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1953-11-13 第17回国会 衆議院 内閣委員会行政機構に関する小委員会 第1号 公式Web版

  1. 会議録情報

    本小委員昭和二十八年十一月四日(水曜日)委 員長指名で次の通り選任された。       平井 義一君    船田  中君       山崎  巖君    高瀬  傳君       稻村 順三君    下川儀太郎君       鈴木 義男君    山本 正一君 同日  稻村順三君が委員長指名で小委員長に選任さ  れた。     ――――――――――――― 会議 昭和二十八年十一月十三日(金曜日)     午後一時四十二分開議  出席小委員    小委員長 稻村 順三君       平井 義一君    山崎  巖君       高瀬  傳君    下川儀太郎君       鈴木 義男君    山本 正一君  小委員外出席者         行政管理庁次長 大野木克彦君         総理府事務官         (行政管理庁管         理部長)    岡部 史郎君         参  考  人         (行政審議会会         長)      村瀬 直養君         参  考  人         (行政審議会委         員)      杉村章三郎君         専  門  員 亀卦川 浩君         専  門  員 小関 紹夫君     ――――――――――――― 本日の会議に付した事件  行政機構に関する件     ―――――――――――――
  2. 稻村順三

    稻村委員長 ただいまより内閣委員会行政機構に関する小委員会を開きます。  この小委員会は休会中にもできるだけ今一番大きな問題になつている行政機構改革に関して調査を進めて行きたい、こう思いまして本日は行政審議会会長村瀬君と、それから委員でありますところの杉村教授をわざわざ参考人としておいで願いましたことに対して、われわれ衆議院議員といたしましては感謝のほかはないのであります。いろいろ皆様に対してもごめんどうな質問その他が出るかもしれませんが、その点はひとつ御了承くださいまして、私たちの調査に御協力くださいますようぜひお願いする次第でございます。  開会のごあいさつといたします。
  3. 村瀬直養

    村瀬参考人 これから私から行政審議会審議経過及び答申概要について御説明を申し上げたいと存じます。  行政審議会は昨年七月の行政機構改革によつて行政管理庁に設置せられました諮問機関でありまして、委員の任命を見ましたのは昨年の十二月二十四日でございまして、その任期がきまつておりませんので、政令に基きまして本年の十二月二十三日に現在の委員はその任務を終了することになつておるのであります。審議会委員の発令を見まするとすぐに昨年の十二月二十五日に第一回の会合を開きまして、その席上で会長に私が、それから会長の代理に荒井誠一郎さんがそれぞれ、指名をせられまして議事を開いたのでございます。  まず行政制度改革行政運営改善、この二つ項目にわたる諮問に接しまして、それに応じて制度部会運営部会をその内部に設置いたしたのでございます。そうして前者すなわち制度部会の方の部会長には、互選によりまして私が、それから後者すなわち運営部会の方の部会長としては荒井誠一郎さんがそれぞれ就任をすることになつたのであります。運営部会審議につきましてはその後着々結論に到達しつつあるのでありまして、近く何分の答申、これは主としてその運営法というものでございまするが、何分の答申をいたす段取りと相なつておるのでございます。それから制度部会におきましては、その後現在に至りますまで、合計二十回余にわたりまする会議を重ねまして、そうして総会にかけて二つ答申を提出いたしました次第でございます。これにつきましてその審議経過内容の大体の概略を御説明いたしたいと存ずるのでございます。制度部会におきましては各行政機関別実情調査いたしまして審議する方針を立てまして、まず総理府現行機構から審議を始めたのでございます。その審議にあたりましては相当の時間を費して総理府の各外局部局等につきまして詳細な検討を加えました結果、その機構には相当改善を要するものがあると認めましたので、その改革に関する答申をまずまとめたのでございます。その概要を申し上げますと、次の通りであります。  総理府行政官庁としての内閣総理大臣権限を補佐する総合行政機関として設置せられたものでありまするが、これに包括せられている諸機関の性格はほんとうに雑多でありまして、統一がなく、これを統轄いたしまする内閣総理大臣及び内閣官房長官を真に奔命に疲れさせているのが現状でございます。従つてこの所掌事務の中に各省共通する事務、または各省のいずれにも関係のありまするところの企画仕事、たとえば行政管理庁経済審議庁等の所掌いたしております事務、それを内閣補佐部局に移しまして、総理府はいずれの省にも属せしむることを適当としない特殊な実施事務、たとえば宮内庁とか保安庁というようなもののみを所掌せしむるという基本的構想のもとに総理府を簡素に再編成して、同時に各機関整理統合を行うのが適当であると認めたのであります。しかし総理府を右のような墓本方針に基いて改組いたしましても、その事務内容がなお相当広汎かつ雑多でありますので、国務大臣を長とする外局総理府からはずしまして、府省、主として省でございますが、省と並びますところの独立行政機関といたしましてその長を内閣法言つておりまする主任の同房大臣といたしまするとともに、総理府に新たに総務長官というものを置きまして、できるだけ簡素な機構のもとに府務総合調整に当らしめることを適当と認めたのでございます。内閣補佐部局につきましては、内閣官房長官内閣補佐部局所掌事務のみを調整いたしまして、もつぱら政務に参画すべきものといたしまするほか、国家行政組織法及び行政機関職員定員法適用を受けしめることを適当と考えたのでございます。  次に人事院でございまするが、人事院総理府外局である行政委員会といたしまして、さらに要すれば担当国務大臣または連絡官を設けまして、内閣との連絡を密接ならしめまするとともに、人事行政総合調整実施の部門を担当させるために、別に人事に関する部局総理府の内局に設けることが必要であると認めたのでございます。  次に、外局及び付属機関につきましては、特に総理府に存置する必要性を認めないものについては、適当な各省に移管をし、他の機関統合もしくは民間に移譲をしあるいは、廃止することを考慮することを勧告いたしておるのでございます。  最後国家公安委員会の存在及びその権限は、別途警察制度の改正の一環として扱うことといたしまして、また科学技術行政を所掌いたしまする一部局総理府に設けるか、さしあたり科学技術行政協議会の充実にとどめるかというような問題は、さらに慎重に検討考慮すべきものである、かように考えておる次第でございます。  以上が大体第一の答申内容でありますが、他方面において、政府部内におきましても引続き行政改革に関する措置が始められていたようでございますが、前国会のころから急に全面的な行政改革実施する方針が具体化いたしまして、右の答申の第一号、これが提出せられましたときには、すでに内閣臨時行政改革本部というものが設置せられまして、具体案検討をお始めになつていた次第でございます。従いまして、仄聞いたすところによりますと、私どもの提出いたしました答中の第一号も、ただちに右本部検討に付せられたということでございます。制度部会といたしましては、右の総理府というものに引続きまして、順次各省各庁に関する審議を継続いたす予定でありましたところ、政府行政改革が右に述べましたように急に短時日の間に具体化する方向に進む情勢と相なりましたので、審議会といたしましても、行政管理庁長官協議をいたしました上、政府の右の施策に同調いたしまして、でき得る限り、これに協力することを必要と認めました結果、若干右の予定を変更いたしまして右の方針第一号において取上げました総理府をも含めまして、行政改革全般に関する意見を至急にとりまとめることといたしたのでございます。右のような次第で、すなわち行政制度改革に関する答申、つまり答申第二号でございますが、そういう答申を提出いたすようになつた次第でございます。この答申の作成にあたりましては、すべての行政機関についてあらためて個別的に調査検討することを避けたのでございまするが、ただ三つの公社及び五つの現業につきましては、相当詳細な検討を必要と認めましたので、特に荒井誠一郎さんを委員長とする小委員へを設けまして、きわめて短期間ではございましたが、その間に相当頻繁に会合を重ねまして、それぞれ実情を聴取いたし、慎重に審議を重ね、結局これを含めて次に申し上げるような意見をとりまとめた次第でございます。行政審議会審議のごく概略経過は以上の通りでございますが、今、ここに右の第二号の答申、すなわち行政制度改革についての答申の大綱について御説明をいたしたいと存じます。  まず答申の前文といたしまして、次のように申し述べておるのであります。すなわち現行行政制度につきましては、従来数次にわたつて行政整理が断行せられたのでありまするが、いまだ十分にその効果を収めておると認めがたい。また独立二年後のわが国の直面しております内外の情勢にかんがみまして、わが国自主自立態勢にふさわしい簡素かつ能率的で、しかもわが国実情に適合した行政制度を樹立する必要が認められますことから、この際行政全般にわたる改革を断行すべきことを、要望いたしておるのであります。しかして行政改革の進め方につきましては、まず行政事務改廃事務処理方式改善とを行いまして、これに伴つて行政機構改革剰余人員整理縮減をなすべきものといたしておるのであります。  まず行政事務整理につきましては、占領管理下に始められました施策であつて独立後のわが国力にふさわしくないと認められますもの、その他緊急性の認められない事務整理する方向を示しました上に、その方法といたしまして行政事務を規制いたしております各種法令整理改廃考えるべきこと、及び事務整理は各般の施策にあたり詳細かつ具体的検討を要するものでありまする関係上、これを主管各省努力に期待することが実際的であると考えて、かかる各省努力を統制結集する方法として、内閣各省を通じて割出すべき一定割合過剰人員の目標を統一することを示唆しておるのであります。しかし、これによつて従来のいわゆる天引整理がややもすれば陥るところの弊害であつたところの事務縮小を伴わない人員整理に堕することのないようにこの点は特に明確に注意を促しておるのであります。  次に、事務整理につきましては、国と地方公共団体とを通ずる総合的行政整理の実を上げるための基準を列挙いたしまして、国と地方公共団体との間に行政事務の再配分を行うべきこと、及びこの場合国の事務地方公共団体に移すにあたりまして、十分な財源の確保をいたすべきこと、それから府県における機関委任事務処理方式につきまして、実情に即しました方法をとるべきこと等を指示いたしておるのであります。  次に、いわゆる五現業、すなわち郵政、国有林野、印刷、造幣、アルコール専売等国営企業については、主として作業能率の向上をはかりまして、経営合理化を促進いたしまするために、人事、給与、定員組織会計等管理方式に関し、企業官庁等特殊性を発揮するとともに、そのために必要とする特別の監督その他の措置を講じ、その限りにおいて一般行政官庁に対すると同一の規制をなすことを排除すべきことを指示いたしておるのであります。  次に、鉄道とか専売とか、電信電話等公共企業体につきましては、その実効性について相当の異論もあつたのでありまするが、発足後なお日の浅い新しい制度である、こういう事実に顧みまして、さしあたりこれを改善するというような方向に進むべきことを指示いたしておるのであります。右の公共企業体について改善に努むべき方向といたしましては、公共企業体はもともと国家財産をその出資総額とするものでありまして、ただ事業の企業的処理のために独立法人格を与えられたものでありますから、企業自主性は十分認めらるべきではありますが、経営者がこれを私有物視するがごとき考え方は絶対に排除しなければならない。こういう見地からその公共的責任を必要なる国家監督とを確保して、その経常を合理化すべきであるとして現行制度に対して再検討すべき諸点を具体的に列挙いたしておるのであります。  第二に、事務処理方式改善につきましては、最小の経費と人員で最大の行政効果を上げるように事務処理方式簡素合理化を行うべきであるとして、その具体的方法として共管事務、それから重複事務または類似事務整理統合共通事務の集中、内部管理事務簡素化行政機関内部組織簡素化権限の明確なる内部委任及び事務処理方式標準化機械化等方向を指示いたしておるのであります。  次に行政機構改革につきましては、行政事務整理縮小及びその処理方式改善、に伴つて必要な改革を行うのほかに、行政組織全般の規模の縮小考え、かつこれが再び一般的に膨張することを防止すべきものとなし、各府省外局地方出先機関付属機関及びそれらの内部組織につきましてそれぞれ必要な改革方向を提示いたしたのであります。なお総理府につきましては、先に申し上げましたように、別に答申をいたしておるのでございます。  最後人員整理につきましては、上述いたしましたような事務整理縮小事務処理方式改善及び行政機構改革に伴いまして過剰となる人員整理すべきこと及びこの事務整理縮小措置に伴わない無差別の天引整理は行うべきでないということを表示いたしまするのほか、実人員退職に伴う困難によつて行政改革の十分なる実施が阻害せられること、あるいは退職者が一時に多量に生ずることによつて無用の社会不安や行政の混乱を生ずることを避けるために、原則として新規増員を行わないこと。それから欠員不補充の方針これを堅持すべきこと。それから人員配置転換に努めること。それから整理は相当の期間にわたる計画によつて実施すべきこと。それから退職者に対してあるいは一定期間職務に従事せしめない取扱いをなし、あるいは退職金制度を再検討し、転職のあつせんに特段の措置を講ずる等、その監理を円滑かつ確実に行うべきことを指示いたしておるのであります。  以上行政審議会におきまする審議経過概要並びに各答申概要について申し述べた次第でございます。なお運営部会におきましては、先ほど申しましたように、ただいま行政運営改善について、各方面諮問をいたしまして、それをとりまとめておりまするから、不日まとまりましたならば、一定答申をいたしたい、かように考えておりますので、ごく概略報告といたします。
  4. 稻村順三

    稻村委員長 それでは今の行政審議会会長の御報告に対して委員の方から質問があれば願いたいと思います――それでは私から伺いますが、内閣総理府の区別でありますけれども、どういうふうにして内閣総理府をはつきり区別すべしという結論に到達したのでしようか。
  5. 村瀬直養

    村瀬参考人 内閣の方は各省共通の、たとえば企画仕事のようなものを扱う。それから各省に属することが適当でないというような特別の仕事総理府でやるという方針で、たとえば法制に関するものは全体に通じます。それから経済審議庁行政管理庁のようなものは内閣の方に持つて行く。それから宮内庁とかいうようなどこの省にも属せしめないようなものは総理府に置くという建前でいたしたわけであります。
  6. 稻村順三

    稻村委員長 しかしどこの省にも属しないという基準が非常に問題になつて来ます。
  7. 村瀬直養

    村瀬参考人 実は総理大臣のところに持つて参りますと、形は非常に格が上つたように見えるのですが、総理大臣はそういう個々の仕事を一々面倒は見られないものですから、結局その責任大臣はないような形になる。だから各省に少しは無理であつても、属せしめられるものはできるだけ各省に持つて行つて、残つたものはこちらへ持つて来るというような考え方です。各省と縁もゆかりもないような仕事を持つて行くわけには行きませんから……。
  8. 稻村順三

    稻村委員長 縁もゆかりもないと言いましても、今の政府建前から申しますと、警察事務保安庁事務の間に縁もゆかりもないということになると、内閣の今までの主張をひつくり返すことになる。あれは縁もゆかりもあるのですが、それをどうしても区別するかということです。今の政府建前から言えば自治庁というものの中に保安庁は入れられる。あれは保安庁は入れられる。あれは保安庁法でも改正すればいざ知らず、今のところは入れられるわけです。
  9. 村瀬直養

    村瀬参考人 それは具体的にどこをどうするかというところまではわれわれの方ではしないわけで、抽象的な原則を具体的に適用した場合にはどうなるかということは、これはまた内閣の方でしかるべく御研究を願いたいと思うわけであります。
  10. 稻村順三

    稻村委員長 そういうふうに二つのセクトにわけるという基準について考えてみると、内閣総理府というものを区別して行くことには、具体的な問題になつて来ると相当の困難が出て来るのではないか。
  11. 村瀬直養

    村瀬参考人 それは困難があるかもしれません。しかし大体の標準としては、観念上明瞭にわけられると思うのです。それの適用の場合にはいろいろ問題が起ると思いますけれども、大体の考え方としてはそういうふうな考え方で進んで参つたのであります。
  12. 杉村章三郎

    杉村参考人 その点、内閣に属する部局内閣という会議体国家行政の主体と申しますか、その最高機関としての内閣で処理すべきものを補佐するという考え方なのであります。片方、総理府に属するような部局は、総理大臣行政官庁としまして単独に総理大臣機関として属せしめておる部局が相当あるわけですか、その補佐部局、こういうふうな考え方で行くわけです。私の考えでは、本来はそういうものには非常に雑多なものがあるのです。というのは、各省行政事務をわけるという前提を持つておるのですか、なかなかわけ得ないものがある。残つてどこにも属しない、あるいは二省以上にわたるようなものがある。それを今まで総理府の方にぶち込むのに、あまり標準なくぶち込まれておつた。それを応再検討しまして、あるべきところに置けるものは置く、各省に移すべきものは移す、そういうふうなことを一応考えてみたわけなんです。そういう点で総理府というものは、本来いろいろなものが入つているのがむしろ本質的ものではないかと思いますけれども、それでもそれを、ほかの部局に属せしめ得るものは属せしめるということで、なるべく範囲を狭くするとともに、外局のうちにおきまして、将来のあり方として本来ならば省として独立させるべき保安庁みたいなものもあるけれども、それは今日の場合においては、一応総理府に所属すべきものという考え方自治庁などについても、今のところは小さい、それではほかの省と一緒にして外局のようなものにするならばそれもいい。そういう意味において、標準としては今国務大臣をもつて充てている総理府外局で、しかも国民に対して行政権を行使するような機関、これは国務大臣専任大臣としてそこに責任を持たせてもいいんじやないか、今までの考えと少しかわつておりますが、そういうことを応提案しておるわけなのであります。その点ちよつと補充しておきます。
  13. 山崎巖

    山崎(巖)委員 総理府行政機構改革に関します御答申でありますが、私は非常によくお考えつておると思います。本年正月私の調べましたところによりますと、総理府機構が、外局に相当します委員会を含めまして、外局が十六、部が三、課においては実に百八十四に及んでおるような状況であります。もちろんこれは官房長官お一人の所管ではございません。たとえば保安庁とか自治庁とかそれぞれ所管大臣がございますけれども、おそらくこの機構につきまして、官房長官は、自分のところで何をやつておるのかということについて十分お知りにならぬのではないかと思います。そういう意味で、今回総務長官というものを内閣に置かれるという御答申はごもつともだと思いますが、ただちよつとわかりにくいのは、総務長官官房長官事務分掌がどういうふうになるのか、その点をちよつと伺つておきたい。
  14. 村瀬直養

    村瀬参考人 先ほど杉村先生からお話がございましたように、内閣補佐部局総理府部局とわける。それで官房長官内閣補佐部局の方の仕事だけに限つて総理府の方は総務長官が総括して行くという建前になつておるのです。
  15. 山崎巖

    山崎(巖)委員 具体的に署務をお示し願いますと非常にわかりよいと思いますが……。
  16. 村瀬直養

    村瀬参考人 具体的に申しますと、たとえば法制局とか経済審議庁行政管理庁は全体を通ずる企画的な仕事ですから内閣に持つて行つて、こまかい仕事総理府に持つて行く。それにしても総理府にたくさん残るものがありますから、それを総括するものが必要であろうと思いますので、そういうのに総務長官を置きまして、官房長官内閣補佐部局の方、つまり共通的な企画仕事と政治、そういう方面に専念し得るようにしたい。つまり官房長官仕事から総理府の雑多な行政事務を切り離して簡素にして行こう、実際は非常に大きな仕事がたくさんありましようけれども、そういう建前でやつております。
  17. 山崎巖

    山崎(巖)委員 行政機構改革答申でございますが、国と地方公共団体との間の共通事務の再配分の問題――現状におきまして地方公共団体に委譲すべき事務がたくさんあると思います。地方出先機関が戦後膨大になり、多数の人員を擁しておりますが、これはやはり知事が公選制度にたつた結果から来ているのではないかと想像する。公選制度の是非についてはいういろいろ議論があり、ここで言つてもしようがない問題でありますが、その点についてもこの答申は相当お考えになつているかどうかお聞かせ願いたい。
  18. 村瀬直養

    村瀬参考人 山崎さんの今おつしやいました出先機関整理ということは非常に重要なことだと思います。今までたびたび行政整理をやりましたけれども、出先機関整理というころまではまだ十分打つておりません。なぜ出先機関があんなに錯雑したかという点は、ただいま山崎さんのおつしやつた通りだと思います。従つてその点を十分解決しないこと出先機関整理ということはあるいはできないかもしれません。府県性質をどうするかというふうなことは行政機構の上からはちよつと論じられない問題であり、行政機構の方の問題として並行してやつて行かなければならぬと思いますけれどもあらゆる観点から見て出先機関をどうやつて整理するか、大きな原因は山崎さんがおつしやつたようでございますが、それのみでなしに、出先機関はいろいろ複雑しております。ですからそれを整理することは行政整理として一つの大きな項目だと実は思います。従つてその点についていろいろ考えてもらいたということを繰返して実は言つておるわけであります。ただしかし、一番大きな問題は府県性質の問題に関連して参りますることはもちろんでありますが、府県性質までここで議論するわけに参りませんから、そういうような形で研究しております。
  19. 下川儀太郎

    下川委員 「第一行政事務整理」の中で、「(1)占領管理下に始められた施策であつて独立後のわが国情又は国力に適わしくないと認められるもの(産業、労働、厚生及び文化行政等にその例が多い。)は、これを是正する。」と書いてあります。その例が多いということの具体的な説明を願いたいと思います。
  20. 村瀬直養

    村瀬参考人 それは何がそれであるかということは政府の方でひとつ十分研究していただきたいと思つております。ただ抽象的に考えてみまして、いろいろこういうほうめんいついて占領管理下において始められた施策であつてわが国国情または国力にふさわしくないと認められますものがいろいろあるように見受けられますが、具体的に何がそれに該当するかという問題は政府において十分検討していただきたい、こういうことだけです。
  21. 下川儀太郎

    下川委員 しかしこういう答申が出て来ると、いろいろな形で政府の意向をやはり強化する場合もあると思うのです。たとえば労働の面とかあるいは文化行政とか、こういうようなことになると、非常にわれわれ見るべきものがないという観点に立ちますし、それからあなた方の産業というのはどういう点をさしているのですか。
  22. 村瀬直養

    村瀬参考人 たとえば産業なんかについて申しましても、これは税制調査会でもいろいろ議論があつたようでごいざますが、現在申告納税制度ということになつております。それは必ずしもそのもの自体が悪いとはいえませんでしようけれども、現在の日本の状態にすぐそれが合うかどうかというような点について十分検討してもらいたい、こういう意味なんです。それからたとえば課税標準の問題なんかについても、何べんもその課税標準調査が国からも自治体からも来るということになりますと、受ける方では実は非常に困るのです。これはほんの一例でございますけれども、具体的なものについて何がどれになるかということは、ここで必ずしも示しておるわけではないのですけれども、そういう点についてさらに再検討をして――なければないでもちろんいいのですが、しかしあるとすればそういう点についてよく調査研究をしていただきたい、こういうことを、言つておるだけのことなんです。
  23. 下川儀太郎

    下川委員 ただ「占領管理下に始められた施策」とこう言つておるのですが、ぼくたちはやはり厚生あるいは文化、労働、こういう面が戦前は非常に封建的だつた。それが占領政策の一番いい点はやはり社会政策の面がクローズアップされて来たという点を一つ考えておるのです。それによつて労働者は自由権が尊重されあるいは厚生面が非常に推進され、あるいは文化行政がわずかでも出て来たという面で、何か終戦後の社会不安がかなり緩和されて来たというふうに考えておるのです。これは見解の相違もあるでしようが……。
  24. 村瀬直養

    村瀬参考人 その占領管理下に始められた施策でありましてもいい方面のあることはもちろんでありますが、そういう面についてそれをやめるとか廃止するとかいうような意味はちつともないのであります。また場合によつてわが国情とか国力にふさわしくないと認められるものがあり得るのでございますから、必ずしもやめるという意味ではないのですけれども、いろいろその欠陥のあるものについては是正を願いたい、こういう趣旨だけのことでございます。
  25. 下川儀太郎

    下川委員 どうも伸び切つておらない。労働あるいは文化行政なんかは最も尊重せられなければならぬ。それがこういう行政改革などの案が出て参りますと非常に縮減されるという形をとられがちなんです。それを非常におそれるわけです。むしろこれは拡大して行かなければならぬ。行政整理は常に首切りが対象になつて来るということでなしに、こういう社会政策的な面は、なるべく配置転換するなりそういつた形で人間の整理を防ぐというような方法をとられたらいいとわれわれは考えておるわけです。それと第二に、先ほど山崎さんがおつしやつた国と地方公共団体との行政事務の再配分、これで地方財政との問題はどういうふうになりますか。
  26. 村瀬直養

    村瀬参考人 これは地方制度の方と関係がございますから、地方制度調査会に関係を持つておられます杉村先生から詳しくお話を即し上げた方がいいと思います。
  27. 杉村章三郎

    杉村参考人 私地方制度調査会の委員ではないのですが、前に地方行政調査委員会委員をやつておりまして、この事務配分のことにつきましては一年半ばかり前に委員会組織しまして研究しまたその答申をこちらの国会へも出しておるわけでありますが、その後多少事情がかわつたようでありますけれども、しかし基本的な考え方は大体正当であろうと思つております。それでなるべく地方団体で処理できるものは地方団体にやらせるという方向に行くべきものであろうというふうに考えております。それは一面におきまして国の行政整理という問題とも関連して来るのでありまして、つまり国としては地方団体にある程度事務を委譲するということによつてそれだけ国の負担を免れる。何もかも国が取上げて国の機関で処理するということでなくして、地方団体に対していろいろな方法で負担を課して事務をやらしておるというのが現状であるわけです。その関係をもう少しすつきりさせることによつて国の方ではそれだけの事務負担が少くなる、こういうふうな考え方で私どもはおるわけですが、しかし今となりましては、やはり一方においては行政事務というものを中央集権化するというような実際上の要求もあるといいますか、事柄としてそういうことが要求せられる。たとえば衛生事務にしましてもあるいは開発事務というようなものにしましても、中央で国家として大きくやらなければ実際行えないというようなものがだんだん出て来るわけであります。そういうことと、地方事務地方で処理するということの両方の行き方の調和をはかるべきであろうというふうに考えますが、そういう点につきましてこの行政審議会の立場としましては、やはり一応国の事務というものを整理して、そうして地方で行えるものならば地方にやらせる、こういう方向をとるべきだろうというふうに考えておるのでありますが、しかしただ行政整理のために、漫然と国の事務をいたずらに地方団体に移すというようなことは適当でないということをここに言つておるわけであります。従つて国の事務地方団体に移すにつきましては、これも各地方団体、都道府県と市町村によつてそれぞれ能力が違いますから事務性質も違うわけですけれども、全体として言い得ることは、十分な財源の裏づけをしなければならないということは言えるのではないかというふうに考えるわけであります。私個人の考えとしましては、なるべく国と地方団体との間の事務を明らかにして、それぞれの行政事務について責任を完全にとり、またそれに応ずる財源の裏づけをするというのが理想の形態と今でも思つておりますが、しかし地方制度調査会の答申におきましては、それは理想であるけれども、しかし現実の問題としては、機関委任というような方法、あるいは地方事務制度というようなものをなお活用して、そして将来においては、その事務地方事務にまかすかもしれないけれども、今のところそういうような方法もとつて行く。と言いますのは国の各省というものは、なかなか事務地方団体にそのままおろすということを好みませんから、将来においては地方にやらせるとしても、今の段階においては、そういうような機関委任とか地方事務制度というものも一応認めて行こうではないか。そういう答申をしているわけでありますが、その答申に一応ここでは歩調を合せておるというのがこの再配分というところに出ております、われわれの方の答申内容でございます。それだけちよつと申し上げておきます。
  28. 下川儀太郎

    下川委員 御意見はわかるのですが、ただ財政の措置の問題が非常に問題になると思うのです。私は静岡県選出ですが、長らく県会の方にもいたのですが、静岡県に例をとつてみますと、入場税、料飲税が国税に移管されるという問題が出ておりますが、これは違つた形で八〇%が返還されるということを聞いております。しかし、一応国庫へ入つてしまうと再配分がはたしてどの程度来るのか。静岡県あたりは県財政の約三分の一くらいを入場税あるいは料飲税でまかなつております。観光地帯ですから……。そういう関係が非常に複雑になつて来ると、出先機関その他の事務地方公共団体にいろいろ委任された場合において、その裏づけの財源をとろうとしても、それが逆に国の方に吸いとられてしまう。そういつた面で中央と地方との摩擦、あるいは複雑なものが出て来るのじやないか、このように考えております。それに対してどんな考えを持つておりますか。
  29. 杉村章三郎

    杉村参考人 私はその点については、地方制度調査会の答申なるものは、そう理論的に一貫しているものじやないように思つております。それで私どもの考えとしては、遊興飲食税あるいは入場税の府県から国税への移管ということは考えておらなかつたのであります。これは地方制度調査会の方の答申がそうなつているということでありますが、むしろそれは富裕府県と貧弱な財源の府県とを調整するという目的のもとに、ああいう税制が答申されておるように聞いております。
  30. 下川儀太郎

    下川委員 ですから、こういう行政機構改革の問題の答申を出す場合においても、かかる財政の問題を研究していただかないと、この答申それ自体が、いろいろ複雑な問題を起すと思います。塚田長官はこの答申に沿つてつて行きたいということを仰せられましたので、勢い財政の伴わない、あるいは地方と中央との財政にからんだ複雑な問題の解決策ということを、明確に出しておらない答申というものは、後日に災いを残すと思います。そういう点について研究して出していただきたい、かように考えております。
  31. 稻村順三

    稻村委員長 それと関連してですが、答申案にはこういうこともしたい、ああいうこともしたいといういういろなことをここに出したのですけれども、しかし今下川委員から質問がありました通り、この答申案が一体財政問題を中心として主としてなされたものであるか、それとも行政機構の能率を主として答申されたものであるか、その点についてお伺いしたい。
  32. 村瀬直養

    村瀬参考人 財政問題を主としてということではない。また能率だけといつても、適当であるかどうかわかりませんが、行政能率をうまくやつて行くということであります。  それから、先ほど御質問ありましたような点につきましては、杉村先生がお答えいたしましたような点でございますが、国の事務地方公共団体に移すにあたつては、十分な財源の裏づけをなすことを要する。その具体的な適用の問題については、いろいろ問題がありましようが、根本の方針としては、十分な財源の裏づけをなすことを要する。それから行政の再配分にあたりまして、国の事務をいたずらに地方公共団体に移すというようなことのないようにしてもらいたいという意見が強く主張せられまして、特にここでは第一の二の一番初めの終りのとこに、「国の事務を徒らずに地方公共団体に移すが如きことのないように注意すべきである。」ということを明示をしておりまして、大体この方向でやつてもらいますれば、適当な結果が得られるのじやないだろうかと思います。  それから全体の問題でございますが、先ほどちよつと簡単に御説明を申し上げましたが、個々の行政機関についての行政整理をやつて行くひまが、実は事態によつてなくなりました。しかし、他方面から、この行政整理ということは非常に重要な問題であるか、実行がなかなかむずかしい問題でありますから、政府の方で行革本部というものができましたが、あらゆる機関において力を合せて目的を達するようにしなければならぬ。換言すれば、行政審議会としは行政審議会の立場においてできるだけお助けをしたい、こういう意思を持つております。時間が非常に切迫しておつて、お助けをするといたしますならば、どうしても行政整理をやる根本の方針を明示しておいて、そして具体的の内容にまで入るひまがありませんし、また事の性質上それは政府の方でやつて行くことが適当と思いますから、そのやつて行きます場合において、根本的の、抽象的な標準を指示しておくということは、お助けをする意味におきましても最も有力な方法じやなかろうか、こういう事態の情勢とそれから目的を合致させるという観点から、ごらんの通りこの答申案というものは割合抽象的になつておりますが、それはそういう意味でございます。  それから今お話のございました地方行政との関係は、ただいまのような抽象的な標準をよくごらん願いますれば、大体おわかり願えるのではないかと思います。  それから、財政を主とするか、能率を主とするかという問題につきましては、これはもちろんいろいろの方面について考えておりますけれども、財政問題は、ここですぐに取上げるというような観点ではないということだけを御了承願いたいと思います。
  33. 稻村順三

    稻村委員長 そうしますと、私のさつき言つたように、財政問題が主であれば、結局支出を減らすという観点から機構整理がなされると思います。それから能率ということになれば、その点もあるかもしらぬけれども、しかし必ずしもそうではなくて、能率上の問題として出て来ると思います。そういうような目標が一体どこにあるか伺いたい。
  34. 村瀬直養

    村瀬参考人 それは今の状態で、財政をできるだけ節約するということは、どうしても必要だろうと思います。そういう点と合せて、それだけでなしに、やはり能率を阻害してはいけないから能率の方も考える。しかしながら、能率だけでその支出の方を全然考えないという意味では全然ないのであります。むしろ支出を節減したいこういうところだろうと思います。
  35. 稻村順三

    稻村委員長 そうすると、財政が第一で、能率の強化がそれについて行く、こういうことだとすると、今度の行政機構改革は、やはり人員整理を前提とする機構改革として答申せられたものであるかどうか。
  36. 村瀬直養

    村瀬参考人 それでもただいたずらなる天引き整理だというようなことになると、実際の目的を達しませんから、ここにも書いてありますように、事務整理をして、それに応じた人員整理をやつて行かなければならぬ、その場合には人員整理についていろいろ摩擦が起りますから、その善後措置を行い、たとえば待命制度とかいろいろな方法、それから人員配置転換というような面について十分考えなければならぬが、根本においてはやはり事務整理に伴つて人員整理をなすべきものであるということを明示しております。
  37. 稻村順三

    稻村委員長 そうすると人員整理というようなこともひとつ考えてみるとすれば、一体その人員整理の対象となるものの主点は一般行政職員を主点としているものか、それともいわゆる国家を雇い主としているところのあらゆる公務員というものが対象となつているのか、おもな対象になつているのはどこなのか、この点もお尋ねしておきたい。それでややもすると政府では、発表する場合にはすぐ四十何人について一人の公務員といつて発表するのです。ところが私が計算してみるというと、一般行政職員ということになると、四百四十何人について一人ぐらいになります。鉄道職員だとか、電信電話の職員だとか、公社の職員だとか、郵便局の職員だとか、あれはほんとうのことをいうと企業体なんでありまして必ずしも公務員ということも言えないように思う点もありますし、たとえば現業官庁で、林野庁の職員などは林政というものに関係しているのはほんのわずかで、大部分の職員は切つて払い下げをして、売つてもうける、そういうような仕事をしておる。あるいは運搬だとか、そういうような機構に大部分のものが参画しているというようなことも言えますし、またたとえば同じ建設局の職員の中でも、建設行政関係しているものもあるけれども、たとえば技術屋で、ただ橋を設計したり、かけたりシヤベルを持つ仕事を指揮しているというだけで、行政の認可だとかあるいはそういうものには全然関与をしない職員も多いのです。そういうのもずつとあれしてみますと、私は非常非常に官吏が多い多いといつても、むしろそれだからといつて今度はその官吏のうちでは、たとえば公務員だからというので、国立学校の先生を整理の対象と同じようにしてしまえば、これはもう文化施設が縮小することになるのです。文化国家としての役割はぐんと落ちるわけなんです。国立病院のものをやると、これは厚生制度が落ちまして、国民保健に大きな影響を及ぼして来る。国立の保健所などの機構縮小などということになつて来ると、これはたいへんな問題になつて来やせぬかと思うような点もあります。そういうようなことになつて来ますと、私の考えるのは、もし行政整理をするということになれば、一般行政職員も対象になるのではないか、これが主なんじやないかと思うのだが、そういう点について行政審議会において十分な検討がなされたかどうか。そしてまたきようの新聞などを見ると、十一万人になるといつておりますが、もし十一万の人間をやれば、十八万しかないのに十一万ということになつてそれを削られてしまえば、あとに残る職員はたつた七万しか残らないのです。(高瀬委員「それはどこです」と呼ぶ)それは一般行政職員は十八万しかないのです。そうすればそれを主としてやるとすれば、十一万でなくても七、八万だけは主として一般行政職員を整理するということになると、一般行政機構が動かなくなろという危険がある。事実私たちはこの前の風水害のときに、気象観測のことに支障がなかつたかといつたときに中央気象台の人たちが、第一次、第二次の行政整理で六百何人やられまして、敏速なろ予報ができませんでしたということをここではつきり言つておるのです。中央気象台の方がこの内閣委員会でそういうことを証言しておるのです。だからそういうふうに考えて来ますと、主点は一般行政職員に置いてあるとすれば、政府がきよう発表した十一万の行政整理というようなことが、考えられるかどうか、そういう点もひとつお尋ねしてみたいと思います。
  38. 村瀬直養

    村瀬参考人 きようの発表はわれわれに関係ない問題で……。
  39. 稻村順三

    稻村委員長 ぼくのいうのは責任あるものでなく、あなた方の御見解がどつちを主としておつたか。答申の問題になるとやはり主点があるはずです。ただやつたのではなくして、さつき言つたように財政問題が主か能率の増進が主か。能率の増進というような問題あるいは財政の問題が出て来れば、それならばそういうことがやはり答申なら討議されておるはずです。そうなればその際には一般公務員か、それから一般行政職員か、それともすべての公務員にわたつておるかということが第二の問題になつて来ます。そうしますと、あなた方がそういう建前答申したものだとすれば、政府が今日十一万に発表したとすればあなた方の答申と食い違つたことになる。そういうことをお考えになるかどうか、こういう点をお尋ねしたので、あなた方から政府の職員としてのそういうものを聞いておるのではないのです。
  40. 高瀬傳

    高瀬委員 ちよつと関連して質問いたします。村瀬さんにお聞きしたいのですが、先ほど小委員長村瀬さんとの間に御意見の交換を拝聴しましたが、私はひとつはつきりしておきたいのは、この答申が先ほど委員長の言われたように――財政上の考慮から根本的にいわゆる経費の節約という観点からこの答申をなされて、その結果能率の増進になるのだというふうに、委員長の御質問に対してお答えになつたように拝承しましたが、私自身根本的にこれを読んで、あるいはただいまの御説明を伺つて感じた全体の感想は、むしろ今回の行政制度改革に関する答申案というものは、根本的にいうと能率の増進というねらいがあつて、その結果付随的に人員整理とか、あるいは行政機構改革とかいうものが伴つて来るので、結局結果として財政の負担の軽減という現象を持ち来らすことになる。従つていわゆる行政審議会答申というものは、全般的に国の能率の増進というところに根本のねらいを置いてある、かように私は了解をいたしております。先ほどのお話はちようど逆なので、私は今びつくりして、実はきようは何もお聞きせぬつもりでおつたのですが、その点をはつきり伺つておきたいと思います。
  41. 村瀬直養

    村瀬参考人 先ほどちよつと財政問題云々という御質問がございましたが、これをちよつと私は誤解したかもしれませんが、あとで委員長は経費を節約する目的でやつているのか、能率を増進する意味でやつているのか、つまり能率増進のためには経費は増してもかまわないのかというような御質問でございましたが、現在の情勢から見て非常に経費がたくさんかかつているということは事実ですから、その経費の節減ということが要点である。しかしながら同時に能率を増進するということは決して矛盾するものじやないのですから、両方を目的としているということを申し上げようとしたのでございます。しかしもちろん経費をできるだけ節減したいということが、その中心の目標であることは言うまでもありません。たとえば、これは府県制度で、これは行政審議会に出た問題じやないのですが、私が調べた範囲においては、府県仕事、たとえば警察とかそれから教育とかいうものは、みな仕事が少くなつておるにかかわらず、残つておる仕事について部局が戦前よりも何倍とふえておる。そういうような点はやはり仕事がなくなつたのに応じてできるだけ人を節減し、経費を節減するのは必要である。しかしながら経費を節減することだけで、能率が非常に悪くなつてもかまわないのかといえば、もちろん能率を増進するということは必要であります。それで両方どうしてもやつて行かなければならぬということをお答えしたのであります。
  42. 稻村順三

    稻村委員長 それはわかるけれども、現在置かれている立場からいえば、どこかに主点を置かないと……。
  43. 村瀬直養

    村瀬参考人 しかし主点は一つということは必要ないのですから……。
  44. 稻村順三

    稻村委員長 しかし主点が一つであるということが必要でないということは、主要努力が重ねられて、初めて……。
  45. 村瀬直養

    村瀬参考人 たとえば経費を節減したいという目的を持つて出発するが、しかし能率が阻害されては困りますからね。
  46. 稻村順三

    稻村委員長 私がなぜこんな質問をするかというと、第一回、第二回の行政整理は能率が落ちています。ことに農村関係の能率というものはひどく落ちてしまつて、それで首切つたあとで、元の連中を臨時雇いとして入れているのです。
  47. 村瀬直養

    村瀬参考人 そういう行き方であれば、能率を阻害しても経費を節減するという観点は絶対とらぬつもりであります。
  48. 稻村順三

    稻村委員長 そういうことだとすれば、さつき言つたように、問題になることは、今のあなた方の計算からいつて今日の答申をする以上は、十一万の整理というものが可能か可能でないか。ことに私が問題にしているのは、それはだれでもわかつていることで、今裁判官を少くしようとか、それから国立学校、大学を縮小しろと、そういうような話はあまりないだろうと思う。主としてやはり一般行政職員なんだ。その一般行政職員を中心として十一万の整理をするというきようの発表が、これは可能であるか可能でないか、あなた方の答申した立場から考えてどう考えろかという点……。
  49. 村瀬直養

    村瀬参考人 きようの発表の問題にわれわれは入る余地もないと思いますが……。
  50. 稻村順三

    稻村委員長 ただあなた方のお考え方だけなんですね。
  51. 村瀬直養

    村瀬参考人 私どもの考えは先ほど申しましたように、それは一般職員というものが中心だろうと思います。それから現業についてはできるだけ人を増す。減らすのでなくて、能率の増進とか、それから事務改善とか、そういうような方向に伴つて人員整理ということができれば、それが適当であろう、こういう考え方でございますから……。
  52. 平井義一

    平井委員 結論は、答申の主体というものが、このくらい統合しても、このくらい人間を減しても能率は下らぬという、私は能率本位で答申をされたんだと思うんだが、これは経費の節減と両方あつてもいいというようなことになれば、これはあるいはまがつた整理もしなければならぬということになるので、これくらい人間が少くても能率は少しも下らぬ、むしろ上るんだという、やはり一つの大方針は能率というところに置かなければ、これはちよつと話がおかしくなつて来ると思う。そうでなければ、能率が下るじやないかと言われれば整理ができないということになりますから、あなた方の立場としては常に能率本位ということにしてくれぬと、われわれの審議ちよつとできかねる、こう思います。
  53. 村瀬直養

    村瀬参考人 ですからそれは事務整理をすれば人がいらなくなりますね。ですから事務整理をして人員整理するという建前をとつておるわけです。
  54. 平井義一

    平井委員 政府の方で節減したいというねらいがあつても、あなた方の立場は、能率が第一だ、減しても能率は上つても下らぬ、統合して課や係を廃止してもいいということにしなければ、ただこれをこうすればこれくらい減るんだということでは困るというわけでございます。
  55. 村瀬直養

    村瀬参考人 それはそうであります。
  56. 山崎巖

    山崎(巖)委員 私は人員整理ということもあわせて相当考えなければならぬじやないかと思います。もちろん対象は一般の公務員ですからそれが中心になることは当然であろうと思いますが、この内閣からお配りになつた表を見ましても、現業官庁でも相当尨大な人員が増加しております。鉄道が昭和六年は十九万人であつたのが現在は四十四万、電気通信事業が昭和六年が十万だつたのが現在では十五万八千、こういうふうな膨脹をしておる。むろん今日行政が非常に高度化しておりますから、人員の増大が必要でありますけれども、現状から見ますると人員整理というものもあわせて相当考えて行かなければならぬ、こういう感じを持つております。
  57. 村瀬直養

    村瀬参考人 繰返して申し上げますが、単に人員整理して能率が非常に落ちるというようなことをわれわれは考えておるわけじや全然ないのでございます。人員整理は必要である。しかしながら決して能率は下らない。能率を下げないような方向において人員整理考えるということを繰返して申し上げておるのでございます。
  58. 稻村順三

    稻村委員長 今山崎君が言つた例は、それはいい一つの例ではありますが、ところが考えてみると、前の鉄道にはほとんど超勤手当も出さず、まつたくの単純なる労務者ですよ。単純なる労務者に超勤手当も出さず、それから夜勤手当もろくにやらぬで、ただ官吏としてだというので強制的に働かして来たのだが、今では労働基準法だとかあるいは労働組合法だとかいうようなことがあつて、これができなくなつたために人間をふやさざるを得なくなつたということになれば、前に四十何万人の人間を使つてつたものが、今十何万人でやつておること自身が文化国家として非常に低度なものだつたということが考えられるので、その点を考えておく必要があろんじやないでしようか。そういう社会情勢のかわつたことを全然無視して昔に返れという立場は、むろん審議会の方でもお取上げになつておらないのではないですか、どうですか。
  59. 村瀬直養

    村瀬参考人 もちろんそうですね。また山崎さんのおつしやるのは、昔に返れというのでなしに、ただ場合によつては人が非常にふえると能率を阻害するというような場合がございますよ。ですから、できるだけ人を減してとおつしやるのも、もちろん能率が落ちてもいいというようなことをお考えになつている意味じやないと思います。
  60. 山崎巖

    山崎(巖)委員 今の日本の人口は非常にふえておるのでありますし、行政のやり方も非常に高度化して来ておりますから、そういう点で人間がふえるということは当然だと思います。われわれこの表を見ましても、全体の総計のところをごらんになりますとおわかりになるように、昭和六年のときは陸海軍が入つてつて、それを差引いても八十万です。それが今日では百五十二万六千、これもどうも私はちつと尨大になり過ぎているんじやないかと思います。
  61. 稻村順三

    稻村委員長 それは公共企業体も全部入れて…。
  62. 山崎巖

    山崎(巖)委員 入れております。そういう点をあわせて考えなければならぬと思う。もちろん能率増進も考えなければならぬことはお話の通りであります。
  63. 稻村順三

    稻村委員長 それからもう一つ関連して御質問したいのは、事務の能率化というようなことと関連して、事務の機械化ということについては答申の場合にお考えになりましたか。
  64. 村瀬直養

    村瀬参考人 どういう行き方をするかということは具体的に研究しなければなりませんが、全体の方針として、事務簡素化をするとか機械化するとかいうようなことは、もちろんみんな異口同音に言つてつたことでございます。ただ機械化と一口に申しましても、具体的にどういうふうにするかということは非常にむずかしいものですから、具体的の問題については、なお政府の力で十分研究してもらいたいというふうに考えておりますけれども、根本の方針としては機械化ということも一つの大きなねらいどころであるというふうに考えております。
  65. 山崎巖

    山崎(巖)委員 杉村さんにちよつとお伺いしたいのですが、地方制度調査会の答申に基いて出先機関整理に関する意見が出ておりますが、ここに例示がありますようなものを整理することは非常に無理が来るような感じを持つのです。地方制度調夜会の方でお考えになつております一、二、の例を見て具体的にお話願えればけつこうです。
  66. 杉村章三郎

    杉村参考人 それはどういう……。
  67. 山崎巖

    山崎(巖)委員 地方制度調査会の方はここで、府県区域またはそれ以下の管轄すべきものを整理する、それから府県の区域を管轄するものについての整理を下ると具体的に例示してございますが、これを一々見ましても、これを府県に委譲することがなかなか困難な役所ばかりのような感じを私は持つておるのです。行政制度審議会の方でお考えになつておりますのはこういうものでしようか、具体的に例をひとつ示していただくと非常に参考になるのですが……。
  68. 杉村章三郎

    杉村参考人 そういう地方精度調査会の答申がありましたので、それに歩調を合せて一応出しているわけでありましてやはり同じ制度委員会ですから、そう別の視点で答申するわけにも参りませんですからこういうような抽象的なことになつた次第であります。実は私の考えは、先ほど下川さんからいろいろ御質問がありました通り地方制度調査会の出先機関の問題については行政審議会と共同で考えることの方がまとまりがいいのではないかというふうに考えたこともあるわけでありますが、この具体的な問題につきましては、これは大体地方制度調査会の方に一応まかしてあるというふうな形でございます。ですから具体的にいいますれば、お説の通り私としても従来の考え方の上から申しまして、あの列挙というものはあまり重きを置くべきものではないのじやないかと私個人としては考えております。もつと調査に時をかけて、はたしてできるものかできないものかということを調査して結論を出さなければならぬのじやないかという気がいたします。
  69. 下川儀太郎

    下川委員 それに関連して、地方公共団体出先機関統合したりあるいは委任する場合、その財政的な措置は国から平衝交付金というような形で含んで持つて行くものですか。従来の出先機関の費用ですね。それを地方公共団体に委管する場合、あるいは統合する場合、その財政の裏づけはどういう形ですか。
  70. 杉村章三郎

    杉村参考人 地方財政法でしたか、事務を委任する場合には財源措置を講じなければならぬという規定がありますね。それを考慮して私は考えておるわけです。
  71. 下川儀太郎

    下川委員 それが地方においてはきわめてずさんな形でやられておる。それをやはり答申の中で明確にやつていただかないと、たとえば先ほどの入場税とか飲食税の問題、これなども天引きして持つて来るので、結局地方財政の破綻になるのです。これが明確にされれば、これはいろいろと簡素とかあるいは能率的な面が出るかもしれないが、財政の面は天引きされて来る。そして人間だけが押しつけられて来る。そうすると地方財政が破綻してしまう場合がある。それをどういうふうに考えますか。
  72. 杉村章三郎

    杉村参考人 それはほんとうにお説の通りでございます。私地方制度調査委員会議の委員をしておりまして、そういうことは非常に痛感しております。
  73. 下川儀太郎

    下川委員 一応例に載つておりますね。そういう形の名で載つております。しかし実際の面においてそういう面はルーズだと思います。
  74. 杉村章三郎

    杉村参考人 そういうことだろうと思います。しかしやはり今までの行政のやり方、国と地方団体の関係、ことに府県との関係が、やはり府県が国の出先機関というふうに考えておる考え方が、ずつと継続して今でもあるというように私は考えております。だからそういう点をもつと――私どもは責任の明確化、そういうことを言うわけなんでして、事務をやらせるならやらせるで、それをただ国の機関としてやらせるというのではなくて、地方団体なら地方団体としてやうならばそれだけの財源の裏づけをしてやらなければならぬ、そういうことは当然だろうと思います。
  75. 平井義一

    平井委員 それでは関連してお伺いしますが、たとえば遊興飲食税、入場税が非常に多い県と少い県というので、非常にこの問題が違つて来ると思うのですが、県によつて特別静岡などは、ほんとうに多いといつてもそれがはたして裏づけがあるかどうかということは国が見きれない。そこの点は県別に平衡交付金なりその他の財政の裏づけを地方団体にしてやつたらどうか。これはあなたたちの職責ではないと思いますが、そこまで考えなければ実際はいかぬと思います。
  76. 下川儀太郎

    下川委員 だから抽象的な答申を持つて来られて、それをそのまま政府ちよつと手を加えられた程度でやられると非常に迷惑する。先ほどの能率増進の問題もそうなのですけれども、これには能率増進でしようけれども、やはり人員整理の問題が出て来る。人員整理されれば経費が縮減されるのは当然です。そうなろと大きな犠牲の上で能率増進をさせられる。昔のように牛馬のごとく酷使されるような封建的な形がとられて来るようなことになつて、抽象的なこういう答申が結局大きな犠牲を伴つて来る。そして社会不安を醸成する。地方財政は地方との委管問題で破綻を来す。そのような複雑な事購情でこういう答申が出て来る。だからこの答申は感覚的にずれがあると考えるのですが、財政の裏づけのない答申は非常に困ると思う。
  77. 山本正一

    山本(正)委員 村瀬参考人に二、三お尋ねいたしますが、今大分技術的なお話が入つているようですが、ちよつと原則均な問題ですが、この審議の過程において日本の人口、同時にまた面積、こういうものが一つの基本になつております。そしてそれには、いろいろ面倒な、要素が伴うと思うのですが、国民の思想、それから経済、その一部分をとりましても、治安関係の職員というものの確保ということが考えられるのですが、国民の経済力あるいは思想動向ということによつて治安の状態が違いますから、そこで治安関係の職員の数というものはよほど考慮が払われて来ると思う。それからまた治安を確保することについて国民生活の、特に居住性――こまかく言いますと、建物が比較的堅牢であつて、治安的に非常に容易である、あるいはまた交通関係、通信関係あるいはまた一般教育の程度が非常に水準が高いというふうなことで、治安を確保する職員の要求量というものがよほどまた考慮に加えられると思うのです。この御審議の過程にはそういうような点が十分考慮されているとは思うのですが、何かこの答申の中に入つているような部分がありますればお聞かせ願いたい。
  78. 村瀬直養

    村瀬参考人 ただいま山本さんのお話のように、答申の中に具体的に表現していないと思いますが、今お話のような戦後における日本の、たとえば領土とか、人口とか、そのほかいろいろな情勢から見て、どうしても現在の情勢がもちろん考慮の中に入つておりますが、その結論として現在の行政機構が非常に実情に合わないほど複雑になつていて、また人員が相当に尨大になつておる。従つてこれらをできるだけ整理をして簡素にして行くことが戦後の日本の諸般の実情によく合うものである。こういうことを前提としてこれらの答申ができております。
  79. 山本正一

    山本(正)委員 そこで今の問題の結論的なことになるのですが、大体日本の今の国情において、人口が何名に対してどういう種類の職員何名ということは、一応統計というほど厳密なものでないにしても、おおよその数が基本的に何か考えられましようか。
  80. 村瀬直養

    村瀬参考人 それは大体その数から結論が出るかどうかはわかりませんが、現在の実情から見ると、人口に対して役人の数が昔に比べまして非常に多い。従つてこれらを適当な数に縮減しなければならぬということは、大体一般の輿論だろうと思うのです。従つてその前提の上においてできるだけ縮減をする。しかしさつきお話のように、それがために能率を阻害するということは適当でありませんから、能率を阻害しないという点を十分に考慮に入れて、たとえば行政事務の方を整理してそして人を縮減する。しかしそういう問題が起つて来るゆえんのものは、要するに現在の諸般の実情から見まして、官吏の数が多過ぎる。従つてどういう種類の官吏が幾ら、人口何人に対して一人でなければならぬ。そういうところまではかげんはとれませんけれども、全体の客観としてこれはもうほとんで一般の輿論として日本の終戦後の実情、諸般の情勢から見て役人の数が多い。行政機構が複雑になつているということは、これは問題はないところだろうと思います。そしてこういう審議が行われたれたのでございます。
  81. 山本正一

    山本(正)委員 これは先生にお尋ねするのはあるいは角が違うかもしれませんが、実はこの委員会でさきに自治庁長官から簡単にお話があつたのですが、その中の一説に行政機構改革の一つの構想をお示しになつたのですが、たとえば国家警察の要員であるとか、あるいは保安隊、警備隊の要員であるとかいうようなものは持殊の事情があるから所管大臣におまかせ願うことが望ましいと思つて自治庁が今立案しておるものは、これを一応除いたという趣旨のお話があつたのです。それでこのお話を平面的に考えると確かにそう思います。けれども特殊の事情の内容を見ると、程度の差はあれ、どの省のどの部門にもみんなそれぞれの特殊性は持つておる。そこで漠然と事情が特殊なるがゆえに総合的の行政機構の構想からはずして行くことになりますと、たとえば今お話に出た国家警察にしても、保安隊だけに例をとりますと、これをはずしてしまうと全体の総合的な行政機構の姿が非常に乱れて来るのではないかということを私は非常におそれておるのですが、これは他日の機会に所管庁に聞きたいと思いますが、先生の御意見はいかがでしようか。
  82. 村瀬直養

    村瀬参考人 それはお話の通りであると思います。特殊性ということを申しますと、どの仕事でも多かれ少かれ特殊性を持つておるということはあると思います。しかしながら程度の問題でございまして、その中で特殊性の非常に顕著なものとそれほど顕著でないものとがおのずから存在する。従つてその非常に特殊性の顕著なものはこれを除外をして行く。それほど顕著でないものについては、これを一体として観察をして行く、もつとも実行の場合においては、それぞれの場合においてそれぞれ違つた方策が出て来ると思いますけれども、その中で特殊性の非常に顕著なものは一応これを別にするという考えも成り立ち得るだろうと思います。
  83. 山本正一

    山本(正)委員 これはさつきも申しました領土であるとか、人口であるとか、それに伴う諸般の環境、これを主としてさつき先生がお話になつ行政能率の方に重く考慮を払う。能率というものはやはり面積とか、人口とか、それに伴う経済力、思想動向、交通、通信の事情とか、すべての環境から必要とする最小限度の能率は確保しなければいかぬ。それと一面先生のお話は私にはよくわかつておりますが、国民生活に必要な最小限度の行政能率というものは確保しなければならぬ。それをやりながら経済負担を軽減して行く。これはよくわかりました。そこでその経済負担を軽減するという基本は、やはり国民所得というものが一応の基準になるだろう。第二は、地方にしても国にしても、考慮の方向としては、財政的に統計の上に占むるところのこういう経費のパーセンテージがどろいうところにひつかかつて来るかということになるのだろうと思う。それについて日本の国民所得とか、地方財政、こういう財政の統計の上に占むるこの種類の経費のパーセンテージが、はたして国民個人の場合、国もしくは地方自治体の場合において、たえ得る限度であるかどうかということも十分考慮いたさなければならぬと思います。
  84. 村瀬直養

    村瀬参考人 それはごもつともだと思います。全体の国民所得の上からこういう行政的の費用がどのくらいあるかというようなことはもちろん正確な、数字はあると思います。ただここには持つておりませんが、しかしこれらの具体的の数字に入つてからも十分に説明はできると思いますが、入る前にもうすでに非常に行政規模が拡大しておるということは一般の常識だと思います。たとえば先ほども申しましたように、これは中央じやございませんが、府県について申しましても、警察あるいは教育というような方面仕事がなくなつておる各府県仕事機構の方から申しますると、それらがあるときの機構の何倍にもなつておるというようなことは、いかなる観点から見ても妥当なものとは考えられないのではなかろうか、こう考えております。もつともそれを正確に御説明申し上げまするについては、あるいは事務的に、あるいは国民所得というようなものと、行政費がどういう割合になつておるかということは十分に説明がつくと思いますけれども、ただいまここで御説明いたしかねますが、これらがなくても当然そういう一般の見解から申しまして、そういう結論が来るのだと考えております。
  85. 平井義一

    平井委員 ちよつと最後に一点だけお聞きしますが、行政制度改革に伴う人員整理という場合において、停年制というものをしくのが妥当と思われるかどうか、もし思われればこういうむずかしいことをやらんで、年をとつた者を仕事のひまな係、あるいは部課に向ければいいと思います。賛成ならばその点をひとつお聞かせを願いたい。あまり複雑にやつて、しまいには何もなかつたというようなことでは困りますが、この点いかがでしようか。
  86. 村瀬直養

    村瀬参考人 一般行政官について、停年制の問題は一ぺんも議論に上つたことはございません。またこれは個人になりますが、停年制といつても人間は人によつてみんな違います。ですから一律の停年制をもつて律するということは、はたして妥当なりやいなや。また現実において停年制を設けて、惜しいような人が仕事につけないというような場合をずいぶん私は見受けるのでございます。従つて行政審議会では停年制の問題は一ぺんも議論に上つたことはございません。また実際において停年制を――裁判官とか何とかいうようなものは別かもしれませんが、一般の行政官について停年制を設けるということはいかがなものであろうかと私は思います。これは個人の意見ですが、実際は停年制にひつかかるまで行政官というものはおらないのであります。
  87. 平井義一

    平井委員 それはそうでもない。年寄りはいやがるけれども、これは地方に及ぼす影響が大きいのです。御承知のごとく地方の公共団体になると、七十になつても勤めております。特殊な人以外は、停年制をしいてもそこまで勤める人はおらぬというなら、それはいい。
  88. 村瀬直養

    村瀬参考人 しいても適用がないというのならばなおよいとおつしやいま出すが、他方から言えば必要がないということも言えるのです。それから実際停年制といつても、人間のインデイヴイデユアリテイがありますから、一率に年だけでもつて何か基準をつくるということがはたして適当であるかどうかということは少くとも非常に疑問があると思います。
  89. 稻村順三

    稻村委員長 それでは本日はこの程度にとどめまして、次会は委員長におまかせくだされば、公報をもつてお知らせいたします。  本日はこれにて散会いたします。     午後三時二十二分散会