○
池田(禎)
委員 人事官の申されることは、
人事院の立場として表明されたと思いますが、ではもしこれを現実に当てはめた場合、くどいようですが、あなた方の
勧告を待ち、かつまたそれに大きな期待を持
つておる人々は、これが本年の三月の指数を中心にして、しかも七月の中旬に
勧告されたものが、今日なお
実施されないで、しかもその後の物価指数というものは
上昇を示しておるという
現状は、今日多くを申さなくてもよろしい。ここにあなた方が
統計を出されておるものから現行の
状態を見ても、言うまでもありません。今年の水害、冷害による物価高は、すでに東京を中心にして三百円のやみ米が出て、今日
生計上非常な困難を来しておるということは言うまでもない。
従つて極論するならば、
公務員諸公というものは、あなた方の
勧告というものが、一日も早く
実施されることを、ほんとうに渇望しておる。しかもなおそれが行われないとするならば、この人たちはたよるべき何ものもない、そういう
状態にあるところに、
人事院といたしましては、
勧告をした以上、すみやかにこれが
実施され、かつまた採用されることを望むという見地において、あなた方の主張というものが取上げられないとするならば、これはやはりゆゆしき思想上の変化を来してもやむを得ない。すなわちこの人たちに尊法精神がなくなる。これが私たちの一番おそれるところです。今日、日本の法治国として守らなければならぬことは、たとい悪法なりといえ
どもこれを守ることが、奉仕する国民たる者の任務でなければならぬ。私はその根本の思想がこの
法律を守るという精神が、
政府みずから行われないとするならば、国民多数の人が国の
法律を守ろうという気持のなくなることは、当然のことといわなければならぬ。ここに私
どもの最もおそれるゆえんがある。こういうことを思うのであります。従いまして私は
先ほど現行の国家
公務員法をも
つてして、
人事院の機能というものがはたして全きかどうか、国家
公務員法改正の
意思ありやなきということを
お尋ねしたのは、実はそこにあるのであります。私
どもはこういう
状態でありますならば、国家
公務員法を改正してでも、
人事院の権威というものは
仲裁裁定くらいのものの権能を持たせるということがなければ、ある
意味でははなはだ失礼ではございますが、あなた方の御苦労もまた徒労に帰しておるということは、過去の実例がこれを示しておるのであります。従いまして私
どもはむしろ
政府拘束ということでなく、
人事院の権威をもつと高からしむるためには国家
公務員法を改正して、この
人事院の真の科学的
調査によるところの
勧告というものに大きな拘束力を与える、これだけの権威を持たすべきではないかとさえ思う次第であります。従いまして
人事院は、そういう点で国家
公務員法を改正いたしまして、権威をさらに一段と高めるというお
考えがないかどうかということを、この際重ねて私は
お尋ねしたい。