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1953-11-06 第17回国会 衆議院 電気通信委員会 第5号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和二十八年十一月六日(金曜日)     午前十時五十四分開議  出席委員    委員長 成田 知巳君    理事 岩川 與助君 理事 塩原時三郎君   理事 橋本登美三郎君 理事 小泉 純也君    理事 原   茂君       庄司 一郎君    玉置 信一君       齋藤 憲三君    上林與市郎君       甲斐 政治君    松井 政吉君       松前 重義君    三輪 壽壯君  出席国務大臣         郵 政 大 臣 塚田十一郎君  出席政府委員         郵政政務次官  飯塚 定輔君  委員外出席者         郵政事務官         (大臣官房電気         通信監理官)  金光  昭君         郵政事務官         (電波監理局次         長)      荘   宏君         郵 政 技 官         (大臣官房電気         通信監理官)  庄司 新治君         郵 政 技 官         (電波監理局次         長)      西崎 太郎君         日本電信電話公         社副総裁    靭   勉君         日本電信電話公         社理事         (保全局長)  米沢  滋君         専  門  員 吉田 弘苗君         専  門  員 中村 寅市君     ————————————— 十一月六日  委員大西正道君及び島村一郎君辞任につき、そ  の補欠として松前重義君及び加藤常太郎君が議  長の指名で委員に選任された。     ————————————— 本日の会議に付した事件  マイクロウエーブ中継問題に関する件  電気通信行政機構に関する件     —————————————
  2. 成田知巳

    成田委員長 ただいまより開会いたします。  本日はマイクロウエーブ中継問題並びに電気通信行政機構に関し調査を進めます。  まずマイクロウエーブ中継問題について、政府当局より説明を求めます。塚田郵政大臣が参議院の予算委員会に出席しておりますので、大臣の出席あるまで政府委員から御説明願いたいと思います。
  3. 荘宏

    荘説明員 マイクロウエーブの問題というのが世上いろいろ議論せられておりますが、ただいま委員長からお話のございました点も、おそらく正力松太郎氏の御計画になつておりますマイクロウエーブの問題であろうと存じます。その点につきまして御説明申し上げますと、正力さんのマイクロウエーブ計画につきましては、郵政省の方に対しましては、まだ正式な申請書というものは全然提出されておりませんので、計画内容は私どもとして正式に承知しているわけではございません。ただいろいろ話等によりまて伝え聞くところによりますと、その概要は大体次の通りのようなものであるようでございます。すなわち東京中心といたしまして、北は北海道、南は九州に至るまでマイクロウエーブ施設を設けまして、テレビ中継に使用いたしますとともに、日本電信電話公社に対しましても市外電話回線を提供するということにあるようでございます。なおこの施設をやります場合に、中継所を設けるわけでございますが、これは高い山の頂上に設ける。そうしてこの計画実施のための外資を導入し、機械はアメリカから入れるというもののようでございます。この計画につきまして、郵政省といたしましては、まだ内容も判然といたしておりませんので、正式な見解というものを申し上げることはできないわけでございますが、もしも今申し上げましたように、一つ会社マイクロウエーブ施設を設けまして、これを他に提供するということがあるといたしますと、これは電波法第四条第二項の規定によりまして、そういうことはできないものであろう、さように事務的には考えております。
  4. 齋藤憲三

    齋藤委員 議事進行について……。ただいま当局からいわゆる正力テレビの御説明がありましたが、私の手元に入つておりまする、これは一種の怪文書だと思うのでありますが、「正力松太郎氏と米国防省の危険極まる陰謀日本テレビ外資導入に関する報告電波管理委員会有志」というパンフレツトを読んでみますると、内容すこぶる奇々怪々なものがあるのであります。しかもこれをずつと読んで参りますると、電電公社首脳部にもいろいろな累の及ぶようなことも書いてある。こういう一国の最も重要視しすべきマイクロウエーブ独占し、しかもそれがアメリカ国防省と通謀して、一千万ドルの借款目当とする電波通信網独占というようなものが、もし日本において計画せられているとするならば、これは国家としてすこぶる重大であり、この真相をきわめるのは、国家最高機関である国会電通委員以外にないのではないかと私は思うのであります。従つて委員長におかれましては、この問題を解明する意味におきまして、単に当局の想像的な説明を求めるということは私は無意味だと思うので、よろしく本人を呼び、関係者を全部呼んで、一挙にこの真相を解明するような、適当な方法をひとつ講ぜられるようにお願いしておきます。
  5. 成田知巳

    成田委員長 ただいまの齋藤委員の御発言、ごもつともだと思います。理事も寄りまして、そういう点について相談しておるわけです。ただ風説だけでこの問題をとやかく申し上げるのはどうかと思いまして、とりあえず政府当局からこの問題についての意見を聴取しまして、その後適当な機会に当事者であります正力氏に参考人として当委員会に出てもらいまして、内容を徹底的に究明する、こういう方針でおりまして、御期待に沿いたいと思つております。
  6. 原茂

    ○原(茂)委員 今当局から正力さんの計画しておるものに対するある種の臆測といいますか、うわさを根拠にしての説明があつたのですが、今おつしやたようなことを内容としてもし申請が、今はないそうですが、あつた場合にはどういう根拠許可できるか、あるいはどういう根拠許可できないか、いずれかの場合を具体的に説明していただきたい。
  7. 成田知巳

    成田委員長 ただいま原君から法規上の関係の御質問があつたのですが、荘説明員の先ほどの御説明では、電波法第四条第二項の関係からいつて、こういう事業民間会社に許すことはできないだろうという御発言があつたのです。今原委員からの質問は、できるかできないかという点を明確にしてくれという御質問ですから、ひとつ御答弁願います。
  8. 荘宏

    荘説明員 電波法第四条第二項が先般の国会で改正されまして、こういう条文ができております。「公衆通信業務無線設備を用いて他人通信を媒介し、その他無線設備他人通信の用に供する業務であつて政令で定めるもの以外のものをいう。以下同じ。)を行うことを目的とする無線局は、日本電信電話公社又は国際電信電話株式会社でなければ、開設することができない。但し、」云々、この規定によりまして、括弧内のところが問題となるわけでございます。すなわち無線設備他人通信の用に供するもの、これを行うことを目的とする無線局は、公社または会社でなければやれないとあるのでございます。この条文の解釈といたしまして、ここにあります無線設備を提供することを行うことを目的とする無線局の開設という言葉は、結局無線設備を提供する業務を行うことという意味になると思うのでございます。従いまして無線設備を提供する業務を営むことは、公社会社でなければやれないというのが、この法律条文でございます。ただいまの正力さんの御計画が、もしも他人設備提供を行うものであれば、この条文によつて不可能であるということになると存じます。そしてこの条文では、政令で別段の特例を設けることになつておりますが、政令でもその点は可能になつておりません。従いまして設備提供はできない、こういうふうに解釈しております。
  9. 原茂

    ○原(茂)委員 その次の質問に移ります前に、今齋藤さんのおつしやつたような怪文書を私もやはり手に持つておりますが、これが一点と、それからもう一つ、先にその方を申し上げますと、お聞きになつておるかどうか、この点も今申し上げたい参考になる二つのうちの一つでありますが、アメリカユニテルとかいう設計専門の何か通信会社があつて、これが六千メガサイクルだと思いましたが、マイクロウエーブ世界を一周するような地球儀回線網といいますか、そういうようなものを考え出した。RCAとかフイルコとりかいうようなメーカーと提携いたしまして、うしろ輸借入銀行を置いて、この資本のバツクで世界を完全に一つの網の中に収めたい、こういつた計画があつたように仄聞いたしております。これが一つ材料ですが、この一環としてもし正力氏がこのアジアにおける、特に中心である日本の北から南に縦断するマイクロウエーブ網をやるならば、一千万ドルくらいの借款を供与することは支障がない。D博士といわれておりますが、アメリカのこの博士によるこういう一つ提案が横からなされておるということが伝えられておるわけです。こんなことがもし実現しますと、私どもの観点からすれば、かつて英国が海底線網世界にめぐらしまして、それによつて世界制覇の有力な武器としてやつて来た過去を思い起しまして、アメリカが今度はこの通信網世界制覇一つ武器に使おうとする、かようにも考えられますので重大問題だと思います。これが一つ材料であります。なお齋藤さんのおつしやつた怪文書というようなものも、これも単に臆測や仄聞されておるだけではいけませんので、公式のこの席でどういう怪文書が出ておるか、今のユニテル一つのプランと、これと並行した日本正力さんの考えておるものだろうといわれますこの怪文書内容というものを、ここにはつきり出す必要があると思いますので、一応これを読み上げてみます。この線に沿つてまず正力さんにいろいろな質問をする前に、当局関係者各位の率直な意見をお聞きしておく方がよろしいと考えますので、第二点としては今の怪文書なるものをここで端的に読み上げてみますから、これも参考に供していただきたい、かように思うのです。齋藤委員のおつしやつたような見出しで、本年の十月に出されたものであります。  正力松太郎氏主宰の日本テレビが目下推進中の外資導入計画にからまる正力氏と米国国防省との奇怪きわまる謀議については、すでに一部御承知の向きもあるかと存じますが、その真相は世上伝えられるものよりもはるかに陰険なものであり、もしこのまま放置するならば、単なる一個人、一営利会社野心利益のためのわずか一千万ドルを代償として、近代国家中枢神経ともいうべき電波通信施設管理実権を、外国軍部の手にゆだねる結果を招来し、国家民族の将来にとつてゆゆしき大事を惹起すること必至であります。ここに該計画に関する事実の概略をお伝えし、もつてこの危険なる陰謀を阻止するために、大方の絶大なる御尽力を得たく存ずる次第であります。現下わが国経済事情下において、テレビ放送事業がそれ自体としては収支相償わざることは常識であり、野望家をもつて鳴る正力氏が、このテレビ事業に、全精力を傾けつつある事実については、かねてその真の意図の那辺にあるかが一部識者間に注目されておりました。かかる世上の関心の背後にあつて正力氏は久しい以前より総司令部有力者間を奔走し、極超短波(マイクロ・ウエーブ)多重式中継施設のための外資導入計画を進めて来たのであります。さらにさかのぼれば、そもそも正力氏がテレビ事業に手を染めたこと自体が、占領軍有力将校の勧奨に発端しており、目下問題の外資導入計画正力テレビ前提どなつていたのでありました。当計画は、一千万ドルの外資によつて米国製マイクロウエーブ多重式通信用の発信並びに中継機器を各二組輸入するとともに、第一期計画として東京大阪間にマイクロウエーブ網独占敷設するもので、実現のあかつきには、テレビ全国網実現に巨歩を進めると同時に、長距離電話二百余回線が増設されるものであります。事実世界通信事情マイクロウエーブ時代に突入しており、その機能は近代国家中枢神経をなすものであります。今後一国家政治経済文化軍事活動を左右するものと申して過言ではありません。正力氏は、彼自身の計画についてその有利な面のみを強調するのでありますが、しからばかかる重大な公益性を有する事業に関し、世論に諮り、専門家各界人士の総意を集め、実施にあたつて公共的機関の手にゆだぬべきではないかとの疑義は、たれしも抱くところでありましよう。しかるに正力氏はもつぱら米国筋秘密裡に議を進め、その結論として、米国国防省と提携して自己野望を達成することを決意したのでありました。東京における折衝でほぼ成算を得た正力氏は、今夏腹心の柴田秘書をワシントンに派遣し、直接国防省首脳に対する説得を行わしめました。柴田氏みずから語るところによれば、説得大要次のごとき趣旨のものであります。現在米国日本極東における前線基地として完備することを急務としているのではないか。すでに日本に設けられた多数の基地網を統制し、有事の際に十分なる機動力を発揮するためにも、通信施設支配権は不可欠の要件であろう。それには日本近代的電波通信施設建設にこれから乗り出そうとしている現在こそ、米国にとつて絶好無二機会である。もし日本独自の力で施設ができてしまえば何かと支障を生ずる。またもし日本公共機関の手に建設をゆだねるならば、これも同様の支障を生むであろう。米国国防当局者としては、今正力氏を援助することによつて実権を掌握するのが最も有利ではないか。その上で輸入機器のうちの一組を電電公社に貸与し、中継設備も貸与使用せしめておけば、米国権限は微動だにしないはずである。かかる提案に対して国防省側が心動かしたのはもちろんのことであります。正力氏みずからが豪語するごとく、時宜にかない、相手の心奥を明察した上での妙手であつたと申せましよう。国防省はただちに米国輸出入銀行に対し正力氏の要望をいれるようあつせんし、柴田氏は輸出入銀行との折衝に入りました。この交渉において、銀行側は一千万ドルの借款を原則的に承認するが、その前に正力氏の果すべき三条件を提示いたしました。これは第一、日本政府主要閣僚の同計画に対する支持書、第二、日本政府による借款保証、第三、日本電波通信管理者たる電電公社正力氏の輸入する機器及び建設する施設を借用するとの保証書という驚くべき条件であります。すなわち米国側としては、日本政府自体にこの身売りにひとしい契約に対して連帯の責めを負わしめ、後事の紛争に備え、また電電公社をこの借款に縛りつけておく必要を特に認めておるわけであります。借款に対する十全なる安全保証を求め、関係公社会社の運営について逐一監督せんとしておる点は、さきの火力発電用借款条件と軌を一にしております。全体として見れば火力発電借款の場合よりも、はるかに苛酷にして悪質の条件であることは、一見して明らかでありましよう。  右の結果として生ずる事態はまことに重大であります。ただに電波通信管理実権外国の手に渡るにとどまらず、この権限を陰に陽に駆使することによつて日本政治経済文化の諸活動は、米国の軍事的必要のままに多大の制約をこうむり、さらに現に重大問題化している全国六百余の米軍基地はあげて一体と化し、文字通り全土が一単位基地となるのであります。近時の米国極東政策をあわせて考えるならば、一正力野心のゆえに全国土を焦土と化する日が来ないとは、何人も保証し得ざるところでありましよう。まことにはだにあわ立つ思いがあります。しかるに柴田氏は右経過をもつて成功とみなし、帰朝いたしました。以来正力氏は三条件成就のために、あらゆる手段を講じつつ現在に至つております。さすがに当初右計画にただちに賛成した向きは、各界を通じ多くはなかつたようでありますが、正力氏は不屈の闘志を燃やし、手段を選ばず工作を推進して参りました。政府筋反対者に対してはその弱点につけ込み、米国当局者の意向だという点をもつて迫り、相当の成果を収めました。またたとえば電電公社最高幹部達にはその在官中の汚職を読売新聞紙上にあばき立てるぞと、露骨に脅迫しております。その他、金を欲するところには金を、立身を望むものにはその便宜を、事業上の悩みある人には支援をと、あらゆる卑劣な誘惑手段を講じ、背後読売紙面という凶器をちらつかせつつ、屈伏をしいているのであります。  しかしながら反対の声はなお強力であります。一度は屈伏しかけた政界人が、陰謀の真の意味を知るに及んで、次々に立ち返りつつあります。ことに情に通じた言論界反対機運は、まことに圧倒的なものがあります。読売競争紙たる、朝日毎日はもとより、共同通信中心とする地方各紙もこぞつて反対であります。正力氏は目下この方面の切りくずしに全力を傾けているかに見受けられます。成否の形勢は目下伯仲と申せましよう。  当問題に関する経過概要は以上のごとくでありますが、では何が正力氏をしてかくもこの計画推進に狂奔せしめているのでありましようか。この問いに対しては、積極、消極の両面を考察する必要があります。積極面とは彼の抱く野望であり、消極面とは正力氏と読売日本テレビが陥つている窮迫状態にほかなりません。  正力氏の野心の第一は金銭欲であります。三十六億円(一千万ドル)の事業の主人公は、何人にとつても魅力ある立場であります。しかも施設独占による利潤は、各種の形態をとつて正力氏の懐中に収まるでありましよう。おそらくは電電公社に対する貸与料のみで、輸出入銀行利息をまかなつて余りあるものと思われます。さらに輸入機器はともかくとして、施設は一時に全部を建設するわけではありません。その間正力氏は巨大な資金を運用して、国際利息日本の高利息との差額、いわゆる利ざやをかせぐことになるのであります。  第二の野心言論界制覇であり、これこそ正力氏が当面最大のねらいとしているところであります。近時いよいよスピードの競争化しつつある新聞界において、もし一社が全国通信施設実権を掌握したとすれば、絶対的優位に立つことは論をまたずして明らかです。ごく最近に至り正力氏は、新聞界正力計画反対の声をしずめるべく、新施設をもつて新聞社共有の新会社とする案なるものをほのめかしておりますが、そうしたところで、実権正力氏の手中にあることにかわりはないのであり、むしろこれは全国新聞社を寄せ集めて、一挙に読売が君臨する意図を包蔵するものと見るべきであります。  第三の野心権勢欲であります。かねて正力氏は政界進出野心を人に漏らしており、外資導入成功機会に、右手に日本言論界を押え、左手は米国軍部にすがつて、もつて政権を自己懐中に収めんとの野望は想像にかたくありません。彼の胸中には右の三大野望が互いにからみ合つてうごめいており、そのためには眼中国家民族もなくなつているのでありましよう。  それでは正力氏が陥つている窮状とはいかなるものでありましようか。日本テレビ設立に際して、正力氏が各界から集めた資金は十億円でありますが。うち六億円は放送開始までに支出せられました。日本テレビは、放送開始後月額三千万円の欠損によつて運営せられており、将来にわたつてもほぼ同額の月二千五百万円の赤字が予定せられているのであります。危機は刻々迫りつつあるわけです。しかも現在正力氏の手元に残されているべき四億円は、実は読売大阪進出のために費消せられているとの確実な情報が伝えられております。ここにおいて日本テレビ窮状は、翻つて読売に四億円の返済を迫る結果を招来し、正力氏の牙城読売も危殆のふちに臨むことになつたのであります。正力氏が外資導入計画に狂奔するのももつともといわねばなりません。  なおついでにしるせば、朝日毎日日本テレビの大株主でありますが、両社みずからが出した金は、逆に読売朝日毎日を食うための大阪進出に用いられたわけであり、加うるに、かつて両社日本テレビ参加を要請した際、正力氏は、自分東京テレビをつくるが、大阪テレビ両社にまかすと約しているにもかかわらず、朝日大阪テレビ設立申請するやいなや、正力氏もただちに申請を提出しております。もつて正力松太郎なる人物が、驚くべき不徳義漢であることが明らかであろうと存じます。  御参考に供すべき事実はなお少くないのでありますが、以上をもつて正力氏の外資導入計画大要はおわかり願えるものと信ずるものであります。最初に述べましたように、単なる一個人、一会社の劣悪なる野望利益のために、国家民族の将来を売らんとす暴挙は、われわれを痛憤せしめずにはおきません。幸いにして政界言論界達識者が、陰謀阻止に奮闘してくださつておりますが、事情を知つておられる方々があまりにも小範囲に限られているため、正力氏の魔の手は依然として伸びつつあります。かかる実情にかんがみ、大方の御協力を得て一大世論を喚起し、もつて陰謀を終息せしめ、国家の独立を守り、民族を戦火の災厄から免れしめたいと念願し、失礼をもかえりみず本報告を御送付する次第であります。こういうのが、いわゆる怪文書の全文でございます。この真偽の点は、もとより私どもこれから当局といろいろ審議をさせていただいてきわめて参るわけでありますが、今申し上げました内容のものは、先ほど御質問申し上げましたところが、この第四条第二項の規定によつて申請があつて許可できないものを、正力氏が計画しているんだということに大要は尽きるわけであります。もし正力氏の申請が、最初は、この括弧の中で規定しております「他人通信を媒介し、その他無線設備他人通信の用に供する業務」はしない、自己の持つテレビ全国的につなぐためにこれを利用するのだ、こういう建前で申請がなされて来たとすると、先ほどの御答弁から行くと、許可をすることになるものかどうかをあわせてお伺いしたい。
  10. 荘宏

    荘説明員 正力さんの手で幾つかのテレビ局を全国の各地に持つて、その間を自分のところでつなぐという話でありますと、これは、他の例を申し上げますと、NHKが東京・名古屋・大阪をつないでおりますように、法律上可能であります。但しその場合には、それぞれの土地においてテレビの局が許されたということが、前提要件になるわけでございます。
  11. 原茂

    ○原(茂)委員 今のお答えの中の、それぞれの地区におけるテレビの局が許可されたことが前提である。もし正当な理由をつけて、個々にテレビの局を許可されるような条件を備えたものを散発的に申請して来ると、許可される可能性がまた生じて来る。これをあと正力氏がかつてにつないで行くことは、さしつかえないものでしようか。
  12. 荘宏

    荘説明員 ただいまの御質問は、何箇所かに別々にテレビの局が先に許可されて、その後にこれを結ぶ中継回線をつくりたいという願書が出たら許可になるか、こういうことでございましうか。
  13. 原茂

    ○原(茂)委員 そうです。
  14. 荘宏

    荘説明員 そういうことでございますと、その必要性を認められれば、これは許可になり得ると思います。
  15. 原茂

    ○原(茂)委員 そこで当局に対する御質問を少しあと譲つて、先に公社の側にお伺いしたいと思います。実は郵政大臣が来られてから、公社が今マイクロウエーブ施設しつつある状況などをお伺いしたいと思つたのですが、大臣がおそくなるようですから、先に、現在マイクロウエーブ公社の手によつて施設されておりますが、それの概況をお伺いしておきたい。
  16. 靭勉

    靭説明員 マイクロウエーブにつきましては、公社といたしましては、一般公衆電信電話市外回線の整備のために、現在におきましてはケーブル中心といたしております。従いまして国内の主要幹線は、すでにもうケーブル化がほぼ完成いたしておりまして、さらに比較的通信量の少いところ、あるいはまた非常に不便なところ、また災害の場合を考えまして、現在超短波による電信電話回線も並行してつくられておるわけでございますが、今後における状況を考えてみますと、ケーブルは技術の進歩によりまして、一対の実線を用いまして電話回線なら二十四チヤンネルとれる。そういうことになりますと、すでに設備されておるケーブルを使用しますと、非常にたくさんの有線による回線が得られる。従いまして電信電話の需要から見ますれば、回線数におきましては、必ずしも他の方法による必要はない。但し御承知のように非常に災害が多い。先般の九州の台風におきましてもケーブルが相当やられた。災害時におきましても通信が確保でき、しかもその通信量が災害時においては多いわけでございますから、これにも対応するためには、今まで使つておりまする超短波より、むしろ極超短波施設を設け、ケーブルマイクロウエーブとを併用しまして、全国電信電話回線を質的、量的に非常にいいものを確保して行かなければならぬということで、電電公社におきましては、すでに電気通信省時代から通信研究所においてマイクロウエーブの研究に着手して、できるだけ早くこれを実施に移す計画を持つておりましたが、昨年におきましては、少数のチヤンネルとしては非常にむずかしいのでありますが、二十三のマイクロウエーブ東京横須賀間に実用に供したという形になつておりまして、すでにマイクロとしては使用されておるわけであります。ただ二十数回線のものであつては、もちろん経済的に有利でもありませんし、波長の使用上からも不利でありますので、どうしても二百回線あるいは四百回線以上の回線を得られるような、発達したマイクロ施設を設けなければならぬということで、それの研究に着手しまして完成いたしましたので、すでに本年度におきまして東京大阪施設を進めておるわけであります。これは二十八年度工事としてやつておるのでございまして、中間に八つの中継所を設けまして、大体来年の一月末には工事が終り、二月に試験を行いまして、三月には実施しようというスケジユールになつておりまして、これはまずこの通り実行できるものという見通しを十分に持つておりますが、これによつて設定される回線は、さしむき二系統といたしております。すなわちこの二系統ができますと、テレビ中継にはそのまま全部使いますれば、二つできるわけであります。またこれをテレビジヨン一系統に使いまして、電話回線は三十六回線、三月には実施できるということになつておりますが、この電話回線三十六回線というのはこの設備の性能ではないのでありまして、電話の端局におきます施設をとりあえず三十六回線しかつくらぬというのでありまして、今現に施設しておりまする機械の性能としましては百二十回線とれる、こういう形でございますので、端局設備を増加することによりまして、百二十回線の電話は一系統でとれるということになつておるわけであります。これは大体に見まして六系統増設できるように局舎の設備、電源の設備等、全部そういう計画になつております。さらに必要に応じまして来年度におきましては、これを増加して行くということが可能なんでございます。これはきわめて安い経費をもつて、増設が可能であるという計画になつておるのであります。さしむきこの三月から実用に供されるのは、電話なら三十六回線テレビは一系統または二系統、こういう計画になつておるわけであります。公社としましては単にこの区間だけではございませんで、大阪・福岡、東京・札幌、東京大阪を含めまして、三つの区間を第一期計画といたしておるわけでございますが、問題はわが国のマイクロウエーブの技術が、必ずしも欧米のそれに比してすぐれていない、むしろ遜色がある現状にあるのであります。この点につきましてはすでに英国あるいはスイス、アメリカ——英国国内に実施しておるものにつきましては電話回線は二百四十回線とれる、アメリカにおきましては四百八十回線とれるということでありますので、公社計画としましては二百四十回線または四百八十回線にまでなるように、わが国の技術の向上をはからなければならぬという考えのもとに、目下計画を進めておるわけであります。さらに第一期計画に引続きまして、これら主要地を結ぶところ、札幌から福岡に通ずる幹線に直接結ばるべき重要地の連絡につきましても、マイクロの施設を拡充して行くというような計画が、現在の計画でございます。
  17. 原茂

    ○原(茂)委員 公社にもう一ぺんお伺いしたいのでありますが、今の御説明計画第一次のものに対しては、相当こまかく今御説明がありました。二次、三次というのがおそらくあるのだろうと思いますが、年度的にいいますと今お話の東京・福岡あるいは東京・札幌、それを中心にして、あとケーブルで主要なものに接続して行くはずでありますが、この計画が大体あと何年ぐらいたつと実現可能——今どういう計画で可能な実現計画をお持ちになつているかを御説明願いたい。
  18. 靭勉

    靭説明員 東京大阪につきましては、ただいま申したように基本的な施設が一月中には完成いたしますので、これは将来六系統まで増せる。すなわちテレビなら六つのテレビを同時にできますし、百二十の要するに六倍の電話回線がとれるという形になつておりますが、これは必要に応じて増強して行くということになつております。そこで大阪・福岡につきまして、は、現在すでに土地の手当等も行つておりまして、これにおきましては中間の中継所を十二箇所設定いたします。この場所の選定も終つておりますので、この区間におきましてはさしむき一系統電話二百四十回線がとれるものを三系統つくる予定で、明年度から着工いたしたい。従いましてこれの完成は三十年度に入るわけでございます。それから東京・札幌間におきましても、大阪・福岡と同様の方式を用いて行きたいと思つておりますが、これもさしむき三系統が実施できるような計画にいたしておるのでありまして、目下中継所の位置決定は大体終りつつありますが、なお最終的な決定には参つておりません。大体中間中継所の数は二十五の予定になつておりまして本年度中にはこの中継所の設定を終るものと思います。従いまして同様二十九年度から着工いたしますので、三十年度には完成するものと思います。  ただここに一つ条件があるのでございまして、ただいま東京大阪に用いておりまする機械は、純国産品であります。先ほど申したように今度初めての実施でございます。そこで私どもの考えとしますれば、何とかアメリカまたは英国の優秀な機械を一部ほしいということで、これによりまして最小限度の輸入をいたしまして、それを国産の技術の向上に資したい。どうも急速に、要するに二十八年度から見ますれば、三箇年間に第一期計画を終るというためには、外国の優秀な器材を技術の向上の面と工事の促進と、両方の意味合いから輸入することが必要であるという考えに立つているのでありまして、その点があるいま外貨の問題とがらみ、外国器材の輸入の外貨の割当の問題とからんでいるのでありますが、これにつきましては何とかわれわれの希望する優秀な器材を輸入したいということで、現在努力いたしておるような次第でございます。
  19. 原茂

    ○原(茂)委員 今梶井総裁があちらへ行つているそうですが、このことに何か関係して行つているのでしようか。
  20. 靭勉

    靭説明員 総裁の欧米出張は、欧米におきまする電信電話事業の調査ということと、新たなる技術の導入に関する調査、従いましてマイクロウエーブの問題並びにクロスバーの交換方式の採用につきまして、その実態を視察すいうことが目的になつている次第 あります。
  21. 原茂

    ○原(茂)委員 もう一点お伺いしますが、東京大阪間のは純国産によつてやられる、大阪・福岡間は英国のものを今輸入する計画をしておられる。この英国のものを輸入される目的は、日本の技術の向上をはかるためにいい施設をサンプル的に輸入し、使つて、国内技術の向上に対する刺激にしたい、前国会にもその説明があつたわけでありますが、今の御説明の中ではつきりしなかつたのは、あと東京・札幌の問題、あるいはその他これから第二次、第三次計画としてやつて行こうとするものも、やはり外国の優秀なもの——大阪・福岡は英国式のものにする、その次は米国のものを入れたい、そういつたような計画をただいまお持ちなのか、その点をもう一度はつきり……。
  22. 靭勉

    靭説明員 お答えします。大阪・福岡を英国のものにするということには決定いたしておりません。ただ私どもどうせ入れるならば、電波の利用上きわめて有効なもの、それから電話回線が相当とれるというのをねらつておるわけでありまして、これにつきましてはウエスタン・アメリカにおきましては、先ほど申し上げましたように八十回線とれるということにすでに一応なつておるわけであります。これの輸入等につきましても大体様子を探つてみましたところ、当時アメリカとしてはなかなか輸出は不可能であるというような回答も参つておるのでございます。英国の方におきましては、輸出は不可能でないというような回答もあつたわけでありまして、あるいは両者の経済活動も考えなければなりませんし、さらにまた発注してからどのくらいの期間に入るかというような問題も検討しなければならぬ。現在のところ外貨の割当もございませんし、また外資の成立もいたしていないわけであります。私どもとしましては、第一にアメリカの器材を輸入いたしたい。それが全然不可能であるならば、英国の器材を輸入したいという計画で進んでおるのでありますが、先ほど御説明いたしましたように、英国のものにいたしましても、七系統できるというふうに聞いております。三系統分を輸入しまして、あとこれを増強して行くのは国産品で増強して行きたいという考え方に立つておるわけでございます。
  23. 齋藤憲三

    齋藤委員 ちよつと関連して……。ただいま靱副総裁から御説明がありましたが、その点私も非常に懸念をし、疑問を持つておるのでありますが、はたして日本マイクロウエーブ製作の技術というものが、アメリカと英国の製品と本質的にどこが違うか。これから現在まで研究したすべての研究テーマを根底として、急速にその製作に従事しても、どうしてもアメリカ、英国の製品というものには時代的にずれがあるかどうか、そういう点をこの際ひとつ検討していただきたい、さように考えておるのであります。電気通信研究所に参りまして、あの厖大な研究施設を通じて、いろいろな技術者の意向を聴取してみますると、この新時代的な電波というものに関する日本の建前としては、あくまでもあらゆる困難を道破して、日本の技術的な科学的な面をこの際生かして行かなければいけないような情勢になつておると同時に、またやれるという自信があるのではないかと思つておりますが、常に考えておりまする電波行政と電波機具の製作という面が寸断されておると思います。そういうような、今になつて英国のものを使うか、アメリカのものを使うか、どうもその点、いわば国民としての屈辱を感じつつマイクロウエーブの拡充をはからなければならぬということは、まことに悲しむべきことだと思つております。こういう点に対して電電公社としては、思い切つてひとつこの際研究を進め——今までの研究もずいぶんいろいろなものができておると承つてつたのでありますが、そういう点を急速に進めて、もう日本の製品をある意味においてお使いになれるのでございますから、アメリカとか英国とかというものにたよるというようなことは第二義、第三義的に考えられて、この際国産品でひとつやつてみる、やれるというような焦点を握るというわけには参らぬかどうか、それをひとつ副総裁にお伺いしたいと思います。
  24. 靭勉

    靭説明員 わが国の通信技術、ことに有線におきまして、あるものによつては欧米各国に比してかなりすぐれておつた。例の無装荷ケーブルのごとき、わが国においてむしろ先に発達したというものもあつたわけでありますが、長い戦争の中断によりまして、日本通信技術につきましては、今欧米、ことにアメリカに比較して遜色ありやなしやといえば、これはもう遺憾ながら遜色のあることを認めざるを得ないという状態にあるわけであります。私から技術上の問題について十分お答えできませんが、今米沢保全局長からその点についてはお答え申し上げますが、なお今の御質問に対しまして、英国あるいはアメリカから全然器材が入らぬという場合におきましては、私どもとしましては国産品をもつてやる計画実施して行きたいという、さらにあと構えを持つた計画になつております。
  25. 米沢滋

    ○米沢説明員 ただいまの御質問について、技術上の問題についてお答え申し上げます。マイクロウエーブの波長といたしまして、最初東京大阪を考える場合に、二千メガサイクルを使うか、四千メガサイクルを使うか、六千メガサイクルを使うかということが、最初に問題になりました。結局四千メガサイクルが多重電話をやる上に最も適当であるというので、東京大阪は四千メガサイクルを選びました。これはいわゆる七・五センチといいまして、大体世界の多重電話の周波数はこれを使つております。六千メガくらいになりますと、むしろ近距離用のテレビジヨンとか、あるいは概造その他もありまして、四百八十チヤンネルというような大きな周波を使用することは、当時むずかしかつたのであります。それで通信研究所におきましては、特に四千メガサイクルを中心にして研究を進めまして、現在東京大阪においてこれが建設的段階に達しておりますが、問題はテレビジヨンを電送するということは、事実上四百八十チヤンネルをとるよりも、むしろやさしいのでありまして、電話の方がむずかしいのであります。それで電話に対してどの程度の特性が実際得られるか、一応三十六チヤンネルの端局装置を与えておりますので、年度内は三十六チヤンネルでありますが、これが百二十、あるいは百八十くらいまでは相当行けるのではないかと思います。しかしさらに百八十が二百四十になり、四百八十まで行けるかは実験してみないとわからないことでありまして、私どもは相当期待を持つておりますが、まだ四百八十でできるということは技術的に言えない段階にあります。もう一つの問題は、この回線が安定であるかどうかということが、実際大きな問題であります。結局真空管にいたしましても、最終的にはいわゆる速度変調管でなくて、いわゆるトラベリング・ウエーブ・チユーブという真空管を使つておりまして、この点はむしろイギリス式と日本式が一致しているわけであります。そういつたものは寿命が一体どのくらいあるか、これらのマイクロウエーブをやる場合には山の上に置くわけでありまして、山の上に置きますと、電源の問題もありますし、それからまたいろいろ湿度その他保守上の問題がありまして、こういつた場合に非常に安定に機械が働くかどうかということは、やつてみないとわからないのであります。それでイギリスの問題と比較してみますと、いういろいろデータを検討してみますと、イギリスでやつているばかりでなく、南阿連邦、あるいはスイスあたりでもやつておりまして、これは安定ということ、たとえば四局間のうちの三局は無人化、いわゆる人を置かないで中継をやつているという点、それから全体の制御装置等が相当進んでいるように、調べますと、大体なつておりまして、こういつた電源なり、あるいは制御装置が進んでいるという点は、日本の技術として相当学ぶべき点があるのじやないかというように考えます。それで私たちが外国の機械を輸入した場合にも、これはあくまでモデル・セツトとして輸入して行きたい。それで向うのいい技術とり日本の技術とをかみ合していいものを次につくつて行く、こういうことにしたいと思います。特に東京と札幌の間のようなものは、冬になりますと雪が降つたり、また保守上非常に困難でありますから、無人化という問題が非常に問題になつて来る、そういう点で参考にしたいと思います。
  26. 齋藤憲三

    齋藤委員 ただいま技術上の御説明を承りまして、外国品を輸入する場合にはモデル・セツトとしてこれをやる。将来はなるべく国産品をもつてマイクロウエーブの完成をはかりたいという御趣旨に承り、私も非常に愉快に感じたのでありますが、なぜそういう御質問を申し上げたかと申しますると、最近私はマイクロウエーブに関する計画を持つておる側から、こういうことを聞いたのであります。日本マイクロウエーブの研究はとるに足らぬ。そういうものを相手にして、われわれが今変転きわまりなきところの電波界に考えを及ぼすことはできないのだ。実際はアメリカ製品を持つて来てやる方がいいのだ。日本マイクロウエーブの研究なんかむだなのだ、あんなものは必要ないのだ、こういうことを強調いたしまして、アメリカ式のマイクロウエーブをもつて日本の電波網を完成しよう、こういう主張なのであります。私はこれと逆な考えを持つている。いやしくも民族発展の輸を争うのは、戦時、戦後を問わずして民族のブレーンによつて決するものである。であるから、日本民族がはたして世界に伸び得るか、伸び得ないかということは、今日の科学の最高の水準によつて、そのブレーンがいかなる価値を持つかということによつて日本民族の将来性が判定されるのだ、こういうふうに考えて参りますると、今の科学の最高水準にある電波、しかも今から行われんとするマイクロウエーブの研究、その完成というものは、はたしてアメリカと英国とに対比してすぐれておるかすぐれておらないか、すぐれたものができるかどうかによつて民族のブレーンというものの算定はある程度できる、こういうことを考えて、あえて御質問申し上げたのでありますが、そういう意味から考えますと、電気通信研究所の予算及び設備というものは実に貧弱だと思う。これは副総裁を前にして申し上げると、予算がないからだというお答えになるかもしれませんが、もしもあれだけの電気通信研究所を持つてつて、あれがいわゆる国家の非常に重点的な電波の一切を託する研究というものであつたならば、私はもう少し充実した、もつと多くの予算をもつて研究が行われて、あそこを中心として一切の電波研究というものが総合されてしかるべきだと思う。しかるにお話を聞きますと、総合的にやろうとしても、予算の関係か何かしらぬが、非常にばらばらなので、電波というものに対して、力のこもつた総合的な研究がちつとも行われていないのじやないかと思う。だからこの際そういうような空気からすべてを計画せられまして——これは政府にも私は要求いたしたいと思うのでありますが、電波行政というものをひとつ徹底的に考え直して強化拡充して、生産面も研究面も取入れた総合的な力を発揮して、この際日本民族の優秀性を世界に表徴する意味においても、ぜひともマイクロウエーブその他将来性のあるところの電波という問題は、日本の国産品でもつて完成してもらいたい、そういう意向を持つておるのでありますから、ひとつこの点副総裁においてもよくお含みおきくださいまして、なるべく外画品にたよらないで、国内製品によつて世界を制覇するような、りつぱなマイクロウエーブを充実して行きたいと思います。どうもありがとうございました。
  27. 靭勉

    靭説明員 非常にごもつともな御意見を拝聴いたしまして、私どももまつたく同感でございます。在来電気通信省時代におきましては、御承知のように政府機関設置法でありますが、各省設置法で、通信研究所においては何をやるかということがきめられておつたのであります。公社になりましても同様でございまして、たとえば国際電信電話会社が分離しますと、国際通信として一応の主要な研究は頃際の機関に移つて行くというような形で、人員の引継ぎ等も行われたわけであります。電波の研究につきましては、電波監理局においてやはり引継いで行くという考えを持つております。それと総合的な研究機関というものが現在欠けておることは事実でございます。ただいまの御意見につきましては、なお私どもとしましても十分研究いたしたい、かように思います。
  28. 原茂

    ○原(茂)委員 先ほどに続きまして公社に五点お伺いしますが、まだどこから輸入するかきまつていないと言われますと、大阪・福岡間、札幌・東京、こういうものを二十九年度から三十年度には完成するのだ、こういうお話ですが、時期的に間に合うかどうか、それが一点。それから純国産でやつた経験が東京・横須賀、東京大阪間にある。今計画されているのは大阪・福岡間が外国製のもので製造される。この費用は一体国産の場合と外国製の場合とどのくらい違つて来るか。それから今計画しております北から南まで日本を完全にやろうとする今の計画実施されますときに、総体でどのくらいの費用を見込んでおられるか。計画概要でいいですから、総額どのくらいのものを見込んで計画を立てておられるか。次に先ほど米沢さんの御説明を聞いておりますと、こういうふうに理解してよろしいかどうか。現在は四千メガサイクル——六千メガは一応話題に上つたが、これは取上げにならぬ、将来とも六千メガというものはわが国に施設をして行かないというお考えのように、私どもの方で承知してよろしいかどうか。六千メガというものに対しては将来とも計画をしない、かように考えてよろしいかどうか。最後に公社の立場から考えまして、以上の点から言つて今回の正力さんの計画しております——計画でないかもしれませんが、先ほどお話した怪文書による計画がもし実現しようとして、正力さんが真剣に考えていた場合、公社の側からはこれに対して賛意を表するのか、反対の御意向なのか。反対である場合にその理由を二、三点にわけて御説明願いたい。以上五点を御質問申し上げます。
  29. 米沢滋

    ○米沢説明員 最初技術的な問題についてお答えいたします。費用につきましては、東京大阪の分は局舎と土地を二十七年度予算で、それから実際の機械は二十八年度の予算の中に入つております。それから大阪・福岡、東京・札幌につきましては、これは完成するのに二箇年を要しますから、現在はいろいろ準備なり設計を進めておりまして、予算的には二十九年、三十年二箇年計画になつております。二十九年度の予算は今大蔵省に予算折衝中でありますが、これらの中には大阪・福岡、東京・札幌のものを織込んでおります。大体行き方といたしましては、初年度には土地を全部買う。それから局舎の全部とはちよつと行きませんので、大体七、八十パーセント、機械は次年度に入れて行くというふうになつております。しかし設計、土地の決定等は進めております。  額につきましては、東京大阪で現在やつておりますのは、大体全部入れまして十五億円くらいであります。それから大阪・福岡、東京・札幌等につきましては、まだ中継所の位置等が最後的にきまつておりません。と申しますのは、電波が伝播する場合に、テレビジヨンのようにただ六時から九時までやるというのではなく、四六時中やるということになりますと、特に日の暮れるとき、あるいは朝、そういつた気象の変化の多いときには電波の通路が非常に弱りますから、確実な場所を選んで参りますと、途中の一つがぐつと動きますと、それに関連して他の場所がやはり動いたりいたしますので、一応見当はつきますが、最後的にきまるまで正確な額がわかりません。東京・福岡が大体二十五億くらい、それから東京・札幌が大体四十億から四十五億くらいになつておりますが、見当でありますから、まだ確定ではありません。  それから四千メガと六千メガの御質問がありましたが、四千メガが帯において多重電話をとれるバンドが七バンドあります。ですから東京大阪は現在七システムでありますから、一システムで四百八十とれるとしますと、結局四百八十かける七ということになります。ですからテレビジヨンなら七系統でありますが、そういう範囲におきまして四千メガで東京大阪をやりたいと思つております。しかし七で一ぱいになつてしまつたということになりますれば、さらに六千まで上げて行くということになりますが、今考えておりますのは——これは電波行政の問題に入つて参りますので、電波監理局の方でお答えになるのが至当かと想いますが、近距離、それからまた電電公社以外のいろいろなところにまだ使い道がありますので、公社としては、長距離の中継は七システムがとれるというのは少しまだ先の方になつて参りますから、一応四千メガで行く。しかし研究の方は六千メガを研究しているのであります。  それから外国製品とこちらの製品の問題につきましては、非常に正確だというのにはいろいろ条件がありまして、これを平面的に比較できないことになるわけであります。たとえば途中無人化するということになつて参りますと、電源がどうだとか、空中線がどうだとか、チヤンネルは片一方が二百四十だし、片一方は四百八十だとしても、四百八十と二百四十を一対二で比較するのも困難でありますが、しかしそんなに大して違わないのではないか。外貨という点においては問題は別でありますが、国内の方としても、モデル・セツトで最初試作したときの金は非常に高いのでありますが、ある程度量産に行けば安くなる、そういつた要素もありますので、比較するのはむずかしいのではないかと思いますが、大体似たようなものであります。
  30. 靭勉

    靭説明員 最後の問題についてお答えいたします。先ほど申しました通り、マイクロの機械につきましては、ともかくアメリカないし英国が非常に進んでおる。従いまして、モデルといたしましてもぜひ輸入いたしたいという考えで、公社におきましても、あるいはアメリカ会社内容を調べてみたり、あるいは英国の方を相当調査した、こういう形になつてつたのでありますが、政府におきましても、外資導入の問題について公社に対しても御指示がありましたので、公社といたしましては、やはり外資が入るならばそれによつて器材を輸入したい、こういう考えで政府の方にその案を提出いたして、政府の御折衝を待つている次第であります。そのときにちようど日本テレビの方から、自分の方は外資が入るのだ、入つた場合においてはこれを設備提供するのはどうかという話合いが出て参りましたが、まず第一に法律的な問題がある。この点につきましても、これは先ほど郵政省の方からお答えになりましたが、その点は解決されない点が現在ある。私どもにおきましては、全然外資導入ができないかどうか。これは政府の指示に従つて、ともかくマイクロとクロスバーの器材輸入の外資を求めておる次第でありますが、それがきまらぬ限り、日本テレビの方では必ず外資ができるのだからと言われましても、私の方も、できればそういうものは他にたよる必要もないわけであるということが、まず第一点であります。そこでお話合いがありましても、アメリカ外資を求めることの結論を得てからでなければ、何ともお答えはできない。ただアメリカないし英国の機械がほしいということだけは、これは一つの絶対的な条件になつておる。さてほしい機械につきましても、日本テレビの御計画になつている機械が、われわれのほしい機械と合致しているかどうかという問題もあるわけであります。従いまして郵政大臣のお話もありまして、公社正力さんとの間に、そういう具体的な、まず先方さんの計画はどういうものであるか、どういう方式のものをお入れになるのかというようなことをお話合いしておりまして、私ども公社からしましても、そういうものをはつきりとお示し願いたいということになつておりますが、ただいまのところ、それについて正式な回答が来ていないという状況にありますので、これについてはまだ結論は出ておりません。しかしながら一番初めに御説明申し上げました通り、わが国の市外電話回線網を整備するためには、なお有線によりまして相当回線が得られます。現在東京大阪におきましては、有線で九百四十回線あるわけでございますが、さらに四百回線程度有線で増設できる。さらに大阪・福岡間も、四国まわりのケーブルもございますので、二十四チヤンネル方式を全面的に実施するといたしますれば、現在の二百五十回線をさらに八百三十回線に増設できる。東京・仙台・札幌につきましても、現在百四十回線あるのを、さらに二十回線増設できるというぐあいになつておりまして、マイクロウエーブによるという理由は、先ほど申したような理由でありますし、一方テレビ中継には、現在のところにおきましては、わが国においてはマイクロウエーブによるほかはない。日本電信電話公社は電信電話事業独占的に経営いたしておりますので、あらゆる通信の需要に対応できるように布設して行かなければならぬ当然の責務がある。そこでマイクロウエーブの利用につきましても、百二十回線程度でなく、二百四十回線以上得られるような方式のものをぜひ持つて行きたい。こういうような計画にいたしております関係上、私どもの一応承つておりますところでは、日本テレビではアメリカのある会社の機械を大体予定されておるようで、あるいはその後御変更あつたかもしれませんが、一系統で二十五回線とれるという形になつております。そういう機械であるならば、私らの方としましては必要がないというような関係になつております。ともかくわれわれの方の一つの弱点は、ともかく外国の機械を輸入した方がいいのだ、する必要があるのだという点におきまして、ことに外国の器材を入れた場合におきましては、できるだけ外資の導入ということによつてやつた方がいいというような観点に立ちますと、政府といたしましても、これをどういうように御判断になるか、公社としましては、できるだけ早く重要なる幹線につきまして、マイクロウエーブによる通信施設網を完成したい、こういうような立場にある関係上、最終的に政府におきましては結論が出てないようでございますし、私どもといたしましては、ただいま政府の方の外資の問題がどうなるか、もし外資の導入ができない場合におきましても、私どもといたしましてはこちらの求めておる器材を、あるいは日本の保有しておる外貨の割当を受けるなり、あるいはまた器材の代金を相当年賦払いにするとか、実質におきましては、借金の形にできるかどうかというような諸点を、目下考究しておる次第でありますから、ただいまの段階におきましては、日本テレビ計画がどれほど確定的のものであるかどうか、そういう点もはつきりしてない現状におきましては、私どもとしましてはこれについてイエスというお答えができないという状態にあるのであります。
  31. 原茂

    ○原(茂)委員 長くなりますから簡単にしますが、今の御説明を伺つて少し重要な問題があるわけです。何か日本テレビ計画施設内容というものがはつきりすれば、公社としてある種の相談に乗つて正力計画実現することをも拒まずに、これと同調ないしは話合いの上で、公社の現施設日本テレビの今度の新計画施設とコンバインした計画によつて、将来のわが国の通信施設というものを考慮して行くようにとれるわけなんです。公社の立場からは、その必要を認めない、公社自身がもう相当のプランを持つておるし、実施の第一、第二段階に入つておるんだから、今の日本テレビ計画そのものには、公社の立場から反対であるといつたようなことを実は期待したわけですが、そういうお答えでなくて、逆にその施設内容によつては、これを勘案した上で将来公社の態度を御決定になるように、今の御説明を拝承したわけですが、そういうようなお考えであるかどうかということが第一点。  第二点は、先ほどのお話でドルがまだ割当がない。そこで現物を出資してもらう形の導入も考えておる、そういう説明があつたように思うのです。ドルによる輸入だけが今話題に上つておるのですが、あるいは世銀あたりの借款方式も、今日公社施設を輸入するのにあたつて考慮されておるのかどうか。  第三点は、もし現物出資の形で米国の某会社から施設を貸与されるというようなときに、ないしは世銀あたりから借款をするというようなときに、日本施設に対するマイクロクエーブのメガサイクルを六千にしろとか、あるいは四千にしろというような、何かその種の条件が——一番重要なのは、六千メガサイクルにしなければいけないというような条件が付せられるおそれが、先ほどお話申し上げたユニテル・プランからいうと想像されるわけです、そういうような条件も今話題に上つておるかどうかということをお伺いしておきたい。この三点について伺いたい。
  32. 靭勉

    靭説明員 公社としましては、独自の立場でマイクロウエーブ施設計画をすでにもう実施して、近く完成しようという状況にあるわけであります。従いましてよそのものを使うということは、そのままのところで申し上げれば、必要ない。これははつきりしたことです。しかしながら先ほどから御説明申し上げておりますように、ともかくも外国の機械を輸入したい、これによつてわが国の電波技術の向上をはかりたいという観点からいいますと、どうしてもドルなりポンドなりかいる。この金をどうするかという問題で、政府としましても全面的に外資の導入計画をお持ちになり、そういうふうに要求した。ところがそれはとうていできないというような批判もあつたわけでございます。その際におきましては全面的に法律問題がありますが、法律を離れて、設備提供ではなく、たとえば機械だけを民間の必ずしもNTVとは限定しませんが、それに入つて来た場合に使うかどうかという問題は、どうしても公社外国の機械を使用しなければならぬという前提があるとすれば、この際としましては当然外資の導入の問題、あるいは外国器材の輸入の形というものにつきましては、公社は現在の法律体系をくずさないでどういうような方法があるかということは、これは話合いになつたわけであります。ですから設備提供という形で、現在の政令で先ほどの郵政省のような見解が示されるならば、その点は別の形態で考慮しなければならぬ。しかしその議論に入るまでに公社の方に外資導入が成立して、われわれの求める器材が輸入されるならば、この問題の解決はきわめて明瞭である、こういう事態になつております。実は外資の問題をどう考えるかということが、一つの大きな問題になつております。もう一つは、電電公社におきましてできるだけ民間の資材を入れる、技術なりあるいは資本を利用して行くという観点を、どういうふうに考えて行くかというような問題があるわけであります。これは郵政省の方とも御相談しつつ、民間の計画につきましても検討をするという建前をとつておるわけであります。その点は誤解のないように御了解を願いたいと思います。  それから第二の問題につきましては、現物出資とかそういう方法を考えておるわけではなく、購買代金の支払い方法を債権債務の観点からしまして、できるだけ年賦払いにいたしたいというようなことも考えておるということでございまして、必ずしも一般にいわれる外資の導入がなくとも、できるだけ日本の外貨を節約し、支払い期日延期等も考慮していただく方法がないかという考え方を申し上げた次第でありまして、何ら今のところ具体的の話も進んでいないような次第であります。
  33. 松井政吉

    ○松井(政)委員 ちよつと関連してお伺いしますが、問題は当面怪文書等が飛んでおるが、公社自身がマイクロウエーブの問題をどう考えるか、こういう調査をこの委員会はやつておるわけです。ところが私はただいままでの質疑応答をお伺いしたところで、非常な疑念を持つ。というのは、当面出て来ておる公社外資導入、あるいは民間が外資を導入したものを使うかどうか、こういう問題じやないのです。要するに基本的な公社と政府の態度が問題になる。これは電波監理委員会がなくなる直前に、われわれがテレビジヨンの民間認可をめぐつて、すでにマイクロウエーブの問題を論争したことは、速記録を見れば明らかになつております。そのときに当時の電通省にお伺いをした点は、要するにマイクロウエーブの問題は、民間にもたよらず、独自の研究を続けて、日本独自の科学の進歩によつて完成するというお答えをいただいておる。その基本的な方針を、民間の人にたよつたり、外資の導入によつてマイクロウエーブを完成しようという方針に、公社になつてからおかえになつた。その基本的な態度をひとつ先にお伺いをしたいと思う。大臣がおいでになれば、私は大臣に電波行政そのものから来るこの矛盾をお伺いしたいのですが、次官がおいでになりましたから、次官でけつこうですが、今言つたことは公社側にその態度についてお伺いしたい。  それから、これからお伺いする点は政府側であります。問題は要するにわれわれは国際電信電話株式会社の分離のときにも、一貫でなければいけないんだ、国際と国内をつなぐ通信行政、あるいは通信網及び回線の問題、さらにまたマイクロウエーブの問題等は、当然切り離せないものであるということを強調して、われわれは分離すべきでないという態度をとつて来た。ところが今もうすでに矛盾が起きておる。大きに政府が責任を負わなければならぬ問題が起きておる。さらに電波監理委員会をなくして内局にするときでも、敗戦の結果資源の乏しい、経済の底の浅い日本において、たつた一つの有力なる財産は、目に見えない電波であることをわれわれは強調して来た。この電波に関する一切の技術と研究、さらに世界の水準に劣らないようなものをつくるには、電波行政そのものを縮小してできる道理はない。速記録を見れば明らかなように、なぜ内局なんかにしたということまで、われわれは当委員会において審議をしておる。今また行政機構の改革並びに整理に伴つて、電波関係を縮小しようといううわさが飛んでおります。そういうように電波に対する根本的な態度を不明確にしておいて、国全体、国民全体のやらなければならない行政上の責任部署を小さくしておいて、民間にたよつたり、いたずらに外国にたよつたりするという態度が、そもそも間違いだと思う。従つて電波全体の行政、通信全体の行政に対する政府の態度を、この際明らかにしておいてほしい。われわれが考えるには、縮小するどころではなく、電波と電気通信を含めた省を一つ設置して、もつと拡大して、そこに生産部門までくつつけた電波行政とさらに科学技術の発展を行うべきである。縮小すべき点は幾らもある。その点の態度を政府は明らかにしてほしい。この二点についての説明をお願いします。
  34. 靭勉

    靭説明員 第一点についてお答え申し上げます。先ほど齋藤委員の御質問にお答えいたしましたように、もちろん日本通信技術を世界に負けない優秀なものに向上さして行かなければならぬということが基本的な原則でありまして、そのために今回のクロスバーなりマイクロウエーブの技術も、日本通信技術の発達あるいは日本通信工業の発達というようなことを考慮しつつ、そういう方針をとつたのでありまして、絶対に外国の技術は導入しないというようなことは申し上げてないと私どもは考えております。第一点につきましては、ただいま申したような意味合いにおきまして、基本的方針がくずれたということは絶対にない。むしろ世界の進んだ技術を積極的に導入して、これを国産化して行く。マイクロウエーブだけの問題じやなくて、クロスバーの自動交換方式につきましても、これを国産化して行くという点をねらつて考えておるような次第でございます。
  35. 成田知巳

    成田委員長 松井さん、大臣が来られましたが、大臣にあらためて御質問なさいますか……。
  36. 松井政吉

    ○松井(政)委員 大臣がお見えにならぬため、飯塚政務次官でよろしいからということでただいま質問したのですが、もう一ぺん繰返しますから、大臣の御答弁を願います。ただいままでこの委員会において、同僚委員の方々が熱心に審議をされたことは、今現われておるマイクロウエーブの問題であります。しかしその問題に関して、私は政府の根本的な考え方をただいまお伺いしたわけです。それを繰返します。要するに問題は政府の電波行政そのものの考え方から来ている、こう私は指摘をした。なぜかならば、たとえば日本最初テレビジヨンをやろうということで、NHK並びに日本テレビ放送網に許可認可を与えるかどうかということに対するこの当委員会における数回にわたる審議の経過の場合でも、マイクロウエーブ等は民間の施設になつて、逆に公社なり政府がこれを使用するような場合になるおそれはないかという質問を私は申し上げておる。そのときの政府側の答弁は、マイクロウエーブ等の問題は公共的の設備であるから、これも公社ができる空気が濃厚だつたので、公社が一貫してやる、従つて民間の設備を使用したりするようなことはやらない、こういう意味の答弁を私はいただいておる。ところがただいま問題になつておりますのは、もしテレビ網なりその他の民間で外資を導入して、それがよければ借りてもいいような考え方をお伺いした。さらにまた独自の立場で外資が導入できれば、アメリカ、イギリスにたよつてもいいというような考え方を持つて来ておる。日本の技術との違いもただいまお伺いしておる。この点は費用の点その他の問題もお尋ねしましたから、ここではお伺いしませんが、そういうような問題がなぜ起つたかということについてお伺いしたい。われわれは塚田さんが大臣なつたときにも申し上げたのですが、要するに電波行政について、この前の行政機構改革のときに監理委員会をなくすることにわれわれは反対であつた、なくするならなくするでよろしいが、郵政省の一角の内局にしておくことは反対だ、こういうようなことまで露骨に申し上げて反対をいたした。今日その問題が出て来ているのは、要するに費用の問題もありましようが、日本が戦争に負けてたつた一つつておるものは目に見えない電波という財産である。これは日本では必要欠くべからざる財産である。この財産を基礎として、科学の進歩と技術の進歩をはからなければならない。電気通信に関する問題、電波に関する問題、ラジオ、テレビジヨンに関する問題は一切所管しなければならぬ、こういう行政機構は縮小どころではなくて、もつと大きくして一つの省くらいをつくつて、一貫して日本の研究した技術と日本の科学的水準と無形の財産である電波を利用して、民間にたよつたり外国にたよらぬでもいいものをつくらなければならぬと考えておる、それを考えないで行政を縮小したり、研究、技術、科学に関する予算を削つたりしたところに、今の問題が起きて来た、こういう問題について政府は一体どう考えるか、明瞭にお考えを聞かせていただきたい。
  37. 塚田十一郎

    ○塚田国務大臣 結局今度の行政機構改革をどういう考え方でやつておるかという問題になつて来ると思うのですが、私は他の委員会でもしばしば申し上げておりますように、日本の国の今日の状態において、国がやらないでもいいものをやつておるものがあればやめた方がいいのじやないか、それからその結果どれだけの仕事をやるということにかりになつたといたしましても、そういう仕事をあるいは縦にあるいは横に重複して所管をしておるために、国民の側には何もプラスがない。かえつて国民の側からは事務手続が複雑で、従つて政府の許可、認可が遅れるというような面があるならば、そういう面はどういうことがあつても直さなくちやいかぬ、そういう考え方が政府の今度の行政整理の基本の構想になつておる。従つて国がやる必要がないものはやめるという考え方を裏から申し上げますならば、やる必要のあるものはもちろんやめないし、さらに必要が増大するならば、御指摘のように、そういうものは必要度の増大に応じて機構も大きくなつて行くことも、これは当然考うべきはずものであります。そういう意味では、おそらく松井委員のお尋ねの点とり私の考え方とは、ちつとも違つておらぬと確信しております。
  38. 松井政吉

    ○松井(政)委員 それならば電波行政は、われわれと同じように、大臣はやはり縮小ではなくて拡大をして、科学技術の予算のごときはふんだんにとるべきだと解釈しておるのか。私と同じ考えだとすればそうなります。
  39. 塚田十一郎

    ○塚田国務大臣 具体的にどういうぐあいということになりますと、おのずからまた程度の問題もあるので、あるいは大事ではあるが、今の実態で、この人員で、この機構でもつて十分やれるという結論になりますか、まあ縮小はあるいは問題になるかもしれませんが、さらにまた拡大しなければならないという結論になりますか、これはさらに検討しなければなりませんが、しかし考え方としては、電波行政というものは、御指摘のように非常に重要であり、今後ますます重要性を増して来るものであるということは、自分も十分承知いたしております。
  40. 松井政吉

    ○松井(政)委員 大臣は行政整理の大臣のような立場でただいま御答弁になつておりますが、あなたは電波の主管大臣です。だから主管大臣ならば、やはり主管大臣の立場でお話を願いたい。重要だということはお認めになつた。さらに今後ますます重要だということもお認めになつた。あなたは今度行政機構改革の方の大臣も兼任されておる。そこでなかなか上手な答弁をなさるのですが、自分が主管なんです。今後ますます大事だ思つたら、縮小しないで拡大して、民間にたよつたり、外国の製品にたよらないで、科学技術を進めて行くというような確固たるお答えは、あなたにはできないのですか。
  41. 塚田十一郎

    ○塚田国務大臣 これはまことに恐縮な話でございますけれども、あまり専門の問題はわかりませんが、ただいまの行政機構改革の段階は、一応行政改革本部としての試案をつくつておる。次の段階においては各省と個別折衝をする。従つて私の所管の郵政省の問題につきましても、一応の基本的な構想ができたときに、さらに私と事務当局とが大いに意見を交換し合つて、そして適切な結論を得たい、こういうことになつております。決して私がうまく要領よく答えているというわけではありませんので、そのように御了解を願いたいと思います。
  42. 齋藤憲三

    齋藤委員 関連して……。どうもただいまの松井委員質問に対する所管大臣としての御答弁は、ふに落ちない。大体塚田大臣は電波というものに対する認識と、電波行政に対する抱負をお持ちにならぬから、そういう御答弁をなさるのではないかと私は思う。この前私は塚田大臣にその点は一ぺん質問してあるのでございます。ところが残念ながら電波に対する認識と電波行政に対する抱負は、しろうとだからないという、こういう御答弁をされておる。あれから御勉強をされたから、すでに賢明な塚田大臣は認識と抱負をお持ちになつておると思う。その抱負経綸の上に立つたならば、所管大臣として今日の国際情勢及び日本の情勢から、電波行政の縮小ということは、これは当然考えられないという結論に到達されると思う。ほかは縮小しても、電波行政だけは拡大しなければならぬということになるのではないか、私はそういう期待を持つておつた。そういう期待を裏切るような所管大臣であるならば、これは本筋からいえば不信任を提出すべきところだ。これは塚田大臣だけではないのです。私たちがこの委員会を通じて塚田大臣質問をすることは、いわば吉田内閣に対する質問だと心得ておる。電波というものは、今まで靱電電公社副総裁からの説明もありましたが、そういう小さなものではない。一切の科学技術、防衛、文化、その他に関連するところの電波というものに対して、一体縮小するとか縮小しないとか、そういう行政機構を縮小するとかしないとかいうことを考える吉田内閣そのものの頭脳を、われわれは疑わなければならない。ですからそういう点について所管大臣として、腹をすえて御答弁願いたいと思います。
  43. 塚田十一郎

    ○塚田国務大臣 これは皆さんのお尋ねは、現在の機構で、現在の人員で、現在の予算で、これが最高能率に行われているという前提に立つておられると思います。私は必ずしも、自分の所管の省の問題ではありますけれども、国の行政機構の改革、またそういうことを要請する国の実情という立場からは、そういう面にさらにもう一度検討を加えてみる必要があるだろう。重要なことはまさに御指摘の通りよくわかつておりますし、私も就任後五箇月になりますので、何がしか電波のことはわからないとは申し上げながら、わかつては来ておるつもりでありますが、しかし郵政大臣として電波のことがわかつて来ておるという考え方と、行政改革をやらなければならないという考え方を、総合的に調和のとれる面を現実の仕事に携わつている事務当局の者と検討して行く。仕事は重要で大いにやつて行かなければならぬが、それでもなおかつその中に整理できる面がないか、また検討の結果、なるほどこれは最高能率に働いておる、さらにこれを大きくしなければならないという結論に到達するかもしれません。その面はやはり研究して結論を出すのが正しいのであつて、十分検討しないで、必要だから大きくするんだというように結論を出すということは、軽率のそしりを免れないのではないか、自分はこういうふうに考えております。
  44. 齋藤憲三

    齋藤委員 それでは電波に対する大臣の認識と、電波行政に対する抱負を簡単にここで述べていただきたい。
  45. 塚田十一郎

    ○塚田国務大臣 どういうことを言えとおつしやるのか、ちよつと見当がつきませんので、いま少し質問を具体的にお願いいたしたいと思います。
  46. 齋藤憲三

    齋藤委員 ただいま大臣の御答弁を承つておりますと、事務当局と打合せて、不必要な点は改革をする、必要な点はこれを拡大して行くという御答弁であつたので、そうしますと、大体所管大臣として、電波というものは、今日の日本を土台として世界情勢に即応するという建前から、どういう地位にあるものであるか、国家としてどういう地位に取扱わなければならぬものであるか、従つてその電波を取扱う行政というものは、どういう点を縮小して、どうい点を徹底的に拡大強化の行政をやらなければならないかということになるわけです。ですから行政改革をおやりになる立場において、郵政大臣として電波の行政をどうするかということは、構想がなくて、事務当局とお打合せになつて、事務当局の言う通りやるなら、所管大臣はいらぬということになる。ですから電波というものをお扱いになる主管大臣として、電波というものは国家としてどういうふうにこれは考えるべきものであるか、世界の情勢において、電波というものは今どういうふうに世界各国が取扱つておるのであるかということ、従つて日本の現状において、日本のいわゆる現状の認識において、この電波行政というものはどの点を縮小してどの点を拡大するのかという点に対するところの認識、抱負をお持ちにならなければ、いわゆる行政機構改革の真髄を把握することはできないだろう、かように私は考える。ですから電波に対する認識と、電波行政に対する抱負を承りたい、こういうことであります。
  47. 塚田十一郎

    ○塚田国務大臣 電波というものが、日本のように限られた資源しか持たない国において非常に重要なものであることは、松井委員も御指摘になりましたが、私も同じように考えております。従つて電波行政に非常に力を入れてやつて行かなければならないということも、まさに御指摘の通りであります。ただどの面が縮小できるか、どの面を拡大しなければならないかというお尋ねでございますが、そういう点は自分もまだ詳細に検討しておりませんので、行政機構改革に対して全体の構想がまとまつたときに、その構想でもつて次官以下の各係の者と検討いたしまして、適切な郵政省としての電波行政の機構のあり方というものをきめて行きたい、かように考えておるわけであります。
  48. 齋藤憲三

    齋藤委員 いろいろ伺いたいことはございますが、関連質問でございますから、もう一点だけでやめます。そうしますと、今所管大臣としての塚田大臣のお答えを承りますと、巷間伝えられているがごとき電波行政に関する縮小というものは、これは大臣としてはちつとも考えておらぬ、具体的にいろいろなことが巷間伝えられておるのですが、そういうことは大臣としてはまだ決定しておらぬ、これから検討するのだということでございますか。
  49. 塚田十一郎

    ○塚田国務大臣 その通りでございます。ついでに一言申し上げますが、今いろいろに新聞などに伝えられておるものは、一般的な行政機構改革の考え方として私が機会あれば話をし、またあるいは刷り物なんかで一部漏れたものがあるかと思いますが、そういう考え方に基いて、それぞれの人たちがこういう考え方で国の行政機構というものを考えれば、やはりこういうぐあいになるのじやないかというようにおまとめになつたものであるようでありまして、私としましては、まだ臨時行政改革本部の案としてまとまつたものはない段階であります。
  50. 松井政吉

    ○松井(政)委員 そこでもう一点お伺いしたい点は、要するに長官と考え方の違う点をやり合つてもこれは話がつきますまいから、われわれ考え方の違う点はやむを得ないとして、とにかく重要性だけはわれわれと考え方が一緒だということを確認しておきます。一緒だということになれば、まさか閣内の賢明なる大臣ですから、大事なものを縮小したり、そのために科学技術が低下するようなことはやるまいと思います。もしやるとすれば、それは責任をおとりになつていただくほかはない。これは明瞭に速記録に載つておりますから、それだけを確認しておきます。  そこで私のお伺いしたい点は、要するに当面においては、日本が技術の進歩のために国費を使つて研究をやるよりは、イギリス、アメリカのものを買つて来た方がいいというものは幾らもあると思う。これはわれわれもあらゆるものについて認めるのです。認めるが、その場合は残念ながら科学技術が後退して、商業のみが進歩して行くのです。そこにはその国の発展というものはないのです。同じように戦争に負けてまだ独立していないドイツを見てごらんなさい。ドイツは戦前でも科学技術は世界一といわれたのですが、すでにとりもどしております。決して他国にたよりません。だから日本の今のマイクロウエーブの問題にしても、なるほどアメリカ、イギリスから輸入して来た方がやりやすい部面がありましよう。けれどもそういうものの考え方では、五年後の日本というものは世界の水準に、科学にしても技術にしてもあるいは電波行政そのものにしても、追いつけないものが出て来る。私はそれを憂えるのです。それを憂えるので、この前のいわゆるテレビジヨンの問題をめぐつて、かりにマイクロウエーブの問題で、民間等に設備されて、それを国なりあるいは公社なりあるいは政府なりが借りて使わなければならないようなことにならないように、その通信を通じての文化、防衛上の問題まで私は引例して、ついておるのです。絶対にそういうことのないように努めるという答弁をいただいておるが、今すでに問題が出て来ておる。今マイクロウエーブの問題でずつと同僚議員の人たちの熱心な質疑応答を聞いておつても、すでにその危険は出て来ておる。そこに問題がある。だから今そういう問題が起きても、要するに国民全体が考えなければならない問題として、国民全体がその基礎的な原則を全部が党派を超越して確認をして、その具体的なものは公社が行うか、政府が行うか、いずれかの形にすることが一番大事である。その部類に入るものがいわゆる電波行政です。一切の電波行政、一切の電気通信行政です。そういうことだと考えるが、この私の考え方と大臣の考え方と食い違いがあるか、それとも食い違いない、その通りお考えになつてやるつもりであるかどうか、これをお伺いしたい。
  51. 塚田十一郎

    ○塚田国務大臣 私の今伺つております範囲においては、松井委員の考え方と私の考え方とぴつたり合つていると私は思います。結局問題は、今のお話のうちで一つ政府として注意しなければならない論点は、いろいろな技術を外国から輸入するときに、それにたより過ぎて、国内技術がだんだん伸びて行くことの支障になる点がありはしないかという点であると思うので、まさに私もその通りに思うのであります。ただ今公社の考えておりますマイクロウエーブも、それから問題になつております正力さんの考えておるマイクロウエーブの問題も、やはり初期の段階においては外国の技術を入れておいて、それをよく研究して国内に同じような技術の発達をはかろうということであつて、その考え方で行くならばやむを得ないのじやないか、そういうように考えておるわけです。従つて今度の行政機構改革の問題でも、電波行政だけでなしに、科学技術の振興ということにつきましては、これは国会側の科学技術の振興議員連盟の非常に熱心な御研究とお考え等もあり、自分もその考え方には全面的に賛意を表しておりますので、科学面に対する機構及びその面に対する機構の裏づけになる今後の予算の面については、自分も十分に配慮したい、こういうように考えます。
  52. 松井政吉

    ○松井(政)委員 もう一点で同僚議員に譲りますが、要するに先ほど公社側からもテスト・ケースとして、たとえば大阪、福岡間等はイギリスのものを考えてみたり、確定しておらぬという前提でございました。あるいはその他アメリカのものを考えてみたり、正力さんの関係がよければ要するにそれを考えてみたりしておるということであります。しかしそういうことを考えること自体が当初から間違いなんです。私の考え方によれば間違いなんです。そういうことを考える危険性があるので、絶対に切り離すことのできない、電気通信部門における国際電気通信を分離してはならない際に、さらにテレビジヨンの認可を与える場合でも、マイクロウエーブ等はどうするのだということは、すでに二回も三回も前の国会において論議をし尽しておるのです。そのときの態度をかえられて、しかもそのときも吉田内閣、今も吉田内閣、そしてもしよければそれを使う、テスト・ケースとしてという前提があるから、テスト・ケースとしてなら悪くないじやないかということで、常識的には解決するかもしれませんけれども、テスト・ケースとして使わぬでも、日本のものでという企画がなぜ起きて来ぬか、なぜ当初から腹をきめた通り押して来ないか。もし当初からテスト・ケースもいらない、日本のものでという企画があれは——今公社日本の国産品を使つてつておるのです。やれない道理はない。テスト・ケースだけならよろしいけれども、その方が採算上よろしいというそろばんの結論が出た場合には、残念ながら日本の技術は低下して、外国の商品にたよらなければならない危険性が起きて来る。そういう危険性があるから、そうじやなくて、テスト・ケースをやめられて、もう公社の研究一本、電気通信部門あるいは電波に関する限り、日本の科学技術に急速に拍車をかけて、政府がやつて行くのだという考え方をお持ちになるわけには行きませんかどうか、これを最後にお答え願いたい。
  53. 塚田十一郎

    ○塚田国務大臣 私も日本の技術でそういうものが全部できるということは、ぜひそうなければならないと思うのでありますが、その目的を達するために非常に役に立つということであれば、相当長い間研究を怠つておつたために、非常に研究の程度に開きがあるものでありますから、それを国内だけでぽつぽつやつて行くよりも、一応他の国の進んだものにならつて、そして今度はそこをスタートとして早く進んで行くということの方が、今松井委員の御指摘になつ目的を達するためにも有効じやないか。また公社側のイギリスのものを一応買つてみたいというお考えを伺つたときにも、そういう考え方であると、いつまでも全部こういうぐあいに外国製品にたよるという考え方でなしに、イギリスのものは非常にいいようだから、とりあえず小部分のものを買つてあとはそれに見習つて、国内でやりたいというお考えでありますように伺つたので、賛意を表したわけであります。
  54. 齋藤憲三

    齋藤委員 ただいまの塚田大臣の御答弁ごもつともだと思いますが、大臣は電気通信研究所に行かれたことがございますか。
  55. 塚田十一郎

    ○塚田国務大臣 電波監理局の所管をしている研究所は全部見ております。電通公社の部分は行こうと言つてつて、時間がなくて、その後まだ視察を遂げておりません。
  56. 齋藤憲三

    齋藤委員 所管大臣として電波行政推進に関する建前から、電波に関する研究所を総合的にお集めになりまして、はたしてマイクロウエーブその他に関して日本の研究、構想、テスト、それがアメリカ及び英国製品に劣るかまさるかということを、所管大臣として御検討を加えられたことがありますか。
  57. 塚田十一郎

    ○塚田国務大臣 なかなかそこまで確信を持つてお答え申し上げられるほどの意見を持つておらないのでありますが、私はこの間いろいろ視察をいたしました結論として、決して劣らない部面もあり、また劣つている部面もあるので、劣つている面は見習つた方がいい部面もあると思います。
  58. 齋藤憲三

    齋藤委員 私はただいまの松井委員質問の根幹の一つは、そこにあるのではないかと思います。何でもイエス・サー・カントリーじやないけれどもアメリカ、英国がよろしい、そういう観念でもつて、これはひとつアメリカから入れてみよう、英国から入れてみようということなんですが、私先ほど大臣の御出席のないときにも申し上げたのですけれども、これはアメリカから買うのもよろしい、英国から買うのもよろしい。しかし日本のふところが一体どんなものであるか、いわゆる日本の研究というものがどういう結論に到達しておるのであるかというようなこと、一体技術の面に対して徹底的な研究を加え、それを総合的に組み上げてみて、はたして日本のものがアメリカや英国に劣つているかどうかということの結論を所管大臣としておつかみにならなければ、私はそういうことは軽々に大臣の口から言われないと思います。私はそういうことを言つているのですが、所管大臣としての電波行政に対する認識、抱負をどういうように持つておられるか。たとえて申しますならば、防衛に関して電波ということを考えますれば、アメリカや英国は絶対に日本に、自国の防衛の機微に触れるがごとき電波の機密は漏らさない。私はそう確信いたします。そういうものをいくらアメリカや英国に注文したつて日本が入手できるはずはない。電波が防衛に関係がないというなら別であります。しかし、おそらく現在におけるところの防衛の先端というものは電波で、その機密を日本に教えるというべらぼうな国がどこにあるか。日本の電波設備をアメリカや英国からテスト・ケースを持つて来て、それをまねて完備するというイージーな考え方で日本の電波行政をやろうなどという、もし大臣が誤つた考えをお持ちになつておるとすれば、それはとんでもない国家の損失だと思います。その前に日本の技術、日本の科学者はどういう点まで研究して、どういう点までやつて行けるんだ、しかもそれは世界の特許に比較してみて日本独特の発明がどこにあるんだということ、それを助長して行つてこそ、初めて日本日本の力によつて、電波による日本独特の防衛をつくり上げることができる。そういうことを松井委員が言つておられるので、その点がどうも大臣の頭に響いておらない。だから角度がずれた御回答をいただくようになるのでありますが、私はそういうことではないと思うのです。一体電波防衛とか、また私たちの聞いたところによりますと、一切の生産というものは、今日は推計学的に行われておる。あのドイツの生産技術の進歩の根底はどこにあるかというと、これは電波計算機にある。電波計算機は大きいのになりますと、二万個の真空管が入つておる。これで一切の生産技術の根底が推計的に計数の推理によつてやられておる。そんな機微なところは、アメリカやドイツは決して日本には教えないのです。それは自分の生産の基礎なんです。ところが、そういうものは電気通信研究所に参りますと、もう日本の人のアイデアでできておる。それだからそういうものを所管大臣としてごらんになつたかと、私は先ほど質問したのであります。生産の技術の根底をなすところの電波計算機が、すでに日本人のアイデアによつてつくり上げられておる。あれを大きくして行けば、日本の生産技術の根底は、アメリカ、イギリス及びドイツ式の根底と水準が合致するのです。そういうところから検討を加えて結論をつかんで行かれることが、日本をほんとうに立て直す意味であつて、その点を松井委員質問されたのだと思うのです。そういう点に対しては、これは短期国会で時間もありませんから、ここで急速に結論を得るというわけには参らないと思いますが、そういう意味を私は重ねて大臣に申し上げて、はつきりした電波行政の認識と抱負を大臣は持つていただきたいということをお願いしておきたいと思います。
  59. 塚田十一郎

    ○塚田国務大臣 御意見の趣旨は、よくわかつたのでありますが、私も技術当局、事務当局を指導いたしますときには、そのような考え方でやつておるわけであります。ただこまかい技術の詳細な面になりますと、残念ながらとても聞いてもわかりませんし、見ても了解がつきませんので、なるほど機密は外国は教えないということはまさにその通りだと思うのですけれども、しかしそういう情勢のもとにおいても、なお日本の技術者の方々がお考えになつて外国で研究しておるもので、日本から行けば教えてもらえるものがあるというような判断で輸入したいという希望があるならば、なるほどそういうものに対して承認を与える場合もある。私はこういうような考え方で先ほど御答弁申し上げたのですが、おそらく電通公社がイギリスのものを輸入してもらいたいというときには、電通公社がお持ちになつておる技術とそれらのものと比較して学ぶものがあり、それを学ぶことによつて、将来の日本の電信電話の発達に非常に寄与することができる、そのように了解して輸入することはよろしいというように結論を出しておるわけであります。なお御意見の趣旨はよく体して、今後に処して行きたいと思つております。
  60. 原茂

    ○原(茂)委員 ただいま齋藤委員から本国会で一番問題にした戦力というものを中心に、電波ということを強く指摘されたのですが、この戦力の問題は自由党の生命ですから、この電波のことについては重点的にお考えを願いたい。そういう立場から大臣が来られたので、二、三点お伺いしておきたいのですが、先ほどの御答弁の中から考えますと、今日英国ないし米国から輸入して行こうというマイクロウエーブ施設は、これは一つの試みにしろオーダーである。これは一回に限つてあとは国産でやる覚悟である。こういう御答弁であつたように了承してよろしうございますか。
  61. 塚田十一郎

    ○塚田国務大臣 私も公社側からそのように説明を聞いており、私もそのつもりでおります。
  62. 原茂

    ○原(茂)委員 次にお伺いしたいのは、先ほど問題になりました機構改革、行政整理の問題であります。電波監理局を中心にしたうわさを聞きますと、地方電波監理局を地方郵政局に統合するようなおそれがある、そういうことを臨時行政改革本部で考えておるということが伝えられておりますが、大臣はこれをお聞きになつておりますか。
  63. 塚田十一郎

    ○塚田国務大臣 これは新聞などで私も見ております。またものの考え方としてはそういう考え方も出ております。それはなぜ出ておるかと申しますと、今度の改革で地方支分部局を整理統合する場合に、一つの省の出先機関は一本でいいのじやないか、こういう考え方が一つのものの考え方になつておりますので、その考え方を郵政省の場合に適用すると、まさに郵政局と郵政監察局と電波監理局を一本にするという考え方が一応出て来る。しかしこれは最終的には、先ほどからいろいろ問題になつております電波行政の重要性とも考え合せまして、この原則に対してどういう例外的な考え方を入れて最終結論を出すか、これからの問題である、こういうように了解しております。
  64. 原茂

    ○原(茂)委員 これからの問題に対して、できれば大臣の、自分はこう思うといつたような電波行政上の立場からの決意をお伺いしたいわけですが、それが一点。  それからこれは私の一つの想像、憶測も入つておりますが、ある種の確実な筋から聞いた面でもあるわけなのです。電波行政そのものを相当程度形の上で縮小する、縮小したものを縮小しつぱなしにしておかないで、保安庁あるいは警備隊というものの拡大強化された今後の形があるわけなのですが、そこに相当部分の現内容あるいは監督権を与えて行ごうといつたようなことが前提で、単なる地方電波監理局を地方郵政局に統合するというような小さな問題でなくて、もつと大幅な根本的な構想として、今後予想される自衛隊あるいは軍隊ないしこれに類する保安隊、警備隊の拡張された姿の中に、この電波そのものをもつと強力なものにした形で、行政機関の一部ないし大半をこれに随属させて行く、こういうお考えがあるように聞いてもおりますし、想像もされますが、こんなような機構、こんなような構想を大臣は今お持ちになつていないかどうか。この二点をお伺いしたい。
  65. 塚田十一郎

    ○塚田国務大臣 地方の電波監理局をどういうぐあいにするかということは、先ほども申し上げましたように、まだ結論が出ておりませんので、今の段階ではお答え申し上げかねますが、第二のお尋ねの点、保安庁機構などの中にという考え方は、私の今までの考え方には全然ない考え方であります。むしろ私の考え方といたしましては、先ほどもちよつと申し上げましたが、技術面一般を、もう少し機構その他考えるという面において、技術面の一つの重要な部面として電波技術というものを考えておるのでありまして、むしろ郵政省中心にしたそういう大きなものが、まとめて考えられるならばどうだろうかなというような構想で考えておるのであります。ただ別々に、各省、ことに保安庁におきましては、そういういろいろな保安庁の目的のもとから来る電波というものの必要から、別個に持ちたいという考え方があるのではないかしらといううわさは私も聞いておりますが、これは機構改革本部の関知した考え方ではないのであります。
  66. 原茂

    ○原(茂)委員 けつこうです。それだけはつきりお伺いしておけばよいわけですが、なお最後にきようの一番大きな主題でございます正力氏の経営しようとしている事業について、怪文書の飛んでいる問題、これに対して今お聞きしたところ、大臣を除いた当局のお答えは、これも電波法の第四条などからいつて許可申請があつてもしない方針だということでありました。公社側のお考えは非常にはつきりしないところもありましたが、もとより公社中心に今後この種の通信施設を拡充強化して行く考えである、こういうお答えがあつたわけです。大臣もおそらく日本テレビ計画している今うわさのこの問題を御存じだろうと思うのですが、当局公社の今の総合された答え、それをそのまま確認できますか。
  67. 塚田十一郎

    ○塚田国務大臣 私が参ります前にどのような質疑があり、どのように政府委員から御答弁申し上げたかちよつと存じませんが、ただいま原委員から伺つた政府側の答弁として大体想像されます点ですと、そう大きく考え方は違つておらぬと思うのであります。正力さんの問題は世間に非常に問題になつておりますけれども、少くとも郵政大臣としては、正式なものとて扱うようなものになつておらないのだということをはつきり申し上げ、正式なものとしてああいうものを扱うときには、それぞれ必要な書類が整えられて正式に出て来てからで、従つてそれを扱います場合に、郵政省の場合には、この種の問題は電波審議会にお諮りすべき性質のものであります。また事柄が電電公社と非常に関係のあるものでありますから、その出て来た資料に基いて公社側の意見も聞かなくてはならない。ただ非公式に口頭でこういう考え方があるが、賛成できるかというような話があつて、今日までいろいろと世上とりさたされているようなうわさが出て来た、その程度の問題で、ここのところで御論議願う性質のものではないじやないかと思つているので、ただそういうものがかりに具体化した場合に、郵政大臣としてどういう考え方を持つているかということでありますれば、先ほど松井委員も御指摘になり、私もいろいろ検討しますときに、過去にああいう質疑が行われたということ、それに対して政府側の答弁がこうであつたというようなことも、過去の記録をあれしてみな承知をしておるのであります。私はその考え方で行くべきであることは、今もかわつておらない。ただ私が一点考えましたのは、自分郵政大臣としてこういう問題を扱うときに、一方にとらわれた考え方をしてはいかぬじやないか。そこで日本の立場としてこういうものが、なるべく迅速にできることが望ましいという結論にもし到達するようなものであるならば、それがだれの手で持つて来られても、一応今日の日本法律、国の今までの方針にそむかないものであれば、考えてみる必要がある。そこでいろいろ正力さんがお考えになつている計画がどういう性質のものであるかということは、ある程度何べんかお目にかかつて伺つたこともあります。その考え方について公社側に、こういう考え方であるかどうでしようかと言つて聞いてみたこともある。しかしどちらにしてもまだ計画が非常にぼんやりしておりまして、結論の出る段階までは行つおらない。また世上にいろいろアメリカ側の意図がうわさされておりますか、そのようなものであればそういう面について別に検討を加えなければなりません。まあどちらにしてもまだ本気で考える段階のところまでは行つておらない。ことに郵政大臣が電波行政の一種の事務として正式に考えるようにはなつておらぬ問題であるということを、この機会に申し上げておきたいと思います。
  68. 原茂

    ○原(茂)委員 大臣は今前段に、まだ当委員会でこれを審議することは、よけいなことだというようなことをおつしやつたわけですが、そうでなくても当然議会に諮るべきような問題、あるいは諮つている問題でも、既成の事実をつくつてわれわれに押しつけようとする今の政府のあなた方の考え方で、荏苒日を送つてよいような電波問題ではないわけです。もし今日そんななまやさしい電波に対する感覚で大臣をやつておられるとしたならば、重大問題である。特に今これを審議しなければいかぬ、あるいはこれに対して注意を喚起される問題として、アメリカ側には一貫して世界制覇一つの夢がある、そういうことも聞いております。われわれ日本国民の一人として、やはりわが国の一番大きな動脈であり心臓であるこの電波に対して、始終真剣な神経を私どもつておりますから、感覚の相違と言えばそれまでですが、こういうことを今この委員会で審議することは余分であるというような言いぐさはもつてのほかだと思います。今お答えになつた総体の趣旨はけつこうなのですけれども、前段がはなはだしく不当であるので、これは警告を発しておきます。  なお大臣を抜かした当局に最後にお伺いしておきたいのは、現在マイクロウエーブ施設し、あるいは計画し、ないしは認可されているもの——公社はもちろんわかつておりますが、あと東北電力ないし鉄道にもこういうものがあると思うのですが、これが施設されているもの、計画されているもの、許可を与えているもの、申請されているものにどの程度のものがあるか、その概略だけお伺いして終りたいと思います。
  69. 西崎太郎

    ○西崎説明員 本日詳細なる資料を持つておりませんので、大体覚えておる範囲でお答えいたしたいと思います。公社施設及び計画につきましては、先ほど公社の方から御説明がありました通りでありますが、そのほかといたしましては、先ほど原委員も御指摘になりましたように電力関係で、御承知のように従来は送電線に沿つた保安電話というものを有線でやつておつたわけであります。それを電力需給関係で非常に通信を増強する必要があるといつたような関係で、これをマイクロウエーブの方に逐次切りかえて行きたいというわけで、その手初めに完成いたしておりますのが、御指摘の東北電力であります。ただそのほかの電力会社におきましても、その結果が非常に好調でありますので、これにならつて行こうということで、計画は持つておるようでございます。ただまだわれわれの方に願書として正式に出ておりますものは、東北電力以外はございません。それから次は国鉄でございますが、現在マイクロウエーブでそう長いものはございませんが、たとえば青函海峡、すなわち函館と青森の間、これにマイクロウエーブ施設を持つております。それからそのほかごく短区間のものを二、三持つております。これは海峡を除きましては、ほとんどすべて国鉄自体の有線の補助でございます。それからそのほか計画として聞いておりますものは、保安庁の方で来年度あたりからやりたいという計画を持つておることを聞いております。それからちよつと申し落しましたが、これは先ほどもお話がありましたように、NHKが現在東京大阪の間、マイクロウエーブテレビ中継をやつております。以上でございます。
  70. 齋藤憲三

    齋藤委員 大臣にお尋ねをしておきたいのですが、この間NHKでベース・アツプの問題が論議されておつたのですが、私の考えからいたしますと、ラジオというものは、ある意味において、受信機というものがマキシマムに来ておるのではないか。今の聴取者の数というものは、これで大体限界に来ておるのではないか。そうしますとNHKの聴取料というものも、これまたマキシマムに来ておる。そういう点から考えますと、ああいうふうなベース・アツプの問題なんかが強く主張されるとか、あるいは今のNHKがやつておりますテレビジヨンというものは、一月間に二千数百万円の赤字が出ておる、こういうふうに考えますと、NHKそのものが公共企業体でありながら、非常な脆弱性を暴露して来ているのじやないか、これに対して郵政大臣はどういうふうなお考えを持つておられるか、ひとつ承りたいと思います。
  71. 塚田十一郎

    ○塚田国務大臣 この点は私もまだNHKの当局から、正式な話を受けたことはないのでありますけれども、非公式にしばしば話を聞き、つい昨日でしたか、NHKの祝賀のパーテイに行きましたときも、古垣会長とお目にかかり、談たまたまそのこと及んだのでありますが、ざつと開きましての感じでは、御指摘のように今のNHKがそういう意味において、経済面から本来NHKとしての機能を果す上にかなり支障になる程度まで、経営が困難になつて来ておるのじやないかというように感じられましたので、料金の値上げその他について、ひとつ私の方も考えてみるから、NHK側においても正式に何か考えがあるならば、考えをまとめて出していただきたいということを申し伝えて参つたようなわけであります。
  72. 齋藤憲三

    齋藤委員 聴取料の値上げということになりますと、これはまた相当大きな対社会的な影響が巻き起ると思うのであります。当該委員の一員といたしまして、私もそういう点に対しても自分ながらも研究して行きたいと思つております。それは最もイージーな考え方で、聴取料を値上げしてそれによつてNHKの経営状態を好転さして行く。それとはまた一つ別に、ラジオの聴取率をふやすという建前から考えますと、今度は個々への携帯のラジオにその方向を転換して、これに対する聴取料を求めるということの考え方で行かなければ、ラジオというものをそれ自体の発展性というものは私はないのじやないかと考えるのですが、郵政大臣はどうお考えになつておるか。
  73. 塚田十一郎

    ○塚田国務大臣 結局齋藤委員のお尋ねは、家庭単位の行き方ではもう伸びる限度に来ておる。たから家庭単位を個々の人間単位に切りかえて、その面でまだ聴取者数がふやせる案がないかということなんで、あるいはそういうことも十分検討してみる必要があるかと思います。
  74. 齋藤憲三

    齋藤委員 そういう点です。私のいわゆる電波行政と電波機器の生産面というものが、郵政、通産に分断せられるということが非常にマイナスだと申しますのは——もう世界的にラジオというものは、家庭に備えつけておくラジオと、それから個々人か携帯をして、それによつてすべての用便を達するという文化的な使用面とは、はつきりと世界の水準において現われて来ておる。ことにアメリカ軍隊かく今日使用しておるところの携帯ラジオというものは、すでに御承知でございましようが、発表されておるところによりますと、長さが二インチ、幅が一インチ二分、厚さが〇・七インチのポリスチロールの箱の中に入れて、すでに腕輪になつて、それが四十マイル聞えておる。そうしますと、もうラジオが限界点に達しておるという今日、これを個個人の聴取単位に切りかえて行くということは、ラジオそのもののすべての業態に対して、これは一つの革命的な需要をもたらすということになる。そういうところが一つの実質的な電波行政の大きな部面として取上げられてしかるべきものだと考えておる。そうしますと、それに必要な原材料及びその最も中核をなすところの機器、軽金属、そういうものが郵政省そのものの意向によつて、あるいは資源開発も行われ、施設の研究もやる、製作もやる、いろいろ生産命令も加えられ、研究命令も加えられるというところに、初めて電波行政というものが一体完成をなすものであつて、今日のごとく電波行政は郵政省にあるけれども、電波機器の生産というものは一切通産省に押えられておる。その実態を検討してみますると、電波行政の観念は進んでおるかもしれませんけれども電波機器の製造そのものが時代遅れになつておる。これで一体どうしてわれわれが希望するところの防衛、あるいは文化、あるいは経済の生産面にタツチするところの電波行政というものができるかと、私はそういうように感じておるのでありますが、郵政大臣はいろいろな要職を内閣に帯びておられるのですから、行政機構改革のときにひとつ思い切つてこの電波一切を一つの部門にまとめて、ここに電波庁であるかあるいは電波省であるか知らぬけれども、そういうところに大きな拡充的な整備せられたるところの国家的力を持たせるように、行政機構の改革をなさる御意図があるかどうか、承りたいと思います。
  75. 塚田十一郎

    ○塚田国務大臣 今度の機構改革におきましては、共管事務をなるべく整理して、どこか一番適当なところにまとめるという考え方が一つあるのでありますが、具体的に今御指摘の問題をどうするかという点は、まだ検討いたしておりませんが、御意見の趣旨を体して今後大いに検討いたしたいと思います。
  76. 成田知巳

    成田委員長 甲斐政治君。
  77. 甲斐政治

    ○甲斐委員 先国会におきまして、電波あるいは電波行政の重要性について、大臣は他のたくさんの重要な兼務をなさつておることであるから、郵政大臣に専念せられるという御意思がないか、確かめたような次第でございますが、今回電波行政並びに今回とられんとする行政改革の関係は、先ほど来委員からたくさん意見もあり、質問もあつたわけですが、行革の副本部長をしておられるだけに、お答えにくいところもあるかと同情いたします。しかしこの問題は、自分の担当しておる云云ということでなくて、国政全般として特に御留意を願つておきたいと思つております。ほかにマイクロウエーブその他の問題がございますけれども、まず第一に、今の電波行政の拡充に関しまして、希望なりあるいは質問なりいたしておきます。  今回の行政改革というものがどういう趣旨で行われんとするか、大体想像はつきますが、私らの解するところでは、行政改革なるものは、不急不要の機関を整理する、これもけつこうであります。冗費、冗員を擁しているところを削減する、もとよりけつこうだと思うのであります。しかしかくのごとく重要な電波行政に関しては、この際むしろ積極的にこれを拡充強化するという方に向われるのも、また行政改革の本旨ではないかと考えております。この点についていかがお考えであるか承つておきたいと存じます。  それから先ほどから質問がございましたからなるべく重複を避けまして、また若干まとめて、御質問いたしたいと思うのでありますが、第一には、今日われわれの国は資源がはなはだ貧弱であつて、その版図もきわめて小さく局限せられてしまつている。それからまた海洋の世界を考えてみましても一次第にこれが縮小されんかの傾向にあるわけであります。この際において、われわれとしまして開拓に格段の力を注がなければならないのは空の世界である、なかんづく電波の世界であると考えるのであります。ことに近来無線技術の驚異的な進歩からいたしまして、電波の利用はまさに驚くべき広汎にしてかつ高度なものになつて来ております。一例を申し上げますと、わが国においても、無線局は昭和二十三年には三千であつたが、今日はすでに一万に達しておりまして、これは英米に次いで世界の第三位を占めておるというような発展を来しておりますし、また今後においてこの研究なりあるいは技術の発展がどこまで行くかということは、予断を許さないような大きい将来を持つておる世界であると考えております。またわれわれとしてはあくまで国として、発展させなければならぬということになつていると思うのであります。国内的にもさようでございますが、さらに国際的関係を考えてみましても、混信であるとか、あるいは妨害の電波であるとかいうようなものに対する調整のためにも、相当力を注がなければならぬということにもなつておりますし、また周波数の獲得においても、極力今後力を尽さなければならない。あげて来ればいろいろたくさんございますので、逐次お尋ねいたしますが、こういうような趨勢に対して、現在の電波行政機構をもつて対処し得るかいないか。いかに考えておられますか。むしろこういう趨勢に対しては、電波行政はこの際思い切つて拡充強化すべきであるというように私は解しておりますが、この点についてまず御意見を承つておきたいと思います。
  78. 塚田十一郎

    ○塚田国務大臣 第一点のお尋ねの電波行政というものは、これは先ほどもお答え申し上げましたように、電波技術を含めての科学技術全般について、行政面から相当積極的な手を打たなければならぬのじやないかというう考え方を持つているわけであります。従つてその考え方から、今の陣容そのもの、機構子のものが、はたして適当であるかどうかということを考えますときには、御指摘のように、これで十分であるという結論は、おそらくそう早急には出ないのじやないかと思つているのであります。しかしそうは考えながらも、一方行政機構改革という面から、わずかの人で最高度に能率を上げる方法があるならば、それも一緒に考えるべきであるという考え方でおるわけであります。
  79. 甲斐政治

    ○甲斐委員 順次具体的にお尋ねいたしますが、この電波関係の予算定員を調べてみますと、昭和二十四年においては三千八百二名、二十五年は三千九百七十七名、二十六年は三千二百十名、二十七年は三千五十九名、二十八年、これは六月末の調査でございますが三千四十六名、すなわち昭和二十五年をピークにして、その後予算定員においても漸次削減せられ、減少して参つております。こういう事態は、はたしてこの電波の重要さあるいは電波界の趨勢に照して、適当なる定員であるかどうか、伺つておきたいと思います。
  80. 塚田十一郎

    ○塚田国務大臣 それは過去の定員、それから現在の定員、それらを総合判断をして、今の状態が適切であるかどうかということになりますと、これは具体的に個々に調べてみないとわかりません。昔から減つているから下足であるとも言われませんし、また将来のこの面の重要性というものを考えれば、そういう面からあるいは不足しているかもしれません。そういうようないろいろな事情を総合判断して、定員その他についても今度は検討して結論を出したい、こういうふうに考えております。
  81. 甲斐政治

    ○甲斐委員 私どもは先般来国政調査で各地をまわりまして、つぶさに地方の状況を調査して参つたのでありますが、仕事量は猛烈に増大して来ている、しかるに定員は次第に削減されんとしており、また今回の行政改革からさらに縮小されんとしているというような苦情を訴えられること、しばしばであつたのであります。こういう点に関しても、まさに電波行政が逆転しつつあると言わざるを得ないと私は思う。それから次に、ある意味から申しますと、無限の文化財であるこの電波は、周波数においても国際的にも国内的にもおのずから制限がありますから、その公平にしてかつ能率的なる周波数利用が絶対必要であります。そのためには、わが国の今日の技術がはたして十分であるかどうか、この技術のさらに高度の研究あるいはその他の調査というようなことが、絶対的要請であろうと考えるのでありますが、今日の研究あるいは調査機関をもつてして十分であるとお考えになつておるかどうか、承りたいと思います。
  82. 塚田十一郎

    ○塚田国務大臣 技術の研究及び調査の面について、何らか措置をしなければならないのではないかということは、これは先ほどから繰返して申し上げておりますように、科学技術全般についてあるのではないかと考えております。従つて私は、むしろこの場合には科学技術全般の相当な拡充も考えなければならないのではないかという感じでおるわけでありますが、そういう考え方を基本にして電波技術そのものについても考慮したい、こういうように考えておるわけであります。
  83. 甲斐政治

    ○甲斐委員 その調査あるいは研究機関の拡充をお考えになつているということを聞いて、心強く私もはつきり銘記いたしておきます。次に、ラジオあるいはテレビのブロードキヤステイングとしての職務、その普及とか向上とかいうことは、低廉にして優秀な受信機、受像機にまつところきわめて大きいと思いますが、これらに対してさらに振興策をお持ちになつておるか、さらにこうしたものは海外貿易の面においても、将来はわれわれとして多大の期待を置き、力を努めなければならない分野であると考えますが、これらに対する政府の振興奨励策、あるいはこれと関連する電波行政機概をどうお考えになつておりますか。
  84. 塚田十一郎

    ○塚田国務大臣 指導の方針としては、御指摘のようにやらなければならないと存じておるわけでありますが、なお具体的な方法については、何らか実施しておるものがあれば政府委員からお答え申し上げます。
  85. 甲斐政治

    ○甲斐委員 こうした重大な問題について、今日なお具体的な施策が考えられていないということは、きわめて遺憾なことでありますが、政府におかれても全然ないとは思いませんので、極力振興策を講ぜられるようにしていただきたいと思います。同時にこれに伴う行政機構の問題も、関連して考えていただかなければならぬと思います。次に、私は電波界における人材の養成ということが必要であろうと思います。各研究機関等においてもそうした人材が養われるのでありますけれども、ただそれのみに局限せず、もう少し広い意味において電波界に人材を保有し、かつこれを育成するということに意を用いられなければならないと考えるのでありますが、これに関していかような計画をお持ちになつておるか、承りたいと思います。特にまたこの問題は行政機構の縮小とも関連いたします。電波行政の重要さを政府において認められ、行政機構を大いに拡充強化するということになるならば、おのずから人材がここに集まつて来るわけでございます。さらにまた国際的にこの電波の周波数の割当その他いろいろの折衝がありますが、これの適任者を得るという意味からいつても、この際行政機構を縮小すべきではなくして、むしろ喜んでみなが集まつて来るような機構に、強化拡大すべきであるということを考える次第であります。それからさらにまたこの人材の点に関しましては、わが国の人材を養成するのみならず、将来わが国が電波機器等を輸出する面その他から考えまして、アジア各国の人材ということも考えてしかるべきではないか。と申しますのは、東南アジア等におきましてでも電波の領域を大いに拡充したいという要望があり、またその地帯の人々の間に日本でこの教育を受けたいという熱望が、相当熾烈であるということを聞いております。こういうことに対しましても、わが国にたとえば電波技術大学とでもいうようなものをつくつて、そうした各地からの人材を教育することが、将来わが国の電波界進出に非常な役割を果すのではないか、こう考えるわけでありますが、こういう点についてはすでに計画がおありになるかもしれません、あるいはなければこれに対する抱負を承つておきたいと思います。
  86. 塚田十一郎

    ○塚田国務大臣 まことにごもつともなお尋ねでありますが、どうも現にこれといつて政府がやつておりますと言つて、お答えできる程度のものはないようであります。しかし自分の抱負といたしましては、先ほども申し上げましたように、科学技術を絶対に振興しなければならない、従つてそれに必要な施設は整備拡充しなければならない、そういう段階におきましてただいまの研究機関、ことに研修機関におきましては日本人だけじやなしに、アジア各国の人間も、希望があるならば養成するというような機構はぜひ考えて行きたい、こういうように考えております。
  87. 甲斐政治

    ○甲斐委員 わが千国の将来の貿易面その他から考えましても、電波行政の機構の拡充あるいは電波技術の振興奨励、製造面における努力ということが必要でございますが、ただそうした物的な方面だけでなくて人材を考える、そうしてこのことによつてわが国の電波技術の向上をはかるとともに海外に対する進出、貿易面でこれを導き出させるような考慮を、私としては特にお願いしたいと考えておる次第であります。結論といたしましては、こういうぐあいに電波行政機構を考えて参りますと、この際これを縮小するということではなくして、この際はあくまでこれを拡充強化するという線に向つて努力していただきたいと、特に切望してやまない次第であります。  それからマイクロウエーブについて先ほどから大分質問もございましたが、事務当局から、電波法の第四条による規定あるいは政令等によつて、このマイクロウエーブ通信事業は、一般営利企業としては許されないという説明をいただいたのでありますが、繰返してお尋ねするようでありますけれども、政府のこれに対するはつきりした考え方を承りたい。この法律等にも明らかなごとく、政府機関あるいは公益事業がやるべきものだということになつておりますし、また今日の電波界の実情、あるいはわが国の置かれておる国際関係の点から申しましても、あくまでこれは政府が、あるいは公共企業体が担当すべきものだ、かように考えますが、これに対してはつきりした大臣のお考えを承りたい。
  88. 塚田十一郎

    ○塚田国務大臣 その点は法律にもはつきり明示してあります点であり、私もまさにその通りであると考えております。電波行政、電波技術、こういう機関の運営というものは、絶対に民間には許してはならない、こういうように了解いたしております。
  89. 甲斐政治

    ○甲斐委員 さらにこの問題に関して、外資導入云々ということがいわれておりますが、これは先ほどから質問があつた通り、この外資導入条件いかんによつては、わが国の中枢神経が他国の意思によつて動かされるというような憂いがはなはだ大きいのでありますが、この点については、先ほど大臣の御答弁のように、そういうおそれなしと了解いたしたいのでありますか、いかがでございますか。
  90. 塚田十一郎

    ○塚田国務大臣 私もそういうおそれがある場合には、それもまた絶対に許可すべき性質のものではない、また計画によつてはそういうおそれのあるものもあるかもわかりませんから、かりに許可する場合がありましても、そういう面の検討も十分遂げて、そういうおそれの絶対ないという見通しのつくことでなければ、外資がそういう形において入つて来るということも許可すべきでないと考えております。
  91. 甲斐政治

    ○甲斐委員 巷間には民間の計画外資導入をする、これに対して政府において保証を与えるというような段階にまで来ておるというようなことも伝わつておりますが、かような事実は絶対ないということですか。
  92. 塚田十一郎

    ○塚田国務大臣 甲斐委員のお尋ねの点は、今のマイクロウエーブ計画についてそういうことがあるかどうかというお尋ねであつたと思いますが、そうであれば先ほどもお答え申し上げましたように、現実の具体的な問題としては、私が所管の郵政大臣として考える段階にも全然来ておらぬという状態でありますので、そういう御懸念は毛頭ないと御了解いただきたいと思います。
  93. 甲斐政治

    ○甲斐委員 はなはだ繰返してくどいようですが、現在はそういう段階にないけれども、やがて既成事実をつくつてつて来られた際に、国会はもちろんこれに対して厳正なる態度をとつて審議をいたしますが、大臣におかれても、わが国の自主独立を失うごとき外資導入については、反対であるということをはつきりと確認いたします。よろしゆうございますか。
  94. 塚田十一郎

    ○塚田国務大臣 その通りであります。
  95. 齋藤憲三

    齋藤委員 先ほど甲斐委員の御質問に対して重大な点の御答弁がなかつたのでありますが、これは決して悪意で御質問申し上げるのではありません。甲斐委員の前国会における質問にこういうのがあるのであります。「これではこの電通委員会が下足預り所ではないが、名札預かり所に変化してしまつておるようであります。これは国会側の責任でもあるのですが、同時に各政党、特に大臣も政党の幹部でいらつしやるが、こういうふうな時期に何らかのお考えがあることだと思います。」ずつと電通委員に対する大臣の考え方の追究があるのでありますが、先ほども甲斐委員から、大臣郵政大臣に専念せられるお考えがあるかどうか。兼職をやめて、そうして郵政大臣に専念をせられるお考えがあるかどうかという御質問があつたのでありますが、それに対しては大臣は御答弁がないのであります。私は委員長を通じて常にこの点を追究いたしておるのであります。大臣が出て来ないで委員会なんてものはつまらぬから、だれも出ないということになるじやないですか、それでありますから、私はこの際大臣にこの際議事進行に関してお伺いしておきたいのでありますが、今回は救農国会ですからよろしゆうございますが、今度からは、もし電通委員会を大臣みずから軽視せられるようなことがあつたならば、まつ先に各党連絡の上、不信任案を提出するというようなことまでわれわれは考えるが、この電通委員会というものの権威を大臣みずから高めていただきたい、こういう意味におきまして忙しいから出られないのだというなら、大臣はやめてもらうよりしようがない。そんな大臣はわれわれは要求しない。いやしくも国家の建前から、防衛その他一切電波国防論をもつて任じておるところの電通委員であつたならば、忙しいから電通委員会に出られないという、そんな所管大臣をてんから否認するのはあたりまえなんです。ですからこの点に対して先ほどの甲斐委員の御質問、つまりほかとの兼職をやめて、郵政大臣に専念せられるお考えがあるかどうか、もし兼職をどうしてもやめるわけにはいかぬということになつたら、電通委員会が開かれる場合は、大臣がその日の時間を差繰つて、午前八時から十時まで出席できるということであつたら、委員長を通じて必ず午前八時から開会する。これは大臣が出席するということでそういう時間を持つたのだということで、そうしてそれに出席して来ないような委員だつたら、各政党においてどんどんそういう者はやめてもらう。どうしても言うこと聞かないなら、懲罰に付するというところまでやつて、ひとつ委員会の権威を高めていただきたい。そういう点に対して、甲斐委員質問を通じて、最後に大臣の電波に対するところの責任、電通委員会に対する所信、そういうものをひとつ承つておきたい。これは悪意で言うのではありませんよ。
  96. 塚田十一郎

    ○塚田国務大臣 これは一般的なものの考え方としては、当然何か一つの仕事に専念できるということが望ましいことであり、自分もその考え方に少しも異存はないのでありますが、何にいたしましても御指摘のような問題は、私の一存で行かない、内閣全体の方針でこのようになつておりますので、非常に皆様方に御迷惑をかけて恐縮に存じておるのであります。しかし今いろいろな委員会になかなか十分御希望のように出席できませんのは、兼務がありますのと、大体同じ時間に一緒に始まりますのでうまく行かないのでありまして、齋藤委員からお話のありましたように、当委員会大臣が出て来るなら八時から開くということでありますれば、私は何を差繰つても必ず出て参りまして、御期待に沿うように努力いたします。
  97. 成田知巳

    成田委員長 最後に委員長から伺いますが、いわゆる正力構想によるマイクロウエーブ外資導入の問題ですが、郵政大臣は、まだ大臣として正式に取上げる段階でないと言われるのですが、それは正式に許可申請がないという意味じやないかと思います。しかしこういう重大な問題ですから、先ほど原君の質問しました中にも、当然大臣には政治的にも御検討願わなければならぬのではないかと思いますが、それは別といたしまして、これは甲斐委員も御指摘になりましたが、事務当局の御答弁によりますと、電波法第四条第二項の関係からいつても、現在いわゆる正力構想に上つておるもの、たとえば施設提供をやりまして、電電公社市外電話回線をふやすというやり方は、電波法の建前からいつて許可できない、こうい、御答弁がありましたが、今世上伝えられておるような正力構想は絶対に許可できないものである、こう了承していいかどうか、もう一度明確にしていただきたい。
  98. 塚田十一郎

    ○塚田国務大臣 原委員に対するお答えで御警告を受けたのでありますが、あるいは言葉が足りなかつたのかもしれません。一般的な問題としてこのような問題を当委員会においてこの時期に御審議いただくことに対しては、ちつとも異存はないのでありまして、大いに議論をしていただき、また政府側の考え方もお聞き願いたいと思います。ただ具体的な問題としてはそういう段階にはない、こういうふうに申し上げましたのが、若干言葉が足りないで誤解を生じたかと思いますので、この機会に訂正をいたしたいと思います。  それから電波法第四条との関係でありますが、これはいろいろ私も検討いたしたのであります。あるいは私のものの考え方が間違つておるかとも思うのですけれども、私があの電波法四条を読んでいろいろ解釈してみたのでは、こういう場合だけは一応考える余地があるのではないかと実は考えておるのであります。その点はあるいは事務当局の考え方と少しずれておるかもしれません。それは施設をつくつて、あるいは民間人であつても、それを何ら条件なしに全般的に公社がこれを借り上げてしまつて公社が独自の判断でもつて、何らの制肘を受けずに運営をして行く、それに対して適正な使用料だけは払うという考え方であるならば、必ずしもあの四条の規定にはずれるということまでには行かないのじやないかと、実は私としては考えておるわけであります。それはマイクロの施設というようなものになりますと、そういう場合に非常にはつきりと懸念が出て来るのでありますが、その他の、たとえば電信電話局に必要な建物というような場合ですと、そういうものを民間でつくつて貸してくれるという者があれば、一部分借りてもいいのではないかというようなこと、そういうことと関連して考えますと、その点は絶対にそういうこともできないのだというほどには、その条項の解釈としては行けないのじやないかという点の疑念を実は持つております。あるいは最初に申し上げましたように、私のものの考え方、解釈が間違つておるかもしれません。私としてもその通りだと考えて、自分はその方針で進めて行くのだというほどの確信を持つておるのではないのであります。従つてああいう問題が起つて来れば、いま一応それは考えてみなければならぬと考えておりますのは、そういう解釈から実は出ております。しかしこの場合にも、ああいうものの運営を公社以外のものができるという考え方においてやるのであれば、これは絶対に四条に違反する、こういうふうに思つております。ただ施設をつくるというだけのことであるならば、もう一度検討してみる必要があるのではないか。その点は法制局側にも事務当局を通して意見を聞かせたのでありますが、法制局側も、事務当局の考え方は自分らと同じ考え方だと言うておりましたけれども、法制局側の意見として事務当局が持つて来た考え方も、最終的にはどうもまだ私も了解しておらぬのであります。以上ありのままの考え方を申し上げ、なお皆さん方の御意見も伺つて、私の考え方が間違つていれば訂正したい、こういうように考えておるわけであります。
  99. 成田知巳

    成田委員長 いろいろ御説明がありましたが、今の御説明によりますと、先ほどの甲斐委員に対する答弁と相当の食い違いができたわけです。甲斐委員質問に対しては、現行電波法関係においては絶対に許可できない、こう言われたのです。ところが今私が質問いたしますと、何か解釈のゆとりがあるような御答弁なんです。施設だけを提供することならば、第四条に触れないのではないかという御説明なんですが、第四条には、御承知のように公衆通信業務というものが定義されまして、「政令で定めるもの以外のもの」云々とあり、その政令政令第一七八号で出ておりまして、第一条の第二号に「相互に通信をすることができる二以上の無線設備を設置してこれらを他人通信の用に供する業務」、こういうようになつておるわけなんです。単なる施設を提供するというわけではないと思うのです。現在伝えられておる正力構想というものは、この第一条の二号にまつこうから衝突するのです。そのゆえに事務当局の方でも法律上絶対に許せない、こう言つておるのではないかと思う。さらにもう一つ許される場合は「政令で定める場合は、この限りでない。」というのですが、その政令にも出ていない。こういう意味で、現行法上は絶対に正力構想の考え方は受入れられない、こういう御答弁だつたのです。私ももつともだと思いますが、今大臣の御説明を聞くと、何かゆとりがあるように見える。ただ単に国に設備を提供するというような問題ではなしに、第一条第二号に「相互に通信をすることができる二以上の無線設備を設置してこれらを他人通信の用に供する業務」となつておりますが、これにまつこうから触れるので、現行法上は解釈の余地がないのじやないか、こう考えるのですが、いかがですか。
  100. 塚田十一郎

    ○塚田国務大臣 その点は私もずいぶん検討してみたのでありますけれども、私がその点を検討しました結果、そこの条項の規定しておりますのは、やはり今公社がやつてつて、たとえば民間にその一部分を専用線で使わせる、こういう部面のことをやつてはならないと言つておるのであつて、設備をつくつてしまつて、その設備をそのままやつて、それに電気を通じて動くようにするという段階は公部公社がやるということであれば、そこまでは禁止している考え方ではないのじやないかというのが、私が疑問としておる点であります。たださつきも繰返して申し上げますように、そういう考え方で若干疑問を持つておるというだけで、私の考え方が絶対に正しいと主張しておるわけではないのでありまして、むしろ皆さん方の御意見を十分伺つて、結論を出したいと考えております。
  101. 成田知巳

    成田委員長 設備をつくりまして公社に提供し、公社が操作する場合は該当しないのではないかというような御説明ですが、二号の正面解釈におきまして、「相互に通信をすることができる二以上の無線設備を設置してこれらを他人通信の用に供する業務」この「他人」の中には、当然公社も入ると思う。正力社長を中心として考えた場合には、公社他人になるから、やはり他人通信の用に供する業務、これは公衆通信業務となつて開設できない。こういう解釈になるのは当然だと思うのですが、この点は疑問を持つていらつしやるというので、これ以上追究いたしませんが、ただ結論といたしまして、日本電信電話公社以外のものには今のところ許せない、こういう御答弁がございましたが、その通り解釈していいのですか。
  102. 塚田十一郎

    ○塚田国務大臣 その点は、私の解釈をもつてしましても絶対に許せない。こういうふうに理解しております。
  103. 成田知巳

    成田委員長 それで現行法上はできないということは、大体の解釈だと思つてさしつかえないのですが、甲斐委員質問に対しましては、外資導入の問題で、日本通信網外国資本に押えられるというようなことがあるのではないか、こういう質問に対して、そういうことがあればもちろん許可しないつもりだ。そういうおそれがなければ、たとえば日本の立場を考えて、現行法律に違反しなければ許可することもあり得る、こういうように言われておる。現行法上はできないと言つておられながら、外資導入の問題になりますと、日本の立場に有利な、外国資本から制約されることがないならば許可する、こういうことになりまして、前後矛盾するようになりますが、その点はいかがですか。
  104. 塚田十一郎

    ○塚田国務大臣 その点は言葉が足らなかつたかと存じますが、それは結局、たとえば公社外資でもつて輸入をしたいという計画がある場合には、それは許されるという前提においてものを考えておりますので、結局日本法律の許される範囲において問題が考えられるときには、ということに御理解を願いたいと思います。
  105. 成田知巳

    成田委員長 公社外資導入云々のお話がありましたが、先ほど靱説明員のお話がありまして、いわゆるモデル・セツトを取入れたいというのが考え方で、そのために外貨の割当もいろいろ政府と交渉しているが、今のところ見通しがつかない。もし外貨導入ということでゆとりがあれば、それもやつてみたい、こういう御答弁があつたと思います。どれだけの外貨がいるかわかりませんが、こういう国内通信施設については日本電信電話公社に一手にやらす、こういう法律の建前がある以上、やはりその設備の改良拡張のために外貨の割当が必要だということになりますと、郵政大臣としてはそれこそ電波管理行政の見地からいつて、外貨の割当を積極的におとりはからいになつて日本電電公社でそういうモデル・セツトを購入することができるように、働きかけていただくのが当然じやないかと思います。特に予算委員会その他で問題になつておりますように、約九億くらいの外貨があるわけです。その七億ドルばかりをアメリカの銀行に預託されているという話ですが、そういう外貨もすでにあるわけですから、大した金もいらないと思いますし、郵政大臣としてはやはり電電公社にやらすのだということで、外資導入を考える前に、この外貨の割当で事がスムースに運ぶようなおとりはからいを願いたいと思いますが、いかがでしようか。
  106. 塚田十一郎

    ○塚田国務大臣 その点に対してはまつたく委員長と同じ考え方であります。一体正力さんの問題が起きましたときにも、日本法律の建前、それから今までのあり方からしても、公社がこれができる、しかも迅速にできるというならば、一番けつこうな方法なんですよと公社側にも申し上げ、また公社側が外資を入れたい、また外資が入らない場合でも、国内資金だけでも十分だから、外貨の割当を得てそれをやりたいという御希望を承つておりますので、そういう場合に私も通産大臣等にお願いをして割当をやる。ただ割当を得るよりも、外資公社の手に入るならば問題は一層簡単に行くからして、それも一つの方法だろうというので、現在公社総裁が外遊のついでにそういう面の検討もしておりますし、私もそういう検討をしておるわけであります。
  107. 甲斐政治

    ○甲斐委員 電波法規定はきわめて明瞭な、割切つた規定であるとわれわれは解釈しておるのでありますが、大臣はこれに対して若干ゆとりを持つて解釈したいとか、疑問を持つておると言われる、すなわち施設を他のものが一切無条件で公共企業体に譲るならば、それでよろしいのじやないかというようなことをお考えになつている。さような無理な解釈をあえてしなければならないということには、何らかの意味があるのであろうかどうかということを私どもは憂えるものであります。これは外資導入の名によつてわれわれの中枢神経が他に握られ、われわれの国が他人の神経においてものを感ずる、あるいはそれによつて行動しなければならないというような、国のいわば存立安危に関する重大な問題だと考えております。なおまたアメリカにおける軍事予算を見ますと、電波機器関係が最も大きかつたと記憶しております。さようなアメリカ世界政策の一環として、日本マイクロウエーブを握ろうとする意図があるのではないかということが、巷間に憂えられておるのであつて、それがたまたま正力テレビと結びついてここに問題になつておるわけでありますから、大臣のさようなゆとりある解釈ということは、法律論としても私はとるべきでないと考えておりますし、また政治論といたしましても、さような御態度をとられることははなはだ遺憾ではないかと考えるわけであります。いかがでございましようか。
  108. 塚田十一郎

    ○塚田国務大臣 これは全然そういう考え方ではないのでありまして、たまたま今問題になつておる問題が外資が裏にあり、その裏にいろいろとりざたされているのがほんとうだとすれば、国防省というものがあるということになつておるから、御懸念のような質問が出て来ると思うのであります。私は電波法第四条の解釈はそれと切り離して考える。かりに外資が裏になくても、国内の資本でだれかがこういうものをつくつて公社ができないから貸してやる。こういう実例は先ほど申しましたように、建物の場合にはしばしば具体的にも問題になる。そういうことを頭に置いて、電波法第四条をどう解釈すべきかというときには、やはりフリーに考えるべきであるというのが私の考え方であります。ですから、問題を特定の問題と結び合せて四条を解釈しておるわけではなくて、私は行政府の電波行政を扱う主管の長官といたしまして、与えられた法律のわく内でものを考える場合に、やはりその法律を正しく解釈して、その正しい解釈に従つて動くのがほんとうである。自分がこの条項を読むと、どうも建物をほんとうにただ建築学的な意味につくる、もしくはそれにマイクロウエーブ施設をつくるということと、それを運営できるようにして人に貸すということと、段階があるのじやないかと思つてつたのです。それで私はこの電波法第四条の今問題になつておる規定は、そこのいよいよ使えるようにしておいて、さてそれで貸してやる、こういうところは禁止しておるのだが、ただその施設をつくるところまでは、禁止しておるのではないのじやなかろうかという疑念を持つておつた。そこでさつき申し上げたこの条項が規定しているのは、むしろ今の公社が民間に専用線を貸しておられるというようなことが、最も適切な事例に当てはまるのではないか、そういうことを考えてこの条項ができているのではないかと、私どもが考えておるのだということを申し上げたわけであります。その点誤解のないように願いたいと思います。
  109. 甲斐政治

    ○甲斐委員 大臣のお考えも了解できますが、およそ法律だとか法規というものは、ただ抽象的にこれを論ずるのでは始まらないのであつて、現実の事態と結びつけて、初めて法律が問題になると思うのであります。しかるに、今日民間におけるマイクロウエーブ計画がある。これと関連してこの問題をわれわれ重大だと解するわけであります。従つて大臣は、ただ法律論をおやりになるのはさしつかえございませんが、この行政庁長官としての大臣としては、あくまで現実の事態と結びつけてお考えなさるべきであろうと考えるわけであります。また事実問題といたしましても、操作設備をつくつて条件にただ公社に貸与するというような、かようなばかげたことが現実に行われるでしようか。なるほど現在の民間の計画は、テレビと結びついておりますが、テレビを自家用として、このテレビマイクロウエーブ中継装置を使うといたしましても、それでは絶対に採算がとれない。だとすれば、貸与することによつて莫大な使用料を要求せられるにきまつておる。そういう点もお考えになつておるのかどうか。こんなむだなことをせずに、あくまで法律の建前通り、また条理の命ずるところにより、またわが国の当然とるべき態度として、これは政府あるいは公共企業体がやるべきものだということを、はつきり言明せられることが必要ではないか。もしこれがアメリカ世界政策、軍事計画の一環として、既成事実をつくつてわれわれに押しつけられるようなことになりますと、まことにゆゆしき問題であると考えますので、大臣の特にこの法律に対する解釈なり、あるいはこの問題に関するお考えなりを、明瞭にしていただきたいと考えるわけであります。
  110. 塚田十一郎

    ○塚田国務大臣 甲斐委員の御意見を伺つておると、私が何か問題をある方向に解決しようという見当をつけて、法律を解釈しておるというようにお考えになつておるのじやないか、とうかがわれるのでありますが、絶対にそういうことはないのであります。もしもそうでなければけつこうでありますが、私はかりに具体的な正力問題というものを、郵政大臣として取上げるべき段階が来ましても、それはいろいろの方法をもつてそれが許可できないということになる。そうすると、そのいろいろの方法の中で今御指摘になりましたように、あなたの考えておるような、ただ施設をつくつて全部公社に貸してしまうというのでは、相当の使用料をとらなければならぬ。またその辺の計算が一体どういうふうになるのかということも、私としてもお伺いしなければなりません。それが出て来て、公社が貸して、公社側も採算がとれる。貸す方も採算がとれる。借りる方も採算がとれるということにならなければ、そうは私としても考えられませんというようなことも申し上げておるのであります。しかしただ私が法律をそのまま読んでおりますときには、自分としての解釈からすればそういうふうにとれるので、断るにしてもこの法四条にできないと書いてあるからだめなのですといつて断るには、自分としてはまだ法律解釈についてそこまで自信が持てない。しかしこの問題が世上伝えられておるようないろいろな要素を持つておるものであれば、おそらくなかなか許可のできがたいものであると思つておりますが、断るにしてもそれは四条の解釈にぶつかるからということではなくて、別の方面で不許可になるべき性質のものではないか、自分はこう考えておる。従つて四条の解釈はどこまでも、私はさつき申し上げましたように具体的な問題とは別に、法律自体が何を頭に置いて、こういう表現で、こういう規定をしたかということをすなおに考えてみるのがいいのじやないか、こういうことを考えておるわけであります。
  111. 甲斐政治

    ○甲斐委員 大臣の解釈あるいは善意を私は疑うものではございません。しかしこういう解釈がなされるところに、今日の事態にいろいろの憶測を呼び起すとか、あるいは民間の計画に対して大臣が特に肩を持つておられるというような感じを与える、これをおそれるわけでありますから、その点ははつきりしておいていただきたいと思います。
  112. 齋藤憲三

    齋藤委員 私はきようの委員会の劈頭に議事進行で、私の手元に参りました正力テレビの文書について、委員長を通じて要求をしておいたのです。ただいまいろいろ大臣、甲斐委員、あるいは委員長の間に質疑応答がございましたが、要するに私は、これを昨晩初めて見たのでありますけれども正力テレビの正体なるものが、もしこの文書に記載せられているがごときものであるといたしますならば、これは国家的な非常に重大な問題であるから、即刻関係者を集めて、その真相を究明したいという議事進行の要求を申し出てあるのでありますが、いずれ委員長からどういうふうにお取扱いになるかは承りたいと思うのでありますけれども、もしこれに書いてあるような外資導入の方法でございますと、結局は将来締結せらるべきMSAの問題にも関連し、あるいは安全保障条約にも関連した問題になつて来るかもしれない。単なる国内法だけでもつてこれは処断することができないような情勢になるかもしれない。要するにわれわれは電波というものを国家の重要な中枢的なものとして考えまするときに、こういう文書を読みますと非常に大きなシヨツクを受けるのです。これはこの委員会というものは非常に重大だと思うのです。それでただいまいろいろ質疑応答がございましたが、どうかひとつ委員長におかれまして、なるべくその真相を把握して、われわれが国家のために万全を期し得られるようにおとりはからい願いたい。それを中心にしてこの際郵政大臣におかれましても、電波法あるいは放送法とかいうものに対して、世界的に勘案せられまして、日本の将来に誤りなきような抜本的な改正法を提出していただきたい、さように考えておりますので、その点ひとつよろしくおとりはからい願いたいと思います。
  113. 成田知巳

    成田委員長 この点につきましては最初に申し上げましたように、近く関係者に出ていただきまして、この問題の真相を究明したいと思つておりますから、おまかせ願いたいと思つております。  最後に一点、この問題をお尋ねしたいのですが、郵政大臣は第四条の解釈について疑問を持つておられる。それには何も意図はないのだ、こういうお話で、たまたま正力の問題があるものだから、変な意図で考えられているのではないかという誤解もあるということでありますが、たとえば民間資本がりつぱな設備をつくりまして、これを公社に提供するのはいいじやないかという御説明があつたと思いますが、しかしこの四条は外資あるいは民間資本というものは、電気通信設備というものの公共性から考えますと、これを一手に管理し、業務を運営するのは、日本電信電話公社にやらすのだ、やはり民間資本、ましてや外資の導入、こういうものが入つて来ることは一応拒否しておるというのが、この法律の精神ではないか、特に設備だけを提供して云々というのですが、そういう性質から行きまして、この二項の解釈ですが、先ほど申しましたように、他人通信の用に供する業務公衆通信業務であるということをはつきり書いてある。この他人というのはやはり公社他人の中に入るわけでありますから、そういう解釈は立法精神からいつても許されないし、個々の具体的な条文の解釈からいつても許されないと思うのですが、よく御研究願いたいと思うのです。
  114. 塚田十一郎

    ○塚田国務大臣 その点は私も今後よく研究しなければならないと思うのですけれども、ただ私がなお一層疑念を持ちますのは、そこにはつきりとそういうことをする業務と書いてあり、委員長はよく御承知の方でいらつしやいますが、私はたまたまある一つのものをつくつて、そうしてそれを貸して使用料をとつておるというだけのことが、はたして通信業務であるかどうかという点に対しても非常に疑念を持つている。やはり業務と言える程度になると、それがやはり運営できるところまで持つてつておいてということでないのだろうかということを、いつも考えているわけでありますが、たとえば家をつくつて貸して置く。これは貸家営業というものもおりますけれども自分の家をつくつて貸して置くのは、法律上普通には業務とは言わないことが定説になつておりますが、どうもそこのところが今のただつくつてそのまま貸してしまうというだけのものすらも、その条項でとめて置くか。そういうことを政治的に許すことが妥当か妥当でないか。従つて妥当でなければ法律を直して禁止するかということは、別問題であります。この規定ではそこまでとめられるだろうかどうかということに疑念を持つわけであります。その点なお委員会においても御検討願いたいと思います。
  115. 成田知巳

    成田委員長 その点公衆通信業務ということになりましたら、この言葉から受ける感じは大臣の言われるように、設備をつくつて貸して置くということは、通信業務ではないという印象を受けるのです。そこで公衆通信業務というものの定義があるわけですが、その定義の中に「無線設備を用いて他人通信を媒介し、その他無線設備他人通信の用に供する業務」とあつて、いわゆる狭い意味通信業務をやらなくても、他人通信の用に供する設備を提供する。そうしてそこから賃貸料をとる。これは明らかに「他人通信の用に供する業務」、いわゆる狭い意味通信業務ではないかと思いますが、この法律の定義であるところの「他人通信の用に供する業務」であるということに、当然今伝えられているような正力テレビというものが、まつ正面からぶつかると思うのです。
  116. 塚田十一郎

    ○塚田国務大臣 あまり他の方々に興味がないかもしれませんが、問題が重大であります。私は他人通信を媒介するというのは、たとえば電報を持つて来る、電話を通じてやるということが——他のそうではない専用線を貸しているというのはいそのあとの考え方を言つているのではないか。そうすると専用線を貸すという形でもない。ただ建物及び機械設備しかつくれないという段階がもう一つあるのではないか。そういうような建物だけをつくり、設備だけをつくり、それをさらに運用できるようにして、そうして施設全体として貸してやる。それからさらに個々に依頼を受けて通信だけを運んでやる。こう三段階に考えられるのではないかというのが、私の疑問の出て来る点であります。その点はどうも法制局とも必ずしも意見が合わないので、自分の方でも検討しなければならぬと思つている次第であります。
  117. 成田知巳

    成田委員長 本日はこれにて散会いたします。     午後二時二十分散会