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辻原委員 ただいま議題となりました
昭和二十八年六月及び七月の大
水害又は同年八月及び九月の
風水害の
被害地域において行われる
都市計画事業としての
土地区画整理に要する
費用の
国庫負担等に関する
特別措置法案につき、提案の
理由を御説明申し上げます。
御承知のように、本年六月及び七月の大
水害並びに八月及び九月の
風水害は、ここ数十年来経験しなか
つたところのはげしい
災害でありましたために、これらの
災害によりまして住宅や宅地が受けました
被害は激甚をきわめ、これらの
災害が起りました
地方における各
市町村内の聚落であ
つてその痕跡がないまでに破壊し尽されたものは、その数おびただしく、これらの聚落の住民であ
つて、羅災した者は、今日に至るも住むに家なく、寒空に拱手いたしている実情であります。かような実情のもとにおきまして、この際これらの
被害住宅を統合いたし、将来の
災害防止をも考慮いたしまして、聚落住宅地を造成いたすよう
建設計画を立て、ただちにこれが実行に着手しなければならないことは、まことに緊急の必要に迫られているのでありますが、
災害後日もいまだ浅い今日におきましては、羅災者、被災
市町村ともいずれも経済上困難な実情にありまして、たとい公営住宅の
建設、住宅建築に対する
融資の拡張その他住宅の再建のために特別の
措置が講ぜられることがありましても、住宅を建築するために必要な宅地を造成いたしましてこれを確保するためには、莫大な経費を必要とし、これを個人または
市町村に
負担せしめている現状におきましては、破壊された聚落を再び造成することはとうてい不可能な
状態にあります。今日の実情にかんがみますれば、右に申し述べましたように、ただちに、
被害住宅を統合いたしまして、聚落住宅地を造成することに着手いたさなければならないのでありますが、民生の安定と、将来の
災害防止、交通、衛生、防火等を考慮いたしますならば、かかる聚落の造成に
あたりましては、ぜひとも
都市計画事業としての
土地区画整理を施行する必要があるのであります。しかるに、この
土地区画整理を施行いたしますためには多額の経費を必要といたし、とうてい、被災
市町村において経費の全部を
負担することは不可能で、ぜひとも国庫においてその一部を
負担する必要があるので、かかる趣旨のもとにこの
法律案を立案いたしました。
次に、本
法律案の内容の概略を御説明申し上げます。
現行都市計画法のもとにおきましては、都市計画及び
都市計画事業は、
政令の定めるところにより行政庁がこれを行うものとし、また、都市計画及び
都市計画事業に要する測量調査費、街路築造費、宅地造成費、水利施設費、移転補償費、換地清算費、事務費等の
費用は、
公共団体を統轄する行政庁がこれを行う場合には、その
公共団体の
負担となることを原則としているのでありますが、
都市計画事業としての
土地区画整理を施行する権限は、
公共団体にあることが認められる場合がありながら、この
公共団体を統轄する行政庁にはその権限を認められておりませんので、まず、
災害を受けた
政令で
指定する市もしくは町村またはこれらの市もしくは町村を包括する道
府県を統轄する行政庁が
都市計画事業として
土地区画整理を施行することができる旨を規定するとともに、かかる行政庁が施行する
土地区画整理には、この
法律に特別の定めがあるものを除くほか、都市計画法中同法第十三条第一項の規定により
公共団体が施行する
土地区画整理に関する規定を準用することといたしました。
次に、都市計画法第一条の規定によりまして、市の区域は当然に都市計画を行うことができ、町村については主務大臣の
指定のある町村の区域に限
つて、都市計画を行うことができることにな
つておりますので、さきに申し述べました
政令で
指定された町村は、都市計画法第一条に規定する主務大臣の
指定を受けなくても、かかる
指定を受けた町村とみなすこととし、また、都市計画法第二条の規定によりますと、都市計画の区域は市または都市計画を行う町村の区域により主務大臣が決定をすることに定められておりますので、この
法律では、前記
政令で
指定された市または町村の区域は都市計画法第二条第一項の規定により主務大臣が決定した都市計画区域とみなすことといたしまして、それぞれその区域において、この
法律により、国が
費用を
負担することのできる
土地区画整理を施行することができることといたしました。
さらに、この
法律の最も眼目とも申すべき行政庁が施行する
土地区画整理に要する
費用についての国庫
負担率は、その
費用の二分の二と定めたのであります。
次に、国がその
費用を
負担することのできる
土地区画整理は、無条件にできるのではなく、かかる
土地区画整理を施行することのできる都市計画区域は、当該都市計画区域内において、住宅が先般の
災害により流失し、または倒壊して、その戸数が百戸以上であることを必要とするとともに、当該都市計画区域内において二万五千平方メートル以上の土地について
土地区画整理を施行するものであることを必要とすることに定めました。終りに、この
法律に定めるものを除くほか、この
法律の施行に関し必要な事項は、
政令で定めることといたしました。
以上この
法律案につきまして御説明申し上げたのでありますが、何とぞ慎重御審議の上すみやかに御可決あらんことをお願いいたす次第であります。