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法制局参事(
今枝常男君) この
法案は、前
国会におきましても本
委員会の
審議を経たことがあるのであります。ここでは簡単にその当時の、前
国会におきまする
法案と今回の
法案との
相違点につきまして主なところを御
説明申上げまして御
参考に供することにいたします。
この
改正にな
つております
法案の
順序に従いまして主たる点を申上げることにいたします。最初は第五条でございまして、これは
金庫の
事業に関する
原則を
規定したものでございますが、先般の
法案におきましては、
金庫はその
事業によ
つてその
会員のために奉仕することを
目的とし、
営利を
目的としてその
事業を行な
つてはならない、これだけの
規定をいたしてお
つたのでございますが、今回の案におきましては、
只今提案理由において御
説明のありましたようにもつと詳しく、その
原則のほかに
会員に対して直接奉仕するという
原則、それから政治的な
中立に関する
原則、この三つを
規定することにいたしております。
次に十一条でございますが、先般の第十一条の二項におきまして
個人会員に関する
規定を置いておるわけでございますが、先般の案におきましては、この
個人も当然に
会員資格があるように解し得るような
規定にな
つておりましたので、これを当然の
資格とはいたしませんで、
定款にその旨を定めましたときだけがその
個人が
会員になれる
趣旨に
規定を改めたのでございます。なお同一の条文の中におきまして、この第一項の第三号におきまして、
前回の案におきましては
国民健康保険組合及びその
連合会が当然に
労働金庫の
会員たる
資格を有するもののうちに列挙いたしていたのでございますが、これは必ずしも
労働者を主たる
構成員としない場合があるようでございますので、これは一応第三号からは外しまして、必要によりましては第四号の二として、
定款によ
つて会員にすることができるようなことに改めたのでございます。
次に第十三条でございますが、第十三条の第二項におきまして、
金庫の
会員が
代議員を選びましたときに、これを
金庫に
通知するということだけを
規定いたしておりましたが、
通知のほかに
書面によ
つて代表権を証する
書面を、
代議員の
代表権を証する
書面を
金庫に提出することを要するということに
規定を追加いたしたのでございます。
次に第十五条におきまして、先般の案におきましては、十五条のうちの第三項といたしまして、
金庫は持分の譲受けについて
承諾を求められた場合におきまして、正当なる
理由がなければその
承諾を拒んではならないという
規定を置いたのでございますが、これは具体的な各場合々々の
情勢による判断に任せることのほうが適当であろうという
趣旨でこの
規定を削ることにいたしております。
次に第二十二条の第二項におきまして、先般の案におきましては、
労働金庫設立の際の
要件といたしまして第二項で、五十以上の
会員があることのほかに、
会員に所属しておりますところの人員の数が二万人以上であることをも
設立の
要件といたして
規定してお
つたのでございますが、このうちで
会員に所属する
個人の人数はこれを
設立要件として
法律上二万以上にぴつたり押えますことは、実際問題として
運用上困難を感ずることがあり得るという予想の下にこれは今回の案におきましては
法律上の
要件、厳格の意味からの
要件から外して第三項で一応それが
努力目標になるという程度に改めた次第でございます。
次に第三十一条第二項でございますが、先般の案におきましては、
定款の変更については
労働大臣の
認可を受けなければその
効力を生じないということにいたしまして、
大臣の
認可を
効力要件といたしていたのでございますが、これは
効力要件にまですべき必要はなかろうという
趣旨からいたしまして、単に「
認可を受けなければならない。」という
規定にいたしまして、ただその違反に対しては罰則がかかるという
建前に変更いたしておるのでございます。
次に第五十条でございますが、第五十条におきまして、
金庫から
会員に対して各種の
通知をいたします場合の
規定を置いておるわけでございますが、今回の案につきましては、この第五十条第一項の
但書の
規定を特に追加いたしております。で、これは
個人会員に対します
通知におきましては、第一項の本文に
規定してありますような
手続を必ずしもとりませんでも、公告をすることによ
つて各自への
通知をしたと同じような
効力を与え得るような
規定を置いたほうがよかろう、こういうことでこの
規定を追加いたしておるのでございます。
次に第六十三条でございますが、第六十三条の第二項
但書の
規定がやはり今回の案では新たに追加いたした
規定でございます。でこれは
合併の際におきまして、
合併によ
つて新しく
金庫を
設立いたしました場合の
役員に関する
規定でございますが、
前回の、案におきましては、その
役員となる者は
会員である
団体から選ばれた
代議員たる者のうちから選任することにいたしておりまして、いわゆる
員外の
役員を設けることができないような
規定にな
つておりましたので、この際は
員外役員が入り得るようにこの
但書を追加いたしたのでございます。
以上申述べましたことが改めました主たる事項でございましてその他は表現その他の正確を期して技術的な
改正を多少加えておる次第でございます。
以上を以て終ります。