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1953-07-14 第16回国会 参議院 労働委員会 第11号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和二十八年七月十四日(火曜日)    午後四時二分開会   —————————————   委員の異動 七月十三日委員河井彌八君辞任につ き、その補欠として梶原茂嘉君を議長 において指名した。   —————————————  出席者は左の通り。    委員長     栗山 良夫君    理事            井上 清一君            田村 文吉君            田畑 金光君    委員            伊藤 芳雄君            田中 啓一君            宮澤 喜一君            梶原 茂嘉君            阿具根 登君            吉田 法晴君            上條 愛一君            寺本 広作君            堀  眞琴君            市川 房枝君   政府委員    労働政務次官  安井  謙君    労働省労政局長 中西  実君    労働省労働基準    局長      亀井  光君   事務局側    常任委員会専門    員       磯部  巖君    常任委員会専門    員       高戸義太郎君   説明員    労働事務次官  齋藤 邦吉君   参考人    福岡労働金庫    理事長     江口 義美君    九州炭鉱労働組    合執行委員長  山本 經勝君   —————————————   本日の会議に付した事件労働情勢一般に関する調査の件  (西日本水害地における緊急労働対  策に関する件)   —————————————
  2. 栗山良夫

    委員長栗山良夫君) 只今から労働委員会を開会いたします。  本日の会議に付する事件労働情勢一般に関する調査でございまして、西日本水害地における緊急労働対策に関する事件を主として取扱うことといたします。昨日の委員会決定に従いまして、目下労働省西日本水害地における緊急労働対策としてすでにとり、又はとらんとしておりまするところの対策につきまして、先ず労働省から説明を求めたいと存じます。(「異議なし」と呼ぶ者あり)
  3. 齋藤邦吉

    説明員齋藤邦吉君) 今次水害に際しまして労働省がとりました措置のうち、主要な点につきまして私から便宜お話申上げたいと思います。  お手許にお配りいたしておりまするように、先ず第一に、早速いたしましたのは御承知失業保険料労災保険料徴収延期の問題でございます。今次水害がありましてから直ちに事の重大なるのを考えまして、早速二カ月間差当り徴収延期をいたそうということにいたしまして、それぞれ通牒を発し、又現地におきまして、救済本部におきましてその趣旨を徹底して頂くということにいたした次第でございます。  次の問題は、保険金の支払の問題でございまして、水害がありました当時、なかなか日銀から向うへ送りましても、県庁から又地元の各地方にありまする安定所等失業保険金現実に届かないということのために、保険金支払いが遅延するということになりましては、失業者が而もこういう災害の中で非常に苦しまれることでありますので、これは何とかしなければならんというので、早速本省のほうから差当り、当時でありますが、三千万円ほど現金を直ちに送付いたしまして、その後は順序よく保険金も送達することができるようにいたしておりまして、現在のところではもう失業保険金支払いについて遅れるというようなこともありませんし、又災害後二、三日の間におきましてもそういう問題は全然なかつたことをここにはつきり申上げておけると思います。  それから次は災害地整理清掃に関する失対事業の問題でございますが、失業対策事業種目につきましては、御承知のように緊急失業対策法によりましてそれぞれ事業種目が指定されておるわけであります。ところが今次災害に際しましては、熊本の例を申上げますると、阿蘇の灰が熊本の市内に流れ込んで実にまあひどい災害を来しておるといつたふうなこともありますので、地元におきまして希望いたすのでありまするならば、そういう被害地残土整理清掃事業というものも失業対策事業として適当な種目としてこの事業を追加しようということにいたしてございます。それと同町に地元におきましては直ちにそういう残土整理並びに道路の清掃ということをいたすとなりますと、直ちに失対事業ということになりましてなかなかおいそれとすぐには参らん実情にございますので、一応労働省といたしましては、地方地方におきまして必要なだけの失業対策事業の枠を拡大いたそうということになりまして、それぞれ適切なる措置を講じた次第でございます。目下整理清掃等におきまして失対事業として大規模に動いておりますのは、熊本市が特にひどうございますので熊本市にいたしております。枠といたしまして、急遽千里百人の枠を拡大いたすことにいたしております。なお福岡久留米等都市におきましてもそういう要望がございますが、これはすべて本省に参りますと時期的に非常に遅れますので、現地において処理するということにいたしております。九州災害対策本部には急遽本省から一官房の部課長を派遣いたしまして、大野国務大臣の下に指揮を仰ぎまして、地方々々の要求に応じて措置いたしておる問題でございます。  なお将来の問題といたしましては、今次水害によりましてどの程度失業者が増加するかというようなことになりますれば、これは将来の情勢を勘案いたしまして、将来の問題といたしまして失対事業の枠を拡大いたしたい、かように存じておりますが、そのほうは目下のところ詳細に申上げる段階に立至つていないわけでございます。  その次は賃金の遅欠配に対し資金確保のための融資を行うことについてという問題でございますが、今度の水害によりまして、炭鉱労働者を初め各方面労働者方々が非常にお困りになつている等の事情承知いたしております。こういうふうに水害のために休業を余儀なくされた、即ち労使双方の責に帰すべからざる事由によつて休業するということになりますると、その労働者生活の安定ということを図りますることが非常に重要でありますので、先ず差当り考えましたのが労金の、労働金庫地方にございますので、労働金庫におきましてこうした労働者方々生活資金を融通することができないだろうかということを実は考えてみたわけでございます。今日まで、最近の報告によりますると、九州福岡大分、佐賀、山口の四労働金庫におきましてすでに五千万円の生活資金の斡旋を、融資の貸出しをいたしている次第でございます。併し果して、これだけで足りるかどうかということになりますと相当問題があるわけでございます。そこで労働省におきましては何とか政府資金融資するなり或いは地方庁を通じて紐付でこうした方面に流して行くことができないだろうかということを相当研究もいたしましたし、大蔵省その他と折衝いたしましたが、御承知のように資金運用部資金を直ちに労働者労働金庫融資するということは、現行の法令上はできない建前になつております。それと同時にそれでは先ず県を通して紐付で流して行くということはどうであろうということをやつて見ましたが、現在のところ運用部資金の金詰りと、それから何しろこれは御承知のように生活資金貸付という形になりますために、政府資金融資して廻して行くということは困難な事情にございます。併しいずれにせよ地方方面からは労働金庫に対して、何とか政府善処方をという要望もありますので、検討もいたし、又関係省とも折衝いたしておりますが、この点は今日現在では非常にむずかしいようでございます。将来とも努力はいたしたいと存じております。  なおそれと関連いたしまして、この賃金の遅欠配資金確保のための融資の問題でございますが、これも実は先般の衆議院労働委員会でも要望があつたのでありまして、交渉はいたしておりますが、これも相当むずかしうございます。あつさり申しますと非常にむずかしうございます。目下通産省と特に相談をいたしまして、この問題の折衝をいたしております。このほうはむずかしうございますけれども、全然まだ見込がないというところまでははつきりいたしておりませんで、できるだけこれは努力をいたしてみたい、かように考えておる次第でございます。  これがまあ一般被害を受けました労働者方々或いは事業主に対する面としてとりました措置でございますが、そのほかに労働省といたしまして関心を持つておりますのは、労務者住宅の問題でございます。仮設住宅の建設は厚生省の所管であり、一般住宅の問題は建設省所管でございますが、それぞれ当省労働基準局が非常に関心を持ちまして、建設省と必要な連絡をいたしております。そのことだけ附加えて申上げたいと存じます。  なお、最後に労働省関係の庁舎の中でも相当この災害のために痛みましたものもありますので、そういう点につきましては又別途大蔵省資金運用部資金などの折衝等をいたしまして、これが復旧をいたしたいと、かように考えておる次第であります。すでに現地におきましては、労働省の出先であります基準監督局或いは府県庁並び安定所というものは、現在のところ事務に支障のないようにいたしておることを併せ附加えまして御報告に代える次第でございます。なお詳細につきましては関係局長が見えておりますので、必要に応じまして御質疑にお答え申上げます。
  4. 栗山良夫

    委員長栗山良夫君) ちよつと議事の取廻しでございますけれども、昨日の皆様方の打合せの結果、今日は問題点を上げまして、未解決の事項を取りまとめて、一刻も早く水害対策特別委員会申入れをすることになつておりますので、従いまして今労働省のほうからとられた措置或いは今後努力中のものについて伺いましたが、各議員諸君の中で更にこれに附加えまして緊急に処理しなければならん諸点についてお気付きの向きがございましたならば、その問題点をあらかじめ御指摘を頂いて、それからひつくるめて質疑をいたしてまとめるということにいたしたいと存じますが、如何でございましよう。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  5. 栗山良夫

    委員長栗山良夫君) よろしうございますか、それではお気付きの点がございましたならばお述べを頂きたいと思います。
  6. 吉田法晴

    吉田法晴君 質疑を兼ねて私申上げたいと思つたのですが、それは例えば罹災労働者の税金の問題等についてはここには労働省として考えられなかつたのか、現に今朝の新聞で見ますと、勤労所得税徴収延期の記事が出ております。これは労働省からでなくて、大蔵省から自発的に申入れ決定をされたのか知りませんけれども、そういう点については、これは労働省としての配慮があるべきだと思うのです。そういう意味で、働いてない或いは賃金をもらわないために困つておる、或いは失業問題についても、これは被害地清掃整理のための失業対策費の枠の増大という点を考慮頂いておるのでありまするが、御承知のようにすでにこの炭価問題等から整理気運にあります炭鉱が、水害という理由を加えて更に或いは事業閉鎖或いは失業者増大等が考えられますので、その点の失業対策費等の増加ということが当然考えらるべきだと思いますが、その点についてはこれで見ますと考えておらないように思いますが、そういう点はどういうふうに考えておりますか。
  7. 齋藤邦吉

    説明員齋藤邦吉君) 罹災労働者所得税源泉課税の猶余並びに遡つての還元の問題につきましては、これは御承知のように労働省所管でございませんので実は書かなかつたわけでございますが、御承知通り政府におきましては災害対策本部を置きまして、関係各省局長が幹事になりまして、そこでいろいろ練りまして、その中から法案にすべきものは出せと、こういうことになつております。所得税の問題は大蔵省から実は出ておるわけでございます。まあ大蔵省所管でございますので、実はそれを書かなかつたわけであります。  それから休業その他によりまして失業者が出る。この問題は先ほどちよつと申上げましたですが、どの程度失業者が出るかということはまだ実ははつきりつかめません。そこでこの問題につきましては、私どものほうといたしましては、あとうる限り失業対策事業の拡大によつてこれが救済を図つて行くということにいたしたいと考えております。大体大ざつぱな予想はいたしておりますけれども、もう少しはつきりした数字が出ましたときに大蔵省と正式に相談するということにいたしまして、目下のところでは大体の肚づもりの見当をつけまして、大蔵省と今下折衝をいたしております。従いましてはつきりした数字が出ましたならば、失業対策事業費の増額ということが出て来ると私は承知いたしております。
  8. 吉田法晴

    吉田法晴君 今の点に関連して、四に書いてあります失業対策費増大、これによりますと千五百人ということでありますが、その他の数字は伺つておりません。これは恐らく金額になつて参ると思いますが、それをどのくらい考えておられますか。  それからもう一つ、今私が御質問して御答弁を願いましたけれども、枠の増大について折衝中だと言うのですが、これは人員金額等一応推算をして出しておられるのだと思いますが、どのくらい出しておられるのか、それを一つ承わりたい。
  9. 齋藤邦吉

    説明員齋藤邦吉君) 現在被害地残土整理清掃等の失対事業につきましては、先ほども申上げましたように現在の枠の範囲内においてやつておる分を申上げたわけでありまして、福岡とか熊本とかは特に残土整理で非常に大変なものですから、熊本だけの例を申上げましたが、その他の地方にも手配をいたしております。現在のところこの災害整理清掃のために追加いたしました分は、福岡県は五百五十人の追加をいたしております。更に大分につきましては三百五十人を追加するということでございます。これにつきましては先ほども申上げましたように、現地本省の課長をやりまして、現地で処理してもらう必要があつたら、大体各府県とも千人から千五百の枠でありますならば現地で処理してよろしいということを実はいたしております。四国、山口福岡等、この災害を受けました県につきましておのおのの県、千から千五百なら現地で処理する、それ以上のものがあれば本省に相談する、こういうやり方でいたしておるわけでありまして、熊本だけの手配をしておるわけではございませんので、その点は御承知願いたいと思います。  それからなお将来の失対事業の枠がどの程度のものになるかということでありますが、これは今のところやはりこれくらいの人数が出ればこれくらいになるだろうといつたような下相談をしておるところでありまして、やはり今ここでどのくらい必要であるかということを申上げるのはちよつと差控えたほうがよいのじやないだろうか、こういうふうに存じております。
  10. 吉田法晴

    吉田法晴君 どの程度になるだろうかということを申上げるのを差控えるということでありますが、水害対策について、これは農業関係についてもその他についても、目下法の改正も含めて所要額を出して、そうしてそれについて全体の態度決定しよう或いは推進しようと、こういう態度でありますが、そういう点はむしろ積極的にお話を願つたほうがよいのではないかと私は思います。  それからもう一つ、その中身について、これは四の項目にしても、今は全体の枠の中でと言われますけれども、これは拡がることははつきりしておる。その拡がる予想お話し願いたいということを申上げておるのでありますが、例えばお話熊本の千五百人にしても、これは清掃ということで出ておりますが、実際には二千何百万トンという泥土片付ける、或いは門司にしてもそうだろうと思うのであります。それは清掃整理建前にした、従来の二百二、三十円というものでは恐らくこれは仕事は困難だろいと思います。そうするとこれは単価についても恐らく増額しなければならん要素もございますし、これに人員を掛けて参りますると、恐らくこれは労働省の考えておられるよりも増大するのではないかと思いますが、その増大するところでどういうふうに考えておられるか、お答え願いたいと思います。
  11. 齋藤邦吉

    説明員齋藤邦吉君) 御承知のように、実は日雇労働者の需給の関係は、災害がありますと、安定所に出て参ります求職者というものは実は減るわけでございます。御承知のように九州におきましては、これだけの失対事業として枠を拡大してよろしいということを言うておることは言うておりますけれども、今朝の新聞でしたか、どつかの新聞に出ておりましたが、災害ということになりますと、自分の家の整理とか或いは農地の傷んだところの整理といつたようなことで、どうしてもこれはやはり一時日雇労働者求職者というものは減るものでございます。そういうふうなことで、どの程度出るかというのが実ははつきり私のほうではつかみにくいものでございます。御承知のようにこの災害復旧のいろいろな、直轄河川の改修問題或いは港湾の施設の復旧の問題、或いは大きな例えば残土整理都市計画事業をやるといつたような問題は、各省それぞれにおいて大規模に実はやることになるわけでございます。そうして大規模にやりましで、公共事業等にどうしても吸収されないものを実は私のほうの失対事業で救うと、こういう御承知のような建前になつておるわけでございまして、今はつきりした数字を言えと言われましても、よそのほうの公共事業の枠がどういうふうにきまつて来るか、それによつて出た労働者の数がどの程度吸収されるか、それによつて落ちこぼれる失対事業労働者がどのくらい出るかという、それによつてつて行かなければならん問題でございまして、今直ちに失対事業としてどのくらいということを言うことは、私どものほうといたしましては非常に困難ではないだろうかと、こういうように存じております。
  12. 吉田法晴

    吉田法晴君 公共事業に先ず吸収して云々というお話でありますが、泥土の取除きは、これは公共事業として何ら法律の枠の中にありませんから、そこで熊木でも門司でも、金のかからん保安隊を要請してだんだんやつて来た。ところがこの保安隊もだんだん減つて来て一割くらいになつておる。市で自分でやるには財源なり根拠になるものが全然ないから、そこでそれについての法の措置なり或いは事業費の枠というものを急速にもらいたいということを申しておるのです。それですから千五百人なら千五百人の、これは別問題として、公共事業と申しても、泥土片付けについては公共事業の枠の中になければ、そこで私はそれに代るものとして熊本においては千五百人程度を失対事業に廻そうというお話のように承わつたのです。どうも今のお話実態が食い違つております。その公共事業の中にないということを前提にしてこれに対する御答弁を願いたい。
  13. 齋藤邦吉

    説明員齋藤邦吉君) 熊本の阿蘇山の泥土でありますが、これが実に深刻なものでありますので、実は建設省におきましては、これを本格的な公共事業として取上げようということに実はいたしたわけでございます。私どものほうといたしましては、建設省がそれを取上げるかどうかわからんという状態でありましたので、まあ差当り公共事業のほうにそういう予算がなければうちのほうで出しますぞと言つて御協力申上げておつたわけであります。恐らくこの泥土片付けという問題は、建設省で補助の対象として取上げるということを決定いたしたわけでございます。そうなりましても、恐らく失業者救済という面でやはりどつか落ちこぼれが出て来るのではないか、その落ちこぼれはこちらで救つてやると、こういうつもりであります。従つて港湾河川、或いは熊本のような泥土問題等公共事業で本格的な事業としてやるものはやつて、そうして失業者なり求職者というものをそれにはめ込んで行く、必ず落ちこぼれ労働者が出ますから、その分は一つうちのほうの失対事業で、種目については余りやかましく言わんで御協力申上げようと、こういうことでございます。
  14. 吉田法晴

    吉田法晴君 それでは、その点はわかりましたが、五の賃金欠配に関する問題でありますが、これは衆議院でも恐らく論議されたと思うのですが、労使双方の責に帰すべからざるもの云々という点については、これは基準法制定当時から議論があつたわけでございますが、その根本議論も多少関連いたしますけれども現実に働けない、或いは仕事を一部の浸水のために休んで、働かないで賃金がもらえないと、その生活実態は、これは恐らく御認識であると思うのですが、数字は私もまだ正確につかんでおりませんけれども相当広範囲に大きな炭鉱事業場等についてもあるように承わりますが、先ほどお話では、五千万円の貸付がなされたというようなお話でありましたが、これについても確たる方針がない。これは労働省としてもその政策を強力に推進しないで、実際に金が労働者のところに行かんということになれば、これは大問題になると思うのです。恐らく労金は今の建前からはできない、生活資金融資は困難である、これは理窟として、今の資金枠では云々という点ならばわかるのですが、それ以外に理由はないと思うのですが、労金を通じて融資をしてもらいたいという点もあります。それから今までの融資の中でも紐付でやつてもらいたい、こういう要望も恐らく聞いておられると思うのでありまするが、現実に或る程度融資は行われておりますが、それに紐を付けるとか或いは措置する方向は恐らくおわかりだろうと思うのですが、それについて何ら対策がないと、もうすでに十日を越して二週間になんなんとするときに、まだ方法がありませんでは、私ども納得が行かんのですが、重ねて具体案をお示し願いだい。
  15. 亀井光

    政府委員亀井光君) 私からお答えをいたしたいと思います。融資関係につきましては、御承知のようにつなぎ融資といたしまして取りあえず三十億の融資がなされております。その中に中小企業等に対する分も入つておると思います。殊に中小企業対象といたしましては、現在国会で御審議を頂いておりまする中小企業金融公庫法、これの成立までの間、予定しておりまする二十五億の枠の中から五億を開発銀行を通じまして中小企業面融資の施策を一応出しております。我々といたしましては、現在調査いたしました結果、工場及び事務所の関係被害の状況から判断をいたしまして、賃金の遅欠配或いは休業手当というふうな、資金として月に一億四千万円程度要るのではないだろうか、まあこれを三カ月分と見ましても四億三千万円ほどのここに資金が要るのではないかという一応の推計をいたしておるのであります。従つてこの面につきましては特別に通産省中小企業庁とタイ・アップをいたしまして、大蔵省目下この融資折衝をいたしておる段階でございまして、十億から十五億という大体の線でいたしております。従来の融資基準としましては、賃金の遅欠灘に対する融資というものは取上げられなかつたのでございまするが、今回の水害におきましては、この問題が大きな社会問題になりまする関係上、融資対象として取上げてもらうという点から、我々としましては通産省一般融資と兼ね合せまして大蔵省に目下折衝いたしておる段階であります。融資につきましては大体そういうことであります。
  16. 阿具根登

    ○阿具根登君 質問中に誠に申訳ありませんが、私もまだ質問を持つておるんですが、昨日でしたか、私が炭鉱水害の問題について御説朗申上げましたときには、まだ仕度不足でありますのと、私も実情を知らないので、皆様もおわかりにくかつたと思いますし、今日幸いに陳情に見えておられます方が、九州炭労委員長福岡県の労働金庫理事長、二人が見えておりますので、実情を要点だけでもお聞き願いたい、こう思いますのでお諮りを願います。
  17. 栗山良夫

    委員長栗山良夫君) お二人ですか。
  18. 阿具根登

    ○阿具根登君 ええ、三人です。九州炭労委員長山本經勝福岡労働金庫理事長江口義美
  19. 栗山良夫

    委員長栗山良夫君) 只今阿具根君から参考人といたしまして、九州の直接労働組合の代表の方並びに福岡労働金庫理事長の二名の方に、災害の労働問題として見た実情について、発言を許されたいということでございましたが、如何でございましようか。
  20. 井上清一

    ○井上清一君 この問題につきましては、先般何会議といいましたかな、当日おいでになつた方に、日鋼事件のときもおいでになつた方を参考人として陳述の機会を与えたらどうかということが問題になつたことがありました。あのときには適当でないと、正式の何ですか、あらかじめ決定した問題について、諸般の何というか、順序を踏んで来てもらつた場合において陳述を聞くべきであるという意見があつたように思うのであります。折角おいでになつたのお話を聞く機会を得るということも私は非常にいいとは思いますが、いろいろ今後の前例もございますので、これは一つ私は阿具根委員から一つその意向を代表してお話を頂けばいいのじやないか、今後そういう例が頻繁に出て参りますと、議事の取廻しその他非常にいろいろごたくして来る点があるのじやないかということを私は憂えるのであります。
  21. 阿具根登

    ○阿具根登君 私もこういう問題の出ているときにたまたま見えたのを、突然出すということは、恐らく今までの慣例もあつたかとは思うのですね。併し九州からわざわざ見えたのが今日なんです。何も私が今日労働委員会があるから来いと言つて知らせる理由もないし、又そういうこともできないことは御承知通りです。今日見えたばかりなんですから、今日こういうことをやるということは、九州に知らせる前に私が承わつていたということもなし、とするならば、問題が問題だけに、一応ああいう生々しいところから陳情に見えているなら、そういう例にならないようにしてでも要点だけを直接お聞き願えれば、今後の審議のためにも極めていいのじやないか。私に代弁せよとおつしやいますけれども、私もまだ聞いておらない。今おいでになつて、私も聞いておらないから代弁ができない。そうして、どうしても私が代弁できないとするならば、暫らく時間を頂きまして、私が聞いて来まして、二時間でも三時間でも皆さんに御納得が行くほどお話しますけれども、その時間もないと思いますので、成るべく実態を知つている人が要領よく実態を、要点を掻摘まんでお話して頂くことも、議事の進行にも一番いいのじやないかと思つてそういうようにお話したのですがね。
  22. 吉田法晴

    吉田法晴君 速記をとめてもらつてもいいのですがね。
  23. 栗山良夫

    委員長栗山良夫君) 速記をとめて。    〔速記中止〕
  24. 栗山良夫

    委員長栗山良夫君) 速記を始めて。
  25. 吉田法晴

    吉田法晴君 御質問に対して御答弁が不十分で今の討議になつたと思うのですが、賃金問題について一億四千万円の三カ月分云々というお話もございましたが、総計十億乃至十五億、これは聞き漏らしましたが、何からお出しになるのか、例えば先ほどつなぎ融資二十億、中小企業資金の枠として云云というお話、特に開発銀行からも中小企業の枠として五億というのがございましたが、三十億のつなぎ融資は、十五億の政府資金の銀行への預託、地方銀行への預託、これはさように言えるかと思いますが、併し公共団体には全然縁がなくて今まで行つておりません。そこで五億のあれにいたしましても、今あなたのほうから出された十億、十五億に比べて足らんことは明らかである。そこでそれは例えば中小企業等のほうにもどうかと思いますが、実際には私は困難かと思うのです。紐を付けないで労働者賃金欠配に対する融資をしなければ、恐らく今まで参りましたつなぎ融資も或いは中小企業関係の五億の開発銀行融資というものも、これは所要の資金には恐らくなるまいと思います。そうすると今までの分が殆んどそれには役に立つておらない、これからやられようとする十億、十五億が、若しそれが紐付きでやられるならばこれは役に立ちません。問題は紐付きの点を私どもは特に申上げておるのであります。  それからもう一つ労金の点について御答弁願えなかつたのでありますが、私は県なら県を通じてでもこれは預託の方法もあるのじやないか、県に融資をいたします場合に、つなぎ融資八億という要望が出ておりますが、これは内容が違いますから別にお考えを願わなければならんでしようが、そういう意味で紐付きで労組に貸してやるようにということで県を通じてやられますならばそれは可能だと思います。その線で御努力を願つておることだろうと思います。が、先ほど答弁は少々あいまいでございまして、その点もう一度重ねて……。
  26. 亀井光

    政府委員亀井光君) 先ほど申、上げましたのは、一般的なものと紐付きと両方合せて申上げました。あとで申しました、今中小企業庁とタイ・アップしまして大蔵省折衝いたしております分は紐付きの分でございます。四億三千万円の紐付きを我々は要望いたして目下折衝いたしております。
  27. 田村文吉

    ○田村文吉君 ちよつと議事進行。初め委員長お話では、各項目に対する質問はあるだろうが、各委員の中に考え方があるならば早急にこの際申出ておいてもらいたいと、こういうお話のようでございましたから、私はその趣旨で一応進んで頂いて、それから質問に移るようにして頂いて、御意見がなければそれで私はいいと思うのですが、どうでしようか。
  28. 栗山良夫

    委員長栗山良夫君) そういうつもりでいたしておるのですが……。
  29. 田畑金光

    ○田畑金光君 結局質疑の中からそのものが出て来ますので、我々は要望したいのです。主として労働省でございますが、その考えで質問するわけです。  この六項目について今まで労働省の御説明を聞きましたが、五項目を除くその他は、すでに国の予算の範囲内において処理できることだし、まあ或る意味においてはこういう災害が起きたならば当然やるべきだと、こう思うのです。従つて今回の災害を目の前において、労働省として災害の特別対策をやつておるかどうか、或いはやる意思があるかどうかということは、一に第五項目に私はかかつて来ておるのではないかと、こう思うのです。そこでお尋ねいたしますが、先ほど斎藤次官或いは亀井政府委員は、労働金庫云々ということをお話なさつたのですが、いつ頃から労働金障の問題を検討されたのか、先ず第一にその点を承わつておきたいと思います。
  30. 中西実

    政府委員(中西実君) 労働金庫の活用につきましては、あの災害の起りました直後あたりからその方面関係の方の建言もございましたので、直ちに方法について研究を始めたわけでございます。
  31. 田畑金光

    ○田畑金光君 そうしますと、関係者の意見も聞いて、労働省労働省なりに考慮して、労働金庫の問題については検討したとおつしやいますが、どのように御検討なされたのか、その内容について御説明を願います。
  32. 中西実

    政府委員(中西実君) 先ずどういう方法があるかということについて検討いたしたわけでございます。まあ二、三方法が考えられるのでありますが、先ず第一は、資金運用部資金貸付の問題であります。これにつきましては先ほど次官からも御説明がありましたように、法律上できなくなりまして、やるとすれば地方庁に紐付貸付けるという方法でございます。この点につきましては実は大蔵省の理財局資金課とも話合いを続けておるのでありますけれども、未だ曾つて例もなし、又今資金部が非常に余裕金が少い、それからなお、大体従来融資生活資金には出していないというような建前から非常に難色があるのですが、この点が方法の一つであります。それから次は、国庫の余裕金の預託でございます。これはやり方としましては、商工組合中央金庫にその余裕金を短期の貸付をいたしまして、そこから労働金庫のほうに融資をする、その前にやはり国庫の余裕金は日本銀行にございますので、それを商工中金に出して、それから金庫に出るという過程を通らなければならん、国庫余裕金というのは極めて短期のほんの間に合せのときにはときぞれ流用できますけれども、これを或る程度の期間の資金貸付けるということについては極めて問題があり、又手続上も非常に込み入つておりますので、実施上至難であるというふうな感じであります。で、現在のところでは、一応大蔵省理財局と話合いで、先ず可能性ありといたしますれば、地方庁に紐付きで資金運用部資金を、こういう際でありますので貸出してもらう。それから各金庫に、関係金庫に貸付けるというのが一番可能性ありとすれば、こ一の方法だということで更に話合いを続けたいというふうに存じております。なお、あとから金庫の関係の方がお話になると思いますけれども、金庫相互間ですでに全国的に調整されて五千万円程度福岡大分、佐賀、山口の四金庫に調達をするという措置がとられておるようでございます。我々のほうとしましても、この際、若しできますれば更に大蔵省と話合いを進めまして実現に努力したいと、かように存じております。
  33. 田村文吉

    ○田村文吉君 関連して。私は先刻の委員長お話がありましたので、一番先気が付いた問題は、やはり今のお話  のような金の問題だと思う。そこでこれは御承知でもございましようけれども、前年モラトリアムが、全国的に支払い停止があつたときに、各銀行は給料、賃金に対しては如何なる場合でも卒先してこれを融通する、こういうことをやつたのです。私は今度のような災害があつた場合には、単に労働金庫だけのそんな小さな問題じやないので、もつと大きな点から労働者の給料、賃金、これは如何なる場合も卒先してやはり融資をしろということを一つ希望を出してもらいたい。こういうことを私は一つ、小さな、あそこから金を幾らもらうなんと言つておるべきじやなくて、実際問題としてはなかなか困難な点があると思われるが、大きな点から、労働者及び給料、賃金をもらう人に対しては優先して金を融資するということだけは一つこの際本会の決議として出してもらいたい。こういう希望を申述べておきます。
  34. 梶原茂嘉

    梶原茂嘉君 関連して。私もその問題が非常に重要だと思うのでありますけれども労働金庫関係の金利はどの程度になつておりましようか。
  35. 中西実

    政府委員(中西実君) 普通の労働金庫貸付の利率は、無担保の場合日歩四銭、担保のある場合は二銭、証書貸付の場合はこれは年一割という……、ただ今回の、先ほど次官からお話のありました五千万円、すでに労働金庫貸付をいたしておりますが、この場合には特に日歩三銭五厘以下でやつております。
  36. 田畑金光

    ○田畑金光君 今の中西局長の御答弁を聞いておりますと、一体政府は、自分労働金庫にこの機会に資金でも斡旋して、折角労働金庫という、労働者のためにこういう機会にこそ生活資金融資する機関です。これに協力しようという腹があつてつておるのか。あなたの答弁を聞いておると、労働金庫自体でもう五千万円融資をした。或いは昨日の労働金庫理事会では更に全国の労働金庫のほうから五千万円を協力する決定をした。政府みずからやるべきことも手を打つこともなくして、労働金庫が、全国の金庫が非常に困つておる中から、而もこれは単に九州災害地区だけじやないのです。どこへ行きましても夏枯れです。実際不況です。こういうときに賃金の遅払いというものは、労働基準局調査においても今殖えているでしよう。こういうときにそういう必要なものを割いて協力をしているのです。ところがあなたの先ほどお話を聞くと、地方団体に紐付きで貸付ける方法を考えたが、これは前例がなかつた。成るほど前例はないはずです。その前例のなかつた生活金融を取上げてやつて行くのが労働金庫です。而も御承知のようにこの労働金庫というものは中小企業等協同組合法に出ておりますが、例えば第七十六条を見ますると、「国、地方公共団体その他営利を目的としない法人の預金の受入」、こういうようなものは当然にできるわけです。国、地方公共団体の財政の余裕金は労働金庫に預金の形でこれを受入れてそれを活用できるのです。現実に各府県においても、労働金庫のできている府県においては預託金の形で受入れている。そうしてそれを生活資金として融資して活用しているのです。こういうふうなことは、法の建前からいつても本当に労働金庫というものを、労働者生活金融というものをこういう機会で、これを活用するということは、政府にその熱意さえあるならばできるのです。  中西局長にお尋ねしますが、現在九州災害をこうむりまして、労働者の諸君の生活というものは生活資金を必要とする境遇の中に、或いは状況の中にあるとお考えになつて処理されているか、先ず第一にこの点を承わりたいと思います。
  37. 中西実

    政府委員(中西実君) 今度の災害予想に超えた大災害でありまして、従つてこれは国家が全力を挙げて救済しなければならない事態であります。従つてそのために労働者と言わず中小企業者と言わず、農村と言わず、すべてに対して大きく災害の跡始末、救済をしなければならない問題だと思うのであります。  そこで融資関係につきましても国全体の大きな災害対策といたしまして考える必要があるということを私ども根本に考えているのであります。ただ労働金庫という一つの施設も、今や法律によつて制度化をするという段階にもありまするし、こういう際に活用することも極めて望ましいことでありますので、その観点からできるだけこれが十分に活用されるような方途を考えたい。  そこで先ほど申しましたように最も可能性のあるやり方は、資金運用部資金、これを府県に先ず出し、そこから紐付きで出すということが若しできれば、それが一番可能性の強い方法でありますので、その方向について努力をしたい、かように存ずるのであります。
  38. 田畑金光

    ○田畑金光君 中西局長にお尋ねをいたしますが、現在全国で三十の労働金庫ができているわけです。全国の労働金庫の中には地方公共団体或いは市町村、府県と話合いの上に財政資金の預託を受けているのが相当あるのですが、その実例を御存じかどうか、これについて伺いたい。
  39. 中西実

    政府委員(中西実君) 各府県それぞれ額は相当つておりますけれども、今私のほうの手許にありますのでは、五月末の現在で三億三千四百万円ばかり各府県が預託をしておる数字が出ております。
  40. 田畑金光

    ○田畑金光君 そこでそのような形で財政資金の余裕を見てというよりも、余裕よりも、地方公共団体においては労働金庫を育成し強化しよう、こういうその一つのその府県における労働施策の一環として、乏しい財政の中からそのような協力をやつているわけなんです。ところが国家財政においてそれができないということは、労働金庫そのものの実は存在に対して相当に考え方についても私は究明しなくちやならん点があると思うのです。例えばこう一いうふうに災害が起きた、こういうふうな災害に対してこそ特別平衡交付金というものを一応考えるわけなんです。従つて今おつしやるような資金運用部資金の活用、紐付融資貸付ということも考えられまするが、特別平衡交付金等の交付によつて地方公共団体に対して労働金庫に対する、その所在の労働金庫に対して財政資金を預託させるというようなこともできると思うのです。一体今お話大蔵省とのお話、というものは、最近のうちに実現の可能性があるのかどうか、この点についてお尋ねしておきます。
  41. 中西実

    政府委員(中西実君) 只今の労働金庫は、それはもう申すまでもなく中小企業等協同組合法によつておるものでございまして、そこでまあ労働金庫法もでき、中央に連合会でもございますると、それがまあ中央金庫的になりまして、話も非常に進みやすいのでありますが、何分にも各府県の信用組合の一つということになつておりまして、従つてやはりやり方としては地方々々が見るということが建前になつております。なおこの災害に対して国庫全体が或いは相当支出もありましようし、又持つております預金、資金運用部資金相当放出しなければなりませんので、果して各府県の金庫にこれが融資されますかどうか、今後の折衝に待たなければならないというふうに考えておりまして、今その成否はちよつと直ちに正直に申しまして自信がない状態であります。
  42. 田畑金光

    ○田畑金光君 非常に何ですな、中西局長の話を聞いて見ると、結論においては自信がない、結局できないという結論ですね。誠に残念です。一体斎藤事務次官はどうお考えになつておるか、どういうふうな努力を払つて来られたか、事務次官としての見通しについて一つ承わつておきたいと思うのです。
  43. 齋藤邦吉

    説明員齋藤邦吉君) 私も先ほどちよつと申上げましたように、現在の法制の下に預金部資金を直ちに借すことは困難で、それならつなぎ融資か、紐付融資でできないのということで実は迷つていたわけであります。ところが今中西局長の言われましたように、まあ預金部資金の手持もそういうような状態でありますので、今のところ相当困難じやないかということを私は実は申上げたのです。併し私どもといたしましては、この災害が起りましたとき以来、実は労政局の労政課長が中心でございますが、実は連日のように折衝をしておるわけなんです。私はまだ希望は捨てておりません。併し非常に困難であるということだけを最初申上げておきまして、併し私は全然望みがないとも言えんじやないか。私どもの気持といたしましては、田畑委員の御説のように、労働金庫を何とか一つ強力なものにして行きたい、この熱意は私十分持つております。従いまして最近に響ましてもいよいよ法的な裏付けを持てるような段階にもなつて一来たし、労働省といたしましても、労務者の生活安定の上から申しましても、何とかこれは一つ多少無理があつても行けんだろうかという努力をいたしております。そう言つちや悪うございますが、この問題は、災害が起りまして一から労働省として一番大きな問題といたしましては、この賃金の遅欠配なからしめるための融資の問題、それと労働金庫に何とか金を流して行く、この二つが実は労働省にとつての一番大きな問題じやないかということで、毎日実は努力いたしておりますが、先ほど来申上げておりますように、まだ何とも結論が出ていないということにつきましては私も申訳ないと思います。と思いますけれども、何しろ今までの法制の上からいつて労働金庫が現在の法制の上で占めておる地位等から申しましても、一朝一夕になかなかすぐ右から左にとこう解決することができないことは甚だ遺憾でありますが、私は希望は捨てないで、できるだけの努力はいたして参りたい、こういうふうに考えておる次第でございます。
  44. 吉田法晴

    吉田法晴君 努力はしておる、できるかできんかわからん、誠意があるのかないのかわからないような御答弁ですが、まあ今の御答弁で、誠意はあるということ、だろうかと思うのであります。そこで先ほど田村委員から、賃金については優先的に云々という通牒を出せというようなお話、これは大体了承をされたように思うのですが、只今そういう意味で具体案を以て質問を申上げますが、資金運用部資金についてまあ唯一の希望を持つておられる。勿論この労働者も郵便貯金をして資金運用部資金の金を積立てるのに協力して参りました。そのほかに簡易保険についても私は相当これは勤労大衆が何といいますか、その預託に参加しておると思う。この間から十五億でしたか、運用部資金とそれから簡保の資金を合せて地方に送る。併し地方では、県ではどちら、市町村ではどちらというわけには参りませんので、県のほうには資金運用部資金の金、それから市町村のほうには簡保資金と、こういうふうに分けたようです。で、その簡保資金の点も残つておるのでありますが、どちらがどうだろうかということはわかりませんけれども、従来の資金配分計画から見れば資金運用部資金のほうがよりまあ相当問題になつて来たという点で、若し運用部資金が困難であるというのならば、簡保資金も含めて御折衝を願いたい。  それからもう一つは、この労働金庫に預託する云々という問題は、水害以来努力して来たと言われますけれども、すでにもう十何日とたつて、まだできるかできんかわからん、これじや私は誠意があるということはなかなか言えんのじやないかと思います。そこでもうすでに簡保資金の点も含めてこの二、三日のうちに実際に融資をできるようにお手配を願いたいと思うのでありますが、それについての見通しと、誠意、自信のほどを一つお示しを願います。
  45. 齋藤邦吉

    説明員齋藤邦吉君) 先ほど来申上げておりますように、実は私ども一番心配しておりますのはこの失業保険料の徴収猶予とかいろいろありますけれども、そんなことよりも、何と申しましてもこの災害の救助を余儀なくされている、賃金の遅欠配を生じて、そのために労働者生活が困る、これが何と言つても一番大事な問題でございます。これはもう私は誠意がないとおつしやるかも知れませんけれども、私としては私なりの誠意を持つて私は実は毎日折衝しておるわけなんであります。併し御承知のようにやはりそう右から左にとこう追い詰められましても、なかなかやはり行かんものは行かん、むずかしい事情にあるということだけはやはりはつきり申上げておかなければならん、これは私は相済まんと思います。併し私どもは、希望は捨てたというようなことは申してはおりませんし、できるだけ早い機会にいい成績の挙がるように努力いたして参りたい、かように考えております。
  46. 田村文吉

    ○田村文吉君 今の問題、休業中の給料、工賃は、あれは七割ですか、六割ですか。
  47. 亀井光

    政府委員亀井光君) 六割。
  48. 田村文吉

    ○田村文吉君 それで私は問題は、今の六割の賃金でも、ややもすると工場というものはほかのほうへ金が行きまして、万一遅払が或いは起つては困るという意味で、大体水害対策本部としては、給料に対しては必ず遅配欠配のないように一つつてもらいたいということを一つ私は進言したいと思いますが、なおその上にいろいろ讐を受けているので六割しかもらえない、あとの四割の問題について、或いは労働金庫から補助してやるというようなことについて、それは最善の方法を労働省としては出先の各県がやつておるわけですね。県の協同組合ですか、それに一つ十分の御尽力を願うというようなことを一つ私は決議し、若し皆さんの御賛同を得られるならば、水害対策本部のほうに申し入れをしたい、こういうことを併せて申上げておきます。
  49. 梶原茂嘉

    梶原茂嘉君 それに関連しておりますが、労働省当局のお説を拝聴しておりますと、普通の場合の事態に処する程度を越えておらないような感じが私はするのであります。(「そうだそうだ」と呼ぶ者あり)異常な災害なんですから、やはり対策も普通の場合じやない、格段の施策が必要じやないか。(「その通り」と呼ぶ者あり)例えば今の問題でも、労働者生活資金の問題、而も災害時における生活資金なんですから、これは、それに対して金利を取るということ自体が私は腑に落ちない。普通のこういう場合における事業資金とか営業資金等についても国は特別の考慮を払つて、金利の補給をするとかいう手段はとつておる、現にとつておる。いわんやこの生活資金に金利をつけるというようなことは私は考えものじやないか。その金利程度は無利子にして国が負担するというようなことは当然あつてもいいじやないか。労働金庫を活用することはこれは極めて結構ですが、恐らく労働金庫の立場からすれば、異常な災害に処するのですから、普通の経営の観点から言えば、営業面で一つの危険な面があると思う。資金を円滑にやるという努力をしても流れないだろうと思う。従つてそういう特別の資金については、国がそのリスクを保障するとかいう措置を講じて、危険なしに資金が流れて行くという措置は私は当然とつていいじやないか、そういう措置をとつても、大体その全体の限界ははつきりしておるのですから、むやみに資金が不必要にオーバー・フローするとは考えられない。だからもう少しその特別の措置と言いますか、格段の措置をとるという考え方で行かれることを私は希望するわけであります。
  50. 田畑金光

    ○田畑金光君 只今の梶原委員の御意見、全く賛成であります。私たち感ずることは、斎藤次官並びに中西局長先ほど来の答弁を聞いておりますと、あなたがたには、九州のこの特別の災害、この中における労働者生活の苦しい実情というものをどの程度呑み込んで、そうして親身になつてつておられるのか私は非常に疑いたくなる。従いまして私はこの問題の資金の斡旋融資の問題については適当な機会に、資金運用部の利用について大蔵省の理財局と話をしておられるようですから、大蔵省のほうからも責任者の方に出て来てもらつて、そうして更にこの問題については早急の機会に質問し、政府善処方要望したい、かように考えるわけであります。更にこの問題についてはいろいろ中西局長さんのほうの答弁の中には、質問して究明しなければならない点もありまするけれども、一応次回の機会に譲ることにいたしまして、大蔵省の理財局長並びに適当な責任者の方に一緒に来てもらつて審議をするように、こういう機会を作つて頂きたいと存じます。
  51. 田村文吉

    ○田村文吉君 私は今度はその金を出すについて資金運用部資金で出すのがいいとか、或いはどういういろいろの金を使うことがいいとかいうことは言わないで、大まかにこの水害対策本部に、絶対にこれだけのことはしなければいかんと、今、梶原委員が言われたようなことを、これを一つ決議で水害対策本部にぶつかつて頂きたい、こういうふうに考えるのですが、今我々が資金運用部資金のあれを呼んでそれを聞いても、これはこういう法律でできません、ああいう法律でできませんと言われても実は困るので、絶対にこれはしなければいけないということだけを強く一つ決議をして、主張して頂くというほうが有効であり、いい方法が見付かると思うが、どうでしようか。
  52. 井上清一

    ○井上清一君 只今の田村委員の御発言に対して私も賛成です。
  53. 吉田法晴

    吉田法晴君 それから先ほど田村委員から御発言がありました中に相当重要な問題がある。政府労働者の遅欠配に対して資金の確保の保障がある、それから労働金庫に対して云々と、これは恐らく別だろうと思う。もう一つはこれは田村委員は、休業をしている場合について云々というお話がございましたが、これは大変御理解ある御発言でありますが、一番その点で今現地では問題にしておるのです。その点も含めて実現に努力すると、こういうことであるのか、六〇%を経営者から支払うようにするというのか、それとも或いは国からその六〇%を支払うというのか、その点は、これは休んでおる労働者に対しては当然六〇%を支払うべきだという、方法はともかくとして、田村委員の御発言を頂いておるのですが、その点は一つはつきり要綱の中に入れておかなければならないので……。
  54. 亀井光

    政府委員亀井光君) 休業手当の問題は、災害自体によりまして、工場、事業所等が直接の責任、関係のないという場合におきましては、事業者の責任に帰すべき事由はございませんので、休業手当は支給する必要はございませんが、中には事業者の直接の責任によつてそういう事態に処するというふうな場合には、休業手当につきましても、先ほど申上げました四億三千万にはそういうものも一応推計して織り込んで折衝をいたしております。
  55. 吉田法晴

    吉田法晴君 ところが、この問題は、水害によつて休業した労働者、これを問題にしておるわけです。そうするとその中で事業者の責任において休んだか、或いはそうではないかという点はなかなか判別が困難であると思う。そこでそれを含んで、私は、田村委員の御発言もあつたように、私どもその休んでおる労働者生活のための資金、これを問題にしておるのです。そこでその点は特例中の特例と言いますか、未曾有の水害ということで問題を取上げ、その休んだ労働者生活問題を討議しておるのであります。通牒の中に含めて頂くということでありますが、その点を一つはつきりして通牒に織り込んで頂くということを要望もし、それからそのための資金についてはむしろ申入れとして我々の要望を入れて頂きたいと考えておりますが、その点はどうですか。
  56. 亀井光

    政府委員亀井光君) 只今申上げましたように私ども下折衝しておるような四億三千万の中にはそういう推計の数字も入れて折衝しております。その要素は入つております。
  57. 田村文吉

    ○田村文吉君 今のお話の出たのは、無論その御心配になつておるが、ただ非常にデリケートな問題でございまして、どうも工場主に必ずそれを強制するということは法律上はできないかも知れませんが、こういうような異常の災害のあつた場合、何とかそういう場合においては少くも六割のものは払う。なおその上にいろいろの経費が要るのだから、そういうものに対して労働金庫を利用するとかというようなことを考えて上げて頂きたい、まあこう我々は考えるのですね。そこで労働省が直接なさるわけじやないだろうが、各指導方針ですね、指導方針をそういうふうに一つつてつて頂きたいというのが御意見だと思うのですが、そういうふうの御尽力を一つして頂けないかということになるんです。
  58. 齋藤邦吉

    説明員齋藤邦吉君) 田村委員お話誠にその通りに私ども考えているわけでございます。どうしても労使双方の責に帰すべからざる責任でありますが、若し、休業手当を払えということを事業主に言うことは、政府としていかんわけでございます。併しさればといつて現地でもやはりそれ相当の給与によつて労働者生活は苦しい。そこで何といいますか、休業手当を出すとか何とかということは別として、要するに相当労働者方々もお困りになつているから、労使双方話合いをして、そうして十分な、お見舞という形になりますか、何という形になりますか、まあ何とか地方々々においてできるだけその事態にふさわしい解決をして頂くようにということを実は示しているわけでございます。権利義務と言えば、お互いにこれはなかなか角も立ちますので、そういうことを言つておれません場合でもありますので、労使双方よく話合つて、労使協力して産業復興という面に向つて行くようにという指示をいたしているわけであります。
  59. 田村文吉

    ○田村文吉君 それに対して金が要る、こういうことになりますので、そういう賃金の支払については何物にも優先して一つ融資する、こういうことを僕は水害対策本部にどかんと一つつて頂きたいと、それをどうも今の、細かくこちらが技術的の問題まで考えて行つてもなかなか困難な問題じやないかと思いますので、一つそういうふうに取計らうようにして頂きたい。どうも法律的には恐らく払わんでもいいのだというようなことの考え方を持たないで、こういう場合には少くも六割の見舞金といいますか、出してやると、それに対する融資政府がちやんとしてやる、こういうようなふうに労働行政を一つつて頂きたいということを私は希望する。
  60. 栗山良夫

    委員長栗山良夫君) ちよつと皆さんにお諮りいたします。大体九州水害労働対策については、御議論のポイントは出尽したと思いますが、ただ一つ具根君にお尋ねをいたしたいのは、あなたの御紹介で参考人として陳述をされたいという方々の御意見は、只今の、もうすでに出尽しました問題の中の部分に属するものか、或いは全然別個の問題であるのか、これを先ずお聞きしたいわけであります。若し中の部分の問題でありますれば、委員会としましては一応時間も大分たちましたから、ここで田村委員等の御熱心な御発言等を一応集約をいたしまして、あとで更に補足的にお聞きをする、こういうことにいたしたいと思いますが、そこはどういう工合でしよう。
  61. 阿具根登

    ○阿具根登君 大体今までの質問なり御意見で、結論は殆んどもう私は出ていると思う。併し、例えば大まかに私たちは、炭鉱の水没のためにどうだと、或いは作業ができない窮状についてどうだというようなことを大まかにやつているわけなんですね。事実どのくらいそういう人がいるのか、事実どのくらいそういう炭鉱があるのか、事実今度は例えば労働金庫には、どのくらい救済しなければいかない人がいるということを簡単にでも聞いて、今の結論をやはりはつきりした結論つけて行くのが正しいのではないかと思いますので、もう質問も大体済んだと思いますし、結論も出かかつておりますから、担当現場の人の意見も聞いて頂きたい。時間も相当過ぎておりますから、要点的に説明してもらいたいということにして頂きたいと思いますが……。
  62. 田畑金光

    ○田畑金光君 やつぱり今までいろいろ質疑がありましたが、まあ問題の中心点は論議されたと思うのですけれども、やはり現地の折角代表としておいでになりましたのですから、又私はこちらのほうで論議されてない問題が残つているような感じもするのです。従いまして折角おいでになりました人からも一つ要点を、特に今論議された問題以外のところがありますならば、重点的にお話し願つて、その上に立つて更にこの委員会として出す結論は、そのような問題も考慮した上で出して頂きたい、かように考えます。
  63. 梶原茂嘉

    梶原茂嘉君 簡単ですが、私十分知識がないのでお教え頂きたいと思うのですが、今度の水害によつて事業場なり工場なりで相当多数の労務者の傷害なり死亡があつたのじやなかろうか。これは労災保険ですか、それの対象になるのかならないのか、その点をちよつと伺いたいと思います。
  64. 亀井光

    政府委員亀井光君) 事業場におきまする場合におきましては当然労災の対象になりますが、事業場外の場合におきましては、細かい具体的な問題を取上げまして検討しませんければ、結論は出ないと思います。
  65. 梶原茂嘉

    梶原茂嘉君 今回の場合は、こういう特殊の事態ですから、恐らく普通の場合の標準を違えて、できる限り特別の考慮を払うというように、私、政策が必要じやないか、そういう趣旨でお考えを頂きたいと思います。
  66. 亀井光

    政府委員亀井光君) そういう趣旨で今我々としましては通牒を用意しております。
  67. 栗山良夫

    委員長栗山良夫君) それでは参考人として、福岡労働金庫理事長江口義美君。九州炭鉱労働組合執行委員長山本經勝君の陳述を求めたいと存じます。異議ございませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  68. 栗山良夫

  69. 江口義美

    参考人江口義美君) 甚だ貴重な時間を私ども拝借いたしまして、私ども実情を皆さんにお訴えいたしまして、一つ御考慮を頂きたいという意味におきまして明らかにいたしまして、九州被害状況を一応皆さんにお話申上げます。  要点を摘んでお話し申上げまするから、そのおつもりで願いたいと思います。逸早く国会におきましても、九州災害について救済対策を御検討になつていることにつきまして冒頭厚くお礼を申上げます。  被害福岡県だけではございません。これは熊本県並びに長崎、佐賀、福岡大分山口、この六地方に亘つているのであります。併し私どもといたしましては、差し当りましてそれぞれの県ができる範囲で労働者のこの災害に会つた人々を救済しようという方針で、先ず方針を立てたのでございます。ここで西日本水害対策本部に対しまして、何とかこの困つている労働者救済の手はないだろうかということを大野国務大臣に私ども陳情いたしました。併し福岡だけでは問題は解決しないところでありますから、十日の日に佐賀県、長崎県、福岡県、山口県、大分県の五県が集りまして、それぞれ被害の状況はどうであるか、こういうことを調査いたしました。更に又それに対する救済資金がどのくらい要るか、こういうことを、一応情報を交換いたしまして、そこであらましの何をいたしますが、まだ今日まで、関門トンネルが今朝開通したという状態でございますから、全体の通信交通網というものはまだ絶えているところがあります。そういう中で私ども調査いたしまして、できる範囲の正確な調査をいたしました。併しどうしても調査のできないところにつきましてはそれぞれ推定いたしました。  そこで全体で、県下だけではこれは二十万と私ども踏んでおりまするが、全体にいたしますというと相当たくさんな人たちが災害に会つて死亡した者が、熊本を除きまして、長崎、福岡、佐賀、大分山口、この五県におきまして九十四名と出ております。それから重傷が百五十一名、それから軽傷が千三十一名、家屋の流失が三百三十二戸、家屋の倒壊が四百六十戸、同半壊が二千四百十七戸、階上まで浸つた家が千四百二十六一戸、それから更に天井まで達したのが二千百三十六戸、床上、床下浸水が五万一千戸に及んでおります。それからその中で家具全部損壊いたしましたものが四百十九戸、半ば損壊いたしましたものが二千四百五十二戸、衣料全部損傷いたしましたものが二千五百五十二戸、半ば損傷いたしましたのが千七十四戸という数字を出しております。これもその当時非常に交通、通信が途絶えておりまして、例を申上げますれば、私は飯塚の者でございまするが、飯塚と新飯塚の駅の間が約一キロしかございません。この一キロの間で飯塚の駅の状態がわからなかつた。而もその飯塚におる人たちの生死のほどもわからなかつた。全県下の状態におきましては、各労働組合の状況は勿論わかりませんが、私どもの金庫の職員の生死のほども一週間以上わからなかつた。これはもうどういう方法をとりましても出て来ないのであります。こういう状態で調査をいたしましたが、これは調査を精密に只今やつておりまするが、これを集計いたしますると、被害はこれ以上であろうと考えております。  そこで初め田村先生からお話がございましたが、賃金の遅欠配に対して救済をしてやれというお話でございます。ところが私どもの今回参つたのは、賃金の遅配欠というのは中小炭鉱ではこれはしよつちゆうの問題であります。こういう状態の、こういう大きな災害の場合は、賃金の遅欠配ではなくして、未だに家をこわされてバラックの中に住んでおり、食糧も、まだ本当に交通網が回復しておりませんから、そういうところにはまだ食糧が十分に参つておらん。衣料も只今は夏服でよろしうございますからそのままで経過いたしておりまするが、これがだんだん秋場になり冬場になりますると、私ども救済の手を別な方面から又講じなければならない、こういうことになる。現在におきましてもまだ門司或いは久留米地区におきましては水が引いてないところがあります。久留米地区は特に水が引いてないところがあります。この七日、八日に降りました雨で、又遠賀川、筑後川の水が部落に氾濫して濁流が流入しておるという状態であります。まだこういうわけで自分の家に帰り切らない。そうして家が門司のごときは御承知通りこういう段階になつておりまするので、上からどんと落ちて来ますと、下の家は全く損傷いたしておりませんが、いつ来るかわからないから、そういう人はその家におれない。よその家に御厄介になつておるという状態であります。従いましてこういう意味で鉱山、工業の状態を見ますると、まだ久留米のゴムの三社のごときは日本ゴム、BSタイヤ、日華ゴムと、こうございますが、こういうところにおきましてはまだ通勤者の人たちが全然出て来ない。これは自分の家が浸つておる、こわれておるというようなこと、家族が或いは死傷しておるというような関係で出て来ない。こういうようなところの調査ができておりませんし、まだ救済ができておりません。賃金の遅欠配につきましては、全くこれはその通りで、御救済願えれば私ども非常に喜ぶことでございまするが、実情はこういう実情でございます。生産を一時停止して、そうして自分たちの生活の安定を図らなければならん、衣食住の問題を講じなければならんというような状態になつております。そこで私どももいろいろこの救済の方法を考えましたが、只今政府に御考慮願いましたような十五億或いは五億の金が商工中金を通じてこういう罹災に充てられるというお話も承わりましたけれども、これが果してこういう人たちに行き亘るかどうかという問題につきまして、私ども非常に不安を持つておるのであります。私どもは直ちに九州の産業を復興し、我が国の大動脈でございます九州の産業を復興するためには、どうしても今直ちに困つておるこういう人たちを救済しなければならんと思います。併し私ども仕事はこれは金融業務であります。これには金融機関としての性格を持つた貸付ということになるのであります。只今金利が高過ぎるというお話がございましたが、これに対しては全くその通りでございます。これに預金担保で三銭にして貸す、或いは六カ月四銭にして貸す、或いは十カ月五銭であるというような実情におきましてはこの救済は到底できんのであります。併し私どもとしては何とかしてこの労働者自分たちの手で低利にこれに金を貸付けて急場を救わなければならん。そこで先ず私どもがやれる範囲はどういう範囲であるかということを十日の日に四県会合いたしまして結論を出したのでございまするが、只今皆様の手許に、若干部数がございますから差上げておきたいと思います、御参考のために。福岡県は、これは昨年の八月三十日に発足いたしまして、現在資金は二億四千万円ばかり私どもつております。これに資本金をかけますと、二億五、六千万円になる。その中で貸付けましたのが一億四、五千万円貸付けておるのであります。これはあと一億ばかり金があるではないかという御質問が出るかと思いますが、これはいろいろな関係から支払準備金が要りますのと、当面生活に困つておる人たちに貸付けなければならん金がございまするので、本当に私どもとして貸付けられる金は三千万円しかない。佐賀県におきましては今年の五月に発足したばかりでございますから、これはまだ九十万円しか貸付けられない。大分県につきましては、貸付けられるのは五百万円しかない。山口は一億七千万円ばかり持つておりまするから、このうち貸付けした額、その他準備金を差引きますと、これはこれに書いてありますが、ちよつと一千万円ばかりあると思います。これをかけますると、全体で五、六千万円ということになるわけであります。併しこれではどうしても今の急場は救うことができない。そこで昨日私ども参りまして、これは労働金庫の協議会を今持つております。全国に三十何県かあるわけでございまするが、その金庫が集りまして話合いをいたしまして、二十四県が私ども融資をしておる。この融資の額が五千万円ということが昨日決定をいたしました。その金利につきましては、これは金融業者関係でございますから二銭五厘で、金庫同士で二銭五厘の融資ということになるのであります。ところがさつき申しましたように、金利が高ければ労働者救済ができない、こういう立場から、福岡県といたしましては二銭八厘でとにかく出す。これは全く労働金庫の運営からいたしますると、これは採算を割るのでございます、併しそれでもこの困つておる人たちを救い、そうして我が国の産業を何とかして早く立直らせたい、これが労働金庫の使命であります。労働金庫の使命であるといたしましても、只今申上げましたように限度がございます。そのほかの金は、どうしても政府の政治に頼るほかない、こういう結論になりまして、只今各県の被害に対して救済をする金として話合いましたのが十六億ございます。併し十六億の金を私どもがどうするということは、仮に全国の労働金庫がここに百億、二百億の金を持つておりましても、十六億の金をここに集めるということは困難であります。それと又労働金庫といたしましては、金融機関でございまするし、対外的な信用を得ながら私どもが運営して行かなければならんもので、その負担能力或いは回収の見通し、こういうものに重点を置いた健全な運営をして行かなければならん、こういうことから、その一割五分と見まして私ども二億三千万円の政府融資を長期に亘つて、只今田村先生のお話もございましたし、いろいろ好意あるお話を承わりましたが、一つ無利息でこれを貸して頂きたい。その期間につきましては三カ年ぐらい一つ長期に貸出しをして下さればよろしいと思います。なおその方法につきましてはいろいろ一つ労働省ともお話をいたしますし、又今朝ほどは大野国務大臣にお会いいたしましていろいろ陳情をいたしました。丁度朝の静かなときでありましたから、首相官邸に私ども参りましたときに、じやまだ時間があるから会つてやろうということでお会会いいたしまして、いろいをお話を承わりましたが、そういうことは一つ労働省の労働政策の面にも関係するから、又各衆参両院の水害対策もあるし、本部対策委員会或いは西日本水害対策委員会がある、それぞれそこに一つ強力な発言の推進母体といいますか、そういうものを作つて促進してもらいたい、こういうことでありました。  以上大体私ども陳情を申上げました要点でございます。これは書類をお手許に後ほどお渡ししたいと思います。さつき申しましたように賃金の遅欠配についてはこれ又十分考慮してもらわなければならん問題でございますけれども、私どもの申上げておるのは以上のような理由で、別個の立場から私ども産業復興のために一つこれは社会党或いは自由党、改進党或いは緑風会というような党派を超越されまして、何とか一つ最善の、而も至急に対策を講じて頂きたいと思います。
  70. 栗山良夫

    委員長栗山良夫君) 続きまして山本經勝君。
  71. 山本經勝

    参考人山本經勝君) 連日御苦労様でございます。実は炭鉱関係災害を重点的に私はお話を申上げたいと思います。  只今江口労金理事長の前のお話によつて、総体的な被害状況、それから労働者一般的な状況について御理解を願えたかと存じます。それで少し政府のほうでも御調査になつておりますし、又議会のほうでも御調査になつておる実情でございますから、簡単に問題になろうかと思いまする、三点ばかりを御説明申上げまして御返答をお願いしたいと、かように考えております。  その第一点として申上げたいのは、先ほど申しました交通分断による或いは賃金の遅欠配、こういうような問題があると思いますが、その中で非常に大きな問題になりはせんかと思いますのは、労働者もやはりこの災害をこうむつているということをよく御理解願いたいのであります。それで企業が水害或いは災害のために危殆に瀕しておるという場合に、これを救済する対策なり手はよく伸びられるわけでありますが、常にその半面で同様な被害或いはそれ以上の深刻な被害を受けた労働者は見忘れられておるような向を今日までしばしば見て来たわけであります。これは私炭鉱におります関係上、特に筑豊炭田、或いは九州における炭田地帯の状況でございますが、例年二回ばかりは大抵台風その他水害を受けております。この被害は決して僅少なものではないわけでございます。これに対する今までの状態は、今申上げましたように企業なり経営に関する救済はなされておるけれども労働者救済は今まで一度もなされていないのが実態なのでございます。今回の水害に当りまして特に考えられますことは、炭鉱関係で百九十四の炭鉱が浸水その他相当大きな被害をこうむつたものなのであります。その中におきしまして関係労働者数は大体六万五千くらいになつておるようであります。この詳細な調査の資料も今回更にあとから続いて参ります代表がこちらのほうに持つて為ることになつております。まだ私の手許に届いておりません。  そこで炭鉱の社宅が特殊の事情にあるということが第一点、先ず御理解を願いたい。炭鉱は鉱区の上に土地を売収して、その上に集団的に社宅を作つておる。ところが鉱区でございますから当然石炭を掘るに応じて土地が沈下いたします。そこで大抵の所が土地が非常に低い、そこで一番水の被害を受ける条件を備えております。今回の一例をとつてみますと、三菱の潜龍炭鉱の六坑のごときは千三十戸の社宅を持つておる坑口でございますが、この坑口で八百戸がいわゆる床上浸水をいたしました。これは二十九日の晩でございましたが、そのときに連絡を受けまして現地に私ども参ろうといたしましたけれども、遺憾ながら遠賀川の堤防決壊で近寄ることもできない。一面の海原という状態で行けなかつた事実がございます。その際に被害を受けました人員は四千百八十名という報告でございます。八百戸の浸水で、保護人員は四千百八十名、これが高台に避難を夜中にいたしました。そうしてこれに対する炊出し、衣料の補給、こういうものを翌旦三十日に私ども協力いたしまして、筏で運んで、辛うじて命を繋いだという状況であつたのであります。この地帯はすべて坑口であつて、且つ坑口を埋立てて社宅を作つてある、而も川の水面より低い地域にある、こういう状態でございますから勢いそこに浸水する、堤防の決壊によつて怒濤のように流れて来る。電柱は倒れ或いは道路を決壊する、鉄道は不通になる、電信電話も切断されるという状況が現われたのであります。こういうような点、この場合にいわゆる被害を受けた社宅は倒壊はいたしておりません。併しながら家に帰つて再び住まうようにするためには最低一週間かかつておる。畳を乾かし或いは家の中の調度を整理して、そうして辛うじて病害を予防する程度の消毒を完了して家に移るためには一週間かかる。その間は何といつて労働者は働こうとしても働けない実情にあるわけであります。これは中小炭鉱の場合にはいきなり坑口から浸水いたしまして全く水没状態になつたのは大体四十炭鉱ございます。これは今日までに報告されたものが四十炭鉱、これは初めから操業ができない状態に陥つて、これらのものは賃金その他の給与の保障等は何らなされておらない。従つてこの水害に会つた生活というものは、異常な困窮に陥つているという状態を是非皆さんは御理解願いたいと思うのであります。そこでこうした一般的な被害にあつた労働者のいわゆる災害復旧、つまり自分の住まつておつた家を修復して再びそこに住まうようにする期間の犠牲と、それから只今中小炭鉱の例のように、水浸しになりましたために事業を再開するのがいつになるかわからん、その復旧を経営者が努力して、やらないような現実の姿が現われておるわけであります。ですからこの水害によつて現われました労働者の、特に炭鉱労働者の窮状というものは極めて甚だしいものがあるわけでございます。  それからもう一つ非常に重大だと考えます点は、この水害理由休業をしようとした炭鉱がある。これは大資本に属する炭鉱でございますが、その一例を挙げますと、貝島炭鉱或いは三菱の方城炭鉱、或いは明治鉱業の赤沈炭鉱或いは福地山炭鉱、こういうふうな大資本を擁する経営の中におきまして、水害によりいわゆる鉱車の操作ができない、或いは資材の導入が困難になつたから、こういう理由で臨時休業を申出た者があり、尤もこれにつきましては貝島労組のごとく炭労傘下の支部としまして、対会社の交渉で一応これは解決をみましたが、明治或いは方城、住友等におきましてはなし崩しに休業状態に押しやられて、そうして会社の考えた通り休業を強行して行く、こういう事実が現われております。これらはやはり今炭鉱事業の不振或いは炭鉱の先行き不安というようなことを考慮に入れて企業整備を計画しておつたのでありますが、この水害を契機にこの企業整備を意のままに一方的に強行する状態が実は現われたわけでございます。この点は特にこの委員会におきまして十分経営者に対しても警告をして頂きたいということをあとで御要望申上げたいと思いますが、そういう点。それからもう一つ、やはりこの水害に関しまして重要な点であると考えますものは、冒頭に申上げました社宅だけではなくて、この筑豊炭田或いは九州における炭田地帯は佐賀の一部或いは田川郡の一部を除きましては一体に土地が低いわけです。而も遠賀川の流域にありまして、この河床のほうが一般に耕作地その他の土地よりも高い実情にあります。従つて河水が増加するに従つてこの堤防の決壊ということは、すでに私ども炭鉱に参りましてからでも四回経験をいたしております。それによつて流域一体が水没する、こういうような実情なのでございます。そこで今度の遠賀川の堤防決壊につきましていろいろ専門家も研究されておるようでありますし、又県の土木出張所あたりも専門的な見地から検討されておるようでありますが、こういう事柄は申上げるまでもなく、決壊いたしました箇所は鞍手郡の植木よりも向うなんですが、丁度植木町の近辺になつている。この堤防の決壊の状況の目撃者によりますというと、普通堤防が、水がいわゆる増水をいたしまして、山を越え始めた、そうしてじりじりと洗い流して、そうして上流にそれが拡大して行くというのが通常の状況でありまして、そういう場合には土嚢を担いで行つてでも応急対策というものが講じ得るのでありますが、このたびのいわゆる堤防決壊は、堤防の中ほどから、つまり四メーター五十でございますが、その中間から水が吹き出して、そうして瞬く間に八十メーターに余る長い堤防の決壊を見て、怒濤のような濁水の浸入を見たわけであります。この状態は、この炭鉱における鉱害との関係が大きく出ておる。このことは三菱鉱業所の新入炭鉱の鉱害区域内にあるわけなんであります。従つてこの鉱害と水害とが非常に重要な関連性を持つておるという点は実に見逃せない事柄だと考えております。炭鉱地帯にある、特に今申上げました遠賀川の流域は筑豊炭田の中心をなすものでありますが、その辺一体がいわゆるこの鉱害地帯に属する。そうして今回の水害のごときはその鉱害が一つの主要な原因になつておるということが言われております。これは無論この労働委員会で直ちにどうこうということにはならんかとも思いますが、併しながら先ほど申上げました坑口に理立てをしてそこに社宅を建てて住つておる労働者現実生活との関連は極めて重要なものがあるかと思います。そういう意味におきまして、御参考に申上げまして、十分御検討を願いたい、こういうふうに考えるわけであります。  それで最後に私御要望として申上げておきたいことは、先ほど江口理事長からも申しましたように、いわゆる災害による保障が基準法二十六条のいわゆる規定に基く保障としてなされることは非常に困難かと考えますけれども、この面から申しますと、只今申上げました事情から申上げますれば、これは二十六条の適用も又不可能ではないのであります。殊にその中にいわゆる事業上の都合によつていろいろな他の理由、つまり企業整備を本来の目的とするけれども、幸いに水害をきつかけにやられたようなものについては当然問題があろう、例えば貯炭ができないと申しますけれども、それは貯炭が平生できないのではなくて、何どきでも石炭を広い構内に柵を設けて今までも貯炭をいたして参りましたし、炭価を調整するためにもそういうことをしばしば業者はやつておる。ただ今度の水害のときにだけ貯炭場がない、こういうことは理由にならないかと考えます。そこら辺も十分勘案願つて、この臨時休業を計画的にやつたものについては当然この賃金の保障は二十六条の適用によつてつて頂かなければならん、このことを切にお願いを申上げておきたいと思います。  それから第二の点は、当然何らかの融資もなされると聞いておりますし、又そのことを期待しておるわけでございますが、その際に単につなぎ融資として流して頂いたものは、これは全く業者の人たちだけに入るのであつて労働者の潤う余地は全くないかと思います。これは今日までしばしばなされた特殊な炭鉱融資につきまして一から十までがそうであつたと申上げても過言でないと考えております。そういう点から融資は是非とも労働者生活保障に振向ける紐付きの融資を明確にして頂かなければ、実際上困窮した労働者は浮かばれないということを十分御認識願いたいと考えます。  それからその次の点は、今申上げました根本対策として、やはり治水の問題が鉱害と重大な関係がある、これは炭鉱地域と限定いたしますが、鉱害と重大な関連があるという点についても十分御考慮を払つて頂きたい。それから最後にお願い申上げたいのは、この労働委員会から是非とも実情を、水害による経営の内部における労使間の状況或いは給与その他保障の方法等について十分御視察、御検討を願いたいという点、これは本日参りまして、早速委員長のほうに要望書も提出いたしております。その中には文書で被害の状況についても述べておりますが、是非ともこの点、この委員会から視察団を派遣して頂きたい、そうして十分現地について労使間の状況或いは被害状況等についても併せて御視察願つて十分な対策をお願いしたい。  以上四点を御要望申上げまして私の公述を終りたいと思います。どうぞ一つよろしくお願いを申上げます。
  72. 栗山良夫

    委員長栗山良夫君) 有難うございました。労働省のとられた措置に対する各委員からの御意見並びに只今述べられた参考人の御意見等を斟酌いたしまするというと、大体要点は三つになろうかと思います。それで田村君から特に強い御発言がございまして、非常災害の処理の問題であるので、できれば当委員会の一致した意見として、決議を以て水害対策特別委員会或いは関係各省に対してその救済につき意見を述べるようにいたしたい、こういうことを言われたのでございまして、従いまして本日はもう大変時間も遅くなりましたので、大体取りまとめまする要点だけを御確認を頂きまして、早急に明日の委員会までに原案を作りまして、明日の委員会で御検討願つて早速その取扱いをいたしたい、こう考えますが、如何でございましよう。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  73. 栗山良夫

    委員長栗山良夫君) よろしうございますか。
  74. 田村文吉

    ○田村文吉君 以上のことを明日までに一つ原案を専門員のほうでお作り下さつて、そうして明日お示しを願いたい、そうして御決議を願いたい。
  75. 栗山良夫

    委員長栗山良夫君) それで問題点を申上げますというと、先ず第一に、今までの労働省説明を伺いまするというと、今まであつた慣行或いは法規を基準にしていろいろ対案考えられておるようでありまするけれども、これは稀に見る非常災害でありまして、その枠内においての救済を以てしては全きを得ないということが熱心に述べられました。従いまして九州水害対策に対する非常災害であるという点を認識いたしますると共に、現行の慣行にこだわらないで、新例をも開く意味において積極的な救済を講ずべきであるというような意味のことを枕にいたしまして、それから具体的な内容としては、労働者賃金の支払のためにはあらゆる資金を優先的に動員して融資すべきである、労働者紐付きで融資すべきである、こういうことであつたろうと思います。又できうべくんばその利子等につきまして無利子にする、或いは補給をするというようないろいろな姿がありましようけれども、とにかく最大限の御努力を払つて融資をする、こういうことが第一点であります。それから第二点は、今度の災害を通じて多数の臨時の失業者が出ているようであります。併しながらこれに対する賃金を中心とした支払については、法律によつて強制し得る面とし得ない面とあるようでありますが、いずれにもかかわらず、最大限の努力をして労働者生活を不安なからしめるようにされたいということが第一点。それから第三点は、この災害によつて恐らく多数の臨時の失業者が出ていると思いまするが、この失業者に対するところの就労について緊急な対策を立てなければならんという、而も更には荒廃したこの災害地帯の産業の復興を一日も早く進めまして、再び元の職場に帰り得るような措置を講じなければならんと、こういうようなことであつたろうと私は思うのでありまして、  以上のような点を中心にいたしまして、専門委員会のほうにおいて成案を得まして、明日の委員会で御同意を得て決定いたしたいと考えます。
  76. 吉田法晴

    吉田法晴君 一つ落ちていると思う。それは水害被害労働者生活資金のために、政府資金を通じて労働金庫融資するとか預託するとかいう、それが落ちていると思うので、それを附加えてもらいたいと思います。
  77. 田畑金光

    ○田畑金光君 今吉田君からお話労働金庫に対する政府資金の導入というか、この点はやはり明確に謳つて頂くほうが事の性質上必要だと、こう思うのです。先ほど田村委員お話によつてそういうようなことも含めての御発言だつたと記憶いたしますけれども、ただ今労働省の考えている、或いは又先般来斡旋している資金というものは、賃金遅払資金でありますけれども、多くはそれは事業資金であり、従つて事業責任者の、事業経営者の責任において処理される資金なわけなんです。そういうような面から来る労働者賃金遅払いについては、我々決議によつて経営者にも大いに反省してもらうことも必要でありましようが、もう一つは、労働者自身の手によつて直接労働者生活面を賄つて行くというこの労働金庫の大きな使命、一番労働者生活をあずかつております労働金庫に速かに、先ほど中西労政局長お話ではありませんが、政府資金を導入して、これを活用して、労働者生活安定のために金庫を協力させるという面においても、只今の吉田君の発言は取上げて頂かなければならん問題だと思いますので、その点も併せて明日までの決議案の中に一項挿入して頂きたい。かように要望申上げておきます。
  78. 栗山良夫

    委員長栗山良夫君) 私、その点言葉が足りなかつたわけでありますが、労働者に対して、労働者生活保障のために紐付きの融資をする。これは田村委員も熱心にお述べになつたわけであります。それをする一番早道は、労働金庫融資することであろうとも私は考えます。従つて今の御趣旨の点は十分に明日の案文の中に取上げることにいたしたい、こう考えます。
  79. 梶原茂嘉

    梶原茂嘉君 労働金庫を極力活用することは、私は極めて結構だと思うのです。現実の事態から見まして、労働金庫も、先ほどお話があつたように、金融機関としての一つの制約と言いますか、そういうものがある。従つて急速に多量の資金を導入するために、一つの制約が起らんとも限らない。従いまして労働金庫を極力活用するという点については、これは極めて結構だと思いますが、それに限定するということになりますと、却つて動きのつかないという場面が一部に出ないかという懸念を持つわけです。その点は一つ……。
  80. 栗山良夫

    委員長栗山良夫君) 御趣旨の点はよくわかりましたからさように一つ取計らいます。  それでは本日はこれで散会をいたします。    午後六時五分散会