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1953-11-27 第17回国会 衆議院 大蔵委員会 第10号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和二十八年十一月二十七日(金曜日)     午前十時三十九分開議  出席委員    委員長 千葉 三郎君    理事 坊  秀男君 理事 佐藤觀次郎君    理事 春日 一幸君 理事 山本 勝市君       淺香 忠雄君    有田 二郎君       大平 正芳君    黒金 泰美君       藤枝 泉介君    宮原幸三郎君       三和 精一君    福田 繁芳君       本名  武君    小川 豊明君       久保田鶴松君    柴田 義男君       井上 良二君    島村 一郎君       福田 赳夫君  出席国務大臣        大 蔵 大 臣 小笠原三九郎君         通商産業大臣  岡野 清豪君  委員外出席者         大蔵政務次官  愛知 揆一君         総理府事務官         (恩給局次長) 八巻淳之輔君         総理府事務官         (恩給局審議課         長)      畠山 一郎君         大蔵事務官         (銀行局長)  河野 通一君         厚生事務官         (引揚援護庁援         護局援護課長) 大崎  康君         通商産業事務官         (中小企業庁振         興部長)    石井由太郎君         中小企業金融公         庫総裁     坂口 芳久君         中小企業金融公         庫理事     市田 禎藏君         国民金融公庫総         裁       櫛田 光男君         証     人         (著述業)   深澤 義守君         証     人         (農業)    深澤 衛門君         参  考  人         (商工組合中央         金庫理事)   加藤 八郎君         専  門  員 椎木 文也君         専  門  員 黒田 久太君     ————————————— 十一月二十六日  委員菊池義郎君辞任につき、その補欠として淺  香忠雄君が議長の指名で委員に選任された。     ————————————— 本日の会議に付した事件  参考人より意見聴取の件  金融に関する件  保全経済会に関する件     —————————————
  2. 千葉三郎

    ○千葉委員長 これより会議を開きます。  まず年末金融対策に関する件を議題といたします。本日は中小企業金融公庫総裁坂口君、また中小企業金融公庫理事市田君並びに国民金融公庫総裁櫛田君が説明員として御出席になつており、また参考人といたしましては、商工組合中央金庫理事加藤八郎君が御出席になつております。なお政府側といたしまして、愛知大蔵政務次官も御出席になつております。また中小企業庁の石井振興部長がお見えになつております。  なお本日の日程は、午前中中小企業の問題につきまして質疑をいたし、午後一時から保全経済会の問題につきまして、古屋貞雄深澤義守並びに衛門の御三名が証人として御出席になることになつております。なお午後三時からは大蔵大臣が御出席になりますから、さよう御了承を願います。  なお本日は坂口総裁が非常にお忙しいようでありますから、まず坂口総裁から年末金融並びに最近の中小企業金融公庫状況について御説明を煩わすことにいたしたいと思います。坂口さんどうぞ。
  3. 坂口芳久

    坂口説明員 公庫が九月に発足いたしましてから今日までの概況と、年末に対する資金繰りを御説明いたして、御参考に供したいと思います。公庫は御承知のように全部代理店を経由しての貸出しでございますので、代理店への申込み状況を申しますと、当時代理店はもう少し多くあつたのでありますが、私の方へ報告のありました代理店百四十九について見ますると、公庫ができましてから十月末までに百十五億円の申込みがございました。これに対しまして代理店窓口で貸し付けてもいいと認めまして、公庫へ送金の依頼をして参りましたのが十七億六千万でございました。これは代理店窓口における状況でございます。十月末まではこういう状況でありまして、実際公庫が今日まで貸しておりまする件数は、多少日が狂いますが、十一月十日までに五百三十三件、十三億八千万を貸付いたしております。その後十五日ばかりたつておりますので、現在のところでは十七、八億見当になつておると思います。業種別貸出しの数字ができておりませんので、多少古い数字を申しました。十月末現在における業種別の貸出し状況を見ますと、製造業が非常に多うございまして約七〇%、次がサービス業関係の一三%、次が運輸関係の七%、次が物品販売業の五%、建設業が一%、鉱業が一%、こういうような割合になつております。十一月に入りましから、各方面の御要望がありましたので代理店をふやしまして、それまで百六、七十の代理店でありましたのを二百八十一にいたしました。  さて代理店への資金配付状況並びにその使用状況を見ますると、現在まで代理店資金配付をいたしました額は合計六十六億九千万円でありまして、これは年末金融の繁忙を考えまして、普通よりも余分に配分いたしたわけでありますが、この六十六億九千万円の配付に対しまして、十一月二十六日現在で使用未済のものが四十八億二千万円あります。この四十八億二千万円は、この十二月までの資金わくとして一応使用残でございます。しかしながら先ほど申したように、代理店窓口貸付申込みが非常に多い状況等考え、また代理店によりましては、すでに資金わくを使い果しておるところもございますので、第四・四半期に予定しておりました資金わくを十億程度までは繰上げ使用を認めてもいいと考えまして、昨日各代理店に対しまして、さらに資金の必要な部分につきましては、その資金の割当の増加を申請してもいいように申してやりました。こういうわけでありまして、資金わくとしてはまだ相当つておりますが、代理店様子から見ますと、非常に申込みが多いようでございますので、十二月末までにはこの金額相当はけて行くのではないかと考えております。     〔委員長退席淺香委員長代理着席〕  なお年末金融に対する一つの助けにもなるかと考えまして、当初主として設備資金の方に貸付がまわつておりましたが、長期運転資金をもまかなつて行きたいと考えまして、先般長期運転資金貸付要綱代理店に流しまして、その方面資金の疏通に資したいという考えでおります。御承知のように、設備資金の方は貸付調査にも代理店相当の手数もかかるようでございますので、場合によつては、このあとから長期運転資金申込みがありますれば、その方を先にしてもいいような意味のことを代理店には流しておるような次第であります。御承知のように、私どもの方は長期資金を扱つておりますので、直接に短期の資金を出す道がございませんので、間接ながら年末金融にいささかでも貢献したい、こんなような気持運営をいたしております。  はなはだ簡単でございますが、一応御説明終ります。
  4. 淺香忠雄

  5. 佐藤觀次郎

    佐藤(觀)委員 ちよつと坂口総裁に質問します。中小企業金融公庫発足以来、非常に宣伝をした関係申込みが殺到しておるわけであります。代理店でやつておる関係上、今まで銀行とか商工中金とか、その他相互銀行などが、取引先に情実でやるような傾向があるように見受けられるのですが、そういう点はどういうようにやつておられるのか、ひとつ説明を伺いたい。
  6. 坂口芳久

    坂口説明員 ただいま御質問のような趣旨のことを私しばしば耳にいたしておりまして、このことにつきましては前にも一度申し上げたのでございますが、代理店との契約を結びますにあたりまして、代理契約の中の一条に、この公庫資金貸付にあたつて、それをあるいは一部を預金に入れるとか、そういうようなことのないようにという意味のことを入れております。その後各方面からいろいろなお話を聞きますので、代理店に対しては十分注意を促しております。しかしながら代理店で従来から取引のありますものの方が調べやすいという点もあるかと存じますが、私の方は直接の窓口を持つておりませんので、単にそういうような点からだけで私の方の資金を利用されることは、私ども公庫設立趣旨にも反しますので、今後十分代理店と連絡いたしまして、過度に預金取引を強要したり、あるいは掛金取引を強要することのないようにいたして参りたいと考えております。
  7. 佐藤觀次郎

    佐藤(觀)委員 中小企業金融公庫は、御承知のように今まで銀行あまり取引のない、むしろ中小で、どちらかといえば銀行に信用のないような、零細とは言わぬけれども、とにかく設備資金や何かに困つておるようなものに貸すということが原則だと私は考えておりますが、今坂品総裁の御意見だと、やはり取調べにぐあいがいいというようなお話でございますけれども、しかしそれではせつかくわれわれがこの中小企業金融公庫期待を持つ点が半減をされるのではないか、実際銀行などと取引のある人々は、預けることは自由でありますけれども、借りられるような中小業者は非常に少いのでございまして、特に大都市は別でございますけれども地方中小都市はいろいろな設備が悪い関係上、そういう点で非常に困つておるようでございます。たとえば愛知県のごときは、国民金融公庫支所名古屋にありまして、この間調べてみますと、愛知県の国民金融公庫でありますけれども、実際は名古屋の市に八割金を貸しております。愛知県全体を考えましても、名古屋市に八割貸して、あと残つている二割が愛知県全体に散布されるというような非常に不均衡な状態でございます。これはよく尋ねてみますと、やはり交通の費用がないとか、出張の旅費がないとかいうことで、いろいろ研究はしておられましたが、名古屋などという大都市は、いろいろな方法で金を借りられる道がある。ところが地方の三万、五万の都市ではそういうことが非常に少いのであります。今まで政府資金を借りられないような階級の人に何とかしてやるということで、私たちもこれに非常に期待を持つておるわけでありますが、現状を見てみますと、なかなかうまく行つていない。これはほとんどまたやみ取引のようなことが行われるのではないかと思われるような節が、名古屋あたりにも相当あるのであります。私は二、三日所用があつて参りましたけれども、非常に遺憾の点が多いわけであります。それで坂口総裁にお尋ねするわけでありますが、国民金融公庫の方は、支所があつて、よいにしろ悪いにしろ、とにかく円滑にやつておりますけれども、あなたの方も将来支所を設ける意思があるかどうか、少くとも地方の有力なところに支所を設けて、代理店以外にやる意思があるかどうか、そういう点もひとつあなたの御意見を承りたいと思います。
  8. 坂口芳久

    坂口説明員 各方面から私の方の出先の支店を設けるようにというお話がございますので、私も初めからそのことを痛感しておりますから、漸次そういう方向に向つて進みたいと思います。その第一歩でございますが、この週の初めから大阪に、支店と申すような大きいものではないのでありますが、相談室を設けまして、ただいま理事一名と数名の職員とを派しまして、一般の御相談に応じたいと考えております。今後だんだんと広げて行きたいというふうに考えておりまして、来年度事業計画に織り込んでおるわけでございます。  なお先ほどお話がございました実際に借りられない方、貸付を拒絶された方に対して、どういうわけで拒絶されたか、貸付を拒絶された人の調べをもやつて行きたいというようなことも設立の初めから考えております。漸次私どもの方の職員も充実して参りましたら、貸し出されたものの審査ばかりでなく、貸出しを代理店で拒絶されたものについても考え行つて、私ども事業発足趣旨に沿うように運営をして参りたい、こういうような気持でおります。
  9. 佐藤觀次郎

    佐藤(觀)委員 公庫資金が非常に少い点は、総裁も非常にお困りだろうと思います。いろいろ説がありまして、個人で一千万円借りたというようなうわさもある。それから何べん行つてもだめというようなお話がございます。いろいろ業態によつて違うのでありますけれども、私たちもできる限りこういうような時期でございますから、大きな金を個人に貸すのではなくして、ある範囲を限つて大勢に貸す方針をとつてほしいように思うのでございますが、そういう点はどういうような方針でやつておられるのか、お尋ねいたしたいと思います。
  10. 坂口芳久

    坂口説明員 お説の通り、なるべく多数の方に利用していただきたいと考えまして、代理店の数も各方面の御希望をいれまして、非常にたくさんにいたしました。三百八十一にいたしました。資金の量が非常に少いために、小さな代理店には資金わくも二、三百万というような小さい代理店までできておりますので、そういう意味から、小さいものに対して、貸付に力を入れてもらいたいということを考えておりますが、一つには制度の上から、手数料の払い方につきまして、三百万以上と三百万以下とで手数料をかえております。三百万以上は収入利息の四割にいたしておりますし、三百万以下は四割五分にいたしております。そういう意味からも、小さいものに力を入れていただくというふうに考えておる次第でございます。
  11. 佐藤觀次郎

    佐藤(觀)委員 この代理店弊害がだんだん出て来まして、たとえば相互銀行に預けないと貸さぬことになつておるということをちよいちよい耳にするわけであります。こういう点は、総裁の方では、末端に至るまで厳にそういう弊害のないようにぜひひとつ注意を願いたい。それからこの間の予算の中で今年中に散布できる資金がどれくらいあるかということと、もう一つは、あらかたのことでけつこうでございますが、来年度はどういうような御計画を持つておられるか、その点をひとつお尋ねしたいと思います。
  12. 坂口芳久

    坂口説明員 来年度予算でございますが、計画は、私ども考えでは、今年が月大体十五億見当になつておりますので、来年は月二十億見当をやりたいというつもりで計画いたしております。そういたしますと、出資あるいは政府からの貸付金によりまして二百億くらいありますれば、大体月二十億見当の貸出しができる、こんなつもりで今計画いたしております。
  13. 佐藤觀次郎

    佐藤(觀)委員 そのいろいろな計画資料がありましたら、この次でけつこうですから、大蔵委員会に御提出願いたいと思います。
  14. 淺香忠雄

  15. 本名武

    本名委員 坂口総裁にお伺いしますが、今御報告を承つて開店日浅く、しかも資金源の少い折から、非常に熱意を持つて積極的に融資の道を講ずるべく努力をなさつている報告を聞いて、非常に意を強くしたのでございます。そこで私は、せつかくのその御努力をぜひ十分に効果を発揮できるような道をさらに講じていただくために、私どももいろいろまた検討してみたいと思うので、一、二のことについてお伺いしたいと思いますが、お手元資料がありましたら今お答えをいただきたいし、もしなければ、後日当委員会資料の御提出をお願いしたいのであります。  ただいま佐藤委員からも、若干これに関連して御指摘がありましたが、取引内容の問題ですが、まず第一にお伺いしたいのは、代理店を通じて貸出しをなされるのですが、借入人代理店既往における取引有無、従来代理店銀行、あるいは金庫との取引があつた業者、ない業者、この区別をお知らせいただきたい。要するに取引実績があつたかないかということ。それから先ほど預金、あるいは従来の銀行の貸出しの肩がわりということは契約の上でも禁じているということでありますが、実はこれは私どもの貸し借りの通念から行きますと、禁じてある契約には違反せずして、しかも合法的にその道が容易にとられやすいものでないかと思われるのであります。そこで借入人といいますか、借入れ業者のその代理所との既往取引状況、要するに取引があつたかないか、これを件数金額の上でお調べいただきたいと思います。それから今日までの一件平均の貸出し金額先ほど業種別割合は伺いましたが、平均貸出し金額。それからもう一つは、これも先ほど佐藤委員から愛知県の御指摘がありましたが、大都市地方との件数金額内容、これらについて今おわかりの点があつたらお知らせをいただきたいと思います。
  16. 坂口芳久

    坂口説明員 第一の取引有無につきましては、ただいま資料を持つておりませんので、お答えは差控えさせていただきます。  第二の肩がわり調査——これから代理契約の中に、御指摘のように、肩がわりができないようになつておりますが、実際わからないこともあると思いますので、代理店契約の他の条項に監査の規定がありますので、監査をいたしましてその辺を調べて参りたいと思いますし、また代理契約は、私どもの方は年度を限つていたしておりまして、その年度終りになりまして、さらに契約を続けて行くときは無通告でございますが、とりかえて参りますとき、やめるとか、あるいは代理契約を直しますことは、一月前の通告でいたすことができるので、その辺代理契約に反しておるということがわかりますれば、こんなようなところも利用いたしまして、代理店と十分に連絡をとつて行きたいと思います。  第三の平均貸付額でございますが、十月末までの残高から申しますと、十月末までの貸付平均でありまするが、総平均で二百六十三万円でございます。それで代理店普通銀行の場合、平均が二百八十万円、相互銀行代理店の場合の平均が二百五十六万円、それから信用金庫平均が二百四十三万円、こんなふうになつております。この普通銀行の中には興銀、商工中金を含んでおりますので、普通銀行の方が少し多くなつておりますが、達観してみますと、大体普通銀行相互銀行信用金庫も同じような残高になつております。最後の大都市貸付様子その他は調べましてお答え申したいと思います。
  17. 本名武

    本名委員 それじや今お手元資料のないのは、後ほど御報告いただくことにしまして、ただ私はこの取引状況について、監査によつて違反を摘発するとか何とかいうことでなしに、既存の金融機関の手の届かない業者にどの程度に流れるかということがわれわれの一番関心を持つ点でありますから、その点に留意されて今後やつていただくと同時に、日は浅いですが、今日までのその状況を知りたいと思いますから、そのつもりでお願いいたします。  もう一つ十一月二十六日までに四十八億二千万円の配分の残が残つている。結局六十六億九千万円配分したのだが、貸出しが十八億七千万円しかできていないというふうに了承したのです。そこへ持つて行つて、わずか一箇月足らずの年末の期間中に、御好意によつて十億の繰上げ融資をするということになりまして、相当資金源はできることになりますが、一体今日までの推移から見ますと、事務的にこれだけのものが消化できるかどうか。なるほど申込みの額は相当ありますけれども、実際事務的に処理して年末融資に間に合わすことができるという御自信があるかどうか伺いたい。
  18. 坂口芳久

    坂口説明員 代理店の一部のものは、九月からやつておりますが、他の多くの代理店が十一月になつてから始めております関係上、申込みを受けまして、やはり設備資金関係上、多少調査にかかりまするので、これまでは大体調査期間ではなかつたかと考えております。この十一月の月末になりましてから、代理店からの書類の送付も多くなつて参りました状況から見まして、これから代理店からの公庫に対しての資金交付の要求が殺到して来るのじやないかと考えておりますので、多くの代理店におきましては、十二月の終りまでに資金を使い果すのじやないかと思います。でこぼこができるのじやないかという考えがいたしますが、そういう意味で、足りないところに対してこれから十億見当のものを配付して行きたい、こんなふうに考えております。
  19. 本名武

    本名委員 御説明様子が想像できますけれどもせつかくのことですから、申込みが殺到したが、さあ金は渡らないというようなことのないように、ひとつお願いしたいと思います。  それからさつきの御報告の中に業種別の貸出しの割合が出ておりましたが、一番多いサービス業の一三%、サービス業というのは、大体内容はどういうことになつていますでしようか。
  20. 坂口芳久

    坂口説明員 サービス業の中には医者旅館が含まれております。そんなもので割合多くなつたのじやないかと考えております。
  21. 本名武

    本名委員 医者旅館が多い。これはちよつと別な角度から検討してみなければならないと思いますが、旅館などはどういうような旅館でございましようか。普通の旅館なのでしようか、それとも登録旅館なのでしようか、何か区別をつけておられますか。
  22. 坂口芳久

    坂口説明員 旅館につきましては、監督官庁からの申入れがございまして、順位を付しておりまして、主として設備改善衛生設備改善等に使われておるようでございます。詳細に監督官庁と打合せをいたしまして、順位を付してやつておりますが、詳細は、代理店に流しております通牒などをよく調べましてから、またお答えした方が正確だと思います。一応順位はつけてやつております。
  23. 本名武

    本名委員 ちよつと今のお話の中に、監督官庁という言葉がありましたが、私もどうもうかつで何ですが、一体どこの監督官庁か、それから政府登録旅館というのがありますが、それとどういう関係にあるのか、ちよつと参考にお伺いしたい。
  24. 坂口芳久

    坂口説明員 市田理事に答弁いたさせます。
  25. 市田禎藏

    市田説明員 総裁にかわりまして、私から旅館業に対する取扱い方針の概略について御説明申し上げます。  旅館には各種の旅館がありまして、これが一時に殺到しそうな形勢があつたわけであります。そこで、全部をシヤツト・アウトするということは毛頭考えないのでありますが、資金が少い折から、おのずから順序があるだろうということで、監督官庁——と申し上げましたのは、旅館業主務官庁である運輸省でありますが、そこと御相談いたしまして、こういつたような順序で重点的に考えてもらいたい、こういうわけであります。それは業態の不健全なものはもちろんいかぬ、それから料理業を主とするものはいかぬ、そういうものでないので、次の条件を備えたものを対象にしようというわけであります。第一番目は、国際観光ホテル整備法に基くホテル及び旅館であります。それから第二番目は、日本ホテル協会員たるホテル及び国際観光旅館連盟会員たる旅館並びにこれらのホテル、それからこれらのホテル旅館と同等の施設を有するホテル旅館等外客宿泊施設の充実に資する整備を行い、あるいは登録のための整備を行う場合、この場合その計画の案を運輸省観光部長が一ぺん検討しよう、こういうことになつております。それから第三番目には、その他国鉄推薦旅館基準を備えるホテル等については、衛生、厨房、防火、電気及び通信等設備改善を主とするもの、以上のような三種類で、しかも借入金の使途は明確に設備の増強、改善に直接寄与する場合であつて宴会場増改築、備品、高級装飾自動車等の購入を除外する、こういつたようなことでやりました。
  26. 本名武

    本名委員 言いたくないことを申し上げるわけですが、順位基準というものはよくわかります。実際その通りやるということは、これは日本の観光政策的な見地から必要ではありましようけれども、しかし実際その基準通り経営がなされているかどうかということであります。その基準通り経営が的確に限界をもつてなされるかどうか。一面また、先ほど下位にありました料理旅館割烹旅館などというものは最近、普通の都市でも新築改築をやつております。ことに温泉地などに至つて相当新築改築をやつております。これらはいずれにしても、そういう基準にのつとつておやりになつたから、取締り官庁ないしはお扱いになる皆様の方では決して邪道ではないとお思いでしようが、一般金融に逼迫しておる中小零細業者の目から見ますると、非常に奇異な感じがする。ここで私不的確な数字を申し上げることははなはだ失礼なんですが、世間ではこういうことが流布されております。一般銀行から八百数十億の金がいわゆる旅館や料理屋その他遊興関係の方に融資されておる。さらにパチンコ初め娯楽施設の方には、二百数十億の金が一般銀行ないしは相互銀行その他の金融機関から流れておる。こういうことがまことしやかに宣伝されるということは、どうしても国民の目に映るああいつた建築その他の様相が反映しているわけで、数字の真偽のほどは別として、いやしくも中小企業零細金融を本旨として発足したこの公庫が、もしそういうような誤解を受ける、しかも貸出しの多量を占めるものがサービス業に多く融資されているというようなことが非常な疑惑を招いている、われわれがせつかくこうして年末金融について検討し、考えているときに、そういう疑惑が一層深まるということは、非常に公庫としても遺憾であり、また金融政策の上からいつても、社会的な感情の上から一つ金融崩壊の道をたどるのではないかというふうに考えられますから、この点に対してひとつ総裁の御信念、しかもそのサービス業に対する順位であるとか、監督官庁との打合せであるとかいう甘い言葉でなくして、御信念を承つておきたいと思います。
  27. 坂口芳久

    坂口説明員 ただいま御質問のような趣旨はごもつともでございまして、私もそういう気持でおるのでございます。今サービス業の中で旅館医者を申しましたが、旅館は少いのでありまして、件数は十件なんでございます。医者の方が多いのでございまして、むしろ私は、これまでは旅館に対し非常に差別待遇をするというような苦情をお受けしたくらい、割合きびしくやつておつたのでございますが、それでもこれくらい出ております。しかし旅館につきましても、特定業種の中に入つておりますので、むしろ私、差別待遇をされているという非難の方をこれまではよけい受けております。どうぞそういうふうに御了解願いたいと思います。
  28. 本名武

    本名委員 金額の方はおわかりにならないですか。
  29. 坂口芳久

    坂口説明員 金額は三千七百万円であります。
  30. 淺香忠雄

    淺香委員長代理 ちよつとお諮りいたしますが、山本勝市君、柴田義男君の通告があるのでありますが、やはり中小企業の方の総裁に対する御質問でありますか。と申しますのは、委員長がきようあまり時間がないようなことを申しておられましたので——やはり引続いて総裁に対する御質問でありますか。——山本勝市君。
  31. 山本勝市

    ○山本(勝)委員 先ほど平均が大体、銀行相互銀行信用金庫とわけて二百八十万、二百五十六万、二百四十三万とありましたが、あれは一件の平均ですか。
  32. 坂口芳久

    坂口説明員 さようでございます。
  33. 山本勝市

    ○山本(勝)委員 それはわかりましたが、そうすると、われわれの見ておるところではもつと金額が少いのが相当あると思うのですが、やはり三百万以上のものも相当たくさんあるのですか。平均してこういうふうになるのですか。
  34. 坂口芳久

    坂口説明員 平均してこういう金額でございまして、この中には御承知のように組合関係がありますので、組合は少し多くなるわけであります。全体の平均でございまして、低いのは三十万ぐらいからあります。
  35. 山本勝市

    ○山本(勝)委員 組合でなしに、一人当りで四百万、五百万というのもあるのでしよう。
  36. 坂口芳久

    坂口説明員 ございます。
  37. 山本勝市

    ○山本(勝)委員 大体三百万というふうな標準で、三百万以下も広く貸すようにということが附帯決議にあつたようですが、それは大体守られているのでしようか。
  38. 坂口芳久

    坂口説明員 先ほども申し上げましたように、三百万以下のものを原則とするということに代理店の方では考えておりまして、これは件数としますと、三百万以上のものは原則として割合少いのでありますが、組合の分も含めまして、こういうふうな平均数字が出て来たわけであります。
  39. 山本勝市

    ○山本(勝)委員 その点は、大体附帯決議の趣意に沿うてやつていただくということでけつこうですが、各委託店に対してどういう基準で割当てられたのですか。たとえば何々相互銀行、何何信用金庫というふうなところへ幾らずつ割当てる、そのわくをきめるときの基準を……。
  40. 坂口芳久

    坂口説明員 代理店へのわくの算出基準でございますが、前から開発銀行関係中小企業金融代理店をしておりましたところにつきましては、開発銀行当時のその方面に対する熱心さということも考えていたしましたが、その他は大体事業の大きさ、事務の処理能力等を考えてやりました。ことに最近に追加しました銀行等につきましては、各銀行中小企業に対する貸付の実績等をも参考にいたしまして、資金の量、事業の分量だけでなく、こういう最近の実績等を見まして資金わくを配分をいたしました。しかしながら、代理店の数を非常にふやしました関係上、小さい代理店に対する資金の量は非常に少いので、二、三百万程度のものが相当あるのでありますが、大きなところで申しましても数千万くらいでありまして、その小さいものに対しては、資金の量に比べますれば相当多く割当てるようなわけでございます。
  41. 山本勝市

    ○山本(勝)委員 もう一点伺いますが、先ほどおつしやつた三百八十一の代理店というのは、たとえば日本相互銀行なら相互銀行というのを一つに勘定しているわけですね。支店が幾つあるということは考慮に入つていないのですね。  時間をとりますから希望だけを申しておきますけれども、聞くところでは、たとえば埼玉県の信用金庫というのが、はつきり覚えませんけれども、県下で支店がおそらく十四、五か二十もあるのではないか、全部で三百万円来ております。そうなると、埼玉信用金庫というのが一つに数えられておりますけれども、実際の借りようという人から申しますと、やはり支店を通して、それがかりに二十あつて二百万ということになると、かえつてないのと一緒になる。ですから私は、今後割付のわくをきめるのについて一段のくふうを願つて、薬でもあまり小さくわけるときかないのですから、それよりもやはりきくような程度でわけた方がいい。わくをきめるときの基準を、初めですから、なかなかそううまく行かぬのは当然のことですけれども、実績に照して今後はあまり大きくてはいかぬ、あまり小さくてもいかぬ。それから支店の数とか、或いはその地方中小企業者の状況、それからもう一つ国民金融公庫中小企業金融公庫との間くらいに含まれたものが漏れているのではないかという心配がある。国民金融公庫としては十万円とか十五万円とかいうことになり、それから中小企業金融公庫の方では、例外はありましようけれども、大体二百万くらいより上でないと、原則として相当大きなということになりますと、その中間に入つているものが漏れてしまうおそれがある。この辺もよく御研究願いたい。これは希望でございます。
  42. 淺香忠雄

    淺香委員長代理 柴田君。
  43. 柴田義男

    ○柴田委員 中小企業公庫は、ことに昨日かの委員会におきましても、まつたくない方がいいという声が実は他の委員から大分強く出ておつたのであります。私どもは根本的にはあつた方がいいと考えているのでありますが、ない方がいいという意見が出たという大きな原因は、今も同僚山本委員からもいろいろと御注文申し上げているようであります。結局末端の中小企業者に対する貸付が実際不活発である。これは大きな声であります。総裁の御説明を承つておりましても、割当をやつたかすかすの金額すらも消化ができない。これはできないのではなくして、これをやる地方代理店が非常に不熱心であるという点もあるのでありましようし、あるいは代理店は、あまりに零細業者に対しましてはほとんど相手にしない、やはり既存の取引者だけを中心といたしまして、しかも既存の取引者でも相当有力な担保がなければ貸付はできない、こういうところに根本的な制度の弱点があると思います。必ずしも有力な担保がなければ貸付の対象にならないのかどうか、こういうことをまず承りたいと思います。
  44. 坂口芳久

    坂口説明員 御質問の担保の関係でございますが、御承知のように私どもの方の公庫は長期の金を出しまする関係上、担保の金融というのが主でございまして、但し担保につきましては、一番でなくても、二番でも三番でも余裕かあればいいというふうにいたしております。ただ担保をはずすことは、私ども長期の金である関係上、非常にむずかしいのでございまして、よく地方に参りますと、担保について保証人だけでというような御意見もあるのでございますが、他の国民金融公庫のように無担保を主とされる金融機関と、私どもの方の分野といたしましては長期の担保を、普通の金融機関ではとりがたいような担保をとるというようなところに、私ども公庫金融機関としての特殊性があるのではないかというような気がいたします。しかしながら普通の金融機関ではとらないようなものまでもとつて、幾らかでも長期の資金を流すように努めて参りたいという気でおります。
  45. 柴田義男

    ○柴田委員 今の総裁の御説明で大分明らかになつて参りましたけれども、実際はそういう精神は地方代理店には浸透しておらぬ、こう思うのであります。地方代理店状況一般中小企業者を通じて聞いておる範囲でありますと、有力な担保でなければ、ほとんど第一原則としていけない、こういうことを言つております。もう一つ先ほどの貸し付けた現状を拝見いたしますると、製造業者に七〇%、サービス業者に一三%、運輸業者七%というように並んでおりますけれども、原則的には地方代理店製造業者に限つておるこういうことも現実であります。ことにサービス業者につきましては、先ほど来いろいろな議論が出ておりましたが、同感であります。どの金融機関ができましても、何か大きな力——あるいは政治的な力ででもありましようか、何かの力によつて、ふしぎにそういう業者に金が出ておる。たとえば日本開発銀行を見ましても、サービス業者に莫大な金が出ておる。これは現にわれわれが調べてはつきりしておるのでありますが、オリエンタル・ホテルに対しても何千万円が出ておる。あるいは国際観光ホテルに対しても何億か出ておる。こういう現状を見ました場合に、中小企業を対象とする公庫の非常に苦しい予算の中から、たつた一三%であるけれども出ておつた。この予算に対しても、もつと増額しなければならないということもわれわれは考えておるのでありますが、そういう中から旅館業者、料理店等にも出せるようではいけない。中小企業は不渡り手形の状況を拝見いたしましてもまつたくあえいでおります。こういう状況をわれわれ見ました場合に、そういうかわつた業者に対しましては、断じて許された範囲であつてもごく切り詰めてもらいたい。その反面年末を控えた中小企業者に対しましては、積極的な方途を講じていただきたいと思うのであります。地方代理店に対しても、公庫のほんとうの精神が徹底されるようにおはからい願いたい。     〔淺香委員長代理退席、委員長着席〕  ことに今の担保の問題で、二番、三番でも余裕があればということを承つて、われわれもこういう宣伝をいたしたいと思いますが、現在地方代理店が担保を評価いたします場合には、現在の価格から見まして三〇%か四〇%の価値しか認めておりません。現在だれが見ても百万円の価値があるといつても、三十万円ぐらいにしかこれを評価していない。インフレ下にある今日においては、ことに建物、土地に対しては下るようなことはここ三年、五年ない、これは明らかだと思うのであります。こういう点に対しましては、やはり公庫ももちろんでありましようし、大蔵省、通産省等も十分ここに意を用いて、地方代理店に対しまして徹底した指導をはかつていただきたい。これをもつて私の質問と要望を申し上げておきます。
  46. 春日一幸

    ○春日委員 坂口総裁にお伺いをいたしますが、大蔵省から出されております年末金融対策要綱のロ項の中では、あなた方に対する年末金融の措置として、災害関係融資に消耗いたしました十八億五千万円の補完として、あなたの方が開発銀行から承継いたしました四月以降の貸付の中の半額、この十九億一千万円を第四・四半期以降に繰延べるということになつておりますが、私どもはこの法律ができました当時には、これは本年度公庫資金がきわめて僅少なものでありましたので、この政令は当然将来相当長期にわたつて猶予されるものと考えておつたのでありますが、この三十八億二千万円の支払いは一体どういうぐあいに政令が発せられておるか、最初にそのことをちよつとお知らせ願いたいと思います。
  47. 坂口芳久

    坂口説明員 政令の関係でございますが、ちようど銀行局長がおいででございますから、あちらから説明していただいた方が正確かと思いますので、局長に御答弁していただきます。
  48. 河野通一

    ○河野説明員 政令は今お話の三十八億余りの開発銀行融資をいたしましたものを、法律によりまして中小公庫が買取ることになつておるのでありましが、その買取るもの総額三十八億千万円の半額は、十一月中に現金でもつて買取る。あとの半額は追つて大蔵大臣が定める期日においてこの決済をする。こういうことに政令はいたしたのであります。実際的な問題といたしましては、今お話がありましたような中小公庫の年末に対する金融措置といたしまして、資金源を確保いたします必要からこういう措置を便宜の措置としてとつたのであります。こういう措置をとりましたのは、一方におきましてその結果として開発銀行自体の資金繰りにも実は相当影響をいたすのであります。開発銀行の方はある程度その融資を押えても、中小公庫の方にこの金をまわした方が当面適当であるという判断に立つてそういう措置をとつたのであります。
  49. 春日一幸

    ○春日委員 これは銀行局長かねて御承知通り、この公庫の機関が誕生いたしましたことは、第十五国会において衆参両院満場一致で通過したあの趣旨によるのでありまして、当時は少くとも農林資金融通法による政府出資六百六十一億に比較いたしまして、三百億程度は当然にして最小限度の資金であろうというようなことで、その程度の要望が行われたのでありますが、しかしながら財源がないということで、これがこういう小さな資金によつて一応頭を出してすべり出す、こういうことで一応了承されたと思います。従つてその趣旨にかんがみて、当然開銀からの承継債権の代金の決済というものはやはり政策的な配慮が行われて——将来にわたつて、いずれ二十九年度においてこれに対する新しき財源措置が行われたり何かして、多少その資金に余裕を生じたときにこういうものを買取る、こういうことを期待さしておつたにもかかわらず、これがスタートして間もなく十九億一千万円というこの公庫の金を食うということは、公庫資金が初めから僅少であるにもかかわらず、さらにそれだけのものをたちまちに消耗しなければならぬということで、銀行局長において当然委員会における質疑応答を通じて相当配慮されてしかるべき事柄であつたと思うのであります。これは開発銀行がその片手間で中小企業金融をして来たのであるが、四月からこの八月末までの実績が実に三十八億二千万円になつておる。片手間でやつてすらそうである。それなのに今度中小企業専門のための金融機関ができて、そうしてその機関を通じて中小企業者に専門的に流す金というものは、やはり開発銀行の実績に照らして相当画期的な、飛躍的な増額が行われてしかるべきものであろうと思うのであります。ところが実績は三十八億であるが、現実にはこの九十億のあなたの方の出資と、それから資金運用部からの二十億、この百十億の中から十九億を買取りの方へ出してしまう。そうすると九十一億しか残らない。九十一億の中から災害で十八億五千万円とつておるのだから、七十二億になつてしまう。現実には七十二億の財源でもつて七箇月間の融資をせなければならぬことになる。これは今まで開銀が片手間でやつておつたところの資金量よりも大して前進を示していない。これでは特別の法律ができ、特別の施策として考えられた意味が全然ないのです。私は少くともこの承継処置というものは、これは当初から、何も今手柄がましく、恩恵がましく四月以降に延ばすとか何とかいうことではなく、これは政令を発せられる当初において、それだけの親切な配慮と、今までの経緯にかんがみてのそういう措置が講ぜられることが当然であろうと思うのでありますが、そのことが講じられていなかつた。しかも今回これを講じられようとしておるのが、そのことはただ無条件で講じられるのではなくて、災害で消耗したところの十八億五千万円の見返りとなるものであるのであつて、このことは非常に遺憾に存ずるものであります。  そこで私はこの機会に銀行局長にお伺いをしたいのだが、本日交付されたところの資料によりますと、中小企業の不渡りがはなはだしく累増いたしております。東京手形交換所の資料であろうと思うが、これによりますと、昨年の同期に比べて、この不渡り件数というものは厖大なものだ。昭和二十七年の八月は五百九十一枚の不渡りが、本年はこれが九百二十三枚、昨年の十一月に七百七十八枚の不渡りが、本月は千二百三十五枚ということになつて来ておる。これは中小企業者が昨年よりも本年においてその金詰まりがさらにさらに深刻であるということが、この資料によつて示されております。こういう中小企業の金詰まりという現状にかんがみまして、当然政策金融が行われなければならぬ、その政策金融は、いわゆる政府機関をしてこれを行わしめるということが一番効果が上るであろうが、その場合に考えられるのは、国民金融公庫であり、中金であり、さらに中小企業金融公庫である。少くとも中小企業金融公庫は、最初にこの金詰まりを打開するための使命を帯びて、政府によつてその資金措置が講じられることが当然であろうと思うのであります。そこで委員会は、先月来、この年末融資のために中小企業金融公庫相当額の増資をしろ、第二次臨時国会において第二次補正をしろ、こういうことを強く要望して参つたにもかかわらず、第二次臨時国会はまさに開かれようとしているが、何らその予算措置が講じられようとしているけはいはございません。私は非常にこれに重大な問題だと思う。政府はここに三種の要綱を示しておるけれども、こんなことはただ単に災害で消耗減耗したところの資金を、ただその分だけをとにかく補填するということであつて、一歩前進の姿というものは何もございません。一方この不渡りというものはこういう数字で、昨年七百七十八枚のものが今千二百三十五枚になつておる、十月においては六百九十八枚のものが九百八十枚、九月には六百十八枚のものが九百六十一枚となつて、これはもう一般的な傾向なんだ、これは個人の力ではなかなか回避することのできない一般的な現象なんです。これはしようせん清作の力によつて何らかてこ入れを行うことなくしては——これをごらんください、十月の九百八十枚のものがこの十一月に飛んで千二百三十五枚ということは、これは十二月末に入りますと、もはや爆発するくらいな、いわゆるゼネラル・パニツクを思わしめるような、そういう大きな恐慌状態がこの数字の中に現われて参つております。そこで今にして政策金融というものの必要性が特に痛感される。私どもは昨日も申し上げたのでありますが、この第二次臨時国会の開会要求をいたしましたのは、労働政策並びに中小企業金融政策、この二つのものか第二次臨時国会の主たる議題になつておると思います。しかし大蔵当局は、これに対して何らの画期的な施策を講じていない。ただ災害で食つたところの一部の金を補完しよう。こんなことでは私はこの金詰まりの一般的恐慌の現象が救済されるとは思わないが、一体そこに並んでおられるところの金融機関の責任者たちはどう考えておられるか。はたしてあなた方がそれで帯びておる任務を果し得るとお考えになつておられるかどうか、一ぺんひとつ率直な意見をお伺いをいたしたい。それから銀行局長もにこにこ笑つておられるが、一体何がうれしくて笑つておられるのかわからぬが、実にこれは重大問題です。これはただ唐突にわれわれが言つておるのではなくして、過ぐる十月の臨時国会におけるこの委員会において、さらにはまた本会議において、その後に開かれたあらゆる委員会においてこのことが強く要望されておつて、そうしてこれが何らこの機会に講ぜられていない、わずか五十五億、こういうようなものではてんでこれは問題になりません。われわれがいろいろ調査したところによりますると、政府の預託金の状況でありますが、これなんかも昭和二十七年の十月には四百六十一億の預託がある、昨年の十一月は三百九十二億、それから昨年の年末は四百二十八億、一月に三百五十億、二月三百二十億、三月になつてこれが五百八十何億というふうに、中小企業のための政府の預託というものが、相当のパーセンテージでこれが持続されております。ところがあなたの方が今回五十五億を預託する、この計画書によると、年末に至つてこの五十五億を加えて二百二億になつて、しかも寒心にたえないことは、これが一月末になると九十六億になつて、二月になくなつてしまう。ここに二月、三月に対する何らかの政府考え方が表明されておりませんが、これは当然何らかの預託措置が講ぜられることを期待してはおりまするけれども、この機会に大体の見通しを明らかにされる必要があろうと思う。現在この十一月、十二月に中小企業たちが無理をして手形を発行するでありましようが、その手形の支払期が二月、三月に参ります。従つてこの危局は、それぞれの融通手形や無理算段によつて、一応あるいは回避するかもしれないが、しかしその清算はやはりこの二月、三月に来る。しかもこの資料によりますと、二月、三月にはあなたの方は九十六億、昨年は五百八十何億あつたものが九十六億、これはおそるべき金融梗塞とわれわれは考えなければならぬ。われわれはこういうずさんな資料でほんとうに本分を果すことはできないと思う。一体あなたの方はこの一月、二月その前にこの十二月でありますが、去年ですら四百五十億の預託が行われた、本年は手形が去年よりもあるいは倍というような数で不渡りがふえておる。このときに去年の半分にも満たない預託で年の瀬が越せるとお思いになるかどうか。なるほどインフレーシヨンを阻止するということは、これは当然必要なことでありましようが、しかし中小商工業者をやり玉にあげることによつてそのインフレーシヨンを阻止するということは、これは政策としてなつてはいない。私が特にあなたに訴えたいことは、とにかく一千万の労働者が中小企業に働いておるというこのことと、さらにはまた国の生産の五割というものが中小企業によつて生産されているということを考えますならば、私は労働政策としても、あるいはまた産業経済政策としても、この年末金融ともう少し真剣に取組んだ施策が私は必要であろうと思う。今回ここに五十五億だけを預託して、年末の方針はまだ漠然としているということは、これは大蔵委員会の任務が果し得ないばかりでなく、本日全国各地において中小企業者の危機突破大会が開かれていることを御承知であろう。これはすべてこの年末金融を何とかしてくれということに大会の決議は帰一いたしております。私はあなたがよもやこれでもつて押し通そうという、そういうむちやくちやな考えをお持ちではないと思うけれども、今申し上げました趣旨にかんがみまして、さらにこの五十五億のほかで引揚げを猶予、繰延べるか、あるいは新規預託をするか。いずれにしてもこの手形交換所の資料とにらみ合せての何らかの応急措置を講ずる意思があるかどうか、これをひとつあなたからお伺いをいたしたい。それからそこにおられる商工金庫金融公庫の各責任者から、あなた方が申込みを受けておられるところの融資申込みと貸出し得るところのみずからの能力とをお比べ合せて、一体どういう資金措置が望ましいか。これをひとつ率直に熱意をもつて委員会に御意見を開陳願いたい。以上であります。
  50. 河野通一

    ○河野説明員 年末にかけての中小企業金融対策といたしまして、指定預金の操作について、さらに昨日申し上げました以上の措置をとるべきであるが、そういう考えはないかという御質問であります。これは昨日も申し上げました通り、私どもといたしましては、現在の中小企業金融状況から考えまして、財政の許します限りこれらの指定預金の操作なり、あるいは各中小企業金融をやつております政府金融機関資金源を拡張いたします問題につきまして、財政の許す限りそういう方面へ振り向ける資金が多額にあることが望ましいと考えております。しかしながら現在の財政状況から見ますと、指定預金をいたします問題にいたしましても、これらの中小金融関係政府機関の資金源を拡張いたします問題にいたしましても、なかなかこれ以上のところは、目下のところ困難だということを申し上げざるを得ないのであります。なお十二月に入りまして、今後の情勢を見た上で、現在十二月末に期限の到来いたします指定預金の引揚げを延ばすか、あるいは計画通り引揚げるかの問題等は、今後の問題として十分に検討いたした上で善処いたしたいとは考えておりますが、そのほかに新しい資金中小企業金融の円滑化のために放出いたしますことはなかなか今の財政状況から困難だということを申し上げざるを得ないのであります。
  51. 坂口芳久

    坂口説明員 先ほども年末資金繰りの御説明のときに申し上げたのでありますが、私どもの方の公庫といたしましては、先般第三・四半期の資金わくをきめますときに、約二十億見当この年末にあたつて資金をよけいにいたしまして、そのために資金わくといたしましては、全体で約六十六億九千万円になつておりまして、現在代理店使用しておりませんものが約四十八億くらいございます。従いまして代理店によりましてはこれで足らないところもあるようでございます。しかしながら、この四十八億のわくを各代理店にわけましたが、各代理店に残つております。今も申し上げましたように、代理店によつては、そのわくで足りないものに対しましては、さらに十億見当資金を第四・四半期の資金わくからでも繰上げまして年末に持つて行きたい、こう考えております。従つてどもの方の公庫資金の量といたしましては、年末は代理店の処理能力等から考えまして、どうにかこの辺で足りるのじやないかとは考えておりますが、しかしながら先ほども申し上げました通り、この十月末までに各代理店におきます申込みのありました金額は百四十億見当だと思われますので、これで十分だとは申しにくいのであります。なお私どもといたしましては、この年末の資金の量はどうにか足りるかとは存じますが、第四・四半期になりますと非常に資金の量が少くなつて来るということを、ただいまのところは非常に心配いたしております。
  52. 櫛田光男

    櫛田説明員 国民金融公庫の年末の貸出見込み等、最近の状況をまず簡単に御報告申し上げたいと存じます。  本年度全体といたしまして、当初の予算におきまして、新規資金六十九億円。政府出資並びに資金運用部資金からの借入金は、予算面では八十億となつておりますが、年度内に資金運用部に返済いたします借入金が十一億円ございますので、差引新規資金の増加が六十九億円、こういうぐあいになつております。年間を通じまして大体百八十億円見当の回収金を見込みまして、大体二百五十億見当貸付を年間に実行いたそう、こういうつもりで当初予定をいたしているのであります。これは御承知のように、水害並びに十三号台風の関係上、十六億円というものを八月以降今日まで災害資金として出しました関係からいたしまして、当初の計画に十六億円の穴があいたことになつたわけであります。それに加えまして、災害、冷害その他の各種の事情が相重なりまして、私どもに対します資金の需要は日に増し増加する一方でございまして、事実年末の資金量は、大体九月ごろから昨年に比較いたしまして三割から四割くらい申込みがふえているような状況でございましたが、ただいまの見込みにおきましては、大体十一月、十二月の申込みの見込みが二百四十億くらいに達しようかと思います。昨年はこれが大体百四十億でございました。十一月、十二月の申込みが七割の増加であります。この十一月に入りましてからの申込みがかなり急速に増加いたしております。かような状況に対しまして、実は先ほど申し上げました通り資金上十六億の減を来しました関係上、このままで参りますならば、十二月は三十億を切るくらいの貸付しかできないのじやなかろうかと非常に憂慮いたしまして、先般来いろいろ大蔵御当局にもお願いを申し上げたわけであります。と申しますのは、昨年の十二月には四十五億見当の貸出しが実行できた次第でございます。それから十一月が十五億でありまして、大体昨年の十一月、十二月をもつて六十億。それでありますから、百四十億の申込みに知しまして大体半分とは参りませんが、四割を越す貸付が昨年の年末はできたわけであります。ことしはかようにふえて参りますので、何とかこの資金源につきまして、格別の御配慮をお願いいたして参つたわけであります。大蔵御当局においては、ともかくも昨年末四十五億円貸しました程度は、本年度も持続いたしたい、そういつた御見地もあつたのでありましようが、同時に他方財政上の御都合、あるいは資金運用部の金繰り等の関係もありまして、とにかく十六億円というものを今度の補正予算において一応組んでやろう、資金運用部からの借入れ限度をふやしてやろう、こういうお話であります。大体その十六億円を見込みますと、年末におきまして、十二月には四十五億円の貸出しができる見込みであります。なお回収金その他の関係がありまして、十一月には大体二十八億円で、十一、十二月両方を通じまして合計七十三億円で、二百四十億円見当申込みに対しまして、三割見当のものはお貸出しができるのであろう、かように存じております。ただこの二割という額は、前々からも一応私ども申込みに対する比率に相なつておりまするが、過去の経験からいたしましても、足らない金額であることは申すまでもないことでありまして、できれば四割ないし五割くらいまでは貸せたら貸したいものだ。ただこれが資金関係、もう一つは人手の関係もございまして、——人手の関係につきましては、あるいは調査の能力とも関係するわけでありますが、いつもいつもたいへんなおしかりをこうむりまして、私ども恐縮千万に存じておりますが、まあ精一ぱい働きまして、ともかく今のところ七十三億円というものはどうやらできそうだというところまでこぎつけたのであります。ただ最近各支所から、またあらためて十一月から十二月にかけてのかたいところをとつたのでありますが、やつと昨日夕方集計がほぼできたのであります。そして当初の見込みがやはり少しはずれまして、五十億くらいはどんなことがあつても貸せたらいいのだがな、五億ばかりちよつと足りないようだなという感じがいたして参つたのであります。  それからさらに第四・四半期、一月から三月の状況でございますが、この十六億円新たに借入れ限度を拡張させていただきまして、拝借いたすといたしましても、これは全部年末までに使つてしまいます。一月から三月は全部回収金でまかなうほかやりようがございません。大体月平均十八億の回収が見込まれますので、五十三億円見当のお貸出しはできるかと思います。実は昨年同期と申しますか、本年二十八年の一—三月におきましては、六十二億円の貸出しが実行できたのであります。と申しますのは、昨年の補正予算におきまして、十二月に政府出資三十億円、資金運用部からの借入れ二十億、合計五十億という資金の総額をいただきました関係も、ありまして、二十七年度の第四・四半期におきましては、大体月平均二十億円見当の貸出しが実行できたのであります。本年度、つまり来年の一—三月は若干それを下まわるようなことになりはしないかと思います。私ども仕事の面から言いましても、一—三月にはまた年末よりもずれがございますので、かなりお客様方に対してお断りをする率が多くなるのではないかと非常に遺憾に存じておるわけであります。ともかくも、ただいまのところ政府のいろいろな財政状況その他からいたしまして、この十六億円に相当する金額を次の国会におきまして御審議をお願いしまして、そのあかつきには資金運用部から貸してやろうというところまでお話を承ることができまして、先ほども申しましたような事情で、どうやら昨年程度のものは十二月はできそうだというところまでこぎつけました。さような状況になつておりますということで御了承願いたいと思います。
  53. 千葉三郎

    ○千葉委員長 櫛田総裁に対する御質問は三人ございますが、その前に春日委員の御質疑のお答えといたしまして、商工組合中央金庫理事加藤さんにお願いいたします。
  54. 加藤八郎

    加藤参考人 商工組合中央金庫の年末金融の対策と申しますか、第四・四半期におきまする大体の資金繰りの予定について御報告を申し上げまして、さらに皆様方の御援助をいただきたいと思うのでございます。この第三・四半期、十月、十一月、十二月三箇月の期間と申しますものは、商工中金といたしましては非常に貸出しの多い時期でございます。昨年の同期における貸出しを見ますと、これは貸出しの残高の増加として申し上げますが、ちようど第三・四半期だけで、一年間の暦年で、一月から十二月までの貸出しで伸びるものを一〇〇といたしますと、この第三・四半期だけで六四%も伸びておるのででございます。数字で申しますと、昨年一年間、暦年で一年の間に百三十一億の貸出金の増加がございましたが、これが第三・四半期だけで八十三億もふえたというような数字でございまして、この期間は非常に商工中金の貸出しの、資金需要の多い時期でございます。なぜかと申しますと、この商工中金の対象でございます中小企業一般状況を見ますと、二つの原因がございまして、一つは年末というような節季関係のいわゆる盆、暮れの資金というような貸出しの需要が非常に多い。越年のための資金の需要が多いということが一つの特色でございます。これは大企業なんかについてはそうはつきり現われていないかもしれませんけれども中小企業になりますと、個人経済的な観念が非常に多く含まれておりまして、節季のための、いわゆる越年のための資金の需要が非常に多いということが一つの特色でございます。  それからもう一つは、ちようど秋の農業関係、林業関係の収穫物のとれる時期でございまして、そういう農産物、収穫物に対する加工製造といつたような、いわゆる季節的な資金の需要が非常に多いのでございます。たとえて申しますと、でんぷんであるとか、あるいはみそ、しようゆの仕込み資金であるとか、あるいは酒の仕込み資金であるとか、あるいは北海道あたりの冬山造林の資金というように、この時期に季節的な資金需要が非常に多くなつて参りまして、先ほど申しました越年というような節季資金とともに、この時期に資金需要が非常に多い。そのために一年間の貸出金の増加の六四%もこの三箇月で占めるというような状況なのでございます。  それで本年は一体どのくらい必要であろうかということを見積つてみたのでございますが、昨年は八十三億ほど出ましたので、本年は大体その二割増しくらいの百億は少くともいるだろうというふうに考えておるわけでございます。その二割増しと考えましたのは、これは最小限度の増加でございますけれども取引の対象も多くなつておりまするし、それに一般的な金融引締め、インフレを抑制するための金融引締めということで、自然中小企業の方にしわ寄せが参りまして、中小企業資金需要が多くなるであろうということ、並びに九州、紀南方面の水害であるとか、あるいは十三号台風の被害復旧というようなことによる資金需要もございますので、かれこれ勘案いたしまして、昨年の二割増し程度の、百億程度はどうしてもほしいという考えで見積りを立てております。それで百億のうち、すでに十月は済みましたので、十月分の貸出し増加は大体十五億であつたのでございます。だからそれを差引きますると、八十五億の資金が十一月と十二月の間に増加資金として必要であるということに相なるのでございまするが、この八十五億円に対して、しからば中金自体の手においてどれだけの資金手当が現在考えられるかということを申上げてみます。  まず八十五億円のうち中小企業金融公庫から第三・四半期のわくとしていただいております分から使えるものが、大体八億と考えられますので、差引きいたしますと七十七億円の資金が必要になつて参ります。この七十七億円に対しまして、中金でただいま資金の調達できる見込みのものは、債券の発行によりまする資金が十六億円でございまして、そのほか県、市等の公金の預金が年末までに二億七千万円ほどふえる見込みでございます。それから一般の組合預金は、多きを期待できませんけれども、組合並びに組合員の一般預金が八億五千万円ほど見積つてございます。それから日本銀行から第一次高率適用の限度一ぱいまで借りる余力がございまするので、これは十四億円を見積つてございます。また現在コールに出しておりまする金が若干ありますので、これを引揚げますと六億ほどの資金が出て参るのでございます。こういうふうに債券以下ずつと計算いたしますると、四十七億二千万円の資金考えられるのでございますが、これに対して国の指定預金の引揚げが十一月と十二月の二箇月の間に十五億六千万円の期限が来ますので、これを四十七億二千万円から預託金の引揚げの十五億六千万円を差引きますると、三十一億六千万円という資金ができることに相なるのでございます。それで先ほど申しました七十七億円に対しまして、三十一億六千万円しか資金ができないのでございますから、資金不足としては四十五億四千万円の資金の不足を来すのでございます。それでこの四十五億四千万円に対しまする資金の調達の今後の方法として考えておりますことは、日本銀行から第二次高率適用として借りられる見込みが、大体十五億を考えております。それから今回政府の指定預金を二十億ほどちようだいできるようなお話でございますので、これを考えまして、日本銀行の第二次高率適用の借入れと合計いたしますと、三十五億ほど資金の手当ができる見込みでございますから、どうしても十億ほどまだ足らないという計算に相なるのでございます。それでこの際、どうかこの十億ほどのものにつきまして、今後指定預金の引揚げとして十二月中に予定されております十五億六千万円の中からでも、あるいはこの引揚げを延期するというようなことでもしていただければ、十億ほどの資金手当ができるのでございまして、そういう点についてさらに政府の方にお願い申し上げたいと存ずるのでございます。
  55. 春日一幸

    ○春日委員 ただいま三責任者から伺いますと、いずれにしても年末の資金が足らない。新規増額をしてもらうためには、予定の引揚げをゆるくするとか、新規の預託を必要とするとか、いろいろ述べられております。しかしながら一方河野銀行局長の御意見では、そういうことは困難であると言われておりますが、この大蔵当局のいわゆる財源がないということはきまり文句でございまして、しかもその信念というものはきわめて確固たるものでなく流動性を帯びているということは、十六国会において、信念を持つて云々と言われた予算が補正され、さらにまた臨時国会においても、その信念が翌日変化したというような前例もございます。われわれ考えなければならぬことは、昨年は中小企業金融のために相当の財源措置がされておりまして、年内において補正がされたり、さらに預託がされたりいろいろされておりますが、本年はこのことがきわめて微弱でございます。これは労働攻勢、あるいはまた災害復旧、そういう方角へ眼がそらされていることに原因しようと思うのでございます。現在労働問題については、五つの委員会が連合審査をいたしまして、毎日審議をしておると同じように、中小企業金融に対する一半の責任を負うところの本委員会は、しよせんその職責を尽さなければならぬと思います。そこで私どもは、この十一月末の引揚げ予定、それから十二月期限到来分の引揚げ予定、これを合算いたしますると優に百五十億程度のものがある。これをこの二百二億に加えれば三百五十億になつて、昨年に足らざること百億ということになりましようが、そういうふうな方法で逐次しわを寄せて参りますならば、一般中小企業者が望んでおるところの額には至らないまでも相当の緩和策かとれるのじやないかと考えるのであります。しかしながら、このことは事務的な折衝ではなかなか私は困難であろうと思いますので、これはひとつ委員長におかれまして重大な決意をして、本委員会政府をしてそういう措置をせざるを得ざらしめるがごとき権威ある措置をとつていただきたい。いずれ大臣も参られて、これらの問題についての政治的な配慮に基くお話合いもあろうと思いますが、私どもは、銀行局長がだめだからと言つても断じてそんなものでたじろぐものじやない。どうかそういう機会におきまして、委員長はこの問題を最終的に効果を収めることのための一つの措置をとられることを強く要望して、私の質問を終ります。  それから恐縮でありますがちよつと関連して……、昨日渡されました庶民金融に関する千葉委員長の法律試案でございますが、これもやはり年末、年始にかけて抜本塞源的な処理が必要であろうと思いますが、昨日配布されて、この処理がまだ決定されておりません。従つて、これはいかなる機会においていかに処理をされるかということをこの機会に大体御明示おき願えれば、われわれ委員の心構えも大体きまると思うのであります。
  56. 千葉三郎

    ○千葉委員長 私からお答えいたしますが、私の示しました試案につきましては、委員各位におきまして、十分御検討を願いまして、その結果来週でもお集まりを願つて、いろいろ御討議をお願いしたいと思います。  なお、通産大臣はすぐお見えになるそうです。それで、午後三時からは大蔵大臣がお見えになりますが、なお一時からは証人喚問があります。そこで今櫛田総裁に対する御質問が三人、それからさらに山本勝市君から、軍人恩給の問題につきまして、御質問があるのです。この委員会は大体一時前に一応休憩に入りたいと思います。  今通産大臣がお見えになりました。佐藤君。
  57. 佐藤觀次郎

    佐藤(觀)委員 河野銀行局長並びに櫛田総裁にちつと質問をいたします。ちようど通産大臣も来ておられますが、われわれ委員会で問題になりました中小金融公庫が、今日われわれ同僚委員から幾多の質問がありましたように非常に混乱に陥つて、実際目的を果しておりません。われわれはこういうようなあいまいなものをつくつて中小企業の何か味方であるかのような錯覚を起さしめるような政策が、実際はかえつて弊害が多いというようなことを憂えて、この前にもたびたび質問をしたわけでございますが、中小金融公庫のような代理店でやらせるようなことはむしろやめて、この資金を全部国民公庫の方へまわしたらどうか、こういうことにつきまして銀行局長に答弁をお願いします。  それからもう一点は、櫛田総裁にお願いするのでございますが、実は国民公庫を調べて参りましたところが、調査費とか、あるいは出張費がないということで貸し出す面が狭い。比較的支所に近いところだけ融通がされまして、実際に必要な遠隔の地がそういう均霑にあずかつていないことの実態を先日私は調べて来ました。国民公庫零細業者のための公庫でありまして、そういう点についてのせつかくいい機関でございまして、現に国民公庫はようやく軌道に乗りまして門前市をなすような状態でございまして、まことにけつこうではございますけれども、しかし当初の目的のためには、できる限りあらゆる地点にも均霑させるように、たとえば春日君は名古屋市でありますけれども、私は郊外におる。中小都市中小企業者が金融の面で一番不便を感ずるわけであります。おれらく全国的にもこういう欠陥がありまして、国民公庫の本店、支所が県庁の所在地とか大都市に集中されている関係上、中小都市がいろいろな点で非常に不便を忍んでおるわけでございます。こういう点について何らかの方法を講ぜられるのか、調査費がないから、出張費がないからといつて近いところだけ、大都市だけに資金を融通するということが一体それでいいと思つておるのかどうか、その考をひとつお伺いしたいと思います。
  58. 河野通一

    ○河野説明員 私に対する御質問にお答え申し上げます。国民金融公庫資金中小金融公庫に予定いたしておりますものをまわしてしまつたらどうかという御意見中小金融公庫は御案内のように設立当初でありましたため、現在までその活動にやや十分でない点がありましたことは、これは認めざるを得ないと思います。しかし十一月に入りましてからこの活動も逐次軌道に乗つてつております。先ほど坂口総裁からも御説明申し上げたように、十二月に入りますれば相当活発なる融資活動が行われることを私どもはかたくここでお約束できると思います。従いまして中小金融公庫資金は、今後ますます有効に当初の目的に従つて使われることを期待できると私は考えておるわけであります。なお国民金融公庫中小金融公庫はおのずからその仕事の性質が違つております。従つて中小金融公庫期待しておりますような対象は、必ずしも国民金融公庫の対象とするものではないのであります。この中小公庫資金を国民公庫に移すことによつてお話のような目的を達成するということは、制度としても私は適当でないと考えております。今後ますます中小公庫が本来の使命の達成のために積極的に活動をいたして参りますように、私どもも大いに促進いたしたい、かように考えておる次第であります。
  59. 櫛田光男

    櫛田説明員 おつしやいます通り人手の関係、あるいは予算関係等からいたしまして、支所所在地の方が調査がやりよかつたりいたします関係からいたしまして、地方の方が比較的手薄になりがちな状況にありますことは、私たいへん遺憾に存じております。名前の通り国民金融公庫でなければならない、地方的にもできるだけ広くすみずみまで浸透するようにはかりたいと思つておりますが、ただ一言弁解がましくなりますがお聞きいただきたいと存じますのは、申込みがとにかく非常に多いのでございます。その結果、調査能力の点からいたしまして、普通ならば日に三件というところが標準でありますものを、人手の関係からいたしまして五件から六件調べてまわつておるような状況でありますので、地方地方におきましては、出張貸付をできるだけ実行はいたしておりますが、その地方によりまして十とか二十とか三十集りますまで待ちますとか、そういうようなことをして能率の増進をはかつたりいたします関係上、自然地方に出向きますことが少くなつたりするような関係もありまして、たいへん相済まなく存じております。できるだけ人手の関係並びに予算上の障害を今後とも何とか打開いたしまして、広く仕事をいたしたい、かように存じておりますので、御了承願いたいと存じます。
  60. 佐藤觀次郎

    佐藤(觀)委員 岡野通産大臣に御質問いたします。通産大臣はお忙しいからおいでなかつたのでしようが、十時から待つておつたが今まで来られなかつたので、坂口総裁にもいろいろ質問したわけでございます。実は年末金融が非常に逼迫いたしまして、そういう関係から、大蔵委員会は特別にこういう年末金融のための委員会を開いたわけでありますが、御承知のようにわれわれが非常に期待をいたしました中小金融公庫が、これは通産大臣と大蔵大臣の所管になつておりますが、非常に円滑に行つていない。同僚議員からもいろいろ質疑がございまして、坂口総裁に詰め寄つたのでございますが、一体通産大臣は、現在の年末の状態をどういうように処置されて行かれる考えであるかということと、もう一つ中小金融公庫のあり方は、今のままでは非常に不平不満がございまして、これについては相当の議論も今日出たのでございますけれども、どういう方法で一般中小企業者に対して善処されて行かれるのか、御意見をお伺いしたい。
  61. 岡野清豪

    ○岡野国務大臣 お答え申し上げます。十時から実は御通告を受けておりましたけれどもちようど来週から国会が開かれますので、閣議でいろいろ打合せなんかございまして、たいへん遅くなりましてまことに申訳ないと存じております。  まず第一に年末金融をどうするか、こういう仰せでございますが、これは十六国会におきまして、参議院、衆議院から御質問ございましたときに、一応私が大綱といたしまして申し上げておきました次第でございますが、これを繰返しますと、御承知通りに、ことしは政府の散布資金が非常に多くなる、それにつきましては、やはり金融の面からインフレを防いで行く、こういう意味におきまして、いろいろ財政金融の緊縮政策をとつて行きたいということになりました。その余波といたしまして、政府の指定預金あたりも計画的にこれを引揚げて金融を引締めて行くという方向に進んだのでございますが、しかしわれわれ中小企業を担当しておりますところの所管大臣といたしましては、なるほど一般的の金融については、インフレを防ぐ意味におきまして、そういうことをする必要がありましようが、しかしながら中小企業は、むろん戦前もそうでございましたが、戦後にはますますその力があまり強くなくて、わずかの波にも非常な困難をいたすという実情にありますので、この際、年末に際しまして中小企業金融のためにいろいろの打撃を受けるということは、これはよくないことだということを考えまして、一般政府の指定預金は引揚げましても、中小企業関係する方面にまわつておりますところの指定預金は、これの引揚げを延期していただこう、またもし必要がありといたしますならば、これは新たに指定預金の増額の要求をしていただいてもよくはないか、こういうことを申し上げておいたのでございますが、先般来いろいろ実情を中小企業庁の方で調べまして、それに対する手当はいろいろやつて大蔵大臣にもこれを御承知を願いまして、ほかの一般の態勢とは逆行いたしまして、中小企業方面に対する指定預金あたりも増額する。また今年は昨年の末に比べまして、いろいろ御批評もございましようけれども中小企業金庫というものが新しくできたのでございますから、このせつかくできた機関をできるだけ有効に利用して行つて、そうして中小企業金融の一端を担わせるということにして行きたいと思いまして、鞭撻しておる次第でございます。ただ問題は、出発いたしましたばかりでございまして、十分御期待に沿い得るとは私どもも確信しておりません。しかしながらただいまできましたところの機関をありのままで、フル・パワーで働かせるという意味におきまして、できるだけの努力をさしておりますので、この点は昨年末に比べましては、幾分か進展はいたしておるかと思います。なお中小企業に指定預金が五十五億出たとか、もしくは中小企業金融公庫の債権買取り代金を少し延ばして行くというようなこまかい数字につきましては、政府委員から御答弁をさせていただきたいと思います。  それから金庫のあり方でございますが、これにはいろいろ御批評がございまして、ただいまも拝聴をいたしておりますと、都市ばかりで農村の方面にないとか、あるいは代理をさしておるのがおもしろくないとか、いろいろ御批評がございまして、これに対しましては、私は一応ただいま出発いたしました姿をできるだけ力をあげて働かせておきまして、そうしてこれに対していかなる改善をしたらもつと中小企業金融に対して貢献ができるかということにつきまして研究の上、さつそくいろいろな改善策を講じて行きたいと思います。むろん現在のあり方で中小企業金庫中小企業に対する完全なる金融機関なつたということは、私もよう認めません。しかしこれは将来時を稼いで改善して行くべきものと考えますし、また改善して行きたいと考えます。
  62. 佐藤觀次郎

    佐藤(觀)委員 もう一ぺん通産大臣にお伺いしたいのですが、小笠原大蔵大臣は一兆億円の予算を越えるとインフレになるという御意見を非常に強調されておるのでありますが、これはものの考え方として、どうも機械的にすぎるように私は考えております。通産大臣は、今インフレの問題が出ましたけれども予算が一兆億円出るからインフレになる、こういう見解をどういうようにお考えになつておるのか、この一点をお伺いしておきたいと思います。
  63. 岡野清豪

    ○岡野国務大臣 お答え申し上げます。お説しごくごもつともでございまして、一兆億という数字がすぐインフレになる、インフレにならぬ、一兆億越したらインフレになる、一兆億以内ならばインフレは防げるというような割り切つたことには、私はならぬと思います。要するに日本の経済活動に対してどのくらいな予算が適当であるかということは、そのときの非常に大きな視野から見ました日本の経済活動力というものを見て言うべきことだと思います。ただいままでの大蔵大臣のお説は、私も承知しておりまして、今えてして少し手綱をゆるめればインフレになりはせぬかという危険のある時代でございますから、その意味におきまして、できるだけ財政資金の放出ということは、これを節約することがインフレを防ぐ一翼を担うもの、こう考えて言つておられるわけであります。しかしこれを理論的にと申しますか、現実に即して、一兆億円を越えることがインフレになるか、もしくは一兆億円で抑えておけばインフレにならないかということは、私はもう少し各方面を研究して見た上でなければ断定はつかないと思いますので、お説の一面の真理を承認するわけであります。
  64. 井上良二

    ○井上委員 大臣にちよつと伺うのですが、中小企業に対する年末金融の問題に関連をしまして、一体年末金融資金需要というものは大臣はどのくらいを予定されておりますか。それに対して、その資金需要というものは、一体生産資金としてこれが要求されて来ておるのか、滞貨金融が中心になつておるのか、その具体的な内容をお示し願いたい。
  65. 岡野清豪

    ○岡野国務大臣 お答え申し上げます。なるほど、もし統制経済をいたしておりまして、すべての事業政府が統制しております場合には、この中小企業というものがどのくらいな資金を必要とする、もしくは今どういうふうになつているから、生産資金であるか滞貨金融であるかということがはつきりつかめるわけでございますけれども、御承知通りにただいま経済は自由主義で運行しておりますので、その意味におきまして、われわれが的確に生産資金とか滞貨資金とかいうようなことを突きとめるわけには参りません。しかしながら大体におきまして、国民金融公庫とか、商工中央金庫とか、もしくは中小企業金庫とかいうような、そういう方面の専門の機関がございますから、その専門の機関におきまして大体の見当をつけまして、そうして今中小企業に対する金融がどのくらい逼迫しておるとか、いやどのくらいゆるんでおるかというようなことを各持場々々によりまして勘案しまして、必要に応じてその金融をしておるわけでございます。その点におきましては、私はただいまのところ、あるいは各部署々々におきましては大体の見当をつけておるかとも思いますけれども、的確なことを私まだ調べておりません。
  66. 井上良二

    ○井上委員 驚いた通産大臣で、これだけ年末金融をやかましく言うておるときに、業界の所要資金を一体どのくらい政府は工面すればいいかということについて、およその見通しをつけておらなければならぬと思う。それなしに、単に政府の預託五十五億をまあ、一時流しておけば事済むだろう、そういうあてずつぽうでやつておられるのか。そんなべらぼうな話はありませんよ。あなたは通産行政の大御所であるから、少くとも年末から春へかけてどのくらいの金があつたならば中小企業の倒産、破産を食いとめることができる、またそれが悪い方面に使われるのでなしに、できるだけ生産施設の維持拡大にこれが使われるように指導して行く、こういうことでなければいかぬと思うが、そうじやないのですか。いいかげんなことではだめです。
  67. 岡野清豪

    ○岡野国務大臣 お答え申し上げます。これは作文をつくりまして、その作文がぴしやつと理論が合つていれば通るというようなものじやございませんで、そういうことはやはり実情に即してやるべきものでございまして、昨年の年末においてどのくらい中小企業向けの金がいつたか、それからその当時どれくらいの銀行預金が増したか、それからその当時政府資金がどれくらい出て、そうして去年の年末がどのくらいな調子で年越しができたかという数字をちやんと調べまして、その上で今年の年末の通貨の発行高と、またいろいろ生産活動から出ました数字によつて、どのくらい中小企業の活動力が出ておるかということをとらえまして、それから預金の増加、通貨の増発というものを勘案いたしまして、大体の目安はつけております。しかしその目安というものは結局当てずつぽうなものであります。確かにそうであるという断定は私もできなければ、おそらく何人もできないだろうと思います。しかしそれだけの準備をいたしておることだけは申し上げておきます。もし御必要でございましたら、政府委員からその数字を御説明申し上げます。
  68. 井上良二

    ○井上委員 そういう不確実な基礎において年末金融対策が立てられておることを私は非常に遺憾に思います。同時に何で私がそういうことを質問したかというと、政府中小企業に対する金融というものをわれわれが政治的に考えて参りますと、どうも中小企業金融を看板にして、それを扱う金融業者が私腹を肥やすというか、そういう傾向が最近非常に強くなりつつあるということをお気づきになりませんか。たとえて申しますと、現在わが国法人の自己資本は大体全国平均三十五、六パーセントではいかといわれておる。あと六十四、五パーセントは借入れ資本であります。そうなりますと、その資本の出資に対しましては利子を払つて行かなければならぬ。この金利が非常に高いというところに非常な問題が横たわつておる。現にあなた方は鬼の首でもとつたように中小企業金融公庫をつくつたということを申しますが、この金利が一割、しかもこれを委託させます末端の委託業務の経費として、四分五厘の手数料を渡しておる。そうすると百三十億年間に扱うとして、委託手数料だけで実に六億に近い金が消えております。この六億は中小企業者の利益にならずに、これを扱つておる銀行のふところに入つております。一体こんなばかな話がありますか。それのみならず、その他開発銀行においても、日本輸出入銀行においても、農林中金においても、商工中金においても、みな一緒じやないか。結局は中小企業金融的に救うという名前のもとに、それを取扱うところの金融機関が非常な利益を得ておるではありませんか。一体これを大臣はどうお考えになりますか。これはあたりまえだと思つておられるのか。従つて少くともこの金利を思い切り引下げる。もし引下げることができなければ、直接国民金融公庫のように窓口をつくつてあげる。そういう手を打たなければならぬのじやないですか。そうしなければ結局中小企業者を食いものにして、国の大切な資金で、少数の金融資本のために収奪されておるというこの事実を、われわれは見のがすわけに行きません。あなたは銀行家出身だから銀行家に都合のいいことを考えているかもしれないけれども、そうは行きませんよ。この問題についてあなたはどうお考えになりますか。ひとつはつきり御答弁を願いたい。
  69. 岡野清豪

    ○岡野国務大臣 お答え申し上げます。私が過去金融業者であつたもので、風当りが大分強いようでございますが、しかし先ほども申し上げましたように、中小企業金庫が市中銀行並びにそのほかの銀行に委託してお願いしているというのは、大きな目から見ますと、私は一種の過渡的の制度だと思います。もし中小企業金融というものをほんとうにやつて行こうという場合には、もつともつと大きな中小企業金庫の規様にし、同時に全国に何百というような支店も持つてやるべきものだと思います。しかしながら一気にそういうことができないために今日こういう情勢になつておることは、井上さんも御了承願えることと思います。  それから市中銀行の私腹をこやしておるじやないかというような仰せでございますが、しかし中小企業金庫が御自身の行為によつて貸出しをすることがまだできない制度のもとにおいては、銀行にこれをお願いしてやつてもらわなければならぬ。しかもその銀行にやらせますについては、市中銀行相当な保証をさせることにしております。それにはやはり保証料というものもいりますし、やはり店舗とか人件費とかいろいろな経費もいるのでありますので、決してそれは不当な手数料を渡して私腹を肥やさしておるのではなくて、むしろ市中銀行ではそれでも御奉仕しておるというような気分でやつておるように私は思つております。その点はひとつ誤解のないようにお願いします。  もう一つ最後に、私はこれは金融業者の目から見た考えでございますが、これが当つているかどうかは存じませんけれども、概して昔から中小企業金融中小企業金融と言われておりますけれども、私どもの経験によりますと、中小企業金融ということよりは、中小企業が欲しておるものは資金であつて、いわゆる金融ではないのです。この金融資金ということははつきり区別すべきものだと思います。その意味におきまして、金融は市中銀行がすべての商売とか財界の方面にやる建前でありますが、しかし中小企業に関しては、これは普通のいわゆる金融という意味ではなくて、資金を多く長く貸すということが主になつて行くべきものだと思います。今後中小企業金融公庫とか、商工中金とかいうものの制度を完全に日本の経済を発展させるために使うのには、先ほど申し上げましたように、金融という観念よりは、むしろ資金を供給するという意味に発展して行かなければならぬものだと私は考えております。
  70. 井上良二

    ○井上委員 あなたはこの中小企業金融公庫が年末金融にも何か非常に役立ち、中小企業金融にも非常な役割を果すように錯覚しておる。もつと現実をお調べ願いたい。といいますのは、政府から百三十億なり百億の金を委託を受け割、当を受けました各窓口は、別途政府から預託されておりました政府資金の回収に伴つて、つまり貸出しオーバーになつている現実から、もちろんこれを引締めるということにみずからも骨を折りますが、同時にその窓口を受持つておる取扱い業者は、どうしても信用上、また取引上断りきれぬものがございます。そうしますと、一方政府預託の引揚げで資金の方が少くなつて参りましたところへ、この中小企業金融公庫の金の預託を取扱う割当を受けた、こうなりますと、今まで貸しておつたやつを、今度は利子の安いので穴埋めしておるのであります。決して新規な資金需要に困つている人にこれがどんどん貸し与えられておりません。そこまであなたはお調べになつたことがありますか。これがほんとうに新しく資金を必要とする面、生産施設の拡充その他に使われているということなら、あなたのおつしやるようにまことにけつこうな金融機関として喜びましよう。しかしこれを受持つたものは、みずからの貸付に対する責任を感じ、回収に対する責任を感じております関係から、どうしてもりつぱなよいお得意へ貸そうとする。また今まで取引しておつたものに対しての関係から、立てかえにこの資金を利用しようとしておる。そういうことから、新しくこういう機関ができたから、大いに利用願いたいと中小企業者に言うておる。中小企業者は、それはまことにけつこうなものができたから、ひとつ申込みましようというて、取扱い銀行なり金融機関に行きますともうすでにそのわくは今までの取引業者に貸されておつて、新規申込みは一切受付けておりません。またできません。そうなつたら銀行屋さんに都合のよいようにこの金が使われておつて、真にほしい新しい業者というものは借れぬということになつておりますが、この点もつとお調べを願いたい。そうしてほんとうにあなたがおつしやるように生きた機関として、活用できる資金としてこれを運用するように願いたい、こう私は考えますが、あなたはそこまで調べたことがありますか、それを伺いたい。
  71. 岡野清豪

    ○岡野国務大臣 何十万というような中小企業者の方が各取引銀行並びに中小企業金融公庫という方面申込みされて、その間に、借りられる人もありましようし、借りられないような人もありまして、いろいろ複雑でございまして、おそらく統計をとりましても、相当長い時間がかかりまして、十分なる調べができず、ただいま現実に、しかも年末に際した場合私はよく存じておりませんが、しかし少くとも設備資金に関する限りは、これは新規のものをやらせることになつております。ただそれは先ほども申し上げましたように、機関そのものの資金が財政上の見地から十分でないという意味におきまして、仰せのような業者の不平とか不満とかいうものがあなた方のお耳に入ることと思いますけれども、しかし少くとも中小企業金融公庫がないよりはあつた方が非常によかつたということだけは、お認め願えると思います。それからそれが不満でありすま点はよく皆様方のお説を伺いまして、今後これに対していかにしたら充実して行けるかということをやつて行きたいと思います。それでございますから、先般来もお話がございましたので、今までの資金の、政府が出しただけの金ではこの年末は越せないという意味におきまして、大蔵省方面から指定預金をしてもらうとか、運用部の資金をまわすとかなんとかしてこの現実を——あなたの言葉でいえば糊塗しておるということでございましようが、そういう段階であることを御了承願いたいと存じます。
  72. 千葉三郎

    ○千葉委員長 井上さん、きわめて簡単に願います。
  73. 井上良二

    ○井上委員 最後に大臣に確かめておきたいのは、私がさいぜん申し上げましたように、今日わが国の金利が高いということから、全般の生産物のコスト高を招いておるのであつて、金利の引下げは税金の引下げと同様に非常に重要な問題になつておることは、その資本構成の示しますような現実に立つて、これはどうしても通産行政としてもこの問題は解決しなければならない問題ではないかと思う。それを依然として預託業務で糊塗するということは許されぬ段階に来ておるのではないか、私は別な方面で、農村漁業金融公庫の面で調べたことがありますが、この面でも全部窓口は預託をいたしてお参ります。もしこれが各県に支店を出して直接業務を扱うということになりました場合は、全体でもつて取扱い手数料は、昨年でしたか九億あまりかかりますものが四億そこらで済んでしまうという事実を私どもは調べ上げたことがあります。この事実から、中小企業金融公庫においても、あるいはまた開発銀行においても、または輸出入銀行においても、直接窓口を持つて事務を担当いたしますならば、手数料は非常に少くて済みます。そのことだけでも金利は安くなつて参ります。だから将来ほんとうに零細中小企業を助けるという上から考えますならば、みずからの窓口をもつて中間手数料を省くという方針を当然とるべきであろうと考えますが、そういうお考えはありませんか。これを一点。  それからいま一つは、われわれこの大蔵委員会としては、当面の責任であります通産省が現実の年末の中小企業金融に対してどれだけの手当を要求するかということを、実は私ども非常に重要に考えておるのであります。ところがそれの具体的な資料が示されない。一体どれだけの金融手当をすればこの年末の金融梗塞を打開することができるかということについての具体的なお話がなかつたということは、非常に遺憾であります。それがないというと、ただいいかげんの当てずつぽうで年末を越すというより方法はない。それでは中小企業に対しても、やはり行き届いた政治とはいえません。そういう点で、ひとつ通産省としては年末金融対策として、一体どういう資金的、金融的措置を要求しているかということをお示し願いたい。私はそれだけであります。
  74. 岡野清豪

    ○岡野国務大臣 お答え申し上げます。事業を運行して行くにつきまして、お説の通りにただいまの資本構成というものは、借入金が相当なパーセンテージを占めておりますので、その事業経営に対して金利が非常にコストに影響するということは、その通りでございます。ただ窓口をほかの銀行に頼まずに、自分で支店を設けてやつたら手数料を払わぬでいい、それで安くやつて行けるではないかというようなお説のように伺いましたけれども、これがやはり先ほど申し上げました私どものいう金融資金との差でございまして、もしコマーシヤル・べースを考えますならば、支店を多く持てば持つほどコストが高くなつて、金利は高くなるわけであります。ただいま現情における金利が保てて行けるということは、やはり既存の機関を利用してこれに取扱わしているから、わずかの手数料だけで済むのでありまして、もし中小企業金融金庫が全国に自分の百とか二百とかの支店でも設けようものなら、これをコマーシヤル・ベースで行きましたならば、おそらく金利は高くとらなければ経営はできないのではないかと思う。それでこれは、金融ではなくて資金であるという理論が成り立つわけであります。そういうようになつておりますが、しかし行く行くはやはりお説の通りに、人の窓口にまかせないで、自分でやつて行つてりつぱな資金供給の機関にいたしたいとは存じますが、ただいまのところは、窓口を市中銀行なんかに頼まずに、支店を設けて、そうして低金利にせよということには理論上矛盾が出て来るわけでありまして、その点は御了承願いたいと存じます。  それから年末金融の手当につきましては、先ほども申し上げましたように、通産省、すなわち中小企業庁といたしましては、大体の見当をつけていろいろ手当をしている次第であります。その詳しい数字は、私ただいま覚えておりません。もし御必要ならば、政府委員からお答えいたさせます。
  75. 千葉三郎

    ○千葉委員長 なお通産大臣に対する御質疑が二人ありますけれども、通産大臣は参議院の通産委員会並びに他の会合におきまして、しきりにその出席の督促を求められております。そこでまことに恐縮ですが、簡単にお願いしたいと思います。柴田委員
  76. 柴田義男

    ○柴田委員 通産大臣に伺いますが、同僚委員からの質問でいろいろ政府のお考えになつておる点もわかつたのでありますが、ひとつ重大な問題として伺いたいことは、りくつの上からインフレを防止しなければならぬということは、これはもう経済学のいろはから考えましても当然であります。ただ金融の面だけを引締めてインフレを防止するという意図に、政府当局者も、あるいは金融業者も、みなそれ一つだけを考えておられるようにわれわれは見受けられます。国際収支のバランスが赤字々々でこれを継続して行つている。あるいはまた輸入制限等も多少は通産省当局も行つておりますけれども、ぜいたくな自動車は市内をまつたく狭いほど動いている。こういう現状をもつと考慮せずに、単純に表面の金融だけを引締める。その金融を引締めることによつて一番大きな犠牲を払わせられるのは中小企業であります。現に市中銀行は、選別金融とかなんとかわれわれの知らぬ言葉を最近雑誌等で見受けるのでありますが、こういう方途を講じている。こういうことであつたならば、犠牲をひとり中小企業だけに負わせるというお考えであるのか。日本経済の根本的なインフレ抑制のために大きなお考えを持つておるのか。まずこの一点を最初に承りたいと思います。
  77. 岡野清豪

    ○岡野国務大臣 お答え申し上げます。インフレ防止のために金融を引締める、それだけがインフレ防止になるというように世間でいわれるかもしれませんが、しかしそれはお説の通りに、金融を引締めるだけでインフレ防止は絶対にできないわけでございまして、やはり国民生活が相当規制されなければなりません。すなわち、消費景気と申しますか、消費水準が昨年から今年にかけまして非常に増進している、これがインフレの非常な原因でございます。ただこれを是正する一つの方便といたしまして、財政を緊縮し、金融相当に締めて行くということがインフレ防止の一翼になるということだけはわれわれは考えております。  それからもう一つ第二点といたしまして、中小企業にいろいろしわ寄せされるので、中小企業がつぶれてしまうかもしれないというようなことをときどき新聞などで拝見しますけれども、それあるがために、先ほども申し上げましたように、金融を引締めるということにつきましては、一般的には指定預金も早くこれを返してもらう、あるいはまた一般金融業者に対しても、金融の引締めをしていただくということにしておりますけれども中小企業に関しては、逆に引揚げるべき指定預金を延期し、また足りないと考えられる方面には特に新しく指定預金をして、そして中小企業金融のしわ寄せを受けないような方便をとつている次第でございますから、この意味におきまして、金融の引締めとか、金融の現状の取扱いにつきまして、中小企業とほかの大企業とは画然と区別をして、われわれは中小企業金融の年末が平穏に越せるように努力しつつある次第でございます。
  78. 柴田義男

    ○柴田委員 そういたしますと、りくつの上では御説明もわかる。だけれども、実際の面でございますと、たとえば今度政府預託金が五十五億計画されている。五十五億のうちには地方銀行は入つておりません。ただ新設の銀行と何かが四億というように資料で拝見しておりますが、地方銀行というものの対象はほとんど中小企業者であります。こういうことに対しまして、通産大臣から強く大蔵大臣に対しまして、地方銀行に対しても政府預託金を引揚げることを反対される御意向はないのかどうか承りたい。
  79. 岡野清豪

    ○岡野国務大臣 これはわれわれは地方であるとか、中央であるとかいうことは考えませんで、全国的に中小企業に対する優遇措置をとつておる次第であります。同時に、日本銀行に対してもいろいろお願いしまして、地方銀行あたりにいたしましても、適当にいわゆる中小企業に関するような資金には相当な考慮を施すという方法でやつております。また先般聞くところによりますと、中央銀行から地方銀行に、中小金融が年末をうまく越せるようにという意味におきまして、いろいろな指令をしておるようでございます。たとえて申しますれば、大企業の支払いを下請に早く払えというようなことも次官会議で決議いたしましたけれども日本銀行、市中銀行にもこれを頼みまして、そしてこれを日本銀行、市中銀行は引受けて、間接的に努力しておる、こういうことでございますから、そう差別はできていないと私は承つております。
  80. 柴田義男

    ○柴田委員 しかし実際この五十五億の計画だけを拝見いたしましても、銀行に対する分は四億、しかもこれは長期信用銀行と新設銀行ということを特に明記してあります。こういうことでありますと、今の通産大臣のお言葉では、地方銀行、中央銀行ということを考慮せずに銀行銀行として考えておる、そして普通の銀行に対してはこういう政府預託金というものを全然考慮しないということは、大蔵省としてはなはだけしからぬとわれわれは思うので、この分に対しましては、あと大蔵大臣に対しまして御質問いたしますが、こういう考え方に対しては、通産大臣は大蔵省に強く要望なさる御意思があるのかどうか、この点を承つておきたいと思います。
  81. 岡野清豪

    ○岡野国務大臣 御趣旨のような意味におきまして大蔵省に要望しておつた次第でございますが、あとの事務的な取扱いは私まだよく承つておりませんから、説明員の方からお答えいたします。
  82. 福田繁芳

    福田(繁)委員 私は岡野通産大臣から、当大蔵委員会に関連する問題について多少御高見を拝聴し、また意見を申し上げてみたいと思つて実はお待ちしておつたのでありますが、あなたがここへお越しになるのがおそく、お帰りになるのが早くて、この通り時間がございませんので、ただ一言あなたに強く要望いたしておきますが、この年末金融に関してあなたの所管に関連するところの商工中金中小企業金融公庫、あるいは国民金融公庫の責任者に実はきようお越し願いまして、そうして諸君が通産大臣の命を受けてこの差迫つておる年末庶民金融をいかにするか、どれだけの心組みと御用意があるのかということをつぶさに承つておるのでありまして、各諸君から非常に熱心な、痛烈な悩みやまた希望なり所見を実はきよう申されたわけであります。これを要約するに、どこもここも昨年並に年末の中小企業の要望にこたえてやろうと思えば、私のところは五、六億、私のうちは十億、私のうちは十四、五億足りないのだという声が実は一致するわけであります。そこであなたの横にいらつしやいます大蔵省の銀行局長は、これに対してなかなか色よい返事をなさらないわけであります。そういうわけで、どうしても通産大臣と大蔵大臣ととくと御折衝願おうというのでわれわれは大蔵大臣をここへ呼んでおりまして、午前中あなたにお越し願つたわけでありまして、時間がございませんでしたので、あなたはそういうようなまとまつた御意見はまだ用意ができていないということでありましたが、本委員会を御退席なさつた後でもよろしゆうございますから、これらの代表者から差迫つておるところをよくお聞きなさつて、そうして通産大臣として、大蔵大臣にさすがは岡野さんだと言われるほどの政治力を発揮されんことを要望し、きようの御出席を感謝いたしておきます。
  83. 山本勝市

    ○山本(勝)委員 時間もございませんので、通産大臣に希望を申し上げておきたいと思います。  それは御承知通り不渡り手形がうなぎ上りにふえておりますが、十一月には遂に一日平均千二百三十五枚、一箇月で三万七千五十枚という不渡り手形が出ておることは提出資料にも明らかになつております。この不渡り手形が不渡り届として出されたのが一日平均千二百三十五枚でありますが、利子だけを払つて手形から手形に書きかえ書きかえつないでおる手形というものを加えますと、おそらくその数は厖大な数になるだろうと思うのであります。届出のない実質的な不渡り手形、金利だけを払つて手形から手形に書きかえて行くという手形、こういうのが今日の実情であります。これは主として中小企業者の手形だと思いますが、通産大臣として、この手形対策には根本的にはいろいろありましようが、これは今申しません。こういう不渡り手形が現われて来るということが、すでに根本の原因があつて現われて来た結果にすぎません。私は参考のためにお聞き取り願いたいのですけれども、こういう手形が出るのには、戦後手形という知識の全然ない人が、あまり銀行などと取引もしたことがないし、それから手形など書いたこともない人がやたらに手形を書く、そういう習慣が現われておるということが大きな原因になつていはしないかと思うのです。私はこう思うのですが、手形というものがどういうものかということがわからないで、ただ普通の借用証文でも書くような気持で手軽に手形を書く、これでこういう不渡り手形が多くなる理由ではないか。手形は言うまでもなしに商取引を円滑にするためにできた制度であるにもかかわらず、今日の中小企業界における手形というものは、商取引を不円滑にする一つの障害になつておる。手形をとつても、結局金になるまではもう不安でしかたがない、安心できない、こういう実情でありますが、これに対する一つの対策として、根本的な問題は申しませんが、手形法とか何かそういう技術的な面で、しろうとが簡単に手形を書かぬような指導と政策が必要ではないか。一つの例として、私は手形帳のあの印刷物をかつてにどこでも印刷できないようにして——これは外国にもそういう例があるのです。必ず印刷局か何かで手形帳を印刷するということにして、それを渡す場合にも何か銀行を通して渡す。それからもう少し中小企業者に、手形というものはこういう性質のものだ、一旦出した以上はこういうことになるのだというような手形に関する知識をはつきり教えるような方策も、ほんとうに価値のある中小企業対策になるのではないか、いくらこれに金融措置を講じてみましても、やたらに手軽に手形を書くということでは、やはり不渡り手形は減らないと思うのです。これをひとつ参考のためにお聞き取り願つて、大蔵省とも御相談を願つて、不渡り手形対策の一つの見地として御研究を願いたい。私は、通産大臣に対していろいろありますけれども、時間の関係がありますからそれだけにいたしますが、私の考えに対してどうお考えになるかをお聞きしたいと思います。
  84. 岡野清豪

    ○岡野国務大臣 お答え申し上げます。不渡り手形が非常にたくさん出まして、われわれとしても非常に心痛いたしておる次第でございます。ただ中小企業の不渡りにつきましては、今仰せのごとく手形とかいうものは、あまり熟練しないような人がかつてに書いたというような点もあろうかと思いますけれども、私の感じはまた別でございまして、中小企業というものは手形を書くような経営方式にまだ成熟していないというのが実情ではないかと思う。これは言葉を返せばあなたの仰せの通りに違いない。それで不渡り手形が出るから金融の措置が悪いのじやないかというおしかりをときどきこうむることがございますが、これは私は一面の真理であつて、また一面真理でないと考える。中小企業というものは、非常に能力のある主人の技術の点において非常な発展をしてやつて行ける。しかし企業形態としてこれを合理的に経営しておるかというと、それはまつたくゼロでありまして、それが今まで金融の対象にならなかつたゆえんでございますから、今後通産省といたしまして力を入れなければならない。中小企業といえども、現在の発達したところの経済界に堂々と大企業と伍して行けるように、経営の合理化もしくは経営方式をかえさせるというふうに指導をして行きたいと考えております。それにつきましては、企業診断とかなんとかいうことをちよちよいやつておりますが、そんなことでは追いつきません。御趣旨はしごくごもつともでありまして、その方向に向つて中小企業をもう少し現在の経済界に適合した存在ならしめるようにやつて行く。そうすれば金融の措置にいたしましても、あまり政府がおせつかいしなくてもやつて行けるのではないか、これは大分ほど遠いことでございますが、そう考えております。  それから先ほど福田さんの御要望につきましては、十分検討いたしまして、その結果につきましては、大蔵大臣にも十分お話いたしたいと考えております。
  85. 山本勝市

    ○山本(勝)委員 引揚援護庁並びに恩給局に対して伺います。中小企業金融問題については、大きく取上げられて当委員会におきましてもやかましく論議されて来たのであります。この問題は、中小企業金融の問題のごとく広い問題ではないのですけれども、非常に深刻な問題なんであります。遺家族に対する対策を国家がいろいろ講じて来ましたけれども、遺家族として遺家族援護法を適用されない、従つて恩給関係で少しも相手にされない、実際は本人も遺家族だと思つており、また世間もりつぱな遺家族だと思つておるのに、遺家族対策から除外されている方がある。これは数はそんなになくても実に深刻な悩みになつておるのです。中小企業者の問題ほど多くはないのですけれども、深刻さにおいては、訴えるところがないというようなかわいそうな実情にあるのであります。私のところにいろいろたくさんの陳情が来ておりますけれども、具体的な一例をとつて申しますと、いよいよ戦争の終結まぎわに台湾において——もちろん内地からも隔絶しておりますし、毎日空爆の中にさらされておつた時代に、軍人としてそこにおつた者が、昭和二十年の春に結核性の腹膜になつて、高雄の病院で死んだ。公報は公務死となつておりますが、公務死という下に、どういう意味でありますか、部内限という字がついておる。死んだ日は二十年の八月十六日の朝でありますが、それがどこに訴えていつてもとりつく島がない。この理由を伺いたい。もちろん理由があつてとり合わないのに違いないのですけれども、私の考えでは、天下何人といえども遺家族と認めておるものが遺家族対策から全然漏れてしまうというところに、どこかに無理があるのじやないか。これは北朝鮮で死んだ者、満州で死んだ者、ほかにもたくさんありますけれども、今一例として台湾の場合を申しました。これに対して引揚援護庁、それから恩給局、そういうところでどういう解釈をしておられるのか、また今後どういうふうに持つて行かれようとしておるのかということを伺いたい。
  86. 大崎康

    ○大崎説明員 お答えいたします。援護法と恩給法におきましては、原則として公務上の傷病に関して、その遺族に対して扶助料なり、あるいは遺族年金を支給することになつておるわけでありまして、その公務に基因してなくなつたということが不可欠の条件になつていることは御承知通りであります。その公務の概念につきましては、援護法における公務の概念も、また恩給法における公務の概念も、ともに同じであるというふうに私ども考えておるわけであります。公務というのはいかなる概念であるかと申し上げますと、これまた御案内の通り、公務遂行ということと、それから御本人のなくなつたというその事実との間において、いわゆる相当因果関係というものがあるということが必要なわけであります。今お話のございましたいわゆる死亡告知書に、おそらく公務死というふうに書いてあつたというふうなことでございますが、これは必ずしも恩給法上なり、あるいは従いまして援護法上なりの公務死とすぐになるということには行かないわけでございます。今台湾の事例をあげてお話がございましたが、いわゆる台湾において発病いたしました結核が公務であるかないかということは、いろいろな要素を勘案いたしまして考えなければならないわけであります。結核につきましては、その発病が何であるかということは医学上非常にむずかしい問題がございます。これにつきましては、取扱いの事例を申し上げますと、戦地で非常に補給の困難なところであれば、もちろんこれは公務死であるということは何人も疑わないわけでありますけれども、そういうふうな状況にないところ、しかも入隊されまして間もなくの発病であるというふうな場合におきましては、公務と認められないような事態もある。いずれにしましてもいろいろな状況を、病歴書なり、あるいは事実証明書なりというふうなものを勘案いたしまして考えなければならない問題であります。現在私どもの援護庁で扱つておりますところの遺族年金、あるいは弔慰金の裁定済みの件数が約百八十五万ほどございまして、その中に却下したものは約二万ほどございます。その二万ほどの中には、今おつしやいましたような死因、なくなつた原因が公務でないというふうなものによつて却下されたものが相当数ございます。これについては、どういうふうな対策を持つているかということの御質問があつたようでございますが、これはいわゆる公務以外の事由ということになりまして、その対策につきましては、なかなかめんどうなことがあるわけでございます。私どもにおきましては、御遺族の側から見ますれば、これは同じ召集なり何なりで入隊されまして、いろいろな死亡原因はありましようけれども、まあなくなられたということであります場合には、たとい公務以外の事由でありましても、非常に実情はお気の毒なわけでございます。これについては、財政上許せば何らかの手を打ちたいというふうに事務的には考えております。
  87. 山本勝市

    ○山本(勝)委員 時間が迫つておりますので、簡潔に要点をお答え願いたいのでありますが、私はただいま申されたようなことでは、法の目的というものは達成されないと思う。いやしくも健康であるがゆえに応召されて行つた。病気の者を応召しておるわけではない、健康な者を応召して行つた。そうしてみますと、発病した、しかも内地から杜絶して軍務に従事しておつて発病した。そしてそこで、たとえば今の場合ですと台湾の高雄で死んだ、しかも死んだのは昭和二十年の八月の十六日である。もう内地とも杜絶して、そうして一切交通もない、音信もない時代に空爆下で死んだ。そういうものを一々公務死か公務死でないかということで判断して行くよりも、むしろ大局的に考えて、健康なものを軍務に従事させて、その軍務に従事したがゆえに病気になつて死んだ。そうして天下だれが見ても遺家族である。そうすると遺家族援護法というのは、遺家族を援護するのが法の目的なのであつて、遺家族でさえあれば、遺家族ということが確実に認められるのであれば、遺家族援護法の適用があるのが本筋だというように思うのですが、そういうように頭を切りかえられないと、泣くにも泣けぬという事態が起る。恩給局よりも、引揚援護庁自身がそういう考えでこれからも行かれるつもりなのですか、もし法に不備があれば、法を改めるようにあなた方から要求してもらいたい。法を改めなくても、取扱いで行くものなら取扱いで行くようにせられる意思はないか。
  88. 大崎康

    ○大崎説明員 御承知のように遺族援護法というものは、軍人恩給が復活するまでの暫定措置法としてできておりまして、その範囲は、軍人恩給の範囲と原則的に合致せしめておるわけでございます。従いまして公務の範囲につきましても、恩給法における公務の範囲というものを出るわけに行かないわけでございます。しかしながら太平洋戦争というものは非常に特殊な戦闘の様相を帯びておりましたために、援護庁におきましては、公務の範囲をできるだけ従来よりも広くこれを解釈いたしておるわけであります。しかしながら私どもで公務と認めたものが、恩給局の方で公務と認めないというふうなことになつては、はなはだ困るわけでございまして、その点につきましては恩給局とも御連絡を申し上げて、慎重に今後とも取進めるつもりであります。
  89. 山本勝市

    ○山本(勝)委員 私が申しました考え方というのは、恩給局としてはどういうように考えておられるのですか。
  90. 八巻淳之輔

    ○八巻説明員 公務死亡によりまして、恩給法上、扶助料を支給されるという場合につきましては、先ほど大崎援護課長からお話がございましたように、公務に従事する、公務ということと発病と死亡というものの間に相当因果関係があるということの場合において、公務扶助料を出すというふうに裁定をいたしております。これは一般文官についても同様でございまして、軍人について特別な扱いをするということはございません。従いまして恩給法上、そうした相当因果関係がつけにくい、わからぬというふうな場合には、別な法規定を用いて、公務死亡とみなすのだというふうな、因果関係の追求を排除してみなすというふうな、創設的な規定を設けて——従つてもしも別なそういう法律をつくれば別でございますけれども、ただいまのところ公務死亡と申しますれば、やはり公務と発病と、それによつて死亡というものの間の一連の因果関係がなければならぬということになつておる次第でございます。
  91. 山本勝市

    ○山本(勝)委員 それだけでは不満足ですけれども、ほかの方もあると思いますから、私はこの程度でやめます。
  92. 千葉三郎

    ○千葉委員長 午後二時まで休憩いたします。     午後一時二十九分休憩      ————◇—————     午後二時二十二分開議
  93. 千葉三郎

    ○千葉委員長 休憩前に引続きまして再開いたします。  保全経済会に関する件を議題としてその調査を進めます。本件につきましては、去る十一月十七日に古屋貞雄君、同二十五日には深澤義守君の出席を求めまして、去る十一月一日の法務委員会における古屋君の発言内容について説明を求めたのでありますが、古屋君のお話では、十三国会のときに大蔵委員会保全経済会から議員が招待を受けたときに、莫大な現金をおみやげにもらつたということを、深澤衛門君と一緒に、当時の大蔵委員であつた深澤義守君から聞いたということでありましたが、深澤義守君のお話では、大蔵委員を招待いたしまして不正な金の贈与をするというようなことは、その当時の事情としては全然考えられない、そのような事実は全然ありません。また古屋君並びに深澤衛門君の同席の上でそういう話をしたという事実は、全然記憶にないということでありまして、両君の御発言は完全に対立しておるのであります。そこで委員会におきましては、かかる事態に立ち至つた以上、参考人としてではなく証人として出頭を求め、宣誓の上で証言を求め、事実の真相を究明するということに決定いたしまして、本日古屋貞雄君、深澤義守君並びに深澤衛門君のお三人を証人として出頭を求めた次第でありますから、この点御了承の上、御証言なさるようお願いいたします。  なおこの際お諮りいたしまするが、古屋君から不出頭届が出ております。これを朗読いたします。    不出頭届   昭和二十八年十一月二十七日貴委員会に証人として出頭方の通知を同年十一月二十六日午後九時二十分受取りましたが、同日は日本社会党山梨県連合会執行委員長として日本社会党主催甲信静凶作対策農民大会最終準備会並に山梨県県会議事堂に於ける日本職員組合中央委員会に党代表として出席を命ぜられているので出頭いたしかねます、右御届けに及びます   昭和二十八年十一月二十七日       衆議院議員 古屋貞雄  衆議院議長 堤康次郎殿  これを了承するに御異議ありませんか。
  94. 福田繁芳

    福田(繁)委員 私はそれを了承するには別に異議はないのでありまするが、参考に、委員長を経て古屋君に打合せをした係の者に聞いて、委員長から私に返事をしてもらいたい。本日午後三時に古屋君をこちらへ出てもらうということは、二十六日に書類で出したのでありまするが、きようという日にちをきめることは、あらかじめ古屋君なりその他の古屋君の方の者と打合せをして委員長はこう選定したのか、それとも突発的に委員長の思いつきのままで二十七日という日を指定したところが、はからずも今言つたような古屋君のやむを得ない理由があつたのか、これを伺いたいと思います。
  95. 千葉三郎

    ○千葉委員長 去る二十五日の委員会終了後におきまして、委員部におきましては、古屋代議士の秘書に連絡いたしまして御都合を承つたそうです。ところが同君の秘書の申すには、二十八日は御都合が悪い、二十七日の午後であつたならば出席可能であるからというお返事に接しましたので、そこでこの委員会にお諮りいたしまして、二十八日の予定を二十七日に変更したのであります。でありますから、突発事項のない限りは、本日当然出て来べきであると考えております。
  96. 福田繁芳

    福田(繁)委員 わかりました。
  97. 千葉三郎

    ○千葉委員長 御異議ございませんか。     〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  98. 千葉三郎

    ○千葉委員長 御異なしと認めます。よつてさように決しました。  なお後刻古屋君を喚問することに相なりまするが、その日時は委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ございませんか。     〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  99. 千葉三郎

    ○千葉委員長 御異議ないようでありますから、さように決定いたします。  なお証言を求める前に証人に一言申し上げます。昭和二十二年法律第二百二十五号、議院における証人の宣誓及び証言等に関する法律によりまして、証人に証言を求める場合には、その前に宣誓をさせなければならないことと相なつております。  宣誓または証言を拒むことのできるのは、証言が証人または証人の配偶者、四親等内の血族もしくは三親等内の姻族または証人とこれらの親族関係のあつた者、及び証人の後見人または証人の後見を受ける者の刑事上の訴追または処罰を招くおそれのある事項に関するとき、またはこれらの者の恥辱に帰すべき事項に関するとき、及び医師、歯科医師、薬剤師、薬種商、産婆、弁護士、弁理士、弁護人、公証人、宗教または祷祀の職にある者またはこれらの職にあつた者が、その職務上知つた事実であつて黙秘すべきものについて尋問を受けたときに限られておりまして、それ以外には証言を拒むことはできないことになつております。しかして、証人が正当の理由がなくて宣誓または証言を拒んだときは、一年以下の禁錮または一万円以下の罰金に処せられ、かつ宣誓した証人が虚偽の陳述をしたときは、三月以上十年以下の懲役に処せられることとなつておるのであります。一応このことを御承知になつておいていただきたいと思います。  では、法律の定めるところによりまして、証人に宣誓求めます。御起立を願います。  宣誓書の御朗読を願います。     〔証人深澤義守君朗読〕    宣 誓 書   良心に従つて、真実を述べ、何事もかくさず、また何事もつけ加えないことを誓います。
  100. 千葉三郎

    ○千葉委員長 それでは宣誓書に署名捺印してください。     〔証人宣誓書に署名捺印〕
  101. 福田繁芳

    福田(繁)委員 これから深澤義守深澤衛門両氏を本案に関連して証人としてお聞きするわけなんですが、この両君の証言は非常に重大な問題で、いずれから先にやるかは別にしまして、お一人お一人御在室願つて別々にやつていただきたい。たとえば義守君をお聞きする時分に衛門君をここにはべつていただかないように、衛門君をお聞きする時分には義守君にはべつてもらわないように、そうしないと証言の信憑力というものに影響するから、さよう諸君にお諮りして御決定を願いたいと思います。
  102. 千葉三郎

    ○千葉委員長 福田繁芳君の御提案につきましては、後ほどお諮りいたします。  これより証言を求めることになりますが、証言は証言を求められた範囲を越えないこと、また御発言の際には、その都度委員の許可を得てなされるようお願いいたします。なお、こちらから質問をしておるときはおかけになつていてよろしゆうございますが、お答えの際は御起立を願います。  ただいま福田繁芳君よりの御提案でありますが、御異議ございませんか。     〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  103. 千葉三郎

    ○千葉委員長 御異議ないようでありますから、さようとりはからいます。そういたしますと、深澤衛門君、深澤義守君の順序で行うことといたしますから、深澤義守君は控室で暫時お待ちを願います。  委員長から深澤衛門君に申し上げます。あなたは深澤衛門君でありますか。
  104. 深澤衛門

    深澤(衛)証人 さようでございます。
  105. 千葉三郎

    ○千葉委員長 御年齢及び簡単な経歴をお述べ願いたいと思います。
  106. 深澤衛門

    深澤(衛)証人 明治四十二年九月二十四日生れでございます。経歴といたしましては、生業は農業でございます。それから前に山梨県の県会議員をやつたことがあります。大体以上であります。
  107. 千葉三郎

    ○千葉委員長 あなたと古屋君及び深澤義守君との御関係についてお述べを願いたいと思います。
  108. 深澤衛門

    深澤(衛)証人 深澤前代議士は青年のころからの友だちでございまして、ずつと青年のころから今日まで、いろいろと社会運動なんかで行動を共にいたしておりましたが、深澤前代議士が共産党へ参られてから、私どもは政治的な活動というものを別々にいたしまして、今日に及んでおります。
  109. 千葉三郎

    ○千葉委員長 なお古屋貞雄君との関係をお願いいたします。
  110. 深澤衛門

    深澤(衛)証人 やはり郷党の先輩でございまして、いろいろと政治的な運動なんかで一緒でありました。また友人と申しましようか、先輩というようなことで今日に参つております。
  111. 千葉三郎

    ○千葉委員長 古屋君と御一緒に、深澤義守君から、十三国会のときに、大蔵委員会保全経済会から委員が招待を受けたときに莫大な現金をおみやげにもらつたという話を聞いたことがありましようか。あるとするならば、いつどこで聞いたかを御証言願いたいと思います。
  112. 深澤衛門

    深澤(衛)証人 古屋代議士とそれから深澤前代議士と三人で、そういうような話を話し合つたというような記憶は、これは大分時がたつておりまして、三人でそういう話をしたというような記憶は呼び起せないのでありますが、これは古屋代議士の記憶にまかせるよりほかはないと思います。
  113. 千葉三郎

    ○千葉委員長 これで委員長のお尋ねは終りましたが、委員諸君から補足のお尋ねがありましたら、この際許します。
  114. 福田繁芳

    福田(繁)委員 ただいま証人は、古屋代議士並びに深澤前代議士と三人で、委員長が言われるようなことを話はしたことはない、こういう記憶はない、こうおつしやるわけだ。さすれば三人以外の方から、古屋君か深澤君からこういうことを聞いた、あるいは深澤君がそういう話をしたということをお聞きになつた御記憶があるかないか、これを伺いたい。
  115. 深澤衛門

    深澤(衛)証人 古屋代議士、深澤前代議士がそういう話をしておつたというようなことを、第三者から私は聞いたというようなことはございません。
  116. 福田繁芳

    福田(繁)委員 第三者からも聞いたことはない。同時にあなた自身として、深澤、古屋その他の人のいる時分に、さきに委員長は三人でその席上で話があつたか、それに対してその席上で話はなかつた、そういう記憶はないとおつしやるが、たとえば深澤とあなたと古屋、それ以外のたくさんの人がおつたところで、こういう話が出たことは御記憶がありますか。それを伺いたい。
  117. 深澤衛門

    深澤(衛)証人 ただいま御質問がありましたのに私がお答えいたしましたのは、古屋、深澤前代議士、私と、この三人で、三人の限定された場面におきましてそういうような話合いをしたことがあるかどうかというお尋ねでございましたので、それは私そういうような記憶はないということではなく、呼び起せないのでございます。今それより以外にはどうかというお尋ねがございましたので申し上げますが、これは前にも申し上げましたように、非常に時間が経過いたしておりますので、昭和二十六年か七年ごろの話であろうと思いますので、明確には私には記憶はございませんが、保全経済会大蔵委員会というような話も、いろいろの政治上の話や何かのときに、談たまたまそういうようなことを言われたことはおぼろげに記憶はいたしておりますが、いつ、どこの場所で、どういうような着物を着てというような記憶まではないのでございます。
  118. 福田繁芳

    福田(繁)委員 さすれば、昭和二十六、七年ごろということをやや思い起しになられたのですが、場所とか、あるいは着物の柄とか、そういう必要はありませんから、おぼろげながらに話を記憶になられるという、そのおぼろげながらの話はどういう話であつたのか、だれがどういう話をしたか、そのときどういう者がおつたかということを聞かせてもらえると非常に参考になるのですが。
  119. 深澤衛門

    深澤(衛)証人 これはかすかに記憶がございますが、私の場合には、第三者をまじえたような記憶はないのでございます。それで先ほども私と深澤義守君の間のことをお尋ねになりましたので、友人関係を申し上げましたが、青年のころからの非常に懇意な間柄でございますので、郷党の代議士として、先輩として、東京から帰つて来られたときには、政党の別なく、どこで会つてもいろいろ中央情勢やその他のことを話し合うのが私どもの常になつております。それで一つの話を、これはこうだというように特別の議題として話し合つたということはないのでありまして、いろいろと話をいたす中に、保全経済会の問題も、深澤前代議士の口からいろいろと聞かされた覚えがございます。
  120. 福田繁芳

    福田(繁)委員 その深澤前代議士から保全経済会のことについていろいろ聞かされたことがあられるという御記憶なんですが、保全経済会の話の中で、当大蔵委員会関係している話の内容をこの際お聞きいたしたいと思います。
  121. 深澤衛門

    深澤(衛)証人 おもに深澤前代議士が申された話は、保全経済会のからくりというようなものが一つ話されましたし、それから深澤前代議士が若干の議員の方と保全経済会に呼ばれたかどうか、それは詳しくは覚えておりませんが、その方々と、どこか場所ははつきり聞いておりませんが、会われたということを一つ記憶いたしております。それから四国へ参つたときに、保全経済会の脱税問題が深澤前代議士にわかつて、東京へ帰つてつて、どこの機関かわかりませんが、一応取調べをやつてくれというような申入れをしたというようなことも、深澤前代議士から聞いたような覚えがあります。
  122. 福田繁芳

    福田(繁)委員 さすればその深澤前代議士から、場所と時間の記憶はないけれども、そのときの大蔵委員会のお方が保全経済会からお招きにあずかつた、ごちそうになつたというのですか、そのときに何か金でも、あるいは紙に包んだものでももらつて帰つたというようなことを言われたのではありませんか。そういう記憶はございませんか。
  123. 深澤衛門

    深澤(衛)証人 深澤前代議士は特別の意味をもつて、何かお招きとかごちそうとかいうような話は、これは相対ずくの話ですから、そういう気ではなかつたかもしれないのですが、その席上で、保全経済会の幹部に何か言われたというようなことを、ちよつと私に漏らされたことがあつたように記憶いたしておりますが、ただ具体的にはどういうことであつたか。何かそのきつかけで四国へ行つたときに、保全経済会自体に関心を持たれまして四国へ行かれたのかどうかわかりませんが、四国で保全経済会の脱税の問題を知つて、東京へ帰つて来て、経済調査庁であるか何であるか、それは明確に覚えておりませんが、一応メスを入れてくれということを言われた。これは私記憶しております。
  124. 福田繁芳

    福田(繁)委員 私としても最後の一点ですから、これを整理して、二つにわけまして証人に伺つてみたいと思う。第一点は、古屋、深澤義守君とあなたと三人お会いになつたときに、深澤義守君から、保全経済会のお招きで大蔵委員の諸君が呼ばれて、ごちそうになつて、紙包みをもらつて来たということは、あなたは聞いたことはない、こう私は聞いてよろしいか。もう一つは、もし深澤義守君から保全経済会の話があつたとするならば、深澤義守君は当時大蔵委員であつたので、あるいは保全経済会の内部のことについての話が断片的にあつた、こういうように解釈してよろしいか。この二点をちよつと伺います。
  125. 深澤衛門

    深澤(衛)証人 第一点ですが、これは特に私は限定して先ほどから申し上げておるのでありますが、古屋現代議士と深澤前代議士と、それに私を加えて保全経済会の話をし合つたという覚えが、私の記憶の中によみがえつて来ない、こう私は申し上げまして、それは古屋代議士の御記憶に頼むほかに道はない、こういう問題であります。第二の問題は、もう一度お願いいたします。
  126. 福田繁芳

    福田(繁)委員 深澤義守君から保全経済会のことをあなたが聞かれたというその記憶は、深澤義守君が保全経済会のからくりとか、あるいは税金とかなんとかいう保全経済会側のことをあなたが聞いたという程度しか記憶がない、こういうように言われたと思うのですが、間違いありませんか。
  127. 深澤衛門

    深澤(衛)証人 申し上げます。保全経済会のからくりというようなことにつきましても、深澤前代議士は非常に強調されまして、これは安心して投資はできない組織体であると明確に私ども注意をいたしました。その他の問題につきましては、私には、東京のことはどういうぐあいにしてどうなるのかよくわかりませんが、想像いたしますと、保全経済会の幹部のところへ深澤前代議士やその他の人々が行かれましたその席上で、保全経済会の幹部が深澤義守前代議士の気にさわつたようなことでも言つたような話をいたされました。そういうことは記憶しております。それで四国に行つたときに脱税問題を聞きつけたので、東京に来て摘発するように手配した。順序としては一応こういうように記憶しております。
  128. 柴田義男

    ○柴田委員 ちよつと証人は承りますが、古屋氏がおらぬところでもけつこうなんですが、衛門氏は深澤義守君から何かもう一つ大蔵委員会の人々がどこかに招待を受けて、何か金品の収受でも受けたという感じを受けるようなことをお聞きになつたことはございませんでしようか。もう一点は、こういうような問題を、あなた、あるいは古屋さんという特定の人でなしに、山梨県地方では特に大きな問題としてこれを取上げておられる。平野力三氏が顧問であるということで、山梨ではことさらこの問題に大きな関心を持つておるという土地柄でもありますので、こういう話が現実になかつたのかどうか、この点を承りたいと思います。
  129. 深澤衛門

    深澤(衛)証人 深澤前代議士が他の大蔵委員保全経済会に呼ばれて、何かもらつたとかいう話がされたかどうかというお尋ねでございますが、先ほど申しましたように、国会の様子は私どもにはわかりませんので、保全経済会から呼ばれて、深澤前代議士がどこかへ他の大蔵委員の皆さんと行かれたというようなことがあり得るかどうかということも、私にはよくわからぬのでございますが、話の筋といたしましては、深澤前代議士も同席した何かの会合でもあつたやに、私といたしましては義守君の話の中から受取つたそのときの記憶がございます。  それから第二点の問題でございますが、山梨県は、非常に保全経済会で被害をこうむつておる人が今日でも多いのでございます。それで義守前代議士が山梨県へ帰つて参りまして、いろいろ自分の所属する政党だけでなくて、あの人は元社会党におつた人でございまして、農民運動も長い間やつておりましたので、知人は非常に多いのでございます。そういういうような関係で、保全経済会の話をどこでどうされたか私にはわかりませんが、一つの政治問題として、あるいはまた私ども社会普通一般の経済問題として、保全経済会なるものに関心を持つておる人たちに対して、またはその問題自体について、いろいろとどこかで話をされておるかどうか、あるいはあるかもしれませんが、具体的にはこれがこうだというようなことは、私の方からは指摘するわけに行きません。
  130. 柴田義男

    ○柴田委員 もう一点伺いますが、山梨県の県会の中に、社会党、あるいは共産党、あるいはその他の革新政党の控室があるということを聞いておりますが、そういう控室がございましようか。
  131. 深澤衛門

    深澤(衛)証人 お答え申し上げます。山梨県では、これは慣例とでも申しましようか、県会議事堂の中に、共産党の控室はございませんが、各政党の控室、それぞれの県会議員の控室ですね。たとえば山梨県社会党県会議員の控室というようなものはございます。それが政党の事務所とでも申しましようか、一応事務がとられるような形になつておることは事実でございます
  132. 柴田義男

    ○柴田委員 つけ加えて伺いますが、私が伺つておりますのは、単に社会党の左派、あるいは右派ということでなしに、その控室は、たとえば労農党もございました場合には、労農党等も一緒にこの控室に常におるのかどうか。それからその控室は、厳密な意味の県会議員の控室でなしに、そういう革新運動をやつておる人々の集まる場所になつているかどうか。こういう点を承りたいと思います。
  133. 深澤衛門

    深澤(衛)証人 お答え申し上げます。ただいまお尋ねになりました控室の性格は、本質といたしましては県会議員の控室でございますが、陳情隊も参ります。もちろん陳情隊というのは、所属政党の人が多いのでございまして、そういう人たちが、県会の開会中というような場合には、朝から晩まで押しかけたり、あるいはまたふだんにおきましても、そういう人たちが用事があれば、自分の所属の政党の県会議員のところへ参る。それからたとえば東京へ参つておりまして甲府へ帰つて来た場合には、甲府から二、三分で山梨県会議事堂には参られますので、そういう人たちが話合いをしたり、足場にするには一番都合のよい場所ではないか、かように考えております。
  134. 柴田義男

    ○柴田委員 もう一点伺います。その当時——最近はどうかわかりませんが、里吉正巳君という、かつては労農党の書記長か何かをやつていた人を、御存じございませんでしようか。
  135. 深澤衛門

    深澤(衛)証人 存じております。
  136. 柴田義男

    ○柴田委員 終ります。
  137. 春日一幸

    ○春日委員 お伺いしますが、あなたは今所属していらつしやる政党はどこであり、その政党でどういう立場にあられますか。
  138. 深澤衛門

    深澤(衛)証人 私の所属政党は日本社会党の左でございまして、現在山梨県連の組織部長でございますし、中央委員であります。
  139. 春日一幸

    ○春日委員 わかりました。そこでお伺いいたしたいことは、本日あなたにお伺いをいたしております事柄につきましては、過ぐる十一月十七日の本委員会におきまして、古屋貞雄君は次のごとく述べられておるのであります。「深澤君からそういう話を私が聞いた日時とその場所はどこだという具体的な話、これは私一人で聞いたのではないのです。深澤衛門君に聞いてください。深澤衛門深澤義守君と——この人と私は山梨県で親しいのですが、山梨のたしか甲府のどこかで、夜でございましたが、」これを聞いた。こういうぐあいに、明確にあなたに聞いてくれ、あなた立会いの上ではつきり聞いたのだ。しかもその場所についても、おぼろげでありますが、「実は場所がどこであつたか、山梨県であつたことは間違いでございません。山梨県の県下であることは間違いでございません。東京ではございません。その点ははつきり申し上げます。」と言われている。しかもその時刻についても、「山梨県の甲府であつたのか、どこか農村でお会いしたのか、とにかく私は夕方のように記憶しておりますが、深澤衛門君と深澤義守君と私と三人でお会いしたときに」、大蔵委員が招待され金をもらつた。こういうことを深澤義守君が申された。こういうぐあいに、とある場所で、たそがれどきに、あなた方三人でその話をされて、そういうぐあいに義守君が言うたに相違ない。疑うなら衛門君に聞いてくれ。こう明確に古屋君が本委員会で述べられているのであります。くどいようでありますが、もう一ぺん記憶を呼び起していただいて、どこか夕暮れどきに会われたときに、そういうような話を義守君からお話があつたかどうか、ひとつお答え願いたいと思います。
  140. 深澤衛門

    深澤(衛)証人 お答えいたします。これが一箇月とか二箇月も前の話でございましたならば、お答え申し上げるのが非常に簡単でございますが、ただいま問題になつておりますのは、昭和二十七年の初めごろであるか、二十六年の終りごろであるか、大分前の話でございまして、これは古屋代義士の記憶の違いでもあるやに受取られますが、三人が鼎座いたしまして、そこでただいま御質問のあつたような具体的な話があつたかどうかということの記憶は、明確には私の記憶にはよみがえつて来ないのであります。御了承願いたいと思います。
  141. 春日一幸

    ○春日委員 これは私ども常識で御推測申し上げたり判断したりして恐縮でありますけれども古屋貞雄君はまことに公私多端であろうと思うわけであります。非常に錯綜する事柄の中から、特にこの記憶が、多少は明確を欠いておりますが、山梨県下のある場所、しかも夕刻にと、こういう明確な御答弁があるのでありますが、あなたはもとよりこれが県政に関係する事柄ではないので、あるいは印象が浅かつたもしれませんけれども、しかし明確ではないということならばやむを得ないでございましよう。  そこで私は、この機会に結論として伺いたいことは、そういう話を深澤衛門君から三人立会いでお聞きになつたという事実はないのか、あるいはあるかもしれないけれども、記憶がないのか、そのいずれであるか、ひとつこの機会にお答えを願いたい。
  142. 深澤衛門

    深澤(衛)証人 お答え申し上げます。そういうような記憶が、ここでいろいろ問題になつておりますような、三人鼎座し、というようなことは、大分前のことでありますので、ないとも私ははつきり申し上げられません。ただ私の記憶に、そういうことをいろいろ考えてみましたけれども、明確によみがえつて来ない。こういう一点で御了解願いたいと思います。
  143. 井上良二

    ○井上委員 ちよつとお伺いしますが、あなたのただいままでの証言によると、深澤君から、記憶が明確ではないが、保全経済会の幹部のおるところへ深澤君並びに他の同僚といいますか、委員が一緒に行かれたということを証言されておりますが、それはいつごろにそういうお話をお承りになりましたか、場所はどこでしたか、それは明らかになりませんか。この話を深澤君から聞いたときは、深澤君とあなたと二人だけでしたか、それを明らかにしていただきたい。
  144. 深澤衛門

    深澤(衛)証人 お答え申し上げます。場所につきましては、非常に時間がたつておりますので、それは山梨県の甲府でありましたか、あるいはまた私が所用で東京へ出て参つて——私が東京へ出て参れば、郷党の代議士でございますので、常にいろいろと政治上のことなんか伺いに参つて、よく食堂なんかへ一緒に参りましたので、そういう点で会つたのか、それを今ここでどちらかはつきりせいと言われましても、大事な証言のことでありますので、これはこうだということを大胆に申し上げるほど記憶が明確でないのでございます。
  145. 井上良二

    ○井上委員 深澤君に、保全経済会の幹部のおるところへ深澤君らが行かれたという話を聞いたのは、深澤君とほかにだれがおりましたか。
  146. 深澤衛門

    深澤(衛)証人 それはかすかに記憶がありますが、二人で何か飯でも食いながらのような記憶があります。それもこの問題単独だけではなくて、いろいろと政治の話なんかいたしますときに、たまたまそういう問題もあわせて聞いたというぐあいに記憶をいたします。
  147. 井上良二

    ○井上委員 それからいま一つ、あなたの証言の中で非常に重大な食い違いを深澤義守君との間にいたしておりますのは、深澤義守君は、保全経済会の実態を知つたのは、自分が大蔵委員として財政金融状況調査に四国へ行つて、高松へ参りましたときに、保全経済会支店長ですか、この関係者がやつて参りまして、初めてそこで保全経済会の存在及び活動を知つた。そうしてその活動が非常に他の金融関係に及ぼすいろいろな問題があるので、東京へ帰つて話をした。自分は四国へ行つて初めて保全経済会を知つた。こういうことをここで先般参考人として発言をいたしております。ところが今あなたのお話によると、今お話になりました保全経済会の幹部のあるところへ大蔵委員として出て参つて、ここでいろいろお話を聞いて、それから四国の方へ行かれて保全経済会の脱税その他の問題について善処方を当局に要望した。ここに時間的な食い違いが起つているのです。ですから、これは非常に長い時間がたつておりますから、はつきりどちらが先であるかということは問題にはなりませんが、その幹部のおるところへ行かれたというのについて、他にだれかが一緒にいたということをあなたは申しておりましたが、一緒にいたというのは、大蔵委員の人ですか、それとも国会議員に関係ない人が一緒にいたのですか、それを明らかにしてもらいたい。  いま一つは、この保全経済会の幹部のおるところへ深澤君が行かれたというような話を、あなたは古屋君にしたことがありますか、したとすれば、それはいつどこでされたのですか、それを伺いたい。
  148. 深澤衛門

    深澤(衛)証人 お答え申し上げます。ただいま第一点の、保全経済会のその席上へ行つておつたのはだれかというお尋ねでございますが、私が深澤前代議士から伺いまして、深澤代議士の話の中から感じとりましたことは、今記憶に残つておりますことは、大蔵委員だということを言われたように記憶いたしておりますが、あまりはつきり申し上げるほど、これは記憶に残つておりません。第二点の、古屋代議士に保全経済会の問題を話したかどうか、このことは古屋現代議士が山梨県の社会党の執行委員長でございまして、帰りますれば、常に私どもと一緒にいる人でございますから、そういう問題はときどきの問題として、保全経済会が休業になつてから、それは何回も話合つております。
  149. 井上良二

    ○井上委員 私の聞いておりますのは、一番大事な点は、保全経済会の幹部のおるところへ、当時の大蔵委員であつた深澤君を中心にする大蔵委員が同席した、幹部のおるところへ行つたという話を、あなたがここで証言された。そうしますと、その話をあなたはいつどこで古屋君にお話をされたか、このことです。これはさきのことで、最近のことではありません。
  150. 深澤衛門

    深澤(衛)証人 その話は、義守前代議士が山梨県へ帰つて来られてそういうような話を——私に関しましては、東京であつたかどうか明確でありませんが、そういうような話が私の頭の中にもありました。それから保全経済会が休業になつて、山梨県でも非常に大きな問題になつて、大きい人は二百何十万という金を預けておるというようなこともありました。そのあとで古屋代議士も山梨県へ参りましたときに、そういうような話はした覚えがございます。時期については、いつごろであつたか明確でございませんが、たまたまそういう話題が出ましたときにも、そういう話はいたしたのであります。
  151. 井上良二

    ○井上委員 これは非常に大事なことですから、私しつこく聞くのですが、あなたが深澤義守君から保全経済会の幹部のおるところへ自分も呼ばれ、他の同僚の委員も同席をしたという話を聞いた。それをそのまま古屋君にその当時伝えたのか、それとも保全経済会の事件が大きく取上げられて、いわゆるこれが問題になりましてから後古屋君に会うて、実は義守君がかつてこういうことを言うておつたというふうに、過ぎ去つたことを思い出して、最近になつて古屋君に言うたものか、どちらですか。
  152. 深澤衛門

    深澤(衛)証人 お答え申し上げます。問題が起つたという点が私にはわからないのですが、国会で古屋代議士が大蔵委員会へ参りまして、証言と申しますか、参考人として意見を述べる前であつたかあとであつたかということがわからないのですが、古屋代議士に申し上げましたのは、その述べる前に、私どもは社会的な問題としてそういうことは話しておつたのであります。
  153. 井上良二

    ○井上委員 そうすると、その保全経済会の事件が起り、これが国会で取上げられる前にこの話はしたということに大体間違いはありませんか。
  154. 深澤衛門

    深澤(衛)証人 間違いございません。
  155. 井上良二

    ○井上委員 そういたしますと、あなたは、この前本委員会から参考人として御出席を願う通知をいたしましたが、どういう理由で欠席をされましたか。
  156. 深澤衛門

    深澤(衛)証人 理由につきましては三つほどあるのでありまして、これは第一点は、私の近親者の間にちよつとした事件がありまして、それで動けなかつたということも一つ、それは前ですが、そのあとの日まで関連しておつたのでございます。それから当委員会へ私が参考人としてお呼出しにあずかつたその日は、ちようど山梨県に労農会館というものが竣工いたしまして、各郡から代表者が出て参りまして、労農会館を財団法人にする、法人組織をつくるという大事な日ございまして、私も実は中巨摩郡の農業委員会の会長というような重責がございまして、その会議ちようど午前中でございました。それから午後は、中巨摩郡、西山梨郡の凶作対策委員会が、中巨摩、西山梨の地方事務所は同じでございますが、その地方事務所に会がございまして、私としては郡の農業委員会の会長をいたしておりまして、対策委員会の副委員長でございまして、これはどうしても私が出なければならない問題で——実は当日は参るつもりで東京まで来たのでございます。前日おつたのでございますが、向うからそういうぐあいで、きようはどうしても来てもらわなければ、非常に供出割当が重く来ておるので出席してもらいたいという電話が来まして、心ならずも私はこちらの方へ連絡いたしまして帰つた次第でございます。
  157. 井上良二

    ○井上委員 最近古屋君とお会いになつたことはありますか。
  158. 深澤衛門

    深澤(衛)証人 山梨でもこれは会いましたし、それから山梨で二十四日の日に会つております。
  159. 井上良二

    ○井上委員 そのときに、この問題に関して古屋君と相談をいたした記憶はありませんか。
  160. 深澤衛門

    深澤(衛)証人 特に相談ということはございません。
  161. 千葉三郎

    ○千葉委員長 他に御発言がなければ、深澤衛門証人に対する尋問はこの程度で終了いたしたいと思います。証人におきましては、遠路御苦労さまでございました。  なおお諮りいたしますけれども深澤義守君の証言との関係でお待ち願いますか、あるいはこのままお帰り願いますか、お帰り願つてもいいのじやないですか。
  162. 福田繁芳

    福田(繁)委員 せつかく来たのだから、再尋問の必要があるかもわからぬし、待つてもらつて……。
  163. 千葉三郎

    ○千葉委員長 しばらく控室でお待ち願いたいと思います。  深澤義守証人に申し上げますが、御年齢と簡単なる経歴をお述べを願います。
  164. 深澤義守

    深澤(義)証人 年齢は四十八歳であります。経歴は、私は農民運動を昭和二年ごろからずつとやつて参りまして、終戦以来も農民運動を続けております。所属は、終戦直後は社会党に属しておりましたが、昭和二十三年の暮れに日本共産党に入党いたしまして、昭和二十四年の一月の総選挙に衆議院議員に当選をいたしまして、昭和二十七年九月の解散まで在職をいたしました。現在は著述業のような形でおるわけであります。
  165. 千葉三郎

    ○千葉委員長 あなたは去る二十五日の本委員会におきまして、委員の質問に対して、大蔵委員を招待して不正な金の贈与をするというようなことは、その当時の事情としては全然考えられない。そのような事実はまつたくない。また古屋貞雄君並びに深澤衛門君同席の上で、そのような話をした事実は全然記憶にないと御説明になりましたが、この記憶に間違いないかどうか、よくお考えの上で御証言を願います。
  166. 深澤義守

    深澤(義)証人 過日の当委員会参考人として私が申し上げたことに、絶対に間違いございません。
  167. 千葉三郎

    ○千葉委員長 これにて委員長の尋問は終りました。委員諸君より補足の尋問がありますれば、この際これを許します。柴田義男君。
  168. 柴田義男

    ○柴田委員 深澤義守氏にお伺いたします。深澤さんは、古屋さんに直接にああいうことをお話なつたことはない、これはこの前参考人として御出席の場合に伺つたのでありますが、直接でなくとも、あるいは間接でございましようか——間接という意味は、その他の人々に対しまして、当時の保全経済会大蔵委員会のたれかを招待して、何か紙に包んだものをおみやげにくれた、こういうお話をなすつた御記憶はございませんでしようか。
  169. 深澤義守

    深澤(義)証人 お答えいたします。先般の委員会においても申し上げました通り保全経済会というものに対して、私は非常な疑惑を持つておつたのであります。当時の大蔵委員会においても、私はその問題について質問をいたしました。しかし保全経済会に対する監督権はないという立場で、政府がそれに対して何らの干渉をすることができない。こういうことに対して非常に不満を持つておりました。しかしながら保全経済会は、御承知のごとくインフレ景気によつて非常にたくさんの人々の出資をふやして参りました。山梨県にも、相当そういう人があつたのであります。だから私は、私の政治的見解として、ああいうものは非常に今後危険性があるというような立場から、保全経済会に対する批判を加えておつたことは、これは常にやつておりました。従つて不特定多数の人々に対して、そういうことを申し上げたことはございます。ただ大蔵委員会がそういう不正な招待を受け、金を受取つたというごときは、絶対に私は申しません。ただ保全経済会が投資銀行としての法制化を望むとか、あるいは政府に何らかの関係をつけるという意味において、いろいろな政治的な動きはしておつた。こういうことはややもすると、この保全経済会日本の政界との間にいまわしい関係が起るようなことでもあればというような心配から、それに対する批判を加えて参りましたが、大蔵委員会か、あるいは大蔵委員会の人かが招待をされて金品を受取つたというごときは、私は絶対に言つた覚えはないのであります。
  170. 柴田義男

    ○柴田委員 もう一度お尋ねいたしますが、こういうことを御記憶はございませんでしようか。平野力三氏が追放解除されまして、山梨の故郷へ帰られた。そういたしました場合に、三百名ぐらいが駅頭に平野氏を迎えて、非常ににぎやかな出迎えをやつた。その問題を契機として、えらい大騒ぎをやるものだということが、懸会議事堂にある控室におきまして、その話がたまたま問題になつた。そうしましたら、平野君の出迎えをいたしました状況、あるいはその後の何かの状況の話があつたように聞いておりますが、そういうことに関しまして、証人はその控室におきまして、多数の人間がおりまする場所で、平野君には保全経済会がついておるのだから、あのくらいのにぎやかなことをやることは当然である。そうして、しかも保全経済会というのは大蔵委員会まで買収しようとかかつておる。こういうこともあつて、招待を受け、紙包みを何か知らぬがくれたということを、たくさんの人間のおるところで——私の言うたくさんという意味は、何名かわかりません。数名をたくさんというのであるか、十名をたくさんというのであるかは、わかりませんが、相当人数のおつたところで、そういうお話をあなたがなすつたということをわれわれは聞いておりますが、そういう御記憶はございませんでしようか。
  171. 深澤義守

    深澤(義)証人 平野君が保全経済会の顧問として就任されていることについては、私ども批判的な態度でありました。そうしてああいう保全経済会のようなものを育成するということは、決してこれは国民の利益でないという見解から、批判を加えたことはございます。平野君は追放解除になつて、帰つて来て非常に歓迎を受けたというようなことも、私は漠然と記憶にはございます。そこで山梨県会議事堂の社会党の控室には、私は帰県いたしますれば必ず参りまして、いつも政治情勢の問題について語り合つたこともございます。あるいはそういう場合に、保全経済会に対する問題がたまたま問題になつて、それを批判し、それを話題として話したことはあると思います。思いますが、大蔵委員会が招待を受けて、あるいは大蔵委員がどうこうして、あるいは金包みを受取つてというようなことは、私の記憶をたどつても、そういうことを発言したことは全然ない。ただ保全経済会の性格について批判したことは、常にやつておりましたから、必ずや社会党の控室においてもそういうことが話題になつたことも、これはあり得るかもしれません。
  172. 柴田義男

    ○柴田委員 それではもう一点承りますが、その当時は労農党かとわれわれは記憶しておりますが、里吉正巳君というのに、そういうお話をなすつたことは御記憶ございませんか。
  173. 深澤義守

    深澤(義)証人 里吉君も私はよく存じておりますが、里吉君は労農党でございますから、社会党の控室にはほとんど見えていないと思いますが、ああいう人と社会党控室で会つて話をしたということは、私の記憶では現在はつきりしておりません。とにかく不特定多数の人に、常に私は保全経済会の批判をいたしておつたものでありますから、どこかであるいはそういうことについての話をいたしたことはあり得るかもしれないと思います。
  174. 佐藤觀次郎

    佐藤(觀)委員 深澤さんに一つお尋ねいたしますが、代議士になつておられたときに、内藤友明氏と一緒に四国へおいでになりまして、保全経済会のことについていろいろ問題があつて——これは内藤君から聞いた話ですが、きようは内藤君がおりませんからわかりませんが、保全経済会のことについて四国でいろいろ問題があつて、あなたが非常に心から怒られたという話を聞いておりますが、そのときのいきさつを少しお話をしていただきます。
  175. 深澤義守

    深澤(義)証人 日時ははつきり私記憶がございませんが、昭和二十六年の七月の中旬だと記憶しておりますが、大蔵委員会が当時国政調査にに四国へ参つたのであります。その当時同行者は、内藤友明氏、早稻田柳右エ門氏と私と、専門員の拔井さんでございました。高松の駅え着いたときに、四国の財務局の方々のお迎えを受けたのであります。そのほかに、二人の保全経済会高松支店という名刺を持つた人が、われわれに刺を通じて参りました。そこで、初めて早稻田さんが、その保全経済会の顧問になつておられるということも聞いたのであります。しかしそのときは、まだ私は保全経済会が何ものであるかということは、全然知らなかつた。その後香川県、徳島県、高知県、愛媛県をめぐりまして、金融機関の人々にいろいろな意見を聞いた場合、この保全経済会相当四国から出資者を募つている。しかも終戦の直後、追放になつた軍人の将官というような割合に信用のあるような人を使いまして、相当四国から出資を集めている。しかし月三分という配当金を出すということは、正常な金融機関としてはあり得ないことだ。たまたまその当時西村三平という京都の人が四国、中国方面から約一億くらいの金を集めまして、それをどういう形式か私は今記憶しておりませんが、亜炭の鉱山につぎ込んで失敗した。そしてその問題が大きく発展いたしまして、西村三平氏が司直の手にかかつたということもうわさされておりました。保全経済会はそういう性格のあるものである、従つてこれは十分国会も政府相談をして、何らか取締つてもらわなければ困るというようなことがどこえ参りましてもあつたのであります。そこで早稻田柳右エ門氏が徳島県から用事があつてつてしまつたのであります。顧問としての立場にある早稻田さんが、特に徳島の金看機関の人々の会合においては、相当非難をされたようでありました。そこであとえ残りました内藤さんと私は、これは大蔵委員会の問題にして、ひとつ政府当局の意見も聞いて、何らかの具体的な対策を講じなければたいへんなことになるのではないかということで、四国を切り上げて参りまして、そして大蔵委員会をたしか八月か九月に開かれて、河野銀行局長においでを願つて、そのときに私が質問をいたしました。月三分という配当は確かに正常なやり方ではない、しかし匿名組合という形だから政府としても監督権がない、しかし調査もあるいは十分監視もしている、当時たしか十億くらいは金が集まつているというような御意見でございました。そこでわれわれは、これに対する政府の十分なる監視と監督を必要とするということを強調しておつたのでありますが、しかしその後その問題に対しては、大蔵委員会としてもあまり問題にならなくて済んでしまつたのであります。今にして考えれば、あの当時何らか具体的な対策を講じますれば、こういうような事態も引起さずに済んだのではないかというぐあいに、われわれはその当時の大蔵委員としての責任を痛感しておる次第でございます。
  176. 佐藤觀次郎

    佐藤(觀)委員 さよう内藤君はおらぬので、いろいろ当時の話を聞いて、私も記憶を思い出したのですが、内藤君がそのときに、保全経済会のことで相当四国あたりでいろいろな小言が出て、こういうことをやらしてはいけない、こういうことではたいへんなことになるということをおそれられて、深澤君と一緒に、これはこのままにしてはいかぬということを非常に考えて、早く手を打てというようなことを大蔵委員会お話なつたということを聞いておりますが、そういうことはありましたかどうか。
  177. 深澤義守

    深澤(義)証人 私たちが帰つて参りましてから、大蔵委員会でまず内藤友明さんが発言をせられまして、この問題を取上げて、河野銀行局長にいろいろ御質問をいたしまして、何らか具体的対策を講ぜよという御意見を非常に強く強調しておつたことを、私は記憶しております。
  178. 井上良二

    ○井上委員 ちよつと深澤さんに伺いますが、あなたは古屋さんには、直接大蔵委員会保全経済会から招待を受けたり、金銭をもらつた、こういう話をしたことはないということを証言せられましたが、深澤衛門氏にそういう話をしたことはありませんか。
  179. 深澤義守

    深澤(義)証人 深澤衛門氏に対しても、大蔵委員会が招待を受けて金をもらつたということを言つた記憶は全然ありません。
  180. 井上良二

    ○井上委員 深澤衛門氏は、記憶は明らかでないそうでありますが、あなたから、保全経済会の幹部のおるところへあなた外数名の大蔵委員会が呼ばれて行つたということを聞いたと言うておりますが、これは間違いでしようか。
  181. 深澤義守

    深澤(義)証人 それはおそらく深澤君の記憶違いであると考えます。当時の事情といたしまして、大蔵委員自体は、四国へ出張をした以外の人は、ほとんど保全経済会に関心を持つていなかつたのであります。従つて大蔵委員の数人が保全経済会の幹部と会うという必要もなかつたし、そういう情勢にはなかつたと私は考えます。私個人としては、あの中に私の郷里の出身の社員がおりまして、ぜひ一ぺん会つてもらいたいということで、私自身が伊藤理事長に三十分ぐらい会つたことはございますが、大蔵委員会委員数人と幹部が会つというような事実は全然ないのであります。
  182. 春日一幸

    ○春日委員 そういたしますと、問題は、古屋君はあなたが言うたとおつしやつております。あなたは依然として、そういうことを言うた覚えは毛頭ないとおつしやつております。真実は一つでなければなりません。そうすると、どなたかがうそを言つておるわけでありますが、本日の証言はいずれにしても宣誓された証言でありますので、その二人のうちの一人が、事実を欺いておるわけでありますので、当然偽証罪の責任を負わなければならぬことになろうと思います。そこであなたは、一身上に関する重大な局面に今当面しておられるわであります。そこであなた自体の心構えでありますが、ともすれば、あなたが懲役三箇月以上の罪に処せられなければならない事態に逢着されておるにあたつて、言うたこともないことを言うたと言う人に対して、あなたは何らかの態度に出なければならぬと思うのでありますが、この機会に伺つておきたいことは、何とかしてあなた自体の身の潔白や、あなたの証言の信憑性を守る措置に出で、またあなたみずからの安全を守る、こういう措置に出られなければならぬと思うが、この機会にあなたの決意をひとつつておきたいと思います。
  183. 深澤義守

    深澤(義)証人 確かに真実は一つでなければなりません。従つて私も、古屋君は二十年来の農民運動の同志であり先輩であります。現在でもなおかつ尊敬いたしております。その古屋君の発言が国会議員としての責任において行われたという立場から、これはなかなか重大であると私は考えます。従つて発言した以上は、間違つておつたということで取消すということもなかなか困難であると考えます。従つて、私は、そういう苦しい立場に立つた古屋君の立場というものも実に見るに忍びない考えを持つております、しかし真実を守るためにはやむを得ません。たといこれが友人であろうとも同志であろうとも、正しいことは正しいと言つて主張しなければならないのでありますから、私は昨日夕方も古屋君をたずねまして、お会いするために参りました。その趣旨は、どこへ行つてもこれは私もまげられない問題である、真実のために私は闘わなければならぬ、もしもあなたが率直に考えるならば、ひとつ取消しをしていただきたいということを実はお願いに参つたのでありますが、会えなかつた。従つて、私はこの問題だけは、真実を守るために、どのような立場になりましても、私の意見はまげられないという立場にございます。しかし私は相手をどうこうしようの、そんなことは考えておりません。ただ私の真実が通りさえすればよろしい。私自身は何らやましいところはない。その信念を持ち続けるのであつて、相手をこれ以上責めようという考えは持つておりません。従つて、古屋委員が代議士という立場にありますれば、いろいろな人の話も入りますし、いろいろな風聞も入ります。そういうことから、総合的にこんなこともあつたろうという立場から発言もされておると私は思うのであります。しかし真意は、保全経済会というものが国民に迷惑をかけておる、この迷惑から国民を救わなければならぬ、保全経済会というようなものを徹底的に糺明しなければならない。そういう真意から出ておるのでありますから、どうか当委員会も、あまり末端にこだわらず、大局的見地からひとつ御寛容の態度をお願いしたいと思います。
  184. 井上良二

    ○井上委員 ここで、これは委員長の方にもひとつおとりはからいを願いたいですが、ただいま深澤義守君の証言によりますと、自分は深澤衛門君に対しても、保全経済会の幹部のおるところへ、自分または同僚の大蔵委員が一諸に行つたというようなことを言うたことはないという明確な証言をされております。ところが深澤衛門君は、深澤義守君から、保全経済会の幹部のおるところへ大蔵委員数名と行かれたということを聞いたと言われております。もちろんこれは招待で行つたか、あるいはまたこの場合金をもらつたか、もらわなかつたかということには触れておりませんが、ここに問題になりますのは、保全経済会の幹部のおるどころへ、深澤君を中心にして数名の者が行つたという事実が新しく出ております。しかもこれについては、深澤君としては、そんなことを衛門君に話したことはないという証言をしております。ここでこの問題の食い違いが起つておりますから、一応衛門君をここへ呼んで来て、その点だけを明らかにしておかれるように、一ぺん対決を願いたいと思います。
  185. 千葉三郎

    ○千葉委員長 ただいま井上委員からの御提案に御異議ございませんか。     〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  186. 千葉三郎

    ○千葉委員長 御異議ないようでありますから、さようにとりはからいます。  なお途中でありますけれども、明日の委員会におきまして、日本銀行総裁出席をするのでありますが、それはどうしても十時半から十一時十五分までしか出席できないというのであります。それで十時半にぴつたり始めたいと思いますから、さよう御了承を願います。
  187. 柴田義男

    ○柴田委員 この問題は、実際深澤証人のおつしやる通りに、末端にこだわるべきではもちろんないのでありますが、ただ古屋氏が間違つておるのか、深澤氏が記憶違いかというようなことは、われわれ第三者にはまつたく判断に苦しむのであります。それでこの里吉正巳君というのも、古屋君が聞いたと同様のことを聞いておるということをわれわれは聞いておるのでありますので、里吉正巳君を参考人として当委員会にお呼び願いたい、こう思いますので、御提案いたします。
  188. 千葉三郎

    ○千葉委員長 ただいま柴田君からの御提案でありますが、この問題は後ほど理事会にお諮りしたいと思いますが、いかがですか。     〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  189. 千葉三郎

    ○千葉委員長 さようとりはからいます。理事会において決定いたします。
  190. 井上良二

    ○井上委員 この際、深澤衛門君のさいぜんの本委員会における証言と、深澤義守君の証言とに食い違うところが起つで参りましたから、さらにこの際深澤衛門氏に一応私から確かめておきたいのでありますが、深澤衛門氏は、先ほど保全経済会の幹部のおるところへ深澤君を初め数名の大蔵委員が呼ばれて行つたということを、自分は深澤義守君から聞いた、ただその聞いた所と時ははつきり記憶しない、こういうことを証言をされております。ところがただいまそう申したという深澤義守君からの意見を伺いますと、そういうことを自分は衛門君に話をしたことはない、保全経済会の全体の問題についてはいろいろ話をしたが、十三国会当時の大蔵委員保全経済会の幹部のおるところへ呼ばれて行つたというようなことを話したことは絶対にない、こういう証言を深澤義守君はしております。そうすると、あなたの言うことがほんとうか、義守君の言うことがほんとうか、ここはなかなか重大なことでございまして、この問題は国会の権威に関する重大な問題であり、議員全体の名誉に関する問題でございますので、当委員会としては、保全経済会全体の及ぼす影響とともに非常に重要に考えて、御足労願つていろいろ証拠立てを願つておるわけでありますが、ただいま申しました通り意見が全然違つております。そこでもう一度衛門さんに、義守さんから、保全経済会の幹部のおるところへ深澤義守君外数名の大蔵委員が行かれたということは確実であり、確かにそれは言われたということを、もう一応はつきり記憶を明確にされて御証言を願いたいと思います。
  191. 深澤衛門

    深澤(衛)証人 お答え申し上げます。ただいま井上さんの方からお尋ねがございましたが、人数について、数名というようなことを言われましたが、私は前の証言では、人数の点を数名というようなことは申し上げておりません。それより多かつたか少かつたということは、私は深澤前代議士からそういうことは聞いておりませんので、その点は明確にいたしてございません。但しただいまお尋ねのありました問題につきましては、私といたしましては、先ほど申し上げましたように、話は承りましたので、さように証言をいたしました。
  192. 井上良二

    ○井上委員 もう一度念のために聞いておきますが、深澤氏が保全経済会の伊藤理事長にお会いになつたということはあるそうでありますが、そのことと、今保全経済会の幹部のいるところへ深澤氏及び外数人の者が行かれたという話と一緒になつているのと違いますか。
  193. 深澤衛門

    深澤(衛)証人 たびたび申し上ますが、数人ということは、数は私申し上げておりませんので、御訂正願いたいと思います。  どこでどうしたかというようなお尋ねですが、私は深澤前代議士という人から、たまたまそういう話を聞いたということを証言として申し上げておるのでありますから、そういうような話を、場所や時ははつきりいたしませんが、聞いた記憶があるということは、私証言いたします。
  194. 井上良二

    ○井上委員 そうしますと深澤衛門さんは、はつきりあなたから聞いたとこう言う、あなたは言わないとこう言う。そこでひとつ両方で……。間違つておりはせぬかと思うのですが……。
  195. 深澤義守

    深澤(義)証人 先ほど申し上げました通り、大蔵委員の方々数人とともに、保全経済会の幹部の人々と会つたということは、私は絶対に言つておりません。伊藤理事長と私とが会つたいろいろな話は、あるいは深澤衛門君に言つたことはあると思うのでありますが、それをおそらく衛門君は取違えて、そういうぐあいに解釈しているのではないかと私は思うのであります。
  196. 福田繁芳

    福田(繁)委員 きようのお二方の証人の尋問は、大体これで終つたわけなのですが、残るところあと一人でありまするが、それは先ほど委員長の発言に基いて、次会期日は委員長に御一任します。  そこで私は、先ほど理事会において御了承を得ましたので、この際動議を提出いたします。本大蔵委員会で、年末融資といつたような非常に重大な問題を取上げておるさ中に、こういう証人尋問をやらざるを得ないというのは実にわれわれとして遺憾にたえない。しかれども、あの法務委員会におけるところの古屋委員の発言たるや、わが大蔵委員の名誉保持のためにもこれはなおざりにできません。ことに先ほど来のこの問題は、あくまでも真相を追求せねばいかぬ、それが第一点。  それと、昨日同僚井上議員から、保全経済会等類似金融に関する政府に申入書が委員長手元に提出されてあると承つております。いずれこれは次回の委員会においてわれわれ協議せざるを得ないことになる、それに対する参考資料を得るため、これが第二点。  第三番目には、昨日千葉委員長私案と称するところの特殊庶民金融等の取締りに関する法律案というのをいただいたわけでありますが、別冊を見ますれば、これまた保全経済会に関するところの資料の厖大なものがわれわれの手に入つておるわけなのでありますが、勢いこういつた段階において、どうしてもこの三点並びに三点に関連することを掘り下げる意味合いにおいて、十二月一日午後一時からの委員会において、保全経済会の法律上の責任者である伊藤斗福という者、及び保全経済会の業務上の執行責任者と申しますか、幹部といいますか、そういつた諸君を当委員会参考人としてお呼び出しあられんことを、この際諸君に諮られんことを動議として提出いたします。
  197. 千葉三郎

    ○千葉委員長 ただいまの福田君の動議には賛成でありますが、ただ国会法上第十八国会になりますので、あらためて委員会を召集いたしまして、さような意味で決定しだいと思つておりますから、御了承願いたいと思います。
  198. 井上良二

    ○井上委員 これは非常に大事な点をぼやかして、いいかげんにしては困るのです。といいますのは、ただいま深澤義守氏から、自分は保全経済会の伊藤理事長をたずねて参つたということを、衛門氏に話をしたことがある、こういうことですが、深澤衛門さんは、そういうお話を伺つたことはありますか。
  199. 深澤衛門

    深澤(衛)証人 この保全経済会の問題については、いろいろ話しまして、これは聞かなかつたとか、これを聞いたとかいうお答えはできないのです。そういういろいろな話の中に、私はさいぜんのような話も聞いたような記憶がありますので、証言いたしました。
  200. 井上良二

    ○井上委員 大事な点は、私どもが非常に重要に考えるのは、保全経済会の幹部のいるところへ大蔵委員関係の者が呼ばれて行つたということ、これは非常に重要な意義を持つて来ます。だから私の方ではしつこく聞いているわけです。そこでまたあなたの証言も非常に重要になつて来るわけで、深澤氏は、伊藤理事長のところへは私が直接面会に行つたことがある、会うたことがあるということを言うているが、それと数人の者が呼ばれて行つたということとは意味が違うのです。そういう他人の名誉及び国会の権威に関する問題がこれにからまつておりますから、深澤氏がかつて理事長にお会いに行くのは、行つて一向さしつかえないことです。どういうお話をされようと、それは自由であります。ところが国会の大蔵委員関係の者が保全経済会の幹部に呼ばれて行つたということになると、これははもう非常に意味がかわつて来ます。そこで私は、そういうことは事議員の名誉にも関する問題であるので、いろいろ誤解を生ずること多いですから、そういうことは聞き違えてないのか、——いやそれはそうじやない、はつきり深澤君を中心にして数人の者が幹部に呼ばれて行つたというお話と大分意味がかわつて来ますから、その点を明らかに願えないか、こういう私の質問であります。どうぞそこの点を誤解のないようにしていただきたい。
  201. 深澤衛門

    深澤(衛)証人 よくお尋ねの筋はわかるのでございますが、私といたしまして、さいぜんから申し上げておりますように、当時大蔵委員として活躍されておつた深澤前代議士が、政治の話やいろいろなことにまぜて、いろいろと保全経済会のことについて、そういうようなお話があつたように私は記憶をいたしておりますので、ここで証言を申し上げておるのであります。
  202. 千葉三郎

    ○千葉委員長 他に御発言がなければ、証人の深澤義守衛門両君に対する尋問は、この程度で終了いたします。  証人におきましては御苦労さまでございました。     —————————————
  203. 千葉三郎

    ○千葉委員長 次に、年末金融対策に関する件を議題といたします。  この際委員長より大蔵大臣に一言いたしたいことがあります。当委員会は大蔵省所管事務を審議する専属の常任委員会であります。従つて委員会の開会にあたりましては、大蔵大臣は万障を繰合して御出席され、当委員会の審議の円満を期せられる心構えを持つて、善処さるることが望ましいのであります。しかるに従来の事例にかんがみますと、大蔵大臣は当委員会出席されることがきわめてまれでありまして、これはまことに遺憾であります。ことに去る十七臨時国会におきましては、大蔵大臣はただの一度も当委員会出席されなかつたのであります。のみならずアメリカから御帰国になつてからも、閉会中の当委員会には御出席にならなかつた。しかるに今般四日間にわたつて年末金融のごとき大切な問題につきまして閉会中ここに開催されることになつたのも、これは大蔵大臣が国会が開かれますときわめて多忙でありますから、おひまのときにでもよろしいという、いわば大臣に対する委員の好意から出発したものであります。しかもその四日のうちで大蔵大臣に御出席を求めたのは昨日たつたの一日だけであります。その昨日のことは一週間前、すなわち十八日から事務的に大蔵省に御連絡を申しておつたにかかわらず、昨日大蔵大臣は病気の理由で御出席にならなかつた。委員長として、かかる重要な年末金融の審議にあたつて大臣の御出席を得ないことは、国政の運営上にきわめて遺憾であると考えまして、御病気の様子をお見舞かたがた直接大臣の私邸にお電話にて確かめましたところ、大臣は大蔵省に出向かれたということであつたのであります。よつて昨日委員会におきましては、文書課長に大臣の御動静について詰問をいたしましたところ、大臣は病気であるけれども、大蔵省の別館で休養後、経済同友会に御出席になられたという答弁でありました。これらのことを勘案いたしますと、大蔵大臣におきましては、当委員会を軽視、あるいは国会を軽視するというようなそしりも出て来るのでありまして、この点はまことに遺憾と存じます。そこで私は大蔵大臣の誠意ある御弁明を要求するとともに、この際、今後絶対にこういうことのないように厳重に大蔵大臣の反省を求めまして、強く警告をする次第であります。
  204. 小笠原三九郎

    ○小笠原国務大臣 ただいま御警告に接しまして、まことに恐縮に存じます。実はあえて弁解をいたしませんが、事実を率直に申し述べさしていただくと、御承知のごとくアメリカから帰りまして以来、すぐ翌日からもういわゆる予算その他の審議にとりかかつておりまして、ほとんど寧日がなかつたことは、私自身が休養を要したのに一日も休養しなかつた事実等をもつても、御了承が願えると思うのであります。それと前国会におきましては、あの短期間の間にずつと衆議院に委員会が開かれておる間は、予算委員会でありますので全部出ておらなければなりませんし、翌日はすぐ参議院に移つておるのでありまして、実は全然出るひまがなかつた。私としては相当からだに無理をしたことも御了承願いたいと存ずるのであります。  それから昨日の点でありますが、この点は私まことに申訳なく存じます。昨日は私はかも猟に呼ばれておつたのでありますが、これも事実を率直に申すと、実は岐阜県からかきをもらつて、それが非常にうまかつたので、かきを食い過ぎて下痢をしたので、かも猟の方を失礼したのです。かも猟にも出ないで何をしておつたかという、実は尾籠な話を申し上げて相済まぬが、便所がすぐそばにあれば問題はないのですが、大蔵省に行つても不自由なので別館に行つておつた。やむを得ず仕事があつて出ておつたところが、これより先経済同友会へとにかくちよつと顔を出せばいいし、すぐまた行つて来た。ところが御承知通り国会は、ここに入つてみますと、ちよつと便所だ便所だといつて一々皆さんにお断りすることは、いかにも申訳なく存じますので、まあかも猟にも行けぬくらいおなかが悪かつたのだが、そういう話は聞えが悪いから、かぜでも引いたと言つてくれてもいいよと私は言つた。それでかぜをひいたというお答えをした向きがあつたために、いろいろ誤解を招いた点もあつたので、この点事実を率直に申し上げまして、御了解を願いたいと思います。  なお十八日以後話をしたということは聞いておりませんが、昨日のことは私はよく聞いております。それでまたこれもはなはだ申訳ないことですが、自分で言うと、言葉が適切でないと大蔵委員の方々にしかられるかもしれないが、まつたく御親類のように考えておるので、(「ノーノー」)この点がかれこれそういうことになつたのではないかと考えておりますが、事実はそういうことでございますので、今ノーノーという声もありますが、今後は十分注意いたしまして、委員長の御趣意を体してやります。私も国会議員でありますから、もちろん国会を軽視し、委員会等を軽視する考えはございません。昨日までの事実を申し上げ、どうか御了承願いたいと存じます。
  205. 千葉三郎

    ○千葉委員長 この際質疑を許します。質疑は通告順によつてこれを許します。佐藤觀次郎君。
  206. 佐藤觀次郎

    佐藤(觀)委員 実は大蔵大臣が同郷の関係で、私たちは野党でありましても比較的寛大な処置をして参りました。まあいろいろ御都合もあるでしようが、私たちも非常にそういう点で委員長の言われる通りのことでありまして非常に大蔵委員会は大蔵省の関係の法律が多いし、大蔵大臣に聞かなければわからないような問題もあるので、ぜひ今後とも出席をお願いしたい、こう思つておるのであります。  最初にお尋ねしたいのは大蔵大臣が、予算が一兆円を越えるとインフレになるというような考えをいろいろ持つておられて、その御意見を発表されておりますが、今度の第二次の補正予算を合せますと、一兆円を越えるわけでございますが、そういう点について、大蔵大臣はどんなお考えを持つておられるのか、御説明願いたいと思います。
  207. 小笠原三九郎

    ○小笠原国務大臣 私は国の財政がいわゆる均衡予算であるなら、それがインフレになるとは実は考えておりません。ところが日本の現在の段階におきましては、財源その他の関係から見ましてちようど一兆円程度であつて佐藤さんおわかりのように、これは一番わかりやすい言葉であるから、その一番わかりやすい言葉で実は表現したのであります。今度の第二次補正予算等を近く御提出いたしまするが、それを見ますると、あの通りであれば、ちようど一兆二百七十二億円かになると存じま。私がしばしば参議院等でも、また予算委員会でもお答えいたしましたが、一兆という太い線の中に隠れるくらいであるなら、インフレの懸念はまずない、こういうふうに申したのでありまして、まあ二百七十二億がはたしてきちつとその線に隠れるかどうかは御判断でありますが、まあ一兆という太い線から見ると、二百七十二億くらいのところは均衡を得ておる限り、その線のうちに吸収されるのではないか、私はかように考えておる次第でございます。従いまして、私どもはインフレを何としても防止しなければならぬという強い決意を持つておりますが、今回近く出そうとする予算は、その点から見ますると、均衡予算にも相なつておりまするので、近く皆様の御協賛を得たい、かように考えております。まだ提案はいたしておりませんが、閣議ではそういうふうに了承いたしましたので、この点申し上げておく次第でございます。
  208. 佐藤觀次郎

    佐藤(觀)委員 現在地方に参りますと、御承知のように今年は非常に悪い年でありまして、いろいろな点で中小業者一般に困つておるわけであります。特に年末の金融は非常に困つておりまして、このままで推移するならば、私の郷里愛知県などでも、倒産をするのじやないかというふうな中小業者がたくさんおるわけであります。そういう点で、私たちは非常に心配をいたしておりますが、大蔵大臣は、年末金融についてどんなお考えを持ち、どんな確信を持つておられるのか、あなたの率直なる御意見をひとつ承りたい。
  209. 小笠原三九郎

    ○小笠原国務大臣 この中小工業の金融につきましては、実は私も佐藤さんと憂いを同じくするもので、特に年末金融等には相当心を苦しめておるものであります。しかし国として、でき得る点についての最大のことをいたしたい、かように考えて御承知のごとくに本年は、十一月三十日に五十五億円を中小金融のために預託をすることにいたしております。おそらく昨年は百七十億くらいだから、少し少いじやないかという仰せがありますが、この五十五億円のほかに、本年措置されるものといたしましては、国民金融公庫に災害に出したもので十六億円、実はこれを入れます。さらに中小企業金融公庫が皆さんの御協賛でできました。これは昨年なかつたものが、あの御協賛によりましてできまして、あれが百三十億の資金をもつて比較的長期の金融に当るのであります。これがいろいろ法案の成立が遅れまして、動き始めたのが大体十月からであります。これは年末には、百三十億の資金を持つておりますので、相当大きな働きをして行くのじやないかと思つております。  それから皆さんの御協賛で信用保証協会の法律が通りました。その結果といたしまして、信用保証協会が保証する手形、主として地方銀行が多いのでありますが、これはいつぞやも申した通り、金の面から割出すと、地方銀行が一番よけい中小企業に金を融通いたしております。従いましてこの地方銀行に信用保証協会の手形が行く、これを日本銀行の方で担保手形としてとりはからう、こういうように了解を得ておるのであります。あるいはここの御意向であつたかと思いますが、これを適格手形、つまり普通の商業手形と同じように扱つて、その取引ができるようになればというお話がありましたが、実は商業手形は融通手形ではありません。これは二つ以上の名前からなる商業的なものでありますので、これと保証協会の保証があつても同視するわけには参りませんので、これは適格手形にはなりませんけれども日本銀行で担保手形としての方法がつきますので、まあ地方銀行なり市中銀行なりが、これによつて融通を必要とする場合に、融通を受けるごとになつておるので、昨年に比べますと、私は金融的な措置としては、昨年よりは十分とられておる。もちろん十分という意味は、何といいますか、広く拡大されておる、こういうことは御了承願つていいと思います。これをもつて十分とはもちろん私は考えておりません。
  210. 佐藤觀次郎

    佐藤(觀)委員 最後にお尋ねいたしますが、これはわれわれの見解の相違であるかもしれませんけれども、今日通産大臣からもいろいろと答弁を得ましたが、大蔵大臣のお考えになつておるような、数量的な施策は昨年より進んでおるかもしれません。しかしながら今年の経済事情は、昨年よりは非常に悪いのでございまして、あなたがお考えになつておる事情とは違つて、実際の末端の中小業者一般の経済界は非常に不況で苦しんでおります。そしてなおかつ残念ながら、中小企業金庫というものは、午前中にも同僚委員からいろいろ質問があり、私も質問したわけでありますが、まだ軌道には乗つておりません。正直のところ、ただ政府資金が一応予算上には計上されておりますけれども、この民衆一般の、中小業者の困つたものの方へ、かゆいことろに手の届くような方法には参つておらないのであります。ことしもあと三十五日ばかりで暮れになりますが、私たちは大衆と直結して生活をしておる関係上、大蔵大臣は、そういう点についてどういう考えで今後暮れまでを処置されるのか、またそういう憂いはないかという問題について、何かのほかの施策をおやりになるのかどうか、それについてもう一度お尋ねしたいと思います。
  211. 小笠原三九郎

    ○小笠原国務大臣 ただいまの中小企業金融公庫の活動の点でありますが、これも御承知のごとく、出発したのが非常に遅れまして、ようやくこのごろ各地方に約三百に近い代理店ができたかと思います。これらをやりまするので、十一月は、相当貸出しがふえておりますが、これらの活動は、相当見るべきものがあろう。金の方は全部渡してあります。あとの開発銀行から引継ぐ分は別でありますが、金の方は全部渡してありますので、十二月には相当活発に動くのではないか、またもし動かぬようであれば、国会でもひとつ御督励を願い、私どもも十分督励をいたします。あそこは、ただいまのところは本店しかございませんので、各代理店を活動さす——代理店はありましても、若干利ざやがありますので、また利ざやがあるということは、何か商売を望むようでいかぬようでありますが、地方事情もありまして、私が直接目に触れたところから申せば、愛知地方なんかでも幾つも代理店ができました。今いずれも申し込んでおりまして、これをできるだけ早く処置するようにということでやつておりますので、佐藤さんも、十二月になれば相当活動するということをひとつ御理解願つていいのではないかと思つております。
  212. 柴田義男

    ○柴田委員 関連いたしまして伺いたいのですが、ただいま大蔵大臣は、金融の引締めの関係から、政府預託金は引揚げてはおるけれども、新しく中小企業金融公庫ができておるので、大体昨年度と同じような中小企業対策が行われておる。こういうように承つたのでありますが、実際の数字をわれわれが見ますると、たとえば政府指定の預金の引揚げは、十一月三十七億、十二月六十億と記憶しておりますが、これに間違いないといたしますと、年末に至つて百五十億そこそこしか残らぬわけであります。そういたしますると、昨年度から見ますと、二百七、八十億政府預託の面だけで足りなくなつております。二百七、八十億足りなくなつておりますと、百三十億の資金をもつて中小企業金融公庫をつくつても、まだそこに約百五十億というものは、その面一つだけを計算してみましても足りないと思います。こういう点に対しまして、何か数字上のお間違いはございませんでしようか。
  213. 小笠原三九郎

    ○小笠原国務大臣 実は今お話になりましたように、引揚げているのは、資金運用部の計画に基いて引揚げておるのでございます。十二月になりますと、もう引揚げはいたさない考えであり、所によつて、災害地方とか冷害地方などは、三箇月延期しておるようなところもあることは、御承知かと思いますが、大体におきまして、十二月までに二百二億八千万円残る予定に相なつております。なおしかし、それといろいろなものを合せますから、大体これは私が今申し上げた各種の点特に信用保証協会等の手形が担保になるような点その他をごらんくださると、昨年よりは少しゆるやかに処置されるというふうに考えております。しかしながら市場の模様によりましては、あるいは年末の資金模様によりましては、これはもう少し手かげんを加えることの必要が生じて参りますれば、その実情に応じて措置する考えであります。ただいまのところは、大体これで行けるのではないかと思つておる次第であります。
  214. 柴田義男

    ○柴田委員 今の大蔵大臣の御意思は、銀行局長も同じ考えでございましようか。きのうまで、私ども銀行局長から承つておりますのは十二月も預託の引揚げの方針はかわらないということでありましたが、おそらく大蔵大臣の御命令がまだ達しておらなかつたときのお言葉であつたと思いますから、重ねて伺います。
  215. 小笠原三九郎

    ○小笠原国務大臣 実は十二月末までに四十六億引揚げる計画になつているようでありましてそこで残る数字は二百二億幾らになる、その二百二億だけを私は申し上げたので、はなはだ相済まないわけでありますが、その点につきましては、実情に応じて、今一応そうなつておりますが、これは市場のぐあいではこれを延ばすという処置をとつてもいいと思つております。これは実情に応じてやりたいと考えております。
  216. 柴田義男

    ○柴田委員 大蔵大臣に重ねて、今度は質問というよりはむしろお願いしたいのですが、実際の状態を十分お考えくださいまして、今の預託の場合でありましても、地方の弱小銀行に対しましても、預託の引揚げを緩和してもらいたい。これはもう当委員会で、皆さんも御賛成だと思うのであります。私一人の考え方ではない。信用金庫、あるいは相互銀行、その他の金融機関の方は五十五億円今度の新規預託が計画されておりますけれども一般銀行の方はこの計画がないように考えるのであります。市内の大銀行でございましたならば、オーバー・ローンいたしましても、日銀がバツクになつておりますので、簡単でございましようけれども地方銀行というものは、簡単に日銀から借金ができない銀行もあると思うのであります。こういう場合には、やはり中小企業を対象といたします地方銀行というのは政府預託に大きな期待を持つているわけでありますが、こういう点に対しまして、大蔵大臣に特に御配慮を願いたいと思うのであります。
  217. 小笠原三九郎

    ○小笠原国務大臣 柴田さんの御趣意はよくわかりました。そういうふうにやりますが、実は新設銀行というものは引揚げておりません。また三箇月もずつと延期している分もございます。あと地方銀行は、このごろ日本銀行が各所に支店があること、御承知通りで、それとの取引関係相当やれまするので、実は中小企業の信用保証協会の手形を担保にとれるということにしますと、この点よほど緩和して行くと私どもは見ておるのであります。もしさようなことがなければ、もともと私ども中小企業というものをきわめて大切に考えておるのでございますから、御趣旨に沿つて、適当な措置を講ずることにいたしたいと存じております。
  218. 春日一幸

    ○春日委員 私は大蔵大臣に対しまして、一体大蔵大臣は、この大蔵委員会に対してどういう心構えを持つておられるかを伺いたい。端的に申しますならば、なぜ今までほとんど出られなかつたのであるか。特にまた昨日、十日も前から日時を指定いたしまして御出席方を申し入れておきまして、その日は大蔵大臣の活動の便宜に協力するために、われわれ委員会はいろいろな仕事に忙殺されておりながら、万事を捨ておいて、委員長のその招集の日にわれわれは出席いたしたのであります。にもかかわらず、大蔵大臣は御出席にならなかつた。私どもは唖然として委員長の責任を難詰いたしました。委員長が責任を持つていろいろ御調査なつたところによりますと、御病気であるという話、私どもは病気であるならば、これは万やむを得ないかもしれないと思つておりましたが、さらにその後の情報によりますと、大臣は経済同友会へ御出席に相なつたということであります。ただいまおなかを悪くなすつていらつしやつて、だから便所の近いところでなければというお話がございましたが、少くとも経済同友会に御出席になるためには、自動車にお乗りにならなければならない。また経済同友会の会合がどういう場所であつたか知りませんが、しかしながらそれだけの時間の余裕がおありでありますならば、その時間をさいて、せめてこの大蔵委員会へお越しいただいて、本日かくかくの次第で審議にあずかれないことは遺憾であると、たとい三分間のごあいさつでも当委員会でなさるだけの忠誠をお尽しくださつても私はいいと思う。われわれは少くとも何百里の距離を離れて、みな招集に応じております。あなたが官邸からここまで来られないはずはないと思う。今佐藤君が言いましたが、私としては愛知県の郷党の先輩として、政治的にはともかくとして、人間的にあなたはわれわれの先輩として御信頼申し上げ、尊敬している。しかし経済同友会に出られる時間がありながら、大蔵委員会に出られなということでは、われわれはもはやここで考え方をかえなければならぬ。(笑声)笑いごとではない。私はこの事態を重視いたします。あなたは、労働問題について、労働委員会を中心とするところの他の委員会が毎日継続審議していることを御承知でありましよう。私どもはこの財政金融、なかんずく年末の中小企業金融、これを何とかしなければならないという重要な任務を帯びて、そうしてこの五日間の継続審議にかかつているわけであります。この機会に、あなたがその指定された日にちに御出席になれないというはずはないし、またなれないならば、せめて愛知政務次官なり、事務次官なり、あなたにかわるところの政治的責任を持ち、さらに閣議において発言権を持つ責任者を派遣するの便宜の措置を講ぜられてもよかりそうなものだと思う。あなた自体がお越しにならないのみならず、あなたにかわるところの他の責任者ということに対しても、それだけの御配慮がなされていない。これは私はほんとうに遺憾に存じます。あなたはただいま、大蔵委員会はすべて内輪の人だ、こういうふうに考えておるので云々というお言葉がございましたけれども、もとよりわれわれは、この金融とか税制とかの持つ事案の内容にかんがみまして、ほんとうに建設的に協力いたしております。野党といえども、何とか物事をまとめ上げなければならない、こういう立場におきまして、あたかも大岡裁判における悲しい母親のように、われわれ十のうちほんとうに三つか四つしか希望がかなわないけれども、しかしその思いを残して、とにかく物事をまとめる方向へわれわれは了承を与えておる。われわれがおとなしく協力しておるのは、それで満足しておるわけではない。もう少しあなたがほんとうにりつぱな信念の大政治家であられるならば、われわれが第二次臨時国会の開会要求をしたところの議題が何であるかくらいのことは、十分御理解あつてしかるべきであると思う。労働問題であり、そして一つ中小企業金融対策である。このことは国会法第三条に基いての開会要求の中に、明らかに議題として掲げて、政府にわれわれはその要求書を提出しております。従いまして、その金融対策を講じようとするところの本委員会に対して、全然御出席にならない。しかも身がわりの人も出さない。自分はそれでもつて経済同友会に御出席になつておる。なるほど大臣は遠くアメリカの地に参られて、いろいろと国事に奔走されて帰られてから予算編成のために寧日がない。とにかく御老体をもつてほんとうにおいたわしいことだと、われわれは陰ながら御同情、御尊敬を申し上げておるけれども、このことは、全国の中小商工業者が今や各地において大会を開いて、そして本委員会の成果をまなじりを決して見詰めておる。それなのに、あなたはその熱誠なる委員会の審議に参画することを避けておる。そして他の大企業の団体へならば、万障からだの御不例をまげて御出席になる。このことはまさしく片手落ちではないか。私は人間小笠原三九郎氏に申したいが、強い者は、あなたの力がそこに加わらなくても彼らはしよせん一人立ちができる。今中小商工業者は、政策金融なくしては破産倒産から回避できないという段階において、あなたの庇護を求めるのに切なるものがある。もう少しあなたが職分というものを考えられれば、あなたはむろん予算編成に対する最高の責任者であられましようが、同時に金融、財政、理財、管財、税制、こういうものもひとしいウエートを持つあなたの責任所管であります。従つてあなたは、その予算委員会に出ておればそれでいいとか、予算委員会の方へ出ておるのでこちらに出られない、そんな言いのがれは私はできないと思う。もしも昼間そちらへ出るならば、夜この委員会を開いてもらうとか、何とかこの委員会とあなたのからだの都合をつけ合つて、そうして最高責任者としてのあなたの考方と、われわれ国民の側の意見とをそこに交えられるような機会をつくるべきであると思つております。これに対して、あなたは顧みて恥ずるところがないかどうか、病気であつたからやむを得なかつたといつててんとしてつつぱねて平気であるのか、私は一度あなたの御心境を承りたい。
  219. 小笠原三九郎

    ○小笠原国務大臣 春日君の非常に熱誠なるお話に対しましては、私もまことに恐縮に存じます。ただ実情は、先ほど申し上げた通りでございまして、何も経済同友会だから行つたとか、資本家の団体だから行つたとか、そういうことじやない。これは私としても国会議員でありますから、国会を尊重する念において、決して春日君の人後に落ちるものではございません。ただ昨日のことはさつきも申した通り、これは私は普通なら東京にいないのです。そこでちようど病気をしておつたためこ行かないでおつた。それくらいのところは、あなたに御了察を願いたいという意味で申したのでありまするから、これは重ねてここに申し上げませんが、ただ今後私がどういう心持でやるかということで、御理解を願うほかないと考えております。  中小金融問題は、私は自分がお預かりしておる面から見て、最も重大に考えておるのでありまして、この対策はつとにきめて、多分銀行局長その他から当委員会で申し上げておるように思つておつたのであります。ただ心持は伝わらなかつたかもしれませんが、この点はまことに申訳ないと存じます。実は昨日は、あしたはなおるだろうと使いに言つておいたが、そういうことが伝わらなかつたのじやないか。それから、それじやかわりの者をなぜ出さながつたかというお話でありましたが、実は君らは出てくれなかつたのかと私は言つたのだが、いや相済まなかつた、明朝行つて早速愛知政務次官が何かここでそれぞれおわび申し上げましようという話で、これは御了解を願つたことだと実は思つておつたのであります。まあいろいろ御事情もありましようが、お互いに国事を議するという考え方で、どうかその辺は御了承をお願い申し上げたいと存じております。
  220. 春日一幸

    ○春日委員 大体におきまして、今後戒心をして云々というお話がございましたが、問題はそういう口頭の禅ではなくして、年末の金融対策、その実際の施策がいかに行われるかということによつて、あなたの昨日の委員会出席の問題も、いろいろわれわれの考え方に強力な影響を与えるものと私は考えます。私は昨日党の国会対策委員会へ参りまして、昨日の情勢を詳細報告をいたしました。もとより国会対策委員長初め党の委員長、書記長は激怒いたしまして、すべからくかくのごとき大蔵大臣は、先例もあることだから云云という党の決定も行われまして、後日機会を選んで改進党、左派の諸君にも呼びかけるような段取りにあるのであります。しかしながら、私はこれは心から申し上げたいのでありますけれども、この年末金融はしよせんあなたのお力によつて救済されなければならぬ。ただいま銀行局長がいろいろと政府方針を述べておるであろうかということでございますけれども、これはすでに河野さんから、あらゆる角度から詳細にわたつて決定されておるところのものは伺いました。しかし私どもが今ここに期待をいたしておりますのは、たとえば第十六国会における保守三党の補正の事柄もございまして、あるいはまた臨時国会におけるやはり保守三党の予算修正等の事柄もございまして、問題の解決は、もはや最高の政治力、あなたの閣議における巨大な政治力によつてのみ中小企業の年末危機が救済できる、このことにかかつておるのでございます。しかし今あなたがおつしやいましたけれども、あなたは、あまり中小企業の問題を実際的には深く御検討にはなつていないのではないかと思われる節があります。たとえて申しますと、ここに年末のために五十五億という預託を新しく行おうとしておるが、しかしこれは、昨年の百七十億に比べて少な過ぎるというそしりがあるかもしれないが、しかし他にこうしておると言われておる事柄の中に、国民金融公庫の十六億とか、中小金融公庫の十九億一千万円のこととか、こういうことを言つておられますけれども、昨年はこの百七十億のほかに、国民金融公庫に対してはたしか二十億と二十億、合計五十億の年末の資金措置が講じられております。いずれにいたしましても、大臣のお耳に入れたいが、これはそれぞれ資料もお目通しを願つておるかしれませんが、こういうことになります。すなわち政府の預託残高でありますが、昨年の十月末は四百六十一億である。十一月末は三百九十二億三千二百万円、それから十月末は四百二十八億、一月末は三百五十八億、これに比べますと、昨年の十一月の三百九十二億に対して本年度はどうなるかというと二百四十九億になる。十二月末になると、これはぐつと隔たりが大きくなつて、四百二十億に対して二百二億になる。一月に参りますと九十六億になる。ただいま大臣は、一月以降においては引揚げない方針だと言われておるが、二月になれば一銭五厘もなくなつてしまうのだから、引揚げようと思つても引揚げるものがなくなつてしまう。そこで私は申し述べたいが、現在のこの資金の需給関係がどういう状況にあるかと申しますと、これは一応手形交換所の不渡り手形の発生状況調べによつてこれを判断することが一番手取り早いと思いますが、たとえば昨年の八月不渡り届けが五百九十一枚であつたものが、本年八月は九百二十三、九月は昨年六百十八であつたものが九百六十一、ずつと飛んで十一月は、昨年の同期は七百七十八枚であつたものが、本年は実に千二百三十五枚、こういうふうなぐあいに不渡りの数がずつとふえております。このことは、結局政府がインフレを抑制するために、政府の預託を大幅に引揚げて来るだからその金融がつかないので、中小商工業者の手をあげた形がこれでございます。それだから、この状態を見殺しにするというのならば何をか言わんやであります。中小商工業者よ、倒れるならば倒れろ、こういうことであるならば、これは預託も何もなさらなくていいでありましよう。ただ私があなたに申し上げたいことは、あなたはやはり労働問題についても、今回いろいろ深い配慮を加えられておるようでありますが、しかしこの中小企業体に働いているところの労働者の数は一千万人、これは優に総評の二倍の大人口であります。やはりこれらの諸君の労働政策、国民生活も考えてひとつこの中小企業問題をお考え願わなければならぬ。たとえば中小企業がつぶれれば賃金の遅欠配を伴いましよう。そうすればこれらの賃金生活君たちは、一体何によつてこの年を越すのでありましようか。私はこの点を、ただ単に大企業に対する中小企業金融とだけ考えないで、実にこれに従事する一千万労働者の生活並びにその家族の立場ということを考えて、この資金措置を十分に御配慮願わなければならぬと思うのであります。そこで私どもが先般来政府に向つて要望いたしておりますることは、少くとも昨年末における四百二十何億のこの実績の上に、本年はさらに金融梗塞が前年の比ではなく、さらに前年よりもはるかに深刻であるから、前年の四百二十八億の実績の上に、さらに百五十億程度のものをひとつプラス願えないであろうか、これが私どもの強い要望であつたのでございます。ところがこの要望は全然いれられないのみならず、これはだんだんと計画通り引揚げられてしまつて、年末に参りますると二百億になつてしまうという。、しかしながら、このことは、ただいま御答弁によりますると、この十二月末の四十六億二千五百万円だけについては、あるいは考慮の余地があるかもしれない、その当時においてひどければ、これは待つてもいいというような御説でございますが、かりにそれをお待ち願つたとしたところで二百五十億内外、昨年の実績に比べて足らざること二百億であります。一方私はこの機会に大臣によく御判断と御検討を願いたいことは、恐慌というものは、じりじりと悪くなるのありまするが、しかし一定の限界に達しますると爆発をいたします。突然変化のような現象を生じまして、これがゼネラル・パニツクになるのでございます。ここで私が一番心配することは、十月に九百八十枚、これまで大体五分とか七分とかいう割合でふえて来た不渡り件数が、十一月に入りましてから一躍三百件を越えております。もしこれが十二月になつて二倍ということになつたならば、いくらインフレを抑制したところで、一般的の中小企業の代金支払いの秩序が根本的に破壊されてしまつたならば、これこそ私は大きな天下国家の問題だろうと思う。これは政治不安、社会不安、生活不安の根底をなすものであつて、このことは、あなた方がそのときになつて政治責任をとられたところで、取返しのつく問題ではございません。私が申し上げたいことは、今ここに何千億という金がいるというのでなく、あるいは何百億という金を出し切りに出してしまえというのではない。融資して彼らの危局を避けたならば、貸した金はやがて回収されて来る。従いまして、ここでひとつ何とか大臣の巨大な政治力を発揮されたい。ここで私は二つの問題について整理をしてお願いをいたしたいのでありますが、この十一月三十日に引揚げようといたしておりますところの百九億七千万円、それから十二月三十一日に引揚げようとしておられます四十六億二千五百万円、これはひとつぜひとも引揚げを待つてもらいたい。そうして一般銀行の決済の状況とにらみ合せつつ、さらに十二月に入つて激化の情勢で、救済のてこ入れをしなければならぬとするならば、われわれが当初から望んでおりますような、これに加うるところの何分の措置を講じていただきたいと思うのであります。どうかあなたもアメリカに行つて、大体のことはいろいろ御検討願つて、経験もさらに新しい面から積まれたと思うのでありますが、おれの方針はこうだから、これだけが正しいということでなくして、われわれが前線において絶えず大衆の声を聞きもし、さらにこういう資料によつて要求していることは、あるいは傾聴に値するかもしれないということで、よくお考えを願つて、せめてこの十一月引揚げの分と十二月引揚げの分だけは猶予するという方針をすみやかに決定されて、そうしてこれを大下に御発表願えないものでありましようか。現在どうなることやらというので、ほとんどもうだめだとか、あるいは手形の不渡りを出したところで、だれも救つてくれないのだから、おればかりでなしに、おそらく大きなゼネラル・パニツクが来るだろう、そうすればみなつぶれるのだから、おれ一人がつぶれるのじやないというような投げやりの気持、デカダンの気持で、中小企業者の多くの者がこの手形の不渡りを出して気にせぬような状態にあるのでありますが、ここで政府の力によつて救済が行われるならば、彼らはその報道によつて一応心をとり直して、さらに困難なる経営の中に立ち直つて来るようなこともあろうと考えます。どうかひとつこの二つの引揚げを猶予するということについて御再考願えないものであるかどうか、この点についてひとつよくお考えをいただいて、御答弁を願いたいのであります。
  221. 小笠原三九郎

    ○小笠原国務大臣 お話にありましたように、実は不渡り手形がだんだん増加いたして、しかも最近激増しておる状況については、私ども相当苦慮いたしておるのであります。もちろんこれは金融の面もございますが、事業そのものの面から来るものも少くないと思いますので、これらに対するいろいろな対策を総合的に立てなければいかぬと、こういうふうに考えておる次第であります。まあ大工業とつながつた分につきましては、手形の支払い等について、大工業者にそれぞれ各銀行から勧告をさすような措置をとつておりまするし、何か一種のひもつきのようになつておりますから、この点はいいかと思いますが、そうでない分が一番困つておるのではないかと思つています。それで今お話のありました資金運用部の金でありますが、さつき申した通り、十二月分につきましては、十分私ども考えたいと思つております。それから十一月の分は、実は予定されておる運用先がございまして、少しもう間に合わぬのじやないかというふうに思つております。それでさつきもちよつと申しました通りに、これらは大体銀行との関係を持つておりますので、地方銀行の方で今申し上げた保証手形とか、いろいろなものを担保としての日本銀行との結びつきによつて、ある程度解決するのじやないかとも思います。しかし御意見の次第もありますので、なおよく考えさせていただいて、近く三十日から国会も開かれますから、私どもの方でも何か新しい手が打てるかどうか、これは十分考えた上で答弁させていただきたいと思います。
  222. 春日一幸

    ○春日委員 含蓄のある御答弁をいただきまして、少し希望を持つに至つたわけであります。そこで申し述べたいのであります。なるほど三十日といえば、すでに引揚げの御通達も参つておるときでありましようから、急遽これを解消するということも困難であろうかと思います。それで御通達を願う時間的余裕もないでございましよう。そこで私は、これを引揚げられることはやむを得ないといたしまして、これを引揚げられるならば、少くとも十二月五日とかあるいは三日とか、とにかく引揚げた直後に、これにかわるところの一つ金融措置をぜひとも講じていただきたい。私どもは特に一般的にふやせやせということを、観念的に申し上げておるのではないのでありまして、昨年度の実績、さらに本年度金融梗塞の激化、この痛烈な現実の上に立つての強い要望であるのでございます。     〔委員長退席淺香委員長代理着席〕 どうかひとつ、この十一月三十日分の百九億に対しましては、引揚げられたならば、その直後において修正、調整を願えるような措置をぜひともお願いをいたしたいと思うのであります。これについてもう一ぺん御見解を承りたいと思います。
  223. 小笠原三九郎

    ○小笠原国務大臣 私は先ほどちよつと間違えておりましたが実はこういう指定預金をする分は、一般会計からの金の余裕を指定預金をしておるので、預金部の金ではなかつたのです。ちよとつ私は間違いましたので、正しておきます。  それから今お話のように、特に第三・四半期以後は、どちらかといえば資金散布超過になる時期で、十一月、十二月というものは、二千億も散布超過になるのではないかということがよくいわれておつたくらいで、資金面からいうと、ちようど出まわる時期なんですが、このいう点をいろいろ考えて、今御意見の次第もありますから、ひとつ私の方でもよく検討してみます。  ただ金の面から見れば、昨今米の供出も行われておりますが、思つたよりよけい出ておりますことは御承知通りであります。従つて金の面からいえば、この下期は相当出るときなんです。しかしお話の次第もありますから、よく検討してみます。
  224. 春日一幸

    ○春日委員 河野銀行局長にお伺いいたしますが、引揚げの預託計画はいつごろお立てになつたのですか。この原案をおつくりになつたのは、今を去ることいつごろですか。
  225. 河野通一

    ○河野説明員 日にちはちよつと的確に覚えておりませんが、一週間ぐらい前であつたと思います。
  226. 春日一幸

    ○春日委員 散布超過が千三百億とか二千億とか、いろいろ説もございましたが、これは見る角度によつて違うでありましようが、二千五百万石の供出を予定しておつたのが千四百万石になる。この面からだけでも、散布されるものが抑制されるかもしれない、かれこれ九百何十億というようなものが減つて来るように伺つております。超過供出を伴いますのでどうなるかわかりませんけれども、いずれにしても、いろいろな面からとにかく百億や二百億出したからといつて、これでインフレーシヨンが来るということはございますまい。従つて今災害復旧のために農村旨いろいろ救済が行われた。さらにまた労働者のためにもベース・アツプ、越年資金、いろいろ講じられておる。ところが中小企業に対しては五十五億預託して、そのあとで二百何十億引揚げるというのは、片手落ちである。中小商工業がこれによつて破綻をしてはいけないけれども、もし破綻するようなことが万が一にもあつたならば、重大問題です。大臣があらゆる角度からさらに深く検討して、その上でというお言葉ですから、私が申しましたように、昨年度の年末の政府預託残高を下まわらないように、ひとつ御措置を願つてさらに十二月に入つて、国会は開会中でありますから、不渡り激化の情勢にあれば、さらにそれに加えて何分の御措置を願う、このことを強く御検討をいただくことを要望いたしまして、私の質問を終ります。
  227. 淺香忠雄

    淺香委員長代理 井上良二君。
  228. 井上良二

    ○井上委員 大蔵大臣がめつたに本委員会に現われませんので、この際特に中小企業金融対策に関連をいたしまして伺つておきたいのですが、金融対策のうちで一番われわれが重要に考えますのは、中小企業の中で、特に中小法人の資金関係を調べてみると、今日全面的に平均して大体自己資金が三十二、三パーセント、あと六十何パーセントは借入れ資金によつてつている、それがために非常に高い金利に追いまわされているということが一つ。いま一つは、いわゆる中小法人に対する重税です。この二つの面で政治的圧迫が非常に加えられている。それから内部的には、他の賃金ベースの引上げに伴う高賃金という問題がございます。この金利と税金と賃金との三つが中小企業を非常に圧迫している。そこへ全体の生産は、他の大きな企業の滞貨その他のために、非常なきゆうくつな状態になつておるというのが現実じやないかと思う。そういう点から考えて、政府はまずわが国の高物価を引下げ、かつ輸出を振興さすというこの国にかけられている至上命題を果すために、何としても金利を引下げなければならぬ。ところが今あなたお気づきでございましようが、政府からいろいろな金融機関を通じて政府資金を散布いたしておりますが、これはみな地方のいわゆる金融資本のもとに動いている銀行窓口を通して、そして預託業務を行わせているわけです。このために末端においては、実際はもう少しうまく行くならば、もつと金利が下るにもかかわらず、全然金利を下げようとしない。これは午前の委員会でも申し上げたのですが、たとえて申しますと、これはさいぜんも、中小企業金融公庫が百三十億も持つており、これが相当この年末にはまわつて来るであろうかと、いうお話でございますが、これでも、政府は御存知の通り一割の利子をここでとるということになる。ところがその一割の中で、この窓口業務を委託されている銀行は四分五厘もとる。そうしますと。かりに百三十億にしますと、五億五、六千万の預託業務料というものは銀行にとられてしまうわけです。それで実際それだけ業務費がかかるということを調べてみると、おそらくその二分の一で済んで、あと二分の一はもうけるというのがほんとうらしい。これはいろいろ岡野国務大臣も申しておりましたけれども、われわれ他の金融機関の場合を調べて、もし今やつておるように出先の支店、出張所を設けてやつた場合どれくらいの経費で一体済むかということを具体的に調査したことがある。それによりますと、大体多く見積つて、その半分の経費があればやつて行けるというはつきりした専門家の資料が出ております。こういう点から、百億の金を出すと、それでただちに四億五千万円これを扱う金融業者は現実にもうかるわけであります。そんなに人をふやしておりません。そういう具体的な事実から、もつと金利を下げる方向のことを銀行局としても検討する必要があろうと思う。というのは、銀行の今日のあの待遇状況を見てごらんなさい。今日銀行がいかなる待遇条件に置かれているか、そしてあの土地、建物の状況を見てごらんなさい。一体ああいうことが常識的に考えられることでありましようか、その点を考えた場合、銀行の金利を大幅に引下げるという手を打つことは、今日高物価政策を反対して低物価政策に持つて行こうとする上において絶対にこれは必要なことである、これに対してどうあなたはお考えになるのか、この点をまず第一点に承りたい。
  229. 小笠原三九郎

    ○小笠原国務大臣 ただいま井上さんからいろいろお話があつたが、多少事実に違つておる点があるじやないかと私は思います。御承知のように日本銀行——普通の銀行ですが、そこらの市中銀行でこの間私は調べて見たのだが、あなたのお調べもそうなつておりましよう。預金者に払う利息は大体三分二厘くらいのもので、人件費が二分二厘くらいかかつております。さらに租税とか、あるいは建物、主としてそういうもの、それからいろいろの事務費とかいうものを合せまして、銀行によるとコストが七分二、三厘についております。それで私は先般各銀行、及び金融業者の集まつているところに行つて、こう人件費をかけてはいかんじやないかと警告したのであります。私ども政府としては、でき得るだけ金利引下げに努めて、あらゆる機会にそういうことを努力しております。しかし今たとえば中小企業金融公庫について申し上げますと、井上さんのお話だと、これが四分五厘まるまるもうかるようなことを言つておられるが、これを取扱つておる銀行は、あれは八割保証しておるんですよ。もしも危険があつたときには、八割補償をしなければならない、そういう補償責任を持つている。これはよく御承知通りだ。その上にもしこれが独立した店舗を設ければ、今のごとく大きな銀行で、相当預金量のあるものでも、なお人件費が二分二厘もつくのですから、わずか百億くらいのものをあそこへ二億、ここへ一億というぐあいにわけたときには、人件費は相当大きなものに上るでありましよう、あなたは全然電気も使わず、紙も使わず、電話も使わず、何も使わずまるくもうけるように言われるけれども、なかなか今日事務費は、一枚の紙でも相当かかるものですし、帳簿でも相当かかるのです。それをまるまるもうけるという見方は、あなたがやはりもう少し事実の前に目を開いていただかなければならぬと思う。それだから現在の段階では、私はああいうことによつて一番経済的に立ち行つておるのであつて、もしこれが独立した店舗を設けるようなことがあると、これはあなたのおつしやるようにはならない。これはあなたより、金融のことは私は少し経験があるから申し上げるが、これはそう思います。しかし井上さんの言われる御趣意はよくわかる。だからその御趣意のもとに、幾らかでも金利を下げることに努力したいと思いますけれども、私は今のところは、やはり代理店制度で行くということが一番経済的に行つておるのではないか、こう思います。但し今お話通り、もう少し五厘でも縮めろというお話でございますから、これは私どももできるだけそのように努力いたしたいと思つております。
  230. 井上良二

    ○井上委員 小笠原さん、大蔵大臣としてさような発言をされることは、はなはだ遺憾であります。と申しますのは、現在のあの銀行の業務内容を見ており、現在の銀行がやつておりますいろいろな経費の内容を調べてみたら、おそらくわれわれは、他の産業関係と比較してまつたく貴族的な立場にありはせぬかと考えております。そういう事実を隠蔽して、ただ何分手数料にかかると言うてみたつて、それは世間が承知いたしません。さきに申しますように、資本蓄積というか、自己資金が非常にふえる、もう他の借入れ資金はわずかで済むというような状態になりましたならば、それほど金利も大きく負担になりませんけれども、七割を他の資本によつて補わりなければならぬというこの事実を見た場合、何としても金利が大きな負担になつておるから、これをどういう方法で一体下げたらいいかということを、銀行業務をあずかる者としてはもつと真剣に考えなければならぬ問題ではないかと思うのです。これはまた国の低物価政策への一番重要な道でもあろうとも思つて、私はもつと慎重に検討してもらいたいと思う。  なおこれに関連をしてでありますが、中小企業及び一般の勤労所得に対して、非常にやかましい問題が起つておることは御存じの通りであります。この所得税の減税、免税を通して御承知通りあなたの方で税制調査会を設けて、一つの答申案が出ておりますが、あの答申案の内容を中心にして政府としては税制改正の法案を今国会に出す予定を持つておりますか。あの答申によりまして明年度予算は一兆億そこそこという見当になつておりますが、政府の財政の規模と減税に対する大臣の考え方をこの際明らかにしてもらいたい。
  231. 小笠原三九郎

    ○小笠原国務大臣 前段の井上さんの言われた金利引下げのことも、これはせいぜい政府の方でもせつかく努力します。それで二分二厘もかけていちや困るじやないかということを、私がこの間銀行の集まりでごちそうになりながら、いやみを言うのは——これは紅茶一ぱいですから、さしつかえないと思うから遠慮なく言つておいたのでありますが、これは各方面とも、特にアメリカあたりに比べると非常に高過ぎる。人件費が二分二厘もかかつておるということは、また経費がいろいろ合せて四分にも達しておる、預金利息以上に達しているということは、これはかかり過ぎておるので、ただいまお話の点もあるので、特に金融業者の反省を求めておいた次第であるのであります。今後ともこれに努めたいと考えております。  先般来内閣の中に税制調査会を設けて、非常な有識者の人々が約二十回にわたつて、これは朝の九時ごろから夜の九時ころまでやつたというような励精さで、ああいう答申案をもらつたのであります。私はあの答申案は、考え方としてはまことに妥当な考え方である、税制としては、まことに筋の通つた税制であると考えております。しかし今お話なつたように、今度の国会にということですが、今国会は九日しかありませんので、今国会には遺憾ながら、いろいろの法案を出してそれの御審議を願い、成案に至ることはとてもむずかしいことはあなたも御承知通りで、九日で所得税も何もみな何すると言つても、これは通りつこないので、これは通常国会にはぜひ出したいと思つておりますが、現在のところは、一方で今お話になりましたような源泉所得税等で、すぐとりやすいために、比較的税の重いのに苦しんでおられる小額所得者に対する減税については、これは何らかの措置をとりたい思つております。しかしながら、国としては一面にどうしても租税収入の今の総額等を減すわけには参らない事情があるのでありますので、他方にあるものについて、たとえば酒とか——酒はやるかどうかわかりませんが、そういつたことが答申されております。あるいはタバコとかいうものについての案も答申されております。また各種の奢侈税的のものについても答申されております。そういうものを目下検討いたしております。比較的とりやすい方面で、負担の楽な方面、いわば背負いやすい方面からとるというようなぐあいの考え方をいたしまして、これは、通常国会にはそういう案を出したいと思つております。ただ今国会は九日しかありませんものですから、お話のように所得税に関する法案等は出しにくいので、これは今回会にはお出しいたしません。
  232. 井上良二

    ○井上委員 これはちよつと中小金融の問題とかけ離れますけれども、また委員会を通して質問する機会がなかつたのでありますから、この際伺つておきたいのですが、それは大蔵省所管になつております専売公社、印刷局、造幣局の仲裁裁定の問題でございます。この問題に関しましては、労働委員会が専管で審議を進めておりますが、本委員会としてもこの問題について、当該の印刷局長、あるいは専売局の関係者等の意見を伺いますと、専売局の内部においても、あるいはまた印刷局の内部においても、造幣局の内部においても、大体仲裁裁定を実施するだけの内部的予算的措置はできるような御意見のように伺いますが、ただ鉄道とか、あるいは郵政とかの他の仲裁裁定との関連があつてどうもこちらの方の実施をそのために犠牲にしておるような政治的の取引が非常に露骨のようにうかがえますが、大蔵大臣としては主管でありますから、この仲裁裁定の実施に対して一体どうお考えになつていますか。現実に印刷局の内部において、あるいは専売局の内部において、造幣局の内部において、仲裁裁定の実施は可能なりという一つの結論が出た場合、これを他のものと切り離して実施するのが——当然拘束される立場から、予算資金的措置ができるのでありますから、実施すべきであるのに、どういうわけで他の鉄道や郵政と関連をして実施を延ばしますか、これを伺いたい。
  233. 小笠原三九郎

    ○小笠原国務大臣 裁定の問題につきましては、今度近く十八国会が開かれますと、第二補正案として一月以降についての処置がとつてありますから、御了承を願えることと思うのでありますが、ほかのことはしばらくおきまして、今所管のことだけをお尋ねだから、所管の印刷、専売、それから造幣について申し上げます。これについて予算措置、あるいは資金上の措置がとれるのじやないかというお話でありますが、これについては相当意見もありまして、一体タバコ専売局がそうもうけておるなら、もうけておるだけ国家に出すべきものであつて、専売局が自分がぬくぬくと持つているようなことは間違つているじやないかというような議論をされる方もあります。私は必ずしもそうは思つておりませんが、本来言えばそういうものはないはずである。専売局は別でありますが、役所の局などは——造幣局などはそんなにわけるものがあつたりして、予算措置がとれるものはないはずだ、あるいは印刷局でもそうじやないかという議論もある。そういうこと等もあり、また三公社、五現業についは、大体同一なことをとるべきであるという建前もあり、それから現在のところは、何か新しく予算措置をとりませんと、予算わくがきまつておりますから、今までの予算わくの中では何もそういうものはきまつておりません。そうすると、今後予算措置をとるという問題になるのであります。そうしませんと、予算総額はきまつておりますから、総わくの中では何ともやりようがないので、従つて新しい予算の御協賛を願わなければならぬことになるのであります。そういう点等をいろいろ相談しまして、やむを得ず、井上さん方から言えば御不満であるかもしれず、一方ではこの間うち、よそから、ああいうことをやるからインフレになるのじやないかということで盛んに私は新聞等からも攻撃を受けておるような次第でありますが、しかし実情にかんがみてできるだけのことをしたい。露骨な言葉で言うと、こういうことなんです。一万円金をくれと言つて来たが、やりようがない。しかし三千円持つておるときに、三千円ならやらぬということを言わずに三千円出す、こういうような気分で今度御提案申し上げるような趣意であります。大体今の日本の財政とよその賃金状況等を御勘案くだされば、あの辺で井上さんあたりも御了承願えるんじやないかと思います。
  234. 春日一幸

    ○春日委員 ただいまの井上委員の質問に対する大臣の答弁によりますと、銀行がそう法外にもうけておるわけではないという弁護がなされました。さぞかし銀行業界は陰で感涙にむせぶことと思います。そこで私が申し述べたいことは、現在銀行が社内積立金、それから損失準備金というような厖大な資産並びに準資産というものを累積いたしております。これはすべてその金利から上つて来たところの所産でございます。さらに大蔵大臣は大実業家であられたのでありますから、銀行内部の状況も御承知でありましようが、現実に両建預金をやつておられます。これは先般来河野銀行局長にもしばしばお話を申し上げておりますが、これだけ貸すから、そのかわりその中の何分のものは見返りにしろ、これは現実に行われてそしてみんながこれで苦杯をなめております。両建預金によりまして、なるほど三分二厘の金利ということになるかもしれませんが、そういう方式によりまして、実にダブルに金利をせしめることができるのでございまして、そういうような方法を通じてこういう厖大な銀行利潤が出ている。ベースもとほうもなく高いものであり、年末についても、給与は官公労の基準をはるかに突破いたしております。建物なんかはもうああいうりつぱなもので、盛り場でりつぱな建物といえば全部銀行の建物なんです。これは全部金利からもうかつたことは相違ないのでありますから、ほかの企業——大企業も、中企業も、小企業も全部疲弊しておるときに、金融機関だけがりつぱな一等地において堂々たるビルデイングを建てられるということは、ただいま大蔵大臣銀行はこういう利子も払い、こういう金も使つて——インクと紙とを使つておるそうでありますが、そんなことではございません。現実の成果からこれを逆算いたしまして、もう少し利益を抑制してもいい。これは社会通念であります。他のいろいろな産業の利潤等々とにらみ合せて、当然利子が少くても銀行業というものは経営できる。これは常識的にみなが考えているところでございます。どうか一方的に銀行だけが真に最低の利子で経営しているというような考え方をお持ちにならないで、さらによく内容にわたつての御検討を願いたい。  それからもう一つ、これは私の誠案として後日御検討を願いたいのでありますが、政府から中小企業のために政策融資をしていただいたところで、もうたかだか知れたものであります。またそれよりも、銀行政策を通じて中小企業に金の流れ出るような方法を同時に考えなければならぬ。そこでどうしたらよいかという一つ考え方でありますが、私はこんな考えを持つに至つております。いかがでありましようか、それは現在二兆二千億とかなんとかいう厖大な預金がある。またその預金融資資金源として活用されておりますが、そこでこの十一大銀行初め、大銀行の大企業への融資と、中小企業への融資との対比率を見ますと、一番中小企業への融資をやつているところでも、全体の融資量の三割六分、他のものは大体二割から二割二、三分でしかございません。そこで私が考えますのには、全部の貸出し総額の中で、何ら今大企業に融資せんとする場合は、それに対するあるパーセントを中小向け融資をしなければならない、こういうような規正が行われますれば、その対比率は七対三にしますか、六対四、あるいは三対七にしますか、それはいろいろの科学的な資料によりましようが、いずれにしても、銀行法の中でそういうような融資対象の規正を行つて行くことは、今日金融機関が大企業偏重のそしりを受けておりますけれども、その金を中小企業の方へ政策的に流して行く一つの手法であると考えます。これはまだ私のずさんな素朴な私案でしかございませんが、こんな考え方もあるということを心にとめていただきまして、そういうところからひとついい施策を講ぜられたいことを強く要望いたしまして、最後に、いずれにいたしましても、最初に申しました例の年末金融は、この次の国会までに御検討いただくことをお願いいたしまして、終ります。     —————————————
  235. 淺香忠雄

    淺香委員長代理 この際お諮りいたしますが、古屋貞雄君喚問の日時は、伊藤斗福君の出頭のこともありますので、来国会において所要の手続を進めることといたしたいと存じますが、御異議ありませんか。     〔「異議なしと」呼ぶ者あり〕
  236. 淺香忠雄

    淺香委員長代理 御異議なければさよう決しました。  明日は午前十時より開会いたします。  本日はこの程度にとどめて散会いたします。     午後五時十一分散会