談をそのまま受入れて、みずから政府がいまだ説明したばかりの予算修正したのは、あくまで本筋ではないのであります。(拍手)この点について、あるいは先例があると言われるかとも思います。しかし、それはあくまで占領下先例であります。また、たとい先例がありましても、悪い先例は大いに改むべきであります。(拍手)  先般の第十六特別国会における予算委員会で、昭和二十八年度予算は、その最終段階に至りまして、自由、改進、鳩自によつて大幅に修正されたが、このとき、わが党の河野議員は、この修正された予算に対して、一体政府責任を負うのか、それとも修正した保守三派が責任を負うのか、それを明示されたいと、まさに心底をつく質問をされたのであります。これに対して、答弁は残念ながら区々にわかれました。政府側は、野党もその責任をになつてくれると思うと言い、改進党は、修正された部分予算についてのみ責任を負うと答弁されているのであります。この河野密氏の質問は、実は予算委員会における修正はいけないということを言つているのではありません。新憲法のもとにおける予算修正のルールを確立せんがための質問であつたと思うのであります。(拍手)基本的には、政府予算——吉田内閣のごとき数について弱体な内閣にありましては、将来とも当然政府原案国会において修正することがたびたびあるであろうし、またそのことは、新憲法精神から言つて、政治的には議論があるといたしましても、法制的には決して間違つているのではないのであります。(拍手政府は、それに際しては、その修正政府根本方針に著しく反しない限りは、これに応ずるのが当然の憲法の建前と考えます。しかしながら、その際には、予算成立責任はあくまで立法機関たる国会にあつて予算執行責任はあくまで行政機関たる政府にあるのが当然であります。ここに三権分立の根本精神があるのであります。しかるに、政府は、第十六特別国会における河野議員質問におびえましたのか、とにかく表面を糊塗して予算を通せばよいというわけから、今回は前国会とまつたく相反し、保守三派の幹事長及び国会対策委員長の話合いで、そのままの姿で、ありのままに、国会修正とせずして、原案修正としたことにつきましては、どなたの意見に押されたのかは存じませんが、まつたく新憲法精神を無視し、これを蹂躪した行いと言わねばならぬのであります。(拍手)ことに、今回のごとく災害金額のみが最も重要なる論争になつているときに、一昨日まで、これ以上の予算修正及び資金の散布は日本インフレの道に導くものであるとの信念を強調していた大蔵大臣が、原案をそのままとし、国会においてこれが修正され、これをやむなくのむのならとにかく大蔵大臣自体において原案修正するがごときは、かような建前をとるに至つたことは、予算編成こそが歴代の大蔵大臣の最も重要なる施策である点において、その心境の変化と、その政治的責任の無節操について、ただただあきれざるを得ないのであります。(拍手)  私は率直に申し上げます。大蔵大臣も、今回の災害地の出身で、事情はよくわかつておられるのであります。従つて保守三派の修正国会修正としてのむのではなく、原案修正の形で出されるのならば、何ゆえ、西日本全体にわたる災害、東日本を中心とする冷害、特に食糧を通じて八千五百万全国民の生活に直結し、最も急を要するこの問題について、当初からはつきりとした見通しを立て、この保守三派の線を堂々と出さなかつたのかということを疑いたいのであります。もしそれ大蔵大臣は、自己の信念において三百億円以上は無理である、しかし保守三派が修正するならそれに応じようというお考えであつたのならば、会期を七日間にわざわざ限定いたしまして、最初の三日間、財源がない、インフレになると言い切つて、まつたくむだながんばりをやらないで、まず国会を召集されて、今度の予算はどうしましようかと国会に聞いてみたらいかがであつたかと思うのであります。(拍手)それから原案を作成されても遅くはないと思います。私どもは、今回の修正について、憲法精神から言つて政府原案をそのままで国会修正というのならば少な過ぎるが、前よりはましである、しかし、いやしくも政府原案修正するということについては、はなはだ法理的に間違つているものと言わなければなりません。(拍手)この点に対する大蔵大臣所見を強くただしたいと存ずる次第であります。  また、この問題に対する総理の見解をもお尋ねいたします。総理は、筋を通す通すと言つた。この総理大臣は、将来の慣例になるこのような重大なる修正について、いかなるお考えをお持ちになるのでありますか。最近の政府の考え、やり方を見ると、まことに継ぎはぎ政治が多いのであります。以上のことが、その一つの例であります。ことに、内政の問題については、まつたく野放しに、場当りの政治であります。終戦後八年、独立後二年の今日、まつたく抜本的な手を打つべきときが来ていると私は信じます。(拍手調査調査と何回もやつておりますけれども、それはいつも官僚の手によつて途中で消えてしまつております。これはまことに現内閣の内政力の貧困であります。災害とて、もちろんこのわく外ではありません。今日、地方財政の困窮の結果、実に三万円という施設の災害についてまで中央政府が助成をしなければならないという事態に立ち至つております。三万円といえば戦前の百円ではありませんか。かような金額のものを、中央の建設省や農林省であくまで正確を期そうとしても期せられるものではありませんか。もし、かようなものまで正確を期そうとするならば、厖大なる人員と厖大なる間接費が中央地方を通じて必要なのであります。これが現在の財政の貧困の一つの大きな原因になつております。こんなことをするよりも、政府は、新憲法に基く主権在民、地方分権の精神をすなおに受継いで、地方自治体をもつと信用いたされまして、法制だけではなくして、財源においてもこれを大幅に地方に与えるべきであると私は思うのであります。(拍手厖大な人員を要する仕事を一方でどんどん広めながら、一方では行政整理、人員縮小、待命制度などを始終唱えているのであります。かような首尾一貫せられざる政治を、もういいかげんに打切られたらどうかと思うのであります。  以上、簡単でありますが、私の質疑を終ります。(拍手)     〔国務大臣吉田茂登壇
  11. 吉田茂

    国務大臣吉田茂君) 補正予算のすみやかな成立を期するために、さらに修正案を出しましたことは、先ほど説明いたした通りであります。政府がすでに提案権がある以上は、これを修正して提案するということは決して違憲でないと私は信ずるものであります。(拍手)     〔国務大臣小笠原九郎登壇
  12. 小笠原三九郎

    国務大臣小笠原九郎君) お答えいたします。本修正案は、三党申合せの次第もあり、政府においても研究の結果、今回の補正予算五百十億のわく内であり、政府の基本的な考え方に何ら背馳するものでなく、またこ修正により災害冷害等対策費に対する補正予算のすみやかなる国会通過を見て、一日も早く、実施せられることを熱望するところから、政府において修正を提案、御承認を求めている次第であります。本修正案政府の提案になるものでございますから、憲法上何らの問題はないと存じます。(拍手)     〔国務大臣戸塚九一郎君登壇
  13. 戸塚九一郎

    国務大臣(戸塚九一郎君) お答え申し上げます。住宅金融公庫の件、そのほか既定経費の節約についてのお話でありましたが、先般来大蔵大臣もしばしば御説明申し上げておりますように、金融公庫の二十二億を減じましたのは、予算成立が遅れたとか、その他の事情もありまして、仕事がだんだん遅れておりましたことはまことに申訳ないことでありまするけれども、事実不用になるのじやないかという意味で遅れたのであります。もし必要が生じますれば、いつでも支障がないようにするつもりであります。なお、建設省所管の節約が多いというお話でありましたが、これは基本が多いのであります。ことに、特定道路につきましては、一般会計から融資の方に組みかえたのであります。なお、公共事業費のうちで、河川費その他につきましては、特に節約額をきわめて少額にいたしまして、約二%にいたしております。そういうわけで、今までも説明があつた通りでありまして、この際必要に応じては復活をすることはありますけれども、この場合は政府の決定したところでやつて参るつもりであります。     〔国務大臣塚田十一郎君登壇
  14. 塚田十一郎

    国務大臣(塚田十一郎君) お答え申し上げます。このたびの予算には、御指摘の通り予算面には地方財政措置はいたしてございませんけれども、必要な財源措置は十分いたしてあるのでございます。すなわち、地方が自体にいたします小災害の復旧分百十八億、それから災害に伴う減収、減免分が三十五億、その他を含めまして百九十一億というものの財源措置を考慮いたしております。その一部分は今年度予算にすでに計上してあります特別平衡交付金措置をいたすのでありますが、大部分は起債によつて措置をすることになつております。この起債のうち、特例法によりまする分は、御承知のように、その元利とも二年度以降においてめんどうを見ることになつておりますし、なお特例法によりません分も、従来の慣例から申しますならば、平衡交付金によつて、これまた次年度以降においてめんどうを見ることになつておりますので、今度の災害によりまして地方負担が特に増加することのないように、十分措置ができる確信を持つております。なお、地方財政全般の窮状につきましては、政府におきましても再建整備計画を立案中であり、なお今企図いたしております税財政制度の根本的な改正の際に、御指摘のような御趣旨を体して十分考慮いたしたいと存じております。
  15. 堤康次郎

    議長堤康次郎君) これにて質疑は終了いたしました。  本件を承諾するに賛成の諸君の起立を求めます。     〔賛成者起立〕
  16. 堤康次郎

    議長堤康次郎君) 起立多数。よつて承諾するに決しました。(拍手)      ————◇—————
  17. 堤康次郎

    議長堤康次郎君) 日程第二、農林漁業金融公庫法の一部を改正する法律案修正の件を議題といたします。本件について農林大臣から発言を求められております。これを許します。農林大臣保利茂君。     〔国務大臣保利茂君登壇
  18. 保利茂

    国務大臣(保利茂君) 目下御審議を願つております農林漁業金融公庫法の一部を改正する法律案の一部につきまして、ただいま承諾せられました予算書の修正に伴い、このたび所要の修正書を提出いたしましたので、その要旨を御説明いたします。  冷害対策の主要なる一環としての救農土木事業の地元負担分につきましては、農林漁業金融公庫におきまして長期かつ低利の資金を貸し付けることといたし、これに充てる資金増加する必要が生じましたため、同公庫の資本金を十億円増加することを提案いたしたのでありますが、救農土木事業の拡大その他を勘案いたしまして、同公庫に対する追加出資十億円を、さらに十五億円増加いたしまして二十五億円に引上げる必要が生じたのでございます。  以上がこの一部修正書を提出いたしました理由であります。何とぞ御承諾あらんことを切望いたす次第でございます。(拍手
  19. 堤康次郎

    議長堤康次郎君) 本件を承諾するに賛成の諸君の起立を求めます。     〔賛成者起立〕
  20. 堤康次郎

    議長堤康次郎君) 起立多数。よつて承諾するに決しました。  明二日は定刻より本会議を開きます。  本日はこれにて散会いたします。     午後零時二十六分散会