○吉田
法晴君 それでは私から第一班北海道班の御
報告をさせて頂きます。
報告が未熟でございまして、或いは要領を得ない個所もあるかと存じます。その点はお許しを頂きたいと思います。
北海道に参りました一班は、伊能、市川、阿
具根議員のほかに私が参り、七月十八日正午近くに北海道に着いたわけでございますが、昼食の後、二時頃から市内或いは市内近くの豊川流域の
発電所を二カ所、それから先ず給電
指令所を見ました。北海道電力株式
会社の
中央給電指令所を
調査に参つたのでありますが、これは北海道における八ヵ所の地方給電
指令所を統轄して、北海道全体の電力の需給
調整をやり、それから指令の地位にあるものであります。給電
指令所の指令については私から申上げるまでもないことと思いますが、この給電
指令所は北海道の電力関係の中枢でございましてここがとまりますということは、全体がとまるということでございますが、結論から申しますと、昨年の
ストの際においてもここにおいては操業がとまつたということはない。それから
組合からも
代表者等も来ておられましたが、特殊な技術を持
つております給電司令所の
組合員は終始ここにおつたということであります。
争議の際には
会社側は非
組合員或いは停年退職をしました者等を以て補充して作業に当らせることにしておるけれども、この作業は各
変電所と特殊な符号を以て連絡をしておるから特殊な技術を要する、こういうことでございまして、いろいろな操作についても
説明があり、或いは
争議の際に電圧が下るのではないかということで非常に心配をして見ておつたということではございましたけれども、実際問題として給電司令所の
組合員がその作業場を離れたことがなかつたということで、あとは技術的
説明を聞いたのにとどめたのであります。
その次に、二番目に藻岩の
発電所を見たのでありますが、
出力一万二千、小さい
調整池を持つた水路式の
発電所でありますが、
従業員は
所長以下二十五名で、四直三
交替で、
電源ストの行われました場合には、事故がなければ
所長一人でも操作はできるのでありますが、事故の発生に備えて非
組合員等を補充する建前であるし、それから事実上停止したということは、はね返り
ストの場合に一回あつたという程度で、あとは
発電を停止したことはなかつたということです。
なお同日この藻岩
発電所の取入口を見、それから簾舞の
発電所を見たのでありますが、簾舞の
発電所につきましては、藻岩の
発電所と同様でございますが、簾舞
発電所のほうが小さいので、簾舞
発電所は事実とまつたことはないということであります。
それから七月十九日日曜日、札幌の市民会館で、
労働組合側五名、
使用者側五名、学識経験者二各、消費者代表二名、計十名の公述人の出頭を求めて、
電気事業、及び
石炭鉱業における
争議行為の
方法の
規制に関する
法律案に関して
現地で公聴会を開いたのです。私が座長、進行係を命ぜられてこれを進行したのでありますが、
最初に公述をしてくれましたのは道
炭労の組織部長高田正夫君であります。高田君はこの
法案については
反対であるとして、提案の動機から或いは内容から、この二点から本
法案に
反対をせられたのであります。
で第一の本案提案の動機上の
理由は、これは本
法案は昨冬行われた
電気事業及び
石炭鉱業の両
ストライキに対する代償、報復として提案されたものである。併し六十三日間に亙
つてストが
長期化した
理由は、
石炭鉱業における劣悪な
労働条件向上のために、真に止むを得ず行なつた賃上げ要求に対して却
つて賃金を引下げる案を以て応じて来られ、或いは四十数日にして初めて横すべり案が出て来たのであるが、こういう資本家側の
労働条件低下の
意図がむしろこの
争議を長引かしたものである。然るに本
法案を提出しようとする
政府は、明らかに
労働組合を抑圧しようとするものであるというので
反対である。それから第二は、
法案の内容に関連してでありますが、鉱山
保安法は本来鉱山
労働者の生命、人命の保護を主たる
目的として
制定されておるにもかかわらず、本
法案によ
つて労働関係の面に適用される場合には、
経営者の私有財産保護を重点として用いられるに至るであろうから、かように鉱山
保安法のような
労働者の人命保護の
法律を、
労働者を抑圧するための
法律に悪用せんとするこの
法案には
反対である。本
法案は、
労使対等の建前を前提にして行われる
保安要員の数を、
保安管理者が一方的に定めることを可能とし、
労使対等の原則を破ることになり、そして
労働基本権を剥奪せんとする単独立法である、或いは時限法であるから
反対であると言われたのであります。
二番目は、北海道の道鉱連専務
理事の能勢荘吉君でありますが、能勢君はこの
法案について
賛成である。
理由として、確かに昨冬の
ストの最終段階に
保安要員の
引揚げは実際には行われずに済んだが、併し今後
引揚げるという可能性がある限り本
法案による
規制は必要である。本
法案の
反対の
理由として、緊急
調整の発動を以て十分であるとする者があるけれども、緊急
調整は大規模、
長期ストによる
国民経済の危機に瀕した場合発動されるものであ
つて、それ以前の小さな
スト、或いはそれ以前の事態において
保安要員の
引揚げが行われた場合にはこれを
規制する
方法がない。そこで本
法案に
賛成である。本
法案が通過した後に実施の面で心配する者があるが、従来の北海道の各
炭鉱においては
保安の
慣行があり、或いは日曜だとか、正月等の休みに
保安要員として出動しておる実例等から一つの線ができておる。
保安の確保に各をかりて
経営者側が採炭を行い、
スト破りをさせると考えるのは杞憂に過ぎません。勿論第三条の正当な運営或いは重大な損壊の
解釈について
労使の間に問題があるのは、規定の仕方があいまいなためであるけれども、
労使相互に信頼して、良識を以てこれは
措置すべきであろう。
なお一般に
坑内外を問わず、病院、配給所、浴場、寄宿舎等についても
保安要員を出しておる実情だ、こういう
賛成意見が述べられました。
三番目は北海道電産の書記長代理永瀬隆之君でありますが、同君は
反対。第一の
理由は、立法の動機が不純であり手続が非民主的である。昨年の電産
ストの
長期化の
理由は、
労働者の切実な賃上げ要求に対して
経営者側が
賃金引下げ、
労働条件の低下、電産の分裂化、或いは
労働組合の御用化を以て応じたためである。この間
政府は無為無策でありながら、国民の
ストライキに対する忌避感を利用して、
スト長期化の一切の
責任を
組合に押付け、本
法案を提案して来ておる。第二にこの
法案は違憲の
法律である。
憲法に保障された勤労者の団体交渉権或いは
スト権等、
労働者の基本権を資本家の利益のために侵害する違憲立法である。第三に、本
法案は明かに
労使対等の原則を破り、
労働者を拘束し抑圧するものである。第四に、
公共の
福祉に名をかりて一方的に資本家を擁護するものである。
会社の一方的
経営を認めんとする本
法案が通過したならば、
電気労働者の
生活の向上は望むべくもなくなるであろう。第五に、諸外国にはかかる立法の慣例を見ないこの法は悪法である。本
法案ほど
争議禁止の細目を規定した
法律を知らん。
組合運動の育成期にあるにもかかわらず、このような
規制をせんとする
政府の
意図を疑わざるを得ない。第六に、本
法案は却
つてストを
長期化せしめる結果を生ずるだろう。
争議の防止及び解決の鍵は資本家の
態度是正にこそあるのであ
つて、
争議解決の促進は
労使対等の原則の中から生み出さるべきだろう。以上六つの点、要するに本
法案は電産、
炭労にのみならず、
組合全般についてその弱体化及び御用化を図り、資本家を擁護する
法案であるから
反対するというのであります。
次は、北海道電力総務部長の鈴木幹郎君であります。同君は
賛成。その
理由の第一は、
電源スト、
停電ストが利用者に大変迷惑をかけておる。本来
争議は
労使双方の間で解決すべきものであるにかかわらず、
第三者の
犠牲において解決するのは間違いであろう。第二に、北海道においては
電源スト、
停電ストの行われたのは冬期渇水期であ
つて、
火力発電に半分以上依頼している時期に当るので、僅かな
組合員の
ストで北海道全体の停電も可能なわけで、
労使対等の原則から見ても余りに不
均衡なわけです。第三に、
電気事業は
独占事業であるから、
ストによ
つて国民が迷惑をこうむ
つてもほかに代るべきものはない。第四に、北海道における
実態から見ると、
水力発電所五十三カ所、
火力発電所六カ所、
変電所二百カ所で、
従業員は約六千名、そのうち非
組合員は約百七十名、ほかにこれは
技術関係者解約五十名であ
つて、
電源スト、
停電ストに入つた場合に処置のとりようがない。ましてはね返り
ストの際には処置の
方法がなくて極めて少数の非
組合員が数日又は数十日不眠不休で操業に当れば病人も出て、人道上の問題である。旧
公共事業令第八十五条によ
つて電気の正常な供給を拒否できないので、この
責任を
会社側のみが負うのは
労使対等の原則に反するというのであります。第五には、
争議予告制度があるけれども、十日前の予告はあ
つてないようなものであ
つて、はね返り等の
方法が行われ、
会社側としては処置の
方法がない。第六に、
電気事業労働者の
争議手段としてはこのほかに事務
スト或いは決算
スト、或いは株主総会に備えての
スト、
集金スト、
使用者に大なる打撃を与える
方法が幾らでも残
つておるから、
労働者の基本権を剥奪するものではない、こういう
意見であります。
次の第五番目は、北海道全道労協事務局長杉渕徳治君であります。同君は
反対。先ず条文上からい
つて第一条は、
公共の
福祉を
理由として
電気事業と
石炭鉱業のみを
規制しようとしているが、如何なる
産業も
公共の
福祉に若干の関係のないものはない。
従つて政府が
公共の
福祉の
理由で二大
産業のみを
規制する
意図は、昨年の
ストに対する国民の忌避感情を利用して非民主的な本法を提案したものである。第二条に関連して、本来
争議は自主的解決を本旨とするもので、
労調法の緊急
調整についてすら疑義を持
つておるのであるが、いわんや本法のごときは
争議方法を禁止する悪法てある。元来
第三者に
影響を及ぼさぬ
ストライキはないが、
企業家が
組合の申入れに対して配慮があれば、かかる事態は発生しないだろう、
労調法で十分間に合うはずである。又「直接に障害を」云々とある、「直接」の
解釈について疑義があり、本法の施行令、又は拡張
解釈によ
つて電気労働者は有効な
争議手段のすべてをなくする虞れがある。第三条に関連して昨冬の
ストライキにおける最後の段階で
保安要員の
引揚げを中止したのは、
労働者側の良識によるものであ
つて、勿論
労働者側は
引揚げにより全山破壊というがごとき事態の生ずる虞れがないという計算と計画に基いて行なつたものであ
つて計算に基いて
保安要員の
引揚げを決定したものである。勿論或る一部の崩壊、溢水、落盤等があるかも知れないけれども、
労働者が六十三日間の
ストライキで
生活が困窮に陥
つている際、望ましいことではないが、
経営に或る程度の
損害を与えても人道上の問題ではないと思う。結局は鉱山
保安管理者が重大な
影響ありと認定した場合に拒否できなくな
つて労働者の
争議権が資本家側に把握され、資本家はいつでも
争議を停止することができるようになるだろう。なお附則の点について、本
法案が本当に正しいというならば、かかる三年間の臨時立法とする規定の必要はないはずだ。ここに本
法案提案の
意図が読み取られるではないか。それから本
法案は我が国における二大
労働組合である電産、
炭労の弱体化を図り、
組合の民主化を阻み、産報化を招くものである。本
法案により
組合を抑圧した場合には、
組合は急進化するに過ぎ支い。最近の
政府の一連の立法、即ち独禁法の一部改正、警察法の一部改正、軍人恩給法等から見て
政府の政策は国民の民主化を抑制し、フアツシヨ化するものと考えられるが、本
法案のごときもその一環をなす悪法として
反対せざるを得ない。最後に国際的に見ても、かかる悪法は諸外国にその例を員ないのであるから、我々は
反対をすると述べられたのであります。
次は、道の
経営者協会の副
会長筧唐之君でありますが、同君は
賛成。
現行法は
労調法第三十七条に予告制度を、第三十五条第二項以下で緊急
調整の制度を規定してはいるが、未だ基幹
産業における
争議権と
公共の
福祉との調和がとれておらず、本
法案の提案は当然の
措置と考える。
電気事業は
独占事業であ
つて代替性がない。だから
ストによる
損害は
当事者間のみならず、
第三者に及ぼすところが甚大で且つ広汎である。又
電気事業の
特殊性から、
使用者側も
発電所、
変電所等の業務停止を来たすロック・アウト等を行うことができない。だから
電源スト、
停電ストが認められていることは
労使対等の原則に反する。本
法案によ
つて初めて対等の原則が維持される。本
法案は従来から本来正当ならざるものと認められ、乃至は昨冬の
争議の経験から妥当ならざるものと認められたものを明確化したに過ぎないのである。
最後に、外国では
労使双方の良識で解決する
慣行が成立しているが、我が国の
労働組合の
責任を問いたい。要するに
法律で規定するのは望ましくないが、
第三者の迷惑を考慮するとき、
社会的に解決の何らの
措置もないとするならば、本
法案に
賛成せざるを得ないというのであります。
公益代表として、北海道大学教授小林己智次君から公述を頂いたのでありますが、同君は
反対。その
理由の第一は、私的
独占禁止法の一部改正案は、
憲法第二十九条による財産権に対する
公共の
福祉に基く
社会的制約の緩和であるが、本
法案はこれと対照的に
憲法第二十八条に基く
労働基本権に対する
公共の
福祉による制約を強化せんとするものであるから
反対である。第二は、
争議行為は自主的解決が最も望ましいが、
自主性尊重の名の下に、
労使双方が
ストを
長期化し、
第三者に迷惑を及ぼすことは慎むべきであろう。今日の段階において一片の
法律を以て
労使双方の紛争を解決するのは時期尚早である。むしろ調停制度の活用を図るべきであり、若し必要であるとするならば
現行法を修正すべきであろうというのであります。なお、小林教授は長く地労委の
会長をしておられました各関係者についてそれぞれ注意をしながら以上の陳述をされたのであります。
次は主婦の代表として樋口ハナ君から公述を頂いたのでありますが、同君は
反対。その
理由の第一は、停電は望ましいものではないが、この
ストの裏に、真剣に働く人々が
生活ができずに、自分の
生活向上のために最後の手段として
ストを行な
つておると考えるときに、この種の
争議行為を剥奪する本
法案には、同じような
生活に苦しんでおる私どもとしても
反対せざるを得ないというのであります。それから第二は、国会においていわゆる多数決の名の下に、輿論に反する
法律がどんどん作られて行
つておるのを見ると、戦時中の少数横暴の政治が再現するのではないかという危惧を持つというのであります。第三に、本
法案には多くの良識ある人々、殊に学者なども殆んど
反対しておるのであるが、併し婦人の中には
賛成の声があるということも知
つておる。併しそれは婦人が遅れてお
つて、一部の、或る一部の
意見を聞いて、そのまま直ちにその
意見に従うということであ
つて、決してそれは婦人全体の良識の低下と考えるわけには行くまいということでありました。
次は消費者の代表として、商業に従事しておられる梶浦政信君の
意見でありますが、同君は
賛成されました。第一の
理由は、
ストライキを行な
つている
労使双方はいいが、国民は
生活の恐怖にさらされてお
つて、
ストと物価の悪循環の中にあり、
ストの結果、
石炭は硬炭で九千円近い炭さえも買わされておるようなごとが起
つて大変苦労をしておる。
電気事業及び
炭鉱に働く友人の
生活は自分たちのそれよりもむしろいいように思う。近くの人で、食えなくなつたら
炭鉱に行こうとさえ言
つておると言うのであります。第二は、
労使双方が今後
停電ストを行わないと約束してくれるならば本
法案は不必要になるが、約束ができない以
上本法案でもまだ
規制の度が緩いのではないかとさえ考えるということであります。
最後に北海道新聞の論説主幹大内基君からでありますが、同君は
反対。第一は、法理論士の
反対でありますが、
憲法に規定されておる
基本的人権を侵害することは民主化に反する。私見としては、民主化促進のためには
ストにより多少公益に
影響を与えるとしても、法を以てそれは抑圧すべきものではあるまい。殊に本
法案のごときを
単独法の形式で提案した
意図が不明である。昨年の
炭労ストに対する
政府声明は、明かに鉱山
保安法違反である旨を述べておるが、若しそうだとするならば、本
法案を単独立法する必要がなく、鉱山
保安法の運用に待つべきであり、そうでないとするならば、鉱山
保安法の適用外とするならば、同法の修正を以て足ることであ
つて、単独立法
制定の
理由はない。次は
制定の背景がよくないというのであります。その第一は、本
法案は日経連、経団連等の基本的
労働政策に対する
意見を受けて
政府が立案したものと考えられ、
使用者擁護の
法律案と思われる。第二に、昨冬の
ストライキに対する報復的な
措置と考えられる。第三として、我が国の
労働運動の歴史の浅い点からい
つても、
労使問題の
争議行為については
慣行の成立を待つべきであろう。第四に、昨冬の
炭労ストが鉱山
保安法違反か否かは、最終的には裁判所の判決によ
つて定まるものであるが、判決を待たず、再度
ストの発生を予想して新たな立法によ
つて基本的人権を束縛するのは間違いであるというのであります。最後に、
公共の
福祉を以て
争議行為の
方法を
規制するのは、まだそこまで
社会基盤が熟していないから、却
つて労使の
対立を深めるのみであるというのであります。なお、あとで阿
具根委員から、電産
ストに際して依然として料金を取
つているのはどういう
理由によるのか、或いはバランスという点からいえば当を失するのではないか、或いは他にこういう
法律がないということであるが、他の外国の例によ
つてどういう工合に考えておるか、或いは
保安要員の範囲について
労使双方の
意見の食い違いが感ぜられましたので、その点等について
委員から
質問がございましたけれども、その詳細は省略をいたします。
次の七月二十日は三菱美唄
鉱業所と東幌内の二つの
炭鉱、大小の
炭鉱の代表として見たのでありますが、三菱美唄
鉱業所につきましては、
坑内夫三千五百九十八名、坑外夫千九百六十九名、計五千五百六十七名の
鉱員を持
つております。本
炭鉱の他鉱と異る点は、メタン・ガスの湧出量が相当多量であると
説明をされましたが、六坑平均出炭一トン当り三四・二立方メーター、扇風機九台を設備しておつた。又自然発火防止のために岩粉の撒布は非常に行な
つておる。切羽の長さは百メーターから長くて百五十メーターという御
説明であります。なお、私どもは
坑内に入りまして見ました切羽はカツペ採炭が行われておる採炭であります。なお
保安に関係するものとしては扇風機を坑外に見たのでありますが、
坑内は、私どもの見ました範囲内では水が少くて
排水バツク等を見ることはできませんでした。切羽は相当乾燥してお
つてむしろ撒水をベルトの前後でや
つておるという実情でございます。その半面炭塵の爆発を防止する意味で岩粉が撒布せられておりましたが、これは非常によく撒布せられておるように見受けたのであります。
東幌内
炭鉱を見たのでありますが、この
炭鉱は出炭能力月産一万一千トン、
鉱員が九百四十二名、職員が百八十名、千余名で、一万トン強を出しておる、いわば中
炭鉱であろうと思います。ガスの湧出量が一トン当り排気孔で〇・五、この辺はあとで一つ申上げたい。ガスは排気孔で〇・五、それから湧出量が〇・七立方メートルでございますが、小さい燃焼と申しますか、そういう事例が局部的にあつたことがあるが、併し自然発火の例はないというのであります。それから
保安要員の点について、昨年の
ストの場合の実数を出して頂いたのでありますが、
坑内で二十四名から四十二名、それから坑外において三十五名から五十七名、厚生福利関係として六十五名乃至百十名、こういう数字を頂いたのでありますが、その内訳の
説明を申しますと、
坑内の
保安要員はガス、通気の関係、ガスを測定いたしましたり通気の関係の仕事をいたす者が、これは
交替制を含めまして十四名、それから機械関係が六名、
排水十五名、計三十五名、こういうことになるわけです。それから坑外の
保安要員が扇風機四名、厩番が二名、風呂番が三名、それから検針が六名、安全燈十名、
変電所六名、それから洗炭場の監視が五名、電話交換手六名、計四十数名、こういう
説明であります。それから福利厚生関係というのは診療所の関係が三名、そのほかに職員がおります。それから配給所の関係が十一名、
賃金の支払があつたので、その
賃金支払関係が九名と、ほかに伝票を居住地に行
つて渡す者が四名、浴場が七名、それから寮の関係が五名、水道四名、計四十何名、職員としては診療所二名、配給所二名、
賃金支払四名、計八名等々であります。このことは
保安要員の中に、
坑内においては機械の監視に当る者、坑外においては馬に飼料をやる人間等も
保安要員の中に入
つておるということがわかつたのであります。東幌内炭坑の
坑内には入る時間がなくて、坑外から特に
保安関係の
視察の確認をやつたような次第でございます。
それから次の七月二十一日、火曜日には、江別の
火力発電所を見たのであります。
説明によりますと、この
火力発電所は尼ヶ崎の第一、第二、鶴見
火力発電所に次ぐ我が国の大きな
発電所であ
つて、
出力が五万キロ・ワット、全道の
発電火力十一万キロ・ワット、それから自流式の
発電が、渇水期には八万キロ・ワットくらいに減りますし、それから自家
発電の設備が老朽しているために能率が悪いと、この減少を補充、
調整する力がないので、
火力発電のフル稼働が余儀なくされているというのが実情であります。それから
停電ストによる電力供給停止の
影響は、個々の
発電所或いは
変電所について
調査して見ても明確な結果を得られないので、全体として
調査すべきである。昨冬の電産
ストの場合に、この
発電所として一日四時間、四回停電を行なつたが、ピーク時を避けたということ、又それから
組合側の通告によ
つて、
会社側は自家用
発電の稼働を願い、或いは
炭労の
ストも同時に行われたというようなことから当所に関する限り
影響が少なかつた。なお
組合側も江別全体が停電にならんよう十分配慮しているし、ピーク時を避ける等の努力をしているのであるということであります。昨冬の電産
ストの場合の電力不足は、
炭労ストによ
つて、大口需要家である
石炭鉱業等の操業停止によ
つて調整されたとも言えるが、他面
炭労ストの
影響をこうむるところ大であつた。それは
炭労スト解決の前後、当
発電所の貯炭が激減して、補充をするのに
石炭の炭質が低下したため、正月前後において
出力が減少して、一日五十万キロくらいに減少したというのであります。
ちよつとおわかりにくかつたと思うのでありますが、
ストの期間中は、
炭労が同時に
ストをや
つておつたということ、それからこの
発電所として行われたのはピーク時でなかつたということ、そういうことから
出力において、その他
資料によりますると、
ストの
影響は、電産
ストの
影響は、江別
発電所においては殆んど見受けられませんでした。併しその後の一月一日前後において炭質の低下による
出力の低下、これは百二十前後のものが五十万くらいに下
つておりますから、半分近いところまで下
つているし、それは
石炭の、入手いたしました
石炭の品質の低下の結果であると
説明されたのであります。
それから最後の苗穂の
変電所を見たのでありますが、第一次
発電所であ
つて、第二次
発電所に送るほか、苗穂、砂川の両地に送電を行な
つている。常時二人の作業員を必要として、四組三
交替制であるが、高度の技術を要するので、
ストの際には
会社側としては補充が困難であるが、
組合側も不測の事故の発生しないように、
ストをや
つても当所に詰めて、事故があつた際には直ちに連絡するように注意している。実際にまだとめたことはないという
説明でありました。
以上大変取りまとめの悪い話でありましたけれども、大要を御
報告いたします。