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1953-11-02 第17回国会 衆議院 大蔵委員会 第2号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和二十八年十一月二日(月曜日)     午前十時三十二分開議  出席委員    委員長 千葉 三郎君    理事 淺香 忠雄君 理事 大上  司君    理事 坊  秀男君 理事 内藤 友明君    理事 佐藤觀次郎君 理事 春日 一幸君    理事 山本 勝市君       大平 正芳君    黒金 泰美君       小西 寅松君    苫米地英俊君       藤枝 泉介君    宮原幸三郎君       福田 繁芳君    本名  武君       小川 豊明君    久保田鶴松君       柴田 義男君    井上 良二君       平岡忠次郎君    福田 赳夫君  出席政府委員         大蔵事務官         (主計局次長) 正示啓次郎君         農林事務官         (農林経済局         長)      小倉 武一君  委員外出席者         大蔵事務官         (主計官)   小熊 孝次君         農林事務官         (農林経済局農         業保険課長)  久宗  高君         通商産業事務官         (石炭局長)  佐久  洋君         通商産業事務官         (石炭局鉱害課         長)      阿部 久一君         中小企業金融公         庫総裁     坂口 芳久君         専  門  員 椎木 文也君         専  門  員 黒田 久太君     ————————————— 十一月二日  理事宇都宮徳馬君、本名武君及び久保田鶴松君  の補欠として淺香忠雄君、内藤友明君及び佐藤  觀次郎君が理事に当選した。     ————————————— 十月三十一日  農業共済保険特別会計歳入不足を補てんす  るための財源措置等に関する法律案内閣提出  第一二号)  昭和二十八年度における特別鉱害復旧特別会計  の交付金支払財源に充てるための資金運用部  からする借入金に関する法律案内閣提出第一  三号) の審査を本委員会に付託された。     ————————————— 本日の会議に付した事件  理事の互選  小委員及び小委員長選任  参考人招致に関する件  農業共済保険特別会計歳入不足を補てんす  るための財源措置等に関する法律案内閣提出  第一二号)  昭和二十八年度における特別鉱害復旧特別会計  の交付金支払財源に充てるための資金運用部  からする借入金に関する法律案内閣提出第一  三号)  金融に関する件     —————————————
  2. 千葉三郎

    千葉委員長 これより会議を開きます。  議案の審査に入ります前にお諮りいたします。それは参考人出席要求に関する問題であります。前回の委員会におきまして、春日委員より匿名組合の問題について、学識経験者から意見を聴取するために参考人として招致してほしい旨の申出がありましたので、委員会散会後の懇談会におきまして御協議をいたした結果、年末金融対策の一環としての庶民金融対策について、参考人より意見を聴取することに決定した次第でありますが、本問題について参考人出席を求むることに御異議ございませんか。     〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  3. 千葉三郎

    千葉委員長 御異議ないようでありますから、さよう決定いたします。  なお参考人選定等につきましては、委員長に御一任願いたいと存じます。     —————————————
  4. 千葉三郎

    千葉委員長 次に、まず理事辞任の件についてお諮りいたします。本日理事本名武君、久保田鶴松君の両君から理事辞任申出がありましたが、これを許可するに御異議ありませんか。     〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  5. 千葉三郎

    千葉委員長 御異議ないものと認めまして、本名武君及び久保田鶴松理事辞任申出をそれぞれ許可することにいたします。  次に、理事補欠選任の件についてお諮りいたします。ただいま理事を辞任されました本名武君及び久保田鶴松君のかわりに内藤友明君及び佐藤觀次郎君を理事に指名いたしたいと存じますが、この点御異議ありませんか。     〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  6. 千葉三郎

    千葉委員長 御異議ないものと認めまして、内藤及び佐藤両君理事に指名することにいたします。     —————————————
  7. 千葉三郎

    千葉委員長 次に、一昨三十一日本委員会に付託されました農業共済保険特別会計歳入不足を補てんするための財源措置等に関する法律案及び昭和二十八年度における特別鉱害復旧特別会計交付金支払財源に充てるための資金運用部からする借入金に関する法律案の両案を一括議題として、まず政府当局より提案趣旨説明を聴取いたします。正示政府委員
  8. 正示啓次郎

    ○正示政府委員 ただいま議題となりました農業共済保険特別会計歳入不足を補てんするための財源措置等に関する法律案につきまして、その提案理由を御説明申し上げます。  昭和二十八年度におきましては、風水害冷害等が相次いで異常に発生いたしましたため、農業共済保険特別会計農業勘定における再保険金支払いが増加し、多額の歳入不足を生ずることが予想されるのであります。これがため、昭和二十八年度において一般会計からさしあたり八十五億円をこの会計農業勘定に繰入れることができることとし、また、農業勘定積立金昭和二十八年度における同勘定の歳出の財源に充てるため、その歳入に組み入れることができることとしようとするものであります。  なお、一般会計からの繰入金につきましては、将来この会計農業勘定において決算上の剰余を生じた場合には再保険金支払基金勘定に繰入れるべき金額を除き、残額を一般会計に繰りもどさなければならないことといたしております。  以上がこの法律案提出理由であります。  次に、昭和三十八年度における特別鉱害復旧特別会計交付金支払財源に充てるための資金運用部からする借入金に関する法律案につきまして、その提案理由を御説明申し上げます。  特別鉱害復旧臨時措置法の規定に基きまして、すでに特別鉱害の認定をいたしました家屋のうち、本年六月及び七月の大水害により緊急に復旧する必要が生じましたものにつきましては、本年度内に鉱害復旧工事を実施いたすこととし、これがため、その財源といたしまして、この会計負担において資金運用部から一億二千万円を借り入れようとするものであります。これがこの法律案提出いたしました理由であります。  何とぞ両案につきまして、御審議の上すみやかに御賛成あらんことをお願いいたします。
  9. 千葉三郎

    千葉委員長 これより右両案及び金融に関する件を一括議題として質疑に入ります。質疑は通告順によつてこれを許します。  なお本日御出席政府委員といたしましては、正示主計局次長、並びに説明員といたしまして主計局小熊孝次君、農業保険課長久宗高君及び中小企業金融公庫坂口総裁出席しております。井上君。
  10. 井上良二

    井上委員 まず農業共済保険特別会計関連をいたしまして質問をいたすのでありますが、二十八年度風水害冷害等による農業被害の今日までわかつております被害総額及びそのうち政府がさしあたり負担をしなければならぬ全体の金額はどういうことになつておりますか、それを御説明願いたいと思います。
  11. 久宗高

    久宗説明員 二十八年度におきます農業災害補償法関係における災害に対する支払い見通しでございますが、お手元に昭和二十八年度農業共済保険特別会計農業勘定収支推定額調というのを差上げてございます。これに従いまして御説明いたします。まず総額について申し上げますと、水稲陸稲夏秋蚕につきましては、まだ確定的な数字ではないわけであります。現在損害評価進行中でございますので、麦と春蚕につきましては、すでに金額は一応確定しているわけでございます。これに基きまして大体の推定をいたしますと、一番上にAと書いてございますのが、末端におきます支払い共済金見通しでございます。すなわち陸稲水稲、麦、春蚕夏秋蚕を合せまして大体三百四十四億程度になろうと考えられるわけであります。これに対する支払い保険金は、Cの段のところにその数字を書いてございます。共済金の一割に相当いたします。これが約三百十億円でございます。Dのところへ通常標準被害額と書いてございますのは、これは国の方の責任関係のない、すなわち連合会責任になる分でございますが、これが六十三億ほどございます。政府の再保険金支払い見込額は二百四十六億程度になろうと考えられるわけでございます。これに対しまして再保険料手持ちが六十一億ございますので、本年度限りについて申しますと、支払い不足額政府保険特別会計におきまして約百八十五億と推定されるわけでございます。
  12. 井上良二

    井上委員 ただいまの説明によりますと、まだ水北、陸稲においても目下損害査定中で、正確な数字が明らかでない、さしあたり推定される分が三百四十四億というお話でございますが、そこで問題は、政府が現在まで推定しております内容は、大体東北地方冷害中心にした推定がおもでないか。特に西日本台風十三号の被害による査定はまだ十分でないのではないか、こういうふうに考えてさしつかえありませんか。
  13. 久宗高

    久宗説明員 ここに掲げましたのはもちろん推定でございますので、確定数字ではございませんが、この予算の積算をいたします際までに入手し得る客観的な資料を一応全部関連させて考えまして、推計いたしたわけでございます。従いまして十三号台風の問題ももちろん盛り込んでおるわけでございます。ただ繰返して申しますように、最終的な確定は、損害評価をまつてきまるわけでございます。
  14. 井上良二

    井上委員 そうしますと、最初政府では百三十億を一般会計から繰込むという案を出して来て、ただいま御説明にありましたように、昨日予算修正において八十五億にこれを削つた。そうしますと、全体のわくがまだこれからどんどんふえて行くところへもつて来て、しかも昨日修正されて百三十億を八十五億に減ずる。そうすると実際支払いは具体的には一体どうなるか。本払いでありますか、これは全部仮払いなつている金ですか。その点はどうなんです。
  15. 久宗高

    久宗説明員 繰入れが八十五億になりました関係で、ただいま差上げました資料の下のところに、一応不足額が百八十五億もしありました場合にどうなるかという数字を掲げてございます。その前に百三十億という問題が出ました際の基礎資料といたしましては、百八十五億という不足金が出ますが、水稲のところだけをごらんになつていただきましても、もと共済金額が千七百億近い金になりますので、推定のパーセントは少し動きましても、そこに若干の差は出るわけであります。その場合も相当大きな金額になるわけでございます。従いまして、当初は百八十五億という推定が一応立ちますが、そのうち一応最低額を見るということで、二十五億ほど引きまして、これを最低額と考えまして、百六十億をもとにして計算しております。それに対しまして、さらに特別会計基金が二十五億あり、また特別会計積立金を五億これにまわすことができますので、百三十億あればよろしいということになつたわけでございますが、それがさらに四十五億減りましたので、もし百八十五億という数字が出るといたしますと、さらに七十億の手当が必要になるわけであります。そこで今回の補正におきましては、八十五億が受入れされておりますが、あとの七十億につきましては、融資等による裏打ちが必要になつて参るということが考えられるわけであります。ただ御質問にございました本払いにするのか、仮渡しをするのかという問題でありますが、この問題につきましては、早場地帯中心にいたしまして、いわゆる冷害地帯、つまり東日本につきましては、十二月までに本払いができるように諸般の事務を進めております。それから西日本につきましては、刈取りの時期もそれから若干ずれますので、旧正月までに本払いをいたしたいというわけで事務を進めておるわけであります。しかしながらこのあと手当との関連におきまして、本払い仮渡しと併用して参るような必要も生ずるかと考えております。
  16. 井上良二

    井上委員 そのうち特に仮払いをするという予定金額はどれくらいになつておりますか。関東東北は十二月に本払いをすることになる、こういうのだから、関西の方は旧正月ということでは来年のことになりますから、それまでに現実に収穫皆無の地帯がたくさん出ております。それらの地帯は、政府の営農資金借出しまでの間にいろいろ事務手続その他で非常に遅れて、なかなか実際上金が入らない。ただ農業災害による仮払いを非常に切望しておる今日、これは具体的にいつごろになつたら払えるか。それとも全体の金額はどのくらいになつておるか。ただいま私どもに示しております全体の推定の中で、西日本災害に基く被害額のうち、わかつておるものはどのくらいで、そのうちどのくらい八十五億の中から仮払いに充てようとするか、これを伺いたい。
  17. 久宗高

    久宗説明員 先ほど御説明申しました残りの要手当七十億についての融資の具体的な方法につきましては、まだ確定いたしておらないわけでありまして、いろいろな方法があると考えております。ただ予算といたしましては、特別会計が直接借りるという形でない場合も、不測の場合起り得るという考え方もとに、利子補給の問題を別に予備費の方で考慮しておるわけであります。お尋ねの、特に西日本関係の仮払いの問題でありますが、これにつきましては、六月以降十三号台風まで含めまして九割以上十割の被害、特に流出埋沒といつたものにつきましては、六月以来仮渡しをやつて参つたわけでございまして、特に十三号台風につきましては、仮払いというよりも、すぐに概算払いという処置をいたしまして、これを十一月の半ばまでに全部又払つてしまいたいと考えております。これは目下進行中でありまして、約十五億が見込まれております。これは八十五億の方には間接には影響いたしますが、現在の手持ち保険料支払つております。それをいたしておきまして、あと一般損害農家につきましては、旧正までに本払いに持つて行きたい。ただその場合に、財源関係で形式が仮払いという形になり得るということを申し上げたわけであります。
  18. 井上良二

    井上委員 そうすると、概算払いをやりましたのは、基金二十五億のうちから出しておるのでございますか。
  19. 久宗高

    久宗説明員 概算払いをいたしましたのは、主として麦と、それから水稲の今の十割以上の被害ということになるわけでございますが、これの財源は麦につきましては、むしろ麦の保険料を充てました上に、基金を食つて出しておるわけであります。水稲の方につきましては、水稲の再保険料手持ちの中から、概算払い支払つておるわけでございます。
  20. 井上良二

    井上委員 そこで問題は、七十億を融資に求めるというのですが、これはどこから求めるのですか。
  21. 久宗高

    久宗説明員 融資の先の問題につきましては、現在のところまだどの会計から、たとえば特別会計から直接借入れるかどうかという問題につきましては、きまつておらないわけでございます。ただ場合によりまして、財源関係から特別会計が直接借りられないという場合もあり得るという見通しもとに、他の金融機関から借りて仮払いという形でやつて特別会計から直接支払いをしないという建前も考えられますので、その意味の利子補給を別途予算で組んでおるわけであります。
  22. 井上良二

    井上委員 そうすると、この七十億は、今後またこれからふえると思いますけれども、これは次の第二次補正予算なり来年度予算等で正式に予算化をすることになりますか。
  23. 正示啓次郎

    ○正示政府委員 御承知のように、今回の補正予算提出直後に修正をいたすことに相なりまして、井上先生急に急所をついて参られましたので、その点を私から申し上げますが、そういう次第でありまして、ただいま保険課長が申し上げましたように、七十億につきましては、実はいろいろとこれから具体的に金繰りを検討いたすことに相なるわけであります。まあ私どもといたしましては、できるだけこういう経費の性質でございますので、預金部資金その他も充当いたすということで努力いたしたいと思うのでありますが、万一の場合には、ただいま保険課長が申されましたように、市中金融というふうなことも考えなければならぬというふうな点もあわせて考慮しておるような次第でございます。さつそくこれを次の補正予算なり来年度予算に組むかということでありますが、これは建前といたしまして、いずれは一般会計でこれを組むことにつきましては、もとより問題はないのであります。ただその時期の問題でございますが、これにつきましては、全体の今後の財源その他ともにらみ合せまして、今後慎重に研究をいたしたい、かように考えております。
  24. 井上良二

    井上委員 この七十億は、一応本日の推定で七十億と言われておりますが、実は西日本台風十三号の被害が具体化して参りますと、もつと数字はふえて来ると推定され得るのであります。そこへもつて来て、今御説明を伺いますと、関東方面は十二月中に何とか本払いを始めたい。これに伴つて西日本も旧正月から本払いを始めたい、こういうことになると、この七十億がさらに百億から百二十億というふうにふえて行こうと思いますが、その場合の予算的、資金的処置が今のところまだ不明確だ、こういう御説明でございます。それでは一体本払いはできないことになるんじやないですか。具体的に資金的、予算的処置ができずにどうして本払いをやろうというのですか。具体的にどうやろうというのですか。それを御説明を願いたい。
  25. 正示啓次郎

    ○正示政府委員 全体のやり繰りの問題でございますが、もとよりこれを政府責任においてやることにつきましては、間違いがないのでありまして、ただこの際通常の場合のように、預金部資金幾ら幾らというような御説明を御要求なのでございますが、その点につきましては、全体としての計画をまだここで申し上げられない。しかしただいま先生御心配のように、支払いがこのために渋滞を来すんじやないかという点につきましては、私どもはそういうことのないように、極力最善を尽したい、こういうふうに考えておる次第であります。
  26. 井上良二

    井上委員 昨日の大蔵大臣予算委員会答弁と一緒で、事務当局がそういう考え方じや、はなはだ迷惑しています。大蔵大臣は多少政治的な答弁をされてもいいですけれども事務当局としては、現実農林当局では、今度の災害による農家の深刻な被害を何とかこの面ででも救済をしてやりたい、だから普通の年の農業災害違つて、本年は非常な深刻なものがありますので、すみやかなる農業保険による救済をやりたい、こういうことでせつかくの努力をしておるが、さてその資金的、予算的裏づけはまだ一向見当がついてない、これではまつたく農民をして失望さすだけであり、またその事務を実際末端においてとつておる者としては、実際農民に対して言訳がつかないのです。そのこと自身が農業共済制度に対する不信を高めて、また政府のやつておる三についていろいろな批判が起つて来る大きな原因になつておるのであります。だからあなたとしては、まだそこまで相談をしてないから、これ以上答弁ができぬといえばそれでしまいでありますけれども、この点については相当御検討を願つて、すみやかに第二次補正予算なり、または本予算で十分これに対する所要の予算額を計上できるような処置をおとり願いたいと思います。  特にこの際これに関連して伺いますが、昨日も予算委員会で問題になつておりましたが、御存じの通り政府の方では、大体本年度災害を千五百五十六億ですか、四十六億ですかに押えて、これを初年度三割、次年度五割、その次が二割、それで行きたい。ところが今年は御承知通り、三百億しか第一次補正ではできない、あと金融によつて百四十四億をやる、この金融預金部資金をまわす、こういうお話でございます。そこで昨日も問題になりましたように、これはあなたの方の専門的所官ではないからわからぬといえばそれでおしまいですけれども一体預金部資金の全体の帳じりが百工億くらいしかないというときに、百四十四億をかかえ込んで、さらに七十億をかかえ込むということになると、実際預金部資金運用によつてそういう金融的な操作ができることになりますか。その点予算編成責任者であるあなたとしてはどうお考えになりますか。
  27. 千葉三郎

    千葉委員長 ちよつとお諮りいたします。正示政府委員からお答えいたしますが、同時に理財局長を呼んで、この問題をもう少上掘り下げて御質問なつた方がいいと思いますし、今呼んでおりますから、さよう御了承願います。——それでは後ほど理財局長からお答えすることにいたします。井上さん、質問は次にまわしてよろしゆうございますか。
  28. 井上良二

    井上委員 その問題でもう一点だけ聞いておきますが、大体農林当局としましては、今年度損害査定最終結論はいつごろつく予定です。それが大体見込まれませんと、第二次補正予算に対する要求も、また本払いに対する対策も具体的に立つて来ないと思いますが、各県に対して、いつごろまでにその損害査定の全体の要求本省でまとめようとしておりますか、これを伺いたい。
  29. 久宗高

    久宗説明員 これは事務的なことになりますが、東日本につきましては、先般関係者に全部集まつていただきまして、実際の手続が可能かどうかをお伺いした上で、十一月の二十日までに県段階までの数字をおまとめ願つて、それを本省の方に御連絡願うように進めております。西日本につきましては、刈取り時期がそれから若干ずれますので、これは十一月の上旬ないし中旬に会議を開きまして、さらに県別手続完了の確認を得た上で処理いたしたいと思つておりますが、それのきまりますのは、おそらく一月に入ると考えられます。
  30. 井上良二

    井上委員 そんなに時間がかかるんでしたら、第二次補正に間に合わないじやありませんか。現実にあなたのかかえておる会計の中には、赤字が出て、一般会計から繰込みを願わなければならぬ金額あと百億を越すのじやないか、現在八十五億を繰入れてもらつても、さらに百億を越さないかとわれわれは推定をしておる。そういう一つの推定がされる場合に、であなたの方の査定が遅れて、補正予算で大きな予算的処置ができないという場合の責任はだれが持つのですか。
  31. 久宗高

    久宗説明員 その前段階の方にお答えいたしますが、そういう場合を想定いたしまして、特別会計にも基金勘定があるわけでございますが、基金勘定の額が十分であればこのような事態に対処できるわけであります。通常の年であればそれで済んだわけでありますが、本年のような超異常の災害に対し、基金の二十五億ではその機能が果し得なかつたと考えられます。
  32. 井上良二

    井上委員 基金勘定基金勘定と言うておるけれども、そんなものはわずかしか金がありやしません。ほとんど仮払いで使うてしまうことになろうと思う。だから実際の本払いをやります場合の予算的措置を大蔵省に折衝するにあたつて、あなたの方が災害損害補償国庫負担分なり、特別会計の繰入れの最低額というものが最後的に決定されることが必要じやないか、それを土台にして予算化することがほんとうではないかと思いますので、この作業が遅れても、第二次補正予算は遅くも十二月中旬には提出されるようなことになろうと思いますが、それが手遅れになつたら、一体事後措置はどうするのですか。
  33. 久宗高

    久宗説明員 ただいま損害評価の額が決定すると申しましたのは、厳密に申し上げたわけであります。西日本につきましても、十一月中には刈取りが終るわけであります。他の作報その他の資料もそれと並行して進行いたしますので、農林省といたしましては、全体の支払いが大体この見当という数字が今出しておりますよりもう少し明確な形で固まるのは、十二月中にはもちろん固まるわけでありますが、ただ末端から一筆ごとに評価したのとそれがぴつたり符合するということは申し上げられないわけであります。
  34. 井上良二

    井上委員 それからもう一つ聞いておきますが、正示さんは七十億に対して何か予備金から利子補給をするという話ですが、全部利子補給をされるだろうと思いますが、それの予算及び法律は一体どこへ出ておりますか。
  35. 正示啓次郎

    ○正示政府委員 先ほど保険課長から申し上げましたように、今度の農業共済保険特別会計につきましては、まず一番健全と申しますか、確実な資金の調達方法としましては、これを一般会計から繰入れるという方法があつたのでありますが、いろいろの関係で、まあ七十億だけは金融措置ということに修正なつた。そこで金融措置の場合に、特別会計がまつすぐ金融を受けるということになりますと、やはり預金部というのが一番常識であり、健全な方法かと思う。しかしこの会計支払い関係は、御承知のように一方連合会というもう一つの機関があるのであります。これは先生御承知通りであります。そこで連合会が市中から金を借りる場合には、この連合会に対しまして利子補給するという手が一つ残されているわけであります。その関係は、別途今回修正によりまして御承知のように、災害対策予備金が増額になりますので、その予備金をもつて場合によつたら措置をする、こういうような一応の考え方ができる、こういう意味で先ほど保険課長が御説明申し上げたのだと考えます。
  36. 井上良二

    井上委員 それは非常に大事なことを聞きましたが、そうすると各単位の連合会で、かりに政府予算的最終的な算定が非常にひまどるというところから、単位の各県の連合会が当該の被害額が大体このくらいの見通しだ、従つて政府からめんどうを見てもらうのはこのくらいの額に達すると推定されるというところから、その八割なら八割、七割なら七割を市中銀行から、政府が当然その損害保険をやつてくれるというところから借りることは政府は許しますが。市中銀行から連合会が借りることを許しますが、利子はあなたの方で補償する、こういうことになれば、それをひとつ御答弁願いたい。
  37. 久宗高

    久宗説明員 ただいま連合会が借り入れると申したのでありますが、事実その通りでありますが、金融の筋から申しますと、御承知通り農業共済基金というものがございます。基金の資金が十分であれば、連合会保険金支払いのために必要とする資金は借り得るわけでございますので、もしそういう方法をとるといたしますと、農業共済基金の資金手当をいたします。基金から連合会不足金の部分を貸しつけるという形になるわけであります。それは可能だと思います。
  38. 井上良二

    井上委員 その今のあなたの御説明は、今までやつているやり方です。基金から、政府から資金を仰いで各連合会に資金的あつせんをするというのは、今やつているやり方です。今正示さんの御説明によると、連合会が市中銀行から融資を仰ぐことができる、その場合利子は国が補給する、こういうお話ですから、連合会基金があれば問題がありません。農業共済基金会計にこれら各連合会融資するだけの基金を持つておればいいのですけれども、ほとんど持つていない。従つて各県連合会は当該の市中銀行と談判をして、いずれ共済保険金が払われるから、それを目当にしまして、一時その金を借りて農民支払う、その間の利子は政府が補給する、こういうことにした方が最も手取り早いし、それが許されるかどうかということを聞いておる。今あなたの説明されたのは、今までやつておるやり方であるが、正示さんが説明されたのは、新しい考え方に立つておる。そこに食い違いがある。
  39. 久宗高

    久宗説明員 ただいまのお尋ねでございますが、ここで今考えております利子補給の問題は、本来の連合会責任部分でない、つまり国の責任になる部分につきまして、再保険から直接支払いができません。しかし額がもうきまつているという場合、連合会責任部分を越える部分を連合会が借りなければならないという形になりますので、その関係利子補給をしようということでありまして本来の連合会責任部分の不足金の借入につきましては、従来基金との関連で処理しておりましたのと同様な方法によつて処理をいたしたいと考えておるわけでございます。
  40. 井上良二

    井上委員 そうすると、正示さんの今お話なつたことはだめですか。それから農業保険課長は、せつかく大蔵省がそこまで親心を持つておるのに、それをうまくつかまにやいかぬ。それをつかまぬと、今まで通りのやり方で行つたのではとてもひまがいつてものにならぬ。私の言つておる当該連合会が、当該管轄において当然国庫負担となるべき損害額が出て、その七割なら七割を市中銀行から保険金支払いに借りる。その場合その金に対する利子は政府が補償する、こういうのであるから、そうしておく方が手取り早い。あなたの言うように、共済基金政府から金融をあつせんしてもらつて、それをまたやるなんて、なかなかひまがいつてとても間に合わぬ。
  41. 正示啓次郎

    ○正示政府委員 私の答えが簡単にすぎた点があつたかと思うのでありますが、最初に申し上げましたように、でき得る限り預金部資金でやりたいという考え方にかわりはないのであります。この点あとで理財局関係の者が参りまして、預金部の関係を御説明申し上げると思うのであります。私は、そういうことに努めましてもなおどうしても足りないような場合には、ただいま保険課長の言われたような点を多少端折つて申し上げたのでありますが、農業共済基金をして連合会金融させるというふうな道がある、こういうふうに申し上げた方が正確かと思うのであります。しかしながら私どもとしては、最初に申し上げましたように、ただいまのところ、まだ預金部で全部できないというふうにも考えておるわけではございません。この点は預金部資金をよく検討いたしまして、今後決定いたしたい、こういう趣旨でございますので、御了承願います。
  42. 井上良二

    井上委員 最後に正示さんにお願いをしておきたいのですが、ただいま保険課長説明を聞いておりましても、実際上作業が非常に遅れまして、とても第二次補正を国会に提出するまでに、本年の災害査定全体が予算士に計算される金額が出て来ないことになるかもわかりません。しかしながら大体推定はつき得ると思いますから、ぜひとも第二次補正で次の分を予算化することに努力してもらいたいと思いますが、その心構えがありますか。これから足らぬ分を第二次補正に載せる腹構えを持つているのか、どうですか。
  43. 正示啓次郎

    ○正示政府委員 私どもは、腹構えとおつしやられますと、一事務屋でございますので、方針によつてこれはやつて行くことにかわりはないのでありますが、しかしきわめて事務的に考えましても、最初に申し上げましたように、最も健全なやり方、また支払いの円滑、迅速を期するという意味におきましては、これを一般会計が繰入れることが正しいというやり方につきましては、すでに政府の原案においてもそういうふうになつておつた点によつても御了承願えるかと思います。ただ第二次補正に必ずこれを計上するかどうかという点になりますと、これは全体の財政のやりくりの問題になつて参りますが、私どもとしては、事務的にはそういうことも考えられますが、方針の問題は軽々には申し上げられません。この点は先生御同情をしていただきたいと思います。どうぞよろしくお願いいたします。
  44. 井上良二

    井上委員 えらいくどいようですけれども、これは法律に規定してありますから、あなたが法律をないがしろにするなら別です。それなら法律の修正をして、全額負担はできぬから、もうちよつと安くせいとかなんとかいう修正案をあなた方が政府提案で出したらいい。国会が承認するかしないかは別として……。そういう手続をせずに、法律によつて規定されて、毎年それが行われているものを、例の財源関係から、別に全額利子補給をしてまで金融にたよるという行き方は、どうもわれわれ納得できないから、これは第二次補正予算の場合、あなたが一番詳しくよく知つてるから、計上してもらうように私は要求しておきたいと思います。
  45. 千葉三郎

    千葉委員長 柴田義男君。ちよつと申し上げますが、先ほど政府委員といたしまして、通産省石炭局長の佐久洋君並びに通産省の石炭局鉱害課長の阿部久一君も出席されておりますから、こちらに対する御質問もこの際お願いいたします。
  46. 柴田義男

    ○柴田委員 災害の状況は、すでに皆様御承知のように、西日本を初め東北地方から北海道にかけまして冷害の状況が非常に深刻でございますから、この冷害あるいは西日本の十三号台風等におきまする被害総額が大体農林省で今まで資料をお集めになりました範囲においての総額といたしまして、冷害関係が概算どのくらい、それから十三号台風による被害がどのくらい、こういう数字をおわかりでございましたならば、お知らせ願いたい。
  47. 久宗高

    久宗説明員 お尋ねは災害によるすべてにかかる数字だと思うのでございますが、私は農業保険関係を担当しておりますので、全体の数字につきましては、今ここで数字をもつておらないのであります。お手元に配つておりますのは、農業災害補償法関係でどうなるかという数字だけをお手元に資料でお配りしておる次第であります。
  48. 柴田義男

    ○柴田委員 今のお答えでございますが、私の今御質問申し上げておりますのも、保険を対象としての金額でございますから、その点をお知らせ願いたい。
  49. 久宗高

    久宗説明員 最終的な数字がまとまります場合には、災害の種類別の数字がとりまとめられるわけでございますが、現在ここにお出ししてありますのは、そういう災害が全部競合いたしましたのが収量の上にどう現われるかという数字でございますので、災害としての数字はお示ししてないわけでございます。これは、たとえば冷害と病虫害とが競合した場合とか、いろいろな場合を含めまして、水稲では幾ら、陸稲では幾らというような数字をお示ししたわけでございます。
  50. 柴田義男

    ○柴田委員 この資料をいただいております被害の状況と申しますのは、何月何日ごろの現在のものでございましようか。
  51. 久宗高

    久宗説明員 一応数字で申し上げますと、十月五日の数字ということになりまして、これは参考に出しました作報関係資料につきましては、十月五日ということでございます。ただその基礎になつておりますのは、作報数字だけではなくて、各連合会から中間的に報告していただいたもの、また私どもの係官が現地に参りまして個別に見たもの、そういつたものを全部集計それぞれ検討いたしまして、数字をつくつたわけでございます。従つてその以後の正確な数字が織り込まれてないじやないかという御質問もあろうかと思うのでありますが、そういうものも、推定の中に含めて推定を立てておるわけでございます。
  52. 柴田義男

    ○柴田委員 今の御答弁で、十月五日を基準といたしまして、そのほかのいろいろな資料を織り込んだという御説明でございまするけれども、この水稲のごときものは、実際表面見た場合と刈りとつたあとの状況とは非常に相違があるのであります。これは現実の状況であります。おそらく被害の状況はこれから相当上まわるのじやないかということをわれわれは想像しなければなりません。こういう状態におきまして、今の八十五億というような保険の支払額を算定いたしますることは非常に危険じやないか、こう思いまするが、これに対するお考えはどうでございますか。
  53. 久宗高

    久宗説明員 先ほどもお話いたしましたように、各県別に具体的に当つて参りました数字金額は、被害率が、たとえば水稲で申しますと一五%見当になるという数字を示しておりますが、もちろん一応県別の内訳はあるわけでございます。それによりまして検討したわけでございますが、もちろんこれよりも下まわる場合もございましようし、上まわる場合もございましよう。一応私どもといたしましては、事務的には八十五億見当数字になるだろうと推定しておるわけでございます。
  54. 柴田義男

    ○柴田委員 そういたしますると、この百三十億を、現在の予算上の措置といたしまして八十五億としなければならぬ、こういうことでありまするけれども、保険という性質から考えまして、農業災害保険に関しては、こういうような非常な減額をして支払わなければならぬということになりますと、将来冷害あるいは風水害等によつて農民現実被害を受けました場合に、政府に対する非常な不信を持つではないか、信用をしないではないか、こういうような関係があると思いまするが、これに対しましてどのような説明とどのような方法をもつて減額された保険金支払いに充てるか、どういう説明農民に与えるか、これを承りたいと思います。
  55. 久宗高

    久宗説明員 ただいま減額というお話があつたわけでございますが、そういうことではないのでございます。農民の方に対しましては、当然国といたしましては保険金支払い責任があるわけでございますから、もちろんそれは支払う。ただその支払方法につきまして、ただいま大蔵省の方から御説明がございましたようないろいろな方法があるわけでございますが、実際農民が取得すべき利益そのものは、いずれかの方法で確保されるわけでございます。財源がないから支払いをしないという問題ではございません。
  56. 柴田義男

    ○柴田委員 最終的には支払いの義務はもちろんあるのだが、現在予算的措置としてできない。それではどういう方法をもつて最終的に支払うか、こういう点を大蔵当局から承りたいと思います。
  57. 正示啓次郎

    ○正示政府委員 お答え申し上げます。先ほど井上先生にお答え申し上げました通りに、最も健全なやり方は、いきなり一般会計から繰入れることであるということについては、その通りでございますが、諸般の関係から、一応今回はその分を八十五億ということにいたしまして、残りはいろいろの基金を充当するとか、積立金を充てるとかいうふうな諸般の手を講じまして、なお今回補正予算に計上いたしましたものとの差額が四十五億、ただいま農林省から出されました資料によりますと七十億、こういうことになつておるわけであります。私どもとしましては、これを特別会計に対しまして、預金部から金を貸すという方法がまず考えられる。これが、一般会計から繰入れる方法の次に健全な、また常識的な方法かと考えるのでありますが、しかし先ほど井上先生から御質問のありました通りに、預金部で万一できないような場合もあるのじやないか、あるいはまた、ただいまの柴田先生の御趣旨もそうであろうと思うのでありますが、支払いを一層迅速にすることが非常に必要であるという関係もあろうかと思います。そういう場合におきましては、さらに共済基金金融をつけるという道もあろうかと思うのであります。いずれにいたしましても、それらの方法を総合的に講ずることによりまして、支払いの遅延を来すことのないようにいたしたい、これが私どもの目下考えておるところでありまするので、ただいま申し上げたようないろいろの方法を講じまして、完璧を期して行きたい、こう考えております。
  58. 柴田義男

    ○柴田委員 今の大蔵当局の御親切な御説明はわかるのでございまするけれども現実の問題として、農林省の保険課の方でそういう迅速な措置をおとりになる御用意がすでにできておりましようかどうか、もう一度承りたいと思います。
  59. 久宗高

    久宗説明員 支払いの前にもちろん損害評価確定する必要があるわけでありますので、この関係の指示は、東日本につきましてはすでにいたしております。西日本につきましては、今のこの予算の問題との関連いたしまして見送つておつたのでありますが、大体これと関連いたしまして、十一月上旬ないし中旬にさらに指示をいたしたいと考えております。損害評価の方は、例年によりますと非常に遅れるわけでございますが、本年におきましては、早期支払いとの関連におきまして、事務的にできるだけ詰めて、しかも正確なものを出したいと考えておるわけであります。
  60. 千葉三郎

    千葉委員長 山本勝市君。
  61. 山本勝市

    ○山本(勝)委員 だんだん承つておりまして感ずるのでありますが、いまさら申し上げるまでもないことでありますけれども、この農業共済については、こういう、異常の災害が来て、これは特別な年でありますけれども、従来からもこういう関係のものはもうむだだ、やめてもらいたいというようなことを農民自身から陳情して来ておるところもずいぶんあつたわけであります。実際問題として、保険としての一般の一つの条件といいますか、統計的な基礎というものがなかなかきめにくいというところに、生命保険のような永年正確な統計を持つておるものとは比較にならぬ困難さがあると思うのでありますけれども、しかしこういう災害ごとにこの施設があまり役に立たないで、特別に災害対策というものを国会でやかましく議しなければならぬ。結局こういう災害に対するふだんからの設備では、そのうちのほんのちよつぴりした役割を果すにすぎないというふうなことを、こういう大災害のときには根本的に考えてみなければならぬのである。もしこういうふうなときに、なお事務上の手続が遅れるとかなんとかいうことで、せつかくふだんからそういう場合に備えるためにつくつた施設があまり役に立たないで、臨時に災害対策あるいは冷害対策とかいうことで国会で議した方が役に立つて、常設的な災害施設はあまり役に立たぬというようなことになると、いよいよもうこういうものはやめてしまつて災害の起つたときに特別に議した方がよいということになりはしないかということを、人先ほど来の話を聞いておつてなお感ずるのであります。ですから、ふだんはもうやめてもらいたい。こんなものは掛金ばかり出していて、いらぬからもうやめてもらいたい。何でも新聞で見ると、千葉県などでは解散の決議をしたというようなことも聞いておるわけであります。私どもの選挙区でも、この災害の前でありますけれども、脱退できないものかというようなことを言つて来ておる町村はたくさんあつた。ですから、こういう異常の災害があつたために、かえつてこういう施設があつてありがたいということになつて、この保険制度を見直したというふうに農民がなるようによほど努力しないと、やはりこんなものは役に立たない。それよりも別に国会で対策費をとつていろいろやつてもらつた方が役に立つたということにならぬように御考慮願いたい。もちろんこういう大災害に対して、この保険制度だけで対処できないことは申すまでもありませんが、やはりこういうものがあつてよかつた、もうやめてもらいたいなどと言つておつたのは間違いであつたというふうに、この機会にひとつ農林当局も大蔵省等でもよく研究してもらいたい。それだけ申し上げておきたい。
  62. 春日一幸

    春日委員 議事進行について。別の法律案特別鉱害復旧特別会計災害復旧のための交付金財源をいろいろ考慮される法案を上程されておられますが、それについては、ただいま並行審議されております農業災害の場合の補填金と同様に、どの程度鉱害があり、しかも大臣がこれをどういうぐあいに認定しておるか、やはり法律に基いての申請の状況、それから認定の結果並びに特別会計の資金の状況がどういうぐあいであるか、これを資料として提示しなければわれわれは審議することはできません。従つて農業保険課から提示されておりますのと同じような資料を、あわせてここに御提出を願いたい。
  63. 佐久洋

    ○佐久説明員 大体私の方で調査いたしました資料がございますので、後刻お手元に差上げたいと思います。
  64. 福田赳夫

    福田(赳)委員 ただいま参りましたので、お尋ねが重複しておりましたらお許しを願います。  私が伺いたいのは、今度にわかに三党政策協定に基いて、百三十億円という不足補填額を四十五億円減らしておりますが、これは次の臨時国会において提案になる御趣旨で減らしたのであるか、それをまず伺いたい。
  65. 正示啓次郎

    ○正示政府委員 ただいまの福田委員の御質問は、先ほど来井上委員、柴田委員からも御質問がございまして、お答えを申し上げたのでございますが、最も法律に忠実に、しかも財政政策からいいましても一番健全なやり方は、一般会計から繰入れることであることはもとより間違いないと思いますが、諸般の事情によりまして、一応四十五億円だけはこれを減額いたすことになたのであります。従いまして、この次の補正予算に組む、含みかという御質問でございますが、この次の補正予算につきましては、いろいろの問題がなおございまして、それらについて慎重検討中であります。もとより法律の定むるところによつて、いつかはこれを組まなければならぬことは当然であります。それは早いほどよいということも間違いないのであります。そういう趣旨でいろいろ検討いたしておりますが、必ずこの次の補正に組むというところまでは、ただいまのところ言明いたしかねる次第であります。
  66. 福田赳夫

    福田(赳)委員 政府原案によりますと、支払い保険金の支出総額が二百二十一億円、これがその後検討した結果であるか、あるいはその他何か事情があつて四十五億円減らしたのか。その減らした事情を承りたい。
  67. 久宗高

    久宗説明員 今の二百二十一億円というお話が出ましたのは、私どもといたしましては、二百四十六億という数字を検討したのでございますが、ただ先ほども申し上げましたように、まだ確定的な数字ではございませんので、そこに若干の振れがあるということで、予算の際には下の方に振れをみまして二十五億ほど引いたわけでございます。それを最低の額として、それを基礎にして計算いたしましたので、そういう数字なつたのであります。
  68. 福田赳夫

    福田(赳)委員 そうすると、百三十億円の基礎はわかるのですが、百三十億円にならざるを得ない、それをさらに四十五億円減額するという理由がわからない。しかも政府説明によりますと、二百二十一億円というものは見通しによる最低の数字で、まだまだふえるかもしれないという説明です。それを急にそういうふうに逆にお減らしになるということはどうも納得が行かない、この点お伺いいたします。
  69. 正示啓次郎

    ○正示政府委員 先ほど保険課長が申し上げました二百二十一億という数字が百三十億の積算の基礎でありまして、この二百二十一億から保険料、再保険料、それから支払基金勘定積立金勘定を引きましたのが百三十億になつた。そこで百三十億をいきなり一般会計から繰入れるのが原案であつたわけでございますが、その保険の要支払額というものにはなお今後移動がある。それはあるいはふえるかもしれない、減るかもしれないという両方の移動の要素があるということを申し上げたわけであります。しからばなぜにそれを八十五億に減額したかという御趣旨でありますが、これは私が申すまでもなく、福田先生つとに御承知のような事情でございますので、御了承願いたいと思います。
  70. 千葉三郎

    千葉委員長 なお本日は中小企業金融公庫の総裁坂口君が御出席なつておりますので、年末金融に対する質疑を進めたいと思います。本名君。
  71. 本名武

    本名委員 坂口総裁に一、二点お伺いいたします。冷害関連いたしまして、地方の中小企業の金融に対して、発足日が浅い公庫ではございますが、経済界の異常な動きに対しまして、中小企業に対する金融対策を一、二伺いたいと思いますが、その前に、やはりこの間この委員会で、中小企業金融公庫が各地方に資金のわくを設定している。そのわくを設定する基準はどうかということを銀行局長に伺つたのでありますが、局長は、立場上かもしれませんが、まことに抽象的なものさしをもつてきめられたという御答弁があつたのですが、一応事務的に直接当面の責任者である総裁は、この資金わくを、根本的にどういうふうに考えてきめられたのであるかということを、一度参考に伺いたいと思います。  それから冷害、水害は、ひとり農業者、あるいは直接罹災者だけの上に金融難を招致したのではなくして、それらに関連のある、特に農村あるいは地方市街地における中小商業者に影響した点は、非常に大きいことのように考えられます。特に農村を中心にした地方の市街地の商業者は、農村みずからがそれぞれの相当機関によつて、肥料を初めあらゆる農業資材、あるいは生活必需品というものの購買を行つておりますが、そればかりでなく、一般の商人からも相当の買入れをいたしております。それがたまたまこういつた災害によりまして、まつたく収入の道は断たれたというような現実からして、当然そのしわ寄せが市街地の、あるいは農村の商業者に集まつて来ている。その結果が相当額の売掛金の回収不能を生じておる。この問題は、もちろん冷害による農村救済は必要でありますが、ことに国内の食糧事情からして、当然重点を置かれなければならないことは必定でありますけれども、一方冷害の農村に対する売掛金の未回収という問題以外に、今日のいわゆる政府のインフレ抑制策と相まつて、その他諸般の経済情勢から、金融難が当然この中小企業者におおいかぶさつて来ておる。この現実の上に立つて、さらに今申し上げました冷害による農村に対する売掛金の回収不能ということが、相当にふえております。これらに対して、おそらく中小企業金融公庫融資の対象として、いわゆる短期の運転資金に重点を置かれていない方針であられたかもしれませんが、この非常時に際して、中小企業金融公庫として非常態勢をとつて、これらの地方の中小商業者に対して、特別の融資をする方法はないか。さらにまた、これはむしろ大蔵省に聞かなければならないことですが、その場合における利子補給をするようなわけには行かないかどうか。一応総裁としての気持を伺つておきたいと思います。
  72. 坂口芳久

    坂口説明員 第一点の資金のわくのきめ方のお話でございますが、代理店ごとに長期資金の貸出しの能力というようなことを考える基準といたしまして、従来開発銀行の方の代理店をいたしておりましたものにつきましては、その当時の実績をも参酌いたし、その地方における中小商工業の様子、状態等をも参酌いたしまして、一応きめました。しかし何分にも資金の総量が少いために、各代理店ごとの資金の量は非常に少いのであります。しかしながら、先ほどもちよつとお話がありましたように、年末も迫りますので、本年度の資金のうち大部分のものを、年末までの資金のわくの中に含めまして、これまで割当てましたものが約六十五億見当なつておりますし、ただいま割当中のものを含めますと、なお十六億ばかりふえますので、来年の一—三の間には、十億見当を残す程度にまで、全部割当を見たわけであります。しかし地方の代理店からの御要望、代理店に対する中小商工業者の資金の要望は非常に多いので、地方によつては、代理店のわくの少いのは私も非常に遺憾に存じますが、資金のほとんど全部を、この十二月までに割当てるようにいたしているようなわけでございます。  それから運転資金のお話がございました。御承知のようにこの公庫は、法律の建前が長期資金となつておりますので、運転資金につきましては、普通のものは大体短期のものが多いのでございますが、運転資金を長期に貸すというふうな意味をもちまして、最近から運転資金を貸し付けることにいたしまして、各代理店に通知いたしました。この運転資金の出し方も——運転資金と申しては少し大げさ過ぎるのでありますが、むしろ小品長期運転資金と申した方が実態に合うのでございますが、資金の量から考えまして、大体一件百万円を最高にしたいというふうな考え方でございまして、貸付けの対象は、さしあたりこういうようにやつて行きたいと思つております。一つは、資本構成を適正にするための必要な長期運転資金、むしろ長期資金とか自己資金でまかなうべきものが、短期の金でまわつているために苦しいのを直してやろう、こういう意味での長期運転資金というふうに考えたのでございます。従つて、これは業況が悪くて順調に行かなくて、滯貨がたまつているというのじやなくて、業況は普通であるけれども、本来ならば自己資金とか、あるいは長期の金でまかなうべき部分が、短期の金でまかなつているがために、経営が安定しない、運転資金というような意味でのもの。それから二は、これは従来も出しておつたのですが、経営の合理化に伴う長期の増加運転資金。それから第三には、事業の維持発展に必要な試験研究費とか、試作費、探鉱費というような、経営の改善に必要なもの。それから最後の四は、代理店だけに御判断願うのは少しどうかという考えで、私どもの公庫と事前に協議をしてやるもののうちとして、企業の建直しの資金、たとえば製作転換の資金とか、金融機関以外の高利債の整理資金、災害復旧、それから整理のための退職金とかいうような、事業の建直しの資金というものも出したいという考えでおります。しかしながら、先ほども申しました通り、資金の量が少いために、十分にまわらないということを考えまして、なるべく広く貸出しをいたしたいというので、一件最高百万円という制限を置いた次第であります。
  73. 本名武

    本名委員 長期資金に重点を置かれた考え方で、いわゆる小口の運転資金にも相当の融資をなさろうとすることは、まことにけつこうでありますが、今お話を伺つておりますと、端的に申しまして、その小口運転資金百万円までという限界は、これは非常に変な言い方ですが、従来中小融資をしていた市中銀行の貸出しの肩がわりのために、運転資金の制度を設けられたのじやないか、運転資金を貸し出す制度をとられたのじやないかというふうな、皮肉な考え方もされるのであります。中小企業金融公庫の使命は、何といつても従来市中銀行の手に届かなかつた中小企業、あるいは国民金融公庫などの手の届かなかつた零細な企業者に融資されるところに一つの大きなねらいがあつたのですが、どうもこの公庫の金がそういうふうにせつかく小口運転資金にまで手を広げられたその親心が、逆に従来の市中金融機関を通じての肩がわり資金になりはしないか、このせつかくの公庫の使命が薄らぐのではないかというふうに考えられると同時に、先ほど申し上げましたように、このたびの異常の金融難に際して、特に冷害による農家の——徴収不能までには至つておりませんが、要するに売りかけの固定したものに対する融資というものが、はたしてその百万円以内の小品運転資金の制度の上で十分活用されるかどうか。これらを公庫として、特に冷害に対する農村地帯の商業者に対して特別考えるという御指示をなさつて、中央でそれらに十分厚い融資ができるようになさる御意思がないかどうか、特別な扱いをする気持がないかどうか。それから融資利子引下げの問題は、今ここで御答弁いただこうとはもちろん思つておりませんが、その気持をどの程度に総裁は考えておられるか、それをお聞きしたい。
  74. 坂口芳久

    坂口説明員 初めの金融機関の資金の肩がわりの点でございます。この点につきまして、今度の運転資金を出しますにつきましては、従来の取引金融機関が従来通り引続き援助をするということを条件にいたしております。従つて金融機関の肩がわりは認めないということであります。引続き従来通り運転資金を出してもらわないと、出しただけそちらが減りましたのでは、私どもはせつかくわずかでも出すのに効果がないと思うのであります。従来通り引続き従来の金融機関が援助するということを条件にして出したいと考えております。  それから冷害関係につきましては、東北方面の代理店からそういつて参りました。それにつきまして、そういうことを考えながらやつておりますが、必ずしもそれに十分とは行かないかと存じております。  それから利子引下げの問題でございますが、水害につきましては、従来の九州のとき、今度の十三号台風、これにつきましては、政府の方針もありまして、六分五厘にいたしております。冷害につきましては、ただいまのところまだ政府の方からの御指示もございません。私の方では一割になつておりますが、冷害の直接の関係じやないと出しにくいんじやないか。水害でつぶれたやつを復旧するというのと違うから、私ちよつと今思うに、そういうことはむずかしいんじやないかという気がいたしますが、なお研究いたしたいと思います。
  75. 内藤友明

    内藤委員 関連して……。坂口さんに一言お尋ねしたいのでございますが、今の問題に関連しまして代理店の問題でございます。代理店の設けられたところが非常に需要されるのであります。設けられないところは非常に利用度も薄い、ほとんど利用されない。信用金庫あたりも代理店にされておるようでありますが、何か預金のことで控えられておるようであります。どうもあれが納得できないのでありますが、第二次、第三次、もう少し大幅にお設けなさるのでありますがその点をひとつお漏らし願いたいと思うのであります。いい施設ができて喜んでおるのであるが、はるばる出かけなければならぬということは、こういうものに対しまして非常におつくうであります。ついついやめておこうということになり、それが早速こういう制度ができたことに対する怨嗟になるということがありますと、これはたいへんだと思います。だから預金量で棒を引くなどという画一的な命のないやり方は、これは坂口さんのなかなかりつぱな御人格者でわれわれは敬服しておりますが、そういうつまらぬことを考えられる必要はないのじやないかと思います。どうもこれは銀行局あたりからどうだどうだとおつしやるのを考えておられるのだ、と思いますが、銀行局のおつしやることを聞かずに、あなたのお考えでどしどしおやりなさつたらいいのじやないかと思うのであります。その点ひとつお聞かせ願いたい。
  76. 坂口芳久

    坂口説明員 代理店でございますが、ただいま特に信用金庫について内藤さんのお話がございましたが、今度一番ふやしましたのは信用金庫でございまして、百六十八をふやしまして、従つて代理店は信用金庫が二百二十になり、非常に数が多くなりました。全体としてただいま代理店は三百六十二ございます。初め考えましたよりは、皆様のお話もありましたのでだんだんにふえて参りまして、百六、七十だつたのでございますが、今のところ三百六十二にふえております。将来も、これでおしまいだということは言えないのでございますが、先ほどもちよつと申しましたように、資金の量が第四・四半期になりますとほとんどなくなりますので、これ以上またふやしますことは非常に困難を感じますが、決してこれで代理店の指定を打切るとは考えておりません。
  77. 内藤友明

    内藤委員 そこで、代理店を設けたところはうまいぐあいに行くのですが、設けられないところは、どうもこういうありがたい施設を利用できないということになりますので、非常に不公平だと思います。公平の原則から逸脱すると思うのであります。その点はよくお考えいただきたいと思うのでありまして、信用金庫の資金量なんということを念頭に置かずに、中小企業の実態をながめながら、あるいはこの町に置かなければならぬ、置くとすればだれにやらせればいいかということでおやりなさる方がいいのじやないか。資金量の豊富なところは、正直に申しますとそれはいらぬところなのです。預金量の多いところは、そんなものに来てもらわなくていいというところでありますが、どうもそこらに少し矛盾したところがあるような気がいたしますので、将来預金の量で棒を引つぱつてきめるというような愚かなことをおやめなさつて、ほんとうに地方の実態をながめながら、ここは輸血が必要、ここは必要ということでおやりなさつていただくのがいいのじやないかと思います。どうかそういうことでひとつお願いしたいと思うのであります。
  78. 春日一幸

    春日委員 関連して総裁にお伺いしたいのでありますが、この公庫法は中小企業者の渇望のもとにつくられたのであります。ところがその後、中小企業金融梗塞打開のために一向役立つていないという失望を中小企業者に与えておると思います。またそういう非難の声もたいへん強いのであります。九月十三日かに開業されましてから今日まで、一体どういうようなぐあいにその仕事が進められておるか、九月、十月、十一月、さらに本会計年度が終りますまでの間において、どの程度の金を出そうという資金計画にあるか、この機会にそれをお示し願いたいと思います。
  79. 坂口芳久

    坂口説明員 この九月の十一日に開店いたしまして、初めの九月につきましては、資金をなるべく早く出したいという考えで、資金のわくをつくりませんで、代理店の出される限り出したのであります。それからあと、これからは資金のわくをきめて出して行きたいと思いまするが、十月以降は資金のわくをきめて出して参ります。十月から十二月までの資金のわくを大体一部代理店については通知いたしましたし、最近に留保になりました他の新しくつけ加えます代理店に対する資金のわくも、近く決定いたしまして出します。そういたしますると、これまでに資金のわくを決定いたしましたものが六十五億でございまして、これに十二億を加えまして、全体で年度末までに出しまするものの合計が七十七億見当になります。そういたしますと、それからあとの第四・四半期に対しましては、十億くらいしか残らないような関係で、年末までにほとんど大部分の資金を出すような関係になりました。実は当初は第四・四半期、来年に三十億くらいを残したいつもりでおりましたのですが、年末資金繰りの関係と、水害が起りました関係、十三号台風に対する七億の追加の割当をいたしました関係で、大体十二月までに資金の大部分を割当てるような結果になつたのでございます。それで現在まで代理店の方で貸付を決定いたしまして、私どもの方に言つて来ております額は約二十億でございます。そのうち資金が出ましたのが十二、三億でございます。残りは、当初の九月分につきましては、一部基準にはまらないために三億程度のものが版下げになりましたので、現在私どもの手元には三、四億のものが来ておるような状況でございます。おそらく十月、十一月、十二月には、この私どもの方の割当てました資金のわくが、大部分使われるのではないかというふうに考えております。
  80. 春日一幸

    春日委員 重ねて伺いますが、巷間伝えるところによりますと、代理店であなたの方へ申請をして決定されたものでも、とりあえず資金はないから、代理店の手持ちの資金をもつて代理貸しをしておいてくれ、資金がついてからいずれあとで送るというようなことが示されておるそうでございます。従いまして、代理店が融資をいたします場合においても、結局自分の手持ち資金を蚕食するということになりますので、勢い代理店がこういう申請を取扱うことを躊躇するような事態が多いということがいわれております。ただいまお話によりますと、すでにあなたの方は年内において大半を処理しようという、すでに八十億近いところの融資計画が立てられておるということであります。このことはただあなたの方の事務がまだなれていないという点も考えられるでありましようが、しかしながら、すでに国の予算は通つておるのであります。従つてあなたの方の承認を与えた資金が、あなたの方によつて手当ができないために、そういう貸出しがはばまれているというような事態がもしありといたしましたならば、これはもつぱらあなた方の事務責任でありますから、どうかそういうことのないように、十分考慮を願いたいと思うのであります。  それから次にお伺いいたしたいことは、先般十月二十九日に本委員会提出された資料によりますと、あなたの方自体のわくの中から、災害融資のために七億円食われております。本公庫法は、当然これは災害融資のためにできた金融機関ではありません。従つてプラン以外の方向に処理されたところのこの資金は、当然補填をされなければならないものと確信をいたしておりますが、総裁は政府に対して、この蚕食されたる資金を、いかなる方法によつて補填する考えであるか、どういう交渉をして参られたか、この交渉の経過並びにその見通しについてお伺いをいたしたいと思います。  それからさらにこれに関連をいたしまして、西日本並びに紀和水害に対しまして、当然公庫が引継ぐであろうという前提のもとに、開発銀行の金が十一億ほしいというわくがつくられておる。実際的には八億近い金がそういう方向に出されておるといわれておるのであります。一体この八億円の金なるものは、あなた方の手持ち資金であるところの九十五億円の中から出されるべき性質のものであるか。それとも見返り資金なり開銀なりが今までして参りました中小企業融資、やがて返還されるであろうものを見越して、予定して、そうしてこれは開発銀行の手持ちの金を出したものであるか。これに対して、あなたの方とどういう交渉が行われて、いかなる妥結のもとにその金が出されたものであるか、この点をひとつお示し願いたい。
  81. 坂口芳久

    坂口説明員 災害資金の十三号台風の七億並びに九州の十一億五千万、この資金につきましては、私どもも資金が非常に乏しいのでございます。政府に対しまして、この部分においては別に特別の資金を割当ててほしいということは要望いたしておるのでございます。しかし急を要しまするので、今度の七億につきましては、とにかく第四・四半期のわくを繰上げて使うことにはいたしておりますが、政府に対しては、引続きこの分を含めて資金の量はふやしてもらいたいということを要望をいたしております。それについての私ども見通しについては、まだはつきりいたさないのでございます。
  82. 春日一幸

    春日委員 第一問の答弁がない。
  83. 坂口芳久

    坂口説明員 初めの方でございますが、初めの方は、資金の配分が遅れるから、自分の金で立てかえてくれということを言つているがというお話でございますが、それは申しておりません。それを申しましたのは、開店の前でございまして、一部の金融機関に対しましては、私どもの開店が遅れましたために、九月中に出したい、九月の初めに出したいというときでございまして、そのときに、私どもが九月十一日開店でありましたために、緊密な連絡のあります一部の金融機関に対しましては、九月十一日に開店するのだから、その前に急に資金がいるようであれば立てかえてもらいたいということは申したのでございますが、その後は向うから資金の要求がありましたら、すぐに送つております。そうして資金交付の予定日までには間違いなく送つておりまして、立てかえておいてほしいということは申しておりません。
  84. 佐藤觀次郎

    佐藤(觀)委員 ちよつと関連してお尋ねをいたしますが、実はこの中小企業金融公庫のことにつきましては、通産委員会と大蔵委員会が合同審査をやつたことは御承知通りであります。ところがたまたま十一大銀行を除外をしたということ、これはわれわれ大蔵委員は知らないのでありますが、通産委員会はそういう附帯決議をつけてこの法案が通過いたしましたことは、御承知通りであります。ところが私は愛知県の郡部の方でございますけれども、実際はいろいろな機関がありまして、東海銀行という銀行が非常に地方的に進出しておりまして、金を借りるのにもぐあいがいいようなことになつております。こういう点について、その後どういうような処置をされておるのかいずれ同僚柴田君からいろいろ質問があるかと思いますが、具体的な問題として、前の春日委員も同じ名古屋でございますので、同じことでございますが、その点について、どういう処置をされるのか、またどういうふうになつておるのか、簡単に御説明を願いたいと思います。
  85. 千葉三郎

    千葉委員長 ちよつと、坂口総裁からお答えする前に、委員長といたしましてお答えいたしますが、本問題につきましては、たびたび通産委員会にこの大蔵委員会の意のあるところを申し込んだ、その結果当分——当分という意味をこの臨時国会までを当分と解釈するということで、過般の通産委員会では一応その決定を見たわけであります。そこでそれの促進方を一昨日通産委員長の大西君に申し込んでおきました。ところが通産委員会におきましては、この委員会の終了までにはそれをはつきりさせるという御返事をいただいております。なおこれは委員会だけの、委員長といたしまして通産委員会に対しての申出でありますが、そのほかに政府並びに中小企業金融公庫としておとりになつ処置はございません。委員会といたしましては、大体近く妥結するであろう、こういうふうに考えております。
  86. 坂口芳久

    坂口説明員 ただいま委員長からお話のありましたように、通産委員会の方の御意向も聞きましたので、さつそく十一大銀行に対しましては、代理店になつていただくような準備手続をただいまいたしております。従つてこちらの御意向がはつきりいたしますれば、すぐに代理店が開けるようになる準備は十分にいたしておるつもりでございます。
  87. 佐藤觀次郎

    佐藤(觀)委員 実は通産委員会の方からも、そういう話を聞いたのでありますが、おそらく趣旨といたしましては、今までの十一大銀行は、大体大きなものばかりに貸しておつて、中以下のものは貸さぬということになつて、こういうふうな条件をつけたと思いますが、今度の金融公庫は、御承知のように中小を対象として、できる限り現在困つておる中小工業者、そういうものに貸すということが趣旨でございます。われわれ十一大銀行を敵にするわけではありませんけれども、趣旨はけつこうだ。しかし具体的になつて来ると、りくつと実際とはむずかしくなつて来る。中小企業金融公庫ができたのは、現在日本の中小工業者は非常に困つておる、現在の状況ではどうにもならぬという立場から、こういう法案が出たわけでありまして、その点についていずれあとで柴田君からも質問があるかと思いますが、現実的にもう少し金融機関を動員してでもいいから、一般に困つておる人にすぐに金を貸せるような方法をどういうようにとつておられるのか、またどういうようにとられようとするのか、総裁のお考えを簡単でけつこうですから、お聞かせ願いたいと思います。
  88. 坂口芳久

    坂口説明員 ちよつと御質問の意味がはつきりいたさないのでございますが、私どもはなるべく小さいものに行き渡るようにいたしますために、一つには三百万円から上のものと、三百万円以下のもので手数料をかえております。なるべく小さいものに行くように、その方が流れやすいのではないかというふうに考えております。具体的には、そういう方法で小さいものに流れるように、また今度の運転資金につきましても、百万円以下という小口をねらつております。なるべく御趣旨に沿うようには考えておりますが、具体的にやつております措置はそのようなことであります。
  89. 柴田義男

    ○柴田委員 大分関連質問が本質問のようになりましたが、大体坂口さんの御答弁を承つておりますと、御方針はわかるのでありますが、ただ私どもは、末端金融機関の状況を見ますると、問題は金融機関それ自体が八割かの責任がある、こう聞いておりますが、これに大きな問題があると思うのであります。地方の金融機関が八割の責任を負わなければならぬというところに、融資の非常に不活発な原因が存在しておる、こう考えております。割当の点等に対しましても、いろいろな角度からわれわれは非常に質疑を持つておりますが、ただ要は、中小企業金融公庫の仕事の状況が、ほんとうに活発になつておるのかどうか。なるほど最近は各地方に理事さんを派遣されて、いろいろな説明会等を活発にやつておりまして、中小企業の大衆がこれを非常に期待して、何百名あるいは何千名というようにこの説明会に集まつて聞いておるのであります。それで何とか融資を願いたいといつて、地方銀行に殺到しておるのであります。しかし地方銀行ではそれに対しまして、いろいろな制約を加えておる。今坂口さんの御説明を承りますと、運転資金に対しても、百万円までは考慮する、こういうお話ではございますけれども末端金融機関説明では、この運転資金等には、今度の場合は全然考慮を払わない。第一条件としては工業に主として、しかもその工業のうちの、たとえば工場の改善であるとか、あるいは増強であるとか、こういう方面にだけ限つて融資の対象としておるようにわれわれは聞いておりますが、今の御説明とは非常に食い違いが現実に生じておる、こういう状態をどういうようにして——今の坂口さんの御説明のような方途をもつて末端まで滲透させて融資を活発におやりになるのか。活発にと申しましても、百三十億のわくの中で、しかも二十何億かは前の復金の肩がわりがございましようから、百億そこそこの問題でございますので、どんなに大騒ぎをやつたといたしましても、大したことはないことはわかりますけれども、足りない資金の中からも、ほんとうに中小企業を中心といたしまして考慮を払つてもらわなければならぬと私は思うのであります。それが現実金融機関の状態はやはり自分のところで今まで融資の対象としておるものを中心といたしまして、しかも信用のおけるものを中心とする、こういうことでありましたならば、ほんとうに中小企業に対する対策というものにはならぬと思うのであります。これらに対しまして、御方針を末端まで滲透させるために、どういう方法をもつてはかつてくださるかを承りたいと思います。
  90. 坂口芳久

    坂口説明員 代理店の窓口の取扱いの点でございますが、一つには資金の量の少いということが一番の元だと思います。代理店の資金のわくをきめておりますものですから、年末までに非常にたくさん私としては出したつもりでおりますけれども、代理店ごとに行きますと、非常に小さいものでございますから、その関係で期待が非常に大きくて申込みが多いにかかわらず、出します金が非常に少いという点があると思います。そのために、そういう御不満が地方にあることは承知しておりますが、何分にも資金の量の問題がありますので、御了承を願いたいと思います。  それから運転資金につきましては、これまでは設備資金以外のものは開店の当初認めませんでした。ごく最近に長期の小品運転資金を認めることになりましたので、これまでの代理店で申しておりましたのは、私どもの方針の通りなのでございますが、ごく最近に、この小品の長期の運転資金をやつてもいいように通知をいたしましたので、だんだん代理店の方に滲透して参ると思います。
  91. 柴田義男

    ○柴田委員 今、八割までは地方の金融機関責任がある、こういうことでございまして、反対に今度は手数料の面に参りますと、地方の取扱い代理店が四五%までの手数料をもらう、こういうことになつておるように聞いておりますが、この比率は間違いございませんでしようか。
  92. 坂口芳久

    坂口説明員 手数料は、ただいまのは三百万以下のものにつきましては、こういう手数料になつております。そうして今責任分担の割合でございますが、八割と二割の分と、もう一つ、逆になつておりますが、私の方は七割、代理店が三割というのも乙方式として一応認めておるのでございますが、これはまだ私どもの方として調査する力を持つておりませんので、私どもの方で調査ができるようになりますれば、こちらの方にもやりたいと思つております。ただいまのところでは、まだごくわずかな人でやつておりますので、簡素な方法でやつております。私の方で調査能力を持ちませんので、ただいまのところは金融機関八割、公庫二割の責任の方をおもにやつておる次第でございます。
  93. 柴田義男

    ○柴田委員 もう一つ伺いますことは、今後次の国会等では、もちろんこの予算の面で考えを持たなければならぬと思いますが、たとえば商工中金がやつておりますような金融債というようなことも、御考慮をなさつておるのかどうかを伺いたいと思います。
  94. 坂口芳久

    坂口説明員 ただいまの法律では、金融債は出せないようになつておりまして、全部政府の出資か、また政府からの借入金によるほかないのであります。なおそのほかに、政府からの借入金の限度も予算できめられておりますので、金融債で資金を集めることは、私の公庫ではできないことになつております。
  95. 柴田義男

    ○柴田委員 そういたしますと、先ほどの御説明によりますと、年末で大体手持ちの資金をほとんど貸しつけてしまう。そういたしまして十二、三億しか残らない、こういうことに現実の状況が進んで参りますると、その全部の予算をお出しになりますと、あとはほとんど開店休業という形をとらざるを得ないと思いますが、そういう場合の措置をどうおとりになるつもりでございましようか。
  96. 坂口芳久

    坂口説明員 それで私非常に苦慮いたしておるのでございますが、とにかく年末に資金がいるから、とりあえず今年末に重点を置いておりますが、それから先は政府と十分相談いたしたいと思います。
  97. 柴田義男

    ○柴田委員 もう一つこまかい点になりますが、百億そこそこでございますと、地方銀行のちよつと気のきいた銀行はみなそのくらいに扱つているのです。そういう程度の扱い量でございまして、現在公庫の人件費等はどれだけ予算を組んでおられるのでしようか。
  98. 坂口芳久

    坂口説明員 ただいま補正をお願いいたしておるのでございますが、当初に組まれましたのは五十名でございまして、このうちには自動車運転手、小使等も含めての五十名でございまして、あとはただいまのところは、ほかの金融機関の応援を多少求めまして、どうにかやつておるような始末でございます。なお人員の増加につきましては、政府に対して補正をお願いいたしております。
  99. 柴田義男

    ○柴田委員 相当小品の金融をなさるということでございまするならば、調査等にも相当人件費がかかるであろうということは想像されます。ただそういう場合にも、総裁以下幹部があまり多くて、そういう方面にたくさんの人件費をとらぬように御考慮を払つていただきたい。末端で借りることのできないような一般中小企業者は、公庫というようなものができまして、またお役人をたくさんそこへ送つてやるのだ、こういう印象だけ強くさせますと、中小企業に対する施策といたしまして、将来非常にいけない印象を与えるのじやないか、こういうことをわれわれは考えるのであります。少い資金をめんどうして融資をなさるのでありまするから、いろいろな考慮を払わなければならぬ、こう思いまするが、これらに対しまして総裁がお考えを持つておられるかどうか、この点を最後に承りたいと思います。
  100. 坂口芳久

    坂口説明員 御意見のようなことを十分に考えながら運用して参りたいと思います。
  101. 山本勝市

    ○山本(勝)委員 大体ほかの委員からいろいろな問題が出尽した思うのですが、坂口総裁の耳に入つておるかどうか聞きたいのですが、今度の中小企業金融公庫ができたときに、非常なふれ出しで、政府も中小企業者に対する重大な政策として説明しておるし、新聞にも出るし、解説書のようなものも出るし、非常な期待を持たれておつたのですけれども、その後私どもの耳に入つて来るところでは、何にもならぬ、こういう中小企業者の声が非常に入つて来る。それは総裁の耳にも入つておるでしようか、それを聞きたい。
  102. 坂口芳久

    坂口説明員 よくそういう声は聞いております。
  103. 山本勝市

    ○山本(勝)委員 もちろん金額が百億というのは、少い金額だということもありましようけれども、それだけでなしに、中小企業者に、やはりよかつたありがたいというふうな感じを起させる方法を何かお考えつきでありましようか。
  104. 坂口芳久

    坂口説明員 金額の点は一番おもなことになるのです。金額の少いという点が一番不満を多くしているのではないかと思いますが、そのほかに、私の方に対して無理な資金、短期の運転資金を期待される人が非常に多い。その誤解を解くことが必要ではないかと思います。そのことが非常に多いのと、あとは資金の量の問題だというふうに私ただいまのところでは考えております。
  105. 山本勝市

    ○山本(勝)委員 結局は、今度公庫は、従来の市中銀行でも恩恵に浴することができないし、それから国民金融公庫とか中金とかいつたようなところがあつて、それでもいかぬというところで、中小企業者を対象にしてできたものだ。金額が少いといつても、結局中小企業者からあんなものは何もならぬというような声を聞くということは、政府も予測していなかつたろうと思うのです。やはり私は金額以外にいろいろあるのじやないかと思うのは、今のこういうままなら、国民金融公庫の方がありがたいという声が多い。それで事実私の埼玉の例を引くと、埼玉のちよつとした町には金融公庫がありますが、金融公庫全体で三百万円しか来ていない、そうすると、三百万円では実際どうにもならぬ。ですからあまりこまかく涙ほどにわけ過ぎたために、結局ほこりのようになつてしまつた。総花という言葉がありますが、こまかくわけ過ぎたという点が一つあるのじやないか。わけるには、効果があつてこまかくするなら、なるべくこまかい方がいいのですが、あまりこまか過ぎて、今度はほこりのようになつてしまつた。それから従来銀行と取引をして信用もある、永年の取引もあるというところへ結局行つてしまうのじやないかと思うのですが、そうすると新しい、そういう取引のない連中は全然手がつかない。ですから初めから従来の取引市中銀行の資金のわくをふやしてやるのだというふれ込みならば、それは覚悟している。ところがそうではなしに、こういうものが新しくできたというのですから、自分たちもこれで潤おうと思つたものが、期待はずれになつた。ですから申込みは殺到しておるということを聞いておるのですけれども、しかし結局受託金庫の方では、地方では上の方へ行つてはねられるのだから、もうだめですというので、書類だけは机の上へ積んでおくところと、初めから書類を受付けたつてだめですといつて受付けないところもある。ですから、そこはひとつ六十億をこの年度末までに出すというような計画、これは割付でありましようが、実際に今までに出されたところも検討していただいて、二十何億は出ておるというお話ですが、その二十何億というものがどういう層に行つておるかということもよく研究してもらいたいし、それから六十五億といいましても、おそらく実際はそれだけ貸し出しできないのじやないかと私は思います。ことに年末なんということになりますと、年末の金に詰まつてつて来ると混線して来ますから、やたらになおさら簡単には貸せないということになつて、実際問題としては、かえつて金が余つて来るのではないかというふうにすら私は思う。ですから一応出発して、そういう計画でやられたのですけれども、ひとつ実績をよく検討していただきたい。そうして中小企業者にとつては地域的にも重大な問題であると思います。ただあまり一箇所に固まつてしまつてもいけないが、そうかといつて全国的にやつても涙のようになつてしまうのであります。全国のどこかで一人か二人ぐらいはありがたかつたという声となつて出て来るはずです。一人でもそういう声があると、全然無効ではなかつたということになりますが、もしどこに聞いてもあんなものはつまらぬと言われると、せつかく総裁が公庫へ乗り出して行かれても、困つた結果になる。つまり国家の意図とも違い、また中小企業者の期待もまつたく裏切られるということになりはしないか。いずれ来年度は資金のわくもふえると思いますけれども、しかし実際にやつた結果を検討してほしい。これをこれまでの銀行と取引をしていないもの、あるいはただ相互銀行とか、金融公庫とか、小さいところとのみ取引しておつたところでも、中には実際に考えていいものもおるのだ、その辺もよく検討してもらいたいと思います。
  106. 坂口芳久

    坂口説明員 御趣意によりまして、実績を十分に検討いたしたいと思います。
  107. 春日一幸

    春日委員 私の質問は、佐藤君に先に立たれて途中でやめたのですが、この機会に明確にいたしておきたいことは、ただいま御指摘がありましたように、看板倒れだ、つまり大蛇を見せるといつて中へ入つたら、青大将一匹しかいなかつたというようなことで、みんながまつたく期待はずれの思いの中にある。これはいなみがたい事実ですが、そこでわれわれは、とにかく既存のわくは確保しなければならぬ。従つてただいまあとの御答弁によりますと、災害融資のための七億、それから開銀が出した十一億五千万円のわくをいかに補填するかということは、政府と交渉中だが、なおめどが立つていない、こういうことです。こういうばかげたことでは私は断じていかぬと思う。これは中小企業金融公庫法の中にはつきり書いてあるように、中小企業者の長期設備資金、これは別の言葉で言うと、生産合理化のためのコスト切下げに使われる資金ということであつて、明らかに災害融資のことは含まれてはいない。私ども災害融資に使われたということが悪いというわけではないが、しかし災害融資のためにこういうわくを出してくれと政府から交渉があなたに行われたときには、これは当然そこに何らかの約束があつたと思う。一応君の方の金を出してくれたならば、後日これは何らかの形で補填するということがなければならぬと私は思う。わけて今回五百十億、補正による六百数十億円の災害復旧予算の中に、中小企業者に対する災害復旧のための予算措置が一銭一厘も講じられていない。このことは、政府の要請に基いて二十億近いところの金を出した責任者として、あなた方が当然政府との間において強力に交渉することによつて、これを補填される義務がある。農業あるいは林業、水産いずれの業種も、この第一次補正予算を通じてそれぞれ救済の手が伸べられておる。しかるに中小企業者に対しては何らそういう特別の措置が講じられてはいない。のみならず、すでに国会において議決されておるところの予算を、国民金融公庫において十六億、さらにあなたのこの公庫において二十億近く蚕食されておるということは、これはわれわれとして看過すべきでないと思う。しかしながら、あなたが交渉をして金を出したのだから、あなたが交渉してその金をとりもどされてはどうであろうかと思う。政府と交渉してなお見通しが立たぬというようなことは許されぬと思う。そこで私は、あなたにはつきり申し上げたいことは、いろいろ交渉しておるがめどが立たぬと言われるけれども、そのことは、あなたが政府に瞞着されたか、あなたの政治力が足らないか、あるいはあなたの熱意が足らないか、いずれかでなければならぬ。いずれにしてもあなたの責任に帰属する問題です。それで私は、この数日間の国会が開かれております間に、とにかく法律にきめてないところの金の貸出しをあなたが承認した、その責任者として当然奪還する責任があると思うので、その交渉をして、そうして次の委員会においてそのてんまつを明らかにいたされたい。あなたがそういうようなことができないとするならば、私どもはこの法律に基いて、法律の規定していないところに支出をしたところのあなたの責任を問わなければならぬと思います。この点をひとつ明確にいたされたいと思います。  それから私は、もう一つ重ねてお伺いをいたしたいことは、今川中小企業者も大なり小なり風水害によつて相当の災害を受けております。従つてこれは何らかの救済を必要といたしておりますけれども、今申し述べた通り、何ら予算措置は講じられておりません。従つてこれは第二次補正なり、あるいは次の通常国会において、年度内において何らかの資金措置、融資のための財源措置を講じてもらわなければならぬと思いますので、これから年末も差迫つており、やはり期末融資ということも当然例年のことでありまして、考えられなければなりません。幸いあなたの公庫は、法律によつて政府の金を借入れることができるのでありますから、とにもかくにもそういうような方法を講ずることによつて、これはただ単に七億と十一億五千万円の蚕食資金の補填にとどまらず、さらに一歩進んで、とにかくそういう資金をふやすことのための強力なる交渉を、ひとつ政府との間に行つていただきたいことを強く要望いたします。  なお重ねて申しますが、七億と十一億五千万に対する補填について、すみやかに御交渉いただいて、四日なり五日なりに開かれまする本委員会において、その最終的な経過をひとつ御報告をなさることをお願いいたします。  それから、問題は別でありますが、委員長にこの機会にお願いをいたしておきますが、第十六国会の本委員会におきまして、例の食糧官僚がトンネル会社をつくつて、そこでトンネル利潤を収めておる問題について、予算決算会計例によると、そういうトンネル会社ができなければ、不良米を同じ政府部内であるところの通産省のアルコール工場に移動せしめることができない。こういうことで年間国民が大きな損害を受けておる。これはひとつすみやかに法律の改正を行つて、そういう不正と思われるような利潤が所得せしめ得られないような法律的処置を講じる、こういうことを強く政府に要請いたしておきましたが、その改正法律案は出て参つておりません。委員長を通じて、食糧庁長官並びに通産省に対して、この問題はどういうぐあいに処理されつつあるか、この臨時国会の開かれております期間のうちにおいて、その経過と見通しについてあわせて御報告を願います。
  108. 千葉三郎

    千葉委員長 さようとりはからいます。福田繁芳君。
  109. 福田繁芳

    福田(繁)委員 私はせつかくきよう坂口総裁がお見えになつておりますので、この法案に関して相当具体的問題について御質問がございましたが、私は先ほどから待機しておつたのでありますが、もうすでに時間が相当切迫しておりますし、なおかつ同僚数名の諸君からの御質問に対する総裁の御答弁で、やや一部分はわかつた、しかしながら非常に困つたことに、同僚議員諸君の御意見の中にも、ただいまの総裁の御答弁の中にもあつたように、この法案を審議してそもそもこれをつくつた大蔵委員のわれわれとして、非常に心外にたえない点が多々あるのです。少くともこれはわれわれ大蔵委員としても、相当特別の責任があると思う。しかし今からでもおそくないんだから、ことに今までは、先回の委員会にも問題になつたように、一歩外へ出れば、中小企業は非常に金詰まりで困つておる。ことに最悪の場合には、年末にはゆゆしき問題が惹起するのではなかろうかということもわれわれ大蔵委員として懸念いたしておる、そこへ持つて来て、総裁のお言葉によると、どうしても資金の総額においてもう少し考えなければ、せつかく仏をつくつても魂を入れることができないという結果になることもわれわれ同感なんです。     〔委員長退席、坊委員長代理着席〕 そうすると、通常予算に伴うところのこの予算的措置という問題もある。そういう関係もあるから、ぜひとも委員長に懇請いたしておきたいのは、可及的すみやかに再度委員会にこの法案のみを一部取上げてもらつて、そうして今からせつかく総裁初め新しく発足したところの諸君の苦心も、外、国民中小企業者のほんとうに渇望いたしておるところを満すくらいの要望を、十分に審議して完備いたしたいと思うのです。そうでありますから、明日は休みとするならば、明後日かその翌日でもけつこうだから、中小企業金融公庫法案に関する委員会をぜひとも開いてもらいたい。同時にそれまでに、先ほどから問題になつております大体七十七億ほどの年内に対する融資計画が立つておられるというのだから、その七十七億に対するところの代理店の約二百五、六十箇所ですか、それに対する割当一覧表といいますか、それもひとつ参考資料として出してもらいたい。それからもう一つは、九月十一日に発足されたというお話でありましたが、その後相当な申込者があるわけです。また給付の済んだものもあるわけですが、これがどういう層のもので、どういう率になつているか。どういう申込者で、どういう層に対して貸し付けたかという具体的な資料を出してもらいたい。先ほどのお話にもあつたごとくに、あるいは相互銀行だとか、信用金庫などは、自分たちの取引あるもの以外は全然窓口も受付けない。受付けてもその書類は机上に置いてあつて、事実上事務的操作ができていない。こういうことでは、一体何のために中小企業金庫というものをつくつたのか、意味をなさない結果になつているかのごとき風評さえもある。事実さようなことはなかろうと思うが、そういうことも真剣にわれわれ調査して、年末まであと一箇月ないし四十日あるのだから、一刻も早く正しいところの、本法案の趣旨に沿うような操作をしてもらいたい。またそれが来年度予算的措置において増額をせしめるところの一つの導火線にもなるのだから。先ほど同僚委員と総裁とのお話のようなことは、笑いごとでは聞いておれない。それを取上げる意味合いにおいて、可及的すみやかにこの法案に関するところの委員会をぜひともやるように、委員長にやつてもらうと同時に、資料の御要求をしておきますから、よろしくひとつお願いいたします。
  110. 坊秀男

    ○坊委員長代理 ただいまの福田君の御発言、さようにとりはからいます。質疑はもうこれでありませんか。     —————————————
  111. 坊秀男

    ○坊委員長代理 二、三皆様にお諮り申したいことがございます。理事の辞任、補欠選任の件についてお諮りいたします。本日理事辞任申出がありました。宇都宮徳馬君の理事辞任を許可し、その補欠として淺香忠雄君を理事に指名いたしたいと存じますが、御異議ありませんか。     〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  112. 坊秀男

    ○坊委員長代理 御異議なきものと認めます。宇都宮君の理事辞任申出を許可することといたしまして、その補欠として浅香君を理事に指名いたします。     —————————————
  113. 坊秀男

    ○坊委員長代理 次に、小委員会設置の件についてお諮りいたします。すなわち十月三十一日本委員会より議長のもとに、提出いたしました国政調査の承認要求に対しまして、昨日議長の承認がありましたので、今後本委員会の調査を進めて参りたいと存じますが、これは前国会と同様、小委員会を設置して行いたいと存じますので、この際お諮りいたします。  本委員会の国政調査のために、税制に関する小委員会金融に関する小委員会、専売事業に関する小委員会、国有財産に関する小委員会、以上の四つの小委員会を設置することとし、その小委員及び小委員長委員長において指名するに御異議ありませんか。     〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  114. 坊秀男

    ○坊委員長代理 御異議なきものと認めます。さように決定いたします。  なお小委員長及び小委員の氏名につきましては、後刻理事諸君と御協議の上、公報によつてお知らせいたしたいと存じますので、さよう御了承願います。以上であります。  本日はこれをもつて散会いたします。     午後零時四十五分散会