○
政府委員(
澁谷直藏君) 私から補足して御
説明申上げます。今後における日本経済の推移と、それに関連しまして雇用と失業の見通しがどうであるか、こういう御
質問だろうと思いますが、その問題は、堀
委員も御
承知のように非常に困難な問題でございます。併しながら
労働省当局といたしましては、当然
失業対策なり雇用対策というものを
考えます場合に、今後の見通しがどうなるかということについては常に
関係各方面とも連絡をとりまして
調査をし、研究もいたしておる次第でございます。正確な見通しについては、勿論これは神様でない限りわからんわけでございますが、一応
労働省として
考えている点を御
説明申上げたいと思います。
最初に貿易の点でございますが、これは、御
承知のように、
一般的にコスト高のために今後においてもそうはかばかしく伸びるということは期待されないと思うのです。依然として輸出は伸び悩みの状態に
なつているであろう、こういうふうに
考えているわけでございます。それから国内の経済の生産指数は、御
承知のように非常に順調に伸びて来ております。恐らく本年度におきましても若干のパーセントは生産指数は上昇するであろうというふうに見通しは立てておりますけれ
ども、
只今堀
委員から御指摘のように、産業の合理化というのが
一つの大きな課題でございますので、生産指数が上昇いたしましても、それに併行して雇用量の増大というものは必ずしも期待されないのであろうというふうに
考えているわけでございます。
次に特需でございますが、これは朝鮮の休戦が果してどうなるか、これもはつきりした予想はつかないわけでございますが、仮に休戦交渉が成立したという場合には、当然今までの特需というものの軍事的な性格を持
つてお
つたものは減少するであろうというふうに
考えられるのでございます。併しながらその半面、朝鮮の復興という新らしい需要が起きて参りまして、その復興
関係の特需がこれは増加するであろうというふうに
考えられますので、特需全体として
考えました場合には、そう急激に大幅に変化するということは先ずないのではないかというふうに
考えておるわけでございます。
大体以上が対外経済的な見通しでございますが、国内の状況としてはどうであるか。
只今政務次官からも御
説明いたしましたように、公共
事業或いは電源開発とい
つたような公共投資に
相当政府としては重点を置きまして、国内の有効需要を増加させる、こういう政策をと
つておるわけでございます。御参考のために申上げますると、公共
事業について前年度との
比較を申上げますと、二十七年度が、
総額におきまして千二百三十八億、それが二十八年度におきまして千五百五十五億、差引き三百十七億、前年度に比べまして約三割
程度の増額と
なつておるわけでございます。これによ
つてどの
程度の雇用量が増大するかという問題でございますが、私
どもの計算によりますると、これによ
つて一日の稼働人員にしまして十三万七千人
程度の雇用量が殖えるというふうに
考えておるわけでございます。それで全体としての雇用なり失業の見通しはどうかということでございますが、これは
只今申しましたような対外経済或いは対内経済の諸条件を総合的に
考えてみますると、失業者は若干増加の傾向を迫るかと思いますけれ
ども、急激にこれが悪化するというようなことはないので、全体としては若干悪化の傾向を辿りながらも、大体保合の状況で推移するのではないかというふうに
考えておるわけでございます。
それで
失業対策といたしましては、
只今申しましたように、公共
事業におきまして前年度に比べて三百十七億の増額を計画しておる。
失業対策事業におきましても、前年度の八十億に対しまして二割強の増額で九十七億、それから
失業保険におきましても、前年度に比べまして年間を通じて二百三十七億の増加を計上しておるわけでございます。それから職業補導の面におきましても、前年度に比べて千三百万ほどの増加をみておるわけであります。こうい
つたものを総合的に
運営いたしまして来るべき失業情勢には対処して参りたい、こういうふうに
考えておるわけでございます。