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1953-07-27 第16回国会 参議院 予算委員会 第25号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和二十八年七月二十七日(月曜日)    午前十時二十五分開会   —————————————  出席者は左の通り。    委員長     青木 一男君    理事            西郷吉之助君            高橋進太郎君            小林 武治君            森 八三一君            中田 吉雄君            松澤 兼人君            堀木 鎌三君            木村禧八郎君            三浦 義男君    委員            石坂 豊一君            泉山 三六君            上原 正吉君            大谷 贇雄君            小野 義夫君            鹿島守之助君            佐藤清一郎君            白波瀬米吉君            関根 久藏君            高橋  衛君            瀧井治三郎君            中川 幸平君            宮本 邦彦君            吉田 萬次君            井野 碩哉君            柏木 庫治君            高木 正夫君            亀田 得治君            小林 孝平君            佐多 忠隆君            藤原 道子君            三橋八次郎君            湯山  勇君            加藤シヅエ君            棚橋 小虎君            戸叶  武君            最上 英子君            杉原 荒太君   国務大臣    外 務 大 臣 岡崎 勝男君   大 蔵 大 臣 小笠原九郎君    文 部 大 臣 大達 茂雄君    農 林 大 臣 保利  茂君    郵 政 大 臣 塚田十一郎君    国 務 大 臣 安藤 正純君    国 務 大 臣 緒方 竹虎君   政府委員    人事院事務総局    給与局長    瀧本 忠男君    大蔵政務次官  愛知 揆一君    大蔵省主計局長 河野 一之君    文部省初等中等    教育局長    田中 義男君    農林大臣官房長 渡部 伍良君   事務局側    常任委員会専門    員       野津高次郎君    常任委員会専門    員       長谷川喜作君    常任委員会専門    員       正木 千冬君   —————————————   本日の会議に付した事件 ○昭和二十八年度一般会計予算内閣  提出衆議院送付) ○昭和二十八年度特別会計予算内閣  提出衆議院送付) ○昭和二十八年度政府関係機関予算  (内閣提出衆議院送付)   —————————————
  2. 青木一男

    委員長青木一男君) これより委員会を開きます。湯山君。
  3. 湯山勇

    湯山勇君 最初大蔵大臣にお尋ねいたします。  私は五月三十日の本委員会におきまして昨年の十二月二十五日に成立した一般職給与表の別表についている「本表は、暫定的のものであつて、なるべく速やかに合理的改訂を加えるものとする。」ということの検討をどう処理されるかということをお聞きした際に、大蔵大臣は今提案しているのは暫定予算であつてその性質上経費は計上しなかつたとおつしやつたわけです。このことが一つ残つておりますのにすでに次の勧告がなされておる。こういう事態においては当然前国会の意思を尊重して大蔵大臣は組まなければならない責任があると思うのですが、どうお考えになられますか。
  4. 小笠原三九郎

    国務大臣小笠原九郎君) この点につきましては湯山さんがお尋ねになつた通り御答弁申上げておるのでありまして、その後いわゆる中だるみというものでございまして、取調べましたところいろいろほかにも影響するところがあり、又そのほか或いはずつと頭打と称するもの、それらに関してのいろいろ関係等あり、それから更にはかのいろいろな各種のいわば給与体系一般に関する問題でもありましたので、更に取調べた上でということで実は検討を加えておる次第でございます。従つて予算のときには過日も申上げました通り、前不成立予算を骨子としてその後の情勢だけを織込んだ、いわば最小限度の推移を織込んだというものでございましたので、これを計上することができなかつたのであります。  今給与体系全般につきまして折角検討いたしておりまするから、この問題も併せて今お示しのごとく何といいますか備考欄のところへ書いてある問題でもございますので、特にこの問題は成るべく早く取上げたいと考えております。今度の人事院勧告等もありますし、全般給与体系を整えるためにその時に一ついたしたいと考えておる次第であります。
  5. 湯山勇

    湯山勇君 それはいつ頃なされるのか、明確に御明示願いたいと思います。
  6. 小笠原三九郎

    国務大臣小笠原九郎君) これも実はここで数回申上げたように存じまするが、或いはCPSCPIというものの状況を見ますると、大体横ばい又はほんのちよつとしか上つていないというようなこともあるのでございます。そういう点も一つ考えております。ベース・アップの問題については特にその点を考えております。それはいろいろやりますと財政負担の問題が相当国連して大きいのでございまして、新らしくどの程度できるかということは二十九年度の予算編成のときには是非これを一つ考慮に入れたい、かように考えておる次第でございます。或いは湯山さんの場合は。丁度米のことで今度又補正予算を出すのじやないか、或いはそのとき出せないかというお話じやないかと拝察するのですが、給与体系の問題でこれを素直に申上げますと。少し関係するところは大きいので、やはり補正予算が大体本年は出さない建前であつたのを、この附の修正案によつて米については出さなければならなくなつたというような事柄が起つているので、これもやはり補正予算最小限度にとどめたいという考えをいたしております。二十九年度の予算には給与体系につきましての考えを織込みたいと考えておる次第でございます。
  7. 湯山勇

    湯山勇君 今の大蔵大臣の御発言は極めて重大だ、と思いますのは、大蔵大臣人事院勧告について今おつしやいましたように横ばいとかCPSCPIというものを再検討する御権限をお持ちでしようか。或いはそれをどういう法的根拠に基いてなされるのですか、御明示願いたいと思います。
  8. 小笠原三九郎

    国務大臣小笠原九郎君) これは御承知のごとく財政上の余裕があればそういうことを何ら申すことはございません。ただやはり財政いろいろ按配をいたします時分には、私がよく申上げる通り予算というものは国民各位納得の行くことでなければならんので、それでそういう点も考慮しなければなるまいという意味ちよつと申上げた次第でございます。
  9. 湯山勇

    湯山勇君 大蔵大臣は新聞にもそういうことを御発表になつていらつしやるし、又亀田君の質問に対しても同じようなお答えになつておるし、本日も又同じように物価横ばい或いはCPSCPIということをおつしやつたわけですが、すでにこのことは人事院勧告には十分考えられているところであつて、こういうことの全責任人事院にあると思うのです。そこでその法的なものは抜きにいたしまして、只今の大蔵大臣のお考えは非常に誤つた点があると思うのです。私はこのことを一つ一つ質して参りたいと思うのですが、米はすでに上つております。公務員が食べている主食は必ずしも配給量だけではなくて、すでに人事院計算基礎にはそれも入つているのです。それから野菜は御承知通り値上りしております。魚も値上りいたしております。これは土用のうしの日にうなぎが上がるというのと違いましてこの食糧の値上りはかなり長期に亘るものと考えなくちやならない。その食糧費が今回の人事院勧告の中で大体基準生計費の何%ぐらいを占めておるか、ということを大蔵大臣御存じでしようか。
  10. 小笠原三九郎

    国務大臣小笠原九郎君) 私はエンゲル係数では最近、以前に比べてよほど係数は低くなつておる、こういうふうに承知しておるのでありますが、正確な数字事務当局をして御答弁いたさせます。
  11. 湯山勇

    湯山勇君 人事院のほうからお答え願います。
  12. 瀧本忠男

    政府委員瀧本忠男君) お答え申上げます。人事院標準生計費の中におきまして、食糧費の占める割合がどのくらいになつておるのか、こういうお話でございます。私は先ずエンゲル係数というものに余り重点をおくことが如何なものであろうかというふうに考えます。と申しまするのは、例えば……。
  13. 湯山勇

    湯山勇君 ちよつと質問の趣旨が違いますから、何ぼになつているということだけ。
  14. 瀧本忠男

    政府委員瀧本忠男君) 四八%ぐらいであります。
  15. 湯山勇

    湯山勇君 今のように食糧標準生計費の四八%、つまり半分を占めておるわけです。そのほかに支出の大きいものは住居費とか或いは光熱費とか、これも別にそういうものが下つているという要素はないわけです。大きい産業の生産品の値段が横ばいしているとか或いは値下りしておるということは、大蔵大臣がおつしやつたように、このベースアップを実施するしないということは全然別個のものであつて、するしないの要素はそれらの人の生活がどうなつているかということでなくちやならない。そういう点からいえば大蔵大臣が再三再四に亘つておつしやつたことは大分見当が違うと思うのですが、如何でしようか。
  16. 小笠原三九郎

    国務大臣小笠原九郎君) ちよつと数字がございましたから先にお答え申上げておきますと、今の消費者物価で申上げますと、一九五一年を一〇〇といたしましてこの四月のところで一〇九・五とこういうことに相成つております。それから今のお話は実は大蔵省としては主たるものは財政上の理由であります。これはいつも申上げておる通り主たるものは財政上の理由でありますが、ただよく申します通り一般に御納得受ける上においてこういうこともそれはよくお読み下さるとわかりますが、こういうことも考慮の中に入れなければなるまいと、こういうことも検討しなければなるまいと、こういうふうに申上げておるので、決してそれに重きを置いておるのではございません。こういうことも考えの中に入れなければいけないということを申上げておるのでありまして、大蔵省としては主として国の財政上の理由が主たるものでございます。
  17. 湯山勇

    湯山勇君 大蔵大臣のお上げになつ理由は、財政上の理由物価のことと二つだけでございます。従つて財政上の理由が大きいということは勿論でありますけれども、併し一般に与える影響は、財政上のことは一般国民はよくわからない。結局おつしやつた物価の問題が大きく響くと思うのです。而も物価に対する大蔵大臣のお考えは今のように根本の問題が間違つておる、こういうことに対する把握の仕方が。従つてこの問題に対する政府措置つまり公務員に対するべースアツプについては再考を願わなければならないと思うのですが、私はこの点は誠意ある大蔵大臣が今の把握間違つてつた点を御考慮頂いて、二十九年度とおつしやいますけれども更に早い機会に御検討下さることを期待してこの質問は打切ります。続いてさつきおつしやいました給与の是正という問題につきましてですが、今回なさつておる給与三本建このことに伴う予算計算基礎一つ事務当局から明らかにして頂きたいと思います。
  18. 河野一之

    政府委員河野一之君) 一応千八百万円ということで入つておるのでございますが、私どもこれにつきましては国会のほうにおきまして、給与三本建ということで、人事院で現在考えられておるような数であるならば千八百万円程度であろうということでありましたので、そのままこれを計上と申しますか修正案に入れることになつたものであると思います。
  19. 湯山勇

    湯山勇君 計算基礎を明らかにしてもらおう。どういう単価でどれだけ実施してどれからどうということを明らかにして頂きたい。
  20. 河野一之

    政府委員河野一之君) そういう点につきましては私ども存じ上げないのです。
  21. 湯山勇

    湯山勇君 誰がわかつておるのですか。わかつておる人は誰ですか。
  22. 小笠原三九郎

    国務大臣小笠原九郎君) あれは湯山さん御承知通り国会修正でございまして、衆議院修正でああいうことになつたので、その基く計数はここに私どもはただこういうことになるというふうな説明を聞いて、それを了承しただけでございまして、どういう計数から出されたか、根拠はどういうことになるか正確には把握はいたしておりません。
  23. 湯山勇

    湯山勇君 そういうことでいいのですか、予算面政府が了承してここに出した予算に対して。
  24. 小笠原三九郎

    国務大臣小笠原九郎君) 国会修正をなさることに対して私どもはかれこれ申上げるわけに参りません。
  25. 湯山勇

    湯山勇君 内容計算的にあなたは説明するとおつしやつて大蔵大臣はこれには千八百万円、これには三億六千万円平衡交付金に入れるということで、内容がわからないでただ言つて来たからぽんと組んだ、これでは私は納得できない。詳しく御説明を願いたいと思うのです。
  26. 小笠原三九郎

    国務大臣小笠原九郎君) あれは私のほうで組んだものではなくて、こういうふうに御修正なつたものであります。従いましてそれに基いて衆議院のほうで、これは一般公務員のほうで、中央のほうで千八百万円、片つ方で三億六千万円であるからというので、それを了承したというだけの次第でございます。
  27. 湯山勇

    湯山勇君 人事院のほうにお尋ねします。今の問題は非常に重要でございますからあとに保留いたしまして、給与三本建をするために予算が要りますか。
  28. 瀧本忠男

    政府委員瀧本忠男君) 今回人事院勧告いたしました給与準則案の中におきまして、教員俸給表があるわけです。この俸給表に現在の一般俸給表から移つて参ります際には特に多額の予算を要するというふうには考えません。
  29. 湯山勇

    湯山勇君 それだけ聞けばいいのです。原則的に現在受けておる給与が別な俸給表移つて、その該当する階級の金額が上らない現在においては予算は要らない、ただ一列に並んでおる所を三列に並べただけなんですから。而もこれに予算を組んでおる。人事院勧告した点も予算は要らないという、それを大蔵省が簡単に呑んで、こういうのを出して来るということはわからない。それに関して内容説明政府にできないというのですから、三派の代表のお方をここへ又呼んで下さつて納得の行くように説明を願いたいと思うのですが、委員長においてお諮りを願いたいと思うのですが、如何なものでしようか。
  30. 青木一男

    委員長青木一男君) 衆議院修正提案者説明を聞くか聞かないかは、私一存で今まできめておりませんから、それで理事会で諮つて……。
  31. 湯山勇

    湯山勇君 理事会に諮つて早急に御決定願いたいと思います。
  32. 青木一男

    委員長青木一男君) 適当のときに相談します。
  33. 湯山勇

    湯山勇君 三本建には予算は要らないのです、今考えられておるような三本建ならば。而もそれがこういうふうに四仏近くのお金が、額は少いにしてもわけのわからないことにきめられたのでは大蔵省もお困りになるだろうし、実施する場合に地方も困ると思いますので、是非この点は願の如何にかかわらず明確にして頂きたい。そうでなければ審議できないと思うのです。従いましてこの点に関してはすべて保留いたします。いろいろ給与問題についてお聞きいたしたいことがあるのですけれども、そういう点が明確になつてからお質したいと思いますから、一つ委員長においてその点御了解願いたいと思います。  続いて、次、外務大臣にお伺いしたいのですが。
  34. 青木一男

    委員長青木一男君) 湯山君に申上げます。外務大臣は本会議出席中だそうでありますからほかの質問を……。
  35. 湯山勇

    湯山勇君 実は副総理にどれも皆関連がございまして、副総理にお聞きしたら直ちに外務大臣にお聞きしたいのですけれども。副総理にお尋ねいたします。副総理日本民族独立日本国を守つて行く根抵はどこにあると憲法の条文の上からお考えになられますか。
  36. 緒方竹虎

    国務大臣緒方竹虎君) これは私は国の自衛権というものは、国が独立と同時に、民族が国を建てると同時に固有に存在するものでありまして、これは言葉は適切でないかも知れませんが、憲法以前にすでに存在するものであると、そういうふうに考えております。
  37. 湯山勇

    湯山勇君 憲法におきましては日本民族独立、国家の安全ということは武力によることを放棄して他国の公正と信義に信頼してやるのだということをはつきり言つておるのですが、武力によるものとそれとはいずれが優先するのでしようか。
  38. 緒方竹虎

    国務大臣緒方竹虎君) 自衛権というものは、私はこれは固有のものであると考えておるのであります。その自衛権を裏付ける自衛力と申しますか、如何にその国の独立を守るかということにはいろいろ方法があると考えます。で、今の憲法では日本の安全と平和を、ちよつと言葉を記憶しておりませんが、他国信義に信頼するというような前文の意味、これはむしろ日本民族と申しまするよりも人類一つの大きな理想でありまして、その理想に基きまして新憲法におきましては第九条におきまして日本国として民族一つ念願戦争を放棄する念願を現わしておる。その固有自衛権はありまするけれども、これは他国信義に信頼をして国の自衛を全うしよう。そういう理想を描いたことは間違いないと思います。
  39. 湯山勇

    湯山勇君 そういう理想に基いて戦力を放棄したというところまで副総理は関連づけてお考えになられておりますか。
  40. 緒方竹虎

    国務大臣緒方竹虎君) 終戦直後に憲法を制定いたしました当時におきまして、いろいろ事情があつたことは御承知通りでありますが、その理想に結び付けて戦争放棄ということはこめ憲法の精神の一つの大きなよりどころでありまして、これは憲法制定当時確かにそういう希望を描いたことは間違いないと考えます。
  41. 湯山勇

    湯山勇君 憲法制定当時という註釈があとでついたので不安になつたのですが、現在もその考えはお変りになつていらつしやらないか。
  42. 緒方竹虎

    国務大臣緒方竹虎君) 現在におきましても人類理想日本民族としての念願に変りはありませんけれども、併しながらこの世界現実がそこまで進んでいないことも事実なのであります。従いまして日本民族の持つておりまする固有自衛権、又憲法に現わしました日本民族としての念願、それと世界現実との間に何かしらの開きがある。そこで昨今国会で問題になつておりまする自衛力の問題がとり上げられざるを得ない、そういう情勢にあると考えております。
  43. 湯山勇

    湯山勇君 私はこれについてなお問題がありますけれども外務大臣がお見えになりましたので今のと関連して外務大臣にお尋ねいたしたいと思います。東南アジア諸国との友好関係、或いは貿易ということが極めて重要であるということを再三おつしやつておられるのですが、現在東南アジア諸国インド、或いはインドネシアビルマ等が今日本が交渉しておるMSAに対してどのような態度をとつておるか、そのことを詳細に御説明願いたいと思います。
  44. 岡崎勝男

    国務大臣岡崎勝男君) MSAにつきましてはおのおのの国が自分の国の考え方でこれを受けたり、受けなかつたり、或いは一定の限度を受けたりいたしておるのが実情でありますが、日本自分考えでやはりどういうふうに受けるかということにいつては特に反響を示しておりません。
  45. 湯山勇

    湯山勇君 東南アジアの今言つたような諸国は、日本MSAではなくて、それらの国々自体MSAに対して、米国に対してどういう態度をとつておるか、その点をお聞きしている。
  46. 岡崎勝男

    国務大臣岡崎勝男君) 御承知のように一部の国は有償MSAを受けております。又一部の国は無償のMSAを受けておる。或いは更に或る国はMSAの中の五百十一条の(a)でなくて(b)項に該当するものを受けております。いろいろその国によつて違つております。
  47. 湯山勇

    湯山勇君 私は今三つの国の名前を上げましたので、いろいろでなくてその三つの国について、この国はこう、この国はこうと御説明願いたいと思います。
  48. 岡崎勝男

    国務大臣岡崎勝男君) インドネシアとどこですか。
  49. 湯山勇

  50. 岡崎勝男

    国務大臣岡崎勝男君) ちよつと私今資料を持つておりません。間違えるといけませんからはつきりしたことを申上げませんが、インド有償の援助を受けております。インドネシアはポイント・フォーに関係するものを受けております。ビルマは受けておりましたが今は受けておらないのじやないかと思います。
  51. 湯山勇

    湯山勇君 その資料が出ないとあと質問ができないので一応保留いたしますが、資料を成るべく早く詳細にお出し願いたいと思います。  続いて、外務大臣は先に参議院本会議におきまして加藤さんの質問に対して、特に外交文書においては用語が重要であるということから、自衛という言葉に対してホーム・デイフェンスという言葉を使つておるということをおつしやつたし、更に衆議院におきましても日米両国了解の下にずつと前から両国間で自衛ということの概念統一をしてホーム・デイフェンスという言葉を使つておる。こういうふうに御説明になつているのですが、両国間でそのような話合ができたのはいつ頃であるか、先ずそれを。
  52. 岡崎勝男

    国務大臣岡崎勝男君) 別に話合ができて使つておるんではないが、普通に使つておる、こういうことであります。
  53. 湯山勇

    湯山勇君 いつごろからですか。
  54. 岡崎勝男

    国務大臣岡崎勝男君) これはダレス長官がよく使われる言葉でありまして、ダレス氏が同様の問題に関連してからだんだん使われ初めております。いつ何日から急に始まつたというわけではないのであります。
  55. 湯山勇

    湯山勇君 それでは通常自衛という言葉を当てはめるとすれば、ホームディフェンスということとセルフディフェンスということが考えられると思いますが、この二つ言葉概念はどう違うのですか。
  56. 岡崎勝男

    国務大臣岡崎勝男君) やはりこれはほんのニュアンスの違いであると思います。どちらにしても英語ですからいろいろな意味があるのは当然であります。セルフディフェンスというのは、自衛であろうし、ホームディフェンス国土防衛ということになりましよう。その場合にいろいろな使い方は、つまり自衛意味国土防衛もありましようが、国内だけのという意味もありましよう。そのニュアンスの違いがつまりホームディフェンスといつたほうが国内防衛のためにという意味が少し余計に出て来るという程度であります。
  57. 湯山勇

    湯山勇君 私はそういうことをお尋ねしておるのではなくて、いやしくも一国を代表して外交の任に当つておる外務大臣が、あれだけの本会議でも明瞭に自衛という言葉ホームディフェンスという言葉が使つていることも答弁されておりながら、字句の解釈、どちらも自衛だ、ただニュアンスの違いだということじや、これは本会議に対して相済まないと思うのです。あのときには最も明白におつしやつたはずです。その意味をもう少し外務大臣としての立場からこの二つ言葉をどう使い分けるのだということをはつきりさしてもらいたい。
  58. 岡崎勝男

    国務大臣岡崎勝男君) アメリカの国務省等々と普通に使つております場合は、ホームディフェンスというのは主として国内防衛という意味で使つております。セルフディフェンスというといわゆる自衛になつてもつと広い意味に使つております。
  59. 湯山勇

    湯山勇君 もう少く具体的にお聞きします。それでは外務大臣ホームディフェンスという言葉使つたわけは、今までに憲法上の自衛というのに言われておつたところの国内治安、そういうものを指しておるのか。それから単にセルフディフェンスという場合にはそうじやなくて直接侵略をも含んでいる。こういうふうに解釈してよろしいか。
  60. 岡崎勝男

    国務大臣岡崎勝男君) これはいずれも言葉の上から言えば両方にとれると思います。併しわれわれが質問書に使いましたホームディフェンスというのは国内治安維持、こういう意味で使いました。
  61. 湯山勇

    湯山勇君 二つの国の公式なあの文書考える場合に、我々はこう使つた、向うはどう使つたかわからない。そういうことが一体外務大臣として言つていい言葉かどうか。私は非常に疑問に思うのです。而も本会議においてはつきり加藤議員質問に対して、言葉は明確にしなくちやならない、そういう立場から私は特に自衛ということについてはホーム・デイフェンスという言葉を使つている。こう御答弁になつたことは事実なんです。どう一体違うのか、明確にお答え願いたい。外務大臣の見解としてではなくて、あのときに用語としてホームディフェンスという言葉使つた、これはどうだということも含めてお答え願いたいと思うのです。
  62. 岡崎勝男

    国務大臣岡崎勝男君) ちよつと御説明が足りなかつたかも知れませんが、アメリカに対する日本の公文は日本語で出すのであります。それに対する英語は翻訳なんであります。こちらから言いましたものは、国内治安防衛等と言つて国内の」を両方にかけております。従つて国内防衛ということになつてそれを訳してホームディフェンスといつたほうがセルフディフェンスというよりも適当であろうと私は考えて、ホームディフェンスという御説明をいたしたわけであります。その意味国内防衛、こういう意味日本語で使つております。
  63. 湯山勇

    湯山勇君 そういう意図はアメリカにはわかつていないのですか。
  64. 岡崎勝男

    国務大臣岡崎勝男君) アメリカには日本文の正式の公文を出しておりますから、当然わかつております。アメリカ側でも日本文は十分わかつておりまするし、若しわからないところがありますれば、従来ともに質問をいたしております。併しわかつておると思います。
  65. 湯山勇

    湯山勇君 それでお尋ねいたしますが、セルフディフェンスという場合はもつと広い意味であるから、その内容国内治安ということじやなくて直接侵略に対応するというような要素をもつておるとお答えになりましたですね、今。そうだとすれば、アメリカから来る文書日本語として来るのか英語として来るのか、公式な文書は。
  66. 岡崎勝男

    国務大臣岡崎勝男君) アメリカからは英文で来ます。
  67. 湯山勇

    湯山勇君 それではアメリカから来た文書はどうなつているか。私が見ましたのは全部セルフディフェンスです。そうだとすれば外務大臣は、当然セルフディフェンス内容は一体どうなのか、今大臣がおつしやつたふうに向うがホームディフェンスという言葉だけで来ておれば別でありますけれども、全部セルフ・デイフェンスですからそうだとすればこの概念をお質しになりましたですか、どうですか。
  68. 岡崎勝男

    国務大臣岡崎勝男君) これはしばしば申しておる通り、初めのうちは予備交渉をしているのに、していないじやないかという非常な非難がありました。併しそれは一つの証拠にもなるようなものですが。こちらの返事に符節を合せるように、向うから返事をして来ないのは、向うの立場で返事をして来ないというなら止むを得ない。向うの見解は向うの見解としてこれを見る。それによつてああいう交換公文の値打があるわけであります。そこで向うのは平和条約の五条の三項を引いておりますから、これは平和条約が明らかでありまして、日本固有自衛の権利を持つこれはホームディフェンスだけでありません。
  69. 湯山勇

    湯山勇君 外交上こういう概念規定をする言葉というのは極めて重大だということは、外務大臣つとに御承知通りです。そういうことに対して特にホームディフェンスという言葉使つたということをおつしやつた。而もこつちから訳するは特にそれを選んだ、ところが向うから来たのは直接侵略に対応するという概念を含んでいるセルフディフェンスで皆来ている。それから向う側に対してその言葉概念内容を質さないで受諾を決定したというのはどういうわけですか。
  70. 岡崎勝男

    国務大臣岡崎勝男君) 言葉概念は平和条約の五条の三項で明らかになつております。この五条の三項というものは、すでに再三検討して意味が明らかになつて、そこにある固有自衛権であります。
  71. 湯山勇

    湯山勇君 それでは参議院の本会議加藤議員質問に答えられたお答えなり、それから衆議院でどの委員会であつたか忘れましたけれどもお答えになつたのは、あれはでたらめですか。
  72. 岡崎勝男

    国務大臣岡崎勝男君) でたらめじやありません。
  73. 湯山勇

    湯山勇君 MSAの緊急質問で答えたのですよ。そのときに概念はこうこうだ、安保条約によつてはつきりしているのだから、言葉概念等は問題ではないとおつしやつたのならともかくもです、概念が重要だというのに対して、概念的にも注意してこういうふうにちやんと規定しているのだ、こういう言葉を使つているのだとおつしやつた外務大臣が、今になつてそう言われるのは極めておかしいと思うのですが、どつちが本当ですか。
  74. 岡崎勝男

    国務大臣岡崎勝男君) それはその当時の速記録をごらんになればよくわかります。日本の言つたのは、これである。向うから答えたのとこれは食い違いがあるのは向うとこつちの見解だから止むを得ない。何もなれ合つて手紙のやりとりをやつたのではない、こういう御説明をしたのです。
  75. 湯山勇

    湯山勇君 外務大臣はあのときにはどういうそれではおつもりでお答えになつたのですか。なれ合いでないということの答弁をしたのですか。言葉概念が重要であるからよく注意して使えということに対してお答えになつたのですか。
  76. 岡崎勝男

    国務大臣岡崎勝男君) 外交文書言葉意味が重要なことは当然であります。そうして我々は、私の答えた趣旨は、先方のお答えは日本の度合にぴたつと合つてはいないけれども、併し平和条約の五条を引いておるのであつて、この自衛というものについては、日本はもとから固有の権利を持つておるというのは平和条約のみならず、安保条約においてもすでに明らかにしておることであります。従つてこの返事において日本MSAを受諾することに何ら差支えないと考えております。こういうことを申しております。
  77. 湯山勇

    湯山勇君 加藤議員質問の趣旨はそういうことを尋ねたのではなくて、概念はどうか、概念規定が重要だというのに対して、外務大臣はちやんとそういうことを規定して言葉ホームディフェンスと使つていると、こうお答えになつたのです。今のお答えと違うのですが、その点どうですか。
  78. 岡崎勝男

    国務大臣岡崎勝男君) 今も当時も同じであります。ホームディフェンスというのは我々はそういうつもりで使つている。向うはセルフディフェンス言つて平和条約を引いて来ている、その通りであります。
  79. 湯山勇

    湯山勇君 私はどうもわからないのですが、一体外務大臣がこつちはこういうつもりで使つた、向うは勝手にこいうつもりで使つたと、そういう文書に……、それだけ見て、もうこれで受諾していいと、そういうことが一体あつていいかどうか。これは副総理にお尋ねしたいのです。
  80. 緒方竹虎

    国務大臣緒方竹虎君) 只今私は外務大臣の答弁を聞いておりまして、あれでいいと考えます。
  81. 湯山勇

    湯山勇君 じや、外務大臣にお尋ねいたしますが、外交上のこういう正式文書言葉というのは、向うがどう解釈しようが、どうだろうが、向うから来たものが、向うの意図がどうだろうがこうだろうが、こつちはこつちで勝手に解釈をし、向うは向うで勝手に解釈する。そういうことを原則的に容認していいものですか。
  82. 岡崎勝男

    国務大臣岡崎勝男君) そんなことはありません。向うのセルフディフェンスというのは平和条約の五条の三項を引いて来ている。又セルフディフェンスというのは平和条約の当時明らかになつている。内容はつきりしておるのであります。何ら間違いはない。はつきりしておるのです。
  83. 湯山勇

    湯山勇君 どうはつきりしているのですか。明確におつしやつて頂きたい。
  84. 岡崎勝男

    国務大臣岡崎勝男君) 日本固有自衛権を持つておる。持つておるが、今のところはその自衛権を有効に行使する能力に欠けておる。併しいつまでもこの能力が欠けておれば、この固有自衛権というものはその範囲において充足することができるものであつて、而もそれは日本が自発的にやるべきことである。これはもう明らかなんです。
  85. 湯山勇

    湯山勇君 直接侵略、間接侵略、国内治安の関係によつて今の言葉を御説明願いたい。
  86. 岡崎勝男

    国務大臣岡崎勝男君) 国内治安にも直接侵略にも間接侵略にも当り得る権利を持つておる。ただ力を十分に持つておるかどうかは、これは別問題であります。
  87. 湯山勇

    湯山勇君 持つておるとか、使う、使わないというのじやなくて、安保条約によれば、憲法に違反しないという解釈に外務大臣お立ちになつわけでしよう、その当時。だから安保条約のセルフディフェンスというのは憲法に違反しないと、こういう意味の規定付けなんでしよう。どうですか。
  88. 岡崎勝男

    国務大臣岡崎勝男君) 憲法に禁じておるのは戦力を持つことであります。戦力を持たない範囲においての自衛力は十分に持つてよろしい。
  89. 湯山勇

    湯山勇君 それならば、アメリカで慣例的に而もその条約に使われておるセルフディフェンスを、なぜホーム・デイフェンスと言い換えたんですか。そうしてそういうことを如何にも得意になつて会議でなぜ御答弁になつたか。
  90. 岡崎勝男

    国務大臣岡崎勝男君) 私は別に得意になつて答弁しているわけじやない。ただホームディフェンス意味を聞かれたからホーム・デイフェンスはこういう意味だという説明をした。
  91. 湯山勇

    湯山勇君 誰もホームディフェンス意味なんか聞いていなかつたでしよう、あのときには……。
  92. 岡崎勝男

    国務大臣岡崎勝男君) ホーム・デイフェンスセルフディフェンスの差別を聞いたのでありますからそれに答えた。
  93. 湯山勇

    湯山勇君 本会議のことを言つておる。加藤議員が本会議で用語は大切だ、その点についてはどうかというのに対して、特に外務大臣自分はそれは大切だと思うから、自衛という言葉ホームディフェンスと使つておるのだ、あなたがおつしやつたのですよ、答弁が違うでしよう。
  94. 岡崎勝男

    国務大臣岡崎勝男君) それは速記録で以てよくお調べになつて下されば、私の言葉はつきりしております。
  95. 湯山勇

    湯山勇君 間違つていたらどうなさいますか。
  96. 岡崎勝男

    国務大臣岡崎勝男君) 間違つておりません。
  97. 湯山勇

    湯山勇君 間違つていたらどうなさいますかというのです。
  98. 岡崎勝男

    国務大臣岡崎勝男君) 間違つておらないものを間違つていたらという質問には答えることはできません。
  99. 湯山勇

    湯山勇君 加藤議員もいらつしやるので……、あのときの質問の趣旨は用語を慎重に使えという質問つたはずです。そうお考えになりませんか。
  100. 岡崎勝男

    国務大臣岡崎勝男君) そういう意味もあつたと思います。
  101. 湯山勇

    湯山勇君 どうも御答弁が甚だ何と申しますか御答弁にならないので、私は質問……。
  102. 加藤シヅエ

    加藤シヅエ君 関連して、私が本会議外務大臣に特に御注意をしてお願いをいたしましたのは、言葉が、用語が、日本語と英語と移り変つて行くうちにだんだん意味がずれて来て、そのために私たちは全く思いもよらないような事態があとで起るという心配を多分に持つておりますので、この機会にむしろ特に自衛力とか防衛力とか、やれホームディフェンスとか、セルフ・デイフェンスとか、ミリタリ・デイフェンスとか、こういうような言葉が日米双方でいろいろな工合に使われておりますのを、特に何か書き換えして統一をして頂くことが、この際非常に安全な方法ではないかというようにあのときお願いいたしましたところが、外務大臣は十分注意をするという御答弁であつたのでございます。併しその後何ら別にそういう固苦しくこの言葉はこういうふうに訳して、この意味はこうこうで、内容はこうこうこういう、その定義というようなものを、その後別にお作りになつたような様子がございませんで、而もMSAの具体的な交渉にお入りになつていらつしやると新聞なんかで報道されておるところ覚ますと、だんだん私が本会議で申上げた心配は現に如実にここに現われておるということを私は痛感しておるのでございます。それで私はもう一度外務大臣に、こういうようなことを、ああだこうだと、ただお言葉の上でおつしやらないで、特に問題になりそうな言葉は、一度この際にMSA用語というようなものを、ここでお作りになつて日本語はこうである、英語ではこうである、その内容はこうであるというふうに書いて、国民に安心させて下さるというような御意思はございませんか。もう一度伺いたいと思います。
  103. 岡崎勝男

    国務大臣岡崎勝男君) 私はMSAについて特に別の意味があるような言葉は使つておりませんし、アメリカ側でもMSAだけに特別の意味は……、私は普通の言葉に特別な意味を加えるような使い方はいたしておらないと思います。従いましてこれは一般的に国際間のやりとりの間に正確な言葉を使うということが、これが本旨だと思います。併し御趣旨はわかりましたから、更に必要ありや否や特に研究をいたします。
  104. 加藤シヅエ

    加藤シヅエ君 今大臣は国際間では正確な一翼を使うということをおつしやつていらつしやるのでぎざいますが、私どもが受取る印象を言いますと、日本のように憲法で戦力は否定しておるというような、こういうようなややこしい事情になつておりまして、誰が常識で見ましても、軍隊であるものに対して軍隊でないというような言葉を使つて行というような、こういうややこしい事情、それからアメリカのほうでは、このMSAというものの本来の意味は、防衛力であるところの軍事力というものに、向うではつきり理解しておるのを、日本の場合は憲法がこれこれだからというので、特に軍事力というような言葉を避けるというような、そういうややこしいことをきめておるのは、これは国際的な通念ではなかなか解ができない。特に日本とアメリカにおけるMSA問題についての、これは特殊な場合だと思うのでございますから、これは国際的ないわゆる慣例とか通念とかではなくて、日本の場合のMSAの用語というものが、ここにはつきりと必要であるというふうに、大臣はお思いになりませんでしようか。
  105. 岡崎勝男

    国務大臣岡崎勝男君) 今もおつしやつたその中で、例えば軍隊であるものを軍隊でないとして使つておる、これは御解釈は御勝手ですが、それはMSAに関連したものじやないと思います。私は保安隊は戦力でないと、こう考えておりますが、若し加藤さんが、戦力だとお考えになつて政府がごまかしておるのだという主張をされれば、それは止むを得ませんが、それはMSAに関係したことじやございません。MSAにつきましては、よく言いますように、世界中の国が殆んど全部と言つてもいいくらいに軍隊を持つておる。その軍隊を持つておる国を対象にいたしておりまするから一般的な規定になつているが、日本の場合は軍隊がないのであるから、特殊の規定がそこに必要であろうと思いますが、これは只今交渉中でありますので、どういうふうにそれを表現するかということ等については、まだ決定をいたしておらないのであります。従つてMSA用語を日本について作れとおつしやつても、まだきまつておらない部分が大部分でありますから、ちよつと只今のところは不可能だと思いますが、これから交渉に当つて具体的になつて来まするから、その際に若し特別の必要があれば、そういうこともいたしましよう、それは研究いたしてみます。
  106. 加藤シヅエ

    加藤シヅエ君 今大臣が特に政府がごまかしているとかなんとかいうけれどもと、おつしやいましたけれども、私は特に政府が悪意を持つてごまかしておるというふうにはとりたくないのでございます。政府としても今おかれた憲法では、戦力というものを認めないという立場において、事実上戦力とも言わなければならないようなものを育てて行がなければならない立場に立つている、その御苦心は私はお察しをしているのでございます。そこでだんだん無理にややこしいことをこじつけようとしているところに、だんだんだんだんこの暑さも混つて(笑声)みんな頭が混乱してしまつてわけがわからなくなつてしまうのでございます。それでアメリカ側のほうでは、こういうような用語のこじつけというようなことは余りないことでございますから、これは日本だけでこういうことをやつているので、大変におかしな事態になつて来るということを私どもは心配いたしております。例えば日本では保安隊は戦力でないという建前を、まあ憲法の手前、政府としては大変に苦心をして戦力でない、戦力でないと言い続けていらつしやるのでございますが、ほかの国ではみんな軍隊を持つていると今外務大臣はおつしやつて、そのほかの国の軍隊と日本の軍隊でないところの保安隊とが集団安全保障の意味におきまして、何か一朝事があつたときに、一緒に世間で考えている戦争というものの中に立上つたというようなことがございますと、諸外国は軍隊を以て立上り、日本は軍隊でないものを以て立上つた、こういうことになるわけなんでございましようか。
  107. 岡崎勝男

    国務大臣岡崎勝男君) まだ加藤さんのおつしやるような意味の集団安全保障には日本は入つておりません。今入つておりますのは日米安全保障条約に基く集団安全組織であります。これは日本の実情に合うようにいたしております。将来も日本の実情に合つたような組織に入り得るならば入るかも知れませんが、まだ何も決定しておりませんし、又日本の実情に合わないような組織には入らないわけであります。殊に今非常に苦心をしておられたとおつしやいまたが、政府としては直截簡明に戦力は持たない、戦力に至らざるものを持つと十分はつきりいたしております。
  108. 湯山勇

    湯山勇君 なお今の問題は、私は言葉というものは、特に外交上の言葉というものは極めて重要であつて、そういう観点から速記録を調べて外務大臣にお伺いいたしたいと思います。なお文部大臣に続いてお尋ねいたしますが、大臣はよく道義の高揚ということをおつしやいましたし、そのことについては、しばしば質問もあつたわけですが、現在どういう徳目が必要であると大臣はお考えになつていらつしやいますか。
  109. 大達茂雄

    国務大臣(大達茂雄君) 現在において必要な徳目、これはまあいろいろ挙げれば、たくさんあろうと思います。併しながら私は今日の場合、道義の高揚に必要な徳目はかくかくのものである、こういうことをどつかできめて、そうしてそれを天降り式と申しますか、国民にその線にならえと、こういう筋合のものではない。又そういうことはすべきでない。私はその時代々々における国民の良識によつてこの徳目というものが取捨選択されるものである、かように考えております。
  110. 湯山勇

    湯山勇君 道義が低下しているということを大臣はよくおつしやつたわけです。これはいろいろな男はあるにしても、どういう点が低下しているとお考えになるのですか。
  111. 大達茂雄

    国務大臣(大達茂雄君) 私は現在道義が低下しているということを断定したことはありません。曾つて申上げましたのは、今日道義が頽廃しているか或いは弛緩しているか、これについてはそれぞれ見る人の意見があるのでありまして、これはそれぞれの人のお考えによることである。私は今日の道義が頽廃をしているから、道義を高揚しなければならない、こう言つておるものではないのでありまして、今日の我が国の多事多難な事態に鑑みて、特に道義を高揚することが大切であろう、こういうことを申上げているのであります。
  112. 湯山勇

    湯山勇君 その道義の内容を明確にして頂きたいと思うのです。
  113. 大達茂雄

    国務大臣(大達茂雄君) 只今申上げましたように、道義の内容と申しますか、徳目というものは、これはどこではつきりきめる、文部大臣がきめる筋合のものではないと私は思うのであります。ただ今日の我が国が目指している文化的な国家、或いは民主社会というものを健全に建設されるために必要な道義、かように考えております。而してそれは我が民族の伝統している、長い間我が民族が実践して来たり又それを理想として掲げて来たその伝統的な道徳精神というものが基調になつて、それが今日の時代に適応する形において発揚されるべきものだ、かように考えております。
  114. 湯山勇

    湯山勇君 そういう今大臣のおつしやつたようなことは、全部憲法に出ているのではないかと私は思うのですが、大臣はどういうふうにお考えになり、更に又憲法の持つている倫理性ということについて大臣はどうお考えですか。
  115. 大達茂雄

    国務大臣(大達茂雄君) 憲法の持つている倫理性、お尋ねが漠然としておりますので、或いは私はお答えが当てはまらないかも知れませんが、憲法は我が国が平和的な国家として或いは文化的な国家として、そうして民主的な国家として進んで行かなければならん、かようなことを調つてあるのでありまして、そうしてそれは我が国の今後の針路を指すものであり、我が国民の道義、道徳というものを作り上げるために進めなければならん、こういうふうに思つております。
  116. 湯山勇

    湯山勇君 憲法にはもつと具体的にたくさんいろいろ示してあるのです。御承知通りに……。そういう点を私はただ単に、何歳になるとこうだというのではなくて、夫婦はどうなくちやならないと、そういうようなことまで細かく規定してある。そういう点が倫理的に取上げられるべきものであると思うのです。そういうふうに考えて行つた場合の、憲法の持つているその倫理的な性格は、国民の道義のすべてを規定しているものと、大臣はお考えになるかならないか、これをお聞きしているのです。
  117. 大達茂雄

    国務大臣(大達茂雄君) 憲法に掲げてある憲法の持つている倫理観と申しますか、例えば個性の尊厳が認められなければならんとか或いは基本的な人権というものは認められなければならんとか、こういうことはすべて私は新しい時代における道義の基調として高揚せらるべきものである、こう思います。ただ憲法のその精神は、我が国家、我が国民の生活のすべてに行渡つていると思いますけれども、具体的な徳目を網羅しているものとは思われないのであります。その憲法の精神に副つて徳目が具体的に掲げられますことが、我が国民生活の或いは社会生活を営んで行く上のすべての徳目を形成せられ、発揚せらるべきことと、こういうふうに思つております。
  118. 湯山勇

    湯山勇君 どういう点がそれでは足りないとお考えでございますか、特に重要なものを挙げて頂きたいと思います。
  119. 大達茂雄

    国務大臣(大達茂雄君) 私は別に足りないということは考えておりません。憲法の精神は我が国民の道義生活の根底をなすものである、こういうふうに思つております。    〔委員長退席、理事西郷吉之助君着席〕
  120. 湯山勇

    湯山勇君 大臣は憲法というものを非常に抽象的にお考えになつておると思うのです。併し各条章をお読みになれば、例えば権利、自由ということを規定しておりますけれども、その権利、自由を濫用してはならないということがちやんと言つてある。更に大臣はよく教育勅語、教育勅語とおつしやいますけれども、教育勅語に「夫婦相和シ」という緒方さんにちよつとお聞きしたいことがあるのですが、緒方国務大臣に、「夫婦相和シ」という言葉がある。併し憲法にははつきりその言葉の代りに夫婦は相互協力しというようになつておるのです。こういうふうにやつて行けば少しも今おつしやつたように落ちておるところはないのですが、勤労しなくちやならない、勤労の義務がある。権利があると同時に義務があるのだということを、私は挙げて行きますれば、これは一ぱいあるのです。これは大臣は教育勅語云々とおつしやいますけれども、それと対照して行つて、大臣が悪いという部分をのけて対照して行つた場合に、仮に只今の御意見を肯定していつたとしても、私は全面的に肯定しませんけれども、ああいうふうに趣旨と各徳目とを分けてお考えになる考え方は肯定しないのですけれども、仮に万歩を譲つて肯定したとしても、今おつしやつたような趣旨と少しも変るところはないのです。どうでしようか。
  121. 大達茂雄

    国務大臣(大達茂雄君) 私は教育勅語についてどう思うかというお尋ねがありましたから、教育勅語に関して私の考えを申上げたのでありまして、教育勅語がその精神において尊重すべきものがあるということは、逆に新憲法に掲げてある倫理的な考え方がいけないんだ、教育勅語のほうがいいんだ、こういう意味を申上げたつもりは一つもないのであります。新憲法に盛つてある内容も教育勅語の中にあるものも、互いに相通ずるものがたくさんあると思うのであります。私は新憲法のほうがいけないので、教育勅語のほうがいいんだ、こういう意味のことを申上げた覚えはありません。
  122. 湯山勇

    湯山勇君 それでは大臣が常々おつしやるように、伝統的なものを新しい民主的なルールに従つてつたものが、憲法の倫理的な性格の部面である、こう断定してよろしゆうございますか。
  123. 大達茂雄

    国務大臣(大達茂雄君) 大体その通りであります。
  124. 湯山勇

    湯山勇君 それでは道義の昂揚或いは道徳教育という言葉を使うとすれば、それは憲法を徹底的に教育することである、こういつてよろしうございますか。
  125. 大達茂雄

    国務大臣(大達茂雄君) その通りでございます。
  126. 湯山勇

    湯山勇君 それでは憲法を更に徹底的に、大臣は地理とか歴史とかいうことをおつしやいますけれども、それよりも道義昂揚の立場から言えば、憲法を十分教え込むということが大事であるということを御確認になつわけで、比較は別です。そうだとすれば、これについてどういう施策を道義昂揚の立場からおとりになるつもりですか、憲法教育について。
  127. 大達茂雄

    国務大臣(大達茂雄君) 私は学校における道徳教育として、憲法の講釈をするということも一つの方法でありましよう。併しながら憲法を、つまり制度の説明をするということで足りるものではなくして、道徳教育というものはそういう制度という形式とか枠を離れて、その実体を子供に体得させる、そうしてこの生徒、児童の人格を陶冶するということでありまして、この制度の説明という形をとらなければならないと、こうは思つておらないのであります。
  128. 湯山勇

    湯山勇君 私の質問が悪かつたかも知れないのです。憲法全体という意味ではなくして、憲法の今の倫理的な性格、道義の根幹は、それにあるのだということであれば、今大臣がおつしやつたように、この憲法の持つておる倫理的な部面、それはどのようにして守つて行くか、日本理想はどうか、夫婦はどうなくちやならないか、関してはどうなくちやならないか、或いは良心の自由は束縛されない、その良心の自由を如何にして確保するか、或いは公務員は全体の奉仕者であるとか、他人の秘密を侵してはならないとか、或いは私有財産は公共のためにだけしか用いることができないとか、こういつたようなものが随分ありますけれども、これらのそれぞれのことを具体的に子供に合うように教えて行くことが道徳教育である、こう大臣はおつしやつたのか、それと別のことをおつしやつたのか。
  129. 大達茂雄

    国務大臣(大達茂雄君) 只今前段にお述べになりました通りのことを申上げたつもりであります。ただ先ほど申上げたのは、それでは憲法の教育をするか、こういうことでありますから、それは憲法という枠で教育をするというよりも、その中味について教育をすべきものだと思う、こういうことを申上げたのであります。
  130. 藤原道子

    ○藤原道子君 ちよつとそれに関連して。只今大臣は学校で十分教育することが大事であるというようなことをおつしやつたのでありますが、今の日本の学校の実情を考えまするとき、それでよろしいのでしようか。私は、学校でいろいろな面を教えましても、片方には新らしいビルはどんどん建つておる、併し家はない、家へ帰れば戦争後未だに防空壕の中で生活をしておる、こういう実情である。又一方におきましては、過日も申上げましたが、立川におきましては、学校で学びたくても学ぶことができない子供がたくさんある。ジェット戦闘機の爆撃のために教育が十分に受けられない。戦争も軍人もないはずの日本におきまして、学んでおる教室は爆弾の破片が投下されて来る、こういう実情です。遂に、余り世の中が騒がし過ぎる、私は生きる気力を失つたという書置きを残して、高等学校の生徒がみずから幼い命を絶つておる、こういう実情なんです。又一方におきましては軍隊はないと言つておりながら、軍隊らしきものが育成されておる。こういう四苦八苦の状態に置かれておることこそ、道義を頽廃させる原因となつているのじやないか。学校教育を正しくするというならば、そういう私は環境を作ることが必要だとこう考えます。大臣はどういうふうにお考えですか。
  131. 大達茂雄

    国務大臣(大達茂雄君) 御承知通り、我が国の現在は、戦後の窮乏或いは社会的な混乱というものが今日に至つてもなお終熄していないのであります。従つて学校教育におきましても、この社会的な影響を受ける、これは止むを得ないことでありまして、私どもといたしましては、一日も早く平生な秩序のある社会をとり戻す、こういうことを非常に望ましいというように思つております。併しながら、そうであるからと言つて、学校の教育をやつても駄目だというふうには考えておりません。
  132. 藤原道子

    ○藤原道子君 私はどうもおかしい、学校の教育をやつて意味はないというのではなくて、学校の教育は大切なんです。けれども、これに矛盾しておる社会情勢を大臣がどういうふうにお考えになるか、なお且つどういうふうにしなければならないかということをお考えになつておるかということを伺つておるのです。
  133. 大達茂雄

    国務大臣(大達茂雄君) 学校教育は十分その効果を挙げまするためには、健全な平和な秩序のある社会が一日も早くでき上ることを希望しております。
  134. 藤原道子

    ○藤原道子君 基地附近における学校の教育が阻害されておる、こういう場合には、学校からどのくらい離れなければ基地を置いてはいけないとか、或いは何らかの規定をお設けになるような意思はありませんか。今の状態を、基地附近におきましては放置しておいてもよろしいというお考えでありましようか。この点を……。
  135. 大達茂雄

    国務大臣(大達茂雄君) 基地に関連する御質問のようでありますが、成るほど、基地ができましたために教育的な環境が悪くなるということは、これは事実あることであります。又授業を受けるにも騒音のためにどうも思うように行かない、こういうこともあると思います。私どもとしては現地の実情に即しまして、できる限りその影響を少くする、こういうことに努力して参りたいと考えております。
  136. 藤原道子

    ○藤原道子君 もう一点、大臣は教育の所管大臣とされまして、今の基地附近における学校の実情に対して、これではいけない、童心を傷付けるというような立場から、外務大臣に或いは合同委員会に強く要望をされたことがございましようか。若しあつたとすれば、それに対してどういう回答があつたでございましようか。
  137. 大達茂雄

    国務大臣(大達茂雄君) 基地の問題につきましては、関係各省の次官から都道府県知事に通牒を出しまして、そして現地において日米相互の連絡協議会というものを作つて、そうしてできるだけ現地でその影響の少いように処理をして行きたい、現地で解決のできないようなものは中央の合同委員会の部会に持つて行く、そうして各省それぞれの立場で協力をして問題について善処する、こういうことでやつておるのであります。そうして文部省におきましても、基地における学校教育の上にどういう影響があるかという点も調査をしておるのであります。数字は若し御必要ありましたら申上げますが、決してなおざりにしておるわけではありません。ただ先ほども申上げましたように、これは基地の問題に限らず、教育の環境と申しますか、広く社会的な影響と申しますか、これが教育の上に少くとも今日相当強い影響を与えている。これは否定のできないことであります。同時に又これは誠にやむを得ざる事態でもある。それが簡単に、そういう影響があるような原因を芟除すればよろしいではないかと言うことは、簡単でありますけれども、基地の問題につきましても、更に現在の社会的な混乱、或いは一般的な窮乏、そういうことは、そう右から左と、そうすればいいということで、それを除くということはできないのであります。そういう環境の中において、そうしてできるだけ学校の教育の効果を挙げて参りたいと、こういうふうに折角努力をしております。
  138. 藤原道子

    ○藤原道子君 もう一点……
  139. 西郷吉之助

    理事西郷吉之助君) 簡単に願います。
  140. 藤原道子

    ○藤原道子君 外務大臣にお伺いしたいのでございますが、私過日ルーズベルト夫人がおいでになりましたときに、この基地附近における学校の状態を逐次話しまして、どうぞ現地を見て頂きたいということをお願いしたのですが、それで基地を視察されましてお帰りになつてから、私たちは又夫人との会合を持ちました。そのときにルーズベルト夫人は、余りにひど過ぎる。アメリカでは少くとも五マイル以上離れることを適当と考える。併しこの問題は日米相互が協議の上で決定される問題であるから、その大半の責任日本政府にある。なぜ日本政府がもつと強くこのことを主張しないか。あれでは余りに子供がかわいそうだということをはつきり言われたのでございますが、こういう点について、外務大臣は、今までどういうふうな交渉をしておいでになつたか、と同時に今後どういうふうに交渉し、かわいそうな幼い子供たち、大人の責任において戦争に敗れ、敗戦の苦しみを幼い子供たちは負つておる上に、なお且つ教育の自由さえも失つている、この子供たちの教育について、外務大臣はどういうふうな所見をお持ちになつておるか、どう対処されんとしておるか、こういう点についてお答えを願いたいと思います。
  141. 岡崎勝男

    国務大臣岡崎勝男君) アメリカ駐留軍の使用しまする施設や区域につきましては、これを必要の最小限度にとどめるという方針でやつております。これは必要欠くべからざるものでありまするし、教育も必要欠くべからざるものであります。両方とも必要なものでありますから、その間においてはできるだけこれを調整しまして、相互に支障の最も少いようなことに話合いをいたしております。なおアメリカ駐留軍側でも占領当時使つておりました学校等は先ず優先的に返還するというようなことで方針をきめておりまして、教育の問題については決しておろそかにいたしておりません。
  142. 藤原道子

    ○藤原道子君 大臣の答弁では不満足なので……。
  143. 西郷吉之助

    理事西郷吉之助君) 簡単に。
  144. 藤原道子

    ○藤原道子君 今の学校教育の上において、大臣は現地を視察されたことがあると思うのでございますが、あの状態を放置していいのでしようか。それとも基地がやむを得ないと申しますならば、結局その学校の対策について大臣はどのようにお考えでしようか。今のままでは私は本当に幼い子供たちが余りにもかわいそうであると同時に、今の状態の下で教育された子供たちが、次の時代の主人公になるということを考えるときに、母心といたしても、いても立つてもいられないような気持がいたしますが、今の状態の下においても、やむを得ないものであると言つて、このままお過しになるお考えでございましようか。それともこれに対して対策をお考えでございましようか。
  145. 岡崎勝男

    国務大臣岡崎勝男君) これは双方とも必要欠くべからざるものでありますから、その間においてできるだけ支障の少ないようにいたすために、教育の問題につきましては、文部省当局等の意見を十分聴きまして、又現地の教育委員会等の意見も十分聴きまして、そうして必要やむを得ざる範囲においても、できるだけの調整をいたしつつあります。
  146. 湯山勇

    湯山勇君 副総理をお待たせいたしましたので、順序は多少変りますけれども総理にお尋いたします。副総理は先に水害の責任政府にあるのではないかということに対する御答弁として、抜打解散がその原因になつたのであれば、これは責任があるけれども、そういうことじやないのだから、これはやむを得ないということをちよつとおつしやつたと思うのですが、実は政府の抜打解散が非常に大きな弊害を起している問題に、市町村教委の問題があると思うのであります。これは最初実施されるときは、政府はこれを延そうという計画を立てておられたのが、抜打解散によつて、そのまま月足らずで生み出されたわけです。更に昨年三月も同じようにこれの改正を意図されまして、法案を用意しておられたのに、これも解散によつて流れた。そういう関係から、今度の予算を見ましても、実に最も重要な教育長についてさへも全町村の半分しか予算化されていない、而も実際の設置状況は、その半分予算化されている、それにも足りない状態でございます。で、こういう政府の偶然或いは意図的に起つた解散が原因になつて、そういう弊害が実にたくさん起つているのですが、その弊害は、文部大臣ともあとでお話合いしたいと思いますけれども、最初にお伺いしておきますが、そういう弊害の起つているこの市町村教委の問題について、再検討の御用意があるかどうか、副総理にお伺いしたい。
  147. 緒方竹虎

    国務大臣緒方竹虎君) 水害について責任政府の抜打解散にあるのではないかという御質問のときか、ちよつと前後のことを覚えておりませんが、御質問の形が解散が直ちに水害の責任であるかのような御質問であつたので、ああいうお答えをしたのじやないかと思います。今の御質問につきましては、地方制度調査会でもいろいろな角度から検討していると思いますが、政府といたしましても、国会の御意見を十分に尊重いたしまして、更に基本的な研究をいたして見たいと考えております。
  148. 湯山勇

    湯山勇君 副総理に対する質問はそれだけでございます。  文部大臣にお尋をいたします。文部大臣はこの点に関してどうお考えですか。
  149. 大達茂雄

    国務大臣(大達茂雄君) 御承知通り教育委員会制度というものは、なんと申しますか、我が国の戦後の新らしい教育制度の基本的なものになつておりまして、ただ市町村の教育委員会については実施が延期されておつて、昨年の十一月から実施された、こういうことでありまして、これが新教育制度の基本制度である点に鑑みましても、今日まだ実施が日なお浅いのでありまして、その功罪を今直ちに断定するというわけには参らんと思つております。私としましては十分その点を研究をいたしまして善処したい、かように思つております。
  150. 湯山勇

    湯山勇君 私先ほど副総理にもお尋ね申上げましたように、功罪は明らかでないとおつしやいますけれども、必要があつてそのときに担えて、なおそれでそういうものならば、今功罪が明らかでないということは言えると思うのです。併しできたときから、これはかたわなんです。そこでこれはいかんからということで、これはいけないというので、本年の三月にはすでにこれを改訂しようと、政府がなさつたわけです。御存じでしようか。そういうことから考えましても、少くとも市町村教委については、これはいけないという結論は政府も出ておると思う。で、これを文部大臣は更に育成強化しようとなさるのか、再検討しようとなさるのか、その点明確に一つして頂きたいと思います。
  151. 大達茂雄

    国務大臣(大達茂雄君) 地教委の制度について、只今問題になつております点は、主として財政負担の点で、全部の町村にこの制度を持つて行くということが無理がある、従つて折角教育委制度を置きましても、その機構というものが十分に整備せられておらんわけです。例えば教育長にしても現在欠員になつているものが相当に残つておる、そういうまあ財政的に、殊に弱小町村に対してはこの制度が無理である、こういう点があるわけです。その他或いは市町村当局との間に、何となしに割切れないものが実際あるこういうような点が主なように承知しておるのでありますが、これは只今申上げましたように、地教委の制度というものが我が国における教育の地方分権、或いは地方の事情に即し、民意に即した教育が行われるようにと、こういう大きな理想と言いますか、前提に立つている制度でございますから、これが発足当初に、事務的に或いは財政的にいろいろの摩擦があり、批判がありましても、折角こういう理想の下にできておる制度であるから、できるだけ、いわゆる何と言いますか昔の言葉で言うと険路を克服して育てて行きたい、かように考えております。併しながら事実まあ実施をして見た経験から見て、到底いけない、今日の我が国の国情に合わないのだ、こういうことになれば、おのずから結論も違うと思うのですが、私どもといたしましては、そういう基本的な制度でありますから、できるだけこれを育てて行く、こういうふうに考えております。
  152. 湯山勇

    湯山勇君 我が国の実情に合わなければ検討したいとおつしやいますが、今合つているとお考えになつているのですか、或いは合つていないとお考えになつていらつしやいますか。
  153. 大達茂雄

    国務大臣(大達茂雄君) 只今申上げましたように、いろいろ問題になつておりまする点は、いろいろ世間にもこれは批判があります。併し現在十分な機構が整備せられないからして、折角の制度がその趣旨を発揮することができない、或いは町村との間に従来町村の事務であつたものが横へ行つた関係で、いろいろな摩擦があるということで、教委自体に関する問題は割合に少いように思つております。無論、例えば教職員の人事の交流の上に非常な難点があるとか、こういうことは教委自身の問題でありますが、現在そういう点は主としてそれから派生する、派生すると言つては語弊がありますが、本質的な点は比較的少いように思うのであります。できるだけそういう点を是正して、これを育成強化して行きたい、こういうふうに思つております。
  154. 湯山勇

    湯山勇君 大臣は私の質問を少し間違つて把握されておると思うのです。私は教育委員会制度全体をどうせよ、こうせよということを言つておるのじやなくて、教育委員会制度は、これはおつしやる通り育成強化しなくちやならない。ただ問題は私は市は別といたしましても、町村に至るまで、日本のこの国情において置かなければならないか。その教育委員会制度をよりよく育てて行くためにも、この教育委員会町村設置ということについては検討しなくちやならないのではないかというふうに聞いておるのであつて委員会制度をどうしようこうしようという質問じやないのですが、この点如何ですか。
  155. 大達茂雄

    国務大臣(大達茂雄君) 地教委を廃していわゆる府県教委、これで行つたらどうだというふうな御趣旨になると思うのであります。
  156. 湯山勇

    湯山勇君 市も勿論ですよ。
  157. 大達茂雄

    国務大臣(大達茂雄君) 市も含む、それも一つ考え方であろうと思います。結局何しろまだ半年そこそこのことでありますから、十分利害得失、功罪は研究しなければならんと思います。併し現在は地教委のできたために生じた一種の混乱といいますか、そのほうばかりが割合に強く取上げられておるのではないか、こう思うのです。私は現在の学校教育の運営におきまして、それぞれの市町村における、殊に町村の教職員の執務の状況、服務の状態、或いは勤惰の模様、いわゆる勤務状況、服務状況というものを監視する、と言つて言葉が強過ぎますけれども、それを見ておる組織がない、これは先般実施せられた地教委の重大な任務であると思うのであります。私は今日義務教育の学校の教職員の素質というものは、率直に、必ずしもよろしくない、かように考えておりまして、是非ともこの素質の向上を図るということが、今日の学校教育においてとり上げられるべき重要な問題であると思つておるのであります。御承知のように大体若い先生でありますけれども、戦時中我が国の教育は一時中絶しておつたのであります。今の若い学校の先生たちが丁度それに当つておるのであります。戦争中事実上我が国の教育は中絶をしておつたのであります。そうして多数の優秀な青壮年というものは戦場において戦死をしておるのであります。加うるに戦後の混乱、若い人はこういう社会的な影響を非常に敏感に受け易いのでありまして、決して私は今日の教職員の諸君の教員としての素質というものは満足すべき状態ではないと思うのであります。殊は今日は社会的にいろいろな風潮がありますし、私は今日の学校教育を刷新する上に、殊に義務教育について申上げると、教員の素質の向上を図るということが極めて重大であり、そうして教員が真にその教育の自分の職務に忠実はそれに奉仕する、こういうことがどうしても要るのであります。それにはどうしても私は折角できた地教委というものがよく服務の状態を見て、昔では学務委員というような制度もあつたのでございますが、とにかくそういう末端の機構というものが必要である、私は地教委にその点を非常に期待しておるのであります。地教委としては勿論世間の批判もあり、我々が考えても、どうも実情に合わんという点は考えられます。考えられますけれども、併しこれを悪いことばかりだというふうには私は考えておらんのです。この制度を制度の趣旨に副うてできるだけ育てて行つて、そうして我が国の教育が全国的に刷新せられる、学校教育が刷新せられるための大きな役割を期待しておるのであります。
  158. 湯山勇

    湯山勇君 大臣のおつしやることは非常に間違いがあると思うのです。例えば学務委員の役目を地教委にやらそう、私はこの今のような役目は教育委員がすることではないと思うのです。地教委という制度がするのであり、その中心になるのは教育長なんです。教育長が教員の指導監督をやつて行く。ところが現在日本のそれの設置状況は、県とか市は先ず大体行つていると思うのですが、町村に至つては、昨年の三月までは暫定的な措置で、助役が教育長を兼ねたわけです。これは地方自治法が教育委員会法を侵害している。教育は不当な権力に支配されない、こういうことを侵していると思うのです。これは地方自治法の拡大解釈をしている。併し、なおそれでも助役が教育長を兼務したということは、まだ今よりはいい、その助役の教育長兼務ができなくなつたために、而も町村には教育長が得られないために、今、大臣がおつしやつた、戦後の若い連中とおつしやいましたけれども、役場の事務担当の若いのが教育長事務取扱をしておる。校長もそこへ行つて相談しなければ何もできない。教員も、機密、人事異動も、みんなそれらを通じなくちややれないというような町村が一体どんなにたくさんあるか。こう考えて行きますと、ただ単に今のような基本的な性格だけから現実の事態をどうこう否定することができないと思うのです。そういうことが教員のいろいろな活動にも影響している。教員は、さつき大臣がおつしやいましたように、本当に憲法の精神を体して、憲法に忠実になろうと努力しているけれども、そういう責任者である、直接、法的に責任者である教育長がそのような状態にあることが、どんなに教員の身分や或いは教育活動を阻害しているか、こういうことを十分お考え頂いて、ただ教育委員は教育長の出した案に対して賛否を決するだけで、その人が一人々々の教員にお前はこうしなくちやいけないというような権限も何も持つていないわけですから、そういう点は誤解のないように、そして本当に教育委員会制度が成長して行くためには、あの末端の町村、市は私はなお育てる必要があるかも知れないと思うのですが、とにかく末端の町村についての教育委員会については速かに検討して頂かないと、教育一年の空白は国家百年の空白に該当するわけですから、文部大臣は十分この点御考慮を願いたいと思います。質問は終りますが、委員長に御確認願いたいと思うのです。三本建の問題につきましては、委員長お聞き及びの通り、それは何も三本建については、人事院もおつしやいますし、大蔵省三本建をするために金が要るということはわからない。にもかかわらず予算には計上されている。このことは、なお、あとで明らかにする機会を是非持つて頂きたい。このことを委員長にお願いいたしまして、私の質問を終ります。   —————————————
  159. 戸叶武

    戸叶武君 外務大臣に御質問申上げます。先ほど外交上の用語の問題が大分問題になりましたが、これは今始まつたことじやなくて、大体、一つの国家が衰運に向い、或いは政治の非常に堕落をいたしたときには外交上における言葉というものが常に問題になりますので、清朝末期における李鴻章の外交が、特にそういう言葉のあやでもつて清国の国民を騙して清国の滅亡を招いたのでありますが、それはロシアにおけるウイッテ伯の記録の中にも指摘されておるのであります。先ほど湯山君が指摘されまた通り、アメリカ側で考えていることと日本側で考えていることと違う、違つていてもそこに何か通じさせようとするような言葉のあやで以つては、真に独立した国における外交としての権威がないと思うのでありますが、今日の新聞においても見られる通り、アメリカの上院歳出委員会の二十五日の発表によりますと、ナッシュ国防次官補は、最近同委員会で明年度援助支出法案に関し証言した際に、在日米軍の撤退には、日本軍隊、ミリタリ・フォースという言葉が使われておりますが、日本軍隊を強化することが必要であると述べております。而もその主旨は、日本の戦略的重要性に鑑み、米駐留軍に代つて日本みずからの防衛を担当すべき保安隊に、これに必要な装備を与えるということになつておるのでありまして、アメリカのMSAにおいて意図するところは、アメリカの軍隊に、駐留軍に代るべきところの兵力を日本に植付けようとする意図のように思われるのでありますが、外務大臣はこのアメリカにおける国防次官補のナッシュ氏の見解に対してどういう御見解を持つておりますか。
  160. 岡崎勝男

    国務大臣岡崎勝男君) アメリカ側の考えは只今始まつたことじやありません。今申したような希望は安全保障条約締結当時からはつきりいたしておるのであつて、安全保障条約を暫定なものと考えて、日本ができるだけ早くみずから守る力を持つてもらうように期待しておる、こういうことになつております。又これは私は当然のことだと思います。
  161. 戸叶武

    戸叶武君 このアメリカ側で、ミリタリ・フォース、日本の軍隊を強化することを望んでいるというアメリカ側の期待に対して、それが当然だという外務大臣の見解ですか。
  162. 岡崎勝男

    国務大臣岡崎勝男君) 私の申すのは、アメリカの駐留軍が撤退するような場合には、日本自分の国を自分で守るだけの力がなければならないであろうということについて申しておるのであります。
  163. 戸叶武

    戸叶武君 それは私の質問あとのほうでして、外務大臣質問を逃げるのが非常に上手でありますが、日本の軍隊、即ちミリタリー・フォースを強化するというアメリカ側の見解に対して御同意ですか。
  164. 岡崎勝男

    国務大臣岡崎勝男君) 日本にはミリタリー・フォースがありませんから、アメリカ側で希望してもそれはできないことであります。
  165. 戸叶武

    戸叶武君 ないものをなぜアメリカ側では希望するのです。而もアメリカ側の希望に対して同感であるというふうに外務大臣は言われたではありませんか。その内容を国民にわかるように説明して下さい。
  166. 岡崎勝男

    国務大臣岡崎勝男君) 私はアメリカの国務次官補の言論統制をやる権限は持つておりません。従いまして国防次官補が何と言われても、これを別にとがめることはないのであります。併し原則的に申しますと、日本憲法で只今のところ軍隊を持つことは禁じられておりますのみならず、経済上にも戦力を持つことは実際上できないのでありますが、将来アメリカの駐留軍がいなくなる場合を想定すれば、これは日本自分の国は自分で守れるような状態になるか、或いは世界に平和の力が強くなつて戦争の危険がなくなるか、或いは国際連合の安全保障措置が十分なる効力を発生して戦争の防止ができるか、こういういずれかの場合でなければならないと考えて、その場合の一つとして、ナツシュ国防次官補が、若しそういうふうにはつきり言われたとしても、それは理窟としてはその通りであろうと、こういうことを申したのであります。
  167. 戸叶武

    戸叶武君 アメリカの要路の方々の言論統制を行う必要はなしでありましようが、日本国民に対して外交上の条約を行うときに、事前にそれを理解せしむるところの義務は外務大臣にあるでしよう。今日我々が長い間かかつてMSRの問題を追及いたしましても、まるで忍術使いのような言葉のあやを以て外務大臣はそのピントを外しておるのでありますが、こういうピンボケの外交によつて国民が迷惑することは大だと思いますが、次に、ダレス国務長官は、「我々は日本の議会が、」彼は国家警察予備隊と呼んでおりますが、国家警察予備隊をアメリカが窮極の目標として妥当であると考え、三十五万の水準、即ちアメリカ式表現では十個師団相当の水準に引上げる国家予算を可決するものと信ずるということを新聞記者に語つておるということでありますが、ダレス国務長官に対しては岡崎外務大臣は非常に傾倒しておるようでありますが、ダレスさんと岡崎さんとの間に、こういうような何らかの交渉がありますか。
  168. 岡崎勝男

    国務大臣岡崎勝男君) 今のダレスさんの発言に対して、その後、直ちにダレス国務長官が又新聞記者に対して月分の言明は誤解をされたようであると言つて、釈明いたしておるのを、御記憶があるだろうと思うのですが、その釈明と一緒にお考えを願いたいと思います。
  169. 戸叶武

    戸叶武君 今のままでこの保安隊の増強というようなことをやつて行くならば、ずるずるとこのダレスさんが言うような三十五万の兵力を日本が持たなければならなくなつて来るのではないかと思うのです。国民一般が危惧しているのは、朝鮮事変が困難な段階に入つたときに、八軍のアイケルバーカー将軍がアメリカに帰つて、朝鮮のような健康に適しないところ、ああいう野蛮なところでアメリカの兵隊を消耗することは、もつたいない、朝鮮で戦争するには日本人が一番適しているというような形で、アメリカの国内で遊説したことは、余りにも有名な話であります。而も行われているところの保安隊の増強というものを考えまするならば、明らかに高度の機械化部隊というようなものは、飛行機においてもその他においてもアメリカが握つており、日本を歩兵隊的なものに編成して、それで日本を役立たせようというような意図があるように見えるのでありますが、こういうふうな三十五万人に達するような増強の方向へ、今のままで行くならば近いうちになるかどうか。それに対し、外務大臣はどうお考えになりますか。
  170. 岡崎勝男

    国務大臣岡崎勝男君) 我々は自衛力漸増ということは考えております。併しながら、経済上の問題もあり、その他の政治的な問題もありまするから、いつそれがどういうふうになつて行くかは、まだ決定はいたしておりません。なお何か戸叶君のお話を聞くと、国民の知らない間に、政府が内緒で保安隊を三十五万か幾らかに増強するようなふうに聞えるのでありますが、保安隊はたとえ何名の増強でも、国民の代表であり、国の最高機関である国会の承認を得ない限りは、そういうことはできないのでありますから、必ずそういう場合には、国民の代表である国会の多数の承認があつた場合にのみできるのであります。
  171. 戸叶武

    戸叶武君 相互安全保障法の第五百十一条の六項目の条件の問題でありますが、この中の三項において、米国と自国で結んだ条約や協定又は米国を含む多数の国々と結んだ条約や協定に基いて自国が負うている軍事上の義務を履行するということでありますが、日本には外務大臣の話だと軍隊がないということでありますけれども、こういう軍事上の義務の履行ということを、どう考えておりますか。
  172. 岡崎勝男

    国務大臣岡崎勝男君) これは六月二十四日の日本質問と、二十六日の米国側の回答で明らかになつております。安全保障条約において現に日本が負つている以上の義務はないのである、こういうことであります。
  173. 戸叶武

    戸叶武君 それでは、あの消極的と思われる責任以外に、ほかの責任を規定するようなことは、外務大臣考えておりませんか。
  174. 岡崎勝男

    国務大臣岡崎勝男君) 五百十一条の(a)項の三号については、それ以上のものは何もありません。
  175. 戸叶武

    戸叶武君 問題はこの軍事上の義務を履行するという言葉の解釈の問題でありますが、君子豹変すで、情勢によつていろいろな解釈をすることは、政府当局の最も得意とするところなんでありますが、今後において、今外務大臣説明した意外の解釈を行うようなことはありませんか。
  176. 岡崎勝男

    国務大臣岡崎勝男君) 私には到底予想ができません。
  177. 戸叶武

    戸叶武君 それでは問題を変えまして、外務大臣は経済外交ということを吉田首相と共に説いておりますが、この経済外交の掛声に反して、今の貿易の日本の不振というものは、非常に深刻になつて来ているのであります。その一つは、明らかにこれは日本がイギリスと対峙するには不利な為替レートの上に立つておるからでありますが、これは大蔵大臣の領域に入つているかも知れませんけれども、あの為替レートをイギリス側で以て変更したときに、日本側はダレスさんの線によつて日本の平価切下げをやることを差止められたという噂が出ておりますが、それは事実でありましようか。
  178. 岡崎勝男

    国務大臣岡崎勝男君) 私はその当時そういうほうのことをやつてつたのではないのでありますが、私の記憶する範囲では、そういうことは全然ありません。
  179. 戸叶武

    戸叶武君 大蔵大臣にお聞きします。今日の読売新聞の経済欄にも、今の貿易不振の行詰りの打開を、平価切下れを以てしなければ困難ではないかという主張が出ておりますが、大蔵大臣はどういう見解ですか。
  180. 小笠原三九郎

    国務大臣小笠原九郎君) 貨幣価値の変動というものは、国の内外に及す影響が極めて甚大でありまして、私どもは今日の日本の為替相場を変動すべき時期でないと、かようなことを確信いたしております。
  181. 戸叶武

    戸叶武君 コスト引下げによつて貿易を振興すると言つておりますけれども、コスト引下げによつてもそれほどの成果を挙げることができず、而もイギリスとの貿易競争において、イギリスが平価切下げをやつたときに、これに対処できなかつたことは、アメリカ側の牽制によつて日本の不利な状態で居王までずるずると押されて来たのだというのが定説となつておりますが、この今の行き詰りの現状に対して、具体的にこれを打開し得るだけの一つの金融上の何らかの政策を大蔵大臣はお持ちですか。
  182. 小笠原三九郎

    国務大臣小笠原九郎君) いわゆる日本の貿易を伸張させるのには、何と言つて日本の商品が国際競争力を持つことであります。従いまして、それについては総合的な施策を立てておるのでありますが、仮に大蔵省の関係について申せば、金融の面、金利の面、課税の面と、この三つについて、できるだけコスト引下げに役立つよう努力いたしているのであります。更に又、今、課税の面と申しましても、例えば関税の問題もあります。或いは国内課税の面もあります。それから更に、何と言いますか、今の金融の面につきましては、いわゆる合理化、近代化等に役立つための金融措置はとつており、本年でも相当な財政資金をこれに投じていることは御承知通りであります。そういう施策が進められて参りますれば、二、三年……今日、明日というわけには行きませんけれども、もうすでに石炭のごときは、昨年一月その施策の下に案を立てまして以来、約もう一年間実行されて参りました石炭が、今いわゆるバイヤーズ・マーケット、買手市場に変つて、相当下落をしていることは、これは戸叶さんはよく御承知通りであります。又、鉄鋼について申しましても、昭和二十八年度で、鉄鋼のいわゆる近代化、合理化が完成するのであります。これができますと、例えば銑鉄において四分、或いは棒鋼その他においては二割五分乃至三割は下ることは、これは予期されているのであります。その他いろいろな点をやつておりますので、私は総合的な施策の下に国際競争に打ち勝つよう力を付けて行ける。かように確信しているのでありまして、為替相場等に対しては、成るべく国の権威上これを禁止するという方針をとつております。
  183. 木村禧八郎

    木村禧八郎君 これまでいつもこの議論になつて割切れない点があるのですが、はつきりさせて頂きたいのですが、大蔵大臣は、海外競争力をつけるために物価を下げなければならんというのです。そのために、大蔵省としては、金融面、税制面、金利の面からコストを下げることに努力されると言われている。ところが実際はコストが下つて物価が下つていないのですよ、そこの問題をどうするかというと、独占価格が形成されているんですが、この矛盾をどう解決するか。海外競争力をつけるために物価を下げるためにコストを下げると言うが、コストが下つて物価が下らなければ、ただそこに企業利潤が殖えるだけ、これでは海外競争力は付かないと思うわけです。ですから、そういう意味で、コストを下げることが物価引下げにどうしてなるか。そういう施策を考えなければ競争力は付かないのです。この点の矛盾をはつきりさせて頂きたいと思うのです。
  184. 小笠原三九郎

    国務大臣小笠原九郎君) コストの引下げが、即、物価の引下げにならぬことはあります。これは需給その他の関係から起つて参るのでありますけれども、いわゆる国際競争力の線から見れば、コストが下つて行くところ即ち国際競争力を加えて来るのでありまして、今申上げたような、国内その他にあつて需要があるために、コストの引下げが、即、物価の引下げにならぬことは、これはあります。でありますけれども、コストの引下げが、いわゆる物価引下げの前提でもあり、国際競争力を養うもとであることは、これは申すまでもないことでありまして、これをどういうふうに結び付けるかということは、これは今それぞれ総合的に施策を加えておるのであります。
  185. 戸叶武

    戸叶武君 石炭が下つたのは、大体、石炭よりも重油のほうに切換えたので、石炭が売れなくなつたので下つて来たのであつて政府の施策によつてつて来たとは我々は考えないのでありますが、それはそれといたしまして、今、修正予算案の妥協案によりまして、船舶関係に対しては非常に金利が引下げられましたが、貿易打開の面において、重要な要素となつているのは、船舶もその一つでありますが、船舶だけではないと思いますが、他の重要産業に対しては政府はそのバランスをどう考えてそういう施策を行わんとしておりますか。
  186. 小笠原三九郎

    国務大臣小笠原九郎君) まあ船舶については、今度政府の案よりも更に大幅の修正案が出ておるのでありまして、これで下つて行きますが、そのほかにつきましても、例えば輸出入銀行の金利について申せば、本年三月、これは進んで金利を五分に引下げておることはよく御承知通りであります。更に、或いは造船等の分は今度下りますが、或いは鉄鋼その他の分について、普通の金利よりも安い七分五厘出しておつたのですが、併しなおこれについても引下げ等をする必要が起つて参りましよう。私どもは、日本の今の現在の金利負担が相当多いのだから、金利負担の率が高いのだから、できるだけ金利負担を少くしようと思つて、今後ともその方面に努力する考えでおります。ただ一遍にやはりそこまでなかなか持つて行けない。こういうことがありまして、ものの軽重というか、緩急というか、軽重緩急よろしきを得るように、片一方ずつから進めて行きたいと考えておるのであります。
  187. 戸叶武

    戸叶武君 貿易打開の面において、重点的な施策ということも必要だと思いますが、総合的に問題を推進して行かなければならないときに、運輸関係だけこういうふうに特別の関係が与えられる、こういう傾向というものを、正しく大蔵大臣は見ることができますか。
  188. 小笠原三九郎

    国務大臣小笠原九郎君) すべてのものにそういう金利負担等の低減が望ましいのでありますが、併しその場合、国としてどういうものからやるかということについては、いろいろ御判断がありましよう。衆議院の御判断では先ず造船をなさるべきだという御修正でありましたので、これもまあ日本で、今、年額の収入から申せば、国際収支に恐らく年額七百億円くらいと、私は記憶するが、或いは数字は少し違うかも知れませんが、これくらいの収入をもたらす船舶が、先ず以て不況に、これでもなお不況に陥るものでありますが、幾らかでも助けになることは望ましいものであると考えておるのであります。
  189. 戸叶武

    戸叶武君 予算案の修正に対して、いつでも衆議院の意思でというような形で、政府は受身に立つておりますが、予算案に関する限りは、政府の同意なしにおいてはその予算案の成立というものはないのであつて予算修正の問題において、一番いつでも重要なのは政府の同意という点でありまするが、同意というものと政府責任というものは、常に不可分なのでありますが、この船舶関係に関しても、いろいろな批判がなされておりますが、これに対して、政府は全責任を負う覚悟でおりますか。
  190. 小笠原三九郎

    国務大臣小笠原九郎君) これは戸叶さん、何かの誤解でないかと思いまするが、国会修正に対して、政府は同意する、こういうような権限は持つておりません。政府の同意なくしては国会修正ができないというわけではございません。政府の意向如何にかかわらず、国会修正できることは、これはよく戸叶さん御承知通りであります。ただ私ども国会修正されたものを了承した。こういうだけであります。
  191. 戸叶武

    戸叶武君 そこは解釈のえらい違いであります。政府予算案に対する発案権なり或いは提出権ないというものは、同意、不同意というものはあり得るでしよう。そこに責任が生ずるのでありまして、それがないとするならば、責任政治というものの中核は崩れて行くのであります。あなたが御存じの通り、イギリスにおきましては内閣は非常に強力なものになつておりまして、予算増額に対して国会がこれをどうすることもできないのだが、予算削減に対しては、修正を行うときにも政府の同意なしにはそれをなし得られないのであります。日本におきましても、日本政府国会如何修正されても、それが自分たちの政治責任において受け取れないというときには、それを退けることができるのでありまして、そういう無責任な形において責任を転嫁するということによつては、この予算案の発案権と提出権というものが内閣に置かれることに対して疑念が生じて来ると思いますが、大蔵大臣はどういう見解を持つておりますか。
  192. 小笠原三九郎

    国務大臣小笠原九郎君) この問題はもうすでに法制局長官よりたびたび説明いたしまして、よく御了承のことと思います。イギリスの憲法にはいわゆる否認権があります。従つてヴエトーのあれがあります。それがありますからできますが、日本憲法にはそれがありません。国会が御修正なつたものに対して政府は何らこれをヴエトーする権利は持つておりません。否認権はどこにも持つておりません。併しながら私どもが申しているのは、例えば予算を増額するということ或いは又減すことも、これは国会の、今の日本憲法解釈上はそれで自由でございますが、ただ新らしく項目、新項目を作つてお殖やしになることについては、これは憲法解釈上疑義があるということについて、過日来、法制局長官等より意見を申上げているのであります。即ち国の財政につきましては、項によつて、これだけの費目というものが国の事務を行い、国の政務を行なつて行くのに必要であると認めているのに、新らしい費目を国会で作つてこれを計上される、これはいわゆる予算の編成権及び提案権を侵害する虞れがあるだろう、こういうことに政府側の解釈は一致しまして、その点を法制局長官から申しているのであります。繰返して申上げますが、イギリスのほうには否認権がありますが、日本のほうにはさような規定がございません。
  193. 戸叶武

    戸叶武君 イギリスの憲法解釈と日本憲法解釈の異なつていることは、私はわかつております。問題は日本政府です。予算案は一般法律案と違うのであります。政府に絶大な責任がそこに負わされているのであります。その修正案を呑む、呑まぬは、政府態度によつて決するのでありまして、それが責任と不可分なのであります。そうした意味において、修正案における閣議なり何なりにおける同意という意味は極めて重要なのでありまして、それを曖昧にしては、政府における発案権なる提出権なりというものが極めて曖昧になると思うのでありますが、それはあなたが御面倒なら法制局長官からでも説明してもらいたいと思いますが、少くともこの予算案の発案に対して重要な役割を持つ大蔵大臣が、日本憲法の運営に対して明確な態度を持つていなくては困ると思います。
  194. 小笠原三九郎

    国務大臣小笠原九郎君) この点については法制局長官からすでにたびたび申述べましたから、速記録をよく御覧下さればわかることと思いますが、繰返し申上げます通り政府には、同意するとか、不同意するという権限は持つておりません。同意権というものはないのであります。この点をはつきり御認識願わなければならん。日本憲法はそうなつておりません。同意を政府が与えることになつておりません。従いまして、私どもが申すのは、この今修正されたいわゆる修正予算案に対しましては、今、日本の国情から見て、この予算案の通過が、国民生活上、又日本の経済上、政治上、絶対に必要であると、こういう工合に考えて、これを了承しただけの次第であります。
  195. 戸叶武

    戸叶武君 政府が了承したということは、同意を与えたことです。同意権とか何とかいう窮屈なことでなくて、そこに責任が生ずるのではありませんか。予算案が修正せらるることに対して、政府は不満のときには、私は解散を断行するなり……解散するのでなくて、そのような能力のないところの政府は退くなり——辞職するなりの政治的態度がそこに起きて来ると思うのであります。今後もあることだと思いますが、予算案に対して非常に大きな修正がなされても、政府は政権に恋々として、それにくつついて行くというような形で以て、果して責任政治というものがなし得られるでありましようか。これに対して大蔵大臣の御見解を承ります。
  196. 小笠原三九郎

    国務大臣小笠原九郎君) 私どもは、現在のこの予算案の成立が、国家のために一日も急がれておる状況に鑑みまして、これを了承した次第でありまして、先般ここで総理がどなたかの御質問に対してお答えになつた通り、これはいわゆる忍べるだけ忍んで、同意を……同意じやありません、了承したと言われたのであります。繰返して申しますが、了承したので、同意ではないということを重ねて申上げます。
  197. 戸叶武

    戸叶武君 同意であろうと了解であろうと、私が言つておるのは政府責任があるというのです。政府責任を回避して、誰がその責任を持つのですか。私は責任政治の問題、極めてこれは今後にも残る問題でありまするけれども、この修正予算案が成立したときに、その責任政府というものが全然回避して行くような形で、どうして日本において責任政治が樹立されるかと思うのであります。法制局長官にお聞きいたしまするが、フランスにしても、イギリスにしても、アメリカにしても、あなたは特にアメリカのことに関心を持つたと思うのでありますが、委員会に発案権があつた国会に発案権があつたりしたことによつて混乱を生ずるので、アメリカにおいてはそれがなくなり、フランスにおいてもそれが制約せられて行くようになりましたのは、即ちアメリカが独立革命によつて、フランスがやはり国会を中心とした革命によつて、そうして新しい民主主義国家を作り上げたのでありまして、国会が大きな権限を持つていたと思うのでありますが、そういう国々においても、政府のあり方、国会のあり方というものに対して漸次検討して、徐々に内閣予算案に対する発案権なり提出権というものを明確に持ち、国会が審議権、修正権を持つという方向に進んで来ておるのでありまして、特に日本憲法においてはこれが明確化されておるのだと思うのであります。私は窮屈に同意権とか何とかいうのを追及するのではありませんが、今度の修正予算案に関しまして、政府がどこまでも自分責任というものを回避するという態度は、非常に政治を不明朗にするものだと思うのでありまして、これは特に米の二重価格の問題に関連が次に参りますので、法制局長官から一つその辺のことを明確にお答え願います。
  198. 青木一男

    委員長青木一男君) 法制局長官は出席しておりませんが……。
  199. 戸叶武

    戸叶武君 それでは一応ここで打切らして頂きます。
  200. 青木一男

    委員長青木一男君) 暫時休憩いたします。午後一時半より再開いたします。    午後零時二十九分休憩    —————・—————    午後一時五十三分開会
  201. 青木一男

    委員長青木一男君) 休憩前に引続き会議を開きます。
  202. 戸叶武

    戸叶武君 先般吉田総理大臣に対して、この相次ぐ風水害に対する抜本的な対策を急がなければならないということを私は警告いたしたのでありますが、昨日の新聞を見ますると、総理大臣が二十五日の朝、官房長官に電話をかけて、国土建設に対してもつと根本的な施策をやらなければならんというような考え方を伝えられたというお話でありますが、そのことにつきまして緒方総理からその内容についてお尋ねしたいと思います。
  203. 緒方竹虎

    国務大臣緒方竹虎君) お答え申上げます。先般来本委員会を初め国会でいろいろ御意見も出ておりまするので、それでなくても今回の災は殆んど今まで予想し得なかつたほどの大規模であり、且つ又深刻なものがありまするので、日本の治山治水ということにつきまして根本的に検討をし直して、国としての財政の許す限り力を傾けなければならんという見地に立ちまして、主として治山治水でありますが、災害対策につきまして審議会のようなものを作りまして、世間の納得する学識者、経験者というような者を集めまして、すべて今後の恒久対策について十分な検討をしてみたいと考えておるのであります。総理の意見を直接まだ聞いておりませんけれども、先般来政府部内でよりより相談しておりまするのはそういう点にあるのでありまして、総理の新聞に書かれておりますところもその趣旨であろうと考えます。
  204. 戸叶武

    戸叶武君 問題は時期の問題でありますが、私は昨日渡良瀬川の治水同盟の会合が足利に開催せられたので、そこに出席したのでありますが、この頃の相次ぐ風水害に対して渡良瀬川の沿岸の人々は二、三年続けざまにひどい水害に打ちのめされたので非常な恐怖感を打つておるのであります。その席に列なつた自由党の国会議員の諸君も、予算の一割乃至二割ぐらいの程度の尨大な金を使つて、重点的に治山治水の策を講じなければならんということを力説しておりました。それに対してそこに集まつたところの農民の諸君は、そういうことだけを言つてつて実行しないのでは駄目だと、今自由党が政権を握つているのだから、やろうとすればこの抜本的な対策はなされるのじやないかと、で、まあ北上川の総合開発に次いで利根、最上、天龍川等が明年度の候補地になつておりまするが、とにかく農民のこの風水害に対する恐怖感というものは非常に強いのです。そうして群馬県の凍霜害地域を私たちが視察したときにも、桐の花が非常に美しく咲いているということをほめましたときに、桐の花が多くついてきれいに見えるようなときには非常な凶年の年であるということを言つておりますし、又昨日渡良瀬川の農民たちは、蟻が二階に上つて来て仕方がない、こういう年はきつと水害に見舞われるときだというふうに前途を非常に悲観して見ているのでありますが、政府はいつまでも言うことを聞かないならば、やはり我々は田中正造と共に闘つたように、みの笠を着て政府に押掛けて行くがどうかというようなことまで言つているくらいでありますが、今、外敵に対して備えなければならんというふうに、アメリカ側の意図を受けて再軍備方向へのみ政府は汲々として、国内の治山治水を忘れていることは、国民の憤りこの方面に向つて必ずいつかの日に私は爆発する危険性もあると思う。時期は急がなければならないと思いますが、その審議会なり何なりはいつ頃作つて、いつ頃からそういう治山治水に対する抜本対策を打ち立てようとしているか、それを副総理に承わりたいと思います。
  205. 緒方竹虎

    国務大臣緒方竹虎君) 政府といたしましては、この今回の北九州初め、大きな天災がない前に、すでに今国会の初めに当りまして総理大臣の施政演説の中に、戦争後の国土の荒廃をいろいろな角度から検討いたしまして、そうして治山治水にしましても、やはり根本的に水源から河口までの一体性を認めて、それに策を施すというようなことも考えなければならんし、又道路につきましても、これは国民生活の向上の面から見ましても、総合開発と同時にこの道路の補修も思い切つてやらなければならんということで、総理の施政演説にもこれを取上げておつたのでありまして、今回の予期しなかつた水害、災害によつて、更にそれが促進を迫られておるような形でありまして、今申上げました国土保全審議会と申しますか、治山治水審議会と申しまするか、そういう性質のものはよりより人選をいたしまして、国会が閉会いたしますと同時にでも発足いたしまして、これらの問題の検討に当りたいと、さように考えております。
  206. 戸叶武

    戸叶武君 二十九年度の予算にすぐにそれを入れる考えはございますか。
  207. 緒方竹虎

    国務大臣緒方竹虎君) たとえやつたにしてもできるだけそういうようにいたしたいと考えております。
  208. 戸叶武

    戸叶武君 外務大臣質問しようと思うんですが、これは東南アジアの貿易のことでありますが、まだ外務大臣がお見えになつておりませんから、緒方総理質問いたしますが、今の政府としては、東南アジアに対する貿易の問題で非常に力を注いでいるようでありますけれども、今日新聞に伝えられるところによると、パキスタン、日本で一番力を入れておつたパキスタンの貿易なんかでも全く行詰つておるということでありますが、それは昨年末における私たちの調査でありますけれども、先方側の要人の語るところによると、日本側が一つ信義を守らないで、例えばパキスタンの綿を買つてやる、その代り日本の綿糸や綿布を買つてくれという形で、日本の物だけを売り付けてしまつて、そしてアメリカのほうの綿を買つて、パキスタンの綿を買つてくれない、こういう不信義なことをやるのでは駄目だと、そういう反感が非常に強いようでありまして、大使館の人も、日本側で違約行為を行なつているのだから、どうも先方側の人と面会するのも骨が折れるというようなことを言つておりましたが、そういう事実はございましようか。
  209. 緒方竹虎

    国務大臣緒方竹虎君) これは外務大臣から正確なことを申上げたほうがよろしいと思いますが、日本の商社が弱いために、今御指摘になつたような、十分に約束を守り得なかつたというようなことが事実上あつたことも否定できないのではないかと思います。そういうことにつきましても、今回独占禁止法が緩められること等から、第一線に立つ商社の立場も固められて、従つてそういう今御指摘になつたような食い違いも防ぎ得るんではないか。この東南アジアの貿易につきましては、一口に東南アジア東南アジアと申しますけれども、なかなかイギリス初めその他の国の商権も強くありまするし、日本としてはいずれかと言えば新たに進出して参つておるような形にありまして、決して容易なものではないので、先ず以て私は日本の商社が強化されるということによつてだんだん改善されて行くのではないか、かように考えております。
  210. 戸叶武

    戸叶武君 私たちは東南アジアに今年の一月まで旅行している間に伝えられたことは、緒方総理あたりの提言で、東南アジア関係に対する調査等を充実させるために、何か情報の機関を拡充しなければならんというような御意見があるというようなことが伝わつておりましたが、そういう事実はあるのでしようか。
  211. 緒方竹虎

    国務大臣緒方竹虎君) 東南アジアの貿易に関連して情報機関を充実しようというような考えはないのでありますが、いずれにしましても、満洲を含めますと、日本の貿易の二〇%、或いはそれ以上の関係を持つておりました中国が今日の状態になつておりまする以上、東南アジアの比重というものが非常に加わつてつておりまするので、それにつきましてはできるだけ多くの機会に日本の各方面の人々が東南アジアを親して視察して、そうして個人的の関係もあり或いは役務賠償等に関連いたしまして、いろいろ向う本位に協力を進めるというようなことで、余り手近かに結果を挙げようとせずに貿易関係を進めて行くほかはないのじやないか。そういう意味からできるだけ多くの機会に向うに人を出す必要がありはせんかというようなことは進言したことがありましたけれども、今調査機関については直ちにそれに関連して設けようということはございません。
  212. 青木一男

    委員長青木一男君) 戸叶君、外務大臣が見えました。
  213. 戸叶武

    戸叶武君 外務大臣にお尋ねいたします。今パキスタン貿易の行詰り問題も一つの例でありますが、パキスタンの首都カラチには日本の大使館員というのは十人足らずぐらいあり、而も商社のほうは百五十人、二百人も行つてつて、そうして乱雑な形の貿易関係の進出を試みようとしておりますが、御承知のようにパキスタンのような国は新興の国家で、五カ年計画経済に副うて計画経済で発展して行こうとしている。特に資源の恵まれていない国でありますから、後進国として日本あたりと経済協力、経済技術、そういう面の協力で進んで行くという考え方が多いのでありまして、それには単に乱雑な商社の貿易競争という形よりも、パキスタンの五カ年計画経済は何を日本に求めているか、どういう部門と連絡したらいいか、そういう調査連絡が重要だと思うのでありますが、そういう意味において経済外交の具体化としてパキスタンなりインドなり、インドネシアなり、日本貿易が発展する可能性のあるところに重点的に大使館なり領事館、公使館というようなものをもつと拡充する意図があるかどうか。そういう点を外務大臣からお聞きいたしたいと思います。
  214. 岡崎勝男

    国務大臣岡崎勝男君) 私どももその趣旨においては全く同感でありまして、是非そういうようにいたしたいと考えております。ただ財政、外貨等の現状からいうと、一方においてはできるだけ節約をしなければならんという面もあるわけでありまして、そのためになかなか思うように参つておりません。又今おつしやつたような意味で特殊の知識のある人を置きますとしましても、機械工業と重工業とでは又違うし、水力、農業、農業においても米とジユートと綿では違うということでありまして、なかなか実際の行い方がむずかしいのでありますが、差当り予算の制限もありまするので、各関係省からできるだけ適当な人を廻してもらつて、それで在外公館の機構を是非充実したい。できれば外務省に専属したそういう人を設けたいと考えておりますが、今そこまでの余裕は到底ないと思いますので、間に合わせではありますがそういう手段で何とかいたしたいと考えております。
  215. 戸叶武

    戸叶武君 この日本を理解してもらうために東南アジア諸国に対して、一番効果があるのは映画政策だと思いますが、現にロシア側ではチエツコスロバキアなり中共なり、非常に巧妙な映画政策によつてその国の実情を知らせ、或いはその国の物の考え方を浸透させて行くという活溌な動きをやつております。私たちが行つているときにパキスタンではレールの問題に関連して八幡製鉄が天然色映画を持つて行きまして、非常に効果を挙げておりましたし、インドにおいては大映の羅生門や雪割草というものが想像以上に非常に国民から歓迎を受けておりましたが、外務省といたしまして、近代日本の新らしい動きを紹介するなり産業を紹介するなり、そういうような形で文化程度が割合に低く、日本に対していろいろな意味で興味をもちかけている東南アジアに対してそういう結付きを考える点から、映画政策に対して何か考えている点がありますでしようか。
  216. 岡崎勝男

    国務大臣岡崎勝男君) お説の通りであります。これは戦前には、外務省では自分では作りませんけれども国内の事情を紹介する、景色であるとか産業であるとか、映画を作つてもらいまして、これを大使館なりその他日英協会とか日米協会とか、ほうぼうで使つてつてつたのであります。その後戦後になりましてからは、今そういうはつきりしたものはありません。ただ各方面で自分のほうの仕事の紹介等には作つております。私どもは主として交通公社等と連絡しまして、又そういう方面の材料を仕入れて何とかしたい。同時に映画にするばかりでなくて、写真のほうでも同じような目的を達する、これはスイスなんかは非常に写真でいい写真を出しておりますが、こういう日本紹介の写真も一つつて見たいと思つてはつきり具体的にはまだできておりませんが、一、二そういう写真のほうの専門家で、もう現に試作を試みているのもあるのであります。うまくできますれば外務省としても、一つこれを後援してみたいと思つております。
  217. 戸叶武

    戸叶武君 もう持ち時間がなくなつて来ておりますから、農林大臣に対する質問をしたいと思つておりますけれども、それをやめることにいたしますが、供出完遂奨励金の点について……まだ五分間あるそうですから、質問を続けます。これは改めて問題になるのでありますが、資料に関して一つ官房長に御質問いたします。供出完遂奨励金の問題で、供出完遂奨励金を与うべき対象としての調査でありますが、今までここへ持つて来てもらつた調査によりますと、未完了市町村が二十五年に四百十、二十六年に三百八十、二十七年に三百六十となつており、未完了農家が二十五年に二十二万三千、二十六年に十八万九千、二十七年に十七万五千となつておりますが、小笠原大蔵大臣、保利農林大臣の政府側の御説明によると、供出完遂した市町村に対してその市町村内の個々の農家に支払うということでありましたが、これによると、市町村で今まで未完了になつていた市町村が、昭和二十五年には四百十、二十六年には三百八十、二十七年には三百六十という数が出ておりますから、大体四百十から三百六十でありますが、この程度の市町村に対しては今度の供出完遂奨励金はやれないということになりますが、そうしますとこれは官房長にも……、大蔵大臣は、前の発言との関連がありますからよいと思うのですが……。
  218. 小笠原三九郎

    国務大臣小笠原九郎君) 今回、先に申上げます通り供米を完遂した市町村ということになつておりまするので、従つて供米を今までのごとく……そういう何といいますか、供米に関しての市町村はないことと信じております。なお、これにつきましては農林大臣とも打合せしたのでございますが、これはいわゆる供出割合というものを適正にすればそういう心配は要らんということでございます。この供米の適正な割当については、これは農林大臣を私は信頼いたしておる次第でございます。
  219. 戸叶武

    戸叶武君 それでは今までの二十五年、二十六年、二十七年のこの統計を見ると、これは適正に政府がやらなかつたということを物語つているのでありましようか、その点を。今までのは適正でなくて今度は、今年は適正にやる、そういう依怙贔屓のやり方が一つ政府でやれるものかどうか、その点を御説明願います。
  220. 小笠原三九郎

    国務大臣小笠原九郎君) 私は、農林当局としては勿論適正割当を図つたことと存じまするが、併しそれらの実例等に鑑みて本年は一層適正を図り得る、かように信じている次第でございます。
  221. 戸叶武

    戸叶武君 これは大蔵大臣と問答をやつても駄目で、ただ統計の資料を中心として追つて改めてこの問題は大きな問題でありますから論ずることになると思いますが、それでは農林省関係の人にお尋ねいたしますが、農林大臣が来られたので質問いたしますが、今小笠原大蔵大臣に対して、農林省側から提出して頂いた統計を基礎にいたしまして、今まで小笠原大蔵大臣が供出を完遂した市町村に対して、その市町村内の個々の農家に支払うということを定義付けておりますが、二十五年の未完遂市町村は四百十、二十六年は三百八十、二十七年が三百六十、これだけの市町村があるのでありますが、何か農林大臣と相談して今年は適正という形で未完了市町村がないようなやり方をするそうですが、そういう何か特殊の手品か何か、奇蹟を行う具体的内容について一つ農林大臣にお尋ねいたします。
  222. 保利茂

    国務大臣(保利茂君) 手品とか奇蹟とかいうことでなく、先般三党の代表者も修正の趣意を御説明になりました。結局いたしますところ、政府の必要といたします供出を、無論作柄にも関係がございますけれども、作柄等勘案して、所要量を是非確保するという趣意からこの修正が行われる。そういたしますれば、先ず各町村の、村の農家の隣保相助と申しますか、相助け合つて町村に割当られた供出は確保すると、やはりこの善良な、供出に協力をせられる農家にできるだけ行渡るようにというところにこの修正の趣意があると存じますから、これは実行上非常に困難な点も伴うかとは存じますけれども国会修正のその線に沿い得まするように万全を期して参りたいと、こう存じておるわけであります。
  223. 戸叶武

    戸叶武君 持ち時間がありませんから、最後に、私の答弁はあとでしてもらうことにいたしまして、意見だけを申上げます。  私たちがこの統計を要請したのは、やはり政府は常識によつてなされるものでありまして、特にこの統計面における数字というものは、政府施策の限界というものを厳然と示しておるものであります。今までの政府施策が非常に間違つていたのならば別でありますが、今まで三カ年間を通じての平均統計というものが出ておるのに、今度は、今年になつたらそういうことがなくて、それがゼロになるというようなのは、手品か奇蹟でありまして、今の保安隊に対する問答にいたしましても、この供出完遂奨励金の問題に対するところの質問にいたしましても、政府がこういう国民に理解できないようなまやかしの言葉をやたらに吐くようになると、政治の信頼というものが国民からなくなると思うのであります。全く私は、中国における李鴻章というのは相当の政治家であつたが、国民をだまかすための、外国には割合に正直に言つたようなところもあつたようですが、国内の国民をだまかすことに汲々たるところの外交や政治をやつたために清国を亡ぼしてしまつたので、殷鑑遠からずでありまして、今のような吉田内閣における各大臣の答弁を聞いておると、すべて詭弁とごまかしとでたらめによつて言われておりますが、もつと真実を語り、国民に真実を訴えるというだけの誠実さがなければ、対外政策においても、アメリカに真実を語つて、アメリカの間違いを是正するだけの見識と気魄が外交や政治の中にも出て来ないと思うのであります。そういう点において、今後の政府の答弁において、もつと私は国民に対して、又外国に対しても本当のことを言つて、自主独立日本の政治家らしい態度で臨まれんことをお願いをいたしまして、私の質問はこれで打切ることにします。   —————————————
  224. 最上英子

    ○最上英子君 私は基地の問題と基地における風紀及び教育問題につきまして簡単に所管大臣にお伺いしたいと思います。第一は、最近基地の風紀が著しく悪く、重大な社会問題となつておりますが、政府はこの問題に対しどういうふうにお考えになつていらつしやいますか、その対策がおありでございましたらお聞かせ頂きたいと思います。
  225. 緒方竹虎

    国務大臣緒方竹虎君) 基地周辺の風紀問題につきましては、政府としましてもいろいろなことを聞き及んでおります。それだけにこれをどう処置するかということについて苦慮いたしておるのでありまするが、今日の日本の状況から言いまして、基地を与えておる以上、その駐留軍の訓練を認めないわけに参りませんし、その駐留軍の滞在する周辺いろいろ問題が起こつて参る。これにつきましては、日米合同委員会の合意に基きまして、地域的に日米両当局の地方連絡協議会というようなものを作りまして、今後の対策につきまして研究いたしておるのでありますが、今例えば妙義山であるとか、先般も内灘の問題がありましたが、妙義山の問題とか浅間の問題とか、いろいろな問題があります。そういう新たな基地が設けられようとしておるような場合には、地方の方々が少年少女に及ぼす影響等を考えられることは誠に尤もな次第でありまして、止むを得ない駐留ではありまするが、その影響が地方のいわゆる醇風美俗に対しまして悪い影響を与えるようなことがないように、今後も引続きましてアメリカ側の軍当局とも十分の連絡をとつて、できるだけの対策を講じて行こうということを考えておる次第であります。
  226. 最上英子

    ○最上英子君 新聞の報道によりますと、福岡県の或る基地では、米軍側から基地に集まるところの婦人たちに対しまして退去を日本方に要求したということを聞いておるのでございますけれども、江田島、それから御殿場の基地では、米軍側将兵に対し特殊飲食店地域の出入りを禁止したとの報道を伺いましたのですが、その後の状況はどういうふうになつておりますか。
  227. 岡崎勝男

    国務大臣岡崎勝男君) これは先ほど緒方総理からお答えの通り、現地における日本側とアメリカ側の協議会によりましていろいろ取締の方法を講ずる。最後にどうしてもうまく行かない場合には、いわゆるオフ・リミットにして、将兵の立入りをとめてしまうと、こういうことで、一、二そういう例をやつたことがあります。ありますが、その結果は勿論立入り禁止になりますから、その点は問題がなくなつてしまうのでありまするが、同時にその町としましては、そういう特殊な飲食店のみならず、普通の本を売つたり土産物を売つたり、料理屋をしておる者がたくさんありますので、そういう方面からいうと、急に商売が減つてしまうというので、非常に困つた状況だといつて陳情を非常にやつております。で、どういうふうにするか、今研究中でありますが、差当りは一、二の地区は立入り禁止になつておりまして、商売が非常にできないという状況で困つておるような節も見えるのであります。
  228. 最上英子

    ○最上英子君 そういうようなふうにいたしまして退去を命ぜられたということになりますと、一般の婦女子が安心して外出することもできないようになると思うのでございますが、これまでの状況から見ますと、これは問題が起きるのではないか知らんと、かように思うのでございます。そのときに、あとになりましてから御免なさいだけでは済まないような問題が生ずるということを心配されるのでありますが、この点特に当局におきましての御所見、それから又このゴメンナサイのレコードが米国で盛んに今売れておるそうでございますけれども、これらを聞きますときに、日本婦人の立場といたしまして誠に堪えられない思いがするのでございますが、これらはどういうふうにお考えになつていらつしやいますか。
  229. 岡崎勝男

    国務大臣岡崎勝男君) 一般には、アメリカの駐留軍の司令官は個々の兵隊に対して、君たちはアメリカから派遣された大使だと思つて日米関係の親善に努めよと、非常に周到な訓令が出ておるのでありまして、そういう特殊の婦人たちを立入り禁止でとめておりますからといつて、直ちに普通の人に非常な恐怖を与えるというようなことは、私はちよつと想像ができないのであります。勿論酒に酔つて、酒の上で妙なことの突発的な例はあるかも知れませんけれども一般に終戦当時に心配されたような事態はないと私は思つております。それから今のレコードでございますが、これは今の法律の下におきましては、例えば映画にしましてもレコードにしましても、如何政府が困るようなものでありましても検閲というようなことができませんので、とめることはできないのであります。従いましてこれはどうも法律でも作るか、或いは条約でも作る以外には方法がないのでありますが、条約ということにつきましては、ちよつとそういう例を聞いたことがありませんし、考えられないのでありますが、国内で法律的にそういうことが取締れるかというと、これは取締れないのであります。従つてどうもこれは今のところはどうすることもできないのであります。法律で取締るようなことにして下されば大いにやるつもりでおります。
  230. 最上英子

    ○最上英子君 もう一つお伺いいたしますが、昨今駐留軍人、これは駐留軍人ばかりに限りませんでございますが、離婚問題とか、それから子供の認知の訴えが各地で起きております。これらの訴えられないような人、又はいろいろ法律の問題とか、又そういうところに無知な人とか、そういうようなかたがたが大変多いと思います。これは一片の法律論だけでは解決ができない問題だと思うのでございます。米軍の駐在する間はこの問題も起き又混血児の殖ることは、これはもう確実にこうしたような問題が起るのでございますが、この援護施設も是非必要だと思いますが、当局はこれらに対しまして、外交上何らかの対策を講ずるお考えはございませんでしようか。
  231. 岡崎勝男

    国務大臣岡崎勝男君) 外交上ということにはちよつとどうも私は考えつかないのでありますが、例えば何か特殊の基金でも設けて、その基金をそういう方面に使うということで日米間に話合いをしてみるというようなことなら、これはよりよく考えてもおります。併し主としてこれは国内の手当をしなければならないわけでありまして、この点は私のほうは所管ではありませんが、関連がありますので、厚生大臣などといろいろ話をいたしまして、できる限り国内での手は尽したいと、こう思つてつております。
  232. 最上英子

    ○最上英子君 次に教育の問題についてお伺いしたいのでございますが、先ほど藤原委員からもお話がございましたので、ちよつと重複になるかも知れませんが、全国の中、小学校で基地の近くで授業に影響するような学校の数はどのくらいございますのでしようか。
  233. 大達茂雄

    国務大臣(大達茂雄君) 文部省で調査をいたしました、報告のありました結果を申上げますと、基地の学校で風紀上の影響を心配される学校数が二百十五校ございます。それから爆音、射撃さような音響による影響を受けている学校が百八十一、それからこれは保安上の影響というのですか、飛行機が落ちるとか、流弾というようなことで、実際上の危険があるなしは別としまして、何か気味が悪いというのが百六十校という数字になつております。
  234. 最上英子

    ○最上英子君 なおお尋ねしたいのでございますけれども日本婦人と駐留軍人の間に生れました子供は多いのでございますけれども、この実数はいろいろ伝えられておりますけれども、当局の御調査は何人くらいになつておりますか。又これらの子供の中には本年学令に達して小学校に入学した子供、これらの数がおわかりでしたらお願いいたします。
  235. 大達茂雄

    国務大臣(大達茂雄君) これは厚生省の調査でありますが、これによりますと、児童福祉施設に収容されております者が昭和二十七年三月一日現在で四百八十名ということになつております。なおこの施設以外のものか三千四百九十名、これは今年の二月一日の調査あります。合計して三千九百七十二名、即ちざつと四千名という数字になつております。それから今年から一部入学しておるのでありますが、この数字が、これは文部省で調査したものでありますが、これが本年の四月新たに入学した児童数が四百十二名、こういうことになつております。
  236. 最上英子

    ○最上英子君 文部大臣にお伺いいたしますが、只今のお話でよくわかりましたが、毎年増加するこの児童に対しまして、学校当局といたしましては如何なる教育方針をおとりになるおつもりでいらつしやいますか。
  237. 大達茂雄

    国務大臣(大達茂雄君) これは一般普通の児童と同じように育てたい、こういう気持でありまして、本年特に通牒を出しまして、細かい点で一般の児童と差別しないように、成るべく同じように、童心を傷つけないようにということで、細かい通牒を出しております。只今までのところでは別にこれと言つて特に注意するような問題もなく、順調に行つておるように思われます。
  238. 最上英子

    ○最上英子君 最後にお伺いしたいのでございますが、これは外務大臣にお願いいたしますが、妙義山地区の基地の問題でございます。本年度新たに基地が新設される個所は全国で二十四カ所と聞いておりますけれども、内灘以外の各地区は設置に反対がないように思います。それでひとり妙義地区が反対しておりますのは、この原因はおわかりでございますでしようか。
  239. 岡崎勝男

    国務大臣岡崎勝男君) 比較的大きな施設なり区域なりを提供するかしないかで今話を続けておりますところは、妙義山の山嶽訓練所以外に青森県の岩木の訓練所とか、宮城県の松島海岸の訓練所、北海道の紋別の演習場等があるのでありまして、これらもいずれも地元々々の理由によりまして反対の意向があるのであります。これは狭い所でありまするから、そういうふうなものを設定しますれば、農業なり、漁業なり、或いは牧畜なり、その他いろんな方面に多少ずつの影響はあるのでありましてその反対の運動の弱い強いは別として、いずれも自分のところで迷惑であるということは言つております。それで妙義山の附近につきましてはいろいろの理由がありまするが、主としてはあそこが霊山と言いますか、非常に尊い山であるということやら、非常に質朴な村の人たちは、初めて外国人に接するようなことが多いのだからして困るというようなこと、或いは牧草等がなくなるということやら、まあいろんな理由があるのであります。
  240. 最上英子

    ○最上英子君 地元といたしまして、主として接収される地帯が全部民有地であり、住民は今お話のように直ちに生活に困るということと、それから同地域は日本の名山であり、覧光地帯といたしまして、海外にも知られております。又予定地の恩賀部落は信越線の横川駅から数里の山奥にあります。誠にこの住民は醇朴でありますから、若し強行されました場合は最後の一人になるまでも闘う、反対するということの固い決心をいたしております。戦争中米軍が奈良、京都地域は日本の名勝旧蹟地であるという理由で爆撃をやめました。この美しい事実もあるのであります。ですから当局が真に誠心誠意米軍に交渉して下さいましたならば、先方も事情をよく納得して、話がわかるのではないかう思うのでございます。浅間の基地の解除は地震研究に支障を来たすという理由で中止したのでございますから、日本の妙義山の基地も当然中止されるものと、私は固く信じております。今まで当局のお骨折りは感謝しておりますが、まだ決定を見たということではございませんことを只今伺いまして安心いたしましたが、更に以上のこうしたような理由を以ちまして、米軍と交渉して頂きますように是非お願いしたいと思うのであります。  それで最後に一言申上げておきたいのは、妙義山の基地化はこれは群馬県下の重大な問題となつておりまして、百六十万県民は一人当り一円ずつ集めまして、運動を続けております。若しこれが設置される場合は不祥の事件が或いは起るやも知れないというような状況でございます。当局におきましてはこの点をよくお考え下さいまして、善処いたして頂きたい、重ねてお願いたします。この委員会の皆様も是非御援助頂きたいと思います。これで質問を終ります。   —————————————
  241. 杉原荒太

    ○杉原荒太君 副総理外務大臣にお尋ねいたしたいと思うのです。私はこの間の外務委員会において、MSAの問題につきまして、今度日本が受けるであろうところの援助の種類の問題、それからMSA協定の結果によつて日本が負担するところの義務と日本予算措置との関係の問題、それから第三には、MSAの協定によつて日本が負担するところの義務、殊に防衛力増強の義務と憲法九条との関係について一応お尋ねをしたのであります。それに対する外務大臣の答弁の中には、まだ更に確かめてみなければならんと思う点があつたのでありまするけれども、時間の都合上差し控えておつたのであります。今日この席で私が特に明らかにして頂きたいと思いますることは、この第三の問題、即ちMSAによつて日本の負担する義務、殊に防衛力増強の義務と憲法との関係についてお尋ねしたいと思うのであります。この問題につきましては、その後私が質問した後におきましても、国会においてもいろいろと論議が重ねられておる。又政府においてもいろいろと御苦心に相成つておることだと思います。そうして更にです、政府側におきましては、アメリカ側との間にいろいろ話合いもしておられる。それでその話合いの結果、そういう点に関連して新らしく明らかになつたこともあることでございましよう。私どもこの今までの国会における論議乃至政府側で言つておらますことを聞いておりますと、卒直に申しまして、私はまだこの問題の真の核心に触れたものが非常に少いと思う。政府側では例の戦力という言葉拡張解釈によつて逃げ道を見出そうとしておられるようでありますけれども、甚だ失礼ながらそれは問題を取り違えておられる。従来からの憲法問題保安隊と憲法との関係の問題、それに対する解釈の問題であるならば、それは戦力問題として取り上げていいでしよう。保安隊が憲法違反であるかという場合でありますならば、その保安隊が憲法にいうところの軍、又は戦力に該当するかどうかという点が問題の内容であるから、そのいうところの軍又は戦力とは何を指すかという解釈の如何によつて結論が異つて来るに違いない。ところがその意味においての憲法の問題は従来からあつたのであつて、又今後も更に発展して行くでありましよう。併しながら我々がここにはつきりと認識しなければならんことは、この意味憲法問題とは別に、今度MSA協定との対決によつてここに新たなる問題が発生しておるのである。その問題は全く新たなる憲法の問題であると共に、重大なる条約上の問題である。そしてこの新たなる問題の核心がどこにあるかと言えば、MSA協定によつて日本の負担する義務の眼目であるところのこの防衛力の増強という、そのことの中には憲法に言う陸海空軍、その軍及び戦力の保持を含めるかどうか、それから除外するかどうかというこれが問題である。而もそれは従来の憲法問題と違つて単に国内限りの問題ではない。日本国内で或いは政府の一方的の解釈論によつて解決のつく問題ではない。条約の当事国たる日米双方の合意の内容の問題である。日米双方の合意の内容として、双方の意思の合致として、軍及び戦力の保持を含むものにするか、軍及び戦力の保持は除外したものにするか、そこのところが問題の急所である。その急所に触れないで幾らいわゆる戦力論で逃げ道を計ろうとしても、それは逃げ道の探し方を間違つておる。政府は一方において憲法九条第二項の解釈によりまして、従来の立場を変更せず、陸軍も海軍も空軍もいやしくも軍というもの、その軍、又戦力も、そのいずれでも、現行憲法の下においては絶対的に禁止されているんだ、あの禁止は絶対規定なんだ、絶対禁止なんだ。たとえその目的は自衛の目的であつても、これは禁止されているのだという、そういう憲法解釈の立場をとりながら、他方においてはMSA協定は憲法違反にあらずと言い張ろうとなされるならば、それならばこの協定によつて日本の負担する自衛力増強の目的の中から軍及び戦力の保持は除外するということを言明しなさい。又アメリカ側から軍及び戦力の保持は含まないという保証をとつて来なさい。そうして条約内容の一部として日米双方の合意としてこのことを明確にしなさい。論より証拠、その証拠を示さずして幾ら一方的に戦力論をやつてみたところで、それは問題に対する答えにならない。私のここに提起している問題に対しまして解決を与えるためには、軍及び戦力の保持はこれを除外するか、然らずんば憲法九条二項の政府の従来の見解を変更するか、そのいずれか一つをとる以外に方法はない、このように患う。そのいずれもできないというならば、それならばMSA援助を受けることができないという結果に相成るに違いない。そこです私の質問したい第一の点は。政府MSA協定によるこの防衛力増強の義務の中から憲法に言うところの軍、私は戦力とは言わん、憲法に言うところの軍及び戦力は除外する方針であるかどうか。日本側の方針としてですよ、日本側の方針としてはこれを除外する方針であるかどうか。その方針であるかどうかということをここで言明できるかどうか。この点についてすでにアメリカ側から保証をとつているかどうか。これからとるつもりであるかどうか。これが第一点。次に政府は、従来憲法九条第二項の軍及び戦力の禁止は絶対禁止であつて、たとえそれが自衛の目的のためであつても禁止されるのだ、軍及び戦力の保持は禁止されるのだ、こういう解釈をとつておられるのでありますけれども、今まではそれで来ておるようでありまするのが、今後MSA協定との対決よつて、これによつて新らしく起つたところのこの問題に対してその解釈で押し切ることができると思つておられるか。これが第二点。つまり従来のこの点の解釈を変更する意思はないかどうかという点。第三には、政府が一方において今の憲法九条二項の内容について従来の態度をとつており、そうして而も軍及び戦力を除外しないで、そうしてMSA協定を締結するというならば、政府はみずから憲法違反を犯すことになるのみならず、今後において条約の違反の問題を犯すことになる。そういう点についてはどう考えておられるか。  以上三つの点に対して簡単でよいから結論だけを明確に答えて頂きたい。私は決して狭い立場から、狭い党派的というような立場から殊更問題を提起するのでありません。この問題の性質上、これは単に一内閣の問題ではない。どの内閣が当つても必ずこの問題に直面せざるを得ない。そうして又一度条約を結んだ以上、内閣は変つても国家としてこれに拘束される。あとに至つてそんなつもりでなかつた言つても、結果的に客観的条件に表示せられたところの意思によつて国家は拘束される。それだけに今日の政府の答弁も、単に言葉の端つこのところのやりとりじやなくて、客観的な意味を持つ真実の言葉を以て、責任ある答弁をして頂きたいことをお願いたします。
  242. 緒方竹虎

    国務大臣緒方竹虎君) お答えをいたします。政府におきましてはMSAの問題については、今の日本憲法に照らし、又今の日本の国情に照らしまして、この交渉に入り得るかどうかを十分に研究いたしました後に、先月二十四日乃至二十六日の公文の交換を行なつたのであります。その結果政府の判断といたしましては、このMSA問題を受諾いたしましても、日本の義務は今日の日米安全保障条約以上に加わらない。又日本の経済事情を無視いたしまして、防衛力の漸増もしないということを大体において確かめまして、更に今交渉を進めておるのでありまするが、その間に最初の公文によつて了承いたしました点と違うものが出て参るかも知れません。まだ政府といたしましては、MSAを受諾する段階にまで行つていないのであります。専らその点について交渉を進めております。政府としては憲法に違反する協定をする意思はございません。  それから第二の点でありまするが、憲法の解釈は、今日公式に国会に申上げておる解釈を変える意思はございません。  第三の問題はその中に含まれておると思いまするので、省略いたします。
  243. 杉原荒太

    ○杉原荒太君 今の副総理の御答弁の中には、私の答弁して頂きたいと思う点以外において非常に重大なる事柄があります。それはどういうことかと申しますというと、今度MSAの援助を受けるについて、今まで日本が安保条約によつて負担しておる義務以上のことを受けないのだという理解の下におるのだという。驚くべきことです。それはつまりMSA法の第五百十一条の(a)項の第二号について言えば私はそうだと思う。併しそれ以外の事項に亘り全体として見て新しい条約上の義務を負うということは、この間のアリソン大使があのMSAの交渉会議の劈頭において言つた中にも明示しておるところであります。又いやしくもこの問題を少し調べておる者ならば何人にも明白なことなんです。政府が今度日本側が負う義務はあの安保条約によつてつておる義務以上のことはないのだということは根本的の前提が間違つておる。外務大臣この点どうお考えですか。
  244. 岡崎勝男

    国務大臣岡崎勝男君) 只今の副総理お話は、主として軍事的義務という点について重点を置いてお話しになつたのだろうと思います。杉原君の御質問の趣旨はむしろ五百十一条の(a)項の四についての御質問だと思うのでありますから、多少そこに御質問の趣旨にお答えが食い違つておるところがあるかも知れんと思つておるのですが、私から更に申上げますと、この協定の中には、今杉原君は軍及び戦力と、こうおつしやいましたが、これは憲法の解釈の問題でありまして、政府としては今までの解釈は「陸海空軍その他の戦力」というものを一つに見ておりまして、いやしくも戦力を持つということは憲法違反である、こう解釈いたしておりますが、これはちよつと別問題といたしまして、少くとも戦力を除外するということは明白にきめております。そこでこれを除外するということについて保証をとるかどうか。これはまあ実際上のやり方の問題でありますが、私の只今の考え方は、これは自衛力の発展及び維持ということにつきましても、政治上、経済上の条件その他いろいろありますが、資源とか、人口とか、そういう条件がついておりまするから、日本側でこの政治的の条件その他を考慮してきめる問題であり、先ほどお話になりましたアリソン大使の十五日のステートメントの中にも、この自衛力の増強の時期、態様等は、日本政府のきめるものであつて、アメリカ側の口を入れる問題ではないということを言つておりまするから、日本政府のきめるものにつきまして、協定の上で解釈についてアメリカ側の保証をとるということのアドヴアイザビリテイと申しますか、よしあしということについては考慮をしなければならんと思つておりますが、まだ交渉はそこまで行つておりません。いずれにしましてもこの点は明白にいたすつもりでおります。それから戦力の解釈につきましては、政府としては依然として、今副総理の言われました通り自衛のためといえども戦力を持つということはしない。いけないのだ、こういう解釈を続けてとつております。第三の点は、今の副総理の言われました通り戦力は問題にしないのでありまするから、この点は自然解消と思います。
  245. 杉原荒太

    ○杉原荒太君 まだ時間ありましようか。
  246. 青木一男

    委員長青木一男君) 簡単に……。
  247. 杉原荒太

    ○杉原荒太君 時間が非常に残りがないようでありますから、詳しいことは他の委員会でしますけれども、先ほど外務大臣が言われました、戦力は除外するということを明らかにするということを言われましたけれども、これは言うまでもなく憲法九条の第二項の、陸海空軍その他の戦力を除外、日米間の条約関係からすれば、あそこだけは除外されるかどうかという点がポイントですから、従つて日本側としてそれを除外するつもりだ、こう言つておる。これは併し日本側の一方的じや駄目です。どうしてもこれは形式はいろいろありましよう、形式はいろいろありましようが、日米の両方の合意の内容になつておらなければならん。私はあとの点はほかの委員会へ譲ることにいたしまして、今日はこれで終ることにいたします。   —————————————
  248. 森八三一

    ○森八三一君 私は若干の問題について大蔵大臣と農林大臣にお伺いをいたしたいと思います。  最初に大蔵大臣にお尋ねをいたしたいのでありますが、予算編成に当りましては、一つの基本的な態度がなければならんと考えます。そこで昭和二十八年度の予算を編成するに当りまして、しばしばこの委員会を通じ明確になつているところでありますが、政府はかねてから堅持され、主張されて参りました、いわゆる自由主義経済というような態度を以て臨んで来ている。一貫してこの方針で進まれておると拝承いたしております。最近における非常に変転をいたしておりまする国際的な情勢、特に朝鮮事変が新聞紙の伝えるところでは、本日休戦の調印が行われるというような新しい段階であるとか、或いは東ドイツにおける問題、或いはソ連内部におけるスターリン死後におけるいろいろな動きというような、少くとも昨年政府昭和二十八年度予算をおまとめになりましてから巻き起つているいろいろな新しい国際情勢に対応いたしまして、そういう問題を取入れて行かなければならんのではないか、そういつたようなことについては、これ又この委員会しばしば論議がありました。そういうことを織り込んで参りますると、政府の基本的な態度として堅持されておりまする自由主義経済というような一つの筋に対しましても、何らかの改訂を加えて行くような必要があるのではないかというようにも考えますが、その問題は一応別問題といたしまして、とにかく昭和二十八年度の予算は一応そういうような基本的態度の下に編成をされ、提案を見たということは、これは総理の答弁を通じても極めて明確になつているところであります。ところが参議院に、本院に回付せられました予算は、衆議院修正をされております。而も相当大幅に修正をされた。その修正いたしました改進党の主張する態度はすでに御承知のようにいわゆる修正資本主義であり必ずしもそれが全般的なものでないにいたしましても、成る程度の計画経済を主張いたしているのであります。基本的な態度が根本になつて予算全体には相互に関連を持つて編成をされていると思う。それに全然形の変つた修正資本主義なり、或いは計画経済という態度に立つて修正が行われるようになつてここに入つて参りますると、通例申しまする予算全体を通じて木に竹をついだような恰好のものになつてしまつたのではないか、こういうように私は受取らざるを得ないのであります。政府は議会が修正をしたのだから止むを得ないというようにおつしやるかも知れませんが、止むを得ないにいたしましても、とにかくそれが両院で決定されますれば、具体的な執行上の責任は負う、こうおつしやつているといたしますると、木に竹をついだような恰好になつている予算を執行して行くということについては、非常に大きな支障が巻き起つて来るようにも思うのであります。基本的な態度にひびが入つて来ているのだ、そこに問題が巻き起つて来る。而も施行される責任者は自由主義経済を堅持されている政府であるということになるというと、この執行を通じてどういうような結果が起つて来るであろうか、或いは国政の運行に非常な誤りをしでかして来るようなことになりはせんかという心配を持つのでありますが、大蔵大臣、こういうような観点からこの修正をされた予算が成立いたしました暁において、かねて堅持されている基本的な態度というものについてどういうように考えて、どういうようにやつて行かれるのか、そのお気持を先ず最初にお聞きをいたしたい。
  249. 小笠原三九郎

    国務大臣小笠原九郎君) 森さんが仰せになつ意味はよく私もわかるのでありますが、私ども自由主義をとつておりますけれども、ただ自由主義といいましても、いわゆる以前にあつたような古典的な自由主義と違つて、この頃のやはり時勢に副う自由主義でありまして、いわゆる計画経済ではございませんけれども、幾つかの計画を持ち、そうして幾つかの目標を立ててやつているのであります。我々が二十八年度予算で狙つているところは、日本が国際間に伍して、日本経済の自立を目指しまして、それで国際収支が立つように、こういうことが眼目になつて今度の予算が編成されていることはこれは森さんがよく御承知のことと思うのであります。そこでそういう下に編成されている予算に対して今度の修正案で、而もその修正案に若干今仰せになつたような修正資本主義というか、少し強い意味で計画経済が織込まれているものの修正では少し事柄が違うではないか、こういうお話に伺うのでありますが、私どもも改進党の修正資本主義と言つてもその修正の度は、これは一人々々によつて非常に違いますし、又今まで発表されたものにつきましても、私ども非常な、自由党の考え方と根本的な相違があるようには実は私ども見受けていないのであります。それから計画経済と申しましても、これは純粋な計画経済でないことは、これは森さんがよく御承知通りであります。更に今度の予算について修正されました部分について申しますると、私どもは率直に申しますると、私どもの立場に立つては原案が一番よろしい、このことは繰返し私は申しておるのであります。又世間も新聞雑誌等ではそういうことを支持いたしておることも、論文が幾つか現われておることは御承知通りであります。又何分小数党で、若干のほかのものを入れなければこの案が又通つて行かんことも厳然たる事実であります。従いまして私どもといたしましては、今度いわゆる改進党の発案になるでありましようが、いわゆる三党の御協議になつたもの、まとまつた修正案について見ますると、先ずこの程度は了承し得る程度に……これは総理言葉にあつたかと思いますが、非常な根本に違うものであれば困るが、併し根本的に違うものじやない、了承し得る程度、こういうことでございまするので、私ども実は了承した次第でございます。今日の時勢が私は森さんに言うのもおかしいが、一日も早く予算の成立を希望しておる。この客観的情勢から、私ども自分がこれはいいと思いましても、それだけで通らん、この政治情勢に鑑みまして、今お話通り、私どもは了承し得る程度であるからこの案を了承した次第であります。すでに了承しました以上は、これが執行に当りましては十分誠心誠意やる、これは当然のことでございます。併し元の考えが違うのでありますから、なかなか執行できんではないかという仰せが出るわけでございますけれども、今後の修正について見ましてもそう実行困難だと特に思うようなことは行われていないように私は考えるのでございまして、私どもはこの点については本修正案が本院を通過しますれば実行の責めに任じたいと考えておる次第でございます。
  250. 森八三一

    ○森八三一君 私どももすでに四月から七月まで暫定予算というような極めてまずい恰好で推移をして参りまして、更にこの上予算が決定を見ないような状態に放置いたしますることは、国の置かれておる現実の姿から考えましてこれは十分考えなければならんことでありまして、一刻も早く国民多数の了解の得られまするような姿において本予算の成立を期待するものであります。そういうような予算の成立ということを念願する点については変りはないと思いますが、ただ申上げましたように、この修正案に現われておりますることは、前段申上げましたように、非常に基本的な態度から考えますると隔りのある部分があるのではないか、大臣は只今そんなに大きな変革はないのだ、まあこの程度であればそうまるつきり天と地と違うようなものではないから、忍びがたきを忍んで了承したので、この執行については大した問題は巻き起らんであろう。こう述べておられます。ところがしばしば問題になりました米価の問題でありますが、これも又形の上からそうではないというように今おつしやいますかも存じませんが、とにかく今回の完遂奨励金八百円というものは、これはこの委員会における質疑を通じまして形式的にはいろいろ言われておりまするが、私の了解——理解しておるところでは、結局八百円というものは供出数量に対して実質的には交付せられるのだ、これは完遂町村にやるのだ、飽くまでも完遂だということではありまするが、不完遂町村はないということが前提になつておるのですが、引つくり返して見れば全体の者に行くのだということになるとすればそれが消費者米価に織込まれないということになりますれば、これは誰が何と言つても結論的には二重米価、いわゆる二重米価制度を維持しておる。いつかも大蔵大臣も、率直に申しますればそれは二軍米価であるかとも思います。こういう御答弁がありました。あとからお取消しになりましたが、率直なお考えの言があつたように、まさにそうであろうと思います。非常に大きな問題のようにも思われるのであります。こういうことを了承された限りにおきましては、米の統制は一刻も早くこれを廃止する、自由にするのだというその基本的態度はこれを一応棚上げになさつたものと理解してよろしいのかどうか、その点を一つお伺いしたいと思います。
  251. 小笠原三九郎

    国務大臣小笠原九郎君) 米の問題ですから本当は農林大臣がおりまして御答弁するのが本当かと存じますが、ただ私どもが了承しておる範囲のことを申上げますと、米につきましては自由党といたしましては長い間やはり漸次麦その他から統制を外して、そうして米についても自由にしたいという考え方の下にいろいろな政策を進めて来たことは森さんが御承知通りでありますが、併しその後における食糧事情その他から見まして直ちに統制を廃止するということは困難だということはよくわかつておりますので、今日心直ちにそういう考え方は持つておらんと私は承知いたしております。併しながら方向としては自由党はいつもそういう考え方を持つておるのであります。それからさつきおつしやつたからそれ以上に私は言葉を附加える必要もないかと存じますが、実は完遂奨励金というものは考え方によりますと行政費とも見得るのでありまして、その点が例えばこれは森さん御承知通り昨年百円の完遂奨励金は実は行政費の扱いで理論付けられたのであります。金額の多少にこれはよりませんから、行政費として今度特にそのうち四百円は、後日といいますか、米穀年度に入ります前に米穀審議会等の議を経てこれはきまるわけでありますけれども、そのときに四百円だけは見ることに相成つて一般行政費で一般会計から見ることとなつておりますので、まあそういう説明もつく。こういうことで御了承を願つておきたいと存じます。
  252. 森八三一

    ○森八三一君 この問題は農林大臣に関連する問題でありますので、一つ大蔵大臣質問中に農林大臣がいらつしやいますようにお手配を願いたいと思います。只今大蔵大臣は昨年も百円の完遂奨励金を行政費の関係において出したのだ、そのときの考え方と今日の考え方はちつとも変らない、基本的な考え方は変つておらないのだから、額の大小によつて云々するのは当らない。やはり去年の態度を変えないのだから、二重米価制度ではないと、こういうふうにおつしやいますが、これはいつまで議論いたしましても平行線であると思います。我々も昨年の百円はすでにあれはその限りにおいては二重米価制度は実行されておるのだという理解に立つておるのでありますから、これはその議論はいつまでやりましても両方の理解が根本的に違うのでありますから、それは省略をいたします。なおこのことに関連をいたしましてお伺いをいたしますが、農林大臣がいらつしやいませんので、その問題はあとにいたしまして、この際大蔵関係でお伺いをいたしたいことは、別途に政府は、専売とか、いろいろ公共企業体と申しますか、そういうところの経理関係において予算に策定をしたもの以上に収支面においてプラスが出ましたような場合には、大蔵大臣の了承を得て、それぞれ給与を増額することが可能であるというような措置を講ぜられて参つております。このことは我々が特に政府直営事業から、専売その他のものを外しまして、十分能率を挙げて頂くような機構に変えました趣旨に副いますことでありますので、できるだけその関係従業員の諸君の給与等を十分にされますことは好ましいことであると思います。ところが大蔵大臣の承認を得て、これを実行するという建前になるわけでありますので、いろいろのそういう機関から大蔵大臣に申請がございました場合に、大蔵大臣がこれをお認めになるときの態度というものは、一体どうお考えになるのか、これは非常にむずかしい問題ではないかと思うのであります。そういうふうなプラスというものが、本当にその関係者の努力によつて現われて来る場合もありましようし、専売のように、殆んど大部分が税金であるというようなところで、形の上では何か如何にも利益が出たように見えるという場合もあるでしようし、いろいろな形があろうと思います。そういう場合に、それをどう裁定されるか。更にその各多種多様の機関ごとに如何に努力をいたしましてもプラスの出ん場合もあるし、そんなに努力をしなくても政府考え方によつては必然的に利益が出たような恰好になるという場合もあろうと思います。そういう場合に、その恰好を示した場合に、それが給与の増額等の措置をするということになると、その機関において非常なアン・バランスを生んで来て、それが却つて、親切にそういう途を開いたにかかわらず、それぞれの関係者の間に非常な不満が起きて、却つて事業の能率を低下して行くというような危険もないとも申されん。そこで大臣がその認定をされるということについては、いい加減にそのときどきの場当りで、腰溜めをやられてはこれはたまつたものではない。何か基本的な考え方がなければならないと思うのですが、どうお考えになつているかを承わりたいと思います。
  253. 小笠原三九郎

    国務大臣小笠原九郎君) 公共企業体につきましては、予算総則に、職員の能率向上による企業経営の改善によつて収入が予定より増加し、又は経費を予定より節減したときは大蔵大臣の承認を経て、その収入の増加額、又は経費の節減額の一部を給与として支給することができると、こう書いてありまして、この点を今森さんが御指摘になつたものと思うのであります。この場合において、それじや大蔵大臣は一体どういうものでやつておるか、これは冬企業の実情にもよることでございまするが、具体的の事例の場合よく関係大臣とも相談いたしまして、且つ給与その他一般の経済事情も考えませんというと、丁度森さんのおつしやつたように、企業体同士にも非常な不公平なことが起つております。例えば、率直に言えば、企業体の原価計算が非常に違つてつております。でありますから、同じ政府の企業体同士でもそういうことが起つて参りますので、その点は私どもいろいろ注意しなければならないのでありますが、丁度森さんが御心配になつたことは、実は私どもも心配をしておることなのであります。で、大蔵大臣として言えますことは、例えば臨時的な給与とは申しましても、どうしてもこういう給与は大体恒常化、恒久化する傾向が強い。こういうふうに思われますし、又現在の企業の経理並びに建設資金の必要も顧みまして、やつぱりその企業の基礎を一層堅実ならしむるため必要のあるものとか、各企業体が国の独占企業体で、今仰せになつたような工合に、税の面、資本に対する配当の面で、莫大な国家財政の庇護を受けておるという面があるので、どうかすると、その企業の利益を挙げた一部分を、むしろ国民全般に還元するということのほうが、実際の実情に適するのじやないかということも考えられんでもございません。それも考えられんのではございません。そういう点がございまするので……、さればと言つて、職員が経費を節減し、能力を発揮してやることでございますので、それによつて、これに対するまあいわば幾らか褒賞的な措置はとらなければなるまいと存じます。従つて、私どもはよく調べまして、財源の全部をその給与に充てる、こうこうとはどうかと思いますが、その財源の一部を、実情に即して給与に与えることが必要なんじやないかという、根本の考えとして、さように思つておる次第でございます。
  254. 森八三一

    ○森八三一君 私の申上げましたのは、公共企業体という恰好にいたしました趣旨はできるだけ、率直に申しますれば高能率、高賃金と申しますか、よく勉強を願つて、それに報いる経済的なことは十分差上げたいという趣旨に基いておるものと思いますので、その全部ではない、一部……けちなことを言わずに全部やつて頂いても私はいいと思うのです。ただ併しその各機関ごとに非常にアン・バランスなことになつて、却つて関係者の間に不満が起きて、それが仇になつて、能率を低下せしめるというような悪い種を蒔くということになるというと、これは問題になるので、そういうことについてはこれはよほど慎重にやつて頂きたいということを申上げ、そういうことなれば、何かの基準でもあるのじやないか、こう考えましたので、基準をお伺いしたのでありますが、只今の御答弁では、今ここに具体的な基準はない、ただその都度関係当局、大臣とも協議をしてきめて行くということでございますが、そういう態度になりますると、結局そのときどきの場当り的なものできめられて行つて、今私の心配いたしまするような結果の起きる虞れなしとは申されないと思いますが、これは十分一つ御研究になつて、何か基本的な一つの原則と申しますか、方針的なものを定めておかれまして、過ちなきようにして頂きたいと思いまするのであります。給与の問題が出ましたので、併せてお伺いをいたしますが、七月分の暫定予算を決定いたしまするときに、夏季手当を考慮したらどうかという質問に対しまして、大臣はとくと考慮をするというような御答弁があり、その後新聞の伝えるところでは、最近の機会において、適当な具体的な対策をとり進めるということが、次官会議で決定をしたやに伝えておりまするので、これはまあさように御進行を願つておることと了解をいたしております。ところが国家公務員に対しましては、それで一応の結論は出たように思いますが、地方の関係者に対しましては、一体どうなるのかという点が、これ又同じ中央地方の公務員間にバランスを失するということになりまして、ここにも今申上げましたような趣旨と同様の趣旨において、問題が巻き起るのではないかと思います。たまたま今度の修正案では、平衡交付金が相当に増額されておるということにもなつておりますので、この平衡交付金の増額という中には、地方の関係者に対して、中央のほうで講ぜられましたと同じような措置が講ぜられるという含みを以て、平衡交付金の増額というものが考えられておるのではないかと私は想像いたしておるのでありますが、提案者の説明もこの点については十分承知いたしておりません。修正案を了解せられました政府においては、その辺の事情は十分御承知と思いますが、如何でございましようか。
  255. 小笠原三九郎

    国務大臣小笠原九郎君) 森さんが前段におつしやつた点は、まあ内規のようなものでもあるとはつきりすると思いますが、ただ、今は心がまえを私としては申しただけでございますが、今後十分検討しまして、やはり能率を上げ、又経費を節減した者には相当の措置をとりたい。これは十分御意見の点に対しては、これは行いたいと考えております。次の問題でございまするが、あれはあのときの衆議院の御決議は、十二月十五日に交付すべき年末手当のうち、〇・五のうち、〇・二五を繰上げ支給すべしということでございましたので、この衆議院の御決議に従いまして、ここで御答弁を申上げた次第でございます。従いまして、この予算通りまする……、今はもう法案を衆議院に差出しております。衆議院のほうで……。それで〇・二五を、本予算通りますれば繰上げ支給する、こういうことにはなつております。で繰上げ支給でございまするから、予算の金額には影響をいたしておりません。従つて地方公務員のほうも、これらが平衡交付金等にも含まれてもおりますので、やはりこの〇・二五の繰上げ支給は当然及ぶことなんでございます。ただ、今ちよつとお話の中に、〇・二五を増すのじやないかという意味お話でございますると、現在の予算では〇・二五を増加するという予算は盛つてございません。つまり年末支給すべき〇・五のうち、半分〇・二五を繰上げ支給する、こういうことになつておるのでございます。併しこの問題は私が善処すると申しましたのは、その衆議院の〇・二五の繰上げ支給のことについて善処すると、こう申した次第でございまして、なおその他の問題については十分考えさせて頂きたいと思います。
  256. 森八三一

    ○森八三一君 衆議院のほうではどういう決議になつたか、お話通りだと思いますが、我々の参議院の予算審議を通じまして論議をいたしましたことは、年末として見積られておるものを繰上げて支給をして下さいというような、方法論というようなものには、これは参議院では触れておらないで、現在の公務員諸君の生活の実情に鑑みまして、適当な増額支給を考えて頂きたい。そこで大臣は善処する、たまたま衆議院ではそういうようなことがあつたので、それを皆当てはめでおやりになつた。まあそれでも我々がここで言いました主同じ結論に達することと思いますので、その方法論についてかれこれ論議はいたしません。いたしませんが、結論としてお伺いいたしたいのは、国家公務員に講ぜられる措置というものは、同様の措置が地方公務員にもそのまま行われるような姿になつておる、こういうように理解していいのか。昨年孫の、年末の給与につきましては、我々は特別を決議いたしまして、取りあえず五十億の短期融資をし、それを他日財政措置を伴なうような施策をしなければならないということを申上げまして、政府も決議の趣旨を体して、善処をするということで行われましたが、実際問題としては、今以て府県々々によつては、非常にまちまちなことが行われておるということであります。勿論これは自治体のことでありまするので、強制をするわけには参らんと思いますが、国家公務員と地方公務員という、一連の公務員という立場に立つておる限りにおきましては、やはり余り隔りのあることは、これは好ましいことではないと私は思います。と考えますれば、やはり今回中央で我々の要請に答えて政府の行われるというそのことは、地方公務員にもおおむね実施をされるということでなければならんのではないかと思いますので、そういうことになるのかならんのかという結論だけをお伺いしたいと思います。
  257. 小笠原三九郎

    国務大臣小笠原九郎君) 結論だけを申上げますと、地方公務員も中央務員に準じてやることになつておりまするから行うことと存じます。但し仰せになつたように、これを強制するという中央の権限はございません。
  258. 森八三一

    ○森八三一君 その場合に、今やつた場合にはその財政措置は講ぜられておるのか、講ぜらておらんのか。それは私は衆議院における平衡交付金の増額なんかは、そういうことも織込んでおるようにも思うのでございますが、そうじやないのか。やつたがそいつは地方公共団体の勝手にやつたのだから政府のほうではその尻ぬぐいは知らん、こういうことになつてしまうのか、その面倒を見てやるということになつておるのか、その辺はどうでございましよう。
  259. 小笠原三九郎

    国務大臣小笠原九郎君) 今度の五十億はそういう趣意ではございませんが、さつき申した通り繰上支給するのですから、地方のうちで今まで持つておるものを繰上支給する。若し新たに〇・二五を増すという問題になつて参りますと、これは財源その他の措置を別に考えなければいかんと存じます。
  260. 森八三一

    ○森八三一君 農林大臣もお見えになりましたので、元へ戻りまして、しばしばこの議場を通じて論議をされ、我我委員の側でも政府のほうでも全く意見の一致をいたしておりまする問題は、日本経済の自立を如何にして早く達成するかという一点にあると思います。まさにその通りであると思います。そこで当局でこの問題を達成するために述べられておりまする対策は、輸出貿易の振興によりまして、特需その他の不健全な国際収入が失われるというようなときが来ましても、日本経済が大丈夫であるというような姿に一刻も早くやつて行きたいという点が一つと、それから食糧を中心とする国内自給を完成して、支払外貨を節約する。それによつてやはり国際収支の均衡を得て行くことに資したい。大体私は要約いたしますればこの二つの対策に尽きておるように思うのであります。ところがその前段に述べました輸出貿易の振興による積極的な正常外貨の獲得ということにつきましては、これは通産大臣も昨日お話なつたようでありまするが、ポンド地域を中心とする輸入制限の問題、これは相当の折衝をいたしまして漸次打開をするという方向に向つておるようではありまするが、といつて必ずしも十分なようにはなつておらんように考えます。更にそういうような門戸が開放せられたといたしましても、これもしばしば論議をされておる国内の生産コストが非常に高いということで、これ又価格の面で取引が十分に行かないという隘路もある。これも十分努力をしなければならん。そういうような問題は外交的に窓口を拡げて行きまするようなことであるとか、或いはそれに相応する国内の体制を整備すると申しまするか、経済的な諸条件を立直して行くというようなことは、これは十分努力しなければならんことでありまして、そのことを否定するものではございません。ございませんが、最近における一般的な国際情勢等を素人の立場から見ておりますると、なかなかそいつは思うように行かんのではないか。しばしば総理もおつしやるように相手のある仕事というものは、これはこつちのほうで幾ら考えましても思う通りに行かん場合があると思うのでございます。行かん場合があるからと言うて日本経済の自立が達成せられんということで手を挙げておつたのでは問題にならないので、そこで間違いのない方法と言えば結局外貨を節約して、消極的ではありますけれども、最悪の場合にそれで辻褄を合わして行くという途は、これは相手のあることではございませんで、こつちのほうで決心してやれば可能な問題であると思う。それには農林省でかねがね計画されている食糧の増産十カ年計画ですか、新聞の伝えておるものでありますので、その真否は詳細に承知いたしてはおりませんが、昭和三十二年に、審議庁の統計で見ますれば、日本の人口が九千三百十六万人になる。そのときに備えて取りあえず第一回の五カ年計画で千七百万石の増産をやる、そうすると、年々の人口増加によつて食糧の不足数量日四十万石と、農地のつぶれて行くことによつてマイナスになつて行く百万石とで結局二百四十万石程度のものは穴埋めをして、そうして昭和三十二年には四百万石ばかりの現在の輸入量を節約するのだ、その次の第二次五カ年計画で将来日本人口が一億近くになつても大丈夫だ、食糧の自給体制が確立されるのだといういわゆる食糧増産十カ年計画というものが世間には伝えられているのでありますが、今年度の予算を通じて見ますと、その全般の五カ年の第一年度の事業を遂行するのには十分でない。新聞なんかの報道によりますると、その計画に対して五五%程度より推進ができない。今度は十億円追加になりましたので、これを織込んで参りますと、どういう数字になりましようか、私は計算いたしておりませんが、政府の原案で行くと五五%程度、千七百万石程度、第一次五カ年計画というものは進まないというような按配になつておる。そこでこれも新聞記事でありますが、やむを得ないから千七百万石計画を千五百万石計画に立直したのだということも年次別の詳しい数字が報道せられているのであります。こういうことになりますと、日本の経済自立が一番大切な問題だとみな言つている。而もそれは政府のほうも我々のほうも意見が一致している。それをやつて行くには一辺倒でどつちに片寄つてもいけないと思いますが、前段申上げましたように、輸出貿易の振興による積極的な外貨の獲得というものは、只今好ましい姿であつて、しなければなりません。と言つて、それは相手のあることで思う通り行かん場合がある。努力してやつていかんときに手を挙げておつたのでは問題にならんので、私はその後段のほうの問題をこの際は十分にやるべきじやないか。そこでそういうような計画は立つておるが、計画が推進されないという姿はおかしなものじやないか、こう思うのでございますが、どういう関係でそうなつておるのか、その辺を一つ両大臣から御説明を頂きたいと思います。
  261. 小笠原三九郎

    国務大臣小笠原九郎君) 食糧増産対策につきましては、年次別に案が農林省から出ておるのであります。併しながら非常に国費の配分上あれもやらなければならん、これもやらなければならんということがたくさんございましたので、先ずその配分上はあの程度が最も適当なりということで実は落ちついた次第であります。各種の案につきまして、いずれも例えば船についても年三十万トンの計画が外航船について立てられる、或いは鉄鋼についても三カ年計画が立てられ、石炭についても五カ年計画を立てられ、又化学製品についても今度三カ年計画が立てられる、そのほか畜産についても、又林道についても、各種の計画があつて御要求がございます。これについて私どもも今森さんのお話になつた通り、先ず食糧増産計画に重点をおかなければならんのでよく承知しておりますが、私一人が査定するわけでも何でもございませんで、閣議の席上で、先ずこの程度ということになりまして査定があの金額になつた次第であります。尤も本年はこれは御承知のように大分時期的にズレが生じておりますので、私どもはあれだけの予算を使うのにも、果して効率的に使うかどうかということについては、よほど農林省当局の御奮発を願わなければならんだろう、かように考えております。併し将来につきましては、ただ私ども考えておりますことは、やはりこの資金の配分が多いことは非常に望ましいのでありますが、やはり同時にこの資金が効率的に使われるという点については、その金の多寡よりも、どちらかと申せば金を使用する人の心構えが一番大きい増産に持つて行くのではないかと思いまして、この点については今後とも農林当局において十分な御配慮あるごとと思つておりますが、まあ国の支出多端の折からで、本年はあのような配分に終つたということはどうも誠にその点は遺憾に存じておる次第でございます。
  262. 保利茂

    国務大臣(保利茂君) お答え申上げます。先般井野委員からも本問題に関しまして総理大臣にも突込んで御質問がございました。お話のように自立経済を達成して参ります上に貿易は相手がある、食糧増産は国内でこれは片付く問題でございますから、四億ドルからの外貨の圧迫をこれによつてこうむつておるわけでございますから、どうしても自立経済を達成して参りますためには掛け声だけでない、着実なこの増産計画を立てなければならん、今日まで一応十カ年計画或いは五カ年計画と申しておりますのは、一昨年来総理大臣の諮問に応えて頂いたかたがたの意見を集約して農林省で計画を立てているものでございます。これだけを遂行いたしますにいたしましても、かなり大きな財政資金を要することになるわけであります。当初の計画では、お話のように中間五カ年計画で千七百万石の米麦増産をやるという意気込みであつたのでございますが、今年度の予算で土地改良、農地の拡張に例をとりますれば、要求いたしました五百八十億の要求が二百六十六億というような削減を受けまして、千七百万石の増産が千五百六十万石程度の計画にずれなければならん、一応机上計画はそうなつております。併し今大蔵大臣も申されるように食糧増産というものは単に掛け声だけでなく、実際の効果がそこに現われる着実な計画を持つならば、総理大臣もこのために資金の投下を惜しまないということは両院においても明らかにせられておるところでございますから、要は私ども責任当局として十分各方面に御理解を頂くような計画を立て得るかどうか、今日の持つております計画で十分であるかどうかというところに帰すると存じますから、先般井野委員からも御指示を頂いておりました更に検討を新たにするという意味において別の機関を持つということも考えてみなければならんと存じますが、いずれにいたしましても、次の予算編成の時期までには、現在立てられておりまする計画を再検討いたし、更に総理大臣は特に興味を持つておられますが、干拓等において更に新機軸を出す余地があるかどうか、そういうものも一つ予算編町までには十分検討をいたしまして、掛け声だけに終らない増産計画を立ててみたいと、こういうふうに考えております。
  263. 森八三一

    ○森八三一君 いろいろ限られた財政で始未をして行くというところに予算編成上の御苦心のあることはよくわかります。わかりますが、というようなことで、いわゆる総花式なことになるというと、これは経済の自立という狙いを外れて行くというような憂いがないわけでもないと思うのであります。今総理は着実な計画を立てれば財政投資をすることについてやぶさかでないという熱意を持つていらつしやるということでありますので、私はすでに発表せられておる食糧増産十カ年計画とか、第一次の五カ年計画というものは、着実なものであるという前提に実は立つておるのであります。それがまだまだ不完全なものであるとするならば、これは一刻も早く完成されまして、この道には他の財政上の圧迫が加わらないような形において、推進されることを希望するのであります。一九四八年ですか、イギリスの労働党内閣食糧増産四カ年計画を立てて、恐らく当時においてイギリスの財政日本の今日よりももつと逼迫をしておつたのではないかと思います。思いまするにかかわらず、三億ポンドの国費を投下いたしまして食糧自給態勢の確立に非常な努力を払つた、それが今農林大臣のおつしやいまする着実な計画ということであつたでありましよう。すでに着手二年目には、四カ年計画の二年目には七五%の食糧を海外に依存しておつたのが金額では五億四千万ドルを節約し得たということを文献は示しておるのであります。こういうような姿になることを私どもは心から期待するのでありまして、そういうような方向へと進められますることを希望いたしまして、この問糧はまだ申上げたいことがありますが、時間の関係もありますので要望して打切つておきます。  その次に農林大臣に一つお尋ねいたしたいのでございますが、今度の災害に関連いたしまして、いろいろの施策が対策委員会等でも研究をされております。政府の当局においてもそれぞれ対案が立てられておると思います。立てられておると思いますが、私は非常に日本の経営規模の小さい農家が、そのうちでも更に零細農というような部分の諸君をどうして行くかという問題は、これは非常に大切な問題だと思うのであります。そういうような観点からいわゆる災害救助というようなことで、恩恵的な、金を与えるというような方法は私としてはとりたくないのであります。当面急場のために炊き出しをするとかいうことは必要でありましようけれども、根本的にはやはり働いて自立をして行く自活の途を与えて行くというような態度が好ましいのじやないかというように考えるのであります。といたしますと、零細農家の場合には農地と申しましてもたくさん持つているわけではありませんから、そこで何か副業のようなものを与えてやつて、自活の途を立てさせるというような態度をとるべきではないか、こういう考えであります。そういうようなことから考えますと、西日本、特に福岡、佐賀なんかは御承知のように藁工品の大産地でありまして、曾つて関東の大水害のときにも、我々は茨城県、千葉県等が、そういうような地位におりましたので、そういうことを政府に要請し、強力に推進いたしました結果として、かなり立派な成果を挙げたと私は記憶いたしております。今度の場合も、そういうような対策がとられて然るべきではないか、ところが、遺憾ながら水害によつて原料の藁はなくなつてしまつております。そこで豊富にある災害をこうむつておらん地域から原料を補給してやる、それによつて、そういうような副業を与えてやつて、それによる収入によつて自活をさせて行くというような態度が一番好ましい姿であると私は考えるのでありますが、そういうような施策をおとりになることに対しての御所見を伺いたいと思います。
  264. 保利茂

    国務大臣(保利茂君) お答えいたします。その通りだと思います。そこで私どもの見聞からいたしましても、或いは流失、埋没田を出しておるところ或いは堤防の決壊、道路の破壊、橋梁の破壊等、公共事業の面において直ちに零細農家に現金、公共事業の面に働くことによつて現金収入の途を得られるところは比較的その始末がしやすいのであります。そうでない、ただ冠水をして農地も大して損害をこうむらない、公共施設も大して損害をこうむらないけれども、食べるものも潜るものも皆なくしてしまつた、そういうところが非常に困る、そういうところに対しては今お説のような処置を講ずるということが最も適切な、やらなければならんことだと存じますから、これは是非一つ経験を活かして、そうして、そういう途を講じてもらいたいと考えております。今政府で実際に検討いたしておるわけであります。
  265. 森八三一

    ○森八三一君 今の問題は農林大臣も同感であるということでありますので、具体的に内容を申上げますことを時間の関係上省略いたしますが、どこどこまでも、やはりみずから働いて自活をして行くという態度を堅持して、農家の復興を図つて行くという態度で進められたいと希望し、そのことに関連して経済的に不利な面は助成その他でカバーしてやるという態度をとつて頂きたいと思います。そのほか、いろいろ申上げ、又お聞きしたいことがありますが、時間の関係がありますので、最後に、ただ一つだけお伺いいたしたい。最近輸出貿易の振興、或いは国民生活の水準を高めて行くというような観点から、鉱工業の発達が相当著しく進展をいたしておるということに関連をいたしまして、農業上にも、水産上にも、お聞きになつておりまするように、いわゆる汚水と申しまするか、毒水と申しまするか、そういうもののために、かなり全国的に問題を捲き起しております。それをとめようとすれば、一面要請される工業の発展を阻んで行かなければならない。これは又差控えなければならんことでございますが、そつちのほうの発展も当然積極的に推進しなければならない。それによつて生ずる弊害をなおざりにするということでは、農民、漁民が参つてしまうということになつてしまう。これも兼ね合いの問題で、どちらに一方的ということに参りませんので、只今のところでは、それによつてこうむる農民、漁民の被害というものが、端的に申しまして、放置されておるという現状にあると申上げていいのではないかと思います。こういう状態では、やはり食糧問題の解決ということが非常に急を告げておるときに、遺憾な結果になるわけでございまして、水産の関係にいたしましても、農業の関係にいたしましてもひとしく食糧増産に関連をするわけでございますので、これをどう解決して行くかという問題は、かなりこれは困難な問題だと思います。一方によければ一方に悪い。兼ね合いの問題でありますから、非常にむずかしい問題であると思いまするが、むずかしいからといつて、これを現状のように放りつぱなしにして置くという態度は慎しまなければならんことでございまして、当局におきましては、何かお考えになつておるのではないか。すでに多年関係者の間には論議をされておる問題でありますので、それぞれ対案がおありだろうと存じますが、只今お考えになつておる構想がございますればお漏らし頂きたい。更に、現在そういうような具体的な問題がないといたしますれば、今後、こういう問題に対して、政府はどういうように取組んで行くかという心構えの問題について御所見を伺いたいと思います。
  266. 保利茂

    国務大臣(保利茂君) お話のように、特にこの化学工業の面から、汚毒水の問題は、これは当今の問題だけでなしに、早くから、もうかなり問題になつて、実際今日までなおざりにしておるわけではなく、今日もまあ予算では確か百万円ほどの研究費を頂いておるようでございます。それで、どの程度の指導と実際の研究の実が挙つておるか、私は、まだこれはつまびらかにいたしておりません。ただ、話を一応聞きますところでは、この問題に対して、各水産試験場等で研究もいたしておりますが、最も権威あるかたとして、柴田博士を持つておる。柴田博士の御意見のような措置をすれば、大体農水産に影響することは非常に軽くて済むじやないか。実際に工場に実施せしめるような濾過装置その他の実施をせしめるのに、現在のような状態で果して十分てきぱき行くのかどうか。少し工夫をして強い指導をかける必要があるのじやないかというような感じを強くいたしております。御意見は十分、大事なことでございますから、もう少し私も事態を究めまして、検討すべきものがあれば検討いたしまして、強く指導してみたいと、こう考えわけであります。
  267. 森八三一

    ○森八三一君 只今の問題は私はよく調査をしてございませんが、大体私は学究的にはおおむね結論は出ておるのじやないかと思うのです。ただ、それを政治的に、通商関係、農林関係と両方にまたがつておるために、どの点に調和点を求めて実施をするかというところに問題があるんじやないかと思うのでございます。ただ、政府内部において調整をとつて、この問題を取上げて行くという熱意がなければならんことでございますので、そういう一点にかかつておると思います。又急速にこの問題は部内の調整をとられまして、実行の段階へ入つて頂きたい。でなければ、食糧増産の問題に非常な支障を来すということを申上げたのであります。  最後に、これはもう答弁も要りませんのでございますが、今度の予算修正に関連をいたしまして、大蔵大臣に希望を申上げたのでございますが、現在の情勢から考えまして、国費を節約いたしますることは非常に大切なことであつて、国民もひとしく要請はいたしておると思います。百億円の行政費の節約につきましても、これは、もう理論的にはひとしく国民は異存がないと思います。但し、併しそれが実施をされる場合に画一的にぱつと行われますというと、これは国政の運行の上に非常な支障を来すのではないか。更に、それが実際になりますというと、行政費の節約という姿は表わしまするけれども、実態は、やはり民間に対するいろいろの手当とか、そういうものを削減をして、民間の負担が増すという形において政府のほうの行政費が節約せられたという結果が生まれて来る、何のことはない、形の上では政府は節約したというけれども、その部分だけは一方のほうで、民間のほうへおつかぶせてしまつておるのだから、結局、増税をしたと同じような恰好になつてしまう危険が多分にあるのではないかと思うのでございます。そこで、この節約につきましては、余ほど各省の仕事の内容というものを検討せられまして、その実態に即するようにおやりにならんと、これは却つて節約をいたしますることが国政の運行にはマイナスを生ずる、或いは国民のためには負担を増大すという結果の生れて来ることを恐れるのであります。と申しましてでず、これを実際に合うようにやろうとすれば、これはなかなか御苦労だと思います。それはどこの省だつて、今まで当初予算の足らんところへ持つて来て、更に減らすのですから、それは容易に各担当の大臣なり局長なりは納得せんと思います。それは納得せんと思いますから、これは余ほど上手にやられませんと、角を矯めて牛を殺すという結果になることを私は申上げて大臣の善処を要請するのであります。私は、まだほかにいろいろございますが、時間の関係がありますから私の質問はこれで終ります。   —————————————
  268. 小林孝平

    小林孝平君 私は、本日は供出完遂金八百円に関連しまして、消費者米価との関係について主としてお伺いいたしたいのでありまするけれども、丁度郵政大臣がお見えになつておりまするので、ちよつとその前に簡単に関係のことをお伺いいたします。今回予算修正されました結果、食糧増産の関係の経費が、或いは義務教育費関係の経費が相当多額になりまして、このために増額になりまして、それに伴なつて、地方では経費々相当負担しなければならん、こういうことになつておるのでありますが、大体この予算修正になりました結果、地方が負担しなければならない金というのはどのくらいになる見当ですか。
  269. 塚田十一郎

    国務大臣塚田十一郎君) 大体今度の予算修正に伴いまして、地方負担の増加額は、私どもの調べでは三十億一千万円、この程度になつております。
  270. 小林孝平

    小林孝平君 それで三十億円も地方が負担しなければならん。地方財政が相当窮迫しておりますので、こういう莫大な金額を負担しなければならんというので、地方ではやり切れない、やり切れないから一つ起債に頼りたい、こういう意見があるようであります。それで、自治庁の長官はこの起債を許されますかどうか。
  271. 塚田十一郎

    国務大臣塚田十一郎君) 只今申上げました三十億一千万の中で、大体起債でやればやつてもいい性質のものは三十億ぐらいあるのであります。そこで、只今のところ、私どもといたしましては、大蔵省話合をいたしまして、そのうち二十五億ぐらいをとりあえず起債で増加する、勿論二十五億は資金運用部の資金が十分でありませんので、取りあえず公募ということになつておりますが、それは全体として公募二十五億殖やしまして、これらの災害地にそれぞれの資金運用部の裏付のある枠を地方債に廻さなければならんと思いますが、全体として二十五億だけ殖やします。そうして残余の五億は今度衆議院修正になりました平衡交付金五十億増額の中から賄いたい、こういう考え方であります。
  272. 小林孝平

    小林孝平君 ちよつと今日質問しようと思いました筋道とは違いますけれども、丁度郵政大臣がおられますから、お伺いいたしますが、今回電話料金の値上が本日参議院を通過いたしまして決定いたしたのであります。平均いたしまして二割という相当大幅の増額になつわけであります。これについてはいろいろ意見もありますけれども、私は現在電信電話事業をやつている電々公社の経営につきまして、相当世上ではいろいろの評判がある。例えば電話の度数料については或いは度数計が相当老朽しているのかわかりませんが、非常に実際かけたより多額の料金がかかつて来る。或いは市外通話をやりました際に、二通話しかかけないのに三通話になつたり、一通話が二通話になつたという不満が相当あるのです。ところがこれは相手が役所だからというので今まで泣寝入りになつている場合が多かつたのでありますが、現在今度公社になつたのでありまするから、こういう点は相当民主化するように郵政大臣は指導され、或いは監督される必要があろうと思うのであります。そこでこれらの問題については先般電通委員会で申上げたのでありますけれども、丁度大臣がお見えにならなかつたので私は大臣に申上げる機会がなかつたのでありますが、これに関連いたしまして、今後公社になつた上はいろいろ更に一般の民衆の便宜を図つて、懇切丁寧なる取扱いをしなければならん。その一例を挙げれば、現在電話料金というものは我々がみんな納めに行くのです。料金を納めに行くというものはほかにはちよつと例がないと思うのです。新聞料金でも、電気でも、ガスでも、放送の聴取料でも全部集めに来るのです。電話料金だけ持つて来い、こういう昔ながらの役所式なやり方をやつている。而もその料金の請求書というのを見ますと、総額幾ら、市外通話何千円、何万円という一本で出ている。その内容はどこに電話をかけたのか、新潟にかけたのか、大阪にかけたのか、いつかけたのか、何通話かけたのかというのが全然わからない。こういう料金の請求書というものは世の中には例がないのです。たつた一つ例があるのは料理屋の付だけです。(笑声)料理屋の付並みの料金の請求書を我々に突付けて料金を持つて来い、こういうやり方をやつている。この一つを見ても今の電々公社というものは極めてお役所式の明治以来のやり方を踏襲している、こういうことが言われるのです。私が先般これを指摘いたしましたら、この料理屋の付並みのものを普通の料金の請求書に直すようにするという話ですけれども、これは東京でただ丸の内管内だけ本年中にやる、恐らく全国でやるのは何年先、何十年先になるのか見当が付かんのじやないかと思います。こういう点をもつと郵政大臣はこの機会に公社を指導して、もつと民主的な運営をするようにやられる必要があると思うのです。そこで私はこの機会に申上げたいのは、この料金を納めに来いということでございますけれども、これも先般質問したら、いや、これは実際やつたら誰か集金人が持逃げして崇つたから、これができない。こういうような話ですけれども、電話料金の集金人だけ持逃げするというのはおかしい。新聞料金でも、ラジオでも何でもみんな今やつているのですよ。そこで私今直ぐ公社にやれというのは無理かも知れませんけれども、ここで一つ考えてもらいたいのは、例えばNHKの料金の集金のこの費用は全体の、私はよくわかりませんけれども、料金の徴集のために全経費の一割近くを使つているらしいのです。恐らくガスも水道も相当莫大の費用を使つているだろうと思うのです。そこでこの機会に、こういうガスとか、水道とか、ラジオの聴取料とか、電話料金というような、こういう公益事業関係のものは一つ何か会社を作つて、そこで料金をこの会社が料金徴収の委託業務をやるというような構想をやつたら人も経費も節約でき、そうして皆も喜ぶじやないか、そこで郵政大臣はそういうことをやられるお考えがあるかないか、なければ、どうしてできないかということを一つお伺いいたします。
  273. 塚田十一郎

    国務大臣塚田十一郎君) 郵政省がやつておりました電信電話事業を公社にいたしました考え方の狙いの一つは、確かにサービスをもう少し民間と同じような気持になつてよくするということにあつたと思うのであります。ただ何にいたしましても、昨年の八月発足したばかりで、まだ十分に行つておらんのでありますが、只今の料金を持つて来て頂戴するか、こちらから取りに出て行くかということは、たしかにこれは非常に問題点であると私も思つております。そうしてサービス本位にやらなければならん電信電話事業といたしましては、当然こちらから頂戴に上るという工夫もあるべきであると考えております。ただいろいろ長い間やつておりましたので、急にそのようにいたすといたしますと、そのためにたくさんの人も雇入れなくちやならない、又そういう金も要るということになりますので、それに対して電気、ガスなどと一緒に取りまとめて集めたらどうかというのでありますが、これは面白いと思いますので、十分検討いたして何とか考えてみたいと思います。
  274. 小林孝平

    小林孝平君 ただ面白がつてばかりいても困るんです。(笑声)研究して実際おやりになる熱意があるかどうか、一つ重ねて……。
  275. 中田吉雄

    ○中田吉雄君 関連してお伺いします。やはり長距離電話が同じ時間でも何通話というのが違うのであります。これは小林氏が発言されて、実は私先般鳥取にかけたんです。ところが四通話もとられるので、これはおかしいと思つて、今度参議院の清水谷の宿舎の交換手に、一つ今度幾らかけるから時間を計つてくれというのでちやんと計つて見て、やはり私は小林氏の言われたことが、同じ時間をかけてもどうも変ることがあるということも一つ只今小林氏が発言しましたので、その点も含めて一つ……。
  276. 塚田十一郎

    国務大臣塚田十一郎君) 先ほど小林委員からも御発言があり、又只今重ねて御発言があつたのでありますが、電話料金がどうも正確に記録されていないというような話をこの前に私も聞きまして、丁度その前後私も市外電話局、市内電話局などを引続いて視察をいたしまして、一体どういう工合に料金がとられているかということを調べて見たのですが、市内電話はこれは自動交換になつておりまして、一々自動的に機械で記録されておるから、まさか違うことはないのじやないか、若し違うことがあれば機械が十分正確に記録しないということになつておるんじやないかと思います。この場合に或いは余計頂戴し過ぎておる分があるかも知れない。と同時に頂戴し足りない分もあるかも知れないと思うわけであります。そこで市外の分は人間がやはり記録をいたしておりますようであります。通話が始まつたときに何時何分からということを記録して、通話が終つたときに何時に終つたということでやつておる。或いは記録の正確でないために違つておるということも或いはあつておるかと思うのであります。併し恐らく故意によるものはないのではないかというように感じておりますので、先般国会でもいろいろな御意見もありましたので、早速公社側には十分注意をいたしておきました。なお、それと同時に私どもといたしましては、若し皆さん方に御不審の点がありましたらば、どうか電話で結構なんでありますが、何月の僕のあれはこういう工合に不審であるから、ちよつと聞かしてくれということの電話をかけて頂きさえずれば、すぐに懇切にお知らせするようにいたしております。たしか今月からと思うのでありますが、電話の告知書に何番へ電話をおかけ下さいということも書いておると思つております。それからなおこの集金のいろいろな機構のことについては別に面白がつてばかりいるわけではありませんので、これは併しなかなか一般の公社のものとその他民間会社のものを一緒にやるということになりますと、機構としてはかなりいろいろ複雑微妙な点があるから、そう簡単には私は行かないかと思う節がありますので、何かうまい具体案が考えられれば、この式でなくてもこちらから頂戴に行く方法というものを真剣に考えて行きたい、こう考えております。
  277. 小林孝平

    小林孝平君 これはまあ本日の主題目でないのですから、この程度にいたします。  それから一つ八百円の問題に移ります。完遂奨励金というのは米価でございますか、何ですか。
  278. 保利茂

    国務大臣(保利茂君) あれは供出完遂奨励金ということでございますから、奨励金だと……。
  279. 小林孝平

    小林孝平君 いや私は米価ですかということをお聞きいたしておる。
  280. 保利茂

    国務大臣(保利茂君) 米に関する金でありますけれども、それは供出を確保するための奨励金でございます。
  281. 小林孝平

    小林孝平君 食管特別会計から、支払い分の石四百円については、本年度米価に加算しないというようなことでありますけれども、本当でございますか。
  282. 保利茂

    国務大臣(保利茂君) お答え申上げますが、三党修正の石当り八百円の奨励金につきましては、四百円のみならず、石八百円の奨励金は本年産米の消費者米価には入れない、こういう了解であるということは先般もお話した通りだと思います。
  283. 小林孝平

    小林孝平君 三党の協定とおつしやいましたけれども、そういうふうに例を挙げられますから、我々は三党協定の文書提出して頂くように委員長にお願いしておつたのです、委員長、あれはどうなつたのですか。
  284. 青木一男

    委員長青木一男君) お答えいたします。昨日重ねて御要求がありましたので、委員長から確かめました。これによると協定書という名前の如何にかかわらず、類似の書類は三党間に取交し調印したものはないそうであります。
  285. 小林孝平

    小林孝平君 今農林大臣はそうおつしやつたのです。
  286. 保利茂

    国務大臣(保利茂君) それは小林さんの何かの間違いだろうと思います。私はここで伺いました三党代表者のお話だけしか聞いておりません。
  287. 小林孝平

    小林孝平君 先般の三党代表者、私は速記録をちよつとあれでございますが、あの際八百円全部加算しないというような話はなかつたように思うのですが、それは農林大臣確かでございますか。八百円全部加算しない……。
  288. 保利茂

    国務大臣(保利茂君) 今年産米、二十八年産米については八百円は加算しないということは確かにそういうふうに承わつております。
  289. 小林孝平

    小林孝平君 さつき本年度米価に加算しない、こうおつしやいましたけれども、本年度というのは米穀年度ですか、会計年度ですか。
  290. 保利茂

    国務大臣(保利茂君) 今年できる米でございます。
  291. 小林孝平

    小林孝平君 今年できる米に加算しないのですか、来年もずつとですか。これはお考え違いじやないですか、去年できた米の値段じやありませんか。今年、この秋できた米の値段に加算しないのですか、相当長い間になりますけれども、大事なことなのです。農林大臣は非常に簡単におつしやいましたけれども、非常に大事なことなんです。
  292. 保利茂

    国務大臣(保利茂君) いや、私の申上げますのは、今年産米の消費者米価決定に当つては、石八百円の奨励金は今年産米の消費者価格には入れない、こういうふうに私は了解しております。
  293. 小林孝平

    小林孝平君 現在の消費者米価は一月一日から値上げしているのでありますが、こういうような情勢でありますから……、そうすると、来年の一月一日に値上をするというような、価格変更するというような場合でも、この八百円は加算されないということですね。
  294. 保利茂

    国務大臣(保利茂君) 今年産米の消費者価格を決定するときには、この奨励金八百円は入れないという、これはどうも……。(笑声)
  295. 小林孝平

    小林孝平君 そうしますと、これは八百円という相当大幅な値段で買入れられるのだけれども、消費者価格というものは、この八百円は入れない、こういうふうに農林大臣お考えなつたのですか、大蔵大臣、それでよろしうございますか。
  296. 小笠原三九郎

    国務大臣小笠原九郎君) この完遂奨励金八百円は二十八年度産米に関する限り加算されないと承知しております。
  297. 小林孝平

    小林孝平君 この問題は又あとからやりますが、先般農林大臣は、供出の割当というものは適正にやる、少しも間違いがない。特に今年は如何なる方法を御採用になるか知らんけれども、ともかく絶対に未完遂農家というものはないようにするから心配ないというように太鼓判を押されたのでありますが、そこでそれならば、この八百円を基本米価に入れたらどうかと思うのです。全部の農家がもらうのですから……。農林大臣も大蔵大臣も間違いがない、未完遂の農家というものはない、こうおつしやつたのだから、これは基本米価にお入れになつたらどうかと思うのですが、御意見どうでありますか。
  298. 保利茂

    国務大臣(保利茂君) 私いろいろお考え方はあるだろうと思います。三党間で修正せられるときにそういう御主張をせられたかたもあるのでありますが、併し結論は供出完遂奨励金ということにするということで修正になつているわけであります。そういうふうに実施して参るほかはなかろうかと思います。
  299. 小林孝平

    小林孝平君 これをみんなにやれるものを……、特にやれないなら仕方がない、半分しかこれはやれんとか、三分の一くらいというならわかりますけれども、全農家にこれは実質上やれる、割当が適正にやれるから必ずやれるというなら基本米価に入れたほうがいいですよ。というのは、非常に手続きが煩雑になるのです、このために……。いろいろ時期的にこれを分離してやるとか、免税の手続をとるとか、非常に煩雑なんです。そこで政府は今回のこの提案されました予算案は修正されまして、行政費が百一億円も削られておるのです。これは政府は行政費はなかなか削りにくいけれども、三党の修正だから仕方がないというので、これに応じられた、こういうことでありますけれども、こういうように一方には多額な行政費を削つて、少しでも行政事務を簡素化しよう、こういうふうに考えられておるのに、一方ではこういうふうにだんだん事務を煩雑にしている。これは自由党の基本方針に反するような気持がする、これは一体ちつとも差支えないのですか、どうですか。この行政費百一億も削るくらいなら、こんなことをやらんで基本米価に入れたら非常に手数が省かれるのですが、大蔵大臣どうお考えですか。
  300. 小笠原三九郎

    国務大臣小笠原九郎君) それは小林さんもおつしやる通り、手数が省けると思います。今の完遂奨励金でありますと、今の通り市町村が完遂したあとで完遂市町村にやるのでございますから、二度に亘るので、そう思います。けれども三党間でそういうふうに協定を御修正に相成つたのでございますから、私どもはこれを了承した次第でございます。
  301. 小林孝平

    小林孝平君 三党間はそうされたけれども大蔵大臣はどうお考えになるか、一方にはこういうふうな行政費は百一億も削つて、各省の役人が非常に不満で行政事務が今停滞しようとしている、こういう事態が起きているのに、一方ではこういうことをやるのははいいとお考えになるか、悪いとお考えになるか、どうですか。
  302. 小笠原三九郎

    国務大臣小笠原九郎君) いたし方なしと存じます。
  303. 小林孝平

    小林孝平君 何かすれば国会がやつたつたと言われますけれども、これは大臣も自由党からせておいでになるんですから、そういうおかしいことはこれはちよつと考え直したほうがいいと言つて納得させる努力をされる必要がある、又当然されたのじやないかと思うのですが、如何でございますか。
  304. 小笠原三九郎

    国務大臣小笠原九郎君) 一切参画いたしておりません。
  305. 小林孝平

    小林孝平君 先ほど供出完遂奨励金八百円は米価であるのかどうかというのをお聞きいたしまして、余り明確じやない御答弁があつたのですが、三党の修正発議者は一体どういうふうにこれをお考えになつておるのか、これは当然お聞きになつたことだろうと思うのです。今後免税の手続やいろいろありますから、当然お聞きになつたろうと思いますが、どういうふうにお考えになつておりますか。
  306. 小笠原三九郎

    国務大臣小笠原九郎君) 三党間の御折衝の趣旨につきましては、先般ここで三党閥で申された通りと存じております。
  307. 小林孝平

    小林孝平君 あれはこの前はそういうことまで話してないのです。極く部分だつたのです。これから聞こうと思つておりますけれども政府として当然お聞きになつているだろうと思います。それでこの修正案は仕方がないんだ、忍びがたきを忍んで呑んで、やられてしまつたと言われますけれども、今後執行に当つてこれがどういう性格のものであるかということをはつきり政府が呑み込んでいなければ、これからいろいろ申上げますが、完全なる執行ができないんです。そこでお聞きになつているかどうか、当然お聞きになつておると思うから、どういうふうに言われておるかということをお聞きしたい。
  308. 保利茂

    国務大臣(保利茂君) 私どもここでお聞きした以外、そう深いことを伺つておりませんが、ただ米価であるかないかということは、これは先ほど一番最初に申上げましたように、米価にすべしという意見も出ておつたけれども、結局話合いの結果供出完遂奨励金ということで奨励金にした、こういうお話でございますから、そう理解をいたしております。従いまして、この出来秋の米価の決定は、昨年とりました方式の米価決定をいたすつもりでおります。従つて奨励金が八百円付いておるから、それを勘案して米価を決定するというものではなかろう、こういうふうに考えております。
  309. 小林孝平

    小林孝平君 ちよと念のため確かめておきたいと思いますが、この八百円は基本米価をきめるときその中に織込むんですか、織込まんのですか。今の御答弁では織込まない、八百円出したんだから米価はどうということを考慮しないで、もう八百円は念頭に置かないで米価をきめる、こういう御答弁だつたようですが、そう理解してよろしいですか。
  310. 保利茂

    国務大臣(保利茂君) 私はそうすべきであると考えております。
  311. 小林孝平

    小林孝平君 大蔵大臣もそれでよろしうございますか。
  312. 小笠原三九郎

    国務大臣小笠原九郎君) 建前はそうであると存じております。
  313. 小林孝平

    小林孝平君 建前というのは一体なんですか。今八百円を基本米価に織り込むか、織込まんかということは重大な問題なんです。建前などということは、建前はそうだけれども、こうやつた、こういうことになりやすいんです。それを織込むか、織込まんかということをはつきり、あいまいなことを避けて頂きたいと思います。
  314. 小笠原三九郎

    国務大臣小笠原九郎君) 建前の二字を取消します。
  315. 小林孝平

    小林孝平君 昨年は完遂奨励金というものは百円出たのです。そこで今年はまあいろいろの理由で八百円にしたのですけれども政府は今後の食糧供出を完遂させる点、或いは食糧増産の点から非常に重要な問題なんです。そこで改進党から発議者にこの八百円は何であるか、八百円というものはどういうので八百円にきめたかというようなことを当然お聞きになつたと思いますけれども、お聞きになつたところをちよつとお聞かせ願いたいと思います。
  316. 保利茂

    国務大臣(保利茂君) お答えいたしますけれども、改進党からはここでお話を伺つた以外には私どもつておりません。
  317. 小林孝平

    小林孝平君 そういう石八百円出すなどということは非常に重大なことなんです。そこでこの八百円の意味がどういう意味だかということは、ここで聞いたくらいじや私はどうかと思うので、当然お聞きになつておると思つたところが、今のような御返答でちよつと唖然としておりますけれども政府は、何でも三党が修正したのだから仕方がない、こういうふうな、押付けられたのだから仕方がないといういつでも御答弁なんです。押付けられれば何でもやるのですか。政府は押付けられれば、それがよかろうが悪かろうが、その意味はどういう意味で、この八百円を小遣いのつもりでやつたのか、或いは褒めるつもりでやつたのか、米価の決定が不適正だからやろうと思つたのか、そういう根本的な理由承知しないで、ともかく押付けられたからやるという態度をおとりになるのか、ちよつと何か失礼のようですけれども、お尋ねいたします。
  318. 小笠原三九郎

    国務大臣小笠原九郎君) 了承のできることはやります。了承のできんことはやりません。
  319. 小林孝平

    小林孝平君 そうしますと、了承されたからやるわけなのですか、如何に了承されたのですか、この八百円というものはどういう意味で、どういう根拠で八百円ときめたか、これはみんな国民の血税なんですから、そんなに如何に農民のために……私たち農民のため、農民のためと言つていろいろやりますけれども、理窟の通らんことはやつてもらわなくてもいいのですから、どういう理由に基いてこの八百円をおきめになつたのか、どういうふうに納得されたかということをお尋ねいたします。
  320. 保利茂

    国務大臣(保利茂君) お答えいたします。これは当委員会でもこの八百円がどういう理由修正せられたのかという疑念を抱かれて、そうして三党の代表者を御招致になつて十分御究明になつておると思います。要は供出を確保するために、三党間で政治的御配慮の上に供出を確保するために石八百円の完遂奨励金を出すということをおきめになつておるわけでございますから、これに従つて政府は忠実に実行して行くように、誤まりなく実行して行くようにするほかはなかろうと思います。
  321. 小林孝平

    小林孝平君 この八百円の意味については当委員会においては一度もまだ論議してないのです。今まではこの八百円というものは全部に出すのか、一部に出すのかという議論をやつて、又先般お呼びして御意見を承わつたときも、そういう点だけやつてつたのです。今後お聞きしなければならんと思いますけれども、ともかくそれにいたしましても、八百円がどういう根拠に出ておるのかという点は一つ大蔵大臣といたしましても、如何に押付けられたとは言いながら、押付けられながらも、これは一体どういう性格のものだということくらいはお聞きになつたろうと思います。それを一つお聞きいたします。
  322. 小笠原三九郎

    国務大臣小笠原九郎君) 農林大臣の説明通り、この供米完遂奨励金は今の農林大臣が説明したと同様に聞いております。
  323. 小林孝平

    小林孝平君 そうすると、これは根拠がないのだから五百円でも千円でもいいということなんです。一体農民は余り知識の程度は高くないけれども、去年は百円もらつた、今度は八百円だ。この調子では来年は千五百円になるのじやないかというようなことを思わない人もないわけではないのです。そういうことになれば、そのときになつて千五百円出なければ非常に不満を抱くわけなんです。そうすると、今政府言つておる食糧増産や或いは供出の完遂などということは来年は非常に困難になるのです。来年まで内閣が続くのか続かんのかわからんけれども、次にできた内閣はえらい迷惑をするわけです。ですからそう簡単にその百円を八百円にした。それは根拠がない、これは五百円でも千円でもいいのだというようなことは困ると思うのです。何とか一つ農民の納得の行くようにして頂きたいと思います。これは又自由党内閣に対する、自由党の農政の不信になると思うのです。非常に農民は不安で、行き当りばつたりに百円から八百円、或いは来年は三百円か千円というようなふらふらしておつたのでは困ると思うのです。いい悪いはともかく、如何なる根拠に基いてやつておるかということをはつきりして頂きたいと思います。又わからなければ今後はつきりさせられますか。
  324. 保利茂

    国務大臣(保利茂君) 修正せられました八百円は、先ほど申しますように、善良なる農家の協力を得なければできない、その供出を確保するためにどうしたらいいかということを、三党それぞれ米の問題については主張も政策も持つておられますけれども、その供出を確保するために、今年度どうしたらいいかということの政治的判断によつてこれは修正をせられたものと存するわけでございます。
  325. 小林孝平

    小林孝平君 政治的判断というのは、いい加減に太つ腹でものをやるというような政治は古い政治なんです。今後は飽くまでも科学的な、技術的な根拠に基いて政治を行なつてもらわなければ困ると思うのです。従来のように何か大ざつぱなことを言えば政治家、政治的の行動だ、細かい理論的なことを言えばそれは政治的でないというような考え方は私は間違つていると思うのです。そこでこの問題も、農民は喜ぶかも知れんけれども、一方出す国民全般としては、こういう多額の金が突如出る、これは一体どういう根拠に基いて我々の税金が使われるのかどうかということを当然知つておかなければならない、又知りたいと思うのは人情として当然であろうと思うのです。そこで若しおわかりにならなければ、今からでも遅くないから、改進党にこの八百円の意味はどういう意味を持つておるかということをお聞きになつたらどうかと思いますが、如何ですか。そんなものは聞く必要はないとおつしやるのですか、どうですか。
  326. 保利茂

    国務大臣(保利茂君) 先般もおいでになつてお話になりましたように、この奨励金は供米完遂奨励金である、従つて供出を確保するために用うべきものであるということを伺つておりますから、それで私はよかろうと思います。
  327. 小林孝平

    小林孝平君 それは今も何遍も繰返して申上げているように、そういうことでは国民が納得しないですよ。我々ここで君たちは屁理屈を言つて、何かごてごてと言つて政府を困らせているのじやないかと思われるけれども、私たちは国民が皆が納得しないと思うから申上げておる。もらう農民だつて不安ですよ、こんな八百円を突然たくさんもらつて、こんなにもらつていいのだろうかどうか、これは当然じやありませんか。当然払うべき金なら喜んでもらうけれども、何だかわけのわからんものをぽんとくれた、これは我々を次の選挙のとき、何かちよつと動員するためじやないかなと、こう邪推する人もなきにしもあらずですよ。だからもつとはつきりと、そんなことではなくて、これはこういう根拠に基いて出しているのだということをはつきりとしたらどうですか、非常に政治的の答弁とおつしやいますけれども、さつぱり政治的の答弁になつてないですよ。国民全部を納得させるような説明をして頂きたいと思う。
  328. 保利茂

    国務大臣(保利茂君) 私はしばしば申上げておりまするように、今回のこの修正は、供出ということが非常に複雑な困難な事態に立至つているわけで、そこで三党間において所要の供出を確保するために、国会側においても十分に政治的御配慮をされて、そうして農民の協力、供出を強く要請されているところと思いますから、私は必ずや全国の農家のかたがたもこの国会三党間の配慮、修正に対しては十分答えて頂けるだろう、こういうふうに考えているわけでございます。
  329. 小林孝平

    小林孝平君 それは全国の農家のかただけに納得して頂いても駄目なんであります。消費者だつてこれは非常に今後、自由党は二重米価政策をとらない、こう言つておられるのだから、この八百円はやがて消費者米価にかかつて来るのじやないかという不安を持つのです。又税金を納めるものは、これは農民と言わず、消費者と言わず、こういう多額の二百億に及ぶ金が出される、これは一体どういう性格のものであろうかということを考えるのは当然ですよ。だからこれを納得の行くように一つしてもらいたい、こういうふうに考えているのですけれども、これは我々又委員長にお願いして、政府では改進党と話をされて、その理由をお聞きになつたらどうかと思うのですけれども、お聞きにならないというのですから、ここに又三派の発議者代表のかたがたを呼んで頂いて篤と承わりたいと、こう思つております。  そこで時間の関係もありますので、一応問題点だけお尋ねしておきます。次は八百円の免税の件でございますが、この八百円は免税にされるとおつしやいますけれども、この法的な根拠はどういうことになりますか。政府がこの法案を提案されますか、議員立法にされますか。
  330. 小笠原三九郎

    国務大臣小笠原九郎君) 昨年におきましても単行法を出して免税措置をとりました。今度の分も単行法を出して免税措置をとる必要があろうと思つております。
  331. 小林孝平

    小林孝平君 議員立法か政府か。
  332. 小笠原三九郎

    国務大臣小笠原九郎君) 昨年は議員立法でありますし、本年も三党間でああいうふうに御修正なつたから、或いは議員立法になるかとも考えております。
  333. 青木一男

    委員長青木一男君) 小林君にちよつとお尋ねいたしますが、労働大臣が今手があいたそうですが、一緒に呼びますか。
  334. 小林孝平

    小林孝平君 私明日通産大臣にお尋ねすることがあります。明日一緒に、何でしたら明日にして頂きたい、通産大臣は今日御病気でございまして、私是非通産大臣にお伺いいたしたい。それに関連してお尋ねいたしたいと思います。今ちよつと手があきませんのです。  八百円の、今のこの法案を提案されるのは、臨時国会でございますか、通常国会でございますか。
  335. 小笠原三九郎

    国務大臣小笠原九郎君) この時期は多分議員提案でございましようから、はつきりいたしません。
  336. 小林孝平

    小林孝平君 議員提案……。これは私はちよつと政府もお考えなつたらどうかと思う。この完遂奨励金を免税する件でございまするが、この完遂奨励金の、前に一昨年超過供出の奨励金というものが出るようになつておる、これを免税にするということを政府は言われたわけなんです。ところが当時の国税庁当局はこの超過供出奨励金は免税にすることは税法上疑義がある、そういうことはできないという強硬なる御意見であつた。私はこの意見のほうが正しいと思つたのです。そこでいたし方がないものですから、これは議員立法でそちらでやつてくれ、こういうようなこと問題を投げ出してしまつてあるのですよ、この完遂奨励金もそれと全く同じ問題なんです。それで税法上疑義のある問題を解決しないで、議員立法だから差支えがない。私はその当時も言つたのですけれども、議員立法なら少し筋が通らなくても仕方がないこういうことはおかしいのです。現在大蔵当局はどういうふうに問題を考えているのか。
  337. 小笠原三九郎

    国務大臣小笠原九郎君) これはどうも大蔵当局でやることでなくても、御修正なつた三党でやるのだと私は思います。(「その通り」と呼ぶ者あり)
  338. 小林孝平

    小林孝平君 その通りなんと言われておりますけれども、そうじやないのですよ。これはこれだけ離して聞いておるのじやないのです。超過供出の奨励金をくつつけてお聞きしておるのです。併しこの二つの問題は税法上野義があると言つて大蔵当局が強硬に反対されたのですよ。当時廣川農林大臣はさような反対をする国税庁長官は馘にする、こういうことを言われたのです。私は本会議場において非常にこの国税庁長官の態度は正しいという話をしたのですけれども、そういういきさつなんです。それを我々がどうしてもこれは免税にすると言つたのだからやれやれと言つた、やつから、それなら議員立法でやれということが問題を投出されておるのです。そこでこれは今後これが二百億になつたのだから、この問題をそううやむやにしないで、これは税法上疑義があるのかないのかはつきりして頂きたい。
  339. 小笠原三九郎

    国務大臣小笠原九郎君) 単行法による場合は国会の意思に従います。
  340. 小林孝平

    小林孝平君 ちよつと聞えませんでした。
  341. 小笠原三九郎

    国務大臣小笠原九郎君) 法律で、単行法でおきめになるのでありますから、その場合には国会の意思に従います。
  342. 小林孝平

    小林孝平君 こういう重大なる免税の措置は、当然政府責任をとつて政府が提案されるべきものだろうと思います。このいきさつから考えましても、これは政府が超過供出奨励金、完遂奨励金というものをやられたのです。そうしてそれを税法上疑義があるからおれは知らんという態度ではおかしいと思うのです。はつきりとこの措置は合法的であるかどうか、大蔵当局はなせこれが政府提案にできないのかどうかということをお尋ねいたします。
  343. 小笠原三九郎

    国務大臣小笠原九郎君) 別な法律を作るわけでありまするから合法的であります。併しながらこれは三党の修正になるものだから、三党でお出しになることと信じております。
  344. 小林孝平

    小林孝平君 じやこれは、この分につきましてはいいですけれども、超過供出奨励金の免税の措置はどうでございますか。政府がお出しになつたらいいと思うのですが……。
  345. 小笠原三九郎

    国務大臣小笠原九郎君) それも私どもの、政府の関与するところでないと存じます。
  346. 小林孝平

    小林孝平君 なぜ、政府が関与するところでない……、何でも、この前の続きで政府の関与するところでないと言う。ちよつと癖になつているのじやないかと思う。これは話が全然違いますよ。一昨年の問題であつて、これは政府が初めこれについては免税にする、そう言つてこの制度は始まつたのです。だからこの点をはつきりして頂きたい、こう思つているのです。
  347. 小笠原三九郎

    国務大臣小笠原九郎君) 昨年も国会で以て御決定になつておるようでございまするから、今年も国会で以て御決定になることと存じております。
  348. 小林孝平

    小林孝平君 まあそういう御答弁ばかりされておるのでは仕方がないから、それはそれでいいですけれども、この超過供出奨励金或いは完遂奨励金というようなものは、これは農民に出されるのですけれども、これと類似したものはどつかにないかと思つて見ますと、公務員の超過勤務手当というものがあるのです。大体性格は同じものです。だから完遂奨励金を免税にされるなら、今後超過勤務手当は免税にされるかどうか。全く同じ性質のものですが、如何でございましようか。
  349. 小笠原三九郎

    国務大臣小笠原九郎君) 私どもは同様に考えておりません。
  350. 小林孝平

    小林孝平君 ちよつと聞えませんでした。
  351. 小笠原三九郎

    国務大臣小笠原九郎君) 同じ性質のものとは考えておりません。
  352. 小林孝平

    小林孝平君 どこが違うのです。問題点同じじやありませんか。そうしてどこが具体的に違うのですか。片方は、超過供出奨励金のいろいろな説明公務員の超過勤務手当と全く同じ性質であるというようにその当時の記録を見れば明らかであります。どこが具体的に違うのか。これが免税にできない理由はどこにあるのかお尋ねいたしたい。(「なかなかいい着想だ」と呼ぶ者あり)
  353. 保利茂

    国務大臣(保利茂君) 超過勤務手当のほうはこれは別でございますけれども、超過供出のほうは小林さん御承知のように農家の保有米として保有し得る米の中から、食糧事情に協力するために割当以上の供出を、保有米を割いて出してくれた。その分について特別の報奨金を差上げるという性質のものでございますから、超過供出奨励金というのはそういう性質だということを御理解願います。
  354. 小林孝平

    小林孝平君 同じですよ。公務員つて朝八時半か、九時から出て、夕方の五時まで働けば、相当へとへとになる。最近のように、今度行政費が節約になればなおです。そういうので、あと働くのは大臣は無駄に働いているとお思いになるかも知れないけれども、一生懸命働いているのです。あとは夜遅くまで……、保有米を割いてやるのと同じなんです。どこが違うのですか。これは免税にしたらいい。私はこういういろいろ不合理こと次々に起つて来るから、はつきり物事はしなければならん。早く片付けようと思つて、その通りとか何とか言われるけれども、よく考えてみるとちやんと理窟に合つているのです。どうです、大蔵大臣。(「肉体と精神を超過供出しているのだ」と呼ぶ者あり)
  355. 小笠原三九郎

    国務大臣小笠原九郎君) 私どもはさように考えません。
  356. 小林孝平

    小林孝平君 委員長ちよつと注意されたらいいと思う。具体的にどこが違うかといつて聞いておるのに、御答弁がないのは非常に困ると思うのです。(「見解の相違だよ」と呼ぶ者あり)具体的にどこが違うかということを……。
  357. 小笠原三九郎

    国務大臣小笠原九郎君) 議員立法でおやりになつておることでもありまするし、私どももそれはもう考えが違うのですから、幾ら具体的にどうこうといつて、具体的には最初から違つておるのです。
  358. 小林孝平

    小林孝平君 どうも違う。どこが違うかということを聞いておるのですよ。どこが……。僕らは何も、いろいろ野次を言われますけれども、まじめに審議しておるのですよどこが……。政府をいじめようとか何とか言つておるのじやないのですよ。こういう意見も世間にあるのです。だからそれを納得させられることは必要なんですよ。それを、いや、問答無用式に答弁をやられては、これは困ると思うのです。こういうことを、私はいいですけれども、次に質問されるかたにもだんだんこういうことが及んだら国会なんか必要がないということになると思うのです。もう少し親切に教えて頂きたいと思うのです。
  359. 小笠原三九郎

    国務大臣小笠原九郎君) 私ども考え方はですね、片方は奨励金である、供出を奨励させていろいろやつておるその奨励金である、片方は公務のために進んでみずからやつておることであつて、奨励をしてやるものでないのだから、その点が性質が違う。こういうのでありまして、その点から先のことになりますと考えが違う。これは御説明しても同じこつちや、こういうのであります。
  360. 小林孝平

    小林孝平君 非常に違つていますよ。公務のために進んでやつておるのじやないのですよ。超過供出、超過勤務、余り似ておりますので聞違いますけれども、超過勤務手当という、超過勤務というものはすき好んでやつたつて、進んでやつたつてつかないのですよ。これはちやんと上から今日残れという命令があつてつて初めて合法的にその金が出るのです。そんなに進んでやつてどんどん金が出るということは非常に間違つていますよ。大蔵大臣もおつしやつておりますけれども、そんなことで金は出ていないのです。やはりあれは早く帰りたい、或いは、今日は暑いから早く帰りたい、家に帰つて何か仕事をしよう、野菜の手入れでもしようと思つているけれども、これは予算の関係で以て、資料提出を要求されておるから残れというのでやつておるのです。すき好んでやつているのじやないですよ。
  361. 小笠原三九郎

    国務大臣小笠原九郎君) 少しもすき好んでやつていると言つておりません。片方は供出を奨励しておるものであるが、私どもは超過勤務を少しも奨励しておるわけではないから、奨励というところが違う。それから先の考え方は考え方が違うのだから、幾ら説明してもこれはおわかりがない、こう申上げている。(笑声)
  362. 小林孝平

    小林孝平君 そういう御答弁ならば、これは水掛論でございますからやめますが、最後に今度の食糧増産の十億円の経費が新たに修正して計上されたわけなんです。そこでそのうちの小規模の土地改良の補助費七億円の配分は、発議者はどういうことをおつしやつているのですか。相当多額の金です。この七億円は。これは一体どういうふうに使うのだというように発議者は言つておられるのですか。
  363. 河野一之

    政府委員河野一之君) これは土地改良事業費の中に入るわけでありまするが、暗渠排水とか或いは客土とか農道とかそういつた従来の系統のものでございます。
  364. 小林孝平

    小林孝平君 これは主計局長よく御存じになつてそういう御答弁になつておりますけれども、相当金額も多額であります。これ又小規模土地改良の補助というようないろいろなとり方によつては、使い方によつてはいろいろの意味があると思う。そこで発議者はどういうふうにこれを使うように言つておられるのということをお聞きしているのです。これは政府が執行されるとき非常に関係があるのです。
  365. 河野一之

    政府委員河野一之君) 七億円は北海道二、内地八の割合で従来系統の事業に使用せられるものと私は聞いております。
  366. 小林孝平

    小林孝平君 更にその詳細ですね、これはどういう事業に、例えば積雪寒冷地帯関係の事業、或いは砂地関係の事業、こういうふうに何か大体の方針がないのですか。七億円という相当莫大な金です。これは何でも適当にやれということになりますとどういうことになるかといいますと、七億円というのは我々三派がこれを修正して計上したのだから、この使い途は我々の要求を聞けなどということがひよつとすると起きるのではないかと心配している向きが相当あるのです。そこで一応どういう基準でやられるかということをはつきりして頂かんと、要らざる疑惑を持たせるので、大体の心がまえを……。
  367. 河野一之

    政府委員河野一之君) これは発議者の御意思を伺いませんとなんでありまするが、土地改良事業の中の小規模土地改良の従来の枠を殖やすためでありますから、その目的のために使うことになると思います。
  368. 小林孝平

    小林孝平君 まだたくさんございますけれども、時間の関係もありまして、肥料問題その他について通産大臣、労働大臣の質問を留保しておきます。
  369. 青木一男

    委員長青木一男君) 労働大臣の質問は通産大臣と一緒にという意味ですね。
  370. 小林孝平

    小林孝平君 そうです。
  371. 青木一男

    委員長青木一男君) それじや通産大臣は病気中ですから明日必ず出られるかどうかはよくわかりませんが、その点をお含み願います。
  372. 小林孝平

    小林孝平君 それから先般もこれは要求しておいたわけですけれども、三派の代表者のかたをもう一度お呼びしていろいろ御意見を承わる。言いうことにはなつておるのですが、念のため委員長にお尋ねしておきます、そういうふうに理解してよろしうございますか。
  373. 青木一男

    委員長青木一男君) そのことは理事会で御相談しようというふうに私はお答えしておるので、まだきまつておるわけではございません。
  374. 中田吉雄

    ○中田吉雄君 河野主計局長にお尋ねしますが、この調査月報は大蔵省の大臣官房調査課から出ておる。大変有意義な資料だと思うのですが、当委員会に配付されるような御意思はありませんか。
  375. 河野一之

    政府委員河野一之君) これは一般に印刷局あたりで販売して頂いておるものでありまして、部数も少うございますので、できましたら買つて頂きたいと思います。(笑声)
  376. 中田吉雄

    ○中田吉雄君 これは販売しておるのですか。
  377. 河野一之

    政府委員河野一之君) これはちよつと販売しておるものと、していないものとあると思うのですが、今の分はどちらでございますか、一般のものは販売しておりますが、今御趣旨のものでありますと販売していないものもあります。
  378. 中田吉雄

    ○中田吉雄君 これはやはり衆参両院の予算委員会等におきましては不可欠な資料のように思いますので是非お願いしたいのです。私は国会図書館から借りておりますが、甚だ不親切な答弁があつて国会図書館にあるからあすこに見に行つたらいいだろう、大蔵省伝統的な官僚独善の甚だ許しがたい態度をとつておる。予算審議に重大な支障がある。一つ是非、予算の関係でそういう調査費がなくて何でしたら買いますから、これはあつちこつちにたくさん配付しておる。それにもかかわらず国会予算委員会に……、これは内外の予算なんかが載つていて日本予算が適正であるかどうかということの判定をするのに非常に役に立つ資料です。一つ是非経費節約の折ですから、これは実費を出しますが、一つ是非この要請に応えて頂くように、若しそういうことでないとすれば、大蔵省のこの調査費用については厳重な審査を私はしなければならんじやないかと思います。(笑声)やはりこの国会に間に合うように一つ是非お願いしておきたいと思います。
  379. 小笠原三九郎

    国務大臣小笠原九郎君) 調べまして部数さえあればすぐ手続きします。ただ余計刷つてあるかどうか、それを調べまして……。
  380. 青木一男

    委員長青木一男君) 本日はこれにて散会いたします。明日は午前十時より開会いたします。    午後四時五十九分散会