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1953-11-06 第17回国会 衆議院 内閣委員会 第3号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和二十八年十一月六日(金曜日)     午前十一時九分開議  出席委員    委員長 稻村 順三君    理事 大村 清一君 理事 平井 義一君    理事 八木 一郎君 理事 鈴木 義男君    理事 山本 正一君       江藤 夏雄君    永田 良吉君       長野 長廣君    山崎  巖君       粟山  博君    島上善五郎君       下川儀太郎君    辻  政信君  出席国務大臣        国 務 大 臣 塚田 十一郎君  出席政府委員         行政管理庁次長 大野木克彦君         海上保安庁長官 山口  伝君  委員外出席者         海上保安庁総務         部長      朝田 静夫君         専  門  員 亀卦川 浩君         専  門  員 小関 紹夫君     ————————————— 本日の会議に付した事件  行政機構に関する件  閉会審査に関する件     —————————————
  2. 稻村順三

    稻村委員長 これより開会いたします。  この際お諮りいたします。会期も近く終了しますので、本委員会といたしまして、閉会審査事件として行政機構並びにその運営に関する件、保安隊及び警備隊に関する件、恩給に関する件を議長に申し出たいと存じますが、御異議ありませんか。     〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  3. 稻村順三

    稻村委員長 御異議なければさよう決定いたします。  なお行政機構並びにその運営に関する件が付託になりましたならば、先般設置いたしました行政機構改革に関する小委員会におきまして、閉会中も審査を続けて参りたいと存じます。  次に行政機構に関し調査を進めます。先般要求いたしました地方制度調査会答申が提出され、お手元に配付いたしましたが、本答申行政審議会答申とを会議録に掲載することにいたしておきます。  なお大野木次長より資料提出につき発言を求められておりますのでこれを許します。
  4. 大野木克彦

    大野木政府委員 先般御要求になりました、資料の中で、出先機関に関しまするところは、ただいまお手元に差上げました通りでございます。なおこれは七月一日現在の調査でございまして、全国的にわたつておりますので、現状におきまして若干細部に補正を要するところがあるかと存じますが、それはいずれあとで申し上げたいと思います。  それから地方制度調査会答申につきましては、自治庁の方から御提出申し上げました。なお審査の対象となりました法令につきましては、最近の事情等によりまして若干言下訂正を加えておりますので、いましばらく御猶予をお願いいたしたいと思います。
  5. 稻村順三

    稻村委員長 次に質疑の通告があります。これを許します。辻政信君。
  6. 辻政信

    ○辻(政)委員 私は休会中二週間の予定で李承晩ライン竹島を見て参りました。それは内閣委員といたしまして、海上保安庁機構運営について、はたして適当であるかどうかということを検討するのがおもな使命でありました。この間山口長官初め首脳部の皆様及び現地で勤務しておる船長以下に非常なごやつかいになりましたことを、あらためてお礼を申し上げます。  その視察の結果に基いて、二、三保安庁長官質疑をいたしたいと思いますが、その第一は私が現場行つて感に打たれたことが一つあります。それは船長船員というものが、相手の大砲や機関銃の前に、まる腰でもつて捨身で働いておるという点であります。過去の戦争で海軍の駆逐艦が敵のはげしい爆撃下行動した、それに便乗したことがありますけれども、それに劣らないような気持でもつてつておられた。しかもその船長船員は、うちを出るときに遺書を残し、家族と水杯をもつてわかれて来ておる。三交代で一週間連続服務しまして、一航海終ると、体重が一貫目ぐらい減つて来る、こういう状態であります。私は船長以下のその活動に対して、百パーセントの敬意を表する。しかるに九月の七日から逮捕が始まつて、一箇月のうちに四十一ぱい漁船が拿捕されておるにかかわらず、海上保安庁本部において、課長以上の主任者がだれ一人として現場を見ておらないという点であります。たいへん失礼でありますが、首脳部人たちが消極的である。極端にいえば無責任である。第一線命がけである。そこにこの問題の本質がある。何がゆえに今日まで首脳部がみずから現場に乗り出して、危険を共にしながらその船長以下の死を決したような行動に対して激励をし、適切な指導をしなかつたか、その点について長官の所信を承りたい。
  7. 山口伝

    山口政府委員 ただいま辻委員から、われわれの海上保安庁第一線機関が身命を賭して働いておる、その点についてはおほめの言葉をいただきまして、私もその点はうれしく存ずるわけでありますが、最後に本庁の幹部が、このような状態の際に第一線激励あるいは視察等に出なかつたことについて御質疑がございましたが、この問題につきましては、多少言い訳にわたるかもしれませんが、私ども考えを一応お聞取り願いたいと思うのであります。  そもそも朝鮮海峡あるいは東支那海あるいは北方水域等漁船保護のための特別哨戒を始めたのは、昨年の九月以来のことでございます。当時閣議決定に基きまして現場における日本漁船保護には巡視船の出動が必要であるということで、その閣議決定に従いまして随時その三つの海域巡視船を、当時は各地総計して五隻ないし六隻の巡視船交代で出しております。その後依然としてぼつぼつと漁船不祥事件が起つております。拿捕もありました。ことに本年に入りましてからは御承知の第一、第二大邦丸事件というものがございました。しかし数はそうたくさんでございませんでありましたが、御承知のようにこの八月の末に防衛水域がとれ、日本漁業界としてはこれから十二分に活躍ができると思つて喜んだのもつかの間、結局昨年一月に李承晩大統領が宣言したいわゆる李承晩ラインを確保することを韓国側で決意して、九月の七日に、ですから防衛水域がとれてわずかに十数日で、向う日本漁船に対して今後李承晩ラインに入つちやいかぬという警告をし、この中に入つて来る日本漁船は全部退去せしめるし、聞かない場合には拿捕するということで、今回の事件がまたきわだつてつたわけであります。それでわれわれの方の仕事といたしましては、かように先方が非常な不法な態度に出て参つたのでありますが、これらに対する対策海上保安庁外務省水産庁常に三者緊密な連絡で東京において相談をして、その方針に基いて現場巡視船行動の指針といたしているわけであります。従つてわれわれ幹部韓国側と特に外交的な交渉をする意味で乗り込んで行くことはこれは私ども権限外だと思います。ただ現場における船長向う出先艦長あたりとどういうふうにするかということにつきまして、むろんこちらの中央方針をしさいに伝えて適宜指導いたしております。また現場からもこういう状況でこういう点については今後はどういうふうにしたらよかろうかというような質疑もむろん来ます。これに対してはその都度われわれ海上保安庁できめ得ることは即座通信機関指令をいたしておりますし、また外務省水産庁相談を要することにつきましてはそれぞれ相談をいたして、その都度指令をいたしているわけであります。むろんこの巡視船日常業務それ自体につきましてはそれぞれの管区本部長、すなわちこの場合におきましては主として済州島周辺巡視船行動につきましては、出先の第七管区本部長日常行動については直接指揮監督をいたしております。これを総合した最終統理はむろん私がいたしているわけでありますけれども一つ一つ行動一つ一つ指揮につきましてはこれは第一線部隊長管区本部長にまかしてあるわけです。しかし事柄が深刻であり重要な問題につきましては、その都度連絡も受け、それに対して即座に、今申し上げるように海上保安庁限りで答え得るものは答えるし、事が重大だと思つて外務省関係機関相談すべきものはした上で連絡いたしております。むろん私どもとしてはかようなかつこうで日常仕事をやつておりますが、現地巡視船お話のように、命がけで働いておる実情であるとか、あるいは船員指揮等について十二分に把握する必要があつて、出かけ得ればなおけつこうでありまするが、その点は幸い今回の問題が起ります直前、すなわち、たしかあれは九月一日付だつたと思いますが、従前三、四年にわたつて本部警備救難部長をしております松野一等海上保安官を、偶然幸いであつたわけでありますが、九月一日付で七管の本部長に転出を命じたわけであります。これは第一線の特に七管の九州周辺業務に部内の優秀者を出して、第一線を強化するという見地から行つた人事異動でございます。松野君は海上保安庁が創設されて以来、警救業務にタッチしたベテランであります。この人をやつて間もなく今度のような事件が起つたのでありまして、常に松野君はこちらにおります三年間ばかわの間、本部警救部長としてこの仕事日常やり、企画、立案をした人であります。常に外務省とか水産庁相談をしておつた人であります。これ以上の人はないわけであります。この人が行つておりますので、これまでの本部の意向なり、関係官庁方針というものは十二分に把握をしておる人がいたわけであります。私どもは特に結果的に見て非常によかつた。松町君は行つてすぐこの問題にとつ組むことになつてしまつたわけでございます。従つてかような最も適任の本部長がこの問題に携わつたので、われわれとしてはいろいろな連絡をいたす場合にも、その他の人と話すよりはずつと能率が上るわけであります。言わず語らずちよつと言えば見当がつくわけであります。さような人を得ております。従つてわれわれとしては第一線に十二分の信頼をもつて臨んだわけであります。むろん現場把握につきまして、あるいはまた現地激励ということで出かけることは実は考えておつたわけでございますけれども、さような松野君が現地がんばつて、日常連絡電話あるいは無線等でしておりますから、そこのところまで行き届かなかつたのは不十分だといえば言われますけれども、われわれとしては松野君がじかに臨むことになつたので、非常によかつた、結果的に仕合せであつた。そのうち行きたいと思つておりましたが、遅ればせながら汁委員の行かれたあと、実は現場行つて李ラインそのものまでに行くひまはございませんでしたが、下関、門司、福岡で、うち出先機関ともいろいろよく相談しまして、また水産業者方々とひざをまじえていろいろ詳細に伺つて来たわけであります。さようなわけで、お話の、幹部がなぜ現地へ行かなかつた——むろん行つておれば、なお一層効果上つたと思います。しかし今申し上げるような事情で、相当連絡もついておりますし、それからまた現場に人を得ておりますものですから、さようなことにちよつと考えが及ばなかつた次第であります。
  8. 辻政信

    ○辻(政)委員 松野管本部長は人物もりつぱであり、また長い間船乗りとして鍛えた人ですから、現場で働いておる船長以下の気持把握する点におきましては満点な人であります。しかし今おつしやつた通り、九月一日にその人が転任になつて、事は九月七日から起つておる。でありますから転任になつて事務引継ぎとかあいさつとかそういうことに忙殺されておつた。私が船に乗り込んで行くまでは、七管本部においても謀長以上で一緒現場を見た人はありません。私が行つたときに初めて朝藤警救部長が同船をした。それまではまつたく三十二、三の船長国家を代表して相手の前に立ちはだかつて交渉しておる。外交折衝はあなた方がやる必要はありませんが、船長は現に外交交渉をやつておる。そして命をかけて働いておる人々のその苦労を一体中央部出先の六部の幹部が見てやつたらということを私は言つているわけです。事務電話一本でできるわけです。私のような部外の者が飛び込んで行つてみたときに、あの若い船員たちがいかに喜んでくれたか。われわれの苦労国会が見くれる。大体戦いというものは、こう言つてはなんですが、苦戦をしているときは、第一戦に指揮官指揮に行く。兵隊を送る上りも、たまを送るよりも、指揮官が敵のたまをくぐりながら指揮することに上つて戦勢が挽回できる。今は武装を持たない戦いだ。まる裸で相手砲口の前に戦つている日本青年、そのときに日本官吏、えらい役人がその青年一緒に危険をともにして初めて国民の志気が振い、あの重任にたえ得るのであります。あなたは事務の処理をされる必要はない。あなたが直接行つて、御苦労という一言をかけて、船長の手を握つてやる。それだけでその志気がいかに振うか。これはものの考え方の相違でありますが、要するに、日本官吏、お役人のえらい人というものは、宴会には行く、ゴルフには行く時間はあつても、第一線に飛び出す時間はないから、ほんとう仕事ができない人です。高い俸給を出して、そうしてたくさんの役人を持つている。これで一体何をしているのか。精神上の問題を言うので、事務上の問題ではない。  また私が十六日の夕方鳥取県の境の港から竹島向つたときに、二百七十トンの巡視艇を出してもらつたんですが、洋上へ二時間出て、玄海の波に船がゆれているときに、あなたから電報が来た。汁代議士下船をしてくれという電報があなたの名前で来ました。私は非常に心外であつた内閲委員長から公文をもつて調査のために私は派遣をされている。それに対して海上保安庁長官下船をしろとは何事か。日本代議士日本領土を見るのに、何の遠慮がいるのか。そこで私はあなたに対して電報を打つたはずです。国会議員国政調査に対する行動をあなたは拒む意思かどうか。そうしますと、おつかけて、よろしいという返電が来ましたけれども、まことにふしぎに感じたのは、船長に対する指示において、竹島に絶対上陸するな、必要以上に近寄るな、相手の船が出て来たら、逃げて来い、こういう電報が来ているわけです。それはあなたがお出しになつたかどうかわかりませんが、日本領土日本代議士が見に行くのに、上陸してはいけないとか、必要以上接近するなとか、向うの船と出会つたら逃げて来いとか、こんな気魄で一体領土が保てるのか。竹島の問題は、これは大した物質上の問題ではないと思う。人の住まないちつぽけな島だ。その気魄においてすでに負けている。なぜ上陸して見ぬかと言うと、船長は、どうしましようか、こういう電報が来ているんですが、というわけで、私は、よろしい、その通りやりなさい、私は船長指揮する権限はない。しかし私は、国会議員として主張する。必要以上に接近するたということは、必要なだけ近づけというとだ。だから波打ちぎわまで行く、そのつもりで行け。それで、波打ちぎわまで船を近づけた。あなた方が立てた標識は、根元から切り倒されている。それで、韓国標識が立つておる。その波打ちぎわ韓国の、花崗岩でつくつた遭難同胞の碑が立つている。これを目の前に見て来た。そうすると船長は非常にびつくりして、船上で総員非常配置という号令をかけた。これはいくさでも起つたのかと思つたら、船長は島の中にある石を、韓国人と間違えた。それで総員非常配置という号令をかけた。よく見ると石だ、人間でないということで、初めて非常配置を解いた。かような状況です。要するに、内外に対しては日本領土であると宣言しておきながら、日本役人のえらい人がそういう状態だからなめられてしまつて気魄において戦いが負けているという感じを持つた。これはあらためてあなたの所見を伺えませんか。  次に承つておきたいことは、国家の注意の焦点になつているところの李ラインの看視にあたつて、あなたの方が配当された船は巡視船を二十隻である。しかし現在お持ちもになつているのは、九十四隻あるはずだ。九十四隻の巡視船を持つておりながら、あの大事な李ラインに二十隻しか配当していない。しかも七百トン以上の新造船を二隻持つておられる。これはどこに使つているのでか。現場に使つているのは、くさがき級の四百五十トン・クラスのものが二隻と、あとは二、百七十トンクラスの小さな木つ葉みたいなものだ。東支那海玄海の波にもまれて、二百七十トンの船で行つてこらんなさい。どうなるか。船員の半分くらいが酔つぱらつてしまう。なぜ七百トンの新造船向うに持つて行かないのか。少くとも九十四はいある巡視艇の半数くらいは持つて行かなければならぬ。現在二十隻で三交替、毎日六隻で巡視されている。向うの砲艦が出て来て乱暴をやる。こちらが二はい行つたときには暴力を振つていません。一対一のときには常にやられる。だから機動力を発揮して、重点的な方面にこちらが持つているものは全部持つて行く、そしてあなたが七百トンの巡視船に乗つて、海千保安庁長出目はここにおる、諸君の活動を見ておるぞ、これだけであの李承晩ラインの被害は半分以下になるのです。四十一ぱいの船がやられたというその大きな責任は、九十四はいの巡視艇うちの二十ばいしか置かない、しかも上級指導者の、身をもつてやろうという気魄に欠けている、この二つです。どう思われるか。
  9. 山口伝

    山口政府委員 現在李承晩ライン方面海域に出動しております巡視船の数は、お話通りこれまでは二十隻が二班交替もしくは三班交替で常時六隻出ております。その内容は、お話のようにくさがき級の四百五十トン、それに一部二百七十トン、それからもう一つ飛行機救難艇が一部入つている。これが今日までは常時六隻くらいでやつております。お話のように巡視船の全勢力は現在九十四隻ございますが、そのうちの新造船お話通り四十四隻であります。四十四隻のうち、七百トン型というのはわずかに二隻、四百五十トン型が二十二隻、二百七十トン型が二十隻で、九十四隻のうちこの四十四隻の新造船が今度の業務の中心になつているわけであります。沿岸の警備あるいは遠距離海難救助等には少くともこの四百五十トン以上でなければ仕事はできません。太平洋上の遠い海難救助には四百五十トンでも航続力の点から不足がちで、七百トンがとらの子になつている。そもそもこの特別哨戒をやりますときに、遠く東支那海、台湾近くまで四百五十トンで哨戒させるというのは非常に無理なことであることは、私どもも十二分に承知しておりますが、現在の所有船艇の中では満たしかねたので、さようなそれぞれの担当海域の航海にも一応耐え得るという角度で出しているわけであります。  お話のように、これらの全勢力の中の相当部分を問題の李ラインへ集中できればいいのでありますけれども、一方全国的に海難状況を申し上げますと、毎日平均十くらいの海難が起つております。これらのうち遠距離海難等で、現にサイパンの方にも漁船ひつぱりに行つて、今曳船しつつありますが、これらの仕事に使うのはどうしても四百五十トン以上——特に七百トン級は一番のとらの子にいたしておるわけでありまして、これが海難救助の花形であります。結局北太平洋あるいは中部太平洋遠距離海難救助用のために、七百トンのだいおう、むろとは函館と下田にはりつけにいたしておるわけであります。これを持つて行くよりは、数の上からすればむしろこれはこのままにしておいて、四百五十トン級をさらにしぼつた方がいいわけでありますが、塩釜であるとか、名古屋であるとか、あるいは高知であるとか、ああいつた太平洋岸要所心々には一隻ないし二隻ぐらいのものは所々に置いておく、少くとも海難救助艇として人名の救助あるいは船隊の保護という点で最小限度のものはどうしても直いておかなければ、私どもの方の仕事も間に合わない。それで今まで二十隻ぐらいをこの方にさいておりましたが、この間も行きましていろいろ事情も聞き、それから今後の漁場がだんたんと以西の方に入りまして、東支那海の方に仕事の上では入つて行くし、この方にはどうしても今度は多く漁船を入れたい、これで取返したいという気持もあるので、われわれの方もこの間から十二分に海難救助ともにらみ合せ、全国的な巡視船配置について再検討を続けまして、実はやつと最近に現在やつている隻数よりも五割くらい現場における隻数をふやすような案を立てて、今関係方面相談しております。従つてこれらの李承晩ラインを含め、東支那海方面のわれわれの方の船艇はふやすことを考えておるわけであります。しかしこれも常時ですから九隻ぐらいが出得る限度ではないかと考えております。これから冬の海難の最も頻発する時期に臨みますので、これ以上はちよつと無理で、現場でも、私下関に参りましたときには、端的に向う業者の方から、いろいろ苦労はしていただいておるが、これからの対策には今おつしやる通り隻数をふやしてもらうことが一つ効果を発揮する、それで四百五十トン以上、すなわち二十二隻の四百五十トンと七百トンの二隻、合せて二十四隻を全部こつちに持つて来て並べてくれ、こういう話がありました。その話も聞いて帰つていろいろと検討して、結局船の質においては若干の差がございますが、数においてはほとんどそれと同じものを実はつくつたので、今相談しつつある。今後はその点でかなり御要請にも沿い得ると思います。
  10. 稻村順三

    稻村委員長 塚田国務大臣がたいへんお急ぎなので、まず塚田国務大臣に対する質疑を先に行いたいと思います。御了承を願います。それでは鈴木義男君。
  11. 鈴木義男

    鈴木(義)委員 前会塚田国務大臣の説明をやむを得ざる所用がありまして拝聴しなかつたので、あるいは質問が重複するかもしれませんが、そういう点は簡単にお答え願いたいと思います。  まず中央行政機構改革について、新聞紙などは始終アドバルーンをあげるような記事を出しておるが、政府として徹底的な最終案をすでに用意されているのかどうか、それから省の配置分合まで考えておられるのであるかどうか、考えておられるならば、具体的な構想を承りたいと思います。
  12. 塚田十一郎

    塚田国務大臣 先日御説明申し上げたときにも大体申し上げたのでありますが、確定的なものは何にもまだきまつておらないのであります。改革構想の一部分は、臨時行政機構改革本部の一応の意見をとりまとめたものがありますが、まだそこまで行つておらないで、行政管理庁ほんとうの第一次の草案という程度のものもあります。しかし臨時行政改革本部の一応の案をまとめました上は、これから先の見通しといたしましては、各省との個別の折衝をいたさなければなりませんので、それが済んで最終的に閣議に持つて出るということになると思うのでありますが、まだそこまではどの部分行つておりませんので、今まで一応新聞紙上に伝えられておりますものは、それぞれの社の方々が、いろいろな情報を総合しておまとめになつたもので、政府としてきまつたものではございません。それから省の統廃合というものを考えておるかということでありますが、これは行政機構改革考え方といたしましては、検討はすべきものであると考えておりますけれども、もちろんそれはどういうぐあいになるか、あるいはまた統廃合最終的に行われるようになるか、その辺のことも従つてまだ何にも結論は得ておらぬわけであります。
  13. 鈴木義男

    鈴木(義)委員 そう言われてはちよつと質問のやりようがないわけでありますが、一体行政機構改革は、総理大臣などの言明によると、今度は断固としてやる、何度目の断固か知りませんが、断固として今度はやるということになつております。それならその局に当られる管理庁の長官は、相当重大な決意とある構想を持つておらなければならぬはずだと思う。まだ何もきまつておりませんということは、あまり無責任ではないかと存ずるのであります。とにかくこの機構改革はどういう御方針でおやりになるのか。経費を節約することが目的なのか、真に行政能率を高めることが目的なのか、もちろん両方だとお答えになるだろうと思いますが、その点についてひとつ構想を承りたいと存じます。
  14. 塚田十一郎

    塚田国務大臣 これは政府といたしましても断固としてやる意思でありますし、私も従つて担当長官として断固としてやるつもりで想を練つており事。ただいろいろな手続きがいりますので、最終的なものにまだ到達しておりませんので、ここで申し上げる段階には至つておらない、こういうように御了解願いたいと思います。しかし想を練ります場合のものの考え方といたしましては、もちろん私としてもある程度考えたものがあります。ただいま一体今度の行政整理は経費を節約するのが目的かどうかということでありますが、御想像の通り、両方の目的を持つておるのでありまして、一つ考え方は、国の行政機構が、戦争に負けて国も小さくなり経済力も弱つた今日の日本状態にマッチしていないのではないか。そういう考えと、さらにここに取上げてみますならば、現在ありますいろいろな機構には、中央の機関と出先機関、それからして国の機関と自治体の機関、こういうものの間に、縦に重なつて重複をしてむだを生じておる部分があるのではないか。また各省の間に一つ仕事を共管の形でお互いに所管をしておつて、横にも重複をしておる部分もあるだろう。そういう意味において非常にむだがあるのではないか。そしてそのむだがあることがただむだであるばかりでなく、国民の側から見ると非常にそのむだのために行政事務の運行が早く行かないで迷惑をしておられる部分があるのではないか。そういう部分はなるべく直そう。それからもう一つ考え方は、今国がやつておりまするいろいろな行政事務は過去のいろいろな行きがかり、ことに戦争中から戦後にかけて大分直りはいたしましたけれども、まだそういう過去の行きがかりでやつてつて、今の日本の国の状態で必ずしも続けてやらなければならない性質のものばかりではないのではないか。そういう面において今日の国の状態国家というもののあり方に照して整理できるものがあるならばやめよう、こういうように両面から行政機構のあり方を国情にマッチするようにという考え方をしておる次第であります。その結果から出て来る余剰人員があるならばこれは整理しよう。従つて整理するということになればその整理されただけは国費の軽減にもなる、こういう考え方をいたしておるわけであります。
  15. 鈴木義男

    鈴木(義)委員 それならばそれに関連して、整理の一つの方法として待命制度なるものを考えておられるように新聞紙が伝えておりますが、これはどういうふうにどの程度まで進行しておるのであるか。またどういう構想で受入れようというお考えであるのか、そういう考えはないのか。またこれは行政整理の一つの手段として一時的にやるというお考えであるか、あるいは公務員制度の一つの恒久的な制度としておとりになるようなつもりであるのか。そういう点について承りたいと存じます。
  16. 塚田十一郎

    塚田国務大臣 待命制度が今度政府によつて取上げられるようになりましたいきさつは、実はこういう考え方からなのであります。元の文官分限令というものに、官庁事務の都合により必要がある場合には官吏に休職を命ずることができる、こういう規定があつたわけであります。同じような考え方で今申し上げましたような行政整理をする場合にこれこれの人たちはもうやめていただきたいという人たちがある場合に、その人たちに同じ考え方政府の一方的な意思でもつてやめていただくというくふうがないのだろうかということが、考え方のそもそもの起りであります。しかしそういう考え方からスタートしていろいろ検討してみたのでありますけれども、今日の国家公務員法の建前ではそれはできない。従つてもしそういうことをするとすれば、結局基礎になる立法措置をお願いしなくてはならないということになつて、かりにやるとしても正式の行政整理は他の法律案と一緒にそのような必要な立法措置をしたときでなければできないということで、これは今一応見送りになつておるわけであります。この間閣議決定いたしました待命制度は、そういうことを頭に置きながら——しかし今すでに政府は、相当各省にやめていただいてもいい人たちがある、また現在お勤めになつておる人たちの中にはやめてもいいという人たちもあるのではないか、そこで双方の意思が合致して、できるものがあるならば、今考えておる待命制度を全然別の形で、双方の合意承諾の形において実施して、そうして一時にたくさんの人たちが職を離れて就職戦線でひしめき合われることを除くことができるならばかたがたいいし、また当然やめていただかなければならぬという人は今おやめにならなくてもさしつかえないからして、そういう人たちがあつたなら希望を募つてやろうという考え方が、今度の閣議決定によつてつた待命の制度であります。従つて今度の考え方は一時的なものであり、ほんとうには政府はもし国会の御承認を得られるならばそういうことも考えたいと思つておりますのは、最初に申し上げましたように立法措置を伴つたものであります。そういう立法措置を伴つたものを恒久的な公務員制度の中に織り込むつもりかどうかというお尋ねでありましたが、この点はいろいろ検討いたしておるのでありますが、今のところではやはり今度の行政整理の際の一時的な、現状的な性格のものとして出すべきではなかろうかというふうに一応考えておるわけでありますが、この点につきましてはまだ最終的な判断をいたしておらぬ状態であります。
  17. 鈴木義男

    鈴木(義)委員 それでは閣議決定にはなつたが、この待命制度によつてどれくらいの整理予定数を得られるというような見当はあるのですか。それともまだないのですか。
  18. 塚田十一郎

    塚田国務大臣 今度の待命制度はそういうぐあいにやめられる側、待命になられる側も希望者であり、また政府の側からいたしましても、待命になりたいというお申出があつても必ずしもこれを全部許せるかどうかということになると、やはりそうは行かないで、判断をしなければならないという事情にありますので、数の点は全然見当がついておらぬのであります。政府側がどういうぐあいに判断をしなければならないかということでありますが、これは今度の制度で待命を希望され、政府がそれに対して承諾を与えた場合には、そこの省の待命になつた人たちだけの定員というものは当然今後採用しないということになるわけでありますので、定員が減るということの前提になるわけであります。従つて今おる人がやめて、そのかわりを入れなければならないという状態のときには、これは待命を承諾するわけには行かない、こういう状態になつておりますので、必ずしも希望があるからといつて、全部の方々に待命をお願いするというわけには行かないわけであります。
  19. 鈴木義男

    鈴木(義)委員 なおこまかい点はあらためてお尋ねいたしますが、保安庁が非常な勢いで膨脹しつつあるようです。これについては行政機構全体の立場から、塚田長官が常に御関与になつておるのでありましようか。その点をお伺いいたしたいと思います。
  20. 塚田十一郎

    塚田国務大臣 保安庁の機構というものは目的が全然別個の立場から検討されておりますので、もちろん行政管理庁長官としては、すべての国の公務員を含めてなるべく数がふえないということが望ましいのでありますけれども、保安庁の機構及び人員につきましては、必ずしも行政管理庁長官行政改革という考え方からばかりものを考えるわけには行かないということに考えますので、一応構想のほかにということにいたしております。
  21. 鈴木義男

    鈴木(義)委員 これは非常に重大なことで、かつての軍部は内閣内における独立国であつた。そのためにだんだん軍部の横暴及び専横も行われたのでありますが、今もやはり保安庁という役所は一種特別な治外法権を持つておるような形を、だんだん社会に印象づけつつあるように思います。また長官は他の大臣等に相談せずに、かつてに保安庁の構想を放送しておりますことを許しておくならば、結局保安庁あるいは保安隊というものは内閣内における独立国になつてしまうということをわれわれはおそれるのであります。その点について注意を喚起しておきたいと思うわけであります。  それから地方制度につきましてはたくさん開きたいことがありますけれども、時間がありませんからごく大きいところだけ、一部承つておきたいと思います。府県の性格をかえるような構想政府にあるか、あるいは知事の公選等について、何か考えるところがあるかということをお尋ねしたいと思います。
  22. 塚田十一郎

    塚田国務大臣 現在の国の行政機構改革に伴つて、地方の機構も若干改革が行われると思うのであります。現在行われようとしておる構想において、府県の性格もしくは知事の公選制度というようなものについて何らか考えておるかということでありますならば、これは全然考えてはおりません。また先般出ました答申におきましてもそのようになつておるのであります。ただ先般私が何かの機会にいろいろな意見を述べましたのは、これはそのときの質問に対するお答えの都合で、私が自分としての考え方、ことにかりにできるとしても先長い将来の理想的な考え方として申上げましたことに、若干府県の性格、そういうものに触れた点があるのでありますけれども、これは今日の段階では全然論議すべき問題でもありませんし、またそういう議論をいたしますことが新聞に必ずしも正確でなく伝えられて誤解を起すことがしばしばあるようでありますので、今後は発言を慎まなければならないと考えておるのであります。その点は御容赦願うことにいたしまして、今の段階としては、先ほど申し上げますように何らそのようなことは考えておりません。
  23. 鈴木義男

    鈴木(義)委員 その点に誤解か正解がありましたゆえに承つたわけであります。  それから警察制度についても、自治体警察を保存するというようなことは一応言つておるようでありますが、政府としては、なるだけ中央集権化して行こうというお考えを持つておるのではないかと思われる節が多いのでありますけれども、この点について根本的な構想を一応承つておきたいと思います。
  24. 塚田十一郎

    塚田国務大臣 この警察制度のあり方につきましては、実は政府といたしましては先般の国会に提案をいたしまして、成立はいたさなかつたけれども一応の考え方があるわけであります。今度のこの地方制度改革に関する答申にもそれについて若干の点が触れておるのでありまして、先般臨時行政改革本部におきましてもこの地方制度改革答申を受けて、この考え方の筋から、それに行政改革構想というものをあわせて盛り込んだならばこんなものになるのではないかということを一応考えてみたことはあるのであります。しかしこれは、考えるときにもそうでした、また一応考え改革本部としてのある種の案を練つた結論におきまして、これなかなかむずかしい問題である、ことに非常に専門的な問題であるので、行政改革本部としては警察制度についての案をつくることはやめよう、従つて地方制度改革に出て来た答申はそのまま所管の大臣の方に委譲して、あちらで考えていただく、そのときにわれわれの方で参考のために考えて、そうして行政改革という観点からすれば、このようにしていただけるならば非常に好都合だという意味において、われわれのところで考えたものを一応参考意見として送付し、従つて本来の起案の責任は、これは専門の事柄でありますから、ことに事柄が重大でありますから警察担当の所管の大臣において御検討願うことにしようというので、従つて私のところでは警察制度に関するものは何ら正式なものはない、こういうふうに御了解を願いたいと思います。
  25. 鈴木義男

    鈴木(義)委員 これ一つで、終ります。いつも問題になるのでありますけれども保安隊というものが軍隊であるというならをやむ得ないが、われわれは特殊の警察の任務を持つておるものである、ことに警察予備隊と称した時代には、疑いもなくそういうものであつた。これをもつと活用することによつて一般警察の規模を縮小することもできましようし、あるいは経費を節約することもできましよう。無用の長物を養つて行くというような形は、平時にあつては、先ほど長官の言われるように日本の貧乏の状態において、非常に考えなければならないものである。そういう点を有機的に関連させて考えて行くことが内閣全体の問題として大切なことではないと思う。そういう点について、多少の御考慮があるかどうかということをこの機会に伺いたい。
  26. 塚田十一郎

    塚田国務大臣 私ども考え方としては御指摘の通り考えておりまして、この両者は相関的に考えて、両方あわせて国の治安その他の目的が達せられるようにということを目標にして構想決定すべきものである、こういうふうに考えております。
  27. 鈴木義男

    鈴木(義)委員 こまかいいろいろな質問をやるときりもなく長くなりますから、これだけにして、私は他日に留保してこれで打切つておきます。
  28. 稻村順三

    稻村委員長 平井君。
  29. 平井義一

    ○平井委員 行政機構改革に伴う人員整理の上で、停年制を設けるつもりはあるかどうか。これを設けなければ、地方の市役所などは、七十を過ぎてもまた勤めておる。しかも無能な人間で、やめなければしようがないという状態である。もう一つは、新規採用をしないということであるならば、年々十数万の大学生が卒業して行くが、これの対策はどうするか。それと今度の行政機構改革に伴う二十九年度の予算編成の上にどう関連しておるか。私どもは小委員会をつくつてこれから審議するのでありますが、来年度の予算の上に人員整理あるいは機構改革はどう盛り込まれておるか、この点を大臣から承りたい。
  30. 塚田十一郎

    塚田国務大臣 停年制度につきましては、検討はいたしております。一つの研究題目として検討はいたしておりますが、まだ結論はもちろん出ておりません。ただ地方のことでありますが、御承知のように今度の国の行政改革としては地方のところまでは及ばないのでありまして、国の方針をきめて、地方にもこれにならうように勧奨するということになると思うのであります。もちろん国が平衡交付金その他でめんどうを見ております限りにおきましては、財政面から間接的な拘束というものが出て来ると思いますけれども、地方の方はそういうようになつておる次第であります。  なお新採用、特に新しく学校を卒業して出て来る人たちの採用をどうするかという問題でありますが、これは御指摘のように非常に微妙な、研究を要する問題でありますので、ことしも今検討いたしておるのでありますが、大体の考え方としては、全然採用しないということは、各官庁の職員の年次別の構成という観点からいたしましても、できないであろう。ただことしも採用するにしても、新しくまた整理を考えておるその考え方と調和のとれるような程度において、新しく採用をするならばしなくてはならぬ、こういうように考えております。  予算との関連は、先般もいろいろ申し上げましたように、今度の改革を頭に置きながら予算を組んでもらうということになつておりますので、改革が進む段階においては大蔵省側と緊密に連繋をとりながら作業は進んでおる、こういう段階であります。
  31. 島上善五郎

    ○島上委員 関連質問。時間がないそうで、一つだけ質問しておきます。この行政機構改革考え方ですが、MSAの援助受入れとどういう関係がありますか。この前の国会では実際にMSAの援助を受けるという腹をきめて内々相当交渉しておりながら、受けるとも受けないともまだきまつてないと言つて逃げておりましたが、今や逃げることはできないと思います。MSAの援助を受けるという腹をきめて、相当つつ込んで交渉しておる。このMSAの援助の受入れと行政機構改革とは無関係であるはずがないと私どもは思う。保安庁をだんだんと拡張し、軍需生産に重きを置き、国民生活にサービスする方面を縮小して行く、労働省や厚生省なんかやめてしまつて、労働者や一般国民にサービスする方面をだんたん縮小して行つて、戦争準備の態勢を強化して行く、こういう気がしてならない。今の行政機構改革がMSA援助の受入れ態勢とどういう関係があるかという点だけを承ります。
  32. 塚田十一郎

    塚田国務大臣 御質問の点は、先ほど私が事務を整理するということを申し上げましたとき、もう国がこういうことをやらないでいいと思うものはやめるというように申し上げましたので、あるいはそういう御質問が出たかもしれませんけれども、ただいま島上委員からお尋ねになつた、MSAを受けるから労働関係、ことに厚生、社会保障の関係の方を非常に削減をするというような考え方は毛頭持つておりません。私どもは、国の政治全般の上には保安隊もあるいは増強が行われるかもしれませんが、行われるといたしましても、総合的に判断をして、今日の国力でどの程度に保安隊、どの程度に社会保障というように、政府としての判断が行われた結果出て来ると思いますので、行政整理をいたします場合にそういう点は毛頭考慮に入れておりません。
  33. 粟山博

    ○粟山委員 私は、ただいま非常に大事な質問が行われた機会に、痛切に感じましたことを一点伺いたいと思います。行政機構改革ということは多年にわたつて唱道され、また手をつけられておるが、吉田さんも断固として行うということをときどき言われる。あなたもここで断固として行うと言われた。まことに決意は壮として伺えるのでございますが、一体こういう大きな問題を断固としてという言葉で国民の耳に伝えることはどういうものか。これは少し考えていただかないといけないと思う。というのは断固としてやろうと思つても停頓し、断固として腰を抜かすような結果になる。そこでこれを私は非常に国のために憂えるのです。というのは、今の長官のおちついた透明な御説明で、横にも縦にも重複を避ける、古い因習から新しい時代に伴う精彩を添えて行くということはまことにけつこうな理論でございます。その通りにありたいのでございます。しかし実際日本の国情を見ますると、まず四百六十六人の衆議院議員、三百人からの参議院議員あるいは全国のそれぞれの地位にある官吏方々のお手元には何百通、何十通、何通という就職の切実な願いが届いているわけです。これはおびただしい数になつておる。これは何かというと、一方整理を行おうとしながらも、新しい卒業者ばかりでなく、一旦職から離れた人でもまだ職を求めておることにいかに切実な状況であるかということが身にしみるのです。そういう状況において、一方においてはあなたは筋の通つた整理をなそうという。現実日本の国情は、何万人、何十万人というものの就職の波状攻撃を受けておる。私は、国の全体からいてもまず卒業された若い青年には職が与えられるということを希望する。そこで初めて国が新しくなり、またやむを得ない事情で職を失われた人でも職につけるということにおいて世の中は安定して来る。ところが今政府はこれほど大きな問題になつておる裁定賃金すらもこれに応じ得ないというありさまである。そういう状況において、現実にこれは一体できるのでしようか。私は、吉円内閣に不満を持つとかいう観点でなくて、日本の国はここで新しくならなければならぬ、一新紀元を画さなければならぬということを考えるときに、イデオロギーがどうというような自分たちのいろいろな道楽の上からもてあそぶことではなくて、真剣に考えたときに、われわれはイデオロギーの違つた立場に立とうと立つまいと、とにかく困る人には困らぬようにしてやる、職を求める人には職を与えるということよりほかには政局の安定はない、政治の要諦はないと思う。ところが掛声だけは大きいけれども、一体日本の国情において、あなた方が日本の持てるポテンシャル・パーツをほんとうにすなおにむだなしに使つて日本のあるがままの国力において、職があろうとなかろうと、賃金を減らされようと、楽しい日本にするということに、今の政治を預かつておるあなた方は責任をもつてその裏づけをする覚悟がございましようか。それならばこの行政機構改革についてのあなたの透明なる御説明に私は帽子をとつて三顧の礼を払う。その裏づけを吐露されて、それを聞くにあらずんばこれは腰を抜かすところの案だといわざるを得ない。この点を私は十分にお伺いしたい。現実の問題を申し上げて、私はあなたを通じて内閣諸公に私の希望を申し上げておきます。
  34. 塚田十一郎

    塚田国務大臣 御指摘の点は私もまことに重大な点であり、行政機構改革が成功するかしないかは、そういう点の措置が十分つくかつかないかということも十分大きな要素になると考え、それらの面についての対策は、十分検討しなければならないと考えております。しかしこの面の対策は、一行政管理庁長官考え方、一国務大臣の考え方ではきまらない問題です。国力とそれからそれに対応しての国の政治全体が総合的にうまくあんばいされて出て来て、初めてそういう面の考え方ができる。従つて政府としても一層そういう面を慎重に検討しなければならない、こう考えておるのであります。ただそれだからといつて、今日この行政機構が国力にマッチせず、ことに国民の側からは行政官庁というものは国民のためにあるものが、それが今のような状態ではかえつて国民に対して煩いいになつているとさえ考えられるならば、これは今の失業とかそういう面の考慮のためにこのままほうつておくべきではないだろう。やはりこれは直すべきものは直して、そうして行政機構というものが国民のためにあるのであるという本来の姿にもどして、国民の立場から最も便益あるものにし、従つて税金でもつてそれらの人たちを養つても、養いに値するものであるという状態に直しておいて、そこからはみ出した人たちがあるならば、その他の人たもと一緒にそれらの就職戦線において非常に困難をされている人たちを総合的に、あるいはある面においては新しい産業を興すなり、またそれもできない面では失業対策を講ずるなり、そうして救済をすべく、そういう方向に問題の解決を持つて行く方が適当ではないか、こういうふうに考えておるわけであります。なお御意見は十分頭に入れまして、今後の策に資したいと考えております。
  35. 稻村順三

    稻村委員長 塚田長官に対する質疑は明日も続けて参ることといたしまして、先ほどの辻委員質疑を続行いたします。辻政信君。
  36. 辻政信

    ○辻(政)委員 もう二つ三つ、ついでにお伺いいなします。巡視艇に武装することによりまして、三インチ砲の砲座ができており、また機関銃銃座が設備されておりますが、本物の兵器がない。ところがこの巡視艇韓国との争いを武力で訴えるために武装するのでなくして、国籍不明の海賊船の略奪を受けることがしばしばある。武装があるということによつて、不法の行動を未然に防ぎ得るという価値もあると思うのでありますが、一体どれだけの武装をいかなる時期にどう装備できるかという見通しについて……。
  37. 山口伝

    山口政府委員 巡視船の中の全部とは申しませんが、先ほどお話の九十四隻の巡視船うち、はつきりした数字は覚えておりませんが、約六十隻程度は武装することにすでに既定方針になつております。その装備の内容は、船の大きさによりまして組合せがいろいろ違いますが、最大が三インチの砲、それから四十ミリ並びに二十ミリの機銃というものは考えておりまして、二十七年度の補正予算それから二十八年度の本予算で、それぞれ隻数を合して約六十隻だつたと思いますが、とりまして、ちようど船のドックをいたします際に、そういうような改装工事をいたして参つたのであります。今日までにこれも隻数をはつきり申し上げにくいのですが、大体八割くらいの隻数は工事を完了いたしております。この工事は、お話通り重火器をとりつける砲座とか、あるいは弾薬庫あるいはそれらのための乗組員——砲を扱う定員の増がございますが、それらの居住施設とで、八割程度の隻数はもう済んでいるわけであります。なお残余のものにつきましては、現に改装途中でドックに入つているものもございます。予定のものはごく近い将来に完成いたします。それから問題の火器そのものでございますが、これはもともとアメリカ側から貸与を受けるという方針になつております。これの貸与についての覚書と申しますか、こういつた条項についていろいろ双方に意見がございますので、これは外務省の方にお願いして、早く解決するように目下話合いを進めているわけであります。私どもも今日のような情勢になりまして、なるべく早く装備が完成するように促進方をお願いしているのでございます。
  38. 辻政信

    ○辻(政)委員 アメリカから借りるのも一つの案でしようけれども、現在持つている保安隊の兵器、それから海上警備隊の兵器、警備兵器でたくさんです。これをすぐ右から左に持つて行くことはできないか、日本政府の責任において。今は一刻を争つている、現にきのうも済州島の西で一ぱいつかまえられた。十一月になりますと底びき細の非常な最盛期になりまして、東支那海の国籍不明の海賊、これが出て来るのです。それに対して日本青年と漁般をまる腰でおくということがあるか。韓国を討てと言うのでない。海賊に対して備えろと言うのです。
  39. 山口伝

    山口政府委員 現に借りております保安庁側の火器を臨時に借りるというようなことは今ちよつと考えませんでしたので、要するに話がつけば品物はこちら側にあるような話でありますので、とりきめの方を急いで参つたわけであります。
  40. 辻政信

    ○辻(政)委員 たくさん使わぬでいる兵器が現にある。それを右から左に流す。あす、あさつての問題だと私は言うんです。どれだけ漁民が苦しみ抜いているか、こういうことを考えられたい。ほんとうにこの巡視船の数なりあるいは装備なりがりつぱだつたら、ああいう惨敗せぬで四十何ばいもとられないで済んでいる。こちらの怠慢です。  その次の問題は、命がけで戦つている船員船長以下若い船員に対する万一の場合の国家補償というものが考えられておらない。留守家族が主人が殺されたらどうするか、つかまえられたらどうするか。この国家補償制度というものを一刻も早くやれということです。そういうことを急速にお進めにならぬというと、日本人というものはなかなかそういう問題は口に出しにくいものです。あの船長以下の気持というものは、自分の給与を上げてくれということは、生きているときはいいが、死んだときに国家がどうするかというこの補償を早く考える必要がある。それについての御所見を伺いたい。
  41. 山口伝

    山口政府委員 お答えいたしますが、昨年の閣議決定の際に、これらの特別哨戒に出る船につきましていろいろ処遇がきめられたわけでありますが、そのときにもむろん今のような最悪の場合における。死亡あるいは傷害等に対する補償のことも触れてあつたわけでありますけれども、当時の状況ではまたさほどの緊迫したような状態でなかつたので、わずかに特別哨戒手当と申します一種の危険手当でございますが、これを日当何がしということでそれぞれ段階ができまして、これだけがその当時つけられたのであります。私ども最近の九月七日以降の今回の緊迫した状態、銃撃も受けるような状態になりましたので、その点はさつそくに——ふだんであれば国家公務員の労災手当があるわけで、これは普通の公務上死んだ場合でありますが、かようないわば非常な危険な状態でありますので、いわゆる国家傷恤制度と申しますか、傷害を受けた場合、あるいは危険を顧みず突入して傷害を受けあるいは死亡した場合のそれぞれの処遇傷恤金について、目下大蔵省にも相談いたしております。ちようどそのことは実は昨年の閣議決定にもあつたのでありますが、当時としてはそこまでの用意はまたせずによかろうというようなことで見送りだつたわけでりあます。今日このような状態に相なりましたので、実はそれぞれ他の警察とか消防とかその他の傷恤金制度ともにらみ合せまして、私の方の案を実は出して折衝いたしているわけであります。近々にぜひともこれは実現して一層志気高揚に資したいと思うのであります。
  42. 辻政信

    ○辻(政)委員 中央部幹部現場行つて激励指導するということと、国家として万一のとさにはあとに残つた者に飢死にさせないぞという保証を与えることが最も焦眉の問題であると考えております。  次に、ちよつと念のために申し上げておきますが、お答えになる必要はありませんが、最近あなたの方の機関紙の海上保安新聞に出された記事の中に、私が李ラインに行つた問題について非常に皮肉な記事が出ております。一般の新出ならば私は気にとめませんが、あなたの方の機関紙である。その記事の内容は、一代議士が内灘へ行つてみたり、李ライン行つてみたり、方々ものずきに飛び出しておるが、あんなことで効果があるものじやない、一代議士がどこへ行こうが何の役にも立つものじやない、国会全体がその方に顔を向けなければ効果はないという記事がありますが、これはお読みになつたと思います。私が行きましたのは、稻村委員長から、運輸大臣に対して公文でもつて海上保安庁機構なり、運営が漁業権を保護するに適切なりやいなやということを検討しろという、国会議員として国政調査という使命をもつてつたのてす。しかし皆さんが出張されるように旅費は国家の旅費ではありません。自費をもつて行つておるのです。ものずきに行つたんじやないのです。あなたの方の御用新聞にそういうことを書くということ自体が、あなた方首脳部がこの問題についてどういうお考えを持つておるかという反映になる。それじやいけないのです。われわれはお互いにもう年をとつているから、五年か十年しか生きられない。三十台の若い連中はわれわれが死んだあとの祖国を受持つてくれるのです。危険な場所は、青年は保存しておきながら老人が先に行け、その気持がないならば、どうして高級官吏国家が高給を与えて養つておくか。老い先短かい者が危険な場面に飛び込んでこそ日本の再建はできるのだ、この気持を持つて今後ともほんとうにあの第一線に働く人が感激を持つてやるように御指導になつていただきたい。これで質問を終りますが、国会の一員としまして、皆様がこの事態に処してこれからいかなる行動とられるかということを見た上であらためてお伺いしたいと思います。
  43. 山口伝

    山口政府委員 答える必要はないというお話でございましたが、ちよつと申させていただきます。今御指摘の海上保安新聞というのは私の方の機関紙ではないのであります。ただ私の方のいろいろな業務について相当の記事を載せておりますが、直接な関係はございません。  それから今後の第一線巡視船の士気高揚についての配慮、あるいは国家補償等についての配慮、むろん私ども気持においては人後に落ちないつもりでありますが、いろいろ御指摘の点もあつて不十分な点もあろうかと思い事が、今後それらの点いろいろお教えもありますことでありますから、われわれも負けない気持は十分にありますが、実際はあるいは気がつかないで手落ちのところもあると思いますが、今後前線中央一体になつて、この問題に取組みたいという気持においては人後に落ちないつもりでありますから、どうぞ御了承願いたいと思います。
  44. 稻村順三

    稻村委員長 なお関連して平井君、永田君の両君から質疑がございますが、簡単にお許しいたします。
  45. 平井義一

    ○平井委員 ちよつと辻さんにお尋ねいたしますが、この李ライン問題で国論が沸騰して、海上警備隊などが機関銃で応戦した場合において、辻さんの経験をもつてして、韓国の軍隊が日本の国内に来るかどうか、来てもやれというならば山口さんの方で腰をきめて応戦してもらいたい、こう思いますが、まず辻さんの意見をひとつ……。
  46. 辻政信

    ○辻(政)委員 どうも妙なことになりましたが、実は今度参りまして、素直に申しますと、私の見たのは竹島李承晩ラインですが、問題の焦点はそこからはずれております。と申しますのは、李承晩ラインは完全に向うが一方的な主張を実行してしまいまして、一週間海上を行きましたが、李ライン内に一隻の日本漁船もおらない。韓国漁船つた一ぱいしか見つけない。喜んでおるのは魚だけです。魚はだれもとらぬから喜んで集まつて来るのです。いくら日本が抗議しようが何しようがこの問題は完全に片づいている。しかも彼が強引に引いた線の中には自分の漁船一ぱいもいない、こういう状態です。  竹島は、これは無人島でありまして、水がないから人が住めない。それを日本が標柱一本立てておれのものだというと、すぐ向うは持つて行く。木を持つて行くから立てれば立てれるほど喜ぶのです。向うへ行かずに帰つて来いとか、上陸しないで逃げて来いとかいうようなことで、あれは日本領土であるということを主張するだけの気魄と準備が日本政府にない。問題の焦点はむしろ対馬に移つておる。対馬に行つてつたくびつくりしたのですが、島民は六万おる。そのうち三千人が朝鮮人で、その半数くらいは不正業者、密輸業者です。対馬に参りますと、こういうセビロを来て仕事をせずに町を歩いておるのは朝鮮人です。これは密輸でもうけておるわけです。拳銃とか爆薬がどんどん入つております。それに対して日本の警官はわずかに百名。その巡査は朝鮮人の取締りがこわくてできない。やつたらつるし上げられますから。釜山から三時間の海上距離にあり日本からは八時間かかる。あの対馬の北端に行きますと、釜山の町が肉眼で見える。そういうような日本の大きな領土相手の目の前にまる裸にさらされておる。これは何ら国家として手を打たぬじやないか。私は李承晩が対馬をとろうと思えば——彼は自分の領土だと宣言しておりますから、とろうと思えば兵力を持つて来る必要はない。三千人の朝鮮人に武器を与えて暴動を起させれば、こんなものは一日でとれる。兵力ならば一箇中隊で三時間で完全にとれます。しかるに日本の国内においては十一万の保安隊を持ち、十五はいのフリゲートを持つておるが、それは何らそれを確保するために使われていないじやないか。この席はあなたに質問するわけじやないのですから黙つておりますが、国家全体として見た場合に、軍備だとか何とか言つておるが、そういう問題じやない。われわれの領土をわれわれがどう守るかということであります。アメリカが守つてくれると思つて調べてみると、レーダーの監視員が二十名あの岬にいるだけです。この連中は何の役にも立たない。そうして島民六万は戦々きようきようとしておる。だれが一体国家の防衛の責任を持つか。保安隊は何のために金を食つておるのか、フリゲートは何のためにアメリカから借りているかということが言いたくなる。この席上の範囲外ですから質問はよしておきますが、容易ならぬ事態にあるということだけは申し上げておきます。
  47. 平井義一

    ○平井委員 それはそうですが、あなたにお聞きしたいのは、たとえば対馬なら対馬でこつちが今ある保安隊その他の武器で応戦する。その場合に、戦略的に見て、朝鮮が日本に派兵するかどうか。これはあなたが経験者だから聞くのです。そうすると事件が大きくなるがどうだろうというのです。
  48. 辻政信

    ○辻(政)委員 私はこの次は対馬の保障占領が必ず出て来ると思う。この間四谷で右翼の大会を開きましたが、これは漁民もおりますが、それが朝鮮人をやつつけろ、尖鋭化した民族感情から日韓紛争に関連して東京において韓国人を不当に殺傷したということになりますと、黙つて彼は対馬の占領という手を打つて来ます。その意味において現在動いている右翼の運動はよほど慎重に押えなければならぬ。そうして断固々々と言わないで黙つて準備をやるのです。保安隊を対馬に持つて行つて、あげようと思つてもあげられぬだけの一つの手を打つ。フリゲートを竹敷要港に持つて行つて、対馬をとろうとする野心を起さぬように、初めからそんなことは断念さしてしまう。そうして外交的にはきわめて丁重な態度で紳士的に交渉すべきものである。それをやらずにおいて、何ら手を尽さずに、外交の上だけ久保田代表みたようなばかげた発言をするからああいうことになるのです。ほんとうに解決しようと思えば黙つてやる。黙つてつて、岡崎さんなり吉田さんが単身京城に乗り込んで行けばいい。敬意を表して李承晩と手を握つて、アジア将来のために日韓相携えて行こうというような気持をもつて行動しなければだめだと思います。
  49. 平井義一

    ○平井委員 山口さんにちよつとお尋ねしますが、もしも危険にさらされた場合、今後麾下の部隊が戦線につくわけですが、あなたの方では応戦していいというのか、それとも逃げて帰れというのか、どう考えられますか。
  50. 山口伝

    山口政府委員 この質問はたびたび今まで受けて参つたわけでありますが、私の方の火器を積みましても、それは、うち巡視船は警察船の性質でありますから、不法に向うから攻撃を受けて身に危険を感じ急迫状態になれば、正当防衛、緊急避難という、範囲の応戦はむろんであります。こちらが積極的に撃つということは、いたしかねるのであります。
  51. 永田良吉

    ○永田(良)委員 ただいま漁民の保護について、フリゲート艦とか、また対馬へ保安隊を出す。私はこればかりではだめたと思うのです。一番大事なのは、空を守ることにある。また漁民の保護も、船だけではだめだ。やはりそれに対応する飛行機がなくては、遭難船の捜索とか、漁船保護はできない。その点から見て、今までわが国の保安隊においては、ただ国内の治安、つまり日本の本土上に住まつておる人の治安の点に重点を置いて来た。たまたま李ラインの問題が起つて、今度はフリゲート艦をどうしようとか言われるが、それよりももつと大きい問題は、やはり飛行機の問題だ。今わが国でもつて、皆さんがやつていらつしやるアメリカの練習機なんかあるが、戦闘力のある飛行機は朝鮮には相当あるだろうと思う。この危うい状態において、保安長官や、保安庁の幹部の方は、相当吉田さんを動かして、国内としても用意をしなければ、国民に対しても相済まぬと思う。国内治安の問題は、単に国土内におる人ばかりじやない、海上におる国民も保護しなければならぬ責任は明瞭だ。しからば安保条約によつて、アメリカとの関係でどうしよう。そうするならば、外務大臣としても、当然これはアメリカに向つて強要しなければならぬ。しかるにアメリカは、今逃腰である。こういう危険に当面した場合——歴史上、朝鮮問題は、大昔から日本は手をやいておる、われわれの地方の南州翁も、どのくらい心配したかしれない。こういう際において保安長官は、辻さんも言われた通り、もつと強硬な態度をとられないと、今年は国内に災害があつて保安隊が出て、ずいぶん保安隊は国民から感謝されておるけれども、朝鮮の問題で、今までの苦労が水のあわになることは明瞭だと思う。この点について、辻さんが言われた通り、保安長官は議場においてくだらぬ再軍備の答弁どころじやありません。黙つて辻さんが言われた通り、われわれ国民の生命財産に向つての本来の目的を達成するようにする。これは昔の参謀本部も軍令部もやつたじやありませんか。今の保安庁の幹部も、そのくらいの熱意をもつて、辻さんが言われたように、私は熱意をもつてこれに当られんことを要望する。これに対するあなたの意見を承つておきたい。
  52. 山口伝

    山口政府委員 永田先生の御質問は、ほとんど大部分が保安庁の方に対する御質疑のようでございまするので、私どもお答えしにくいのでありますが、海上保安庁の方では、御承知のように、海難救助あるいは沿岸の日常警備をいたしておりますが、この問題につきましても、お話通り、航空機を活用すべきであるということは、私も同感でございまして、現に二十八年度の予算でヘリコプターが六機でございます。また二十九年度の予算の中には、実はヘリコプターも若干、それから航空機もあるのでありまして、これらを海難救助あるいは日常の海上の哨戒に当てるということにいたしております。今お話の防衛的性質の分についてのお答えは、直接私の方ではございませんから、失礼いたします。
  53. 永田良吉

    ○永田(良)委員 あなたに失礼なことを申し上げるようだけれども政府役人はそんなことではいかぬと思う。あなたはそういう保安庁の関係で言われるけれども、一体警察と保安庁が手を握つておらなければいけないことは当然である。警察予備隊、保安隊、軍隊と、こうなつて行くことは、日本の国民だれも疑う人はありません。こういう際において、あなたの力で及ばなければ、当然保安庁とあなたの方と日夕連絡をとつていなければならない。危険はいつ勃発するかわからぬ。官吏の方は、自分の所管しておることに忠実であることはもちろんであるけれども、こういう際においては、ことに外交問題にも関係があるので、もつと私は積極的に働いていただくことをお願いします。
  54. 辻政信

    ○辻(政)委員 平井議員の質問に関連しているのでありますが、山口さんの率いられている巡視船船長や若い船員に、君たちはまる裸だ、もし韓国の砲艦から一発大砲を打たれたときどうするか、こういう質問をした。そうするとその船長は悲痛な顔をして考えておりましたが、そのときにはしようがありませんから、私はこの巡視艇をもつてつた韓国の砲艦の横つ腹に全速力で直角にぶち当る。これは海軍でよくやるやり方です。私も海戦で見ました。ぶち当りますと、相手の船は二つに割れて沈んでしまう。これが自衛だと言つている。そのくらいの気持でやつている。  それから将来の問題につきましてはこう考える。もともとあなた方の警備隊といいますか、陸上における保安隊相当するものは警備隊である。海軍のようなものである。この警備隊と現在の海上保安庁とは一体だつたが、わかれたわけですね。海軍の正規将校を主体としたものは向うに行き、予備将校は海上保安庁に残つている。これは将来におきましては一本にすべきだと思う。戦争中だけいるような海軍ならいらない。平時は海難救助、不正入国取締り、不法行為等の取締りの任に当る。将来海軍をつくるならば、戦争のときだけ必要な海軍ではなく、ふだんからこの漁業を保護し、海難救助するという任務をもつて新しく生れるべきが日本海軍の使命ではないかと思う。決して分離すべきものではない。鈴木委員お話があつたように、貧乏な日本が防衛をやろうとするならば、不生産的な防衛ではならない。平時においても生産的な面に活用するものが、戦時において船団護衛という戦時任務を持つことになる。そういう面から行政機構改革をここで審議しておりますが、これは本質的に警備隊海上保安庁の少くとも警救部というものは一本になるべきものである。燈台とか航路標職、税関は別問題である。そういうふうに考えるが、あなたの御所見はいかがでありますか。
  55. 山口伝

    山口政府委員 その問題は従来からの懸案でございますが、目下検討いたしております。私個人の考えでは、この前の国会で御議論があつたように、防衛的な性質の部分と、ふだんの日常の一般行政とが一緒であるということは、なるほど経済の点もむろんございますけれども仕事の本質といいますか、ふだんの職員の訓練その他指導精神が若干違うわけであります。従つてその点は十分検討していただかないと、必ずしも統一論がいいかどうか、私は疑問と考えるわけであります。これは今後国会で御審議願いたいと思います。
  56. 鈴木義男

    鈴木(義)委員 われわれがここに着席して聞いておつて、盛んに憲法違反の議論が起つて、黙つてこれを過ごしたのでは、国会の権威に関することでありますから、ちよつと一言発言を許していただきたい。  憲法第九条は、一武力による威嚇又は武力の行使は、国際紛争を解決する手段としては、永久にこれを放棄する。」と宣言したのであります。これは広く不戦条約の言葉そのままを使つております。これを一番先に破つたのは日本であります。日本はその不戦条約に参加して、神聖な条約に署名しておきながら、一番先に破つたのは日本である。そこで今度はそれを破らないことを身をもつて立証するために、この第二項を加えた。われわれは憲法をつくるときに、その了解のもとにこれをつくつた。  そこで対馬に保安隊を集中して、来たら、応戦する、警備船に大砲を積んで、やろうというような考え方は、もつてのほかであります。われわれは朝鮮問題については他に解決の考え方がありますが、李ラインというものが国際法上主張し得るものであるかどうか、これは法律論で、国際司法裁判所に訴えて、決すべきものである。国際連合がこれを解決してくれないならば、そのとき初めてわれわれは憲法を改正して軍備をつくらねばならない、しかしそれをやらずにただいきなり今すぐ応戦することを考えることなどは——憲法を遵守する義務を国会議員は全部負つている、この憲法にちやんと約束してある、われわれは誠実にこの憲法を守る、その人が永久に放棄すると言つたことをもう今さつそくやつておるような議論をすることはわれわれは黙認できぬ。それで朝鮮問題のごときも、千島でも竹島でも、もし侵された場合にはりつぱに国際法廷においてさばくべき問題です。もしそれによつて解決できないような世界の状態が継続するならば、われわれはこの理想を捨てなければならぬということになる。なるたけ日本は率先して合理的にものを解決することをやつてみよう——私は朝鮮の魚というものは朝鮮の唯一の資源だと思うから朝鮮人にとらせてわれわれが買つてやるべきであると思う。そのかわりわれわれの方の物資を交換条件として十分買わせる、そういう方法で解決すべき問題であるとさえ考えておるのですが、それは別問題として、すぐ鉄砲を撃つ気になることだけはご遠慮願いたい。
  57. 平井義一

    ○平井委員 ちよつと山口さんにお尋ねしますが、山口さんの管轄は、木村さんの弟子でない、配下でないと思いますが。木村保安庁長官が率いておる海上警備隊と常に連絡いたしておりますか、この点をお聞きしたいと思います。これは非常にあなたのところと密切な関係がありますが、これが始終連絡をしておるかどうか。それから鈴木さんの今の魚の話ですが、朝鮮にとらして日本が買う、私もそう思うのです。しかし向うにはとる能力がないというお話ですが、この点はいかがですか。
  58. 山口伝

    山口政府委員 連絡の意味がどういう点をおさしになつているかちよつとわかりかねますが、もともと先ほどどなたかおつしやつたように、海上保安庁の中に今の警備隊が実はいたわけであります。それが去年八月の機構改革で保安庁の警備隊として出て行つたので、人的のつながりもありまして、仕事の面におきましても保安庁法に示されているようにふだんはわれわれは平和的な業務面に活動いたしておりますけれども、一旦非常事態が発生しました場合には海上保安庁勢力は保安庁の長官指揮下にも入ることにもなつております。また逆に平生におきましても海上保安庁が処理し得ないような事態の場合には向うから援助を受けるような形にもなつております。従いまして常時いろいろな問題につきましても会議等にはその意味での連絡は十分ついております。相談の上で政府内部の方針がきまつてその中の海上保安庁の分担面についてできるだけの努力をいたしているのが実際でございます。
  59. 山崎巖

    ○山崎(巖)委員 私は資料行政管理庁に要求いたしたいと思います。それは連合国の占領政策実施中に最高司令官の指令または勧告、わかつておりますれば内面指導に基いて設置せられました中央機構、申すまでもなく省、部局、課、委員会制度及び地方機構、部課、委員会制度をこれをお調べ願つて御提出を願います。
  60. 稻村順三

    稻村委員長 委員長においてその点を要求いたします。  本日はこの程度にとどめ、明日午前十時に開会いたします。これにて散会いたします。     午後零時四十五分散会