○春日
委員 これは
銀行局長かねて御
承知の
通り、この
公庫の機関が誕生いたしましたことは、第十五国会において衆参両院満場一致で通過したあの
趣旨によるのでありまして、当時は少くとも農林
資金融通法による
政府出資六百六十一億に比較いたしまして、三百億
程度は当然にして最小限度の
資金であろうというようなことで、その
程度の要望が行われたのでありますが、しかしながら財源がないということで、これがこういう小さな
資金によ
つて一応頭を出してすべり出す、こういうことで一応了承されたと思います。従
つてその
趣旨にかんがみて、当然開銀からの承継債権の代金の決済というものはやはり政策的な配慮が行われて——将来にわた
つて、いずれ二十九
年度においてこれに対する新しき財源措置が行われたり何かして、多少その
資金に余裕を生じたときにこういうものを買取る、こういうことを
期待さしておつたにもかかわらず、これがスタートして間もなく十九億一千万円というこの
公庫の金を食うということは、
公庫の
資金が初めから僅少であるにもかかわらず、さらにそれだけのものを
たちまちに消耗しなければならぬということで、
銀行局長において当然
委員会における質疑応答を通じて
相当配慮されてしかるべき事柄であつたと思うのであります。これは開発
銀行がその片手間で
中小企業金融をして来たのであるが、四月からこの八月末までの実績が実に三十八億二千万円にな
つておる。片手間でや
つてすらそうである。それなのに今度
中小企業専門のための
金融機関ができて、そうしてその機関を通じて
中小企業者に専門的に流す金というものは、やはり開発
銀行の実績に照らして
相当画期的な、飛躍的な増額が行われてしかるべきものであろうと思うのであります。ところが実績は三十八億であるが、現実にはこの九十億のあなたの方の出資と、それから
資金運用部からの二十億、この百十億の中から十九億を買取りの方へ出してしまう。そうすると九十一億しか残らない。九十一億の中から災害で十八億五千万円と
つておるのだから、七十二億にな
つてしまう。現実には七十二億の財源でも
つて七箇月間の
融資をせなければならぬことになる。これは今まで開銀が片手間でや
つておつたところの
資金量よりも大して前進を示していない。これでは特別の法律ができ、特別の施策として
考えられた
意味が全然ないのです。私は少くともこの承継処置というものは、これは当初から、何も今手柄がましく、恩恵がましく四月以降に延ばすとか何とかいうことではなく、これは政令を発せられる当初において、それだけの親切な配慮と、今までの経緯にかんがみてのそういう措置が講ぜられることが当然であろうと思うのでありますが、そのことが講じられていなかつた。しかも今回これを講じられようとしておるのが、そのことはただ無条件で講じられるのではなくて、災害で消耗したところの十八億五千万円の見返りとなるものであるのであ
つて、このことは非常に遺憾に存ずるものであります。
そこで私はこの機会に
銀行局長にお伺いをしたいのだが、本日交付されたところの
資料によりますと、
中小企業の不渡りがはなはだしく累増いたしております。東京手形交換所の
資料であろうと思うが、これによりますと、昨年の同期に比べて、この不渡り
件数というものは厖大なものだ。昭和二十七年の八月は五百九十一枚の不渡りが、本年はこれが九百二十三枚、昨年の十一月に七百七十八枚の不渡りが、本月は千二百三十五枚ということにな
つて来ておる。これは
中小企業者が昨年よりも本年においてその金詰まりがさらにさらに深刻であるということが、この
資料によ
つて示されております。こういう
中小企業の金詰まりという現状にかんがみまして、当然政策
金融が行われなければならぬ、その政策
金融は、いわゆる
政府機関をしてこれを行わしめるということが一番効果が上るであろうが、その場合に
考えられるのは、
国民金融公庫であり、中金であり、さらに
中小企業金融公庫である。少くとも
中小企業金融公庫は、最初にこの金詰まりを打開するための使命を帯びて、
政府によ
つてその
資金措置が講じられることが当然であろうと思うのであります。そこで
委員会は、先月来、この年末
融資のために
中小企業金融公庫に
相当額の増資をしろ、第二次臨時国会において第二次補正をしろ、こういうことを強く要望して参つたにもかかわらず、第二次臨時国会はまさに開かれようとしているが、何らその
予算措置が講じられようとしているけはいはございません。私は非常にこれに重大な問題だと思う。
政府はここに三種の要綱を示しておるけれ
ども、こんなことはただ単に災害で消耗減耗したところの
資金を、ただその分だけをとにかく補填するということであ
つて、一歩前進の姿というものは何もございません。一方この不渡りというものはこういう
数字で、昨年七百七十八枚のものが今千二百三十五枚にな
つておる、十月においては六百九十八枚のものが九百八十枚、九月には六百十八枚のものが九百六十一枚とな
つて、これはもう
一般的な傾向なんだ、これは
個人の力ではなかなか回避することのできない
一般的な現象なんです。これはしようせん清作の力によ
つて何らかてこ入れを行うことなくしては——これをごらんください、十月の九百八十枚のものがこの十一月に飛んで千二百三十五枚ということは、これは十二月末に入りますと、もはや爆発するくらいな、いわゆるゼネラル・パニツクを思わしめるような、そういう大きな恐慌状態がこの
数字の中に現われて参
つております。そこで今にして政策
金融というものの必要性が特に痛感される。私
どもは昨日も申し上げたのでありますが、この第二次臨時国会の開会要求をいたしましたのは、労働政策並びに
中小企業金融政策、この二つのものか第二次臨時国会の主たる議題にな
つておると思います。しかし大蔵当局は、これに対して何らの画期的な施策を講じていない。ただ災害で食つたところの一部の金を補完しよう。こんなことでは私はこの金詰まりの
一般的恐慌の現象が救済されるとは思わないが、一体そこに並んでおられるところの
金融機関の責任者
たちはどう
考えておられるか。はたしてあなた方がそれで帯びておる任務を果し得るとお
考えにな
つておられるかどうか、一ぺんひ
とつ率直な
意見をお伺いをいたしたい。それから
銀行局長もにこにこ笑
つておられるが、一体何がうれしくて笑
つておられるのかわからぬが、実にこれは重大問題です。これはただ唐突にわれわれが言
つておるのではなくして、過ぐる十月の臨時国会におけるこの
委員会において、さらにはまた本
会議において、その後に開かれたあらゆる
委員会においてこのことが強く要望されてお
つて、そうしてこれが何らこの機会に講ぜられていない、わずか五十五億、こういうようなものではてんでこれは問題になりません。われわれがいろいろ
調査したところによりますると、
政府の預託金の
状況でありますが、これなんかも昭和二十七年の十月には四百六十一億の預託がある、昨年の十一月は三百九十二億、それから昨年の年末は四百二十八億、一月に三百五十億、二月三百二十億、三月にな
つてこれが五百八十何億というふうに、
中小企業のための
政府の預託というものが、
相当のパーセンテージでこれが持続されております。ところがあなたの方が今回五十五億を預託する、この
計画書によると、年末に
至つてこの五十五億を加えて二百二億にな
つて、しかも寒心にたえないことは、これが一月末になると九十六億にな
つて、二月になくな
つてしまう。ここに二月、三月に対する何らかの
政府の
考え方が表明されておりませんが、これは当然何らかの預託措置が講ぜられることを
期待してはおりまするけれ
ども、この機会に大体の見通しを明らかにされる必要があろうと思う。現在この十一月、十二月に
中小企業者
たちが無理をして手形を発行するでありましようが、その手形の支払期が二月、三月に参ります。従
つてこの危局は、それぞれの融通手形や無理算段によ
つて、一応あるいは回避するかもしれないが、しかしその清算はやはりこの二月、三月に来る。しかもこの
資料によりますと、二月、三月にはあなたの方は九十六億、昨年は五百八十何億あつたものが九十六億、これはおそるべき
金融梗塞とわれわれは
考えなければならぬ。われわれはこういうずさんな
資料でほんとうに本分を果すことはできないと思う。一体あなたの方はこの一月、二月その前にこの十二月でありますが、去年ですら四百五十億の預託が行われた、本年は手形が去年よりもあるいは倍というような数で不渡りがふえておる。このときに去年の半分にも満たない預託で年の瀬が越せるとお思いになるかどうか。なるほどインフレーシヨンを阻止するということは、これは当然必要なことでありましようが、しかし
中小商工
業者をやり玉にあげることによ
つてそのインフレーシヨンを阻止するということは、これは政策としてな
つてはいない。私が特にあなたに訴えたいことは、とにかく一千万の労働者が
中小企業に働いておるというこのことと、さらにはまた国の生産の五割というものが
中小企業によ
つて生産されているということを
考えますならば、私は労働政策としても、あるいはまた産業経済政策としても、この年末
金融ともう少し真剣に取組んだ施策が私は必要であろうと思う。今回ここに五十五億だけを預託して、年末の
方針はまだ漠然としているということは、これは
大蔵委員会の任務が果し得ないばかりでなく、本日全国各地において
中小企業者の危機突破大会が開かれていることを御
承知であろう。これはすべてこの年末
金融を何とかしてくれということに大会の決議は帰一いたしております。私はあなたがよもやこれでも
つて押し通そうという、そういうむちやくちやな
考えをお持ちではないと思うけれ
ども、今申し上げました
趣旨にかんがみまして、さらにこの五十五億のほかで引揚げを猶予、繰延べるか、あるいは新規預託をするか。いずれにしてもこの手形交換所の
資料とにらみ合せての何らかの応急措置を講ずる
意思があるかどうか、これをひ
とつあなたからお伺いをいたしたい。それからそこにおられる商工
金庫、
金融公庫の各責任者から、あなた方が
申込みを受けておられるところの
融資の
申込みと貸出し得るところのみずからの能力とをお比べ合せて、一体どういう
資金措置が望ましいか。これをひ
とつ率直に熱意をも
つて本
委員会に御
意見を開陳願いたい。以上であります。