○
岡田宗司君 本
委員会におきまして
青木委員長に対しまして不信任決議案を
提出するということは、誠に私どもにと
つて遺憾なことでございます。併しながら今日までの
予算審議の経過等を見まして、特に今日起りました
事態からいたしまして、私どもは遂にここに不信任案を
提出せざるを得なくな
つたのでございます。
この
予算案の
審議の過程におきまして、
委員長のとりました態度、
委員長としてのやり方というものは、私どもから見ますれば非常に遺憾な点が多か
つたのであります。
青木委員長は戦争前におきまして有能なる官吏として立たれ、又戦時中には
大臣を務められておりましたけれども、遺憾ながら議員生活はおやりに
なつたことはなか
つた。今回の選挙におきまして
参議院に御当選にな
つて参られたのであります。やはり
参議院におきましてはすでに新憲法の下において六年の日時を経過いたしておりまして、その間にいろいろ
審議につきましても先例もできております。又大体いろいろなやり方というものが各党の間におきましてもそれぞれいろいろな形で了解されて進められて
参つて来ておるのであります。ところが
委員長は議員になられましてからも非常に新らしく、又
委員会におきまして
委員として御
審議に加わられたこともなく、こういう
ような経験がないときにこの
予算委員会……、特に本年度の
予算は、二十八年度
予算は、昨年
提出いたしまして、その
審議の過程において解散に相成りました。従いましてこの
予算の
成立を見ることができず、四月下旬に行われました
衆議院選挙、
参議院選挙の後に、五月十八日から開会されましたところの特別議会に付議されることにな
つたのであります。而もこの議案は、この
予算案は、最初から
提出されたものではございません。これは相当その
成立におきましてもいろいろ手間取
つて参りました。従いまして暫定
予算を六月分、七月分と組み、漸く八月以降の分が本
予算として計上されて参
つたのであります。そしてこれが
衆議院に
提出されましてからの
審議期間も非常に短い、
衆議院において立てられましたこの日取りの予定は、去る七月の十三日に上げて、そうしてそれがこちらに回付されることにな
つて参
つたのであります。ところが十三日に
衆議院の通過を見るに至らずいたしまして、これは十七日までに
修正案もできるということでもめて参りましたことは御
承知の
通りであります。この間におきまして改進党から
提出されましたところのこの
修正案、これをもとにいたしまして、自由党、鳩山自由党との間に種たの論議を重ねました結果、未だ日本の議会におきまして歴史上その例を見ないところの
修正案が
成立したのであります。本来ならば、かくのごとき大巾なる
修正がなされました場合には、当然
内閣は総辞職をしなければならないのでございます。(「そんなこと
関係ないよ」「簡単簡単」と呼ぶ者あり)然るにこの点につきまして、(「発言中だ」と呼ぶ者あり)
政府は、これを容れまして、そしてこの
修正予算案を受諾し、漸く十七日に
衆議院を通過して、こちらに回付されるに至
つたのでございます。(「時間は制限されないからゆつくりやれよ」と呼ぶ者あり)ところがこの三派の
修正案なるものが極めて大中であります上に、非常な無理がございますために、いろいろな点に矛盾が現われ、又いろいろな点におきましてあいまいな点があ
つたのであります。
第一にこの
修正案の
取扱い方が本
予算委員会におきまして問題に
なつたことは、この
修正案が極めてそういう点において性格上あいまいで、そしてこれが
衆議院において何ら論議されずしてこちらに廻されたというということから生じたことでございます。私どもはか
ような
修正案がこちらに廻
つて参
つたのでございますから、この
修正案がおいかぶさりました
予算案の
審議というものは、本
予算委員会におきましても初めて
取扱うがごとき問題でございます。従いまして私どもはこの
修正案のおいかぶさりました
予算案の
審議に当りましては、極めて慎重なる態度を以て臨まなければならんのであります。又この
予算案を
審議するに当りまして、今後いろいろと先例となるべき問題もございます。従いまして私どもがこの先例となるべきものを
審議するにつきましては、
予算委員長も慎重に、成るべく疑義を残さない
ように御
審議を進められることが
委員長の職責として当然なことであり、又
委員長もそういうふうに議事を進めら為ることが、
参議院の
予算委員会の権威を高め、又
参議院の
予算委員会としての職責を尽すことになるものと私どもは
思つてお
つたのであります。
然るに先に申上げました
ように、
委員長はこの
予算審議に当りまして、与党側の要求によりましてむやみに急ぎまして、
先ほど委員長のお言葉によりますれば、答弁の問題はこれに満足するかしないかは主観の問題であるという
ようなことを
言つておられておるのでありますけれども、併し答弁に対する態度が、我々としてこれを明瞭なものとして
認めるか、或いは明らかにな
つておらんとしてこれに更に疑義を有するかということは、たとえ主観の問題でありましても、当然取上げて明らかにこの
委員会で論議をしなければならない。
委員長みずからが進んで議題にしなければならない問題までもこれを議題にしておらないということは、これはたとえ何と言われまし
ようと、
委員長といたしましての手落ちと言わなければならんのであります。
その一例を申上げます。
先ほど亀田君も触れられましたが、
昭和二十八年七月二十日、最高裁判所長官田中耕太郎の名を以ちまして次のごときものが本院に来ておるのであります。
参議院議長 河井彌八殿
裁判所所管
昭和二十八年度
予算の減額
修正について
時下ますます御健勝にて邦家のため御尽すいのこと心からお慶び申上げます。
さて、かねて
内閣から
衆議院に
提出されていた本年度裁判所所管
予算については、一般行政経費の節約に伴い、大幅に減額
修正の上可決され、昨日貴院に送付されたことと存じます。
つきましては、貴院におかれ本
予算案を御
審議下さる際には、是非次の
ような裁判所
予算の独立性および特殊性を十分御しん酌の上、減額
修正について特段の御考慮を賜わる
よう、御願いいたします。
一 第一に、裁判所
予算は、現行法上一般の
政府予算に比し、相当程度の独立性が保障されているという点であります。すなわち、裁判所法によ
つて裁判所の経費は独立して国の
予算に計上しなければならないと定められており、また
財政法においても、
内閣が
予算編成に当
つて裁判所の要求を削除したため裁判所と意見が一致しないときは、
内閣は自己の編成した
予算案と同時に裁判所の要求をも
国会に
提出して
国会の
決定に任せる。いわゆる二重
予算の制度が
認められ、
内閣の一方的な制約から保障されている次第であります。
二 第二は、裁判所
予算のうちでも、特にイ裁判費十一億六千八百五万九千円およびロ裁判官会同旅費四千六百三十三万三千円は、後に述べます
ように裁判所の生命たる裁判事務に直接する費用であ
つて、これらの経費に対し
衆議院において可決された
ような大幅な減額
修正が実施されるごとになりますと、その結果、ただちに全国裁判所における裁判事務の運営に多大の支障をきたすおそれがあるということであります。
イ 裁判費について
裁判所所管歳出
予算中、裁判費は、最高裁判所および下級裁判所において支給する国選弁護人の報酬、刑事補償法による補償金、証人、鑑定人および通事に対する旅費日当、調停
委員に支給する日当、裁判官、書記官等の検証等のために要する臨検旅費その他裁判を行うために直接必要な庁費(証人等の呼出および裁判書等の送違等のための通信費、調書用紙の購入費等)の
予算であります。
こうした費目を列挙しただけでもおわかりになる
ように、この裁判費は、もつぱら民事、刑事、調停および家庭事件等の増減により、その支出を当然伴う不可欠の経費でありまして、一般の行政経費のごとく経理上の都合によ
つて支出を抑制することが許されない性質のものであります。
従つて、これらの経費については、旧会計法時代には
予算上、補充費途に属する経費として特別な
取扱を受け、新
財政法施行後も
大蔵大臣の指定する経費とされて、一般行政経費と異なる
取扱を受けているのであります。か
ように、裁判費について
予算上特別な
取扱いをされるゆえんは、一に裁判の円滑適正な運営を期するためであること申すまでもありません。
なお、法務省所管検察費の検察旅費等は減額
修正率が一割でありますのに対し、これ等と性質を同じくする上記裁裁判費の証人等旅費、
委員等旅費および
職員旅費につきましては減額
修正率が二割でありまして、前記に比し甚だしく不均衡な結果とな
つておりますので、念のため申し添えます。
ロ 裁判官実務家会同のための旅費について
御
承知への
ように、裁判官は、その職務遂行上、上司の指揮命令を受けることなく、全く独自の権限と責任においてこれをなさなければなりません。
従つて、裁判官は、裁判事務の迅速適正な処理に関しても、各自不断の研究を重ねているのでありますが、全国各地に散在する多数の裁判官が個々別々に研究をするだけではきわめて不千分でありますので、全国の裁判官が適当の時期に東京等で一堂に会し、裁判事務の運営に関して互に自由に討議研究する
機会を持つことが是非必要なのであります。
そうしてこそ裁判事務の一層合理的な運営が期待され、また事務処理に関する各庁間の不均衡を是正して公平な裁判を期待することもできるのでありまして、これ以外に適当な方法はないのであります。現に新憲法の施行とともに、新しい裁判所制度が発足して以来、毎年予定どおりに、各種の実務家会同が実施されて参
つたのでありまして、この会同を予定どおり実施することは、裁判事務の適正迅速な処理のために不可欠な要件であると申しても決して過言ではないと存じます。
以上裁判所の
予算の独立性および特殊性につき一言申し上げ貴院の御高配をお願いする次第であります。
なお、御
審議の御参考までに別紙資料を添えておきます。
こういう
ような申入書が最高裁判所長官田中耕太郎氏から
参つておるのでございます。この問題も本来ならば
委員会自体が当然取上げなければならん問題でございます。最初これが申入がありましたときに、
委員長は直ちにこれを取上げて、この申入書を
委員に配付いたしまして、この裁判所の
予算に関しまするこれを、やはり
財政法上に問題な点がございますから、進んで本
委員会において論議すべき、議題にいたすべきにかかわりませず、今日までのところにおきまして、
委員の側のほうからこの申入書が来ておるということを知りまして、これを配付すべきことを要求いたしましてから、漸くこれを配付する、取上げるかと
思つておりましたならば、今日まで遂に
委員長よりこの問題を論義することを何ら
提案されなか
つたのであります。この点につきましては、
委員長が明らかにこの問題の処理を誤ま
つておると言わなければなりません。私どもは
財政法をここに読み上げるまでもないのでございますが、この裁判所等の
予算が独立性を持
つておるということは、この申入書にも明記されておることであります。
衆議院におきましてはこの点に対する考慮が払われずいたしまして、これがそのまま一般の
予算と同じ
ように削られましてこちらに回付されたために、か
ような申入れが行われたということは、
参議院といたしましては当然重大な問題として取上げなければならんにもかかわりませず、これがなされなか
つたということは、明らかに
委員長としての不適格性を物語ると言わなければならんのであります。
次に、私どもは
審議の過程におきまして、本
予算案の執行についていろいろな問題を取上げてやらなければなりません。従いまして私どもはこの
予算案の
審議に当りましていろいろな資料を要求いたしたのでございます。私は過日文書を以ちまして
委員長に対しまして、今次の
参議院選挙におきまして、或いは
衆議院選挙におきまして、各省の多くの高級官吏諸君或いは各
政府機関の高級職員諸君が立候補されまして、それが選挙最中におきまして幾多の選挙違反を起しておるのであります。そして現職の官吏或いは
政府機関の役人が多数逮捕されまして取調を受けておるのであります。この
内容のよしあしは別といたしまして、私どもは、高級官吏が職を辞しまして、直ちに立候補をいたしまして、そうしてそれまでにいろいろな問題を起しておる。而もこの選挙の違反の実例を見ますというと、職権を濫用いたしまして、極めて悪質なものが多い。そのために非常な広汎な官吏或いは
政府機関の職員諸君がこれにひつかかりまして、その取調べのために随分国務も渋滞しておるのであります。そこでこの問題を聞こうといたしまして、私はの
委員長に対しまして、
政府の局長、課長級以上、各省の局長、課長級以上、
政府機関の局長、課長級以上の高級官吏がどのくらい選挙違反によ
つて逮捕取調べを受けたか、更にそれに
関係しておる候補者の氏名は何かということを資料として要求したのでございますが、この資料も、
委員長を通じてなされたのでございますけれども、今日
予算審議が終ろうとする間際になりましても、かかる資料は
提出されないのであります。御
承知の
ように、こういう
ようなことは検察庁において取りまとめて明らかにな
つておるはずであります。
国会からこれが要求されましたならば、当然その氏名とその他を表にまとめまして出すべきが当然であります。
委員長は若し本当に誠心誠意この
予算の
審議をすることが必要である、こういうことでありますならば、これを出させなければならない。又私に対しまして、その
取扱い方について経過ぐらい報告してもよかろうかと思うのでありますが、そういうことも一遍もされない。更に又私が同じく文書を以ちましてMSAの問題について論議する際に、これは重要欠くべからざるものといたしまして、アメリカの議会におけるダレス国務長官のMSAに関する証言中、これは全部を要求しておるのでありません。日本に
関係する
部分についての証言、それから日本の防衛問題等に関するところのダレス国務長官の証言、例えば問題になりましたところの十個師団三十五万、この証言等を要求したのであります。日本はすでにアメリカに大使館を設けております。この
国会における速記録を直ちに取寄せて飛行便でこちらに送ることも可能でありまし
よう。又アメリカの大使館から
政府に対しまして、このダレス証言の日本に関する
部分等は当然打電されて来ておると思うのです。これは外交上秘密に属するものでも何でもございません。向うの速記録に出ておることなんでありますから、これを私が要求したのであります。昔ならば或いはなかなか入手できないかも知れないのでありますが、ダレスのアメリカ
国会における証言のかなりの
部分はすでに本院の外務
委員会の一
委員さえこれを向うから入手しておるのであります。従いましてこれらの資料を私がすでに十日ほど前に要求いたしまして、これが
提出を求めたのでありますが、未だに出て来ておらん。これ又
委員長の怠慢でありまして、私どもの要求いたしましたものを本気にな
つて政府に向
つて伝えてくれなか
つた、こういう
ようなことから来るものではないかと思うのであります。私は
委員長の資料に対する
取扱い方というものも又甚だ的確性を欠いておると言わなければならんのであります。
又終戦後の食糧増産のために投じた財政支出と、その経済効果に関する資料等も要求されたのでありますが、これさえ出て来ておらんのであります。本
予算におきましても食糧増産が重要な部面を占めておりまして、そのために相当額の金額が計上されております。併しながら従来もそういう
ようなものが投ぜられておるにもかかわりませず、どの
部分がそれではそういう食糧増産のために費用を投ぜられた結果、効果が挙が
つておるかということを我々が知ろうとして、要求して、これに検討を加えることは、将来の
予算に向いましてどうしても必要欠くべからざることであるのであります。然るにこれらの資料も放擲されたままにな
つておる。
審議を急ぎます結果こういう
ようなことが放擲されまして、私ども議員としての
予算審議に対する(「恥かしくないか」と呼ぶ者あり)職責がそのために極めて妨げられておるということを非常に遺憾と存ずるのであります。か
ような
事態になりましたのも一に
委員長がそのために御
努力にならなか
つたことから出ておる。議院の
予算審議権について深いお
考えがない。これをまあ軽視と申しては或いは語弊があるかも知れませんが、やや軽視をされてお
つたのではないかと言わざるを得ないのでございます。更に申上げなければならんことは、
修正案の
取扱い方でございますが、
修正案につきましては、その最初の
提出の時からいたしまして非常に論議がなされたのでございます。私はその論議についてここで繰返そうとは存じませんが、併しながらこの
修正案を論議いたしております過程におきまして幾多の事実が現われて参
つたのであります。第一に問題になりましたのは、
修正案を
提出されましたところの三派の人々の意見が食い違
つておるということもございました。又最初に三浦君が参りまして説明された時のその資格等が先ず問題にな
つたのであります。私どもは
委員長が、この
修正案の重要性、そしてその性格に疑義があるにもかかわりませず、漫然として三浦改進党政策
審議会会長をお呼びになりまして、これを説明させ
ようとしたことは、この
修正案に対しまして
委員長が十分に深くお
考えにな
つておらなか
つた証左であろうと思うのでありますが、私どもはその
審議の開始に当りまして、先ず今申上げました三浦氏の資格の問題を論議いたしたのであります。その結果漸く参考人として聞くということに落着いたのでございますが、この時の
委員長の態度を見ますというと、やはり
修正案の
提案者としてこれをお招きに
なつた
ようでありますが、ここいらは
委員長として軽卒の譏りを免れなか
つたのではないかと思うのであります。幸いに私どもが論議をいたしました結果、参考人ということになりました。そしてこの
委員会の権威が汚されずに済んだのでございますが、そういう点から
考えまして
委員長は極めてこれらの
取扱い方について不用意であ
つた、こう言わざるを得ないのでございます。
次に、
修正案の
審議をいたしておりますところの過程に又いろいろな問題が出て
参つておるのであります。
先ほど私が申上げました例の裁判所の要求と同じ
ような要求が、会計検査院からもなされておるのであります。会計検査院の
予算も又独立性を持
つておることは、これはすでに
財政法に明記されておるところでありますが、これ又無視されておる。そのために会計検査院からもそれが要望されて
参つておるのであります。このこともやはり
委員長は取上げなければならなか
つたはずであります。これも取上げられて論議されるものとしていたのに、
委員長からこれを提起されておらんのであります。会計検査院からの要望書は次のごとくにな
つておるのであります。
昭和二十八年度
一般会計予算中会計検査院所管分の
修正に関する要望書
貴院において
審議中にかかる
昭和二十八年度
予算案は、
昭和二十八年七月十七日
衆議院において
原案の
修正が行われ、会計検査院所管の予定経費も、一般の比率に従い旅費及び庁費等の削減を受け、旅費においては総額の二割相当額千余万円の削減を受けるに至
つた次第である。しかしながら、右のうち特に会計実地検査の実施に必要な検査旅費については、従来、会計検査院で
指摘した不当経理の事案は、その大
部分が実地検査の結果によるものであるため、検査旅費額の消長は直接検査の成果を左右するものであり、他方、国及び
政府関係機関等の経理の現況は、毎年度決算検査報告に記述するとおり違法又は不当の
取扱が各機関にわたり多数に上
つており、一層検査の徹底を期することが緊要であると
認められ、殊には貴院決算
委員会の累次の要望もあり、前記の如き検査旅費の削減は、会計検査上影響するところが少くないと案ぜられる次第である。
よ
つて、さきに
衆議院議長に対し、この点についての配慮方を要望したのであるが、貴院におかれても、検査旅費については特段の御配慮を願いたい。
昭和二十八年七月二十一日
会計検査院長 佐藤 基
参議院議長 河井 彌八殿
こういう
ような会計検査院からの要望書も
参つておるのでありますが、これ又
審議の対象となることがなか
つたのであります。か
ような点はやはり
委員長といたしまして、その職責に欠くるところがなか
つたかと言わざるを得ないのであります。又私どもがこの
委員長がいろいろと議事を進めます上におきまして、
委員の
質問をいたしますに当りまして、かなり不公平と見られる
ような
取扱いをされておるのであります。例えば本日でございますが、
小林孝平君が
電電公社の問題につきましての質疑をいたしましたが、今度の
電話料金の
値上げが二割五分の
政府原案が二割に
修正をされました。そのために
電電公社の
予算の上に非常な変化が起らざるを得なくな
つたのであります。そのために生じまするところの
電電公社の
予算上の欠陥は二十五億円に上るのでございます。この二十五億円は決して小さい額ではございません。この二十五億円の額を捻出いたしますことは相当大きな問題でございます。塚田
郵政大臣はこの点につきまして御答弁にな
つておるのでございますが、この塚田
郵政大臣の御答弁を聞いておりまするというと、非常にあいまいで、二十五億円の問題につきましてはいろいろ節約をいたしまして、足りないところは二十五億円の
限度において建設
公債の
発行によるという
ような
意味のことを本日答弁されておるのであります。併しながら、
政府機関の
予算としてか
ような穴があきましたことにつきましては、それではこれについてどういうふうな方針を以てや
つて行くかということは、八月一日から
予算が執行されますことになりますので、直ちにきめなければならん問題である。又すでにこの点につきましては、
衆議院で
修正をされましてから若干の日数もあるのでありますから、当然
電電公社におきましてはこれらの問題についての答申が大綱でも立てられておらなければならんはずでありますし、当然
郵政大臣はその御報告を受けておらなければならん。又これに対する御答弁ももつと明確でなければならんわけであります。ところが明確な御答弁がない。又
大蔵大臣の御答弁も同じ
ようでございます。従いまして、
小林君は、又私は、
電電公社の総裁を本
委員会に呼びまして、そうしてこの二十五億円の
歳入の欠陥に対して如何なる処置をとるかということにつきましていろいろとこれを聞きたいと、こう申したのであります。ところが自由党のうちから、塚田
郵政大臣の答弁で明白だ明白だという
ような市があ
つた。何ら明白にな
つておらんのです。数字上明白にな
つておらんのですが、
委員長はそれに動かされたのか何か知りませんけれども、この点につきまして私どもは疑義を持ちましたので、
電電公社総裁を呼ぶということを申上げましたけれども、
委員長はそれを呼ぶ
努力をなさらない。そうして
委員長は呼ぶ必要なしと、こういうことをおつしや
つて遂に呼ばないのであります。か
ような二十五億円の問題が明らかにされませんままで放
つたらかされてしま
つた。
委員長が独断で以てか
ようなことをなされておりますことについて、私どもは
委員長の
取扱いが誠に不公平である、こう
考えざるを得ないのであります。
委員長がとりましたさ
ような態度のために、遂にこの
予算の
審議の過程におきまして二十五億円もの問題が明らかにされず、そのまま放置されてしま
つたということは、誠に
委員長のとりました態度は遺憾であると言わざるを得ないのでございます。こういうふうに
委員長といたしましては、この
政府委員なり或いは
政府機関の人々を呼ぶことを極力避け
ようとしておるということは、結局自由党側の要求によりまして
予算をどんどんと早く
成立させ
ようと、こういう
ような
考え方からいたしまして、
審議を明瞭にしないで、それでも構わないということであると言わなければなりません。私どもは
審議を明瞭にいたしました結果、例えば採決で敗れるとも、これは多数決で止むを得ないことでございますが、併しながら
審議は相当十分に明らかにしなければならんと
考えておるにかかわりませず、か
ようなことをなされましたことは、遺憾至極と言わなければならんのであります。又私どもは今次の
予算の
審議に当りまして
修正案が非常に重大な
意味を持
つております。そこで
修正案につきまして性格の論議をやりましてから後に、
委員長にお願いをいたしまして、三派の
代表を招致いたしまして、そうしてここにおいて供米完遂奨励金の問題の性質をめぐ
つて論議をいたしたのでございます。供米完遂奨励金はこれは改進党と自由党の間におきまして意見の一致を見なか
つた問題でありますが、この八百円というものを出すに至ります過程は、非常にいろいろと論議が沸騰いたしまして、なかなか一致を見なか
つたことは私が申上げるまでもない。併しながら、この点につきましては我々は明らかにしなければならないのでありまして、これは一体この八百円を出すということがいわゆる二重米価であるのか、或いは又前に
政府が出しておりました供米完遂奨励金を拡張するものであるのかというもとを明らかにしておかなければなりません。そこでこの点についての論議が激しく行われたのでございます。竹山改進党副幹事長等のおいでを願いまして論議をしたのでありますけれども、一向明らかにならん。特に
大蔵大臣の御発言のごときは御答弁の途中で何遍も変
つておる。初めは完遂しない農家には出さない、こうおつしや
つてお
つたのであります。そういう
ようなことをはつきり
言つておられる。ところがそのうちに今度は竹山さんがおいでにな
つていろいろ説明されるというと、今度は
政府側の答弁というものは又変
つて参りまして、今度は完遂しない市町村には出さない、こういうことに
なつた。そこで私は設例を挙げまして、そうしてお伺いをいたしたのでありますが、この設例はどういうことかと申しますというと、或る村で千石供出することに
なつた。百戸皆が十石ずつ
割当をなす
つた。そこでその農家が、まあ皆十石ずつ出すというのだが、中には五石しか出せない
事情の者がある。それから一戸は十五石出した、それで全体としてその村は千石出した。そうすれば完遂奨励金は
政府の言によれば、村が出すことにな
つたのだから、その村へは来るが、一体五石しか出さない農家には奨励金は出さない。(「
委員長の不信任とどういう
関係があるのだ」と呼ぶ者あり)ということをお伺いしたのでございます。ところがこれに対するところの答弁は、全部食い逢
つておる。はつきりしておらん。これを出す、五石の者に出すということはおつしやらない。そういう
ようなことでございまして、結局どういうことに
なつたかというと、一向あいまいであ
つて、何だかわけがわからない。はつきりした御答弁が与えられない。こういう馬鹿げたことに相成
つておるのであります。これは速記録を御覧になればはつきりしております。そこで私どもはこれではいけない。この点はもつとはつきりさせなければならんと
考えまして、ところが七月二十四日に私どものところには、三派が秘密協定を作
つたという
ような、そういう話が起
つて参
つたのであります。そこで私は、これは
予算審議の上で重大なことである。この秘密協定というものがあるかないかということも、竹山副幹事長以下に聞きましたところが、ないという。ところがどうもそういうものがある
ような、いろいろ話が聞えて参りますので、これは
一つ是非
予算の
審議をする上に、特に
修正予算を
審議する上に必要であるから、それをどうか
提出して頂きたいということを
委員長に申入れたのであります。ところが
委員長はこの点につきまして何ら御
努力をなされなか
つたようでございまして、そういうものはないということを、まあお聞きにな
つたのか、御推測にな
つたのかは知りませんけれども、私が申上げましたところが、そういうものはないから出せないというお答えであ
つた。ところがその時にすでに私の手許にはそういう
ようなものが一部入
つて参
つたのであります。そこで私はその表題を読み上げた。即ち「
昭和二十八年度一般会計、特別会計及び
政府機関各
予算案
修正についての自由、改進、自由三党閥の了解事項」。そして「以上の各項に亘る了解事項を確認するためここに署名捺印し各壱部宛を保有するものとする。
昭和二十八年七月二十四日」こういうものがあるではないかと
言つて、こういうものがすでにあるが、これを
一つ資料を出して頂きたい、それが
修正予算案のいろいろな疑問の点を明らかにすることになるからと、こう申上げて要求したのであります。然るに今日に至るまで、梨のつぶてでありますけれども、
修正の根本にな
つておりますこの了解事項について、これを全然放
つたらかされている。これじや
修正予算を十分
審議するわけに参りません。か
ような重要なものを出されないということは、私は
委員長としての職責に欠けるところがある。
委員長は、この
予算審議を十分にせしめるためには、
政府に向いまして、相当資料等の要求をされるべきが当然であります。例えば
木村禧八郎君が、例の造船等の利子補給金について、いろいろ資料を出せ、こう申しましたが、てんで質疑をするに役に立たない
ような極く大雑把な資料を出して参りまして、そこで木村君が、これにつきまして、
委員長に資料を出せ、こう
言つておられます。ところが
岡田海運局長等が来まして、いやそういう資料はあるのないの、自分の所管でないのあるのといろいろ言まして、成るたけ出さない
ようにしておる。(「けしからん」と呼ぶ者あり)そしてしまいには、誰の入れ智慧か知らんけれども、それじやその元のものを持
つて来て、そこいらの机の上に並べるから見て下さいという
ような話も起
つたのであります。(「けしからん」と呼ぶ者あり)今までに私はこんな馬鹿げた資料の
提出の話は聞いたことがない。これに対して
委員長はあつけらかんといたしまして、さつぱり御
努力にならない。木村君が大いにそれを主張いたしました結果、まあ余り満足なものではないけれども、今日木村君の
質問をいたしますに必要な資料が出て参
つたのであります。これに基きまして本日木村君がその
質問をなされた。出せば出せるのです。ちやんと
政府が
努力すれば出る。海運局長等は、いや、それからピック・アップするのには大変暇がかかる、到底今度は間に合いませんという
ようなことを
言つてお
つた、それがちやんと今日は出ておる、これを見ますというと、余り資料を出すのを喜ばないのがどうも各省の通弊の
ようでありますけれども、
委員長はこれに対しまして、
国会の立場から各省に対しまして資料を要求されることについて余り御熱心ではない、まあ
青木さんも官僚出身でございますから、余りそういう
ような資料が要求されていろいろなものが突つつかれると困るということで各省の官僚諸君に御同情の立場をとられたために、そういうふうな態度をとられておるのかも知れません。併しながらそれは
予算委員会の
審議にとりましては誠に迷惑千万な態度と言わなければならんのでございます。私どもはか
ような
予算委員長の態度というものに対しましては、断然承服することができない、その下におきまして
予算の
審議をすることは、結局本
予算案を
審議する上において、議員としての職責を尽し得ないと
考えましたので、この不信任案を
提出する理由のやはり
一つに数えなければならんと
思つておるのであります。ところで私どもはこういう……。