○金子
委員 先ほど同僚
委員の
関連にもあつたように、面積問題は、
食糧庁長官は、末端にはそういうことを要請しておるわけではない、県は県としてまかしておるのだというけれ
ども、あなたの方から行く基礎
数字がそう
なつておるから、特に注意しない限りは、末端に行けば必ずそういうことになる。それが末端に行つたときに、あなたが
町村の農業
委員会長であり
町村長であつたときに、そのものを二つ合して反収が幾ら、そして延びが幾らあるということを引受けて行
つて、一体うちに行
つてどうや
つて割るか、割れないでしよう。割れつこない。個人個人に延びがあるということは証明できないでしよう。村ではそうだとい
つても、これは絶対に承認しない。ですから今後割当に行くときには、特に延びというもりに対しては、全体の生産あるいは各県々々の最大
限度、郡と郡の公平をとるための一つの
方法でしかない。従
つてこれは
町村割当のときに、
数字を出して行くようなことをしない方が適当だということの
指導をやるために、末端の個々の人に供出を割当てて、供出に努力するのはそこから発しておる。
知事や
農協というものは、ただ割当ててしまえば
あとはへつちやらなんですが、末端の人はそれからが問題なんです。その苦労をこの際新しく御認識に
なつて、そうしてお
考えくださることをお願いしておきます。
それから安田さんにお願いしますが、あなたは統計の専門的な専門的なというけれ
ども、統計だ
つて専門だ
つて、別に天くだりの、人類社会から離れたことをや
つているのではない。統計というものは、ただ現実に合せるのに、限られた手間と
予算で、どうすれば比較的正確な
数字が出るかという、そのやり方としてのシステムが統計の学問であり、それをや
つているのであ
つて、現実から離れて何もむずかしいことをやるのじやない。そんなむずかしいことをやらないで、もつと確実な
数字が出れば一番いい
方法なんです。そこで私はこの前もちよつと申し上げたのですが、この際統計のやり方をちよつと
考え直してみたらどうか、もつとくふうを盛つたらどうか。というのは、あなたの方では、統計の
数字というものが政治的な、政策的なものによ
つて動かされることは、統計の価値がなくなるということに重きを置かれておる。その点は私は賛成だ、賛成だけれ
ども、さればとい
つて今の統計の職員とあの
予算だけで、この範囲が最大だというような
考え方を持
つてはいけない統計に携わ
つている人数が幾人ありますか。農業統計なら農業統計に携わ
つている人たちも、
町村長もそれを
考え、県もそれを
考え、幾つもの機関がそういうことをや
つておることは、これは大きなむだであります。でありますから、あなたの方の統計というものが、実際にあなたの職員でなくとも、その
町村にもいろいろな組織があります。そういうものともつと力を合わせて、正しい
数字を出すことに努力したらどうか。かりに一つの例といたしましてサンプルをとるときでも、あなたの方では何十筆か何百筆かに対して一つのサンプルをとる。それ以上
予算がないからとれない、手間がないからとれない。こうおつしやるけれ
ども、そうでなくて、今度の
冷害地などを私
ども調査すると、あなたの方の統計の
調査よりも、
部落の人たちはもつと真剣に一筆ごとの
調査をや
つておる。これは個人の立場ではなく、またそれは国やあるいは郡に出すときは、それをある
程度まで政治的な割もかけましようけれ
ども、少くとも実態を
調査するときには、割はかけておらない。だからして一つの
方法とすれば、
部落なら
部落の職員が一つの村に行
つて、全面積の一筆ごとの
調査をしてみたところで、それは数日にしてできるのであります。そうしますとそこへあなたの方が立ち会
つて、今度はその
調査した
調査の台帳の中から抽籤でサンプルをと
つて、そのサンプルによ
つて実際をまた見る。それが
部落によ
つて甘さからさがあるからして、そのときに初めてそれを総数へ率をかけて、村全体の、
部落部落の総数をはかる。村においても郡においても、その基礎を実際に全面積をはか
つて調査して、その中からサンプルをと
つてやるということにすれば、少くとも今のサンプルよりも正確であり、またそれを末端で実際に供出に使
つても、何に使
つても納得させる上にも非常に効果がある。それがいいとは言いません。そういうふうにものの
考え方というものがあるのだ。あなたの方でや
つているシステムが最上のものではないのだ。もつと進歩的に
考えたらどうか。自分の
予算と自分の人間だけでやれるのが最上だということではなくて、もつと世の中に機関があるのだから、その機関と提携し、しかも出た
数字が政治的に動かされない
方法はどうしたらいいかということをもつと
考えてみたらどうかということを、私はこの際一つ頼む。統計のとり方というものは大切であるがゆえに、私はそういうのであります。
それからもう一つは、現
段階でや
つている統計
調査のやり方で、あなたが専門的だとか、むずかしいということではなしに、そういう結果がなぜに出るかということを
農民の方々や、あるいは少くとも
指導者の方々に、こういうふうにや
つてみたところがこういうふうな結果が出ておりますということを、もつとあらゆる
機会に公表どころか、むしろ積極的な啓蒙さえもしなければいけない。そうでないからして統計というものが非常に不評判になる。何かお目付役か何かのようにしていつも統計の問題が目のかたきに
なつて来るというのは当局の不徳のいたすところだと思うのです。統計の
調査の人たちにそれだけの熱意がない。しかももつと広く言いますと、あなた方の方の統計は供出の問題のときだけでなく、一つ村の経済にも重大な影響を持つ貴重な
資料があり、
農家経営の上にも、あるいは税務
対策の上にも十分りつぱな
資料を持
つている。それを黙
つて抱えて、戦争中のやり方と同じようにして、それを公開したり、それによ
つて農村の
指導的立場に立
つて行こうということがないからして、
ほんとうに今は統計の貴重な
資料というものが死んでしま
つている。あれは国の農政の基礎になるだけでなく、それを一つ一つ切り離すならば、これが
農家経営の一つの基礎
数字にもなりましようし、またある
数字は
町村の村づくりの上にも貴重な
数字になりましようし、ある場合には税務
対策の上にも貴重な
数字になるんです。それだけの
数字を持
つておりながら、何か統計というものは別箇な問題だというような
考えで、高いところにいて、供出のときとんでもない
数字を出して百姓をいじめるだけにしか役に立たない。こういうことだから
全国どこを歩いても怨嗟の的に
なつている。これだけ貴重な仕事を貴重な公費を使
つて怨嗟さの的になるということは、政治として愚なことであります。でありますから、統計についてはもつと大きく
考え方を直してもらいたい、こういうことをこの際申し上げて、おきます。