○岡野国務
大臣 お答え申し上げます。東京電力で何かそういう計画をしておることも伺
つておりますが、これはやはり外国からものを入れるということについて、刺激されたことが
一つと、もう
一つはそのまねをしてや
つて行こうというのでございます。ただ問題は、私はこう
考えなければならぬと思います。高性能のものは実際は今買い約束をいたしましたものが、世界的に性能が一番いいという
一つのこと。それから
日本では事実今までそれができておらぬのであります。そこで一応外国のいい品物を入れて、そしてこれによ
つてや
つてみたい、こういうことでございますが、御
承知の
通り日本人の技術というものは、これはりつぱなものなのでございます。りつぱなものなのだけれ
ども、やはり何と申しますか、人がや
つて、なるほど効果が上
つておるという核心を見届けなければ実際はやれないようなことがあるのです。これは古い昔の話でございますが、戦時中、電波のことでございます、これは潜水艦が沈んでしま
つて水の中におるのに、こちらから通信をする、これは
日本の海軍の技師がちやんと理論的にもそれから実際的にも、行くだろうという確信を持
つてお
つたのですけれ
ども、これを実施していなか
つたという例がございます。ところが陸海軍の軍人技術者がドイツへ行きまして、そしてドイツのいろいろな施設並びに新式の機械を見せてもら
つたときに、そういうものがあるからどうだという電報を一本打
つたそうです。そうしましたところが、海軍の技師が即座にこれを完成して、そして実は大東亜戦争のときにもそれが役に立つということを実証した。そこでそのときの技術家が私にこういうことを申しました。
日本人は優秀だから十分できるのだが、しかしながらその発見発明が非常に高度のものになると、やはり最後の踏み切りの自信というものが何か欠けているのではないか。そこで人もや
つているぞ、こういうことを教えてやると、そうかとい
つて初めて完成をしたという例があります。これはほかにもたくさんありまして、ほかの例は、いろいろ興味を持
つて聞きましたからたくさん知
つておりましたが、ただいま忘れてしまいました。一番最初の例はそういうことでございます。私はこの際こういう高性能なものが外国にあるのだ、しかしながら
日本ではまだ自信がなくてできていないのだということがあるならば、そういうものを
日本に入れて、そうして
日本の技術家を刺激したらいいだろう。東電が
日本に今までない外国の機械を入れて、そうして芝浦とか何とかいう方面のメーカーに対して刺戟してやらせることになるのだろうと思いますが、それの
事情は私はよく存じません。
それから金利の問題でございますが、外国へ交渉に行
つたり何かしていろいろ経費がかか
つたろう。そういうこともやはり金利の負担になるから五分というけれ
ども非常に高いものにつくのじやないか。その高く
なつたものがいずれは消費者へ転嫁されるのじやないかというようなお説であります。理論といたしましてしごくごもつともな説でございますが、しかしこの四千二十万ドルという
金額に対して、外国へ交渉に行
つたり何かするくらいの費用は、これはパーセンテージとしては非常に少いものでございます。同時にこれは二十年間でございますから、その二十年間においては、たとい一厘の差でも非常に差額が大きいと同時に、年数が多いものですから、これは金利の負担においては、
日本でたとい六分で開発
銀行の金が貸し出されましても、たとい五厘、一分の差でありましても非常な差がつく。ことにただいまの
日本の金利から申しますれば、五分でこれが契約できたということは、金利の点においては高くないという感じを私は持
つております。それからいろいろ手数がかか
つておるじやないか、こういうお説でございますが、御
承知の
通りにこれはもともと
日本で政府が保証しなければならぬような向うの条項がございますので、
日本政府が保証するといたしますれば、直接の買入れのメーカーに保証するということは、
ちよつと
日本の法律上いろいろぐあいが悪いものでございますから、形式といたしましては政府機関に保証する。そして政府機関がその次の電力会社に責任を持つ、こういうふうにした方がいいというので、開発
銀行というものを中間に入れまして、そしてこれに政府保証をする、そのために手順が
一つふえた、こういうことでございます。
それからよく新聞あたりで、いろいろむずかしい条件だとか、ひどいじやないかということがいわれておりましたが、よく聞いてみますと、これは何も
日本一国に対してやるというようなものではございませんで、もうすでに成文規定がちやんとできているそうでございます。五十何箇国の国に、どこの国に対してもやはり同じように適用するところの契約文でございますから、私はこの点において苛酷ではないこう
考えております。ただ問題といたしましては、これは皆様方金をお借りに
なつたことおありにならないとも存じますけれ
ども、
日本の内地におきましても相当な長期の金を借りて、同時に固定するようなものにつきましては、
銀行は相当苛酷な条件をや
つて、どうしてもその
資金の回収というものを万遺憾なからしむるような条項をつけております。と申しますことは、
日本で申しますれば預金者を保護するというような
意味において、
銀行は回収には十分な万全の策を講じて金を貸す、また世界
銀行といたしましては、世界何十箇国から出し合
つた金をこれまたあちこちへ貸すものですから、やはり責任上
資金を大事にするという
意味において、回収については十分な措置をする、これが現われて来たものと私は
考えております。