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1953-11-07 第17回国会 衆議院 運輸委員会 第4号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和二十八年十一月七日(土曜日)     午前十時八分開議  出席委員    委員長 關内 正一君    理事 岡田 五郎君 理事 關谷 勝利君    理事 松井 豊吉君 理事 原   彪君    理事 楯 兼次郎君 理事 川島 金次君    理事 鈴木 仙八君       岡本 忠雄君    木村 俊夫君       徳安 實藏君    南條 徳男君       山崎 岩男君    有田 喜一君       臼井 莊一君    山口丈太郎君       中居英太郎君  出席国務大臣         運 輸 大 臣 石井光次郎君  出席政府委員         運輸事務官         (鉄道監督局         長)      植田 純一君         運輸事務官         (鉄道監督局国         有鉄道部長)  細田 吉藏君  委員外出席者         日本国有鉄道総         裁       長崎惣之助君         日本国有鉄道副         総裁      天坊 裕彦君         日本国有鉄道参事         (総裁室法務課         長)      鵜澤 勝義君         日本国有鉄道理         事         (経理局長)  高井 軍一君         専  門  員 岩村  勝君         専  門  員 堤  正威君     ————————————— 十一月四日  委員岡田春夫辞任につき、その補欠として館  俊三君が議長指名委員に選任された。 同月六日  委員佐藤虎次郎辞任につき、その補欠として  世耕弘一君が議長指名委員に選任された。     ————————————— 本日の会議に付した事件  閉会中の連合審査会開会申入れに関する件  運輸行政に関する件     —————————————
  2. 關内正一

    關内委員長 これより開会いたします。  運輸行政に関する質疑を続行いたします。鈴木仙八君。
  3. 鈴木仙八

    鈴木(仙)委員 私は運輸委員会に対し、何らの結論も支持も求めない。決算委員会勧告決議のみを受取りそれによつて設計原案通り鉄道会館の完成に断固邁進をするお考えかどうか、この点について質問をいたしたいと思います。  去る二日午後三時四十三分から開かれた決算委員会において、国鉄に対する勧告決議案が、十二票対七票の表決で決定されました。その内容は、一、人事の刷新、二、会計の改善、三、民衆駅の方針確立、四、鉄道会館株式会社との契約の再検討、五、八重洲口広場問題の解決、六、国鉄退職者就職制限などを国鉄に勧告する趣旨のものであります。新聞報道等はこれをもつて、三箇月余にわたる問題に終止符とか、鉄道会館問題遂に解決とか、大げさに報道をし、国鉄側もこれによつて完全に放免をされた気になり、退職しないで部内を粛正するなどと長崎総裁が言明をし、まさに台風一過したごとき印象を一般世人に与えようとしているやに見受りけられます。私は同じ二日の日、決算委員会に先だつこと三時間前に運輸委員会でこの発言をし、決算委員会結論拘束されるかいなかを質問したところ、運輸大臣は、よいことには従う、ぐあいの悪いことには従わないという趣旨答弁行つていることは、速記録にも残りましようし、また運輸大臣運輸常任委員各位も御記憶のことと存じます。その答弁は、端的に言えば、決算委員会結論には拘束されないということであると思います。私はその拘束性質問するときに、それぞれの常任委員会の議を素通りして、決算委員会結論決議が各官庁公共企業体拘束をし、その方向方針を制約するのでありますならば、国会運営上の重要な前例になることをはつきりと指摘をしたのであります。一体決算委員会予算委員会に対して存在するところに意義があり、国家の金の使い方を結果的な面から審議をする任務を持つております。従つて鉄道会館に対しては、国家的な会計上の疑点を解明するところに主力が注がれ、またその点の論議に長時間を費して来ております。これをもつてこれを見るならば、民衆駅をどうせよとか、八重洲口前の広場をどうせよとか、国鉄退職者就職制限をどうせよとかという決議は、決算委員会の議としてはむしろ附帯的な事項であつて、本来は運輸委員会審議して、運輸省及び国鉄の将来を決すべきものであります。もちろんよいことを決定されるのはどこの委員会においてであつてもけつこうでありますがたまたま決算委員会の、勧告決議が、鉄道会館を建てることに全力を注いでいる長崎総裁その他の関係者にとつて、きわめて抽象的な表現でこれといつて苦痛を感ずる点がないのを奇貨おくべしとなし、満面喜色をたたえたような感じりで談話などを発表しておるように考えられます。一体運輸委員会に対して何らの試案も意見も求めることなく、決算委員会結論さえ出れば、たちまち一切の論議は終了したものとして、十二階建のあの、バベルの塔というか、阿房宮の二の舞いというか、輸送力増強にはまつたく百害あつて一利なき建築物を建てるのに、断固邁進をするお考えですか。この問題は運輸委員会ではいまだに継続審議になつており、なお糾明せねばならぬはずなのをお忘れになつておるのですか。運輸大臣国鉄総裁にこの点をお尋ねしたいと思います。
  4. 石井光次郎

    石井国務大臣 決算委員会決議をいただきまして、私どもはこれに対しまして、私の答えといたしましては、発言を求めまして、この問題につきましては、一々研究をいたしまして、善処いたしたいということを申しました。これは大体先ごろこちらの中間結論として、私どもに示されましたものと、精神においては一致しておるのでございまして、個々表現が多少違つておるところも、内容的にこちらの方が触れられなかつた問題等もあるようでありますが、鉄道会館問題を中心といたしまして国鉄運営について十分これから改むべきものは改むべし、それを大いにやれという趣旨は、両方の一致した主眼点でございますので、その線に沿いまして私ども国鉄を鞭撻いたしまして、そしてはつきり世の疑惑ないように、疑惑をかけられましたものをかくのごとくりつぱな状態であり、またそうでないものは、かくかくの方法によつてつて行くということで、順次やつて行こうというふうに思つておるわけであります。
  5. 長崎惣之助

    長崎説明員 ただいま大臣からお示しがありました通りでありまして、そこに何らつけ加えるべきものはないと思うのでありますが、蛇足を加えますと、やはり当委員会におきまして述べられましたこと、決算委員会で述べられましたことの全体を通観してみますと、要するに日本国有鉄道のあり方というものはかくあるべきではないか、日本国有鉄道というものを一刻も早くりつぱなものにし、真に国民から信頼される国有鉄道にすべきじやないかということの御精神が、本義であろうと感じておるのであります。従いましていろいろ言い表し方あるいは言つておられるところの言葉には、違つた点もあるかもしれませんが、御精神においては、私は両委員会とも同じ方向に向つておると存じますから、そういう方向に向つて、よきをとり、われわれの悪いところはすみやかに矯正して行くという方向に私は進んで参りたいと存じます。決して委員会決議があつて委員会終つたから、いわゆるお言葉でございますが、奇貨おくべしとなして云々というこでとはないつもりであります。
  6. 鈴木仙八

    鈴木(仙)委員 私は去る八月七日の中間結論のときにも、決算委員会運輸委員会とは、任務にいささか違う分野があることをつけ加えてあります。決算委員会会計上の疑点を糾明することに重点を置いており、運輸委員会は常に輸送力増強という見地に立つて、一切の問題を考えるところに重点をおくのが建前であります。もう一歩つつ込んで行くと、決算委員会は、鉄道会館手続上に白か黒かという点に主力を注ぐのでありますが、運輸委員会輸送力増強という見地から、この建物は有利か不利かを論ずるのであります。少くとも私はその見地に立つて国家能力の重要な一還をなす輸送力を、一日も早くドイツイギリス並の水準へ持つて行こうという信念に燃えて奮起したのでありまして、よしんば会計手続上に不正不義が発見されなくとも、現設計のような建物はよろしくはいという立場を持つておるのであります。運輸力増強のために鉄道会館は必要ですか。運輸大臣国鉄総裁にくどくしいようでが、この点もお尋ねしておきたいと思います。これを考えずに平然としている国鉄総裁は、運輸委員会侮辱するものであると思います。国鉄総裁にさらに質問しますが、あなたは去る八月七日の運輸委員会で、鉄道会館調査小委員長關谷勝利君がその調査中間報告を行い、それを取上げて關内委員長全員異議のあるなしを問い、運輸委員会では私を除いた他の全員異議なく、運輸委員会の一応の中間結論として決定されたのを記憶しております。そのとき私は私の意見といたしまして、第一は東京八重洲口の整頓、第二は外部投資の引上げ、第三項は国鉄上層部引責辞職、第四は国鉄の物資売払いに際し国鉄総裁の裁量にまかせないで、運輸大臣大蔵大臣の合意によることにしたいという意味合いのこと、第五点は国鉄部内無賃乗車証の整理、第六は国鉄予算の組みかえであり、第七点は監督諮問機関の更新、こういうふうなことについていろいろ趣旨を申し上げ、さらに私として国鉄粛清改革決議案輸送力増強決議案、これを提案いたしましたが、この議は遂にいれられなくて、私一人の意見になつてしまいました。しかしただいまも申した通り運輸委員会として他の委員諸公中間結論は出してあります。八月七日の運輸委員会結論は、運輸省及び国鉄拘束する力を持つと思いますが、この点に関して重ねてお尋ねしておきたいと思います。
  7. 石井光次郎

    石井国務大臣 中間報告によつて示されましたる運輸委員会の意思は尊重し、この線に沿うて私どもできるだけの努力をすることは当然だと思うて心得ております。
  8. 長崎惣之助

    長崎説明員 八月七日の運輸委員会中間報告の御趣旨に沿いまして、御趣旨に盛られましたことは着々実行に移しつつございます。
  9. 鈴木仙八

    鈴木(仙)委員 運輸委員会の八月七日の中間結論の一項は、「政府においては、すみやかに日本国有鉄道に対すつる監督権強化並び国鉄財産管理運用に関する法制を整備するとともに、国鉄及び鉄道会館等に関し必要かつ適切な措置を講ずること。」と定めてあるのですが、運輸大臣はこの第一項に従つて今までにどんな具体的な対策を行つて来たのです。まさか決算委員会結論には面縛して降参するが、運輸委員会結論なんかどうだつていいのだというのではありますまい。何をなさつて国会に至つておりますか。今回の決算委員会結論に対して、運輸大臣は耳を傾けて善処するとおつしやつておりますが、運輸委員会の八月七日の中間結論に対しては、別に耳を傾けて善処すつるとおつしやるほどのものをくみとつてはおらないのです。内容を比べてみると、私としては不満足ですが、中間結論は八月七日の運輸委員会結論の方が、今回の決算委員会結論よりずつとりつぱであります。もちろん私は不満足ですが、決算委員会結論より整つております。さすがは名小委員長關谷君の統裁になるだけあつて、実にりつぱなものであります。しかもこれを運輸委員会の各員が異議なしで決定をしております。決算委員会結論は、賛否十二票対七票です。運輸委員会結論は、私以外は全員一致であります。運輸大臣運輸委員会のほとんど満場一致決定を尊重なさらないのですか。八月七日の運輸委員会結論は、中間結論ではありますが、きわめて重要な内容を持つております。第二項のイには「鉄道会館との契約内容を再検討してその適正を期するとともに、徴収未済土地建物貸付料構内営業料金等はただちにこれを徴収すること、日本停車場株式会社池袋ステーシヨンビル株式会社秋葉原会館、高円寺駅復興協力会等、いわゆる民衆駅についても同様とすること」このように決定をしております。国鉄総裁はこの運輸委員会満場一致決定事項に対して約三箇月の間具体的にどのような手を打つて適正化を行いましたのですか。今回の決算委員会結論の中の第三項に「民衆駅の基本方針確立」だの、第四項に「契約適正化」だの書いてあるが、運輸委員会は三箇月も先にずつと具体的にこんなことは決定しておるのです。国鉄総裁もまさかこれを忘れてはいないでしよう。何を実際に断行しましたか。三箇月間のあなた方の行動実績をひとつお聞かせ願いたいと思います。まさか運輸委員会結論を三箇月間ほつたかしてはないでしよう。国鉄は京浜、山手の電車分離運転を大正十二年以来三十年間もほつたかしにしているのですから、三箇月くらいのほつたかしは常習犯かもしれませんが、運輸委員会満場一致決定事項ですから、これを無視することは運輸委員会に対する重大な侮辱である。公務員の任務からの逸脱になります。三箇月間どんなふうに決定事項を生かしましたか、これをまずお尋ねしたいと思います。
  10. 石井光次郎

    石井国務大臣 この前ここの委員会で私申し上げたと思いまするが、私どもはとりあえずできる問題といたしまして、今まで規定はありましたが発動していなかつたものといたしまして、いろいろな問題につきまして報告を求める、こういう問題について報告を求めておりますということを読み上げたのでございます。三十数箇条にわたつてつたと思うのでありますが、これらの報告を求め、これを基礎といたしまして行政的に私どもの処置し得るものをだんだん進めて行きたいと今やつておるところでございます。それから法律の問題は、これも研究をいたしております。いろいろ論議されました経過をたどりまして、この点まで法制上改むべきでないかというようなものについては立案中でございまして、通常国会に出すつもりにいたしております。
  11. 長崎惣之助

    長崎説明員 ただいま鈴木先生から御質問がありました点、たとえば民衆駅の運営に関する基本方針というようなものにつきましては、さつそく民衆駅の運営委員会というようなものをつくりまして、すでに第一回——明後日第二回を開き、着々と基本方針をきめるような方向に進んでおります。なおり契約内容あるいは料金問題——料金の問題はすでに三箇月くらい前に全部とるように手続をいたしまして、納入済みになつております。
  12. 鈴木仙八

    鈴木(仙)委員 次に口では「特に財産管理に留意し、日本国有鉄道固定財産管理規程並びに日本国有鉄道構内営業規則を現状に即するよう改正し、諸料金決定にあたつてはこれを適正なものとするため、査定委員会のごときものを設置すること」と決定してあります。この運輸委員会のほとんど満場一致決定に対し、第一に国鉄固定財産管理規程を改正しましたか。第二に国鉄構内営業規則をどのように改正しましたか。第三に諸料金決定するための査定委員会はどこにいつ設置されましたか。この諸点を、くだくだしいようですが、もう一度お尋ねしておきたいと思います。それぞれ何らかの改正された実績が事実上つておりますか。さらに八月七日の運輸委員会満場一致結論の第二項のハは、民衆駅について、その監督に特別の措置を講ずるとともに、民衆運営委員会等のごとき制度を設けて、関係官庁の職員、地方公共団体代表者学識経験者意見を徴し、民衆駅に関する重要事項決定することと定めてありますが、国鉄総裁はこれに従つて何を実行しましたか。どんな意見を徴しましたか。十一月二日決算委員会結論が出たあと国鉄総裁は本庁で記者団会見を行い、職にとどまつて粛正に努力とか、責任は感ずるがやめないと言つております。さらに委員会審議経過勧告通りに尊重すると言つております。国鉄総裁決算委員会決定従つて、その進退を考慮するのですか。国鉄総裁の言う委員会審議経過とは、決算委員会経過ですか。運輸委員会審議経過については問題にしないというのですか。国鉄総裁のこの記者団会見の記事を見ると、輸送力増強に万難を排して邁進をすると言つてはおりません。輸送力増強することにそれほど熱意が持てませんか。  インド鉄道機関車四百台注文して、その半数二百台はドイツにとられてしまい、日本は七十五台にすぎません。インド鉄道は軌間か五フイート六インチで、生産には骨が折れるが、日本車両工業界は苦しまぎれに必死で入札戦に参加しております。輸送力が不足をしているのに、過去六年間、国鉄は一台も蒸気機関車を発注はしておりません。本来なら必要があまり生じなくても、一年間に車両工業界が希望する最小限度機関車を発注するのが当然であるかのごとくいわれております。日露戦争のころに買つた二一二 ○型も現在百五十六台ありますし、その他雑型式も百台くらいあるが、二一二〇型の代替となる入れかえ小運転用小型機関車さえ一向つくれない。何をやつているかというと、駅舎美観増進であります。駅の工事には金をかけていないというが、どこへ行つても駅の模様がえには相当金をかけております。品川駅でも、新橋駅でも、年がら年中何か工事人が入つている。横浜駅の東口の出口階段などは、ふち金具を打つた階段が何の異常も生じていなかつたものを、今年度に入つて金具をはずし、全部こわして石畳式階段模様かえを行つております。まつたくむだな工事であります。これが全国四千五百の駅へ及ぼされるのであるから、かんじんな機関庫近代化などはどこにも見当らない。二流、三流どころの機関庫を見ると、明治時代から半世紀以上も少しもかわらず、炭水手が踏板を渡つて炭水車へ上り、いわゆるパイスケをひつくり返して石炭を積んでいる。その労力のむだと散乱炭のむだは非常なものであるといわれております。駅舎美観増進より輸送力そのもの増進をして、ひいては国民の健康を増進をし、産業の生産力増進をし、事業の能率を増進をし、国家防衛力増進するのが鉄道任務であり、目的であります。国鉄総裁決算委員会結論で安堵の胸をなでおろし、輸送力増強については何も言つておらないと思います。この点について十分国鉄総裁はお考え願いたいと思います。  一体現在の駅頭滞貨百八十一万トンさえどうにもならないではありませんか。この駅頭滞貨に対してどういう矛うなおつもりですか。現在の全国駅頭には相当の滞貨があり、これは国鉄当局でも非常に狼狽をしておるということでございますが、この点についてもお尋ねをしておきたいと思います。
  13. 關内正一

    關内委員長 鈴木君に御注意します。約束の時間があと十分ですから、質疑の要点だけをお述べを願いたいと思います。
  14. 鈴木仙八

    鈴木(仙)委員 同じ記者団会見の中で、国鉄総裁は、運輸委員会ではまだ継続審議になつているので、その決定を待つとは一言も言つていない。これはどういうわけですか。運輸委員会で、二国会も三国会も持ち越して、継続審議になるほどの大失態をしでかして、運輸委員会存在を忘れているのではありませんか。八月七日の運輸委員会結論は、關谷委員長説明をほとんど全員満場一致決定しているのである。そのときには国鉄総裁談話も発表せず、記者団会見も行わず、馬耳東風に聞き流しておいて、今度の談話はどうも私は受取りにくいと思います。運輸委員会を無視することは、運輸委員会侮辱しているのではないかと思います。国鉄総裁がわれわれ運輸委員会存在を度外視をし、無視黙殺するとははなはだけしからぬと私は存じます。運輸委員会がほとんど全会一致決定したことは何ら顧みない、決算委員会が十二対七で決定したことに対しては、これを尊重して行動するというのですか。国鉄総裁の言動はわれわれ運輸委員会存在を無視しているにひとしいといわれてもしかたがないと思います。前国会から言及しております通り、私は国家防衛力輸送力との関係を非常に重大視して検討しております。現在国内の駅頭滞貨が二百万トン近くもあるのに、これを動かせるのが九万台そこそこの貨車しかない。こんなありさまで保安隊の一管区隊を迅速に移動するにも国鉄へたよつていたのでは信頼ができない状態であります。詳しい質問はもう時間がないという委員長のお言葉でございます。実に残念でございますが、この次の機会に譲るといたしましても、平和状態の今日でも、満足に貨物を輸送することも、旅客を座席定員輸送で運ぶこともできない国鉄のありさま、防衛力が総合的な国家能力である見地に立つてみて、このように貧弱な鉄道輸送力では防衛力を危険に陥れておるのではありませんか。個々の問題についてはまた次の機会に譲るとしても、根本的な国鉄総裁の腹を伺つておきたいと思いますが、あなたは現在の国鉄輸送力は、国家防衛力にとつて十分であるとみずから信じていますか、いかがですか。そんなときに鉄道会館東京で垂範をして建てる方針でよいと思いますか。この点をはつきり答弁願つて、時間がないそうですから、次に質問をいたします。
  15. 長崎惣之助

    長崎説明員 先ほど来申し上げておりまするように、私は別に決算委員会であるから尊重するとか、運輸委員会であるからどうというような区別を置いて考えておるわけではございません。たまたま記者諸君運輸委員会の御決議がありました後、会わなかつたのは、私病中でありまして、休んでおつたからお会いできなかつたわけであります。さような区別はごうもなく、中間報告がありました点は、先ほども申し上げましたように民衆駅等運営委員会というものもすでに設置されまして、第一回を開き、近くまた第二回を開く、そうして根本的な方針を着尺と私は固めて参りたいと存じております。また査定委員会のようなものも、これは大阪東京と、これが最も問題の多い局でありますから、この大阪東京とにはすでにこれを設置するようにしておりまして、人選等も進んでおります。これは近くでき上ることに相なると思います。さようなわけでありまして、当委員会の御意見のあるところ、また非常にいい御意見を聞かせていただきまして、私どもはその線に沿うて着々と進んでおるわけでありまして、侮辱とか軽視とかいうようなことは決して考えておりません。また奇貨おくべしとなして、安心しているというようなかつこうではごうもございません。どうぞ今後におきましても、何かといろいろ御意見を伺わせていただきまして、われわれの仕事に大いに御協力を願いたいと思います。  なお輸送力増強という点につきましては、これはもうしばしば述べておりますように、輸送力増強安全度向上ということは、われわれの本来の任務でございます。実は財産のいわゆる副業的な運用などというようなことは、これはまつたくの副業でありますが、輸送力増強安全度向上はわれわれの本業でございます。しかるにその本業が所期のごとく行かずローカル線等に参りますとごらんの通りのような車をまだ動かしておるというような状況でありまして、まことに残念であります。一日も早くこれを改善しまして国民の御満足を得たいと思います。  なお防衛力の問題でございますが、防衛力の問題は今国会等におきましてもいろいろ論議されておる最中でございます。これに従つてもし御決定になりますと、その線に沿うてわれわれもも御協力申し上げなければならぬ、かように考えております。  なお滞貨の問題でございますが、これは秋には非常に大きな滞貨になるのはあたりまえでございます。当然そうなるのでありまして、これは貨車運用その他によつて、今日の状態では十分まかなつて行けるのではないか、かように私は考えております。夏の場合におきましては、二千両もの貨車を使わずにとめておいたような状況でございます。そういうわけで、季節的に波動があるのであります。でありますから、百八十万トンないし二百万トンの滞貨がありましても、一日に四十数万トンの輸送力を持つておりますから、一週間分にまだ足らぬのであります。それで安心すべきではありませんが、これは一日も早くやるべきであります。その点に向つて大いに努力をしたいと考えております。
  16. 鈴木仙八

    鈴木(仙)委員 総裁の御決意のほどよくわかりました。時間がありませんから、この次に京浜、山手の分離と常磐線乗入れの問題——あなたが先般言われた、京浜、山手の分離問題を考えずして常磐線乗入れはない、しかも国鉄の一番偉いあなたが言われたこの点についてまたお尋ねをいたします。本日はありがとうございました。
  17. 關内正一

    關内委員長 川島金次君。
  18. 川島金次

    ○川島(金)委員 私はこの機会長崎総裁を初め関係係の方に、当面重要であると思われる点について、参考のために若干お尋ねをしておきたいのであります。  今鈴木君から引続き鉄道会館の問題を中心としての国鉄の経営のあり方について、かなりつつ込んだお話があつたようでありますが、私は別な角度で私なりの立場から、この機会にぜひとも尋ねておきたいことと、その尋ねることによつて、実は党内においても国鉄の将来のあり方についての調査研究を始めておりますので、その調査研究の資料にもと存じますので、この機会にお尋ねいたすのでございますので、その点を十分に了承の上でお答えを願いたいと思うのであります。実は私ども決算委員会におけるこの問題の経過につきましては、運輸委員会の一人としても、また国会の一員としても、きわめて重視しておつたことはもちろんでございます。しかしながら決算委員会の席上に傍聴する機会もまつたくございませんでしたので、決算委員会の中でいろいろと問題になりました事柄については、残念ながらわずかに新聞を通して知るとか、あるいは決算委員の中の同僚の口を通じて知るという程度にすぎない。その新聞やいろいろのお話を承つている中私どもとしては何かすつきりと割切つておらないものがあるのではないかというふうな気のいたします点も若干残つております。そこでその若干残つておりますことについて、この機会にお尋ねをしておきたいと思うのであります。  まず第一に、日本通運と交通公社のごときは、国有鉄道との関係においてはきわめて密接不離の立場に置かれており、こさとに両者とも国有鉄道の歳入の上に大きなつながりを持つておりますことも言うまでもない。ところが、この委員会では明確でなかつたのでありますが、決算委員会で明確になつたと伝えられるところによりますと、日本通運に対して当然国有鉄道が請求のできる支払い債権が四十六億に上つている。また交通公社に対しては、切符売上代の、しかも当然交通公社がすみやかに支払いを国有鉄道に対してしなければならない責任額が十二億に上つている、こういうふうにいわれているのでありますが、私どもは今申し上げましたように、決算委員会での審議の過程というものをよく存じませんのでわかりませんが、この点についてはいろいろいわれておりまして、どの数字が正しいのか、実は私にもわかりかねている。そこでこの日通並びに交通公社が今日当然すみやかに払わなければならぬ国有鉄道に対する支払い債務はどのくらい負つているのか、その明確な数字をこの機会に明らかにしていただきたい、かように思うのであります。
  19. 長崎惣之助

    長崎説明員 数字の額につきましては経理局長から申し上げますが、御承知のように、今日の一般の取引がとかく延取引になつており、荷主の方が日通さんにお払いにならない、あるいはそれが手形で支払われるというような関係がございますので、そういう結果が現われているのであります。しかしこれはなるべくすみやかな機会に、経済界全般の状況ともにらみ合せて、現払い主義というところに進んで参らなければならぬと考えております。交通公社につきましては、過般も申し上げましたように、一時手数料というものは全然なくなつたというので、支払いをある程度延ばしたいというのが原因で、相当の債権があるということでございます。これも正規の期間、つまり翌月の末日までに全部支払うという方向に着々参つております。今年中にはその正規の常道に帰られるつもりであります。
  20. 高井軍一

    ○高井説明員 私から実際につきまして御説明申し上げます。先般決算委員会におきましても、お話のように相当巨額な日通の未収金があるというようなお話であつたのでありますが、御承知のように未収金は八月末におきまして、全部で百七億ほどございます。そのうち旅客が十五億、貨物が八十八億、あと一億何ぼは雑収ということになつております。このほとんどは御承知のように後払い関係でございます。それで今日通に非常な巨額な未払いがあるじやないかということでございますが、これは日通も御承知のように後払いをやつておりまして、翌月の末までに納めることになつておりまして、九三%までは翌月のうちに納まつております。従いまして未収があるかどうかということにつきましては、この九三%に関しては後納制度を認めている関係で、当然こういうことに相なつておるのであります。あとの六%程度、これは十月一日現在で三億程度あつたのでございますが、これは二日とか三日とか、最も長くて十五日ということで完納されておるような状態であります。その他の未収金関係は日通以外のものでありまして、これらは六二%ぐらい入つております。また交通公社に対して十何億というようなお話があつたのでございますが、交通公社は現在約九億程度のものが一箇月間あるのでございますが、これも後払いをいたしておりますので、当然そういうような未収があるのでございます。いろいろ延伸もいたしておつたのでありますが、九月分のは調定をいたしまして、規定通り入るのが十月末ということになつてつて、この方は九月分から正規に規定通り完納をされております。従いまして、くどいようでございますが、後納扱いを認めております日通及び交通公社につきましては、日通はそのほとんどが期間内に入つておりまして、残額も最も長いので十五日ということで完納をされております。交通公社のも九月分から期間内に入つておりまして、現在の未収金というのは制度上の未収金である、さように御承知を願いたいと思います。
  21. 川島金次

    ○川島(金)委員 今制度上の未払いというお話でありましたが、それは契約に基く了承された期間があつて、その間だけは猶予される、その期限をもつて未収金は支払わなければならぬということであろうと思いますが、そういうことに基いておつても、なおかつ今のお話のような日通に四十数億という未収金が現在あるのかどうか。それから交通公社はもう九月分から正規に完納されておるというお話でありますが、そうすると交通公社の何億といわれておりますのは、現在はほとんどないということになるのか、それとも実際はどのくらい残つておるか、その点を明確にしていただきたいと思います。
  22. 高井軍一

    ○高井説明員 私の申しようが非常にわかりにくかつたようでございますが、後払い制度をやりましても会計上未収金となりますのは、ただちに未収金として整理をいたしておるのでございます。しかし後払い制度をやつておりますので、それを精査をいたしまして、たとえば九月のうちに売りましたものにつきましては、九月のうちの未収金として残るのでございます。すなわち後納を認めておるからでございます。会計上はそういうふうにしておりますが、しかし十月に入りましてただちに国有鉄道の方で調定をいたしまして、そうして九月分はこれこれの額になつておるから、十月の三一十日までに納めろという予定の期間を置きまして、納入告知を出すのでございます。それに基きまして完納をされておるのでございます。日通の部分は今の後納扱いとしておりますので、当然そういうことでございます。そうして交通公社のものも期限内に入つておりますから、会計上はいわゆる未収金になつておりますが、現在の一箇月遅れと申しますか、手続上正規に清算をいたしますのが翌月末ということになつておる。従いまして交通公社につきましては、会計上の意味におきます未収金はございますが、現在におきましては納入の手続をして、納まるべき日にはきちつと納まつておるということであります。
  23. 川島金次

    ○川島(金)委員 ちよつとそこのところがややつこしくて判断できませんが、端的に言えば日通、交通公社に会計法上いわゆる未収金とみなすべき金額がどのくらいある、そういうことです。それから会計法上でなく、最近におけるある時点に基いて、当然やがて国鉄に収納さるべき金額がどのくらいある、そのことについての私のお尋ねであります。今このお答えではちよつとわかりにくいと思います。
  24. 高井軍一

    ○高井説明員 どうも非常に不明確でありまして恐縮に存じます。日通におきましては二十八年十月現在でいわゆる未収金が四十三億五千万円ございまして、それが十月一日までに入つておりましたのが四十億四千万円でございます。従つて九三%まで納期までに入つておることになつております、それで残額は三億程度残つてつたのでありますが、これは十五日までに納まつておるのであります。それから交通交社でありますが、交通公社のは十月一日現在におきましては——今私数字を持つて参らなかつたのでありますが、これはたしか九億何がしであつたと思います。それがあることになつておりますが、十月末の納期までに完納されておるということでございます。
  25. 川島金次

    ○川島(金)委員 今局長の話では、会計法上の契約といわゆる後払い制度というものとが、何か二重にあるように私は聞いたのですが、会計法上の契約上に基いては、たとえば日通が支払うべき時期から一箇月なら一箇月は当然に契約上認められておる。しかしそれ以上の延滞になつたものはいわゆる後払いで何ぼかずつ支払わせる、こういうことになつているのですか。それとは違うのですか。
  26. 高井軍一

    ○高井説明員 それは違うのでございまして現場で貨物を運送いたしましたら、その日のが未収金として現在上つて来るのでございます。それは後払い契約がこの現場の収入金として上つて来るのでございます。これは後払いでありましようが、あるいは現払いでありましようが、収入金として入るわけであります。そのうちで現金でとりましたのは、現金の収入でございます。この現金の入つておりませんのは、未収金として来るのでございます。それを先ほど申し上げましたように、後払い制度をいたしておりますものは、月末までに来ましたものを集計をいたしまして、請求をいたすことになるわけであります。それで売りましたものはただちに現金でないものは未収金になりますが、それも集計して請求をするまでの期間が、やはり未収金として残ることになるのでございます。
  27. 川島金次

    ○川島(金)委員 大体わかつたようですが、この問題は、当面の諸問題を勘案してきわめて重要な問題だと思いますので、念のため聞いたのですが、先ほど申し上げましたように、世間的には日通に対して四十数億の当然に収納すべき金額を、国鉄当局は故意にこれを怠つて、その収納を延期せしめておる、こういうことが世間に伝えられておりますのにあわせて、交通公社の場合におきましても、今もつてやはりそのように伝えられ、国民の多くはそうであろうかと想像しております。従つてこの問題は国鉄の経理関係について、国民的な疑惑を注がれておる大きな問題の一つでありますと同時に、この問題のすみやかな解決をはかるというこさとは、国鉄が最近落しました信用を回復する上におきましても、きわめて重大な要件ではないか、こういうふうに思いますので、念のためにくどくお尋ねをした次第であります。今後とも私は国鉄当局がこれら日通、交通公社等に対する経理関係は、できるだけ最善を尽して厳重な立場をとりながら、いやしくも国民や、国鉄の組合の人たちに誤解のないような、あるいは疑念のないような、すつきりした形をもつて断固進められることが必要ではないか、こういうふうに思いますので、この点を希望いたしまして次のお尋ねを申し上げます。  実はこの次の問題は、私は法律家でないのでよくわかつておらないのですが、大体鉄道会館の大口出資者の一人に共済組合がある。この共済組合の法律上の代表者は、総裁である正長崎氏がこれに当つておる。しかも共済組合の利益をあくまでも守らなければならぬというのが総裁であり、共済組合の代表者である長崎さんの責任になつておる。ところが一方において長崎さんは国有鉄道の最高責任者であるから、従つて国有鉄道の利害をあくまでも守らなければならぬ最高の責任者の地位に置かれておる。ところがその同一人の長崎総裁が、一方の鉄道会館の利害を守らなければならぬ大口出資者の代表者になつておる。こういう二重人格的な存在は、道義的にもきわめて問題ではあるけれども、法律上にもきわめて重大な問題だと専門家は言つておるのであります。私は法律家でないので、この関係は、法律上どういうふうに解釈すべきかよくわかつておりませんけれども、道義的にあるいは政治的に考えましたときに、一方の総裁国鉄の利益を守らなければならぬ。ところが一方の株式会社鉄道会館の大口出資者の立場である共済組合の代表者の長崎さんは、この共済組合の経済的な利益というものを徹底的に守つて行かならぬという一つの責任がある。一つの人格者が二つの関係に立つて、その利益を守るということは、これは口では言えても、事実上は不可能ではないか、こういうふうにわれわれには思われるのであります。こういう形がはたして社会通念から申し上げて妥当、適正のものであるかどうか、こういつたことについては、私のみならず、やはり多くの疑念が生れておるのではないかと思うのでありますが、この点について総裁はどのような解釈でおられるか、これもきわめて重要なことでありますので、この機会に承つておきたい。
  28. 長崎惣之助

    長崎説明員 先ほどのいわゆる未収金の問題でございますが、これは先ほども申し上げましたが、日通につきましては経済の実態から申しまして、運賃、手数料というようなものを真荷主が日通に現金払いをせずに、手形を切るとか、延取引をするという実情に即しまと同時に、われわれの清算の手続もかかりますので、一箇月の猶予期間を置いてあるということでございます。交通公社につきましても、やはり清算その他の手続上、一箇月の猶予期間を置いてあるということでございましてその手続の期間の厳守さえしてもらえば、それでいいのではないかと思つております。その一箇月の後払いになる部分が、先ほど申し上げましたような金額になるのであります。それを怠りまして、これが二箇月になり、三箇月になるということでありましたならば、これは非常な失態と申しますか、手落ちがあるわけでありまして、そういうことをさせないようにしたいと思つております。なおこの点につきましてさらに期間を一箇月のものを、十五日にする、十日にするというような方向に、だんだん持つて行くべきものだと考えております。現在の取引の状態は川島委員御承知のように、とかく手形でもつて取引をするというような状況でありますから、これを一挙にしてぶちこわすということは、やはり事案して参りますわれわれの立場といたしましては、経済の一般情勢というものと歩調を合せませんといけないのではないか。また一挙にこわすとなつたら、たいへんな混乱を招くのではないかと考えまして、徐々に引締めて行きたい、かように考えております。この点はもしおわかりにならなかつたら、個人的に幾らでも御説明をいたしますから、世間の疑惑を解いていた安くように御協力を願いたいと思います。 なお今の法律上の問題につきましては、法律家にいろいろと研究してもらいまして、それでさしつかえないということでありましたから、株を持つたわけであります。その点については総裁室の法務課長から御説明を申し上げます。
  29. 關内正一

    關内委員長 なお後払い問題につきまして、高井説明員より詳細に説明をいたしたいという申入れがありますから、これを許します。
  30. 高井軍一

    ○高井説明員 私の説明が非常にわかりにくかつたのでありますが、これにつきましてもう一度補足させていただきたいと思います。国有鉄道会計基本事項によりますと、発生主義と申しまして、事実の発生した基準としまして、これを整理することに相なつております。それで先ほど申し上げましたように、発生主義の日をとる会計によりますと、今申し上げましたように、一般的には未収金でないものが未収金というような整理になるのでございます。すなわち前に申しました現金主義のときでありますと、この納入を知らせまして、いついつに入れろといつて、それが入らない場合におきまして、これが未収金ということになるのでございます。それで先ほど会計上こうこうということを申しましたのは、そういう意味でございまして、現実の普通の意味におきます未払いというものは、交通公社の場合にはない。しかし会計上現在発生主義をとつているから、未払いとして整理している。さように補足をさせていただきたいと思います。
  31. 鵜澤勝義

    鵜澤説明員 私から共済組合が株を持つ場合に、共済組合の代表者たる日本国有鉄道総裁は、なるべく配当金を多く要求する地位にあり、一方国有鉄道総裁鉄道会館に対して、なるべく高く家賃その他の使用料をとるべき地位にある。すなわち利害相反する立場にあるのであつて、それは法律上双方代理というような趣旨から禁止されておるのではないか、こういう趣旨から国家公務員共済組合法の適用を受けます日本国有鉄道共済組合は、法律上日本国有鉄道総裁がその代表者になるという立て方に第三条でなつております。そしてその長がその組合の代表者になるということは、決して利害相反するのではなく、共存共栄という立法理由からなつておりまして、このことは第七条で国有鉄道と別の陣容である共済組合に対して、国有鉄道の経費をもつて職員にその仕事をさせてもいいとか、あるいは国有鉄道がその予算の範囲内において共済組合の経費を負担する、こういうふうになつておりまして、こういう規定の趣旨からして決してそこに利害相反する立場になつておらない、ただいまお尋ねのありましたような点は、法律上相許されない概念でないと考えております。
  32. 川島金次

    ○川島(金)委員 私はこういう問題は、いささか苦手なんですが、ちよつとまだ納得できませんのでお尋ねしておきます。たとえば今のお話のように共済組合は、共済組合の利益を守るために、たとえ一銭でも多くの配当を要求する、あるいは希望するということは当然なこと、従つて長崎総裁はその共済組合の出資を通じて、国鉄会館の利益増進について強力な主張をする、あるいは権限を持つ立場にある。でなければ共済組合の利益は守れない。ところがそういう強力な発言をされることは、逆に国鉄自身の経済的な譲歩を余儀なくされる。これは実際問題がそうなつておる。もつと極端に言うと、国鉄がその契約に基いて、ある一定の使用料を引続いてとつておりますが、その点は総裁としては何のあやまちもない。ところが逆に国鉄会館の経営よろしきを得ないために、会館の利益配当が予定のように行かなくなつた、あるいは利益配当が全然なくなつてしまつた、あるいは逆に今度は欠損になつた、こういつた場合に総裁はいかような責任が生ずるか、そういう問題が起つて来たときに、これは共存できるのだという事柄には断じてならないと思う。そういうところに多くの国民から一種の疑念があるわけなんです。私は法律家ではありませんからわかりませんが、社会的な通念の上に立つてどうもそういう疑念が私自身にもある。今のお話しのように国有鉄道総裁と共済組合の代表者との間において利害が相伴う、あるいは共存の形ができるいうことは、口では言えても、実際問題ではでき得ない実情が起つて来る可能性が十分あるのではないか。経済の実況からいつて、そういう場合にはたして総裁がいかなる形で責任をとられるか。この点はどういうことになりますか。
  33. 鵜澤勝義

    鵜澤説明員 今のお尋ねの御趣旨は、鉄道会館の例をとらないで、この法律自体からのそういう問題は、絶えず起つて来るのではなかろうか。たとえば例をあげますと、第七条の各省各庁の長は、共済組合の代表者という意味ではなくて、当然の各省各庁の長です。これは組合の運営に必要な範囲内において、大蔵大臣の承認を得て、その各省各庁に所属する職員をして組合の事務に従事させる、またその間にかかる施設を無償で組合の利用に供することができるという条文がございます。それからもう一つ、たくさんございますけれども、六十九条に、「国庫は、左の各号に掲げる金額を負担し、各省各庁の長は、これを毎月組合に払い込むものとする。担し、」云々となつておりまして、この二つの規定から見ますと、国有鉄道としてはなるべく共済組合に掛金を少くし、職員を貸さない、建物も貸さない、こういうことが国有鉄道の利益になる。ところが法律上は共済組合に貸してもいい。共済組合の方は、なるべく国有鉄道から建物を貸してもらえば、職員をその固有の事務に使わせてもらえば共済組合の利益になる。そこで国有鉄道と共済組合との利益は相反すべきものでありますが、法律上は、そういう共済組合というものは、事業者と組合員との共存共栄の関係であつて、そこにおのずから利益相反するけれども、そこにまた解決点がある。こういう趣旨からして、七条、六十九条の規定ができておりまして、そういう建前からして株の問題も同じ理論であると私は考えております。
  34. 川島金次

    ○川島(金)委員 私はあえてこの問題について法律的に論争しようという意味で、お尋ねをしておるのではないことを御了承願つておきたいのですが、どうも今のたとえば各省の長が、その長の所属しておるところの組合、その他の直接関係者に施設を貸与する、あるいはそれを無償で貸し下げる、こういうことは法律上許されておることなんです。従つてそういう問題と国鉄会館の株式会社という個人の営利団体との関係は、おのずから違うのではないかと思うのです。今申し上げましたように一方は国有鉄道の利益を守らなければならない責任上——ところが鉄道会館株式会社、共済組合自体の問題でありますれば問題はありません。ところが共済組合の資金を運営する一つの方法として、完全な利益追求団体である個人のいわゆる法人株式会社組織の会社に大口の出資をした。従つて大口の出資者は当然に——小口、大口はもちろん問うところではないのですが、特に大口の出資者でありますから、この大口出資者としての立場からいたしまして、鉄道会館株式会社の利益を最高度に追求するということは当然の立場でなければならない。こういう立場に立つておるときに、今申し上げましたように、鉄道会館国有鉄道との間には契約がある。その契約に基いて鉄道会館の方は、使用料その他を当然支払うべき債務、あるいは支払いというものが、国有鉄道には遅滞なく入つて来る。しかし、一方かりに間違つて株式会社鉄道会館がうまく行かない。そうして賃借料が入らない、利益の配当が入らないという場合に、一体総裁の地位、責任というものはどういう形になつて来るのか。ここに私は非常に懸念されるものがあるのではないか。そういう場合に、あなたの説によると共存できるのじやないかというが、共存はしておりません。国有鉄道の方は完全に契約によつて株式会社からとるべき金だ。ところが共済組合の方は大株主であるけれどもれ利益配当当がない。のみならず、会社自体が欠損を続けておる、こういつたときには、私は国有鉄道と共済組合との共存は断じてあり得ない、こういう形になるのではないかと思います。今のあなたのお話によると、何か共存で解決点があるようにおつしやつておりまするけれども、そういう事態が起つたときには解決点はないじやないですか。
  35. 鵜澤勝義

    鵜澤説明員 私が申し上げましたのは、国有鉄道総裁と共済組合の代表である国有鉄道総裁とが両方兼ねることがどうか、抽象的なこういうお尋ねに対しまして、それは法律上相兼ねられるのだ、共済組合法の立法理由は共存共栄、そういう意味から相兼ねられる一のだ。今川島委員のお尋ねの、鉄道会館が欠損で配当がない、こういう状態になつたらどうなのだ、これは鉄道会館の株を共済組合が持つことの可否の問題でございまして、それはまた別の考え方、別の理論ではないか、かように考えております。
  36. 臼井莊一

    ○臼井委員 関連して……。今の法律を援用してさしつかえないのだというあれにちよつと私も疑念を抱くのですが、各省が共済組合に対して便宜をはかるということは、各省に働かれておる組合員、すなわち従業員なり職員の方の便宜をはかることは、ひいては各省に対して利益をもたらすということが考えられると思うのです。しかしただいまの場合に出資をしておる。たとえば鉄道会館が全部共済組合でやつた場合には、これはある程度そうも言えると思うのです。ところがそうではなくして、共済組合というのは法人でないので、営利団体でないはずなのです。ですからそれでよろしいのですが、鉄道会館というものは株式会社で営利団体である。利益がますますあればますますよろしいという団体である。しかもそれは共済組合が全部持つているのでなくして、ほかにも出資をしておる株主がたくさんある。そういうところに非常な問題があると思うのです。今援用された法律のみをもつてさしつかえないというわけには行かないと思う。ただいま川島委員の言われたように、国鉄鉄道会館なるものとは、それは運用の仕方によつては持ちつ持たれつで、お互いに理解し合うということもできるかもしれませんが、しかし根本の立場からいえば、やはり借家料の問題とか、土地の賃金の問題とか、そういうものの上げ下げによつて、非常に鉄道会館の利益に影響を及ぼして来るのでありまして、これはむしろ利益が相反しておる場合が相当あると考えられる。そこで川島委員が心配されておるように、利益の反する鉄道会館のたといそれが代表者でなくとも、大株主であるということになれば、これは相当の発言力もあるし、また大株主としての立場から、会社の利益に対してはやらなければならぬことになろうと思う。まして金が共済組合員の金であるということになれば、これは一層そういう点が考えられる。その点で私はどうもただいまの法律のみでさしつかえないのだということは、ちよつと納得行かないのですが、いかがなものでしよう。
  37. 鵜澤勝義

    鵜澤説明員 お尋ねの点ごもつともなんです。私の相兼ねることがどうか、それを相兼ねてもかまわないのだ、共済組合の代表者国鉄代表者が相兼ねてもかまわないのだ、今度話がかわりまして、今お尋ねの御趣旨はそういうようなところに株を持つことの可否いかん、こういうお尋ねではないかと思います。それは別個の問題だ。法律を離れまして、そういうふうなところに株を持つことがどうか、そういう点はどうか、これは別の話ではないか。(「それはどうなんです」と呼ぶ者あり)これは決算委員会でも問題になりましたように、国有鉄道共済組合がそこに株を持つことについて、いわゆる重大なる財産運用の問題でございまして、共済組合には共済組合運営審議会、労使双方の委員が出まして、国鉄には労働組合の役員が出まして、そこで審議をいたしまして、大蔵省では年度当初においてこれだけは投資してもいい、こういうわくがございまして、そのわく内でやつて、事後に口頭でございますけれども御了解を得まして、内部的においては共済組合運営審議会の議を経まして、それから監督官庁である大蔵省にもその点御了解を得てやつたのでございます。
  38. 川島金次

    ○川島(金)委員 まさに手続はその通りなんでございましようが、われわれしろうとから見ますと、どうも若干あなたの考え方と違う余地がありそうです。たとえば共済組合がその資金の運営の方法として投資信託をするとか、何々有力会社の株を持つ、これは私はあり得ると思う。ところが鉄道会館というものは国有鉄道と密接不離の関係で、当事者の関係にある。その当事者関係で一方は公共企業体、一方は純民間利益追求団体、こういう立場でしかもその二つが契約の当事者の関係にある。利害関係の相反する関係にある。必ずしも私は利害関係というものは一致する点もあるだろうけれども、ない点が多いと思う。そういうない点の多い利害相反する団体の当事者の中に、同じ人格が代表として、もしくは代表に近い形で一方には入つておられる。こういうあり方というものが、はたして社会通念の上からも適当なものであるかどうかということは、非常に疑問のある問題ではないか、やはり社会通念上疑問のある問題の中に、手続上誤りないからといつてそれにつつ込んで行くということは、それはよしんば手続の誤りがなくとも、でき得ることなら避けて行く、そうしてできるだけ世間の疑惑というものを防いで行く、こういう立場をとるということが、公共企業体、しかも大世帯である国鉄総裁の立場ではないか、こういうふうに私は考えておりますので、この点を聞いておるのです。今の法律上の問題として、同一人格が両団体の代表者であつてもさしつかえないという、これは法律上の根拠はあるかもしれません。あればそれでいいと思います。しかしながらかりに法律上の根拠に基いてそれが許されるといたしましても、実際の問題として、あるいは政治的にこれを扱つた場合には、そういうことはできるならなるべく避けた方がよろしいのではないか、こういうふうに私個人は考えるわけです。すでに出資したあとでありますから、いまさらこれを強く言おうとしておるのではありませんけれども、願わくはそういう形の方が、すつきりした立場になれるのではないかということに私は考えられるのですが、総裁はどういうふうにこの点をお考えになりますか。
  39. 長崎惣之助

    長崎説明員 お話のような点も十分留意しなければならぬと私は思います。しかしこれはお言葉を返すようで何ですが、あえて私は議論をするつもりはございませんが、たとえば車両製造会社の株を共済組合が持つ、そうしますと、国鉄といたしましては車両をなるべく安くさせるということが利益でありますし、共済組合の方は、株の値段あるいはその配当等のことから考えますと、車両をなるべく高く売る方がよろしいということになるのでありまして、そういう場合の問題は、問題を簡単にいたしますと、そういうことになるのではないかと思います。たまたま今度の鉄道会館の場合においては、現在においては共済組合が非常に大株主であるということが、また一つの問題点になるのではないかと思います。そこでそういう点等をも勘案し、さらにまたそれが大株主であり、うまく行けばいわゆる共存共栄の関係に立てる鉄道会館をして、あまりに利益追求主義にならぬように制約して行く、共済組合としてはほどほどの利益は受ける、国鉄も相当の利益を受けるというふうな面におきましては、これまたうまく行けば非常にうまく行くのではないか一言いうふうな点をいろいろ考えまして、御趣旨のあるところも十分考えまして、今後私は善処して参りたいと思います。
  40. 川島金次

    ○川島(金)委員 共済組合としての代表者である総裁、あるいは国鉄代表者である総裁としてのその考え方は悪いというのではないのです。それはそういう考え方で進めて行かれることはけつこうです。しかし今申し上げましたように、わずかな金を投資したのではない、非常に巨額な、しかも株式会社鉄道会館のうちの資本の非常に大きな部分を占めておる立場にある。そういう立場に立つておる人か、両方の、しかも投資者の関係代表者になる、こういうことは世間的に考えた場合に、なるほどうまいことだとだれも感心しないのではないか。そうしてまた側か両方がうまく行つて、両方に利益かあるという間はそれでよろしい。しかし経済活動のことですから、あるいはどういう変動、どういう災難によつて、株式会社鉄道会館の損失をこうむらぬとも限らない。そのときには、しかも大きな出資者である共済組合の立場の利益が非常に害される、こういう問題が当然起つて来るわけです。そういう場合に、必ずしも利害は一致できないと私は思う。そういう利害の一致できないような、しかも有力な地位に立つということはどうか、非常に研究を要する問題だと私は思うのであります。今ただちにこれをどうしようという強い意見を別に私は持つのではございませんが、この問題についてはもう少し研究されてみる必要があるのではないか、こういうふうに私は思います。これは私どもも若干研究してみたいと思いますが、総裁におかれましても、ぜひこの問題はもう一歩進んでひとつ研究されんことをこの機会に希望しておきます。  それからもう一つついででありますが、最後にお聞きしておきたいのは、これまたきわめて重大な問題で、私どもこれまた決算委委員会におりませんのでよくわかつておりませんが、一説によりますと、決算委員会審議の過程において長崎総裁に偽証がある、こういうふうに言つておる者もある。これが事実といたしますれば、これはまことに重大な事柄ではないかと私は思います。その偽証があると伝えられるところによりますと、長崎総裁は決算委委員に証人として招かれた席で、その決算委員会質問に答えて鉄道会館工事については、ほとんど全部が全部予納金をもつて工事に着手し、進めておるのだ、こういうことを明らかに証言しておる。ところが実際問題は、工事の三十六件中十四件は予納金をとらなかつた、もしくは予納金をとることが非常に遅れておる、にもかかわらず工事は着手せしめ、あるいは工事を進行せしめた、そうすると、総裁の証言と実際問題とは明らかに大きなる食い違いがある、従つて総裁のこの言明は偽証である、こういうことを言つている者もある。この問題は、今申し上げましたように、決算委員会速記録を見ればいいでしようが、私はまだそれを見ておりませんし、またひまもございませんので、この機会に、そういう事実が一体あるのかどうか、この点について、非常に重大なことであるのですから、ついでに伺つておきたいと思います。
  41. 長崎惣之助

    長崎説明員 その点、過般の決算委員会におきまして問題になつたことは事実でございます。しかし決算委員会の議事録を読んでいただけばおのずから明らかではないかと私は思うのでありますが、私の申し上げておりますことは、委託工事というものをやるときには、予納金をとる建前になつておるということでありまして、事実上そういうものを今度の工事について全部とつているとは申し上げておらぬのであります。その点に何か誤解があるじやないか、また私の言葉が足りなかつたかもしれません。しかしそういう建前になつている、こういうことを申し上げたわけであります。制度としての説明を申し上げたのでありまして、事実の陳述ということではなかつたのであります。実は私証人として呼ばれましたが、どうも御質問がとかく私の意見を聞くようなことが多うございました。証人というのは、意見を申し述べるべきものではないと私は思います。しかしそういう事を荒立てましていろいろ申し上げるのもいかがかと存じましたから、証人のらちをはずれて申し上げることがあるかもしれませんから、それは御了承を願いたいということを最初から申し上げてあるのであります。それで結局は皆さんの御満足を得たのではないかと私は思うのであります。そういうわけでありまして、いわゆる純然たる証人としてでありますれば、意見などは申し上げるべき筋のものでもなし、どう思うかというようなことはお答えをする範囲でないと思うので走ります(しかしそういうことでなしに、できるだけ腹を打明けて、すべてのことを申し上げて御了解を得たい、かように存じたものでありますから、そんな気持で申し上げたわけであります。ただいまの偽証の問題は、おそらくその点じやないかと思いますけれども、これは事実そうであつたということでなくて、建前としてそういうことになつておりますということを申し上げたつもりでございます。これは速記録をお読みくだされば明瞭じやないかと思つております。
  42. 川島金次

    ○川島(金)委員 事はきわめて重大な事柄で、私は総裁にこのような偽証があることを期待するわけでもなし、むしろなからんことを希望しているものでありますが、きわめて明瞭に私どもに伝えて来ているその事柄についての処置について、私どもも相談を受けている立場にあります。決算委員に私はおらなかつたし、まだ速記録はできておらない。しかるにそういう強い発言者がおり、その問題についてどう処置すべきがという問題等についても、相談を受けている立場でもある、そういう関係もありますので、この機会に念のためにお尋ねをしたのですが、今の総裁のお話によれば、工事に対する予納金制度の原則論を言つたのであつて、証人としての立場上、事実を言つたのではない、こういうことでありますから、そこにその当時における発言者と総裁の証人としての回答との間に、何か若干食い違いがあつたのだと、私この機会においては解釈して、これ以上お尋ねを申し上げませんがその間にかりに何らかの誤解があつてのことだとすれば、その誤解を事前に解ける道があれば、できるだけ解いておく必要があるのではないか。かりそめにも国有鉄道総裁という重大な責任のある人が、責任ある国会の中で証人としての発言の中に、明らかに偽証があるということを言われるようでは、あなたにとつても非常に迷惑千万でもあるし、国鉄自体にとつてもきわめて重大であろうと思います。いずれ速記録ができると思いますから、私も速記録ができ次第、一応それを読んでみたいと思つております。その上で、そうい発言もわれわれの近くにおりますので、その発言者の誤解であるならば誤解であるように、その点は一日も早くはつきりさせたい、こういうふうに思うわけであります。総裁も、重要なことですから、この機会にひとつ積極的に速記課の者とも相談して、当時の速記録を早く読んでおく必要があるのではないか。私どもも読みますけれども総裁自身も、何も言われない事柄でありますれば問題外でありますが、事実そういうことを公然と言つておる人もおるわけですから、その意味において、この問題についての解釈上不一致な点があるならば、できるだけ早く解釈上の問題で了解がつくならば一番いいと思うが、しかしその問題を越えてこれを法律上で争うというような問題になるに至りましては、ゆゆしいことではないかと思いますので、この機会にお尋ねしたわけであります。  鉄道会館の問題については、以上で私のお尋ねしたいことは終りますが、最後にそれ以外のことで一言この際総裁に伺つておきたい。それは言うまでもなく当面の問題となつておる裁定の問題でございます。この問題につきましては、一昨日以来ですか、同僚の各位からも運輸大臣あるいは総裁等に尋ねておるわけでありますが、政府はすでに国会に、この裁定は予算上質金上受入れられないものであるという観点に立つて議案を出して来ております。しかもこのことは職員にとつてきわめて重大な問題でありますので、三公社五現業の関係の連合委員会ども、目下きのうから引続いて開会されておるようなありさまであります。もとより総裁の立場でありますから、国鉄四に重大な関心を払われておるというとは言うまでもないことだと思うのであります。しかしながら政府が出して来たところによりますれば、とにかくこの裁定はとうていのめない、だから国会の意思表示をしてもらいたい、こういう端的な形で出て来ておるわけであります。その間に何らの幅もなければ、余韻もないという形で全部が同じように出されて来ております。そこで私はお伺いするのですが、今日国鉄の職員の異常な努力協力によりまして、経済自体の問題とももちろんからんでのことではございますが、予期以上の増収が期待されることは明らかになつて来ておるようであります。その増収が一部に伝えられるところによりますれば、どんなに少く見積りましても六十億以上あるのではなかろうか。場合によつては今後運賃値上げなどがかりに行われるとすれば、さらにその増収がぶくらんで行くであろう、こういうことも言われております。しかし運賃の値上げの問題はこの際問わないといたしましても、とにかく六十億以上にわたるところの増収があるであろう。さらに一方においては、そのかわり不時の災害としての大きな打撃を受けておりまして、この災害の復旧をしなければならぬ経費もまた相当な額に上つておる。そういう実情であることは私どもも万知らないわけではないのでありますが、こういつた職員の努力協力によつて主として生れて来たいわゆる増収とか、あるいはまた職員の努力にようて節約されたいわゆる消極的な収入増、こういつた経費というものは、まずできるだけ職員にもどしてやる、こういう立場をとられることが最も好ましいあり方でわないかと私ども考えておるわけであります。そこでこの組合側から私どもにまわして参りました書類によりますと、組合の今要求いたしております二箇月分の期末手当、それから裁定実施に要する費用の増、こういつたものはほとんど国鉄の内部で差繰りができる、こういう立場でかなり具体的な数字をあげて持つて来ております。こういう書類は総裁もさだめし何らかの機会に見られておるのではないかと思うのですが、この組合の出しております具体的な裁定完全実施の処理の方法といいますか、予算案といいますか、この問題について総裁はどういうふうにこれをごらんになつたが。この点についてごらんになつておるとすれば、ごらんになつた上の、そのときの考え方、感じ方というものがあつたと思うのですが、それをまずこの機会に聞いておきたい、こう思うわけであります。
  43. 長崎惣之助

    長崎説明員 ただいまの御質問でございますが、今年度当初予算にございます収入よりも増収になりますことが、これについてはやはりそれに相応する経費がかかるから、六十億がまるまる全部残るわけではございません。その他、所定の経費の節約になりました部分もございます。それらを合せますと相当の額に上りますが、何しろ百億にも上る非常な大災害に際会いたしまして、その方面の費用が急を要するわけでありますが、幸いにして予備費がございましたので、応急的な処置だけは、予備費によつてまかなうというふな処置に出ているわけでありますが、さてこれらの増収あるいは節約というものを災害だけに使うということも、これはあまりにも当を得ない。やはり一部は従業員諸君の努力というものにも報いて行かなければならぬと考えておりますが、それを全部従業員諸君にまわすということも少し不合理でありまして、やはりこれは国民大衆のサービスという面にまわさなければならぬ部面も出て来る。国家財産としての増加という方面にもまわさなければならぬということで、私は大体三分してこれを考えるべきじやないかということを常に思つております。これらを全部合せて考えますと、何としてもやはりほかに財源を求めなければ、目下のところでは仲裁裁定というものは、現在の予算では実施がまつたく不可能であります。そこで私は政府並びに国会に対しまして、どうか裁定の実施ができるような処置を今後において考えていただきたい、かように要請しております。それがあるいは運賃の引上げによりますか、あるいは一時の国の借入れによりますか、いずれにしましても、とにかくことしは何とかしてそういうふうな方向に持つて行きたい。川島委員御承知のように、裁定の完全なる実施ということはいまだかつて一度もない。そういうことでははなはだ遺憾であります。どうか今回だけでも裁定の完全なる実施ができますように、われわれももむろん努力はいたしますが、皆さんで智恵をしぼつてとつ考えを願いたいと考えております。運賃の引上げにいたしましても、やはり一般経済の情勢その他による問題も勘案いたさねばなりません。この財産の問題は大いに考えなければなりませんが、心持としては、私は仲裁裁定の完全なる実施ということをひとつお願いしたい、かように存ずる次第であります。
  44. 川島金次

    ○川島(金)委員 その心構えは当然だと私は思うのですが、そこでさらにお尋ねしますが、事が国会に持ち込まれます前に、さだめし総裁運輸大臣との間、あるいは大蔵当局との間、そういつたような関係において、いろいろの事前的な折衝あるいは話合い、そういつたものがあつたのではないかと私は思うのですが、そういうことについて、何か折衝などがあつたかどうか、その点について経過を示してもらいたい。
  45. 長崎惣之助

    長崎説明員 私どもは今度の国会におきまして、予算の補正をお願いしたいという話合いを進めたのであります。しかしこの仲裁裁定をめぐり、また災害をめぐつての厖大な予算になりますので、これはもう少し慎重に考究しなければいかぬだろうということで一実はわれわれの希望とは反対に、今度の国思に補正予算を出さないということになつた、簡単に申し上げると、そういう経過であります。
  46. 川島金次

    ○川島(金)委員 そこで政府は、十二月早々もしくは十一月末、第二の補正を考えておるようであります。その場合に当然にやはりこの裁定の問題あるいは期末手当の問題が、その補正に考えられて来るのではないかと考えます。そのことについて国鉄当局は何か積極的な、運輸大臣あるいは大蔵当局に対する働きかけと申しますか、内交渉と申しますか、そういつたものをしているか、その点はいかがですか。
  47. 長崎惣之助

    長崎説明員 ただいまも申し上げましたように、この直近の国会に予算の補正を出しまして実施していただきたいということを、私は切実に希望しておる次第であります。この点は今後大いに努力したいと思つております。
  48. 川島金次

    ○川島(金)委員 その場合に、ただ漫然と国鉄当局運輸大臣や大蔵当局に話をしているんじやなく、こういう方法がある、こういう経費がある、こういう形の方法でこういうことができるというような具体的なものを、さだめし持つているのではないかと思いますが、その当局としての具体的な案を持ち合せておるならば、この機会にわれわれにひとつ教えていただきたい。
  49. 長崎惣之助

    長崎説明員 むろんいろいろ案を考えておりますが、これはまだ研究中の問題でございまして、申し上げることはいかがと存じますが、たとえば私はこういうふに考えております。道路、河川その他におきましては、相当の国庫の助成と申しますか、補助と申しますか、そういうものがございます。しかしわれわれの災害に対しては全部自前でありまして、何らそういうめんどうを見ていただけないということは、非常に片手落ちじやないかというふうに考えておりまして、そういう面での折衝もいたしております。おもなことはそういうことであります。
  50. 川島金次

    ○川島(金)委員 先般私どもが新聞で拝見すると、総裁は運賃の値上げの底意があるかのように、きわめて具体的に新聞は報道しておりますが、今の裁定の問題の実施にからみ合せて、そういつた運賃の引上げ問題も、一つの具体案として運輸大臣なり大蔵当局なりと話を進めて来たのでありますか、そういう事実があるかないか、その点はいかがですか。
  51. 長崎惣之助

    長崎説明員 何しろ仲裁裁定の平年度の実施になりますと、相当多額な金額に上ります。これをどういう方法で調達するかということについては、今後の考究をまたなければなりませんが、あるいは運賃の引上げということに及ぶかもしれません。しかしながら運賃の引上げというものは決して好ましいことではないのでありまして、でき得るだけ低運賃で、よいサービスをするということが、われわれの一つの任務でございます。従いまして運賃をかりに引上げるにいたしましても、その時期あるいは割合等、いろいろと勘案しなければならぬと思つております。今日の場合におきましては、まだその点までの研究には至つておらないのでありますが、あるいはそういうことになるかもしれないと思つております。
  52. 川島金次

    ○川島(金)委員 これはいつも歴代の総裁に、——といつても二人ですが私は申し上げているのですが、一体今日の公共企業体としての国鉄の、いわゆる世にいう独立採算制というもののあり方に、大きな問題があろうと思います。私どもの方では先般来その点をいろいろ研究いたしまして一台の公共企業体を廃止して、むしろ民主的な形を前提とする国営の方がいいのではないか、こういつた議論が強く起つて来ているのであります。一体公共企業体にして、しかも独立採算制だ、こういつておきながら、その採算をとる運賃は、一種の社会政策と申しますか、国策の線に沿つてできるだけ押えて行かなければならぬ。その上に、運賃の問題は、独占に近い企業であるために、経済に及ぼす影響が大きい。ことに物価騰貴に関係が強い。こういうことと、通勤者等に対する低額輸送制、こういつたいろいろのことの制約を受けながら、今日の公共企業体としての国有鉄道はある。しかも一方から見れば一独採算から、いろいろなことはすべて公共企業体でできるだけまかなつて行きたい。これでは真の独立採算制の公共企業体としてのあり方ではない。少くとも国策の線に沿つて運賃が低額に定められ、あるいは社会政策的な見地から旅客運賃などがきわめて低い線で押えられている、そういつた国策や社会政策的な点によつて受ける国鉄自体の当然にあるべき収入の減を、これは一般会計国民全体の立場で負担する、こういうことでなければ、私は今日の国有鉄道のまつたく健全な運営というか、発展的な運営というものは期せられないと考えておる、一人です。そこで私は年来の一つの主張として、公共企業体としてのあり方を再検討する場合、運賃があくまでもそういう形で押えられ、また日本の経済の実情から押えて行かなければならぬ実情にある間は、その企業内におけるところの、そのことによつて直接こうむる収入減というものは、政府自体がこれを負つて国民全体がこれをカバーして行く、こういう形でなければならないという考えを持つておるわけであります。吉田総理大臣などは、国有鉄道の円滑な運営を期するためには、今の形より民営がいい、さらにまた一説には、先月の初旬ころには、閣議の席上で非公式ではあるけれども国鉄の直営案が論議された。とにかく同じ政府の中でも、総理大臣は民営が、いい、それから閣議の中でも一部の大臣閣僚はこれを直営に直した方がいい、こういうふうに議論が二つにわかれておるので、一体吉田内閣の国有鉄道に対する考え方というものはどこにあるのか、さつぱりわからぬような実情である。そういうことでありますことは、国民はとにかくとして、四十万の職員諸君が行きどころに迷うということも当然にいえるわけであります。そこで私は伺うわけです。長崎総裁は多年国鉄の中で育つて来て、今日代表的な責任者の地位にあるわけでありますが、国鉄のあり方というものは、今日のような公共企業体の形で満足できるのか、これで一体日本の輸送の最も大きな部面を占めておるところの国鉄の健全な発展が期せられるかどうか。こういうことについて総裁は、基本的に今日どのように考えておるか。たとえば吉田総理の言うような民営案がいいのか、あるいはむしろ公共企業体を廃止して直営案がいいのか、あるいはまた現在のような公共企業体関係において何らか複合した形の方が、国鉄の民主的な発展の上に寄与するところが多いのか。そういつた三つの問題が当面は出ておるわけですが、この問題に対する総裁の率直な、基本的な考え方というものを、この際明らかにしてもらいたいと私は考えておるわけであります。
  53. 長崎惣之助

    長崎説明員 民営あるいは国営、あるいは今の公共企業体の形態による経営、いろいろなことが考えられるのであります。しかし私は、要するにそれらの議論がなされるということは、現在の国有鉄道運営そのものの実態がきわめて不満足な形である。これを一日も早くりつぱなものにいたしまして、国民全体の期待に沿い、信頼にこたえるような方向に持つて行きたいというお心持ちからではないかと思います。それについて私のまことにまずい経験でございますが、その経験から割出して考えますと、要するにこの企業の改善あるいは企業の拡張というようなことは、いずれにいたしましても企業が繁栄する方向に持つて行かなければならないと思うのであります。しかるに、忌憚ない言葉で申しますと、採算とか企業とかいう見地から申しますと、新線の建設といつたしのは企業の拡張でございますが、これは明らかに損失の行く企業を拡張することに相なるのであります。しかしながら一方、公共性あるいは国家の伸展発達、電力の開発あるいは国土の開発という観点から申しますれば、私はやはり新線建設はある程度やらなければならぬ問題であると思います。そういう責任もわれわれに負わされる。さらに運賃等の問題につきましては、先ほど川島委員から御指摘がありましたように、一般国民経済の観点もしくは社会経済の観点から、これを極度に低い線で押えるということになつておる。減価償却その他のことも十分にできない。その損失の行く新幹線は、われわれの利息のつく借金でまかなわなければならぬ。これには政府の出資が当然だと思いますが、それともできない。しかしこれまた国家全体の財政の上からは、やむを得ないということになつておるようでありまして、敗戦日本の現状はそうであるかもしれませんが、まあずいぶんつらい経理財政企業ということになつておりますので、私は決して経営形態の問題ではなくて、そういうところに日本国有鉄道が皆さんから満足をいただけないところ、特にもがいているところ、そういう苦難の道があるのではないかと思うのであります。その点を何とか打開いたさなければ、私は民営になりましても、国営になりましても、同じことじやないかと思います。  よけいなことを長々と申し述べて恐縮でありますが、過般私ヨーロツパヘ参りましたとろこ、ヨーロツパの各国ともほとんど全部国有であります。そして大体において公共企業体のようなものが経営をいたしております。イギリスは多少違います。これがやはり、われわれほどではございませんけれども、運賃はある程度物価の水準までは上つていない。しかし一方においてはバス、トラツクその他の競争と相対抗しまして、経営の現代化と申しますか、合理化と申しますか、そういうことをどんどんやつて行かなければならぬ。それには相当金がいるが、その金の出場がないというようなことで、非常に苦しんでおります。ただフランスにおきましては、先ほど川島さんからお話がありましたように、運賃の低下を政府が要請する場合においては、それに対する補償を払うことになつております。傷痍軍人あるいは多数家族の割引というようなものに対しましては、やはり政府が補償いたしております。さらに平面交叉の踏切りは、国と国鉄とが半々に費用を負担しております。それからさらに線路、建物、ホームというような地上設備につきましては、政府がある程度の割合の負担をいたしております。これはしかし後に至りまして、道路の使用料のようなものを国鉄から政府にお払いして返すという建前でありますが、そういうふうにやつておるそうであります。これについては、多少意見がましいことを申し上げて恐縮でありますが、運送業というものを見ますと、海運業は船だけ持つておるの、であります。港その他の設備は、国または県が負担しておるのが現状であります。それから航空機も、空港は国がやつておる。航空企業というのは飛行機だけしか持つていない。バス、トラツクも同様でございます。道路というものは国あるいは県がつくる。ただ一つ鉄道だけは、何から何まで全部やらなければならぬということで、非常に欧州では問題になつております。と申しますことは、鉄道政府独占の企業であつた時代はそれでよいと思うのでありますが、今や独占というものは大分ゆらいで参りまして、バス、トラツクにどんどん食われて参りますという場合に、何から何まで全部やらなければならぬのかということが、非常にヨーロツパでは議論になつておりまして、漸次これが是正の方向に向つておる傾向でございます。そういう点は今後日本においても考えて行かなければならぬ。そうして日本においては、バス、トラツクと鉄道との競争というようなことはやめまして、それをどうして手をつないで、最も能率のいい運営をするかという点に重点を置いて行かなければならぬ。要するに国鉄の問題にしましても、経営機構の問題ではなくて、そういう根本的な観点を十分に考究しまして、そして改善をはかつて行かなければならぬ、かように考えております。
  54. 川島金次

    ○川島(金)委員 国鉄の将来のあり方は、私は日本経済にとつても重大な立場ではないかと思いますのでお尋ねをしたのであります。最後に、ざつくばらんに申し上げますと、国鉄当局はここ半年ぐらいの間、鉄道会館問題をめぐつていろいろ国会論議の焦点となり、その都度国会に招致を受けて、ほとんど首脳部はこの問題に忙殺をされてしまつたというような感じが私はいたしておる。従つて最高首脳部がおちついて国鉄の今後の問題、あるいは当面の重要問題についていかに処置し、解決するかというようなことについての研究やら努力、時間というようなものが、相当大幅にはばまれて来たのではないかと想像をしておるものであります。しかし当面の鉄道会館等の問題がいかようにあろうとも、それはそれとして、別にやはり国鉄首脳部は、今後の国鉄というものは一体どうあるべきか、こういうことについて大きな観点に立つての立案なり計画なりが、着実に一面においては行わるべきであろうと私は思います。またそうでなければならぬと思うのであります。私は今後の国鉄の発展を期する大きな一つのめどは、何といつて国鉄の電化、これに重心が置かれて、それを軸として今後の国鉄の全体的な発展どいうものが、広く大きく展望されるというものでなければならないのではないかというような感じがいたしておるわけであります。そこで先般私は当局に希望をいたしたのでありますが、国鉄の将来の発展は日本経済自立と相からんでの大きな問題でありますので、国鉄国鉄として、日本経済全体を展望しながら、その一環としての何か長期的な計画を持つべきではないか、そしてその長期的な計画を持つた上に立つて政府とも折衝し、国会とも了解され、その上に立つて国鉄の飛躍的な発展を期しながら、日本経済の自立達成の大きな役割を果して行く、こういう構想というものがなければならないはずである、こういうことを申し上げたこともあるように記憶いたしておるのでありますが、そういつたことについて、国鉄自体においては高い立場に立つて、今日のところ何らか長期的な計画みたいなものをつくられておるかどうか。もしそういうことについて何か構想なりともあるのでありましたら、この機会国民の前に知らしておいてもらつた方が好都合ではないかと思いますので、その点を最後に承つておきたいと思います。
  55. 長崎惣之助

    長崎説明員 今日の鉄道の世界におきましては、御指摘のように動力の切りかえ、石炭から電力、あるいは石油を燃料とする動力にかわつて行くというのは、世界的な傾向であります。わが日本におきましても、電化というものが非常に有利であるということが今日の情勢でございます。従いまして電化に主力を注いで参りたいということは十分に考えております。長期計画という問題につきましては、これまた過般の議会におきまして、今後継続費というものを出すことになつておりますので、それを機会に来るべき通常国会に、二十九年度以降の長期にわたる計画の発表をいたすつもりでございます。その点につきましてもすでに若干の案はございますが、それを今後さらによく練りまして、その機会に皆さんの前にごひろう申し上げて、皆さんの御批判を仰ぎたいと思います。
  56. 川島金次

    ○川島(金)委員 次の通常国会までには何かそういつた長期計画的なものが出るとのお話でありますが、その具体的なものがまとまる前のものでもけつこうですが、何かここでアウト・ラインでも説明ができるものがありますならばこの機会にひとつ若干だけでもよろしいですから承知しておきたいと思いますが、何かないかどうか。
  57. 長崎惣之助

    長崎説明員 今日私ここへ持つて来ておりませんが、適当な機会に皆さんにあらかじめごひろう申し上げてさしつかえないと思います。いい機会を見つけまして、皆さんの御批判を仰ぎたいと思います。
  58. 川島金次

    ○川島(金)委員 次の国会にそういつた具体的な長期計画が提案される事前に、その草案あるいは試案、あるいは未定稿でもけつこうでありますが、われわれに正式に提案され、あるいは発表される前にお示しを願うことを、約束しておいてもらいたいということを希望いたしまして、私の質問はこれで一応打切つておきます。
  59. 關内正一

    關内委員長 臼井莊一君。
  60. 臼井莊一

    ○臼井委員 鉄道会館の問題につきましては、今までほとんど論じ尽されたのでありますが、ただ総裁にお目にかかる機会が少かつたので、一、二ちよつとお伺いしておきたいのですが、国鉄会館をつくるに至つた動機でございます。これは現長崎総裁が立案というより、あるいは前総裁加賀山さん、あるいは立花さんあたりの御立案かもしれませんが、一応御相談があつたことは当然で、従つてどういう動機で国鉄会館なるものをつくるに至つたか、その点をちよつと伺いたい。
  61. 長崎惣之助

    長崎説明員 私は就任以来実は駅の建物——線路とか、ホームは別でありますが、駅の建物をそう早急に直さなければならぬというふうには考えておらなかつたのであります。できるだけ線路、車両というような、ほんとうの輸送の中身をなすものをまず復旧しなければならぬ。もつとも建物のようなものは危険があつてはたいへんでありますが、そうでない限りはなるべく押えて行きたいという心持でありましたから、従つて八重洲口の停車場というようなものについても、大体同じような考えをしておつたのであります。ところが近来非常に東京駅の乗降が頻繁でありまして、特に六番、七番というホームができますと、あすこから全部東海道線の列車が出るわけであります。そうすると八重洲口というものは非常に設備が不備でありまして、御不便をかける。さらに日本通り、あの辺の高層建築などがだんだんできて参りまして、あのままでは不体裁であり、旅客公衆のサービスにも欠けるところがあるとわかつて参りましたので、いやでありましたが、何とかしなければならぬというような気持になつたのであります。それで最小限度の金でもつて、あすこに何か便利な停車場をつくらなければならぬ、しかしその際に、停車場としては一階くらいでむろんたくさんなんでありますけれども、ああいうところを立体的に利用せずに置くということも、ずいぶんもつたいない話である。それによつての増収も若干考えられるというような見地からして、一体そういうものをどういう形であそこにつくるべきかということは十分検討いたしましたが、その際にはやはりわれわれの方としましては事の性質、内容から考えまして、資力ないしは信用度、あるいは協力ができるかどうか、われわれの方の意向をくんで、あまり不体裁でないことをやつてもらわなければならぬというようないろいろな観点からいたしまして、くふうの結果、まあ今の鉄道会館のような形のものがいいのではないかというのが動機でございます。
  62. 臼井莊一

    ○臼井委員 ただ八重洲口が必要だということ、これを改善していいものをつくるということ、これは当然でありますが、ただ、ただいまの増収でございますね。よく私鉄が駅の復興とか、あるいは改修等のために、ああいうような、いわゆる民衆駅という名前をつけおりますが、われわれはあれはデパート駅というふうに言いたいのでありますけれども、いずれにしてもああいうものをやりつつあることが、方々に実例があるのであります。これはもとより外見とともに増収をはかるということが、大きな目標ではないかというふうに考えるのであります。ところが国鉄会館等のあれを見ると、すでにたくさん論ぜられたように、どうも駅本来の目的であるべき乗客の便利というより、デパートに偏重し過ぎているよう意われるので、そこにいろいろな問題があろうと思います。というのは、むしろ乗降客にじやまになるような程度にまで品物を並べたり、それから鉄道を利用しないでも品物を買うとか、あるいは催し物を見るというようなことのために、相当人が集まるということになると、本来のお客様は非常に迷惑するわけであります。一番はなはだしい例は、これは国鉄ばかりが直接の責任者ではないのでありますが、渋谷駅などは、われわれはたまに参りますと、どこがどこだかわからぬというような——各線が入つておるせいもありますけれども、どうもそういう点でみながああいうものができることは、はたしてどうかということを心配しておる点があろうと思うのであります。先般もいろいろ発案の立花さんあたりに伺つてみると、りつぱな駅をつくりたい。りつぱな駅というのは、決して外観とか何とかいうことではなくして、乗客に便利であり、能率的だ、そういう意味におけるりつぱな駅ならいいです。が、われわれとしては少くとも一階だけは、そういう乗降客のためにサービス用にでも、何にでもすべきであろうと考えております。ところが先般図面なんか見ると、一階も相当に、いわゆるデパート風な店の方に使つておるように思いますので、もちろん駅において乗客のためにみやげものとか、あるいは旅行用の日用品とか、そういうものを求める、あるいは簡単な食堂、喫茶というようなものを設けるということは、非常にけつこうだと思うのですが、どうも行き過ぎて、大デパートをつくるとかいうことになると、将来必ず問題になる、いわゆる大企業、大デパートの、中小企業の商人に対する圧迫ということが、将来必ず問題になるのではなかろうか、そのときにやはりああいうものをつくつたことが、一つの問題になるのではなかろうかと思うので、それを非常に心配しておるのであります。鈴木委員がよく申しましたように、輸送力増強と安全と、お客さんに対するサービスということに、やはり重点を置いていただかなければならぬということを、われわれの立場上申し上げるので、あります。先ほどの御説明にもありましたが、徐々によくなりつつありますが、自分が通つているから目につくのでありますが、房総線あたりのけさなど千葉から参りますと、銚子から来る列車、あるいはまた房総線から来る列車、これは郵便車の中にぎつちり通務者が入つている。昨年でありましたか、あまり入り過ぎたので、古い木造の客車が破裂してはみ出して、途中でたががはねてしまつたこというような状況を見て、万一そういうような事故でもあると、これはローカル線といつても、房総線などはほとんど東京都に通勤の方が多いのであります。ですから、お客さんも、荷物ならこわれてしまうぞと叫んでいるような状態です。従つてぜひそういう方面の改良を十分にしていただかぬと、われわれ委員としての職責上困るわけであります。ただ国鉄が今度これを計画されたについて、増収という面ではたしてどれだけ考慮されたかということを承知しておらないのでありますが、こういうものを計画されるときに、大体どのくらい収入があるとかいうことを、おそらくお見込みをつけてやられていると思うのですが、何かこれは鉄道会館ばかりでなく、池袋とか、小樽とか、こういう実績がありましようが、鉄道会館でどれくらい国鉄に収入があるという御計画であつたのでしようか、その点をちよつと伺いたいと思います。
  63. 長崎惣之助

    長崎説明員 その予定がなかなかむずかしのでありまして、八重洲口にああいう建物ができますと、地価がどうしても上りますから、従つて土地の使用料が上つて来るわけでありますが、ただいまのところ全部完成しますと、年間五千万円以上の収入があると考えております。
  64. 臼井莊一

    ○臼井委員 小樽とか、大阪とか、池袋とか、各駅にこういうものをつくられたのですが、この次までにそういう実績を参考に御提出をしていただいて、審議の参考にしたいと思います。この点をお願いいたします。  それから先ほどちよつと問題になつたのですが、交通公社は手数料は五分というように承知しているのですが、そうでありますどうか。それともう一つ、鉄道に対する払込みは、やはり翌月の月末まででありますか。先ほどちよつと御説明になつたようでありますが、聞き落したので、その点お聞きしたいと思います。
  65. 天坊裕彦

    ○天坊説明員 交通公社の手数料は五分でございます。それから交通公社の売りました切符の代金は、先ほど説明いたしましたように、一箇月遅れで徴収しております。一箇月間は向うもこちらも整理いたしまして、一箇月遅れたものについては延滞利子をとつております。これが先ほどの説明でいろいろ一月か二月遅れたりした時期がございましたが、この十月から一月遅れの幅の中に入つてしまうということを先ほど御説明したのであります。
  66. 臼井莊一

    ○臼井委員 どうも独占的なああいう交通公社のような仕事が五分ということは、ちよつとよ過ぎるのじやないかというふうにも考えます。たとえばタバコあたりでも、おそらく二分か三分であろうと思います。印眼だのはがきなどは、これはやはり非常に少いと思うのです。ただ私の申し上げたいのは、独占的な仕事ですから、もちろん駅でやつているのだから、競争という、ことになるのですが、しかし交通公社はますますあれを利用することがいいということは、半面において鉄道においては券の販売のサービスが悪いということの一つの証左にもなるので、逆に言えば、それは交通公社の方がサービスがいいということにもなるのでしようけれども、いずれにしてもそういう点を——これは手数料の点だけではいかぬと思います。交通公社の収支を見て、適正にやつておられるというならば、これはわれわれあえて何も申しませんが、ただかりに、これが占領中は進駐軍によつて手数料のあれを停止されていたようなときがあつたようですが、これも鉄道の増収をはからせようということの趣旨だろうと思うのですが、今日のように場合によつては運賃まで値上げせなければならぬ際に、あまりそういう点で公社の方が有利だということで——これは仮定でありまするが、それがために従業員が待遇がいいということになれば、やはり国鉄との関係もございましようし、あるいは国鉄より悪いかもしれませんけれども、そういう点を勘案されて、将来の問題として、ひとつよろしく御検討をいた、だきたい。  それからこの鉄道に払い込む金ですが、ただいま一箇月延べとなつておるというお話ですが、これは月はなに売れたものは、月末というとこれは二箇月になるのでございますね。たとえば九月初めに切符が収入があつて、翌月の月末ということは、これは二箇月になるので、従つて国鉄が金が十分おありになつていて、別に御不自由なければけつこうですが、そうでなければ、これを二週間たつたらそれを精算して、その次のあと二週間中に納めるとか、何とかもう少し刻んで行くような——これは一時にすると公社の方でも困るかもしれませんが、先ほどの日通のように、手形で売るというようなことはないはずで、ほとんど現金でございましようから、そういう点もお考えになつて、というのはあまりこれをゆるくしておくと、ちやんと積んであれば、これは利息が公社の方へ収入になるので、その点だけでしようが、これがためによそへまわすというようなことになると、これまた問題になりますので、徐々にひとつそういう点もお考えいただきたいということを申し上げまして、私質問を終りといたします。     —————————————
  67. 關内正一

    關内委員長 この際お諮りいたします。閉会中審査案件が付託になりましたならば、労働委員会において審議中の公務法第十六条第二項の規定に基き、国会の議決を求めるの件、すなわち国有鉄道に関するの件について、閉会中連合審査会の申入れを行いたいと存じますが、これに御異議ありませんか。     〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  68. 關内正一

    關内委員長 御異議なければさよう決します。  なお日時等につきましては、労働委員長と打合せの上、公報をもつてお知らせいたします。  本日はこれにて散会いたします。     午後零時四十四分散会