○粟山
委員 私は、ただいま非常に大事な
質問が行われた機会に、痛切に感じましたことを一点伺いたいと思います。
行政機構改革ということは多年にわた
つて唱道され、また手をつけられておるが、吉田さんも
断固として行うということをときどき言われる。あなたもここで
断固として行うと言われた。まことに決意は壮として伺えるのでございますが、一体こういう大きな問題を
断固としてという言葉で国民の耳に伝えることはどういうものか。これは少し
考えていただかないといけないと思う。というのは
断固としてやろうと思
つても停頓し、
断固として腰を抜かすような結果になる。そこでこれを私は非常に国のために憂えるのです。というのは、今の
長官のおちついた透明な御説明で、横にも縦にも重複を避ける、古い因習から新しい時代に伴う精彩を添えて行くということはまことにけつこうな理論でございます。その
通りにありたいのでございます。しかし実際
日本の国情を見ますると、まず四百六十六人の衆議院議員、三百人からの参議院議員あるいは全国のそれぞれの地位にある
官吏の
方々のお
手元には何百通、何十通、何通という就職の切実な願いが届いているわけです。これはおびただしい数にな
つておる。これは何かというと、一方整理を行おうとしながらも、新しい卒
業者ばかりでなく、一旦職から離れた人でもまだ職を求めておることにいかに切実な
状況であるかということが身にしみるのです。そういう
状況において、一方においてはあなたは筋の通
つた整理をなそうという。現実
日本の国情は、何万人、何十万人というものの就職の波状攻撃を受けておる。私は、国の全体からいてもまず卒業された若い
青年には職が与えられるということを希望する。そこで初めて国が新しくなり、またやむを得ない
事情で職を失われた人でも職につけるということにおいて世の中は安定して来る。ところが今
政府はこれほど大きな問題にな
つておる裁定賃金すらもこれに応じ得ないというありさまである。そういう
状況において、現実にこれは一体できるのでしようか。私は、吉円内閣に不満を持つとかいう観点でなくて、
日本の国はここで新しくならなければならぬ、一新紀元を画さなければならぬということを
考えるときに、イデオロギーがどうというような自分たちのいろいろな道楽の上からもてあそぶことではなくて、真剣に
考えたときに、われわれはイデオロギーの違
つた立場に立とうと立つまいと、とにかく困る人には困らぬようにしてやる、職を求める人には職を与えるということよりほかには政局の安定はない、政治の要諦はないと思う。ところが掛声だけは大きいけれ
ども、一体
日本の国情において、あなた方が
日本の持てるポテンシャル・パーツを
ほんとうにすなおにむだなしに使
つて、
日本のあるがままの国力において、職があろうとなかろうと、賃金を減らされようと、楽しい
日本にするということに、今の政治を預か
つておるあなた方は責任をも
つてその裏づけをする覚悟がございましようか。それならばこの
行政機構改革についてのあなたの透明なる御説明に私は帽子をと
つて三顧の礼を払う。その裏づけを吐露されて、それを聞くにあらずんばこれは腰を抜かすところの案だといわざるを得ない。この点を私は十分にお伺いしたい。現実の問題を申し上げて、私はあなたを通じて内閣諸公に私の希望を申し上げておきます。