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1953-11-28 第17回国会 衆議院 農林委員会造林及び治山治水に関する小委員会 第1号 公式Web版

  1. 会議録情報

    本小委員昭和二十八年十一月七日(土曜日)委 員長指名で次の通り選任された。       小枝 一雄君    平野 三郎君       福田 喜東君    松岡 俊三君       加藤 高藏君    芳賀  貢君       川俣 清音君    安藤  覺君 同日  川俣清音君が委員長指名で小委員長に選任さ  れた。     ————————————— 会議 昭和二十八年十一月二十八日(土曜日)     午後一時四十六分開議  出席小委員    小委員長 川俣 清音君       松岡 俊三君    井出一太郎君       足鹿  覺君  小委員外出席者         農林事務官         (林野庁林政部         長)      幸田 午六君         農林事務官         (林野庁林政部         職員課長)   丹羽雅次郎君         農 林 技 官         (林野庁指導部         長)      藤村 重任君         農 林 技 官         (林野庁業務部         業務課長)   山崎  齋君         専  門  員 難波 理平君         専  門  員 岩隈  博君         専  門  員 藤井  信君     ————————————— 十一月二十八日  小委員加藤高藏君及び芳賀貢君同日小委員辞任  につき、その補欠として井出一太郎君及び足鹿  覺君が委員長指名で小委員に選任された。     ————————————— 本日の会議に付した事件  造林及び治山治水に関する行政機構及び職員の  待遇問題等に関する件     —————————————
  2. 川俣清音

    川俣委員長 これより会議を開きます。  井出委員平野委員出席でございますが、今所用でここにお見えになりませんけれども、定足数に達しましたから会議を開きます。  この小委員会治山治水の小委員会でございますが、今問題になつております機構改革という大きな問題と、もう一つ林野特別会計における職員の給与の問題に関する裁定が行われました。その実施について当局意見を求めたいということで、本日会議を開いたわけであります。  林政治山治水とは不可分でありまして、治山治水の必要は林政に伴つて行われなければなりませんし、また山村農民生活治山治水とも、これまた切り離すことができません。また治山治水下流における耕地に依存いたしておりまする農民生活とも切り離すことができないので、林野機構に関する変革が農民生活の上に与える影響も大きいのであります。そこで林野当局のこれに対する所見をお伺いいたし、続いておそろいになりましたならば、裁定に関する意見を求めたいと思います。
  3. 藤村重任

    藤村説明員 本日長官が留守でございますので、指導部長藤村がかわつて申し上げることをお許し願いたいと思います。ただいま委員長からお話がございました先般来新聞等にも出ております機構の問題につきまして、林野当局としてこれに関する考え方と申しますか、所見を申し述べさせていただきたいと思います。  その一つは、行政管理庁の案として新聞等に出ております国土省という一つの新しい行政庁をつくつて、現在の農林省にありまする林野庁並びに農地局をこれに統合して、そうして国土建設的な事業一元化をはかる、こういうように新聞等では伺いますけれども農林省の側からこれを考えますと、もともと農林省の性格といたしまして、農山漁村のいろいろな経済的な政策、あるいはそれに関連する育成行政の面を担当して、農山漁民生活に直接つながる問題が非常に大きなウエイトを持つのでございますが、これに関しまして考えますと、農林行政の中の林野行政というものを中心に、一応所見を述べさせていただきたいと思います。  現在林野庁で所管いたしております仕事の中には、土地に関する見方からいいますと、日本林野の約三分の一を占めておる国有林と、非常に広大な面積にわたる公有林並び私有林というものを対象にいたしまして、そうしていろいろの施策をやつておるわけであります。特に約千七百町歩に及ぶ民有林は、その大部分私有林でございます。この私有林は、約五百万人の森林所有者からこれを形成しておる一つ土地の集合でございますが、この林野所有形態は非常に零細化されておりまして、一町歩未満所有規模のものが七三%にも達しております。またこれを五町歩未満森林所有者だけについて見ますと、全部の九〇%以上を占めるというように、非常に日本の林地は零細化された所有形態である、こういうことが申せると思うわけであります。ところがこの非常に零細な山林所有者は、どういうふうな人たちであるかということを考えますと、これを農業の方から見る必要があるわけであります。それで現在の約六百万戸の農家からこれを見ますと、海岸地帯にあります純農村というものを一部除きまして、少くとも山林がその地域内にある、あるいは山林主体的に持つているような山村、そういうものをひつくるめて考えますと、六百万農家の中の約半分、あるいはそれ以上が山林に少くとも関係を持つて営農されているというような形態であります。農業経済調査の報告によりますと、現在自作農農家で、全国平均一町六反ぐらいの山林を所有しております。なおその自作農家は、これも一戸当り約八反ぐらいの山林を借入れて営農している。また自作兼小作の農家は、約一町近い山林を所有し、一町二反くらいの山林を借入れて営農している、こういう形態であります。その農家農業経営をやつている中に取入れられておる山林の要素といいますものは、非常に大きな形で取入れられております。それでこれを山林所有形態並びに農家経営内容から考えますと、森林所有者の零細な一町歩未満の山を持つている人たちは、大部分農業をかたわら営んでおる人たちであるということも言えるわけであります。こういうふうな農業と林業とを切り離すことができないような土地所有形態で、日本では土地利用を非常に集約にやつておるということは、これは日本土地経済活動の形として、非常に大きな意義を持つておると思うわけであります。  それで林野行政といたしましても、特に農業との関連をいろいろ考え、営農のために必要な農用林、あるいは農業のためにいろいろ利用いたします落葉、あるいは自家用まきとか、あるいは家畜に食わせます落葉とか、あるいは採草とかいうような、農家経済上必要欠くべからざるような原料あるいは材料を、自分の山あるいはその近傍の山林から採取をしつつやつているというような実態でございます。従いまして、国有林におきましても、この地元の農家経済に必要な自家用まきとか、あるいはどうしても必要な採草のための土地とかいうものを、できるだけ安く、あるいはほとんど無償に近いようにしてこれを払い下げるというような形態をとつているという姿でございます。  こういう実態対象にして、いろいろ施策を現在やつております農林省機構の中から、林野だをけ分離して、そしてほかの省にこれを移すというようなことは、日本農林行政上非常に大きな支障を来すということが言えるだろうと思います。非常に長い、七十年以上もの歴史を持つて今までやつて来ております農林行政に、非常に大きな支障を来すというだけでなく、日本一つ経済行政上、これはあまり賛成し得ない内容を持つているのではなかろうかというような意見でございます。  なお治山治水上特に山林関係河川砂防等建設行政一つにして、そして上流から河口までを一元的に、実施の面に至るまでも一本にするということについての問題でありますが、これは単に水だけの面を切り離して、しかも土木事業的な事業面のみを考えますと、あるいはそういう意見も一部には出るかとも思いますけれども、これを実態に触れて考えますと、日本の広い国土を幾つかに区切りまして、そしてたくさんの流域が形成されておるのでありますが、その流域の大部分山林という形でございます。農地として十分利用し得ないような非常に急な傾斜面森林というような形で経済上利用している。そしてそこにはたくさんの人たち森林という形で資産を持ち、資産を有利に動かすための経済活動をやつている。そういう土地が集まつて流域を形成しておりますので、この山林の持つ土地経済というような面を切り離して考えることは、かえつて治山治水の面からマイナスの結果を来すのではなかろうかという見方が生れるわけでございます。特に森林保全機能といいますのは、森林の立つております土地の土壌のよしあしというものが基本的な問題でございますので、非常に森林がいい場合には、治山治水上のキー・ポイントである保水能力が非常に高度化される、森林が非常に悪い場合には保水能力が非常に減退して行く。土地生産力と並行して土地保全機能が発揮されるのでございますので、先ほど申し上げましたような土地経済性を考えなくて流域保全は考えられないということが言えるわけであります。単に施設としての建設、土木的な意味の考えでは、真の上流の広い地帯保全は期し得られないので、治山治水行政の面からいつても、その土地管理経営というものを同時に考えて行くということによつて治山治水効果も期し得られると思うわけであります。また治山治水上、その土地経済的な行為制限をして、まつたくこれを保全一本に切りかえて行くというようなこと、あるいは現在施行されておりまする砂防法によつて砂防指定地を広くとつて、そうして単に保全一本で効用制限をやつて行くというようなことになりますと、土地経済性を非常に強く束縛をされるという面が出て参ります。しかし一方には森林法保安林という制度がございまして、そうしてやはりある程度の効用制限をしながら治山治水機能を発揮せしめるというような制度もあるわけであります。この日本の狭い土地で、しかも国土の七割を占めるような山林保全生産との両方機能をよく調節して行かなければ、国民生活経済的な基礎は確立し得ないということを考えますと、この保全生産とを分離しない形で、両方調整し得るような組織のもとでやつた方が、全般としては効果を期待し得る形ではなかろうかということも言えるわけであります。  なおもう少し小さくこれを掘下げて行きますと、それでは特に治山治水上重要な砂防治山事業事業的なものを一本化すれば、ある程度その効果が期し得られるのではなかろうかという説がございますが、これはただその現われております施設の形だけを見ての意見でございまして、現在農林省でやつております治山事業は、どこまでも森林機能を発揮せしめるための一つの準備的な方法手段であるということで、その目的は森林をつくるための一つ準備行為としてやつておるわけでありますので、これを一つ土木事業的な面で見るということは、土地保全性を発揮させる面でやはり不自然な形にこれを固定しでしまうというおそれがあるように思います。特に日本の山の姿は、非常に小じわの多い地勢でございまして、雨が降つた場合でも、非常に分散された小さい形の山くずれが広い面積にわたつて出て参ります。これの修復あるいは保全は、その地域一体土地行政の面で管理しておる組織のもとで絶えずこれを見守り、発見し、あるいは調査計画をして、そうして実施に移し、できるだけ早くこれを元の森林の姿に返して、そうして森林保全的機能を発揮せしめるというようなことでなければ、ただ施設だけを導入するというようなことは、実際の姿として不可能なことと思うわけであります。  以上申し上げましたようないろいろの点を総合いたしまして、現在農林省にございます林野庁を、行政的に組織としてこれを分離して、そうして新たに仮想されます国土省等に移管せられるというようなことは賛成しかねるというような意見を申し上げて、お答えにいたしたいと思います。
  4. 足鹿覺

    足鹿委員 私はこの委員会にずつと続けて出ておりませんので、まだよく経緯がわかりませんが、ただいま林野庁から機構改革の問題について御所見を承つたわけでありますが、これは国土省という一つの新たな省を設けた場合に機構改革が行われる場合と、そのような国土省とかあるいはその他の省も同様ですが、省の廃合を行わない場合でも、何か今問題となつておる建設土木的な考え方から、この林野部門一つところに納めて行くというような構想が別にあるのですか。新聞等で見ておると、一応省の廃合案もあるようでありますが、実際上は困難なようにも伝えられ、また私どももなかなかこれは容易ならぬことだと考えざるを得ないのですが、その辺の大体の状況を、もう少し御説明願いたいと思います。
  5. 藤村重任

    藤村説明員 ただいま所見を申し上げましたのは、新聞等に出ております行政管理庁の考えておると思われますことを一応仮定して申し上げたわけでございますが、私どもといたしましては、別にこうすればいいというような案を現在考究し、あるいは具体的に持つておるというのではないのであります。
  6. 足鹿覺

    足鹿委員 いや、そういう意味ではなしに、省の廃合がかりになされない場合でも、国土保全的な見地から、農林省から林野庁を切り離して、たとえば建設省関係に持つて行つて、これを機構的にも業務的にも一本化して行くというような考え方も、あなた方ではなしに、建設省あるいはその他の方にあるのかないのか。省の廃合ということを今行政管理庁前提として考えておる。またそれを前提にした今の御所見つたと思う。それがかりに行われない場合には、一体どういう形のものが今考えられておるのか、全然ないのか。何か聞くところによると、数日来いろいろと検討が加えられ、相当具体的な段階が来ておるような話もちらと聞いたのですが、私専門外でありまして、あるいは質問がピントをはずれておるかもしれませんが、その辺をもう少しつつ込んで、問題があれば聞かしていただきたい。
  7. 藤村重任

    藤村説明員 足鹿先生の御質問でございますが、現在管理庁で考えておられるであろうという問題のほかに、たとえば治山治水上等見地からこういうふうな機構の方がよかろうというような案あるいは意見、それが現在あるかどうか、こういうふうな御質問と思いますが、私たち林野庁におります者といたしまして、具体的に他の行政機構からそれに関するような意見を求められておるというようなことはございませんけれども、これはたびたびいろいろの面から意見が問われ、あるいはそういう意見が、直接林野庁でございませんが、他の機会に現われたというようなことは相当あるわけであります。非常にさかのぼつて申し上げて恐縮でございますけれども、私の存じております範囲内では、昭和の初めごろやはり治山治水の面で、当時の内務省と当時の農林省関係いたしております、一方は砂防法による砂防と、農林省のやつておりました荒廃地復旧事業というような事業との間で不分明な所管があるので、それを合理的に調整する必要があるというようなことから、閣議決定事項として一つ調整の線が出ております。これは、内務省でやります砂防事業は、どこまでも河川上流でありまする渓流対象にして行う土木事業であつて主体渓流工事に置く。しかしどうしてもそれに附帯した山腹事業がある場合には、これはやはり特定の場合としてやり得る。なお農林省のやつております荒廃地復旧事業は、これは山腹復旧主体にしてやる仕事であつて、どこまでも山をつくるという仕事であるので、やむを得ない場合に、その下を流れておる渓流工事を同時に行わなければならぬ場合には、やはりこれは特定の場合として認める。今度は、その実際の仕事の場合に、業務のはつきりしない場合には、両方現地でよく調整を行うというような内容閣議決定事項がございました。これを権限整備一つ事項として、両省では長くこの線に沿つて実行をいたしております。従いまして現在の実際の姿は、現在建設省でやります砂防事業農林省でやつております治山事業は、両方とも計画いたします希望の予算と、査定を受けました決定予算とは非常に縮小されておりますので、両方はまだ、それが重複するというようなことよりは、十分手をつなぐのにつなぎ得ない。両方とも計画を遂行するのに、資金面で非常に縮小されておるという形でございますし、また現地では、努めて両方機構実行体がその計画に当りまして調整をするというような形で、本省としてはそれを強く指導しておりますし、現地でもこれを協調的に計画実施をしておるという姿が実際の実情であります。しかし一方、機構そのものの今までの動きから申しますと、これも相当過去のことでございますが、内務省が解体して建設院ができましたときに、やはり砂防一元化というようなことで、これは国会で、組織法内容の中に砂防局をつくるというような修正案が出たことを私は記憶いたしております。そのときは修正案は通りませんで、原案のまま建設院なつたのでございますが、その後も毎年水害がありますたびに、やはり上流から下流までその企画並びに実施を一本化した方がよろしいということから、特に砂防事業一元化をはかるための組織化が必要であるというようなことで、これはたびたび出る意見でございます。しかし実際の姿は、先ほど申し上げましたような事情でもございますし、また過去におきまして相当重複をしてやつたという例も多少はあつた時代もございましたので、現在と過去のそういうこととを混同して、いたずらに過去から現在を延長して考えるというようなことでなく、実際の現在の姿を基礎にして考えなければならないのでございますし、また実行の面から行きますと、どうしても土地管理事業とをある程度一つとしてやらなければ、仕事をやつたあとの管理の面で非常に抜けたといいますか、育成して行く基礎を失うという面もございますので、やはり両方企画等十分調節をして行く、あるいは協調をして行くようなプランにいたしまして、実行はそれぞれの責任者においてやつて行くということで、いたずらに機構改編をするようなことをせず、計画調整によつて実行はそれぞれの責任分野を明らかにしてやつて行つた方が、実際に合うことではなかろうかというような意見をずつと持ち続けておるわけでございます。
  8. 足鹿覺

    足鹿委員 大体歴史的な経過等よくわかりました。それで当面の問題でありますが、この機構改革問題をめぐつて、具体的に両者で御協議なつたことがあるのですか。また今後そういう具体的な打合せ協議等を進めて行かれるようなことがあるのですか。きのう何か話によれば、一両日くらいに相当つつ込んだ御協議が行われるやに聞いたのですけれども、そういうことはないのですか。
  9. 藤村重任

    藤村説明員 先ほどから申し上げております機構の問題につきましては、特に農林省から林野庁を局にするとか、あるいは砂防局を置くとかいうような話につきましては、具体的に両省間で特に機構について相談をしたり、あるいは協議をするというようなことはいたしておりません。ただ御存じと思いますけれども、今経済審議庁にございます国土総合開発審議会におきまして、特に水制度に関しまして現在いろいろの大きな問題に逢着しておりますので、水制度委員会といたしましては、特に河川法改正法案がある程度動いて行くということを想定しながら、あるいは現在水害あるいは総合開発等のダムの建設というような具体的な時局的な問題もございますので、水に関する制度を整備して行くというような事項を掲げて、また現地にも出向き、その実態等も各関係省から詳しく説明を聞き、たくさんの専門員を委嘱して考究をされておりまするが、この中でやはり水に関する制度として、その制度改編等それに触れる組織をいかにするかというような問題が話題に上つておるわけであります。しかし非常に事が重大でもございますので、目下まだこれはその委員会におきまして研究を続行されておるという形でございます、これはもう少し結論に近づきますと、あるいは国会の方にもいろいろお話があるかと存じております。これは特に河川法改正中心にして論議が今行われておりますので、建設省の方から出ております意見といたしましては、河川管理者中心としたいろいろの水、特に用水に関する権利の一元化というような意見が出ておりますし、この中にやはり砂防管理者というものを置いて、そうしてその面の調査強化をはかるというような意見委員会には提出されております。また農林省にも意見が求められておりましたが、農林省としては、やはり上流水源地帯山林関係が相当ありますし、また下流等には特に農業用水との関係慣行水利権関係等も深くございますので、これはいたずらに水の姿だけを考えて、治水の面だけを考えた一元化というものは必ずしも実情に適さないで、むしろ計画両方で十分に調査の上で立てまして、それを調整して最も合理的な企画にして、それをはつきりした行政庁実行するということが適当であるというような案を出して、その調整する機構調整行政機構としてあまり色のつかないところでやつてもらつた方がよかろうというような素案を出して、さらに民間の専門人たち研究課題として、またその専門の方々はそれぞれの立場からこれを考究されておるというのが現段階でございます。
  10. 足鹿覺

    足鹿委員 建設委員会の中にも治山治水小委員会ができておるわけでございますね。この建設委員会の中に設けられておる治山治水小委員会等において、林野当局はそれに御出席になり、いろいろ質疑を受けられたり、また所信を述べられるような機会が従来あつたのでしようか。これは委員長にも承りたいですが、建設委員会の中にある治山治水小委員会審議の状態というようなことについては、われわれはまつたくわからないのです。それらの関係等は一体どういうふうになつておるものでしようか。委員長なり林野庁指導部長にちよつと伺いたいのですが、おいでになつていろいろお話なつたことがありますか。
  11. 藤村重任

    藤村説明員 衆議院ではございませんが、参議院建設委員会には一度参りまして、そのときには特別機構の問題というのではございませんで、先ほど発表になりました治山治水基本対策要綱についてのいろいろ非常に総合的なお話を承り、あるいは申し述べただけでございます。
  12. 川俣清音

    川俣委員長 過ぎました十六国会における審議中に、参議院建設委員会の中で砂防協会中心になりまして、いろいろ調書されました結果小委員会ができて、今お話になりました治山治水基本法をつくりたいとかいうような動きがあつたことは聞いておりましたが、その後前の臨時国会のときにはそういう動きがなかつたように聞いております。従いまして今継続審議しておられるとは思われませんが、たしか十六国会のときに参議院の方に小委員会ができたというふうに聞いておりました。これはおもに砂防協会中心になつて動いておられたようであります。衆議院の方にはあまりその動きがないので、参議院関係者が動いておられたように聞いておりますが、それ以上のことはあまり詳しく存じません。
  13. 足鹿覺

    足鹿委員 最後にこれはしろうとの議論のようですが、地方の方の実情を見ますと、建設省国土省に改変される、そうして林野庁機構を吸収するというようなことがいろいろ言われておりますが、私ども地方から見ておりまして、このごろの河川氾濫なんかを見ておつても、従来は川床が非常に低かつたものが年々高くなる。その川床を浚渫するというのでなしに、それにつれて若干堤防をちぐはぐに高めて行くというような場当りな河川対策をやつておる。その結果が農地に及ぼし、農家に甚大な被害を与えておる。今度の災害の河川氾濫をわれわれが見ても、そういう感じを多分に持ちます。そういう現在の河川対策すら完璧を期することはできない、専門立場からでもやれない。これは財政的ないろいろな制約もあろうことと思いますが、いわんや専門外のこういう土地利用の面、あるいは農家経済、あるいは農家経営とは切り離せない林野行政ということについて、かりに一元化されたとしても私どもは非常に不安を感ぜざるを得ない。そういうことが建設省の現在やつておるやり方を私どもしろうとの見た率直な感じです。そういう点からも私は今度の機構改革なるものは、理想としてはあるいは成り立ち得るかもしらぬが、現実の場合になつたとした場合には、これはいろいろ大きな矛盾なり、不徹底さが随所に現われて来るものだと思う。いわんやその七十年の歴史があるというお話でありますが、そういつたものが一朝一夕にそう軽々しく動くものとは思いません。その点については委員長はこの方面で非常によく研究しておいでになるので、十分当局と御連絡を密にしていただいて、そういう無謀なことの起らないように、慎重御活動をお願いしたいと私は思います。
  14. 川俣清音

    川俣委員長 今足鹿委員から適切な御意見がありまして、農林の井出委員長もそういう点について十分御考慮になつてこの小委員会が設けられております。昔から農民と耕地とは不可分でありまして、水争いでも有名な事件を幾多起こしているので、単に治川、治水というような面からのみ考えられますると、農民生活に非常な大きな影響をもたらすものでありますので、この小委員会としては重大に考えて検討いたしておるところであります。当局も、農林委員会の中にこの小委員会をつくつておりますことも、そういう点を重大に考えておることを十分御了承の上で、各省との折衝の場合は、衆議院の農林委員会の意向を十分尊重されて善処を望みたいと思います。  それでは機構の問題はこの程度にいたしまして、今問題になつておる裁定については、先般仲裁裁定が行われましたのにかかわらず政府が依然としてそのまま黙過いたしておりますので、政治的に非常に重大な時期に到達いたしました。今衆議院の中で連合審議等が行われておりますが、農林委員会林野庁に期待するところが非常に大きいものでありまするから、十分農林委員会の期待に沿うように御配慮になつておるものと信じて、委員会をたびたびは開いておりませんが、きようここであらためて問題にいたしたいと思います。先ごろの裁定は、当事者を林野庁にいたしまして、全林野労働組合からの申出に対する裁定が行われたのでありますが、この公労法の適用を受ける職員の二十八年一月一日以降の賃金改訂並びに増額に関する紛争につき、委員会決定いたしましたこれらの決定について、林野庁は今いかなるお考えを持つておられますか。あらためてここでお聞きいたしたい、こう思います。
  15. 幸田午六

    ○幸田説明員 林政部長の幸田でございます。本年の当初組合側から二万一千円ベースの要求がございまして、調停委員会にかかり、さらに仲裁裁定にかかりまして、一万三千三百五十円の裁定が出たわけでございます。そこで問題は、その仲裁裁定実施にからみまして、支払い能力の点が問題になつて来るわけであります。そして、公労法の建前と仲裁裁定実施と、それから各企業体ごとの支払い能力の認定の問題になつて来るわけでありまするが、国有林野の事業におきましては、これを八月から実施いたしましても、いわゆる支払い能力という点については考えてみる余地がある、国有林を直接担当いたしておりまするいわゆる経営者的立場に立てば、そういうふうな考え方ができるわけであります。  そこでいわゆる国会に御審議を願つておりまする点は、現在の予算ではそれは実施ができぬということで御審議を願つておるわけでありまするが、しからば補正予算を組んだらどうか、こういう問題がそれに関連して来るわけであります。国有林の第一次補正予算、これは先般閣議決定になりまして、御承知のように政府としては一般公務員、それから国営企業、公社等について一月から仲裁裁定実施する、こういうふうな政府の基本方針に基きまして国有林の第一次補正予算、これは先般閣議決定になりまして、その線で一月から実施をするという経費と、それから冷害対策費といたしまして八億、それから西日本その他における災害復旧費といたしまして四億五千万円、職員の給与改善費として四億というものをとりまして予備費約一億八千八百万円、その残額の十億というものを一般会計に繰入れる、こういうふうに閣議決定なつた次第であります。そこでこれは閣議決定でありまするので、政府の最高方針がきまつたわけでありますから、林野庁といたしましてもその政府の方針に従わなければならぬということになりますけれども、それを今の支払い能力から見て財源はどうかという点になりますれば、今の第一次補正予算閣議決定なつ予算分十億をこの問題と関連いたしましてそちらに振り向けるならば、八月から実施できるじやないか、こういう問題があるわけです。しかしながらわれわれの経営者の立場と政府の最高方針というものと、ここに考え方の、立場の相違がございますので、実情を申し上げまして御了承を願いたいと思います。
  16. 足鹿覺

    足鹿委員 今の御説明閣議決定というのはいつのことですか。
  17. 丹羽雅次郎

    ○丹羽説明員 先週の土曜日でございます。
  18. 足鹿覺

    足鹿委員 それによると、冷害関係で八億、西日本水害四億五千万、一般給与四億で、残十億を一般会計に入れる、この一般給与四億の第一次補正ということの内容はどういうものですか。
  19. 幸田午六

    ○幸田説明員 いわゆる仲裁裁定を一月から実施するといたしまして二億九千万円ばかりあります。それから例の期末手当、これが特別会計の中でも給与法の適用を受けまする管理者、それから公労法の適用を受ける者とありまするが、いわゆる管理者で一般給与法の適用を受けまする者は〇・五、それから公労法の適用を受けまする職員については〇・二五、これが合せまして九千八百万円、それから管理者に対しまする人事院の勧告の、つまり一般給与法の適用を受けまするから、人事院勧告の線に沿つて、特別会計の中で管理者である者はやはり一月一日からベース・アツプいたしまするから、それが約千二百万円、そういうようなものでこれは四億というものになるわけであります。
  20. 足鹿覺

    足鹿委員 それは来年の一月実施ということにして、仲裁裁定の一万三千三百五十円が一番高額になるわけですが、経営者的見地によれば、当然仲裁裁定の完全実施ができるということは、これはこの前の労働委員会との連合審査会のときでしたか、速記録を読んでみると、今おつしやつたようなことを長官みずからが言つておられる。それがわずか四億程度では、いかにまあ一般会計がいろいろ苦しいとはいいながら、零細な組合側の要求とは非常に開いた裁定です。いろいろな組合側の要求と裁定とを比較して八大単産の内容を見ますと、林野庁は一番開きが大きいとぼくは思う。しかるに内容的に見れば、勧告なりはもちろんですが、組合の要求にも応じ得らるるような余裕を一番持ちながら、これができないというところに、あなた方のがんばりの少し足りないところがありはしないか。これは別に攻撃する意味ではないが、経営者的にはつきり余裕があるということがわかつており、しかもその国有林野特別会計の中で、冷害と西日本とで十二億出してまだ余裕があるわけなのですから、十億を一般会計に繰入れて、そうしてわずかこの仲裁裁定の線を一月にまでずらすというようなことで引込まれるということが、私どもの目から見ると少し弱気じやないか。もつとこれは強く組合もあなた方も一緒になつて押される必要がありはしないか、私はそういう感じを持つのですが、一般会計繰入れの十億というものをむしりとられた経緯はどういうものですか。どういう経緯からこういうことにならざるを得なかつたのですか。私はこれは矛盾だと思う。二十六億も財源を持つてつて、しかも冷害、西日本水害対策も自まかないをした上に、十億をむしりとられるというようなことは、ちよつと常識的にはわれわれわかりません。ただほかの単産と内容が違うのだから、別に低い方におつき合いなさる必要はないので、むしろ新例を開いて、少くとも八月実施をされるべき性質のものじやないか、私はそう思う。それでこの十億というものはどうにもならぬものなのですか。これは当農林委員会としても重大関心を持つておる点で、当然ほかの委員会は、仲裁裁定の完全実施程度の勧告を委員会として採択しておるようですが、私どもとしては、この財政内容から見て、もつとそれよりもさかのぼつて、もう少し色がつけられるべき性質のものだと思う。どんなに内輪に見ても、やはりこの裁定の八月実施にはあなた方は最大の努力を払われなければならぬのは、これは義務というとおかしいが、今のお話から見て当然がんばらなければならぬ性質のものだと私は思う。どういう経緯でこういうことにならざるを得なかつたのですか、もう少しその辺のところをざつくばらんに御説明を願いたい。
  21. 幸田午六

    ○幸田説明員 先ほども申し上げましたように、公労法の建前から見ますれば、各企業体ごとに交渉単位が設けられて団体交渉し、それから仲裁裁定におきましても、おのおの五現業三公社ごとに仲裁裁定が行われ、その場合に一応支払い能力等も検討いたしておるわけであります。だから必ずしも一般公務員と現在の現業官庁、あるいは現業官庁相互間においては、たとえばそれを実施するためには国鉄の運賃を上げなければいかぬ、あるいは郵便料金を上げなければならぬというように、いろいろ企業体ごとに見ると違うのでありますが、これは違つたなりでよろしいじやないか、また公労法の建前からいつてつていいのだ、必ずしも足をそろえる必要はない、こういうことが一面において言い得ると思うのであります。  そこで先ほど足鹿委員からお話のように、労相当局もなぜもつとがんばらないかということでありますが、これも事務当局としては、やはり政府部内において作業を進める場合におきまして、もつとがんばれば何とかなるのじやないか、こう言われましても、そこに一定の限界がありまするので、必ずしもその通りには参らぬということがございます。  それからこの十億という問題は結局一般公務員、五現業三公社のベース・アツプをいつから実施するという政府の方針が先にきまりまして、そこで今そろばんをこうはじいた結果十億そこに残る。その十億を一般会計に繰入れる、こういうふうな考え方であります。問題は結局国有林に関する仲裁裁定を何月から実施するかということが先にきまりまして、あと冷害対策、災害復旧その他を計上し、残りがあれば、これは今の財政事情のもとにおいて一般会計に繰入れろ、結果的にこういうことになつて来たわけであります。事情はそういう事情でございます。
  22. 足鹿覺

    足鹿委員 あなた方としては、閣議決定の方針に今となつてさからうわけにも参りますまい。これは無理からぬことだと思うのですが、少くとも農林大臣あたりは、もう少しこのような問題に対しては、閣内においても実際においてもつとがんばつてもらいたい。閣議決定後これをくつがえし得るような何らかの対策があるかないかは、われわれ委員会において委員長中心によく検討して、一番低額な裁定を受けており、しかも内容的には一番組合の要求に応じ得る内容を持つた本特別会計の関係した点については、もう少し考慮をして、できる限り実情に即するようにしてあげたいものだと私どもは思います。  そこでそれはそれとして、当委員会として今後大いに速急に研究をし、何らかの対策を立てるべきですが、その一つとして、裁定の一は、今質疑応答で一応当局の腹もわかつたわけでありますが、この中にも本俸、扶養手当、勤務地手当等の配分を当事者の団体交渉にゆだねておる点が一点。それから四項の北海道在勤手当及び僻地手当の拡充は、当事者は団体交渉でやれというふうに裁定にはきまつておりますが、この内容は三つありますし、五もまだ裁定実施後においても、これは大いにあなた方と組合との間に話合われる余地を残しておる。これについて、どうしても裁定そのものが動かし得ない場合もあり得るわけですが、そうした場合に、こういつた点でさらによくいろいろと組合の要求に沿い得るような余地は相当残されていると考えられます。また本年度は一、二、三と三箇月でありますが、来年度の予算も今御編成中だろうと思つているのですが、少くともこの裁定が十分に実施できない面を、来年度等において生かして行く方法もないことはないと思われるのであります。そういう点については、どういうふうに御検討になつておりますか。私は最悪の場合に備えて、次の段階のことについても一応お聞きしておきたいと思うわけであります。それについては、あたたかい気持であなた方も考えられる余地があるのではないかという感じを持つのです。そういつたことについて何か……。
  23. 幸田午六

    ○幸田説明員 仲裁裁定の中でさらに団体交渉にゆだねておる部面があるわけであります。従つて予算的にどうなるかという問題は、団体交渉した結果でないとわかりませんので、一応現在の予算の範囲内におきまして団体交渉をやるということになりますので、そこで団体交渉が締結されましても、たとえば現在の予算予算上、資金上不可能であるということになりますれば、また国会の議決を新たに求めなければならぬということに結果的にはなります。従いまして、団体交渉にゆだねられておるから、予算、資金に関係なく自由にその点はひとつ協定をして、この遅れをそういう面でカバーするということはできないと考えられるのであります。  それから第二次補正の閣議決定のことは申し上げましたけれども、この仲裁裁定自体が国会の議決にゆだねられており、御審議を願つておりますし、また第二次補正予算もいずれ国会に提出されまして、国会の御審議を願うことになります。その際において十分ひとつ審議、御検討をいただきたいこういうふうに考えます。
  24. 足鹿覺

    足鹿委員 委員長これはどういうことになりますか。ぼくはよくわからないのですが、公労法十六条の二項ですが、これは予算総則において示されておる国会の発議権という点に問題があるわけですね。
  25. 川俣清音

    川俣委員長 そうです。
  26. 足鹿覺

    足鹿委員 今あなたの言われる点は、国会においてこれを議決する場合に、予算のわくをふくらまして行くということは、国会みずからは発議権の問題とどう関係して来るのですか。要するに予算があるからその予算の面をふくらますことは、これは国会の権限としてでき得るが、十六条の二項というものの解釈をめぐつて、これはどういうふうになるものですか。私どもはあまり専門外でよくわかりませんが……。
  27. 丹羽雅次郎

    ○丹羽説明員 その関係につきまして、さきに連合審査会におきましても問題になりまして、労働大臣から答弁もありましたので、政府の見解として申し上げていいだろうと思いますが、労働大臣も、また過去におきます国会の記録におきましても、仲裁裁定の完全実施ということが国会において議決されました場合には、政府は予算を補正して提示する政治的義務を負うということが確立した見解になつておるようであります。
  28. 足鹿覺

    足鹿委員 そうしますと、国会がそういう議決をやれば、政府はその線に沿うて再提出というかつこうになるのですか。
  29. 丹羽雅次郎

    ○丹羽説明員 再提出の政治的責任を負うということが、過去においても何回も答弁せられております。先般も、労働大臣はそういう趣旨において答弁されております。
  30. 足鹿覺

    足鹿委員 そうすれば、これはもう当局の手を離れて、国会審議の過程においてということになりまして、われわれみずからがやるべき事柄のようですから、あえてこれ以上この問題については申し上げません。  いま一つ仲裁裁定実施した場合、あるいはまたかりに国会の議が閣議決定を改め得ない段階があつた場合には、一月から一万三千五百円べースということになるわけですが、そうした場合に、現業関係の公務法の適用を受けない労務者が、あなた方のところにはたくさんいる。これはきよう参議院の農林委員長の片柳君にほかの会合で聞いたら、参議院現地調査もやつたところが、これを区別するということはまつたくおもしろくない。日本国有林野のほんとうの末端におつてささえているのは、この諸君の努力を大いに認めなければならぬということを漏らしておりました。その適用を受けない労務者と一般職員の給与とのバランスですが、これはどういうふうに処理されるものですか。
  31. 幸田午六

    ○幸田説明員 今の公労法は、国有林事業に従事しております職員全部、定員の内外を問わず全部公労法の適用になるわけであります。それで一万三千三百五十円というのは、これは定員内の職員についての裁定でございまして、仲裁裁定にあります五が労務者についての裁定で、つまり「八月以降平均一割程度引上げる。」ということが労務者に対するところの仲裁裁定でございます。
  32. 足鹿覺

    足鹿委員 この五の「常用出来高給、期間及び日雇労務者の賃金は、八月以降平均一割程度引上げる。その配分は、理由に示す趣旨に従い、両当事者の団体交渉によつて決める。」この第五項のお話のようですが、一万三千五百円の裁定べースにのつかつて来るのは、常用出来高給に基く日雇労務者も全部含まるのですか。私の今まで理解しておつたところでは、これは公労法の適用外にあるもののような印象を私は持つてつたのですが、全部入るのですか。
  33. 丹羽雅次郎

    ○丹羽説明員 その関係を少し詳細に申し上げたいと思います。林野庁にただいま定員といたしましては二万二千名おるわけであります。このうち特別会計に属する者が二万一千百十名でございまして、差の九百九十名は一般会計でございまして、これらの者は公労法の適用を受けません。それから特別会計に属します二万一千百十名中千四百名の管理運営に属します立場職員、これを俗に管理者と申しておりますが、これらの者は公労法の団体交渉の結果に均霑いたしません。従つてそれらを除きました一万九千七百十名が公労法の適用を直接受ける者でございます。それからこの外に、非常に複雑でございますが、ことしの七月一日で約九万八千人ほどの職員がおるわけでございます。これは裁定書との関係もございますので、もう少し詳しく申し上げますと、このうち約九千人は常勤労務者という名前をつけておりますが、定員内職員と常勤労務者とが月給制でございまして、御承知のような何給何号というような俸給表の適用を受けております。それ以下はただいま申し上げました通り出来高制と日給制になつておるわけであります。一方公労法の二条で国有林事業に従事いたします一般職の公務員は、全部公労法の単位に属しますので、一日雇いました日雇労務者といえども公労法の単位に入りまして、団体協約なり仲裁裁定の効力を受けるわけであります。従いまして、そういう非常に複雑な雇用区分がございますので、仲裁裁定も各条項について書きわけておるわけであります。裁定書の第一の先ほど私が申し上げました定員内一万九千七百十名の者については一万三千三百五十円にしなさい。その次に約九千名の常勤労務者については右にならつてやれということをこの三項で裁定をいたしておるわけであります。それから、それ以下が、先ほど説明を省略いたしましたが、常用出来高給労務者、期間労務者、日雇労務者、この期間、日雇労務者の賃金の支払い形態といたしましては、出来高制と日給制にそれぞれわかれるわけでありますが、これらのものは出来高の場合でも、日給の場合でも、平均一割程度引上げるようにというのが裁定の五項であります。複雑な雇用区分によりまして裁定書は書きわけておるわけであります。
  34. 足鹿覺

    足鹿委員 それでようやくわかりました。なかなかほかの仲裁裁定とは違つて複雑のようで、ちよつと勘違いしておつた面もございますが、それでよくのみ込めました。そこで五に該当する分ですが、非常に厖大な人数になる。定員の四倍もいるということなのです。しかもこの諸君が第一線で非常な活躍をしておるということなのですが、これもこの理由書にはあるでしようが、ちよつとお示しを願いたいのは、現在の基準給与はどういうふうになつておりますか、ちよつとそれをお知らせ願いたい。この九万人に余る、特に日雇労務者、期間労務者、出来高給労務者、この三つのものの現在の給与状態、それを一割程度平均上げた場合に、どういう程度になるものか。
  35. 丹羽雅次郎

    ○丹羽説明員 まず結論的に申し上げまして、現在の給与状態は、参議院の農林委員会の御要求がございまして刷りものにいたしましたが、今日一部しか持つて来ておりませんのでとりあえず一部お届けいたしまして、後ほどお届けいたしますが、ただ一言御説明をいたしておきたいと思います点は、これは人事院の給与法のように、全国一本のものさし、給与準則でやつてはおりませんで、各営農局長に標準賃金をきめさせまして、その標準賃金に基きまして、営林局長が日給制の者については、個々人のその技能経験によりまして格付をする、こういう形に相なつております。それから出来高制の者につきましては、その標準賃金と一箇月におきます稼働日数とをもとにいたしまして、それぞれの山なりそれぞれの搬出の行程によりまして一日のノルマをきめまして、出来高を算定いたしておるわけであります。かつまた職種といたしまして百数職種があるわけであります。木を切ります伐木造材手から、苗木を植えます造林あるいは林道をつくります土工、あるいは事業場におきまして飯をたくところの炊事夫というように、百数十種類に職種がわかれておりますので、これを一々申し上げることはたいへんでございますが、最近六月におきます日収賃金といたしましては、ちよつと御参考に申し上げますと、伐木造材の出来高の者、これは日額で五百九十三円、木馬と申しまして、木を人力で運んでおります職種に従事します者の平均日額といたしましては六百五十一円、このように比較的高い日給をとつております者と、一般作業というような特殊な技能を要しません者におきましては、三百五円というような数字になつております。これは五十二営林署におきます一万二千人を対象といたします抽出調査でございますが、これの加重平均四百二円、それから月の収入にいたしましては、それぞれの稼働の状態が違いますので、一番多いもので、先ほど申しました木を切る伐木造材手と申しております者の一万一千八百六十円から、一般作業の七千円というような非常に大きな幅を描いております。これは六月の状態でございまして、七月に若干この額を引上げましたわけでございます。
  36. 川俣清音

    川俣委員長 ちよつと誤解を受けるといけないのですが、伐木造材手とか、それからその他のものも道具持ちでしよう。
  37. 井出一太郎

    ○井出農林委員長 馬を提供するというのがあるでしよう。
  38. 丹羽雅次郎

    ○丹羽説明員 北海道等におきまして、馬持ちで運材に従事するという形態がレア・ケースでございますが、この分は馬の分も入れまして日額千何百円、こういうことであります。  それから今の委員長の御指摘の点でございますが、伐木造材手等におきましては、のこぎりその他は自分で持つておりまして、その点は仲裁裁定におきまして、道具代補償給は当事者の団体交渉によつてきめたらどうか、こういう仲裁裁定でございます。
  39. 川俣清音

    川俣委員長 私からお尋ねしたのは、五百九十三円とかあるいは六百五十一円とかいう日額を出されましたけれども、それは誤解のないように、道具持ちであるということを説明してほしい、こういう注意だつたのです。その点確認してください。
  40. 山崎齋

    ○山崎説明員 道具代につきましては、特にそま道具代というような点が非常に問題になつておるわけでありますが、これに対しましては、それぞれ従来からの地方の慣習というような点もありまして、役所の使用者の側でそれを供給する場合と、労務者自体の負担においてこれを負担する場合と、両方の場合があるという状況であります。
  41. 川俣清音

    川俣委員長 その前に、五百九十三円とか六百五十一円というような日給が支払われておるというのですが、これは道具を持つ者も、道具を持たない者も入つた平均値ですか。
  42. 丹羽雅次郎

    ○丹羽説明員 それは非常に複雑でございますので、全部の調査が非常に困難でございますので、五十二営林署、これは全国営林局のサンプリングで選びましたわけでありますが、千十四ある全部に割りつけました抽出でございますので、ただいまの点には全部そういうものが平均されておるわけであります。
  43. 足鹿覺

    足鹿委員 私がさつき言つたアン・バランスの問題ですが千四百人の管理者と定員内の公労法の適用を受ける者の二つと、いま一つ、九千人の常勤労務者で公労法の適用を受ける者、この三つあるのですね。要するに、特別会計で二万一千百十人というものがある。そのうちで千四百名というものは一般職員として官公吏になるからこれを除きますと、特別会計のほかに、常勤労務者の九千人という公労法の適用を受ける者がある。そうするとこの二万一千百十人から千四百人を引いた一万九千七百十人というものの標準べースというものと、九千人の常勤労務者の平均べースというものに差があるのでございますか、その辺の内容をもう少し御説明願いたい。
  44. 丹羽雅次郎

    ○丹羽説明員 お手元にこの資料をお配りしてあると非常によくわかるのですが、まず第一に、特別会計に属します二万一千百十名でありますが、その定員の外で、先ほど九千人とか九万八千人とか申しましたが、これは全部特別会計でまかなつておるわけでございます。それからべースの差でございますが、この一万九千七百十名は極端に申しますれば、営林署の課長も入つておるわけであります。比較的給の高い人も組合にただいま入つておりますので、その平均値と、それから常勤労務者のように比較的給の低い人々の平均値との間には、当然差があるわけでございまして、本年七月一日におきます常勤労務者の本俸、扶養手当、勤務地手当等を合せました給与額は、七千七百九十三円というように出ておるわけであります。ただその七千七百九十三円につきましては、前国会におきまして、林野庁職員の給与の是正につきまして格段の御配慮によりまして、給与の若干の是正が行われまして、ただいま是正中でございますので、その結果は目下集計中でございますが、これはその是正前の数字でございます。
  45. 足鹿覺

    足鹿委員 修正しますと、七千七百九十三円ということがどの程度に改められますか。これはこの前の十六国会のとき当委員会からこういう申入れをしたことがあるのですが……。
  46. 丹羽雅次郎

    ○丹羽説明員 この七千七百五十九円のうち、俗にベースと申します本俸、扶養手当、勤務地手当が七千五百八円でございますが、私ども一応の推定をいたしますと、八千二百九十三円という数字が出ております。もうしばらくいたしますればとにかく全国の調査が終るわけであります。
  47. 足鹿覺

    足鹿委員 大体わかりましたが、ちよつとのことで私どもただちに判断しかねる点がありますが、非常に複雑な内容なんですな。これをもう少し簡素化して行くことはできないものでしようか。少くとも常勤労務者というものもベースが非常に低いのですな。さつきの百数十種の職種の最低と言われる七千円というものもあるわけですが、一般作業で一番低い者の日当が三百五円という話、それよりもはるかに常勤労務者が下わまつておる。今度改訂をされても八千二百九十三円ということになると、これは職種によつていろいろ違うでしよう。私どものような内容をよく知らない者がそう乱暴な判断を下すことはどうかと思いますが、ただ今御説明を聞いて直観的に感じられることは、常勤労務者というもの、これは実質的には職員に準ずるようなものなんですね。それと同じ公労法の適用を受ける者の中にあつて著しく差がアンバランスになる。たとえば平均給が一万三千五百円なのに、八千二百九十三円というと非常に差がつくのですが、ほかの仲裁裁定、たとえば国鉄とか全逓あるいは全電通等を見ましても、最低賃金に対しての裁定は各当事者でやれということになつておりますが、またある程度の最低賃金を示しておる裁定もあつたように思いますが、どうも少しこの開きが大き過ぎるのじやないかという印象を受けますね。
  48. 丹羽雅次郎

    ○丹羽説明員 ちよつと誤解がありますといけませんので、敷衍さしていただきたいと思います。もし定員法というものの制限がない場合には、この常勤労務者というものが定員の中に相当数入つて来るわけであります。今定員内が一万三千三百五十円と申します場合には、三級から十一級ぐらいまでの平均値でありますので、定員内でも低い部分、たとえば五、六級までの人間だけで平均値を出しますと、当然低くなるわけであります。職務級式に級の高い者ほど多いわけでございますから、全体をひつくるめて高い者を入れて平均をとりますと、平均では高くなる。常勤労務者の場合は、級の高い者がおりませんで、せいぜい八級が最高だと思いますので、そういう人だけで平均値をとりますと、これは結果的に低く出て参ります。これがたとえば郵政省のように定員が非常に多くて、こういうものもみんな含めて平均値を出しますれば、この問題は浮び上つて参らないわけであります。従いまして常勤労務者の給与と定員内の給与の平均値だけの比較はちよつと困難な問題になろうかと思います。
  49. 川俣清音

    川俣委員長 そこで職員課長説明しなければならぬのは、常勤労務者というのは、普通から見ると、りつぱな職員なんですよ。外部から見ると、これは常勤労務者だと見えない。この常勤労務者にあれだけの責任を持たせるかどうかということは疑問だと思うのです。責任は一般の職員と同じ責任を負わされておる。常勤労務者じやないですよ。りつぱな普通の公務員としての当然の責任を負わせられておるし、おそらく刑法上からいうと、職員としての刑法上の責任を負わなければならぬのじやないですか、労務者としての責任ですか。
  50. 丹羽雅次郎

    ○丹羽説明員 今の刑法上の問題は別といたしまして、実は仲裁裁定書にも書いてございます通り、常勤労務者の半数は事務職員でございます。これは学校等を出たての人というのが相当入つておるわけであります。こういう人はかりに定員内で採用いたしましても、三級、四級、それがだんだん上つて参りますけれども、初任給はやはり御承知の通り低いものであります。そういう者が半分くらい入つておりますから、常勤労務者の給与は相当低くなつておる。今委員長の御指摘の通り、下からたたき上げまして、ほんとうに一人前の人というのも入つておりますが、全体的に見ますと、新制高校を卒業したばかりの人、もしくは一年程度の人も入つております。
  51. 川俣清音

    川俣委員長 もう一つ地方行つてみると、非常に問題になつている点は、ちやんと人事院の試験をパスして、定員外だということで常勤労務者になつている。毎年常勤労務者であるがために、人事院の試験を毎年受けなければならぬ。有効期間は一年ですか、これは非常な虐待なんですよ。常勤労務者という名前で、一方からいえば、公務員としての正式な、昔でいえば官吏待遇でいろいろな責任は負わされていながら、給与の面だけでは常勤労務者としての扱いを受けておる。これは林野庁としては非常に大きな間違いのもとなんですよ。
  52. 足鹿覺

    足鹿委員 定員法というものは当時非常に問題になつたが、これは現場を持つ官庁ではこの悩みをみな持つている。現場を多く持つている官庁ほどひどい。全食労の連中と話してみても、その悩みが大きい。特に農林省関係で現場をたくさん持つているところは、この点で非常に問題を起しております。特にあなた方の林野庁にはそういう事例が多いように思う。定員法というものの矛盾がはつきり浮び出ている限り、これは何とか改正して、この矛盾を除去して行かなければならぬ問題だと思います。  それから今年私どもは北海道へ行つた。北海道の全林野の諸君は、私ども日程に入れておらなかつたら、営林局長初め一体となつて非常に強い要請を受けた。それは積雪寒冷地における僻地手当といいますか、俗称石炭手当といいますが、そういうようなものの支給が、他の官公署に勤めている者との比例の点やいろいろな点で、きようは資料を持つておりませんが、僻地手当の問題についてずいぶん強い、しかも悲痛な要請があつたんです。きようはうかつに臨んでおりますので、その詳細は後日に譲りたいと思いますが、両当事者の団体交渉において検討するということになつて、まだこれでは非常に弱い、裁定自体の勧告も非常に弱いもののように見受けるのでありますが、それらの点についてはどのようにお考えになつておりますか。たとえば内地でも、特に私は狭い行政区域に住んでいる鳥取ですが、営林署が二つあります。ところが私どもの方の営林署の所管区域と北海道あるいは東北の大森林を担当している営林署とでは、局と署ぐらい開いている。ところがやはり署は署だというような取扱いが行われているというところから来る不平、不満もあるようです。たとえば出張へ行く距離にしてみても、われわれ内地の者なら想像のつかないような広範囲なところを担当しておれば、勢い出費も多いし、苦労も多い。そういうようなことについて、やはり予算の配分等が署は署として行われている。そういう現地の特性というものが必ずしも予算上よく生かされておらない。そういつた不満も強く聞きました。そういうようなことについて、もう少しこういう財政的な余裕のあるときには、あなた方の方でよく検討されて、十億円も一般会計に繰入れをされるまでもなく、これはこういつた面から必要欠くべからざるものだというような方針なり、予算固めをされて、そうして今私が述べたのは一例ですが、もう少し全面的に御検討になることが必要じやないか。私どもはこの裁定をめぐつて国会においては、また委員長中心にいろいろと今後とも急速に対案を定めてやらなければならぬと思つておりますが、私はそういう林野庁関係の現在の裁定書に現われた少くとも二項以下の問題についても、この際全面的に組合の要求があつたらやるというのではなしに、林野庁自体の行政を進めて行かれる上において必要欠くべからざる問題としてお取上げになつて、そして実情に即応したような給与体系といいますか、そういつたものを御考慮にならなければならぬ段階に来ておるように思います。その点については、長官がおられればいいのですがおられませんので、特にお伝えおきを願つて御善処されんことを私は希望いたします。  大体この程度で終ります。
  53. 丹羽雅次郎

    ○丹羽説明員 今のお話のことに関連いたしまして、前国会で給与の是正につきまして格段の御配慮によりまして、予算措置もできたわけでございますが、それの内部配分の問題といたしまして、北海道の職員に傾斜をつけて給与体系をきめたわけでございます。そのこと自身は私どもも大いにけつこうなことだと思つておるわけでございますが、先ほど申しました通り千四百名の管理者というものは、私どもがどう考えましても、そういう人に違つた給与を支給するわけに参らぬわけであります。北海道のただいまの現状におきましては、組合員はわれわれの団体交渉によつて、北海道の事情を加味しました給与改善が行えたわけであります。人事院の給与法の適用下にありますところの北海道の所長、課長あるいは局の課長あるいはそのもとについてありますスタツフ、こういう人々は、組合員の給与改善にもかかわらず今まで通りというかつこうになりまして、団体交渉面におきましてわれわれの立場で改善をはかりますことが、逆に申しまして人事院といいますか、給与法の適用下にあります管理者との間に非常な矛盾と摩擦を惹起いたしておりまして、人事管理上、給与政策上非常に支障を来しておるわけでございます。この国有林事業におきます組合員の団体交渉を合理的にならしめればならしめるほど、管理者が人事院の給与法下の制約にあるという点につきましては、いずれいろいろの機会国会の御審議を願うことがあろうかと思いますが、私ども人事行政上、給与行政上非常に苦慮いたしております点を、特にこの機会に申し述べさしていただきます。
  54. 井出一太郎

    井出委員 大体きようは機構改革あるいは仲裁裁定中心の議題のようでございまして、ちようど林野の皆さんおそろいですから、少し雑件をお尋ねしたいと思います。  国有林野整備臨時措置法でございますが、先ごろの冷害対策にも関連をして、これが三年限りの臨時立法であつて、明年六月に一応期限が切れるのだが、しかしこれは延長を考えていらつしやるというように承つておりましたが、さよう承知していてよろしゆうございますか。
  55. 幸田午六

    ○幸田説明員 内部的にはいろいろ地方から冷害とかかわりなくそういう要望もありますし、特に今回の冷害対策として考えてもらいたいという要望もありますので、内部的には多少延長するということを考えております。
  56. 井出一太郎

    井出委員 それで三年間というより二年半ばかりですが、これを実施されてみまして、この経験にかんがみてよほど改正でもしなければならないというふうなことは、お感じでございますか。
  57. 幸田午六

    ○幸田説明員 今の延長に関連して、さらにたとえば適用範囲を拡大するかどうか、この問題につきましては、むしろ実施いたして参りました結果から見まして、今の整備のごとき、むしろ主たる対象が非常にいい木のはえている山を払下げを受ければ、すぐまた右から左に売つてしまう。ほんとうにそこにそれを基本財産なり収益財産として、みずから造林費を投じてりつぱに管理経営をして行く、こういう場合も相当ありまするが、われわれの予期に反した、また非常に気づかつているというようなケースが相当見受けられまするので、措置法の延長に関連してさらにこれが範囲を拡大すべきか、むしろほんとうにいわゆる村あるいは部落、そういう産業経済面にほんとうに貢献する方法として今の措置法の範囲を拡大して、さらに所有権まで移して行くことがいいのか、あるいは共用林あるいは区分林というような形において考えて行くことがほんとうに村のためになり、村民のためになるか、こういう点が基本的に検討さるべき問題だろうと思う。現段階におきましては、延長と関連して、さらにその対象を広げるということは目下のところ私考えておりません。
  58. 井出一太郎

    井出委員 従来の実績としまして、おおよその数字がわかつておりましたらお示しいただきたい。たとえば払下げをした面積はどれくらいとか、あるいは共用林、区分林等の設定は何町歩に及ぶとか、そういうような資料はお持合せございませんか。
  59. 幸田午六

    ○幸田説明員 今共用林、区分林まではわかりませんが、大体三年間の一応の計画といたしまして払下げを予定せられる面積は約十三万町歩くらいであります。本年度中に大体その大部分を措置いたしたいというふうに考えております。
  60. 井出一太郎

    井出委員 この国有林地域的な偏在性といいますか、どうしても東北によけい存在しておるということと関連して、この林野整備が何をやはり地域的に見て、ある地方に厚く、他の地方に薄いというふうなことはございませんか。
  61. 幸田午六

    ○幸田説明員 全体の考えとしましてはやはりたとえば東北地方のように国有林が大部分を占めておるような地帯における考え方、それから関西のように国有林が非常に少い、しかも中国山脈の脊梁地帯においても国有林が非常に少いというようなところを、全般を考えまして、この運用に当つては東北、北海道といつたようなところは適当な箇所があればできるだけ積極的にやつて行きたい。それから西の方も、これは払下げを考えないわけではありまりませんが、むしろ国有林がこれを持つて管理経営していることが、国土保全あるいは民有林の指導あるいは木材の需給、こういういろいろな角度から見て適当と思われるようなものであつて、しかも国有林に売りたいというようなものがあればむしろ西の方においては積極的に買い上げて行きたい、こういうふうな考え方で措置をいたしております。
  62. 井出一太郎

    井出委員 私の言わんとするところをすでにお答えになつたわけですが、たとえば先ごろの災害地帯を歩いてみましても、そういう感じを強く持つたわけであります。例の阿蘇山の南側の山腹など見ましたときに、俗に山容これがためにあらたまるというほどにひどい被害状況であります。これはすでに御承知のことでありましようが、この地帯などかつて国有であつた部分を牧野という形で払下げをし、しかもそれが一種の共用関係というか、まぐさ場に使われておつたがために、かつては相当りつぱな林木の立つてつた所が一面の草原になつてしまつた、しかも火山灰土で地百質が脆弱なところからああいう災害を招いた例などを見まして、むしろこういつたところは国が管理すべきではないかというような印象を受けたわけであります。それかといつて、当委員会にも常に強い意見が出ております通り、東北一帯のごときは、東北の貧困は国有林に原因するんだというような極論をなさる人もあることは、御承知及びの通りであります。そういうわけでこの臨時措置法が文字通りまだ臨時の段階であつて、抜本的には国有林野のあり方というものはおそらく非常に重要な、しかもむづかしい問題でありまして、当委員会などにおいても、今後これは常に出て来る林野関係における大きな課題として、このこと自体が一種の継続審議みたいな形になるような問題だと思うのです。ひとつそこいらにも思いをいたされまして、当局においても慎重な御研究を願いたいと思つております。  それから冷害対策の面で、藤村さん御退出になりましたが、治山の関係としては海岸の砂防林ですか、これが取上げられておるようですけれども、今度の冷害は高冷地にも非常に累が及んでおるので、そういつた山嶽地帯の小規模な治山事業、これらは冷害対策の一環としてお取上げになるということはなさらないのでしようか、その点を伺います。
  63. 幸田午六

    ○幸田説明員 冷害地に対する治山の事業といたしましては、お話のように海岸地帯全部が必ずしも冷害を受けているわけでありませんので、海岸地帯で冷害を受けておるという地帯を特に選びまして、これも時期が時期でありますから植林ができません。いわゆる準備作業と申しますか、堆砂垣をつくるというようなことで、ことに海岸地等はほかに仕事がありませんので、特に海岸砂地の造林を繰上げて支給する。それから別に山間地帯の方におきましては林道というものも考えておるわけであります。ところがこれも従来の補助の一定の条件がございまして、林道は主として継続事業主体的に取上げるということで、新規というものはあまり考えないということになつております。そこで山村におけるその他の対策として考えられておりますのがいわゆる臨時救農施設で、これが総額で十二億ありますが、五割以上の減収をいたしました町村を選定いたしまして、そこにある一定の、その段階によりましてあるいは二百万円あるいは三百万円という金を与えまして、ちようど積寒地帯事業で先般来から始めましたようにつかみで金をやつて、そして村が自主的に計画を立てる、それと同じような考え方のもとに臨時救農施設という積極的に生産に貢献をするところの施設をつくり、同時にその施設をやることによつて賃金収入をさせるということで、その内容といたしましては農地の改良、われわれの方といたしますれば林道あるいは防雪あるいは小規模治山、こういうようなものがその中に入つておりまして、町村の実情に即して計画を立てて行きたい。山村になりますれば、当然その山林関係というものも主体的になろうかと思います。そこで一般の治山あるいは林道の補助の対象にならない小規模の林道あるいはきわめて小さい災害地の復旧、こういうものを積極的にその計画の中に織り込んで仕事を進めて参る、こういう道を開いておるわけであります。
  64. 井出一太郎

    井出委員 今の林政部長の御説明で、小規模治山というものは臨時救農施設費の中から若干出る、こういうふうに了解いたしました。それで臨時救農施設費十二億五千万円と承知していましたが、この中から林野関係へおよそどれくらいのわくが予定されておりますか、これが一点。  それから林道につきまして、林道の補修あるいは改修といいますか、こういうものが臨時救農費の中から出ますかどうか、これを伺いたいのです。
  65. 幸田午六

    ○幸田説明員 これは作業の過程におきまして、農地あるいは畜産、林業関係というふうにその十二億五千万円をわけたらどうかという一部の考えもありましたけれども、各町村の一々の詳細な、ことに今まで補助の対象にもなつていないような零細なそういう各種事業につきまして、中央においてはとても資料として、またその実態もつかみ得ませんので、中央でそれを各局別にわけるということでなくして、むしろ村民自体が、将来の農業、畜産、林業というもののあり方から考えて、適正な計画を立てていただいてやるよりほかに実際に方法がないということで、中央で局別あるいは事業別にわけるということは考えないことになつたわけであります。  それから今の臨時救農施設でやりまする小規模の林道、この中には当然改修というものも含めて考えております。
  66. 井出一太郎

    井出委員 そうしますと、中央で大わくをきめずに地方に流してやる、その場合府県もこれにタツチせずに、町村が主体になるというふうに受取れるわけですね。そうなりますと、何か町村のきわめて弾力性のある方針にまかせるのですが、たとえば土地改良ばかりに集中してしまつて、治山や林道は、実際最後の締めくくりをしたらろくになかつたというような結果になる心配はありませんか。
  67. 幸田午六

    ○幸田説明員 これはただつかみ金を三百万、二百万やつてつて計画を立てさせるということではないのであります。主体的には自主的に町村が計画を立てまして、その計画について知事の認可を受けさせる。そうしていわゆる県におきましては、農業、畜産あるいは林業、各面の県庁の首脳部及び民間団体等もあるいは入れるかもしれませんが、そこでそれを審査する一つの総合的な機関をつくつて、町村から出して来たところの計画を審査して、その間においていろいろのまた事前の指導もありましよう。できるだけいわゆる総合的な経済効果が上るように、そこで検討をして、そうしてその計画を承認する、こういうような立て方になつております。
  68. 井出一太郎

    井出委員 わかりました。それから冷害対策の一環として、農林漁業金融公庫のわくの拡大が見られ、その中に伐採調整資金が三億ふえておるわけであります。ところがこの伐調資金の実際利用状況というものを考えてみますと、どこに隘路がありますのか。当初二十二億余でございましたが、それにさらに三億、二十五億の数字というものにまだ隔たること大分遠い。これは末端ではもう非常にこの需要は旺盛であつて林野庁が府県別に示されたものでは、とても足らぬというふうに聞きますが、本庁の方へまだそれが上つて来ない、公庫で実際貸出しを決定した分は、ごく少量のようであります。そうすると、二十八年度というものも余すところ四月しかない、この状況のもとに一体全部が消化し切れるのかどうか、これは今年度の扱い方が不許可林分に対して適用するというようなことになつており、そういう行政的なやり方が今までとかわつて来た点も一つのネツクになつておることでありましよう。またこれを審査する中金なり公庫なりの審査過程というもので手間取れておるというふうにも思うのですが、そこはどうお考えになりますか。そのネツクはどこにあるか。さらにこれが年度内に消化ができる見通しがあるかどうかペたをすると、これが使用できない形のままにほかの部分へ振りかえられてしまうおそれもありやせぬか、こういう点をひとつ伺いたいと思います。
  69. 幸田午六

    ○幸田説明員 伐調資金の手続といたしましては、中央から各県別に配分をいたし、またそれを地方事務所あるいは下へ下げて行くわけでありまして、一々対象林分について県指導員が実地に参りまして、毎木調査をいたし、評価をいたし、その書類を出すということで、結局時期的には遅れて参りまするが、その作業の過程が、そういう過程をたどるものでありまするから非常に遅れたために、これを消化し切れないというようなことは必ずしもないと思いまするが、今度の伐調資金のいろいろの関係で、各地域ごとにブロツク会議を開きまして、金融面を担当しておりまする各県の係官を集め、いろいろ協議をいたしておりますが、消化し切れぬということはないと思います。それから本年度としては、例の暫定予算が七月までずつと続きました関係もありまして、例年より遅れるということもその原因の一つではなかろうかと実は思つておりますが、消化し切れぬということはないと存じております。
  70. 井出一太郎

    井出委員 現在林野庁へ申請になつて来ておる数字のトータルでどのくらいあるかあるいはそれが公庫の窓口へ現在どのくらい上つて行つておるかというような点についての資料をお持ちでございますか。
  71. 幸田午六

    ○幸田説明員 今ここで資料は持つておりませんが、例の伐採不許可林分というものを対象にして、この二十八年度は考えておるわけでありまするが、その不許可林分になりましたものを全部集計いたしまして、それをわれわれの方の一定の基準によつて評価いたしてみますると、約二十七億という金になるわけであります。それに対して二十二億というものが認められておりまするから五億差があるということになりまするが、ただ県から参りますると、その立木を時価で評価いたしまして出した額と、中央から配付いたしました額とを比べますと、相当開きがあるということになるわけでありまするが、今の予算は実はその評価額が二十六年の評価額を使つて予算化しており、またその評価額の八割を貸すということでありまするので、現実の問題としては、それだけの石数を時価で評価した場合と非常に大きな隔たりがあるということになりますが、こちらの一つの基準で評価いたしますると、大体二十七億、五億の差がそこにある、こういうような次第でございます。それからどれだけ現実に公庫の方へ上つて来て貸し出されておるかということにつきましては、今資料を持ち合せておりませんから、後刻お答え申し上げます。
  72. 井出一太郎

    井出委員 この森林計画によります伐採許可を願い出しますのが年二期というふうに承知をしております。この場合に六月と二月だと思いますが、この二月という時期に申請をした分は、おそらく年度が先へ越されてしまいはせぬかと思うのです。従つて今部長の言われる二十七億というのは、六月の申請を基準としてそう言われるのですが、それには本年の春の二月から繰越されたものも含まれておる、この点いかがですか。
  73. 幸田午六

    ○幸田説明員 二月と六月の双方を含めて考えております。
  74. 井出一太郎

    井出委員 そうしますと、今私の申したように、明春二月の分はどうもこの年度内には織り込んで計上するわけには行かぬ、こう見てよろしゆうございますか。
  75. 幸田午六

    ○幸田説明員 どういうことですか。二月の分ですか。
  76. 井出一太郎

    井出委員 明春二月これに申請を出しても、これは年度は三月打切りなんだからもう間に合わぬ。だから今の二十七億の数字は、さらに明年二月の分が加わつてどうこうというような変動は考えられない、こう見ていいのですか。
  77. 幸田午六

    ○幸田説明員 来年の二月以降のものはまた来年度の予算ということになると思います。
  78. 井出一太郎

    井出委員 代調の点はそのくらいにしておきまして、もう一つ、冷害対策として薪炭原木を払い下げる、これは三百五十万石ですか、そんなふうに伺つておりますが、これは実際たきぎとなつて搬出される、炭にななて出て参る、こういうことが薪炭市場を大きく圧迫して製品が暴落するというふうな懸念はございませんか。
  79. 幸田午六

    ○幸田説明員 冷害の年は木炭が増産になるというのが今までの経験から考えて言われるのでありまして、また実際に冷害の年というのは木炭が増産になつております。全国的に見ましても、各県とも増産態勢にあるようでありまするし、さらにそこに国有林から三百五十万石の薪炭林を増加払下げをする、こういうことになりますると、そこにさらに増産が期待されるわけでありますが、二十八年度、本年度需給というものだけを切り離して考えてみました場合に、御承知のように、非常にことしは雨が多くて、そのために東北地方におきましても築窯が非常に遅れる、そのために生産が遅れておる、つまりずれが相当あるわけであります。従つて、今これから増産をいたしましても、本年度のいわゆる正月、新正月、旧正月の問題といたしましては、特にこの増産分が、いわゆる予定計画以上に当年度に出まわつて価格を下げるということはないと思いますが、問題は今これからの増産が冬山において行われ、しかもその主体部分が三月以降に出て来るということになりますると、出る時期がすでに春先にかかります。一般から言えば三月以降になりますと価格が下る時期であります。下る時期にさらに物がよけい出て来るということで、木炭の価格が非常に下る。従つて冷害農家から申しますれば、せつかく炭を焼いたにかかわらず、それが山がら出て来て売るときには木炭の価格が下つて、場合によれば原木代にも赤字が出る、こういうことが予想せられるわけであります。従つて、これに対して、われわれ中央におきましても、これに対処する対策を立てなければいかぬということでいろいろ考えておりまするし、各県及び業界に対しましてもそのことを警告いたしまして、県自体あるいは組合自体としても、これに対する対策をあらかじめ考えておいてもらいたいということを申しております。そこでこれが対策として一つの問題になるのは、やはり国が木を切ります場合に、その生産された木炭がどういうふうに販売されておるかということ、従つてその対策ということになりますれば、備蓄という問題、それから運転資金という問題が出て来るわけであります。備蓄態勢をとりまする場合に、やはり一つの方法として考えられるのは、できるだけこれが農協あるいは森林組というような一つの系統機関に集荷されまして、それが倉庫に入れられるということになりますれば、この中金の系統を通じましても、運転資金の問題その他いろいろの対策が打てるわけであります。そこで金融面、いわゆる原木購入資金、あるいは炭がま構築資金においても系統機関を通じてやるということと、それから炭がまの構築の助成金につきましても、われわれの指導の面につきましては、できるだけ系統機関を通じてこの助成金の申請あるいは交付をするようという指導をいたしまして、それらの集荷販売の態勢を事前に確立しておくということが、その次の段階の手を打つ一つ基礎になりまするから、そういうふうなことでいろいろ県の方も指導いたしておりまするし、また中金自体も、これは春先以降になれば当然備蓄という問題が起きるということで、そう考えている。こういうふうなわけで、まあこれも現実の事態になりましたらどうなりまするかわかりませんが、一応そういう見通しのもとにいろいろの手をあらかじめ打つておくように考えつつあります。
  80. 井出一太郎

    井出委員 これは当局も十分配慮をなさつていらつしやるようですが、かりに、国有林の原木代を思い切つて安くしたという場合は、これは今度は逆に民有の薪炭林を圧迫するということにもなりますし、なかなかむずかしい問題だと思います。結局今の備蓄並びにそれに対する金融措置、あるいは貯蔵設備というような問題になつて行くと思いますので、そういつた時期をひとつあらかじめ想定されて、今から万遺漏ないように御配慮を願いたいと思うのです。  それからもう一ぺん元へもどつて伐調資金ですが、部長は、年度内に消化するには心配ないという御答弁ですが、農林中金あたりで言うておることは、これからの短期間内に二十何億というものが殺到して出て来たときに、手続ないしは事務処理においても、もう現在の機能ではとても背負い切れないというふうな悲鳴を上げておるというふうなことも聞いております。どうかそこらも勘案せられまして、この資金が本来の目的のために十分意義あるように消化せられますよう、当局の御善処を期待してやみません。この程度で終ります。
  81. 足鹿覺

    足鹿委員 ちよつと関連して一点伺いたい。今の木材の三百五十万石の払下げですね、それに伴なつて林野庁長官の通牒が出ている。あれをちよつと瞥見したのですが、私は的確に覚えておりませんが、あの中に融資をも含めて市町村長が取扱うような規定が一項どこかにありますね。市町村は行政体であつて、そういう経済行為に関連をして利子を取立てるとか、原木代金を取立てるとか、延滞したときの始末をするとか、そういうようなことを市町村長がやることについてはちよつと疑義もありますが、そういう仕事をすること自体からも少し矛盾があるのじやないか。これは建前としてそうしておいでになるでしようか。たとえば農業協同組合とかあるいは協同組合がない地区においては、森林組合もありましよう。そういうようなものに委託してやらすことを何ら禁止しておる意味ではないでしようね。その辺の解釈はどういうことですか。
  82. 山崎齋

    ○山崎説明員 市町村長を払下げの対象にするといたしておりますのは、払下げ代金の無担保延納を許可するということになるのでありまして、市町村長というふうな公共団体でない場合には、特定のそれぞれの個人に対しまして無担保で延納を許可するということは不可能だということから、名義人を市町村長にするということになつておるのでありまして、先ほどお話のありましたように、実際の仕事農業協同組合あるいは森林組合というようなものに委託するといいますか、そういう形態仕事をすることを何ら禁止しておるものではないというふうに考えております。
  83. 川俣清音

    川俣委員長 それで私からさらにちよつとお尋ねいたしまして終りたいと思います。先ほど裁定の問題についての説明の中に、管理者が千四百名ということになつておりますが、これは公労法の適用外のいわゆる労務者に対する管理者という意味の千四百名だろうと思います。これには管理者手当というのが全部ついておりますか。管理者側に立つておりながら、管理者手当がない人もあるように聞いておるのですが、この点どうですか。
  84. 丹羽雅次郎

    ○丹羽説明員 俗に管理者手当といいますのは、人事院の給与法で正式の名前では特別調整額と言つておりますが、これは違つた意味で、超過勤務手当を支給しない、何時間超過勤務したから幾ら払うという性格の立場の者でなく、無定量の義務に積極的に働く立場の者ということできめられましたものでございます。それから公労法上の管理者は、労務対策面からこれを規定いたしましたものでありますから、そこに大きなずれがあります。林野庁の例で申しますれば、給与法上の特別調整額をもらつておりますのは営林局の局長、部長、それから本庁におきます課長、部長でありますが、公労法上の管理者は、営林局におきましては課長全員、それから労働関係を担当いたしております職員におきましては、非常に若い人まで公労法上の管理者として指定せられております。ごくその一部分だけが給与法上の特別調整額をもらつておる、こういうかつこうになつております。
  85. 川俣清音

    川俣委員長 そういうことで非常に矛盾がないかどうか、こういうお尋ねなんです。
  86. 丹羽雅次郎

    ○丹羽説明員 それでまつたく矛盾があるわけであります。
  87. 川俣清音

    川俣委員長 それに対する是正の方法を考えておられるのですか。非常に大きな矛盾があるのだけれども、その矛盾を解決する方法をお考えになつておられるのかどうか。
  88. 丹羽雅次郎

    ○丹羽説明員 これは私ども公社におきましては、御承知の通り管理者も、国鉄総裁その他が給与をきめられるようになつておりますので、まつたく矛盾がないわけでありますが、政府企業につきましてはこの矛盾が大きく出ておりまして、当初いろいろ問題になつております。十六国会におきまして、五現業がいずれも給与是正をお認め願いましたために、それの結果が具体的に出て参りまして、非常に大きな問題になりまして、ただいま私どもよりより人事院、労働省われわれ相互間で毎月問題として取上げておるわけでございます。これの改正は公労法の改正を伴うわけでありまして、立法的に措置しなければどうにもなりません。政政部内の問題といたしましていろいろ取上げておりますが、公労法の改正にからむという意味におきまして政治問題ともからみまして、事務的にはただいま全然進み得ない、こういうかつこうになつております。
  89. 川俣清音

    川俣委員長 公労法の改正を政府が出すような意図はなくて、国会側におまかせになるようなお考えですか。
  90. 丹羽雅次郎

    ○丹羽説明員 公労法の改正は、私どもよく存じませんが、政府の一部にももつと根本的な意味で出ておるようでありますので、そういう機会がありますれば、ぜひ乗せていただきたい、かように思つておりますが、一方承るところによると、国会におきまして左右の社会党からも改正の形で出ておるようであります。いずれの形でもけつこうでありますので、この問題にひとつ手をつけていただければ非常に幸いだと思います。なお別途御承知の行政管理庁におきまする機構改革との関連におきましても、この問題は取上げられておるようでございます。私ども考え方といたしましては、それはそれとして、当面の問題として、別個にでもなるべく早い機会に、給与法並びに公労法いずれの面からでもけつこうでありますから、改正機会がございましたら御審議を願いたい、かように切実に考えております。
  91. 川俣清音

    川俣委員長 次にもう一つ意見として申し上げておきたいと思います。林野庁が独立採算性をだんだん強くとつて参りますと、今まで立木処分をいたしておりましたのを、現場まで運んで用材にいたして払い下げるということになり、または製品として払い下げるということになりまして、だんだん能率を高めてそうして利益を上げて来るということになるだろうと思います。そうなればなるほど、今までのようなただ労務者を雇い入れるということではなくて、やはり相当技能の優秀な者を雇い入れる、または相当能率の上る者を採用して行く、こういうことになつて来るだろう。従いまして労務者がだんだん熟練の度に達し、能率もだんだん上げて来なければならぬと思います。またそのほかに林野庁は、おのおの林業の専門の学校を出た者をおもに採用しておつて、割合に能率の高い職員を持つておられると思います。その割合にしては給与面が非常に低いのではないか。一般から採用するよりも、むしろその道の学校を出た者またはその道に関係の深い者を比較的多く採用されて、いわゆる熟練度の高い者、あるいは技術面の高い者を採用している割合に、実は給料が低いのではないか。この給料が低いということになります、能率を高める上に大きな障害になるだろう、これは一時的になかなか人を得られるものではないので、七十年の歴史を持つているところに相当な技術者を収容し、また熟練度の高いものもそこに集まつておるわけです。でありながら、一般と比べてみて低いということでありますと、将来こういうものを失う、一年、二年失うということになると、それを挽回することは非常に困難だと思いますので、特にこの問題は、単なる裁定の面で押しつけられたという考え方をするよりも、林野庁自体の将来の発展の上から、よほどかたい決意を持つて行かれなければならないということで、先ほど足鹿委員からも熱心な御意見があつたのでありますから、当小委員会といたしましても、この点について非常な憂慮をいたしておる点であります。われわれが計算いたしましても、この成績が上つて来たことは、もちろん諸物価の高騰によるところの利益もあるでありましようけれども、中におります職員及び従業員の技術の程度の高い点、または高能率の点から得た利益も相当大きいと思いますので、この点を十分考慮されて善処されなければならぬと思います。そういう点を本委員会が監視しておることを、十分御記憶にとめられまして善処方を願いたい。なお農林委員会は、小委員会から農林委員会へ諮りまして、適当な政府に対する勧告をも行いたいと思います。  今日はこれだけで終りたいと思います。     午後四時二十二分散会