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1953-11-02 第17回国会 衆議院 行政監察特別委員会 第2号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和二十八年十月三十日  吉武惠市君が委員長に、塚原俊郎君、福田一君、  渡邊良夫君、中野四郎君、久保田鶴松君、小林  進君及び世耕弘一君が理事に当選した。     ————————————— 昭和二十八年十一月二日(月曜日)     午前十一時六分開議  出席委員    委員長 吉武 惠市君    理事 塚原 俊郎君 理事 長谷川 峻君    理事 山口六郎次君 理事 中野 四郎君    理事 久保田鶴松君 理事 小林  進君       田渕 光一君    福田 篤泰君       山中 貞則君    青野 武一君       北山 愛郎君    前田榮之助君  委員外出席者         証     人         (大蔵省管財局         長)      窪谷 直光君         証     人         (関東財務局         長)      井上 義海君     ————————————— 十月三十日  委員渡邊良夫辞任につき、その補欠として山  中貞則君が議長の指名で委員に選任された。 十一月二日  理事福田一君及び渡邊良夫君の補欠として長谷  川峻君及び山口六郎次君が理事に当選した。     ————————————— 本日の会議に付した事件  理事の互選  接収解除金・銀・白金等関係事件     —————————————
  2. 吉武恵市

    吉武委員長 会議を開きます。  この際お諮りをいたします。理事福田一君より理事辞任の申出がありますが、これを許可するに御異議ありませんか。     〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  3. 吉武恵市

    吉武委員長 御異議なきものと認め、これを許可するに決しました。  なお、先日理事渡邊良夫君が委員辞任され、現在理事二名の欠員を生じておりますが、これにつきましては理事補欠選任をいたさなければなりませんが、先例に従いまして委員長において指名いたすに御異議ございませんか。     〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  4. 吉武恵市

    吉武委員長 御異議なきものと認めます。  それでは、長谷川峻君及び山口六郎次君を理事に指名いたします。     —————————————
  5. 吉武恵市

    吉武委員長 次にお諮りをいたします。接収解除金、銀、白金等関係事件につきましては、過日の理事会において協議の結果、これを本委員会において証人を喚問して調査を進めることに意見の一致を見たのでありますが、この際接収解除金、銀、白金等関係事件について委員会において本調査に着手いたしたいと存じますが、御異議ありませんか。     〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  6. 吉武恵市

    吉武委員長 御異議なければ、さよう決しました。  なお、本件について、本日大蔵省管財局長窪谷直光君及び関東財務局長井上義海君に出頭を求める手続をいたしておいたのでありますが、両君を本委員会証人として決定いたすに御異議ありませんか。     〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  7. 吉武恵市

    吉武委員長 御異議なきものと認めます。よつて証人として決定いたしました。  それでは、接収解除金、銀、白金等関係事件について、ただちに証人より証言を求めることにいたします。  ただいまお見えになつておられる方は窪谷直光君及び井上義海君ですね。——あらかじめ御承知のことと存じますが、本日正式に証人として証言を求めることに決しましたから、さよう御了承願います。  これより接収解除金、銀、白金等関係事件について証言を求めることになりますが、証言を求める前に、各証人に一言申し上げます。昭和二十二年法律第二百二十五号、議院における証人宣誓及び証言等に関する法律によりまして、証人証言を求める場合には、その前に宣誓をさせなければならないことと相なつております。宣誓または証言を拒むことのできるのは、証言が、証人または証人配偶者、四親等内の血族もしくは三親等内の姻族または証人とこれらの親族関係のあつた者、及び証人の後見人または証人の後見を受ける者の刑事上の訴追または処罰を招くおそれのある事項に関するとき、またはこれらの者の恥辱に帰すべき事項に関するとき、及び医師歯科医師、薬剤師、薬種商、産婆、弁護士、弁理士弁護人公証人、宗教または祷祀の職にある者またはこれらの職にあつた者が、その職務知つた事実であつて黙秘すべきものについて尋問を受けたときに限られておりまして、それ以外には証言を拒むことはできないことになつております。しかし  て、証人が正当の理由なくして宣誓または証言を拒んだときは、一年以下の禁錮または一万円以下の罰金に処せられ、かつ宣誓した証人が虚偽の陳述をしたときは、三月以上十年以下の懲役に処せられることとなつておるのであります。一応このことを御承知なつておいていただきたいと思います。なお、証人が公務員として知り得た事実が職務上の秘密に関するものであるときは、その旨を申出願いたいと思います。  では、法律の定めるところによりまして、証人宣誓を求めます。御起立を願います。  窪谷証人に代表して宣誓書の御朗読  を願います。     〔証人窪谷直光君代表して朗読〕     宣誓書  良心に従つて、真実を述べ、何事も  かくさず、また何事もつけ加えない  ことを誓います
  8. 吉武恵市

    吉武委員長 それでは宣誓書署名捺印してください。     〔各証人宣誓書署名捺印
  9. 吉武恵市

    吉武委員長 これにより証言を求めることになりますが、証言証言を求められた範囲を越えないこと、また御発言の際には、その都度委員長の許可を得てなされるようお願いいたします。なお、こちらから質問をしておるときはおかけになつていてけつこうでございますが、お答えの際は御起立を願います。まず委員長から概括的に証言を求め、次いで各委員から証言を求めることになつておりますから、御了承を願います。  それでは、窪谷君にお尋ねをいたしますが、まず証人略歴を簡単にお述べ願います。
  10. 窪谷直光

    窪谷証人 生年月日は明治四十三年三月十二日でございます。東京大学を卒業いたしまして、大蔵省に奉職をいたしました。その後大蔵省内及び大蔵省関係のあります官庁に職を奉じまして、ただいまは大蔵省管財局長をいたしております。
  11. 吉武恵市

    吉武委員長 管財局長の前は何ですか。
  12. 窪谷直光

    窪谷証人 管財局長の前は保安庁経理局長をいたしました。
  13. 吉武恵市

    吉武委員長 その前は何ですか。
  14. 窪谷直光

    窪谷証人 その前は大阪国税局長です。
  15. 吉武恵市

    吉武委員長 それでは、次にお尋ねをいたしますが、連合軍接収された金、銀、白金その他の貴金属について、その品目数量、それから接収箇所等についてお述べ願えますか。資料があれば資料の御提出願つてけつこうです。
  16. 窪谷直光

    窪谷証人 詳細な資料を今手元に持ち合せておりませんですが、先般国会で成立をいたしました法律によりまして、接収をされました数量報告を求めております。その報告の中には、それぞれ接収場所でありますとか内容というものが報告されております。その資料大蔵省の方に今ございますが、ただいま手元に持つておりますものは、その報告書集計いたしました総数量だけの資料を今用意いたして持つておるのであります。
  17. 吉武恵市

    吉武委員長 それでけつこうですから、それをお答え願います。
  18. 窪谷直光

    窪谷証人 この報告は、先般大蔵省管財局長から国会の当委員会に御報告をいたしました数字があるのでございますが、その後その報告書類を一応整理をいたしまして、同じものにつきまして被接収者から報告がされ、さらに同一物件につきまして所有者から報告をされておると明らかに認められますものを整理をいたしました。それから、この前に御報告をいたしましたあと報告が出て参つたものがございますので、それらを整理をいたしました、ただいまのところの総計数字でございますが、まだ審査を継続中でございまして、なお接収数量について若干の異動が出て参るかと思うのでありますが、現在の段階における数字を御報告申し上げたいと思います。
  19. 中野四郎

    中野委員 法律には九月三十日までに報告をしなければならぬということになつているのですが、その後に出て来た報告があるのですか。
  20. 窪谷直光

    窪谷証人 法律では昭和二十七年の九月三十日ということに相なつておりますが、これは接収という事実の確認に資する資料ということでございますので、その後に出て参りました報告もこれに加えて現状を明らかにしたいということから整理をいたしておるわけなのであります。
  21. 中野四郎

    中野委員 ちよつと、言葉の半ばですが、これは法律の定めるところによつて九月三十日までに報告しなければならぬという法律国会審議して通したものであつて、その後に来たものがはたして法律的効果があるかどうかということは疑問があると思うのですが、そういうようなことはどういう解釈を持つておられますか。
  22. 窪谷直光

    窪谷証人 御質問、ごもつともでございますが、これはその報告によつて個人権利義務に影響を及ぼすものではございませんので、一応、事実の調査という意味から、期限の遅れて参りましたものも、集計と申しますか、この調査の中に入れてやるのが適当かというふうに考えておる次第でございます。
  23. 吉武恵市

    吉武委員長 一応それで報告してください。
  24. 窪谷直光

    窪谷証人 まず金の地金について申し上げます。金の地金内容が若干わかれて参りますが、まず金地金総計を申し上げますと、総量におきまして百六十九トン四百八十四キロ六十四グラム四十六ということに相なつております。そのほかに、接収報告はございますが、その報告の中に、これは自分返還をされたということで報告されておりますものが、その外書きになりますが、四百三十一キロ二百七十五グラム九十五ということに相なつております。そのうちをわけて申し上げますと、ちよつと集計が出ておるのと出ておらないのがございますが……。
  25. 吉武恵市

    吉武委員長 総括でいいです。
  26. 窪谷直光

    窪谷証人 それでは、そういうことでございます。  それから、次は本邦金貨でございますが、これが百七十八万千九百四十六枚。  次は本邦金貨でございますが、これが八十万千二百六十三枚。  次に外国金貨が一万千八百四十八枚でございます。  それから、次は銀の地金でございますが、これが三千五百トン百七十八キロ九百四十三グラム三七ということに相なつております。なおそのほかに、接収はされたが返還をされたという報告なつておりますのが、その外書きといたしまして、二トン四百十七キロ三百八十八グラム六ということに相なつております。それかれ地金の中に線の状況なつておるのがございまして、これが七十五メートルということに相なつております。さらに、報告では、ただ一個という報告がございますが、これは地金集計のしようがございませんものが一個ということでございます。それから、接収報告は出ておりますが、どうも内容が不明でありまして、今審査中のものがほかに二件ございます。  それかれ、次は本邦銀貨でございますが、これが六千七十二万五千六百七十五枚ということに相なつております。このほかに、接収はされたが返還されたという報告なつておりますのが八百十四枚ございます。それから、いろいろ融合等いたしまして、銀貨であるということはわかるのでございますが、何枚という数の勘定ができませんものを地金の目方ではかりましたものが三百七十キロ百グラム八三というものが別にございます。  それから外国銀貨でございますが、これは一万八千四百三十三枚。なお、接収はされたが返還されたという報告数量が五十三枚ございます。  次は白金地金でございますが、これは三トン六百四十三キロ百十四グラム一六ということに相なつております。なお、接収されて返還されたという報告数量が四十三キロ八百九十グラム二五。それかれ、ただ個数だけの報告が出ておりますのが百七十個という報告が別にございます。それからなお、内容の不明なものが三件ございます。  それから、次は白金族地金でございますが、これは五十キロ五百六十四グラム九五。そのほかに、接収はされたが返還されたという報告数量が六十大グラム一。なお、報告内容の不明なものが二件出ております。  次は貴金属合金地金でございますが、これが百十一トン二十八キロ二百六十八グラム○八ということに相なつております。そのほかになお、十六キロ四百七十七グラム三というのが別にございます。
  27. 吉武恵市

    吉武委員長 それは何ですか。
  28. 窪谷直光

    窪谷証人 今申し上げました十六キロ四百七十七グラム三と申しますのは、報告数量では純量が書いてないものでございます。それと、なおそのほかに、八万メートルという、これは線でありますが、合金の線の報告がございます。これは、報告では重量も純量も不明でございまして、それが八万メートル別にございます。  それから、ダイヤモンド工業用の分でございますが、十二万四千二百三十五カラット○三二。なお、接収はされたが返還されたという報告が百十五カラット五五。それから、カラット数の記載がなくて、ただ個数だけ書いてありますものが五百六十七個。それから、内容の判定のできない、不明のものが一件ございます。  次は装飾用ダイヤモンドでございますが、これは十七万八千九百四十四カラット五八四。接収はされたが返還されたという報告数量が十九カラット七九。なお、別にカラット数の書いてない、個数だけ記載してありますものが五百七十七個ございます。  それから、次に金属及びダイヤモンド加工品でございますが、これが六万八千一個ということに相なつております。なお接収されたが返還されたというものが千三百七十四個ございます。そのほかに、グラム数をあげておりますものが三十四トン二百七十二キロ八百十六グラム八〇グラム数の書いてありますもので、接収はされたが返還されたという報告数量が十キロ六百四十三グラム○九ということに相なつております。  大体そういうことでございます。
  29. 吉武恵市

    吉武委員長 今の御報告は、この前御報告なつたものと多少かわておりますので、今の詳細をもう一度文書にして御提出を願います。
  30. 窪谷直光

    窪谷証人 後刻文書にいたしまして御提出いたします。
  31. 吉武恵市

    吉武委員長 それから、今の金銀白金その他の貴金属保管状況を簡単にお述べ願います。
  32. 窪谷直光

    窪谷証人 これは日本銀行地下金庫保管をいたしておりまして、日本銀行に対する保護預けの形に相なつております。
  33. 吉武恵市

    吉武委員長 そこに全部ありますね。
  34. 窪谷直光

    窪谷証人 失礼をいたしました。大部分のものが日本銀行本店地下金庫にございます。一部のものが日本銀行大阪支店金庫にございます。それからなお、わずかのものが大阪造幣局、それからさらに東京造幣局のそれぞれの金庫にあるのでございまして、従いまして、保管場所はすべてでこの四箇所になつております。
  35. 吉武恵市

    吉武委員長 それから、この日本銀行交易営団中央物資活用協会金銀運営会金属配給統制株式会社等は、どういう経緯及び法令の根拠でこの物件取扱つたのでしようか。あなた、おわかりになりますか。ダイヤについてはこの前詳細なことをお聞きしたので、金、銀、白金その他の貴金属についてお述べを願います。
  36. 窪谷直光

    窪谷証人 日本銀行自分固有で持つております金を接収されておりますが、この固有保有金につきましては、これは日本銀行法に基きまして金準備として保有をいたしておつたものでございます。そのほかに、日本銀行から接収をされましたものは金製品がございます。これは日本銀行金製品所有者から売りもどし条件付で買い取りましたもので、まだ元の所有者に売りもどしをいたしておらないものがございます。これが接収をされておるのであります。交易営団につきましては、これはダイヤモンドのときに御審議を願いましたと同様の状況でございます。金の供出の国の代行機関と申しますか、その事務を扱つたということから金を持つてつたのであります。なお、中央物資活用協会につきましても交易営団と同様の状況でございます。それから、金銀運営会につきましては、一つは、供出金銀を扱つておりましたかどうか、今ちよつと明瞭にいたしませんが、そのほかに、当時、通貨価値維持の方策といたしまして、支那に銀を持つて行つてつたのであります。それで、政府から払下げを受けて支那に輸送をいたします途中の段階の銀があつたよう記憶をいたしておりますが、この点はさらに調査をいたしまして御報告申し上げたいと思います。なお、現在の日本金属株式会社、当時の金属配給統制株式会社でありますが、これは非常回収と申しますか、ちようどダイヤモンド供出と同様の状況におきまして供出をされました金銀を持つておりましたのと、さらに固有統制業務をやつておりましたので、当時は、各鉱山から出て参ります新産金等につきましては、一応この統制会社で買い取りまして、そこから政府に納入をするということに相なつておりまして、そういうもの、それからさらに、今度は各需要者配給をいたしますために、政府から払下げを受けた金属手持ちをしておつたものというふうなものに相なつておるわけでございます。これらの点につきまして、手元に持つております資料が若干不備でございますので、正確なことは調査をいたしまして御報告申し上げたいと思います。
  37. 吉武恵市

    吉武委員長 それから、その物件処置が問題になるんですが、その処置については大蔵当局ではどういうふうにお考えになつておりますか。
  38. 窪谷直光

    窪谷証人 これはまだ大蔵当局といたしましては最後的な意見の決定まで参つておりません。まだ、事務的な検討と申しますか、研究をいたしておる段階でございまして、大蔵省意見がこうだということを申し上げ得る段階に参つておりませんことを御了承願いたいと思いますが、今研究中のいろいろな考え方というものを御参考までに申し上げますと、国民から供出されました分でございますが、これは、その中間の取扱い機関手持ちをしておりました状況は、先般主としてダイヤモンドを中心にして御審議を願いましたと同様の状況であろうと思います。従つて、それの処置と同様に扱うべきものだと考えております。それからなお、日本金属株式会社固有統制業務としてやつておりました金属類につきましては、やや趣きを異にしておろうかと思います。これにつきましてはいろいろ考え方が出て参るというふうに考えられるのでありまして、この辺につきましては目下研究をいたしておりまして、大体の考え方を申し上げるような段階にも来ておらないのでございます。それから、日本銀行から接収をされましたものでございますが、これは、品物も非常にはつきりいたしておりまして、日本銀行返還をいたすべきものではないかというふうに考えております。なお、日本銀行が売りもどし条件付で買い取りました金製品でございますが、これはやはり一応日本銀行返還をして、日本銀行からその買取りの条件従つて元所有者返還さるべきものであろうというふうに考えております。大体そういうことであります。
  39. 吉武恵市

    吉武委員長 それでは、ついでに井上さんの方をお尋ねしてから、委員各位から御質問があるかと思います。  井上義海君の略歴を簡単にお述べ願います。
  40. 井上義海

    井上証人 東大を出まして大蔵省に入り、大津の税務署長を振出しに、その後大東亜省殖産課長大蔵省為替局為替課長東京財務局総務部長等を経まして、現在関東財務局長に就任しております。
  41. 吉武恵市

    吉武委員長 次に、平和条約の発効に伴うて接収解除なつ貴金属に関連をしまして、関東財務局は現在どういう仕事を担当しておいでになりますか。
  42. 井上義海

    井上証人 関東財務局といたしましては、接収貴金属返還のうちで、装飾物及び装身具だけにつきまして、大蔵省管財局からの指示がございましたので、二十六年六月にCPCから引継ぎましてから保管をいたしております。これは、その後今年の四月に、さらに管財局保管を引継ぐように指示がございましたので、現在においては、ただいま申しましたような装身具につきましても、全部管財局引継ぎを完了いたしております。従いまして、現在貴金属類関東財務局保管しているものはございません。
  43. 吉武恵市

    吉武委員長 そうすると、窪谷君にお尋ねするのですが、その現物はどこで保管しておりますか。
  44. 窪谷直光

    窪谷証人 これは、関東財務局から引継ぎをいたしまして、保管責任管財局で持つております。保管場所日本銀行本店金庫保管をいたしております。
  45. 吉武恵市

    吉武委員長 それでは、井上君にお聞きしますが、そういう装飾品のものは、四月引継がれたが、四月までどこに保管されておりましたか。
  46. 井上義海

    井上証人 この装飾物につきましては、日銀営業倉庫保管料を納めて保管しておりました。
  47. 吉武恵市

    吉武委員長 そうすると、現物日銀地下室にあつたわけですね。ただ保管責任財務局にあつた、こういうことですか。
  48. 井上義海

    井上証人 委員長の仰せの通りでございますが、地下室ではなくて、これは営業倉庫金庫でありまして、二階にありました。
  49. 吉武恵市

    吉武委員長 右の物件の中で、交易営団に一部を返したということを聞いているのですが、そういうことございましたか。
  50. 井上義海

    井上証人 ございました。
  51. 吉武恵市

    吉武委員長 どういうものを返されたか、はつきりわかつているのですか。
  52. 井上義海

    井上証人 交易営団に返しました品行を申し上げますと、硬玉、猫眼石、エメラルド、蛋白石、雑石サフアイア、金片及び宝石片サフアイア破片の八品目であります。
  53. 吉武恵市

    吉武委員長 それは返したきりですか。
  54. 井上義海

    井上証人 これは、その後また管財局からの通牒がございまして、交易営団から引継ぎを完了して、元のところに返しております。
  55. 吉武恵市

    吉武委員長 全部返したのですか。
  56. 井上義海

    井上証人 全部返しました。
  57. 吉武恵市

    吉武委員長 それも管財局に移管されているわけですね。
  58. 井上義海

    井上証人 これは全部元のものと一緒にして管財局に引継ました。
  59. 吉武恵市

    吉武委員長 委員長からお尋ねする事項は大体終りましたが、委員のうちで御質問がございましたら御質問願います。
  60. 窪谷直光

    窪谷証人 先ほど申し上げました各団体のことでございますが、正確なことはあと文書で御報告いたしたいと思いますが、先ほど申し上げましたものの中で、金銀運営会のことでございますが、今、簡単な資料でございますが、見つかりましたので、大分私の記憶と違うので、発言を訂正いたしたいと思います。これは、昭和十八年に大蔵大臣の認可によりまして社団法人金銀運営会として発足をいたしまして、業者手持ちをいたしております金銀の収集に従事をいたしたのであります。従いまして、この分の接収をされたのが大部分のようでございます。そのほかに、金製品といたしまして金のメダルが接収をされておるのでございます。これらの品物性格については、調査をいたして申し上げたいと思います。
  61. 吉武恵市

    吉武委員長 そうすると、お尋ねいたしますが、金銀運営会は、供出の金、銀、貴金属は取扱わなかつた、こういうことですか。
  62. 窪谷直光

    窪谷証人 これは一般国民供出のものは扱わなかつたと考えます。金銀の宝石商その他貴金属商手持ちをいたしておりましたものをここへ集めるという仕事を担当いたしておつたようであります。
  63. 吉武恵市

    吉武委員長 そうすると、もう一度お尋ねしますが、そういう業者が持つてつたものも供出をする品物なわけですね。
  64. 窪谷直光

    窪谷証人 これは、やはり当時の金銀集中と申しますか、そういう一連の政策の一環として行われておつたと思います。
  65. 吉武恵市

    吉武委員長 もう一つお聞きしますが、先ほどの証言のうちで、金属配給統制株式会社接収されたものについては多少趣を異にするというのは、もう少し説明をしてほしいのですが、どういう点ですか。
  66. 窪谷直光

    窪谷証人 若干趣を異にすると申しましたのは、その接収をされました貴金属の間にやや色合いの違つたものがあるということでありまして、そのごく一部分は、一般供出扱い機関として非常回収の分として持つておりましたものか接収されましたものであります。これはほかの貴金属と同様の性格のものであろうというふうに考えます。やや色合いが異なつておると申しましたのは、普通の、普通と申しますか、統制会社としての固有業務に伴うものというものでございまして、当時は、各鉱山会社から新産金が出て参りますと、それを一応全国的に集中をいたしますために金属配給統制株式会社に売渡しをいたしておつたのであります。これは国民一般供出というものとはやや趣を異にいたしまして、普通の金鉱業と申しますか、金の取引業務と申しますか、そういうものとして扱われたものでございます。ただ、当時政府といたしましては金銀集中の政策をとつておりました。従いまして、その意味では一般供出金銀と似通つた性格のものであると考えられないこともないというようなことで、これをどう扱うかということにつきましては、事務的にもまだ研究をいたしておるような段階でございます。
  67. 中野四郎

    中野委員 井上さんにお尋ねをいたします。事は非常に複雑性を帯びておりますけれども、きわめて簡単な問題を伺いたい。  関東財務局で、接収を解除されました宝石その他のものをば保管されておつたようでありまするが、これは昭和二十六年の六月十五日の大蔵省より関東財務局長あての通牒によつてなされたものだと思いまするが、その当時保管を依嘱されました物品は何と何で、数量はどれくらいあつたかということを御説明願いたい。
  68. 井上義海

    井上証人 数量を全部申し上げますと、非常に厖大な——品名としては非常にたくさんあるのであります。
  69. 中野四郎

    中野委員 数量といいましても、日本銀行地下室にあつたもので、昭和二十六年五月二日に解除をされました品物なんです。それはそうたくさんあるわけはないと思います。
  70. 井上義海

    井上証人 通牒は二十六年六月十五日になつております。実際の出がちよつと先行しておりまして、正確に申し上げますと、二十六年五月二日になると思います。通牒は六月十五日付で参つております。五月二日に、CPCから、関東財務局の職員並びに大蔵省管財局職員立会いの上で引継ぎました。そのときは、もちろん向うのリストと現品を照合して引継いだわけでありまして、そのときの状況は、ボール箱に入つたもの、あるいは小さい袋に入つたもの、いろいろありまして、それを一々取出してリストと照合をして、それを二つの桐の箱に納めました。桐の箱に納めたものを、日銀の証券局長の承諾書をとつてお預けいたしたのであります。品名は、向うは個々のものを全部ナンバーを入れて処理をしておりまして、ここにリストは持ち合せておりますが……。
  71. 中野四郎

    中野委員 総計けつこうです。
  72. 井上義海

    井上証人 総計というのは出ておりません。一つ一つ全部……。
  73. 中野四郎

    中野委員 箇数もわからないのですか。
  74. 井上義海

    井上証人 非常に詳しいリストの資料はありますが、総計が出ておりませんで、個々のものについてナンバーを打つてあります。
  75. 中野四郎

    中野委員 それは、ひとつリストにして委員会にお出し願いたい。  そこで伺いたいのですが、当時、この通牒の中には、旧陸海軍が恤兵品として民間より受取つたもので、終戦に伴い司令部が第一復員局、第二復員局、税関あるいは交易営団等より押収し保管して来たものであるということが明記されてあるのでありますが、この品物は、全部が恤兵品であるのか、ないしは個人の所有権の明らかになつておるものがあつたのかどうか、この点を伺いたい。
  76. 井上義海

    井上証人 この点は、財務局といたしましては、出先機関といたしまして、管財局からの通牒によつて処理をいたしましたので、その内容についてはむしろ管財局の方から聞いていただいた方が適当じやないかと思います。
  77. 中野四郎

    中野委員 そうすると、これは管財局の指令に基いて行うものであつて財務局長の単独の権限によつて処分はできない形になつておつたのですか。
  78. 井上義海

    井上証人 財務局といたしましては、この指令によりまして、ただ、リストのあるものをCPCから引継いだ、ついてはこれを保管しろ、こういう通牒の内容でございまして、私の方は引継いだものを正当に保管をしておる、こういう責任財務局長としてはとつたわけであります。
  79. 中野四郎

    中野委員 それでは、率直に伺いますが、昭和二十七年の十二月十一日付で、あなたの方は、交易営団にある一部分のものをお渡しになりましたが、これは管財局の局長の命令によつておやりになつたのかどうか。もし命令によつておやりになつたとすればいかなる根拠によつておやりになつたか。つまり恤兵品であるというべきものを、これを交易営団に交付する理由はあり得ないのであります。この点について、当時の財務局長はどういうような条件に基いてこれをおやりになつたかを伺いたい。
  80. 井上義海

    井上証人 財務局長といたしましては、保管いたしております装飾品のリストの中に、交易営団から接収したものが入つておるわけであります。これはリストの中に入つておりますので、そのものを交易営団の清算人に返してやるようにという通牒が本省から参りまして、その実行を財務局長としてはやつたわけであります。
  81. 中野四郎

    中野委員 管財局長ちよつと伺います。これは、窪谷さんとしては、御関係が浅いから、この点についておわかりにならぬかもしれぬ。しかし、この問題は明確にしなければならぬ問題であります。管財局よりの通牒によりますれば、これは旧陸海軍の恤兵品として民間から引継いだものだということになつておるのです。同時に、連合軍よりの覚書の中にも明らかにこれは恤兵品としての取扱いを受けている。恤兵品としてあるからには、当然に国庫に帰属すべきものであつて、単なる交易営団に帰属すべきものではない。にもかかわらず、これを交易営団に交付しようという命令をお出しになつたのは、どういうわけでありましようか。  それから、もう一点伺つておきたいのは、はなはだ私はふしぎに思うことがある。昭和二十六年の五月に接収解除を受けるとともに、第一復員局、第二復員局、あるいは営団、税関等に対して、これに対してあなたの方の覚えがあるかというところの問合せを、あなたの方で出していらつしやる。第一復員局、第二復員局、あるいは税関、建設省方面からは、明らかな答弁が来ておるにもかかわりませず、交易営団からはその後ずつと来ていないわけであります。しかも、はなはだふしぎなことには、発案の日は大体今申し上げましたように昭和二十六年の六月です。ところが、その後一年を経過した昭和二十七年の十二月の十八日になつて営団からの引渡し要求書が出ておるのです。交易営団からは十二月の十八日付で請求書が出ているのに、あなたの方で逆に十二月の十一日に、営団の方から引渡しの書類が出ておるが、どうしたらいいだろうという、いわゆる御相談をなさつておる事実があるのですが、これは主客転倒もはなはだしいものだ。要求書が出て初めてこれを発案していろいろ相談するならわかるけれども、要求書は十二月の十八日に出ているのに、十二月の十一日に、もはや持ちまわりで各局長の判をとつておる事実があるのですが、これはどういうわけなのでしようか。
  82. 窪谷直光

    窪谷証人 二十六年の五月に当時の連合軍から返還をされましたその返還の畜類には、民間から旧陸海軍に献納された恤兵品であつて、旧所有者が判明するものは返すようにということが書いてあつた記憶いたすのであります。ところが、実際にはどうも恤兵品だけでもなさそうだということから、先ほどお話がございました政府の各機関に照会をいたしたのでございます。     〔委員長退席、長谷川(峻)委員長代   理着席〕 その引継ぎを受けましたものの中に、交易営団から接収をされたと確認をされるものがございまして、この分は交易営団に一応返還すべきものであろうかというふうに当時は考えたと思うのであります。これは返還の指令書にそういうふうに書いてあつたということから出たようでありますが、その後、この交易営団から接収をされました品物性格につきましては、いろいろ考え方があるわけでありますが、これはやはり接収をされました貴金属すべての処理の一環として考慮さるべきものであるということから、交易営団返還の請求をいたしまして、先ほど関東財務局長から御報告いたしましたように、すべて返還を完了いたしたのであります。  二十六年の五月から二十七年末、その間相当の期間が経過しておりますにもかかわらず、交易営団の方から何らの意思表示がなかつたということはどういうことかというお尋ねでございますが、この辺の事情につきましては、はなはだ恐縮でございますが、私は事情をつまびらかにいたしませんので、御了承願いたいと思います。
  83. 中野四郎

    中野委員 恤兵品であるということだけは前の阪田管財局長は認めておるのですが、その恤兵品というものは当然国に帰属すべきものなのだ。その国に帰属すべきもの、国庫の所有すべきものを、何がゆえに交易営団という特定の一つのものにこれを無償でやつたかというのです。これが私らにはわからないのです。従つて管財局長は新たに御就任になつたのだからこの内容がわからないとしても、今度のダイヤモンド、あるいは金、銀、白金等の接収解除の物品に対する大蔵省の態度は、まことに不可解きわまると思うのです。たとえて言えば、最初に石田理財局長がこれを担任しておられて、この二十六年五月二日には明らかに石田君が日本銀行に出張して連合軍より受取つておる。にもかかわらず、その後においては、この問題が国会の問題となるや、石田君はただちに管財局にこのすべての事項を移管してしまつた。阪田管財局長ですらよくわからない。いわんや、今度は窪谷君が管財局長におなりになつて、この説明を求められても無理かもしれませんが、恤兵品であるということについては明らかに大蔵省は明言しておる。その恤兵品を、一体いかなる根拠に基いて関東財務局長を通じて個人である交易営団に無償で交付をしたのか、この点がわからない。しかも、先ほど財務局長から伺えば、詳細なリストがあつて一々番号が付してあるというのですが、このリストは焼却して交易営団にもないという。中央物資活用協会においてもしかりであります。なぜないかというと、九月三十日までに報告しなければならないという法律従つて交易営団が現在大蔵省に届けたその内容において、これは領収証なりと言つておりまするが、領収証にあらずして、証明をしてくれという申請、願いでありまして、その申請に対して、米国大使館を通じて本国に聞き合せたところが、その内容数字を明らかにして証明するわけにはならない。——なぜ証明することができないかといえば、接収当時、すなわち昭和二十年の十月十八日午前九時に三井信託に行つて交易営団からこれを接収するときにあたつて、リストを示せと言つたら、リストは一切焼却してしまつてないという言明をしておるのです。従つて、この物品に対する何という証明を出すわけに参らぬから、三井信託の地下室より日本銀行地下室に移管をするという言葉を与えておるのです。従つて、私は考えてみますると、交易営団にさようなリストがあるわけがない。にもかかわらず、交易営団にリストありとしてこれを御交付になつていらつしやるから、これがわからない。  そこで、窪谷さんよりもむしろ井上さんに伺いたいのですが、この品を交易営団にお渡しになるときに、確かに交易営団のものだということを認知せしめてお渡しになつたかどうか、この点が伺いたいのです。
  84. 井上義海

    井上証人 ただいまの御質問の点は、私の方は内容そのものについてはよくわからないのでありまして、本省からのさような通牒、指示がございましたので、その通牒の趣旨にのつとつて実際の実行行為をやつたのであります。本省から指示されましたる先ほどあげましたような品目は、保管を依頼されまして保管をしております品目の中にあるのでありますから、そのものだけは整理番号もちやんと打つてありまして、それを抜き出すことができたので、それを抜き出して交易営団の清算人に現実に渡した、その行為をやつたわけであります。  なお、先ほど中野委員から御質問のありました、保管をいたしております品目のトータル、あるいは数量のトータルは載つておりませんが、評価いたしましたドルのトータルが出ております。これによりますと、一万三千六百五十八ドル九十五セント、こういう評価になつております。
  85. 中野四郎

    中野委員 そうすると、この責任はあげて管財局長にあるわけですね。大蔵省の方から指令があつて、あなたはただ実行行為をしただけで、事実上においてその内容については関知しておらぬというわけですか。そういうふうに了承してよろしゆうございますか。
  86. 井上義海

    井上証人 さようでございます。
  87. 中野四郎

    中野委員 そこで、もう一点疑点が起つて来るのですが、大蔵省の阪田管財局長の答弁によりますと、関東財務局長を立ち合わしめて、実質上これは交易営団のものであるということを認定せしむるために、買上げ当時の鑑定人であつた古川伊三郎をしてこれを鑑定せしめ、間違いがなかつたから、これを交付したと言つておりますが、事実上は鑑定人であつた古川伊三郎君の子供である古川一郎君が鑑定人として出頭をして、これを自分の買い上げたものだという認知をしておるのですが、どうもここに私らの疑わしい点が生れて来る。買い上げた当時の鑑定人にしても、たくさんの数ある中において、これが交易営団がどこそこだかで買つたものだということを認知することはなかなか難儀であると思う。しかるに、全然関係のない、せがれが、その鑑定人として関東財務局に出頭して、そうしてリストの中から高級な宝石であるエメラルドを初め二百七十八箇のものをば交付したということですが、これは一体、当時立ち会われた財務局長は、事実上古川一郎が一つ一つの物品について、このものは確かに交易営団が買い上げたものだ、あるいは恤兵品として受けたものであるということを認知した上にお渡しになつたかどうか、この点が伺いたいのです。
  88. 井上義海

    井上証人 実際現物の照合をいたしますときには、私自身は立ち会つておりません。この保管をしております品目の中には整理番号がちやんとついておりますので、管財局から通牒のありました中にも、ちやんと整理番号がついております。その整理番号でずつと行きますと、大体交易営団に引渡すように指示のありました品目というものは、大体保管しております品目の中から出て来ると思われるのであります。実際立ち会いましたのは、私の方の管財部の第三課の課長補佐日吉が立ち会つておりました。なお、その当時の詳細なことにつきましては、帰りまして、本人からよく聞きまして、また御報告いたしたいと思います。
  89. 中野四郎

    中野委員 もし管財局長がリストに従つてこれをば交付しろと言うものならば、鑑定人の必要はないと思う。何がゆえに鑑定人をそこにわざわざ連れて来なければならぬか。当時買い上げた古川伊三郎のせがれの一郎を連れて来なければならぬ理由はない。私はこれをふしぎに思うのです。あなたの方で保管しておる者と、あるいは、保管を命じた管財局長があなたに対してこれを交付すべしと言うたら、書類に従つてあなた方がやればよろしいものであつて、阪田管財局長の当委員会における説明によると、当時買い上げた人間が一品々々に対して現物間違いなしということを認定した上においてこれを渡すべく鑑定人を必要としたというのです。どうもトリックがあるような気がする。そんな必要はないじやないですか。そんな古川一郎という人を連れて来る必要はないと思う。その点について財務局長は何か感じられたことはないのですか。
  90. 井上義海

    井上証人 御指摘の点につきましては、財務局長としては、その立会いのときの詳細な問題につきましては存じておりませんので、なおよく当時の実情というものは調べまして御報告いたしたいと思います
  91. 中野四郎

    中野委員 その後、あなたの方では、当委員会において私が指摘いたしまして以来、交易営団からとりもどしていらつしやるはずでありますが、とりもどした後においてはどういう処置をしておいでになりますか。そうしていかなる根拠に基いてとりもどしたのですか。
  92. 井上義海

    井上証人 とりもどしましたのは、先ほど委員長の御質問にお答え申しましたように、やはり管財局長からの通牒がございまして、その通牒に基いて、先に引渡しましたそのものを引取りまして、受領証によつて、元の日銀保管場所保管した。これも実行行為をやつたのであります。
  93. 中野四郎

    中野委員 そこで、問題になる言葉があるのですが、まことにふしぎな文書があるのです。「授受証書、昭和二十六年四月十八日付総司令部民間財産監理局から解除され当局で保管中の左記物件を引き継ぎます。」とあつて、別記があつて、「昭和二十八年二月十一日、関東財務局長井上義海」としてあり、次に「上記財産を引き受けます、特殊法人関係閉鎖機関特殊清算人黒瀬勘一」として印が押してありますがその下に括弧をして「(引き受けますと云うことは現物を引き取り所有権が完全に移転したことであります、大蔵事務官山田文孝)」としてありますが、所有権が明らかに向うに移転したものが、いかなる根拠に基いてこれをとりもどしたのですか。了承いたしかねる文があるのですが、これはどういう理由によつてこういう授受の方式をおとりになつたか伺いたい。     〔中野委員書類を証人に示す〕     〔長谷川(峻)委員長代理退席、委員長着席〕
  94. 井上義海

    井上証人 実は、私の方の原議を持つておりますが、原議の授受証書の中にはそういう括弧をしたものはありませんから、なお、今の括弧に書いてあります点は、帰りまして詳細調べまして御報告いたします。
  95. 中野四郎

    中野委員 そこで、管財局長にお伺いいたしますが、この品物は恤兵品であることには間違いないと阪田管財局長に言明しておりますが、窪谷管財局長も阪田管財局長の言明通り恤兵品であることを認めますかどうか。
  96. 窪谷直光

    窪谷証人 当時の交易営団業務内容から見まして、こういうものを交易営団のその他の業務として持つておるということは考えられません。従つて、恤兵品と申しますか、陸海軍に対します献納品の事務を扱つたものというふうに考えてしかるべきだと思います。
  97. 中野四郎

    中野委員 そうしますると、この恤兵品である品物が、昭和二十六年の五月二日に解除を受けて、昨年の大蔵委員会接収解除に基く貴金属等の数量報告するの法律案を提案されるときに、なぜ国会に解除された物件を正直に報告をされなかつたのでありましようか。金、銀、白金ダイヤモンド等の数量報告されておりますが、この宝石をことさらに落した理由はどこに存するのでありましようか。何がゆえにこれをリストの中から抜いておいて国会報告をしたのか、この理由が伺いたい。
  98. 窪谷直光

    窪谷証人 故意にその分を削除したということではなくて、事務上の若干の注意が行き届かなかつたということではないかと思います。
  99. 中野四郎

    中野委員 そんなばかな話はないでしよう。国会は国権の最高機関です。国会報告するのは、進駐軍に報告すると同等の報告書を出さなければならぬ。連合軍には明らかに報告をしながら、国会報告するのには落していいというりくつはない。しかもその数は三千八百六十五個。最初解除を受けたときには一万数千個あつたはずであります。全国で恤兵品として取扱つた数量は、当委員会の調べによれば四万個弱であります。現在あなたの方の関東財務局において、先ほどドルの点は御指摘になりましたけれども、数量は三千八百六十五個。これは明らかに阪田君がこの前言明しておる数字であります。そうしますると、この品物国会報告せぬというばかなことはないじやありませんか。落しておつたで済むべき性質のものじやない。連合軍から接収を解除された品物に対して、明らかにこれを国会報告してこそ、大蔵省あるいは行政官庁としての責任が果せるものであるにもかかわらず、かんじんなこういう品物をあなたの方で抜いておいて、国会には報告せず、しかも恤兵品だと認められておるもの、国家に帰属すべきものを、何らの理由なく関東財務局長を通じて交易営団という特定のものに無償で交付するというようなことは、国家の財産をあなたたちがかつてに左右したと言われても、私は一向過言でないと思うのです。財政法にも抵触しますれば、あるいは国家公務員法にも抵触いたしましよう。場合によれば刑法にも抵触するような重大な問題であります。私は、この点がまず窪谷管財局長から明確に聞いておきたい一点であります。どういうわけで国会報告しなかつたか。何の理由があつて国会報告しなかつたか。あなたが保安庁の経理局長をしていらつしやつたのでは、この点についてはおわかりにならないかもしれない。     〔吉武委員長退席、塚原委員長代理着席〕 従つて、私は、前提として申し上げておく。あなたにしつかりした答弁を求めることは難事であるかもしれませんけれども、こういう大事な問題を放任しておくことは国会としてはでき得ないわけでありますから、当時の状況をつまびらかにしてくれということを阪田前管財局長にも言うておいた。だから、窪谷管財局長はどういうふうに考えておられるか、この点を伺いたいと思います。
  100. 窪谷直光

    窪谷証人 国会に対しまして報告漏れになつておりましたことにつきまして、まことに申訳ないのでございますが、あるいは、講和条約が発効する前に解除になりましたので、講和条約発効により解除されたものというふうに狭義に解釈いたしたのではないかというふうにも想像されるのでございますが、大蔵省といたしましては、これを国会に対して故意に御報告を申し上げないというふうな考え方は毛頭持つておらないことは、当時私はこの事務には直接にあずかつておりませんけれども、私からもはつきり申し上げられるのでございます。  恤兵品として現在政府保管をしております数量は、これは、先ほど御報告をいたしましたものと同様に、あと文書で御報告を申し上げることにいたしておりますが、個数にいたしまして、全体では、金、銀、白金の製品が五百五十個、それから宝石類が七万八千九百九十二個ございます。
  101. 中野四郎

    中野委員 ちよつと、それは違うのでしよう。この前窪谷さんの大蔵委員会における説明を聞いて、私はいささか唖然としたのですが、今度の接収解除なつ物件の中には二色も三色もあるわけです。金、銀、白金ダイヤモンド、宝石第が解除になると同時に、買いもどし条件付で買い上げておつた金杯あるいは小判、金貨銀貨ないしは骨董美術品等のものがあるわけです。これは、もはやこれは一年半以上かかつて調べているのであるから、数量はよくわかつている。ただ、私のお尋ねしているのは宝石のことです。その他の貴石とありながら、貴石を全然国会報告しない。しかもその貴石の性質はあくまでも恤兵品である。恤兵品であるがゆえに報告をしなかつたという詭弁をもし弄するなら、何がゆえに国家に帰属する貴石を単なる交易営団に無償で交付したかと言つているのです。貴石の数は、大体ここに書類をもつて阪田前管財局長から報告が出ております。私の方ではどうしてもこれがわからない。  そこで、もう一点伺いますが、たとえて言えば、こういうような場合に、あなたの方が国会報告を怠つた点は国会軽視で済むかもしれませんが、たとえば恤兵品であるものを管財局長の命令によつて関東財務局長が故意にこれを個人にやつたとあるなれば、犯意があつたかどうかということはこれからの問題ですが、場合によれば刑法二百四十七条の罪を構成するわけです。場合によれば財政法九条にも違反するわけです。当時の担当官は国家公務員法八十二条の懲戒の原因にもなるわけです。私らは、このダイヤあるいは白金、金の問題を調べつつ、その過程において二つの告発事件を考えているのであります。しかしながら、私はただちにここで告発を云々と考えているものではありませんけれども、少くとも、まず根本原因であるところの、これが恤兵品であるかどうか、恤兵品であるものを何がゆえに無償で交付したかという点が重大な点になるわけです。  それから、先ほどお話を伺つてつて、どうもこれに関連して交易営団大蔵省が少し臭いじやないかという感じを与える点がある。たとえば、昭和二十七年十二月十一日に、営団の方から引渡し要求が出ているからというて大蔵省の方で持ちまわりで判を押しておられる書類がここにあります。しかるに、交易営団の方は同年の十二月十八日付でこれを要求しているわけです。どういうわけでしよう。これは主客転倒しているのです。そうしてみると、交易営団大蔵省の一部官僚との間に何か密接な関係があつて——一年間も報告を怠つてつたものが、突如としてこの十二月十八日付で要求書を出すということにちよつと疑惑を感ずる。特に黒瀬清算人をここに証人として喚問して聞きましたときに、大蔵省の一部官僚と銀座裏の料理屋において数回にわたつて飲食をしている事実を明らかにしておるのでありますが、こういうような点を想像いたしますと、何かこの裏にトリックがあるように感じられるのです。どうもこれが私にはわからないのだが、大蔵省ではこういうようなことをおやりになるのでしようか。われわれが書類を出したつて、それの許可を願うのには、相当な判がいつて、時日がかかると私は思つておるのに、逆に、十二月十八日に要求書を出したときに、十二月十一日にもはや持ちまわりで判をおとりになつていらつしやる。こういう例があるのですか。これはどういうわけでしようか。
  102. 窪谷直光

    窪谷証人 私自身事情をつまびらかにいたしませんが、大蔵省として、返すべきものだというように決定をいたしまして、正式の手続の前にあるいは事務上の連絡をしたのではないか、従いまして、決裁の時が早くなつて、交易営団からの請求書の方がおそくなつたというふうな状況があるのではないかというふうに想像をいたすのでございます。
  103. 中野四郎

    中野委員 ちよつとわからぬのですがね。私のお尋ねしておるのは、十二月十八日に出したものをどうして十二月十一日に判をおとりになつたか。こういう例はあるのですか。さかさに、民意をいち早く御賢察になつて、十八日に書類を出したものが十一日にもはや判をとつてしまつて、各局長の判から課長の判までとつてしまつて、さあおいでなさいといつて、ただちに関東財務局長を通じてこの品物をやつてしまうというようなやり方が、今までに大蔵省にあるのですか。あるとすれば奇特の至りです。こういうふうに、何でも、われわれが届けを出さぬ前にあなた方が判をとつてちやんとしておいてくださるならば、ありがたい仕合せですか、こういう例があるのですか。私は、常識から考えて、こんなばかなことはないと思う。こういうようなばかげたことをやる裏面には、大蔵省の一部官僚が交易営団の一部の者と密接な関係があつて会議の上に立つてこういう結果を生じたのではないかという疑問を持つのです。当時、私は、石田理財局長、阪田管財局長にも、その責任者を明らかにして、名前を出してここに呼んで、刑法に規定するところによつて告発しようかとまで言うたのですが、私は、この日にちを指摘して伺うのはきようが初めてなんです。管財局の方ではこういう例があるかないかと伺つておるのですが、どうでしようか。
  104. 窪谷直光

    窪谷証人 仕事のやり方といたしましては、正式の書類が出て参りますまでには、事務上のいろいろな連絡をいたすことはございます。しかしながら、正式の決定は、それぞれ正式の申請書が出てから処理をされるのが通常の仕事のやり方でございます。この日付がこういうふうになつております経緯等につきましては、私はただいま承知しておりませんので、調査をいたしまして御報告申し上げます。
  105. 中野四郎

    中野委員 ですから、その折衡があつて公式の書類が出て来ることも了といたしますよ。しかし、昭和二十六年五月二日に解除になつて、そうして大蔵省はただちに建設省なり——建設省のは後でありますが、第一復員局長なり、第二復員局長なり、あらゆる方面に向つて、特に交易営団に向つても、これに対して答弁を求めておられる。それに対しては、第一復員局、第二復員局、建設省は、明らかに答えをよこしておるのです。交易営団はそのままずつと放任してあるのです。放任してあるのにもかかわらず、一年後に突如こういうような行為をするには、何か大蔵省交易営団の間に裏面的に会議をして、今こうすればこうなるから、お前の方でこういう届を出せ、そうすればお前の方にまわしてやるからというような話合いの上でやられたのではないかということを、われわれが想像するにかたくないから伺うのですが、こういうことがもしあつたとすれば、はなはだ容易ならぬ問題でありますから、当委員会としても非常な決意をしなければならぬ。従つて管財局長にこの際要求をしておきますが、当時のいきさつを文書をもつてこの委員会に出していただきたい。そうして、その上に立つて関係者を呼んで伺うことにいたしたいと考えます。  それから、ついでに伺いますが、先ほどの委員長の尋問中であなたはお答えになつていらつしやいますが、白金は、供出を命ずる買上要綱をつくつて強制にひとしい供出を命じたものでありますから、これは、いまさらだれのもの彼のものと論ずる余地はないと思うのです。しかし、論ずる余地があるならば、これについても御説明を願いたい。そこで、金と銀の問題ですが、一体金は当時日本政府並びに日本銀行手持ちが百八トンあつたと言つておるのです。そうして接収解除を受けたものは百二トン余、すなわち二万七千貫余でありますから、これは当然日本政府日本銀行に割りもとしてもらうものであつて、他から要求さるべき性質のものでないということを、この九月三十日までに報告しなければならないという法律案を提案したときに石田理財局長は説明しておるのであります。ところが、日本政府手持ち日本銀行手持ちしておりましたものの接収当時の状況についてはつまびらにしておらぬのであります。すなわち、接収解除後において、その接収解除を受けた金の中から政府は何らかの操作をしておるのではなかろうかという考えを私らは持つておるわけでありますが、事実接収解除をされたままの現品が現在日本銀行に残つておるかどうか、造幣局に残つておるかどうか、この点を伺いたい。
  106. 窪谷直光

    窪谷証人 解除になりました金が百二トンございますことは、先ほどおつしやいました通りでありますが、この百二トンの中で、例の国際通貨基金への出資といたしまして、十五トン五百七十七キロ九十三グラム九というものが出ておるわけであります。その後、そういうつもりでありましたところ、白金を米軍がアメリカに持つて参りました。そのかわり、日本として在米の金塊を持つてつたのであります。その数量が六トン六百キロ八百七十二グラム三というものがございました。これを国際通貨基金の出資に充ててよろしいということに相なりましたので、初め十五トン強を現送するはずでありましたのを、六トン六だけは現送いたさないで済んだということでございます。講和条約発効のときに返還をされましたあとの異動はこれだけでございます。
  107. 中野四郎

    中野委員 現在はどれだけあるのですか。
  108. 窪谷直光

    窪谷証人 現在は、金塊といたしまして七十六トン五百六キロ六百六十七グラム六、それから金条でございますが、これが五トン七十三キロ五十八グラム四、さらに金貨でございますが、これは枚数にいたしまして百七十八万二千三百七個でございます。それを重量で言いますと十二トン五百七十六キロ二百九十グラム四〇ということでございます。なお、この金貨の中で、講和条約発行のときに接収解除になりましたのは、その中で百七十二万三千五百九十九個、重量にいたしまして十二トン二百四十三キロ二十四グラム五というのであります。先般国会で御報告申し上げました講和条約発効により接収解除なつたという報告の中に後者の数字が載つておるわけであります。現在保管をいたしておりますのは、講和条約発効前に解除になりましたものが、その差額だけございまして、現在といたしましては、保管の総量といたしましてはそういうことに相なつておるのであります。講和条約が発行をいたしましてあとに、金貨につきまして政府において処分をいたしたものは一つもないのでございます。
  109. 中野四郎

    中野委員 そこで伺いたいのですが、金がどうして日本政府日本銀行のものだという認定ができるのでしようか。接収解除なつたものの所有権がどこにあるかということが国会で論議されておる。ただ端的に日本銀行と日本政府がその百二トンの操作は自由であるという見解を持つのは違法であると思います。また現在接収解除なつた物品に対しては、その所有権が明確になつていない今日、そういう操作をするのがはたして適当であるかどうかという点を伺いたい。
  110. 窪谷直光

    窪谷証人 国際通貨基金への出資の分でありますが、これは日本銀行の台帳にそれぞれ接収されました金塊のナンバーが打つてございます。それと現実の接収されました金塊のナンバーとを照合をいたしまして、日本銀行のものに間違いないということから、それを政府日本銀行から買い上げて現送をいたすということにいたした次第であります。
  111. 中野四郎

    中野委員 その認定は政府が自由にやつたのでありましようが、そこで伺いたいのですが、金貨はまだ日本銀行の帳簿を調べて照合しなければならないから後にいたしますが、白金は当然強制供出を命じたものでありますから、これは国庫に帰属すべき性格のものだと思いますがどうかということについて御答弁願いたい。この点と、それから銀なんです。銀が現在二千三百大十四トンあるのですが、この銀の入手経路はどういうふうに調査の結果なつておりますか。先ほどあなたは、九月三十日付のこの報告をしなければならないという法律に対して、その後の分も扱つておるとおつしやいますが、この法律の条文、すなわち法律二百九十八号によれば、少くとも九月三十日までに報告をしなければならないとなつておるのですから、その後のものが有効であるかどうかということは疑問です。大蔵省の省令によつて、省令で定められるところによるとありますから、省令によつて何か特別の定め方があるならばいざ知らず、法文の条項からすれば、九月三十日までに大蔵大臣報告しなければならないとあるのですから、それまであつた百五十件余のものに対してまず一応区切りをつけて、しかるのちにまた議論をする余地があると思いますから、九月三十日までに報告のあつたもの、これに対して、銀の入手経路が明らかになつて来ておると思いますが、この六十四万貫弱の銀の入手経路はどういうふうな形になつて入つて、今後どういうふうにしなければならないということを今日ここで伺わなければなりませんから、まず入手経路について伺いたいと思います。
  112. 窪谷直光

    窪谷証人 入手経路につきましての資料を、はなはだ恐縮でございますが今持つて来ておりませんので、記憶で申し上げましてもいかがかと思いますので、少し調査をさせていただきたいと思います。
  113. 中野四郎

    中野委員 銀の入手経路は、大体あなたに伺わなくてもわかつておるのです。この中には徴発をされたものが相当あるのです。特にこの銀の数量の中には、隠匿物資として摘発されたものも相当あるのです。従つて、この銀の入手経路から見て、九月三十日までで、私のものであると個人の所有権がはつきりと認定されるものはどれほどあつたか。六十四万貫弱の中に、二千三百六十四トンの中に明らかに所有権を認めざるを得ないというものは、およそパーセントにしてどれくらいあつたかということを伺いたい。これは記憶がありますかどうか。そこに係の方がおられるならば書類を持つておられると思うので、すぐわかるはずです。
  114. 塚原俊郎

    塚原委員長代理 御相談なさつてけつこうです。
  115. 中野四郎

    中野委員 数字の問題ですから、どうぞ御遠慮なく御相談ください。
  116. 窪谷直光

    窪谷証人 明らかにたれそれのものであるというふうにいたしますために、さらに調査をいたさなければなりません。的確なことは申し上げることができないような状況でございますが、ごく大ざつぱな、これはほんとうに腰だめ的な目安でございますが、それでありますと、接収報告の中で銀の塊銀というところにそれぞれのナンバーが書いてあります。銀塊にもそれぞれナンバーがあるわけでありますので、その両者を照合いたしましてできるであろうというふうな腰だめ的なものでありますが、これは今の見込みでは、約四割、半分までも行わぬのではなかろうかというふうに考えられておりますけれども、これはさらに具体的に品物との照合をいたさなければならないのでありまして、この作業はまだそこまで進捗をいたしておりません。御報告を申し上げることができないということをはなはだ遺憾に存じます。
  117. 中野四郎

    中野委員 あなたは日本銀行地下室の金塊、銀塊をごらんになつたことがありますか。
  118. 窪谷直光

    窪谷証人 私が就任いたしましてから早々、この問題は相当重要な問題でありますので、まず第一に保管状況がどうなつておるかということを現実に見る必要を感じましたので、九月の二十五日でございましたか、それぞれ関係の者、日本銀行保管責任者が立会いの上で、保管状況を視察をいたしました。その結果、この保管状況では満足すべきものであるというふうに私は考えました。こういう保管の方法をとつておりますれば間違いは起らないという確信を今持つております。
  119. 中野四郎

    中野委員 私の申し上げておるのは、保管状況ではなく、銀をごらんになつたというならわかるのですが、銀に打つてあるナンバーは造幣廠において打つたナンバーです。当時造幣廠に送つた経路は、接収をされた後にみんなこれを大阪の造幣廠に送つて、ここでインゴツトにした。また摘発されたのもここでインゴツトにしたわけです。これは当時の接収官の証明によつても明らかであります。従つて、これは旧ナンバーにあらずして造幣廠のつけたナンバーであります。このナンバーだけをたよりにしておつたのでは、個人の所有権というものは明らかにならない。従つて、今日ではもはや混淆してしまつておるから、これをどういうふうに処分するかということは新しい立法をまつ以外にないという結論が生れて来るのです。私が伺おうとするのは、今あなたは約四割の所有権があるらしいということをおつしやいましたが、それは事実であるかどうかということです。それは四〇%でも三五%でもけつこうですが、それだけの証明書をもつて立証すべきものがあるのですか、大蔵省のかつてな認定なんですか。この法律には明らかに証拠物件を持つて来なければならないとなつておる。物的証拠は、いわゆる証明書をつけて、これだけは必ず私のものだと主張できるものが四〇%なり三五%なりあるというのですかどうですか、聞いておきたい。
  120. 窪谷直光

    窪谷証人 これは、先ほど申し上げましたように、ほんとうの腰だめ的なものでございまして、これの所有権が証拠書類をもつて立証し得るものであるかいなかということは、目下のところまだわからないのでございます。今あります銀塊にはそれぞれナンバーが打つてありますが、三、四割と申しますか、四割程度確認ができようかと申しましたのは、接収をされました当時すでにインゴツトにナンバーがあつた分であります。その後造幣局で鋳直しをいたしましてナンバーをつけたというものにつきましては、仰せのごとく、まつたくこれは混淆いたしておりまして、どれがだれの所有であるかということの確認は不可能であると思います。なお、四割と申し上げましたのは、ほんとうの腰だめでございまして、まだこれは個人のものであるという断定も私どもはいたしておりません。そのような状況でございまして、あるいは数字を申し上げましたのが出過ぎかとも思うのでございます。
  121. 中野四郎

    中野委員 短期の国会なのですから、委員会のすべての案件が重複しておつて、お互い委員の方々もお忙しいと思いまするから、いろいろお聞きしたい点があるが、あまり私一人で伺つておることはどうかと思いまするので、私はあと三点に限つてやめます。  なお、関東財務局長けつこうなのですが、管財局長には後にあらためて証人に来ていただかなければならぬと思うので、そのときには、ひとつ勉強して、はつきりとした数字を持つて来てもらいたいと思う。  そこで、第一点として合金の問題について伺いたい。合金は二十六トンとあなたの方では出しておるのですが、その後国会の方に修正を求めて来ておられまするのによりますと、これは銀がまざつてつたということであります。これは、銀と振りかえるのか、どういうのかわかりませんが、合金二十六トン。今日金は建値で一匁二千二百円ですが、大体七千貫近くあるので、一匁千円ずつに見ても七十億円がとこあるものなのですが、この合金についてはどういうふうに考えておられるか。銀に振りかえた経緯を聞かせてもらいたい。  それから、次に伺いたいのは、売りもどし条件付品物をなぜ早く返してやらないかということです。戦争中必勝態度確立のため、祖先伝来の骨董美術品に至るまでことごとくを国家のために売り払つたのです。しかし、この品物は、戦争に使わないときは当然売りもどしをするという条件で証書が一本入つておる。そのものは、住所も名前も、当時の金額も、匁数も明らかになつておるのでありまするから、もし大蔵省がこういう点に親切であるなれば、これらの人々にすみやかに返してやるのがほんうです。あなたの方で、先ほど、金の問題について、日本銀行と立会いの上で、ナンバーが合致しておつたからこれを使つたとおつしやるが、その観点から申しますれば、明らかに個人のものであると認められますから、日本銀行にこれを返してやる、日本銀行は、国民との約束に従つて、戦争中の契約に基いてこれを売りもとしてやつてこそ国民に親切であると思う。この売りもどし条件付品物をどういうふうに処分するつもりであるか、これが第二点。  第三点として伺いたいのは、あなたは、先般大蔵委員会で、どうも銀の数量が相当多いということと、ダイヤモンド等について、外国に売る以外には道がないという見解を明らかにされておる。私は、これはははなはだもつて不届千万であると思うのです。少くとも世界的貴石である金剛石が日本の国内にとめ置かれることは国民ひとしく希望するところです。これを外国へ持つて行つて処分しなければ処分する方法がないとおつしやつたが、これを処分するには、当委員会の決定による処理委員会というものをつくり、十五回であろうと、二十回であろうと、三十回であろうと、少数にわけてこれを売却し、国内にこういう金剛石を保有しておくということは、国民性から言つても、国民の感情から言つても、当然なことであると思うが、窪谷管財局長は、就任早々であるにかかわらず、大胆に、外国へ全部持つて行つて売るのが妥当であると発言をしている。銀においても、何がゆえに外国へ持つて行つて売らなければならぬか。私は、銀と合金は、今日の段階から言えば、できればこの国会において所有権を明らかにして、そうして大体二百九十億に余るこのものをば、国家緊急欠くべからざるところの災害救助の対策費に充てることが正しいものであると考えたから、水害対策委員会において大蔵大臣にこのことの言明を求めております。小笠原君が明らかに、この国会において所有権をばきめていただければこれを災害対策の費用としてまわす考え方を持つているという言明をしておられることは、あなた方もおいでになつて、御承知の通りである。してみれば、私は、役人がもう少し心掛けを改めて、国家国民本位に考えて、この金の問題とかダイヤ等は、それぞれ命ずるところに従つて処理をし、銀とか合金というものはすみやかに処分して、適当なる価格によつてこれを払い下げる、——一ぺんにできなければ、数回にわたつてこれをする。数十回にわたつてけつこうです。そうしてその金は今日のような緊急対策費としてまわすことが妥当ではないでしようか。ただ財源がないと言つてつている時期ではない。こういう政府の隠し財産と言つてもよいような金銀をば、いたずらに日本銀行地下室に死蔵さしておく必要はない。こういうものを国家緊急の場合に役に立てることこそ、私は政治の妙であると考える。ところが、あなたは、外国に売らなければならないという見解を持つている。これが私にはわかりません。  私は三点に限定をして伺いました。合金を銀に還元しなければならぬ理由がどこにあるかという点、売りもどし条件付品物を一体大蔵省はどういうふうにするつもりであるかという点、外国に売らなくても他に方法はたくさんあると思うが、あくまでも管財局長は外国に売るという大蔵委員会における言明を主張なさるかどうか、この三点を伺いたいと思います。
  122. 窪谷直光

    窪谷証人 銀塊と合金塊との間違いの問題でございますが、これは当時の司令部から日本政府引継ぎました書類の集計の総表でございますが、その中に間違つて金塊として集計がされておつたのでございます。それをそのまま集計が正しいものとして前に国会で御報告申し上げたのでございますが、その後調査をいたしますために中味の集計をいたしたのでございます。ところが、その内訳から、こちらで集計をいたしましたものと司令部から引継ぎました集計表との間に差が出て参つたのであります。これはおかしいというので、現物について調べたのであります。その結果、やはりこれは向うから引継いだ内訳書は正しい。但し、集計に間違いがあつたということが判明をいたしましたために、整理をいたしたのでございまして、その整理をいたしましたのを後ほど国会に御報告申し上げた次第でございます。  それから、日本銀行が売りもどし条件付で買い取りました金製品等をすみやかに日本銀行返還をして、日本銀行はその条件従つて元所有者に売りもどすべきではないかという御意見、まことにごもつともとも存ずるのでございますが、これはやはり、接収貴金属全般の処理の一環として、御立法を願つた上で、明確にして処理をする方が適当であろうということから、まだ日本銀行にはこれを返還しないで保管をいたしておるような状況でございます。  なお、先般私が、大蔵委員会におきまして、接収貴金属の前の国会からあと状況はどうかという御質問がございまして、そのときに、この処分がどうなるかというふうな一応の見通し的なものを申し上げたのでございます。それが今お話に出ましたことであろうかと存じますが、私ども、できますならば、国内で処分をすることが適当であろうと思います。ただ、国内の市場が非常に狭いために、これを早急に処理をして財源をあげるということのためには、外国に持つて行く以外にはなかろうというふうなことを申し上げたのであります。国内に売るのがいかぬということではないのであります。国内で処分ができますれば、まさにけつこうなことではございますが、これは相当の時間を要するというふうに考えられますので、かりに早急に処分をするという前提に立てばこういうことだということを申し上げたのであります。この前提そのものが、いろいろ考え方があるところでございまして、あるいは私の発言がやや行き過ぎであつたかというふうにも考えますので、御了承を賜わりたいと思います。
  123. 中野四郎

    中野委員 それは、今ここで議論をする私の時間がないが、ほんとうから言えば、あなたの言うことは間違いがあるのです。石田理財局長が、昭和二十六年五月二日以降昭和二十七年四月二十八日まで調査調査をして国会報告したものは間違いありませんと言つている。それは当時の速記録をお読みになつてごらんなさい。本来大蔵委員会に提案したのは、ただ端的に、接収当時関係をしなかつたから、その数量等を報告せしめるものであつて、その調査においては実物と一々照合しておりますということを明らかに言つておる。その照合しておるものにもかかわらず、今日になつ合金が銀にばけたり、数量が間違つてつたりすることは了承できませんけれども、これは後日の問題に譲ります。  そこで一点だけ伺いたいのであります。あなたは先ほど妙なことをおつしやつた。この法律の解釈ですが、九月三十日までに報告をしなければならないというこの解釈に対して、九月三十日以降に報告のあつた分までも、法律的に有効なりとしてあなたの方はお取上げになるのですか、どうなんですか。これが私にはわからないのですが、それでは九月三十日と限定する必要はない。何か省令で別に定めてあるのですか。法律ではそういうふうになつておるけれども、省令においては九月三十日後でも十分有効だから出せというようなことでもあるのですか。ちよつと私には解しかねるのです。国会であれほど論議されてきめられたあの法律案が、法律なつて公布されておるにもかかわらず、いわゆる九月三十日後に出て来たものまでも今日計数のうちに入れるというのはどういうわけなんですか。これをひとつ伺つておきたい。それで私は質問を一応打切ります。
  124. 窪谷直光

    窪谷証人 接収報告には九月三十日ということになつておるのであります。この接収報告性格でございますが、これによりまして、接収された者の権利と申しますか、そういうものには何らの影響のない法律でございまして、この処理につきまして国会で御立法を願いまして、かりに返すということに相なりますときには、そのときにあらためて、返せという請求を出せ、この請求の期限はいついつまでだということがやはり明示されると思います。そういうふうな期限でございますれば、その期限までに提出をしなかつた者は請求権が消滅するというふうに考えるのが当然だろうと思いますが、先般の法律におきましては、ただ接収の事実を調査をするということでございまして、接収された者の権利義務には何らの影響がないということに相なつておりますので、接収をされたという事実の全貌を明らかにいたしますためには、期限後に来ました報告もやはり入れて全貌を考えておく必要があろうというふうなことから、それもやはり集計の中に入れておるというふうなことでございます。
  125. 中野四郎

    中野委員 ちよつと、一ぺんあなた当時の速記録を出して、その速記録とあなたの言葉とがマッチしておるかどうかということをお確かめの上、この次説明していただきたい。九月三十日までに大蔵大臣報告しなければならないという法律は九月三十日以後において有効であるかどうかということを質問しておるのです。ところが、九月三十日までに報告しない者についてはわれわれの方では関与しないということを言つておりながら、今あなたの解釈を聞くと、今日今から出しても一向支障ないということになるのですが、それで大蔵省の思想統一はできておるのでしようか。あるいは、この法案を提案した当時においては、便宜上、国会をうまく通すために石田理財局長はそういう言葉を使つてつたのか。今あなたのお話を聞くと、それでは何も九月三十日と限定する必要はないじやありませんか。一応九月三十日までとはきめたけれども、そのことによつて請求権が消滅するものじやない、従つてこの期限後においても出て来たものを当然取上げるのはあたりまえだと言うならば、なぜそのようなことを法律の条文の中にうたつておかなかつたのですか。私らは、そういうような了解事項を与えていなかつたはずなんですが、大蔵省の方では、そういう思想統一の上に立つての御答弁でしようか。今になつてかわつて来たのですか。あるいは、提案当時においても、九月三十日以後においても報告されるものは当然権利ありと認めて取上げるということを頭の中に入れて提案されたかどうか。今後の法案審議の過程においても、おそらくよほど大蔵省の言葉というものを考えなければならぬと思うのですが、この点はどうなんですか。
  126. 窪谷直光

    窪谷証人 当時の速記録を、私ももう一ぺん見直してみたいと思います。私の考えといたしましては、九月三十日という期限を法律で切りましたのは、期限なしでは、いつになつたら報告が出て参るか、けじめがつかないのでございます。どうしても、その時までに報告を求めませんければ全貌が明らかにならないので、期限を切るのは当然のことだと思います。その期限の持つ法律効果の点でございますが、これは、その期限内にこの請求をしたから返還の請求権があるとか、あるいはまた、期限に遅れたから請求権がないとかいうふうな問題にはかかわりのない法律であつて、ただ接収という事実の報告だけであつたというふうに了解をいたしておりますので、権利の問題になりますと、この次国会で御立法をいただきますときに、もう一ぺん、今度はその正式の返還の請求でございましようと思いますが、それには期限を明確に書いていただきまして、その期限に到達しなかつたものは請求権がなくなるということを明瞭に御立法いただく必要があろうというふうに考えております。
  127. 中野四郎

    中野委員 私は、きようあるいはまた明日出してもいい方に賛成なんです。従つて、あなたの今のお言葉の通りとすれば、これはたいへんわれわれの了とするところなんです。しかし、問題は、一体このような法律をお出しになつた当時の観点とは大分私は違うように考えましたから、伺つたのでありまするが、この点は今後のあれにまちましよう。そして一ぺんこの委員会報告をしておいてもらいたい点があるのです。九月三十日までに一体どれだけ報告が出たかということ、それから九月三十日後にどれだけの報告が出たかということ、二つに区切つて出していただきたいと思うのです。  それで、特にこの際注意を促しておきたいことは、先ごろ来、英文の書類をもつて交易営団自分のものと立証すべき領収証であると称して、関東財務局を通じて私の方へお出しになつた書類があります。あれはたしか事務局を通じたと思いますが、あるいは管財局から直接お出しになつたかもしれませんが、それを全部翻訳してみましたところが、あなたの方で領収証と言うておりますが、これは領収証にあらず、立証してもらいたいという申請書だ。こういうようなことが国会に大きな誤解を与えるものなんですから、あなたの方では実際上に翻訳してみて、これが領収証であるということの間違いのないものが九月三十日までにどれだけあつたかということを明らかにし、九月三十日後においてはこれだけのものがあつということをば、書類で報告していただきたいと思うのであります。  私は、伺いたい点は多々ありまするけれども、自分一人で伺うことはどうかと思いまするので、この程度にとどめておきます。
  128. 窪谷直光

    窪谷証人 今御要求のございます資料を作成いたしたいと思いますが、ただ、その作成にあたりまして、御意見も伺わせていただきたいと思う点がございますが、それは、冒頭にも申し上げましたように、同一の物件につきまして、所有者からと被接収者からと二つ出ておると認められるものがございます。これがはたしてそのものであるかどうかということは、さらに調査をしなければ断定はできないのでございますが、そういうものがあるものでございますから、あるいは出て来ましたそのままの生の数字を御報告申し上げました方がよろしゆうございましようか。それとも、その程度のものは整理した方がよろしゆうございましようか。
  129. 中野四郎

    中野委員 二通りでもいいじやないですか。生のままが一つと、もう一つは、立証すべきものがなくてはなりません。この法律によれば、罰則までついていて、うそをついてはいけないと書いてあるのですから、従つて、それを立証すべき領収証があるはずなんです。ところが、今忠告申し上げたのは、この前、これだけの領収証があると称して、十五万カラツトの交易営団の領収証を国会に出して来られた。ところが、あれは領収証じやない。あれは全部連合軍に向つてこれを認めてもらいたいという申請書です。横文字が幾ら不得手だからといつて大蔵省が申請書を領収証と称して国会に出して来るに至つては言語道断であると言わざるを得ないから、私は大蔵省に忠告をするのです。だから、完全な領収証がついておるものがどれだけ、生ではどれだけという二通り出していただければけつこうだと思つておるのであります。
  130. 窪谷直光

    窪谷証人 交易営団の申請書を領収証として間違つて提出したことはあつたようでございますが、はなはだ申訳ない次第であります。私自身もその書類を原文で見ました。これはまさに仰せの通り領収証ではございません。そういう間違いのないように注意いたしたいと思います。そういうようにして、領収証のあるもの、ないものというふうに区分をいたしますと、やや時間を要すると思いますが、この点御了承をいただきたいと思います。     〔塚原委員長代理退席、委員長着席〕
  131. 吉武恵市

    吉武委員長 他に御発言はございませんか。——御発言がございませんければ、窪谷井上証人に対する尋問は、本日はこれにて終了いたします。証人には御苦労さまでございました。暫時休憩いたします。     午後一時十二分休憩      ————◇—————     〔休憩後は開会に至らなかつた