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1953-11-04 第17回国会 衆議院 水産委員会 第3号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和二十八年十一月四日(水曜日)     午後二時三十八分開議  出席委員    委員長 田口長治郎君    理事 川村善八郎君 理事 鈴木 善幸君    理事 田渕 光一君 理事 中村庸一郎君    理事 山中日露史君 理事 辻  文雄君    理事 濱地 文平君       遠藤 三郎君    田中 龍夫君       白浜 仁吉君    赤路 友藏君       田中幾三郎君  委員外出席者         議     員 松岡 俊三君         総理府事務官         (調達庁不動産         部長)     山中 一朗君         大蔵事務官         (主計官)   谷川  宏君         農林事務官         (水産庁漁政部         長)      立川 宗保君         専  門  員 徳久 三種君     ————————————— 十一月四日  委員長谷川峻君辞任につき、その補欠として夏  堀源三郎君が議長の指名委員選任された。 同日  川村善八郎君が理事補欠当選した。     ————————————— 本日の会議に付した事件  理事補欠選任  小委員及び小委員長選任  漁業損害補償に関する件     —————————————
  2. 田口長治郎

    田口委員長 これより会議を開きます。  昨日設置されました漁業制度に関する小委員会、並びに水産金融に関する小委員会の各小委員及び小委員長選任につきましては、委員長に一任となつておりましたが、ただいまより委員長において各小委員の数はいずれも十五名とし、各党委員の比率によりまして次の通り小委員及び小委員長指名いたします。  漁業制度に関する小委員長には中村庸一郎君を、同じく小委員には    田口長治郎君  川村善八郎君    鈴木 善幸君  吉武 惠市君    藤遠 三郎君  田中 龍夫君    夏堀源三郎君  白浜 仁吉君    赤路 友藏君  山中日露史君    田中幾三郎君  辻  文雄君    濱地 文平君  大橋 忠一水産金融に関する小委員長には赤路友藏君を、同じく小委員には    田口長治郎君  川村善八郎君    鈴木 善幸君  吉武 惠市君    藤遠 三郎君  中村  清君    田中 龍夫君  白浜 仁吉君    中村庸一郎君  淡谷 悠藏君    田中幾三郎君  佐竹 新市君    森   清君  大橋 忠一君以上であります。     —————————————
  3. 田口長治郎

    田口委員長 この際理事補欠選任についてお諮りいたします。先般の委員異動によりまして、ただいま理事一名が欠員となつております。この際その補欠選任を行いたいと存じますが、これは先例により、委員会においてその補欠指名いたしたいと存じますが、これに御異議ございませんか。     〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  4. 田口長治郎

  5. 田口長治郎

    田口委員長 ただいまより漁業損害に関する件について調査を進めます。  前国会に成立を見ました日本国に駐留するアメリカ合衆国軍隊行為による特別損失補償に関する法律に基く政令事項につきまして、この際政府の説明を聴取いたします。山中不動産部長
  6. 山中一朗

    山中説明員 ただいま委員長から御指名のありました点につきまして、私から説明を申し上げたいと存じます。  前国会におきまして日本国に駐留するアメリカ合衆国軍隊行為による特別損失補償に関する法律が可決されまして、施行されたのであります。これに関係いたします政令につきまして、法律の案の審議のときの経過もございまして、至急政令をつくりまして法律と同時に施行いたしたい、こういうつもりで、調達庁が主となりまして、関係各省の間で、従来からありましたところの原案に基きまして審議をしておつたわけであります。ところが次官会議に出しました際、これは八月の二十二、三日ごろだつたと記憶いたしておりますが、学校教育法の問題あるいは農業関係で行きますと、農業用道路林道その他相当な問題につきまして、関係各省から削除の要求あるいは追加の要求が出まして、同次官会議では留保になつたわけであります。従いまして、さらにこれを詳しく検討し直すということで、爾来荏苒と一月あまりを過したわけでありますが、その間におきましても、いろいろと話合いをいたしまして、事実アメリカ駐留軍損害を与えたということの確認のできるものについては、国会方面法律審議のときの要請もあることであるから、救済のために全部網羅主義で行かなければ、われわれとしては納得が行かない、こういうことで折衝を重ねておつたわけであります。ここ十日ほど前から、大体これの具体的事例の適否につきまして、問題がはつきりして参りました。大体現在のところ、この程度のものは実績からかんがみて当然入れるべきである、また入れなければならないだろうということで、事務当局間で一応まとまつた項目があるわけであります。まだ数箇所につきまして疑義があり、あるいはこれの表現につきましては、法制局とも十分検討しておりませんので、字句その他につきまして、あるいは表現方法につきまして、問題はあるかと思いまするが、一応施設なり行為につきまして、現在まで事務当局でこれを大体載せるべきだといつて意見の一致を見ておるところをここで御説明申し上げまして、経過の次第を御報告申し上げたいと存じます。  現在第一条の第一項にございます「その他の事業」というのは、学校教育法規定されておるところの学校教育事業それから海上運送法昭和二十四年の法律一八七号でありますが、それの規定によりますところの船舶運航事業及び木船運送法等規定によるところの木造運送船、これ二つを大体その他の事業の中に規定しよう、こういうことで現在話合いがまとまつております。これが法案審議過程から行きましても、二つの大きな問題として懸案になつておつたのでありますが、この問題は二つとも一応入れなければならないという結論になつております。それから法第一条の第一項の第一号の水面利用上必要な施設をどういうふうにするか、これにつきましては、魚つき林増殖施設、この二つを大体入れる。魚礁の問題があるのでありますが、この問題につきましては、法規関係の解釈につきまして、法制局意見を求めることになつておりまするが、この魚礁増殖施設の中に包含できるかできないか。できれば魚礁を特に取上げる必要はないじやなかろうか、できなければ魚礁も入れなければならぬじやないか、こういうところで現在事務的に法規的な関係を検討しております。従いまして現在は魚つき林増殖施設、それから増殖施設の中に魚礁というものが入らなければ、それをさらに魚礁を取上げて一つのアイテムを立てる、こういうことにいたすつもりでおります。それから第一条第一項第二号の問題でございますが、これは農地関係一つ問題になるのでありまするが、この施設農業用道路林道用水施設排水施設、こういうものを一つ規定すれば施設として現在のところ十分ではなかろうか、こういうふうに考にております。それからその駐留軍行為につきましては、第二項の農地、牧野もしくは林野等利用を著しく阻害する行為を、どういう行為にするかということにつきましては、射撃とか砲撃、爆撃その他火薬類使用して頻繁にこれを実施する場合、あるいは航空機の離陸または着陸のため飛行する場合、この場合におきましては、航空法の第二条に規定しておりますところの進入表面、または転移表面に準じ、調達庁長官の定めた平面の投影面に一致する区域にあるところのものについてこれを適用する、こういうふうに飛行機の離着陸について規定をされた場合のその飛行というように考えております。それから用水施設の設置、維持または使用する行為灌漑用水の汚毒をするような行為、こういうものを農地関係行為として入れたらどうか、それから第一項第一号の水面利用の問題についての行為につきましては、船舶とか舟艇あるいは航空機の頻繁な使用による行為によつてこういう施設利用が阻害された場合、こういうふうに現在考えておるわけであります。大体こういうものをそれぞれの政令に合うような条例に形式上直しまして、法制局と最終的な打合せをして、きようも現にこの交渉をやつておるわけでございますが、これを今週中にまとめて、来週一ぱいには次官会議閣議を通して政令が実施できるようにいたしたい、おそまきながらかように考えまして、鋭意現在作業を進めております。この政令が非常におそくなつた結果、被害者の方にこの救済措置が講ぜられないということがあることをおそれまして、大蔵省とも話合いまして、実質的にはこういうものに大体該当するものについては、さかのぼりまして、現在やれるものは予算措置でそれぞれの土木工事救済施策を現にやりつつあるわけでありますが、この政令が遅れましたことについては、そういう措置を講ずる講じないにかかわらず、われわれとしては非常に遺憾であつて、これが一日も早く完全に実施できるように考えておるわけであります。  はなはだ簡単ではありますが、現在までの政令過程と、政令に盛るべき施設並びに行為につきまして、現在考えておりますところのいろいろな事項につきまして御説明を申し上げたわけであります。
  7. 田口長治郎

  8. 中村庸一郎

    中村(庸)委員 第十六国会におきまして、米軍行為による特別損失補償に関する法律ができたのでありますが、今日までたいへんその施行が遅れておる。この法律のできましたときに、迅速に損害補償するようにという附帯決議がついておつたのであります。この遅れました理由をただいま簡単に御説明になつたのでありますが、この遅れました理由がどの点で遅れましたのか、この点をもう少し承りませんと、はつきりいたさない点があるのであります。あるいは政令で定める行為が非常に多種多様にわたつておるためにきめかねておつたのか、あるいは手続上の問題で遅れておつたのか、こういう点をもう少しはつきり御説明願いますと、それに対して、今政令が出なかつたために損失補償の支出が遅れておつたのを早めるという方法もあろうと思いますので、遅れた理由をもう少々明確に御説明願いたい。
  9. 山中一朗

    山中説明員 中村委員のただいまの御質問に対して御答弁申し上げます。  遅れました理由については、ただいまもお話のように附帯決議もあることでございますから、われわれとしては一日も早くこれが政令施行を見たいというのが念願であつたのでありまするが、第一番には、ただいまもお話がありましたように、大体跡始末をやるための一つ救済的な規定がこれの主眼でございます。従いまして、この事例——もちろん法律審議願うときにもすでに一年余りかかつた法律でありまして、そういうものを完全に拾つておかなかつたことはわれわれの手落ちであるかもわかりませんが、いざ実施しますときに、大体これは該当するということのはつきりしたきめ手を持つたものを調査しなければ困るのではないかということで個々のケースにつきましてある程度まできめ手調査するために往復しておつた相当の期間がございます。それから学校教育一つとりましても、これは非常に抽象論ではございますが、はたして被害を受けているのはたれか。これは生徒が被害を受けるのか、経営者被害を受けるのか。あるいは経営者としたときに、国なのか、地方公共団体か、あるいは民間団体か。こういういろいろな問題につきまして、国、公共団体なら別に救済方法が講ぜられるのじやなかろうかというような点で、甲論乙駁が関係各省間に相当つたわけであります。こういう問題を落した場合には、われわれとしては従来からの行きがかりから、他に救済する方法がなければ困るから、この政令に入れるべきであるということを主張しているのであります。では他の救済すべき関係法規はどういうもので、どういう予算措置でできるかということについて、適切な運営ができるかできないか、ここら辺の点についていろいろな問題があつたわけであります。これが抜けた政令をつくるということは、画龍点睛を欠く場合が起るかもわからないので、われわれといたしましては相当具体的な事例なり、あるいは何ゆえにこれを入れなくてはならぬかという挙証の根拠を求めるに手間どつたこともございます。それからまた事実例のないものでも将来起り得べき問題もここに入れるべきじやないかという議論がありまして、こういう問題である省の方ではなかなか折れてくれない。反対されれば、次官会議へ持つて行つても、さらに削る方じやなくて、今度は入れる側の方の要求によつて政令案次官会議を通らないというようなおそれがあつたときには、さらにやぶへびであるから、われわれとしては固めざるを得ない、こういう問題もあつたわけであります。そういう点で、あれやこれやと非常にひつかかりまして、早くやる気持と、それに対する熱意は持つてつたのでありますが、具体的なきめ手を発見するためにここ二箇月ほどかかつたことは、はなはだ残念だと考えているわけであります。ただいまも断りましたように、具体的な事例が起りまして、これは大体政令に入り得るものだ、入り得る見通しが非常にあるというものにつきましては、若干の例ではありますが、個個の問題を取上げまして、財政当局と折衝して、それぞれ個別に政令ができるという前提のもとに、ケースとしては解決はいたすような努力だけは行いまして、そういう面でカバーしたいという努力をいたしたわけであります。
  10. 中村庸一郎

    中村(庸)委員 そういたしますと、先ほど大体来週には政令が出し得る見通しだという御説明をいただいたのですが、この遅れました理由がなかなか複雑であるように考えますので、この政令の公布されます予定日というものがはつきりつかめないかもしれない。またそういうようなことでありますならば、従来もはつきりいたしておりますものだけでも政令を出して、はつきりしないものはあとから追加するということもできるだろうと私は思うのです。この損害を与えております面が非常に大きな問題でありますので、従つてかようなはつきりした面だけでも政令を先に出してもらつて、実際に損害を与えておるものに補償してやるというようなことを講ぜられないかどうか。それから政令は大体来週一ぱいに出せるという説明でありましたが、ただいまのこの多種多様な複雑な条件のあります、あるいはだれが損害を受けたとかあるいはきめ手がないとかいう問題に対しまして、十分な検討をされて、しつかりした確信のもとに来週一ぱいと御説明になつたと思うのですが、その予定日はつきりと承つておきたいのであります。
  11. 山中一朗

    山中説明員 お答えいたします。ただいまきめ手がないと申しましたのは、現在までの経過過程でなかなかきめ手が見つかりにくかつた、こういうので、先ほど説明申し上げました施設なり事業につきましては、大体関係各省意見が一致しましたので、これだけ参りますと、調達庁が先般来も一応関係方面から資料あるいは陳情を受けて、当然入れるべきものであろうというものを委員会で申し上げた、あの程度のものは大体全部入るのではないか、こういうように考えておりますので、これだけはつきりしたものを、われわれといたしましては第一次の政令案として来週——はつきり何月何日に施行するかということは、現在ちよつと申し上げかねますが、来週一ぱい閣議にかけて、その後施行したい、こういう考え方でおるのでございます。それからできないものについてはのけて、はつきりしたものをやつたらいいじやないかという御意見がございます。もちろんはつきりしてないものはあとに残しますが、現在のところ——われわれは若干曠職のためかもしれませんが、見つかつたものについては事実被害のあるものについては一応これで網羅しておる、将来起る問題につきましては別でございますが、今こういう気持でおります。それから実際の補償の問題につきましては、現在の政令案をつくるときに相当詳しい資料もとつたものがございます。もちろん法律で現に規定されておるものもございます、そういうものにつきましては、現在その計数の方面についての予備調査は、政令の有無にかかわらず現在研究しておるのであります。従いましてそういうものにつきましても、完全に政令施行されてこれを運営する場合には、割合早く計数問題もまとまるんじやなかろうか、こういうように考えております。
  12. 中村庸一郎

    中村(庸)委員 次に、米軍行為による特別損失補償法律案につきまして、この法律ができましたときに、第一番に論議されましたのは防潜網であります。それからだんだん農林関係損害も含めてということになつて参つたのでございますが、防潜網のごときは実際はつきりした問題でありまして、漁民は今日非常に困窮のどん底に落ちて、まつたく困つておるのであります。今年もあともう二月とないのでありますが、政令が来週出まして、それで今年中に調達庁より漁民の手に渡るようにひとつ願いたいのであります。附帯決議には手続簡素化してということもつけ加えてあつたのでありますが、この点ぜひ今年内に渡るように願いたい。見通しの点はどうでありましようか、この点承りたい。
  13. 山中一朗

    山中説明員 お答えいたします。防潜網関係漁業補償につきましては、ただいま中村委員の御意見のように、われわれも年内補償いたしたいというので現在東京なり長崎方面防潜網関係は、その他の水産補償の九月分と同時に調査いたしております。おそらくわれわれは年内にこれが支払いができるであろうという努力のもとに現在作業しております。それから手続簡素化の問題につきましては、規定がございますが、過去に調査した実例もすでにありまして、経験済みでございますから、そういう点からも現在規定をすぐかえるわけには行きませんが、相手方の納得された場合には、こういう問題の場合には経費の点は一応経費率で交渉してそれを両者納得の上で簡単にやれるものはとり進んで実行上さしつかえない、こういうふうな一応事務手続の進行の上においてこちらから注意はやつて、なるべく簡素化して早くやりたい、こういうふうに考えております。
  14. 中村庸一郎

    中村(庸)委員 ただいま年内漁民に渡るかという見通しを承つたのですが、この点御答弁がなかつたのでありますが、ぜひ年内に渡りますよう特別な御配慮をお願い申し上げて私の質問を終ります。
  15. 田口長治郎

    田口委員長 この際委員外松岡俊三君より本問題について発言を求められておりますが、これを許すに御異議ありませんか。     〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  16. 田口長治郎

    田口委員長 御異議なしと認めます。松岡俊三君。
  17. 松岡俊三

    松岡俊三君 私は井出農林委員長より農林委員会の代表的な意味で本会に出席するように要請されて参つた次第であります。農林委員会としては、アメリカ駐留軍のためにこうむる損害についてはかつて要請してあります。ただいまの御説明を承りますれば、将来起り得るような問題については相当に論議を闘わされるであろうと思います。しかし現在もすでにわかつておる問題は今の政令の中に入つておるという御説明でございましたが、その中に農林委員会として要請した「水源水源林を含む。)若しくは自然排水路除去損壊変更又はこれらの使用によりこれらの利用を阻害する行為」、この行為の問題についてでありますが、この点はどうなつたか。一つ例を申し上げますが、そもそもこの問題が起つたのは、駐留軍が水干しをしてその川が枯渇した。このために灌漑用水ができなくて、水源がほとんど用をなさないようになつておる。地下水を全部とつたという山形県の神町駐留軍に関する問題であります。よく調達庁に聞けば、御認識なされていることだと思います。この問題は単なる損害の問題じやなく、水源関係した問題、水利権関係している問題、いかにして損害補償するかということは事実上問題であるけれども、事実がはつきりしていることだけは認識せられておることと思うのであります。この点はどういうあんばいなつて今日に至つたか、その経過を承りたい。「第一条第一項中第一号及び第二号を次のように改める。」というところの第二の、「施設除去」あるいは「利用を著しく阻害する行為」その行為の中に入れるべきものだと思うのですが、今私の申し上げた「水源水源林を含む。)若しくは自然排水路除去損壊変更又はこれらの使用によりこれらの利用を阻害する行為」という、これをどういうあんばいに認められておるのでありますか。近く政令が発布されるようになりますが、この問題はどんなふうに取扱われておるか。これははつきりした事実であつて、起り得べき問題じやないのです。どんな経過なつているか、詳細承りたいと存じます。
  18. 山中一朗

    山中説明員 ただいま松岡さんの御質問水源涵養林の問題でありますが、われわれといたしましては具体的に、どういうケースかという話は聞いておるのでありますが、従来はこういう問題につきまして農林省とか水道関係、厚生省とよく具体的なものの実施をやつてつたわけであります。しかし今度の水源涵養林その他の用水施設関係しましては、特損関係はこの法律なりこの政令で行くわけでありまして、われわれが一応所管することになるのでありますが、今の御質問の点につきましては、ただいま御指摘のように、法第一条第一項第二号の用水施設の中に入れ得るものではないかと、こういうふうに考えております。  それからただいまのお話で、駐留軍が自分らの水を引くためにその他の水が減つて困るという水利権の問題、これはその行為といたしまして、用水施設を設置しよう、今までの水利権が侵害された、こういう行為によつてこれが救済される、こういうふうに考えております。
  19. 松岡俊三

    松岡俊三君 そういたしますと政令の中に含まれておりますか。
  20. 山中一朗

    山中説明員 含まれております。
  21. 松岡俊三

    松岡俊三君 私の今まで承知しておるところによりますれば、農林省においてはきわめて重大な問題として、これを今日まで主張して来たように信じます。ところが大蔵省においてはなかなかこれを受入れないで来たというふうに承つております。あの地点は、一つの川から水をとつたためにまつた灌漑ができないようになつた、そこで何とか灌漑せしめるように別個の方法を講じなければならぬ。別のところにため池をつくつて行かなければならぬ。そうでなければあすこの灌漑は絶対にできない。耕地をみな壊滅にせんければならぬということになつたことは事実なのであります。ただこのため池をつくるということになりますと、そのため池によつて、そこばかりではなく、それ以外のところも潤おすように結果としてなるのでありますが、この問題が大蔵省の認識が得られないということになつておる。農林省ではそういうぐあいによく実態をつかんで、どうしてもこれを入れねばならぬと主張しておるのを、大蔵省が非常にこれに難色を示したというように聞いておりますが、大蔵省もこれを承認するようになつて、この中に入つた、かように承知してよろしゆうございますか。
  22. 山中一朗

    山中説明員 お答えいたします。ただいまの問題は、具体的な問題としまして神町水源が事実枯渇してしまつた。その水量がゼロになつた、あるいは三分の一になつた、あるいは五分の一になつた、こういう事実がありますれば、その政令救済できるわけであります。ただいま谷川主計官が見えておりますが、こういう問題については担当主計官としてはできるだけ入れるべきだということで非常に御尽力くださつてつたわけでありますが、こまかい法規的な問題については別に大蔵省にも所管があるわけであります。こういうこともいろいろ理論的に議論はあつたかもしれませんが、そういうケースについてはただいま申し上げましたような政令の中で救済できると私は考えております。これを実施する問題につきましては、また具体的に受益者分担がどうなるかということについて話はいたしておりませんが、これは与えた損害に対する分の補償が法の根本精神でありますが、これが運営の面では、こまかく一つ一つの農家に与えた損害の金額の配分等、いろいろ問題があると思います。たとえば農道をとりましても、農道というものは、つくるときには農業用の施設としてつくるわけでありますが、つくつた以上は農民の方だけが利用されるのじやなくて、そこを歩く行商人の方も、あるいは郵便配達夫も利用するわけであります。そういうものの補償までどうこうということになると大きな問題になりますので、われわれは運営の面では、与えた被害を回復さすという面が多々起るのじやないかと思います。そういう関係から見ますと、あるいはため池をつくることか、あるいは横から用水路を引くとかいう具体的な問題につきましては、現在ここで答弁申し上げられませんが、そういう被害のあつた事実について、ただいま申し上げましたような原状回復で行くとすれば、何らかの施設をつくつてそれに代替させなければならない。そのときに、それでは今まで十町歩のたんぼに灌漑しておつたのを、三十町歩に灌漑するようなものをつくつたときにはどうなるかという点については、おのずから別の議論はあると思いますが、これをつくつてはいけない、つくれないということは私はないと思います。従いまして十町歩分の水が不足すれば、十町歩に相当する用水施設なり何なりをつくつて、これに代替させなければならない、こういうふうに考えております。
  23. 松岡俊三

    松岡俊三君 農林省は親しく実情を調査して、かような結果にならなければならぬという点から、先ほど申し上げました「水源水源林を含む。)若しくは自然排水路除去損壊変更又はこれらの使用によりこれらの利用を阻害する行為」こういつておる。こういうぐあいにはつきりと政令の中に入れていただければ問題はないのではないかと思うのでございます。先ほどの御説明は、この点には触れておりませんけれども、今の御説明によりますれば、施設及び行為であつて、これは入り得る、こういうようにはつきりと承つたのですが、このはつきりと承つたのを、さらに農林委員会において要請しているようなぐあいに、前の国会においてはなかなか法律の運用についての問題も種々あつて、私どももすこぶる心配した点でありますが、せつかく法律に出ても、これを政令によつて除去せられるというようなことになつたならば、法律の効果はどこにあるかとさえも言いたくなるのであります。こういうように農林委員会として非常な要請をした、この問題はただいまの御説明でははつきりしておりまするが、それならば政令の中にうたつていただけることもできるじやないかと思うのでございます。この点について重ねて御説明を承りたいと思います。
  24. 山中一朗

    山中説明員 御趣旨の点はよくわかるのでありますが、一応政令の項目といたしまして、重複するような問題は一つに集約するのも技術的方法かと存ずるのであります。従いまして、これで救済すればいろいろなものを羅列するということが必ずしも姿としていいことか、悪いことか、まあ見方にもよるのでございましようが、その必要はないのではないかというようにも考えるわけでありまして、その点で御了承願えれば非常に仕合せだと存じます。
  25. 松岡俊三

    松岡俊三君 くどいようですけれども、法律をつくつてさえも、政令でこれを制約しようというようなところに行つている問題なんです。それですからして、ただいまの御説明によつて了承をしていただきたいというようなことを言われましても、これははたしてどうだかわからない。これはわれわれ信用しないようなことになりますけれども、法律にあるのを政令で制約しようということがあるのであります。農林当局が実態を見て、どうしてもこうなければならぬといつて、あれほどまで努力しておつた。ところが大蔵当局においては、なかなかこの問題に難色を示して、先ほどの問題とともに、この点が相当な論議の点だつたろうと思うのでございます。かようなぐあいに農林当局が、食糧増産の上から見て、あのように減退する点から考えても、実に熱意を持つてつていられることが、何がゆえに大蔵当局に認識されないか。調達庁においても当然これをなさねばならぬというように言われておる。そういう点に大蔵省の難色があるということは、大蔵省当局が実態を認識しておらない証拠であると私は思うのであります。かようなぐあいにして日本全体の治安を維持するために駐留軍を置かねばならぬようなぐあいになつておる。そのための犠牲の大部分を払う者に対して、どうしてこれがわからないか、大蔵当局おりましたならば、大蔵当局からなお説明をいただきたい。
  26. 谷川宏

    谷川説明員 ただいまの問題でございますが、調達庁の方からお答えになりました通りでございまして、現に松岡さんの山形県につきましても、たしか西郷村でございますか、そこにつきましては厚生省としましてすでに予算措置を完了しているのです。それと同じような用水施設損壊または変更に伴いまして、従来それを利用しておりました農民等が、農業用灌漑用水その他につきまして被害をこうむつたという場合には、それに対する対策といたしまして、新しく用水路をつくつたり、その他の措置をするだけの予算を講ずるわけでありまして、問題の乱川につきましては、確かに被害はあつたという事実はだれも認めているわけでございますが、その対策といたしまして、私どもできるだけ国民の税金から成つている金でございますから、最小限度の経費で補いがつかないものか、日夜そればかり考えているのでございまして、御要求のものをまるまる認めるのも一つ方法でございますが、さらにそれを考え直しまして、ほかの方法がありはしないかということで、技術的にも慎重に検討いたしている次第であります。それでダムをどこにつくるか、場所にも経費の大小関連がありますし、またそのダムをつくる以外に方法がないのかという点につきましても、技術的検討を要する問題がございまして、できるだけ早く措置しなければいけないのでございますが、それらの点につきましていかなる対策で、いかなる経費をもつて措置すべきかという具体的な問題につきましては、なかなか簡単には参らないのでその点をおつしやつておられるのだと思いますが、この点につきましても関係各省と十分打合せまして、できるだけ早く御要望に応ぜられるように予算措置を講じたいと思います。
  27. 松岡俊三

    松岡俊三君 たいへん私のために同僚諸君に相済まない次第でございますが、きわめて深刻な問題になつているのでございます。ただいまのようなぐあいに、農林当局がとれてなければならぬということで是認している。そうでなければ今の予算措置を講じていいという損害程度がどの程度かわかりませんけれども、調達庁予算措置を講ずるということになり、ただ損害に対してということにもしなるようであつたならば、あそこの水田というものは、もう全部やれないというという結果になる。それだけはあそこの実情をよく見ればわかる。それですから、農林当局があれだけの熱意を持つている。それで今のように政令の中に重複するようなことがあつてはいけないから、一つにまとめてということをおつしやいますけれども、ここがすこぶる懸念されるところであります。こういうのは他に例はございません。全国にこの例はあまりないので、この問題がほとんど重点かと思うので、そういう関係にあるだけに、法律をせつかくつくつても、政令で制約しよう——農林当局が非常な熱意をもつてこうなさねばならぬということも、右申し上げたように、各省においても何とかしなければならぬということも、これもわかる。ただ一つ難色が、大蔵当局において金を出すについての程度の問題という結論になつておるのじやないかと思うのです。ただいまの大蔵当局の御説明で、この問題に対する御熱意がようやく加わつたかのようにも承りまするが、私非常に心配でございますので、これだけのことを申し上げる次第ですが、私はただいまの大蔵当局の御説明を信頼しまして、農林当局が要求して、あの水田を壊滅せしめないようにして、この水田を生かすがために施設したところのもので、ほかの者が潤おうということが食糧増産になるのが、今の損害かどうかという問題でございましよう。けれどもこれは自然に起る問題で、高きにあるものが低きに流れて来るときは、その余徳を受けるのは当然のことです。それらの点については、役所としてのこともございましようけれども、あそこの水田をなくするというようなことにしないようにするには、ダムをつくるよりほかに絶対できないという農林当局のあの主張をよくお認め願いたい。ほんとうならば大蔵当局は、あそこに行つて見てくださるとわかる。実に技術の進歩した、地下水をあれほどまで持つて来るというのは、一見すればびつくりする。アメリカの駐留軍が来て、すぐにあれだけの地下水をまるつきりみな持つてつた。驚くべき進歩に私自身もびつくりしている。そういうぐあいになつているのでございますが、今調達庁の不動産部長の言われるように、政令には重複するようなことのないようにという御説がございましたが、私はなおこの点については、農林委員会においては特に要望した点でございますので、政令の中に加えていただくように、なお一段要請いたしまして、私の質問を終ります。ありがとうございまた。
  28. 中村庸一郎

    中村(庸)委員 ちよつと関連して……。ただいま農林関係からたいへん細部にわたつてのいろいろな要望がありましたが、私は水産方面から要望いたしたいことがあります。さきの国会におきましても、九十九里の特殊加工業問題が論議せられたのであります。最近被害を受けておりまする特殊加工業の組合の者が参りまして、最近水産庁においてはこの特殊加工業というものを認識を新たにしていただいたと、こう申しております。それからこの九十九里の特殊加工業は、加工業という名をつけたために、この損害補償を受けられないということに大体なつた。しかしこの問題が最近におきまして非常に認識を新たにされて、前国会におきましては、この米軍の演習による大きな損害補償のわく内でひとつめんどうを見てやれというようなことに相なつておりましたが、だんだん細部にわたつていろいろなこまかい研究によつて、こまかい点まで見られるようになつて参つたのでありますので、最近の業者の陳情によりまして、大体何らかの方法で認められて来たというような報告を受けておりまするが、これはできるならば、この政令の中にでも何か入れてもらつて、そうしてめんどうを見てもらいたいということが——私はめんどうを見てもらいたいのではなくして、めんどうを見るべきであるということを要望いたしまして、私はこの点だけお願い申し上げておきます。
  29. 田口長治郎

  30. 川村善八郎

    ○川村委員 先ほど山中不動産部長から、駐留軍行為によつて特別損害を受けた場合に、これを補償しなければならぬということで、これによる政令を出さなければならぬ、この案ができたということでありますが、このうち水産関係で、魚つき林並びに増殖施設は大体入れるようだ。ただ魚礁については増殖施設になるものかどうかという法的ないろいろな研究もあつて、目下研究中だということでありますが、私は魚礁増殖施設だ、かように解釈しております。と申すのは、これまでこんぶ礁にいたしましても魚礁にいたしましても、増殖施設補助として予算措置が講ぜられておる。当然私は増殖設備に入るものと解釈しております。  そこでもう一点だけお伺いしますことは、おそらく駐留軍行為、すなわち土木事業をやるとかあるいは汚水を流したとか、あるいは土砂が川に流れ出たというようなことで、遡河魚類が川あるいは湖沼にのぼらないことはあり得るのではないかということや、湖水その他、土砂の流出によつて回遊魚がその沿岸に回遊をしないということも、私はあり得ると思つております。これらについての補償は本法による法律によつてなされるものであるかどうか、政令で定めなければ補償ができないのか、まずこの点をお伺いいたしてから、さらに御質問を進めます。
  31. 山中一朗

    山中説明員 お答えいたします。ただいま川村委員から増殖施設魚礁の問題についてというような御趣意でありますが、一つの問題は、水面の汚濁によるところの魚の損害でありまするが、これは法第一条の一項のところで、先般の衆議院の修正案の中に、水質の汚毒というのが入つておるのでございます。これによつて救済できるので、政令ではこれを規定しなかつたのであります。
  32. 川村善八郎

    ○川村委員 そうしますと、それが海面あるいは河川、湖沼に至るまでも含むわけでありますか。
  33. 山中一朗

    山中説明員 お答えいたします。水面でございますれば、その点については制限はないと、こういうように考えております。
  34. 田口長治郎

    田口委員長 関連して委員長から聞きますが、今の増殖施設魚礁の問題でございますが、この魚礁には天然魚礁と人工魚礁の二通りがあると思うのでございますが、人工魚礁の場合は、今川村先生がおつしやいますように、増殖施設として入れてもさしつかえないと思いますが、天然魚礁の場合、入れてもかまわないですか。深く議論をすると増殖施設に入らないおそれもあるわけなんです。従つて魚礁全体ということになりますと、議論としては、半分は増殖施設に入つて、半分は入りにくいという点もありますから、増殖施設のほかにやはり魚礁という一項を設けてもらつた方が全部を救済する、こういうようなことになると思いますが、その魚礁を人工魚礁、天然魚礁、こうわけた場合におきまして、天然魚礁についてはどんなふうにお考えになつておりますか、その点をはつきり御説明願いたいと思います。
  35. 山中一朗

    山中説明員 お答えいたします。魚礁の問題につきまして、増殖施設——施設と申しますと人工のものだけしか入らないのじやないかという疑念もあるのでありますが、魚礁にしましても、天然のものもあり、人工のものもあると思うのでありますが、通俗に魚礁というのは、ある程度までこれが経済的価値を持つているものは大体これを魚礁と言つていいのじやないかとわれわれは思う。何もかも魚礁というわけにはいかないかとも思いますが、そういう場合には海面のいろいろな規定がございまして、魚礁の問題につきましては、われわれは魚礁としてその方面の漁業家がある程度まで価値を認識しているものをもつて魚礁、こういうふうに考えておるわけでございます。従いまして養殖施設なんかになりますとある程度まで局限されますが、特に養殖と増殖と、いろいろ用語があるようでございますが、広い範囲において増殖施設という考え方でこれをカバーしたら行けるのではないか、こういうように考えておるわけであります。
  36. 田口長治郎

    田口委員長 山中不動産部長あるいは谷川主計官がおられる間は、そういう変則的の解釈も通るかもしれませんけれども、お二人ともまたおられなくなりますと、天然魚礁というものについては、いわゆる増殖施設とはどうしても解釈できないわけなんです。従つてこの魚礁を広い意味における増殖施設として入れられるよりも、どうしても魚礁を入れられるとすれば、人工魚礁だけを入れて、ここに天然魚礁という一項を残しておかなければ将来問題が起ると思うのでございますが……。
  37. 山中一朗

    山中説明員 御趣旨の点も法制局その他とよく打合せまして、疑義のないようにして、すつきりさせた姿でこれを政令案に入れたいと思います。
  38. 田口長治郎

  39. 赤路友藏

    赤路委員 ちようど調達庁の方も、大蔵省の方から谷川主計官もおいでを願つておりますので、この際一点だけお尋ねしておきたいと思うのですが、米国の駐留軍による爆撃演習場の二十七年度の直接損害補償の件であります。これがいまだに末端へ渡つていないのでありますが、どういうふうになつておるか、この点について御説明を願いたいと思います。
  40. 山中一朗

    山中説明員 お答えいたします。地先その他の漁業補償につきましては、各方面からの御要望がありまして、個別計算をやつておるとおそくなりますので、われわれとしては、七月の末に本庁で集約的に、早急に作業をいたしまして、大蔵省においても十分御協力願いまして、これを各地方の局に流したわけであります。大体局といたしましては、最近の報告では約八五%——千葉の九十九里が相当な金額になりまして、これが権利漁業三千万円余りでございますが、これは早く渡つたのでありますが、あとの自由漁業の方がおそくなりまして、なかなか行かなかつたものでありますから、パーセンテージとしては非常に下まわつてつたわけでありますが、最近これも関係者と局の方で話合いがつきまして、近く渡すことになつております。そうしますと約八五%ほどは交付できる段階になつたようでございます。しかしながら、さらにこれが組合その他の単位に参りまして、末端の個々の漁業家の方に手渡しができない状態のものが相当あるようでございまして、この問題の実態を現在調査いたしております。われわれも遅れて申訳ないのでありますが、なるべく各関係者と話し合つて、一応代表者にお渡し願つた金が早く末端の方に行くように、こういうことで現在処置いたしております。おそらく末端の方にももう行くと思うのでありますが、八、九、十と約三箇月かかりまして、はなはだ恐縮しておるわけであります。早いところは八月の旧盆前後に支払いの終つたところもあるのでありますが、いろいろと関係者の利害その他からかもしれませんが、思うように話合いがつかないという点がございまして、この点を納得いただくのに相当時間がかかつた、こういう点につきましても将来の支払い形態をどういうふうにするか、十分検討いたしたいと思つている次第であります。
  41. 赤路友藏

    赤路委員 全体の面として大体は御説明でよくわかつたのでありますが、一部分になつて恐れ入りますが、長崎県の鳥島の爆撃演習場の問題であります。これは今度の李ラインの問題における関係漁船の締出しという面とも非常に関連性が実は持たれて参りますので、この点については現在どういうふうに進められているか、これについて御説明を願いたい。
  42. 山中一朗

    山中説明員 お答えいたします。ただいま赤路委員お話の鳥島の件でございますが、これはわれわれが俗に申しておりますアルフアベツト地区というのでございます。この地区につきましては、実はまだ予算の配賦が行われていないわけであります。いろいろと資料をとりまして現在調達庁でまとめて、御出席になつております谷川主計官のところで実態を説明して、これが予算の配賦の段階になるわけでありますが、この問題も早急に片づけたいと考えております。  それから李ラインの締出しの問題との関連性は、この点はわれわれは観念的には損害の実態補償という形から行きまして、その地区における漁獲量に対する損害ということに理論上はなるわけでありまして、従いましてその点で関連性は具体的にはないかと思うのでありますが、隻数その他の問題で、今まで李ラインへ行つてつたものがその地区へ行く、そうすると、制限前の平均漁獲量というものがコンスタントだとすれば、たくさん行つて水揚量が減れば、その差額がそれだけたくさんの出漁漁船に分配されるわけでありまして、そういう点において、実際の運営上は若干の問題があるかと思いまするが、観念上は一応区分して考えなければならぬものだ、こういうように考えております。
  43. 赤路友藏

    赤路委員 私が今関連性と申し上げたのは、そういう意味合いではなかつたのです。私が関連性と特に申し上げた理由としましては、この鳥島が、御承知の通り長崎県及び鹿児島県の、二十トンから大体五十トンまでの小型漁船の唯一の漁場であつた。この漁場が米軍演習場のために全然使用できなくなつた。それでこれらの船はその後朝鮮海域でさばづりなりはえなわなりをやつてつた。ところが最近この二つの漁場を失つて、たつた一つ残されておる男女群島から南西六十マイルから百マイル、ちようど東経百二十六度、北緯三十度から三十二度の漁場で、アメリカの航空母艦が、駆逐艦を二隻もしくは三隻連れまして、飛行機による爆撃演習をやつておる。これのためにこれらの漁場はほとんど全部締出しを食つた。二十トンから五十トン程度の船では、これはぐつと東支那海の方へは事実出ること自体無理なのです。こういうような連中は現実の面で非常に困つておる。これはもちろん李ライン問題の善後処理として、当然今後考えられなければならないことであるし、この問題については、十分大蔵省等の御協力を得て今後やつて行きたいと思います。しかしながら、当面非常に困つておる。この困つておる人たちが当然受けられるべき、二十七年度の鳥島の演習場における補償がいまだにおりていない。私たちの考えたいことは、こうした窮境の、非常に困つた情勢下にあるので、その間李ライン問題の善後処置の法的な面なり——どういうふうになるかわかりませんが、できるだけ少くともそれだけでもおろしていただけるなれば、これがつなぎになつて当面は何とか越して行けるのではないか、こういう意味において私は関連性がある、こう申し上げたのです。そこで私のお願いしたいことは、いろいろと調査される必要もあるだろうし、またそのこまかい面に対しまするいろいろ御調査等をなさつておることとは思うのでありますが、こういうような李ラインの問題とからんで来て、われわれが予想しない、急転した苦しい現実に追い込まれておることをひとつ十分御察知願つて、早くこれを何とか出してやつていただきたい。私は最後的な決定がそれほどまでもむずかしくなれば、大体何十パーセントかという大づかみな面だけでも出して、この際この急場を救つてやるという考え方で御対処願いたい。こういうことなんです。それを私は今関連性があるという言葉で申し上げたので、一体いつごろになつたらこれがお出し願えるか、この点をひとつお聞かせ願いたいと思います。
  44. 山中一朗

    山中説明員 お答えいたします。もちろん今赤路委員お話のように、いろいろな問題が関連して、漁業家の方方が苦汁をなめておられることはよくわかるのでありまして、われわれは李ラインの問題があるなしにかかわらず、当然の責務は当然早くやるべきであつたと思うのであります。また現にやるべきだと考えております。先般も申し上げましたように、何分にもアルフアベツト地区というのは、資料の具体的なものがありませんで、あれやこれやと相当いろいろな問題から推定いたしまして、大体われわれとしてはこれ以上の具体的な資料はつかめない。大体それに基く被害が何ぼであるかということの資料がまとまりましたので、これをただいま申し上げましたように大蔵省と相談をいたしておるわけであります。私の腹づもりといたしましては、これを十一月一ぱいぐらいに何とか予算措置を講じて、正月までには局を通じて漁業家の皆さんにお渡ししたい、こういう腹づもりで現在作業を急がしておるわけであります。概算の問題につきましては、現在概算支払いの運営がいかにあるべきか決定した手続がまだございませんので、その点につきましてはわれわれとして研究さしていただく、こういうことでひとつ御了承願いたいと考えるわけであります。
  45. 赤路友藏

    赤路委員 今の不動産部長お話を聞いておりますと、調達庁の方では、もう大体これに対しまする補償の基本的な面はできた、そうして大蔵省の方へ今交渉中である、こういうふうに理解してよろしうございますか。——それではいいです。  まことにこれはつぼをはずれたことになるかもしれませんが、谷川さんにちよつとお尋ねいたしますが、この問題が調達庁の方からまわされておるわけなんでございますが、大蔵省の方でどういう面でこれがひつかかつておるのか、御説明願えましようか。
  46. 谷川宏

    谷川説明員 鳥島につきましては、先般のほかの一般の補償と同時に、さんごにつきましてはたしか七百万円近くございましたが、すでに予算をつけております。でありますから、その分はすでに地元に行き渡つておると思います。それ以外の問題につきましては、その他の一般の権利に関連のない補償の問題でございますので、目下慎重に——なるべく早く検討したいと思つておりますが、補償要綱によりますと、被害を受ける以前の三箇年の漁業所得、漁獲量、これを第一に取上げて、それと当該年度の漁獲量との比較を考えるわけでございますが、現在出ております資料によりますと、二十六年度だけの漁獲量を問題にしておりますので、この点について、私どもといたしましては、それ以前の三箇年間のものを一緒に検討したい。  それからもう一つは、当該年度の漁獲高につきましては、なかなか資料がとりにくいではございましようが、その点につきましても、さらにもう少し検討してみたい、こういうふうに考えておるわけであります。
  47. 赤路友藏

    赤路委員 大体大蔵省へひつかかつておりまする理由は、わかつたわけなのでございますが、この問題は、おつしやる通り、たしかに過去三箇年間の、この地域におけるところの漁獲実績というものをとつて、それから二十七年度におけるところの漁獲実績、これと対照して出すということなんですが、このことは私は調達庁の方でも、当然わかつてつたことだろうと思う。それで調達庁の方でも、今日まで相当長くかかつておられるのですが、この長い期間、当然可及的すみやかに支払われなければならないということがわかつていながらも、かかつたわけであります。調達庁相当この問題についてはつつ込んで、いろいろ調査されたろうと私は思つておるわけであります。調査されてみたが、結局結論としては、私たちにその案と申しますか、実績と申しますか、それらがなかなか的確に握れなかつた。また、業者側の要求それ自体も、あるいは過大な面があつたかもしれない。しかし今までの水産庁なり、あるいは調達庁なりが調べてみたところの実績とは、相当な開きがあるというようなこと等も相当研究と申しますか、検討されて今日まで来ておるわけであります。ここで大蔵省が、もう一度これを繰返してやるということになりますと、また調達庁がかかつたほど時間を食うんじやないか。そうなつて参りますと、どうにもこうにも、これが二箇年間にわたつて放置されるというようなことになる懸念があるわけであります。私さきほど——山中さんにもお願いしたわけでありますが、ちようど松岡さんと何かお話なさつてつたようですから、お耳に入らなかつたかと思いますが、この鳥島は、何と申しましても、長崎、鹿児島の零細な漁民の唯一の漁場であつたことだけは事実なんです。しかもその漁場に依存しておつた連中が、そこから追い出されて朝鮮海域へ行つてつた。朝鮮で李承晩のラインの問題でまた追い出しを食つて、今日どうにもならない段階にある。おまけにたつた一つ残された漁場までも、今アメリカの海軍の爆撃演習場に使われてしまつて、それにも行けないというような実態にあるので、この際何とかして早急にこれをお出し願うことによつて、当面の急場がしのがれて行くんじやないかと思います。これは非常に人情論になりますし、何か筋の通らない、大蔵省としては非常に無理なことになろうと思うが、単に漁民だけの面を扱つておられるのじやなしに、国民全体の血税として集積されたものをお出し願うのですから、それだけによつて、ああそうかと言つて簡単にお出し願えるものではないと私は思いますが、今日当面のこの急場は、これは実に言語に絶するものがある。今われわれは、あらゆる手段を現地において講じて、何とか当面やつて行けるような措置はとつてはおりますけれども、どうにもならない段階に来たつておるわけであります。従つて、せめて当然補償さるべきこの二十七年度の鳥島の補償金でもおりますならば、何とかつなぎになるんじやないかと思います。その間当然私たちの方としましては、李ライン問題についての、国内的な善後処理というものは考えて行かなければならぬ。これに対しては、また大蔵省の方の別途御協力をお願い申し上げるといたしましても、今が今の当面の問題としては、何とかこれをひとつお考え願えないか。そこで今こういうような補償法によるというはつきりとした線を一応大蔵省としては出さなければいけないということが時日を要するようであるなれば、大体調達庁へ出されておりましようことを御確認願うと申しますか、これを大体おのみ願つて、少くとも最後的な決定に至りますまでの間、何十パーセントかのものでもこの際お出し願うというような特別な措置がおとり願えぬかどうか、この点いかがでございましようか。御答弁願えますなれば、ひとつお答え願いたいと思います。
  48. 谷川宏

    谷川説明員 まだ政府部内におきましても、額が確定していないのでございまして、この点はすべての予算の接衝と同一なのでございますが、非常に緊迫せる状態であるという事情も十分わかりますので、早急に検討したいと思います。しかし今のお話で、すべての漁場の補償要綱に従いまして、前三箇年平均をとるということは、大体御納得いただけたことと思いますので、そういう線に従いまして、早急に案をつくりたいと思います。ただ現在二十六年度一箇年だけについて比較しておりますので、私どもがその前にさかのぼりまして、その当時の平年度の漁獲高を一応数字的に検討しますとしまして、損害額がどのくらいになりますか、まあそれはもちろん実際の被害の額によつて補償するのでございますので、その被害額がどの程度になりますか、それをはつきり確めた上で、もしできれば、その基礎の上で概算払いというような方法もありますので、その際改めて講じたいと思います。従いまして、その額の決定が早く行けば、概算じやなくて精算ということも、場合によつては可能でございますから、そういう点も十分考慮して、私どもとしては処したいと思つております。
  49. 赤路友藏

    赤路委員 どうもまことにくどいようでございますが、重ねてもう一回お尋ねします。ただいまこの問題につきましては、不動産部長の方から、大体十一月一ぱいには何とか片をつけて、正月までには間に合せたい、努力したい、こういうお話であつたわけであります。今、主計官からお答えがありましたように、そうした事情もよく御察知願えておることと思いますし、できるだけ早くやろうとおつしやることはまことにけつこうでございますが、口で言うと非常にいやみになるようでございますが、実はこの問題は、もう早くから調達庁の方へは、地元の代表が入れかわり立ちかわり行きまして、お願いしておる問題であります。その都度、早くするすると言つて、一向早くならないで今日のような段階まで来たつておるような実態であります。今、山中さんのおつしやつておられましたように、十一月一ぱい程度で少くとも御解決つけていただける見通しを、谷川さんの方でお持ちになつておりましようかどうか。その点お答え願えましたらけつこうだと思います。
  50. 谷川宏

    谷川説明員 お答えをいたします。できるだけそういう線で努力いたしたいと思いますが、何分漁業権のあるところの補償とは違いまして、たとえて申しますれば、鳥島の付近がだめであつても、ほかに行つて漁業をするということも理論上は可能でありますし、また実際問題としても、李ラインの問題というものが起らなければ、相当の漁獲が上つていたんではないかということも考えられますので、その他一般の漁業権を持つている人に対する補償とは趣を異にいたしますので、そういう関係上、実際の被害額というのがなかなかつかみにくいという事情も、十分御賢察いただきたいと思います。まあ私どもも遊んでいるわけではございませんので、十分努力しておるのでございますが、何分資料がありませんので、今までこうなつておるのでございますから、できるだけ早くやりますが、十一月までに必ずできるということを今お約束して、もしできなかつた場合には非常に申訳なく思いますので、期限の点はしばらく御猶予いただきまして、できるだけその点についてやれるように努力はいたします。
  51. 赤路友藏

    赤路委員 山中不動産部長にお尋ねいたします。今、谷川さんからいろいろ大蔵省側の見解をお聞きしたのです。この問題は、おそらく私、一年近くかかつておると思います。今、谷川さんのおつしやつたような、こうした措置がとられていなかつたということになりますが、この一年近くもかかつて、一体調達庁は何をしておつたのか、少くともこの問題に対する補償の主管官庁は、私は調達庁だと思つております。たしかこの前の国会においても、その点が問題になつて、調達庁が主管官庁であるということが、委員会でも発言されたと思います。その主管官庁である調達庁が、一年近くもかかつて、基本的な調査の線が出ていなかつたということになれば、これは私は怠慢だと思います。調達庁の責任は、十分追究されなければならぬと思います。大体そういうようなことでは、一体この現地の人たちの窮乏と申しますか、これによる損害補償なんというものは、全然できない。私はこの問題については、調達庁は当然責任を負わなきやいかぬと思います。くどいようだが、重ねて今まで一体何をしておつたか、遊んでおつたものだとは思わないが、しかしかりにもこういうものを調達庁が出して、なお大蔵省で、調達庁がやつたようなことを、重ねてやられなければならぬような仕事をやつてつたのかどうか、そんなだらしのない仕事をやつてつたのでは、私たちは困ると思います。ひとつ不動産部長、何かそれに対して御答弁があれば、答弁していただきたいと思います。
  52. 山中一朗

    山中説明員 お答えします。ただいまのお話、私主計官の答弁をよく聞いておらなかつたのでありますが、赤路委員からの調達庁の怠慢ということにつきまして、われわれの事務が完全に行われておるかおらぬかということは、これは自分から申し上げるよりも、第三者の批判にまつよりほかしようがないと思います。ここ一年の間にどういうことをしておつたかという問題につきましては、確かにアルフアベツト地区につきましても、一年、二年、あるいは長いものは三年の、いろいろな演習によるところの作業ができなかつた日があると思うのであります。自分も参りましてから、地先の権利漁業の問題と、このアルフアベツト自由地区の問題につきましては、なるべく同時に並行的に片づけたいという、こういう考え方で進んでおつたのでありまするが、七月の予算折衝では、とても資料がつかめない。あえて顧みて他を言うわけではありませんが、水産統計その他から見ましても、あの大洋の中にラインを引いたところから、なんぼの水揚げが三年間にあるかということは、これはいろいろ見方によつて非常に違うと思います。皆さんからごらんになるのと、われわれが見るのと、あるいはさらに第三者が見るのと、それぞれいろいろな見方があると思うのでありますが、これを統計面からどういうふうに押えるかということにつきましても、水産庁方面の統計も参考にはしてみるのでありますが、その地区というものの確実性は、地先より以上に、漠然としておるわけであります。ここらの点をどこに持つて来るか、水産試験場によりましても、過去昭和十二、三年ごろの資料しかないのであります。水流に乗つて、かつおや、まぐろの魚群がどう動くかという資料がないのであります。もう少し新しい資料がないかと走りまわつておるのでありますが、予算の都合上、こういうものの調査の金が現在ないのだというような話にもなつて来まして、われわれとしては、はつきりしたものはこれでございますという資料は、遺憾ながら自分らには現在までできていない状態のことは事実でございます。しかしそれではだれがつくればこれができるか、もちろん調達庁より有能な官庁はたくさんあるとは存じますが、それ以上の確実なものとして、見方によつては税務署の資料も、とり方によつてはとれると思います。しかし税務署の資料だけが、はたして第三者の満足する資料であるかどうかという、こういう点においても、おそらく問題があると思うのであります。比較的正確に近い、常識的に判断できる資料というものを、あらゆる観点から押えてみなければならないという点で、前三箇年間をとつてないことについての問題もあると思います。しかしながら、三年とつても、五年とつても、確実性のはつきり把握できないものに対しては、何年とりましても、概数の観察的な正確さは得られるにしても、これでなければならないという数字は、おそらく出て来ない点が多々あると思うのであります。従いまして、われわれといたしましては、十二、三年ごろの水質調査による魚群の移動状況にしましても、そういうものをとり、あるいは出漁漁船の隻数をとり、これが大体平均どれくらいの漁獲量を上げているのか。また一方においては、演習の実施がどれくらい行われて、これによるところの通計の作業阻害日数がどの程度であるかという面から押えて行つたものを現在は出しておるわけでありますが、おそらくこれにつきまして、疑問があれば、一応はわれわれが説明はいたしますが、これで絶対間違いないかと言われれば、いろいろの見方によつては、増にも減にもなり得ることはあると思います。しかしながらある程度一つの正確さというものの期待にわれわれは依拠する以外には、絶対的な計数というものは、ここではなかなか出て来ないのじやないかというふうに考えて、係でもそれぞれ折衝いたしておりまするが、もう少し自分らも関係当局と十分折衝いたしたいということは思つております。従いまして、一年間ほつてつた、こういうお話でありますが、あるいは一年ほつておるのかもわかりませんが、見舞金のときにも、この実態がつかみにくくて、配付してないような現状であります。しかしこれをつかみにくいからと言つて、荏苒日を送ることは、赤路委員のお説にもあるように、被害者としてはおそらく納得のできないところでありまするから、この件数をどういうふうにまとめるか、あるいは三年とると言われれば、三年とつてもよろしいと思いまするが、そこらの点において、われわれとしては、作業によるところの労力とか、効果の面とどういうふうな結びつきがあるか、こういう点も十分検討して、正確を期することにおいてはやぶさかではありませんが、ある程度までつかめないものに対して、日をいたずらに送るということのロスの方が大きい場合には、われわれはそういうことを省略さしてもらう場合もあるということをお含み願つておけばけつこうだと思います。
  53. 赤路友藏

    赤路委員 私は調達庁の方へ少し強く言い過ぎたと思いますが、水産資料が不足しておる。これはその通りであります。おそらく日本のあらゆる産業資料の中で、一番ずさんなのは水産資料である。このずさんな水産資料をまとめるということはまことにむずかしいことです。当然調達庁の方としては、この点についていろいろと御苦労なさつたことと思う。新しい資料をできるだけ収集しよう。ところが確実性のないものが多いので困難であつた、こういうことはよくわかるわけであります。しかしそれだけ困難であり、確実性がない、これからなおやつてみたとしてもおそらくそういうような確実性のある資料というものは、握り得られないだろうという上に立つならば、そういうことを大蔵省の方へ納得せしめるだけの信念と申しますか、自分たちのやつた仕事に対する確固たるものがなければならぬ。大蔵省へ当然そういうふうに話はされたろうと思うが、谷川さんの御見解によると二十六年度だけしか資料が出ていない。過去三箇年間にわたつての実績をとらなければならぬということと、二十七年度のそれらの船の漁獲実績をとらなければならぬ、これは私は当然だと思う。二十七年度の漁獲実績というものがある程度握られなければ、損失補償をすると申しましても差が出て参りませんから、これは当然なことだと思うのです。ただ私が非常に不満に考えたことは、それだけ調達庁が自信を持つてと申しますか、ほんとうに自信はなかつたかもしれぬ、確実な資料はないのだから……。が、しかしながら相当精力的にやつた。しかもこれに対しては一年時間がかかつておるのだから、そのやつた誠実さと苦労というものの、大蔵省側へ反映せしめる努力と信念が足らぬ。しかもその主管官庁としての権威というとおかしいが、こういつたものがまるつきりない。それならもう調達庁をやめてしまつた方がよい。一切大蔵省にまかした方がいい。それでよろしい。何のために調達庁があるか、私はそういう意見である。なお谷川さんの方からもできるだけ早く解決をつけようというお言葉がありましたから、なおよく調達庁の方で谷川主計官ともお打合せ願つて、これらの点について急速なる解決をはかつていただきたい、かように思います。御答弁は要求いたしません。必要ございません。
  54. 谷川宏

    谷川説明員 先ほどもお答え申し上げました通り、調達庁の方で持つて来たものにつきまして十分検討したい、私ども別に遊んでいたわけじやないということを申し上げたんでありますが、先ほども申した通り、権利のある所の補償とは違いまして、よそへ行つてとればその被害が少くなつたであろうということも、理論上また実際上言えるわけでございますので、実際のこういう鳥島その他の損害については、何人もある程度でさえ正確な資料はできないわけでございます。それで私どもの見るところでは、被害があつたことはあつたと思いますが、何億という数字であげるほどの被害はなかつたんじやないかということを根本的に考えているわけでございます。それともう一つは、補償の請求でございますから、被害を受けた側におきまして、たとえば二十七年度におきましてはその地区において漁獲した数量を魚種別に毎月くらいの計数の整理をしておきまして、ことしはこれだけの漁獲がこの地区であつて、それ以外の地区ではこれだけであるというふうに、船ごとにでも何か資料があればそれが一つのたよりになるのでありますが、そういう資料は全然ない。まして接収したあるいは使用を制限された以前の年における船ごとの魚種別の、当該地区においてはどの程度とれたか、あるいはそれ以外の地区においてはどの程度とれたかというような数字がない。これはどこの官庁が実際の被害調査に当つた場合におきましても、その損害額の算定にあたりまして非常に苦労する点だと思いますので、私どもも地元民に対しましては、今後のこともございますから、そういつたような帳面の整理ということもお願いしている筋合いでございますので、どうか関係委員のお力を借りまして、委員の方からも、被害地区においてそういう基礎資料の整備という点につきまして一層つかめるような状態にしておくように、何らかの力を貸していただけますれば、こういうような問題があまり摩擦が起らないで済む、かように思いますので、その点につきまして御見解を披瀝していただければ幸いだと思います。
  55. 赤路友藏

    赤路委員 今谷川さんからお話がありましたその点、私たちも今度の業者の出されております資料は、おそらくそのままでうのみにはできないだろうと思つております。どういうような方式でもつて資料提出を求めているか知りませんが、おそらくこの鳥島海区におけるところの演習がなされる前の漁獲は大体これだけあつたんだ、あるいはその後鳥島海区でできなくなつて二十七年度他の漁場の方へ行つて漁獲した額はどれだけだというような調査資料というものは、業者の側からおとりになつていると思う。それがはたして正しいかどうかということがまず問題になるのだと思います。それに対応する水産庁なりその他今までいろいろ民間団体等でもあつたと思いますが、資料をまとめ上げ、それと対照してその最後の決定線を出して行くということになるわけだろうと思います。従つてその過去におけるところの資料というものと、出された業者側の方の要求量というものが、大して大きく食い違つていなければ問題はないと思います。今度の場合相当大きな食い違いがあるということは、山中さんからも聞いておつた。それでおつしやるように私たちは、これは何も金のなる木を持つているわけじやないので、政府といえどもこれは国民の税金からまかなつて行くのですから、水産業者だけに出すというわけに行かない。言いなりほうだいに出しておつたんでは大蔵省はたまらぬと思います。従つて締めるところは締めて行くのは、これは当然だと思います。そこで私はその都度業者の人たちに対しては、今谷川さんのおつしやつたように、ほんとうに正しく出さなければいけない。事があれば何かかんか便乗して、少しでもよけいとればとり得なんだ、こういうような考え方ではいけないんだということをよく申しております。ただ私が今非常に不快に思うことは、谷川さんがおつしやるような調査をなぜその調達庁が事前にしていなかつたか、当然なさるべきことなんですよ。当然なさるべきその調査をしていられないから、大蔵省の方で再度それの調査をしようという。一年間もかかつて大蔵省から指摘されるようなそういうずさんな調査をなぜしたかということを、私は調達庁にやかましく言つておるわけなんです。もし調達庁が、そうした面をも調査すべく最善の努力をしてやつたのだが、これ以上できなかつたのだとするならば、大蔵省も神わざでない限りこれはできないじやないか、だとすれば調達庁の出した線をある程度認めていただいて、この際速急に何らかの処置をとつていただかなければならぬ。もしも調達庁でできなかつたことを大蔵省でおやりになるというのであつたならば、できるだけ早くしようつたつて、これはできるわけはないのです。もしそれができたとすれば明らかに調達庁の怠慢です。やつていなかつたということになり、これは大きな責任問題である。私はそう感ずるから調達庁にやかましく言つたのであつて、われわれもあなたのおつしやるようなことは、業者にも十分伝えておるわけです。今後もそういう面では私たちも十分努力いたします。ただ私がこの席上特にこれを持出しましたのは、くどいようですが、今のこれに関係しておつた者の窮状がありますから何とかこの際御考慮願いたい、こういうことであることだけは御了解願いたいと思います。それ以上私には意味がながつた谷川さんのおつしやるように、私どもも今後現地にいろいろ説明いたしまして、そうした際の調査資料等につきましては、便乗的な面のないようにできるだけ努力いたします。
  56. 田口長治郎

    田口委員長 この問題につきましては、ことに水産統計が不完全なために数字を押えるということが非常にむずかしいと考えておるのでございます。私自身も、調達庁相当努力をしておられると思うのでございますが、いずれにいたしましても完全な資料をつかむということは不可能と考えております。従つてこの問題につきましては、関係府県の議員と、調達庁及び大蔵省との懇談会を一度開きまして、いろいろな資料も突き合せ、懇談的に話合つた方が、問題解決上近道ではないか、こういうふうに考える次第でございますから、一、二日中にさような機会をつくりたいと思います。この点谷川さん、山中さん、関係議員御了承を願いたいと思うのでございます。  本日はこの程度にとどめ、次会は公報をもつて御通知申し上げます。  これにて散会いたします。     午後四時三十五分散会