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1953-11-16 第17回国会 衆議院 人事委員会 第2号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和二十八年十一月十六日(月曜日)     午前十時五十八分開議  出席委員    委員長 川島正次郎君    理事 赤城 宗徳君 理事 永田 亮一君    理事 舘林三喜男君 理事 加賀田 進君    理事 受田 新吉君       荒舩清十郎君    田中 萬逸君       池田 清志君    竹山祐太郎君       石山 權作君    櫻井 奎夫君       池田 禎治君    長  正路君  委員外出席者         内閣官房長官 田中不破三君         人  事  官 入江誠一郎君         人事院事務官         (事務総局給与         局長)     瀧本 忠男君         大蔵事務官         (主計局給与課         長)      岸本  普君         専  門  員 安倍 三郎君         専  門  員 遠山信一郎君     ————————————— 十一月六日  委員長正路辞任につき、その補欠として平野  力三君が議長指名委員に選任された。 同月七日  委員荒舩清十郎辞任につき、その補欠として  高橋英吉君が議長指名委員に選任された。 同月十六日  委員高橋英吉君及び平野力三辞任につき、そ  の補欠として荒舩清十郎君及び長正路君が議長  の指名委員に選任された。     ————————————— 十一月七日  公務員給与に関する件の閉会中審査を本委員  会に付託された。     —————————————  本日の会議に付した事件  連合審査会開会申入れの件  公務員給与に関する件     —————————————
  2. 川島正次郎

    川島委員長 これより、人事委員会を開会いたします。  公務員給与に関する件につき調査を進めます。質疑の通告があますから、順次これを許します。加賀田進君。
  3. 加賀田進

    加賀田委員 先日の要求によりまして、人事院から資料提出されました。大体今年の三月から九月までの賃金その他生計費統計表が出て参つております。これに基いて二月以降十一月現在において、人事院として新たに給与問題に対する勧告をする必要がないという結論が出たと私は考えますが、これで見ますと、大体五%以上の上昇を来しているのじやないかと思います。もちろんこのことだけで、人事院としては勧告をするものではない。諸般の情勢も考慮しなくてはならぬと思いますが、その他この資料に基いては勧告をしてもいいではないかと私は考えております。そのほかに人事院として勧告する必要のないという理論的な根拠を説明願いたいと思います。
  4. 入江誠一郎

    入江説明員 お答え申し上げます。  この資料によりますと、毎月勤労統計によります給与の指数が約四・五%、それから生計費が大体四・六%にとつております。御存じ通り国家公務員によりますると、生計費及び民間給与状況を調べまして、それによつて公務員給与を五%以上増減する必要があると認めましたときには勧告するようにというような意味の規定がございまして、生計費につきましては大体四・六%、民間給与の問題につきましては大体人事院といたしましては、この調査は毎月勤労統計でございますが、公務員給与の問題につきましては、御存じ通り相当広範囲民間給与調査をいたしまして、それによつて勧告をいたしておるわけであります。  まず第一、この統計自身から見ましても、必ずしも五%以上上昇しているわけでもありませんし、現在すでに人事院といたしましては勧告をいたしまして、政府並びに国会の御審議を願つておるような段階でありまして、現在のところこの段階において、この資料のもとに勧告しようという意向は持つておらない次第であります。
  5. 加賀田進

    加賀田委員 これは九月現在までの資料だと思いますが、すでに水害等によつて十月十一月は相当生計費も高くなつておるのではないかと考えます。なお民間賃金は、いろいろの労使関係の協調によつて、値上りを来しつつあるという状態でありますので、私の想像では十一月現在においては、少くとも五%以上上昇しているのではないかと考えております。なお人事院としても、この十一月現在の民間給与並びに生計費調査の上に立つ五%以上上昇しているとするならば、あらためて勧告をする意思があるかないかお尋ねいたしたいと思います。
  6. 入江誠一郎

    入江説明員 ただいま申し上げました通り民間給与、それから物価の情勢その他の状況によりまして、人事院公務員給与を五%以上増減する必要があると認めるときに、この意見を提案と申しますか、勧告するということになつております。もちろん今お話通り、今月の現在ではどういうふうになつておりますかまだ統計によつてわかりませんけれども、現在の段階といたしましては、すでに現在の勧告を先般いたして、政府並びに国会に御審議を願つておるような状況でございますので、人事院といたしましては、ただいまただちにこの資料のもとに、勧告する意向を持つておらない次第であります。
  7. 加賀田進

    加賀田委員 今勧告に基いて政府並びに国会審議を願つておるということでありますが、事実は全然審議をされてないような状態であります。非常にわれわれとしては残念なことだと思いますので、政府としては人事院勧告に対して、何ら態度を明記しておりません。そういう状態の中で、人事院としてはあの勧告の中では、すみやかに実施することを要望しておりますけれども、現在まで実施されてない。しかもまた人事院としても今申し上げましたように、資料の中においても、すでに民間賃金上昇しているし、生計費も相当騰貴しておるという状態の中で、このままの政府態度に対して、人事院としては、あらためて勧告実施するよう、強く要望する意思があるかないかお尋ねいたしたい。
  8. 入江誠一郎

    入江説明員 ただいまの段階といたしましては、繰返すようでございますが、人事院勧告をいたしまして、政府においてもいろいろこの問題について御検討中でございまして現在の段階において勧告をあらためて繰返すという意向は持つておらない次第であります。
  9. 加賀田進

    加賀田委員 入江人事官は、政府として検討中だという御発言がありましたけれども政府検討されておるのは、人事院勧告内容であるか、あるいは人事院勧告実施するための方法論として財源とかいろいろな問題があると思いますけれども政府として検討されているという内容に対して、人事院としてはどうお考えになつておるか、お尋ねいたしたい。
  10. 入江誠一郎

    入江説明員 政府がどういうふうに御検討になつておられるか、これはもちろんわれわれの存ずる限りのものでありませんけれども、本席においても先般も田中長官からも人事院勧告を尊重して、いろいろ検討しておるというようなお話がございましたので、もとより御検討中だと確信しておる次第であります。
  11. 加賀田進

    加賀田委員 人事院として勧告して、あと政府にまかしておけばいいというような態度のように、私ども考えるわけですが、非常に残念なことだと思います。やはり人事院として自信をもつて公務員労働条件を向上させなければならない、あるいは賃金値上げをさせなければならぬという問題の上に立つて、確固として信念のもとに勧告されたと思う。そういう状態が今なお政府として態度不明確の上に立つて、先般の質問の中でも、政府当局として、まだ具体的な態度を明記してない、こういう状態の中で人事院としても勧告した以上、できるだけその勧告趣旨に基いて政府として実施してもらうように絶えず要望し、それのために努力をするのが私は当然だと思う。そういう意味で現在までに、政府に対して人事院としていかに働きかけておるかということを、具体的に説明を願いたいと思います。
  12. 入江誠一郎

    入江説明員 政府人事院との内部の問題については政府内部の問題でございますので、この際とかくのことを申し上げることを、差控えさせていただきたいと思つておりますけれども人事院といたしましては御存じ通り法律建前から申しましても、勧告機関でございまして、人事院は現在の一般賃金状況その他につきまして、科学的に検討いたしましてこれを政府及び国会提出して御判断を仰ぐというのが、人事院使命でございますので、その使命の責務を全うしたいと思つておる次第であります。
  13. 加賀田進

    加賀田委員 勧告を行うための研究あるいは調査をして、そうして勧告を行う、それが人事院としての使命だ、こういうことで、これは確認しておきます。今後人事院の将来に対してのわれわれとしてのあり方について検討しなければならぬと思つております。従つてその問題に対しては人事院としての政府との関係に対する追究を私はいたしません。引続いて地域給の問題に対して、いわゆる新しい見地から、地域給検討を行わなければならないということで、私が先般資料提出を要求しておいたわけでありますが、その資料ができておつたら提出を願いたいと思います。
  14. 入江誠一郎

    入江説明員 地域給につきましては、先般の当委員会並びに参議院の人事委員会の御意見を尊重いたしまして、現在給与局においてせつかく検討中でございます。なお作業段階につきましては、必要がございましたら、給与局長から詳しく御説明申し上げますが、あるいは今のお言葉は、基準の問題でないかと存じますが、まだこの基準がなかなかむずかしい問題でございますので、現在いろいろ検討中でございますので、検討がつきましたら、またお答えいたします。
  15. 加賀田進

    加賀田委員 まだ結論が出てないので、結論が出ましたら、至急提出願いたいと思います。なお地域給の問題に対しては、全国非常に関心を深めておりますし、人事院といたしましても相当検討され、進行されておるのではないかと思います。そういう意味で聞くところによれば、十二月の中旬ころに地域給に対する勧告をいたしたいというようなことも、巷間聞いたわけでありますけれども、そういう目的のもとに、地域給検討調査が進展しておるとすれば、その進展過程と、いつころ勧告されるかということを、人事院として明確にお答え願いたいと思います。
  16. 入江誠一郎

    入江説明員 地域給につきましては、両院の御決議の次第もございますし、いずれこの問題は来年度の予算と申しますか、二十九年度の予算にはどうしても審議の対象にしていただかなければなりませんので、いろいろ政府予算の問題についての編成の御都合もありますので、作業を急いでいるわけでございますが、十二月の中旬までに、あるいはそれより早く勧告ができますがどうかは、ちよつと今のところでははつきりした見当がつきません。しかしどちらにいたしましても、来年度予算には間に合うように案をつくらなければならぬと思つておりますので、その程度で御了承を願いたいと思います。
  17. 加賀田進

    加賀田委員 政府お尋ねいたします。先般の十一月四日、人事院において今次第二次補正予算の中で、期末手当と申しますか、期末賞与と申しますか、大体〇・五箇月分を計上いたしたいという説明がありました。この内容に対して質問いたしたいと思いますが、御存じのように期末手当勤勉手当が、二つに区分して年末に支給されることになつております。従つて現在の期末手当はすでに八月現在で〇・二五が先払いになつて、残は〇・二五だと思います。勤勉手当の〇・五がそのままになつておるのでありますが、こういう意味で、〇・五追加はどの分野に充当される意思を持つておりますか、お尋ねいたします。
  18. 田中不破三

    田中説明員 お尋ねの件でございますが、ただいまのところ、実は政府でいずれの方にどういうふうに年末関係手当を計上すべきかということについて、検討中なのであります。普通に考えられますならば、今お話通りに〇・二五を夏期に繰上げておりますので、まずさしあたりそれを穴埋めしなければいかぬということが考えられます。しかしなお支給しました分とあわせて考えてみますと、夏にもあれだけの支給をいたしたのでありますから、そうすると年末は期末手当として、あるいはその額以上ということも考えられることになるわけであります。そうしますと〇・二五の埋合せは当然のことと考えられますが、あとの分についていずれに持つて行くかというような点も、また考慮しなければならないというので、ただいま検討中になつております。いずれ近いうちにはきまることと思います。
  19. 加賀田進

    加賀田委員 ベースアツプの問題でありますけれども、先般も田中長官の方で、まだ政府としては第二次補正予算にも困難であり、二十九年度本予算に対しても、新たな検討をしなければいけないから、政府としても非常に財源上苦慮しているので明確な態度は示されない、しかしながら森委員からの強い要望もあつて、なおそれ以上にも努力いたしたいという御答弁があつたわけですが、それから現在までにすでに二週間近くなります。この公務員給与ース、これはもちろん五現業三公社の仲裁裁定実施と大きな関連性があると思いますけれども政府としての新たなこの人事院勧告実施のための審議過程の御説明、あるいは態度を決定されれば、態度の決定を御説明願いたいと思います。
  20. 田中不破三

    田中説明員 人事院勧告につきましては、先ほども御質疑があつたようであります。人事院からも、また官公労からもでありますが、人事院総裁以下常に政府の方に鞭撻をしておられます。われわれといたしましても、その間の政府考え方と申しますかこれをお伝えをいたしておるような次第で、絶えず人事院からの御鞭撻を受けております。また一方直接官公労からも代表者がしばしなおいでくださつて政府としては鞭撻を受けております。この前ここの委員会に出ましてから、約二週間になるというお話でございますが、その間に政府当局といたしましても、しばしばこれが検討を重ねております。但し結論から申し上げますと、ただいままでに考えが、まとまつておるという段階に至つていないのはまことに申訳ないのでありますが、御承知通りに、またしばしば申しました通りに、何しろ財源裏づけという点において、非常な難航を続けておりまするために、何とかしてこの人事院勧告及び仲裁裁定について十分尊重いたし、これをできるだけ実現したいという熱意においては、十分燃えておるのでありますけれども、いかんせん、さいふの中が十分でないという点で、なお検討を重ねておる次第であります。決して等閑に付してはおりませんし、また関係大臣も十分にこれが対策について、議を練つておられるような次第であります。ただいままでに結論が出ませんで、御報告を十分できません点は、おわびを申し上げたいと思います。
  21. 加賀田進

    加賀田委員 先般と何らかわらないような答弁だと思います。この人事院から出された資料の中でも本年の三月現在ですでに一三九%の賃金上昇をせなくてはならないという結論が出ておるわけであります。九月現在においても、この人事院資料によりますと四五%あるいは四六%程度値上げをしなくちやならない。十一月現在において、さいぜん申し上げた通り水害その他の状況のために、生活が非常に苦しい状態にあるわけであります。従つて現在の状態人事院勧告の一三九%を値上げしても、従来の生活状態が維持できないという現状で、財源上困難だという一片の理由のもとに、政府としていまだに態度を決定されていないということは、非常に遺憾なことだと私は思います。これはやはり人事院にいたしましても、相当自信を持つて出された三月現在の資料ですが、こういう現状で、十一月中旬を過ぎようとしておる今日、なお財源上困難だというのは、私は政府としていろいろな総合的な政策の上に立つて答弁であつて、われわれの考え方としては、この問題は実際的に実施しようとすれば、財源措置ができると思うのです。こういう意味で、ただ単に現在検討中である、あるいは実施したいというのでなく、ぜひ実施しなければならない事項として、今後政府として早く実施するように、われわれは強く要望いたします。なおあと質問者もございますので、私の質問はこれをもつて終ります。
  22. 川島正次郎

  23. 池田清志

    池田清志委員 私は期末手当勤勉手当、等につきましてお尋ねをいたします。旧憲法時代に、役所におきましては賞与というものがございました。年末及び年度末に相当交付されたものであります。その賞与財源はかねがね人件費物件費等を節約をいたしまして、剰余を生み出し、それをもちまして交付されたものであります。従いまして別個に法律をつくり、あるいはまた予算を要することがなかつたのであります。現行制度のもとにおきましては、給与につきましては法律をもつて定めることに相なつておりまするし、法律の定めのない以外の有価物金銭等を受領してはならない、こういうことに相なつておりまするから、現行制度のもとにおいて前の時代における賞与みたような考え方は成り立たないと思います。しかしながら理論的な問題といたしまして、現行制度を離れて、旧憲法時代賞与というようなやり方のよしあしについて、政府の御意見をお伺いしたいのであります。
  24. 田中不破三

    田中説明員 お答え申し上げます。池田委員お話通りに、古い時代には普通の給与からそれを差繰りまして、賞与というものが夏、冬に出ておりました。しかしこれは御承知通り当時の考えにおきましても、ほとんど定期的になつておる、これらの夏、冬の賞与、あるいは四季の賞与というものは、給与体系から見ておもしろくないというので、当時、第何国会でありましたか、すでに人件費、いわゆる給与関係から、これらの賞与支給することは不当であるというふうに、国会において御決議になつているはずだと思います。そういう思想もあつたりしまして、各官庁間の給与をでこぼこにならないように統一して参りたいという点から、ただいまのいわゆる法律による賞与制度というものができました。なお御承知通りに数字前には、今まで政府支給しておつたような賞与そのものも、本来のいわゆる賞与、ボーナスという考え方とは違うのだから、本給に組み入れろという考えがありまして、これが特に本給に組み入れられたこともございます。しかしいずれにしましても、やはり夏、冬には賞与というものが出て、生計幾分でも助けるというやり方の方が、日本の従来の慣習に合つておるというので、またこれが復活いたしたことも御承知通りであります。そういう点から見て、私ども考えとしては、まだずつと以前に国会で御決議になりました点の御趣旨等から考えましても、やはり法律によつてそれぞれ給与体系を整えて行くという方がよろしいのだろうと思つております。
  25. 池田清志

    池田清志委員 公務員勤勉奨励して、能率を増進すること、生産増強をするということは絶対に必要なことであります。これがために公務員方々は一生懸命働いていただいておるわけであります。旧憲法時代賞与操作によりましてはまさに勤勉奨励が自在に行われておつたと思うのであります。一生懸命に働いた者に対しましては、格段高額の賞与を与えまするし、そうでない者に対しましては、相当減額をいたしまして与えておつたのであります。そういうようなやり方は、今の憲法及び法律のもとにおきましては、公平並びに平等の原則に反しますから、現行制度のもとにおいてはできるとは考えませんが、現行制度を離れて考えた場合には、どういうふうにお考えになりますか。さらにまた現在の予算範囲内におきましても、官衛あるいは政府機関におきましては、別途予算を処置していただく必要なくして一定の限度さえお示しをいただきますならば、裁定に基くこの結果をも実現できるというような調査もできておるようでありますが、これらのこととからみ合せまして勤勉奨励のことについて、政府の方にお話をお願い申し上げます。
  26. 入江誠一郎

    入江説明員 ただいまのお話ごもつともな点もありまして、政府でもお答えになるかと存じますが、人事院といたしましても、これは給与一つの根本問題でございますので、いろいろ検討いたしておるわけであります。お話通り一般給与は別といたしまして、夏季あるいは年末における給与においては、若干勤勉の結果というものもしんしやくいたしたいという考えのもとに、昨年以来勤勉手当現業においては奨励手当という一つの項目をつくらせていただきまして、これは建前といたしましては勤務評定制度による一つ裏づけのもとに、公務員勤勉の度に応じて、これを配分するという建前になつておるわけであります。ただしかし現在の公務員給与実情から申しまして、先ほど田中長官からもお話がございました通り夏季及び年末におきましては、そういう勤務成績の結果とは別に、支出が若干増加するという問題もありまして、そういう一つ性質から申せば一種の臨時給与とも見るべき性質のものでありますが、これはやはり公務員のべース現状とも考えて、全部勤務成績のいかんによつて、これを増減する建前は、現在の実情に即しない点もございますので、そういう点で期末手当勤勉手当と二本建で参つておるわけであります。次に今の御指摘の現在の予算範囲内においてさ、何かそこに都合がつくのではないだろうかというお話もございましたけれども、これは先ほども御指摘がございました通り法律に基かなくしては給与が出せないという建前になつておりますし、また現在の予算構成から申しましてただいまお話明治憲法時代と申しますか、戦前のように各省で経費を節約し、欠員をつくり、それによつて賞与にまわすということも、そこにいろいろ利害がございますので、現在の段階といたしましては、期末手当勤勉手当という二つ操作によつて、なるべく実情に即応ずるようにやつて行きたい、こういうふうに人事院としては一応考えておる次第であります。
  27. 田中不破三

    田中説明員 政府におきましても先ほど答弁いたしました通りに、なるほど勤勉の差によりまして賞与を上げ下げするということさ、もちろん勤務を促進して行きます一つ方法とは考えますが、何しろ池田委員承知通りに、比較的法律によらないで、自由自在にやりました昔においても、実は夏それから年夫の賞与そのものについての支給万は、一般的に見ますと比較的平均をいたしております。百何十円という賞与につきましても、実際によく働いておる者と働いていない者との差は五円とか十円足らず、ことに普通の勤務状態であれば、一円の違いであるかどうかという点でありまして、昔のときにおいても、ほとんど一般的に見るとその差等はございません。そういう点も考えますと、今のような生計の助けをしておるような夏冬賞与につきましては、あるいはただいまの方法がよろしいかとも思うのであります。その点において国会においても、そういうように法律によつておきめになつておるのだろうと思います。また一方人事院からもお話がありましたように、勤勉手当奨励手当というものが幾分でもありますけれども池田委員のお考えの中にあります勤務状態に応じて支給するということを活用いたしますれば、また幾分でも補われるのじやないか、かように考えるわけであります。
  28. 池田清志

    池田清志委員 月々の公務員勤労に対する対価といたしましては、月月給与によつて決済をせられておると考えてしかるべきものであると思います。そういうことが是なりといたしますと、期末手当勤勉手当というものは、公務員勤労に対する反対給付という性質は薄くなりまして、むしろ国から公務員方々に対しまする、言葉は悪いかもしれませんが、恩恵とでも解してよろしいものでありましようか、どうでしようか。先ほど性質の御説明をいただいたのですけれども、少しつまびらかにお伺いしたいと思います。
  29. 入江誠一郎

    入江説明員 この問題につきましては、大体人事院といたしましては、ただいま御指摘通り、毎月の定額の俸給のみをもつて公務員生活と申しますか、正規の勤労に対する全報酬を含んで完済しておるものと、一応見ておりませんわけで、民間給与調査をいたしますときにも、実はわれわれの方といたしましては、民間の毎月の給与と、それからいわゆる臨時給与と両方調査いたしまして、池田さん御存じ通り、大体臨時給与の中におきましても、賞与的性質を持つておりますものと、一つ臨時的賃金と申しますか、やはり夏季なり冬季における一つ生活上の必要を満たす給与、多少経常的ないわゆる臨時給与というものとをわけまして、その経常的な臨時給与に相当するものを、われわれの方でいわゆる期末手当と、民間給与調査の結果いたしておるわけであります。従つて期末手当勤勉手当との全部が、この字句の当否を別といたしまして、国家の恩恵的といいますか、一つの余分の給与と必ずしも見ておりませんので、少くとも期末手当につきましては、一つ臨時の時期における生活上の必要を補填するものと考えておる次第でございます。
  30. 池田清志

    池田清志委員 給与準則につきましては、人事院が常時御研究をいただきまして、時宜に適するように改訂の推進をしていただくことに相なつているわけでありますが、期末手当勤勉手当についても給与の一種でありまする以上は、さらにまた、ただいま入江人事官から御説明のありましたように、単なる国家の公務員に対する、恩恵ではなくして、公務員方々勤労に対する反対給付意味も持つておるという立場からいたしまして、なおその感を深うするのでありますが、時宜に適するように改訂さるべき性質のものであると、こういうように理解してよろしいかと思います。もしそうであるとするならば、現行法制のもとにおける期末手当及び勤勉手当が、現行法通りで妥当であるかどうかということについて御意見を伺います。
  31. 入江誠一郎

    入江説明員 ただいま御指摘がございました通り期末手当及び勤勉手当につきましても、人事院といたしましては、その当時の民間給与状況をしんしやくいたしまして、一般のベースと同じように、そのときどきの民間給与状況に対応いたしまして、改訂を加えておるわけであります。ところが調査の時期、ベース勧告の時期その他との関係もございますし、民間臨時給与というものは、御承知通りやはり一年を締めくくりませんと、正確なものは出て参りませんので、現在の状況といたしまして、たとえば先般のべース勧告さしていただきますときに、昨年の民間給与調査の結果によりまして、これが一昨年よりは昨年の方が民間臨時給与も、若干増加いたしておりますので、先般給与準則を勧告さしていただきましたときに、若干高くいたしまして、これを勧告さしていただいたわけであります。そのベース勧告のときの調査によりまして、今年度の状況といたしましては、ただいまごらんに入れておりますように、大体一年を通じまして、期末手当両方合せて二箇月というものが大体適当と思いまして、昨年より増額したものを勧告しているわけであります。現在の段階といたしましては人事院としては、それを適当と考えております。
  32. 池田清志

    池田清志委員 去る第十六回国会におきまして夏期の期末手当〇・二五増加して実施するということに相なりました。当時の法律上の問題として国家の負うております義務といたしましては、〇・五箇月であつたわけです。しかしながらこれでは時勢に合わないという考えを持つておられます公務員方々といたされましては、その増額を提唱し、やがて労働攻勢となつて現われ、この国会にも幾多の陳情が見えましたり、あるいは院外のデモがありましたり、すわり込みがありましたことは、皆様が御承知通りであります。これに対しましてわれわれ委員といたしましては、その運動の妥当なることを認めまして増額方のことを実現いたしたのでありますが幸いにいたしまして、予算総会において〇・二五箇月分増加支給すべしということを決議をいたしまして、政府に要求せられたわけであります。政府といたされましたは、とりあえず年末の期末手当の中から〇・二五箇月分に相当するものを繰上げ支給するという立法措置をせられまして、これが実現を見た次第であります。  こういうような関係からいたしまして、この十二月に残つておりますところの期末手当及び勤勉手当は、予算上といたしましては、〇・七五箇月分しか残つておりません。そこで人事院勧告といたしましては、年間を通じて二箇月分というものを勧告しておられるのでありますが、予算の面におきましては〇・五箇月分、どうしても現在においては不定をいたしておるのであります。政府といたされましては巷間伝うるところによれば、あるいはまた公の会同ではなくして私的な会合におきましては、大蔵大臣等は〇・五箇月分は増加支給しなくしてはならないということを言うておられるやに聞いておりますし、さらにまた新聞によりますと、閣議におきまして第二次補正予算の中に、八十八億円というものが期末手当勤勉手当の〇・五箇月分に相当するものなりとして、閣議決定を終えられたやに伺つておるのでありますが、その真相はいかがでございましようか、政府にお伺いします。
  33. 田中不破三

    田中説明員 池田委員お尋ね通りに、ただいま政府は〇・五箇月分を中心にいたしまして、その財源を捻出可能なりやいなやということで検討を加えております。
  34. 池田清志

    池田清志委員 さすれば、十二月十五日におきまして、公務員方々に対しましては一・二五箇月分の期末手当勤勉手当が交付せられるということを確信してよろしいと思いますが、いかかでしようか。
  35. 田中不破三

    田中説明員 ただいま申し上げました通り、まだ決定はいたしておりませんので、そのように確信されまするとぐあいがわるいのでありますけれども、しかし〇・五を中心に考えておりまして、そしてそれの裏づけ財源を捻出中なんであります。その方向に決定されることを望んでおりまするし、またそうなるように思いまするが、まだ決定に至つておりませんので、少々待つていただかなくちやぐあいが悪い、こういうことであります。
  36. 池田清志

    池田清志委員 国家公務員期末手当勤勉手当の模様といたしまして、政府といたされまして、どうしても一・二五箇月分支給しなければならぬという熱意のもとに、予算処置をいたされつつありまするし、さらにまたやがて法律改正も現われて来るものと私は確信して疑いません。どうぞひとつよろしくお願いいたします。  次にお尋ね申し上げ、なおかつお願い申し上げなければなりませんのは、地方公務員関係でございます。地方財政は赤字であります。今日まで赤字の累積三百数十億と言われておるわけであります。地方公務員の待遇を、国家公務員と異にしてよろしいというりくつは、現在の憲法及び法律上生まれて参りません。でありますから、政府におきましては、直接地方公務員給与関係せられるわけではないのでありまするけれども、国の政治といたしまして、その両面に差がないように実現をしなければならぬと思います。従いまして十二月の十五日に、政府が国家公務員に対して行わんといたしまする内容が同日に地方公務員に対しても実現せられるようにしなければなりません。そこで問題は地方公共団体の財源の問題であります。さなきだに赤字を重ねております地方公共団体でありますから、今回○五箇月分を増加交付するというような余力は地方公共団体にはございません。でありますから、この面につきまして、国といたしましては平衡交付金の増額ということが、当然に行われなければならないと思うのであります。政府といたしましては、この問題に関しまして○二五箇月分については平衡交付金を見るやのお話も伺いますが、それでは足りないのでありまして、どうしても○五箇月分を見てもらうようにお願いを申し上げます。むしろ私は希望的なことを申し上げるわけでありますが、これが、実現に御努力をお願い申し上げます御意見をお伺いします。
  37. 田中不破三

    田中説明員 ただいまお尋ねの地方公務員の年末手当期末手当財源の問題でございまするが、御承知通りにただいま政府が国家公務員につきまして○。五箇月分を中心として考えております。しかもその財源裏づけをいたそうと努力いたしておりまするがこれらもそのもとをたずねますると、やはり国の行政費につきまして相当に節約をいたしました点が一つの大きな助けになつております。こういう点を考えますると、どうしても必要なものにつきましては、つとめて第二次的三次的の経費を節約して行く、そうしてそれを生み出して行こうというのが、ただいまの政府考え方でございます。国はなかなか出しにくいところをつとめて節約してみた。もちろん地方の方も、出費はいずれも必要な経費でありましようが、やはり国に呼応してできるだけ出費を節減していただくというふうに国も地方もあわせて、そういう方向にやつていただけるならば、まことにぐあいがよろしい。従いまして今度の国家公務員期末手当の増額、これに伴いまして勢い地方公務員につきましても、同様に増額を希望するわけでありまするけれども、しかし国の財政そのものがその負担に十分にたえないというときには、地方におきましてもその行政費をつとめて節約していただくというのは筋の通つたことではないか。しかしもちろん全額に当る額を、地方でもつて節約していただくということは、あるいは不可能かもしれぬが、幾分なりとも地方において節約して、その期末手当財源にまわしてもらえないものだろうかどうか、こういうことが政府考え方の一部になつております。ただいまのところ、もちろん結論を得たわけじやございません。しかし何とかして地方公務員も国家公務員と同様に、期末手当をもらえるようにしたい。それについては財源に非常な苦心があるので、地方においても十分その点を考えてもらつて、何とか地方からも少々ひねり出してもらえないだろうか、こういうふうな考え方で、今やつておるのであります。
  38. 池田清志

    池田清志委員 ○。五箇月以上になりますることは、国家公務員も地方公務員もたいへん喜んでおられることを私は推察いたします。それ以上どんなにふえてもけつこうでありますが、少くとも○五箇月の増加は、必ず国家、地方とも実現できまして、お互いにこのいろいろなことのありました二十八年を送つて、新しい二十九年を喜んで迎えられるように、政府においてこの上ながら御苦労のほどをお願いいたしまして質問を終ります。
  39. 川島正次郎

  40. 池田禎治

    池田(禎)委員 いろいろお尋ねしたいこともすでに出ましたので、きわめて簡潔に私はお尋ねしたいと思いますが、まず人事院お尋ねいたしたいことは、今年の三月の物価指数、生計指数に基いて勧告をなさつたのでありますが、これが今日なお実現をされておらない。それからいろいろ御答弁を承つておると、人事院は科学的な調査に基いた勧告をするのみであるというふうに受取れますが、その実施についての努力を、どういうふうに今日までおやりになつたか伺いたいのであります。先ほど加賀田君の質問に対して、入江人事官人事院政府との間の折衝はいろいろあるが、それはできるだけ触れたくないと言うが、触れたくないということが、私どもの一番触れていただきたいことでありまして、そのことは国会において触れることができぬというなら、できぬという事情を御説明願いたい。一番大事なところをお避けになつておるのでありまして私ども不満にたえません。勧告後、いかなる努力をなさつたかということを、私は御報告願いたいと思います。
  41. 入江誠一郎

    入江説明員 人事院といたしましては、勧告をいたしましてその後の問題につきましては、現状は、ただいま田中長官からお述べになりました通りでありまして、その程度をもつて御了承願いたいと思います。
  42. 池田禎治

    池田(禎)委員 それでは重ねてお伺いいたしますが、勧告はなされても財源がなければ実施できない、そういう場合においては、人事院は、これに対して何らの意思表示をなすところにあらず、こういうお考えでありますかどうかその点をお伺いいたします。
  43. 入江誠一郎

    入江説明員 意思表示と申しますか、人事院としては、勧告をいたしまして、これがなるべくすみやかに実施をされることを、もとより希望いたしておりますわけであります。そういう意味意思表示は、機会あるごとに申し上げてあるわけでございます。それをさらに法律の規定してあります勧告とか、そういう正式の形式における意思表示という意味でございますれば、この点につきましては、先ほど申し上げました通り、現在の段階におきましては、あらためてここに勧告をする意向を持つておらぬ次第でございます。
  44. 池田禎治

    池田(禎)委員 勧告は料学的な指数に基いてなされるものである。しかも公務員法の明文によつて少くとも一年に一回これを行わなければならぬことになつている。それをおやりになつて、なおかつそれが実施されないということについて、人事院入江人事官の申されるような法的な根拠というかあるいは道義的な考えというか、政治的な責任をお感じになつておらぬとするならば、私どもはこういうことにおける人事院の存在というものを疑います。そこで重ねてお尋ね申し上げまするが、こういうあなた方の勧告が行われない場合、すなわち国家公務員法に基いて成立されました人事院というものは、法的にきわめて欠如せるものがあると思う。従いまして極論を申しますならば、人事院が必要あるかないかこういうことまで考えざるを得ないと思います。従いましてこういうことが実施されないという現状を見るならば、国家公務員法を改正いたしまして人事院の持つておりまする権限に対する法的措置をする用意があるかどうか、現行のままの法をもつて満足をしておるものでありますかどうか、不満足でありますかどうか、その点も御回答を願いたいと思います。
  45. 入江誠一郎

    入江説明員 人事院といたしましては、現在の段階において、現行公務員法のもとに責任を全うしたいと思つております。
  46. 池田禎治

    池田(禎)委員 それでは政府田中長官お尋ねいたしますが、政府の現在お考えになつておるやに伝わつております行政機構改革につきまして、人事院現状のままで置くか、それともいかなる立場においてこれを制約する、あるいは拡充強化する意思があるかどうか、その点の審議の経過について、政府意向お尋ねいたしたいのであります。
  47. 田中不破三

    田中説明員 池田委員から人事院の存在の根本的なお尋ねがあつたのでございますが、これはもちろん政府としても当然考えなくてはならないことでありまするが、ただいま臨時行政改革本部を設けまして、鋭意その方面で検討を続けて参つておるわけでございます。もちろんこの本部ではこの人事院という点についても、いろいろ意見が交換されたことと思うのでありまするけれども、これは臨時行政改革本部のただいまの審議でございまして、まだその方針が決定して、このようにしたい、このように臨時行政改革本部は考えておるというふうな結論にはなつていないわけであります。従いましてせつかく機構改革を中心にして考えておりまする臨時行政改革本部の意向というものはわからないのでありますが、政府としましては、それではどう考えるかという点でございまするけれども、もちろんこれは、従来できました当初から、いろいろとただいまお尋ねになりました点が問題の中心になつて、常に論議をかわされております。国会におきましても委員会でいろいろと御審議があつたようでございまして、まだ政府ももちろんどういうふうに人事院を持つてつたらいいか、ただいまの状態でよろしいかというふうなことについては、結論を得ておりません。その点を御了承願いたいと思います。
  48. 池田禎治

    池田(禎)委員 重ねて田中長官お尋ねいたしますが、あなた方は口を開けば、人事院勧告を尊重するということを申しております。そこで、人事院勧告はいろいろな基礎的な条件を備え、かつ科学的な勧告案であるということをお認めにるかどうか。しかしその科学的勧告案なりといえども財源がなければこれはいたし方がない、やらない、やれない、こういう見解ははたして政治的に見ても妥当であるという考えを、いまなおお持ちになつておるかどうか、この点をお伺いしたい。
  49. 田中不破三

    田中説明員 人事院の御勧告、これはもうお話通りに、十分の資料に基きまして、十分に検討を加えられて、できておるものでございまするから、これはただいまのところでは、最も科学的であると考えております。従いましてその点につきまして、最も尊重しなければならぬものであるということも、政府としては考えておるわけでございます。最後にお話になりました通りに、ただこれを実施しますにつきましての行政的な措置、この点について思うようにそれが実現できないという点で、非情に難航をいたしておるというのが、ただいまの現状でございます。
  50. 池田禎治

    池田(禎)委員 人事院お尋ね申しますが、あなた方は、これは先ほども科学的な調査であり、また権威をもつて提出されたものであるということを申し述べられたのでありまするが、このあなた方の権威をもつて出されたものが、財源関係上から実施できぬ、そうなりますると、いかに政府答弁するように尊重すると言い、かつまた勢力いたしておると言つても、これは今日の社会通念をもちまして、これが結果において現われざるものは、現実的には何らの意味をなさないのであります。法律で申しますならば無効と申さなければなりません。そこでこれを政府財源関係でできないという場合は、人事院はやはりやむを得ないということで、その権限までは人事院の持つところにあらず、政治的にもあるいはあなた方の答申したその権威についても、これを政府財源上の措置でやむを得ないとするならば、俗に申しまするならば、ほおかむりというか、これは放任をされてもいたし方がないという見解であるかどうか、その点をお伺いいたしたいと思います。
  51. 入江誠一郎

    入江説明員 御存じ通り、現在の法律のことを申し上げて、たいへん恐縮でございますが、国家公務員法といたしましては、人事院としては極力妥当な給与のあり方を勧告させていただきまして、これを一般の行政あるいは政治方面、財政との関係を考慮されて、政府がお考えになり、また国民の代表として、納税者の代表としての国会がこれをお考えになつて人事院勧告に適当な判定を下されるというのが、現在の建前だろうと存じます。従つて人事院といたしましては、現在の法律のもとにおきまして勧告をいたしておりますものが適当であり、これが公務員のために実現されることを衷心より希望いたしておることはもとよりでございまして、また機会あるごとに申し上げておるわけでございますが、それ以上いかなる方法があるかということになりますると、やはり現在の法律建前としては、人事院といたしましては、その限度において責務を果すのが適当であろうと思つております。
  52. 池田禎治

    池田(禎)委員 人事官の申されることは、人事院の立場として表明されたと思いますが、ではもしこれを現実に当てはめた場合、くどいようですが、あなた方の勧告を待ち、かつまたそれに大きな期待を持つておる人々は、これが本年の三月の指数を中心にして、しかも七月の中旬に勧告されたものが、今日なお実施されないで、しかもその後の物価指数というものは上昇を示しておるという現状は、今日多くを申さなくてもよろしい。ここにあなた方が統計を出されておるものから現行の状態を見ても、言うまでもありません。今年の水害、冷害による物価高は、すでに東京を中心にして三百円のやみ米が出て、今日生計上非常な困難を来しておるということは言うまでもない。従つて極論するならば、公務員諸公というものは、あなた方の勧告というものが、一日も早く実施されることを、ほんとうに渇望しておる。しかもなおそれが行われないとするならば、この人たちはたよるべき何ものもない、そういう状態にあるところに、人事院といたしましては、勧告をした以上、すみやかにこれが実施され、かつまた採用されることを望むという見地において、あなた方の主張というものが取上げられないとするならば、これはやはりゆゆしき思想上の変化を来してもやむを得ない。すなわちこの人たちに尊法精神がなくなる。これが私たちの一番おそれるところです。今日、日本の法治国として守らなければならぬことは、たとい悪法なりといえどもこれを守ることが、奉仕する国民たる者の任務でなければならぬ。私はその根本の思想がこの法律を守るという精神が、政府みずから行われないとするならば、国民多数の人が国の法律を守ろうという気持のなくなることは、当然のことといわなければならぬ。ここに私どもの最もおそれるゆえんがある。こういうことを思うのであります。従いまして私は先ほど現行の国家公務員法をもつてして、人事院の機能というものがはたして全きかどうか、国家公務員法改正の意思ありやなきということをお尋ねしたのは、実はそこにあるのであります。私どもはこういう状態でありますならば、国家公務員法を改正してでも、人事院の権威というものは仲裁裁定くらいのものの権能を持たせるということがなければ、ある意味でははなはだ失礼ではございますが、あなた方の御苦労もまた徒労に帰しておるということは、過去の実例がこれを示しておるのであります。従いまして私どもはむしろ政府拘束ということでなく、人事院の権威をもつと高からしむるためには国家公務員法を改正して、この人事院の真の科学的調査によるところの勧告というものに大きな拘束力を与える、これだけの権威を持たすべきではないかとさえ思う次第であります。従いまして人事院は、そういう点で国家公務員法を改正いたしまして、権威をさらに一段と高めるというお考えがないかどうかということを、この際重ねて私はお尋ねしたい。
  53. 入江誠一郎

    入江説明員 人事院といたしましては、現在の段階におきましては、現行法のもとにできるだけ責務を全うしたいと思つております。
  54. 池田禎治

    池田(禎)委員 これは記事等に現われたものでありまして、必ずしも権威あるところから拝聴したものでありませんが現業官庁三公社等の現状からながめて国家公務員も何らかの措置を講じなければなるまい。たとえば全面的なものができない場合には、中だるみというものが非常にはなはだしいわけですから、これを上げるというようなことがあるやに、新聞等の記事に出ておるのでありますが、そういう点も人事院はお考えになつておりましようかどうですか。
  55. 入江誠一郎

    入江説明員 公務員の俸給表につきましては、御存じ通り昨年の勧告さしていただきましたものが実現いたしましたが、多数を占めておりますいわゆる中堅層と申しますか、その辺のものが若干中だるみがあるような状況もございまして、これにつきましては国会の方でも、これはなるべくすみやかに修正をして給与を改訂するようにというふうな御決議もありましてそれにつきまして今回ごらんに入れております勧告及び給与準則におきまして、ある程度の是正をいたしておるわけであります。もとよりこの中だるみの改善という問題もございますけれども給与の問題としては中だるみの改善の問題とあわして、やはり全体のベースそのものが民間給与に比べまして、現在公務員の方が低いという問題がございますので、人事院といたしましては単に中だるみの問題でございませんで、俸給表全体の問題として、現在勧告しております線で実現させていただきたいと思つております。
  56. 池田禎治

    池田(禎)委員 常に給与の問題について、われわれがこの委員会において審議をする場合においての人事院の御答弁を伺つておると、おおむねなまくら問答です。今日人事院に三人の認証官を置いてそうして国家公務員法に基く権威ある、政府の機関なりといえども、また別個な存在を示しておる人事院が、まつた政府の下風に立つて政府の従属機関たるの感を与えておるごとき現状になつておるということは、これは真の国家公務員法の精神を没却しておる。今日の人事院というものはきわめて無能、無力なものに化しつつあるといわざるを得ないのであります。従いましてもしあなた方が、真に公務員法の精神にのつとつて人事院の権威を高からしむるとするならば、過去においてあなた方があれほど信念を持つて、科学的統計表なりといつて国会提出し、政府勧告されたものが、ほとんどといつていいほど実施されていない。しかも勧告案が完全実施されたことはほとんどない。常に下まわつておる。しかもその勧告というものが、常に時期を失しておる。碁で申しますれば後手々々と行つておる。ちようど半年か一年後に、あなた方の勧告したことが実現されておる。こういうことをもつてしては、人事院の機能を権威あるものだということは、国民のすべての人々から見ましても、われわれの眼から見ましても承服できざるところであります。従いまして私どもは、人事院がもし本来の公務員法の精神をもつて、その権威ある存在を示すというならば、完全にこれを実施させるだけの機能に切りかえることを望む。しからざれば今日の人事院というものは、単なる一部局でけつこうである。今日のように三人の認証官を置いて、全国的な機構を持つ必要はない。国家の経費を濫用しておるといわざるを得ないのであります。あなた方は人事院の機能は、勧告すれば足りるというところの答弁をしておる。いやしくも自分たちが科学的統計をもつて勧告したものが実施されないとするならば、自分らの無能を嘆かなければならないのであります。しかるにいまだかつてさようなことを申されたこともなく、いな、のうのうと平気な顔をしておることは、あなた方の職責に対するみずからの侮辱であるといわざるを得ないのであります。私たち社会党の勢力は今日微弱でありますけれども、今日の人事院というものはほんとうに考えたらいらないと思います。ほんとうの人事院なら、もつと拡充してでも私どもは必要である、人をふやしてでも必要であるけれども、今日のごとき機能をもつてすれば、いかに政府がこれを尊重するといえども、それが実現されておらない。いくらりくつをとなえても、それが実現しなければ意味をなさない。実施されて初めてその勧告内容が天下に示されるのであります。従いまして私ども人事院に対する答弁を求めないのであります。あなた方がもし公務員法に基きまして、真に人事院の機能を発揮されんとするならば、ほんとうに権威あるものを、これから実現させるように進むべきであると思うのであります。しからざる限り、人事院は今日のような厖大な機能を必要としないと、私は思わざるを得ないのであります。  以上をもつて、私の希望を述べ、私の質問を終ります。
  57. 川島正次郎

    川島委員長 この際お諮りいたします。労働委員会において継続審査を行つております公共企業体等労働関係法第十六条第二項の規定に基き、国会の議決を求めるの件(印刷事業に関する件)外七件につきましては、前国会におきまして連合審査会を開いて審査に参加して参りました。閉会中におきましても、これについて連合審査会を開くことを申し出たいと存じますが、これに御異議ありませんか。     〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  58. 川島正次郎

    川島委員長 御異議なしと認めます。さように決定いたします。  なお連合審査会開会の日時は、委員長に御一任を願つておきたいと存じますが、大体二十五、二十六の両日開会する予定でございます。また二十七、二十八の両日は公聴会を開く予定でございます。御了承願つておきます。  本日はこの程度にとどめまして、次会は明十七日午前十時より開会をすることにいたします。  本日はこれにて散会いたします。     午後零時九分散会