運営者 Bitlet 姉妹サービス
使い方 FAQ このサイトについて | login

1953-11-24 第17回国会 衆議院 農林委員会 第9号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和二十八年十一月二十四日(火曜日)     午前十一時二十五分開議  出席委員    委員長 井出一太郎君    理事 足立 篤郎君 理事 綱島 正興君    理事 金子與重郎君 理事 足鹿  覺君    理事 安藤  覺君       佐々木盛雄君    佐藤善一郎君       佐藤洋之助君    松岡 俊三君       松山 義雄君    加藤 高藏君       吉川 久衛君    芳賀  貢君       中澤 茂一君  委員外出席者         農林事務官         (大臣官房長) 渡部 伍良君         農林事務官   大山 一生君         農林事務官         (農林経済局         長)      小倉 武一君         農林事務官         (農林経済局統         計調査部長)  安田善一郎君         農林事務官         (農業改良局         長)      塩見友之助君         食糧庁長官   前谷 重夫君         通商産業事務官         (公益事業局業         務課長)    生駒  勇君         運輸事務官         (鉄道監督局国         有鉄道部長)  細田 吉藏君         日本国有鉄道         参事         (営業局配車課         長)      公文 広嗣君         専  門  員 難波 理平君         専  門  員 岩隈  博君         専  門  員 藤井  信君     ――――――――――――― 十一月十日  委員日野吉夫君辞任につき、その補欠として佐  竹新市君が議長の指名で委員に選任された。     ――――――――――――― 十一月七日  臨時硫安需給安定法案内閣提出、第十六回国  会閣法第一六七号)  食糧問題に関する件  畜産及び蚕糸に関する件  土地改良及び治山治水に関する件  農業災害対策に関する件 の閉会中審査を本委員会に付託された。     ――――――――――――― 本日の会議に付した事件  冷害対策に関する件  食糧問題に関する件  昭和二十八年産米に対する凶作加算に関する件     ―――――――――――――
  2. 井出一太郎

    井出委員長 これより会議を開きます。  冷害対策の問題について議事を進めます。まず先国会において成立いたした冷害対策関係法律及び予算施行計画配分計画並びにその実施等冷害対策のその後の経緯について政府説明を求めます。官房長は後ほど見えますが、とりあえず総合開発課大山事務官が見えておりますので、御説明を願いたいと思います。大山説明員
  3. 大山一生

    大山説明員 委員長のお許しをいただきまして、国会で成立いたしました冷害関係予算その後の経過について御説明いたしたいと思います。  お手元に配付してあります「冷害地帯緊急救農対策資料要覧」というのをごらんいただきたいと思います。     〔委員長退席金子委員長代理着席〕 あの冷害関係予算が前国会におきまして通過いたしました直後、政府といたしましては、この第一ページにございますように、冷害地帯緊急救農対策要綱というのを閣議決定いたしたわけであります。この冷害地帯救農対策としてきまりました予算は、農林、建設、労働、厚生等関係各省にまたがるものでありますので、この際中央においても緊密な連絡をはかり、対策総合的効果を上げるようにしなければならぬということがございましたので、閣議決定をいたしたわけであります。つまり関係各省の密接な連絡中央においてはかるとともに、地方におきましても統一的な連絡調整機関をでき得べくんばつくつてもらつて中央地方を通じた総合的な運営の実現を期したいという趣旨が、この要綱でございます。そして救農土木事業以下営農維持施設失業対策生活保護対策、こういうふうに措置を四項目にわけまして、全体を通ずる大綱を定めたわけであります。  救農土木事業につきましては、開拓土地改良治山、林道、漁港、道路、それから臨時救農施設並びに災害復旧施設、こういうものを通じ、あるいは河川等災害復旧を通じまして、すみやかに農家労賃収入が得られるようにしようという趣旨でございまして、そのために選ぶ事業については、大半労賃で占められているもの、そして年度内に完工し得る見込みのあるものを選ぶということ、それから事業地域的配分にあたつては、市町村別被害程度及び減収量に応じて重点的かつ公平に行うこと、それから補助金交付手続等をでき得るだけ簡素化して、すみやかに農民現金収入が得られるように措置すること、そのためにもまた予算配分は十一月中に完了すること、こういつたことが救農土木事業大綱としてできて来たわけであります。  それから営農維持施設につきましては、これは共済金のすみやかな支払いを行うようにするとか、あるいは営農資金の迅速な貸付をする、あるいは種子確保耕土培養病虫害防除等、その他試験研究機関の整備をはかるとか、あるいは飯米の確保、食生活の改善、副業奨励等措置を講じ、また国有林につきましても、薪炭林の払下量をふやし、そうして木材の早期搬出等措置を講ずることをうたつたわけであります。  それから失業対策につきましては、これは前記救農土木事業営農維持施設をもつてしてもなお就労機会を得られない被害農民に対して行うことを旨とし、なおその実施にあたつては、先ほど申し上げました地域的配分重点公平化とか、あるいはすみやかに金を流すとか、そういつたことをもつて行うことにするという趣旨を宣言したわけであります。  生活保護につきましては、それらの措置をもつてもなお生活に困窮する農民に対して保護をする、こういうふうなことの趣旨要綱として閣議決定いたしたわけであります。  農林省といたしましては、この要綱に基きまして農林省所管の諸施策実施要領というのをつくりまして、十一月十七日に次官通達として出しております。それは資料要覧の四ページ2というところにございます。これの概要につきましては、ごらんをいただければわかることでございますが、簡単に概要だけ御説明いたします。対象都道府県原則として北海道以下岐阜以東一道一部十九県ということにいたしております。そして先ほど要綱でも申し上げましたように、救農土木事業につきましては、市町村別被害程度及び減収量に応じ重点的にかつ公平に行うという要綱趣旨を受けまして、市町村内の主要農作物減収率が、おおむね三割以上の市町村対象として就労機会を与えようという趣旨にしたわけであります。そうして中央におきまして各種救農土木事業間の調整は、農林省の中につくりました冷害対策班というところで調整して行きたいとともに、最後市町村間の調整は、原則として府県段階において実施しようということにいたしたわけであります。都道府県被害市町村間の調整を行うにあたりましては、次のような条件のもとに行うようにするということがその次にうたつております。すなわち就労機会確保すべき市町村は、被害率の七割以上の市町村をまず第一に取上げる。それから第二番目には五割から七割までの市町村を第二順位に取上げて、そうして最後に二割以上五割の市町村を取上げたい、ただ市町村減収率数字に出ただけではなくて、裏作収入か大幅に予想ざれる市町村であるとか、あるいは第二種兼業農家が過半数を占める市町村、つまりほかに副業収入等の道が当然予想されるような市町村、こういつた市町村については、たとい被害率が七割であつても、全然ほかに収入の道のない七割と同列に取扱うべきではないという趣旨で、その点を考慮して多少優先順位を引下げて取扱う、こういつた優先順位をまずきめたわけであります。それから一団地二十町歩以上の集団開拓地、それから町村合併法合併の行われました市町村における旧市町村、これは市町村待遇としてこれらの優先順位決定の際に取扱いたいということをその次にうたつたわけであります。  それから第三には、こういつた順位に属する市町村内のたとえば団体営等事業は、当然そういう事業をほかの市町村よりも優先して取上げるけれども、数市町村にまたがるようなものについても、こういつた優先順位の多い市町村からまず取上げるようにするということをその次にうたつたわけであります。  それから四番目、五番目につきましては、被害市町村の間にあるいは重複し、あるいは空隙を生じるとか、あるいは特定の村に過重に配分されるというようなことのないように措置するとか、あるいは他の失業対策とか道路関係等各種のほかの省の冷害対策事業の行われる市町村、こういうところについては、就労関係中心として特に配分に注意すること、こういつた点をうたつたわけであります。なおこれに関連いたしまして都道府県事業を行う際には、たとえば農地局所管なつております団体営とか小規模土地改良、こういうものの基幹事業を優先させ、そのあと臨時救農施設というようなものを取上げるというふうにいたしたわけであります。  その次の各種事業についての要領は、これはごらんをいただけばその通りでございますので略します。ただ各種土木事業間の要領において災害復旧事業関係いたしまして、これは八ページにございますが、これは過年度災であつても当年災であつてもかまわぬが、救農土木事業として適当なもので即時に着工、早期完工可能なものを対象として選びたいという趣旨をうたつております。  以下営農維持確保施設につきましては、これはすでに予算のとき、あるいは冷害に関する法律のとき等において決定いたした事項をただ掲げただけで、別に御説明することはないと思います。農林省といたしましては、この要綱、そうして実施要領というのをきめまして、先日土曜日に救農土木事業関係中心といたしまして、第一次配分といいますか、第一次のわくを示したわけであります。そのわくにつきましては、お手元にまだ資料が届いておりませんが、後ほどお届けいたす方針でございますので、その際に御説明いたしたいと思います。  以上がただいままでの大体の経過でございまして、府県別救農土木事業中心として配分した金額につきましては、土曜日各県は大体のわくとして受取つてつて帰つたわけであります。以上現在までの経過を簡単に御説明いたしたわけであります。
  4. 金子與重郎

    金子委員長代理 それでは主として冷害対策に関する件、ただいまの説明中心にして、そのほかにも食糧長官、それから経済局長が見えておりますので、関連でもけつこうでありますから、御質問を願いたいと思います。
  5. 中澤茂一

    中澤委員 この前被害率に対する総合開発側からの、全国の各市町村冷害被害の率、相当に大冊のものが出ましたが、あれはどういう調査のもとにつくられたかということ、それから作報調査とあれとはどんな関連があるか、この二点を伺いたい。
  6. 大山一生

    大山説明員 私の方でつくりました資料は、作報資料、それから県からとりました資料、こういうのを勘案してつくつたわけであります。
  7. 中澤茂一

    中澤委員 その勘案したというのは、あれは非常に正確な数字が出ているのです。それで作報資料中心にしたものか、県の内申を中心にしたものか、その勘案の度合いがどういう勘案をされたものか、それをひとつ伺いたい。
  8. 大山一生

    大山説明員 率直に申し上げます。県の間におきまして、大半の県は非常にいい資料が出ているわけです。ところがあの資料の出ましたときに、ほかの要素がちようどありまして、そういう関係ですべての県が必ず平等の程度において正確であつたとは申しかねるわけであります。それで大体県の中におきます被害程度、これは非常に各県ともに正しいと思います。ただ県間のバランスといたしましては、県の報告だけではわれわれとしては全国ベースにおいて考えるわけにいかぬという点もありましたので、どちらを重点にしたというのでなしに、両者ともに同じくらいの程度においてつくり上げたわけであります。
  9. 金子與重郎

  10. 吉川久衛

    吉川(久)委員 冷害による被害農家に対する資金融通に関する点を伺いたいと思います。この融資利子でありますが、利子は一様に行かないわけでありまして、被害によつて違うわけであります。その三分五厘あるいは五分五厘、その違いを被害率の違いとどういう限度において差別をつけるかということを、はつきりさしていただきたいこと。それから利子補給について多分国は五分五厘だと思いましたが、国の利子補給限度、それから県、市町村利子補給限度をどういうようにお考えでございますか。それから損失補償の国及び県、市町村負担の比率、まずこの点を御答弁願いたいと思います。
  11. 小倉武一

    小倉説明員 第一点でございますが、利子補給にきつましては、三分五厘のと五分五厘、六分五厘三様になつております。三分五厘、五分五厘、六分五厘、それぞれ法律で明定されておるわけでございます。法律で明定されておりまして、その町村あるいは開拓地区につきまして特別の率で行くことになつておりますが、実際問題といたしまして、法律に書いてあるというだけでは行政措置がつきませんので、県と農林省とよく打合せまして、どの町村は何分の部類に入るということを、実際問題として打合せて行きたい、かように存じております。もちろんやかましく申しますと、そういう打合せの結果きまつたものが法律上どういう効力があるかということだと疑問でございますけれども行政上の解釈の問題といたしまして、とりあえずは打合せということで行く、場合によりましては、もつと明瞭ならしめるためには告示をするというようなこともございますが、法律できめてありますので、しいて告示をする必要はないかと思いますので、これも便宜の問題かと考えております。  それから利子補給につきましての県、市町村、国との負担関係でございますが、これは国が半分持つ、あとの半分につきましては、県と町村とがどのようにきめられても、それは国が半分の補助するということの条件ではございません。御自由にやつていただきたいということでいいと思います。  損失補償につきましても、全体として四割ということでございますが、その半分は国が持つ、あとの半分は県で見られるか、町村で見られるか、あるいは両者の共同で見られるか、これも県、町村でもつて御自由にひとつやつていただく、そのようなつもりでおります。
  12. 吉川久衛

    吉川(久)委員 今伺つた点は明らかになりましたが、融資方法でございます。想像されるというよりはうわさに上つている問題は、農協を通して貸されることは実施要領で明らかになつておりますが、その農協が個々の組合員すなわち農家に貸し付ける場合に、担保がなければならないとか、あるいは幾人かの連帯保証でなければならぬとかいうようなことが条件になるがごとく言われておりますが、その貸付方法条件はどういうふうにお考えでございますか。
  13. 小倉武一

    小倉説明員 先ほどその点で申し上げ方が間違つておりましたので訂正いたしますが、三分五厘の場合は半分でございませんで、全体として八分でございます。そのうち国が補給する分が五分五厘ということでございます。半分というのは間違いでございます。  それから担保の問題でございますが、これは貸付条件としまして、私ども行政方針といたしまして、物的担保を供させるとかあるいは人的担保を供させるといつたようなことを指導上の条件とはいたしておりません。ただ担保を供させてはいけないということを積極的に言うこともどうかと存じておりますので、多くの場合は協同組合等保証人をつけさせるというような処置でやつておると思いますけれども、それもしいて資金わくを定めるとか、あるいは利子補給の場合の法律上なり行政上の絶対の条件ということにはいたしておりません。
  14. 吉川久衛

    吉川(久)委員 これは農林省に特にお願いしておきたいのでございますが、この損失補償の問題が国、県、市町村において四割ということになつているのですけれども、実際はその取扱う農協最後は背負い込みになるというような、各市町村に入つてみまして取扱上そういう危惧といいますか、農協側に心配があるようでございます。だからその点をひとつ安心の行くように、何らかの機会に御指導をお願いしたい。とりあえずお伺いしたい点は以上でございます。
  15. 金子與重郎

  16. 足鹿覺

    足鹿委員 冷害地帯緊急救農対策実施要領なるものですが、これは別に政令でもなし法律でもないわけでございますが、要するに実施して行かれる場合の標準になるものでしようが、いろいろ疑問になるような点がたくさんあるので、二、三気づいた点をお伺いしてみたい。  まず第一に、この要領に基く各種事業対象県決定ですが、ここではつきり一道一部十九県を対象としておられます。原則という言葉が使つてありますから、まだ他に適当な条件がある場合は、追加をしておやりになるのかならぬのか。その点から最初にお伺いしたい。
  17. 大山一生

    大山説明員 政府といたしましては、これらの原則として、一道一部十九県といたしましたのは、静岡でありますとか愛知でありますとかそういつた地帯で、要するに県の境界の反対側のすぐそこまで冷害地として各種施策が講ぜられるというような所に接続いたします地帯につきましては、これは救農土木事業についても当然考慮しなければならぬというふうに考えておりまして、これは後ほど配分案をお示しいたします際に御説明するつもりでおりました。それから白穂発生地帯につきましては、これは予備費で要求をしたいというふうに目下考えております。
  18. 足鹿覺

    足鹿委員 そうしますと、要するにこの指定県は、県境を異にするが、接続地帯として、事業関連上この点については考慮してあるということでありますが、それはそれでよろしいとして、救農対策のすべてではありませんが、先般の臨時国会において、当委員会満場一致修正をした営農融資資金の問題です。それについては、別に地域指定ということについてわくがはまるということはおもしろくないという、全員の意向が法案修正なつて現われたことは、御存じの通りなんです。すなわち、全村の被害の全額が平年収納の二割を上まわつた町村に対しては、三分五厘の低利融資対象とするということに法律修正されておる。私の気持としましては、営農融資のみに限らず、でき得れば県全体として、あるいは県の大部分が冷害を受けておらなくとも、その冷害を受けた部落なら部落、村なら村というものは、これはもう他の深刻な、県がすべて冷害を受けたような県の冷害地域と何ら異なるところはないのであるから、その点については、広く法の精神を採用してやつてもらいたいという希望を持つております。それは営農融資の点については、法律ではつきりそうきまつておりますから、これは曲げられることはないと私は思いますが、たとえば営農資金の点について、三分五厘の低利融資対象となる県については、府県からの申告等のとりまとめ上遅れるであろうと私どもは想像いたしておりますが、現在どういう段階なつておりますか。またこれのみに限らないで、私は、この法の精神というものは、当然いわゆる府県というものに線を引かないで、でき得ればその被害のあつた町村にあまねくその趣旨が均霑しなければ、少し片手落ちになりはしないかという気持も持つておりますが、その点はいかがでしようか。たとえば第二次指定の問題ですね、県にとらわれない各市町村の第二次、あるいはそれに次ぐ指定の問題は、どういうふうに取扱われるか。
  19. 小倉武一

    小倉説明員 営農資金融通のことについてお答え申し上げますが、今お尋ねの通り資金融通についての適格の条件といたしまして、県ということを条件としておらないことは御指摘通りでございます。私どもの第一回のわく配分といたしましては、岐阜以東の県を主して考えておりますが、今後県側からの要望というようなこともございましようから、そういう場合、御指摘のような特別の地区町村につきましては十分考慮したいと思います。三分五厘の町村についての指定と申しまするか、決定の問題でございまするが、これは具体的にどの県の何何町村というところを県と御相談して決定をするという段階にはまだ至つておりません。第一回のわくについての県との打合せをもつて配分いたしましたのが今月初めから最近にかけてでございましたので、県の方でいろいろ今度は町村要望というようなことも考えて、それからその後の町村別の作況というようなものを調べまして、近く農林省に、県としての三分五厘でしかるべき町村を提示してもらいたいというようなことになろうかと存じますので、そういう際に農林省で持ち合せた資料ともにらみ合せまして、相談の上で決定して参る、かようなことにいたしております。現在まだ具体的に決定という段階には至つておりません。
  20. 足鹿覺

    足鹿委員 それで、今後地方実情判明次第適用するということでありますからあえてこれ以上申し上げませんが、大山さんどうですか。私の言つたの経済局長の答弁だけではないのですよ。その精神を他の点についても、わずかなことで済むのですから援用されて、冷害地には、日本国民ですから――岐阜以西の県でも村全体の八割くらいがやられたのがたくさんある。ただそれを岐阜という線で、あとはこの実施要領対象からまつたく除外されるということは、これはおもしろくないと思うのです。だから、それはごくきわめて少数のものでありますから、それに対してはやはりあたたかい手を延べてやられることが私はいいと思う。そういうことについて伺います。
  21. 大山一生

    大山説明員 あの救農土木事業関係予算編成の基礎といたしましては、一道一部十九県を対象にしております。従いまして、第一次配分、また救農土木事業関係大半が当然それらの県に行くし、若干はそれに隣接するような所においても考えたいということは、これはまあ問題ないところだと思います。ただ遠く離れた所で、しかも部落の一部がやられておるというような所につきましては、今後研究さしていただきたいと思います。
  22. 足鹿覺

    足鹿委員 これはよく御研究願つて、そう大したものではないのですから実際に合うようにひとつ御考慮願いたいと思います。  それから、合併行つた市町村に対する取扱いはこの場合に書いてありますが、旧市町村並にこれを取扱つて行くということでありますが、問題は、地方自治法に基く知事勧告を行つたものに対して、市町村合併促進法に盛られてある各種の特典というものが与えられることになつておるわけですね。しからば知事勧告のみに基いておるかというと、私どもの方では町村合併が非常に進みまして、知事の示した合併勧告区域なんかをはるかに上まわつておるところがたくさんあるのです。ぼくは鳥取ですが、四十九箇町村今までに整理しています。ところがこれは市町村合併は必ずしも知事勧告  に基いた地域だけではない。そういうところがあるのです。この間畑地改良促進法地域指定を私拝見したのですが、たとえば鳥取県の東伯郡という郡は、今度関金三朝倉吉と大合併をやりまして、倉吉八箇町村周囲を吸収した。関金は六箇町村を吸収しておる。三朝はこれと同様に吸収しておる。ところが東伯郡自体は指定を受けておるが、他の合併を受けた。特に地域に入つた倉吉は全然指定から漏れておる。これは明らかに法の矛盾だと私は思うのです。お気づきだと思うのですが、そういつたことが冷害対象市町村の場合にも必ず私はあると思うのですよ。そういうことのないように、これはほんとうに臨機応変といいますか、弾力性のある運用をしていただかないと、非常に問題が起きて来ると思います。特に村と村との合併の場合はよろしいが、市に吸収合併をされた場合は、市の当局が動くのとほんとうの村長さんが動くのとでは、時間的にも相当ずれがあるのです。ですからここにはつきりと旧市町村として取扱うということになつておりまして、私も了承いたしますが、これは特に今私が述べたような実例もありますから、十分に運用上においては弾力性を持たせていただきたいと思いますが、そういう点については御考慮になつておるでしような。
  23. 大山一生

    大山説明員 私たち各種特殊立法の地帯指定の際に一番悩みとなり、またこの間本年度から実施しております相互助成についても、いろいろ悩みとなつておりますのは、町村合併が非常に行われておるということです。町村の数が常に減つており、また県によつてはふえておるところもございますが、こういつた状態でありますので、いつの時点をつかまえて――ずつと過去にさかのぼつた市町村ということになりますと非常にまずいというので、一応町村合併法律的にも促進するという態勢ができました。合併法促進の時期というのを一応つかまえてみたわけであります。従いまして法により合併が行われるということになつておりまして、先生の今言われましたように、知事勧告があつた場合に限定するというつもりではおりません。なお合併前、法律の公布されます少し前程度に行われたものについても、旧市町村としてできるだけ取扱つて行きたいというふうに考えます。
  24. 足鹿覺

    足鹿委員 了承いたしました。ぜひそういうふうな運営でやつていただきたいと思います。  それから減収率決定の問題ですが、いろいろな事情をしんしやくして、国と県とできめられるということですが、統計調査部長もおいでになつておらないし、大体その減収率決定については、この要綱はきわめて抽象的ですが、問題はもつと内容がたくさんあると思う。もう少し詳しく……。
  25. 大山一生

    大山説明員 減収率につきましては、供出の割当がある程度終りまして、供出の割当の基礎として使いました村の生産量というようなもの、それからこれは統計調査部の方から各県あてに通達を出すはずでございますが、県の方から作報資料を要求して来たときには出すというふうにいたしまして、県の作報の統計調査事務所のつくりました資料、それから供出の割当の際にその基礎といたしまして使いました資料、こういうものに基きましてきめるというふうにいたすはずでございます。
  26. 足鹿覺

    足鹿委員 その場合に農業共済関係のことが問題になつて来ると私は思う。農業共済関係は、共済契約を全部やつておりませんから、必ずしも一致はしないと思いますが、この減収率というものがここで一つ出て来るということになりますと、農業共済との関係は一体どういうふうに取扱われ、また調整をされるのですか。伝え聞くところによると――今同僚の中澤君の話ですが、共済金を非常に押えているという話なんです。私は今年のような年に、共済の力が十分に発揮されない、災害を受けたものに法律に規定通りの共済保険金が支払われない。これにすらもある程度抑制することが行われますならば、これは問題だと思うのです。そういう指導方針をおやりになつておるなら問題ですよ。そういうことになつて一体この減収率をきめて、冷害対策要綱というものに基いていろいろな救済対策が行われて行くということになれば、これは救済対策とは別個なものではあるが、農業共済保険金というものも大きい目で見れば救済対策の一環なんです。非常に大きな要素を占めておると思う。その関係は一体どういうふうになるのですか。
  27. 小倉武一

    小倉説明員 冷害対策、主として救農土木事業等でございますが、これの予算を配付する基準といたしましての市町村減収率と、農業保険で見ますところの被害、あるいはそれの基礎になる減収率というものとの関連でございますが、もちろんこれは同じたんぼについての被害なり減収の問題でございますから、一致すべきはずのものであります。しかしここで救農土木事業との関連におきましての減収率と申しますのは、御承知の通り町村単位でもつて減収率でございます。町村の平年作に対する減収そのものをおそらく言うんだろうと思いますが、保険の場合は必ずしも町村の平年反収の減収率というものを必要といたしません。そういう数字を出すことを必要といたしません。個々の農家の一筆ごとの減収ということが問題になりまして、それを積み上げて計算をすれば町村被害率というものは出て参りますが、その被害率も直接には町村減収率ではないのであります。しかもまたこの比べる基準でございますが、ここで言う減収率という場合に比べる基準は何か。必ずしもこの要綱で判明いたしませんが、おそらく平年作あるいはとり得べかりし反収ということであろうかと存じますが、共済の場合の基準、どれだけ被害が出て来るかという被害を計算いたします基準となるものは、あるいは基準反収というふうにいわれておりますもので、平年作というものと必ずしも現実の村々の状態を見ますと、一致はいたしておりません。そこで必ずしも制度の上から当然一致すべきものであるというわけにも参りません。もちろんお互いに比較参照する若干の可能性はあると思いますが、厳密に一致すべき性質のものではどうもないようであります。もつともこの救農土木事業町村をきめます場合の減収率というのにつきましては、そう厳密な定義は必ずしもございません上、ここはおそらく農林省資料あるいは県の資料を突き合せてきまるということになると思いますけれども、それに対しまして、共済の方はいわばもう少し厳密になつておりまするので、結果がどうかということは別といたしましても、やり方、計算の筋道といたしましてはもう少し厳密になつております。  それからそれに関連いたしまして、この際特に冷害でございますが、本年のような災害にあたりまして共済の威力を発揮すべきときに、むやみに共済金ないし保険金を圧縮するというような指導と申しますか、措置考えておるのではないか、あるいはやつておるのではないか、こういう御心配でございますが、そういう点は私どもは全然ございません。ただ共済金ないし保険金を支払いますためには、的確にかつ早くということがわれわれの念願でございまするので、いつもならば連合会で再保険金の請求の書類、あるいは損害評価の書類を農林省に直接持つて参りまして、農林省はそれを直接に審査するということになつておるのであります。しかしながら本年は、特に早く支払いたいということで、その審査を府県にお願いしておる。府県にお願いして、なるべく府県段階でこなしていただいて、その上で農林省に持つて来ていただく。そうすることによつて保険金の支払いが敏速かつ的確に行くのではないかということで、県の審査の参考のために――県の審査と申しましても、もちろん絶対的な数量でございますから、各県まちまちによつてもよろしいようでございますけれども、やはりほかに農業統計委のいろいろな問題もありますように、県下のバランスということが府県の場合も非常に必要でございますので、現在農林省が持つておりまする資料から見れば、被害面積はこの程度ではないか、また本年の水稲の反収はこの程度のものではないかということを、県別にある程度検討いたしまして、それを連合会の申請について県か審査いたしまする場合の参考にしてもらいたい、こういつた趣旨のことを府県に言つておるわけでございまするが、おそらく圧縮するのではないかといつたような御懸念は、そういうところから出ているのではないかと思いますけれども、それは単に圧縮するということでございませんで、的確にかつ早く支払いたいというための手続として措置いたしておるのであります。
  28. 足鹿覺

    足鹿委員 この減収率決定の時点ですが、これはどこを時点に押えられるのですか。
  29. 大山一生

    大山説明員 この間と申しますか、土曜日配分いたしました第一次の分につきましては、可及的すみやかにということでおります。ただこの減収につきましては、今後実収高調査等によりまして、あるいはかわつて来るということも当然予想されるわけであります。従いましてこういう実収高調査等の要素を勘案して、将来補正することを考えております。
  30. 足鹿覺

    足鹿委員 そんな漠然とした話でやれますか。可及的すみやかにとおつしやいましたが、さつきの答弁では、別にあなたを追究しようとも痛めようとも思いませんが、被害率というものは、割当の基礎となつたいわゆる生産量というものを資料にする県から要求した場合には農林統計調査部の各都道府県分は貸してやる、知らせてやつて、そうして随時勘案をさせるということなんですが、そうすれば一体今のあなたの話によると、割当の終つていないところはもう何分のごくわずかなところだけで、ほとんど終つておる。特に冷害を受けた町村というものは割当を終つたどころではない。全部供出を完了する段階ですよ。大山さんのそういうあいまいなお話ではちよつと困るのです。正確に言えば、たとえば十月十五日現在のものでまずやる。しかし実収高の推定調査ができたときに、さらに大きな誤差があればそれで修正をするならするとか、何かもう少しまとまつた答弁をされないと困る。農林委員会でそんな答弁をされたつてそれは通りませんよ。
  31. 大山一生

    大山説明員 第一次配分の際の対象で五割とかあるいは七割の被害を受けておるというような市町村、これはこの間配分いたしました第一次の予算配分方針と申しますか、その際に御説明したいと思つておりましたが、そのとき配分対象といたしましたのは、原則として五割以上の被害町村というのを対象としております。それで五割以上の被害町村でありますが、被害程度の出し方は、その都道府県が統計調査事務所に要求して、その統計調査事務所がこの間の十月十五日現在のためにつくつた資料と、それから都道府県におきます供出割当の際に使つた資料、あるいは雑穀、養蚕等の被害状況を勘案してきめるということにしたわけであります。そのきめる時期については、この間のときにはいつ現在ということは内示しておりません。ただ当然十月十五日の資料、それから供出の割当が完了しておりませんものは別としても、完了しておるのはその資料によつてやらざるを得ないというふうに考えます。それからその五割という問題に関連いたしまして、村としては五割以上に達していない場合でも、過半の部落が五割以上の被害を受けておるというようなものも、この第一次配分の際の対象としております。それから都道府県別の配分につきましては水陸稲、雑穀、養蚕等の減収量、それから被害農家戸数、被害面積、単作率等を勘案してきめた総指数による。それで先ほど申し上げました実収高調査その他の要素によつて補正することがあるというのは、その都道府県配分についてのことでございます。
  32. 足鹿覺

    足鹿委員 そうしますと、現在の町村で五割以上ですでに受けたものは、実収高の推定が明らかになつても別に再修正はない。もちろんそんなことはできませんね。
  33. 大山一生

    大山説明員 ただ県の立場から見て、その際は非常に悪かつたが今非常によくなつておるというような所は、たまたまその時点にあつたからといつて対象にするという趣旨ではございません。
  34. 足鹿覺

    足鹿委員 それはいいです。それから小倉さん、あなたの今の答弁はわかつたようなわからないような答弁ですが、われわれはあなた方のように持つてまわつたような話はしません。とにかくこれによつて減収率というものがその村なりその都道府県においてきまるのです。きまつたらそれでやれとはもちろん私は言つていません。それは共済に基準反収のあることもよく知つておりますし、この被害率が、減収率がきまつたとしても、その基準面積というものが全部共済面積と一致するとも思つておりませんし、これはおのずから狂つておるということはよく知つております。だけれども一つの常識として、一行政区画内における減収率というものから、別途に共済保険金というものか全然切り離して考えられるということはない。常識としてわれわれはそう思つておる。あなた方のようにきちんと計算をして、万事理詰めにかかつたようなことはわれわれの手ではとても負えませんから、私どもは達観で行くのです。だからその府県における平年作というものから何割落ちたものが要するに共済の場合の基準収量だ、こういうことは一応わかる。そうするところ減収率というものが大体きまつて、それから大体どの程度落ちたものが共済のものになるかということは、これは大体の見当ですけれども、そう大きく狂いはないと私は思うのです。そういつた面から今の御答弁では私はどうもよく納得が行きません。中澤君があと関連質問をやりますから、そのときに具体的にはつつ込んでもらいますが、私は大体論的に見て、そんなことはない、だからそういう面から見ても、不当に共済保険金の支払い金額を押えるなどということはない、また絶対にしない、とこういう御言明でありますから、それ以上、われわれが事実を持つていない以上は何とも申し上げかねますが、とにかくここに百七十億というものを概算払いではなしに年内に支払う。再保険金の支払いは仮渡しないしは概算払い等をやめて、早期に本格的な損害評価を終つて、年内に保険金の支払いを行うということになつておりますが、ただ問題は、この間第二次補正できまつたもので、たとえば再保険金の場合に、百七十億は推定であつて、しかし実際は損害評価が、累積して行き、頭が出たという場合に、一体どうされるかということが問題です。これ以内にとどまつたならばいいですが、従来の共済金の支払いというものは、上で一つわくをきめておいてこれに合せるように損害評価額をためておられる、そこに問題があるわけです。従来は、いろいろ制約もあつてそういうことになつたかもしらんが、ことしはそれではいかぬということで、私はさつきから言つているのです。とにかくこの頭が出た場合には、今度の第二次臨時国会における第二補正にでも、それで足らなければ、次の十二月十日から開かれる通常国会においてでも、とにかく下から積み上つたものを今度ばかりは正直に上まで届かす。予算が足りなければ、それに合せて予算を増額する、こういうことでなければ、ことしは問題が起きます。ことしもまた、従来と同じようなことを考えておられるということですが、今私が言つたような方針でやられますか。それを私は聞いている。
  35. 小倉武一

    小倉説明員 御心配の点は、私もごもつともと思いますが、私どものつもりといたしましては、これはまつたく足鹿委員のお説の通り処置をいたすつもりでありまして、あらかじめ単価がきまつているから一保険金をその範囲内で納めるように査定をするということは毛頭考えておりません。  それからなお、前の御質問に触れまして、ちよつと申し加えたいと思いますのは、先ほどの冷害対策につきます町村被害程度別の仕訳が、もし五割以上あるいは七割以上というようなものが正確にできますれば、これは保険の関係といたしましては、町村単位で五割以上でございますので、そこで支払いを受ける農家、個別に見れば、被害率というものがもつと大きくなる。あるいは減収率でございますが、大きくなるという一応の想定はできると思います。ただ私どもが現在できますのは、県別に一体どの程度連合会から言つて来ているのが妥当かどうかということを審査できること、そこらが精一ぱいでございまして、村単位なりあるいは郡単位でも、この郡の言つていることがいいかどうかということを、実は農林省においくは審査する能力はありません、またそういう資料もありません。やつと県そこそこの段階でもつて、この県の言つて来ているのが相当山をかけているのか、あるいは相当厳密に査定をして公正なところを言つて来ているのか、あるいはこの県はほかの県に比べて少ししぼり過ぎているのではないかということがわかる程度であります。従つて、私どもの審査というものは、その程度しか実はできないのでありまして、町村別のこういう数字が出ましても、それでもつて農林省といたしまして、これに合うような計算は、実はいたしかねます。これはもちろん連合会なり県といたしましては、各支部なり、村の単位組合を指導する場合に、こういうのが、その間のバランスをとるなり、公正を期するということの一つの参考資料にはなると思いますけれども、私ども直接といたしましては、この資料一つ一つを使うということには実は参りかねるかと存じております。
  36. 足鹿覺

    足鹿委員 それは今後、あなた方も、わずかの期間におやりになるのでしようから、別の機会によく資料をもらつて検討させてもらいましよう。  最後に、この間ちよつと北海道の諸君から聞いたのですが、北海道の温床補助、あれは農林省は来年度からだというような御解釈だそうですが、ぼくは、これはおかしいと思う。本年度中にやらなかつたからといつて昭和二十八年度の第二次補正で、はつきりことしの冷害対策としてとつてある、これは明確なものだろうと思う。それを、わずかな金額にしろ、ことしはやつてないのだから、これは来年からのだという議論、これは国の補助があるから、ないからといつて、百姓はみなやつているのですよ。その判定ができるか、できないかということが、全部材料を撤去したあとだから、困難だろうという言い分もあろうと思いますが、とにもかくにも、ことしの予算補正がきまつて、ことしの冷害対策として取上げられたものを来年のだといつておあずけをするという論法は、どこからそういう論法が来るものでしようか。私どもはちよつと理解がつかぬのです。
  37. 塩見友之助

    ○塩見説明員 保温折衷苗しろ、温床苗しろにつきまして、従来は農家は四月に使うものでございます。それを四月以降の補助金として組んでおつたのです。それが農家が四月に使うのに、四月以降の補助金として使われていたのでは、本年度もございましたように、必要な向きへ必ずしも苗しろの奨励金が行き渡つていないというような形で、冷害に対する障害が相当多いわけです。それで四月に農家が使います――一部、局部的には三月に使うところもありますけれども、それは前年度において十分計画的に奨励の方もやる、それから数量の方も県あるいは道の方がしつかり握つて、そうして確信をもつて広げる必要のあるところに広げて行く、こういうような奨励措置を講ずるためには、どうしても新年度の予算としてとつたのでは的確に必要な向きに配られ得ない、こういうふうな考え方からいたしまして、本年度とつていただき、これから三月にわたる間に必要な向きへの奨励をやるというふうな形で、一年繰上げて出してもらつたのです。これにつきましては、この予算を初めやりますときから、そういうふうな問題がありましたけれども、それが実行できない、大蔵省の方でなかなか聞き入れなかつた、こういうふうな形になつておるわけでありまして、これは北海道の温床苗しろのみならず、内地における保温折衷苗しろの方も、同様にこの三月までに予算を配賦いたしまして、それで農家は四月に使うという形で、油紙の製造購入その他の方も計画的に進めたい、こういうふうに考えておるわけです。従来のはどちらかといいますと、四月に農家が使うわけですから、油紙の購入をまとめてやりますところの全購連、その他の団体においても、それからメーカーにおいても、その大きさが幾らということがわからない。そのために、実際はやつた地帯――ただ非常に数量的にはつきりした指導を行わないで、ただ、やれやれというような奨励によつて大体やつた農家の方へあとから行くというふうな形であつたわけです。そのために、必要な向きへ必ずしも行つていない、山間部等には、特に奨励が及んでいない、こういう欠陥があつたわけです。そういう意味で、保温折衷苗しろも温冷床苗しろも、両方とも、とにかく三月までの間に予算としては補助として配付してしまうというふうな形をとつたわけです。とにかく四月に農家が現実に使う油紙というものを、四月以降の予算で補助されたのでは、計画的にどうも実行しにくい。ことしのような災害が起つておる。そういうふうな意味で、一年繰上げてやつたという形にしております。
  38. 足鹿覺

    足鹿委員 それはいかぬ。塩見さん、そんな答弁はいかぬですよ。あなた方は北海道の保塩折衷苗しろの予算をことし切られたでしよう。それなら今のあなたの議論から行けば、去年の予算がことし当然出されなければならぬでしよう。そうですよ、漸次繰延べて、一年ずつこれだけは延びるということなんだから、それは会計法上違法はありませんか。
  39. 塩見友之助

    ○塩見説明員 会計法上はほかの項目でもございますし、それから西南暖地の奨励なんかにおきましては、三月にやる部分もあるのです。そういうものを、ある場合には四月以降に補助した形をとる場合もあります。補助はとにかくこの三月までに終るつもりでございます。
  40. 足鹿覺

    足鹿委員 だから送り送りに一年ずつ送つて行かれるわけなんだ。そうすると、ことしの分は削られたわけだがら、ことしの分だけ空白ができるということになりはしませんか。そうでしよう、北海道に限つて、ことしは削られたわけだからね。ことしの分を来年度にやると言われるならば、ずつと湖及して行けば一年分空白ができます。それはいかぬじやないかというのです。それなら来年は二年分完全にやられますか。ぼくにはどうもそこら辺がよくわからぬ。
  41. 塩見友之助

    ○塩見説明員 北海道の温冷床苗しろにつきましては、二十六年度は一億円あつたわけです。それで従来からの大蔵省との折衝からいつて、奨励の済んだものはやめる、こういうふうな説明の内容であつたわけです。それで二十七年度において半分の五千万円にして、二十八年度においてはゼロにしたわけです。その関係から、北海道で必要な向きへのかわり財源として心土耕、混層耕の予算をそのかりにつけてやる、こういうふうな経過なつておるわけです。一応昨年のははつきりと、二十八年度はやめるということになつておるわけです。内地の方は、三億円余りのものが予算としては補助されてある。内地の方を、三億円余りの補助に加えて、今度の五億円余りの中からさらに二十八年度分として補助するつもりはないのでございまして、その点は二十九年度に農民が使うような苗しろ向けのものとして、補助をして行くわけでございます。でございますからその点は、内地の方との関係も取扱いに不均衡はないわけです。
  42. 足鹿覺

    足鹿委員 くどいようですけれども、ことしのような年は打切られてはいけないものを、一億を五千万にしてさらにことしはゼロにした。そして冷害が来たが、それによつて農家は大きな被害を受けた。しかし補助があつてもなくても、やつておる農家はやつておるのですよ。そうすると確かに冷害対策として実効も上つておる、その確認がついた。それならことしやつた諸君たちに対しては――これはあくまでも補正なんですからね。これは吉川さんが料理しておられるから関連してやつてもらいたいのですが、これは確かになかつたものをことしの予算でふやしておるのです。ふやしておるということは、大蔵省がへりくつをこねて、とうとうあなたたちが奨励しなければならぬものを漸次削つて来た。ところがことしの冷害で大いに奨励しなければならぬということが明確になつた。そこでこれをことしの予算にはつきり盛つて来ているのですよ。だからこれを来年度に繰延べるということでなしに、少くともことしの補正であるから、ことしのものに使つて行くということでなければ、筋が立たないと思うのです。大蔵省が削つたから今度は国会の方で予算措置をして、これによつて金額がついて来たわけですから、それに対してやはりやられなければならぬのじやないのですか。また今後奨励をし、普及をして行くあなた方の立場からも、そういう解釈で行かれなければ、私はちよつと趣旨が立たぬように思うのです。これは吉川さんがその内容について、いろいろ配分案で苦労されたようですから、その当時のいきさつを承つてみてもいいと思うのですが、どうも合点が行かぬ。ことし組んだ予算を来年にみな繰延べる、そういう解釈はわれわれは一ぺんも聞いたことがない。この温冷床の問題については、今度この話が持ち上つて、温冷床なり保温折衷苗しろというものが非常な威力を発揮した。これはもう冷害対策上絶対にやぶさかにしてはならないということで、われわれ農林委員議長の秋を棒に振つて研究した結果、保温折衷苗しろも大いに増額してこれをやらなければならぬ、北海道の温床苗しろを切つたということはけしからぬ、これは元にもどさなければならぬ、こういう趣旨で、われわれは来年度のものだというような精神でやつたつもりはさらさらありません。他の同僚諸君はどうであるか知りませんが、なくなつたものを復活したのだ、だからことしやつたものに、やはり冷害地の救済の一環として出せ、こういう解釈にわれわれはあれだけの血道を上げたものだと思う。どうもそういう解釈は、塩見さん、おかしいですよ。もう少し考え直さなければいかぬと思うが、これはまた他の同僚委員からも御質問があろうと思う。よく考えてみていただきたい。どうも納得が行きません。ほかにまだありますが、午前中はこの程度で打切つておきます。
  43. 吉川久衛

    吉川(久)委員 関連して……。私どうも政府委員に臨時にさせられるような形でありますが、塩見局長にちよつと伺つておきたいのです。北海道の場合を申しますと、二十六年度に一億、二十七年度に半額になつた。そこで二十六年度の一億は二十五年度に使用なさいましたか、二十七年度の五千万に減らされた分は、二十六年度にこれを交付されましたか、その辺を承りたい。
  44. 塩見友之助

    ○塩見説明員 二十六年度に組みました一億円は二十六年度のものに使つております。それから二十七年度の五千万円は二十七年度のものに使つております。少くもおそくも農民は四月に使うものでございますから、購入は三月にはやつておる、あるいは二月にやつておる。団体の方は前年度にやつておる。それで予算がきまらないために、また県への内示が遅れるために、油紙の計画生産の方もまた農民団体の購入の手続の方も、非常にそういう点が計画的に行かない、そのために必要な向きに行かなかつた、あるいは紙質の非常に悪いものが行つたりしたというふうな形で、思う向きに奨励が行き届かなかつた、あるいは紙質が悪いために奨励通りに行かないという危険が多かつたわけであります。これは保温折衷苗しろ、温冷床苗しろのみならず、麦なんかでもそういう問題があります。麦なんかも、前年度から翌年度の五月ぐらいまでにいろいろな仕事が行われるわけであります。麦なんかの予算も、あるいは四月あるいは五月までに使うような部分を、前年度予算に組んでおるというふうなことがあるわけであります。会計年度にまたがつて、どつちと言うことがはつきりしにくい、しかも農家の方から見れば、四月の新年度補助金で補助されたのでは計画的に行かないし、また団体の方も、資材の整備その他いろいろ農民に対するサービスをやる点からいつて、前にきまつていないと、実際は仕事を実行する上からいうと非常に不安定で、それで思い切つた奨励施策はできないというふうなものが相当ございます。そういうものは前年度のうちに補助するということもあるわけであります。主として補助金は、ほんとうに団体その他で現物を買つてしまうわけであります。そういう形があるわけで、それをとつたのです。
  45. 吉川久衛

    吉川(久)委員 局長の説明は非常に苦しいのです。それは私の聞き方の言葉が足りなかつたのですが、二十六年度に初めて一億が決定をするまでは、一体国会において予算が通るか通らないかということがわからない場合に、農林省や北海道庁がその仕事にとりかかるはずはない。あるいは経費のかからない点において指導をした場合があるかもしれません。けれども温床紙の用意をさせたり、その他資材の用意をさせるようなことは、非常に堅実な行為をなさる役所の皆さんのおとりにならないところなんです。だから、予算が通るということがはつきりわかつて、初めてその年に具体的な行為にとりかかるわけなんです。ですから、予算というものは、繰越しの場合には繰越し明許の措置がございます。しかし繰越し明許のない場合には、絶対に会計年度を越えて支出することは許されないことなんです。それと同じようなぐあいに、繰上げの場合にはさような措置がございませんから、前年度から継続の場合は、その関係の仕事をあらかじめ予定をして指導をし、あるいは実施に移す場合もあり得ることは私も承知しておりますが、そうでない場合には、全然そういうことはできないのです。やれば会計法の違反になるわけです。ですから会計法違反の疑義は、十分ただいまの場合もあるわけでございます。から、この点は十分御研究を願いたいと思います。私は非常に疑義があるというように考えます。  それから今年度のこの五億の問題については、そういう見地からも当然この年度に使うべきもので、来年度の予算に組むならば、来年度あらためて二十九年度の本予算に組まれなければならない性格のものであります。だから来年度もただいま予定通りのものが組まれるとするならば、本年度来たのは、すでに使つたところに交付し、余りがあれば、来年度よりよく完璧を期するという意味で、これを使用すべきである。従つて私は、これをもつて来年度の事業に充当すべきでないというふうに解釈するのです。局長はどうでございますか。
  46. 塩見友之助

    ○塩見説明員 会計上もちろん本年度補助しまして、本年度団体の方へ交付されるわけです。それは農家が実際苗しろをつくるのは、来年の四月になるのでございます。それで会計法上はやつて行けると思います。たとえばいろいろ麦なんかについてもそういう関係がございますし、造林なんかについても、とにかく九州の方は三月中に始めるし、それから日本の大半のところは四月中に始めるというふうなところを、必ずしもちよん切つてつていない場合もあります。そういうふうな点からいつて、会計法上の点は十分注意してやるつもりでおりますが、先ほど申し上げました通り、とにかく油紙の手配、その他農村に対する奨励指導のやり方というふうなものは、今から始めておかないと、保温折衷苗しろを広げて、必要な向きに配る点では間に合わなくなる。それで私の方としましては、一繰上げてやつてもらいたいということを大蔵省に申し込んで、それを認められた。こういう形になつております。
  47. 吉川久衛

    吉川(久)委員 一般の場合には、四月からさつそく実施しなければならないような保温折衷苗しろ、温冷床等の問題については、これは実際問題として交付の時期は五月なんです。これは今までに幾らでも実例がございます。四月もしくは四月以前に交付されたということはおそらくございません。これは証拠は幾らでもあります。それから継続の場合は、局長のおつしやつたような便宜上の措置が講ぜられて、あるいは会計法を越えて寛大にみなされて扱われておるかもしれません。しかしながら、北海道の場合に打切られてしまつて、まつたく新たに予算づけられたような問題になりますと、これはまた取扱いはおのずから別になりますので、その点はひとつお考えいただきませんと、問題になるのじやないかと思います。私は、予算の振当ては、当然会計法上からその年に交付すべきものである、こういうように考えます。その点ひとつ誤りのないように実施していただきたいと思います。
  48. 中澤茂一

    中澤委員 それは塩見さん全然話がおかしい。おそらく農林委員のだれだつて、これはことしの冷害対策の一環として、百十五億の予算のうち、五億をことしやつたものに交付する、全部そういう気持だと思います。来年の四月に間に合わなくなるからことしこれをやつたという考えの人は一人もなくて、これは当然ことしの冷害対策の一環として、ことしやつたところへ交付すべきだという考え方だろうと思うのです。そうすると、総額百十五億、実質九十五億、また五億が来年の温床の分だということになると、話は全然違う。これは大問題だ。そうすると、会計法上はどうか知らぬが、また五億が来年の分だとすると、削減されたことになる。それでは農民は納得しません。これはやはり、ことしのものとしての冷害対策の一環である。来年やるならば、何もそんなにあわを食つてやる必要はない。二十九年度予算で、三月三十一日に成立すれば間に合う。手当はできないと言いますが、手当はできないかできるか。御承知のように、これだけの営農の二百二十億だつて、全部農民自体の預金でまかなう。政府がこれは二十九年度の予算の範囲で助成することがきまれば、全購連も中金もついておりますから、絶対やりますよ。その五億が来年のものになれば、大問題だと思います。当然ことしやつているものに助成して、たとえば北海道の打切られたものにも、若干何とかしてやるというふうな使い方だと私は了承しております。私は今そう聞いて、これはまつたく話が違うのじやないかと思います。よくお考え願いたい。これはおそらく冷害対策の問題をこれだけやつた農林委員会で、農林委員は、全部ことしの五億の交付分だ、こう考えております。その点はよくお考えを願いたいと思います。
  49. 金子與重郎

    金子委員長代理 それでは休憩いたします。午後は引続き一時半から開会いたします。     午後零時四十九分休憩      ――――◇―――――     午後二時十四分開議
  50. 井出一太郎

    井出委員長 休憩前に引続き会議を開きます。  質疑を続行いたします。金子與重郎君。
  51. 金子與重郎

    ○金子委員 先ほど冷害対策に対する予算配分というような問題が出て参りましたし、一方共済の問題が出ておつたのでありますが、その間におきます、政府が今までやりました経過をお聞きしでみますと、大体において、十月十五日現在の作報の収穫予想を一つは基礎にしておる。それから供出割当の数字を参考にする、こういうようなことが言われておるのでありますが、しかしその作報数字と、供出割当とは別な角度から出たのでなくて、供出の割当数字も一応作物報告事務所の作況を基礎にしておるとするならば、結局件報の収穫予想が中心だということになるのであります。そこで全国的に問題を起しておりますのは、作物報告事務所の報告が、一方行政的な立場にある人たちはそれが非常に辛い、実際よりも非常に上まわつておるというようなこと、これはいつもあることでありますので、今度ことさらに新しく言われたものではないけれども、今度の冷害の特色として一つ違うことは、冷害の特徴として一つの収穫予想が、爾後における結果が、その当時の分蘖であるとか、粒数であるとかいうようなものよりも、内容の充実度というものが一番収穫にものを言つておる。現にそれが証拠には、何回かの作物報告事務所の報告を見ますと、ある県によつてはしり上りをしているところもある、ある県によつては非常にしり下りになるところもある、こういうことが現にあるのであります。そういう点から行きますと、十月十五日現在の数字というものをあまり中心にしますと、これは非常に問題が起る。でありますから、十一月一日の数字も大体もう集つておるのじやないか。とするならば、残された資金の半分、もう一つは二割強はあると思いますが、その他の調整のために配分し切れないでおるところの金に対しては、今までの数字でなく、最近のできるだけ新しい数字というものを相当強く参考にして、第一次の配分というものを補正しなければならぬと考えますが、それについてまず小倉さんの御意見を伺いたいと思います。
  52. 小倉武一

    小倉説明員 私ども関係で申しますと、御指摘営農資金関係、共済基金支払いの関係などがございますが、これはお話の通り。その後実収がだんだん判明して参りますれば、間に合う限り、できるだけ最近の資料でもつて手直しをして行くことで了承していただきたいと思います。営農資金は今お話の通り、半分ぐらいでございますから、あと半分相当の金額かと存じますが、手当はできるかと思います。なお共済関係におきましては、政府といたしましては、共済金支払いの適正を期する点についての関係もございますが、この点につきましても御指摘のような、ただいまのところまでは主として十月十五日現在の作況で処理して参つたのであります。しかしながらこれはその後の事情で、何らかの方法府県行政をする者として把握できる範囲内においては、新しい資料を審査の基礎にして参りたいと考えております。
  53. 金子與重郎

    ○金子委員 総合開発はどのくらい残つておりますか。
  54. 大山一生

    大山説明員 大体救農土木関係で申し上げますと、二割弱であります。
  55. 金子與重郎

    ○金子委員 それで今の関係をどう考えますか。
  56. 大山一生

    大山説明員 実収高調査等によつて判明いたしました際には、先ほど申し上げましたように補正いたしたいと考えます。
  57. 金子與重郎

    ○金子委員 そこで伺いますが、安田さんの方で、最近ということで一方年度内にこの割振りを完成するという時間的な要求もあります。それからまたあなたの方で実収高に最も近い数字といいますか、最近のものは一体いつを現在にして出しているか、それがどうまとまつて今の経済局なりあるいは総合開発の方に基礎数字として出し得るという見通しと、その状態はどういうふうな考え方になつているか。
  58. 安田善一郎

    ○安田説明員 私どもの方の農作物調査は米を中心にしてやつておりますが、その他の夏作及び冬作――今回の場合は夏作がおもでありますが、例年半年くらい前から重しまして、調査時期と公表時期をきめて、全組織の計画的な仕事をできるだけ能率的にやらせるようにしておりますが、金子先生から今御質問がありました点につきまして申し上げますと、稲、米の調査といたしましては、いわゆる予想収穫高調査を十月十五日現在調査にいたしまして、月末ないしはそれに接着した時期に決定、公表をいたします。次は推定実収高調査といたしまして、所定の上から申しますと、年末に審査決定、公表することになつておるのでございます。これは例年のことでございますが、北海道から鹿児島に至りますまでの稲のいろいろ成育収穫状況が異なりますものを、四十六都道府県全部審査いたしまして、米の生産高統計といたしましては、私どもの方といたしまして、一番確実で最終的な調査というものをねらうために、統計的な要請に沿うようにと思つて、そうきめてあるのが沿革でございます。おのずから北の方は早く農家も収穫されまして、私どもの方の事務所、出張所の坪刈り調査をいたします作業も早くて、九州の方へ行くに応じまして遅く出て参るわけであります。また立地条件が似たような所、品種が似たような所、あるいは各行政区画で接着したというものに応じましてそれぞれとりまとめて、一つの試案を、ほぼ最終統計に近いのでありますが、まとめてみたらどうかというお話になりますと、その現地の調査データが本省へ上つて来るに応じまして、それぞれのとりまとめ方はできるかと、私は想をこらして考えるつもりでありますが、今までやつたことはございません。そういうことに今はなつております。
  59. 金子與重郎

    ○金子委員 そこで今度のは、例年の全国的な収穫統計というものを出すということは本来の仕事でありますが、一つの臨時のできごととして生まれた災害に対しては、一道一部十九県というような形のものであつて、大体において比較的環境を同じうする地帯の二十都県ばかりの問題でありますので、これを最近の、というと十一月に入つてからの問題ですが、その実収高の予想になりますか、調査になりますか、それを一体その災害府県の均衡をとるという意味において、本来の統計というものとまた別な立場においてまとめるということにしたならば、一体いつまとまりますか。
  60. 安田善一郎

    ○安田説明員 今お尋ねになりましたことに即しまして申し上げますと、二十一道都県は関東東山から東北の方でございます。関東で申し上げますと、出張所の現場で坪刈りいたしまして、これを乾燥調整して、ことに本年は先ほど御指摘がありましたように、成育度合のほか、稔実度合、その米が玄米になるかならぬか、くずではないか、茶米その他のものではないか、青米ではないかというところが非常に問題でありますので、電燈を通して透視器を使うというようなことも実は本年から試験的にやつておりますが、その乾燥調整後重量はかり、その他のことが本所のところで――県にたまりがあります、大体県庁の所在地でありますが、そこの事務所の本所のところで今整理されておる過程でございます。私どもの本省の方にはまだ上つて来ておりません。先ほど十一月一日の調査ということのお話が出ましたが、ほぼ月に一回ずつ統計的調査全国的にまとめる以外にその作況は上に向いておるか下に向いておるかというような、数字的でないものを、本省、事務所の間に業務作業として簡単にやつておりますが、それのことかと思いますが、数字的なのが上つてつておりません。そこでその状況から判断いたしますと、ことしは特に稔実に念を入れてやつておりました点と、作柄が遅れておりましたこととの関係からいたしまして、よほど努力いたしましても十二月十五日ちよつと過ぎるのではないかという気がいたします。例年は、これは西日本を入れますので二十五日までには部内の計数整理を終りまして、年内に公表するようになつております。
  61. 金子與重郎

    ○金子委員 最近の比較的確実なる数字を得ようとすれば、今統計の方からのお話では、十二月十五日をあるいは過ぎやせぬかということになりますが、融資の問題は来年五月までのことであるし、一応年末にあれだけ割つてありますから、それでも間に合うじやないかと思います。救農土木その他の事業関係の二割の残されたのはその後で割つて間に合いますが、それでいいと思いますか。
  62. 大山一生

    大山説明員 お答えいたします。リザーヴいたしました分につきましては、その一部は先ほどもちよつと触れましたように冷害地帯に当然接続している部分、こういうところの分がございます。それから補正分につきましては、一応われわれの方といたしましては十二月末中に出したいというようなつもりでおります。ただ第一次配分といたしましたのは大体雪の多い地帯でありまして、遅くなればなるほど事業にさしさわるという関係もございますので、さしあたつて出したという関係でございます。
  63. 金子與重郎

    ○金子委員 それではきようお約束できると思いますが、統計の関係ではできるだけ督促しまして、十五日の期日をモツトーに急がしていただきたい。それからあとの割当に対しては、最後の収穫予想というものをあくまで大きく重点に置きませんと、これは途中の仮定の数字をもつてやりますと、農村の実態にそぐわないということになりますから、その点を十分留意して、また努力していただきたいと思います。  それからその次の問題で、食糧庁長官いないようですからあとで答弁してもらえばいいですが、これは安田さんに先にお願いしますが、あなたの方の調査の方式といたしまして、国全体で収穫の全量をいかにしてつかむかということが、統計の考え方の基礎的な一つの要素でありますので、そこで坪当りの収穫量というものを厳正な意味において予想あるいは実収高を見るということ、それに対しては一つのサンプリングの方針をとつてつておられるわけです。もちろん労力の範囲内でそうするほかないということはわかるが、もう一つは、それに面積を乗じて行く場合に、今の土地台帳の面積というものが実際の面積に合つておらない。従つて一つのサンプルをとりまして、その地帯がはたして土地台帳面積よりもふえているか減つているかということをあなたの方で御調査なつておられる。それは実収高というものを調査する方法として、私は一応是認しますけれども、それならばそれと供出の割当数字というものを全然関連を持たせないならよろしいが、それと供出の割当数字というものを関連を持たせて行くということになると、反収の問題については一応ある線が――農民の方が二石五斗とれたというのを、あるいは作報が二布八斗だ、こういう数字が出ても、そこに解決の道はあるのですが、面積が何百町歩、この分は多いということをあなたの方で調査になる。現在ではそれを即供出の中に織入れている。そうするとあなたの方では、何のたれべえの面積が三%なら三%延びているということを一体だれが立証するかということなんです。だれも立証できない。立証できなければ末端において割当てるときに、反収の点で、一つの妥協はついても、その実際の面積よりも面積がふえているというものに対する責任、これは一体どうやつて割るか。国が県に割り、県が郡に割るというところまではできるけれども、今度はそろそろ町村から、ことに末端の個人に割るときに、あなたは土地台帳で八反五畝つくつている。しかし私の郡は平均して五%延びているのだからあなたのところのたんぼは五%もつとふえているはずだ。こういうことを言つても本人は承知しないし、それを立証する者もないということになる。だからして供出割当のときに、あなたの方で歩延びの問題を――それはあなたの方で参考にしたのではなくて食糧庁で参考にしたのだと言われればそれまでですが、しかしこれの矛盾というものは解決できぬ矛盾だと思いますが、あなたはどう考えますか。
  64. 安田善一郎

    ○安田説明員 先ほどの点本日お約束をしようというお話のところをまず申し上げますと、私ども特に私は、農業統計はなるべくよく利用さるべし、こう思つて努めておりますので、農林省の各局の行政、特にただいまお話がありました災害関係の救農土木費でも、共済の支払でも、供出割当でも融資でも、それ全部が御承知の通り統計調査部の数字で扱われているわけではありませんが、その中の一つの有力なる支柱としまして利用されるようにと念願をいたしております。その意味で、時期的に統計上の原則も使いようによつては破つて利用度を増すべし、こういう場合がありますと、統計の精神を失わない限りは、先ほどお話もありましたように正確なる、私の方のできる範囲で一番正確なる数字が出る一歩前でも、そのようなお含みが利用者側にありまして、また世間一般にありましで、十二月末にきちんと出したときと少しは違うのじやないか、しかし少しくらいのことはわかつでやるというお話がございましたならば、その一県だけということは統計上はむずかしいと思いますが、数県あるいは数十県を含めたあるブロツクという場合には、十二月中旬をモツトーに最も早い時期に非公表で農林省の各局に使つていただくようにしてもいいのじやないか、こういうふうに思う次第でございます。そのようでありましたならば、できるだけの努力をいたします。  次の問題でございますが、御理解のありますように、私どもは日本の農地の生産力の上において、毎年米なら米がどれだけ土壌において生産されたかということをつかんで、食糧輸入なり食糧増産、農業経営なりについても、むろんその他各種対策に役立つような統計を農業生産統計としてつくつているのであります。従つて利用面におきましては、供出割当にいろいろ加工して使われた場合もある。悪い意味の加工ではありませんが、使うような用途としていろいろ利用法を考えて使う場合もあり、共済、冷害融資、種子の手配その他にも使われているわけであります。ごく最近特に利用をよくしてくださるようになつていると思います。そこでその中の生産高統計の中に面積調査と収量調査とあるではないか、その収量調査は労力経費等の関係もあつてサンプリングでやつているじやないか、面積もまたサンプリングをやつているじやないか、そのサンプリングでなわ延びあるいはなわ縮み等を出して、土地台帳とは違つたないしは農家が自分でそうだと思つていらつしやる面積とは違つた面積を、数字的統計的にそれができても、供出という制度から来る県、郡、市町村部落農家というように細かく割つて行つた場合に、確認がつかぬからそれはどうやつているかという御質問だつたと思いますが、違うでしようか。
  65. 金子與重郎

    ○金子委員 それでいい。
  66. 安田善一郎

    ○安田説明員 この点におきましては第一にお答え申し上げたいことは、サンプリングという方法は、推計学の理論から一応それでやろうということでやつております方法でありまして、標本にとりましたその標本を、実際に面積ならば平板の測量と作付率を調べる作付の調査とをやり、収量の調査ならば、推定実収高から見ますと重さをはかるわけですけれども、予想収穫高だとそれ以前の成育状況を調べるわけでありますか、そのサンプルとして当つた所だけをそのサンプルが現わすということをいたしませんで、予算、労力の許す範囲内で相当数を集めましたら、そのサンプルを集めた広い一定の地域内では収量はどのくらいの収量を示し、面積はどのくらいの面積を示すかを示す方法である。サンプルに当つたその場所だけを調べるためのものではないので、むしろ例をとりまして例から推計した――その例にとつたのを母集団と申しておりますが、簡単に申しますと郡とか市町村とか二町歩単位とかいうところのそういうもつと広い地域のものをどう推計したらいいかというものであります。従いまして収量でも面積でも全筆を度量衡で測量いたします場合とは違いますので、サンプルの数が何万とありますと、その何万で国の統計ができまして、そのうち県単位でありますと県の統計ができまして、県内にあるサンプル数をとりますと郡の統計ができ、市町村内のサンプルを集めまして推計しますと、市町村の統計ができるわけであります。そこでサンプルは多ければ多いほど正確さが多い統計ができるというそういう調査でございまするので、ほぼ目下のところ正確度では収量でも面積でも、郡単位の統計の利用度まではいいのではないか。しかし市町村単位になると、術語ではバイヤスと言つておりますが、誤差率がもつと多いことも、あり、少いこともあるという率が、かなり高いものもあると思つておるのであります。  もう一つの難点は、利用される側において、たとえばそれが供出行政といたしますと、その行政が県、郡、市町村部落農家、こういうふうに出て参りますと、その収量なり面積なりの所在がどこにあるかを明確にしない点は御指摘通りであります。そこで私どもは供出割当にあたりましては、区域が大きくなるほど正確度を増しますから、県への割当に対しましては相当の自信をもつて利用してくださつてもよろしい。しかし供出で例をとりますと、県への割当は各郡に細分されて割当てられて、郡への割当は市町村農家とおのおのさらに細分されて割当てられますので、この利用にあたりましては、一つの幅と申しますか、きちんとその数字が公平かつ実数的に割当てられると思わないで、ある幅を持つてもらいたい。同時に作付面積は川の堤塘の場合も非供出農家、飯米農家の面積をも、開拓地の農家の面積をも私どもは普通含んでおりますので、それを引いて、そしてなわ延び率は、土地については東北の方と近畿の方と関東、九州と非常に違いますが、そのおのおのの率では全部出し切つて割当に使つてもらうのは適当ではない、こういうことを申し上げましてそれらの要素を引いたものを一つの食糧庁、農林省側としての腹組みにお願いをいたしておるのであります。それに対しまして府県庁、各農業委員は、土地台帳あるいは農家申告、その他の調査と申しますか、資料によりましてお話合いをなさいましてそして食糧需給上、供出ないしは超過供出集荷をお願いしたいという側と、これだけは割当によつて集荷することができる、その上は期待量によつて集荷してみたい、こういうお話をせられましてそして府県側、農業委員側は県内をまた細分して、先ほど私が申し上げましたように割当てることを、過去数年の経験、その年の条件、あるいは米価その他の関係等をにらみ合わされまして両者がそれではこれでやつてみようというところを供出義務量、あるいは可能目標量、こういうふうにしてお話し合うように、従つて供出行政上は農作物調査も、その中の面積でも収量でも、そういうふうに利用するという建前においてお願いいたしておるわけであります。
  67. 金子與重郎

    ○金子委員 今の陣容で、今の予算で統計調査をするとすれば、面積調査においても収量調査においても、サンプリング制度のシステムをとるほかはないということを私どもも認めておる。それでサンプリングで行くということになると、その絶対地積が広いほど正確に近くなるし、末端に行けば正確に近いどころじやない、末端に行けばないんだから正確度というものはゼロです。一筆限りになつたときは正確度はゼロになります。そういう統計をもつて割当の基礎にあててもらいたくない。なるべくそれを応用してもらいたいというけれども、現実には国が県に参りますと郡におろす。町村におろすときには、必ず面積の誤差の分が、収獲量が幾らあるはずだということを現に私どもおろしております。今年一番問題になつておるのはそれです。だから収量の問題につきましては、一応その村が坪刈りの結果そのくらいの収量があつたというので納得できるのです。だけれども歩延びの問題につきましては、一つの村へ行きましても、ある部落には歩延びのところもあるし、全然ない部落もある。ことに一つの水田のごときをごらんなさい、あなたは御存じかどうか知らぬが、旧水田というものは、要するに明治九年の改正当時のものは畦畔を除いて純粋につくられておるところだけをやつておる。ことに昔の土地台帳というものを見ると、根深い石が何坪ある、冷水が何坪あるというので、根深石、冷水路まで除いて純粋につくられておるところをやつた。ところが明治の末期から地目変換等によつてできた水田というものは、今度は畦畔を含んでおります。いわんや中にある水路も小水路もたとえば故障物も全部含んでの面積、同じ部落で同じ並んでおつても、その土地の事情によつて非常に面積の違いがあるんだから、全体の統計を出すときに、そういうふうなものを一応サンプルとして選び出して、比較的全体の数字を近く見るということに対しては納得するのでありますけれども、それが供出の割当になつて来て、今度は町村に、お前の分は五%延びがあるはずだ、こういうことで割当に含まれて来る。そうすると町村が個人に割るときに、一体だれの面積に振り向けられるか。それならばお前の面積は、甲なら甲、乙なら乙というものは五%延びておるということをだれが保証づけるか、これは一々実測せぬことにほ保証はつかない。こういうふうなことが供出関係とあなたの方の数字との一番の末端の悩みであります。あなたの方があまり苦にならないことは、国と県の間に立つておるからあまり悩みにならない。それを非常に悩んで痛手を受けておるのは、末端の町村の個人に割当てる段階において一番悩みがあるわけです。それから今あなたのおつしやつたことは、これは考え直してもらわなければいかぬことです。今の供出制度というものは、一応それらのものを参考にして、供出する側と供出を要請する側と話合いの上でやつていただきたいというような話でありますけれども、役所の人は始終そう言う。しかしこんなばかなことがありますか。話し合えば損になることをだれが話し合いますか。義務供出の場合と超過供出の場合で一石で二千七百円も違うんですよ。この前は三千円も違つた。そして村長が十石少く引受けたならば、その村に収入がその十倍、二万円の金がだまつてころがり込む、そんなことはわかり切つているのに、だれが話合いの上で相談ましようか。今の町村長の立場だつて県の立場だつて、そういうふうになるべく供出割当を受けない方が得だという制度が立つておる以上は、これは忠実なる村長、忠実なる県知事というものは、供出量をできるだけ減すということをやるのが当然です。今の制度をそういうふうにこしらえてあるから……。その中でうまいように話合つてくれといつて、うまいように話合うということがそろばん上に影響しないならいいが、それが即村民、県民の経済に影響するとすれば、それをうまいぐあいに話合うということは、よほど無責任な代表者でなければそういうことはやり得ないことなんです。だからその後段の今の安田さんのお話というものは、それはだめです。そんなばかなことを言つたら、それは一つの空論でしかない。実際問題じやない。だからそういうことは承認できない話です。問題は供出のときに歩延びというものをはつきり出して、これだけの収穫があるのだからと言うけれども、あれは一体皆さん方が村の実行組合長さんなり、農業委員なつて個人に割当てるときに、お前のところのたんぼは――私は勢多郡ですが、私の村なら私の村で、お前のところは五%の歩延びがあるから、それだけはとつているからそれを割当てると言つても、はたしてお前のたんぼは歩延びがあるということをだれが立証するか。そういうときには、割当をどうしたらいいかということに対して矛盾があると思います。矛盾があると思いますか、ないと思いますか、これは長官もおいでになつたから、ひとつ長官あなたのお考えを承りたい。あなたが村の役員になつて割当てるときに、どうやつて割当てるか。
  68. 前谷重夫

    ○前谷説明員 ただいまの金子委員のお話は、われわれが供出の具体的な折衝をする場合、一番問題になる点であります。県全体としての収穫と、それから町村あるいは個々の農家の収穫というものとの間に――県全体の収量を個々に振り当てる場合にどうなるかというと、これは、末端の個人々々の収量から積み上げたものではありませんから、その間に考え方なり見方の違いというものが当然あるわけです。従いまして、われわれといたしましては、やはり供出を考えます場合には、県全体の収量というものを考えて行かなければならぬことはもちろんでありますが、現実に個々の末端に供出を割当てるときにどうするか。大体御承知のように、県におきましては、その町村におきまする大体上田、下田の一つのグループがございまして、そうしてこの作況の場合においては、この程度の割当が可能であろうという、県としての一つの立場があるわけであります。そういう点をいろいろ話合いまして、割当を進めて行つたわけでありますが、御指摘のように、最後に至りまするとそういう矛盾に逢着することがあり得るわけでございます。ここのところは、数字で割切つたような形には結局参らないで、お互いに実情を話合つて、この程度で公平な割当ができるだろうというところでいたしまするから、結局、個人別の場合におきましてその個人別の数字を積み上げたものと、たとえば面積の場合に完全に一致するというわけには参らない。ただことしのような状態でございますと、大体県全体の供出可能量からいたしまして、そういう面積の点で従来持つている県自身の調査と、その後統計調査部等で毎年々々やつておりますので、大体この程度の面積は多く見てもさしつかえないだろうという一つの目安もあるわけでございます。そういう点もお互いに検討して、県の割当を進めて来ているわけでありますが、県が末端でやります場合においては、御指摘の点もあることは私も承知いたしておりますが、この点を算術的に完全に割切るということは非常にむずかしい。しかし現在の状態におきましては、それをある程度実際的には解決し得ているのじやないかというふうに考えております。
  69. 金子與重郎

    ○金子委員 それは食糧長官が末端の事情を知らないで、東京のまん中におるからそういうばかなことを言つている。そんなことができるものですか。毎年々々問題になつている。毎年々々問題になつていて、末端の役員がどれだけ苦労しているかわからない。その話が東京のまん中には来ないから、どうやらあれはあれでおさまつているのだというふうなことは無責任ですよ。そういう考え方は違います。要するに延びがあるとかないとかいうことは、人によつては、同じ村で、この村は平均三%延びているという村でも、逆に五%減つている人もあるのですよ。それでも農家の人は、何を対象にしてやつているかというと、税金を納めることもすべてのことも、一応台帳面積はおれのたんぼは何反何畝だという上に立つてつている。供出のときに限つて、お前のたんぼは延びているのだから、反何俵の割当てで幾ら、それから延びている分が幾らと言うても、これは了承できない。こういうふうな問題が出ているのですよ。ですから数量の問題につきましては、絶対量の問題を私は言つているのじやない。割当てるときに、中央からその数字が末端まで流れて行くから、末端に行くと矛盾ができて、毎年苦労しているから、これを改めるべきじやないか。だからして、一つの方法としては、県段階以下において延びは使うべきものじやない。ただ従来の総数量をつかんで行くという点において発表して行けば、ああいうふうな問題が起らないわけです。末端に行つて今度町村にわけるということになると、その延びの問題が必ず問、題になつて来る。そうしますと、反収が同じような村であつても、一方延びがあるといつた村は、逆に反収が一反幾らふえたという数字を割つて行かないと末端には割れないのですよ。それを話合いで話合えと言うけれども、今の割当てというものはあきないと同じようなもので、何も基礎的な数字はない。ただ片方はできるだけ少く受けた方がいい。片方はできるだけたくさん背負わした方が得だという、こういうことが、時間をかけたり、徹夜したり何回もやつて、しかたがないからここらでどうかということになる。別に公平だというわけでも何でもない。そういうふうなやり方で行きますと、末端の人は、非常に骨折つている。だから、末端の割当、少くとも郡以下の割当に対して、あの数字というものを出して割当の基礎に当つてるべきじやない。総数量をつかむときには、そういうことをやるのもやむを得ぬが、しかしその数字が割当の方式として、農業委員会等において、末端まで延び歩というものがついて行くような指導をしてはいかぬ。私はそう思うが、その点に対してどうですか。
  70. 安田善一郎

    ○安田説明員 私どものところは、原則は、金子先生の御指摘通りだと説明し、またお答えしてよいと思いますが、ただ全国約九千六百万、一億ちよつと切れますが、その筆につきましては、土地台帳を全部その通り写しまして、そして地目と変換を見まわりによつて訂正いたしまして、また御指摘のように畦畔が本地の中に入つている所と外になつている所と、地番が道路の反対にある所とそのままある所と、非常な差であります。それを土地台帳そのものでは、明治初年のものであまりひどいものですから、最近は農地改革のときに使いました農地台帳も新しく書きかえまして、そして訂正した上に、経費と人がありませんので、サンプリングで推計しておりますので、利用方法は金子先生のおつしやる通りだと思います。そのときになわ延びをまつたくなしにするかどうかといいますと、東北のある一部の中には、実は五九%もなわ延びがある所もありますので、まつたくなしで――古い地目までかわつている土地台帳、あるいは工場敷地や道路までできて非常にかわつておるところのものは、いかぬので、割当についてある程度参考にしていただきたい。そして県、郡、市町村とこういうふうに行く場合に、私どもの方だけでは、下の方に行くことによつて、先ほど申しましたように利用度は薄くなるから、そこで先生とお話が違いますところは、郡のところまではかなり強い意味で参考にしていただいたらどうか。しかしそれも面積ではなくして、生産量というものでしたらどうかという考えであるわけであります。しかしその際に割当行政をなさいますお方は、市町村長でも農業委員でもあるいは県庁でも、そんならばそれに何かよりどころを示してみたらどうか、こういうお話がありますので、十分とは申し上げかねる貧弱なものですが、今は市町村別は、もし必要ならばという意味で市町村資料、こういうものを出しておるのでありまして、長官もそのようだと思います。
  71. 金子與重郎

    ○金子委員 延びのあることも私は承知しておるし、国全体の一つの統計をとるときに、それで調査して行く、調査方法としてはサンプリングのシステムをとる、それが悪いというのじやない。それは了承しておる。それを末端の割当のときまで機械的に下げるような今のやり方だから、一番末端に行つて非常に困つておるじやないか。これに対して面積が確実にここが延びておるという立証ができるならよろしいが、そうでないならば、少くとも町村割当に入るときまでに、歩延びというものを、あなたの方は、こういうふうな調査によつてこれだけ面積がふえておる、しかしながら個々の割当のときには面積のふえておるということを一体だれに証明させるか、証明の方法がない、従つて面積の歩延びというものはこれ以下の段階においては使うべきでないということを指示して行かないと、あんたの方は県に背負わせつけてしまえば、あとはよかつた、どうやら割当が終えた。それであなたは涼しい顔をしておる。だから供出のときに末端が非常に悩んで来るということなんです。だからその点を中央におる人たちがよく理解して、また指導しなければいけない、こう思うのですが、どうですか。
  72. 前谷重夫

    ○前谷説明員 ただいま統計部長が申し上げたように、われわれといたしましては、全体といたしまして県間のバランスをとる。これは全国的に同じ方法でもつて調査して収量見込みをつかむが、われわれ折衝にあたりましても各県それぞれ調査方法が違います。従つてその収量に対する見方も違うわけでございますから、従つて各県間の均衡と申しますか、一つの同じレベルでもつて交渉をいたします場合には、同じ方法によつて調査されました収量をつかまえて、各県と折衝するということが、各県間の均衡をとる意味において私は必要じやないかと思つております。ただその収量をもちまして、どういうふうに、今度は各県におきましてこれを押えて行くかという問題、収量は、もちろん御承知のように反収と面積との関係でございますから、それの総和でございまするが、われわれといたしましては、具体的にはただいま御指摘のような点もございまするので、やはりお話のように、総生産量というものを中心に各県と話合つておるわけであります。それを具体的に各県におきましておるしまする場合におきましては、金子委員も御承知のように、割当につきましては、各県ともに長い年代と申しますか、終戦以来相当の時間もたちまして、各県の方式というものがそれぞれあるわけでございます。そこでその方法に従いまして総収量をどういうふうに按分して行くかということで画一的に反収はこう、面積がこうだ、これでやるというやり方よりも、各県がそれぞれ従来の実績を積み上げまして、また各県が公平と認めるような方法によつて調査いたしましたものを尺度にいたしまして、その総数量との関係においてそれを末端におろして行くことが最も公平に行くのじやなかろうか、画一的に各府県にこういうふうにやるということも一つの考え方かと思いますが、そこは現状のような状態でありますので、むしろ各県の押えたやり方各県の実情に応じて末端に公平に行くというやり方に信頼した方がいいのじやないか、かように考えておるわけでありますが、御指摘の点は確かにわれわれといたしましても十分承知いたしておるわけであります。
  73. 綱島正興

    ○綱島委員 関連してちよつと一、二点お伺いしたい。今のなわ延びの点ですが、私はなわ延びというものがどうしてあつたかということがどうしてもふに落ちないのです。例の長束正家が地検をしたときに、一反歩三百六十歩を三百歩に改めた。これは歴史上はつきりしておる。そこで長束正家が天正の地検をしたときに正量をしなかつた地域が幾分なわ延びがあるだろうと思われる点もある。ところがなわ入れ帳を明治六年につくりましたときに大体直つていそうだと思えるのですが、今でもなわ延びが非常にあるといい、ことに私が関係した部分では、長崎県では三万町歩で約四千町歩、大体一割のなわ延びがある。これがぼくにはどうしても解せないのですが、あなたが今まで統計をやつておられて、全国から見てどういう部面になわ延びがあつて、その原因はおもにどういうところから来ておるか、そういう点をひとつ御説明願いたい。
  74. 安田善一郎

    ○安田説明員 きようは、そういう問題で一番研究家の経済局長が実はおりますので、私は統計調査部の統計屋としての経験だけを申し上げます。綱島先生がおつしやいました土地については私も詳しく存じません。従つてそういう意味では、その土地について実際測量したり、その歴史を調べたりしたことがないので、本省の私の役目としては、どうしてそのくらいなわ延びがあるかわからないのであります。ところがサスプリング調査の結果では――全筆を全部実測したことじやありませんが、そういうキンプリング調査の結果では、それだけなわ延びが出ておる、こういうことであります。しかしそれだけではあまりに話にならぬということを想像じまして敷衍をいたしますと、なわ延びというのは、土地台帳に対する実際の測量地との数字の差で品あります。しからば土地台帳はどうなつていたかと申しますと、明治維新がありまして、その後地租改正に伴つて測量をせられたものでありますが、それもたしか明治六年から十年近くかかつて完成しておらないのであります。その実態は、土地、税あるいはそのときにおける測量の仕方に伴う仕組みは、平易に申しまして旧藩の実態をかなりたくさん持つておつたということであります。あるところでは一間を五尺でとつたところもあり、あるところは一間を七尺でとつたところもあります。多くは一間を六尺でとつておる。また先ほど金子委員からのお話の畦畔とか小水路を外に出したり内へ入れたりして非常にまちまちであります。その後熟田あるいは年数を経た耕地になりますと、何となく耕地が拡張して行きまして実際に作付をするところなど、また災害が途中でありましたりして変化がありましたものなどいろいろございます。北海道は非常にはつきりいたしませんので一応別にいたしますが、東北から関東にかけましては、いわば当時は開拓地ないしは開拓地に近い所、開拓の余地の多い所、こんなこともありまして、その土地の開発の度合い、旧藩のゆたかであつたかどうか、尺度の場合、地租を強くとつたものかどうかの度合い、それらの条件がかわりまして、さらに筆別に至りますと、これは個人的な地主その他の関係がありまして、非常にかわつておる。そういうふうに理解いたしております。
  75. 綱島正興

    ○綱島委員 もし統計で大体わかつておれば、地方的にはやはり東北、関東が延びが多いですか。地方的のあらましのことでいいのですが……。
  76. 安田善一郎

    ○安田説明員 地区別に申し上げますとその通りでございますが、近畿、中国、四国の方へ行きますと、測量した結果の方が縮んでおるところもたくさんあります。供出のときに指摘されるのは、縮んでおる方は実は申されないわけでありますが、ひどいところは宮城、千葉、愛知、岡山あたりだと思います。
  77. 中澤茂一

    中澤委員 一つだけ安田さんにお伺いいたします。北海道はあまり当てにならぬというのですが、あなたは参考に使つてくれればいいのだと言われるのですけれども、事実はあなたのところの統計がすべでの基準になつているのです。ただ単に参考に使つているわけじやないのです。そこで北海道の名寄町で農業委員会が一筆ずつ全部測量したものと、それからお宅の方から送つて来たのですが、お宅の方から出した反別との食い違いは、一筆ずつ実測して、農業委員会が出したものが一千町三反なんです。ところがお宅の方が基礎資料で使つておるものは、千百四十四町八反歩というものを基礎に使つておる。これはあなたの方から全部送つてよこしたのです。そうすると百四十四町五反という、要するに一つの町だけでこれだけの食い違いがある。ところが実際供出の割当になると、この数字を基礎にしてやつているのです。さつき総生産量で反別数字はあまり重きを置かぬとおつしやつているが、事実この数字を基礎にしてやつているのだかう、年中農業委員会作報の方とけんかしておる。だから、あなたは参考にだけ使つてくれればいいというのですけれども、参考だけじやない。末端に行くと、そこに非常に問題がある。それからサンプル調査でもそうなんです。たとえば大きくなればなるほど正確度が多いういうけれども、ことしのような凶作のときは疑問だと思う。それは旭川のあなたの方の管内では、九千六百五十一町歩ある。ここで何箇所サンプル調査をやつておるかというと、百六箇所やつておる。そうすると九十一町歩に一箇所になる。ところが旭川管内は、村ごとにこまかになるたけ数多くの冷害視察をして歩いたのですが、九十一町歩はおろか、もう五町歩か十町歩まとまつてひどいところは全然だめだという所がある。こういうものを基礎にしてやつても、これは私は全然正確性を疑うのです。そういうような九十一町歩に一箇所、これは平年のときだつたらあらゆる程度の正確度はあるかもしらぬが、ことしのような場合には全然当てはまらないと思う。そういうことについて、私はむしろ名寄町の場合なんか、ことしは凶作だから非常に供出がもめるからというので、農業委員会では全部一筆ごとに実測した。だから千町三反というものは正確だと思う。そういうふうな誤差が今なわ延びの問題から出ているのです。だからあなたの方で参考に使つてもらえばけつこうだというものが、実際末端へ行くと、これが基礎になつて割当問題になつておるのだから、そこに大きな問題があると思う。それについてあなたのお考えをひとつ聞かしてもらいたい。
  78. 安田善一郎

    ○安田説明員 供出の方の話に関連を持たざるを得ないし、お話もそういうことだと思いますので、私から全部申し上げるのは適当でないと思いますが、一部供出に触れましてお答え申し上げます。私が北海道は当てにならぬのだと申しましたのは、必ずしもそのように申しませんでした。北海道では土地台帳というものが府県並のようにできていないと思いますということの意味で申し上げました。言葉が悪かつたら訂正を申し上げます。そこで非常に実は統計調査事務所でも苦労をいたしておりますが、名寄町というのは私は正確に知りません。しかし北海道の一つの町あるいは村ということについて申しますと、先ほど金子委員に対して申し上げましたように、統計のことは非常に専門的になりまして、私の説明力が悪くて失礼いたしますが、町あるいは村という単位では、同じ調査のもう少し多いかもしらぬし、もう少し少いかもしらぬという幅が大きくなるということを申し上げておるのでありまして、あるいはそのうちで何反歩ないし何反歩と統計を出すわけに行きませんので、出しておりますが、町村段階では統計として何町何反歩としては出しておりません。これは資料として、もし割当上その他に参考にしてくださるならば、郡以上の推計をいたしておるところですから、必要だということでお申出あれば喜んでお出ししますとしているわけです。それを供出割当に作付面積そのものとして使うのもどうかと思いますが、生産量というべきですけれども、そういう意味で出しております。そこで一筆調査、言いかえますと、村の全筆調査ほんとうに平盤測量程度で実測されましたものならば、私の方の統計はそれでかえるべきだと思います。そういうところは、調査方法をどうされたか、その他調査時期とか伺いまして、それならばそれの方がいいですから、そういうふうに私の方はするつもりでおります。
  79. 金子與重郎

    ○金子委員 先ほど同僚委員関連にもあつたように、面積問題は、食糧庁長官は、末端にはそういうことを要請しておるわけではない、県は県としてまかしておるのだというけれども、あなたの方から行く基礎数字がそうなつておるから、特に注意しない限りは、末端に行けば必ずそういうことになる。それが末端に行つたときに、あなたが町村の農業委員会長であり町村長であつたときに、そのものを二つ合して反収が幾ら、そして延びが幾らあるということを引受けて行つて、一体うちに行つてどうやつて割るか、割れないでしよう。割れつこない。個人個人に延びがあるということは証明できないでしよう。村ではそうだといつても、これは絶対に承認しない。ですから今後割当に行くときには、特に延びというもりに対しては、全体の生産あるいは各県々々の最大限度、郡と郡の公平をとるための一つの方法でしかない。従つてこれは町村割当のときに、数字を出して行くようなことをしない方が適当だということの指導をやるために、末端の個々の人に供出を割当てて、供出に努力するのはそこから発しておる。知事農協というものは、ただ割当ててしまえばあとはへつちやらなんですが、末端の人はそれからが問題なんです。その苦労をこの際新しく御認識になつて、そうしてお考えくださることをお願いしておきます。  それから安田さんにお願いしますが、あなたは統計の専門的な専門的なというけれども、統計だつて専門だつて、別に天くだりの、人類社会から離れたことをやつているのではない。統計というものは、ただ現実に合せるのに、限られた手間と予算で、どうすれば比較的正確な数字が出るかという、そのやり方としてのシステムが統計の学問であり、それをやつているのであつて、現実から離れて何もむずかしいことをやるのじやない。そんなむずかしいことをやらないで、もつと確実な数字が出れば一番いい方法なんです。そこで私はこの前もちよつと申し上げたのですが、この際統計のやり方をちよつと考え直してみたらどうか、もつとくふうを盛つたらどうか。というのは、あなたの方では、統計の数字というものが政治的な、政策的なものによつて動かされることは、統計の価値がなくなるということに重きを置かれておる。その点は私は賛成だ、賛成だけれども、さればといつて今の統計の職員とあの予算だけで、この範囲が最大だというような考え方を持つてはいけない統計に携わつている人数が幾人ありますか。農業統計なら農業統計に携わつている人たちも、町村長もそれを考え、県もそれを考え、幾つもの機関がそういうことをやつておることは、これは大きなむだであります。でありますから、あなたの方の統計というものが、実際にあなたの職員でなくとも、その町村にもいろいろな組織があります。そういうものともつと力を合わせて、正しい数字を出すことに努力したらどうか。かりに一つの例といたしましてサンプルをとるときでも、あなたの方では何十筆か何百筆かに対して一つのサンプルをとる。それ以上予算がないからとれない、手間がないからとれない。こうおつしやるけれども、そうでなくて、今度の冷害地などを私ども調査すると、あなたの方の統計の調査よりも、部落の人たちはもつと真剣に一筆ごとの調査をやつておる。これは個人の立場ではなく、またそれは国やあるいは郡に出すときは、それをある程度まで政治的な割もかけましようけれども、少くとも実態を調査するときには、割はかけておらない。だからして一つの方法とすれば、部落なら部落の職員が一つの村に行つて、全面積の一筆ごとの調査をしてみたところで、それは数日にしてできるのであります。そうしますとそこへあなたの方が立ち会つて、今度はその調査した調査の台帳の中から抽籤でサンプルをとつて、そのサンプルによつて実際をまた見る。それが部落によつて甘さからさがあるからして、そのときに初めてそれを総数へ率をかけて、村全体の、部落部落の総数をはかる。村においても郡においても、その基礎を実際に全面積をはかつて調査して、その中からサンプルをとつてやるということにすれば、少くとも今のサンプルよりも正確であり、またそれを末端で実際に供出に使つても、何に使つても納得させる上にも非常に効果がある。それがいいとは言いません。そういうふうにものの考え方というものがあるのだ。あなたの方でやつているシステムが最上のものではないのだ。もつと進歩的に考えたらどうか。自分の予算と自分の人間だけでやれるのが最上だということではなくて、もつと世の中に機関があるのだから、その機関と提携し、しかも出た数字が政治的に動かされない方法はどうしたらいいかということをもつと考えてみたらどうかということを、私はこの際一つ頼む。統計のとり方というものは大切であるがゆえに、私はそういうのであります。  それからもう一つは、現段階でやつている統計調査のやり方で、あなたが専門的だとか、むずかしいということではなしに、そういう結果がなぜに出るかということを農民の方々や、あるいは少くとも指導者の方々に、こういうふうにやつてみたところがこういうふうな結果が出ておりますということを、もつとあらゆる機会に公表どころか、むしろ積極的な啓蒙さえもしなければいけない。そうでないからして統計というものが非常に不評判になる。何かお目付役か何かのようにしていつも統計の問題が目のかたきになつて来るというのは当局の不徳のいたすところだと思うのです。統計の調査の人たちにそれだけの熱意がない。しかももつと広く言いますと、あなた方の方の統計は供出の問題のときだけでなく、一つ村の経済にも重大な影響を持つ貴重な資料があり、農家経営の上にも、あるいは税務対策の上にも十分りつぱな資料を持つている。それを黙つて抱えて、戦争中のやり方と同じようにして、それを公開したり、それによつて農村の指導的立場に立つて行こうということがないからして、ほんとうに今は統計の貴重な資料というものが死んでしまつている。あれは国の農政の基礎になるだけでなく、それを一つ一つ切り離すならば、これが農家経営の一つの基礎数字にもなりましようし、またある数字町村の村づくりの上にも貴重な数字になりましようし、ある場合には税務対策の上にも貴重な数字になるんです。それだけの数字を持つておりながら、何か統計というものは別箇な問題だというような考えで、高いところにいて、供出のときとんでもない数字を出して百姓をいじめるだけにしか役に立たない。こういうことだから全国どこを歩いても怨嗟の的になつている。これだけ貴重な仕事を貴重な公費を使つて怨嗟さの的になるということは、政治として愚なことであります。でありますから、統計についてはもつと大きく考え方を直してもらいたい、こういうことをこの際申し上げて、おきます。
  80. 安田善一郎

    ○安田説明員 金子先生の御指導的意見のことは私はちつとも反対でありません。私自身もそう思つておりますが、また努力の不十分なのと、末端の人に接触する場合、あるいは統計というものを理解していただく場合などにおいて十分でないところがたくさんあるとおもいます。それはせつかく努力したいと思いますが、先ほど私はむずかしいと申し上げましたのは、統計学というものは統計行政をやる場合の応用範囲が非常に狭いものでありまして、ただ私の説明力が下手だ、こういうふうに申し上げたつもりであります。ただ実質的だと私がお聞きいたしました他の機関、村の方その他のいろいろな方と連繋し合つて、そしてその方々の調査と協力して、統合して、その中をサンプルにとつたり何かして検証して、より正しいかもしれぬという比較的正しいところへ修正するような実測をしたらどうか、あるいは推定をしたらどうかという話でありまして、私もかねてそう思つておるのであります。しかしこれは統計がどうとおつしやいましたが、逆に社会経済や政策や行政やのせいで、統計そのものをまつすぐとつている場合に、円滑に行かない場合も多々あると考えられるわけでありまして、やはりそういう一つの時期とか情勢とかいうことと合せての問題ではないかと思うのであります。一度一部においてその方法を応用したことがございますが、うまく行きませんでした。申告に基いて、その中から標本をとつて実測して修正するよりも、面積調査ならば、土地台帳その他などをとつてした方が、すなわち属地調査の方が正確だということであつたので研究しつつ今のところへ来ておるということであります。そのように御了承をくだされば、御指摘の点努力したいと考えます。
  81. 井出一太郎

  82. 中澤茂一

    中澤委員 運輸省の方にお伺いしますが、御承知のように、今年の凶作は、全国的にも、また県的に見た場合も、その凹凸が非常にはげしい。たとえば長野県の場合などを見ても、昨年は四十五万石の供出に期待量五万石、両方で五十万石、だから県内操作ができた。ところが本年は、これは長野県ばかりではない、北海道とか福島とか山形とか、そういう特殊地帯はそうですが、このごろ県内でいろいろ資料を集めてみると、どうしても三十六万石の県外米と外米の総計移入がなければ、県の食糧需給計画が立つて行かない。これは非常に厖大な数字になるので、今後の貨車まわりということが県内操作に非常な大きな影響を与えて来る。現に貨車まわりの点については、県としても――これは長野県ばかりではない、今非常に不安を持つておる。これだけのものがはたして円滑に、輸送の現況からいつてつて来るだろうかどうか。ましてや年末にかけて、これから労働組合の攻勢も行われて来る。そういう場合は県内保有米が少いものであるから、食糧需給操作に大きな支障を来すということを非常に危惧しておるわけです。その点について、今までの輸送状況並びに今後の主食に関するところの輸送の取扱い方針、それらについて、運輸省として一つの計画はもちろんおありと思いますが、ひとつ御発表願いたいと思います。
  83. 細田吉藏

    ○細田説明員 私運輸省の鉄道監督局つの国有鉄道部長であります。ただいま御指摘になりました主食の輸送の問題でございますが、最近の実際の動きにつきましては、日々貨物輸送の衝に当つております国有鉄道の配車課長が参つておりますので、詳しく申し上げることにいたします。  運輸省といたしまして、きわめて一般論で恐縮でございますが、米を初めといたします主食の輸送につきましては、これは申し上げるまでもなく、最優先輸送の建前を戦時中戦後を問わずずつととつてつております。何と申しますか、私どもの専門的な言葉で申しますと、緊急輸送、いよいよ詰まれば、ほかのものをさておいても運ぶということまで実は実施いたしておるような次第でございまして、何と申しましても、一番大事なことは情報を早くつかむ。どこに米がある、どこに米が足らないということが一番かんじんな問題でございますので、そういつた点につきましては、食糧管理局あるいは関係府県等ともそれぞれ中央現地で連絡をとりまして、輸送を実施いたしておるような次第でございます。  なお全般の問題といたしましては、実はいろいろな事情で不在の貨車まわりは非常に悪いのでございます。貨車まわりが悪いという言葉は少し当らないかもしれませんが、通俗的にはそういうことでございますが、出貨が非常に旺盛でございまして、現在駅頭に出ております滞貨が、国鉄全体で約百七十万トンございます。大体一日に通常四十二万トン程度つておりますが、これに対しまして百七十万トン程度を下らない状況でございまして、地域的にいろいろのアンバランスはございますが、全体としまして非常に多い滞貨を擁しておる。年末を控えまして、いろいろな点からこれに対して各地で貨車の不足が起つておる。国有鉄道の方といたしましては、貨車の能率向上運動といつたようなものも十、十一、十二の三箇月やつております。大体計画しました量あるいは昨年度の実績よりは上まわつておりますが、何しろ出荷の要請の方が強いものでございますから、いろいろな点で一般の荷主の方に御迷惑をかけておる。ただそのうちにおきましても、少くとも主食につきましては、先ほど申し上げました情報の早期把握に努めまして、御心配を絶対かけないというような考え方でおりますが、なお詳細につきましては配車課長から申し上げます。
  84. 公文広嗣

    ○公文説明員 米の輸送につきましての御質問でございますが、特にことしの秋の米の生産状況あるいはこれに関連しまして輸入食糧の関係から、輸送の問題が隘路であるという声を方々で実は聞いておるわけであります。私どもといたしましては、先刻鉄道部長から御説明申し上げましたように、実は今日私ども輸送の担当者といたしまして、物資別に緊急輸送をするとよろしいという何らの法的な根拠もないわけであります。ただ主食につきましては、そういうことの有無にかかわらず、先刻もお話がありましたように、最優先輸送ということで私どもは日々現地を指導し、かつ計画をしておるわけであります。ただ問題になりますのは、ことしは非常な出荷の旺盛な姿がこの秋に続いて来ております。原因は私どもは詳細にわかりませんが、大体例年の倍出荷というものをこの秋の輸送に期待しておるわけです。その場合に、しからば米はどうであつたかと申しますと、これも先刻御承知のように、この秋の産米につきましては、われわれ四十一万トン程度の輸送というものを食糧庁との御相談で計画しておつたわけでありますが、供出の進行状態その他からこの計画は大幅に縮小されまして、大体この十二月までに――九月から十二月まででございますが、四十一万トンの計画が二十五万六千トン、こういうような圧縮状態になつて来ておるわけであります。しかしこの圧縮されましたこの計画に対する実績はどうか。これをこの秋の産米にとつてみますると、十一月の二十三日まででございますが、計画が十八万九千二百六トン、これに対しまして実績は十八万九千五百八十二トン、わずかでありますが、一〇〇%は突破しておる、こういうことでございます。ただこの裏に、私どもは非常にうまくやつておるということをしいて申し上げませんが、今日の貨車要請というのは、大体日々六万両の貨車要請がございます。これは百七十万トンの在貨から割り出した要請の姿でございますが、これに対しまして現実に裏づけのできる国有鉄道の貨車能力は約三万両を前後するということでございまして、これから御判断願いますように五〇%は御要望に沿つてない線でございます。ですからこの線を私どもは比較的緊急ならざる物資にしわ寄せさせるというのが実情でございまして、そういう点から米につきまして私どもは計画に対する実績百パーセントを突破しておるわけでございますが、ただ地域その他の事情によりましては、ある程度近いものはトラツクで輸送していただいておる、あるところでは若干機帆船にお願いしておるという姿もございますが、これとても時期とその量につきましては、食糧庁と細密な計画上の打合せをしました結果、そういうふうに組んでおる。ともあれ現在までのことしの早場米につきましてはそういう状態であります。  それから全体の米の輸送でございますが、早場米を含めまして大体月間七千ないし七千五百トンというのが食糧庁と話合いをし、計画に組んだ数字でございます。全体の米の輸送状態になりますと、今日の模様を見てみますると、必ずしも百パーセント行つていない。これは出荷の状態あるいは手持ち米の荷動きの関係でございますが、情勢によりまして御計画がおかわりになる場合もありますし、必ずしも百点満点にはなつておりませんが、これとても特定の地域の米の確保につきまして、需給計画上穴をあけたという事態はありませんので、またそういう事態がありますれば、先刻鉄道部長がお話になりましたように、主食につきましては私どもは絶対確保、こういう線で手配しております。貨車事情全体といたしましても、この年末には、年末年始の物資の動きというのは例年のことでありまして、若干かぶつて参りますから、一般物資への圧力というものが加わりまするが、そういう要請でありましても、この米並びに輸入の外麦、外米につきましては、絶対需給調整上支障のないように確保できる、こういうふうに確信しております。さように指導したいと思つております。
  85. 中澤茂一

    中澤委員 御努力願つておるし、計画も非常にうまく行つているようでけつこうな話でありますが、問題はやはり年末の労働攻勢が相当にひどく響いて来ると思うのであります。それがもうぼつぼつ始まつて、これから年末闘争がひどくなつて来た場合の状態も十分勘案なさつておるのかどうか、その点をちよつとお伺いいたします。
  86. 公文広嗣

    ○公文説明員 これにつきましては、私ども管理者としましては、年末の労働攻勢に対しまして、ああいう措置に出させないというのが当然の責務ではありますが、ただそういう事態が全然起らないということも断言はできないわけです。但しそういう場合は、昨年度炭労ストでありましたか、これは国鉄労組の動きではありませんでしたが、御承知のように、北海道で大量に汽車がとまつたことがあります。そういう事態にありましても、最後まで確保したのは主食でありました。緩急の度合から漸次ウエイトの低いものを切つて行つたわけです。ことしかりに最悪の場合に鉄道労組のストがありましても、米の輸送につきましてはその点の心配はないだろう。その点は何としましてもわれわれは確保しなければいけない、かような考えでおるわけであります。
  87. 中澤茂一

    中澤委員 たいへんけつこうです、何分にもそういう非常に危険な状態があるし、食糧不足ということで、もしこの食糧庁の需給計画というものが鉄道輸送がうまく行かないで、県内で穴が明いたということになると、これはわずかのことから大きな問題を惹起するおそれが十分あるものですから、ひとつ今後とも食糧輸送に対しては最大の努力を払つていただきたいということをお願いしておきます。
  88. 井出一太郎

    井出委員長 なお中澤君に申し上げまするが、通産省の公益事業局生駒業務課長が見えております。
  89. 中澤茂一

    中澤委員 通産省に一つお願いし、かつ考えていただかなければならぬことがあるのですが、食糧不足の折から、今後どうしても国民の食生活改善という問題が取上げられなければならない段階へ来ておるわけであります。そこで食生活の改善ということになると、人造米という問題があるが、これはもう食糧政策としてはこんなものは問題にならぬ話で、まず何といつても粉食ということが、今後これは日本の食糧自給態勢全体として、国民の食生活改善の大きな問題になつて来る。その粉食で御承知のように、このごろもう問題になつておるパンの値上げという問題です。パン屋を呼んで、一体パンはどうし値上げするんだ、けしからぬじやないか、粉は上つてないのにというふうに言うと、こういうことを異口同音に言つておる。電力料金の、超過料金と普通料金との差が大きい。そうして粉を多く取扱つておる製粉会社などでは、超過料金が大体六倍になるというのです。そうすると超過料金を会社で背負い込むわけに行かないから、それを消費者負担に押しかぶせて来る、こういう形が現実の問題として出ておる。今後食生活改善という問題をわれわれは大きく取上げて行くつもりなのですが、そういう段階になると、超過料金という問題がことごとく消費者転嫁になる危険が出て来る、そうなると結局粉は食べたくて食べるのじやない、まあ国民の自覚において協力するという考え方や、また値段が安いからということが粉に対する一つの魅力なのです。ところがそれが超過料金が高いので製粉会社その他が一切消費者に転嫁するということになると、今後やつて行く食生活改善運動というものに非常に大きな蹉跌を来す。今家庭の主婦の中には、翕然と粉食による食生活改善というのがどこででも下から盛り上つて来ておる、非常に大事な時期なのです。そこで通産省はこれに対して、超過料金に対する倍率の低下、要するに特別扱いというような方策は何らか考えてもらわなければいけない、そういうことについて何か今具体的な案をお持ちですかどうですか、ないとすれば、今後食生活改善運動に響いて来る電力料金問題を、どうやつて行くのが一番いいのかというお考えがありましたらば、お聞かせ願いたいと思います。
  90. 生駒勇

    ○生駒説明員 私料金をやつております業務課長でございまして、ただいまのお話ございました粉食用の電気料金について特別措置をとつておるかどうかというお尋ねでございますが、現在におきましては、お話の通り追加料金と標準料金という二つの料金制度がございまして、片方の追加料金と申しますものが相当高いものになつております。従つて御質問のように、確かに需要が著しく過去の実績よりも伸びます場合には、相当程度の追加料金を払わなければならないという事態が生じておりますこともその通りでございます。しからば現在どういうふうにしてそれを考えるかということでございますが、現在私どもの方で検討しておりますのは、標準料金、追加料金というような、そういう料金制度がはたして正しいであろうかどうかという点をまず検討しておるわけでございます。この検討は、過去の一定月の実績以上にその使用が伸びました場合にはそれが追加料金にかわつてしまうという点において、お話のように非常に時期的に差のある事情でございますとか、あるいは今のお話のように、生産そのものが、著しくある一定の基準年月日よりも伸びます場合には、相当負担が大きくなりますので、このような制度は人為的に過ぎるのではないかというような考え方で、まず追加料金と標準料金の二本建という料金制度そのものを検討しなければならないということで現在検討しておりますので、その結果がもし一本料金になるとか、あるいは二本になりましてもそれが自動的に現在のように一定の基準というようなものでもつて、過去の実績でもつて縛られるということでなしに、料金の支払いが自動的にかわるというふうな制度ができればと思いまして、現在検討中でございます。それで現在の料金制度を前提にいたしましてどういうふうに考えておるかという御質問に対しましては、あるいはお答えにならないかとも存じますが、現在におきましてはそのような二本建料金というものそのものを検討しておりますので、その点をお含み願いたい、かように考えておるわけであります。
  91. 中澤茂一

    中澤委員 あなたのおつしやることは二本建料金というものがどうかという問題だと、そういうふうにお話になる裏には、今度の、要するに四千万ドル借款による電力料金値上げの問題をあなたはお考えなつていると私は推察するのです。そういうことはまず第二の問題であつて、今差迫つて私が特別な何らかの方法考えなければならないというのは、ここまでパン食を食べようとして下から盛り上つて来ておる。これをそぐものは結局パンの値段の問題になつて来るわけです。だからこれに対してはどうしても早急に特別な何らかの措置をとる。たとえばわれわれがかつて今までにいろいろ農民団体としてお願いしてできておるところの、農業用農事電力の特別扱い、ああいう何らかの方式をこの際粉食にはとつていただかないと、結局先ほど申すように、電力量の問題を異口同音にパン屋が言うのです、追加料金をたんと払わなければいかぬから、パンの値段を五円上げるのは当然だと、そういう実際問題が起きておるのですから、この際粉食に対する追加料金に対しては何らかの特別的な方法を――これは考え考えられないことはないと思うのです、現に農事用電力の特別扱いをしておるのですから、考え考えられないことはないので、これは大きな公益、しかも下から盛り上つて来た食生活改善という、これを自主的に押し進めて行く場合においても、また今後われわれが大きく食生活改善運動を起して行く上においても、早急に何らかの特別措置をとつてもらいたい。それについてひとつお考えをお聞きしたいのです。
  92. 生駒勇

    ○生駒説明員 ただいまのお話は実は料金制度のお話ではございませんので、需給調整規則によります標準料金の割当の問題のように伺つておりますが、私は料金制度の方を担当しておりますので、ちよつとその点まで触れてお答えすることはどうかと思うのでございますが、現状におきまして私ども考えておりますのには、頭打ち制度というのがございます。これはある一定のところまでの標準料金の割当以上に使いますと、これが全部追加料金になる制度になつておりますが、それがあるところまで参りますと、頭打ちと申しまして、一定限度以上には追加料金を払わないでいいという制度が現在考えられておりますので、それは需給調整規則の方の問題でございますけれども、その点私の方で帰りまして至急検討さしていただきたいと思います。
  93. 井出一太郎

    井出委員長 この際ちよつと委員長から生駒業務課長にお尋ねしたいのですが、いはゆる農業用電力ということをよく申します。これは公益事業委員会のあります当時にも、収益性の低い農業に対しては、何か特別な電力料金の制度を考えてもらえないものかというような要請を幾たびかしたことがあるのでありますが、通産省の方に引継がれましてから、これはどのように推移しておりますか。ことに食糧増産の非常にやかましい今日、新しい改善事業等はどうしても電力によるポンプ・アツプ等が必要でありまして、今回の凶作地などでは、そのための電力料金も、高価に過ぎて払えないというようなトラブル等が起つていることも聞いております。こういう点について、この際ついででありますからお伺いをいたしたいと思います。
  94. 生駒勇

    ○生駒説明員 ただいまの委員長のお尋ねに対してお答え申し上げます。現在における農事用電力料金と申しますのは、お話のように、確かに料金上特別の措置が認められておりますことは御承知の通りであります。しからばこの制度がはたして正しいであろうかというような議論になりますと、実はいろいろな議論がございまして、まずその反対論のようなものが一応あつたわけでございます。この制度を設けます場合にも反対論がございましたけれども。その一つは電気料金が例の原価主義と申しますか、そういうものに基きまして、その負担は常にその原価によつて差がつくべきである、従つて高い質の電気を使いますものは高い電気料金を払うのは当然である。安い質の電気を使うものは、たとえば硫安工業のごときは、これは安い料金でいいのだというような考え方が前提になつて、料金制度は今まで運営されておつたわけでございます。それに対しまして農事用料金を特に設けました意味は、現在の原価主義から離れているということではございませんので、現在の原価主義から説明のつく限度において、農事用電気料金というものを設けている状態でございまして、現状をちよつと御説明いたしますと、灌漑排水用電気に対しましては二〇%の割引を需用電力料金に課してございます。それから脱穀調製用の電力に対しましては、これは本来は非常に時期的なものでございまして、しかも渇水期に使いますために、本来原価から申しますと相当高いものでございますけれども、これに対しましては過去の物価庁の定めました費用算定方式がございまして、それによつて相当程度の割引、極端に申しますと、場合によりましては四〇%程度の割引を行つているわけでございます。このような割引は原価主義から見まして説明のつく限度においてこれをいたしているようなありさまでございまして、これ以上政策料金と申しますか、そういうものを課すかどうかということにつきましては、事柄が現在の原価主義の原則と非常にすれて参りますので、一応帰りまして検討して参りたい、かように考えているわけであります。
  95. 中澤茂一

    中澤委員 小倉さんにちよつとお尋ねしておきます。今度の冷害予算で、もう北海道なんかも大分雪が降つているようだし、長野なんかは、北部は二尺も積つてしまつていて、来年の雪解けが大体四月の末から五月にかかるのです。そうなつた場合に、計画を決定しても実際の仕事ができないということが一ぱいあるのです。そういう場合、今度の予算を、さつきの塩見さんの言われたように、できないものはやれないのだというようなごまかしでは意味がないので、これに対しては、これは何か会計法の問題もあるだろうが、行政措置において何らかの方法小倉さんの方で考えてもらつておるかどうか、要するに来年の雪解け、年度がわり以降、四月あるいは五月の植付前に、さつきゆうにこの救農土木工事をやるという場合どういうことになりますか。行政措置で何らか計画を立ててやつた以上、年度内に交付するとか、あるいは何らかの方法考えられているか、この点をひとつ……。
  96. 大山一生

    大山説明員 今度の救農土木事業につきましては、予算総則の中で繰越し明許の規定がございます。従いまして年内に消化し切れなければ来年度に当然それがそのまま有効に使われることになります。但しあの中で最初の農林省所管に入りました分につきましては、その繰越し明許はございますが、例の国会でふえました予備費分、これは財政支出でございますから、繰越し明許の規定が当然ないわけでございます。従つて翌年度にもしか延びた場合の措置といたしましては、予備費相当分が先に出て、補正分が――補正と申しますか、農林省所管分が翌年度に繰越されたという形でもとつて、その点は繰越し明許の趣旨を徹底させるというような方針でおります。
  97. 中澤茂一

    中澤委員 今度は小倉さんにお伺いするのです。小倉さんはさつき共済金の問題で、下から積み上げて来たものは絶対にとれる。三次でも四次でも五次でも補正してやるということを言われました。これはまことにけつこうだと思いますが、それは税務署と同じ返答だと思います。税務署は絶対実質所得をつかんで、しかる後税金を課するのだと言つておるが、事実はそうではない。お前の税務署は何ぼだとちやんとわくが来ている。それがために無理な課税をやる。これはりんご課税の問題で完全にボロを出しておる。下から積み上げて来て必ずやると言つておるが、現に私の方の長野県の共済会会長が来たときは――これはだれが言つたか名前を聞きませんでしたが、十一月十五日の長野県の共済金支払いは六七という指数で大体やるつもりだと言うておる。これは人の名前を聞いて来ればよかつたのですが、その六七の指数でやるのだと言えば長野県の供米量が十一万七千石、これはおそらく平年作の指数で行つたならば、この十一万七千石を逆算してみると、これはこまかに計算してみませんとわかりませんが、大体六〇を割ると思うのです。そうするとその間に共済金支払いの問題が必ず何らかの根拠でつかれると思うのです。そういうことは絶対あり得ないかどうか。さつきあなたがおつしやつたように、下から積み上げたものは三次でも五次でも何でも必ずやるのだということを、いま一度言明してもらわぬと、不安でしようがないから、念のためにひとつはつきり言つてもらいた当思います。
  98. 小倉武一

    小倉説明員 長野県の御指摘数字は私よく関知しておりませんが、私どもで県に示している数字は推定反収、これは主として統計調査部の十月十五日現在の推定をまとめた程度でございまして、その通りにお考えなつていいと思うのですが、その推定実収と推定被害面積、被害面積というのは農林省でもなかなか把握しにくいのでございますが、私どもの知つておる範囲においての資料、それから農林省で現地を調査いたしました府県側の意向というようなものからほぼ出しました被害面積率、この二つを示しまして、その二つを基準にして県で被害を審査するように指示をいたしております。それ以外につきましては、私ども数字的には別段県ないし連合会等に指示はいたしておりません。この二つの数字でございますが、これももちろん絶対的のものではございません。現在の作業を進めるとして入手できる資料といたしまして指示しておるわけであります。そこで考えられますことは、この数字自体が必ずしも絶対的なものではございませんから、なおさらに十分な基礎づけがございますれば、他の数字をとり得るということもございます。  もう一つは、先ほど金子委員でしたかから御質問がございましたように、その後の作況の変動というのが当然あり得ると思うのです。従いましてその後の作況のかわりというものをわれわれが把握できる範囲におきましては当然考えなければならぬ、こういうことで先ほどのようなことを申し上げておるわけであります。下からというふうな御説でございますけれども、私どもといたしましては、県の段階数字を一応にらみまして、それが県間のバランスがとれておるかどうか、あるいは私どもが入手しておる資料から見て妥当かどうかということの判断でございます。ほんとうに下から積み上げて正確であるという御自信がある県なり連合会がございますれば、それに応じた態勢をわれわれがとりまして、その数字が私どもが知つておる数字と非常に開けば、これはわれわれの方か眞の方に出向いて行つて、私どもが納得できますればそういう数字で処理して行く、先ほど言いましたような数字を示したのが絶対不動なものではもちろんございません。仕事を手取り早く片ずけるための一応の資料ということで示しておるわけであります。
  99. 中澤茂一

    中澤委員 そうすると小倉さんの言うことはさつきのことと違つて来るのじやないのですか、さつき足鹿委員の質問に対しては、指数の問題じやない、下から積み上げて来たものはどうやつても払うんだとおつしやつた、今になれば、ある程度やはり指数というものを考慮されているようなお話なんです。そこに私は問題があると思うのです。そこで問題になつているのは、先ほど私北海道の名寄町の例で言つた、作報指数というものが非常に問題になつて来る。だからそうなつて来るならば、これは一体共済のものが正しいか、作報のものが正しいかという問題になつて来るのです。それは県、郡、村によつて実にいいかげんな共済もあることは事実なんだ。これは私らも知つております。しかしほんとうにまじめにやつておるところの共済は、私はむしろ作報数字より共済の数字の方を正確に見たいのです。それは村などに入りますと、お互いに供出量が来れば一石でも少くしたいという点があるから、たとえば一般にその人の田を見ないで人の田を見るというふうに、交代々々に見てつんでおるのです。だからそうなつて来ると、作報の指数でもつて共済金というものが一つの参考資料程度ではなくして、大きな一つのもとになつて来るわけです。そこに私は問題が出て来ると思う。総合開発課でこの前に参考に出してくれた各村別の資料というものは、少くとも長野県の場合は全県を歩いていましたが、それから共済の理事会のときあの数字を読み上げてみましたが、あの数字というものは大体納得するのです。これはよく出ている。よく調査したものだ。総合開発課はどうやつて調査したか、それは実によく村別のまで当つている。こう共済の理事がみな言つておるのです。あの数字で行くならば、長野県の場合などは――私は長野県を例にしていろいろな資料を持つておるから言うので、全国に当てはまる問題だと思うのですが、長野県の場合は四八・二の被害率を出しておる。収穫五一・八ということになる。あれは村別に見ても、私の郡だけ見てもほとんど正確です。その隣りの村が被害率が三〇%で、その隣りの村が被害率七〇%とか、山間地の中では一ぱいあるのです。それが実に正確にキヤツチされておる。ああいう農民も納得し、われわれが見た目でも正確だと思われるものでやるのならば、だれも農民は文句を言わない。ところが作報の指数というものは、長野県の十月十五日は六七になつておる。こういうものを資料にして、今度は共済の問題もそこに出て来るとなると、これはやはり大きな問題になつて来るのです。長野県の場合、現に六七で共済金の支払いがされるとすれば、大体八億五千万ないし九億という推算ができるのです。ところが片方に供米割当は十一万七千石、これを逆算すると六〇を割る指数になつて来る。片方総合開発課から四八・二という被害率が出ておる。これらを考えてみるならば、これはめちやくちやなんだ。一体どれを信用していいかわれわれはわからない。作報も信用できなければ、供米割当そのものの十一万七千石という大体六〇を割るような指数も何だかわけがわからなければ、ちつともわけがわからなくなつて来る。そこでどうしても今度問題になつて来るのは、やはり共済の支払金の問題ですから、この点について小倉さんも大分頭が痛いでしようが、いま少し作報指数というものを無視して、現実に即したもとでやつていただきたいということを、私は特に小倉さんにお願いしておきます。
  100. 井出一太郎

    井出委員長 答弁いりませんか。
  101. 中澤茂一

    中澤委員 よろしゆうございます。
  102. 井出一太郎

    井出委員長 芳賀貢君。
  103. 芳賀貢

    ○芳賀委員 ただいま中澤委員から小倉局長に質疑がありましたけれども、それに関連しまして、これはもうすでに同僚の委員が質問をされた問題かもしれませんが、念のために確認しておきたいと思うのであります。冷害営農資金の第一次の内示された表が出ておりますが、問題は末端にいつこれが届くかということが、非常に現地では関心が深いわけでありますが、これらの取扱い等の要綱は一応承知できるわけでありますけれども、具体的にどの時期にこれらの第一次の配分が個々の被害農家の手に届くかというような点に対してまず承知いたしたい。それから現在まだ六、七月等のあの特別措置法によるところの水害融資等もおりておりませんが、これらは前提としてはまず被害地域指定が政令によつて行われんければならないので遅れておる関係と思いますけれども、そういうような具体的な地域指定は今月のうちにはたしてできるのかどうか、そういう点をまずお伺いします。
  104. 小倉武一

    小倉説明員 冷害営農資金の交付の問題でございますが、これは御承知の通り、私どもの方で資金をそろえて、それを県、郡町村というふうなぐあいにおろして行くというものでございませんで、末端の組合でこなせるものは末端の組合でもつてこなす、あるいは末端の組合でこなせなくても、道なら道の信連でこなせるものはこなして行く。足らぬものを中金なら中金へ持つて行くということでございますので、金のあるところはさつそくでもできるわけであります。金のない村が信連で借りて来る。信連も困つておるということであれば中金へいつて来る。中金も金がなくなると初めて政府資金ということになりますが、今のところまだそこまで行つておりませんので、村なり県なりでこなしていただくという段階であります。従いまして早いところは事実上府県なりの措置でもつてつているものもあるかと思います。  それから地域指定の問題でございますが、水害についての地域指定は実はまだいたしかねております。冷害の方は特別地域指定ということがなくても動けるのでございますが、これも実際問題として地域指定みたいなことをやらなければならぬのであります。ただ形といたしましても、農林省で一方的に指定するということよりも、府県の実情をよく承りまして、相談の上で指定をして参りたい、かように存じております。
  105. 芳賀貢

    ○芳賀委員 局長のお話によると、結局この数字配分して、これに対しては利子補給とか損失補償の責任を持つという程度であつて、これを具体的に――結局一番困る協同組合に最後まで来ないというような逆の形になることは御承知の通りと思いますが、そういう現象に対して、政府としては、どういうようにして富裕な協同組合あるいは余裕のある信連と同じような時期に資金の流れるように努力をするかというところに問題があるかと思うわけですが、そういう点に対する具体的な方策をお伺いしたいのであります。
  106. 小倉武一

    小倉説明員 御心配の点ごもつともと存ずるのでありますが、私どもとしては、一般的にこうするという方策を立てるということよりも、そういう町村なりあるいは県に金繰りの上で要望が出て参つた場合に信連にあつせんする、あるいは中金に慫慂して資金繰りをさせるといつたような現実問題で処理して参りたいと存じております。一般的に申しますならば、ちようどただいまの時期は供出代金が入つて来るとかいうことでもつて、組合の金融は一般的に見ると非常に楽な時期でございますので、お説のようなことが起つて来ますのはもう少し先のことではないかと思います。そういたしますれば、個々に、どの地方どの町村というようなことも現実問題として相談ができやすくなるかと思いますので、そういつた場合にあつせんをやりたい、かように考えておるものであります。
  107. 芳賀貢

    ○芳賀委員 苦しい情勢がもう少し先へ行つて現われるというようなお話でありますけれども全国的に見て、各地域ごとに現われて来る現象というものは必ずしも同一の時期ではないと思う。特に北海道に一例をとると、水害関係営農融資が一億三千万くらい示されておるわけでありますが、これが下部の単協まで流れて行くというような傾向に全然なつておらぬ。おそらくこの分で行くと、来年の一月になるのじやないかという推測であります。だから今局長が言われたように、ほんとうに困る場合においては、言つて来れば適当にはかろうというお話でありますが、そういう場合においては、政府当局にその単協であるとか信連が、はたして申出をしなければならないのかという問題です。
  108. 小倉武一

    小倉説明員 法律におきまして利子補給をやつたり損失補償をやつておる趣旨から、無理と思われるところにまでできるだけ金融をつけて行かなければならないという趣旨でございますので、そういうような事態になりますれば、もちろん私どもは十分農家の方々の金融に支障がないような指導なり、監督をしなければならぬと思つております。ただいまのところは、一般的にそういうことをしなくてもやつて行けるのじやないか、かように存じておるのでありますが、実際に金が農家に流れて行くのが遅れている地方もあるかと思います。と申しますのは、水害や何かにつきましては、法律上の措置に伴うもろもろの行政措置がいまだにすつかり片づいておりませんので遅れている面もあるかと思いますが、これは道府県措置でもつて便宜的につないで行くということも可能でございますし、そういうことをやつておられる県もございますので、さしあたつてはそういうことでやつていただくのも一方法ではないかと思つております。政令が公布になりまして――冷害のものにつきましても今週中くらいに公布施行になると思いますので、いずれ全面的に施行になりますので、そうすれば国の方の措置に切りかわるということになろうかと思います。
  109. 芳賀貢

    ○芳賀委員 そういう程度の御答弁では末端の被害農家はまつたく安心ができないようなことになります。それで、時期からいつても農手の返済の時期にもなつておるのですが、これは供米代金あるいは共済金等をこれに充てることになつておるし、それまでにずれのある場合においては、何か特別の措置を講じて農手の返済の時期からずれないようにするようなお考えらしいのですけれども、これは、当面その農手をまず払わなければならぬ。しかし返済する資金が全然ないという被害地方において、特に北海道等において、特別出ておる現象ですけれども、今年の農手は大体八十二億使つておる、そして供出量の確保量約八十五万石ですから、これを全部金にかえても、今年の農手と相殺して余りがないという状態になつておる。何をおいても農手の返済をしなければならぬという形で、農家は農手の返済に最大の努力を払つておるわけですけれども、結局一切の販売代金等をこういう借入金に投入してしまつた場合においては、その日からどういうふうにして生活をやるかという切実な問題が出て来ておるのです。燃料の手当だとか、また冬ごもりのいろいろな生活上の準備とかいうものもあるわけですけれども、そういう場合において、力のない協同組合においては、全然これを打開する力を持つておらぬ。しかもそういう協同組合に対しては、信連は積極的に融資することを恐れてこれを控えておるわけです。そういうことになりますと、道府県段階でこれがとまつてしまつて、いつまでたつても下に流れて来ないということは常識で考えてもわかりきつたことなんです。だからそれを冷害対策の一環として、政府がどういうふうにしてすみやかに資金を下におろすかということが最大の仕事になると思うわけでございますけれども、そういういう形で現われた場合において、慫慂するという程度でなくて、もう少し具体的に損失補償の内容であるとか、利子補給であるとか、そういうものを明確にして、金融機関が安心して、しかも積極的にこれを末端まで流すことのできるような条件をすみやかに整える必要があると思います。局長はもう少し具体的に措置に対してお考えはないのですか。
  110. 小倉武一

    小倉説明員 損失補償をやる場合でありますとか、やる程度でありますとか、あるいは利子補給をやる場合でありますとか、しかも利子補給につきましてもいろいろ違つて参りますが、その補給することについては、法律でもうすつかりきまつておりますので、行政上どうこうするということではございません。ただございますのは償還年限五年以内でございますのをどういうふうに考えるかということだけでございます。その償還年限については政令を近く定めますが、これは普通の場合は二年、開拓地は三年、その他が五年ということでいたすつもりでございます。その他は法律にきめてある通りでございまして、省令等でとかくする余地は実はないのでございます。従いまして私どもとしては法律通り運用して参るつもりであります。それから資金の問題でございますが、一つは資金わくの問題と、もう一つは借受けする末端の金融機関、協同組合等の信用の問題と二つございます。資金わくにつきましては、私どもといたしまして、ただいま府県庁の方にお示ししていますのは、利子補給ないし損失補償ということでの資金わくでございまして、そのわくに基いて府県庁の方でもつて信連等と相談されまして、どの程度地元でこなせるかということを御検討になつていると思います。そういたしまして県ではこれ以上はとらせないという数字が出て参りましたものを、必要に応じまして中金が融通して参る、こういうことでやつて行きたい、かように存じます。それから末端の組合の信用力の問題になりますると、これは私どもの方で強制的にどうこうというわけにはもちろん参りません。ただ今の特別融通趣旨にかんがみまして、ふだんのようなことでもつて、あの組合は不活発だから、あるいは多少信用に欠けるところがあるから貸さぬというようなことでは困りますので、これは個々の具体的な実情に応じて処理しなければならぬと思いますけれども、その場合に、たとえば市町村に相当活躍してもらうとか、あるいは府県においてそういう点については特段の御指導願うということによりまして、資金融通は、たまたま村の協同組合がぐあいが悪いからいけないというようなことがないようにして行きたいというふうに思つております。そういう点につきましても、これは府県の範囲内で処理できない部面で、私どもないし農林省といたしまして処置できる部分がございますれば、当然に十分の援助と申しまするか、あつせんをいたしたい、かように存じております。
  111. 芳賀貢

    ○芳賀委員 なおこれは運営上の問題でありますが、被害地域町村の協同組合に農業手形の償還がなかなかできないたとえば二千万あつたとする、そういう場合に府県に示された融資わくがその町村に当てはめた場合においては、たまたま三千万の融資が示されておるというような場合において、未済分の農手をその三千万の融資の分と切りかえる操作をやるようなことができれば、これは非常に早く処理が進んで行くのではないかというふうにも考えられますけれども、こういう点に対してはどういうふうにお考えなつておりますか。
  112. 小倉武一

    小倉説明員 今回の特別措置は、実は農手の利子補給なり農手の償還の損失補償ということでございませんで、全然別なことになつておりまするので、その辺の切りかえと申しましてもいろいろやり方もあろうかと思いまするが、農手そのものの利子を軽減するなり、農手そのものの償還の補償をするというわけにはもちろん参りませんが、農家と組合との関係におきましての金繰りの問題といたしましては、これまで借りておつた農手を今度の営農資金融通をもつて返して行くとい、ことはもちろんできますし、それから農手の償還自体が困るといつたような組合につきましては、信連、中金等から新しい共済金なりその他の措置ができるまでは、つなぎの金融をするという措置で農手の償還ができるようにいたしたい、かように存じておるのであります。
  113. 芳賀貢

    ○芳賀委員 これは個々の組合員から出発して、まず単協が組合員との間において償還不能の、農手によらず、貸付金に対する災害による未回収分、それをその個人が被害の額の範囲内において、営農融資を行うことが可能であるというその限度内において約束をして、それを今度は信連に対して、協同組合が責任をもつて返すようなことでするわけですれども、その協同組合自身に力がないという場合においては、どうしても営農資金が上から流れて来なければ操作ができないわけですね。下からそういうような形でだんだん切りかえるといつても、これは妥当であると思いますけれども、結局営農資金のそものが来たから、その金で農手を払うというような場合においては当然取扱い上の一つの方法として、そういう切りかえは可能であると考えるわけですけれども、その点については、もう少し具体的なお答えを願いたい。
  114. 小倉武一

    小倉説明員 芳賀委員の御指摘の点、おそらく単協に信用力がなくて信連等から営農資金が来ない、こういう場合に農手の償還の問題もありまするし、新しい営農資金も必要だ、こういうことで農家が非常に困りはしないか、こういう点についての御質問だと思うのですけれども、比較的信用の足りない協同組合等についても、この際は特に融通をしなければならぬという趣旨損失補償等もできておるのでございますので、普通の金融と同じように信連が考えているとすれば、これは間違つておりまるので、よく信連等とも私は相談をして、そういうことのないようにいたしたいと思います。特にまた四割補償と申しましても、個々の貸付についての四割でございませんで、道と信連とが損失補償の契約をいたしまする場合には全体が四割でござまして、個々の村につきましては四割は越えるような損失がありましてもこれは補償することになりまするので、あまり個々の村の信用なり個々の農家の信用にとらわれて融通を差控える、こういうことのないように、私ども十分に注意したい、かように存じます。
  115. 芳賀貢

    ○芳賀委員 私の繰返してお伺いしていることはそのことなんです。今度のこの融資の場合に、これは信用の力に応じて貸すというのじやなくて、冷害とか水害という被害に対して貸しつける。結局そういうことになると、信用の限度が非常に低い農家の場合においても相当の金額を借りなければならぬということになるわけです。そういう場合においては、これを扱う単協自身としても相当大きな不安があるわけです。そういう場合においては、結局その損害の認定を市町村長が行うということになるので、町村がある程度この融資に対する補償のような立場の責任をとるべきであるかどうかということも問題になつて来ますが、そういう点についてはどのように解釈されておりますか。
  116. 小倉武一

    小倉説明員 これは御指摘のように、法律でも町村が補償することもできることになつております。そこで一般の場合に、たとえば道が信連に補償するという契約をいたします。ところが信連は、特定の村の単協について非常に信用力がないから、あそこは貸したがらない、こういうことでございますれば、そういうところについては村が補償するといつたようなことも一つの方法でございます。そういうことで行けるところもあると思いまするが、そうしなくても、道と信連が全面的に損失補償の契約をするということでも、信連に冷害対策を相当にやるという熱意がございますれば、ある程度行けるのじやないかと思いますが、そうでない特定の村についてはなお心配がある。どうも道庁といたしましても、全町村について道だけで責任を持つわけに行かないということになりますれば、市町村損失補償というようなことも加えてやりますれば、なお一層村の末端にまで営農資金が円滑に融資される一つの方法ではないか、かように存じます。
  117. 芳賀貢

    ○芳賀委員 次に共済金との関係でありますけれども、農手の償還の時期が迫つておる場合に、共済金がなかなか来ない、そういう場合においては、当然規定によると延滞利子がかかるわけでありますけれども、そういう場合において一つの不安が出て来るわけです。要綱によると、必ず共済金は年内に支払いを終るようにするということが明記されておるわけでございますが、実際問題としてそれが遅れるような場合、ことしの農手が延滞利子を払わなければならぬような状態になる場合において、これはかつて局長は、そういうことのないようにするということを表明せられておるわけでありますけれども、具体的にそういう現象ができた場合においては、ことしの農手の分に対しては延滞利子をとらぬようにするというようなことを、はたして明確に表明できるかどうか、その点をお伺いしておきます。
  118. 小倉武一

    小倉説明員 共済金は、御指摘のように年内に支払うというつもりで作業をいたしております。その間でも農手の支払い時期等のずれはあり得ることでありますし、なお県によりましては、いろいろの都合上年明けてから共済金が行くというようなことも考えればあり得ることだと思いますが、そういう場合には延滞利子はとらない方針でおります。そういうことで関係金融機関と話合いを了しております。
  119. 芳賀貢

    ○芳賀委員 次に、第二次以降の配分等はどういうような時期になさる考えであるかという点と、もう一つは、水稲関係被害額というものは案外正確な算出ができると思いますけれども、畑作地帯被害というものは、今の統計調査部等の組織の中においては、なかなか的確な数字は出て来ないと思います。これらの被害をできるだけ正確に把握するということが融資を適切に配分する一つの基礎的な資料になると思いますけれども、畑作地帯における被害に対する調査というものはどういうような方法で行われるか、その点をお伺いします。
  120. 小倉武一

    小倉説明員 第二回の営農資金わく配分でございまするが、これは先ほどお尋ねのあつたような資金源の問題もございまするし、これが第一回の配分で県の方でどういうふうにこなせるか、あるいはこなせないかということもございますし、その推移を見たいということでございます。もう一つは推定実収がある程度判明するのをまちまして、そういうことも織り込みたいということで、十二月の末ごろか、遅くても一月の初めごろにひとつやりたいと思つております。ただいまのところさようなつもりでおります。  それから雑穀等につきましての被害高の織込みはむずかしいだろう。これはもう御指摘通りでございます。私どもも、やむを得ません場合におきましてはと申しまするか、利用できるものとしてはやはり統計調査部の資料を使つております。これは見方によりますればいろいろ御意見もございましようと思いまするが、やはり私どもとしての一番重要な点は、道府県間のバランスでございますので、一つの目でもつて見た資料がやはり一番いいのではないかということで利用しておるのであります。特に絶対額がどうこうという問題でございませんで、営農資金配分は比率でできるものでございますから、そうすれば統一的な目で見た資料の方が、多少不完全なそしりはまぬがれないにしてもいいのではないかということで、統計調査部の資料を利用さしていただいております。
  121. 芳賀貢

    ○芳賀委員 次に食糧庁長官にお伺いしたいわけですが、これは澱粉の政府買上げの時期の問題です。私は今度郷里に帰つた場合に聞いて驚いたわけですが、澱粉の買上げは来年の二月ないし四月にしか行われないという、そういう説が流れておつて、非常に生産農家あるいは生産農業団体等が心配をしておるわけであります。そういうことは私は絶対ないというふうに確信しておるわけであますが、これらの説がもし食糖庁当局の考えによつて伝えられておるとすれば、これはゆゆしい問題であると思いますが、長官は澱粉の買上げ時期を数量等も合せて、いつごろ発表されるお考えであるかお伺いしたいと思います。
  122. 前谷重夫

    ○前谷説明員 お答え申し上げます。ただいまのわれわれの考えといたしましては、農産物の買入れにつきましては、御承知のように生産者団体で自主的に調整計画を先に立てるわけでございます。従いまして、大体澱粉の出まわり時期といたしましての一月から三月までの間におきましては、生産者団体の自主的調整計画による生産者団体の買入れを行いたい、かように考えておるわけであります。そうしてその後におきまして生産者団体の自主調整によつてだんだんそれは売つて参るだろうと思います。その結果を見まして生産者団体から優先買入れをして行く、かような考えで、先般の農産物の価格安定法の通過の際にもそういう趣旨を申し上げたわけでございます。
  123. 芳賀貢

    ○芳賀委員 ことしのように、北海道等において水害、冷害等によつて非常に減収を来している場合に、しかも政府のきめた価格が去年より幾分安いわけですが、そういう場合において、被害地の農家が来年の春まで、政府が買つてくれるまではたして持ちこたえられるかどうかということが大きな問題になるわけです。当然協同組合等を通じてある程度融資は行つているわけでありますが、これは価額の全額融資ではないわけであります。大体六割程度融資が行われているわけでありますが、その範囲の融資では、これはとうてい政府の買上げ価格まで値段が来るまで待つておるということはできないわけであります。現に現在北海道澱粉等の産地の価格は、政府の買上げ価格から見ると百円以上も下まわつておるわけであります。年末における農家は、安くても、政府が買上げをしないので、もうあきらめて安い値段で、二千百円くらいの値段で手放すというようなことになつているわけでありますが、そういうことになると、せつかく安定法をつくつても、これは何等生産農民のために利益をもたらすものではなくて、困る農家が全部手放してから、それからそれ以外の安く澱粉を入手したそういう業界の利益をそこに提供するということにしかならぬと思うわけでありますが、当然二十八年度に生産された澱粉でもありますし、政府は買うという意思は予算上の措置の上にもはつきりしておるのであるからして、こういう場合においては、情勢に即したような判断によつてすみやかに買上げをすることが妥当であると思うわけであります。そこで、年内等に買上げをするというような、そういうお考えになれるかどうかお伺いします。
  124. 前谷重夫

    ○前谷説明員 ただいまの芳賀委員のお話のように、そういう生産者団体の活動が十分に行つていないという場合におきましては、われわれも生産者団体と十分連絡をとりまして――幸い中央金融機関におきましても資金があることと思いますし、それによつて目下おそらく生産者団体においても着々計画を立てておることと考えるわけでありますが、そういう点につきましては至急に生産者団体と連絡をとつて、そういう価格が割れるようなことのないように措置いたしたい、かように考えておるわけであります。御承知のように、安定法の建前からいたしますると、まず生産者団体からの優先買上げという形になつておるわけでありますが、生産者団体からの買入れ申込みによつてこれを優先的に買上げる直接的な形というものは後段になるわけでございます。これは生産者団体の自主的な調整計画というものを至急立てまして、そうしておそらくすでにそれが進んでおることと思いまするが、その点におきまして市価の安定をはかつて参りたい、かように考えておるわけであります。政府といたしましては、やはり法律趣旨に基きまして優先買入れがございますものですから、それをほつて先に買うというわけにはいかぬと思います。その点は、御趣旨のような点につきましては、十分ひとつ生産者団体と方とも連絡を保ちまして、早急にそういうことの起らないような努力をいたしたい、かように考えております。
  125. 芳賀貢

    ○芳賀委員 長官の考えは、生産者団体が自主調整を行うことに大きな期待を寄せておるようでありますが、そういう場合においては、生産者団体がまず農家に対して出荷担保等の融資を行つて、そうして価格の維持に努めるということになると思いますけれども、ことしのような異常な災害の年には、六割ないし七割の限度内における出荷担保等の融資によつて価格を持ちこたえるだけの力がないということはおわかりだと思います。特に年末等に借入金等の返済もしなければならぬ。しかも営農資金等を大幅に借りなければ切抜けることができないというような状態の中においては、政府はこれとマツチしたような方法のもとにおいてすみやかに買上げを行うことが必要であると思うわけです。長官のお話によると、生産者団体がまだ積極的に買上げに対する申込みをしておらないから、それほど急いで買う必要もないだろうというような、そういう口ぶりも見えるわけでありますが、そういうことでなくて、政府自体がこういう時期に当面した最善の策として、まずこの程度ことしは澱粉の買上げを行うという買上げの数量のわくと、それから時期的にもこれは一度に全部を買い上げるというわけでは当然ないのでありまして、時期別に区分して、少くとも年内においても相当量の買上げを必要とすると私は判断しておるわけでありますが、その程度の熱意は長官においても持たれるはずであるというふうに期待をしておるわけでありますが、年内にこれは実現する可能性を持つておりますか。
  126. 前谷重夫

    ○前谷説明員 われわれといたしましては、先ほど申し上げましたように、生産者団体が仮渡しと申しますか、仮渡しの金額が非常に低いじやないか、こういうお話でございますが、生産者団体からの買上げは、それに要した金利、保管料等も加算して買上げることになつております。でございますから、普通の場合におきまする生産者団体の無条件委託とは、この場合におきましては要素が異なることと考えるわけでございます。従いましてほとんどそれに近いような仮渡しが行われることと期待いたしておるわけでありますが、そういうふうに資金的にも十分生産者団体の方にあつせんいたしまして、それによりまして自主調整をしていただきたい、それによつて残りましたものをと申しますか、それを生産者団体が委託を受けましてそれからだんだんに販売いたして参りまして、そうしてその残りを政府が買上げるというふうな考え方で参つておるわけであります。従いまして今のお話の点は、やはりわれわれといたしましては十分生産者団体と連繋をとりまして、善処をいたすことが必要であろう、かように考えております。
  127. 芳賀貢

    ○芳賀委員 善処の具体性なんですけれども、私の聞いておるのは、年内に第一次の買上げ等を行う必要があるというふうに私は主張しておるわけでありますが、それに対して長官は、まずそういう買上げをやる意思があるかないのかという問題と、それから仮渡し等の資金の運用によつて、その時期を将来に延ばしても、何とか切り抜けるというような判断のようでありますが、そういう場合においては、当然どの程度の数量を買い上げるということがやや示されなければならぬと思いますけれども、この二十八年度産の澱粉を、見通しとしてはどれくらい買いしなければならぬだろうというようなお考えであるか、その点からお聞かせ願いたいのであります。
  128. 前谷重夫

    ○前谷説明員 御承知のように政府の買上げ数量の点につきましては、一定の算式方法がございまして、それによつてかんしよ澱粉及びばれいしよ澱粉を買い上げるわけでありますが、生産者団体の行われます自主調整計画は、それを上まわつてもつと大きい数字でやつて行くわけであります。その中から政府が一定の範囲内において買上げを行う。単に政府の一定数量の買上げだけで市価を維持して参るということではございませんで、それ以上生産者団体がより多くのものをつかみまして、それを有利に市場にさばいて行きますことによつて政府の買上げのバツク・アツプと相まちましてこれを進めて参るというのが考え方であります。従いまして年内の問題は、われわれといたしましては、ここで生産者団体の活動に十分期待いたしたい。またそれに必要とする資金のあつせん等については、十分善処いたしたい、かように考えているわけであります。
  129. 金子與重郎

    ○金子委員 関連して質問するのですが、ただいま芳賀委員のおつしやつたように、この年末の協同組合の資金繰りは非常に困難だと思います。だから政府の買入れが、協同組合の委託金に対しは金利、倉敷を加えて買うということが原則なつておりますから、問題は資金繰りを本来ならば――ほかの政府が買入れて価格安定をするという場合には、十二月から買入を原則としてやるべきである。しかしながらそうしないことが政府自体の資金繰作も少くて済むだろうし、協同組合の自主性も高め得るという二つのねらいから、ああいう法律をつくつたのでありますから、この際食糧庁は、十二月にできました澱粉を無条件で、政府買入れを目途として一応単位組合は第一段の買入をするのですから、その金融の道については、食糧庁が自分が買うのと同じような立場において、資金繰りを十分あつせんして行くということをはかつてもらいたいと思うのでございますが、その点どう考えますか。
  130. 前谷重夫

    ○前谷説明員 金子委員のお話のように、われわれといたしましては、後ほど供米がだんだんに進んで参りまして、中央機関における資金繰りも楽になろうと思います。この資金中央機関から地方の販売団体に対して融通するというふうな形になりますので、そういう点については十分努力いたしたい。
  131. 金子與重郎

    ○金子委員 この点は特に、たとえば営農資金にしても、今小倉局長が言うように、系統金融機関の中でどれだけまかないがつくかというようなことを言つております。農手の方もそういう関係があります。いろいろな関係もありますから、特にこの販売代金については、その資金繰りいかんでなしに、一本で清算するように、委託を受けた数量がはつきりわかるのでありますから、それだけは別建でひとつ資金繰りをあつせんするようにお願いしたいと思います。  それからもう一つ買上げに関連してでありますが、買入れ数量は、あなたの方の計画によつて一定量買入れるというけれども、これは三月なりあるいはその時期になりまして――一定の時期になりました場合には、いつでも金利、倉敷を加算したものを無制限で買い入れるということでありませんと、その途中になつてまた政府の買上げの数量が非常に少いということになると、販売機関の荷が非常に重くなります。でありますから、ある程度までその売れ残つたものに対しては、残額は全部政府が買い上げるのだというふうな原則で行つてもらいたいと思いますが、その点はどうですか。
  132. 前谷重夫

    ○前谷説明員 お答え申し上げます。われわれといたしましては、一つの政府としての買入れわくはあるわけでございますが、菜種につきましても大体五十万俵という計画を持つたわけであります。そのもとに百二十万俵の生産者における自主調整計画を進めまして、現在におきましてはその残りが十万俵という程度に非常にスムーズに進んで参つたわけでございます。同様の考えをもちまして、澱粉につきましても、生産者団体の買入れ数量は自主調整計画では相当大きい。そのもとにおいて生産者団体の見通し等も加味しまして、大体この程度なればやつて行けるだろうということを十分打合せて、買入れ数量は決定して参りたい、かように考えております。
  133. 中澤茂一

    中澤委員 関連して小倉さんにお聞きしたいのですが、実際再建整備指定なつている組合なんか、単協へ入つてみると全然資力がないんですよ。そうするとさつきお話の、村が協力すればいい。これは実は下高井郡の堺村の東部組合でおとといも問題になつているのです。村が協力しない。いやだ、あんなぼろ組合へ村のバツク・アツプで金なんか貸せるかというのです。これは事実起つている問題なんです。長野県の場合なんか、再建整備指定なつておる組合は全然金がないですよ。そこでそんなものは信連でめんどうを見ろということになる。ところが、信連もこの際裸になつてしまえばいいだろうと私ら農民団体としては言うんだけれども、なかなかそういう組合は融資をしぶつている。これは非常に危険がある。これは営農資金というけれども、実際は半分か、まごまごすると三分の二くらいは食いつぶし資金です。だから実際食えないんだ、そういう具体的な問題が現に起つておるんですよ。かつて私は小倉さんに、協同組合は一切自まかない態勢でやれ、せつかく再建整備で幾らか緒について来た協同組合を壊滅させる、これに対して対策はあるかと言つたら、あなたは実際に問題は出て来ていないから、まだ具体的な対策は立てていないとおつしやつたけれども、そういう形が現実にもう出て来ておる。そこであなたの方で本日、そういう系統金融機関に対して県内で自まかない態勢を確立しろということを言つておる。これはとんでもない間違いなんですよ。中金の資金操作で四百八十五億というものが出るか出ないか、これ自体も問題のところへ、県によつて優秀な信連は自まかないもできるかもしれないが、私はおそらく全国の信連で、自まかないのできる信連というものは少いと思うのです。それを自まかない態勢をつくれ、やむを得ざる場合中金から融資を受けろ、こういうことを小倉さんのところの金融課から今日要望事項として指令を出しておる。これは私は逆だと思う。中金からどれだけ資金を信連へ流してやる、だから信連は単協に対してもどの程度融資はしやれというのが本筋であつて、県内信連が自まかない態勢をつくれという要望事項は、これは話が逆ですよ。そういう点について小倉さんはどう考えておるか。さつきも芳賀委員の質問に対するあなたの答弁を聞いておると、村でそんなものは協力すればいいという。実際問題としては、そういう再建整備になつておる組合へ、村の財政の中から営農資金で村がバツク・アツプしてやるということはやらないんですよ。これに対して私は、むしろそういう再建整備になつておる組合は、中金みずからがまかなえというのが本筋だろうと思うのです。これに対して経済局長は、金融課としてどういうわけでこういう指令をお出しになつたのであるか。一応お聞きしたい。
  134. 小倉武一

    小倉説明員 今お尋ねの点は、一つは協同組合の信用力の問題と、もう一つは資金源の問題とこの二つになると思います。資金源の問題につきましては、これは春の凍霜害以来のものを合せますと四百八十五億になります。これを単協なり信連でもつてくふうせずに、中金だけでくふうして参りましてもなかなか金繰りがつきかねる。ことに資金の逼迫期になりますとそういう問題を生じて参りますので、できるだけ地元でくふうしていただきたい。できないところはもちろん中金それから政府の方でもつて心配しなければならぬと思いますが、できるだけひとつ地元でくふうしてもらいたいという趣旨でございます。まだ正式に指令といつたようなものを出していないと思いますが、私ども話しているのはそういう趣旨でございます。  それからもう一つは信用の問題でございまして、資金は何とかくふうはできる。しかし金融機関から見れば、信用のないところへは金が流れないといつたようなことは当然あり得ると思うのでありますが、今回の営農資金の特別措置趣旨にかんがみまして、そういうことでほうつてはおけないこともこれまた御指摘通りでございます。ただその場合の一つの手段として、普通のところならばたとえば県と信連だけの保証契約で行くが、特に信用力の薄い単協については、村も一はだ脱ぐというようなことも一つの方法ではないかというようなことで申し上げたのでございまして、そういうところを全部その村にしわ寄せして行けるかということになりますと、これもおそらくそういうことにはならぬと思います。これは特に信連ががんばつてもらわなければいけないと思うのでありますが、そのやり方といたしましては、たとえば直接農家に貸し出して行く員外利用みたいなことになりますけれども、事実上信用組合としての村の協同組合が居眠り状態にあるようなところは、信連が員外利用というようなことで直接に農家に貸し出して行くといつたようなことも今回のような特別の場合には考えていいのではないか。そういうふうないろいろの方法でもつて金が流れて行くようにくふうしたい、かように存じております。
  135. 中澤茂一

    中澤委員 どうもその考え方が局長逆なんですよ。そういう考え方では実際問題として、被害率が六、七割になつておるような村、つまり私が今申した下高井郡堺村の東部農協の場合、先ほどの話でもつて、村の当事者と両方呼んで私が中に入つたのですが、村ではどうしてもそんなものはバツク・アツプできないという。ところが積雪地帯で雪が二尺以上も降つておる所で、協同組合としてはすぐ飯米の麦を買いたいのですよ。少くとも二百俵の麦をどうしても買い上げなけばいかぬ。乾麺もできれば三百箱ぐらい実際に食わせるためには必要だというのです。その金をどうしても信連の方からやり、それから村の方から何とかしてこれはひとつバツク・アツプしてもらわなければいかぬというので、私は村の当事者を集めて、この際何とかひとつこれをやれと言つても、村ではこれを拒否しておる。こういう現実が至るところに出ておるのですよ。だからこれに対しては、委員会ではあれだけやつ、たけれども、いま少しつつ込んだ方法をわれわれは考えるべきだつた。要するにそういうような融資に対する何らかの方法考える必要があつたと思う。そういう状態は長野県ばかりでなくて、今至るところへ出て来ておる。だからあなたのおつしやる県内自まかないの態勢ということもいいけれども、それよりかまず先に政府の責任においてこれは解決すべき冷害なんですよ。当然中金が優先的に融資すべきなんです。そうしてそのやむを得ない場合の解決は政府が責任を持つべきだ。ところが今度の冷害対策は、御承知のように系統機関が全部これを利用し、そうして農民自体の力でやるだけであつて政府はこれほどの大冷害に対して一体どれだけのことをやつたかということを私は言いたい。それともう一つ、要望事項の中に資金の効率化をはかれということが書いてある。資金の効率化ということは、これは今資本主義社会だからしかたがない。資金の効率化ということは考えなければならぬでしようが、死ぬか生きるかの境のときに、こういう資金の効率化だとかいうことでこれを拘束するということは、これはまさに人道上の大問題だと思うのですよ。だからこういう点について、もつと血も涙もあるような考え方を持つてもらわぬと、こういう要望事項でやつたつて、一体協同組合として、私は前に申し上げたように、来年の三、四月になつたら、これはえらいことになる。おそらくこれをしよい込だんために動きがとれなくなつて来る協同組合が一ぱい出て来ると思う。今まで再建整備であれだけ騒いで、百三十億円しよい込んだ借金の利子補給は、今度六億五千万もらつたけれども、こんなことでこの問題はどうにもならなくなつて来るので、結局再建整備に対するところの一大強化を必要とする段階が私は来ると思う。だからそれに対して、いま少し基本的な考え方をかえてもらわぬと、何でもかでも、これは県の信連が皆しよい込んでしまえ。あとは国の方は知らぬ顔、できることなら、中金の金もなるたけ出さないようにした方がいい、こういうような考え方は、私はどうかと思う。これに対して今後、何らかの対策を今のうちから考えておかないと、どなりたくないが、どなるような段階が私は来ると思うのだが、それに対して小倉局長、何か頭のいいところで、具体的な対策があるなら、ひとつお示しおきを願いたいと思います。
  136. 小倉武一

    小倉説明員 資金の効率をはかるという趣旨でございますが、これは私の方も、今回の営農資金資金源は、たとえば政府資金であろうと、中金であろうと、いずれも同じ問題でありますが、特に相当部分を組合金融の内部の蓄積した資金でまかなうということになりますと、それが外部に流出してしまつて、組合系統金融などに還流して来ないということでございますると、組合金融自体を弱化して参ることになりますし、今後のいろいろの施策にも、非常に影響して参ります。そういう意味で、資金の効率化ということは、私ども必要じやないかというように思つております。だからそういうことをネタにしてと申しまするか、そういうことを言いがかりにいたしまして、当然国なり中金でめんどうをみるべきものをみない、こういう趣旨ではございません。  それから、今回の冷害その他の災害等によりまする協同組合の経営に対する今後の影響でございますが、これは御指摘通りいろいろ心配すべきことが起り得るかとも思います。そういうことにつきましても、御指摘のように再建整備等の関連におきまして、十分今後検討いたしたい、かように思つております。
  137. 中澤茂一

    中澤委員 そうして最後にこまかいことが書いてある、なお協同組合組織の整備はこの機会を逸してはならないと思う、この際この系統利用を推進し、協同組合組織の強化に寄与せられるよう措置されたい、これはまるで逆なんですよ。つぶれるか生きるかの境へ追い込んでおいて、この際組織の整備は機会を逸してはならないなんてこういうことは、雲でも食つた生きている人の言うことであつて、私はこれを見て、何とまあ農民から浮いた考えを持つているのかと感無量なものがある。組織の整備強化はできることではありません。再建整備に乗つて来たものがつぶれるのですよ。これはしまいにこういう名文句が書いてあるから、最後に一言、こういう名文句はひとつやめてもらいたいということをお願いしておきます。答弁いりません。
  138. 芳賀貢

    ○芳賀委員 先ほどの食糧庁長官のお話では、具体的に澱粉買上げに関する熱意というか、具体性というものがまつたく欠除しておるとしか言えないわけです。とにかく価格安定法の持つ性質というものは、結局生産農民に対する経済上の力を与えるということに尽きるのであつて、そういう場合において、適切なる時期を失つてから買上げするということの場合に、どこまでその効果が現われるかということなんです。それから先ほどから繰返して聞いておるにもかかわらず、年内のいつ、第一次の買上げをやるだけの腹があるかないかという問題と、見通しとしてどのくらいのわくの買上げをやる考えであるか、これはもちろん予算的な面もあるわけなんだから、それを表明できないということはないと思う。菜種の場合においては大体五十万俸ぐらいは買うということを言つておる場合に、澱粉の場合においては数字が少しも出て来ないということはどういうわけです。
  139. 前谷重夫

    ○前谷説明員 お答え申し上げますが、澱粉につきましては、御承知のようにかんしよ澱粉とばれいしよ澱粉と両者を見合いまして、一定の数量の買上げをやるわけでございますが、これはやはり先ほども申し上げましたように、あくまでも政府は最初から買い上げると申しますか、政府が先に進んで買い上げるという建前ではございませんで、やはり生産者団体の自主調整を先に立てまして、それによつて市価を維持し、また生産者団体の自主性による販売調整を尊重し、そのうしろに政府が控えまして、その販売調整がうまく行くということを庶幾いたしておるわけでございます。最初から政府が買う買うということでは、生産者団体の自主性というものが全然ないわけでございまして、そこにわれわれは非常に期待いたしておるわけであります。ただ数量の点につきまして、生産者団体の計画の中で幾らするかということを今打合せ中でございますので、その点御了承を願います。
  140. 芳賀貢

    ○芳賀委員 長官の、うしろに政府が控えておるという、その控えておるので困るわけです。控えてこれを保護するという場合はいいのですけれども、控えておつて、逆にだんだん足をひつぱつて農民を窮乏に陥れるというのが、小倉さんもさつき言われたように、災害地に対する営農資金の場合も、澱粉の買上げの場合も同じなんですけれども、両方から、控えておつて足をひつぱつて、そうして食うに困つて政府的なそういう気持をあおる考えであれば、これはりつぱでありますけれども、そういうような決意も全然ない中において、生産者団体が国内における過剰的な様相を呈しておるところの澱粉等に対して、系統みずからの力で販路を開拓したり市場を求めるという余地がどこにあるか。そういうような道をまず政府が開くというところに、この問題のねらいがあると思うわけですが、まつたくそういうことに触れなくて、たとえば澱粉の市価をだんだん下げるような、それほど必要でもない砂糖を無制限に入れて、むしろ逆に澱粉の価格を国内において引下げるような形をとつておる。それから安定法ができても、それは何ら効果を表わすようなものにはならぬというようなことなんで、結局単純に言えば、政府がことしはどれだけ買上げするということを発表しただけで、この市価というものはある程度安定すると私は考えておるわけですが、それは間違いですか。
  141. 前谷重夫

    ○前谷説明員 先年の澱粉買上げにつきましても、芳賀委員も御承知のように、大体二千万貫を買い上げたわけでございます。しかしこれはあくまで結果でございまして、昨年度におきましても、生産者団体としては、それ以上の調整計画によつて共同販売態勢を推進して参つたわけであります。その計画が主体になつて、それによつて市価が維持されるべきものだと思う。政府の買上げのものはその一部分でございまして、政府の買上げを発表することは、もちろんこれは市価維持にはある程度のきき目があるかと思います。むしろ国全体の自主調整計画が発表されて、そのもとにこの自主調整計画が政府のバツク・アツプによつて十分に遂行できるということが、より以上の効果があろうと思います。従いまして、御指摘のように、現実の事態に対しましては、生産者団体のその計画というものを早急に進めていただきたい。それには金子委員のお話のように、資金のあつせんにおいても十分に努力いたしたい、かように考えておりますので、御了承を願いたいと思います。
  142. 芳賀貢

    ○芳賀委員 長官の言われることは一応話としては聞えるわけでありますけれども、実際に現在の生産者団体が、みずからの力で市価を安定させるという経済的な実力を持つておるかどうかという評価にあると思うのです。営農資金の場合においても、協同組合の組織の内面において資金源を求めていられる、この安定法の場合においても、まず自分の力で市価安定をやるべきであるということなんですが、そういう経済的な力というものがどこに隠されておるかということは、まつたく私たちにはわからないのです。今度の災害等による資金融通にしての、たとえ生共済金予算が八十五億になつておりますけれどもあとの足りない分は一応中金にこれを依存するというような方針でもあるように考えているわけですが、はたして中金であるとか信連がそういうような強大な力を蓄えておるかということは、これは今ここに問題を提起するまでもないことだと思うのです。力がないからしでいろいろな法律をつくつて、たよりにならぬ政府ではあるけれども、それに依存せんければならぬということが考え方の基本なんです。だからもう少し具体的に親切に、澱粉の買上げをやる場合においても、今の政府予算上の力では、この程度しか買う力がなければない、そういうことをむしろ表明せられた方がいいのじやないかと私は考えるのですが、その点はいかがですか。
  143. 前谷重夫

    ○前谷説明員 農産物、特に澱粉でございますが、澱粉の自主調整の場合には、全国販売組合連合会に対しまして中央金庫から融資をいたすわけでございます。それが末端系統機関を通じて買上げをやるということで、官庁の資力によつてやるということではありませんで、中央団体からその資金を流して行くという考え方でおるわけです。ところが中央団体の計画が目下いろいろ検討されておりまするし、政府の買上げ数量につきましては法律にもございまするように、やはり需給上一定の生産があり、そうして一定の需要がある、それ以上にはみ出るものを政府が買上げる、こういう形になつているわけです。そういう点について今検討をいたしておるわけでありますが、できるだけそういう点を進めて参りたい、こういうふうに考えておるわけであります。
  144. 芳賀貢

    ○芳賀委員 いつまで論議しても期待に沿うようなお答えがないので、最後にもう一点お伺いしておりますが、現在全販に対して安定法に基くところの売込みの希望を生産者団体がどのくらいにしておるかというような、その概算の数字と、それから食管会計の中において当然この買上げを行うわけでありますが、その総体の予算のうちにおいて、品目に大別して澱粉であるとか、切りぼしであるとか、菜種等をどういうような見通しで買上げなければならないか。これは説明がつくと思いますが、この二点をお伺いします。
  145. 前谷重夫

    ○前谷説明員 ただいま、第一点の御質問につきましては、目下全販におきまして計画を立てておりますので、その詳細な数字を持つておりませんが、調べまして御報告いたしたいと思います。  第二の点につきましては、御承知のように現在切りぼしかんしよ七百万貫と、澱粉二千万貫を政府が手持ちをいたしておるわけであります。今後の政府の買上げにつきましては、一応予備費を予定いたしておりますが、われわれといたしましては、自主調整計画を進めて参りまして、それが軌道に乗ることによりまして政府の買上げは後にずれる。と申しますのは、昨年度の状態から見ましても、四月以降に買上げが始まりましたために、生産団体がこれを売却すると申しますか、市場に出して行く期間というものが非常に短かかつた。そのために生産団体としても完全な自主的な活動ができなかつた、こういう事情でございますので、本年度はできるだけ早く生産団体が活動を始めまして、三月までの間にそれが活動いたしまして、そして四月なり五月なりに大体活動が終つたところで政府が発動するということが、生産者団体の自主的な活動を促進する意味でも必要であろうというふうに考えておるわけであります。
  146. 芳賀貢

    ○芳賀委員 もう一点、これは別な問題でありますが、本年の供出米の代金に関して、超過供出分に対して――これは当然聞くまでもないことかと思いますが、いわゆる完遂奨励金、改進党等の諸君に云わせればこれは基本価格であるということで未解決の点が残つておりますけれども、この超過供出の分に対して当然支払わるべきものであると考えますが、その見解に違いはありませんか。
  147. 前谷重夫

    ○前谷説明員 完遂奨励金につきましては、この前の予算の補正のときにおきましても、義務供出に対して完遂奨励金を出すということになつておるわけでございまして、われわれといたしましては現在その考え方で進んでおるわけであります。
  148. 芳賀貢

    ○芳賀委員 そうすると義務供出というのはどれをさすのですか。結局今までの通念的に言う義務供出と、もう一つは確保量というのと二つある。私たちの判断では――長官の御意思もそうであると思いますが、確保量に重点を置いて、ことしは米の供出に大きな期待を持つておるわけだと思うのであります。そうすると確保量のこの義務の範囲内においては完遂奨励金を出して、爾余の分に対しては出さぬ、そういうお考えですか。
  149. 前谷重夫

    ○前谷説明員 お答え申し上げます。われわれ確保量としてお願いいたしておりまするのは、義務供出にプラス・アルフアーとして、超過供出を、県の責任において最小限度これだけは需給の面からいたしましてお願いしたい、それ以上さらに超過供出を大いにやつていただきたい、こういうことをお願いいたしておるわけでございます。従いまして確保量の中には、義務供出と超過供出とがあるわけでございます。われわれといたしましては、本来の義務供出に対しまして完遂奨励金を支払うという従来の考え方を踏襲いたしておるわけであります。
  150. 芳賀貢

    ○芳賀委員 ただいまの御発言は重大な発言であると思いますが、第十六特別国会において保利農林大臣は、この供出量全量に対して八百円というものは支払うのだということを明確に言つておるわけであります。その考え方が大分ずれて来ておると方えてさしつかえありませんか。
  151. 前谷重夫

    ○前谷説明員 お答え申し上げます。先般の国会におきまして問題になりましたのは、義務供出量の範囲内におきまして義務供出量を完遂しない場合にいかに取扱うか、こういう問題のように私は記憶いたしておるわけであります。つまりそれは義務供出量に対して、その義務供出量を完遂しない農家に対してどういう取扱いをするか、また完遂しない町村の完遂農家に対してどういう取扱いをするか、こういう問題であつたように記憶いたしておるわけでありまして、それにつきましては、完遂いたしました町村については完遂後すぐ支払う、その他のものにつきましては、知事指定する時期に農林大臣がその時期を承認いたしまして支払う、かようになつておりまして、現在石川県等におきましては、未完遂町村に対しましてもある程度の支払いを開始いたしておるわけでございます。
  152. 芳賀貢

    ○芳賀委員 この奨励金の問題は、本日ここで論議を尽すことはできないと思いますけれども、問題は、名前は完遂奨励金であるけれども、これは実質的には基本米価であるという解釈が今まで支配的であつたわけであります。今の長官のお言葉によると、これはまつたく字の通りの完遂奨励金である。しかも義務供出量に対してだけの奨励金であるということになるわけでありますけれども、それはあくまでもその解釈で押し通して行かれる考えでありましようか、念のためにお伺いしたいのであります。
  153. 前谷重夫

    ○前谷説明員 供出完遂奨励金の性質についてはいろいろ御議論があるかと思います。ただわれわれといたしましては、先般の基礎におきましてもやはり義務供出量を基礎にいたしておりますし、義務供出量をもつてその対象とする、ただそれを完遂しない者にも払う、その払う時期をどうするか、こういう問題のように了承いたしておる次第であります。
  154. 金子與重郎

    ○金子委員 今芳賀君の質問の八百円の問題が、予算科目がないために、八百円というものを結局科目のある完遂奨励金という中に入れた。そしてあのときの三党の申合せに、この供出奨励金というものは、完遂した場合でもしない場合でも、それは払うのだという意味の申合せがしてあるのでありまして、それは多分長官はその通り御存じだと思いますが、それ以外のものに対して、実は改進党が最初にあれを打出したときには、あれは基本米価として打出したものなのです。それが今申合せ書を見てもわかる通り、ほとんどうやむやのような形に結論がなつた。従つてその論議は別といたしまして、ことしの事情といたしますと、それが町村が完遂したときだとか、あるいは県がしたときとか、いろいろ論議がありますけれども、とにかく基本米価に近いものであることは確かなんで、そうすると完遂しようがしまいが、これは全額払うという建前には間違いないと思うのであります。そこで町村が供出を終つたときとか、あるいは個人が完遂したと言つても、こういう不作になりますと、実際に無理な割当も末端に行われるかもしれない。そういう場合でも、この八百円は払うことを拒むようなことは絶対しないでしようか。
  155. 前谷重夫

    ○前谷説明員 われわれもその支払いの時期といたしまして、供出量の関係で、知事がいつ支払つてくれという知事からの申請に基いて、承認をして支払いを開始することになつておるのです。義務供出につきましては、その範囲内で全量を払うという考え方をとつておるわけでございます。
  156. 芳賀貢

    ○芳賀委員 ただいまの問題は、農林大臣の出席を求めて、そこで明確にしてもらいたいと思います。その理由は、昨年より一千三百万石も減収であるというような異例の年において、これはあくまでも、国内においてもでき得る限りの供出量を確保するというところに重点があると思うわけであります。さらに不足な分は、外米等に依存するわけでありますが、こういう奨励金を超過分に加味したといたしても、それらは輸入米価から見れば、決して高いものではないというふうに考えておるわけでありますが、かかる観点の上に立つて、私は農林大臣の出席を得て、さらに所見をただしたいと思いますけれども、本日御出席ができないとすれば、委員長のお考えは、明日さらに継続される御意思であるかどうか……。
  157. 井出一太郎

    井出委員長 ちよつと速記をやめて。     〔速記中止〕
  158. 井出一太郎

    井出委員長 速記を始めて。足鹿君。
  159. 足鹿覺

    足鹿委員 私は食糧庁長官に二つの問題をお尋ねをいたしたい。満足すべき御答弁が得られない場合は、何らかの処置に出たいと思いますので、そのつもりで、いつもまじめな御答弁をいただいておりますが、特に入念に考えていただきたい。問題は簡単であります。  第一は、時間があればゆつくりやりたかつたのでありますが、時間がありませんから、簡単に申します。すなわち昭和二十九米穀年度の需給推算については、先般来政府は、諸条件が悪化する実情から、慎に慎重を重ねておられると思います。今や大体確保数量の予定は一応見通しがつきましたし、外米の輸入計画等についても巷間いろいろ伝えられております。小くともこの閉会中に際して本委員会が開かれたのでありますから、この需給推算の政府の見通しを、この際資料としてでも、あるいは口頭でもけつこうでありますから、御提示を願いたい。これに関連をいたしまして、三つのことをお尋ねしたい。すなわち、新聞紙等いろいろな報道によれば、内地米の配給減が来春ころから行われるやに伝えられておるが、これに対してはやむを得ない事態もあろうと思いますが、政府はどういうふうな考え方によつて、内地米の配給減に臨んでおるのか。  次に労務加配米の削減が伝えられて、われわれの方にも相当陳情文が殺到しつつある。特に自由労働組合方面のその動きが非常に強いようであります。ニコヨンのわずかな日当をもらつておる人々が、一番敏感に労務加配米の削減等にはこたえるのではないかと思いますが、一般の労務加配米の点について、削減するのか、しないのか、その点を明確にされたい。  なお、MSAによつて一千万ドルの小麦の輸入がまことしやかに伝えられておる。食糧庁としては、このMSA小麦輸入についての態度いかん。一般商取引によれば、優良なものがもつと安く入つて来るはずなんであつて、これはよく内容を知悉しなければわかりませんが、比較検討して、どういう見解を持つているか。時間がありませんから、これを最初に要約して、食糧需給推算と、それの関連事項として、お尋ねをいたします。
  160. 前谷重夫

    ○前谷説明員 われわれ食糧需給の問題については、できるだけ早く御報告いたしたいというふうに考えておつたわけであります。ようやく昨年度の実績がまとまりました。今月の十五日までにおきまして、昨年度の府県別の実績がわかつたわけであります。それに基きまして、持越し数量等を算定いたしまして、目下各府県におきまする需要の検討をいたしておりますので、これができ次第――これは早急にできると思いますが、御報告いたしたい、かように考えております。需給計画の考え方といたしましては、現在消費県に対しまして、最低十五日の配給をいたしておりますが、この配給量はぜひ確保いたしたいという考えのもとに、需給計画を組んでおるわけでございます。ただ足鹿さん御承知のように、全体の内地米と外米との構成が、昨年度より内地米が落ちております。従いまして消費県におきましては、昨年度と今年度との内地米の構成は、やや内地米が減少して参るということになろうかと考えております。ただまだ供出状況が最後に至つておりませんので、十二月までは大体現行程度の維持をはかつて参りたい、かように考えておるわけでございます。労務加配につきましても、これはやはり全体の需給計画としては、これを確保するという考えで進んでおるのでございまして、現在これにつきまして、一般的な純粋の労務加配につきましては、これを確保する考え方のもとに、需給計画を組んでおるわけでございます。  MSAの問題は、実はわれわれもまだ具体的に内容は存じておらないわけであります。数量的に新聞紙上等におきましても、いろいろあるわけでございますけれども、その価格等につきまして、まだどういう価格でもつて参るかというふうな点につきまして、詳細判明いたしておりませんので、食糧庁といたしましては、その内容がはつきりいたしましてから、これに対処いたして参りたい。と申しますのは、今年の作柄の状態からいたしまして、われわれといたしましても、小麦、大麦等の輸入増加は今後はかつて行かなければならないというふうに考えておるわけであります。
  161. 足鹿覺

    足鹿委員 MSAの問題は、まだ実態がつかめないということは無理からぬことですが、しかし大体において見当はついておると思いますが、これはお困りになればきようでなくてよろしい。ただ需給推算については、これはすみやかにわれわれの方に御指示を願いたい。いつも約束されるけれども、なかなか大事な資料が出て来ない、早くこれはお示し願いたいと思います。  次に凶作加算の問題について申し上げますが、またお尋ねもいたしますが、最近の新聞によりますと、凶作加算の算定基礎について政府はいろいろと修正するような御意向が出ております。これはただ単なる推測記事ではない。たとえば本日の朝日新聞の「予想越える凶作加算農林省取扱いに苦慮」という記事のごときは、これは新聞社の一つの推定だけではこのような記事は出せません。非常に具体的にしかも問題のポイントをよくついておる。また各新聞も連日この問題について一斉に取上げておる。それほどこれは農民にとつても関心の的であると言わなければなりません。要約してお尋ねを申し上げますが、今までの概算払いとしての五百円は、基本米価に繰入れられてすでに決定済みでございますが、今後の総わくをきめられる場合に、一体いつの時点をとつていわゆる作況とするのか。大体において十月十五日現在の作況は八二%でありまして、これより下まわるといえどもそう大きな数字ではないと私どもは思いますが、推定実収高をまつてきめられるのか、あるいはこの十月十五日を時点とするものとしてきめて行かれるのか。大体その時点のとり方としては、九月十五日現在あるいは十月五日、十月十五日現在、もう一つは推定実収高がきまつたときと、一応この四つが考えられますが、近く米価審議会の小委員会を招集される意思があるやに仄聞しておりますが、いずれにいたしましてもこの四つの時点のいずれをおとりになるのか。私はこの四つ以外にとる時点はないと思います。そこで九月十五日現在で行きますと八九%でありますから、二・五の誤差率で行けば七百十五円になるし、四・七%で行けば五百十八円になります。十月五日現在は八三%でありますから、二・五%の誤差率で行けば千三百六円、四・七%で行けば千八十円ということになる。今度の一番新しい十月十五日現在で行けば千百九十一円と千四百十二円となる。そこで十月十五日現在をとつて行くと、いわゆる食管財政に非常に大きな赤字が予想される。また消費者米価との関係政府はいろいろと苦慮しておられるがごとくでありますが、このいずれにいたしましても、麦の場合においても誤差率は二・五%ということで――大体本年の麦の凶作加算の場合は一つの先例もできておる。これをいろいろな食管会計の赤字がふえるから、あるいは国家財政が困るからというようなことで、とにかく当然あるべき姿のものを加工して、政府が恣意的に修正をして行くということになりますならば、農民に対するところの信頼感というものはゼロです。かつて政府がもういかような約束も信義も、いかようなものも全部これをひつくり返すというようなことになりますならば、これは重大問題であります。もうすでにその傾向が現われて来ておる。伝えられるところによれば、凶作加算を出したところは凶作ブームになり、冷害地は一文にもならない。そして農村の階層分化を促進するからこれはよろしくないなどということを、政府の要路の人たちが非公式のときに私どもに言うのです。私はそういうばかなことはないと思う。しからば凶作のときでない去年、おととしとずつとさかのぼつて考えてみたときに、一定のところは常に災害保険金をもらつておるじやありませんか。もらわないところだつてたくさんあるのです。そういうことを一々取上げて、これが農村の階層分化を促進するからというようなことはへりくつです。事実を事実として当初の約束に従つて、信義に基いてやつて行くのが、これが政治であり、正しいことだと私どもは思う。これをいろいろ歪曲し政府の恣意によつていかようにでもかわるものだということであるならば、今後は私ども政府に対して――少くとも前谷さんの良心性というものに対しては、私どもは相当信頼しておりましたが、主管庁としての長官がそういう御意思を持つておられるとすると、私どもも今後これは真剣な意味において、実際考えさせられる。そういうふうに考えて来て、最近伝えられるところによると、凶作加算の問題についてはいわゆる基礎数字修正する。その修正の仕方は農業共済保険金を加味して行くと伝えられておりますが、農業共済保険金というものは政府方針に従つて農民がみずから非常時に備えて掛けるというのが建前であつて、そのものを凶作係数に対して一つの要素として、いわゆる凶作加算から差引いて行くということになりますならば、これは農業共済保険金の制度自体に対するところの大きな問題です。金をやるのだからこれはよかろうというような、そんなばかな話はない。今度は冷害金融の場合には、これに対して一応融資わくの中から現実に行くのであるから、これを差引くということならわかります。これはあくまでも差引いて行くものならわかります。これは当然農民が国家の法律に従つてもらう権利があるものです。それを凶作加算との問題の関係においてある程度相殺をして、そして当然出て来るべきところの凶作係数に修正を加える、その基礎にいろいろと手を施すというがごときことがありますならば、これはゆゆしき問題です。われわれは断じでそういうことは許しません。その点について一体どういうふうにお考えなつておるのか。共済保険金あるいはその他のものをもつて作況指数の算定基礎を動かして、そして今後の凶作加算の問題を考えておられるのか、基本的にどの時点をおとりになるのか、凶作加算に対してはどういう基本方針で、率直なもので行かれるのか、一定の修正を加えて、算定基礎を動かして行かれるのか、どれを使われるかということは、一例として私は共済保険金の問題を申し上げましたが、どれを使われても私はいかぬと思う。ただ農林大臣の定められる平年反収の誤差率の範囲内でということがありますから、その誤差率について米価審議会やいろいろな学識経験者の意見を徴せられるということについては、あえて私は文句はいいません。これは当然慎重にお考えなつてよろしかろう、しかその大きな数字の出ることを予想して、いろいろとこれに加工を加えるということに至りましたならば、われわれは断じて糾弾をしたいと思う。基本米価以上の問題としてこの点を糾弾して行きたいと思いますが、この問題について食糧庁長官は、主管長官としての御所見を持つておられますか。もう目の前に問題は迫つて来ております。しかも冷害地はこの問題をそう考慮しておらないなどということを言う人がおりますが、もつてのほかです。冷害地といえども、この問題については重大な関心を持つております。現に本年度の割当が実情に即したせいもありましようが、確保数量が次々とすでに完了の域に達しておるということは、そのこと自体冷害地においてもこの問題が大きくはね返つて来るということでありまして、これをただ単にいわゆる冷害地帯とそれ以外のものと階層分化がこれによつて開いて来るというようなへりくつをもつて葬ろうとするならば、一大反撃が来ることを予想されて行かなければならないと思う。この点について明確な御所信を承りたい。
  162. 前谷重夫

    ○前谷説明員 お答え申し上げます。  実はこの減収加算の適用につきましては本年度が初めてでございます。麦につきまして一応の減収加算の方式が出ましたが、適用されるのは今年の事態が初めてでございます。従いましてその減収加算の方式につきましても、実は今までその方式自体について、いろいろ考え方につきましても議論があり、また減収加算の方式について十分にこれが検討を加えられてはおらないと考えておるわけでございます。たとえて申し上げますと、減収加算の意味が一体どういう意味なのか、価格補償という考え方なのか、あるいは収入補償という考え方なのか、あるいは生産費の補償という考え方なのか、学者の間においていろいろの議論があるわけであります。そういう点を十分に検討いたしまして、ここに新しい方式が生れて来るべきではないだろうかと私は考えております。そういう意味におきまして、小委員会をつくりまして、その方式を新たに十分に練つていただくというふうに考えておるわけでございます。ただ時点につきましては、われわれ従来から推定実収高をもつて時点といたしたい、かように考えておるわけでございます。ただいま足鹿さんもお話のように、麦につきましての一応の考え方がいろいろあつたのでございますが、これにつきましてもどういう意味で、どういう方式が妥当なりやということの検討につきましては、不十分な点があつたわけでございまして、そういう点を十分に今後学者間の御意見も伺つて検討して行きたい。そうしてそこに新しい方式が生み出される。その方式に従いまして、実収高が判明いたしました場合に算定いたして参る、こういうふうに考えておるわけでございまして、特に既存の方式を加工するということではございませんで、新しく初めて減収加算の方式がここに生れて来るというふうに、われわれは考えておるわけでございます。
  163. 足鹿覺

    足鹿委員 そんなことを聞いておるんじやないですよ。それはもちろん御答弁をまつまでもなく、今までしよつちゆう聞いておるのです。ただ問題は具体的になつて来ておりますから、それはあなた方の責任だとは言いません。報道機関やいろいろなものの記事をそのまま私はあなた方の意見だとは考えません。しかし問題は一つの推定記事ではないんですよ。これはもう今度の第二次臨時国会は消費者米価の問題と、仲裁裁定及び人事院勧告等が中心臨時国会であるということは天下周知の事実だし、政府もそのつもりで御召集になつておるのです。そうなれば、消費者米価が出て来れば、当然この凶作加算の問題や、いろいろなコスト主義に基くところの消費者米価との関係が生れて来ると思う。従つてこれは政府の内部においてもいろいろ検討が行われておればこそ、いろいろな資料が流れ出て、こういう一つの輿論がいろいろな報道になつ現われて来るんです。ですから私が今聞いておるのは、時点の点ははつきりいたしましたが、要するにあとの問題については、まだ凶作加算というものは、一つの方式自体が固まつておらないという御意見でありますが、そう大して固まつておらないことはありません。麦の場合等におきましても、誤差率を二・五%とる一つの算式を示してあのものが出ておるのです。だから麦の場合と米の場合がそう大きくかわるはずのものではないと私は思う。政府がこのたびの凶作の意外な広汎で深刻なのに驚いて、大きな財政負担がかかつて来る、そうすると今度は消費者米価との問題で、野党の攻勢が始まつて来るというようなことをいろいろと勘案されるから、だんだんこの問題に対して圧力を加えて、最後に残されたこの凶作加算金の問題についてあなた方がいろいろと検討、といえば体がいいが、事実はこれをいかにして縮めるかということに全力を注いでおいでになる。現に私は個人的にあなたの部下の人たちから、プライヴエートな話のときにいろいろ批評は聞いおるのです。ですから私はプライヴエートな話をここで持ち出そうとはしませんが、そういう方向にあるということは、これは長官、あなたが何ぼここで米価審議会の小委員会にかけて、公平にきめるのだと言われても、それで私が引下るわけに参りますか。これはだめですよ。米価審議会で今度はより以上いろいろ問題が出て来る。だから問題がきまつてしまつてから、われわれがあなた達にいかような質問をしてみても意味をなさないのであつて、今この問題に対してあなた方は真剣に考えられなければならないから、私は真摯な立場から申し上げておるのです。その気持をおくみになつて、もう少し具体的に――私の言うのは、いわゆる誤差率をどの程度にとるかということは、確かに問題があると思います。麦の場合は今も雑談中に話をしておつたのですが、これは豊凶の差の著しいものです。しかしこれは最近病虫害の防除が進歩したために、これもそう大きく前ほどはございません。米の場合はやや麦よりも安定性があるということを、これはひとしくその道の人たちが言つておることであります。ですからこれを麦と同様にしろということは私はあえてここで申し上げようとは思いません。そういう点をいわゆる学者なり識者をお集めになつて、その人々の御意見を徴されて慎重に決定せられることは――いわゆる誤差率をきめるときには農林大臣がいろいろと御研究になるということは約束の上にもあることでありますから、そのこと自体については私は申し上げておるのではない、そのものによつて全体を左右する、しかもいろいろな要素を持つて来る。さつき言いました農業共済保険金等の要素を持つて来て、そしてこの誤差率もかえるし、そして出て来たものをさらに圧縮して行くようなやり方をおとりになる意思があるかどうかということなのです。誤差率の問題については慎重に一つの方式を算定される、しかしその他のいろいろな要素を持つて来て、ここにこれか算定方式たといつてでつち上げられるということは、私どもは承服できません。与えられた条件によつて時点と、誤差率との関係で大体出て来るのです。あとにそう大きな要素はないのです。これはどんな御検討をなさるつもりですか。時点がはつきりして誤差率がはつきりして来れば、あとにどういうフアクターがありますか。これはそう大してありません。これは学者がいろいろと算式を検討する以外に大した問題はない。ただこの誤差率をどういうふうにきめるかということは、あなた方としても非常に慎重に取上げなければならない問題だということはわかつおる。だからほかのいろいろなフアクターを持つて来て、だんだんとこれを圧縮して行くという方針をとられるのか、時点と誤差率の問題とどの要素とどの要素をもつて、どういうふうな構想で行くことが実際正しい算式であり、事実を事実として反映する方式であるかということを検討してもらえばよいと思う。今の情勢というものは、一つの政治的目標や財政的目標が出て来る、それ日にまた合せるように、この問題を腰だめでいろいろ加工されようとするから、私どもは問題にしておるのです。それを私は聞いておるのです。今のようなそういう中学校の一年生に答弁されるようなことは、私どもはわかつておるのですから、もう少しその点をつつ込んだ御答弁を願いたい。
  164. 前谷重夫

    ○前谷説明員 お答え申し上げますが、減収加算の方式自体は、やはり減収加算の持つ意味がどういう意味かということについていろいろな方式があろうかと思うのであります。麦の減収加算の考え方も、その減収加算の持つ意味がどういう意味かということを、実はわれわれも検討不足の点もございまして、その点が明確になつておらないわけでございます。結局先ほど申し上げましたように、その減収加算の意味は、つまりそれは価格補償というふうな考え方のものなのか、あるいは収入補償という意味なのか、あるいは再生産を補償するという意味で減収加算というものをとられるのか、それと現在行われております価格決定方式との関係いかんというふうないろいろな問題があるわけでございます。今度の小委員会におきましては、そういう問題点を出しまして、その問題点に基きまして、いかなる算定方式が適正なりやということを議論していただくという考え方を持つておるわけでございます。従いまして、われわれとしてはこれをいたずらにこうするということではございませんで、初めて適用する減収加算でございますので、その減収加算の持つ意味というものは一体どういうことなのだろうか、それが現在の米価決定の価格の体系の中においてどういう意味を持つだろうか、そういう点を十分つつ込みまして、そこに一つの算定方式を発見いたしたい、そうして時点は推定実収高をとつて行きたい、かように考えておつて、大体今週中に第一回の小委員会を開きたい、かように考えておるわけであります。
  165. 足鹿覺

    足鹿委員 そういう御答弁でも一応わからぬことはありませんが、私の言うのは、もう少しつつ込んで――要するに、政府の今意図しておられるところは、いろいろ飾つておつしやいますが、この問題ついてはいろいろ難点が多い、そこでこの難点を考えた場合には、いろいろ食管会計や、いわゆる国の財政負担の点を考え、消費者米価の点を考えると、どうもこれは疑問だ、そこでなるべくこの難点を避けたい、こういう方針で出されるのだ。とにかくいかような負担がかかつて来ても、今年のような六十年に一ぺんの災害の年には、それが国家補償の線であろうと、あるいは適正価格の構成がどうであろうと、そういうことはわれわれはそう大きな問題ではないと思う。こういうことが毎年々々あつてはたまりません。ですから、こういう年にこそ一つの約束や一つの農民の期待に対しては、率直にこたえて行く、それが財政的にはどういう結果ができようと、それについては政府自身も、また国会もこれに協力して行く、こういう形でないと――こういうことが毎年毎年あれば、とても国家の財政といえども足りますまい。それは私どももよくわかる。しかしこれはいやしくも六十年に一ぺんと言われる大凶作ですよ。そのときにいろいろな難点ばかりを数え立てて、だんだんにその難点から追加払いをどうしたならば少くするかというような方向に向いておるから私は言うのです。ではそういう方向に向いてないのですか。この点は一番重要なのです。そういう方向に向いてないと率直に言えるか。いろいろな当然予想されるべきところのフアクターによつてこの加算額はきめる、こういうことが長官としてははつきり明言ができますか。どうも今までの様子を見ているというと、そうではないようです。その点はどうですか。
  166. 前谷重夫

    ○前谷説明員 あるいはお答えにならぬかと思いますが、やはりわれわれとしては、初めて立てる制度というものを突き詰めて行つた方がいいのじやないか、そしてその持つ意味をいかにして算式において表現するかという形で進みたい。その結果がどういう形になるかということは問題でございます。われわれとしては、この減収加算額は一つの新しい方式としてことし初めてできて参るわけでございますが、その意味を突き詰めて算式を決定したいというふうに考えております。
  167. 足鹿覺

    足鹿委員 減収加算額の持つ意味というものを、長官自体としてはどう考えますか。
  168. 前谷重夫

    ○前谷説明員 減収加算額の持つ意味は、先ほど申しましたように、これを価格補償的な意味で坂上げるか、あるいは農家の粗収入を維持するという形で取上げるか、再生産の意味で取上げるか、こういう三つの考え方が、今まで学者間の意見を聞きますと、考え方としてあるわけでございます。現在の価格算定方式からいたしまして、われわれとしましては、粗収入維持かあるいは価格補償という意味か、その点につきまして、今検討を進めておるわけでございます。価格補償の意味におきましても、現在の統制価格との関係もございますし、粗収入の場合におきましても、これを全体的な意味での粗収入考えるか、あるいは平均的な意味における粗収入考えるか、そこにいろいろな問題があります。その点についていいろ学者間の御議論を検討いたしておる次第でございます。
  169. 足鹿覺

    足鹿委員 いや、検討されておることはよくわかりますが、しかしながら、これはそんな学者がいろいろなりくつをつけることは、あとでいいですよ。いずれにしても農家の実質所得はふえるということなんですよ。せんじ詰めればそうですよ。ほかにありやしませんよ。それは国が出して行く一つの形式をあなた方が議論しておられるのであつて、受取る農家は、これは損失補償であろうが、生産費をカバーするものであろうが、そんなレツテルのついた金をもらうのじやないのです。又取る農家は、とにかく国が目をあけてここまで見てくれた、まことにありがたい、それでいいのですよ。だから、そういうことを一々ここで議論し、ておつたつて始まらない。受取る農民にはそう大きな問題じやないのです。そんな形式は何であろうとよいのです。ただ問題は、率直に、今年の未曽有の凶作というものが反映してこういうふうであつたということなんです。あまりあなた方が形式にとらわれて、いわゆる農民の期待と裏切り、そして今まで農民あと相当もらえるのだと期待しておるのに、それを一つの資料を流しまして、いわゆる言論機関やその他によつてこれを是正しようと試みたり、ある一つの情報を流したりするようなことは愚の骨頂だと私は思う。ことしのような年に、ほんとうに真撃率直に農民の声にこたえて行く、それで私はいいと思うのです。ですから、その方法はいずれであろうとも、一つの方針として財政的にあるいは予算的に、その他のいろいろな条件によつてこのものを歪曲しない方針である、こういう御言明があれば私はそれでいいのです。それを言明されなければいつまでもやる。
  170. 前谷重夫

    ○前谷説明員 お答え申し上げます。われわれいたずらに歪曲するという考え方は持つておらないのであります。ただしかし、それぞれの意味におきまして算定方式が異なつて来るということは当然ではなかろうかという感じがいたすのであります。これにつきましては、ただいまいろいろ議論があり、御注意もありましたが、われわれといたしましては、今後やはり新しくつくるものでございますので、その意味をはつきりさせ、そしてそのもとにおいて妥当な算方式が生れる、その生れたものに対し推定実収高を適用して参る、こういうように考えておりますので、何ら他意があるわけではないのであります。
  171. 金子與重郎

    ○金子委員 関連して。長官、その点は大分時間ばかりかかつてしようがないし、ほんとうのことを言つた方がいいですよ。あなたがそういうような詭弁的な説明をしたつて、それでよろしゆうございますということには解決がつかないのですよ。なぜならば、あなたが今度の豊凶係数を見ることがやれ収入増加の目的か、価格構成の目的か、そんなことをいまさら米価問題で言つたところで、それは話としてはもつともらしく聞えるかもしれないけれども、少し毛の生えた議員ならば、さようなことをそうでございますかとだれが言うものですか。それならば早場米の奨励金は、あれだけの価格の相違があるが、あれは科学的の根拠がありますか、いやありはしませんよ。あれは自由経済当時に早場米が比較的高く売れたから幾らか高く買わざるを得ないのだ。それに単作地帯の奨励金にいたしましても、二毛作にいたしましても、早くできたらそれで出すのですよ。そこに矛盾がある。それから超過供出にあれだけの報奨金をくれてどこにそれだけの価値があるのですか。超過したものに対してあれだけ高く買う理論的根拠は一つもないのですよ。理論的根拠がないから、場当り場当りで毎年毎年ちぐはぐな行き方をしておるのです。だから、長官、それは私は反対た。その理論的な根拠云々と言つたつて、今の米価を構成している要素に一つでも理論的根拠があるか、あると言うなら説明してこらんなさい。絶対にないです。みんな行き当りばつたりのその場間に合せの予算とのにらみ合せで今日まで米価をきめておる。去年三千円の超過供出報奨金をことしは二千七百円にするつたつて、米の価値にどれだけの違いがあるか、あるいはそうすることに理論的な根拠がどこにあるかというと一つもない。ですから今度もそんなことを言わないで、豊凶係数というものを組むことに幸いできておるのだから、こういう際に農民救済をするということなんですよ。だからそれを政府が責任を負わされないように、小委員会に責任を負わせたり、あつちの責任に負わせたりして、そうしてりくつをこねて行くということは、政治ではありません。申訳だということになる。申訳なんかいくらりつぱにできたつて百姓はちつとも腹がふさがるわけではないから、長官は今の立場におかれて、豊凶係数というものをできるだけ経費の中へ入れてもらいたい。この凶作時の米価に対してこの係数を若干入れてもらつたからといつて農民の所得が平年よりふえるというわけに行かないのですから。長官の答弁はいりませんよ、どうせあなたは答弁しろといつたつてしないのだから。私に関する限りは率直に言つた方がいい。そんな学者めいたことを言つて人に責任を転嫁するようなことを、いくら言つたつて承知しやしない。大体米価構成といつてもりくつのついた話じやない。農民がこうして塗炭の苦しみをしておる。しかも今の米の価格の位置というものは非常に低い。そうして何の因果か知らぬが米の価格だけがこくそまつに取扱われて、サラリーマンでも何でも、米の価格が上つたからべースを上げるというように、米なんでいうものはそれだけの位置ではないのに、いつも物価の上げ下げをする一つの道具に使われるのが習慣になつている。とにかく米価の今の位置というものが低いことは事実です。やみ米をあれだけ買つても米を食いたいというのは、自由経済の立場よりも彼らが低く置かれていることは確かなんでありまするからして、あなたはいかにしてこの際りくつをこねて予算を少く出すかということを考える前に、いかにしてりくつを合せてこの豊凶係数によつて農村の救済をして行けるかというふうに、農林省の役人の一人として考えを直してもらいたい、そういうことをお願いします。
  172. 井出一太郎

    井出委員長 ちよつと速記をとめて。     〔速記中止〕
  173. 井出一太郎

    井出委員長 速記を始めて。  それではこの際委員長よりお諮りいたしたいことがございます。先ほど来凶作加算の問題に対する熱心な御議論がありましたが、その最後の締めくくりを行いたいと考えまして、次のような文章に表現をいたしたいと思いますが、しばらくお聞き取りを願います。    昭和二十八年産米に対する凶作加算に関する件   昭和二十八年産米に対する凶作加算額について、政府は、先にとりあえず食管特別会計より石当五百円の内払を行つたが、其の後における作況指数の悪化に伴い相当額の凶作加算額を追加計上すべきであることは明らかである。   よつて、本委員会は、政府が本件に関し厳密且つ客観的なる算定方式の決定と早期支払を行い、以つて全国農民要望に対処すべきことの必要を認めるものである。  以上のごとき意味を政府に対して申し入れたいと考えるのでありまするが、これに御異議ありませんか。     〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  174. 井出一太郎

    井出委員長 御異議なしと認め、さよう決定いたします。  本日はこれにて散会いたします。     午後六時十六分散会