○前谷政府
委員 お答え申し上げます。もちろんわれわれといたしましては、粉食と申しますか、パン、めんの消費につきましては、これはもう十分に伸ばすべく努力をいたしたい。現に従来から展示会その他の
関係をもちましていろいろや
つておるわけであります。今度また、これはわれわれの
所管ではございませんが、
農村の食
生活改善の
一つの項目といたしまして、パン焼きかまとかあるいは製めん機械の普及ということも取上げておるわけでございます。従いまして、われわれといたしましては、粉食の普及について努力いたすことは当然でございまするし、またそれに努力いたしておるわけでございますが、やはり
日本におきまする食習慣というものは、一朝一夕にかわるべきものではございません。やはり
日本の全体の主食からいたしますると、半分は米でございまして、この米というものは、やはり粒食
形態であるわけであります。そういう点を考え合せまして人造米を取上げたわけでございます。
ただいまの特許権の問題につきまして詳しくこの際御報告いたしたいと存ずるのでありますが、特許権の問題につきましては、御承知のように
一つの特許権ができますれば、特許法によりまして
一つの権利が保証されるわけでございます。われわれいろいろ調べて参りますると、この人造米に対する特許といたしましては、現在百数
種類あるわけでございます。ところが特許権は、御承知のように一定の特許料を支払いまして、その特許料が支払われない状態におきまして一定期間が過ぎますと、
法律によ
つて失権をいたすわけでございます。現在におきましては、大部分がほとんど失権いたしております。権利として残
つておりますのは、特許庁で調べますると三件ということにな
つております。そのうち食糧研究所におきまして現在指導しております特許権と非常に以通
つた形にある特許が現在の松浦式なのですが、これにつきましては、その特許権の侵害になるかどうかということは、特許の審判を待たなければ確定いたさないわけであります。特許の審判を待ちまして、それがさらに高等裁判所、最高裁判所までに行
つて確定という形になるわけでございます。そういうふうな状態で相当に期間がかかりますのでこれを進めて参りまする以上、現在ある特許権を侵害するおそれのあるものにつきまして考えて参らなければならないということで、現在政府としては、その松浦式を借りるという形で行
つて参りたい。ただ食糧研究所におきましても、現在特許権を出願中でございますので、月ぎめにいたしまして、必要がなくなればいつでも解除できるという形で進むことがいいのじやなかろうか、かように考えておるわけであります。この特許権を政府が借りまする理由といたしましては、現在の特許の状態、たとえば現在自由に放置いたしておきますると、特許権侵害等の
関係——
企業としても特許権を得ないでやるということになりますとそういう
心配がある。その場合におきましては、相当の裁判等の問題にもなりますので、一面におきまして、これを
企業化することに躊躇するという面がございます。同時に現在におきましては、特許権は特許権者と
実施権者との間に契約がございまして、さらに
実施権者が一定の
地域におきまする
実施権を持
つておる。そういうことになりますと、全体の人造米の普及という点からいたしましても、これをそのままに放置して行くというようなことは、むしろ弊害があるというふうに考えたわけであります。と申しますのは、やはり特許権の
建前からいたしますると、ある
程度に制限を加えて、その制限を加えることによ
つて、だれもができない、あるいはまたそれによ
つて販売の面における制約が与えられる、こういうことがあると普及の面におきまして困りまするから、そういう点を解消いたしたいという
考え方なのでございます。従いましてわれわれといたしましては、この方式によ
つてのみ人造米がやれて行くのだという
考え方は持
つておらないのであります。この方式を採用する場合においては、特許権の問題を解決する。その他の方式によ
つてわれわれが企図いたしております米と同じように、たけて、内容なり形状におきましても何ら遜色ない、炊飯その他におきましても十分にそれが太刀打ちできるというふうなものがございますれば、これによ
つて人造米がつくられるということについてわれわれ何らそれを阻止する
考え方はないわけであります。ただいろいろの点におきまして、そういう方法につきましては、もちろん技術的に十分検討いたさなければならないことはもちろんでございますが、ただいま吉川さんがおつしや
つたように、他の方法によ
つてやり得る場合があり、それがわれわれがねら
つておるものが十分できるということを技術的に検討される場合におきまして、これをつく
つてはいかぬというような阻止をするという
考え方は毛頭ないわけでございます。