運営者 Bitlet 姉妹サービス
使い方 FAQ このサイトについて | login

1953-11-04 第17回国会 衆議院 法務委員会 第5号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和二十八年十一月四日(水曜日)     午後二時十五分開議  出席委員    委員長 小林かなえ君    理事 鍛冶 良作君 理事 佐瀬 昌三君    理事 田嶋 好文君 理事 吉田  安君    理事 古屋 貞雄君 理事 井伊 誠一君    理事 花村 四郎君       押谷 富三君    林  信雄君       野田 卯一君    牧野 寛索君       鈴木 幹雄君    猪俣 浩三君       木原津與志君    多賀谷真稔君  出席政府委員         法務政務次官  三浦寅之助君         検     事         (刑事局長)  岡原 昌男君  委員外出席者         国家地方警察本         部警視正         (警備第一課         長)      三輪 良雄君         検     事         (法務大臣官房         経理部長)   天野 武一君         検     事         (法務大臣官房         経理部主計課         長)      羽山 忠弘君         判     事         (最高裁判所事         務総局経理局         長)      岸上 康夫君         専  門  員 村  教三君         専  門  員 小木 貞一君     ――――――――――――― 十一月三日  委員館俊三君及び飛鳥田一雄辞任につき、そ  の補欠として黒田寿男君及び鈴木茂三郎君が議  長の指名委員に選任された。 同月四日  委員三浦一雄君及び鈴木茂三郎辞任につき、  その補欠として鈴木幹雄君及び多賀谷真稔君が  議長の指名委員に選任された。     ――――――――――――― 本日の会議に付した事件  閉会中審査に関する件  人権擁護に関する件  法務行政に関する件     ―――――――――――――
  2. 小林錡

    小林委員長 これより会議を開きます。  人権擁護に関する件について調査を進めます。政府側としては本日、岡原刑事局長、それから国警警備第一課長三輪良雄君が説明員として出席しております。発言の通告がありますから、これを許します。古屋貞雄君。
  3. 古屋貞雄

    古屋(貞)委員 二つあるのですが、第一に御質問したいのは、岩屋炭鉱争議関係いたしまして、証人に呼ばれた白尾泰蔵というのが、取調べを受けたあとで、自分の家のガラス障子に残念という言葉を書いて、首をつつて死んでいるのでございまして、その事件について御質問をしたいと思うのであります。何か検察庁当局におかれましても、確かにお調べが済んでおると思うのでございますが、これは本年の九月二十六日の夜に死んだのであります。その捜査並びに取調べに相当無理があつて、十二時間以上も呼び出してから帰すまでにしつこく取調べが行われて、そして帰つてから残念だというので首をつつて死んだ事件なのですが、この根本になつております問題は、岩屋炭鉱争議事件に端を発しておるのであります。この事件がどういう被疑事件であつて参考人として死んだ白尾泰蔵調べたのか、被疑者としてお調べになつたのか、その点をお伺いしたいと思います。
  4. 岡原昌男

    岡原政府委員 一応私の方でも詳細に現地から報告を徴しておりますので、事件の経過を簡単に御説明申し上げて、あわせて自殺関係に移りたいと思います。  問題のありましたのは、佐賀県東松浦郡厳木町所在高倉鉱業岩屋炭鉱でございます。今回の台風十三号による水害によつて、坑内の一部が大損害を受け、損害一億円、復旧の見込み立たずという状態でございました。その関係会社側は、従業員千五百名中、保安要員二百八十二名を残して、全員依願退職の形式による解雇措置をとるべく団交に入つたわけでございます。ところでその復旧後の全員再雇用の問題をめぐつて交渉が進展せず、この間残留者のみで組織しました第二組合との間に、いろいろ感情的な対立があつたのでございます。その間、第一組合員会社勤労課長暴行を加える等の事件が発生したのでございますが、最後は結局地労委のあつせん案を両方がのみまして、十月十四日に一応争議は解決いたしております。解決案は結局、山の直るに従つて全員を採用するという方針になつたようでございます。その間に事件が幾つかございまして、これらは起訴されておるのでございますが、問題になりました白尾……。
  5. 小林錡

    小林委員長 それでは本会議に出席するため、暫時休憩いたします。     午後二時二十一分休憩      ――――◇―――――     午後二時三十九分開議
  6. 小林錡

    小林委員長 休憩前に引続き会議を開きます。  人権擁護に関する件について調査を進めます。  それでは岡原刑事局長説明をお続けください。
  7. 岡原昌男

    岡原政府委員 休憩前にお話いたしました通り事情で、第一組合と第二組合との反目が続けられたのでございますが、その間犯罪が発生いたしまして、これについてはそれぞれ起訴されております。その内容は非常にこまかくなつておりますので、要約いたしますと、第一組合員の数十名が九月十九日の夜、第二組合教育宣伝部長岡貞彦という人に対しまして、自宅に押し寄せて大分いろいろ因縁をつけて、結局屋内に侵入してその人を連れ出して、そして広場でいろいろとおどしたりすかしたりして無理に組合脱退書に署名捺印さしたというふうな事実、それからその間に草野久作ほか数名が本人をつかまえてなぐつたり足げにしたりいたしまして、結局打撲傷等治療二週間余りの傷害を加えた。その間笛、たいこの音に合せてわつしよい、わつしよいとその勢いを助けたという傷害助勢行為、あるいは勤労課長梶畑充という人あるいは勤労課外勤主任中野満という人を難詰いたしまして、結局これまたいろいろな暴力行為に出たというふうな事実等がございます。その間今回問題になりました白尾昭義という第一組合員が、その夜その暴行に加担いたしまして、傷害行為の共犯として活動したというふうな被害者の妻からの申告がございまして、それに基いて白尾昭義調べを受けるに至つたわけでございます。白尾調べられて、自分はその晩現場にはいなかつた父親一緒におつたという供述をいたしましたので、その当時の状況調べるために、九月二十六日実父泰蔵母ユクノ実姉木村ヤス子、この三名を相知という地区署に任意出頭せしめたわけであります。取調べ状況は、この父親につきましては、午前十時半から署の幹部当直室調べが始まりまして、藤森という巡査部長調べに当りました。昼過ぎ零時半に一旦調べが終りました。昼食の後午後三時から同じ場所小宮という副検事が六時二十分までその父親調べました。調書も作成したようでございます。その調べが終りましてから、母親ユクノという人の調べがまだ済んでおりませんので、小宮検事が、母親調べの済むのを待つて父泰蔵とお茶などを飲みながら話し合つてつたようであります。間もなく午後七時十分ころに母の調べも済みましたので、県本部捜査課ジープに便乗さして、岩屋炭鉱付近、つまり自宅付近まで送り届けた、かようなことになつたのでございます。姉の方は先に調べが済みまして、一足先に帰宅いたしております。そういう関係で父母は一緒ジープで帰つたわけでございまして、父泰蔵は夜十一時ごろ就寝いたしましたが、翌二十七日の午前零時から午前五時までの間に家出して、捜索したところ付近の山林で縊死しておつたということでございます。それで死体の検屍を行いましたところ、別段の外傷なく、暴行を受けた形跡はないということでございました。自殺原因につきまして私どもの方からも厳重にこの点について慎重な調べをするようにということを言つてつたのでございますが、どうも諸般の事情を総合いたしましても、結局はよくはわからない、ただ当時の模様から想像するところによると、非常に性格の温厚な生来小心の人であり、息子がつかまつて本件調べを受けたので、将来炭鉱復旧して復職の問題が起きた場合にも、ひよつとしたら復職できないのじやないだろうかということで、世をはかなんだものではないだろうか、もう一つ自分息子がつかまるようになつたの被害者の方が悪いのだ、つら当てに死んでやれというような発作的な精神醋乱から縊死したのではないかというような判断を現地では下しております。それらの点について検察庁の方の調べ官のその当時の模様報告によりますと、小宮検事会つて調べをした際には、特に平常人とかわつたところも見えない、別にこの事件についてあまり聞いておるような状況も見えない、従つて検事としてもまつたく見当がつかないという状況であつたのであります。しかしながらかような事件ができたということは、やはりその事故が取調べの直後に起きたという点からいたしまして、私どもはこれを非常に重大視いたしまして、現地に対して再三その実情の詳細なる報告を徴したのでございますが、結局調べても何にもそれ以上のことは出て来ない。なお捜査官の方に無理な調べがあつたのではないだろうかというようなことにつきましても最高検察庁から特に指示いたしまして、現地において厳重な調査をいたしたようでございますが、現在のところそのような事実はまつたく認められないということでございます。  なおついでに御参考までに申し上げますと、被疑者白尾昭義に対する事件そのものは、父親母親供述その他を参照いたしまして、証拠不十分として十月十七日不起訴処分に付しております。もつともこのアリバイの内容自体については、父親母親とは若干違うところもあるようでありますが、大筋といたしましてさような証拠不十分という裁定をいたしたようでございます。従いまして、この事件につきましては白尾起訴されておりません。大体以上のような概要でございます。
  8. 古屋貞雄

    古屋(貞)委員 大体本筋はわかつたのでありますが、今の御説明によると、事件二つにわかれて起つておる。その被疑事件二つ関係ですが、ただいま御説明がございましたが、これによつて調べ関係者と申しますか、被疑者として調べたのが何人、証人として調べたのが何人、起訴されたのが何人、こういうような内訳の御説明がわかりましたら御発表を願いたいと思います。
  9. 岡原昌男

    岡原政府委員 今回の報告によりますと起訴は二回にわけて起訴してございます。起訴人員は全部で十四名、それから犯罪罪名でございますが、罪名はそれぞれいろいろかわつておりますが、強要、住居侵入傷害助勢暴力行為等処罰に関する法律違反等になつております。一人で一つ罪名の人もございますし、三つから四つくらい重ねて罪名がある人もございます。それから全体として証人を幾人調べたか、また全体として被疑者としてどれくらい調べたかということまでは、まだ報告をちようだいしておりません。
  10. 古屋貞雄

    古屋(貞)委員 その点も実はお調べを願いたいと思いますのは、これは労働争議に関する派閥的な事件であります。労働争議の場合に何ら疑いのないような者までも検挙されて一応調べあとでこれを不起訴にする。かようなことになりますると、これがすなわち弾圧という方法になるわけなのであります。この点が非常にデリケートな大きな問題になると思うのですが、その点もお調べを願いまして次会に御報告を願いたいと思つております。  それから今の起訴された十四名は全部、第一組合組合員であるのか、それとも第二組合組合員もいるのか、しからばどういうような比率になつておりますか、その点も承つておきたいと思います。
  11. 岡原昌男

    岡原政府委員 犯罪事実は第一組合員が、第二組合員あるいは会社の職員をなぐつたりしたという事実なのでありまして、第一組合員関係が全部でございます。もつともその後第二組合関係者が前に暴行した事実が、この事件を契機にして発覚して参りまして、二名傷害罪によつて起訴せられておりますが、全然別件でございます。
  12. 古屋貞雄

    古屋(貞)委員 ただいまの二名というものの中に山崎藤奈美というのが加わつておりましようか。
  13. 岡原昌男

    岡原政府委員 電報では「ヤマザキフジナミ」と書いてありますので、この人物であろうと思いますが、入つております。
  14. 古屋貞雄

    古屋(貞)委員 本件は第一組合、第二組合関係かと思うのでございますが、むしろ会社関係、言いかえますならば会社側に買収された人々が、第一組合事務所にあばれ込んで暴行をいたしましたり、並びに器物破棄などをいたしておりますが、その点については何らの報告も来ておりませんか。
  15. 岡原昌男

    岡原政府委員 ただいままでのところではさような報告は来ておらないように存じます。
  16. 古屋貞雄

    古屋(貞)委員 ただいまお調べを願いました検事の中に水之江という検事関係しておるのでありますか。
  17. 岡原昌男

    岡原政府委員 水之江検事佐賀の本庁の検事でありまして、この事件を全体的に見たといいますか、相談に乗つたと申しますか、さような関係にあるようであります。
  18. 古屋貞雄

    古屋(貞)委員 検事といたしましては主としてどなたがお調べになられましたか。     〔委員長退席佐瀬委員長代理着席
  19. 岡原昌男

    岡原政府委員 検事は先ほど申しました小宮検事等が中心になつて調べておるようでございます。
  20. 古屋貞雄

    古屋(貞)委員 私の方の調査によりますと白尾調べられております隣りで調べを受けました辻信太郎証言によりますと、妻のユクノとの証言の食い違いがあるというので、小宮検事から相当大きな声でどなられておつた。のみならず頭を鉛筆か何かでこづかれておつたというようなことを言つておるのです。さような調べ状況についてのお調べが出ておるかどうか。
  21. 岡原昌男

    岡原政府委員 さような具体的な事実はただいま初めて承るのでありますが、さような点については私どもにまだいずれとも報告は来ておりません。ただ全般的に先ほど申し上げました通り最高検察庁から指示をいたしましたのに対しましては、現在のところ捜査官側からのいわゆる特別公務員凌虐行為というふうな事実はない、さような報告が来ておるわけでございます。
  22. 古屋貞雄

    古屋(貞)委員 なお藤原辰次というのもやはり被疑者として調べられたのでございますが、それの私ども調べによりますと、それも自分の隣りで調べられた辻信太郎も頭をたたかれておつた自分暴行を受けた、こういうようなことを言つておるのでありますが、今の検察庁でこの事実の調査をおさせになりましたのはどなたであつて、全然これに関係のなかつた第三者がお調べになつたかどうか、その点をお伺いいたします。
  23. 岡原昌男

    岡原政府委員 この点につきましては最高検察庁から現地検事正調査の命令が行つたのでありますが、検事正からだれが調査に当つたかということまでは言つて参りませんけれども、事の性質上さような場合には大体直接の関係のない検事調査に当りますので、おそらくほかの検事が当つたのではないかと想像いたします。しかしこの点はなお私の方で調査いたしてみます。
  24. 古屋貞雄

    古屋(貞)委員 実はこの点がただいま岡原刑事局長の御説明によりましても死亡いたしました原因がはつきりしないということでありましたが、私どもの方で相当調査いたしました当時の関係者証言によりますと、相当無理な調べが行われたように報告書が来ておるのみならず、関係弁護人の聞取書を私どもの方の手元に送つて参つておりますが相当あるようです。その点をどうか直接責任をもつていま一度かような事実をお調べを願いたい。御参考までに申し上げますが、それによりますと白尾ユクノ調べられました調書も来ておりますが、これには相当無理な調べが行われておる。それからなお池上捨広辻信太郎藤原辰次古賀茂井手定雄、これらの関係者の、当時被疑者ならびに証人として調べられました方たち調書弁護人から送つて来ておりますが、これによりますと相当暴行が行われたようなことになつておりまして、いずれ現地におきましては弁護人から何らかの処置が行われたと思うのですが、公平な司法の立場から御調査願つて報告願いたいと思います。
  25. 岡原昌男

    岡原政府委員 御質疑の点、十分私の方も誠意をもつて調査いたしたいと思います。
  26. 古屋貞雄

    古屋(貞)委員 ただいまの事件は以上によりまして、後日御報告を見てからまたあらためて御質問したいと思います。  もう一つ旭硝子争議関係でございます。この点につきましては場所戸畑市の旭硝子牧山工場、このストライキを原因にごたごたが起きたのでございますが、御質問申し上げたいことは、この当時の捜査状況並びに被疑事件件数あるいは起訴された人数、その事件内容、その点をお尋ねしたいのが一つと、なおいま一つは当時スト破りをいたしましたこの会社の出入りの請負業者が雇つて参りました二百人からのものが八幡市の市役所から何らの理由なしに一定の食糧配給を受けた食管法違反事件がございまして、この点について労働組合から告発をいたしておりますけれども、これを捜査あるいは検挙していない。それからもう一つはやはりスト破りをいたしました、ただいまの会社の雇いました請負業者の若いものが労働組合事務所にどなり込んで、さんざつぱら事務所を破壊し、暴行脅迫をいたしまして数人の組合員にけがをさせておりまして、労働組合がこれを告訴しております。十月の八日――十四、十五日ごろのできごとでございます。この点いかなる捜査をいたしましたか承りたい。それから食管法違反ついて告発が出ておりますが、それに対する捜査が事実あつたかどうか、この点を承りたいと思います。
  27. 岡原昌男

    岡原政府委員 戸畑における旭硝子牧山工場争議事件につきましては、御指摘通り第一組合と第二組合の紛争がございまして、その当時いろいろな形の問題が出たことも承知いたしております。本日ちようど質問のあるということを知りませんので、関係記録を持参いたしませんので、詳細はわかりませんが、その当時ただいま御指摘のような食糧配給に関する違法事実ありとして告発もされたこと並びにスト破りと申しますか第二組合側のものというか、会社側と申しますかそれと第一組合との間でかなり問題が紛糾したということを承知いたしております。現在何名拘禁されているかちよつと記憶いたしませんが、報告では二十二、三名検挙せられておつたようであります。そのうち逐次調べが終りまして最近の状況ではおそらく拘禁者はほとんど保護扱いになつているのじやないかと思います。ただいまの御質疑の点は詳細まだ報告も参つておりませんので、さらに現地に問い合せまして公平妥当なる捜査をいたすように伝えたいと思います。いずれ詳細の現地からの報告の来次第こちらの委員会で御報告いたしたいと思います。
  28. 古屋貞雄

    古屋(貞)委員 事件事件でございますので無理かもしれませんが、努めてひとつお調べ願つて報告願います。  もう一つはこれは国警の方に承りたいのであります。前の岩屋炭鉱争議のときに武装警官労働組合事務所を六十名くらいで襲いました事実、この報告によりますと六十名以上の武装警官労働組合事務所を襲いまして、集合しておりました事務所方たち傷害事件を起さした事実がある、かような点はいかなる権利に基いて武装警官六十名が組合労働事務所襲つた傷害を加えられましたものについていかなる所置をなされたか、この点をお伺いしたい。
  29. 三輪良雄

    三輪説明員 ただいまのお尋ねでございますが、武装警官参つたというのは先ほど局長から御説明をいたしました不法行為について十一名の被疑者検挙をいたしたわけでありますが、その際に関係場所押収捜索令状をいただきまして組合事務所その他を捜索をいたしたわけであります。制服警察官相当数参りました点はすでにそのころ連日大衆動員をいたしておりまするし、また住宅がいずれもその付近に密集をいたしておりまして、呼べばすぐに集め得る状態にありますること、そういうような事態からいたしまして不測の事態の発生をおそれまして、事前に制服警察官をつけて押収捜索向つたわけでございます。結果から申しますと雨も降つておりまして常時おりましたピケ隊もおらなかつたわけでありまして、不法行為は何ら起らなかつたと行うことを私どもは承知をいたしているわけであります。組合事務所捜索いたしましたのは、第二組合と申しますかあとでできました組合員に対しまして第一組合の者が数人の組をもつて各個別に訪問して、第二組合を脱退して第一組合に入れという委任状を強要してとつた事実が予測されましたので、このことに関しまして関係書類組合事務所にあることと十分考えられますので、捜索をお願いをして令状をいただいたということに報告を受けておるわけでございます。また最後お尋ね傷害を与えたという点につきましては、私ども報告では、捜査に当るときには相当数組合員がそこにおつたと申しましたけれども、つかみ合いその他の実力行使を行わずに済んだというふうに報告を受けておりますので、ただいま傷害云々につきましてはその材料等を持つておりません。
  30. 古屋貞雄

    古屋(貞)委員 当日の捜査をいたしましたときに、公務執行妨害か何かの問題が起きた事実があるかどうか、その点が一つ。それからただいま私どもの納得の行かないのは、何か間違いでも起きてはならないというので、六十名という多数の武装警察官を引率いたしまして、武装警察官が、全部ではありませんけれども現場事務所に入つたという事実です。かような点について、あまりに行き過ぎておらぬかということを私どもは考えておつたのですが、入つたという事実はどうなんですか。逮捕状を持つてつた司法警察官以外に武装警察官事務所に入つて来ておどかしたという事実――おどかしたおどかさないということは考えようですから、これは別として、入つた事実があつたかどうか。
  31. 三輪良雄

    三輪説明員 その際に公務執行妨害等のことは起つておらないということを聞いております。また、それ以前に、先ほど申しましたように連日大衆討議を続けておりまして、事件の起りました十九日の晩なども井手代議士その他県会方々あるいは九炭労の方々から、交渉は引受けるからどうか乱暴しないようにというような御注意を賜わつたようでありますけれども、そこにおりました大衆はいつかな夜中過ぎても解散しなかつたというような事態もございます。そういう空気の中で、検挙あるいは捜索をいたしますために、小人数私服員で参ります場合には、へんな言い方でございますけれども公務執行妨害を招くようなことになるおそれもございます。そこで制服警察官をつけて参つたものと思いますが、その制服警察官組合事務所に入つて脅迫をするというような事実があつたことは私承知いたしておりません。今調べてみますと、制服警察官を目につけるというようなことで無用な刺激にならないように十分気を配りますことは、いろいろ取締りの場合に出ておるのであります。多分そのことに関連してだと思いますが、検挙には誤解防止のため制服員二名をそれぞれ付したということと、押収捜索箇所には、制服一箇小隊ほどでございますが、これをつけて、特に刺激を少くするために建物の陰に入つてつたということを言つておりますので、現場制服警察官が入つて組合員脅迫したというような事実はないものと考えます。
  32. 古屋貞雄

    古屋(貞)委員 もつと詳しく申し上げますと、九月二十三日の午後四時五十分ごろ、武装警官六十名が組合事務所を急襲いたしまして、その中の七、八名の警察官組合事務所に入つた当直の青年の松本という総務部長捜索状を見せて捜索をしようといたしました。そこで松本というのと島というのが、責任者がおりませんから責任者が来るまで待つてくれないか、こういうような問答をいたしましたのに、さらに数名の警察官が来て、それはけしからぬというようなことで、無理やりに捜索を始めたというようなことになつております。これは少し行き過ぎのように私どもは考えるのでありまして、午前四時五十分ころ六、七十名の警官事務所を包囲し、しかも七、八人がまつ先に、捜索状を持つた司法警察官とは別に入つて参りまして、そうしてその事務所を急襲した、こういうことになつておりますので、どうも労働組合関係でありますから、     〔佐瀬委員長代理退席、委員長着席〕 そうでなくても相当いきり立つておるし、第二組合との対立もございます、かようなことをするから警察官労働組合との間に感情の齟齬が起ることになるのであります。どうもこの点、捜索状を持たない警察官が最初に組合事務所に入るということは私どもは行き過ぎだと思うのです。そういうような事実に関する事件報告は見ておりませんか。
  33. 三輪良雄

    三輪説明員 最初に入つたの捜索状を持つておりました警察官であるかどうかの点につきましては、その具体的な報告がございません。しかし、実際に事務所に入りましたのは捜索を実行いたします私服員でございまして、組合長の家は同時に捜索を受けておりますので、そこにおりました者に管理者の代人として立会いを求め、その一名に立会いをしていただいてやつておりましたが、組合長が見えましたので、組合長に立会人の交代をさせて、爾後捜索をいたしたという報告を受けております。
  34. 多賀谷真稔

    ○多賀谷委員 国警お尋ねいたしたいと思いますが、労働組合大衆運動に対する認識をどういうふうにお持ちであるか、お尋ねいたしたいわけであります。具体的に申し上げますと、労働組合は、警察から呼出しを受ける、あるいは検察庁から呼出しを受ける場合には、組合としては常に黒板に書いて、何月何日には通知が来ておるからと言つて責任を持つて今まで出しておるわけであります。すでに福岡でも昨年の炭労の争議で、ピケツト問題である事件を起している。また古河の目尾にも列車妨害事件等が起つておるわけでありますけれども、やはり組合としては責任を持つて常に出頭をしているわけであります。しかるに今度の岩屋の問題は、夜明けを利用して急襲し、しかも事務所まで襲つておる。われわれは九州におつて、今までこういう事実に接したことがなかつたわけでございます。一体どういうようなお考えを持つておられるか、お尋ねいたしたいと思うのであります。
  35. 三輪良雄

    三輪説明員 ただいまの労働組合における大衆の動員というものをどういうふうに考えておるかというお尋ねでありますけれども、それが大衆の力として会社交渉しております限り、警察がそういうものに介入することはもとよりいたすつもりもございませんし、いたしてもおりません。しかしながら、今回の事件を見ましても、十九日に至ります前にもいわゆる第二組合の幹部になる人の家の建物の一部をこわすとか、あるいは暴行脅迫があるとかいうような事態があり、第二組合の方から保護を求めて参つたよう事態もあつたようであります。そういうことに対しまして、地元の署長もしくは県の方から参りました刑事部長等もしばしば警告をいたしております。同時にまた、先ほど申しまして繰返すことになりますが、こちらから御視察においでになつたかと思いますけれども井手代議士あるいは九炭労からかけつけた組合方々等からも、そういう不法行為にわたることがないようにということを警告をしていただいておつたようであります。しかし組合の勢いとして、先ほど刑事局長の御説明したような不幸な事件が起つておるわけであります。労働争議の中におきましても、すでに正当の交渉を越えまして、相手に対して傷害を与える、あるいは監禁をするという、刑法各条の問題になりますと、これは警察としては放置できないわけでありますが、その際にも通常の刑事事件と違いますので、できるだけ取扱いは慎重にいたしております。また事前に十分に責任者の方に御連絡をして、そういう事態の収拾についてはまずもつて組合自体でしていただくようにお願いいたしております。さらに不幸な事件の起りました際のごとく、組合の統制がもう限度を越えたのではなかろうかと思われるような事件が起つておりまするので、警察が遂に出動してその事件関係者被害者とおもわれます十一名を検挙するような事態になつたわけであります。その際に時間の関係が不適当であるということと、事務所についてのお尋ねがございましたが、時間につきましては再々申し上げます通り、連日大衆動員をかけております時期でございますので、大勢集まつた中でそういう検挙をいたしますことが、さらに公務執行妨害その他の問題を起しますおそれもございますので、令状をいただきました者につきましては、そういう時間を選んで執行いたしたものと思われます。また事務所に対しましても、ただ労働争議関係した問題であるからということで、事務所捜索をするということではもちろんございません。具体的に先ほど申したような事態がございましたので関係の書類等があることを予測して捜索令状をちようだいした、かようになつておる次第であります。
  36. 多賀谷真稔

    ○多賀谷委員 私は急襲して逮捕しなくても、呼び出して十分捜査ができると思うわけであります。ことにこのことをお聞きしたいと思うのですが、たとえば立入り禁止の仮処分が出ましても、これを乗り越えてやるという組合は今まで出ておりません。またなるほど第二組合あるいは会社に対してはいろいろ軋轢はありましよう。しかし警察に対して、あるいは検察庁から呼出しが来て、証拠を隠滅するというようなことは今まで起つていないのであります。でありますから、こういう争議のさ中で事務所を襲われる、あるいは幹部が逮捕される、こういうことは組合員にとつて、ことに第一組合、第二組合ができております場合には、非常な打撃になるわけである。でありますから、任意出頭の形でも私は十分この事件調査できたと思うわけで、こういう点について、きわめて認識が違うのじやないかと思うのであります。なるほど大衆運動をやつておりますその間は、そういうことがあつたでありましようけれども、一たびそういう運動から離れて自宅帰つて、そうして出頭命令が出ますと、必ず組合責任を持つて今まで出しておる。拒否したこともありませんし、またどこかへ逃亡させたこともないわけでございます。ところが捜査になりますと、急に逮捕状をもつて行われる、こういうことに対してむしろ私は捜査上において非常に弾圧されておる、こういうことを考えるわけでありますが、その点について再度お聞きしたいわけであります。
  37. 三輪良雄

    三輪説明員 御指摘通り事件捜査におきましても、令状によらずして任意の捜査ができたならば、その方が今までスムーズにやれたということも考えられるわけでありますが、ああいう具体的な事態の中に入つておりました警察といたしまして、それまで起つた数日あるいは数箇月の情勢を見まして、関係いたします被疑者の数の点からしまして、これは任意出頭をもつてしてはとうてい捜査の目的が達せられないということを判断いたしました場合には、あのような強制捜査の手段をとらなければいけなかつたと思います。御指摘のように、従来いかなる場合にも任意で処置をした場合に拒否したことがない、しかもその事態組合の幹部の統制に十分服するということが予測されます場合に、何も好んで強制的な捜査をいたすということはないものと考えますけれども、この具体的事実につきましては、現地警察官といたしまして、どうしても強制的な捜査の必要があつたものと判断した事実につきまして、私は警察官が行き過ぎてやつたのであるという判断をここでいたしますことは差控えたいと考える次第でございます。
  38. 多賀谷真稔

    ○多賀谷委員 これは法務委員会で後ほど一括審議されるそうでありますので、この程度でやめておきます。  さらに刑事局長に先ほどの戸畑市の旭硝子牧山工場につきまして、もう少し具体的に私は調査を願いたいと思います。現在勾留されておりますのは、中野社宅のデモについての調査であります。それともう一つは、それよりずつと前、十月九日にありましたデモ隊が正門を乗り越えて工場に入つたこと、これはどこまで行つておりますか、まだ市警の手にあるかどうかわかりませんけれども、これが調査をされておる、こういうことでございます。われわれといたしましては同じ調査をするならば、さらに次のような事実があるじやないか、こういうことをいつておるわけです。それは今お話がありました八幡市の百九十七俵の米の問題でございます。さらに十月八日、第一組合事務所に暴力団が入つて来まして、一人は傷害で顔に裂傷を受けております。さらにめがねを破損をしております。また数名軽傷を負うております。器物投棄につきましては、いすあるいは黒板、窓ガラスがこわれておる。この問題につきましても、再三市警の方に連絡をとつて、こういう事件もあつたじやないかということを言いますけれども、全然市警としては捜査をやろうとしておらないわけであります。さらに十月十四日と十五日、デモ隊が参りました場合に、工場内から凶器を突き出しておとしている、こういう事実がございます。これはこん棒の先に十インチの刃物をつけて、そうしておとしている。さらに十五日にはれんがを投げまして、そうして一名の者が頭部の右側に全治一週間のけがをしております。これにつきましても市警の方に連絡をとりましたけれども、全然関知してくれない、こういうことでございます。こういう事実があるにかかわらず、会社側といいますか、あるいは第二組合の側といいますか、そういうものにのみ有利に運んでいる。こういうところに非常に第一組合の方に憤懣があるわけであります。ことに対会社の問題、労使関係の問題は終りました。しかし第一組合と第二組合の問題があるわけであります。そこで幹部あるいは第一組合の人々が長く勾留されているということは、第一組合にとつて非常に大きな問題があると思うのであります。でありますから、すみやかなる調査をお願いいたしたいと思います。以上であります。
  39. 岡原昌男

    岡原政府委員 仰せの具体的な点は、いずれ具体的に現地について調査いたすことにいたします。
  40. 小林錡

    小林委員長 ほかに御発言はありませんか。      ――――◇―――――
  41. 小林錡

    小林委員長 この際閉会中審査に関する件についてお諮りいたします。  すなわち一、接収不動産に関する借地借家臨時措置法案、二、裁判所の司法行政に関する件、三、法務及び検察行政に関する件、四、国内治安及び人権擁護に関する件、五、法廷秩序維持に関する件、六、交通輸送犯罪に関する件、七、戦犯服役者に関する件、八、法務行政に関する保全経済会等特殊利殖機関の調査に関する件について、閉会中もなお審査を継続するため、その旨議長に申し出たいと存じますが、御異議ありませんか。     〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  42. 小林錡

    小林委員長 御異議なしと認め、さよう決定いたします。  なお申出書の作成につきましては、委員長に御一任願つておきます。     ―――――――――――――
  43. 小林錡

    小林委員長 法務行政に関する件について調査を進めます。本件の性質上、速記はこれをやめて、ただいまより懇談会といたします。      ――――◇―――――     〔午後三時三十五分懇談会に入る〕     〔午後五時二十七分懇談会を終る〕      ――――◇―――――
  44. 小林錡

    小林委員長 これにて懇談会をとじます。  次会は明後日午後一時から開くこととし、本日はこれにて散会いたします。     午後五時二十八分散会