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1953-11-06 第17回国会 衆議院 通商産業委員会 第3号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和二十八年十一月六日(金曜日)     午前十時五十七分開議  出席委員    委員長 大西 禎夫君    理事 福田  一君 理事 中村 幸八君    理事 長谷川四郎君 理事 永井勝次郎君    理事 伊藤卯四郎君 理事 首藤 新八君       小川 平二君    小金 義照君       土倉 宗明君    柳原 三郎君       山手 滿男君    加藤 清二君       齋木 重一君    中崎  敏君       山口シヅエ君  出席政府委員         通商産業政務次         官       古池 信三君  委員外出席者         大蔵事務官         (銀行局総務課         長)      大月  高君         通商産業事務官         (繊維局長)  徳永 久次君         中小企業庁長官 岡田 秀男君         中小企業金融公         庫総裁     坂口 芳久君         中小企業金融公         庫理事     中野 哲夫君         専  門  員 谷崎  明君         専  門  員 越田 清七君     ————————————— 本日の会議に付した事件  中小企業金融に関する件  繊維に関する件     —————————————
  2. 大西禎夫

    大西委員長 これより会議を開きます。  本日はまず中小企業に関し質疑通告がありまするからこれを許可します。小川平二君。
  3. 小川平二

    小川(平)委員 公庫資金運用について二、三簡単にお尋ねをいたします。一括してお尋ねを申し上げますから、一括して御答弁が願えればけつこうでございます。この資金が非常に限られておるので、言うまでもなく合理的な適正な配分がなされなければならぬわけであると思うのですが、これは常識的には地域的な特殊事情というものも勘案して金融機関別わく決定なさつておるのではないかと思うのです。その点について重ねてお尋ねをしないつもりですから、ごく詳細に、どういうふうな方法で御決定になつておるか。いろいろな金融機関別に今後貸出しに向け得る金がどのくらいあつて、どういう機関にどういうわくが定められておるかという点を詳しく承らせていただきたいと思います。  第二に、最近代理機関の第二次の指定が行われるやに承つております。これも十月早々には御決定になるように聞いておりますが、だんだん延びているようでありますが、いつごろこれをおきめになる御予定であるか、それから今度相当たくさん信用金庫指定になるようですが、どういう基準資金わくをおきめになるか、この点を詳しく伺わせていただきたいと思います。仄聞いたしますところによると、二億五千万円くらいの預金の高で線を引かれる、これ以下に金額を下げると、資金効率等の点から、たださえ足りない金なんだから無意味なことになつてしまうというようなことを、非公式にではありますが、岡田長官から承つたような記憶がある。ところが最近また聞くところによりますれば、二億五千万円を二億に下げたようなお話も聞いております。そうしますると、今申した資金効率というような点から考えて、これは何もならぬ。そんなにわずかな金をまんべんなくばらまいてしまつたのでは効果が上らぬのじやないかということも考えられるわけです。これらの点をどういう方針で処理なさるおつもりであるかということを承りたいと思います。  それからこの資金わくの設定に際して特にお尋ねいたしてみたいことは、御承知のように全国的にあつちこつちに冷害並びに病虫害が発生している。地方の小都会などはこういつた周辺の農村によつて、いわば培養されておる。これだけにたよつて存立をしておるというようなところがたくさんあるわけでありまして、冷害病虫害に伴う購買力の低下ということが、年末にかけて非常に深刻な影響を及ぼして来るのではないか。そこでこの際ぜひともこれらの地域の信用金庫等わくを設定される場合にはこういつた特殊の事情を十分に勘案してきめていただかなければならぬ。こういうふうに私は考えるのですが、この点をどういうふうにお考えになつておるか、承らしていただきたいと思います。  それから資金の貸出しの方法二つ方式があるわけですが、聞くところによりますと目下のところは公庫人手不足のために、もつぱら甲方式代理機関が専決する方式、これだけをやつておられるということを聞いております。こういうことをいつまでもやつておるのでは、そもそもこの二つ方式にわけた意味がなくなるのでありまして、遠からざる将来、十分スタツフも充実なさつて、そうして両方式を併用なさるという御準備があるのかどうか、その点もどうか詳しく承らしていただきたいと思います。  それから何分発足早々のことで、これは必ずしも正しい観測であるかどうかわかりませんが、私が今日まで見聞しております限りにおいては、どうも地方銀行というものがこの資金を扱うということに対して非常に冷淡、むしろ無関心である。この資金を借りに行くと、あんなものはどうでもよいじやありませんか。借りたければ私の方のお金を貸してあげますと言われた。こういうような事例も聞いておりますし、私の実際に見聞きしました幾つかの実例は、今日に至るもまだなお申込みの書式すらそろつていない。本店から何も言つて来ませんからまあしばらく待つてくれ、九月の初めに公庫が発足しておるのに、今日に至るもまだそのような状態地方銀行がたくさんございます。こういうことをこのままほつておいては、はなはだおもしろくないと思うのですが、一体今日まで地方銀行にどのくらいの金が流れて、現実に何件ぐらい貸出しが行われておるのか、こういう点をひとつ詳しく承らしていただきたい。  それから最後にこれは特殊の問題でありまするが、貸出しの対象になる業種として、旅館業指定されておる。ところが今日までの状況を聞いてみますと、どうも旅館というものが非常にまま子扱いをされておるような感じを受けます。一たび業種として旅館業指定された限りは、他の業種との間に差別を設けずに、どしどしと貸出しをなさつてしかるべきではないかという感じを受けるのですか、聞きますると、たとえばネオンサインはいかぬ、あるいはふろ場の新設はいけない。部屋の増築には金が出せないけれども、台所の拡張には金を出す。何か非常にやかましい基準が設けられておる。何もそう重箱のすみをつつ突くようなことをおつしやらずとも、一たび旅館業というものが業種として指定されておる限り——まあネオンサインというものに大きな金が流れることは、目下の情勢からおもしろくないことかもしれませんけれども、そういうことはむしろ国策に属することであつて公庫としては金融機関立場から、一たび業種として旅館業を認めておる限り、いわば私経済的な観点からだけ御処理なさつてよいのではないか。ネオンサインといえども実際お客を吸引するためには必要な商売人の武器なんですから、あまりこまかいことをおつしやらずに、旅館にも、健全なものにはどしどしお金をお出しになつてしかるべきではないか。業種として認めておきながら、まるつきりまま子扱いをなさることは、どうもふに落ちないという印象を私ども受けておるのでありますが、こういう点についても伺つておきたい。  以上一括してお伺いいたします。重ねては伺わないつもりですからどうか詳細に御説明願いたい。長官なり坂口総裁からお伺いいたしたい。
  4. 岡田秀男

    岡田説明員 私から、お尋ねのうち大体役所関係からお答えした方がよろしいかと思われます点につきまして、お答えを申し上げまして、あとの具体的な問題につきましては公庫の側からお答えを願うようにいたしたいと思います。  金のわくでございますが、これは各銀行あるいは相互銀行信用金庫、商工組合中央金庫、信用組合、その他金融機関別に大きなわくを設定いたしまして、そのわく範囲におきまして今度は各銀行別にわけるという結果から見るとそういうふうな形になつておるのでございますが、実際はまた逆の方から考えまして、それぞれの金融機関の中身でありますとか、中小企業金融に対しますやり方の実績等を勘案しまして、それぞれのものを検討を加えて、それを集計いたしましたものが逆に各銀行わくになり、相互銀行わくになり、信用金庫わくになつておるというふうなかつこうにもなりまして、そういうふうなことを考え合せまして、それぞれの金融機関別わくができておるように私どもつておるのであります。この銀行グループ別金額その他につきましては、公庫の方からお話を願うようにいたしたいと存ずるのでございます。代理店関係でございますが、これは当初公庫出発開店をいたしました九月十一日、これはこの法律が施行になりましてからわずか一箇月と少々でありまして、代理店につきまして詳細なる調査をやるいとまがございませんでしたので、まず日本開発銀行当時の代理店の中から、この通産委員会におきまして附帯決議が行われました中で、大銀行は当分のうち代理店から除外するようにという御趣旨がありましたので、それにのつとりまして、これを省きました百六十九の金融機関をまず第一次の公庫代理店といたしたのであります。その次に多少こぼれておりました点の手直しといたしまして、農林中金以下十三の金融機関を加えました。これが十月の一日でございます。一応こういうことにいたしておりまして、その後公庫として新しい見地から、全国の金融機関につきまして、どの程度代理店を追加することが適当であるかということにつきまして、いろいろと検討を加えたのでございます。御指摘になりましたように一番問題になりましたのが、信用金庫のうちどの程度のものを代理店にするかという点であり、苦労もいたしたのでございます。この信用金庫代理店にします問題とからみます点は、信用協同組合との関係が問題に相なつて来るのでありまして、信用金庫信用協同組合とをどういうふうな扱いにするか、信用協同組合につきましては、附帯決議におきましては商工中金の下へ括弧をいたしまして、信用協同組合の分を含むというふうに書いてございますので、これの解釈扱い方というものもいろいろと頭を悩ました点でもあつたのでございますが、法律上の解釈からいたしましても、副代理というふうな形がとり得る。すなわち商工中金代理店にいたしまして、さらにその下に信用協同組合をつけまして、代理のまた代理というような形をとることが、法律におきまして強制立入り権でありますとか、いろいろ強制の調査をやるという規定の解釈からいたしまして困難ではないかというようなことも考えられました。また一方信用協同組合の中にはかなり業績をあげ、内容も充実いたし、あえて信用金庫と遜色のないものも相当ございます。これらのからみ合いをどう考えるかという点が一つのむずかしい点であつたのであります。一方におきましては、これに関連いたしまして公庫の金をあまねく中小企業者に行き渡るようにするためには、窓口の数を大いにふやすべしという要望がございます。また一方におきましては、先ほどお話がございましたように、あまりに窓口をふやしますと、一店舗当りに出しまするところの公庫わくが小さくなつて来る。そうなつて来ますと、国民金融公庫との関係とにらみ合しまして、中小企業金融公庫の特色というものがなくなつて来るのじやないか。また金がほんとうに生きて運用するという面から見て、マイナスの効果が出て来るのじやないかというふうな点、この両々相反しまする要望をどの程度に調整するかという点、つまり信用協同組合との関係と、今の金の関係と、両方から考え合せまして、非常に苦労をいたしたのでございまするが、結局大都会におきましては四億円の資金の量を持つておりまするもの、その他におきましては二億円の資金の量を持つておりまするものというものを一応画一的に調べまして、そのうちで代理店を希望いたしまするものにつきまして、代理店契約をすることにいたしたのでございます。一方先月の十三日に開かれました通産委員会におきまして、資金の量で一応代理店を一線を画するということをやるのは、これはよろしいが、それによつてこぼれる、つまり穴が抜けたようになつて来るような地域的な偏差というふうなものは、別途是正するようにというふうなお話もございましたので、目下われわれといたしましては先ほど申しました四億と二億という線によりまして、これを引きましたことによつて、さらに穴があるとすれば、どの程度ものを拾うことが必要かという補正の作業を現にやつておるのでございます。四億と二億の線によりまして選定をいたしました信用金庫の数は百六十八でございます。それと同様な標準によりまして選定をいたしました信用組合の数は七つであります。その他相互銀行を五つ加えまして、先般第三次といたしまして百八十という金融機関代理店選定をずるということにいたしたのでございます。さらにそれによつて地域的な穴埋めをどの程度いたすかという点につきましては、目下作業中であるという状態でございます。 この委員会におきまする質疑におきましても、方々の窓口金融機関において公庫から出しましたところのわくが少な過ぎるために、頭から断つてしまうような例が非常に多いというふうな御指摘があつたのでございます。この御指摘の点と、代理店の数を今後まだある程度ふやして行くという点との両ばさみの悩みを今続けておるわけでございますが、しかし地域的な穴埋めという点も、もとよりまた考慮しなければならぬ点でもございますので、今、両方のことを頭に置きながら、次の指定作業をいたしておるという段階でございます。  代理店公庫との契約方式が甲、乙と二つある。さしあたり甲だけしかやつておらぬのじやないか、乙の方式につきましてもこれをあまり長くやらぬということになると、甲乙二つを認めた意味がないじやないかという御指摘でございます。この点につきましては公庫より詳細申し上げるわけでございますが、私ども承知いたしておりますところでは、最近に至りまして、乙方式につきましてもぼつぼつとやつておるというふうに承知いたしておるのでございますが、詳細は公庫側からお答えをすることにさしていただきたいと存じます。  なお地方銀行公庫の金の扱いに対して冷淡であるという御指摘でございました。この点につきましてはやはり私まだ具体的に承知いたしておりませんのでございまするが、かりにさようなことがあるといたしますれば、これは非常に私どもの意外とするところであり、はなはだ不本意とするところでございます。また支店その他に対しまして、本店である地方銀行から公庫に関しまする趣旨の徹底が行われていないという御指摘でございました。この点につきましては、あるいはさような事例があるかもしれぬとわれわれも懸念をいたしておりましたところでございます。公庫の方に対しましても極力私どもからも鞭撻をいたしまして、理事その他機会があるたびに最近地方にせいぜい主張をいたしておりまして、この趣旨普及宣伝に努めておりますとともに、地方銀行でございますとか、相互銀行でございますとか、その他それぞれの金融機関の会合を催していただくような機会がございますれば、進んでそこへ出席いたしまして、単に公庫のお談義だけでなしに、詳細な業務上のこまかい点に至りまするまで、十分な打合せをいたしまするように、公庫側考えておると聞いておるのでございまして、現に大いに努力いたしておるように私ども見受けております。今後ともその努力を一層推進いたしまして、いやしくも代理金融機関でございます限り、支店でありましようと出張所でございましようと、そこへ中小企業の方が参られますれば、公庫に関しまする事柄は一切よくわかるということに一日も早く持つて行くように、今後とも努力を続けて参りたいと存ずるのでございます。  旅館の問題でございまするが、旅館公庫の貸し出し得るべき業種の中に掲げられておりまするので、もとよりこれを差別待遇をするという趣旨は毛頭ないのでございます。ただ旅館と申しまするものの中には、往々にいたしまして、いわゆる社会通念から見て健全なる旅館と目しがたいものもあるのでございます。さようなものに対しまして、税金から運用されておりまするところの公庫の金が、ますますその不健全性を助長するような方向に流れることは、注意をいたさねばなるまいという趣旨から、健全なる旅館——これは抽象的ではなはだぐあいが悪いのでございますが、芸者を上げて騒ぐ、あるいはその他のような遊興的な方面に特に営業方針をとつておりまするような旅館に対しましては、この貸出しをしないというふうな運用方針をとつておる点は、これは御了承を得られることと存ずるのでございまして、さようでない限りにおきましては、当該旅館に対しまして、貸出し上差別待遇するということはないようにいたしておると存ずるのでございます。  一応私ども立場から概略御説明を申し上げたわけでございまして、あと公庫から御答弁をさせていただきたいと思います。
  5. 坂口芳久

    坂口説明員 ただいま岡田長官からお答えがありましたので、補足させていただきたいと思います。  第一に、代理店わく配分の点でございますが、長官から御説明になりました通りでございますが、その後段の方で御説明になりましたように、各代理店別資金わくはきめて参りまして、その結果としましてこの金融機関種類別金額が、出たのでございます。各代理店ごとにきめます範囲は、公庫開発銀行における実績等も参酌いたしまして、新規のものにつきましてはその地方中小商工業などの様子と、なおその代理店処理能力と申しますか、そういうもの等を参酌いたしまして、新規のものにつきましては、一応腰だめにきめてあるわけでございます。そうしてきめました結果、各種類別金融機関代理店金額が結果として出たのであります。その金額は十一月四日現在におきまして、地方銀行が十八億二千八百万円でありまして、相互銀行が九億五千百万円、それから信用組合を含めまして信用金庫が九億一千万円、それからそのほかの金融機関が十一億になつております。  次に今後の代理店に対しての資金効率が非常に少いという点に対しましては、非常にこまかくわけましたので、資金効率の点から遺憾の点があるのじやないかということでございました。それはただいまお話になりました通り両方の見方がございますが、要は将来資金の量がふえて参りますれば、この非難もだんだんに少なくなつて行くのではないかと考えております。  次に冷害関係で特別の措置をしたかというふうに伺いましたが、冷害は御承知のように、水書のように直接の損害がないものでありますから、私どもの方では、水害につきましてやりましたように特別の融資をいたしますことは、間接損害になつて参りますので非常に困難なのでありまして、東北地方その他から冷害による資金をどうするかというお話がございましたが、間接の方でございますから、主として運転資金が多いかと存じます。そんなこともにらみ合せまして、長期の運転資金をいたしますことを、出資の時期等も考えましていたしたような点であります。なお代理店資金わくにつきましては、その地方状況によりまして、配分方について考慮を加えて参りたいと思います。  それから第二の甲方式乙方式でありますが、ただいま資金をなるべく早く出しますために甲方式を主として慫慂しておりまして、乙方式につきましては、その準備を進めております。まだ乙方式でやつたものはございませんが、乙方式でやりますには、自分の方で調査いたしまして貸付の決定をいたすのでございますので、多くの乙方式のものが出て参りますれば、私どものただいまの陣容では、非常に長い時間をかけまして、かえつて実際の中小企業者に御迷惑をかけるのではないかという考慮から、まず甲方式の方をお勧めしておるような次第であります。  それから地方銀行の中で非常に不勉強のものがあるということでありますが、実は中にあまり実績もない地方銀行もございますが、非常にたくさん出しておられる地方銀行もございます。この点につきましては、まだ出していないような非常に熱意の足りない銀行代理店に対しましては、十分に勧奨して参りたいと思います。ただいま長官からお話のありましたように、先月末からただいまにかけまして、代理店を各地方別に十数箇所に集めまして、代理店の方との連絡会を開いております。もしそういうところがありますならば、その機会にも鞭撻いたしますし、また私どもなるべく地方に参りまして代理店にそういうことのないように処理して参りたいと考えております。  それから旅館につきましては、長官からお答えになりました通りでありますが、なお旅館の監督の関係の官庁とも密接な連絡関をいたしまして指導して参りたいと思つておりますが、旅館に対する資金は、他の業種に比べまして、ただいまの実績は割合に多く出ておるように私ども見ております。  以上不十分でございましたが、長官の御説明に補足させていただきました。     —————————————
  6. 大西禎夫

    大西委員長 次に繊維に関する件について調査を進めます。質疑通告がありますから、これを許します。長谷川四郎君。
  7. 長谷川四郎

    長谷川(四)委員 局長は全世界を歩いて来て、世界繊維産業と比較した日本繊維産業をどういうふうに改革をして行かなければならないかということは、局長みずからはつきりとしておると思うのでありまして、私が何もこの点について質問する必要はないと思うが、あなたがその新しい知識をもつて日本の抜本的な改革をなさんとするお考えとマツチするかいなかは別ですから、一度お伺いしてみます。  わが国が自立経済をしなければならぬということが前提でありまして、自立経済をするのにはどうやつて行くか、それにはみずから国内資源をいかに活用するかということが、一にかけられた問題であろうと思うのであります。そこでまず繊維に関しまして国内資源というものが最も豊富にあるものは何であろうか。言わずと知れた化学繊維だと私は信じます。そこで化学繊維すなわちアセテートにいたしましてもナイロンにいたしましても、これらが今非常に大きな計画をもつて臨んでおるようでありますが、これらに対する金融の面をどのような処置をとつておるか、どういうような折衝をあなたはやつているかということをまず伺いたいのであります。
  8. 徳永久次

    徳永説明員 ただいまお尋ねのございました繊維産業特に化繊に対しまする金融の問題でございますが、化繊の中でもわけて考えまして、御承知の人絹、スフのような工業は、すでに歴史も相当古うございますし、また企業そのもの経済力相当充実いたしておるというような事情がございますので、私どもそれらの企業は、政府資金が十分ある際はともかくでございますが、目下状況では、まあ自前で何とかしてもらいたいという態度をとつておるわけであります。ただ合成繊維関係につきましては、これは新たな投資に非常に莫大な資金も要しますし、また新しい産業として、大衆の消費者がその製品になじまない関係から、その苦労というものもございますし、また国策的に一日も早く成長を期待するというような産業でもございますので、これにはできるだけ多くの国家資金をつけることによりまして、その企業化を促進するという態度をとるべきではないかということで、乏しい国家資金投資わくの中から、今年度におきましても、とりあえず、二十五億のわくを設定していただきまして、これの配分をいたしておるわけでございます。なお重ねまして国会側からも、もう少し出すべきではないかという御要望もございまして、私どもその増額方につきましても、今開銀その他と折衝いたしておるというような事情でございます。
  9. 長谷川四郎

    長谷川(四)委員 二十五億という金はもうすでに出ている金じやないかと私は思うのですが、あと新たに相当に申込みの額があると思うのですが、その見込みはどんな程度に行つておるのか、あなたのお考えとして見込みがどの程度、それが可能性があるかないかをお聞かせ願いたいと思います。
  10. 徳永久次

    徳永説明員 この業界から出て参りまする希望額というものを集計いたしますと、実は二十五億なり三十五億でも足らないというような数字にもなるわけでございます。ただ私ら特に値切るというつもりもございませんけれども企業家が必要資金を、できたら大部分を政府に出してもらうというようなつもりの希望額ということにも出て参つております。それでは他の資金との均衡も失しまするし、また企業家としての自己の力、信用力による増資、あるいは銀行に対する信用力というものの力も当然あるべきであるとも考えますし、そこらの点をほどほどに見て考えましてしかるべきではないかと思うわけでありますが、さようなことにいたしますと、実は合成繊維関係につきましては、本年度まさに事業化されんとしつつある計画につきましては、それに国家資金が二十五億プラス五億ないし、十億あれば、これも見方によりますけれども、十分ではないかというふうに考えておるわけであります。ただ来年度以降さらに飛躍的な計画というものも立てられておりますので、それになりますと、また別な、引続きまして大きな資金需要というものも出て参ると予想されております。本年度としてはこの程度の金がつけ得ますれば、企業家の工事の推進に支障なしにやつて行けるのじやないかというふうに見込んでおるわけであります。
  11. 長谷川四郎

    長谷川(四)委員 次官にお伺いいたします。ただいま局長さんの御答弁がありましたが、日本繊維工業というものを輸出産業の一に指定——というわけではないけれども、重点的の産業の一つに入れて進めるべきだというようなお考えが次官としてあるやいなやをまず一点お伺いいたします。
  12. 古池信三

    ○古池政府委員 繊維工業は申すまでもなくわが国といたしましてきわめて重要なる産業の一つでありまして、これによつて国民の衣生活を充足するのみならず、ひいて輸出産業といたしましても、できる限り育成して外貨の獲得に寄与せしめたいというふうに考えております。
  13. 長谷川四郎

    長谷川(四)委員 そこで繊維産業の中にも幾多ありますけれども、大体ただいまアジア全般を見るときに、もうすでに行き詰まり状態繊維産業もございます。しかし今後将来にかけてこれこそ将来性があるという繊維産業はすなわち合成繊維だと私は信じます。そこで今この合成繊維というものがやや芽ばえて参りまして、これから一応世界のレベルにまで到達せんとする意気込みをもつて進まんとしておるときである。このときに一番困つておるのは資金面であると思うのであります。あなたのおつしやるように、国がそれに産業の重点を置くとするならば、これらに向つて資金面というものも大いに考えてやらなければならないと思うのでありますが、こういうような点も考え、さらに私が先ほど申し上げました通り自立経済という点から考えて行つて国内の地下資源というものを生かさなくて、どうして日本自立経済というものが成り立つかということであります。申し上げるまでもなく、アメリカにおいてもルーズヴエルトのとつた二ユー・デイール法というのは、すなわち国内資源というものをいかに活用するかという点から現われて来ておるのでありまして、こういうような点はひとりアメリカばかりでなく、ソビエトに至つてもその通りであり、あらゆる各国がそのように今進んでおるのでありまして、ぜひともこの合成繊維に政府としてもう一段の希望を持たせなければならない。その金融の面に対しましては、次官みずからこれらに折衝して、そうしてこの資金繰りをつけてやるのが当然の役目であろう、こういうふうに私は考えます。そこで今局長の話のように人絹スフ、ビスコース・スフこういうようなものは一応成長した観があります。そこで成長した観がある上に立つて政治の上からどのような態度をとらなければならないかということであります。それでその態度をとるということは、すなわち今の原糸の価格の浮動性、つまり値の上つたり下つたりがあまり大きいために、常に日本繊維の輸出というものが伸びたり縮んだりして、さらに日本、という国自体の貿易が信頼性を失つているということは争われないところの事実でなければなりません。従つてそれをどういうふうにしたならば、輸出貿易に対する原糸というものを安定した価格で持つて行けるかということであります。私はここに図解をして参つたのでありますけれども、この図解で言うならば、日本の織物業者がここにあり、日本のすなわち六大人絹会社がここにあつて、この織物業者が人絹会社から原糸を買つて、そうして輸出商に渡し、貿易商を通じて外国へ輸出して行く順序でございます。これに対してたとえばポンド百九十円のものが三百六十円になり、あるいは二百五十円と一箇月内に常に百円ずつも行つたり来たりしておる、そういうような原価でもつてどうして安定した輸出貿易を行うことができるかということであります。そこでこの例は九月二十日現在でございます。当時日本の織物業者が買う原糸というものが二百九十円であつた。この二百九十円の原糸を買つて、そうして織物業者が輸出貿易をやつておる。一面また人絹会社が輸出商へ出す原糸というものがここに出て行つておる、この価格の相違というものがかくのごとくあるのであります。従いまして先月の最高値は三百四十円でございます。昨年の十一月貿易した人絹糸は百六十四円で出しております。たとえば百九十円、まあ二百円で出してやつたとして、国内の織物業者がそれを三百円で買つて同じところに出してやるとして、どうしてこれが引合うはずがあるか、こういうようなところに大きな矛盾があるのではないかと思うのであります。従いまして局長はこれらの点について長らく外国へ行つてつぶさに御研究をなさつて来たから、おそらくこれに対してどういうふうに日本の輸出貿易を持つて行かなければらならないかということは、はつきりと自分は確信をもつて臨んでおると信じてやみません。こういうような点に考えまして、さらに輸出商はこの貿易をしたために、これに対するところの一〇%の優先外貨をとつて、これは保護政策を受けておる。織物業者は何も保護政策を受けずに、その資金はただいま議論の的になつておるような金融公庫ができましても、さらにこれらのものには一切渡つていない。税金はといえば、税金はこれが一番納めなければならない。反面労働基準法によつてこれらの業態というものは日に増し混乱の状態になつて、今滅亡の時期にあるといわなければなりません。こういうような段階から行きまして、八月、九月のあなたのお手元にある、つまり輸出貿易じりを見ればわかる通り、この織物の輸出が三分の一に低下しておるということは、どこに原因があるかということをお気づきになつておるやいなや、お気づきになつたとすれば、どうやつて安定価格を保たせて行くかということをやらなければならぬと思うのであります。私はこういうような点等から考えまして、そこで、織物業者がここへ貿易をした。その貿易した場合には、税関証明というものが出るから、その税関証明というものをすみやかに輸出商に渡して、輸出商は即座に織物業者に渡す。渡つた織物業者はこのチケツトを持つて行きさえすれば、人絹会社からは一定の安定した価格をもつて年間の貿易の契約ができる、こういうような方法をとるべきであると信ずるのであります。従いまして、この図は大ざつぱでありますけれども、この間には糸商というものがここにあり、また外国の輸出商というものもあります。たとえば外国の輸出商があつたとしても、私はこういうことがなぜ行われないかと思う。前国会におきまして、今おいでになる局長に私が、どうしてもこういう方法をとらなければ輸出貿易というものの将来性は疑われるではないかという質問をいたしましたところが、局長は、こういうむずかしいことはどうしてもできないというようなお言葉でございました。なぜできないか、どうしてこういうことができないか。何のために役人を日本は雇つておくのだ。血税をしぼつた金で役人を何のために日本は雇つておくのだ、民生の安定のために役人というものを置くのではないか、どうしてそれができないのか。できないなどというたわことはない。すべてよその国がやつているのにどうして日本——よその国、たとえばアメリカに比較して、日本の人口から見てどれだけの役人がよけいにいるかという、こういうような点から考えても、よりよいところの貿易の施策が講ぜられなければならないと思うのであります。こういうような点について、私は局長の留守の間に化繊課長のところに参りまして、どうかこれをやつてくれ、これをやらないとするならばどうしても日本の輸出というものは成り立たないのだからやつてくれということを再三再四相談をしております。もうおそらく発表する段階になつておると思うのでありまして、局長からこの説明をお願いをいたします。
  14. 徳永久次

    徳永説明員 御承知のように、日本繊維産業は、今お話がございましたように、価格が非常に浮動いたしまして、それが輸出の障害になつておることは御指摘通りでございます。ただ、これには、繊維関係する業界人が非常に多いということ、それからまた需注関係あるいは国際的な価格の変動の推移その他というものが取引所を通じまして非常に敏感に反映する仕組みというものが非常にあるわけであります。この間に、正常な需注関係の反映のみならず、取引所にいわば投機的な要素の反映ということもあると思います。原因にはいろいろな非常に複雑なものがあると思いますが、しかしこれを経済の正常な形として、今のような自由経済の形で、取引所というような価格の自動調節の最もしやすい機関というものを設けてやつている仕組みそのものには、制度的に欠陥があるものとは私は必ずしも考えないのでありまして、その細部の運用等につきまして手直しをするようなことはいろいろとあるのだろうと思いますが、それを根本的にかえまして、そういうものをなくし、あるいは人為的なコントロールの手を強めるというような形は、むしろ長い目で見まして健全な発達によいかどうかということには若干の疑問があるのじやないかというふうに私は考えるわけであります。と申しますのは、日本の人絹だけを考えてみましても、御案内の通り世界的に見まして、輸出関係です、国内的に批判しますればいろいろの難点もございますけれども、やはり世界のトツプを行つておりまして、ことに織物関係になりますれば、人絹では、インド市場におきましてイタリア人絹に日本の人絹が圧倒されたというような問題も今起しておりますけれども、しかしイタリアでは、日本の織物には絶対にかなわないという悲鳴を上げているというような状況が現状でございます。ということは、日本の人絹織物工業というものそれ自身の持つている力というものはいろいろとすぐれたところがあるということの証明ではないかというふうに考えるわけであります。以上のようなことを背景に持ちまして、先ほどお尋ねがございました輸出関係の価格の安定のために原糸織物輸出というものの一つの特別のルートをつくつたらどうかという御意見でございますが、私、前国会中におきましてお尋ねがございました際にも、これは不可能だと申し上げた記憶はないのでございまして、ただ問題は、綿や羊毛につきましては似たような制度をすでに実施いたしております。人絹関係につきましては実施は当時からもう研究はいたしておりましたけれども事情の異なる点は大きな点が二つございまして、その二つの極端な異なる事情のために綿や毛のごとく簡単に実施しがたい面があるのだということをお答えしたように記憶しておるわけでございます。その二つの点と申しますのは、一つは、原料自身に対する政府のコントロールの力というものが、全然人絹につきましてはないということ、と申しますことは、逆に申しますと、綿工業及び羊毛工業につきましては、その原料がほとんどすべてが輸入原料でございますので、その輸入原料の機業者に対する配分の仕方、その仕方によりましてある程度輸出を特別扱いにするようなことが可能になるわけでございますが、人絹につきましては、御承知のごとく、その原料の大部分というものは国産のパルプによつてできておるわけでありまして、これを統制するというようなことはいささか問題でもございまするし、著しく羊毛、綿花の事情と異なつた点でございまして、それが一つの難点でございます。それから第二の点は、人絹織物工業の大半というものが非常に多くの機屋によつてつくられておりまして、その機屋からできました織物の原糸がどこの原糸であるかということ、どこの人絹メーカーの原糸が使われるかということが調べ上げにくい事情があるわけでありまして、その点の難点が綿や羊毛の場合より著しく違う点です。その二つの難点から、綿工業につきましては昨年の十二月から始め、羊毛工業につきましては本年の七月から始めました制度というものが、人絹があとまわしにされた事情でございます。なおほかに技術的にむずかしいいろいろな問題もあるわけでございますが大きな点はその二つであるわけであります。しかしいずれにいたしましても、私ども、今御指摘がございましたように、日本の人絹産業、ことにその輸出価格を極力安定せしめるというような効果の生ずるような施策というものを何らかやるべきであるということは、御説の通りでございまして、私どもも、それにはできるだけの力を尽すべきではないかということには、全然同じ考えで、ない知恵をいろいろしぼつておるというような事情であつたわけでございます。そこで実はいささか事情が綿と羊毛と違いますけれども、御承知のように最近になりまして人絹、スフの生面が伸びて参りまして、他方その原料であります。パルプというものは、すでに一つの飽和点に達しております。一部のパルプ原料というものを輸出いたしておるわけでありまして、この輸入量がたまたまでございますけれども、数字といたしまして輸出品の製造に必要とするであろう原料くらいのものを輸入しておるというような、量的にそういう事情にもなつてつておりますし、また輸入されますパルプの価格というものが、国産のパルプの価格より若干安い。割合にいたしまして一割か一割五分見当でございますが、割安であるというような点に着目いたしまして、ある程度パルプを輸入しなければならぬということであり、しかもその輸入されるものが、国産より安いのだというならば、輸出を優遇する意味におきまして、輸出品は輸入原料でつくられるというように持つて行つた方が、少しでも輸出の価格の引下げに役立つのではないか。先ほども申し上げました通り、アジアにおきまする大きな市場の一つでありますインドにおきまして、イタリア人絹に日本の人絹が負けておるというような事情もあつたのであります。そういう国際的の競争力を少しでもつけるというような意味で、輸入原料は輸出の原料として渡すというように着眼してすることが輸出振興の見地から必要であり、適当であるのじやなかろうかということも考えまして、その輸入原料の配分にあたりまして、輸出用の糸の製造に、輸入原料をお渡ししますと、そういう実はやり方を始めました。十月一日以降のものからこれを適用するということで、要綱はすでに発表いたしまして、現実には為替資金をおろす操作は、まだ若干準備関係で延びております。しかしそれもきわめて近々のうちに措置されるという段階に来ておるわけでございまして、これはまあ業界に十分の用意なしにと言つたら語弊がありますけれども、いろいろ資料の不備な点もございましたけれども、それを一日も早くやるべきであるということで、要綱をきめて今業界の方でそれに即応する資料の整備その他の準備をいたしておるということで、実施がちよつと遅れておりますようなわけであります。この意味におきまして、今長谷川先生からお話のございました趣旨通りには、百パーセント参らないかもしれませんが、ほぼ同じ目的のために、ほぼ同じような結果になるごとく、事態は動いて参るんじやないかというふうに考えるわけであります。と申しますのは、人絹会社は輸入パルプをもらいますためには、自分のところの糸がどれだけ直接糸のまま輸出した、あるいは織物になつて輸出されたという証明書というものを、税関の輸出からバツクしましたものを、輸出商を通じて手に入れて来なければ、その製造に要する原料でありますパルプが手に入らないということになつておりますので、人絹会社としましては、輸出を出すことに興味を感じ、またそれでなければ安いパルプがもらえない。従つて自分が原糸のまま輸出します場合には、当然輸出商にこの証明書を自分のところに返してくれというふうに要求し、またそれが織物として出ます場合には、機屋さんに対しまして、輸出であれば輸出の採算に合うように原糸を供給し、そのかわりそれを輸出商を通つて輸出ができたら、その分はこれは自分の原糸なんだから、証明書を返してくれるようにしろよという条件づきで出すようになると思います。そういうふうに事態は動くと思いますので、今長谷川先生が御指摘になつたのとほとんど同じ効果が、この輸入パルプの人絹あるいはスフ製品の輸出に対するリンク制というものの実施によりまして、実現し得るのではないかというふうに考えておるわけであります。
  15. 長谷川四郎

    長谷川(四)委員 いかに日本の織物業者の資本というものが弱体であるか、三品市場へ五千万円持つて行けば、三品市場が自由になります。それほど日本の織物業者というものは弱体化されておる。その中間において、そういう人たちに左右される。従つてもうけるものはだれがもうけるかというと、人絹の六大メーカーだけであるというようなことは、私は一つの社会問題ではないか、こういうふうに考えるのであります。従いましてそれの代償として、輸入パルプの問題、輸入パルプは国内の価格に比較して、大体一割八分ないし二割安でございます。ですから一定の安定した価格をもつてきめてやつた場合、たとえば今局長が心配しでおるのは、出してやつたチケツトというものが、織物会社が六つある。織物会社六つの中のどこから出たのかわからない、こういうようなことは私は心配ないと思います。というのは、たとえばこの織物業者はどこからチケツトで買おうとも、甲から買おうとも、乙から買おうとも、丙から買おうともをれは自由であります。ですからこの会社というものが、みずから考えて、一定したより安い品物をつくり上げて、より安く渡してやるということは、この会社の自由なのであります。私は今与党の考えておるような、自由の原則と、いうものは的はずれじやないと思う、しかしながらこういうような点からいつて、この織物会社というものが、ここから出たチケツトが、この織物業者へ百ポンドなら百ポンド出た、この出たという証明書は、たとえばAから買つたにしてもBから買つたにしても、新しいチケツトをもつて今度買い入れる場合には自由でなければならないと思う、前にそこで買つたから、またそこで買わなければならないという法則はあるはずはない、これは自由でなければならない、従つてそれだけこの会社が安く売つたというならば、二割安い輸入パルプというものを優先的にチケツトによつて渡してやる、その処置をとればいいのではないかと思うのであります。従いまして、それがめんどうだというならば、何のために調整組合をつくらしているか、何のために織物組合をつくらしているか、その調整組合なら調整組合の中に当てはめてやれば、だれが出したということは、おのずから判断できるのでありまして、そういうことに決して私はむずかしくないと思う。政府は輸出貿易に対する原糸というものを安定さして、日本の輸出をはからなければならないというお気持さえあれば、何ら多くの人手を使わなくても完成すると私は確信を持つて申し上げます、今局長のおつしやつたように、イタリアという国が出て来ておる。イタリアという国は織物という点においては日本には絶対にかなわぬということを局長はつきり見て来ておる。それが織物としてはかなわぬというのに、何をもつて原糸で競争しようと出て来たのか。それをどうして原糸をもつて出して何十万という織物業者を苦しめているのか。そういうことは政治として許されないと私は思う。役人の机の上でやるならばともかくも、政治をなさんとするならばそういうことは絶対に許されないのであります。こういう点から考えて、ぜひこの問題を早急に解決しなければならないと思う。今案ができておる。その案をぜひやつてくれといつて私も話しておるが、通産省の考え方というものが、どうも織物業者は通産省の言うことを聞かなくなつたから、今度これにかわるものとして輸出商に力を持たせかければならないという考え方から出て来ておるところに間違いがある。しからば輸出商に持たせて何になるか、何十万という織物業者に持たせなければ解決がつかないのであります。こういうような点に対してもうちよつと考え直さなければならないのじやないかと思う。十月一日からという考え方もけつこうだけれども、はたして、織物を出したそのものにそのチケツドが渡るか、チケツトが完全に行き渡るようにできておりません。できていなければ何になるか、それは何にもなりません その人に完全にそうして早急に行き渡るようにし、そのチケツトを一日も早くこれからもらつて、そしてさらに操業を続けるという方式をとらなければ何にもならないのじやないか、こういうように私は考えます。局長のお考えはどうもそこがおかしい。なるほどチケツトは出すでしようけれども、その行先はどこに行こうとも輸出商の自由でございますという考え方であるか、それに間違いはございませんか。
  16. 徳永久次

    徳永説明員 少し制度が逆になつておりまして、人絹メーカーはこの輸入原料の取得に当然興味を感ずるわけです。当然興味を感ずる以上、輸出に対して、自分が輸出する場合のみならず、人の力を借りて輸出するという場合にも興味を感ずるようになるような仕組みといいますか、そういう考え方でございます。従いまして、輸出商の方が証明書をあちこちに持つて行くという感覚と少し違うのでありまして、人絹屋さんが人絹を出します際に、直接出す場合には、輸出商と相対で、輸出商に対してこれは輸出の分だ、この値段だから、輸出の分でやつておるのだから、そのかわり証明書を貸してくれ、こう言います。そうして織物屋の手を通ります場合には、織物屋の方から、われわれの方は輸出するのだから、輸出の分だから、原糸をこれくらいにしてくれないと出しませんという話が当然出て来ます。その場合に人絹会社としては、それならば、輸出の分ならこの値段で出すから、そのかわり品物を織つて輸出商の方に出したというのだつたら、輸出商から証明書をもらつて私のところにまた持つて来てくださいよといふうに事態は運ぶと考えております。
  17. 長谷川四郎

    長谷川(四)委員 そこが私は一番重要なところだと思います。そのチケツトすなわち税関の輸出証明というものは、そこまでは完全に行つても、それから先をはつきりとさせておかなければならないと思います。というのは、人絹の六大会社というものは、終戦後ただ大きくなつたわけではありません。先ほど私が指摘したように、たとえばアセテートにしても、これに関連するところの合成繊維会社にしても、みな国が力を入れておる。たとえば四五%の復活であつても、それに対しては国をあげて力を入れ、国民こぞつて復活させておる。それで今では一応安定した工場経営が人絹、ビスコースにおいてはやつて行けるように育成をされた。であるから、私はこれがもうけてはいけないと言うのではない。商法からいつて企業とは何ぞや、企業とは営利を目的とするものだということは明らかな事実でなければならない。そういう上からいつて、これがもうけてはならないというのではない。これの原価計算なら原価計算というものを出してみて、二割なら二割という安い原料を渡されたとするならば、今幾らもうけて渡すかという年間を通じての一定の安定した価格を示して、その示した価格によつてチケツトはいつでも出させて行く、こういうふうにしなければならぬのじやないか。国内のことを言うのじやない。たとえば百六十円の原価のものがあるいは十万円で売れたとしても問題にするのではない。国民生活にそれだけの意欲ができ、それだけのことができる経済ならば私は何も言わない。ところが今の段階で、日本という国が輸出をしなければ食つて行けない、立つて行けないという国だとするならばどう考えるか。従つて日本繊維産業というものを一つの輸出品目として重要視するならば、かく深く考えなければならぬのじやないか、こういうふうに信ずるのであります。従つてきようは二人で織物に関して談論をしてもしようがない。先日も私繊政課長と綿化繊課長にわざわざ来てもらつて、いろいろ夜おそくまで懇談し、これは何とかして打開しなければならないということを話しまして、何とかその道に沿うようにやつてみようという話であつたが、いまだそれがどういうふうになつたかという話はありません。そこで次官は、先ほどからの私の質問また局長答弁を聞いておられる次官の考えでは、これら私の申し上げたような方法とつた方がいいと思うか悪いと思うか、よいとすればそういうふうにやりたいという考え方があるかないか、まず次官のはつきりした信念をお聞かせ願いたいと思います。
  18. 古池信三

    ○古池政府委員 先ほど来長谷川さんから非常に詳しい、また熱心なお話を伺つたのでありますが、私もその御説の中には非常にごもつともな点が多々あるということを本日よく承知いたしました。しかしながらこれはきわめて微妙な、また技術的な方法が多いのであります。そこでただいま私として結論的にどうこうということを申し上げることはできませんが、ただいまの御趣旨は私どももよく承知いたしましたので、今後局長、課長その他と協議いたしまして、ただいまお話のような点も織り込んで、また技術的に考えても最も適当なる方法を案出いたしたい、かように考えます。
  19. 長谷川四郎

    長谷川(四)委員 一体今輸出されておる価格と国内の価格とは同様であります。しかしこの価格はいつまた変動するかわからない。であるから常に悩みがあり、安心をして一つの注文を引受けて生産に当ることができない、こういうようなところに大きなあやまちを生じて来ておるのであります。今の価格になつたからそれでよいというのではない。今こそ今安定した価格のときにはつきりきめることが最も重要ではないかと私は信じます。どの会社にしても、たとえば三百五十円といつておるときに二百円できめなさいと言つたらその会社との折衝が容易でない。であるから、今これをきめるという政府の方針、すなわち通産省の繊維局長の腹をはつきりきめて、そしてこれを明らかにするということが一番重要なときであると信ずるのであります。従いまして、私が織物業者について申し上げようと思つたのは、先月でありましたけれども、私は福井とか、あるいは大阪、名古屋その他をまわつて見て、このままでは日本の織物業者は将来は滅亡するという考え方を持ちました。どうやつたらばこれを救うことができるかという考え方で、これを練り上げたわけでございます。これをやりさえすれば、日本の輸出織物というものの将来性というものをとりもどすことができるのではないかというように、しろうとでありますけれども考えたのでありました。私は政治の上からも、かく申し上げたような社会問題を課すべきではない。さらにもつと大きな問題は、不当取引という、価格の取引の上にも大きなあやまちを生じていやしないかというように考えます。こういうような点等を考えて、早急にこれらを実施すべく考え直していただきたいということを申し上げます。これで私の質問を一時中止します。
  20. 大西禎夫

    大西委員長 次に先ほどに引続きまして中小企業に関する件について調査を進めます。質疑通告がありまするから順次これを許します。加藤清二書。
  21. 加藤清二

    ○加藤(清)委員 ただいまたいへん御熱心な先輩議員の御説明がございましたので、ちようどいい際ですから私もこの表を使わしていただきますが、人絹のお話が主体であつたようでありますが、これと同じケースが綿の場合にも毛の場合にも行われております。そこで綿や毛の材料は、日本の内地でほとんど食いつぶしてしまう、こういうものに外貨の割当をすることはけしからぬことだ。従つてこれは削限した方がいいという考え方が、しばしば行われておつたようでございますが、そういう考え方は、腹の減つた人間に飯を見せておいて、この飯の量を減らすと同じことだからだめだということを再三私は委員会で申し上げたはずでございますが、そういう声をこういうところで出すだけでもすでに逆効果が生じて、綿も毛も、人絹も糸値がじやんじやん上つてしまつて、輸出振興どころか逆な結果が生じて来たということを皆さんよく御存じでございましよう。そこで私もいかにしたならば輸出振興が可能であるかという立場に立つて政務次官さんとそれから局長さんの御意見を承りたいのですが、例をとつてみましよう。今年買付けられました濠州羊毛の七七Bと七八Bですね、あれが百五十ペンスから百三十ペンスぐらいの春相場であります。これはイギリスへ持つて行く値段も日本へ持つて来る値段もそうかわりありません。ところでイギリスの会社へ入つて出るときには値段が千円以下です。大体七百五十円ぐらいなものです。先生はお行きになつたからよく御存じでしよう。ところが日本のメーカーから出て来るときには一体どのくらいするかというと、御承知通り千三百円から千六百円、大体四二の双にしてそのくらいの値段です。従つてその織物業者は売ることができない。原料高の製品安なんです。なぜならばここからこちらへ出るときの値段が、国際相場が糸値大体七百五十円ぐらいから十円ぐらいです。織物にすればヤールせいぜい千二、三百円なんです。そうすると原料高の製品安ということになる。これを輸出すると出血輸出なんです。肥料の出血輸出が盛んに問題にされておりますが、やがて次の国会ではこの繊維の出血輸出がもつと大きく取上げられて、国家的な重大問題になるだろうということは、業界のひとしく言つているところの声なのであります。これに対して大臣さんや繊維局長さんは、どう対処されようとしているのか。  そこで、時間がありませんから私は簡単に私案を申し上げておきます。問題はここがいけない。イギリスの会社も日本のメーカーも濠州から入れるときの値段は違いないのです。船腹の運賃も同じなのです。さて工賃はと見るというと、機械の設備からいえば日本の機械の方がいいのだ、ただかまの問題が少しイギリスの方がいいだけなのだ、あとの組織というものはみな同じなのだ、機械の姿が日本は弱小だというけれども、そんなものじやないのです。イギリスに行つてごらんになつたらよくおわかりになつたでしよう。私も見て来てよく知つていますけれども日本の方が大きいのがたくさんある、機械は小さいほどよろしいのです。毛織物なんかはネクタイと一緒なのだ、あまりたくさん同じケースのものをつくつたらこれは売れなくなつてしまう。そこで機械は小さいほどいいのです。百台から三百台くらいのケースが一番いいのです。そうするとさつきあなたが組織には何ら欠点はないとおつしやつたことは私も賛成なんだ。ところが組織の内容がいけないのだ。同じ材料を入れておいて、イギリスの会社が出すときには千円以下で出せるものが、日本の会社から出るというと、それよりも四割から五割高なのだ。ひどいのになると折れてまがつておるのだ、一体どこが悪いかということは、もうこれで明らかな事実なのだ。それにもう一ついけないものがある、ここに書いてないのですけれども、三品市場というのがここにある、三品市場というものは、そもそもこれは業界のつなぎの場として設けられたものなのです。ところがここがもうかるからというので、業界以外の資本がここへ入つて来ておる、そうして買いあさりをやる。需要と供給の関係から行けば当然の問題なのです。糸の量が一定していて、そうしてほかの資本がよけい入つて来れば値が上るのは、これは必然の結果なのだ。そこで問題は、会社の利潤をどの程度にとどめたらいいのか、資本の蓄積という美名に隠れてこれがもうけ過ぎておることは明らかな天下周知の事実なんだ、次にこのもうけるのを越えて市場撹乱をやつているのが三品市場のほかの資本なのだ。これを一体どうするのかということが目下の急務存のだ。それ以外のことをどう考えつて、どうやつてみたつてコストは安くなりません。これは糸にしたつて、生地にしたつて、ランカシアであろうが、イギリスのどういうメーカーであろうが、決して日本のメーカーは遜色ありません。さればこそ日本のメーカーでつくられたものがメイド・イン・イングランドで世界市場で売られている。銀座で売られているメイド・イン・イングランドなんというものは八割方名古屋でできておるのです。品質の遜色なんというものはほとんど見わけられない。ただ遜色がありとするならば、太番手のものだけなのだ、ホームスパン級のものなのだ、細番手のものだつたら、はるかにこつちの方が優れているのだ。そこで問題はどうしたらいいか。六大毛紡と十大綿に食いかかつて行つたならば、繊維局長ではとても一たまりもなくやられてしまう、日本政府がやられそうなのだ、ところがその弱い人間がちやんと力を持つているのだ、やれる力を持つているのです。それは何かといえば、ここへ割当てる外貨です。紡績が強かろうがどこが強かろうが、外貨を握つているのは日本政府なんですから、その外貨の割当を考案することによつて幾らでもこの力はどうにでもなる。外貨が元なんだ。そしてこの外貨割心当を第二次メーカ—にも、ここにもう一つできまする仕上げメーカー部面にも、輸出商にも、輸出に参加した者にはその能力に応じて均分にわけるという制度を考案されたならば、これは完全に行けると思う。それからもう一つ、三品市場における投資方法、会員制度を、メーカーがちようど機械台数を持つていなければ外貨が割当てられないという、すでにりつぱな組織を行つていらつしやる政府なんですから、それと同じように、三品市場においても、機械台数を持たなければ会員にしないという規則を一項だけお加えになりさえすれば、これは完全に行けると思いますが、これは一体いかがなものでしようか。この点に関してまず次官さんの御意見を承りたい。  それからついでに申し上げておきますが、それをやれば当然コストは下ります。コストが下れば輸出振興になります。出血輸出をしなくてもよろしい、こういうことになるわけなんです。そうすれば外貨の割当を削るなんということを言つて、そうして市場の値段をはね上げるような原因をつくらなくても、原毛、原綿はほしいだけ幾らでも入れてやろう、こういうことになるわけなんです。そうしてどんどん輸出して行つたら、日本の財産はますますふえて行くというわけなんですから、けつこうな話です。なぜこの外貨の割当をここの大会社だけにとどめておかれるのか、何がゆえに三品市場をしてああいうやくざ的な存在を許していらつしやるのか、私にはちよつとわからない。あの保全経済会が今度問題になつたようでございますが、あれとても一、二年前から言われておつたことなんです。今にしてこの三品市場を改革しなかつたならば、一、二年先には必ずあれと同じようなケースが出て来るということを私は予言しておきます。これは業界の声なんです。それでこの点について一体どうお考えになつていらつしやるか、はつきりした今の考え方、将来にどう対処して輸出振興をしようとするのか、この点を、まず次官さんから、それから繊維局長さんには具体的な方針というものを承りたい。
  22. 古池信三

    ○古池政府委員 なかなかむずかしい問題でありますが、しかし非常に大事な問題だと存じます。時に三品取引所の問題等につきましては、今ただちにこれをどういうふうに組織をかえるとかどうとかというようなことは考えておりません。それから保全経済会と同じではないかというお説でありますが、私は必ずしも三品取引所は保全経済会と同じようなものであるとも考えておらないのでありますが、ただいまのお話は参考として承つておきたいと思います。  外貨の割当につきましては、ただいまの御意見は私は十分に考慮せねばならぬ問題だと考えます。これらについて具体的な問題は局長から続いてお答えをいたします。
  23. 徳永久次

    徳永説明員 羊毛関係につきまして内需品が比較的高くなつていることは、御指摘通りでございますが、綿につきましても一ころそういう現象を呈しておつたのでありますが、原料輸入政策といいますか、原料の輸入をやめないのだということで、実際上外貨予算の編成におきましてもそういう措置がとられたのでありまして、その効果が出まして若干値下り現象を呈しているわけであります。今お話の中に、原料割当を、その原料を直接使う人でなしに、そうした原料を加工してできた品物を使う人にやつたら値段か下るであろうというふうな御意見があつたのでありますが、私は必ずしもお説には賛成しがたいのでありまして、三品取引所の運営そのものもけしからぬというような御意見もありましようけれども、しかしその取引所の機能というものは、ある程度国内需給の現状そのもの、あるいはさらにそれから一歩先になりました将来の需要の推算なり、あるいはさらにその業界のみならず、経済界全般のインフレ化をたどるか、たどらないかとか、そういう複雑な要因というものが判断の要素になりながら、おのずから価格というものが形成されているような事情もあるわけでありまして、そういう背景になります事態というものが改善されなければ、単に原料をやつたら値段が下るというふうになるものとは私は必ずしも考えないわけであります。その意味から、今の羊毛の国内価格の高い原因の中に、羊毛の原料のある程度の不安というものが業界に問題にされているということは相当な事実のようでもありますし、その根本が払拭されない限り、いかにその原料を織物屋にやろうが、輸出屋にやろうが国内物の価格というものには、突き詰めてみまして大差はないというふうに見る見方も十分成り立つのではなかろうかというふうに私ども考えるわけであります。さらにその原料を直接使わない人に割当をするということは、われわれは何もその原料を使う人を保護するためにそういう政策をとつているわけでもありませんが、きわめて常識的に考えまして、原料を使う人に原料を渡すというのが物事の筋道だと考えるわけでありまして、その原料をほかの人の、下請のような形に持つて行くということは、産業政策の根本をくつがえすことになるのでありまして、むしろ原料は原料を使う人に渡しながら、それから起る次の現象というものをどろ直して行くかということにわれわれの努力というもの左考えなければならないのでありまして、それを飛躍しまして、下請の形において押えて行くような形というものは、必ずしも賢明な施策というふうにも考えませんし、またほかにこれから来ます適正な原料が、適当の量輸入されるかどうかというようなことにつきましても非常な問題が起り、国民経済的にむだを生ずるということも考えられると思うのでありまして、この辺はいささか意見を異にすると思うわけであります。なお輸出価格につきましては、御趣旨のごとくリンク制によりましてある程度効果を上げ、輸出が着々と伸びつつある。但しこれも若干行き過ぎになつている点も出て参ると思いますが、ともかくある程度効果を上げつつあるということはお話通りだと存じます。
  24. 加藤清二

    ○加藤(清)委員 繊維局長さんは紡績の代弁をしておられるような気がしてかなわぬのですが、私の言うているのは、外貨割当を国内の消費にまでも及ぼせということではない。輸出振興に参加したものだけには外貨を渡したらどうか、こういう意見なんです。現にそれをやられたでしよう。そうしたら輸出が振興したでしよう。現にテスト・ケースとしてこの間やられた。輸出が振興していますよ。それはどういうことかというと、こうなんです。メーカーはこれをほつておけば高いところに売ります。決して慈善事業はやりません。自分の会社がもうかつたらいいのだ。そこで輸出が安い、国内が高い、こういう状況下においてだまつて会社に外貨を割当てておけば、もらつた外貨で買つたものは、みな高い国内の方へ出てしまう。これは当然の帰結です。従つて、それでは国内で食いつぶしになつてしまうからもう外貨を削ろうというような考え方が出て来ておる。外貨を削ろうといえば、需要と供給の関係で一層国内の価格をつり上げてしまう。ますます輸出ができなくなる。そこで輸出関係のもの、つまり輸出に参加したものだけは外貨を均分に割当てるようにすれば、これは必ずひもつきになつて輸出ができる、こういうことを言うておる。従つて輸出に対しては織物業者、輸出商にも、紡績会社に与えられていると同じように外貨の権利を与えられるが至当であると考える、こういうことなんです。決して国内商品のことまでも言うておるわけじやない。輸出振興の立場に立つてと、最初から前置きして言うておるのですから、誤解のないように願います。それでその点はどうです。
  25. 徳永久次

    徳永説明員 今秋聞き間違いをしておりましておわび申し上げなければならぬと思うのですが、輸出関係につきましては、今御指摘がございましたように、ある程度内需と異なつた原料割当のいたし方をいたしておるわけでありますが、ただその中におきまして、紡績業者に原料をやる仕組みではございますけれども、同時に関係しておりまする織物業者及び輸出業者にも直接の原料は渡しませんけれども、原料の輸入権的なものを紡績会社に幾らかは持ち込めるような仕組みにしてあることは御承知通りでございます。それを今お話のように、紡績、織物、輸出全体に、関係した割合に応じて原料輸入を認むべきであるという加藤先生の御意見につきましては、これはまずだれがどの程度輸出に寄与したかということが一つの問題点にもなりまするし、実は現在その意味でやつておるわけではないのでございます。ただ羊毛につきましては、—ほかの綿の方をごらんになればわかりますが、綿の場合におきましては、ほとんど全部紡績に原料を渡しながら、輸出と内需とが別になりつつ、しかも輸出振興の効果を上げておることは御承知通りであります。その際におきまして、織物業者、輸出業者にある種の輸入権というものは、必ずしも認めていないわけであります。制度上から必ず機屋の方に輸入権を与えなければ効果が上らないということは、綿の例から見まして、必ずしも言い得ないというふうに私は思うのであります。ただ羊毛工業の場合におきましては、私どもが多少性急であつたと申しますか、輸出がゼロに近いところから、ある程度の輸出が実現するごとく持つて行きたいという気分を私ども強く感じましたし、またそれだけにその関係する人に、より多くの興味を持つていただきたいということを考えましたがゆえに、ある程度の輸入権的なものを織物業者及び輸出業者につけまして、紡績と三者一体になつて輸出に馬力をかけていただくことを期待したわけであります。さようにいたしまして現在の制度で相当の成果も上げつつあるように思いますので、様子を見た上で、今後の処置を考えるというようにしたいと思つております。
  26. 加藤清二

    ○加藤(清)委員 繊維局長のおつしやる通り繊維局長国内に打たれた手がよかつたので輸出振興に寄与しているということは、私も同慶にたえない次第であります。これはまことにけつこうなことです。ところが綿と同一のケースに考えられておると事が間違います。これは大事なことですからちよつと申し上げておきますが、綿の輸出が別なケースで成績を上げているということは、綿ともとはおのずから違つておるのです。どう違うかというと、綿は生地やさらしものがほとんど出ておるのです。柄つきぢやないのですよ。これとても柄つきになれば当然これこれに外貨を割当てられなければならぬことが出て来るのです。ところが毛織物の場合はほとんど柄つきなんですよ。だからこそ昔から門屋のことをしまやというのです。出て行つているのはしまなんですよ。だからこそネクタイと一緒だということを私は言つたわけですよ、あなたはイギリスにお行きになつてよく御存じでしようが、輸出するときに一体バイヤーはどこに買付に来るかというと、輸出商に来やしませんよ。紡績会社にも来ませんよ。一番気にするのは織物業者ですよ。織物業者のところに来て、こういう柄のものをこういう形に織つてくれ、こう言つて来ます。そうすると、イギリスにおいても日本においても同じことですが、織物業者は、ああ、そうでございますか、それじやそれに見合う糸を買うて来ましようといつて糸を買うて来て、それを織つて輸出商にまかして出す、こういうことになつている。綿の場合は直接紡績会社に来ます。ないしは輸出商に来ます。そうしてこれは簡単ですよ。三桃といつたらどこへ行つたつてかわらないのです。毛の場合でもそういうことはなきにしもあらず、サージのごときはそうです。しかしあとは物を見ぬと買いませんよ。綿の場合は三桃、それでけつこうです。日紡の二〇、それでちやんと物を見ぬでも当然に売れて来る。それとこれを同じケースにされてはたまつたものじやない。そこで織物業者へ買付に来る。それは柄を好む、はやりを好むのですから、さればこそ織物業者は苦労をして糸を考え、柄を考える。織物業者には大学卒業の柄の研究者が、普通の会社でも三人や四人はみんなおります。そうして苦心さんたんして輸出に向けるものなんですから、従つて輸出参加者には当然の権利として与えらるべきである、こういうことが成り立ち、これに与えられることが、やがて輸出振興の元になるということであつて、綿とは、同じ繊維であつても、輸出の場合は違つておるということは、もう繊維局長、あなたの方がよく御存じのはずです。  そこで今度はケースをかえて申し上げますが、今柄のことが出ましたから、ついでに質のことについて申し上げておきたいと思いますが、外貨を割当なさると同時に、原毛のタイプを政府としては御指示なさつていらつしやいますか、いらつしやいませんか。
  27. 徳永久次

    徳永説明員 原毛の買付につきましては、実はこまかいところは私ども注文をつけていないのでございます。ただ日本の原毛が比較的割高な高級品をより多く買つておるごとく見受けられるわけであります。輸出品は輸出品の製造に最も適当な原料というものを、無制限に一番いいものを選ばるべきだと思いますけれども、内需品につきましては、比較的丈夫な安い繊維を選ばれることの方がよりよいじやないかということも考えます。さりとてこれを技術的にどれをどうこうというふうに、こまかい指示というようなこともなかなかいたしかねる事情がありますので、羊毛購入者に対しましてそういう趣旨の行政指導をしておるというのが現状でございます。
  28. 加藤清二

    ○加藤(清)委員 趣旨は私も大賛成であります。ところがことしあの七七Bか七八B程度にしておけ、それから濠州羊毛をやめてアルゼンチン羊毛にしたらどうかということが行われたはずですね。そこでどうなつたかというと、それを入れるという声を聞いただけで、普通だつたならば糸価に大きな影響があつて、あれだけのものを買いつけるということになれば、糸値が当然声を聞いただけで安くならなければなりませんにもかかわりませず、その安くならなかつた原因がいろいろございますけれども、質にあるということはすでにお気づきのことと存じます。それはどういうことかといえば、この太番手のものあるいはガリ原毛を買いつけてみたところで、これは細番手の質のいいものには影響を及ぼさないということはよく御存じのはずなんでございます。ところでその太番手のものを必要とするのは、満韓支の輸出が行われておりました戦前ならばこれはけつこうでございましよう。ところが今日満韓支は許されておりません。ほとんど熱い地方への輸出でございます。その点から考えて、輸出振興というならば、当然これは細番手のものでなければならぬと思うわけでございます。内地はそれはガリサージでしんぼうしておけ、これもけつこうでございましよう。ところが銀座で売れておるものを一ぺん見てください、心斎橋で売れておるものを見てください。嗜好というものはどんどん上品に進化しております。国会の中で皆さんの着ていらつしやる服地を見てください。ガリサージを着ておる人が一人でもおりますか。特二の汽車の中を見てください。純毛をほしいという人がはたして太番手のものを着るか着ないか、ほとんどこれは細番手でございます。そういう点を考慮に入れて原毛の買付は考えないと、量だけ多く買いつけてみても、あるいはアルゼンチン羊毛が安いからとて、そちらに向けてみても、これは内地の価格を安くする効果もなければ、輸出振興にも少し縁遠いものになるではないか、かように考えられるわけでございます。従いまして今後原毛の質を考えられまするときには、当然のことでございましようが、輸出振興と国内の需要の傾向というものとをよくにらみ合していただきまして買付なさることが、繊維局長のおつしやいました目的に最も合う結果になるではないか、かように思うわけでございます。この点をひとつお願いしたいのでございます。これは私のお願いでけつこうでございます。時間がないようでございますので、繊維のことにつきましてはもつともつと詳しく、ほんとうに輸出振興をするにはどうしたらいいか、こういう点は自由党とか社会党とか、そんなことは言いつこなし、それからまた政府側とか議員側とか国会側というようなことは言いつこなしに、超党派的に、超国家的な考え方のもとに進んで行かなければならないものだ、こう思つておるわけでございます。従いまして次の国会にはもつとたくさんな材料をひつさげて上つて来るつもりでございます。今すでに持つておりますけれども、時間がないからこれでやめておきます。  次に中小企業と、これにも関係がございまするが、金融の問題でございます。先般来中小企業の長期金融の問題につきまして盛んに論議されまして、まことにけつこうなことでございます。片や政府側としては、中小企業が首つつて死んじやかわいそうだからといつて融資をしてやろう。ところが片やここに私はわからない点がありまするが、この高率適用の問題で、市中銀行から、日銀から、中小企業に対してじやんじやん引締めて行つているようでございまするが、そのおかげで、すでに信用程度の非常に高い面——名前をあげてもよろしゆうございますが、日本で指折りの、まあT綿としておきましよう、T綿がさる大きな会社のK会社に糸を売るにあたつても、現金取引でなければいけないというようなことを言うておる。これが糸へん業界に波紋を呼んで、手形の取引というものがだんだんと行われないようになつて来ておるし、手形の期間というものがずつと縮小されておつります。この問題が鉄鋼関係にも波及いたしまして、これは重大な問題を起しているわけでございます。そこで、この戦後急に伸びました日本産業界に、手形取引ということをぐんぐん引締めて行つたならば、これは大きな問題が起きるのではないか。しかもその上今までここに問屋というものがございまして、三品市場の次に問屋があつて、問屋はここから買いつけたときには六〇の手形で買い、業界に糸を流す場合には九〇からそれ以上の手形で売り流していた。ここに問屋の存在価値があつたわけであります。ところが今度は引締められて来たので、買うのは六〇だからお前の方も六〇でなければいけないということになつて来たわけだ。六〇というと短かいように考えられますけれども、機屋の身になつてみれば買いつけてから織つて仕上げるまでに三箇月余かかります。そうなりますと、自分が金をもらわない先にこつちは払わなければならぬという結果が生じて来る。いわんや輸出にまわした場合には、外国為替処理委員会とか何とかがあつて、なかなか金をもらえやしません。そこで一層困難な事態を招来して来ておりますが、この高率適用の強化という点は業界から見ますとこんなふうに考えられる。腹のへつた病人が片方中小企業長期金融の方でおかゆをもらつた、ところが今まで着ておつたせんべいぶとんをはぎとられてしまうような気がしてならぬ。こういう状態になつて来ておりますが、この点につきまして一体日銀側はどうお考えになつていらつしやるのか、あるいは中小企業庁ないしは通産省としてはこれに対してどう対処されようとしているのか、その点をちよつとお願いしたいと思います。まず大蔵省の方から……。
  29. 大月高

    ○大月説明員 最近日本銀行が十月一日から高率適用の強化ということを実行いたし、金融の調節をはかつておりますことはただいまお話通りであります。この金融の面の高率適用の強化をはかりました原因は、今年度の予算に基きまして、第三・四半期以降の政府の支払いが進捗をする、このまま日本銀行からの貸出しを従来通り続けておりますれば、通貨の増発によりましてインフレが進行する、こういうことから財政の支払い超の現象を金融面から調節したい、こういうことであるわけであります。この高率適用をやりますことは、日本銀行から一般の銀行に出る金を締めるということでございまして、逆に申しますれば、一般の銀行から出ます金がすぐに減つて来るということとは、つながらないということでございます。その前提といたしまして政府の支払いが進捗いたしますので、金融機関の手元には預金が集まつて来る。そういたしますと金融機関の側においては必ずしも資金量は減らない。従つてお話のございましたように、特に中小の企業に対して正常の金融がつかないということはない、こういうように考えておるわけであります。もちろんインフレがどんどん進行いたしまして、日本銀行からもどんどん金を貸すというような段階に比べますれば、金融的には楽ではないかということは言えると思いますが、これは一般的にインフレがいいか、あるいはインフレでない状態において経済がまわるのがいいかという根本的な問題にあると存ずるわけであります。そういう意味におきまして、今具体的なお話がございましたけれども、私の方といたしましては、一般論といたしましては特に中小企業の方にしわが寄るというふうには考えておりません。
  30. 加藤清二

    ○加藤(清)委員 高率適用の御趣旨は今おつしつやつた通りでありまして、ごもつともなことです。それからオーバー・ローンを引締めなければならぬということもこれはわかります。ところが日銀さんがそういうことをやられるのに便乗して、市中銀行が引締めをしている事実に対して、大蔵省としてはどう対処しようとしているのか、私の聞きたいところはそれは中小企業には及ぼさない。それは理論的に言えばそうなんです。ところが現われている—現に行われている実例を申し上げましようか。さつき言いましたように、鉄鋼業界を調べてみてください。名前をあげて読んでみましようか。これは新聞にも出ておりますよ。全国の鉄鋼問屋組合名古屋支部、これは二十二社でできておりますが、鉄鋼の取引はすべて現金のこと。やむを得ぬ場合は金利の前払いを受けること。手形期日を短期化すること。これと同じことが毛織物名古屋毛糸同業組合において行われております。今後の機屋との敗引はきわめて慎重に行い、手形取引の適用は期限を六十日以内とすること。取引と同時に金利の支払いを受けること。まあこういうような三つの条件をそれぞれ出して来ておる。結局するところ高率適用の影響は手形取引の忌避ということになつて現われて来ているわけであります。もつと言えば、私は個人的な名前をあげてもいいですけれども、さつきあえてT綿と申し上げましたけれども、そう言えばたいていおわかりでしよう、日本一の綿の会社ですから。それがK会社へ売り渡すときにはやはり同じようなことを言うて来ておる。そこでこういうことになつたらたいへんたということで、業界では嵐の来る前のような戦々兢々とした気持でおる、こういうことなんです。従つて春ものの仕入れにあたつては六〇にされた、金利の前払いをされた、それで入るものはいつ入るかわからない。入る方のことを考えてくれぬと、出す方のことだけ先に要求されては、これは春ものの仕入れはできぬ。値ぎめはできぬという状態になつておることはうそではないから、うそだと思われたらあなた商工会議所へ行かれて聞いてみれば一番よくわかると思う。そこでそういうように市中銀行がこの際便乗して貸出しの引締めをぐんぐん行つていることに対して、今のように高率適用ということの精神がおよそはずれているとするならば、それはちようどもつけの幸いなんです。それに対して、市中銀行に対して何らかの措置に出でられまするのか、このまま知らぬ顔をきめ込んでおられまするのか、そういうことが聞きたいわけであります。
  31. 大月高

    ○大月説明員 今の具体的な問題はよく調査してみたいと思います。仰せのようなことがございましたならば、もちろん銀行に対しまして十分警告を発するつもりであります。もちろんこの問題が中小企業であるかどうかということははつきりいたしませんが、今までの銀行に対する指導といたしましては、中小金融に対しては十分に配慮を払うようにということは常に言うておるわけでありまして、その地中小金融に関して資金の疏通が行きますように、いろいろな手段を講じておりますことは御存じの通りであります。もちろんそれによつて十分だとは思つておらないわけでありますけれども、今後とも十分中小企業なるがゆえに金融上の不利益をこうむることのないように注意して参りたいと思います。
  32. 加藤清二

    ○加藤(清)委員 その通りでございまして、大蔵省、日銀側としては何も中小企業だけをいじめようとか、そちらだけを手きびしくやろうというような気持があろうとはつゆ思つておりません。ところが銀行に引締めをお命じになれば、一体どこから引締めて行くかといえば、銀行の身になつてみれば、大臣おられぬのでいかぬですが、三和銀行の頭取になつてみればよくわかります。一番信用のなさそうなところ、一番力の弱そうなところから取上げて、回収の能力が十分あると認められたものは最後まで残しておくというのが銀行の常であろうと思うのです。今までのようにひもつきでおやりになれば、そういうことはないでございましようけれども、ただ野放しに引締めと言えば、一番あぶなそうなところから引締めて行つて、貸すに当つてはあんたのところは信用程度が悪いからやめてくださいということになるのは当然なことじやないですか。中小企業金融公庫さえもそういうケースが現われて来ているのですから、これは当然であろうと思う。そこでもつと具体的に言えば、開発銀行やら、復金やら、見返り資金というものは焦げついたままたな上げにされて、そのままになつているにもかかわりませず、なお中小企業に貸したものはどんどん回収して行く。復金や、開銀の対象は一体どういうケースであるかということは、あなたの方が私どもよりよく御存じのばずです。こういう状態になつているという具体的事実は政府の中におろうと、日銀のああいうりつぱな建物の中におううと、世の中のことがわからぬというほど不勉強な人はいらつしやらないだろうと思うのですが、どうでございましようか。
  33. 大月高

    ○大月説明員 開発銀行、復金あるいは中小企業金融公庫の貸金の回収の問題でございますが、別に金庫の種類によつて手心を加えているということはございません。
  34. 加藤清二

    ○加藤(清)委員 手心ではない、具体的事実がこうなつているということです。
  35. 大月高

    ○大月説明員 具体的にはあるいは焦げついているものが若干あると思います。これは事実回収かできない状態になつているわけでございまして、御了承願いたいと思います。  それから中小企業にしわが寄つているというような問題につきましては、もちろん何らか手を打たなければ信用の高いところへ金が流れるということは、自然現象であろうと思うのであります。そういうことがございませんように、中小企業に対していろいろ信用補強の対策を講じているわけであります。  それから小さいがゆえに金融に乗りにくいという問題につきましては、中小企業の中にも信用度の高い、あるいは技術の優秀なものもありまして、一概には言えないのであります。ただ傾向としては中小企業の方にしわが寄る傾向があるということは申されると思います。それを極力及ばないところでございますけれども努力しておるのが現状でございます。
  36. 加藤清二

    ○加藤(清)委員 まだ聞きたいところがたくさんありますが、時間がないようですから、せつかく中小企業庁から中野さん以下来ていらつしやいますので、最後にちよつとお尋ねしますが、今度十六銀行窓口に許すか許さないかという問題が起つて、やがてそうなるであろうと思いますけれども、これについてぜひ伺いたいのでありますが、何かそのきつかけが東海銀行傘下の地方民が困る、こういうことがその原因の一つになつておるようでございますけれども、これについては、私は地元ですからよく知つているのですけれども、こういうことなのです。因つていることは事実なのです。しかしそれは窓口が東海銀行でなければならぬということではないのです。ただ愛知県のようなだだつ広いところに、中小企業金融公庫窓口の許されたのが六つしかない、こういうことなのです。この前も申し上げたのでございますが、知多半島のような大きな、よその県に匹敵するようなところに一つも許されていない。そこへあらしがやつて来て、あらしにあつた人が因つて、名古屋までとことこ出て行かなければならぬ。そうすると何と言われるかというと、信用金庫の方は大体その範囲がきまつておる。これは知多や半田の信用金庫に属する方々ですから、そちらへ行つてもらいたい、こういうことですげなく断られるのです。それならばこそひとつ窓口をふやしてもらいたいものだという声が起き、窓口といえば気のつくのは東海銀行、そういうことになつたわけなのです。それで商工会議所の決議になり——商工会議所のメンバーがどういうメンバーかということは、中野さんが商工局長をしておられたからよく御存じだろうと思います。これはみんな東海銀行につながるメンバーなのだ。従つて満場一致、異議なく東海銀行を入れてもらいたいということになつたわけなのです。これは次官さんもかつてはそこにおられたはずですからよく御存じでしよう。そこでそういうふうに困つたがゆえにふやしてもらいたい、気のついたのが東海銀行だ、こういうことなのです。従つてあの法の立法審議の当時の精神から行けば、信用金庫は決して四つだけではございません。相互銀行二つだけではございません。いわんや信用組合はもつとたくさんにございます。ただ信用組合程度では政府の金を預託するのにはあまりにも信頼程度が少い、こういうことであれば別でございまするけれども、貸した場合にこれがこげつくか、こげつかないかということを一番審査しやすい状態におるのは組合であり、金庫であることは皆さんがよく御存じなのです。組合から借りた金、金庫から借りた金、いわば顔見知りの地元の人から借りた金を焦げつかして夜逃げをするような、そういう人は地方には一人もありません。東京や名古屋ではそういうケースは間々見受けられるかもしれませんけれども、近所隣りの、長年顔見知りの方から金を借りて、夜逃げをしましようなんという人はおそらく愛知県にはありません。よその県でも同じだろうと思うのであります。従つて今度さしあたつて七つの組合が許されたという話ですが、全国で七つではあまりにもおそまつじやないかと思うのですが、これは東海銀行一つ許してごらんなさい。窓口は七つや八つではありません。七十でもありません。一ぺんにもつとふえますよ。ただ問題は五十七人程度の人数ではとてもさばき切れぬという公庫側に悲鳴の声が上るかもしれませんけれども、それはまたいろいろ考えてみれば、中の事務系統というものは考え考えられぬものではないし、人数が足りないというならば来年の予算はどんどんふやしてもらうようにしたらけつこうなことではないかと思うのですが、この点につきましてどういうふうにお考えになつていらつしやるかということと。時間がないからまとめて言つてしまいます。  もう一つは、借りに行きますと、はつきり名前を言つておきましよう、ことに相互銀行あたりは前の取引がないといけなませんと言われるのです。あなたのところは十万円ずつ半年くらい預けたら百万円貸してあげましようと言われる。まるで自分の腕によつて集めた預金を貸すのと同じ考え方でおられるわけなんです。しかもそれだけではないのです。幸いにこんないい客をもらえたから、この際これを利用して、自分のところの店の繁昌のための材料にしようというわけで盛んにそれを宣伝道具に使つていらつしやるところがある。それを見て許されない方の東海銀行や、あるいは許されない方の信用組合や、信用金庫の方が、けしからぬ、そんなばかなことはないと言つて、指をくわえておるどころの騒ぎではない。だからこそ反対の声が上つて、おれも入れてもらわなければ困る、おれも仲間に入れてもらつてうまい汁を吸わなければ困るというので、わんさわんさと坂口さんのところに押しかけておる。こういう結果なんです。そこで借りたい国民も困るし、窓口の方も今の状態では妙な結果に相なつておる。発足の当初としては無理からぬことと存じますし、お手元たいへんお忙しいでしようから、それを監督までしてどうこうということはちよつと困難でございましようが将来こういうことに対してどう対処さわようとしておるのか、坂口さんないしはこの企画に当つて特に企画局長をやつていらつしやつた今の重役さんにひとつ将来の企画についてちよつとお尋ねしたいと思います。
  37. 岡田秀男

    岡田説明員 お話のうち私の中小企業庁の方に関係のあります分も非常に多いように思いますので、私の方からさしあたり私の関係する部分についてお答えいたしたいと思います。特に愛知県の東海銀行の関連におきまして、愛知県におきまする中小企業金融公庫代理店の問題についてお話があつたのでありますが、愛知県の代理店といたしましては先ほどもお話がありましたように、最初は相互銀行二つ信用金庫が四つ指定をいたしたわけであります。これは従来日本開発銀行におきまして中小企業の貸出しをやつておりました店舗を大銀行以外につきましては一応そのまま継承をいたしまして、そうして拙速をたつとびまして公庫の店開きをしたという意味合いから、愛知県におきましてもさしあたり信用金庫が四つ、相互銀行二つ、合計六つの金融機関代理店指定をいたしたのであります。その後公庫の方におきましても、いろいろと仕事の準備が整いますに従いまして、先般全国におきまして信用金庫について特に大幅でございましたが、全体として百八十の代理店を設定いたしたのでございます。そのときに愛知県におきましても、さらに七つの信用金庫を追加いたしまして、愛知県といたしましては合計十三ということに相なつておるのであります。東海銀行関係につきましては私どもが特に気にいたしておりますのは、名古屋市におきまする東海銀行を中心とする大銀行中小企業向けの貸出しの比率が今年の三月におきまして九二%に相なつておる。従つてこれは大銀行が大都会において中小企業金融に果しておりますところの役柄というものは、これを無視することは相当数の中小企業者に対して不便をかけるものではなかろうかという点を懸念いたしておるのでございまして、この信用金庫相互銀行合せまして十三の店舗を指定いたしておりますけれども、やはり愛知県という全体を押えます場合におきましては、東海銀行等の大銀行等につきましても、公庫窓口としてお願いする方が広く中小企業者の便宜をはかると、いう意味合いにおきまして大切ではなかろうかというふうに考えまて、いろいろとお話をいたしておるような次第でございます。  なお相互銀行につきまして、従来取引のない中小企業者公庫の金を借りに行きました場合に、とかく不親切な態度が多いというようなお話でございました。これは相互銀行に限りませず、今まで全然取引のない方がいかなる金融機関を問わず、初めて行つて金を貸してくれという場合に、当該申込みの人がどの程度の信用状態の人であるかということの調査に関しましては、従来から取引関係がありまして、信用状態がある程度もうわかつておる人たちと比べますれば、そこに若干の取扱いの差が起きるということはやむを得ないことではないかと思うのでございますが、それが度を過すということになりますれば、これははなはだいけないことでございます。しかしそれが金融通念と申しますか、社会通念上許される範囲内におきまして、新規の客の方が、どつちかといえばすでに信用状態のわかつている方よりも手数がかかる、あるいは貸出しがきまりますまでによけい日数がかかる、あるいは担保等の関係につきましてもいろいろと調査をよけいにやる、かようなことは避け得られないのではないかと思うのであります。ただ公庫代理店になりましたことをえさにいたしまして、不当にいろいろと好まくない動きが多いということになりますれば、これはわれわれとしては十分戒心を求めなければならぬ点でございますから、この点は公庫を通じまして、あるいはまた銀行局の方で、適宜監督上の操作も行われることでございましようから、その方を通じまして不謹慎な行動のございませんような方向へ十分指導して行きたい、かように考える次第でございます。
  38. 加藤清二

    ○加藤(清)委員 行き過ぎのないようにということですし、今の長官お話はよくわかります。今までにつき合いのある人とない人では、区別ができるのは当然です。ところがいわば金がないから金を借りに来るのです。それに預けたら貸してあげましようといつても、これは不可能なことです。病人が薬をもらいに行つたら、その血を売ればお前に薬をわけてやろうというのとまるで同じことです。病人の血をとつてあとで薬を与えてやろうというようなお医者さんなら、国家はもう許さぬ方がいい。そういう状態であれば、去年のちようど今ごろから、いやもつと前から、岡田さんあたりが夜飯も食わずに一生懸命になつてつくり上げたあの公庫の精神というものが、どこかへ吹き飛んでしまつている。そこで、せつかく夜寒いのに飯も食わぬで慎重審議してやつた、あの公庫の精神をほんとうに生かして、ああよかつた、いいものを今の政府はつくつてくれた、岡田さんの時代にほんとうにいい法律をつくてくれたなあと、国民がほんとうに感謝するような方向にこれを持つて行くということが、一層来年からこれの予算を獲得する材料にもなるのではないか、こう思うわけです。  そこで、首つつて死ななければならないという中小企業者を、焼け石に水かもしれぬが、これによつて少しでも救つてやれたならば、こう思つているわけなんです。どうか今後これの成長については、生んだ親ですから、ぜひ一人前にして一人歩きのできるまで、しつかりとめんどうを見ていただきたい。私らもよそながら、やれ生め、それ育てよと言つた仲ですから、これは人ごとではございません。うるさいかもしれませんが、今後厳重に監視して行きたいと思つております。ひとつよろしくお願いいたします。
  39. 中崎敏

    ○中崎委員 ちよつと関連して参考までに申し上げておきたい。国民金融公庫か昨常に零細なものを扱つておるのは当然の話ですが、あれの運用においては昨常に新規の人の貸出しが多い。これはわくかぐんぐん広がるという点もあるでしようが、非常に新規の人が多い。これは二箇月なり三箇月なり相当調査がかかつているようですが、こつち新しい人にどんどん貸す。しかも回収率が多い。ほとんど滞りがない。言いかえれば、零細な大衆の人たちに新しい貸金を出しても非常に回収率がいいということは、一画において運用がいいということでもあるが、物的担保がないとか、あるいは事業が零細だからというので必ずしもひつかかるものではないという状態があるのですから、この新しくスタートしたところの金融公庫においては、その趣旨とその運用を十分検討されて、有終の美をなされんことを特に要望しておきたい。この点も十分に実情調査を願つた上で、運用については検討願いたいということを希望として申し上げておきます。
  40. 岡田秀男

    岡田説明員 国民金融公庫は二十四年の六月に設立されまして、今年で満四年余を経過いたしております。われわれの中小企業金融公庫から申しますれば、これは確かに兄貴分でございます。それのやつておりますやり方等につきましては、十分われわれの方としても取入れまして、この中小企業金融公庫の発展に資したいと思うのでございます。加藤先生から仰せられましたように、私どももこの公庫の設立につきまして懸命に努力いたしたのでございまするが、できましたら、もうおつぽらかしにするということではなしに、今後とも懸命の努力をいたしたいと思うのでございます。本委員会とされましても、ひとつ十分この公庫が伸びる方向に御鞭撻、御指導を願いたい、こう存ずる次第でございます。
  41. 大西禎夫

    大西委員長 大分時間の方も経過いたしましたので、本日はこの程度にいたし、次会は部屋の都合で明日午後一時より理事会、一時半より委員会を開会いたします。  本日はこれにて散会いたします。     午後一時十七分散会