○安武
参考人 御指摘の京都の某
信用金庫の問題につきましては、昨日新聞の報ずるところになりまして、皆さんにたいへん御
心配をおかけいたしました点を、
最初におわび申し上げる次第でございます。
京都の問題の
中心は、京都の金庫の一支店におきまして、大口の預金者が預金をあつせんいたしました。このあつせん者が預金を再々持
つて来るので、金庫の方に顔が通じまして、そのあつせん者の依頼によりまして、ある繊維会社に
最初は少額の貸出しをなしたのでありましたが、それが行き詰まりまして、結局一方大きな預金を持ち込まれておりますので、それを一応の見合いにだんだん出して参
つたというようなことから端を発しまして、相当の金額がこれに固定をするということに相なりました。
従つてこの預金が最近はあまり伸びておらない
関係から、手元が苦しくなりまして、支払い
資金、あるいは新しい貸出し
資金に行き詰
まつたというような
事態を起したのでありまして、その
意味におきましては、御指摘のように
経営者がそうした時期におきまして、
一つの商社に金庫としては望ましくない金額をつぎ込んだというところに破綻の
原因があるわけでございますので、経営のずさんと指摘されてもやむを得ないと
考えております。しかしながら、これは別段保全
経済会のように休業をし、店を締めておるわけではございませんので、そうした
状態になりましても、預金者として、あるいは一般大衆の動揺はさして見られないのでございまして、きのうの
情勢までにおきまして、新聞に出ましたあとにおきましても、大した預金の引出しということは見られないで、午前中にわずかに二十数万円引出したということで、きわめて平穏であります。そこでこれの更生策として、あるいはこういう問題が起りました場合の対策といたしまして、ただちにこれは
日銀の
資金を導入いたしましてこの経営を回復して行くということは、われわれの場合におきましては、個々の金庫の直接の取引はございません。しかしながら、全国の金庫が寄
つてつくりましたところの
全国信用金庫連合会があるのでございまして、これが
日銀と結びついておるわけでございます。
従つてまず
一つの金庫の問題でございますので、さしあた
つては直接
日銀さんにお願いをしなくとも、当連合会が持
つております
資金で一億のクレジツトを結びまして、支払い
資金なり、今後の経営改善に充てるという態度をきめまして、すでに実施をいたしておるわけであります。当該金庫におきましては、それだけの担保なり、あるいは貸出しの余裕を持
つておらないものでございますから、近隣の、京都にあります有力な四金庫が共同いたしまして、共同防衛というような形で四金庫がこれに協力いたしまして、そうしてこれの更生に当
つておるような現状でございます。そこで今後こういう問題に対しましては、まず第一番に、私どもが連合会をつく
つておる趣旨からいたしまして、また連合会の使命からいたしまして、各会員金庫の
資金の融通と、そうした不測の場合におきまするバツクをするというのが連合会の役目でございますので、連合会がみずからの力によりまして可能なだけの
資金なり、あるいは施策を講じまして、これを防止するということに当るべきであるというふうに思
つております。ただ現在連合会の実情からいたしますと、設立なお四年
程度のものございまして、たとえば農業協同組合における農中のような、強力な態勢にな
つておらないのは、残念でございます。
従つて現在では、連合会の強化ということに各金庫、われわれ協会としても全力を上げてそうしたいというふうに
考えております。特にこうした経営の不始末から起りました問題につきましては、これを普通の
資金コストにおいて
資金を融通するということになりますと、どうしても連合会としても、そう不始末をしたものにどんどんしりぬぐいをするという余裕はございませんので、こうした場合の
措置といたしましては、連合会を
中心として一種の預金保険というような制度を
考えまして、各金庫が可能な、あるいは応分の積立てをいたしまして、ひ
とつのプール
資金をこしらえ、そしてそれを動員したらということで、過日の協会の方の常務会においては決定をいたしまして、現在各金庫に呼びかけておる次第でございます。こうした例は連合会のない時代におきましても、福井の震災のときにおきましても、あるいはその他のときにも、各金庫が協力をした実例を持
つておりますので、各金庫も非常にこの点では神経をとがらしたことと思いますのでで、みんなが翕然として相携えてこの危機を乗り切るということに、決意を新たにしておるように
考えておりますし、ぜひとも早くそうしたいというふうに
考えております。こうした制度ができますれば、これに対しまして今後
日銀なり
政府なりが適当な施策を加えていただくということになりますと、金庫の個々の経営はあるいはまだ弱い面もあるかもしれませんが、連合会を通じまして、一貫して金庫経営の向上なりそうした不祥の問題の防止に当り得るというふうに確信いたしております。