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1953-10-31 第17回国会 衆議院 電気通信委員会 第2号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和二十八年十月三十一日(土曜日)     午後一時五十六分開議  出席委員    委員長 成田知巳君    理事 岩川 與助君 理事 塩原時三郎君   理事 橋本登美三郎君 理事 小泉 純也君       菊池 義郎君    庄司 一郎君       齋藤 憲三君    廣瀬 正雄君       上林與市郎君    原   茂君       甲斐 政治君    三輪 壽壯君  委員外出席者         日本電信電話公         社福総裁    靱   勉君         専  門  員 吉田 弘苗君         専  門  員 中村 寅市君     ————————————— 十月三十日  委員原茂君及び木原津與志君辞任につき、その  補欠として山本幸一君及び上林與市郎君が議長  の指名委員に選任された。 同月三十一日  委員山本幸一辞任につき、その補欠として原  茂君が議長指名委員に選任された。     ————————————— 本日の会議に付した事件  日本電信電話公社職員賃金改訂問題の件     —————————————
  2. 成田知巳

    成田委員長 ただいまより開会いたします。  まず日本電信電話公社総裁より、公社事業運営状況に関し発言を求められておりますので、これを許します。靱副総裁
  3. 靱勉

    靱説明員 先般公共企業体等仲裁委員会から電信電話公社職員に対する給与に対しまして仲裁裁定が下されましたので、その経過については御報告申し上げたいと存じます。もちろん裁定に相なりましたので、政府から別途これに対して国会に御提出になる予定になつておりますので、私どもといたしましてはその経過だけをただいま御報告いたすことにいたします。  御承知のように電気通信省昭和二十七年八月一日をもちまして、日本電信電話公社に移行した。従いまして従来公務員でありましたその職員は、身分が切りかえられまして、公共企業体等労働関係法の適用を受けることに相なつたのでありますが、それの賃金につきましては、昨年十一月八日公共企業体等中央調停委員会から調停案が提示されまして、労働協約によりまして現行のいわゆる賃金ベース実施しておるのでございます。これに対しまして全国電気通信労働組合は、本年の三月二十日に四月以降の基準賃金平均月額一万八千五百三十二円、満十八歳男子の最低保障額月額八千円を主たる内容といたします要求書公社提出されまして、公社組合との間におきまして八回にわたる団体交渉が行われたのでございますが、公社といたしましては昨年十一月に行われました調停案実施後なお日が浅く、経済事情その他においても特に変化が見られないというような意見を持ちまして、組合要求の一万八千五百三十二円ベースに対しましては、遺憾ながら要求に応ずることはできないということで、団体交渉を継続して参りましたが、組合におきましては五月二十五日に至りましてこれはもう妥結の見込みがつないということを確認いたしまして、翌三十六日に公労法第二十四条第二号の規定によりまして、中央調停委員会に対して調停申請が行われたのであります。  中央調停委員会は七月十五日にこれに対しまして、次のような調停案を提示されたのであります。その一つは、日本電信電話公社管理職を含む職員基本給は、昭和二十八年度において平均月額一万五千円とすること、職員基本給の配分に関する問題は、当時者間において協議決定すること、こういう調停案が提示されたのでございまして、これに対して組合は同月二十八日に、組合中央委員会の決議でこれは受諾できないということになつたから、調停委員会に対しましてもこれは受諾できないという回答をいたしますし、公社は同月の三十一日に、基本給の額についてはおおむね妥当と考えるが、これが実施には相当額予算補正を必要とし、かつ経営の諸般の事情からただちに実施できないということを、中央調停委員会回答したのであります。そこで中央調停委員会といたしましては、八月五日に公労法第三十四条第三号の規定に基きまして、仲裁の請求を行つたのであります。  そこで仲裁委員会におきましては、八月十日の委員会において審理いたしまして、同日付で仲裁開始を決定いたしまして、審議を開始したのでございますが、この間組合側からいろいろ資料提出が求められまして、相当慎重なる御審議がなされたわけでございます。その結果、すでに新聞等においても御承知通り、十月の十三日に至りまして裁定が下されたのであります。その内容はすでに御承知通り基準賃金は八月以降月額平均一万五千円に改訂する。最低賃金は両当事者の団体交渉によつてきめる。それから勤務地手当は最高二割五分、五分刻みとして六段階とするという内容裁定が下されたのであります。  これに対して会社側といたしましては、公労法規定に従いまして、御承知通り裁定両者を拘束いたしますので、私どもとしましては、もちろんこの額を実施いたすためには、相当予算補正をいたさなければとうていこれを実施できませんので、一応の予算補正案を作成いたしまして、目下すでに郵政大臣提出いたしてあるのでございますが、ただいまのところ政府面におきましてもこれについて御審議を継続中でございまして、私どもといたしましてはこれについて特別の御意見を承つていない次第であります。  以上仲裁に関する経緯を御報告申し上げた次第であります。
  4. 成田知巳

    成田委員長 本件につきまして質疑の通告があります。通告順によつてこれを許します。原茂君。
  5. 原茂

    ○原(茂)委員 ベースの問題をお伺いする前に、一点だけお伺いしておきたいのですが、今回の風水害は全国的に相当ひどかつたわけであります。公社の受けた施設上るいは人的の被害についての大体の調査は、もうすでにできておると思いますが、その被害総額はどのくらいになつておるかをひとつお伺いしたい。
  6. 靱勉

    靱説明員  お答え申し上げます。被害総額といたしましては、私ども主として復旧に要する経費を算定いたすことが一番便宜だ、従いまして風水害によつてケーブル線が切断され、あるいは局舎が破損する、あるいは電源に水が入るというようなことに対しましては、ともかく昨日九州方面に国勢調査にお出かけになつた班の方から御報告がありましたように、ほとんど現在仮復旧状況なつております。しからばこの応急復旧費がどのくらいかかつたか、西日本の水害及び南近畿水害を合せまして、十二億四千六百万円程度に上つております。しかしながらこれはただ応急復旧でございまして、昨日も御意見がありましたように、今後相当脆弱な所につきましては当然改良もしなければならぬし、あるいは取替もしなければならぬ、こういうような問題がありますので、今後建設勘定といたしまして資産の増になるわけでございますが、そこらの額を十三億余りと見込んでおります。さらに関連いたしまして、あるいはケーブル線盗難等——これは災害に直接関係のあるのとないのとございますが、それらを合せまして全体としましては、あるいは罹災者の救恤の経費、また工事をする場合におきまする人件費等を勘案いたしますと、およそ三十億程度支出を要するものかと考えております。なお従業員被害状況でございますが、職員死亡は五名、負傷者百三十名、家族の死亡十四名、負傷者二十七名、家屋流失、全壊百八十五戸、半壊三百六十戸、家財の三分の一以上流失したものが八十四戸、浸水六千四百四十三戸ということになつておるのでございます。
  7. 原茂

    ○原(茂)委員 大体施設被害、それから盗難等を全部合せると約三十億になるというお答えでありますが、これを予算補正に今回出されてあるように先ほどの御説明で想像できるわけですが、予算補正に出されました要求総額は三十億と見てよろしいのか。
  8. 靱勉

    靱説明員 御承知のように災害がありました場合に対処いたしましては、予備費というのがございます。応急復旧等にこれを使用しておるのでございまして、格別その点においては予算補正を必要といたしませんが、ただいま申し上げました通り建設勘定におきまして改良あるいは取替等を要する経費は、補正予算が出されるときには補正予算を出すということで、十億余りのものを要求いたすという形になります。
  9. 原茂

    ○原(茂)委員 そうしますと十億余り出して、それが追加補正されますと、予備費はどれくらいになりますか。
  10. 靱勉

    靱説明員 ただいまの予備費は大体使い切つてしまつておるのでございまして、損益勘定で負担すべき災害というものは、どうしても事業収入から支出に新たに立てて使つて行かなければならぬわけであります。ただいま十億余りと申し上げましたのは、建設勘定予算として新たにそういうものを要求いたしたいというような考えなつておるわけであります。
  11. 原茂

    ○原(茂)委員 予備費のないことはそれでわかつたわけです。もう一点、これは関係ないのですが、人員の被害を受けた数が相当ございます。気の毒に、なくなつた方もあるわけですが、負傷した方、あるいは家財の三分の一以上の被害を受けた人たちも、数千に上つております。現地に参りましても、こういう人たち手当が、私どもから言うと、まだ十分に納得するほどのものができていなかつたようですが、おもにこの不均衡を認めたのは、課長程度のものには相当の率のものが行きますが、課長以下の職員には、こういう手当が非常に薄く行つているということを、現地で聞いて参りました。この点は後刻、昨日の報告に関連しての質疑をさせていただきたいと思いますので、保留いたしておきす。  そこで予備費がないということに関連いたしまして、今御説明をいただきました裁定の問題に移ります。本裁定実施しようとするためには、今の御説明によりますと、郵政省に対してこの必要額要求をされておるようですが、今日までの経過から見て、公社ではそれが実現できる可能性があるのか。あるいは公社としてどの程座の見込みを今持つておられるのか。この点を先にお伺いしたいと思います。
  12. 靱勉

    靱説明員 裁定法律的効力というものは、もう御存知の通りでございまして、公社といたしましては、もちろん現在の給与総額をもつて裁定実施することはできない。従いまして予算補正を必要とするということで、予算をつくりまして、郵政大臣提出しておるのでございますが、公社法建前から見ましても、郵政大臣大蔵大臣と協議して調整する、政府としては方針を御決定になりまして、国会の御審議を得るという形になつておるのであります。裁定性質等からいたしまして、公社といたしましては、もちろんそれに従つて行動するということでありますし、また経営者立場としましては、できるだけこういう給与の是正というものが、国会全体の御承認を得て実行できるということを期待するわけでございます。私ども何と申しましても、まだ郵政大臣なり大蔵省の方から、これに対して特別の意見もお聞きできない状態なつております。その見通しというものにつきましては、私の方だけで立てるわけに参らぬ、こういう次第になつております。
  13. 原茂

    ○原(茂)委員 今、裁定がおりてからの郵政省との折衝後、どういうふうな見通しが立つているかお伺いしたわけですが、実はこの問題は、昨年十一月現行給与が決定されましてから半年足らずの間に、新たな要求が出まして、御存じのように四月に問題が起きて、五月にこの裁定に持ち込んでいる。しかも十月に裁定がおりました。その間におきましては、前国会にも申し上げたように、やはり公社経営運営する主体というものは、施設も必要ですが、実際は職員にあります。従つて職員施設と、これを総合する技術というものが、かなえの足のように三つ鼎立して、初めて運営がうまく行くものであつて、常日ごろから施設技術改善と同時に、職員待遇改善ということは、これは経営者の忘れてならぬ大きな要点である、こういつたことを強く要望いたしました。公社側もその点は十二分に心得えておるというお答えがあつたわけです。としますと、施設あるいは技術の向上といつたことに改善努力をすると同時に、もう定期的に物価指数変動その他に伴つて、必ず起きる職員ベース改善というものは、当然経営一つの要諦となつて来るわけでございますから、これに対する前国会における公社の答弁からいいますと、当然約一年にわたつてこのベースをいかにするかということを考慮されていなければならぬ。今日裁定がおりて、裁定以後の政府との折衝においてこの問題を解決しようとすることは、不可能ではないか。そういう考えではなくて、もう一年も前から、経営の一番重要な三つの柱の一つとして経営者考えておるのだという建前からするならば、このベースの改訂は、裁定のおりる以前から、今の指数変動等から考えて、当然予測されておつたわけですから、これに対する手当を十二分に考慮しなければならぬ。その過程においては、政府折衝し、あるいは予備知識をこれに与えて、裁定のおりる以前に、政府にもある種の覚悟と準備をさせるくらいの態度と努力があつて当然だと思うのですが、その私の申し上げるような意味折衝、あるいはそういう政府に対する強要請なり教育指導というようなものは、公社からどの程度なされておるかをまずお伺いしたい。
  14. 靱勉

    靱説明員 すでに先ほど経過を御報告申し上げまして通り裁定に行く前に、調停にかかつておるのでございます。調停が出されました際における公社回答と申しますのは、ただいま申し上げた通りでございます。当初一万八千数百円のベースアツプ要求されまして、団体交渉過程におきましては、私ども経営者立場といたしまして、経営実態から見て、一万八千数百円のベース・アツブにはとうてい応ぜられないという点につきましては、考えておつたのでありますが、もともと現在組合公社との間の協定すなわち両者意見が合致いたしまして実行しておりますのは、昨年十一月の調停案を中心として決定されておるのであります。それらの後におきまして、事情の変更あるものにつきましては、すでに現在両者において妥当と認めておる次第でございますので、その変化に応じまして、あるいは常にその変化を注視しまして、給与改善につきまして適切な措置をとるということは、経営者としても当然でございます。従いまして一万五千円程度の根拠については、調停委員会回答いたしました通り、おおむね妥当と考える。しかしなでら御案内のように私どもとしましては、前国会におきまして公衆電気通信法の御審議があつた料金大幅値上げがあつた電気通信事業として最も重大なことは、五箇年計画委員会におきましても御審議になりまして、料金値上げの基礎としてこの問題が相当審議になつた。私どももすでに終戦後の現在の状態におきまして、電話施設拡充整備につきまして長期の計画を持ちたいというようなことから、料金値上げの問題につきましても非常に強いお原いをいたしておつたわけであります。幸いにしまして、平均二割の料金値上げ法律案の中に織り込まれまして、すでに公布、施行なつておる状態であります。これを完全に完遂して行くためには、さらに収入増加をはかり、経費合理的使用をすることによりまして、職員給与に対しましても、適正な給与をできるだけ確保して行くという考えを、第一義といたしておつたのであります。すでにこの問題の審議の際に、委員の方の御質問に対しまして、料金値上げそれ自体増収というものは、これは需要者に御負担のかかることであるし、私ども経営者といたしましても、全職員一致して経営合理化事業のサービスの改善収入増加をはかりまして、職員給与改善もいたして行きたいという意見を申し上げておつた次第でありまして、ただいまもちろん十分でないというおしかりがあるかもしれませんが、経営者としましては、この点につきましては仕事を動かす点が職員にあることはもちろんでありますので、最も重要な問題の一つとして、平素からこれにつきましては施策を講じておる次第でございます。
  15. 原茂

    ○原(茂)委員 そこで今まで公社としては、経営重点をこの職員待遇に置いて、これを生み出すべき経営合理化その他に重点を置いてやつてつた。そこで経営合理化をやつた結果、あるいは改善その他によりまして、業務上の収益というものが相当つているだろうと思いますが、この裁定案を見ましても、そのことが簡単な概略数字が上つております。ただこの問題に対して御質問する前に、五月にこの調停案公社が拒否いたしましたが、拒否されて今日までの間、一体全然出ないということを委員会でつつぱねたまま、その後これに対して何とかして出そうとするくふうのあとが、実はどこにも私どもから見えないように思う。そこで今質問申し上げたわけですが、そういうくふうを、総裁の言によりますと経営合理化その他によつてつて来たのだということに結局なるわけでありますから、そこでその結果、一体今日になりまして事業収益の上からいつてどれくらいの利益がこの上半期であつたのか、概略の大ざつぱの数字けつこうですからまず先にお伺いしたい。
  16. 靱勉

    靱説明員 ただいまのお言葉の中に、調停案をけつてその後どうしたか、何もしなかつたかという点でございますが、調停案自体をそのまま受けてただちに調停に入るというわけには参りません。ともかく組合要求は一万八千数百円のベース、それが三千円以上も下まわつた一万五千円に調停案が出ておるのでありまして、組合としても容易にこれは受諾できないものであつたと、私どもきわめて常識的に考えるのであります。公社としましてはむしろおおむね妥当と考えた次第でありますけれども、私どもの経験から申しますと、単にこれは形式的に考えられる問題ではないのであります。昨年十一月調停案をそのまま実施する場合において、非常に苦労をいたしておるのであります。何と申しましても調停案自体経営者組合との間に協定を結ぶということの法律的効果、これは公労法十六条で同じように考えられると申しますものの、予算を策定されないでそういうことをやつたところで、これはただ法律をそのまま形式的に見るだけの問題に終りますので、むしろ組合側もこれはあくまで裁定仲裁まで持つて行こうというような動きがありましたので、私ども仲裁裁定の御審議の際に、いろいろと御要求資料につきましては出した。これはまつたく何もけるために出したわけでもないし、一万八千円を認めるために出すものでもありませんで、事実に基きまして経営実態等も詳しく御説明申し上げて御審議願つた、こういう事態になつておることをお含みおき願いたいと思うのであります。そこですでに八月から料金値上げ実施されている次第でございますが、その前に八月分までの月次決算と申しますか、これはできておるのでございます。それを見てみますと、四月から八月までの五箇月間におきまして、収支差額は十五億四千三百万円、すなわち収入が十五億四千三百万円であつて支出に対して多くなつておりますので、累計月次決算といたしましてはその姿になつております。しかしながらこれは前年度の五箇月分をとつてみますと、二十七年度におきましては二十三億一千九百万円というプラスになつておる。これはどういうことかと申しますと、御承知のように国際通信業務会社移つたということと、駐留軍関係収入が昨年度においてまとめて入つたというように原因があつたかと思います。ともかく八月分までの月次決築を見ますれば、累計にして十五億あまりの収入が一応上つているという形にはなりますが、これは今後の料金値上げ状況、それから支出もお説のように工事施行に伴いまして増して参りますので、ただちにこれをもつて年度全体の考え方にはなれない。そこで料金値上げ影響を真剣に検討いたしておるのでございますが、遺憾ながらまだ現在の時期におきましては、本年度の推測を的確にするという状態にはなつておりません。八月の実績につきましてようやく最近まとまつたのでございますが、これを七月と比べてみたのでございます。そういたしますと、基本料は御承知のように固定的のものでございますから、加入者がふえて参りますれば基本料もふえて参りますからこれは別にして、電報におきましてはほとんど影響はなくて、昨年に比べますれば三%程度増加いたしております。ところが市外通話におきましては、この八月と本年の七月前とを比較してみますと、一加入当り利用減が四%になつております。この前に御審議を願いました料金値上げの際には、予想として五・五%を見ております。従いまして四%ということは単に八月と七月の比較でございますが、この面においては収入増がありますが、市内通話におきましては、やはり八月と七月を比較してみますと、一加入当り一四%の利用減で、これは私ども意外に思つたのでございます。予想市内におきましては四%という予想を立てておりましたが、一四%という利用減なつておる。これはただいまもお断りしましたように八月と七月の比較でございまして、大体毎年七月はかなり通信量が減る月でございます。前年と比較するなりあるいは全体的な予想がつけばいいのでございますが、大体の私ども予想といたしましては、平均二割の増収は確保できるという考えを持つております。と同時に二十七年末にから施設の増を実行いたしておりますので、それによる伸びというものも若干あるという予想を立てております。
  17. 原茂

    ○原(茂)委員 今の御説明を集約しますと、下半期の収支差額をお出しになつておるだろうと思いますが、その予想の額をひとつお聞きいたしたい。
  18. 靱勉

    靱説明員 これは料金値上げの際に、大体の収支見積りをごらんにいれまして、二割か二割五分かの問題があつたのでございますが、大体二割アツプによりまして五十一億の収入増があるだろうという見込みを立てまして、これをそつくり建設勘定に持つて行くというような考えのもとに御説明を申して上げておりました。そこでこれは料金アツプの問題でございますが、当時の収入見積りは、昨年九月の実績に基いて算定いたしたのでございます。本年の五月にこれを直してみますと、ただいままで申し上げておりますように、二十七年度にたとえば加入者にしましても十二万何千という予算を十八万ばかりやつているということで、収入の増が見込まれるわけであります。これの予想が実は料金値上げと合体して参つておりますので、なかなかその規模がむつかしいのごでざいますが、大よその見積りといたしましては、大体二十五億程度のさらに収入増加があるであろうという予想を持つております。しかしながらこれは支出が全然増加しないかというとそうではないのでありまして、この二十五億のうちには駐留軍工事受託工事収入ももちろん入つております。それが約六億五千万円入つておりますが、これに対する支出は八億くらいになる。すなわち本年度収入は六億五千万でございまして、受託工事経費としては八億程度かかるのではないか。その残金は四月になつて入つて参りますので、そういう差額があるのでございますが、これは大体実費で損得なしの計算をしておりますから、ある意味においてはこれは通り抜けであるというふうに考えられるのでございまして、二十五億から八億引きました残りというものが増加なつて来るわけでございます。ところがさらに今回のその後の経過によりまして、支出の増が予想されるものの一つは、国際通信に移行した人の退職手当予算よりよけいに出ておる。すなわち見込んだよりも高給者が出たために予算以上に出た、これは当然損益勘定でしなければならぬ経費でございます。それ以外にすでにただいま申し上げましたように、災害の問題があります。それは当然損益結定で持たなければならぬ支出がありまして、予備費を使いましても、南近畿災害だけでも、損益勘定でもつて持たなければならぬ災害損失復旧応急復旧費と申しますが、これが三億余りございます。なおまた奄美大島内地返還と申しますか、内地に復帰するということによりまして——本年十一月という予想を私どもつておりましたが、これは少し延びるようでございますが、十一月から計算いたしますれば、もちろん奄美大島におきましては収入支出のバランスは当然赤字なのでございまして、私どもの背負い込みが年度内におきまして六千万円程度に相なりますが、そういうような当然の支出というものがあるわけです。そういうふうに計算して参りますと、ほんとうに純益として残るものは、非常に少くなつて参るというような計算になるわけです。災害というものが、かなり大きな災いをいたしておるのでございます。
  19. 原茂

    ○原(茂)委員 本会議が始まつて時間がないようですから簡単に申しますが、この上半期、下半期の収支予想を立てて行きますと、大約今の奄美大島災害あるいは国際の方へ退職した人の高給者手当等で足を出した、こういうものを引きましても大約下半期で十九億四千万円の見込み増を見られる。上半期の十五億四千万円と合せますと、二十四億八千万というものが半分は確定のもの、半分は見込みとして大体かたく考えられますが、この間視察をいたしました結果、各現地で聞きますと、今副総裁のおつしやるような市内の一四%というのは、これは特例でありまして、おそらく八月のいわゆる霜枯れ月と申しますか、特別な月のために起きた現象だろうと思うので、現地ではもう八月、九月でこの利用減、あるいは利用の減はあつて収入ではふえておりましたが、こういう形が急速に改善されて、利用減そのものもおそらく十月からはなくなるであろうという見込みを立てておりました。従つて下半期の予想はもう少し上まわつた収支予想ができるだろうと考えるのでありますが、かたく踏んでも、上半期とともに大約三十四億八千万というものが見込まれます。そこでもう一ぺんお伺いしたいのは、昨年度の決算、それによる差引利益というものがおそらく四、五十億あるのではないかと思いますが、この点に対する概略的な数字を先に伺いたいと思います。
  20. 靱勉

    靱説明員 お答えする前に、ただいま私の説明が足りなかつたために誤解を招きまして恐縮でございますが、上半期と申しますか、前期分の十五億というものはそのままにしての計算ではないのでありまして、もちろん支出相当多くなるのでありますが、先ほど二十五億余ると申し上げましたのは、そういう十五億もすつかり含んでの話でありますから、その誤解をひとつお解き願いたいと思います。私どもの計算では、いろいろ支出内容にもよるわけでございますが、三億ないし六億程度があるいは予定よりよけいに残るのではないかというような見当を持つておりまして、三十億というようなことはとうてい考えられないというふうに考えております。  次に前年度の利益金でございますが、これは当時御審議の際決算報告ができなかつたのでございますが、年間を通じまして電気通信省当時、八月から公社にかわりましたが、全部を通じますと四十八億程度のものでございますが、電電公社になりましてからは剰余金というものは、二十四億ということになつておりまして、電通省時代の剰余金というものは、政府公社に切りかわる際において資本として出資になつております。公社の八月以降三月までの純益というものは二十四億ということになりまして、これは剰余金として政令の定めるところによりまして積み立てておる次第であります。
  21. 原茂

    ○原(茂)委員 先ほど上半期の問題で大分数字が違つて参りましたが、七、八億はあるということの数字は、後刻こまかく検討させていただきますが、大筋のところを申し上げまして、この裁定実施するにあたつて一体幾ら必要になるかを先にお伺いします。
  22. 靱勉

    靱説明員 裁定通りに基準内賃金実施いたすといたしますと、特定局の委託業務等のものはもちろん考えないで、公社の社員だけ、すなわち給与総額影響するものだけを申し上げますと、二十七億八千七百万円いるという計算になります。
  23. 原茂

    ○原(茂)委員 二十七億八千七百万円が公社職員のみを考えたときの裁定実施必要額になるわけですが、そこで今までの説明をお伺いしておりますと、もしどうしても職員給与改革ということが経営上絶対必要だと公社でお考えになる場合には、出そうとすれば出せる予算があるように考えられるわけですが、この額は一応ふたをしておきまして、こまかい数字にわたつては後刻の検討にまつといたしまして、大約今の二十七億くらいの裁定実施必要額見込みましたときに、公社としては十分にこれを尊重して出したいというお気持は、先ほどからるるお話がありましたのでわかりましたが、出そうとして出せそうに私どもしろうととして考えるわけであります。これは出す出さないという問題は別で、この裁定通りに出したいというお気持はわかつたのですが、出そうとしたときに公社の自主的な計算によると、公社自身の力でこの金額が出せそうにお考えになるか。私どもは出せそうに思うわけですが、その点をざつくばらんに砕いて、ひとつ出せそうなのかどうか、出すという御意思は今お聞きしようとは思いませんが、出せそうな見込みがあるかどうか、この計算の上からひとつ感じを述べていただきたい、こう思います。
  24. 靱勉

    靱説明員 この問題につきましては、先ほど申しましたように予算といたしましては政府が調整権を持ち、政府として責任を持つて国会の御審議ということに相なつておりますので、私どもが先走つてこれについてあまり申し上げるのはこの際差控えたいと存じますが、出せるか出せないか、資金があるかないかという問題になつて参りますと、一体どういうものがベースアツプに用いられるかの性質論も起つて来るのではないかと思うのでございます。たとえば前年度の剰余金二十四億は、これはやはり全部出してしまつていいものかどうかという一つの問題がありますし、災害がある場合におきましては、公社法におきましてはこれをもつて埋めるというような形になつおる。いろいろの場合に備えまして積立金という制度がとられておるのでございまして、完全なる独立採算制でありますので、その点につきましては金額はたして二十四億が使えるかどうか、これはまた一つの問題であるかと思います。それから増収の分につきましても、もちろん公社としましては国民から委託を受けまして、経営をいたしておるわけでありまして、資本の投下をしまして施設がふえた、これによつてつて来る収入の残をただちにもつて給与ベースに充てられるかどうか。裁定の問題は別に考えてみますと、一体金があるかどうかということにつきましては、それはどういう金かということもやはり問題になつて来ると存ずるのであります。単に資金上の問題というようになりますれば、また別の見解もとれるわけであります。これらの諸点につきまして政府としましては慎重に御検討になつておるかと存じますが、私ども立場を率直に申し上げますれば、何と申しましても仲裁裁定というものは、これは両当事者を拘束するものでございます。何とかこれに応ずるような予算等も仕組んで出してやらざるを得ない。これを判断くださるのは仲裁委員会でございますし、事業の公共性を考えまして、政府国会がいかに御判断なさるかという問題にかかつて来るのではないか。はなはだ答弁になつておりませんが、ごかんべん願いたいと思います。
  25. 原茂

    ○原(茂)委員 副総裁が認めているように、答弁になつていない。私のお伺いしようとすることには何となく直接ぶつかつて来られないので、物足りないわけでありますが、一応無理もないと思います。  そこでもう一度しつこくお伺いするわけですが、財源の繰入れ等に関する問題は、これはその性質上使つていいかどうか、何に使うのが妥当であるかどうかということは、国会においても慎重審議しなければなりませんし、政府も当然研究していると思うが、ただこの経営を預かる公社としましては、政府の側に立つてこの剰余金はどういう性質のものに使うのか。これがまだ規定されないうちには、そこまで先走つた考えはあまりできない。今出さなければいけない問題は、災害があれば、災害復旧費は、どこから入つた金を使うかということなどは考えずに、予備金を支出できるという制度があるからといつて、それだけで金額が足りない場合には、それでもやはり応急復旧の費用というものは、もしそこに手持ち資金があれば出していいだろうと思うのです。同じように資金の入つて来た性質、これが振り向けられる方向によつては、そこに矛盾を生ずるという考え方は政府並びに議会が考えるといたしまして、公社経営考え建前から、災害が二千億あつた、しかもこれは焦眉の急であるし、予備金は五十億しかないのに一体どうするかという場合には、手持金が五百億なり八百億あつたら、おそらくこれは応急復旧費として、応急の手当として出さなければならない事態に、あの災害考える場合にはなつていると思うのです。同じように資金の入つて来る性質、あるいは振り向けようとするその性格を考えることを一応ここでやめて、今裁定がおりた。これを当然実施する義務があるという御言明のごとく、当然私どももそうあるべきだと考えますので、それだけを単純に考えたときに、今のふところぐあいを勘案して出せそうかどうか、出せば出せるように思う、また出そうとしてもどんなふうに割振つてみたところで、どこからもそういう計算が出て来ない、こういうふうな二つのどちらかのお考えであると思うが、お答えだけをお聞きしたい。
  26. 靱勉

    靱説明員 これは近く政府から裁定に対する国会の承認を求める件が提出されることと思いますが、今私ども実は率直に申し上げまして、郵政省の方とせつかく折衝中なんであります。出せるか出せないかという問題を、ただどうかとおつしやつていただきましても、ただいま申し上げましたように、かなり性格論もありますし、それから公社は出しているのか出していないのかとおつしやれば、予算というものは当然公社法の定むるところによつて出している。これは裁定通り出すということになるわけであります。ただいまの御質問に対しましては、いましばらく答弁を保留させていただきたいと思います。
  27. 原茂

    ○原(茂)委員 それでは副総裁が答弁を保留されるのでありますから、これは次会に譲つてけつこうですが、性格論は議会と政府側で考えるのであるが、性格は今一応ふたをしてという前提で私は申し上げたのでありますが、それすらお答え願えない。大体出す気はおありになる。裁定である以上これを完全に実施する義務を痛感している、こういうお考えであることには間違いないと思いますが、その点をもう一度確認しておきます。
  28. 靱勉

    靱説明員 仲裁裁定の権威と申しますか、法律的性格につきましては私ども十分承知いたしておりますので、その線を誤まるようなことはないつもりでおります。
  29. 原茂

    ○原(茂)委員 では後刻こまかいその他の数字を用意してまたいたしますから、これで打切ります。
  30. 成田知巳

    成田委員長 今の御質問に関連しまして、ちよつと私からお尋ねいたします。今、原委員の質問に対して、仲裁裁定は当事者を拘束するものである。当然これについては履行の責任があるんだ。しかし現在の昭和二十八年度予算総則で定まつておる給与総額では、もちろん実施できない。そこで予算の修正について政府当局とせつかく折衝中だ。しかもその仲裁裁定の権威を尊重する意味において、それを実施するように折衝中である、こういうような御答弁があつたんですが、これは公社側としては当然と思うのですが、たといいくら実施しようと思いましても、経理上能力がなければ、とてもやれない。ところが今の御答弁では、仲裁裁定を完全に実施するように政府と交渉しておられる、こう言われることは、その前提として公社の経理能力からいつて仲裁裁定実施できる、こういう前提の上に立つての御交渉だと判断してさしつかえないと思いますが、いかがですか。
  31. 靱勉

    靱説明員 その点こつきましては、私どもかりに資金上困難といたしましても、裁定としましてはそれに一応拘束を受けることは当然でございまして、公共企業体の性格としましては、それについて政府の判断をきめ、国会においてどういうふうに決定されるか、場合によつて料金値上げしてまでそれに応ずるという態勢になるのか、あるいはまた一時借入金で進むのか。私は資金の問題でなくして、やはり裁定というものは、もちろん各企業体なり機関の財政等も考えて、お下しになつておりますが、裁定の根本的な態度としましては、やはりその給与はどれほどが妥当であるか、適切であるかということを御判断になつて、また法律的にもその判断をまかされたものが裁定なんであります。今申したように、完全実施できるように折衝しているから、これはお前たち財源を十分持つているのだろうということは、これは実は関係ないのでございまして、かりになくても、借入金なり料金値上げ収入等によつて事業経営する面におきましては、そういうようなことも考えつつ政府折衝して、政府の御判断をまつという形になるかと存じます。
  32. 成田知巳

    成田委員長 今の裁定実施は困難である場合でも、やはり裁定の権威を尊重して、完全実施のための努力をやるのは当然だ。従つて困難な場合には、不可能だとは言われないですが、困難だと言われます。料金値上げとか、政府借入金の問題も考えておるようですが、現在交渉されている内容は、やはり現在の公社の企業能力ではだめだ、やはり新しい、たとえば借入金だとか料金の値上げ、こういうものを前提にして御交渉なさつておるのか、それとも現在の経営能力でもやれる、こういう事実に基いて御交渉なさつておるのか、その点承りたいと思います。
  33. 靱勉

    靱説明員 ただいま公社予算につきましては、政府で検討いたしておるのでございまして、閣議の決定も何も経ておるものではないのであります。従いましてただいま郵政省折衝いたしております内容全部をただいま私に説明せよと言われましても、これはちよつと困難かと思いますので、御必要なら郵政省からお聞き取りくだされば、私どもの方は非常にけつこうかと思います。そこで一体どの程度見込みでやつておるのかと申しまして、あるいは料金値上げ考えているか、借入金を考えているかという問題でございますが、すでに私どもの方の予算におきましては、前国会におきましては二割五分が二割に修正を受けて実施されておる。その当時、当時の見込みとしまして二十五億の不足額をいかにすべきかということが、両院の予算委員会等においても問題になつた承知いたしておるのでありますが、結局予算的に申し上げますれば、損益勘定業務収入支出を比べてみまして、余つたもの、これは剰余金でございます。但しその剰余金を建設勘定に繰り入れるというような点を相当強調されまして、料金値上げの案も通過した形になつておるのでありますから、もしも料金値上げの分を給与に入れるということになれば、当然建設勘定の財源というものは不足を来して参ります。そういうことになりますれば、借入金の幅というものがさらにふえて来なければならぬ、こういう形になるのでございますし、あるいはまた前年度の剰余金というものを建設資金の一部に使うというような政府の方針が確定いたして参りますれば、かりに前年度の剰余金を今年度給与に使うとしますれば、それだけ来年は建設勘定の方として不足して参りますから、政府の借入金なり、あるいはまた社債の発行というものが拡大されなければ、五箇年計画の第一年度計画実施というものが困難になる、こういうような関係なつておりまして、給与自体のために料金値上げということは私どもはもちろん全然考えておりませんし、政府におきましてもまつたくお考えなつていないと私どもは推察いたしておりますが、借入金の問題は、ただいま申しましたように損益勘定建設勘定予算の形から申しまして、何のために借入金をするのかという問題は、その分析をしてみないとはつきり申し上げられないのであります。先ほど原委員の御質問にお答えいたしました通り、自然増と申しますか、当時査定しました予算より、収入支出を見て、その後ふえた支出考えてみますと、三億か六億ぐらいの剰余金はあるのではないかというような予想を立てておる次第でありますから、前年度剰余金を別に考えてみまれば、二十七億八千七百万円につきましては大体御想像がつくのではないかと考えております。
  34. 成田知巳

    成田委員長 今の御説明裁定完全実施のための料金値上げ考えていない、借入金の問題が残つていると言われたのですが、これは政府側としまして借入金をやつて、それを建設勘定その他とにらみ合せて料金値上げまでして裁定実施することは、政府考え方としては反対だという意見が出ましたとしても、公社側として今せつかく裁定完全実施のために交渉されておる、その間に借入金の問題も出ているわけですが、借入金をやつてもやはり仲裁裁定完全実施をやる方が公社としては正しいのだ、こういう御判断のもとに交渉していらつしやると思うのですが、その点はいかがでしようか。政府の判断は別にいたしまして、公社側考え方、裁定実施のために剰余金あるいは借入金問題、こういうものを全部総合して考えて、今政府と交渉しているんだが、それは当然実施するのが正しいのだ、そういう方法を講じてもいわゆる経営能力としては裁定実施はやれるのだ、こういう御判断のもとに御交渉なさつておると思うのですが、いかがでしよう。政府考え方は全然別にお考え願いたいと思います。
  35. 靱勉

    靱説明員 これは根本論としましては裁定法律的な効果、従いましてそれに関連しまして政府のこれに対する判断、国会が最終的にはこれを御決定になるという形になつております。公社側の主張はどうかと申しますれば、まず第一に裁定の尊重ということが当然考えられなければならぬ。しかしともかく両者に争いがあり、国の法律によりましてこれの仲裁機関が置かれたのであります。どの給与が妥当であるかということは、けだし現在の法律的な体制におきましては、仲裁裁定がまず第一に考えられなければならぬ、そういう意味からいたしまして給与の適正という点においては、そういうような判断を下されるのでありますが、さて電信電話事業をともかく企業として経営しておるのでありまして、健全なる経営をしなければならぬというような場合においては、これのベースアツプに当るべき財源の性格というものについて、いろいろ先ほど原委員の御質問にお答えしまして、具体的には二十四億のどれがどういうことを申し上げてございませんが、委員長の御質問の御趣旨もよく私どもわかるのでございますが、公社経営上どうか——ども公社経営の健全性を考えつつ裁定を尊重いたしまして、現在そういう予算を組んで折衝いたしておる。これが正しいか正しくないかという点については、まず適正なる給与の決定ということについては、専門的な仲裁委員会の判断というものが尊重される。経営上の立場から見ますれば、非常に現在私どもつた問題は、料金値上げと要するに従業員努力、これの結晶との分析というものが一緒になつていますから、よくできないということで、ここらは一番議論の中心になる。しかも職員に還元すべきものは全体としてどれだけかという点につきましても、私どもかなり分析はいたしておるのでありますけれども経営の今年度におきまする状況としては、先ほど申したような額が出て来ておる。前年度の剰余金をいかにすべきかという問題とも、かなり勇敢に私どもはとつ組んだつもりでありますが、経営状況からいつて将来を見通して、場合によつては一時は従業員の人にも経営実態をよく見てもらつて給与の決定あるいは実施の時期について、さらに了解を得なければならぬというような要素もあるのでありまして、ただいまの正しいといつてお前たちは交渉しているのかという御質問に対しましては、二つの意味合いから見て判断して参らなければならない。一つの問題としましては裁定というものに対しての考え方、二つの問題としては経営実態でありますが、これにつきましては財源のいろいろな性格、これの分析完全にできるかどうか、またさらにその上に立つて全体の事業経営を、ことに五箇年計画を遅滞なく実施して行くために職員の心構えというような点も考えまして、それらを総合して私どもとしては一応予算をとりまとめて政府にお願いしておる、こういう形でございます。
  36. 成田知巳

    ○成田委員 いろいろ御説明がございましたが、仲裁裁定というものは給与に関連しておる。その裁定は尊重しなければいけない。しかし公社側としては同時に経営の健全性も考えて行かなければいかぬ。この二つの面から勘案して政府と交渉している、こう言われたのですが、最初の御答弁で、やはり仲裁裁定は完全に実施しなければいけないというので、完全実施という線で政府と交渉している、こういう御答弁があつたのでありますが、その点は間違いないと思います。といたしますと、今言われました経営の健全性というものも当然考慮に置かれた上で、仲裁裁定の完全実施ということを政府に御交渉なさつておると、こう解釈しなければいかぬと思いますが、その点お伺いします。
  37. 靱勉

    靱説明員 委員長のおつしやる通りでございますが、ただ財源といたしましてただいまごくラフに御説明いたしましたように、一応いろいろ性格論としては問題がありますが、それを見てみまして出した場合に、完全実施できるかできないか、できない場合には借入金で、来年度にはそれが返還できるかどうかというような要素も考えて、裁定実施する措置を予算に組みまして、現在折衝いたしております。
  38. 成田知巳

    成田委員長 大体わかりましたが、最後にお尋ねしたいのですが、仲裁裁定を非常に尊重されるという御意見ごもつともであります。ただこの仲裁裁定というものは給与の面だけだと、こういうような御答弁もあつたように聞いたのですが、この仲裁裁定の理由書を見ましても、七のところでありますが、「本裁定実施のため必要となる経費はおおむね二十四、五億円程度と推算され予算総額の三%弱に当る。」そのあと電信電話事業運営状況について概括述べまして、結論として、増収あるいはその他の収入の確保、諸経費の節約、予備費の流用その他により真に労使の協力があるならば、この程度賃金引上げは可能となると考えられる、こういう結論が出ているわけなんです。仲裁裁定も、申すまでもなく公社経営状況相当考慮して、その上の裁定だと思うのです。この裁定、この程度賃金引上げは、公社の経理能力あるいは賃金状況からいつてただちに可能だと考えられるか。この裁定に対して靱副総裁は、妥当な裁定であるとお考えなつているかどうか。この権威の問題ではないのです。こういう判断を下したところのその裁定ですが、裁定そのものが非常に合理的であり、妥当である、こういうふうにお考えなつているかどうかということです。
  39. 靱勉

    靱説明員 裁定の理由書に書かれてあります点は、全体を通じましてごもつともだと私ども考えております。ただ三十億という具体的数字をもつて、これだけは増収になるだろうとおつしやつておるのでありますが、支出の増というものについてお考えなつていないという点は、なお考えて行かなければならぬ問題ではなかつたかというふうに考えております。と申しますのは、前年度におきましては、御承知のように三割近くのベース・アップをいたしましたが、これは十一月から実施いたしておるのです。四月以降におきましてはそれは全部かぶつております。さような次第でございますから、支出の面というものは、これは当然前年度よりふえて参るのでございますから、純益というものは前年度ほどとうてい出ないということがまず考えられる。第二段としましては、何と申しましても国際通信収益性というものは強かつたが、これが本年度はないということも考えて行かなければならぬ。そこへ持つて来てまずいことには、前年度災害はなかつたのでございますが、本年度は二回、三回と災害を受けて、これでもつて三十億余りの金が出て行つた。こういうようなことが本年度に至りまして、支出が非常にふえて来る原因になつている。これははなはだ不幸な現象といえば現象でございますが、そういうようなことも考えてみなければならぬのでありまして、もちろん経営合理化あるいは経費の節約等、できるだけのことはやつているのでございますが、またこの裁定の理由書に書かれてある御趣旨はもつともでございまして、労使がこの問題をうまく解決して行く、ほんとうに職員が一体となつて、積極的に仕事を推進して行くという趣旨をうたわれてある点については、私どもも同感でございますが、実情は今言つたように、必ずしも楽観ができないような状態にあるということを御了承願いたいと存じます。
  40. 成田知巳

    成田委員長 次会は公報をもつてお知らせすることとし、本日はこの程度にて散会いたします。     午後三時七分散会