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1953-11-03 第17回国会 衆議院 地方行政委員会法務委員会公職選挙法に関する調査特別委員会連合審査会 第1号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和二十八年十一月三日(火曜日)     午前十時五十一分開議  出席委員  地方行政委員会    委員長 中井 一夫君    理事 佐藤 親弘君 理事 灘尾 弘吉君    理事 床次 徳二君 理事 西村 力弥君    理事 門司  亮君 理事 松永  東君       三浦寅之助君    山中 貞則君       鈴木 幹雄君    北山 愛郎君       滝井 義高君    横路 節雄君       伊瀬幸太郎君    大矢 省三君  法務委員会    委員長 小林かなえ君    理事 鍛冶 良作君 理事 佐瀬 昌三君    理事 田嶋 好文君 理事 吉田  安君    理事 古屋 貞雄君 理事 井伊 誠一君       大橋 武夫君    押谷 富三君       林  信雄君    本多 市郎君       野田 卯一君    牧野 寛索君  公職選挙法改正に関する調査特別委員会    委員長 森 三樹二君    理事 大村 清一君 理事 鍛冶 良作君    理事 高瀬  傳君 理事 島上善五郎君    理事 竹谷源太郎君 理事 松永  東君       尾関 義一君    羽田武嗣郎君       山中 貞則君    石村 英雄君       加藤 清二君    加藤 鐐造君       三輪 壽壯君  出席国務大臣         国 務 大 臣 塚田十一郎君  出席政府委員         法制局次長   林  修三君         総理府事務官         (南方連絡事務         局長)     石井 通則君         検     事         (法務大臣官房         調査課長)   位野木益雄君         外務政務次官  小滝  彬君         大蔵事務官         (主計局次長) 正示啓次郎君  委員外出席者         判      事         (最高裁判所事         務総局総務局総         務課長)    磯崎 良誉君         総理府事務官         (自治庁行政部         長)      小林与三次君         総理府事務官         (自治庁選挙部         長)      金丸 三郎君         外務事務官         (アジア局第五         課長)     鶴見 清彦君         地方行政委員会         専門員     有松  昇君         地方行政委員会         専門員     長橋 茂男君         法務委員会専門         員       村  教三君     ————————————— 本日の会議に付した事件  奄美群島復帰に伴う法令適用暫定措置等  に関する法律案内閣提出第四号)     —————————————
  2. 中井一夫

    中井委員長 これより地方行政委員会法務委員会公職選挙法改正に関する調査特別委員会連合審査会を開会いたします。  私が先例によりまして委員長の職務を行いますから、何とぞよろしくお願いをいたします。  それではこれより奄美群島復帰に伴う法令適用暫定措置等に関する法律案議題といたします。なおこの際議事の進行について申し上げますが、まず本案提案理由説明を聴取いたしました後、質疑を行いたいと思います。質疑順序は、各委員会交互に発言を許したいと思いますので、質疑をなさる方はあらかじめ委員長に御通告くださるようお願いをいたします。  なおただいま本委員会出席政府委員塚田国務大臣、小瀧外務政務次官林法制局次長小林自治庁行政部長石井南方連絡事務局長金丸選挙部長鶴見外務省アジア局第五課長位野木法務大臣官房調査課長、以上の諸氏であります。  それではこれより政府より本案提案理由説明を聴取いたします。塚田国務大臣
  3. 塚田十一郎

    塚田国務大臣 ただいま議題となりました奄美群島復帰に伴う法令適用暫定措置等に関する法律案について、その提案理由を御説明いたします。  去る八月八日のダレス声明によりまして、待望の奄美群島復帰が約束されましたことは、御承知通りであります。復帰の時期は、まだ確定いたしませんが、目下アメリカ合衆国政府との間に交渉中でありますので、近く実現の運びに至るものと考えられるのであります。  同地域復帰いたしました場合におきましては、法制の切りかえ、制度改変等による混乱をなるべく回避し、円滑にその引継ぎを完了する必要があることは申すまでもないところであります。  従いまして同地域復帰に伴いまして法令の上でもいろいろの経過措置暫定措置を必要とするわけでありますが、何分まだ復帰の時期も確定いたしておりませんし、アメリカ合衆国政府との間の交渉も完了しておりませんので、この際今後の事態に即応し、機動的に必要な処置をなし得るような態勢を整えておく必要があるのであります。  そこでこの法律案では、さしあたり、奄美群島施行される法令に関する措置復帰に伴う暫定的な衆議院議員定数及びその選挙奄美群島における市町村機関及び職員引継ぎ現地裁判所における民事訴訟引継ぎ方法等に関し規定し、その他国地域復帰に伴いまして必要とされる事項は、ある程度政令等委任することにいたしてあるのであります。  なお、詳しいことは政府委員より説明をいたさせます。  何とぞよろしく御審議のほどをお願い申し上げます。
  4. 林修三

    林政府委員 ただいま自治庁長官からこの法律案提案理由について御説明がございましたが、私からさらにその詳しい内容逐条について御説明申し上げることにいたしたいと存じます。  まず第一条は、一般法律の形式に従いまして最初にこの法律趣旨をうたつたものでございます。なおこの第一条では、今回復帰の行われます地域を北緯二十九度以南の旧鹿児島大島郡の地域、すなわち奄美群島地域と予定いたしております。  第二条は、本邦法令施行に関して定めたものでございます。奄美群島本邦復帰いたしますとともに、本邦法令は、一応すべて同地域施行されることになるわけでございますが、法令によりましては、ただちにこれを施行いたしますときは、かえつて現地混乱を招くおそれのあるものもございますので、第一項各号に掲げましたような法令、その大部分は租税関係法令でございますが、これだけは別にそれぞれ政令で定める日までは、同地域には施行しないこととしたのでございます。第一項では、これらの暫定的に施行を停止されました法令につきましては、特別の事情のある場合を除くほか、おそくともこの法律施行の日から起算して六箇月を経過した日までに施行しなければならない旨を定めてございます。第三項では、これまで奄美群島適用されておりました従前法令で、第一項によつて施行を停止されました本邦法令相当する事項を定めておりますもの及び本邦法令が全く規定していない事項について定めておりますもののうち、政令で定めるものは、政令で定める日、これは大体において事項別に第一項によつて施行を停止されております法令施行される日になると存ぜられますが、その日までは、奄美群島においては法律としての効力を有するものとし、施行を停止される法令の空白を埋め、法制の急激な切りかえを避けたわけであります。なお、これらの従前法令適用するにあたりましては、奄美群島復帰伴つて、当然その法令実施に当る機関等についての読みかえが必要でありますし、また、事情によりましては、これらの法令内容を実質的に改廃することを必要とすることも考えられますので、これらを政令措置しうることとしたのであります。ただ事柄の性質上新たに罰則を設けたり、刑や過料を加重することはできないことを明らかにいたしました。これが第四項の規定であります。  第二条は、衆議院議員選挙について規定しております。奄美群島人口は、現在の議員定数配当基礎数には入つておりませんが、二十万をこえる状況でありまして、人口比例から申しましても同地区から衆議院議員一名を選出する必要があると考えられますが、さしあたりただちに鹿児島県のみの選挙区なり定数を改めるわけにも参りませんので、この際は、暫定的に、公職選挙法別表第一がこの法律施行最初に更正されますまでの間、衆議院議員定数を一人増加して四百六十七人とし、奄美群島区域をもつて一つ選挙区とし、この選挙区から一名の衆議院議員を選出させることとしたのであります。なお、その選挙は、復帰後なるべくすみやかに同地区において選挙を行う必要があるものと考えられますので、この法律施行の日から起算して二月をこえない範囲内において政令で指定する期日に行うこととしたのであります。そしてこの場合、選挙された議員任期は、補欠選挙の場合に準じてその選挙の際現に在職する他の議員任期によることとしたのであります。  次に、第四条は、復帰現地において国の行政事務を執行する機関あり方について定めております。現在のわが国複雑多岐行政組織に基いて国の行政機関をただちに個々に奄美群島に設けることは、現地振興行政を強力に行う上からもいかがかと存ぜられますばかりでなく、行政簡素化趣旨にも合致いたしませんので、さしあたりは、政令で定める特殊なものを除き、国の行政事務は、原則として鹿児島県知事またはその下に設けられることを予想される大島支庁長等に行わせるものとしたのであります。なお、この場合、主務大臣またはその委任を受けた職員がその所掌事務について、鹿児島県知事または大島支庁長等機関を指揮監督することができることを明らかにしております。  第五条は、簡易裁判所の設立について規定したものでございます。すなわち、当分の間、名瀬市及び徳之島亀津町に簡易裁判所を設けることといたしたわけでございます。  第六条は、奄美群島地域に設置される裁判所職員については、予算の範囲内で最高裁判所規則臨時定員を定めることができることを定めております。  第七条は、民事訴訟等に関する経過措置を定めたものでありまして、昭和二十一年一月の行政分離現地裁判所でなされました訴訟行為裁判、処分その他の手続上の行為は、刑事に関するものを除きまして、本邦裁判所本邦法令相当規定によつてなされたものとみなすこととして、その効力を認めることといたしました。しかし、現地裁判所の確定の裁判でも公序良俗に反するものは、外国裁判所の判決に対する民事訴訟法上の取扱いに準じまして効力を有しないことといたしました。  なお、刑事事件に関しましては、現地裁判所のした裁判等の効果は認めないことといたしました。また、奄美群島適用されておりました従前法令に対する違反行為にも当然には従前罰則適用しないことといたしました。しかしもちろん刑法その他の本邦法令に従いましてあらためて訴追できるものについて訴追することを妨げる趣旨ではありません。  第八条は、従前市町村及びその機関引継ぎ等に関する規定でございます。従前奄美群島市町村につきましては、現地にも本邦地方自治法と同様の立法がありまして、大体本邦市町村と同様の組織なつておりますので、そのままこれを地方自治法上の市町村として認めることといたし、議会議員、長、助役収入役その他の職員も、引続いて市町村議会議員、長、助役収入役その他の相当職員となるものといたしました。ただ従前法令規定によつて任期が定められており、地方自治法規定によつて任期の定められておりますものの任期は、地方自治法規定によることといたし、その任期起算点は、従前法令規定によつて選挙され、または選任された日といたすことといたしました。  次に奄美群島におきましては、市町村区域教育区という法人が設けられ、区教育委員会が設置され、市町村立中小学校の管理、教職員人事等事務取扱つてつたのでありますが、教育区というような法人組織本邦にはございませんので、復帰に伴い当然これを消滅させることといたし、その財産その他の権利義務及び教職員引継ぎ等については、政令で定めることといたしました。  また、従前市町村は、条例規則その他の規程を制定していたのでございますが、本邦法令なり鹿児島県の条例規則その他の規程に牴触しない限り、引続いてそれぞれその市町村条例規則その他の規程として効力を有することといたしたわけでございます。  次に第九条でありますが、奄美群島地区には、復帰伴つて強力な振興対策を講ずる必要があるわけでございます。それがためには、国庫負担国庫補助等につきまして他の法律規定にかかわらず特例を設ける必要があると考えられますので、政令でそのような特例が定められることといたしたわけでございます。  最後の第十条は、奄美群島復帰に伴う必要な経過措置等政令等への委任規定であります。以上御説明申し上げました選挙市町村基本組織民事訴訟等引継ぎ等に関する事項のほか、なお、通貨の交換及び債権債務の単位の切りかえに関する事項あるいは本邦法令適用についての経過措置に関する事項その他同地区復帰に伴い必要とされる事項相当広汎多岐にわたるものと予想されますが、現在なお確定し得ない事項がいろいろございますので、今後復帰の日の確定するまでの事態等に即応いたしまして、機動的な処理ができますように、これらの事項政令規定できることといたしてあるわけでございます。ただ、訴訟手続等憲法第七十七条第一項に規定する事項につきましては、最高裁判所規則で定めることといたしてあるわけでございます。  附則は、この法律施行期日を定めたものでございまして、政令で定める日から施行することといたしました。政令では、復帰の日が決定いたしますれば、その日を定めることとなろうかと、ただいまのところ予想されておるのであります。  以上でこの法律案逐条にわたつて細目説明を終ることといたします。
  5. 中井一夫

    中井委員長 これより質疑を開始いたします。質疑の通告がございますから、その順序によつて進めます。大村清一君。
  6. 大村清一

    大村委員 私は公職選挙委員といたしまして、もつぱら衆議院議員選挙に関する点に限定をして、簡単にお尋ねいたしたいと思います。  法案の第三条によりますと、近く奄美群島衆議院の総選挙を行うにつきまして、だんだん定められておるのでありまするが、この定めを見ますると、現行公職選挙法建前に対しまして若干の特例を定めておると思う。念のためにこの際、特例のうちでおもなるものにつきまして、政府委員でけつこうでありますから御説明を伺いたい。それに基きまして、さらに質問を継続したいと思います。
  7. 金丸三郎

    金丸説明員 主として選挙運動あるいは選挙公営の面におきまして大島郡は本島と、離れました多くの島からなつております。従いまして公職選挙法規定によりますると、立会演説会を開かなければならないことになつております。しかし全体を通じまして立会演説会法律規定通り実施することがむしろ適当でないのではなかろうか。従いまして個人演説会等が、できるだけ開かれるような措置をしました方がよくなかろうか。また選挙公報を発行することは、そのようにいろいろと措置しておるのでございます。非常に無理がございましても選挙公報は発行いたしたい、かように考えておりますけれども、時期によりますと非常に海上が荒れましたりいたしますので、万一の場合にはそれに対する措置ができるようにいたしたい。それからラジオ放送を行うようになつております。しかし実際には非常に聴取者が少うございましたりいろいろな関係上、ラジオ放送もできにくいのではないかというふうに考えております。そのような選挙運動公営等の面におきまして、特例を設ける必要があろうかと存ずるわけでございます。そのような事項について政令で特別な規定を設けたい、かように考えております。
  8. 大村清一

    大村委員 あるいは私の申しようが悪かつたかも存じませんが、私の尋ねんといたしておりますことは、この三条に盛られておりますところの規定は、現行公職選挙法建前と、必ずしも一致していないという点があると思うのであります。その点につきまして、特に重要なる点について御説明を伺いたいのであります。
  9. 金丸三郎

    金丸説明員 公職選挙法建前と違つております一つの点は、定数臨時別表改正までふやすという点でございます。もう一つは、現在の衆議院議員選挙区は定員三人ないし五人ということになつておりますのを、臨時別表改正まで、復帰いたします奄美大島区域をもつて、一人一区の選挙区にいたそうとしておる点でございます。
  10. 大村清一

    大村委員 ただいま御説明のうちでまず第一点でございまするが、現在の衆議院議員定数は四百六十六人となつておりまして、これは長い間、原則として維持されて来たことであります。あるいは特殊の事情によりまして一時数をかえたこともあるようでありまするが、原則として四百六十六人を維持し来つたのでありますが、これを一人増さなければならないという理由につきましてひとつ伺つておきたい、また前例もこの際伺いたいと思うのであります。
  11. 金丸三郎

    金丸説明員 御承知のように、現在の選挙区は、昭和二十五年の現行公職選挙法によつて定められたものでございます。その各府県ごと議員定数配当基礎は、昭和二十一年の国勢調査の人口によつております。それによりまして各府県別議員定数をきめました際には、奄美大島人口基礎定数に入つておらないのでございます。従いまして鹿児島県はたしか百六十三万を基礎として定数配当されました結果、現在の定数のように十人配当されておるのでございます。当時の奄美大島人口鹿児島県の人口に入れて配当いたしてみますと、当時におきまして十三名を鹿児島県へ配当いたさなければならない数になつて参ります。従いまして現在奄美大島復帰いたして参りますならば、当然にその人口基礎にして配当を考えなければならないわけでございますけれども、ほかの百十七の選挙区にまで影響——全部が及ぶわけではございませんけれども、多くの選挙区に影響を及ぼす定数の変更ということは、さしあたり至難でございます。そのように基礎にも入つておりませんので、奄美大島は従来何らわが国国会選挙に参与いたしておりませんという実質上の理由と両面から、やはり一名だけ増加することが適当ではないか、約二十万と少しでございますので、大体十七、八万が議員一人当りの人口に該当いたしますから、さしあたり一人ふやすことが妥当ではないか、かように考えたのでございます。  それから臨時に四百六十六の定数をふやしました例は、実施にはなりませんでしたけれども、戦時中朝鮮、台湾、樺太等衆議院議員選挙を行わせますために、定数を増加いたしたことはございます。それから昭和二十一年の改正であつたかと存じますが、沖繩県衆議院議員定数配当いたしました際には、たしか四百六十八名になつておつたかと記憶いたしております。
  12. 大村清一

    大村委員 次に第二点として伺いたいと思いますものは、現行公職選挙法におきましては、いわゆる中選挙区と申しますか大選挙区制と申しますか、各区三人、四人または五人をもつて編成をいたしておるのであります。この点につきましては、いろいろ議論もあることでありまするが、今日の日本の現状として、これが最適なりとして定められたものと思うのであります。しかるに奄美大島公職選挙法別表によりますると、鹿児島県の第三区に編入されておりまして、別表上は定員三人ということになつておるのであります。しかるにこの法案によりますると、一人一区、すなわちいわゆる小選挙区制を臨時施行せんとしておるのであります。この点につきましては、選挙重要性から考えまして、主義の紛淆があるのではないか、何ゆえに鹿児島県第三区として中選挙区制による選挙を行わないかという疑問が一応起るのであります。政府当局におかれましてこの点についてはいかなる考慮のもとにこのような案を考えたか、参考のために伺つておきたいしできれば国務大臣よりその説明を伺つておきたいと思うのであります。
  13. 塚田十一郎

    塚田国務大臣 この点は御指摘の通りまつたく例外措置になるのでありますけれども、考え方を別にかえたわけではないのでありまして、この場合におけるほんの臨時の、従つて次別表改正——現在のところでは大体昭和三十年に予定されておるわけでありますが、そのときまでの臨時措置として考えていただくことにし、しかも奄美群島郡民の代表が郡民の意思のなるべく近いところに出て来るようにという考慮も加えまして、このように一応措置するのが最も適当ではないか、こういうように考えたわけで、ほんの臨時措置である、このように御了解願いたいのであります。
  14. 大村清一

    大村委員 ただいまの御説明によりまして、暫定措置として、また鹿児島県第三区の選挙にもし中選挙区、大選挙区として実施するにおきましては、無用の混乱も起るというような点から臨時暫定措置としてこの規定がなされたそうでありまするが、つきましてはさらに伺いたいのであります。この暫定措置をいつの時期までやつて行くかという問題につきましては、法案については別表第一が更正されるまでの間ということになつておるようでありまするが、これはほかの暫定期間を定めることも可能であります。あるいは期日を指定するあるいはまた次の総選挙量るまで、その他いろいろの考え方があると思いまするが、本法案におきまして別表第一が更正されるまでの期間ということを選択されました理由につきまして、この際伺つておきたい。
  15. 塚田十一郎

    塚田国務大臣 結局本来の考え方通り奄美群島も入れてしまうというときには、やはり別表改正するという時期が最も適当であると考えるわけでありますが、ただこの別表は今もちよつと申し上げましたように、昭和三十年ということであり、この別表改正の時期を大体公職選挙法規定されておりますのは、その間において人口の移動が起つて、中間においては前の別表改正のときの実情相当違つたものが出て来ても、それはそのときどきに直すということがなかなか困難であり、また正確な統計資料にもよる必要があるということで、ある年限の間はかりに実情が変更して来ても、別表改正のときまではそのままで行くという考え方でおると承知をいたしております。従つてそういう変動が自然の状態で発生して参りましたときには別表改正まで待つ、こういうのが普通なのでありますが、ただこの場合におきましては、前の別表改正のときに全然考慮に入れてなかつた約二十一万の新しい人口がふえて参つたのでありまして、自然に前の別表改正した後に人口がかわつて来たという事情と異なるものがありますので、この場合にはこの法律規定してありますように、別表改正のときまでということで、その他の次の選挙のとき、もしくはある目を限つてそのときまでというような規定をとらなかつたわけであります。
  16. 大村清一

    大村委員 最後にもう一点お尋ねをしておきたいと思います。この法律は表題にもうたつておりまするように暫定措置であります。さらにまた政府委員及び大臣の御説明によりますと、臨時に第三条の規定を定めるということでございますから、後日公職選挙法改正の際におきましては、この別表定員は四百六十六人に復元をする、なおまた一人一区の制度は、そのときに他の一般公職選挙法建前復元をするという趣旨でこれが立法をされたものと考えますが、その点は後日選挙法を取扱うときにおきまして重要な問題となりますので、この点につきましてだめを押すようではありますが、政府はどのように考えておられるか、このことを最後にお尋ねいたしておきたい。
  17. 塚田十一郎

    塚田国務大臣 公職選挙法の本来のあり方は、政府考え方よりもむしろ国会御自身の御判定の方が大きな要素であると、私どもは考えるわけでありますが、しかし政府の、今この法律提案いたしまして御審議を願つております考え方基礎なつておるものは、ただいま大村委員から御指摘の通り、次の改選のときには四百六十六人の数にもどす、また小選挙区制というものも考えないという考え方に立つておることは御指摘の通りであります。
  18. 中井一夫

    中井委員長 次に森三樹二君。
  19. 森三樹二

    ○森(三)委員 先ほど塚田国務大臣から奄美大島復帰の問題に関する御答弁がありましたが、ダレス声明というものが八月にありまして、その後大体いつ復帰するというようなことが、日本政府の間に話合いがなつておるか。私は聞くところによりますと、大体十一月の初旬が復帰効力が発生するのだというように聞いておつたのですが、それについて政府の御見解をお伺いします。
  20. 塚田十一郎

    塚田国務大臣 八月八日のダレス声明後、政府といたしましては一日も早く奄美群島復帰して来ることを希望いたし、それに必要な外交措置、外交交渉、それからして国内的ないろいろな措置を進めて参つたのでありまして、また当初の見通しでは十一月一日というような日が、一応世上で予定された日として伝えられておつたことも承知はいたしておるのでありますけれども、しかしこれは確認されたもしくは権威筋の承知をした日ではないのでありまして、ただいまのところでは大体十二月一日という日を一応の目標にして日本政府がいろいろな復帰の準備をするということに対して、アメリカ側が了解をしておるという程度で、それ以上のこまかいことは私も承知いたしません。外務政務次官にお尋ね願いたいと思います。従つて自治庁長官の私といたしましては、受入れ態勢を整備いたします面におきましては、この十二月一日、つまりアメリカ側がそれを目標に準備しておいてよろしい、その点は了解するというこのアメリカ側の了解に基いて、かりにこの日に復帰ができました場合に、国内の準備態勢が整わないために受入れができない、従つてまた復帰が遅れるというようなことのないように、万般準備を整えている、こういう段階であります。
  21. 森三樹二

    ○森(三)委員 今塚田国務大臣から御説明ございましたが、奄美群島の島民は、復帰の一日もすみやかならんことを要望しているわけです。ところがその時期について十一月の一日には効力が発生するのであるといつて、非常に期待しておるところが、今塚田国務大臣の御説明を伺いますと、また一月ずれまして、十二月の一日になるのじやなかろうか、それも確定的じやなくて、塚田国務大臣の御説明ですと、希望的な観測というふうに私は受取れたのですが、やはりこの時期については明確にしてやらなければ、島民も非常に焦躁の気持もありますし、また国会といたしましても、これに対するところの見通しを、今国会において明確にしておくことが、私は義務じやないかと思つておるのです。それにつきましてなお外務省当局の明確な御答弁、それから今後の見通しと交渉の過程等につきましても、外務省当局から明確な御答弁を願いたいと思います。
  22. 小滝彬

    ○小滝政府委員 これまで米国側と話合いました経過は、大体塚田国務大臣が申されました通りでございます。できるだけ早くこれを実現するようにというので向うと話合いまして、その地域をどうするかというようなことについて、東京にあるアメリカの大使館を通じてのみならず、新木大使を通じてワシントンにおいても交渉して参つておるのであります。決定は先方においてなされる。主義上に何らの問題があるわけではありませんが、事務的な問題で通貨をどう処理するかとか、あるいは一部特定の施設を使用することを継続したいというような現地軍の考え方もありましたために、国務省と国防省間にいろいろ話合いがされて、そういう事務的な処理について、予測しておりましたよりも長く時間をかけましたので、十一月と一応目標にしておつた時日までに実現ができなかつた。そこで今では、先ほどのお話にもありました通り、とにかく十二月一日までに何とかこれを解決して、復帰が実現できるようにというので、目下努力しておるわけであります。しかしそれでは何日にできるかということは、先ほども申しましたような経緯もありますので、明確にお答えすることはできませんけれども、幸いにして皆様の御審議を得て、この法案も承認せられるというふうになりましたならば、こちらの方はもうすつかり受入れ態勢が整つたのだというので、さらに強力に先方と交渉することもできますからして何とかして目標の時日にでき上るように、最善の努力をいたしたいと考えております。
  23. 森三樹二

    ○森(三)委員 最後の御説明でありますと、この法案なんかもできて受入れ態勢ができたということの既定事実に基いて十二月上旬に効力を発生させたいというような御答弁のようです。先ほど塚田国務大臣は、十二月一日をもつて効力発生の時期としたいというような含みのある答弁でありましたが、外務次官の御答弁ですと、必ずしも時期は明確ではないようですが、十二月一日をもつて復帰効力発生の時期とするというような御確信はないのですか。
  24. 小滝彬

    ○小滝政府委員 その点につきましては、先方側とも話合いまして十二月一日までにぜひやろう、双方で努力しようということになつておりますから、私どもとしては、ぜひ十二月一日までに準備を整えたいと熱望し、そのように最善の努力をするつもりであります。
  25. 森三樹二

    ○森(三)委員 十二月一日なら一日に効力が発生するという日本政府の意思を固めたとするならば、その時期に必ず実現するようにしてやらないと、島民の失望がまた非常に大きいのではないかと思いますので、ぜひともそのように御努力を願いたいと思います。  そこでこの法案の問題について伺います。選挙のことに関しまして独立選挙区を設けるような暫定的な臨時的な措置が講ぜられんとしておるわけでありますが、私どもやはり復帰される島民の国政に参与するという憲法上の貴重な権利を行使せしめたいという気持につきましては、非常に同感であります。この法案内容におきましては、別表改正できるまでということになつております。そこで別表改正がいつ行われるかといいますと、これは公職選挙法別表の一番おしまいの方に、国政調査をしたときを基準にして、五年ごとに別表改正することを例とずると書いてあります。例とすると書いてありますから、必ずしもしなければならないというわけでもないのであります。しかも現行法の別表改正が行われたのは昭和二十五年でございますから、大体昭和三十年に別表改正が行われるというように考えられますが、しかしそのときになつて、はたして別表改正ができるかどうかということになりますと、これは将来のことでありますから、必ずしもできると断言はできないと思います。そうしますと、その独立選挙区というようなものが、相当長く続いて行くのではなかろうか。現在の定員数では三人区、四人区、五人区となつておりまして、大体中選挙区を採用しておるような建前なつておりますが、そこに例外として小選挙区を認める。小さなところから一人でもいいから出してあげようということになりますと、また今後沖繩等が復帰いたしました場合にも、こういうような暫定的な措置を講じなければならないのではなかろうかと思います。そのことにつきまして次期の総選挙が行われるまでというように考えることも、一つ考え方ではないかと思いますが、その点についてどういうふうな御検討になつておるか、お答えを願いたいと思います。
  26. 塚田十一郎

    塚田国務大臣 御指摘の通り、いつまでこの暫定措置をやるかということは、いろいろな考え方があると思いますので、私どももずいぶん検討いたしたわけであります。しかし結局検討の結果、次の別表改正のときまでということになつたわけでありますが、そういう見通しをつけましたのは、実は公職選挙法規定から行きましても、昭和三十年が予定されておりますし、またいろいろなものの考え方からしても、三十年にはどうしても別表改正しなくちやならないだろう。と申しますことは、この前の別表改正後、相当人口に移動が、その後の自然的な動きで発生していると考えられる場所が非常に多いので、別表改正をそう延ばしておくということは、長くそういう実情にそぐわない状態を続けるということになるので、どうしても昭和三十年にはやらなくちやならないだろう。従つてもうそう長いことでないということが一つ考え方。それと先ほど申し上げました、このように突然にある部分——今まで選挙区の中に考えられておらなかつた二十一万というようなものが、ごそつと入つて来るということになりますと、その新しく選挙区に加えられる地元の選挙区の他の方々に、非常に大きな影響を及ぼすということとあわせて考えまして、次の別表改正のときまで、この状態で行くのが一番妥当な方法ではなかろうか、こういうように結論をつけられたわけであります。
  27. 森三樹二

    ○森(三)委員 私は、こういう考え方もしております。こういう暫定的な措置を講ずることもさしつかえないと思います。しかし暫定的処置というものはすみやかに解決をしなければならない。やはり原則にもどさなければならない。原則的には四百六十六人という定員は、大正十五年以来堅持されて来た一つ定員数であります。そうすると今回奄美大島に一名区を一つつくるのでありますが、その臨時的な措置というものは、やはり原則にすみやかに復帰せしめなければならぬ。その場合別表を見ますと鹿児島県第三区の中に大島群島というものが入つております。ですから先ほど申し上げましたように次期の総選挙の際に、大島群島が鹿児島県第三区に別表で入つておるのであるから、その中に入れて選挙をやつてはどうか。そうしますと非常に人口上ふくれるというようなお考えもあるかもしれません。しかし日本の現在の人口は八千六百万人といわれておりますが、それを基準にして行きますと、議員定数に対する人口の比例というものは増加する。それで割りますと、大体東京都などは八名の増員にならざるを得ない。大阪府は三名、あるいは北海道において二名の増員を来すというような形になりますが、またその逆に四百六十六のわくですから減るところもある。たとえば鳥取県のごとく四名区が三各区に減つてしまうというようなところが出るのですが、そこで現在の別表のままでは、総人口の割合からすれば非常に不公平があります。ありますが、次期の総選挙において鹿児島県第三区に奄美大島選挙区として包含されるということにしても、私は不合理の中の一応の合理性というものも、そこに出て来るのではなかろうか、かように考えられるのですが、その点について御説明していただきたいと思います。
  28. 塚田十一郎

    塚田国務大臣 森委員の御指摘のような考え方も、確かにあると思うのでございます。私どもも、いろいろそういう面も考えてみたのでありますが、結局いろいろ考えました結果、暫定措置というものは、できるだけ短かくあるべきであるという考え方は、まさにその通りでありまして、その通り私どもも考えておるのであります。そこで選挙のときが早く来るか、別表改正のときが早く来るか、これは実際の問題として見通しのつかない問題で、事実問題としても、必ずしもどつちが早いということもないようであるし、それから暫定措置はできるだけ短かくということでありますが、その短かくということが、もし考え方通りにやれば、できるだけ短かい時期に別表改正をする。そういうふうに別表改正の時期をつくり上げるという考え方であれば、私は支障ないと思うのでありますが、別表改正はなかなかそう簡単に、これは人口の調査等の関係もあつてできないということになります。別表改正はそうやたらに行えない。そうかといつて別表改正によらない臨時の間に選挙をやつたときに、すぐにそこのところだけ臨時に直すということになりますと、突然の事柄で、非常に大きな急変がその選挙区に起きるということを非常に強く考えておる。ただいま森委員の御指摘になりましたように、東京あたりで非常に実情と違つておる選挙区があるということも承知しておるのでありますけれども、こういう場合には自然の間だんだんとふえて参つておるので、突然新しく二十一万もごそつと一つ選挙区へ入つて来て、非常に今までの状態とかわつて来るという状態と、少し違うように考えられますので、そういうような事情を、いろいろ総合判断をいたしました結果、やはり別表改正の時期を、一応目安にしておく方がいいのではないか、こういう結論に到達したわけであります。
  29. 森三樹二

    ○森(三)委員 今塚田国務大臣の御答弁もありましたが、私は臨時的な選挙区をつくつたことが、別表改正まで待つということになりますと、惰性といいますか、長引くのではないかと思う。ということは先ほど言つたように、定員が増加するところは割合別表改正について異議はないかもしれませんが、減る県などにつきましては、相当政治的な反対が出て来るのではなかろうかと思います。それで別表改正ということは、毎期の選挙委員会において取上げられている問題でありますが、おそらくこれがノーマルにできたためしがない。だからこの次次と言うので、だんだんと別表改正というものが延びて行つて、そして臨時的につくつたこの法案が、いつまでも効力を持続する。そして一人一区というような変形的な選挙区が残存して行くのではなかろうかという懸念を持つておるのですが、その点について金丸選挙部長より御答弁を願いたい。
  30. 金丸三郎

    金丸説明員 ただいま大臣から申されました通り、暫定的な措置でございますのと、現在の公職選挙法選挙区の定数は、実際には昭和二十一年の国勢調査人口基礎なつております。二十五年に公職選挙法ができましたけれども、その基礎昭和二十一年でございまして、それから今日までの国内人口移動というのは、普通の事態にはない非常な人口移動が、戦争に伴いまして反動として行われておる一のでございますから、やはりできるだけ早く実情に沿うように、人口等に応じた府県別議員定数配当が行わるべきじやないか。いろいろ別表改正は、御指摘の通り非常に困難でございますけれども、五年ごとではない、十年に近い前の人口基礎なつており、しかもその人口移動が通常の状態における人口移動ではなく、終戦後の混乱からだんだんと平静をとりもどしますにつれまして、異常な人口移動が行われておるわけでございますから、私どもも一日も早く、実際はこれが是正されるべきではないか、そういうふうにまた国会におかれましても、お考えをいただきたい、こういうふうにも考えておりますので、そういついつまでも延びることもないのではないか、こういうふうにも、期待と申しましようか、その方を、ほんとうは私やつぱりしていただきたい、かように考えるわけでございます。
  31. 森三樹二

    ○森(三)委員 よろしゆうございます。
  32. 中井一夫

  33. 島上善五郎

    ○島上委員 私も選挙法関係を御質問したいのですが、大部分は御両人によつて質問されて明らかになりましたが、最後一つだけ伺いたいのですが、現在の四百六十六名という定員は、大正十五年以来の定員だということですが、先ほどの御質問によつてその間に若干変更されたときもある。これを今度奄美大島復帰に伴う臨時措置によりまして四百六十七人にする。これは今も指摘されましたように、この次に別表が構成されるまでという間は、昭和三十年の国勢調査によりましても、三十年で調査が完了して別表が構成されて最初選挙、こういうことになるから、かなり長期になるわけです。で私どもは今後当然に沖繩の復帰の問題とか、あるいは千島の復帰の問題とかも起り得る問題でございますから、その際にも同様の臨時措置を、あるいは別表改正の際に考えるかしなければならぬという事態が起るわけです。そこで私が伺いたいのは四百六十六名というものは変更できないという、何らか特別の理由があるかどうか。また今後今言つたような事態によつて臨時ではなしに四百六十六名を四百七十名にするとか、八十名にするという考えがあるかどうか。四百六十六名というものは、どうしても堅持しなければならぬものであるならばその理由、また場合によつて臨時ではなしに、増員してもいいという考えがあるならば、それを伺いたい。
  34. 塚田十一郎

    塚田国務大臣 この点は先ほどもちよつと申し上げましたように、公職選挙法全体は、政府考え方というよりも、むしろ国会考え方の方に、私どもは重点があると考えているのでありますが、一応政府の立場だけからの考え方を申し上げますならば、今の四百六十六という数字は、必ずしもどうしてもこうでなければならないという確定的な根拠、理由があつてということではないようでありますので、これはそういう意味においては増員も減員も考えられる数字で、不動なものではないと考えているわけであります。ただ全体の考え方としては、そう国会議員定員はふえない方がいいのじやないかというような考え方は、いろいろな国の行政機構の改革などと考え合せて一応の考え方政府として持つてはおりますけれども、これはほんの参考程度の考え方でありまして、四百六十六人が不動であるかどうかというお尋ねに対しては、先ほども申し上げましたように不動とは考えておりません。こういうようにお答え申し上げたいと思います。
  35. 島上善五郎

    ○島上委員 先ほども御答弁の中に、ちよつとあつたように聞きましたが、この一名選挙区というものは言うまでもなく現在の中選挙区と、考え方が全然異なつているわけであります。現在の中選挙区がよろしいか、一名の小選挙区がよろしいかあるいは大選挙区、連記制がよろしいか、あるいは比例代表制がよろしいかということについては、いろいろ議論のあるところでありまして、これは今後公職選挙法改正調査特別委員会においても、大いに検討を要するところであろうと思いますが、この臨時措置は、選挙区制については現在の中選挙区制の建前に、何ら影響するものではない、小選挙区を是とするという考えの上に立つているものではない、というふうにさつき遠まわしに伺いましたが、そういうものであるかどうかということを、明確に御答弁を願いたいと思います。
  36. 塚田十一郎

    塚田国務大臣 選挙区制をどういうぐあいにするか、大選挙区にするか、中選挙区にするか、小選挙区にするかということは、国会側におきましても御検討のようでありますし、政府側においてもいろいろ考えてはおりますけれども、現在のところではまあ現在の考え方でいいのじやないか、こういうように考えているわけであります。従つて今度の措置につきましては先ほどもお答え申し上げましたように、現在の状態、つまり小選挙区制は、とらないという考え方で、従つてこれはどこまでも暫定的なものであるという考え方で立案をいたしていることは、先ほどもお答え申し上げた通りであります。
  37. 島上善五郎

    ○島上委員 最後にもう一ぺん伺いますが、先ほど金丸部長の答弁によりますと、現在の別表をつくる際に奄美大島は入つてなかつた。これは当然ですが、その当時鹿児島は当時の人口で十名という配当なつている。もしその当時奄美大島を加えるとすれば十二名になる計算になる。こういう数字の御答弁がございましたが、現在の別表基礎昭和二十一年の調査に基いているのですから、従つてもう八年もたつておりますから、全国的に非常に大きな人口の異動があるわけです。現在の人口比例にして四百六十六人を考えてみますならば、その当時はたしか十九万に一名の割合になつていたと思いますが、今日では二十万ないし二十万二、三千に一名という割合になるのじやないかと思います。もし奄美大島鹿児島に加えて、現在の数、これは国勢調査を最近行つたわけでありませんから、正確な数は出ないと思いますが、ほぼ推定される現在の数に比例いたしまして全国的に公平に按分しましたら、鹿児島は何名になることが適当であるか。これは一名を加えた十一名になるのが妥当であるか、あるいは十二名ということになるかというその数字がおわかりでしたら、御答弁を願いたいということと、この奄美大島復帰による二十二万ほどの増員によりまして、参議院の地方区の選出の基礎数は、現在の基礎数と比例して影響しないかどうか。増員というふうに影響しないがどうかという点をお伺いしたいと思います。
  38. 金丸三郎

    金丸説明員 お尋ねの第一の点でございますが、現在拠り得ます国勢調査は、昭和二十五年に行われております。これによります鹿児島県の国勢調査人口と、昭和三十五年の十二月現在奄美大島で行われました人口調査の二十一万六千百十名を加えますと、鹿児島県の人口が二百二万三千百九十六になります。これが鹿児島人口だといたしまして、ほかの県の国勢調査人口と加えますと、全国の総人口が八千三百四十一万八千七百十五名でございまして、これを四百六十六の定数で按分比例いたしますと、鹿児島県は十一名になつて参ります。従いましてやはり一人だけは二十五年の国勢調査によりましても、当然ふえるべきだということが言えるかと思います。  それから二百二万でございますので、参議院議員の地方区の議員定数には影響がございません。
  39. 中井一夫

    中井委員長 島上君よろしゆうございますか。選挙委員の方にお伺いしますが、一応選挙に関する問題は皆様としましては、この程度で質疑はよろしゆうございますか。——それでは一応終了いたしたことに承知をいたします。  法務委員の方に申し上げますが、法務委員会が別におありになりましたため、遅れて御出席のようでありますので、本委員会選挙委員の方々によりまして主として選挙に関する問題につき質疑を進行いたして参りました。さよう御了承を願います。林信雄君。
  40. 林信雄

    ○林(信)委員 法務委員会といたしまして、奄美群島復帰に伴う法令適用暫定措置等に関する法律案に対する法務委員会所管関係よりいたしまして法案で申しますれば第五条、第六条、第七条、第十条、この辺の関係の各条項に関します一通り質疑を試みたいと存じます。  形式的には言えませんが、まず法務委員会を代表いたしまして、とりまとめて御質問申し上げる心持でおるのであります。もちろんわれわれといたしましては、奄美群島のわが方に対する復帰、島民はもちろん関係住民、ひいて全国民のひとしく待望するところでありましてその見通しがついてかつそれが現実の問題として近い日に実現するということは、大きなる喜びであります。その観点よりいたしまして、諸般の暫定措置において誤りがあるということは、非常にその気持を阻害するものであろうと思います。政府当局におきましても、厳にこれらの点に留意せられまして、御措置あらんことを希望いたすのであります。  まず法案の第六条に関する問題なのでありますが、裁判所関係の主として職員、関連いたしまして検察庁の職員、具体的に重要なものとして判事あるいは判事補及び検事あるいは副検事、これらの諸君が奄美群島においては、日本の裁判所法あるいは検察庁法における認められたる資格を有せざる諸君が、同様な名称をもつてその職務に当つておるということ、これは今日の事態においてやむを得なかつたものであると存じますが、一たびその復帰が実現いたしますれば、国内法の適用を受けるところよりして、これらの諸君の資格は当然になくなると思うのでもります。といつて実際問題として、今まで判事あるいは検事として参りました者が、一朝にしてその資格、ことに形の上においてその名称をなくするということでは、これらの人の受ける影響というものは、あらゆる意味において大きいものがあると思うのでありますが、それらの措置はいかが相なるものでありましようか。この点をまずお伺いいたしたいと思います。
  41. 位野木益雄

    ○位野木政府委員 ただいまのお尋ねは、まことにごもつともな点があると思うのでありますが、現地職員は可能な限り十分優遇して、これを受入れることを考えたいというふうな心持を持つておるのであります。ただ裁判官、検察官等につきましては、御承知のように厳重なる資格の制限があるわけであります。奄美大島が内地に復帰した後におきましても、日本内地の法令から見まして、資格のない方をそのまま裁判官、検察官として認めて行くということは、やはり好ましくないというふうに考えられますので、裁判官、検察官とかいう、そういう資格の厳重な、国民の権利義務の確保のためから見ましてやはり例外を認めない方がよろしいと考えられるものにつきましては、これは内地の資格を有する者のみに限定いたしましてその資格を認める。それ以外の者はそれ以外の条件で、できる限り優遇して行くということで考えたいと思つております。従いまして、たとえば向うの判事さんたち、これは、現におられる方は内地の資格を持つておらない方ばかりであります。しかしながら、簡易裁判所判事というふうな資格は、持つておられる方もあるといわれるのであります。従一まして、そういうふうな条件で、でき得る限り優遇して受入れるというふうに考えております。
  42. 林信雄

    ○林(信)委員 おおむね適当な御処置がなされるようでありまして、周到の御注意の上にお取扱いあらんことを希望いたします。  第六条に引続き第七条に移りますが、これは法案自体が認めますように、島にもやはり争いがあるということ、率土の浜またパラダイスではないということでありましようが、民事訴訟刑事訴訟、なかんずく現地裁判所のいたしました確定裁判のことで規定がなされているのであります。刑事裁判は具体的に出ておりませんが、結局これに含んだものであろうと思うのであります。そこでまず民事訴訟の問題でありますが、それがおよそ係属中のもの、これがそのまま有効にみなされて引継がれるということ、これも一応認めますが、問題はその二項にあります。すでに確定した裁判、これに斧鉞が加えられる余地が認められているようであります。但しそれは厳重な条件付のもののようであります。いわゆる公の秩序または善良の風俗に反するものに限つて、これがあらためて争い得るようであります。まずその手続ですが、それはその裁判に対する不服申立てのような形式のもので行くものでありますか、それとも事件自体はすでに確定せられたものであるから、別種の訴訟として提起せられなければならないのであるか、いわゆる手続上の問題について伺います。  第二は、内容に入りまして条項の示します「公の秩序又は善良の風俗」とは、これはおよそ法律上の用語として、観念的にはわかるのでありますが、その異議を決定いたしまする時期、一つ裁判でありますから、裁判のなされた当時の公の秩序または善良の風俗に反するものであるのか、新しくここに取上げて、これを是正しようとするのであるから、その新しい裁判時を基礎として、その内容を決定せんとするのであるか、これは重要な問題であると存じますので、まずこの点についてお伺いいたします。
  43. 位野木益雄

    ○位野木政府委員 第七条の第二項の点で、現地の確定の裁判で「公の秩序又は善良の風俗に反するもの」の判定については、いかなる手続を要するかという問題でございますが、これは御承知のように、ただいまの民事訴訟法でも、外国の裁判効力について規定がございまして、一定の条件のもとにその条件に合致する限りは、当然に覊絆力を持つており、効力も持つておるというふうになつております。それが裁判所で問題になつた場合に、そこで判決されるまでは、抽象的に効力を持つている状態になつておるということであります。さらに強制執行をするというふうな場合には、これは御承知のように執行判決をあらためて裁判所で行う。そうしてその執行判決に基いて強制執行するというふうな建前なつておりますが、今度のこの七条の行き方は、今までの外国判決の場合よりも、なおその点の手続を簡易化いたしまして、執行の場合におきましても、あらためて執行判決をもらわなくてもよろしい。ただそれについては、執行文付与の際に判断される。それについてまた異議があれば、異議の方法で争うというような方法にいたしたのであります。それは、現地の今までの裁判手続及びそこに適用される実体法、これはいずれも日本の内地の法律とほとんど大差がないわけでありますから、そのようにした方が相当じやないかというふうな考え方に基いているのであります。「公の秩序又は善良の風俗に反する」かどうかということを、いつを基準として判断いたすかという点でありますが、これは御承知のように、外国の裁判の場合の事例と同じ言葉を用いておりますので、その場合と全然同じことになるわけでありますが、後に問題になつたそのときを標準にしてやるというふうな考え方でおります。
  44. 林信雄

    ○林(信)委員 まず手続の点なんですが、強制執行して来て、そこで異議の形式で争う、そこで是正を求める、こういうこともあり得ると思うのですが、そうでなくて、その判決で義務を負わされておりまする者が、債務なら債務の不存在、あるいはもう支払い済みでありますならば、不当利得の返還訴訟等を進んでみずから行う場合の手続、これが一つあらねばならぬと思うのです。もつともそれは許さないといえば格別なんですが、これが一つあるのじやないか。今の説明の中に、概略同じような法律が行われておつたのだからと言われますけれども、すでに説明のどこかにもありましたが、新民法は少くとも行われてなかつた。改正前の民法とりしまと、いろいろな点で大きなものがあります。ことに権利義務関係において相続の問題、従来長子相続でありましたものが、新しく均等相続の姿にかわつて来ております。そういうものは大きくかわつておりますが、そういうものもやはり「公の秩序又は善良の風俗」いずれに入るとしましても、大きく変革せられておるのでありますから、やはり取上げて判決の是正を求むることを得る事柄に属するのでありまして、具体的な例を一つあげてこれを伺つておきたいと思います。重ねて以上二点についてお尋ねいたします。
  45. 位野木益雄

    ○位野木政府委員 先ほど説明が足りませんでしたが、もちろん御指摘の通り、公の秩序、善良の風俗に反するような裁判は無効でございますから、債務者の方から債務不存在の確認の訴えをするというふうな方法がございますことは当然でございまして、これは説明の不十分な点であつたと思います。  次に相続の点でございますが、現地におきましては、現在なお家督相続が行われておるわけであります。その家督相続を認めたような裁判は今「公の秩序又は善良の風俗に反する」ということになるかと申しますと、これはならないのであります。この「公の秩序又は善良の風俗」という言葉は、非常に抽象的の言葉でありますが、外国の判決をそのまま受入れるということが非常に好ましくないという場合を、最小限度に押えるという趣旨でありまして、法制の立て方が国によつてつておる、それまでも是正するという趣旨ではないのであります。現在わが国で家督相続が認められておらないからといつて、すでに現地で行われておつた家督相続の方法まで否定するかというと、それを否定することがむしろ「公の秩序又は善良の風俗に反する」と思われるのでありまして、旧民法を新民法に量りかえたわが国の場合におきましても、元の効力はそのまま認めてあり、これはもちろん否定する必要はないと思います。
  46. 林信雄

    ○林(信)委員 具体的事例を示しましたその問題は、解釈におきましていろいろあろうかと思いますが、事差迫つた財産に関する問題でありますので、それぞれ関係者においては、かなり神経過敏になる問題だと思うのであります。従つて無理な解釈もまま起して喧訴の弊に陥らないとも限らない。さようなことを食いとめる意味においても、確固たる解釈と、一般に対して了知させる適当な措置が必要ではないかということを申し上げて、民事訴訟に関する点を終ります。  同じ第七条は、民事訴訟について規定せられ、刑事訴訟法に関するものを除いてありますが、しかしその裏を返しますれば、民事訴訟法においては訴訟行為裁判、処分その他の手続上の行為を有効なものとみなす。従いまして刑事に関しまするものは無効だ、こういうことに帰着すると思う。今まで行われました刑事裁判が無効だということになりますれば、おそらくそれは国際法の慣例として、政府においてもさように取扱われるものだと思うのであります。自然現在服役いたしております囚人、いわゆる確定判決に基いて服役いたしておりまする実刑を科せられたる諸君は、ここにただちに釈放しなければならぬと思う。これは争いのないところであろうと思うのです。といいましてもこれは無条件にほつぽり出してしまいましたならば、ああいうところですから、どの程度の数か、多くはないと存じますけれども、もしそれその間に凶悪なる犯人があるということになりますれば、ただちに在住民の受ける被害も想像せられます。その他の者におきましても、自由奔放にこれが行動せられますることは、大義の上ですか、人道の上ですか、いろいろな意味において、とうてい許されないと思うのですが、この措置はいかに講ぜられんとしておられるのでございましようか、これを承ります。
  47. 林修三

    林政府委員 一応大体の方針につきましては私からお答えいたします。なお手続上の問題につきましては、御質問があれば、法務省の方からお答えいたします。  刑事事件に関する取扱いにつきましては、ただいま林委員から仰せられました通りのことを実は考えておるわけであります。現地におきまして従来も行われました刑事事件に関する裁判手続は、こちらでは受入れないという考え方でございます。従いまして従来刑務所等に服役しておりました者は、当然そこで一応釈放されることになるわけでございます。今御懸念がございましたような治安上の問題もございます。そこでこれにつきましては刑法等で、いわゆる外国犯罪について属人的に日本において処罰できる犯罪が相当ございます。世間でいわゆる凶悪な犯罪と言われておりますものは、大体これに当るものと考えられるわけでございますが、これらにつきましては、復帰と同時に万全の手続をとりまして、なお時効にかかつておりませんものについては、もう一ぺん訴追をいたす、かような手はずを考えておるわけでございます。この執行の手続等につきましては法務省からお答えいたします。
  48. 林信雄

    ○林(信)委員 逮捕して、取調べて、訴追をするといたしまして、さらに具体的になりますと、どうなるのでございますか。刑務所を一度出すのでございますか。出して、そこに逮捕令状が準備されておるのですか、それとも出て来たからというので、つらを見て年を調べて、所を調べて、あらためて逮捕令状を請求して、それからということになるのですか。大分具体的なところまでひとつ……。
  49. 位野木益雄

    ○位野木政府委員 ただいまのお尋ねでございますが、切りかえと同時にそれから準備して行くということでは、御懸念のような凶悪犯がまたその間に好ましくない行動をするというふうな余地を生ずることになりますので、われわれといたしましては、切りかえ前から十分用意いたしまして、これは鹿児島の方でも令状は出せるわけでありますから、切りかえと同時に遅滞なく令状を執行するということを考えておるわけであります。一度門を出すか、あるいは部屋で間髪を入れず令状を示すかというふうな点は、これは実情に応じまして適当に人権の侵害がないように、しかし治安の確保には影響がないようにということを十分配慮して、現地で適当にやつてもらえるように、十分打合せをいたしたいと考えております。
  50. 林信雄

    ○林(信)委員 なるほど逮捕令状は鹿児島裁判官に書いてもらつたらいいだろうかと思いますけれども、その内容については鹿児島ではわからないと思うのでありまして、やはり現地について調べなければならぬ。そこで調べて、みんな一ぺんに逮捕してしまうんですか、それともちよこつと残つたくらいはいいだろうというので、オミツトされるんですか、また情伏も考えて除外するものがあるんですか。  並びに御答弁の中に、人権尊重の話がありましたが、人権尊重から行きますと、やはり一ぺん出さなければ、出したことにならぬのじやないか。刑務所の事務室か、あるいは監房の中にいるままで逮捕されたんでは、ひとつも釈放にならぬので、逮捕でなしに、収容だということになるであろうし、といつて実際面にあまりばかばかしい常識はずれのこともできますまいが、りくつに合つて、常識に合つて、彼も納得し、こつちもまあまあそう悪口を言われぬというところがねらいではないか、そう私は抽象的に思うんですが、それが具体的に予定されているならば、伺いましよう。そうでなければ、抽象的にどんなふうな心構えでやつて行くんだというようなところを、もうちよつと聞いておきたい。
  51. 位野木益雄

    ○位野木政府委員 もちろんすでに大部分の刑期を服役している、あと余すところない、犯罪としても、そう大したことはないというふうな者は、これはあらためて訴追はしないで、釈放するということになろうかと考えます。  それから釈放した上、さらに逮捕するというような場合の方法でありますが、これはまだ具体的にこういうふうにするところまで、最後的には決定いたしておりません。御趣旨のような点も十分考慮いたしまして、なお研究いたしたい。そうしてそこに過誤のないようにいたしたいと考えております。
  52. 林信雄

    ○林(信)委員 まだ間に合うのだから、先刻から聞いておりますと、ちよつとまだ延びそうな話もありますので、十分御検討願いたい。これは言い過ぎかも知れませんが、戦犯裁判とも見えるものでもなく、さように外国裁判視する次第でもないんですが、少くとも国民喜びの日にあたる釈放の問題でありますから、その辺はひとつ裁判と違つたいわゆる政治の面なんですから、喜びをわかつ意味で、あまりかたく考えずに、喜びを与えてやるというような意味で、広くというと語弊がありますが、少し寛大にこらえてやるということをお考えになつていいのじやないか。もちろんこれは主観的に本人の犯罪の事実及び境遇、本人の性格等々から考えてみなければならぬのですから、おおむねの考えをその辺に持つていただくことも徒労でないのじやないか、こう思うのであります。  なお続いてそれらの服役しておりまする囚人の中には、内地と同様の法律によつて処罰せられた者もありましようが、別にアメリカ軍の布告違反という事件があるのじやないかと思うのです。これはやはり同じように、この際釈放せられるのでございましようか、別種の扱いを受けるのでございましようか、その点伺つておきます。
  53. 位野木益雄

    ○位野木政府委員 今御指摘のようなものは、わが国としてはこれは拘禁を継続する根拠がないわけでありますから、向うでそれまでにどつかに連れて行くとかなんとかいうことがない限り、これは釈放いたすということになろうと思うのであります。
  54. 林信雄

    ○林(信)委員 われわれはそれであつてよろしいと思うのでありまして、異論もないのですが、事やはり外国軍隊に関する問題なんですから、何だか変なことをあとで言われてもあまり気持のよいことじやありません。問題ないということであればけつこうでありますが、慎重に取扱つていただくことが適当ではないか、こう思つております。  次いで、同地においてもやはり、いずこも同じ秋の夕暮れで、少年犯罪が累増しているやに聞いております。つきましては名瀬市には乙号支部もあるし、鹿児島まで船で十何時間もかかつて行かなければならぬというようなことで、また家庭裁判所なんというようなものも見えないようであります。従いまして少年院や少年鑑別所というようなものもあろう道理もないように思われる。少年犯罪関係、これは申すまでもなく重要なる問題なんですから、急速に間隙なく適当な措置がとられなければならぬと思いますが、どんなものでしようか。
  55. 位野木益雄

    ○位野木政府委員 ただいまお話のありましたように、少年事件現地では内地に比べまして非常に多いのであります。現在の受刑者中でも九月十五日現在の全受刑者七十三名のうち、十名が少年に該当しているわけであります。これは既決囚でありますがこういうもののほか、現に裁判係属中の者、あるいは将来の少年犯罪者というような者の取扱いにつきましては、これは受入れ後は相当十分なる配意をもつて、重点的に各種の施策を行つて行く必要があると考えております。家庭裁判所、これはここに裁判所当局もおられますが、支部が置かれる予定のように聞いております。それで法務省といたしましても、不便なところでもありますので、できれば少年鑑別所あるいは少年院分院等も置きまして、その辺の保護対策を十分にでき得るような態勢を整えたいと考えておりますが、予算その他の関係もありますので、また決定はいたしておりません。しかしながらその点については十分努力いたしたいというふうに考えております。
  56. 林信雄

    ○林(信)委員 少年犯罪が多いということ、まさか内地の方の数にまさるとも思わなかつたのですが、それ以上と聞かされて驚いております。でありますればありまするように、十分の措置を早急にとられんことを望んでおきます。最後に、これは自治庁関係もあると思うのでありますが、ひつくるめまして質問を試みておきます。それは奄美群島人口の問題なんですけれども、私らの聞きますところでは、奄美大島から琉球、ことに沖繩に出かせぎの者が、五万人もいるというようなことを聞いたことがあります。先刻からの御論議を聞いておりましても、二十一万何がしといつたような人口数というようなものは、戸籍の上の数なんでしようか、あるいは厳重な住民登録か何かいたしました結論の数であるといたしますならば、これら戸籍は残しながらも、その他の土地に移動いたしました者は、除外されておる的確な数字だとも思うのであります。どういうところから現在の住民の数が考えられておるのでございましようか。と同時にそういうふうに出かけた者のある者は、これは帰つて来ることが予想せられる。そうしますと、それは無条件に琉球、なかんずく沖繩あたりから帰つて来るそのままでよろしいのでありましようか、あるいはそこに適当なる許可を要するのでありますか。十分やかましい問題を考えますれば、出入国管理令の適用を受けて、法務大臣の入国許可を得なければ入れない、こういうところまで行くのか。もちろんこれが外国だとはつきりいたしました土地からの入国関係であれば、これはもう当然出入国管理令の適用を受けるのでありますが、領土はわが方にあつて、ただその主権が排除せられておるというか、行政権は少くとも排除せられておるこれらの土地から入る。具体的には琉球からの入国というか、入つて来る関係、渡航といつては言葉が大きいかもしれませんが、渡つて参りますことがどういうことになるか、この二点を最後にお伺いいたしまして、私の質問といたしたいと思います。
  57. 林修三

    林政府委員 先ほどお尋ねのございました人口二十万あるいは二十一万というのは、奄美、琉球政府の方でお調べになりました常住人口でございます。沖繩本島の方に出かせぎに行つておるといわれております五万人の人口を含んでおりません。この五万人の者が今ただちに向うから帰つて来るか、あるいは沖繩で一定の職業に従事しておられるか、この問題につきましてはいろいろ問題があろうと思うのであります。しかし復帰なつたから、すぐ向うから返してしまうという問題ではおそらくないのじやなかろうか。それは交渉事項ではあろうと思いますが、当然にこちらで受入れなければならないものではないのではなかろうかと存じております。  それから出入国管理令の運用の問題でございます。これは日本に復帰した以上は、当然に——今までも日本人でございますけれども、もう文句のない実は本籍もある人になりますから、入国の方は自由でございます。ただこちらから向うに出る。たとえば奄美群島から沖繩の方に行く場合については、これは出入国管理令の適用があるわけであります。出入国管理令で、いわゆる本邦と称するものは、必ずしも旧領土によつておりませんので、たとえば今まで南西諸島を除いておりますから、そういう意味においては適用があるわけであります。しかしこれは琉球政府なりアメリカ政府の間の、いろいろな話合いによりまして出入国管理令なり、何かの規定に多少暫定措置を設けるということは、もちろん考えられると思うのであります。
  58. 林信雄

    ○林(信)委員 そうしますと、ただいまの点は今のところまだ何もないということになるのでございますか。ただ現地の方の適当な人が適当にやるということになるんでございますか。何か一通り許可するということになりますれば、どこの所管になつて、どういうふうな手続をするかということをさつそくはつきりしておきませんと、人間というものはなかなかじつとしておりませんし、その日にもすぐ動き出すということがありますので、ストツプさせるわけにも行かないと思います。
  59. 林修三

    林政府委員 入国につきましては、どうせ奄美群島におきまして入国管理令なり関税法なり、あるいは外国貿易管理法なりを運用するわが国の下部機関が当然できるわけでありましてそこを通つてつて来るわけであります。しかし入国管理令上これは日本人が外国から帰国するのと同じでございまして、別にそこに今制限はないわけでございます。ただ携帯荷物等につきまして、多少関税とかなんとかいう問題まもちろんあるわけでございます。こういうものにつきましては国内法令の除外例を設けることも、もちろん可能であります。出国につきましてはただいまも申しましたように、一応は入国管理令に該当して参りますが、これはまたあるいは従来のように旅券ではなくて、渡航証明書があればいいという問題になりますけれども、その渡航証明書の発給手続等をどうするかという問題は、琉球政府なり、アメリカ政府との話合で、相当簡易化する方法もありましようし、いろいろ措置は考えられると存じております。
  60. 鍛冶良作

    鍛冶委員 この刑事事件の表を見ますと、騒擾罪の人が一番多いようですが、これはどんな性質のものですか。
  61. 位野木益雄

    ○位野木政府委員 御指摘の騒擾罪でございますが、この事案の内容は酒の密造をしておりまして、その手入れをした場合に反抗したというのが内容のおもなるものです。大したものではないと思つております。
  62. 鍛冶良作

    鍛冶委員 どうもわれわれの常識からいうと、はなはだふに落ちない。公務執行妨害ならわかるのですが、騒擾罪とは向うできめた法律なんですか、それとも日本の騒擾罪なんですか。
  63. 位野木益雄

    ○位野木政府委員 これは刑法の騒擾罪というふうにして、取扱つておると思います。
  64. 鍛冶良作

    鍛冶委員 これの内容はおわかりですか。われわれは騒擾罪ということは、よほど大きなものでなかつたら騒擾罪にならぬと思うのです。それだつたら日本のそこらでは毎日騒擾罪があるわけですが、私の聞きたいのは特別何かアメリカでこういうものをこしらえたのか、それとも日本の法律の騒擾罪で、この島だけにおいてそういうふうに、簡単に騒擾罪と認定しておるのかということなんです。
  65. 位野木益雄

    ○位野木政府委員 やはり日本の刑法を向うの軍令に実質的に適用することになつておるようであります。ですから内容的に日本の刑法の騒擾罪と同じような内容の犯罪として起訴せられ、裁判せられるということのようであります。
  66. 鍛冶良作

    鍛冶委員 そうすると、これは何百人も抵抗しているのですか、それともどの程度ですか、おわかりになりますか。
  67. 位野木益雄

    ○位野木政府委員 数十名ということです。
  68. 鍛冶良作

    鍛冶委員 これは前の日本の裁判官及び検察官がそのままやつておるのですか。また臨時に占領治下において、何か特別の者がやつていたのですか。
  69. 位野木益雄

    ○位野木政府委員 行政権分離後、しばらくはこちらの資格を持つておる裁判官がやつてつたのですが、その後そういうことがなくなつたものですから、向うで逐次試験をいたしまして、それに受かつた人から裁判官を任用したというふうな実情でございます。
  70. 鍛冶良作

    鍛冶委員 先ほど林君も聞いておられたが、そうなるとわれわれははなはだ心もとないのであつて、これからそのあともそのまま裁判官になつたり、検察官になるようではたいへん心もとないと思いますが、いい人が得られますか。
  71. 位野木益雄

    ○位野木政府委員 それは先ほども申し上げましたように、こちらから資格を持つた人を、あらためて任命するということになります。
  72. 鍛冶良作

    鍛冶委員 するというだけじやいけ三、なかなか内地においてでも資格のない特任判事だの特任検事がおつて、はなはだわれわれはおもしろくないと思つているのですが、十分りつぱな人が得られますか、大丈夫準備はできていますか。
  73. 位野木益雄

    ○位野木政府委員 裁判所からお答えいたします。
  74. 磯崎良誉

    ○磯崎最高裁判所説明員 林委員、鍛冶委員から重ねて裁判官の任用につきまして、お尋ねでございましたのでお答えいたします。裁判所といたしましてはもちろん裁判所法による資格者を送り込む予定でおります。予定は地方裁判所の支部に判事一人、判事補一人、家庭裁判所の支部に判事一人、合せまして判事二人、判事補一人、簡易裁判所判事が名瀬、徳之島に一人ずつという方針で、人選をいたしております。第一回に赴任いたしますところの支部長に当る人は、相当内地でも優秀な人を送りたいというような方針で、事務局の方でも人選を急いでおります。決して現在の地方裁判所の判事が、そのまま残るというようなことはございません。
  75. 鍛冶良作

    鍛冶委員 よろしゆうございます。
  76. 中井一夫

    中井委員長 それでは法務委員のお方は、大体この程度で御質疑終了としてよろしゆうございますか。——それではさようにいたします。
  77. 山中貞則

    山中(貞)委員 一間だけ。最高裁にこの際お伺いしておきたいと思いますが、現在高裁支部が宮崎に置かれていることは、御承知通りだと思うのであります。ところが奄美大島の以前の、現状におきましても鹿児島におきましては事件の処理あるいは実際上の交通、宿泊等の事情から、再三陳情しいる事実も御承知だろうと思うのであります。しかるに今般具体的に奄美大島がはるかかなたの集団的な人口を有しながら、離島として復帰いたして参りますと、ますますその面における不自由というものが強くなつて行くわけであります、そこでこの際大島復帰の事実が明らかになりましたならば、鹿児島に高裁支部を設置する方法について、何らか検討はなされておりますかどうかお伺いいたしたいと思うのであります。     〔委員長退席、佐藤(親)委員長代   理着席〕
  78. 磯崎良誉

    ○磯崎最高裁判所説明員 お答え申し上げます。現在宮崎に高等裁判所支部がございますが、奄美大島復帰いたしまして簡易裁判所刑事の控訴事件、支部の民事、刑事の控訴事件が高裁の方に参りますが、その場合におきまして、確かに奄美大島から宮崎までは御一不便であろうと思つております。つきまして宮崎の最高裁支部を鹿児島に移すかどうか、あるいはまた裁判所法六十九条第二項によりますところの、開廷場所指定で、控訴事件奄美大島群島内で行い得るように、手当するかどうかということにつきましては、復帰後におきます控訴事件の件数等を慎重に検討した上で決定いたしたい、かように思つております。
  79. 山中貞則

    山中(貞)委員 事務的にはそのような答弁しか引出せないだろうと思つたのであります。宮崎支部が設置されたいきさつが、実際に福岡の高裁の判事諸君の意見は、どのような意見であるかという事情等を考えますと、万やむを得ざる事情によつて設置したわけで、現在宮崎の高裁支部の判事の質といつては何ですが需要の状況、それから実際の運営においての不便等を考えますと、移転ということは政治的には非常に刺激がありますれば実際はこの際本特別立法の具体的な施行、すなわち奄美大島復帰の事実をとらえて新しく鹿児島に高裁支部を設置するだけの努力は、ぜひともなされなければ、そのあとにおいて実際上処理されるべき案件あるいは処理されるべき事件の対象等を考慮されてからでは、私は少しおそいのではないかと思うのであります。鹿児島としては宮崎に気がねをいたしまして、移転ということは現在までも言つておりませんが、大島復帰するまでもそのような不便があつたわけでありますから、ことに福岡の高裁の判事諸君の御意見も、鹿児島設置がほとんど決定的であつた状況でありましたから、この際はぜひともそういう方に考慮をされなければならぬと思うのであります。もちろん総務課長において、そういう確定的な答弁は困難だろうと思いますけれども、幸い法務委員会との合同審議でありますから御質問したわけですが、事情を見るということよりも、積極的にそういうことを検討するという御意思はないかどうか、お尋ねいたします。
  80. 磯崎良誉

    ○磯崎最高裁判所説明員 山中委員のお言葉の御趣旨は十分に了承いたしました。よく検討いたして善処いたしたいと思つております。
  81. 北山愛郎

    ○北山委員 一点、外務省の方にお伺いしたいと思うのですが、この前の地方行政委員会で、大島復帰に伴う日本とアメリカのとりきめは、行政協定みたいなとりきめの形式をとるというようなお話がありました。これは外務省だけの考え方であるか、あるいはアメリカ側としても、そういうふうなことを了解しているのかどうか。私がお伺いするのは、この問題はやはり平和条約第三条の実質的な部分的な改訂といいますか、変更だと思うのです。アメリカ側としてみれば、非常に小さい問題ではあるけれども、しかし自分の持つている権利の放棄であるから、この外交的な形式というものは、そう簡単には行かないのじやないかというような気持もするわけであります。私はアメリカの国内法のことはよくわかりませんが、このような権利放棄をする場合に、大統領の権限といいますか、行政機関の権限だけできめ得るものかどうか、あるいは議会の事前あるいは事後の承認を必要とするものであるかどうかというような点について、これは参考までにお聞きするわけであります。
  82. 小滝彬

    ○小滝政府委員 御説の通り、これは平和条約第三条によつて、アメリカ側が持つておる権利の一方的放棄であります。これが向うの国内法上でどういう手続をとるかにつきましては、実は東京の大使館へも尋ねたのでありまするが、これは何ら議会などと関係なしに、行政府として放棄し得るのであつて、一方的にその放棄通告をするのだ、しかしこれを最終的にするのには必要なるとりきめと申しますか、ネセサリー・アレンジメントというものが必要だということを言つております。これはこの前の委員会でも申し上げましたように、現実の通貨の処理であるとか、あるいは債権債務の処理であるとか、財産の返還とか、行政的ないろいろの具体的な問題をとらえてのとりきめであつて、これは政府間で事務的に取扱えるときめという考え方で、先方からそうした内容をこちらに示しまして、こちらの方がその公文を受けて行政上に関する公文の交換をするという形式で進むことになる次第であります。
  83. 門司亮

    ○門司委員 第三条に「同法別表第一がこの法律施行最初に更正されるまでの間、」とこう書いてあるが、これは別表改正が出されて、次の総選挙までと解釈すればいいのですか。
  84. 金丸三郎

    金丸説明員 別表改正という意味でございます。
  85. 門司亮

    ○門司委員 別表改正の時期と、選挙の時期は違うと思うのですが……。
  86. 金丸三郎

    金丸説明員 それは当然違います。
  87. 門司亮

    ○門司委員 違うから私は聞いているのですが、これは次の総選挙までと解釈していいかどうかということです。
  88. 金丸三郎

    金丸説明員 これは「この法律施行最初に更正されるまで」ということですから、直接には総選挙とはこの第三条の二項は関係ございません。
  89. 門司亮

    ○門司委員 そうするとちよつと疑義が出て来るのですが、別表改正されると同時に選挙が行われればいいが、選挙が行われなかつた場合には、この定員にどういうふうな影響を持つて来ますか。
  90. 金丸三郎

    金丸説明員 あるいは御質問の御趣旨を私若干お聞き違いしておつたかと思いますが、別表改正されますと、その別表は次の総選挙から施行されるというのが通例でございますから、そういう意味では、実際の施行は次の総選挙からでございます。
  91. 門司亮

    ○門司委員 私はこの更正という意味は、次の総選挙までと解釈していいのかということを質問したのです。
  92. 金丸三郎

    金丸説明員 次の総選挙という御質問の御趣旨は、別表改正になりましたあとで行われる総選挙という意味でございましようか。
  93. 門司亮

    ○門司委員 ちよつと私の言い方が悪かつたのだが、これは別表改正されて、その次の総選挙と解釈すればいいのかということです。
  94. 金丸三郎

    金丸説明員 実質上はそうなるであろうと思います。
  95. 門司亮

    ○門司委員 これははつきりしておいてもらわないと困るですよ。
  96. 横路節雄

    ○横路委員 関連して……。今の第三条の第二項の点ですが、今の点ははつきりしておいた方がいいのではないかと思います。今の奄美群島一つ選挙区として、その選挙区において選挙すべき議員の数は一人とする。これは今のわれわれの議員任期中だから、次の総選挙においてはこれをどうするか、これは今のわれわれの議員任期中だけ適用されるのかどうかというところが、私どもの一番聞きたいところなんです。
  97. 金丸三郎

    金丸説明員 それは別表が更正されまして、選挙区の変更がありませんければ、やはりその間はこのままで行くことになろうと思います。従いまして必ずしも現在の議員任期の間だけということにはならないと思います。法律的にはそのようになると思います。
  98. 横路節雄

    ○横路委員 私は自治庁長官にお尋ねしたいのですが、そうするとこの趣旨は、よく政府の方では小選挙区をやりたいのだ、できれば一選挙区一人にしたいのだということを新聞で発表しておるわけですが、これはモデル・ケースというようなことでお出しになつたのか、自治庁長官趣旨を伺いたい。
  99. 塚田十一郎

    塚田国務大臣 その点は先ほどお答え申し上げたのでありますが、そういう考え方ではなしに、これはどこまでも現在の選挙法考え方を基準に置いて考えている。従つてこれは暫定の措置である。こういうふうにお考え願いたいと思います。
  100. 佐藤親弘

    ○佐藤(親)委員長代理 他に質疑ございませんか。——なければ、これにて本連合審査会を散会いたします。     午後零時五十分散会