○
穗積委員 そういたしますと非常に重要なことがあるのですが、一昨日いただきましたこの
議定書の十一項をごらんいただきたいと思います。それから委員には御配付になりませんでしたが、
日米行政協定改訂に伴います
議事録の十一項でございます。これによりますと――実は
政府もこれを早く通してもらいたいというので軽く取扱い、同時にこれをきめることが、
日本の国民のために有利になるのだというような御
説明でございますが、実は重大な意味を私はこの
二つの関連した条項の中に発見せざるを得ないのでございます。つまりこの
国連との
議定書の十一項に「
日本国政府とアメリカ合衆国
政府との間の行政協定第十七条の
規定」の
あとに「この条項の相当
規定に同様の
改正を行うものとする。」というふうに書いてある。そうして
日米行政協定十七条改訂の
議事録によりますと、この協定の第二十四条の
規定が適用されておる。すなわち敵対行為が行われた場合には、この協定の
裁判権の問題は御破算になるわけであります。そうするとこれがひつかかりまして、
国連軍にもことごとくこれが及ぶわけでございます。そういうふうに解釈されるわけであります。そこで
裁判権の問題だけを切り離して、しかもその内容たるや
日本に有利なものであるから、基本的な
国連軍の位置を
決定する
条約とは切り離して事前にこれを審議し、了承しろということでございますが、そうなりますと実はそれだけではないのであ
つて、行政協定全部を
国連軍に有利な点については適用することになる。すなわち行政協定におきまするアメリカ軍取扱いと同等の
地位を与えることになりまして、
国連軍との間におきましても、ある部分につきましては、アメリカとの間における行政協定と同様なものを
締結することを意味することになる。しかもこの間からの御
説明によりますと、
裁判権をNATO方式に切りかえるならば、財政上の諸点についてはこちらも譲歩していいというような御意向も示されまして、一昨日でありましたか、本
会議におきまする岡崎外務大臣の御答弁も、そういうふうにしたいような、やお
ちようであるか偶然であるか知りませんが、改進党の
質問に対してそういう答えをなさ
つておられるのであります。そうしますと、この
裁判権に関する一片の
議定書というものは、
裁判権の問題だけを処理すべき
国際協定ではございません。
国連軍全体の
地位を処理するために、こちらがある意味の政治的のオブリゲーシヨンを持
つておる協定となるわけでございます。そうでありますならば、われわれとしてはそういう重要なものであるならこれだけ切り離さないで、そして親法――母法といいますか、親の
条約が当然ここに提案されなければならぬのであります。そういうふうにわれわれは理解する。それからもう
一つ重要なことは、アメリカとの行政協定十七条の改訂、これは
政府の解釈によりますと、国会の
承認を必要としないものだ、
政府間の行政事務だというふうに解釈しておられます。しかしながら先ほど来申しましたように、この
議定書はアメリカとの行政協定の内容と、あくまで政治的または法律的に、はつきり密接不可分の
関係にございます。そうでありますならば、この
条約について国会の審議を求められる場合におきましては、当然アメリカとの行政協定改訂の内容が、もつとはつきり
説明さるべきだと思うのです。その点において、私はこの審議の手続について大きな疑問を持
つておるのでございます。従
つてそういう観点から、結論を申し上げますと、第一点は――第一点も大きく申しますれば
条約局長は、
条約の中で事後
承認を求める取扱いにして来た例はいくらでもあるとおつしやいました。ところが事後
承認という場合に、
局長がお示しになりました例は、母法の
条約というものがありまして、その中から派生的に出て来る
条約の事後
承認でございます。ところが今度の場合には、これを
承認いたしますと母法までも
承認する、より深刻な根本問題を
承認する結果になる。そんな例は私はないと思う。たといあつたといたしましても、そういうこれは議会を尊重する民主政治の中におきましては、許されざることであると思うのであります。従
つてこのアメリカとの
関係においては安保
条約の母法がございます。ところが
国連軍との
関係においてはない。しかしこれは単なる
裁判権の問題の暫定的な事務処理の問題ではなくて、当然行政協定を肯定し、行政協定並に取扱う、その場合におきましては、さらにその母法ともなるべきところの
国連軍の
日本駐屯の
地位をも
決定することが、この
裁判権を
向う側に承諾せしめる、そのことのためにこちらは政治的なオブリゲーションとして、もうすでに持
つておるということが今まで
説明された。そういうような重大な関連にありますこの法律がこの国会の
承認を事後に求めるような軽く取扱わるべき性質のものでないという点、それからもう
一つは、今申し上げました通り、アメリカとの行政協定の改訂の内容がこれとは関連を持
つておりますから、当然これにつけ加えて
説明さるべきであり、この審議の資料として十分
説明、納得させる必要があると思う。その審議の手続について、二点私どもは疑問と不満を持つわけでございますので、
政府の態度を明確にしていただきたいと思います。