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1953-11-07 第17回国会 衆議院 水害地緊急対策特別委員会 第5号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和二十八年十一月七日(土曜日)     午前十時八分開議  出席委員    委員長 村上  勇君    理事 熊谷 憲一君 理事 田渕 光一君    理事 綱島 正興君 理事 岡部 得三君    理事 滝井 義高君 理事 稲富 稜人君    理事 濱地 文平君       尾関 義一君    木村 俊夫君       田中  好君    徳安 實藏君       仲川房次郎君    中村 幸八君       原田  憲君    坊  秀男君       八木 一郎君    山崎 岩男君       楠美 省吾君    田中 久雄君       舘林三喜男君    中野 四郎君       橋本 清吉君    吉田  安君       井手 以誠君    辻原 弘市君       永井勝次郎君    穗積 七郎君       柳田 秀一君    山口丈太郎君       伊瀬幸太郎君    杉山元治郎君       田中幾三郎君    辻  文雄君       堤 ツルヨ君    松前 重義君       高木 松吉君    世耕 弘一君       中村 英男君  出席政府委員         総理府事務長官         (自治庁財政部         長)      近藤  博君         大蔵事務次官  河野 一之君         大蔵事務官         (主計局長)  森永貞一郎君         大蔵事務官         (主計局次長) 原  純夫君         文部事務官         (管理局長)  近藤 直人君         農林事務官         (大臣官房長) 渡部 伍良君         建設事務官         (大臣官房長) 石破 二朗君  委員外出席者         総理府事務官         (内閣総理大臣         官房審議室統轄         参事官)    久田 富治君         農林事務官         (農地局建設部         災害復旧課長) 大塚 常治君 十一月六日  委員中井徳次郎辞任につき、その補欠として  松前重義君が議長指名委員に選任された。 同月七日  委員大久保武雄君、平井義一君、廣瀬正雄君及  び首藤新八辞任につき、その補欠として山崎  岩男君、尾関義一君、楠美省吾君及び高木松吉  君が議長指名委員に選任された。 十一月五日  昭和二十八年六月及び七月における大水害並び  に同年八月及び九月における風水害により地方  公共団体資金運用部資金等から受ける融資に  関する臨時措置に関する法律案滝井義高君外  十二名提出衆法第三号) 同月六日  昭和二十八年六月及び七月の大水害又は同年八  月及び九月の風水害被害地域において行われ  る都市計画事業としての土地区画整理に要する  費用国庫負担等に関する特別措置法案辻原  弘市君外十三名提出衆法第一〇号)  農林水産業施設災害復旧事業費国庫補助暫定  措置に関する法律の一部を改正する法律案(井  手以誠君外十三名提出衆法第一一号)  昭和二十八年六月及び七月の大水害並びに同年  八月及び九月の風水害による災害地域内のたい  積土砂等排除に関する特別措置法の一部を改  正する法律案辻文雄君外十三名提出衆法第  一二号)  昭和二十八年六月及び七月の大水害並びに同年  八月及び九月の風水害による公共土木施設等に  ついての災害復旧等に関する特別措置法の一  部を改正する法律案稲富稜人君外十三名提出、  衆法第一三号) 同月五日  災害復旧対策としての地盤変動事業に関する請  願(岡本忠雄紹介)(第四二号)  災害対策としての木曽川水系改修工事促進に関  する請願赤松勇紹介)(第四三号)  小湊町の災害復旧促進に関する請願森清君紹  介)(第四七号)  被害農家救済対策としての三陸鉄道敷設請願  (小山倉之助君外二名紹介)(第四八号)  三井庄川災害復旧工事施行に関する請願(佐  々木盛雄紹介)(第四九号)  竹田川橋りようの災害復旧費補助等に関する請  願(佐々木盛雄紹介)(第五〇号)  後川村に臨時特例諸法適用に関する請願佐々  木盛雄紹介)(第五一号)  台風十三号による岡野村の災害復旧促進に関す  る請願佐々木盛雄紹介)(第五二号)  台風十三号による高槻市の災害復旧対策確立に  関する請願原田憲君外一名紹介)(第五三  号)  台風十三号による北大阪地区災害復旧対策確  立に関する請願原田憲君外一名紹介)(第五  四号)  台風十三号による長野県の災害復旧促進に関す  る請願原茂紹介)(第五六号)  台風十三号による愛媛県の農作物被害対策確立  に関する請願中村時雄紹介)(第六〇号)  愛媛県の農作物水害対策確立に関する請願(中  村時雄紹介)(第六一号)  台風十三号による長野県の災害復旧促進に関す  る請願井出一太郎紹介)(第六二号)  長野県の農林災害予算増額に関する請願井出  一太郎紹介)(第六三号)  長野県各河川砂防工事施行に関する請願(井  出一太郎紹介)(第六五号)  東近畿及び東海地方風水害による災害復旧に臨  時特例諸法適用に関する請願大野伴睦君紹  介)(第六六号)  四条畷町に臨時特例諸法適用に関する請願(原  田憲君外二名紹介)(第六七号)  名古屋市に臨時特例諸法適用に関する請願(田  嶋好文紹介)(第六八号)  日章村より十市村に至る防潮堤災害復旧工事施  行に関する請願長野長廣紹介)(第七一  号)  水害対策としての足立区外二箇区の治水工事促  進に関する請願島上善郎外四名紹介)(第  七三号)  水害対策としての八丁部落地すべり復旧工事施  行に関する請願水田三喜男紹介)(第七四  号)  本庄村に臨時特例諸法適用に関する請願(富田  健治君外一名紹介)(第七五号)  災害対策としての木曽川水系改修工事促進に関  する請願鈴木幹雄紹介)(第七七号)  水害対策としての九世ケ畑ダム建設反対に関す  る請願廣瀬正雄紹介)(第七八号)  中谷村に臨時特例諸法適用に関する請願山口  丈太郎君外一名紹介)(第七九号)  香住町の災宮復旧工事施行に関する請願佐々  木盛雄紹介)(第八〇号)  今田村に臨時特例諸法適用に関する請願佐々  木盛雄紹介)(第八一号)  味間村を台風十三号による被害地域指定の請  願(佐々木盛雄紹介)(第八二号)  四条町に臨時特例諸法適用に関する請願(淺香  忠雄紹介)(第八四号)  豊岡市外三箇郡に臨時特例諸法適用に関する請  願(佐々木盛雄紹介)(第八六号)  台風十三号による前山村の災害復旧費起債認可  等に関する請願佐々木盛雄紹介)(第八七  号)  今田村に臨時特例諸法適用に関する請願(有田  喜一君紹介)(第八八号) 同月六日  長野県各河川砂防工事施行に関する請願(中  澤茂一紹介)(第九〇号)  台風十三号による長野県の災害復旧促進に関す  る請願中澤茂一紹介)(第九一号)  長野県の農林災害予算増額に関する請願中澤  茂一紹介)(第九二号)  伊丹市に臨時特例諸法適用に関する請願山口  丈太郎君外一名紹介)(第九七号)  奈佐村に臨時特例諸法適用に関する請願佐々  木盛雄紹介)(第九八号)  鴨庄村の災害復旧促進に関する請願佐々木盛  雄君紹介)(第九九号)  雲部村に臨時特例諸法適用に関する請願佐々  木盛雄紹介)((第一〇〇号)  竹田村に臨時特例諸法適用に関する請願佐々  木盛雄紹介)(第一〇一号)  城北村に臨時特例諸法適用に関する請願佐々  木盛雄紹介)(第一〇二号)  広谷町に臨時特例諸法適用に関する請願佐々  木盛雄紹介)(第一〇三号)  資母村に臨時特例諸法適用に関する請願佐々  木盛雄紹介)(第一〇四号)  神美村に臨時特例諸法適用に関する請願佐々  木盛雄紹介)(第一〇五号)  城南村に臨時特例諸法適用に関する請願佐々  木盛雄紹介)(第一〇六号)  学校施設災害復旧促進に関する請願田中久  雄君紹介)(第一〇七号)  長野県の簡易水道及び汚物処理施設災害復旧費  補助等に関する請願羽田武嗣郎紹介)(第  一二一号)  豊岡市に臨時特例諸法適用に関する請願山口  丈太郎紹介)(第一二四号) 同月七日  村雲村の災害復旧促進に関する請願佐々木盛  雄君紹介)(第一二五号)  春日部村の災害復旧促進に関する請願佐々木  盛雄紹介)(第一二六号)  和田村の災害復旧促進に関する請願佐々木盛  雄君紹介)(第一二七号)  国領村の災害復旧促進に関する請願佐々木盛  雄君紹介)(第一二八号)  日置村に臨時特例処方適用に関する請願佐々  木盛雄紹介)(第一二九号)  福住村に臨時特例諸法適用に関する請願佐々  木盛雄紹介)(第一三〇号)  吉見村に臨時特例諸法適用に関する請願佐々  木盛雄紹介)(第一三一号)  東河村臨時特例諸法適用に関する請願佐々  木盛雄紹介)(第一三二号)  糸井村に臨時特例諸法適用に関する請願佐々  木盛雄紹介)(第一三三号) の審査を本委員会に付託された。 同月五日  台風十三号による舞鶴市の災害に対し特別措置  法適用に関する陳情書  (第八三号)  山城地方災害復旧に関する陳情書  (  第八六号)  台風十三号による河川法施行並びに準用河川の  改修に関する陳情書  (第八七号)  台風十三号による復旧対策に関する陳情書  (第八八号) を本委員会に送付された。     ――――――――――――― 本日の会議に付した事件閉会審査に関する件  委員派遣承認申請に関する件  昭和二十八年六月及び七月における大水害並び  に同年八月及び九月における風水害により地方  公共団体資金運用部資金等から受ける融資に  関する臨時措置に関する法律案滝井義高君外  十二名提出衆法第三号)  昭和二十八年六月及び七月における大水害並び  に同年八月及び九月の風水害被害地域におい  て行われる都市計画事業としての土地区画整理  に要する費用国庫負担等に関する特別措置法  案(辻原弘市君外十三名提出衆法第一〇号)  農林水産業施設災害復旧事業費国庫補助暫定  措置に関する法律の一部を改正する法律案(井  手以誠君外十三名提出衆法第一一号)  昭和二十八年六月及び七月の大水害並びに同年  八月及び九月の風水害による災害地域内のたい  積土砂等排除に関する特別措置法の一部を改  正する法律案辻文雄君外十三名提出衆法第  一二号)  昭和二十八年六月及び七月の大水害並びに同年  八月及び九月の風水害による公共土木施設等に  ついての災害復旧等に関する特別措置法の一  部を改正する法律案稲富稜人君外十三名提出、  衆法第一三号)     ―――――――――――――
  2. 村上勇

    村上委員長 これより会議を開きます。  風水害対策について議事を進めます。質疑の通告がありますから、これを順次許します。井手以誠君
  3. 井手以誠

    井手委員 さつそくですが、大蔵省の方に、水害特別対策に関する予算の問題につきましてお尋ねいたしたいと存じます。  まず、三百億の予算提出されたのは、特別措置法による指定地域がきまつた上のことでなくては予算はできないかと思うのであります。従つて指定地域はすでにおきめになつておると考えておりますが、その指定地域はどこどこでございますか、お伺いいたします。
  4. 原純夫

    原政府委員 お答えいたします。  地域指定についての政令が非常に遅れましたことを恐縮に思つておるのでありますが、大体御議決の線を尊重して各省の立案が進んで、最後段階に参つております。     〔委員長退席岡部委員長代理着席予算におきましては、なおそういう地域指定の話が進行の途中に編成いたしましたのと、それから、政令はつきりきまりましても、その結果いかなる地方団体指定になるかは、御存じ通り復旧事業費が幾らであるかというようなことは将来でなければ確定しないという要素にかかつておる場合が多いので、両者の見地から予算は相当推定をもつて組まなければならないという事態でありまして、災害予算を急ぎますためにそこを推定でやつてあるわけでありますが、おおむね全復旧事業費の八割五分程度が特例法による高率補助の対象になるのであろうという推定でやつてございます。  なお、政令がきまつて参りました結果、いかなる地域指定になるかということにつきましては、特に市町村段階におきましては、御存じ通り各般基準の柱に各市町村が当るかどうかということを所管各省データをとつてきめていただかなければなりませんし、かつ、そのデータのうち復旧事業費というようなものは、特に末端の地方団体になりますればなりますほど最後確定が遅れますので、おそらくただいまこれだけは確実だと言えるようなものが出ますのに若干日数かかる、そして第一次にこれはもうどつちにころんでも大丈夫たとうようなものがおそらく指定されて、そして現在においては、どうも標準財政収入を上まわるか上まわらないか非常にすれすれだというようなところは、最終の確定をまつて、二次なり三次なりに指定するというようなことにならざるを得ないというふうに考えております。
  5. 井手以誠

    井手委員 予算をきめるのに推定でされたということについてはなはだ不満足でありますが、そうしてやるならばいたし方がない。そこで、端的に質問いたしますので、簡明にお答え願いたいと思いますが、公布は大体いつごろであるか、第一次の都道府県あるいは市町村指定はいつごろの見込みか、その点をお尋ねいたします。
  6. 原純夫

    原政府委員 政令はただいま申し上げましたような最後段階に参つておりますので、間もなく出ると思います。出ましてから、第一次のただいま申し上げましたこの市町村はまず絶対大丈夫だというようなものを指定いたしますためにどのくらいかかりますか、これは実は建設農林等各省データを集めてやられますことで、ここには建設省の方は見えておりませんので、農林省の方の一応の話を今伺つたのでありますが、政令が出てから一月ぐらいたつたならば第一次が出るだろうという話でございます。
  7. 井手以誠

    井手委員 府県の方はさらに急ぐと思いますが、府県の方はどれくらいでありますか。
  8. 原純夫

    原政府委員 府県の方は、割合に市町村よりも一応のデータが出て来ておりますから、この府県は確実だという第一次の指定は、おそらくもつと早く行くのではなかろうかと私は考えております。
  9. 稲富稜人

    稲富委員 関連して。政令が出てから間もなくという御答弁でありますが、今まで政令が出されなかつた理由はどういうわけでございますか、その理由について承りたい。え
  10. 原純夫

    原政府委員 たいへん遅れて申訳ないのでありますが、これはもう稲富委員御存じ通り非常にむずかしい点で、率直に申してわれわれいろいろ意見を申し上げておつた点もございます。その後、たとえば県の指定のような問題は、実はなおわれわれ最後段階で非常に迷うようなところに来ておりまして、もういよいよ最後のまとめどころと言いましたのは、それらを最後にまとめるという時期に参つたという意味でありますが、たとえば県にいたしましても、結論が皆さんの考えておられる常識的な勘と合うか合わないかというあたりが、いろいろなデータを集めて参りまして、非常に問題になる場合があると思うのでございます。そういうたびに迷いまして、それじやこの基準はどうしたらいいか、この点はどうしたらいいかというように迷いましたために、遅れて参つたということでございますから、ひとつ御了察を願いたいと思います。
  11. 稲富稜人

    稲富委員 私たちが最も憂慮しますことは、政令地域がいつまでもきまらないということは、予算措置政令というものを比較、対照してお考えになつておるのじやなかろうかと思います。まず予算から先に割出して、予算地域が定まれば政令地域も定めてやろうというように、政令の御決定になる基準にお心をなさるのではなかろうかというような心配が、被害住民にはあろうと思います。少くとも災害に対する予算というものは、しばしば申し上げますように、災害の実情に即してくることがほんとうではなかろうかと思いますけれども、政府のおとりになつておる考え方は、まず予算から先に持つて来て、予算内において復旧をやろうというようなお考えのあるようなところが非常に見受けられる。その結果、最も基本的な政令地域なんかを予算によつてきめようというような考え方があるから、政令が非常に遅れるのではないかというようにわれわれは見ておるわけであります。もしそういうことであれば、けしからぬ話である。そういうような懸念があるから、お尋ねしておるわけです。その点をお答え願いたい
  12. 原純夫

    原政府委員 実は予算の仕事にかかります前の段階、夏中ずつと本委員会が連続して開かれまして討議をされておりました段階では、御存じ通り特例法適用範囲をそう全体に及ぼすということについては、われわれかなり意見を持つておりましたが、その後当委員会の御意見もだんだん進み、われわれとの意見の交換も進みまして、基準について大きな線がきまりましてからは、ただいま申し上げました通り予算の編成におきましても、ほぼ全額に近い復旧事業費特例法適用を受けるという前提を立てまして、予算を組んでおりますし、予算によつて地域を押えるというような気持はございません。
  13. 稲富稜人

    稲富委員 この間緒方副総理予算委員会における答弁によりましても、政令は大体水害地緊急対策委員会基準を出されたので、それに沿うて政令はつくりたいというような御意思を私たち承つておるのであります。今あなたの御答弁を承りましても、そういうことでございます。それでは、予算制約を受けない、やはり本委員会基準を出しておりますから、その基準にのつとつて政令地域等は変更にならない、予算制約を受けないということを、はつきり答弁つたことと解釈してさしつかえないのでございますか。
  14. 原純夫

    原政府委員 実は県の指定につきまして、県の負担になりません農地農業用施設復旧費を含めるというところあたりをどういうふうにするかということを、最後に率直に申して迷つておるのでございます。と申しますのは、あれを入れまして六月、七月の被害復旧額、それに十三号の復旧額を加えて参りますと、二十四県が指定になることになります。実は私、率直に申して、これはいかにも多過ぎるという感じをいたしております。そういう感じで、これは昨日あたりやつとまとまりましたので、これを両委員長ないし副総理に申し上げて、御連絡を願おうかと思つてつたところなのでございます。
  15. 滝井義高

    滝井委員 原さんにいろいろお尋ねいたしたいのですが、まず第一にお尋ねをいたしたい点は、三党協定によりまして、今後災害復旧状態十分調査をして、そうして百五十七億の融資を出すということになつておりますが、まずこの百五十七億というものの出た算定の基礎でございます。これを私はこういうぐあいに了解をいたしておるのでございます。二十八年度の発生災害対策事業費予算に二百四十三億計上されておる。それから、すでに災害対策予備費百億の中から今度の災害に対して三十一億もう支出されておる。それから現在百億のあの予備費の中で十六億の残がある。これを今度出した。それから今度新しく予算に計上した災害対策の中の十五億の予備費の中から十億程度出しておる。そうすると、これは大体三百億になる。さらに冷害の中に十二億計上されておる。従つてこれを合せて三百十二億になる。そうすると、大蔵省が千五百六十五億と国の負担分を見積つたので、その三割は四百六十九億五千万円、一応四百六十九億と見て、四百六十九億から三百十二億を引くと、百五十七億になる。こう理解してさしつかえありませんか。
  16. 原純夫

    原政府委員 その通りであります。
  17. 滝井義高

    滝井委員 そうしますと、問題をまず二つにわけて質問して行きたいと思います。一応三百十二億のこの現実に予算化されておる問題と、現在百五十七億というものを三党協定で出すということがきまつておるけれども、この出す筋道というものがわれわれには理解できない点が多いのであります。従つて、この百五十七億の問題と、この二つについて質問したいと思います。  まず第一に、百五十七億の問題についてでございます。先般来地方行政委員会において、横路議員とともに理財局長の出頭を求めまして、いろいろの方面から検討をいたしたのでございます。まず、三党協定によりますと、百五十七億というものを資金運用部等から出すということになつております。まず一応その資金運用部等という、「等」をあとまわしにいたしまして、資金運用部の問題から先にお尋ねいたしたいと思います。現在すでに資金運用部に残つておる金は百二億であるということは、予算委員会提出した資料によつて明らかでございます。さらにわれわれが地方行政委員会でいろいろ質問をいたした結果、現在その百一億の中から、すでに国鉄仲裁裁定のために三十億を二十七年度であつたか貸しておる。ところが、これは当然本年度返つて来るはずであつたが、今度の災害によつて国鉄が百十億以上の被害を受けたために、この三十億の金が返つて来ない。さらに今度の西日本風水害あるいは十三号台風等のために、国民金融公庫を通じて西日本に十億、和歌山県に一億、十三号に五億、合計十六億貸しておる。これもこの災害の非常に大きかつた現状から考えて来ると、この十六億も現在焦げつき状態で返つて来ない。従つて、三十億の国鉄のもどらない金と十六億の焦げつきの金を合せると、四十六億という金が百一億の金の中で返つて来ないという状態が出て来ておる。さらに、大蔵大臣資金運用部等の金をふやすためには、今後貯蓄を奨励して行かなければならぬと言われておる。しかし、貯蓄奨励というものは、現在の情勢から考えてみると、東北地方冷害で農村は打ちひしがれておるし、あるいはまた日本の産業の原動力である西日本地帯においても、北九州は全部やられておる。勤労者の生活というものは極度に逼迫しておるので、貯蓄増強運動をやつてもこれがそう多くの期待を持つてるとは考えられないけれども、一応大蔵当局の御意見も信じまして、貯蓄増強運動をやることによつて郵便貯金が大体二十億円程度増加するであろう、こういう見込みでありますので、それをそのままうのみにいたしまして計算してみますと、現在百二億にその貯蓄増強の仮定の二十億を足しても百二十二億、そうしますと、今焦げつきになつております国鉄あるいは国民金融公庫の四十六億を引きますと、現在残つておる資金運用部の金は七十六億になるのでございます。そうしますと、わずかに七十六億しかないこの資金運用部の金を、百五十七億のこの三党協定融資に全部出してしまうとするならば、昭和二十九年度のいわゆる四月から六月の地方財政調整金がまるつきりなくなつてしまうのでございます。これでは、二十九年度の予算ができても、地方財政はどうにもならないということになることは明らかであります。従つて、こういう結論から見ると、資金運用部から百五十七億を出すということはほとんど不可能であるということを断定しても、これは間違いないところだと思います。その点主計局としてはそういう百五十七億が出せるかどうか。これは理財局長は出せないと断定したのでございます。それで予算を執行する責任のある主計局ははたして出せるか、このことの言明をまずいただいて、第二段階のその資金運用部等の問題に移りたいと思いますが、御答弁を願いたい
  18. 原純夫

    原政府委員 まず今お話の百五十七億円につきましては、できる限り出したいとは思つておりますが、それも工事の進歩の状況、それから実際の必要度等につきまして実情調査の上融資をし、ないしはあつせんするということでございますので、全部が出るというふうには考えておりません。資金運用部資金の資金繰りにつきましては、お話の通り災害関係等を入れまして資金繰りが非常に苦しい。五千億の大きな金融をいたしております金融機関の資金部が、いわば流動的な資金をわずかに百億、それもことしは切つてしまうというような状態になつてつておりますので、率直に申しまして、資金部からこの資金が出るということについては、相当困難があろうというふうにわれわれは考えております。
  19. 滝井義高

    滝井委員 大体原次長の御説明も資金運用部から金が出るということは非常に困難である、まつた地方行政委員会における阪田理財局長答弁と大体一致しておると、こう考えられるのでございます。従つて、まず百五十七億を出すところの「資金運用部等」の資金運用部というものは、きわめて困難な情勢であるという結論が出たわけであります。従つて今度は、第二番目の「等」という点に移りたいと思います。  しからば、この「等」の中には、予算委員会あるいは本会議等の建設大臣あるいは大蔵大臣答弁を通じてみますと、「等」の中には市中銀行からの借入れがまず入つておると思います。それから、予算委員会における大蔵大臣答弁では、公募公債というものが出て来たのであります。従つて「等」の中にわれわれが考え得るものは、市中銀行からの借入れと公募公債だと、こう考えられるのであります。そこで公募公債でございますが、すでに公募公債というものは地方財政計画に入つておるのでございます。今度災害のためにさらに二十億くらい追加されたと思いますが、それにさらに資金運用部から百五十七億出ることが不可能であるならば、公募公債や銀行からの借入れがふえて来ることは当然だと思います。もし精査をして必要があるならば、ふえて来ることは当然であります。そうしますと、大体銀行の借入れというものは、日銀の金融引締めのために、これは非常に地方団体の現在の苦しい状態でそう貸すとは考えられない。とすると、大蔵省はどういうぐあいにして公募公債の計画をいわゆる自治庁に移してやるつもりなのか。同時に、地方銀行からの借入れをどういうぐあいに具体的にあつせんをするのか。そのあつせんをする最小限度の金額はどの程度のものなのか。この点をひとつ明瞭にしていただきたいと思う。
  20. 原純夫

    原政府委員 だんだんお話が私のいたしております仕事以外にわたることになつて参りますので、あまりぴつたりした御答弁を申し上げられないのは残念でありますが、まず、ただいまの最後のお話の最小限幾らという点から申しますと、これは、いろいろな場合に大臣初め申し上げておりますように、実情を調べ、必要に応じてそういうふうな措置をとろうというふうに考えておりますので、まだ最小限幾らというところの判断、数字というものは持つておりません。いずれにいたしましても、今まで主としてつなぎ融資でやつて来られた。予算が成立になりますと補助金が相当額出て参りますから、それで相当工事は進むというふうに考えますが、だんだんそれが長年月立つにつれてなお足らないというような事態が起つて来るのかと思いますが、ただいまとしては、そういうような際には、実情に応じてできるだけのことをいたしたいというふうに申し上げるほかない段階ではないかと思います。
  21. 滝井義高

    滝井委員 今の答弁は、お聞きのごとく、「等」についてもきわめて不明確であつて、何ら計画もないし、今後調査をして必要があれば何とかしたいという程度であつてはつきり党協定で百五十七億という数字が出ましたけれども、まつたくこの百五十七億というものは架空の数字であり、金融の見通しのつかない数字であるということがはつきりいたしたのであります。これ以上追究はいたしません。  しからば、今度は現実の予算の面に及びたいと思うのでございます。すなわち三百十二億の点でございます。一応冷害関係に出ておる十二億を除外いたしまして、災害関係三百億、この三百億の金が現実に地方自治団体にそのまま行くということを、実は地方の自治体は全部期待をいたしておるのでございます。ところが、この三百億の数字のからくりというものは、決して行かないのであります。まず第一に、これははつきりしたことはわかりませんが、私の聞くところによれば、三百億の中には十億の直轄工事が入つておるということでございます。それから、すでに現在、起債の前貸し、あるいは起債の見返り、あるいは国庫補助金の見返り、あるいは平衡交付金の見返り等で百十八億三千万円借りておるわけです。従つて三百億の中には、すでに直轄工事の十億が入つておる。それから今度は、国庫補助の見返りとして、九十四億四千万円の金はもうすでに地方公共団体に行つておる金なのでございます。それと同時に、さいぜんも申しました災害対策予備費の支出済みが三十一億あるわけなのでございます。そうしますと三百億の予算通りましたけれども、現実に今後地方公共団体に行く金は、一応千億の直轄工事はのけまして、九十四億四千万円と三十一億と十億を足して三百億から引いてみますと、百六十四億六千万円になるのであります。これが今後予算が通過した後に地方公共団体に行く金だということになる。なぜならば、九十四億四千万円というものはすでに補助金として行つているもので、今度予算通りますれば、これは国庫補助の見返りになつて帳消しになつてしまうものでありますから、現金として行つたもので今後は行かないものであります。そうなりますと、今後は災害があれば金は出すということでありましたが、百六十四億では、二十四府県が今度の西日本あるいは風水害被害を受けておる県でございますから、百六十四億を二十で割つたにしても、一県わずかに七億ないし八億しか金が行かないということなのでございます。ところが、現実に西日本の地区に行つて見ますと、すでに来年の田植えを目標にして、農地復旧というものは非常に進捗をいたしております。あるいは河川の堤防の工事というものは、進んでおるところは八割くらい進んでおるのです。そうすると、今度つくところの予算は、今度の百五十七億を入れても三割でございます。そうすると、各地方公共団体というものは、今度は少くとも三割ないし四割以上の予算がつくであろうことを期待して予算を組んでおる。ところが、もしこれがこういう状態で一県にわずか六億ないし七億の金しか行かないということになれば、地方公共団体予算というものは根本からくつがえつてしまつて、組みかえなければならないという現実がすでに起つて来ておるのでございます。昨日熊本県の県会議員が参つておりましたが、こういうような状態では百五十七億も今言つたようにきわめて不確定なものであるし、しかも現実にきまつたところの三百億の予算も、今後に実弾として行くものは百六十四億そこそこしかないということで、はたしてこれが名実ともに救農国会の予算であつたかどうか。われわれが百三十日の長きにわたつて、血みどろになつてつくつたところの議員立法に肉づけされる予算であつたかどうか。これはきわめて疑問なのである。主計局としては、こういうことで、今後日本の復興をやるための災害予算として、責任を持つて行けるかどうかということをひとつ御答弁願いたいと思うのでございます。
  22. 原純夫

    原政府委員 本年はたいへんな災害でありまして、それに対して、おつしやる通りこれしか出せないということについて非常な御不満があるということは、われわれもよくわかりまするが、この予算を組みますについて、いろいろ不用を節約してまわす等のかなりきわどいようなところの措置をとつて財源を捻出いたしましたので、それらをお考えいただいてひとつ御了承いただきたい。  なお、今回の災害復旧費は後年度に相当の負担を残すわけでありまして、さしあたり二十九年度予算の編成についても、それをどう捻出するかということは非常に大きな問題でありますが、何とか御期待に沿うようにやつて参りたいというつもりで、せつかくただいま検討中であります。こういう際でありますから、ひとつあらゆる力を出して、国もいろいろ力を出してやるわけでありますが、地方団体もまた、先ほどお話の「等」の中に出ます融資につきましても、たとえば地方の金融機関等がその地方あるいは周辺の地方で集めた資金を災害復旧にまわすというようなことも、いろいろ御尽力願いたいというようなこと、すべてが力を合して行かなければいけないのじやないかというようなことで考えておる次第でございます。
  23. 滝井義高

    滝井委員 どうも今の答弁は抽象的で、百六十四億ではもう復旧ができかねるということを何か抽象的な言葉で言つたと理解したいのですが、百六十四億そこそこでは一府県当たり七億ないし八億で、これではとうてい不可能であることははつきりしておる。大蔵省考え方は、今度の災害というものが六十何年ぶりの異常災害であるという観念があるかないかを疑う気持が出て来るのでございます。それで、過年度災害をやる場合にも、大蔵大臣がよく言いましたが、今までは二割以上金を出したことがないのだ。だから今度も二割でいいのだという答弁予算委員会で行われました。これは二割以上しかできなかつたのじやなくて、二割しか金を大蔵省が出さなかつたからやらなかつたのです。これは五割出せば地方はけつこうやつてのけておる。ところが、過去の財政の実績から二割しかできなかつたのがほんとうである。ところが今度は異常災害ですから、過去の災害とは違つておるわけです。従つて、当然これは二割以上の金を現実に予算に組まなければならない。ところがそれが組まれないで——こういうことを原さんにいくら言つてもしかたがないかもしれませんけれども、そういう状態で、この三百十二億という災害対策の実際予算に計上されておるものもきわめて不完全なものである、こう言わなければならないということになると思うのであります。これはもちろん来年度の予算にも関連をいたしますが、大体主計局においては、すでに当然二十九年度の予算編成の時期に入つているわけですから、ことし三割を見積つたなら来年は五割だということで、大体七百億ないし九百億をやるということは自由党も言つているし、緒方副総理あたりもそういうことを言つてつたと思うのでありますが、そういう方向で大体七百億ないし九百億の来年度の災害対策費を組むという方針で行つておるかどうか、この点もあわせて御答弁願いたいと思います。
  24. 原純夫

    原政府委員 二十九年度の予算の編成につきましては、まだ現在の段階災害はこれだけ組むというように申し上げられる段階に至つておりません。ただ、率直に事情を申し上げますれば、千五百六十億の半分、これは八百億近くになることはしごく明らかでありますが、同様な考えに立ちまして、過年度災害復旧を相当やらなければならないということになりますと、この年度末で八百五十億くらい過年度災害が残になる見込みであります。まあ三・五・二という思想で行きますれば、この過年度災害の額は二十九年度に何とでもしなければならぬということになつて来るわけでありますが、それに二十九年度において新たに発生するであろう災害の分が加わるということで、災害関係だけでも、歳出の要求額というものは非常に大きい額でございます。その他軍人恩給を初め恩給の増加等々と、各般の当然増して行く経費を合せますると、歳出の一応の要求額と申しますか、所要額が一兆一千億をはるかに上まわる一兆二千億に近いというようなのが実情でございます。御存知の通りの財源の状態でありまするし、これをどういうふうに調整して参るかということにただいま苦心いたしておるということを率直に申し上げたいと思います。もちろんその中にあつて災害復旧が非常に大事なものであるということは十分考えておるわけでありますが、この際として八百億の計上をする、しないということの言明については、ひとつごかんべんを願いたいと思います。
  25. 滝井義高

    滝井委員 今の原次長の御答弁で大体われわれは推定がつくわけなのですが、内閣に治山治水対策協議会ができて、恒久的な治山治水をやるためには一兆八千億がいる。それを五年ないし十年でやる計画を内閣でつくつておるのですから、それをまともに受けて、十年にやるにしても千八百億の金が一年にいる。そういつた過年度災害八百五十億も今年末に残つている。過年度災害は四百五十億が計上されておつたと思うが、その程度を計上する。今度の西日本災害、十三号災害その他を含めて行くと、どうしても七百億、八百億計上しなければならないが、それが今度の池田・ロバートソン会談を通して日本の保安隊が自衛隊になつて行くと、これを二万ふやしても二百億以上の金がいる、あるいは恩給が増加して行く、人事院の勧告のベースアツプもある程度しなければならぬというようなことになるとすれば、必然的にその財源のしわ寄せは災害復旧費にかかつて来る。そうすると、異常災害といつてわれわれ議員立法をつくつても、今年の予算が実際に計上された額が二割そこくである。来年は五割を計上するといつておるが、それらの諸情勢からだんだん災害費が圧迫されて来て、それは四百億、五百億になつてしまうということになりますと、この異常災害というものは、少くも異常災害でなしに、今までの災害と同じような状態に追い込まれてしまうということが大体はつきりして来ておるのでございます。そういうことでは、これはもう明らかにわれわれ災害地の議員が満足することができないばかりでなくて、日本全体の経済の復興と申しますか、食糧の増産と言いますか、そういう日本の経済力を培養して行く原動力というものが断たれてしまう形が出て来るのです。東京におけるインフレが起る起るという声に圧倒されて、素朴な日本を復興しようとする田園の悲痛な叫びというものが、その声で打消されてしまう形が現在出ておる。これは少くともわれわれ政治家としては座視するに忍びない気がするのです。こういう点を大蔵省の事務当局においてもつと良心的に考えて、予算の編成に当つてもらわなければならぬと私は思う。たとえば、防衛費をどんどん出すにしても、インフレーシヨンがそういう面からも起つて来ることははつきりしておる。そういう問題については何ら言わない。従つて、こういう点から考えても、来年度どの程度出すかということを、この委員会はこれで終るかもしれませんが、やはりわれわれははつきりしてもらわなければならないと思うのです。腰だめ的な数字でけつこうですから、事務当局としては大体来年度はどの程度確保いたしたいというその確信のほどを、ここで御明言を願いたいと思うのでございます。
  26. 原純夫

    原政府委員 重ねてのお尋ねでございますが、その点はごかんべんを願いたいと思います。
  27. 滝井義高

    滝井委員 それが言明できないとすればやむを得ません。次に移りますが、予算編成はきわめて無責任に行われておる、こう言わざるを得ません。それから、この特別措置法を今度の災害適用するにあたりまして、さきに、われわれ委員会に対しては、特別措置法をかぶせることによつて三百十億の増加があるというように大蔵大臣は言明したのでございますが、今度特別措置法をかぶせることによつて二百五十七億増加する、こうなつておるのでございます。そうしますと、大体二百五十七億というものは各法律ごとにどういうぐあいに増加して行くのか、一つ一つ法律ごとに簡単に御説明を願いたいと思うのでございます。これはさいぜん稲富委員が質問をいたしておりました政令の問題とも重大な関係を持つ問題でございますので、御説明を願いたいと思う。
  28. 原純夫

    原政府委員 法律ごとの資料は持つておりませんので、後ほど整理して差上げます。
  29. 井手以誠

    井手委員 私端的に質問いたしますから、簡単に御説明を願いたいと思います。  二十四の法律ごとの資料については、後ほど整理してくださるということですので、後刻に譲りまして、千五百六十五億円に査定された査定の方法を、数学的に内容を示していただきたい
  30. 原純夫

    原政府委員 千五百六十五億と申しますのは、各地からの被害報告額というのがございます。それに、前三箇年間の毎年の被害報告額が、その後関係各省被害査定を経た結果、何割何分におちついたかという比率がございますが、これの平均をとりまして、本年も被害報告額だけでこの予算を組むわけには参らない。査定によつて若干の減があるだろう、幾ら減になるであろうかということを、一応過去三年の減になりました割合をとつてみるといつたことで出しております。つまりそういう比率で出しましたところのいわば査定見込額というものが千七百七十五億ということに相なつております。なお、さかのぼつて恐縮でありますが、被害報告の総額は二千六百二十億であります。この千七百七十五億のうち、事業別に国費の負担になりますものはどのくらいあるということを調べまして、千五百六十五億——これは、御存じ通り直轄でありますれば、地方負担分を除いて全部国庫負担になり、補助はそれぞれの補助率に応じて総復旧事業費中から国費負担分が出て参ります。それを計算し集計いたしたものが千五百六十五億ということになつたわけであります。
  31. 井手以誠

    井手委員 せつかくの御答弁ですが、私はそれを承つておるのじやないのであります。農林省からあのきびしい査定をしてもなお八百八十一億の国庫負担の要求がある。建設省では、直轄工事を除けば、大体千百五十億円の国庫負担の要求がある。これらの数字に対して幾らに査定したか、率を何割何分かけたかという数字とか理由を承りたいのであります。
  32. 原純夫

    原政府委員 ただいま申し上げました通りで、被害報告のありましたものに過去三年の平均の査定率をかけるわけです。
  33. 井手以誠

    井手委員 その数字がほしいのです。何割何分……。
  34. 原純夫

    原政府委員 八割二、三分になつております。
  35. 井手以誠

    井手委員 各省ごとに……。
  36. 原純夫

    原政府委員 各省ことでございますね。——ちよつと数字が簡単に出て参りませんが、各省の要求とおもに違いますのは、われわれの側におきましては、予算編成のために、ある時期で被害報告額を打切つて計数を締めなければならなかつたというのが第一点でございます。その時期を十月五日ということにいたしました。その後実際上遅れて報告が出て参つておるのがございます。各省も、実は今回の予算はいわば非常に異例な予算でありまして、災害はほうつておけない、早くやれという御要望で、通常のきちんと固まりました要求書を出していただいて、それを査定するというかつこうでなしに、いろいろな随時人つて参りますデータを見てやるというようなことでありましたために、かようなことになつたのでありますが、事後の増減がございます。それが各省要求との違いの第一点でございます。  第二点は査定見込額の出し方、査定見込みの比率が、たとえば建設省所管の場合におきましては八割五分程度でおやりになつてつたかと記憶いたします。これは、建設省では、六、七月災害のときに、大きいものについてはさつそく急速な査定をお進めになつたわけでありますが、それらの査定の比率がその数字に近いのが出たというようなこと等の理由で、そういうような御要求になつておりますが、われわれといたしましては、だんだん小さい災害に及ぶに従つて、査定率も自然下つて来るのではなかろうか。かたがた前三年の平均をもつてやればよろしいのではなかろうかというように考えました関係、大体その二点が大きな違いの原因かと思つております。
  37. 井手以誠

    井手委員 私が質問申し上げておるのは数字と理由であります。理由と申しますのも、八割五分にしたのなら八割五分の理由委員長にお願いしたいと思いますが、本日は最終日の審議でございまして、議事もさばかねばならぬと思う。しかし一方、臨時国会においては、重要な過去四箇月間にわたる審議の総決算でございまするけれども、その審議がほとんど行われておりませんので、十分尽したい考えております。ところが、私の質問に対する原次長の答弁は、漠然たる原則論でございまして、納得できないのであります。委員長あたりからも、議事進行上、当然わかつておるはずの数字でございますので、農林省の八百八十一億要求に対して四百億幾らに削つた、その率のかけ方及びその理由というように、簡明に端的に答弁されるように御注意願いたいと思います。
  38. 岡部得三

    岡部委員長代理 原政府委員に申し上げます。どうぞ今の井手君の質問の数字及び理由について、はつきりとその経過等をお述べください。
  39. 原純夫

    原政府委員 ただいま申しましたように、各省の要求は、今回は予算の編成が異例でありましたために、きちんと固まつた要求というようなことでなしに、被害額も毎日かわつて来るというような状態でありました。その間、被害額を見ながら、どの程度査定見込率をかけるか、それから復旧率をどの程度にするかというようなことを話し合いながら、予算を組んで参つたわけであります。その間、まだ建設省関係で申しますれば、要求と査定との違い、これは、直轄事業、補助事業とも、被害報告額の増がその後建設省の要求には含まれておるのが第一点、この増が割合に多くて百三十五億円程度になつております。それから査定率におきまして、直轄の方は査定率というのは入らないのでございますが、補助の査定率が、土木につきましては、建設省側の御意見は八五%、当方は七五%。それから国費率と申すものがあります。これはつまり補助事業総額のうち国費負担率がどのくらいになるかという率でございます。これは建設省側の案が八五%、大蔵省側はこれは逆に国費はもつと多かろうというので九〇%というふうに査定いたしておるわけであります。最後に、大きいのは復旧率でございます。建設省側におきましては六、七月の水害復旧、割合を六〇%、八月の復旧割合を、十三号台風を含めたものでありますが、四〇%と見ておられますが、大蔵省側は、御存しのようないきさつで財源が三百億程度しか出て参らないというので、その中でがまんを願うということで、比率が相当下つて参ります。全体として二〇%でありますが、直轄事業の方は御存じのごとくよけいどうしても進むというようなことがありまして、補助事業は二〇%を三、四%下るというような状態なつたわけであります。最後の点は、総額の千五百六十五億の問題ではなく、本年度の問題でありますが、大体そんな点が建設省関係においては大きな違いの要点であります。  それから、農林関係にありましては、大きなのは農地農業用施設復旧でありますが、この被害報告額が締めましたあと若干動いているというのが第一点であります。やはりここでは百億くらい動いております。それから第二といたしましては査定率でありますが、農林省原案の査定率は七〇%強になつております。それから大蔵省側のは、先ほど申し上げたようなわけで六八%になつております。それから国費率、つまり国費負担がどのくらいになるであろうかということにつきまして、農林省側のは、特別立法地域における補助率、国費率九〇%、その他の地域における補助率は六三%というふうに見まして、その補助率平均は、これは暗算ですから正確でありませんが、おそらく八八%程度になるだろうかと思います。われわれはこれを八七%、ほぼ同じであります。それから本年度予算として大きいのは、やはり復旧率が農林省案は三〇%は復旧たいということでありましたのが、先ほど申しましたように財源の関係で制約を受けて、二〇%を数パーセント下るということになつてしまつた。この予備費から将来出るものがありますれば、それが加わるというので、予備費から出るのを全部一律に出るとしますと一割くらい出るわけでありますから、十六・七パーセントになるかと考えます。大体以上が各省要求とわれわれの違いの要点であります。
  40. 柳田秀一

    ○柳田委員 先ほど次長から説明を受けましたが、十月六日に大蔵省からわれわれに配付された資料によると、被害報告額が二千七百八十二億、それを、大蔵省の方で、過去三箇年間の大体の実績平均によつて、査定見込額を二千十一億に踏まれた。それに対して、国費の所要額として、特別措置法による場合を、十三号台風を入れて、これだけは十月一日の調べですが、そういうものを加えて千七百九十九億、大体千八百億というものを、大蔵省が、被害総額の報告を受け、過去三箇年の実績に徴して特別措置法適用したとしての国費の所要額として見られた、こういうようにわれわれは了解しておつたところが、その後の経過に従つて、この千七百九十九億が千五百六十五億ということに下つて来ておる。ここにわれわれは第一の疑問を抱くのですが、その下つた理由はどういうわけですか。
  41. 原純夫

    原政府委員 下りましたのは二、三点大きな原因があるのであります。  まず第一に、この十月六日の資料におきましては、ただいまお話の千五百六十五億と申しますのは、公共事業関係の災害復旧費の国庫負担の見込額でありますが、公共事業関係以外に、文教、厚生関係等で国費負担分九十五億円という、これはもう当時非常に荒い数字でありますが、それを入れてございます。それから凍霜害その他で五十五億、合計百五十億というものが見込まれております。今回の千五百六十五億にはそれは入つておりません。これらは別途今回補正予算においても計上いたしてありますので、それを抜いてお考えいただかなければならないわけであります。千七百九十七億というものでありまして、まあ千八百億、それから百五十億引きますから千六百五十億程度になるわけであります。それが今回千五百六十五億になつたというでありますが、それの違つて参りましたのは、第二段の説明でありますが、その間の違いの原因、これは、前回の十月六日の表には、今後発生見込額といたしまして被害報告で百億、国費負担が五十億というごく大ざつぱな何を入れてございますが、これらがその後の分がないというので抜きまして、そのかわりそれまでの分の査定率を各事業別に精細な比率で算定いたすというようなことをいたしましたために、この増減た出て参りましたのが一つ、それからもう一つは、十月六日にお出ししましも際には、国費負担額のうち特例法による増加分は、一応復旧所要額金額について特例法適用されるとした場合にはこれだけになりますというふうに申し上げて、そう計算いたしてございましたのが、今回の予算におきましては、先ほど来申し上げております通り、八割五分程度の金額についてということでございますので、それらの点が大きな違いの原因でございます。
  42. 岡部得三

    岡部委員長代理 ちよつと皆さんにお諮りいたしますが、原主計局次長は実は参議院の水害対策委員会に至急来てほしいということで、先ほど来言つて来られておるのですが、参議院の方を済ませたらまた来てもらうことにして、一応参議院の方に行つてもらうことにいたしますから、御了承願います。
  43. 松前重義

    松前委員 私は建設省の方にお尋ねいたします。水害予算が大体決定したようでありますが、この予算につきまして建設省の見解を伺いたいと思います。本年度のこの程度の予算で、今年降りましたような雨が来年また降つたとすれば、あるいはまた明後年降るような場合、あるいはこの千五百六十五億というもので復旧が完成した後に降つた場合、再び災害が起らない自信がおありになりますか、どうですか。
  44. 石破二朗

    ○石破政府委員 今回の補正予算は、建設省に関する限りは、責任をもつて仕事をやつて行く上にはきわめて不満足でございます。これにつきましては、三党におきましても、これでは足らぬということで、百数十億の救済融資その他の特別措置を講ぜよということを御決定になつておりますし、政府におきまして、それに極力努めるという態度をとつておるわけであります。ただこれは市中銀行あるいは資金部資金によるわけでございましようが、いずれにしてもこれを予定通り工事費化するということは非常にむずかしいことだろうと思いますので、今後、建設省としては、いかにしてこれを工事費化するかということにこの三月までの使命があるのだろうと思います。さらに足らぬ分は——来年の三月三十一日という日は実は年度の区分でございまして、来年の災害に備えるという意味からは、必ずしもあまり意味のある日とも考えられませんので、来年の田植えどき、さらに来年の出水期というものをわれわれの工事のめどとして努力して行きたい。つまり本年度内において融資その他の工事費の獲得に努めるとともに、来年の復旧費を十分予算に計上してもらいたい、さらに早急に工事の実施に移すということが、今のわれわれに残された使命であります。  なお、千五百六十五億の復旧で自信が持てるかというお尋ねでありましたが、千五百六十五億というのは、先ほど主計局次長からもお話がありました通りに、あれは予算を算定するについての一応の推測に基く被害額と心得ておるのでありまして、今後査定の進行に従いまして、これを上まわるか、あるいはそれを下まわるか、これはわからぬと思いますが、いずれにしても査定の権限は建設省にあるわけでございまして、将来の復旧費が、千五百六十五億の中に含まれております建設省分九百九十六億何がしに押えられるものではない、こう思つております。
  45. 松前重義

    松前委員 大体不必要な議論の応酬はやめまして、結論は、このくらいの予算ではとうてい将来の災害に責任は負えないというように承ります。私もさもありなんと思うのでありまして、少くともこの建設省関係の仕事が根本的に行われなければ、当然農林省関係は今度また災害を受けるというようなことになるのでございまして、これは副総理あたりを呼んでお話しなければならない問題でありますけれども、まずもつて河川の治水の問題が解決しなければ、何度も災害を繰返すことになる、こういうことは申すまでもありません。どつちが優先であるかと言うならば、私は、農林関係よりも、むしろ時間的に一応先に治水の方向に金をまわすべきである、その次に農林関係にまわすというような時間的な差異があつてしかるべきだと思うのであります。こういう考え方からいたしまして、建設省はもちろんこういうことには御賛成だろうと思うのでありますが、ただこのような根本的な治水計画というものが建設省自体として立てられておるとは思います。再びこのような災害が起らないように、たとい起つたにしても、ある程度地域を狭めることができるようにこの災害を減少せしめることができるように、いろいろな計画があるかと思うのでありますが、それらに対する根本的な御計画、理想的な御計画をお持ちであるかどうか。この災害に際会して、特にこのような計画をおつくりになつておいでになるかどうか。しかもそれが年度的に計画的な建設計画をお持ちであるかどうか。これを伺いたいのであります。
  46. 石破二朗

    ○石破政府委員 災害復旧費はお話の通り年々災害額がふえ、従つて災害復旧費が年々ふえる一方でありまして、二十九年度に持ち越さざるを得ないと思われます建設省所管の災害復旧事業費だけを考えてみましても、千五、六百億見当のものが二十九年度以降においてやらなければいかぬというような状況にありまして、いわゆる過年度災害の額なるものは年々累増して行くばかりであります。こういうことで行つては、国民が困ることはもちろんでございますけれども、財政面から見てもとうてい負担にたえられぬので、御承知のごとく根本的の治水、治山対策というものをやろうというところで、すでに、二、三箇月にわたつて内閣の治山治水協議会というもので協議しておりますけれども、何分にも、一応の概算では、農林省、建設省のを合せますと、一兆八千億というような数字が出て来るのでありまして、これまた非常な厖大な金額の財政資金がいるわけであります。これをどうしてやるかということには、今後、ひとり建設省だけではなしに、いろいろの方面から検討を加えていただきたい、かように考えてまだ結論には至つておりません。この年々の予算が三百億であるとか四百億であるとかいうような問題を離れまして、根本的の治山治水をどうするか、過年度災害の千五、六百億に上るものをどうするかという問題については、建設省といたしましても真剣に考えておるわけでありまして、まだ結論には至つておりませんが、次の通常国会なり何なりで十分御審議もいただき御検討も願う機会があろう、かように考えております。
  47. 松前重義

    松前委員 もう少し思い切つた御発言を願いたい思つてつたのであります。というのは、こうすれば責任が持てるというような具体的な計画をおつくり願いたいと思うのであります。これが一番根本でありまして、年々の災害が累増するばかりであることは、最近の表を見ても明らかであります。このままにしておけば、日本の国土は破壊されるとまで極言できると思うのであります。とにかく、今の政府がどうであろうと、あなた方は事務当局であられるのでありますから、事務当局は少くとも常に理想案をかざして、その実現に向つて努力されるのが当然であると思うのであります。この水害の問題は、私二、三日前まで中共に行つておりましたが、中国の水害予算のごときは、五箇年計画においても日本の何十倍どころでない、百倍以上の厖大な予算です、そのような厖大な予算で、計画的にやつておる。准河一つを見ても、日本全体の工事よりもはるかに大きい。しかも建設省の河川局というような小さなところでやらない。水利部という水利省をつくつて、あのようなたくましい水利をやつている。このような重点的な政策のもとに、国民経済の将来を楽しみにして、国民はみんな耐乏生活に甘んじて、労働服を着ながら、明日の経済の向上を楽しみにしてやつているというような状態であるのでありまして、日本は今のようにしておけば将来だめになるだろうと私はつくづく感じながら、鉄のカーテンのかなたから日本の姿を見て参つたのであります。この問題は私どもに与えられた最大の問題の一つであると思うのであります。建設省ではどうか根本的な責任の持てる河川計画、治水計画をお立て願いたいと思います。それは政府のごきげんに反しようと何しようと、政府は国民ではありません。困るのは国民であります。こういう意味におきまして、どうかうんとふんばつて、理想的と申しますか、責任の持てる建設計画、すなわち治水計画の根本的な、具体的な設計をひとつお願いしたい、御督励を願いたい、このように私は希望するのでありますが、事務当局として特にこの点について御奮発を願いたいと思う次第であります。
  48. 石破二朗

    ○石破政府委員 お話でございますから、私の方からお答えする筋ではないのでありますけれども、思い切つたことを言えとおつしやいますから、私が考えていることを申し上げて御参考にしたいと思います。建設省としても、理想案をつくるについては、私技術者ではありませんけれども、やはりもう少し技術的にもしつかりしたやり方でやつて行かなければいかぬだろう。なるほど戦後雨がよく降るようにはなりましたけれども、直轄工事なり災害復旧工事としてやつたものが、全部とは言いませんけれども、次々にこわれて行く。堤防がなかつたころより、治水工事をやつたためにかえつて被害が大きくなつたというような例も中にはあるような状況でありまして、建設省もただ金が足らぬ足らぬと言うだけでなしに、技術の面でも、われわれは建設省の役人としてもう少し考えなければならぬということが多々あろうと思います。  さらに、これもまたなまいきなことを言うようでありますけれども、私はいなかの生れでありまして、その当時は経済事情、社会事情がいろいろ違いますから、一律には行かぬと思いますけれども、たとえば村の道がこわれましても、子供でよくは覚えておりませんけれども、政府の補助というものはなかつたのだろうと思います。自分のたんぼが流れましても、石が入りましても、おやじが国からなり県から補助金をもらつてつたとは聞いておりません。もちろん当時とは、先ほど断りましたように、社会情勢も何もかわつておりますから、一律には行かぬと思いますけれども、やはり建設省の役人が考えると同時に、国民の皆様もひとつ国の財政状況もよく考えていただいて、やはりできるだけのことは自分の力でやるという気分を持つていただかなければなるまい、かように考えておる次第でございまして、こういうことはなかなかわれわれが言うだけで解決せぬ問題だろうと思いますけれども、そういう点につきましてもいろいろ御指導をお願いいたしたいと思います。
  49. 松前重義

    松前委員 これ以上質問はいたしませんが、ただ先ほど来申し上げた責任の持てる計画だけは早急にお立て願いたい。来るべき通常国会までには、一応理想案くらいはお持ち願つてお述べ願いたい、こういうふうに思うのであります。そうしなければ、われわれは闘いの目標が立たない。ただ予算をとるのが能じやない。節約することもわれわれの仕事でなければならない。でありますから、その責任の持てる基礎案をぜひおつくり願つて御提示を願いたい、このことをお願い申し上げておきます。
  50. 岡部得三

  51. 山口丈太郎

    山口(丈)委員 私は大蔵省にも御質問を申し上げたいわけでありますが、建設省にひとつお伺いをいたします。過般の水害対策特別委員会におきましては、戸塚運輸大臣は、この災害復旧は、過年度の災害が約八百五十億ほど残つておる。そして毎年々々これを繰返しておつては、国家財政はますます貧困になるので、ここ二、三年間国家財政は苦しくても、思い切つてひとつ今度の災害は二箇年くらいをもつて工事が完成するように最大の努力をしたい、こういうことでありまして、非常に私どもは意を強くいたしておつた次第でございます。ところが今度の補正予算を通じて見、あるいは大蔵省の査定の方法等を勘案してみますると、どうもこの予算支出総額をまずきめておいて、それを三割に当てはめるように査定をして、形式上の三割を出して、実際には、私の考えによりますと、これは二割にちよつと届かぬのじやないか、従つて建設省などの査定も、そういう大蔵省の一つの点をきめて、それに当てはまるように査定をされたきらいが多いのではないか、これはせつかく建設省で立てられました計画そのものが水泡に帰するおそれがあるというふうに考えるわけですが、この査定について、建設省は、大蔵省のこういつた態度の査定で、実際の災害復旧についての工事の促進が進捗するとお考えになるか、一応そういう点、査定の経緯についてもひとつ建設省から伺つておきたいと思います。
  52. 石破二朗

    ○石破政府委員 査定に大蔵省建設省とが食い違いがあり、建設省は大蔵省の査定方針に従つて査定しておりはせぬかというお話でありましたが、前段の食い違つておる点があるのは事事でございますが、大蔵省に合せて査定しておるというようなことは毛頭ありません。実は査定の途中でございまして、将来の見込みについて大蔵省と見解は若干違つております。さらに、数字の違う根本は、先ほどもお話がありました通り被害報告の締切り時期が違つております。それから千五百六十五億に費目が入つていないのもあるというような関係で食い違つておりますが、先ほどもお答え申し上げました通り、査定は建設省の責任でやるのでございまして、大蔵省からさしずを受けることはありません。ただ、建設省といたしましても、従来の例で見ますと、机上査定等には、ややもすると過大な報告をそのまま、あるいはそれに近いものを誤つて査定しておるようなものも中にはあつたのでありますが、今後厳重に査定したい考えております。     〔岡部委員長代理退席、綱島委員長代理着席〕
  53. 山口丈太郎

    山口(丈)委員 今の答弁によりますと、大蔵省の査定あるいは大蔵省の方針に左右されるものではない、独自の査定を行つておるのだ、こういうことでありますが、そうしますると、建設省からお出しになつた向きの予算の要求額と、大蔵省がそれに対して査定をいたしました予算額においては、大きな開きを実は生じておることは明白なのであります。そういたしますと、この委員会におきましても、最初から了承いたしております三・五・二の比率というものの食い違いが非常に生じて参るわけであります。そして表面は三・五・二の割合で復旧工事予算をやつたのだといいましても、実際にはそうなつていないということが私は明確に言えると思うのでありますが、お考えはいかがでしようか。
  54. 石破二朗

    ○石破政府委員 三・五・二の比率は、実は全災害をひつくるめて大きな数字で言つておるのだろうと思うのでありますが、個々のものになりますと、必ずしもその率に行つておりません。たとえてみますと、公営住宅の建設は、二十八年度においてやるべき仕事の六割は二十八年度にやれという法律がありますので、それは六割になつております。それから道路の修繕の補助費にしましても、あれは二十八年度にやれとは特例法に書いてありませんけれども、二十八年度に限つて補助するとなつております関係上、これは二十八年度で全部やるべきものはやらなければならないということになつております。それから水防資材の補助にしましても、これは三・五・二の比率で国が補償するのでは間に合いません。今年中に補償せねばならぬというものがありまして、こういうものはずつと率は上つて来ております。それから、問題は公共土木ですが、これも直轄工事は五〇%ばかり今年やれることになつております。補助事業の方は、いろいろ三割を越えるようなものがある関係もありまして、相当率は下つておりまして、予算面だけから言いますと一五%を切るような結果になつておりますが、これは、予備費の支出を求めるとか、さらに冷害対策として災害復旧費が五億組まれておりますが、これをもつて今年の災害復旧をやるとか、さらに足らぬところは百数十億の融資を極力これに充ててやるとかいうようなことにして行くほかないと思います。
  55. 山口丈太郎

    山口(丈)委員 私も、その全体については、あの法律から見ましても、おつしやるように六〇%、それ以上八〇%になるものもある。また一割を割るようなものも本年度においては出て来る。こういうことは私も了承するわけでありますけれども、しかし、予算総額から見ますると、土木関係におきましても、平均して行きますと、今申しますように三の比率にはならぬ。しかも未査定のところがたくさんございまして、本年度におきましてはいくら押えに押えて査定をしたといたしましても、この災害総額というものはふえて参ることは間違いないというふうに実は考えるわけであります。そういたしますと、この災害査定の最終額は——九月二十五日の十三号台風で締切るといたしまして、一応その査定が何日ごろに終られる予定であるかということが一つ、それから、それによつて生じて参りました差額について、建設省としては、大蔵省に対して、この予算をどういう考えで今後要求して補正されようとするか、こういつた点を一応お聞かせ願いたい
  56. 石破二朗

    ○石破政府委員 査定は一応、ことし発生しましたものは、おそくとも年内には終らなければいかぬと思つております。これは終了できるかどうかという問題よりか、実は地域指定の関係で、あまり査定せずに地域指定をするわけには行きませんし、そうかといつて地域指定をしないと、いつまでも特例法適用があるのかないのかということがはつきりしないということかございますので、無理してもおそくもことし中には査定を終了したということにしなければいけまいと思います。その間の少し無理が出た点は、あとで手直しをするというよりはかなかろうと思います。  それから、予算の査定の結果増になつた場合はどうするかというお話でありますが、実りは大蔵省の方は査定の歩どまりを七割五分と見ております。私の方は七割八分という見当をつけておるのでございますが、あるいは大蔵省考えておるような七割五分が正しい数字になるのじやなかろうかとも思われる節もありますので、はつきりどれだけ増加になるか減るかわかりませんけれども、それは、いずれにしましても、査定の結果がわかつて来た場合にどうするかというお話でありますが、私の方は、百数十億の融資はまず何としてもできるだけ多くとるということを第一に考えたい思つております。
  57. 山口丈太郎

    山口(丈)委員 私は融資のことについてさらにお伺いをしておきたいと思うのでございます。融資をするとしても、大蔵省の説明によりますと、反面その融資を引揚げる、こういうような態度にあるようでございます。そういたしますと、片方では融資をして行くとおつしやるが、片方では引揚げて行く、こういうことになりますと、実際には融資したことにならないじやないか。そうすると、今年度の融資によつて工事を進めつつあるものが中止を余儀なくされるということになる。工事の停頓を来すというようなことがおそれられて来るわけです。そうすると、ただ予算によりまする金の放出以外に、全然たよるところはない。実はこういう結果になることをおそれるのですが、一体この融資したものに対する対策は、建設省はどのように考えられるか。また大蔵省としてもどのような態度を今とつておるのか。建設省の方で知れている範囲についてお答え願いたい。これは災害地におきましても非常に心配をいたしておることでございますので、ひとつこれを明確にしておいていただきたいと思います。
  58. 石破二朗

    ○石破政府委員 お話は、すでにつなぎ資金として出ておる百十数億の融資を引揚げれば、補正予算を組んでも、場所によつては一一事を中止しなければならぬところが出はせぬかというお尋ねのように伺いましたが、やはりつなぎ資金は一応政府としては補助が出ますときは返さすことにする、そしてそれをもつてことしの資金計画を遂行するということになるのだろうと思いますが、しかし、建設省関係に使われております金は、百十数億のうち、はつきりはわかりませんけれども、五、六十億はあるのじやないかと思う。そうすると、私の方で今度補助金を出しますのが百二十七億ばかりあるわけでございまして、計算上はやはり六、七十億の増になるわけでございます。ただこれが地域的にうまく行くかどうか、この辺のところが私としても非常に心配でございますので、この予算が成立しますれば、早々に各県の災害復旧の主任者の会合を催しまして、今後予算をどういうふうにして使つて行くか、さらに足らぬ分は市中銀行によるのか、資金運用部資金を仰ぐのか、そういう点を個々に打合せしたい思つております。
  59. 山口丈太郎

    山口(丈)委員 さらにもう一点重要な点についてお尋ねしますが、今申し上げました予算の割当等について、聞くところによると、大蔵省の方ではこれはまだはつきりしていない。同僚委員からの質問に対しては、後に資料をもつてお答をする、こういうことも言われておるのでありますけれども、今申された点を聞きますと、予算の割振り、使途についてはまだはつきりきまつていないように伺うのですが、そうすると、大蔵省が先ほど資料で出すと言つたのは、コンクリートしていないと資料は出せないわけでございますが、この費目あるいは各省別の割当等については、まだかつちりと固まつていないのでしようか。
  60. 石破二朗

    ○石破政府委員 災害復費の建設省に関する限りは、今後別に大蔵省に打合せするまでもなく、国会でこの予算が成立次第、被害の程度に応じて各府県なり市町村に配分できる。ただ、これには一つ予算外に百数十億の融資という問題が含まれておりまして、それとあわせて考えなければいかぬというような点がありますので、各府県災害復旧の責任者に個々に具体的の事情を聞いて、それじや予算はこれだけ、融資はこのくらいで何とかなる、しかもこの融資は市中銀行でこのくらいは消化できるだろうというような点をよく相談して、事業の量を決定したいというわけであります。
  61. 山口丈太郎

    山口(丈)委員 さらにお伺いいたしますのは、この災害は、今度の臨時国会によりまして、今までのように六月下旬及び七月というようなわくをとりまして、六月以降おおむね九月二十五日までの災害について適用せられるようになつたと私は解釈するのですが、そういう場合に、今まで一度に、たとえば七月上旬のあの台風によつて一時に大きな被害をこうむつた、こういうようなところでなくして、それまでに、過去にありました災害のたびに被害をこうむりまして非常な大きな額に上つているが、いまだ中央に対してそれらの報告も万全でないという地方がたくさんあるわけです。こういうものも当然やはり本部におかれましては、調査をしていただき、査定をしていただいて、その復旧の諸法律並びに国家の補助に対します措置を講じていただかなければならぬと私は思いますけれども、そういう点で、今までたびたび数回にわたつて繰返された災害地に対してどのように査定が進行しているか、あるいはそれを査定された後には、やはりこれに該当するというものは、ただちに従来とられました特例法等を当てはめて、早急にそれを指定する考えであるのか。
  62. 石破二朗

    ○石破政府委員 今年の一月一日から最近までの被害全部について一応の査定を年内に終らせたい、かように考えております。さらに特例法適用の問題につきましては、六月一日から九月三十日までの被害総額を合算いたしまして、特例法適用するかどうかをきめて行きたい。小さいのが重なつたものでも、一回にどかつと来たものでも、その間に差等はつけないつもりでおります。
  63. 山口丈太郎

    山口(丈)委員 もう一点で私は質問を終りたいと思いますが、これは大蔵省にも尋ねないとわからぬ問題なんですが、私は、きのう資料の配付方を要求いたしまして、手元に資料の配付を受けたわけでございます。それによりますと、三十府県に対するつなぎ融資が出たことが記載されております。これは、建設省あるいは各省の報告に基いて、その報告の被害総額に対する比率に基いて、私は公平につなぎ融資が来ているものだと考えるものでございますけれども、巷間聞くところによりますと、いろいろな事情のおありなんでしようが、そういうことではなしに、別途の方法も加味されているかのように聞いているのでございますが、このつなぎ融資については、建設省関係としてはやはり大蔵省にその建設関係の被害の総額を報告されて、そうしてそれに基いて出されているのかどうか。ひとつはつきりさしていただきたいと思う。
  64. 石破二朗

    ○石破政府委員 つなぎ融資は、御承知の通り被害が発生しまして早々の間に出されております関係上、必ずしも現実の被害額と正比例しているということは保証しかねると思います。査定にあたりまして、また補助金を実際に出しますにあたりましては、つなぎ資金の関係とは一応全然関係なしに別個の見地で査定した被害額に応じて、緊急度合いに応じて予算の配賦をしたい思つております。
  65. 綱島正興

    ○綱島委員長代理 しばらく休憩いたします。     午前十一時五十五分休憩      ————◇—————     午後三時五十分開議
  66. 村上勇

    村上委員長 休憩前に引続き会議を開きます。  政府に対する質疑を継続いたします。山口丈太郎君。
  67. 山口丈太郎

    山口(丈)委員 私は、建設省に対する質問に引続きまして、大蔵省に対して御質問を申し上げたいと思います。実は、昨日私は、つなぎ融資の各府県融資額及び台風あるいは水害等による種別表、及び各府県災害報告総額に対しまするつなぎ融資の額とその比較の表を資料として提出していただくようにお願いをいたしておいたのでございます。ところが、本日配付されましたこの表によりますと、なるほどつなぎ融資額は各府県別に出ております。また災害の回数に対しまするおのおののつなぎ融資額も出ておるのでございますが、しかし、これは各都道府県の損害総額に対してのつなぎ融資額なるものが比較できないわけであります。各府県につなぎ融資を出されました根拠はどのような根拠に基いてお出しになつておるか、一応お伺いいたしたいと思います。
  68. 森永貞一郎

    ○森永政府委員 つなぎ融資の問題につきましては、当委員会におきましてもしばしばお答え申し上げたことがございますが、各府県からの報告、これはなまの報告でございますので、今後の実質査定の結果相当異動があるわけであります。そこでさしあたり、つなぎ融資を出します場合には、各府県別の従来の報告と査定実績との割合をにらみ合せまして、そしてこのくらい出しておけば、将来補助金を出した場合にも、その査定が著しく異動を来した場合でも、出し過ぎにはならぬだろうというようなところを押えまして、各府県別につなぎ融資の額を算定いたしまして出しておるわけでございます。
  69. 山口丈太郎

    山口(丈)委員 そういたしますと、各都道府県から報告されまする額は、従来のその都道府県災害に対する査定の信用度によつて、たといある府県が何億の報告をいたしましても、その信用度によつてはこのつなぎ融資が左右されて行く、こういう建前でありますか、一応お伺いしておきます。
  70. 森永貞一郎

    ○森永政府委員 同じような被害報告がございました場合でも、Aの県では従来大体報告と査定との差が非常に少い、Bの県ではその差が非常に大きいというような場合には、その間の事情を考慮に入れまして、Bの県の方には大事をとりまして、幾らか少な目に出しておる。そういうことを、早急の間でございますから、やらざるを得なかつたわけであります。但し、この方法がいいかどうかという問題につきましては、私どもも非常に検討いたしております。と申しますのは、報告を大きく出せば少くともつなぎ融資だけはよけい行くというようなことにもなるわけでありまして、多少弊害も起つて来ておるようでございますので、今後はもう少し合理的な方法を考えたい思つて検討いたしておるところでございますが、本年度は、さしあたり、非常に急いで出します場合には、そういう方法しかとり得なかつたわけでございます。
  71. 山口丈太郎

    山口(丈)委員 今の御答弁の中にありましたように、各府県の状況を聞いてみますと、あなたから今お答えいただきましたような弊害が生じつつあるように聞くのでございます。特に災害を数度受けた都道府県というようなところでは、まとまつては大きな額として報告にはならないわけでありますけれども、その都度こうむりました災害を総計いたしますと、相当大きな額になつている地方もあるのでございます。ところが、それらの災害地でいまなお一銭のつなぎ融資も受けておらないような町村もございます。特にそれらの町村におきましては、その町村の所属いたしまする府県におきましては、大蔵省のつなぎ融資に見合いまする意味の暫定的な査定と言いますか、それにいたしましてもきわめて事実に即さないような査定がされておるのではないかというふうに見受けられるのでございます。これは決して私は、大蔵省がどうの、こうのというわけではなくて、一方においては、たまたま一ぺんありました災害について、多少誇張した報告をしたために、大蔵省において信用度というものが非常に低くなつた。ところが、最近に至りましては、それにこりまして相当厳格な査定を出しているにもかかわらず、なかなかその信用が回復していないためかもしれませんが、どうもそのつなぎ融資が円滑に公平に渡つていない向きがある。聞くところによりますると、これはデマと私は信じておるのでありますけれども、政治力の強い県に対しては相当大きなつなぎ融資が出される、ところが政治力貧困な府県はこの通りになるというようなことになりまして、実はそれらのうわさを立てられる府県選出の——これは党派を超越いたしまして、それらの県の議員は非常に苦境に追い込められる結果に相なつておるのであります。こういうふうな取扱いは私はないと信じまするが、しかし実際そういうふうに疑われるようなつなぎ融資の配分というものも、私は考えなければならぬというふうに思うのでございます。そういう場合に、この表で見ますると、大体そのつなぎ融資を出しているところでも、指定の対象にならない府県にも出されておるのでございまするけれども、しかしその府県の事情によりますと、非常に大きな災害をこうむつているところもある。そういたしますと、今申しましたように、つなぎ融資もいまだに受けないで、その資材を買うこともできないような町村がありまして、非常に困つているところがある。こういうふうな点について、大蔵省といたしましては今後つなぎ融資をどのようにお考えいただけるか、ひとつお答えをいただきたいと思います。
  72. 森永貞一郎

    ○森永政府委員 まず初めにお答えいたしたいと思いますが、各県の報告を基礎にいたしましてつなぎ融資をいたしております。従いまして、市町村別の被害の状況までは、これは私の方では考えておりませんし、またとつさの場合でございますから、そこまで考えることはとうてい不可能であるということを御了承いただきたいと思います。従いまして、各県につなぎ融資をいたしましたものの中から、各県におきまして県なり市町村なりの配分を合理的におきめいただく。これは県におまかせしてあるわけでありますから、その点をまず御了承いただきたいと思います。  それから、各県の報告と査定との食い違い、これは一年だけをとりましては例外がございますから、過去三年くらいの実績をもつて来ております。従いまして、一度だけ非常にふつかけて報告したというようなことによつて、非常に不利な取扱いを受けるということは、おそらくはないのではないか、過去三年とりますと、大体いいところが出るのじやないかという気がいたしておりますが、その点を御了承いただきたいと思います。  それから、政治的な勢力云々というお話がありましたが、私の方では、ただいま申し上げましたような基準で計算いたしました額を越えて融資をいたしましたところは一つもございません。但し、西日本各県につきましては、当時災害の発生した時期も非常に早かつたものですから、補助金の引当て以外に、起債の引当てを若干認めたということはございます。これは、災害が早かつたため、ないしは災害の程度も非常にきつかつたという事情によるものでありまして、起債引当て分を若干認めたものがある以外には、われわれが考えております基準を越えて融資いたしましたところは一つもないことを御了承願います。従つて、政治的勢力云々ということは、私どもに関する限りは絶対ありませんので、その点も御了承いただきたいと思います。  それから、今後行き渡らなかつたところのつなぎ融資をどうするかというお尋ねでございますが、幸いにして本日予算が成立いたしますれば、融資がなくても、補助金の交付の方をできるだけ早くということで行かなくちやならぬと考える次第でありまして、今日の段階では、つなぎ融資よりも、むしろ補助金の交付を急ぐということによつて御要請にこたえたい、かように考えております。
  73. 山口丈太郎

    山口(丈)委員 そこで私は、これは出されました大蔵省のためにといいますか、政府のとりました措置のためにも、これはひとつ明確にその理由が、災害地方をまわりました場合にも、説明でき得るようにすることが、信用度を増すことだと考えまするし、私が今御質問申し上げましたような誤解が地方にあるといたしますと、これを解消することが私は一番望ましいことと考えて、私どもも協力したい考えまするので、国会は本日で終りましても、このつなぎ融資に対しまする各府県別の要求総額と申しますか、被害総額との比例表をぜひひとつ私どもに御提示いただきたい、御配付願いたい、こういうふうに思うのでございます。  それから、第二の点としては、今予算措置がきまれば、今度は融資よりも予算措置の方を早くやりたい、重点的にやりたいということは、まことに私どもけつこうに思いますが、しかし、その場合においては、本年度の予算だけをもつていたしましては復旧は万全でないので、従つて、今後の融資の問題について、いろいろ配慮をして行かなければならぬというふうにいわれておりまするし、また事実私は、本年度に支出されまするこの補正予算だけをもつていたしましては、とうてい土木建設関係、農地関係、特に急ぎまする農地関係と土木関係につきましては、なかなか思うよう参らない。そこにやはり融資の必要をお認めになつておるのでございますが、しからば、その融資を実際におきめの場合に、どのような措置をお考えであるか、ひとつこれも伺いたいと存じます。
  74. 森永貞一郎

    ○森永政府委員 三党協定の趣旨に基く百五十七億円の融資につきましては、資金運用部等より融資をすることになつておりまして、資金運用部はもちろんきゆうくつでございますから、今後郵便貯金——郵便局に奨励金を出しまして、相当貯金を集めたいと思うのであります。また、従来の例で参りますと、ある程度実際の起債の許可と金が出るまでの間に多少ずれがありまして、そういつたようなずれも活用できると考えております。それからまた、市中銀行にもそういつた融資の道をあつせんさせたい思つております。また、これはいいことではありませんが、そのような必要があり、かつ可能であれば指定預金ということも考えられます。
  75. 森永貞一郎

    ○森永政府委員 各府県別の被害報告でございますが、先ほど申し上げましたような事情で、各府県別に、従来の報告と査定の率が違つておるわけです。それが大蔵省発表というような形で出ましても、いろいろ無用の波瀾を巻き起すようなこともございますし、先ほど申し上げましたように、予算がきまりますれば、補助金が行くわけでございまして、これは従来の査定率でなく、今度の査定率で行くわけでございますから、その方を急ぐということにいたしまして、この際各府県別の被害報告を大蔵省といたしまして発表いたしますことは、できれば御容赦いただきたいと思います。
  76. 山口丈太郎

    山口(丈)委員 私は、今の御答弁のように、平地に波瀾を起すというような考えは毛頭ないわけです。この対策委員全部超党派的に今日までやつて参りましたが、決してそういうように出し抜いて平地に波瀾を起すというような考えはないわけです。ところが、やはりこの県の災害報告額に対して最終的に大蔵省が査定されますものは、それはどうしても明らかとされないと、私だけでも知つておらないと、どういうことか地方においても説明がつかないということになります。そうなりますと、非常に私ども各委員ともに困ると思うのでありまして、ぜひともさしつかえのない範囲内においてでも、この額は明らかにしていただきたい、こういうふうに思うのでございます。  それから、いま一つ融資の問題でありますが、この政府の運用部資金についても、もうすでに枯渇に近い状態にあると聞いておるのでありますが、元来この運用部資金以外に、やはり政府において保存されておる資金、いわゆる厚生年金であるとか、あるいはそういうふうなもので実際に使われていない向きもあるのじやないかと思いますが、そういつたものは、運用部資金あるいは特別の資金を入れて、政府融資の対象にすることができないかどうか、今までとられておる措置についてこの際承つておきたいと思います。
  77. 河野一之

    ○河野政府委員 政府関係の資金は、原則として資金運用部に入れることになつておるのです。御指摘の厚生年金あるいはその他の保険の会計の金も、積立金あるいは余裕金はこの資金運用部に入れることになつております。従つて、それらはすべて資金運用部の運用計画、つまり融資計画の中に入つておるわけであります。従いまして、ことしの運用計画というものは相当きゆうくつでございますが、しかし、今後貯金の増加に努めまして、資金運用部の資金を増加いたしまして、できるだけ御要望に沿うようにいたしたい考えております。
  78. 村上勇

    村上委員長 綱島正興君。
  79. 綱島正興

    ○綱島委員 私がお尋ねをいたしたい思つておりましたことは、先ほど山口委員から大体お尋ねをいただきましたので、大部分は済んだようでございますが、一点だけお尋ねをいたしておきたいことは、農林漁業に対しまする西日本水害に対して経営資金その他で大体百億を予定してあり、その後十三号台風が百億で、大体二百億を予定しておつたのでありますが、実は当局も御承知の通り冷害地域に対して百五十億というものが予定されておりまして、ちようどその含みの上に予算がつくられまして、予算が可決後に、農林委員会でこの百五十億が二百二十億と、資金量が修正いたされましたために、西日本水害より十三号台風に至るまでの被害地と冷害地との間の資金の額についての比率が、非常に公平を失うようなきらいが出て参りました。その間農林委員会においてもいろいろな問題が起き、当委員会においてもいろいろな問題が起きて参りました。しかし、これは委員会全部の意見ではございませんが、私どもの意見といたしましては、すでに予算がこのわずかばかりの日にちの臨時国会において成立したにかかわらず、予算に影響のある線を修正いたすということは、これは非常に慎重にいたさなければならぬという考えをいたしておるのでありますけれども、結果の上においては、本会議においても、冷害地においては二百二十億というものが通つてしまつた。そうして西日本風水害及び十三号台風までに至るものは二百億そのままの足踏みでございますので、比率の公平を失うという現実に起るおそれがあるのでございます。従つて、二百億に対する貸出しと冷害地における百五十億の貸出しを優先して、あとで予算修正後になりました七十億については、それらの貸出しが充足された後でなければ、貸出しをしていただくことは均衡を失する。特に予算編成に当られた当局としては、このことは百も御承知のはずと思いますけれども、念のためこれに対してのお取扱い方を当局に一応伺つておきたい
  80. 河野一之

    ○河野政府委員 綱島さんのおつしやることはまことにごもつともでございまして、政府予算案を編成いたします際におきましては、風水害関係で二百億、冷害関係が百五十億ということで、一応バランスがとれ、また資金の手当もその目当のもとにやつておるわけでございまして、そのバランスがくずれますと非常に不公平なことに相なりますので、おつしやる通りに二百億、百五十億というバランスのもとに融資をして、その残余があるものはおつしやるようにはからうのが適当ではなかろうかと考えております。
  81. 綱島正興

    ○綱島委員 その点はよくわかりました。  次に伺いたいのは、建設予算のうち、従来府県からいわゆる十五万円までというのを十万円までに下げ、町村の十万円の分を五万円まで下げたいという委員会の意向でございましたのを、それらのことを立法措置によらずして他の財政措置によつて処置しようというような申合せができて、その通りにいたしたのでありますが、この点は財政当局においても守つておいでになる御意思でございましようか、その点も一応伺つておきたい
  82. 河野一之

    ○河野政府委員 この点もおつしやる通りでありまして、建設関係と農林関係につきまして、小規模災害についてアンバランスになつておることは御承知の通りであります。十五万円以下の分につきましては、これによる起債を認め、これを例の起債特例法によりまして元利補給するのが適当であろうかと考えます。
  83. 綱島正興

    ○綱島委員 もう一点伺つておきますが、実は地域指定基準の点でございますが、これらについては、本委員会で、いろいろな方針から基準指定の法則を大体立てたのでございますが、財政当局においても、大体これに沿うて、基準指定の線を各省とお打合せの上、各省の線がそろいますように御協力を願う御意思でございましようか、その点を伺いたい
  84. 河野一之

    ○河野政府委員 当委員会の御決定の趣旨に沿いまして、関係当局ともいろいろ協議いたしまして、政令指定の運びに至りたいと存じております。
  85. 村上勇

  86. 滝井義高

    滝井委員 まず第一に、次官に質問をする前に確答を求めておきたいのですが、次官の答弁は当然責任を持つた大臣と同じ答弁であるかどうかという点でございますが、そう了解してさしつかえないかどうか。
  87. 河野一之

    ○河野政府委員 政府委員として大臣の代理として出ておりますので、責任を持つております。
  88. 滝井義高

    滝井委員 何回も問うたことをまた実は繰返さなければならぬのでございますが、三党の協定によりまして、国の負担する額は千五百六十五億円と相つたわけでございます。従つて、本年度はその三割を負担するということで、四百六十九億五千万円というのが決定をされておるわけでございます。そうしますと、まずこの四百六十九億五千万円というものは二つの要素からなつておるのでございます。すなわち、実際の予算に計上されておる三百十二億と、三党協定によつて資金運用部等から出すところの百五十七億という二つの要素からなつておるようでございます。従つてまず、第一点の百五十七億の方から御答弁を願いたいと思うのでございますが、問題は資金運用部から必要に応じて調査をしてこれを出して行く、こうことになつております。同時に、その百五十七億については、利子を補給するのかあるいは免除するというところまで、きわめて懇切丁寧な協定になつておるのでございます。そこで、資金運用部から質問をしてみたいと思いますが、さいぜんも、山口さんの御質問に対しまして、できる限り貯蓄を奨励してこれを増加して行きたい、こういうことでございました。現在予算委員会に配付されましたところの資金運用部の計画及び実績によりますと、現在百二億の運用可能な金があることになつております。ところが、先日来われわれが、理財局長あるいは資金課長に対して、地方行政委員会でいろいろ質問をいたしま結果、大体現在百二億の資金運用部の金は、帳面の上では大体あるようになつておる。しかし、現在すでに資金運用部の中から国鉄仲裁裁定に基く金として昨年三十億ばかり貸しておる。今年これが当然返つてくることになつてつたのだが、国鉄災害が百十億以上を越えておる。従つて、この国鉄の三十億も、現在の状況では、返ることが非常に困難である。と同時に、現在国民金融公庫を通じて西日本災害、あるいは和歌山県、あるいは十三号台風というようなものに十六億ばかり貸しておる。ところがこれが焦げつきになつてつて来ない。従つて国鉄の三十億と国民金融公庫を通じて出しておる十六億、計四十六億というものが返つて来ない。従つて、今次官が言われておるように、貯蓄奨励をやるといつても、現在東北地方冷害であり、あるいは西日本、近畿地方も異常な災害のために貯蓄が思うように参らないであろうということが推定される。一応理財局長の言をそのままうのみにしても、現在の段階貯蓄奨励運動をやつたところで、郵便貯金は二十億しか増加しないだろう、こういう答弁があつたのであります。従つて、現在の百一億に二十億、これは不確定な要素でございますが、貯蓄奨励運動をやつても百二十二億です。そうすると、その百二十二億の中から返つて来ない四十六億を差引きますと、七十六億しか資金運用部の金がないということでございます。ところが二十九年度の予算を組むにあたりまして、第一・四半期の四月から六月にかけての地方財政の調整資金というものは当然運用部からどうしても出さなければなりません。こういう運用の面をある程度円滑を期するためには、少くともここに百億ないし百五十億の金がいるということは、理財局長も資金課長もはつきり認めておるところでございます。そうしますと、現在、百億はおろか、七十六億を割ろうとする金しかないのでございます。従つて資金運用部から出すことは不可能であるということが理財局長答弁なんでございます。さいぜんも原次長に来ていただきまして答弁を求めたのでございますが、原次長も、まつたくその通り資金運用部から出すことは困難でございます、見通しがないという答弁があつたのでございますが、大臣にかわつての次官は、はたして資金運用部からまず出せるかどうか。これは三党協定の一番のポインドでございますので、御答弁を願いたいと思います。
  89. 河野一之

    ○河野政府委員 三党協定の趣旨につきましては政府は了承いたしましたので、この趣旨に従いまして誠実に履行いたしたい思つております。ただいま資金運用部の金繰りの問題のお話がありましたが、なるほどおつしやる通り非常にきゆうくつでございます。しかし、われわれとしてはできるだけ貯金を集めたい思つております。補正予算におきましても、郵便局に対する奨励金を出しまして、ただいま二十億というお話がございましたが、より以上に私どもとしては集めたい考えておるわけであります。それから、先ほどちよつとお答え申し上げたのでありますが、起債の場合における現実に資金の出るまでの多少のずれもございます。そういつた金も利用できると思つております。それから簡保におきましても、そういつた関係があろうかと思つております。また市中銀行に対して融資をあつせんする等の方法によりまして、この趣旨については極力努力する考えでおります。
  90. 滝井義高

    滝井委員 今の御答弁はきわめて不確定な要素を含んでおるのでございます。今後貯蓄を一生懸命に集めるということなのであります。ところが三党協定は、私は予算と同じだと思うのでございます。従つて、今後の努力によつて集積せられる金を百五十七億という確定した数字に充てても、これはちよつとわれわれとしてはなかなか納得が行きかねるのであります。そこに資金運用部からは最低限度どのくらいのものを予定をしていますという御答弁がなければ、先ほどの原次長の答弁あるいは一昨日以来の阪田理財局長答弁と何らかわるところがないのでございます。そこで、覚の問題はあとで質問申し上げますので、資金運用部から最低限度どの程度の金を出すんだという点を御明示願いたいと思います。
  91. 河野一之

    ○河野政府委員 資金運用部等よりその金を出すということでありまして、資金運用部から幾らというふうなことにつきましては、これからもちろんやるわけでありますが、今幾らというふうなことにつきまして確言は申し上げかねると思います。しかし、御趣旨につきましては、いろいろな機関を通じまして、その通り実行するつもりでおります。
  92. 滝井義高

    滝井委員 私は、いろいろの機関のことは尋ねていないのであつて資金運用部のことに一応限定して尋ねておるのでございますが、資金運用部については明白な答弁が得られないことは、今の答弁通りであります。従つて、第二段の運用部等の「等」について御質問をいたしたいと思いますが、予算委員会あるいは本会議の、たとえば愛知、三重等の海岸堤防等の問題を通じての大臣あたり答弁を総合してみますと、資金運用部等の「等」の中には、市中銀行からの借入れのあつせんをやるということが一つと、いま一つは、公募公債でやるという答弁をいたしておるのでございます。「等」というのは、大体考え得るものはこの二つしかないと思われるのでございます。そうしますと、現在日銀は金融の引締めをやつておるのでございます。そういう窮迫しておる地方自治団体に対して市中銀行がどんどん金貸すことは、現在の情勢ではほとんど不可能な状態であります。すでに百十八億のつなぎ融資のほかに四十五億ないし五十億の金が、地方銀行から地方自治団体に貸されておるのでございます。これ以上さらに地方自治団体に行くということ、「等」の中で市中銀行からあつせんをするということは、ほとんど不可能だと思う。と同時に、公募公債の問題でございますが、すでに現在公募公債は二百億を越えておるのでございます。今度の災害によつて公募公債はさらに二十億を新たに追加せられる。そうすると、百五十七億の中からさらに公募公債が出るとするならば、そういう経済力のきわめて不安定な地方公共団体の公募公債をだれが引受ける人があるでしようか。こういう点から考えると、資金運用部等という点は、きわめてあいまい模糊たるお約束であると言わなければならないと思いますが、その「等」の中の二つの、資金運用部計画以外の銀行から、はたしてどの程度あつせんの見通しがあるのか、公募公債は地方財政計画にどの程度繰入れる意思が財政当局としてはあるか、この二点について明確に願いたいと思います。
  93. 河野一之

    ○河野政府委員 資金運用部等その他の機関を通じて、おつしやる程度の金を融資たい考えておるわけであります。市中金融機関につきましては、もちろん資金が現在のところ非常に潤沢とは申せませんと思いますが、しかし、これだけの災害をこうむつており、また地元の銀行である以上、極力こういう事態に応じましては公共団体を援助するのは当然であろうと思うのであります。従つてわれわれは、その線に沿つて極力努力するつもりでおります。
  94. 滝井義高

    滝井委員 そのように市中銀行についてもこれは努力でございます。努力はこれはお互いやるのであつて、百五十七億というものはわれわれの努力目標ではないのでございます。われわれは、少くとも百五十七億というものは、本年千五百六十五億円の三割というこの線を維持したいという確定的な要素なんです。あなた方のものは努力の目標であり、不確定要素を基礎にして論議しておるので、この論議はいつまでたつても平行線をとつて行くのであります。従つて私は、これ以上この百五十七億については質問をいたしたくありません。  その次に移りたいと思うのですが、公募公債についても、現在発表せられておる地方財政計画には入つておりませんので、これもどうせおそらく入れたいという希望であろうと推定せられるのであります。そこで第二段階の三百十二億に今度移りたいと思いますが、三百十二億というものは現在予算面に確定をしておる数字でございます。そこで少しくこの内容について質問をいたしたいと思いますが、現在地方公共団体に出ておる融資は、百十八億三千万円になつておることは御存じ通りでございます。その百十八億三千万円の融資の内訳を見てみますと、国庫の補助金、いわゆる二十四の立法を対象にして、今後の補助金の見返りとして九十四億四千万円が出ております。起債の前貸しとして二十三億出ておるのでございます。それから特別平衡交付金の見返りとして九千万円が出ておるのでございます。こういうように出ております。ところがこの三百十二億というものは、地方公共団体にしてみれば実は全額来ると思つておるのでございます。なせ全額来ると思つておるかというと、衆議院のこの水害地緊急対策特別委員会は、現在地方公共団体に貸しておるところの百十八億三千万円というものは、この二十八年の会計年度においては返さなくてもいいのだ、二十九年度に返せばいいのだという議決をし、しかも、両院の話合いにおいても、これは返さなくていいのだという申合せまでしたのであります。国会の意見は、少くともこの臨時国会が開催されるまでは、そういう意思であつたことを地方公共団体の人々はみな知つておるのでございます。ところが、現在の段階において三百十二億が出て行くと、その百十八億三千万円というものは返さなければならぬ、こういうことになつて来ておるのでございますが、それで間違いありませんか。まずここを御答弁願いたいと思います。
  95. 河野一之

    ○河野政府委員 国庫がつなぎ融資をいたしましたのは、公共団体における復旧工事を急速にやる、予算がとれるのを待つておるわけに参りませんので、つなぎ融資をしたのであります。これは、今回の水害のみならず、従来のこういうような水害も、つなぎ融資というものは大体そういう建前でやつて来ておるわけであります。九十四億というものは、これは補助金が将来返つて来るということでその見返りになつておる。しかし、二十三億というものは当然起債の前貸しでありますから、短期の借入金が長期債に振りかわるだけだろうと思います。そういうことでありますので、三百十二億というものを補助いたしましても、一部返してもらうものがあることは事実でありますが、事業全体といたしましては、それを返していただきましても、これ以上の工事ができるのであります。補助金として大体二百億程度のものがよけいに行くというふうに考えております。
  96. 村上勇

    村上委員長 ちよつと速記をとめて。     〔速記中止〕
  97. 村上勇

    村上委員長 速記を始めて。
  98. 滝井義高

    滝井委員 算術計算をすれば補助金が二百億円である、その通りだと思います。そこで三百十二億という予算に組まれておる数字の中の十二億というものは、これは長野県等の冷害災害の重なつたところに行きますので、数字を単純にする意味で私はこれを一応どけてみたい。そうしますと、まず三百億という実際の予算があるわけです。ところがこの三百億の中には、国の直轄工事というのが十億ぐらいあるのでございます。と同時に、今申しますように九十四億四千万円というものはすでに地方公共団体がもらつている金なんです。そして同時に、三百億の中で三十一億というものは災害対策の百億の予備費の中からすでに地方公共団体にやつておる金なのだ。従つて、これは工事はすでに行われてしまつた、使つてしまつた金なのでございます。従つて、この三百億の災害対策のための予算が通るとするならば、地方公共団体が国の補助を受けてみずからの力でやるところのその力の負担分の金は、大体三百億の中から直轄工事の千億と補助金の九十四億四千万円と、すでに予備費の中から交付済みの三十一億、こういうものをどけてしまうと、大体百六十四億六千万円程度がほんとうに今後実弾として地方公共団体に行く、こう常識的に考えられるのでございます。そうしますと、さいせんの原次長の答弁では、大体二十四府県が今度の災害を受けているということなのだ。二十にしましても一府県八億しか行かないのであります。ところが、現在の地方の実情を見てみますと、来年の五月の田植えを目標として田の復旧あるいはその田の灌漑をするための堤防の復旧というものは、西日本関係においては、少いところは五割、進捗しておるところは八割ぐらい進んでおるのでございます。そうしますと、ここに三百億という予算を出して、同時に百五十七億という融資をくれて、これ全体で三割だということになりますと、地方公共団体の仕事というものは五割以上、どうかすると八割も進んでおるのでございます。そうすると、ここに実際仕事の進行しておるその量と、それを裏づける予算の量との間に、大きなギヤツプができて来るのであります。地方公共団体は、すでにあの百十八億三千万円というものは、少くともその中の九十四億四千万円は返さなくていいということで全部予算を組んでいる。ところが、それがあつさり行かないのだというような状態になつて来ると、これは地方行政に大きな混乱を来すことは火を見るより明らかなのです。こういう点について、予算の執行に責任を持つて当られておる大蔵省としては、大臣としてどうやつてこういう地方自治体の混乱を防いで行くか、しかもそれではたしてこの大災害というものが防げるのかどうか、責任をもつて予算を執行して行く財務当局として防げるかという点をもつとはつきりしてもらわないと、非常に政治的責任が起つて来る問題だと思うのでございます。
  99. 河野一之

    ○河野政府委員 つなぎ融資は補助金が出るまでの見返りということで従来も運用しておりますし、今回もそう考えて実行して、また地方団体にもその趣旨で貸しておつたわけであります。今度の補正に伴う地方財政の計画でも、この点は補助金の見返りということで財政計画ができておるのでございまして、各地方団体ともこの点は了承しておると考えております。
  100. 滝井義高

    滝井委員 地方公共団体は、あなたの方から見れば当然今まででも引かれておつたので、引かれるであろうと了解しておると言うけれども、われわれの方としては、そう了解をしていなかつたという人が、実は陳情その他を通じて見ると多いわけなのでございます。そこで、この問題についても、必ずしもわれわれの意思とあなた方のの意思とは一致しないということが大体はつきりわかりました。  さらにもうちよつとつつ込んでみたいのですが、現在百十八億三千万円のつなぎ融資を含めて起債あるいは特別平衡交付金が地方公共団体に行つておるわけなのでございます。そこで百五十七億の三派協定の融資というものはきわめて不確定なものでありますが、これがもし実現して行くと仮定した場合において、現在たとえばここに長崎県なら長崎県というものがあつて、その長崎県に百十八億の中から十億円のつなぎ融資が行つておるとする。そうすると百五十七億の出し方というものは、事業の進捗の状態を調査してこれは出して行く、こういうことになつておりますから、今度の予算がきまれば、長崎県に行つておる十億円の補助金というものは当然引揚げられて、その補助が行く形になるわけです。ところが、実際にはこれは引揚げられて補助が行くから、長崎県へは、今度の予算が通つても、補助に関する限りは何も行かないということと同じ、そこで長崎県へ行くものは、あとの算術計算で行くと百六十四、五億円の中のいわゆる二十数県で割つた六億か七億が行くだけで、そのほかの金は行かない。ところが、百五十七意の出し方ですが、今そういうぐあいで事業の進捗の状態を見て出すから、長崎県の事業が非常に進んでおる、従つてこれにもやらなければならぬということになれば、その百五十七億の中から長崎県にさらに十億の融資が行くのかどうかということでございます。そういう場合そういう形で行くのか、それとも百五十七億というものは全然別個に、長崎県ではなくして、B県ならB県に向つて精査をして行くのか、この点なんです。どちらですか。
  101. 河野一之

    ○河野政府委員 おつしやつたことはちよつとわかりかねたのでありますが、復旧事業の進行に伴つて必要に応じ実情を調査するわけでありまして、個々の実情を調査いたしまして、長崎県なら長崎県が進行の状況が非常にいい、その必要がありと考えるならば、百五十七億の系統で融資をし、あるいは融資をあつせんすることになると考えます。
  102. 滝井義高

    滝井委員 そうしますと、事業の進行と必要の度合いを見てやるということになれば、進行の度合いということになると、これは早く災害を受けたほど進行が早いわけであります。しかも、必要度というものは、これは大体五十歩百歩だと思います。そうしますと、進行度の早いということになると、西日本関係に非常に多く金がついて行く、こういうことになると思いますが、百五十七億というものはそういう了解の仕方でさしつかえありませんか。
  103. 河野一之

    ○河野政府委員 これは建設省において三百億の金のわけ方の問題もあると思うのであります。平均二割程度ということでありますが、各県によつて、これは建設省がいろいろな現在における進行の度合いというようなこともおはかりになつて、一律でなしに御配分になるだろうと思います。それでありますから、いわゆる融資をするという場合におきましても、現在補助金がどういうふうに進捗しておるかというようなことで、実情を調査して、個々の件についてその実情に応じて配分するのが適当であろう、こう思つておる次第であります。
  104. 滝井義高

    滝井委員 これはきわめて不確実なものでありますので、その点はそのくらいにいたしまして、現在出ております百十八億三千万円の利子補給の問題についてでございます。これは大蔵当局としてはどうやらやれるつもりでございますか。
  105. 河野一之

    ○河野政府委員 百十八億のつなぎ融資の利子につきましては、直接これを補給するというようなことは考えておりませんが、もし必要によつて調査の上これが起債によることを認められた場合におきましては、例の特例法で国がやることができると思つております。
  106. 滝井義高

    滝井委員 無条件に利子補給をするのじやなくて、必要に応じて調査の上やるものとやらぬものとがある、こういうことなどですか。
  107. 森永貞一郎

    ○森永政府委員 百十八億の方は、これは当然利子は六分五厘で申し受けるわけでございます。その利子は地方財政計画の中にも載つておりますが、その利子の負担を調達するために、例の起債特例法の対象になる起債を認めよう、かような趣旨でございます。
  108. 滝井義高

    滝井委員 起債の特別に関する法律で認めて行けば、当然将来はそれを元利補給として国が見て行く、しかもその金は平衡交付金その他で出す、こう了解してさしつかえありませんか。
  109. 森永貞一郎

    ○森永政府委員 特別法の対象にならぬ場合でも、地方財政計画の中に載りますから、対象になるわけですけれども、対象にすることを考えて今自治庁と具体的な問題を折衝しております。
  110. 滝井義高

    滝井委員 することを考えてではなくして、財務当局としてするということになれば、自治庁はその通りに計画するのでございます。従つて、するならするで、考えておるのじやなくて、しますとはつきりした答弁でひとつやつてもらいたい
  111. 森永貞一郎

    ○森永政府委員 金額は幾らになりますか、その分は特例法の対象になる起債を認めます。
  112. 滝井義高

    滝井委員 そうしますと、現在地方財政計画の中でそういう起債の対象になり、しかも元利償還を平衡交付金で行くと今言われました金が、四億二百万円くらい地方財政計画に載つておるのでございます。ところがこの金は、大体においてその利子補給というものは四箇月分くらいしか見ていないようであります。これは一体何月から何月までを見て四箇月分と、こう計上しておるのか。われわれは、今のような答弁で、見るということになれば、これは当然全額見てもらわなければならぬ。たとえば六月からとするならば、三月まで九箇月利子補給を見てもらわなければならぬと思います。多分四箇月分しか計上されていなかつたと記憶をしますが、その点はどうですか。
  113. 森永貞一郎

    ○森永政府委員 これは、補助金が出ますと、返していただくわけですから、当然三月まで見るということにはならないと思います。それから、金の出方が三角形みたいな形で出て来ているわけですから、そういう点も十分考慮して所要額を計算しておると思います。
  114. 滝井義高

    滝井委員 そうしますと、大体百十八億三千万円についてはそれでわかりました。今度は不確定な、百五十七億円の利子を補給しあるいりは免除するということになつておるわけでございますが、これもやはり百十八億三千万円と同じような方式で行く、こう了解してさしつかえないか。
  115. 森永貞一郎

    ○森永政府委員 法的な手段は今の特例法とは全然別な問題でございまして、いかなる形式をとりますか、今後の問題でございます。年度末までの例外的に利子補給をするというような三党協定でございまして、その趣旨に沿いまして善処いたしたいと思います。
  116. 滝井義高

    滝井委員 大体これで質問を終りたいと思いますが、依然として百五十七億の問題についてはきわめて不確定な要素、努力目標というようなものが多くて、確定したものは得られなかつた、こう私は了解をいたしたいと思うのであります。しかし、利子補給その他については大体満足する答弁を得られた、こう結論して、私の質問を打切りたいと思います。
  117. 村上勇

    村上委員長 この際休憩いたします。     午後四時四十八分休憩      ————◇—————     午後四時四十九分開議
  118. 村上勇

    村上委員長 休憩前に引続き会議を開きます。  政府に対する質疑を継続いたします。辻原弘市君。
  119. 辻原弘市

    辻原委員 大蔵省にお伺いいたしますが、先日懇談会の席上で申し上げておきました公立教育施設の問題の中で、例の特例法をつくりました際のわれわれの考え方として、当然公立学校の教員住宅というものが公立教育施設の概念の中に包含されているものと、こういう解釈をとつてつたのであります。ところが、現在予算措置をせられておるものを見ますと、この点については考慮が払われておりませんので、当初の考え方に立脚をいたしまして、もしどうしてもあの特例法の中において公立教育施設という考え方を推し進めて行くことができないとするならば、これは最初の考え方から異なつておりまするので、新しい立法措置考えたい、こういうふうに見られますが、その後大蔵省におかれましても、この取り扱い等についていろいろ考慮されておる向きも承りましたので、この際大蔵省から、その取扱い方についで、どういうふうに現在その方針を立てられたか、これをお伺いしておきたいと思います。
  120. 森永貞一郎

    ○森永政府委員 今般の災害によりまして、教員住宅も相当被害を受けておると思うのでございますが、一般の住宅対策につきまして、第二種公営住宅の経費の補助、ないしは半壊以下のものにつきましては、災害救助費でその応急復旧に必要な措置を別途講じておるわけでありまして、教員住宅につきましては、これらの措置で相当救済を受け得るものと考えておるのでございます。学校の敷地内にある教員住宅で、宿直の用に供せられるものとか、あるいは校舎の管理のために必要なものであるとか、そういつた学校の付属宿舎的なものにつきましては、公立教育施設の災害復旧特例法適用いたしまして、できるだけ復旧をはかるつもりでございます。必要がございますれば、今日留保いたしております予備費の支出も考慮いたしたいと存じております。
  121. 辻原弘市

    辻原委員 大体取扱いの方針はわかつたのでありますが、最後の語尾のところがはつきりいたしませんでしたので、重ねて確かめておきたいと思います。その場合の予算的取扱いはどういうふうにお考えになつておるか、これをもう一回はつきり伺いたい
  122. 森永貞一郎

    ○森永政府委員 予算に計上いたしたものの中からも、もし充当できるものがございますれば充当してもいいわけでございますが、全体として不足の場合も考えられます。今日予備費として計上いたしておりますものも若干ございますので、それを含めました公立学校復旧費の総額の中で適当に差繰つて、よろしくお願いしたい思つております。
  123. 辻原弘市

    辻原委員 予備費を充当してまかなつて行くという見解でありますので、大蔵省に対して私の問いたい点はこれではつきりいたしたのであります。  次に、文部省にお伺いをいたしますが、その所要額は現在どの程度を織り込まれているか、これをひとつおつしやつていただきたい
  124. 近藤直人

    近藤政府委員 十三号台風につきましては、まだ詳細の報告が参つておらないのですが、西日本につきましては、一応私どもで積算いたしましたものは、国の補助額で約二千六百万円程度でございます。
  125. 村上勇

    村上委員長 この際暫時休憩いたします。     午後四時五十五分休憩      ————◇—————     午後六時二十一分開議
  126. 村上勇

    村上委員長 休憩前に引続き会議を開きます。  この際、堤ツルヨ君より発言を求められておりますから、これを許します。堤委員
  127. 堤ツルヨ

    ○堤委員 昭和二十八年六月及び七月の大水害により被害を受けた地方公共団体の起債の特例に関する法律等の一部を改正する法律案に対する委員会修正の中の第五条の二でございますが、私たちは、海岸に接続するところの湖岸のみにあらずして、農地を背後に持つところの湖岸というものが同様に取扱わるべきであるとの見地から、極力この修正の中に盛られることを主張して参りましたけれども、どうしてもその主張がいれられません。高潮並びに海岸の沈下によるところのこのたびの愛知、三重等の海岸のあの状態と、高水並びに沈下による背後に農地を持つところの湖岸のこのたびの被害の状況とは、まつたく同一でございまして、海岸のみが守られ、湖岸のみがその法の適用を受けないことは、どうしてもこの際うなづけないのでございます。私はこれを排斥されるところの議員の方々の主張には同意しかねるのでございまして、あくまでも私の方が正論であり、同じ被害を受けたところの罹災民に対する態度は公平でなければならないと思うのでございますけれども、どうしてもこれをいれられない━━━━━━━━━━━━━━━━━従つて私は、どうしても、この湖岸の罹災民に対して、単に滋賀県の琵琶湖のみならず、浜名湖もその一例であり、島根県の宍道湖もその一例でありますが、一刻も早くこの海岸と同様の法的措置を願わなければならぬと存ずるのであります。もはや今晩の十二時をもつて国会も閉会されることになつておりますので、私は幾多の意見を持つておりますけれども、この際は、大乗的見地から、筋の通らぬ保守党議員の数によつてこれを押し切られることに対しましては、一応涙をのんで私は下つておきます。しかし、後日もし第二次臨時国会が召集され、また次回の通常国会のその劈頭においては、海岸のみを守るにあらずして、湖岸も同様に守るという建前に立つて、単独立法をもつてこの湖岸の予算を確保し、そして同様に立法措置を講せられるように、この委員会において公平なる見地から議決されんことを切に望むものでございます。
  128. 村上勇

    村上委員長 ただいまの堤君の発言中、議員個人に関する御発言が出たようでありますが、速記録を調べて委員長は適当に処理いたしたいと思います。ちよつと速記をやめて。     〔速記中止〕
  129. 村上勇

    村上委員長 速記を始めて。
  130. 稲富稜人

    稲富委員 私は動議を提出いたします。先刻から論議されております湖岸の問題につきましては、地元罹災者の心情をくまれまして、次期国会において優先的に単独立法を制定されるように本委員会で議決されますよう、動機を提出いたします。
  131. 村上勇

    村上委員長 ただいまの稻富君の動議についてお諮りいたします。稻冨君の動議に御異議ありませんか。     〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  132. 村上勇

    村上委員長 御異議なしと認めます。よつて動議のごとく決しました。      —————————————
  133. 村上勇

    村上委員長 一昨五日本委員会に付託になりました滝井義高君外十二名提出昭和二十八年六月及び七月における大水害並びに同年八月及び九月における風水害により地方公共団体資金運用部資金等から受ける融資に関する臨時措置に関する法律案、昨六日付託になりました辻原弘市君外十三名提出昭和二十八年六月及び七月の大水害又は同年八月及び九月の風水害被害地域において行われる都市計画事業としての土地区画整理に要する費用国庫負担等に関する特別措置法案、井手以誠君外十三名提出農林水産業施設災害復旧事業費国庫補助暫定措置に関する法律の一部を改正する法律案辻文雄君外十三名提出昭和二十八年六月及び七月の大水害並びに同年八月及び九月の風水害による災害地域内のかい積土砂等排除に関する特別措置法の一部を改正する法律案稲富稜人君以外十三名提出昭和二十八年六月及び七月の大水害並びに同年八月及び九月の風水害による公共土木施設等についての災害復旧等に関する特別措置法の一部を改正する法律案、以上五案を一括して議題といたします。まず各案について順次提出者の提案理由の説明を求めます。滝井義高君。      —————————————
  134. 滝井義高

    滝井委員 ただいま議題となりました昭和二十八年六月及び七月における大水害並びに同年八月及び九月における風水害により地方公共団体資金運用部資金等から受ける融資に関する臨時措置に関する法律案の提案の理由を簡単に御説明いたします。  この法律案は、六月、七月及び八月、九月の風水害によつて受けた被害復旧するために、現在資金運用部あるいは簡易生命保険及び郵便年金特別会計の中から短期融資として地方公共団体が借り受けておるその金の利子を、国に補助金として補給をしてもらいたいという点が第一点、第二点は、現在受けておるその短期融資融資金を昭和二十八年度に引揚げないように、昭和二十九年度の配付されるところの国庫の補助金から、すなわち融資から引揚げてもらいたいという二つの点を要素としておる法律案でございます。現在地方自治体は財政的にきわめて危機に瀕しておりますので、その危機を緩和するために、こういう立法をもつて地方財政の危機を乗り切ろうとする法律案であります。どうかひとつ慎重審議の上、賛同を得たいと思うのでございます。  以上がこの法律案提出する理由でございます。
  135. 村上勇

  136. 辻原弘市

    辻原委員 ただいま議題となりました昭和二十八年六月及び七月の大水害又は同年八月及び九月の風水害被害地域において行われる都市計画事業としての土地区画整理に要する費用国庫負担等に関する特別措置法案につき、提案の理由を御説明申し上げます。  御承知のように、本年六月及び七月の大水害並びに八月及び九月の風水害は、ここ数十年来経験しなかつたところのはげしい災害でありましたために、これらの災害によりまして住宅や宅地が受けました被害は激甚をきわめ、これらの災害が起りました地方における各市町村内の聚落であつてその痕跡がないまでに破壊し尽されたものは、その数おびただしく、これらの聚落の住民であつて、羅災した者は、今日に至るも住むに家なく、寒空に拱手いたしている実情であります。かような実情のもとにおきまして、この際これらの被害住宅を統合いたし、将来の災害防止をも考慮いたしまして、聚落住宅地を造成いたすよう建設計画を立て、ただちにこれが実行に着手しなければならないことは、まことに緊急の必要に迫られているのでありますが、災害後日もいまだ浅い今日におきましては、羅災者、被災市町村ともいずれも経済上困難な実情にありまして、たとい公営住宅の建設、住宅建築に対する融資の拡張その他住宅の再建のために特別の措置が講ぜられることがありましても、住宅を建築するために必要な宅地を造成いたしましてこれを確保するためには、莫大な経費を必要とし、これを個人または市町村負担せしめている現状におきましては、破壊された聚落を再び造成することはとうてい不可能な状態にあります。今日の実情にかんがみますれば、右に申し述べましたように、ただちに、被害住宅を統合いたしまして、聚落住宅地を造成することに着手いたさなければならないのでありますが、民生の安定と、将来の災害防止、交通、衛生、防火等を考慮いたしますならば、かかる聚落の造成にあたりましては、ぜひとも都市計画事業としての土地区画整理を施行する必要があるのであります。しかるに、この土地区画整理を施行いたしますためには多額の経費を必要といたし、とうてい、被災市町村において経費の全部を負担することは不可能で、ぜひとも国庫においてその一部を負担する必要があるので、かかる趣旨のもとにこの法律案を立案いたしました。  次に、本法律案の内容の概略を御説明申し上げます。  現行都市計画法のもとにおきましては、都市計画及び都市計画事業は、政令の定めるところにより行政庁がこれを行うものとし、また、都市計画及び都市計画事業に要する測量調査費、街路築造費、宅地造成費、水利施設費、移転補償費、換地清算費、事務費等の費用は、公共団体を統轄する行政庁がこれを行う場合には、その公共団体負担となることを原則としているのでありますが、都市計画事業としての土地区画整理を施行する権限は、公共団体にあることが認められる場合がありながら、この公共団体を統轄する行政庁にはその権限を認められておりませんので、まず、災害を受けた政令指定する市もしくは町村またはこれらの市もしくは町村を包括する道府県を統轄する行政庁が都市計画事業として土地区画整理を施行することができる旨を規定するとともに、かかる行政庁が施行する土地区画整理には、この法律に特別の定めがあるものを除くほか、都市計画法中同法第十三条第一項の規定により公共団体が施行する土地区画整理に関する規定を準用することといたしました。  次に、都市計画法第一条の規定によりまして、市の区域は当然に都市計画を行うことができ、町村については主務大臣の指定のある町村の区域に限つて、都市計画を行うことができることになつておりますので、さきに申し述べました政令指定された町村は、都市計画法第一条に規定する主務大臣の指定を受けなくても、かかる指定を受けた町村とみなすこととし、また、都市計画法第二条の規定によりますと、都市計画の区域は市または都市計画を行う町村の区域により主務大臣が決定をすることに定められておりますので、この法律では、前記政令指定された市または町村の区域は都市計画法第二条第一項の規定により主務大臣が決定した都市計画区域とみなすことといたしまして、それぞれその区域において、この法律により、国が費用負担することのできる土地区画整理を施行することができることといたしました。  さらに、この法律の最も眼目とも申すべき行政庁が施行する土地区画整理に要する費用についての国庫負担率は、その費用の二分の二と定めたのであります。  次に、国がその費用負担することのできる土地区画整理は、無条件にできるのではなく、かかる土地区画整理を施行することのできる都市計画区域は、当該都市計画区域内において、住宅が先般の災害により流失し、または倒壊して、その戸数が百戸以上であることを必要とするとともに、当該都市計画区域内において二万五千平方メートル以上の土地について土地区画整理を施行するものであることを必要とすることに定めました。終りに、この法律に定めるものを除くほか、この法律の施行に関し必要な事項は、政令で定めることといたしました。  以上この法律案につきまして御説明申し上げたのでありますが、何とぞ慎重御審議の上すみやかに御可決あらんことをお願いいたす次第であります。
  137. 村上勇

  138. 稲富稜人

    稲富委員 ただいま議題となつております農林水産業施設災害復旧事業費国庫補助暫定措置に関する法律の一部を改正する法律案、並びに昭和二十八年六月及び七月の大水害並びに同年八月及び九月の風水害による災害地域内のたい積土砂等排除に関する特別措置法の一部を改正する法律案、並びに昭和二十八年六月及び七月の大水害並びに同年八月及び九月の風水害による公共土木施設等についての災害復旧等に関する特別措置法の一部を改正する法律案、以上三つの法律案を一括して御説明申し上げます。  内容は、すでにお手元に差上げてあります法律案によつて御承知の通りでありますが、要約いたしますれば、政府が国庫負担に要する経費を予算に計上するにあたつては、昭和二十八年度においては当該経費の少くとも十分の三を、昭和二十九年度においては当該経費の少くとも十分の五を、昭和三十年度においては当該経費の少くとも十分の二を計上するように進められたいというのが、この法律案の骨子でありまして、その理由は、昭和二十八年六月及び七月の大水害並びに同年八月及び九月の風水害による災害地域を一日も早く復旧せしめたいというのが、その目的でございます。この内容につきましては、すでに過般両院協議会においても満場一致をもつて御承認を願つている事項でありますので、どうか本法律案通りますように満場の御賛成を仰ぎたい、かように考えるものであります。
  139. 村上勇

    村上委員長 これにて各案の提案理由の説明は終りました。  各案については、質疑及び討論の通告がありませんから、質疑及び討論を省略し、ただちに採決いたします。  採決は五案を一括して行います。賛成の諸君の起立を求めます。     〔賛成者起立〕
  140. 村上勇

    村上委員長 起立少数。よつて五案はいずれも否決されました。      —————————————
  141. 村上勇

    村上委員長 この際、井手以誠君より発言を求められておりますから、これを許します。井手以誠君
  142. 井手以誠

    井手委員 私はこの際、災害に関する特別立法中、営農資金の改正について、委員会において起草、提案されますよう動議を提出いたしたいと思います。  それは、昭和二十八年六月及び七月の水害並びに同年八月及び九月の風水害による被害農林漁業者等に対する資金の融通に関する特別措置法の一部を改正する法律案となるものでありまして、内容はきわめて簡単であります。すなわち、第四条に資金融通の総額二百億円とありますのを、三百五十億円に改めようとするものでございます。これについてはさきの懇談会でも全員異議なくお認めになつたようでございまして、二百億円では、各方面の調査によりますと、二戸わずか三万円程度の融通にしかならないようでございまして、私どもの特別立法によりますと、一戸十五万円までは、権利といえば権利というような融通の措置を講じておるのであります。従つて、三百五十億円でも足りませんけれども、諸般の事情を勘案いたしまして、この際三百五十億円は最低限として改正法律案を通したいと存ずる次第であります。  どうぞ満場の諸君の御賛成を願います。
  143. 村上勇

    村上委員長 ただいまの井手君の動議について採決いたします。賛成の諸君の起立を求めます。     〔賛成者起立〕
  144. 村上勇

    村上委員長 起立少数。よつて井手君の動議は否決されました。      —————————————
  145. 村上勇

    村上委員長 この際閉会中審査に関する件についてお諮りいたします。現に本委員会に付託されておらます北九州の豪雨による被害並びに西日本一帯の水害、和歌山及び奈良両県を中心とする南近畿地方における豪雨による被害長野県下における豪雨による被害、北海道における豪雨による被害、鹿児島県下における豪雨による被害東近畿地方における豪雨による被害及び台風第十三号による被害を調査しその対策を樹立するの件について、閉会中も継続して審査を行うため、議長に対し閉会中審査の申出をいたしたいと存じますが、これに御異議ありませんか。     〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  146. 村上勇

    村上委員長 御異議なしと認めます。よつてそのように決しました。      —————————————
  147. 村上勇

    村上委員長 引続き閉会中の委員派遣に関する件についてお諮りいたします。先刻決定いたしました閉会中審査事件が院議によりまして付託されました場合には、先日の理事会の申合せもありますので、被害各地に委員を派遣し実地調査をいたしたいと存じますが、派遣委員の数、その人選、派遣の期間、派遣地等は、委員長が各派の理事諸君と協議の上決定することとし、議長委員派遣の承認申請をいたしたいと存じますが、これに御異議ありませんか。     〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  148. 村上勇

    村上委員長 御異議なしと認めます。よつてそのように決しました。      —————————————
  149. 村上勇

    村上委員長 この際先刻議決いたしました五法律案委員会報告書作成の件についてお諮りいたします。これは先例によりまして委員長に御一任を願いたいと存じますが、これに御異議ありませんか。     〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  150. 村上勇

    村上委員長 御異議なしと認めます。よつてそのように決しました。  この際暫時休憩いたします。     午後六時四十五分休憩      ————◇—————     〔休憩後は会議を開くに至らなかつた