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1953-07-24 第16回国会 参議院 予算委員会 第22号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和二十八年七月二十四日(金曜日)    午前十時三十三分開会   —————————————  出席者は左の通り。    委員長     青木 一男君    理事            西郷吉之助君            高橋進太郎君            小林 武治君            森 八三一君            中田 吉雄君            松澤 兼人君            堀木 鎌三君            木村禧八郎君            三浦 義男君    委員            石坂 豊一君            上原 正吉君            大谷 贇雄君            小野 義夫君            鹿島守之助君            佐藤清一郎君            関根 久藏君            高橋  衛君            瀧井治三郎君            中川 幸平君            宮本 邦彦君            吉田 萬次君            井野 碩哉君            岸  良一君            新谷寅三郎君            田村 文吉君            高木 正夫君            中山 福藏君            岡田 宗司君            亀田 得治君            小林 孝平君            佐多 忠隆君            藤原 道子君            三橋八次郎君            湯山  勇君            加藤シヅエ君            棚橋 小虎君            戸叶  武君            武藤 常介君   衆議院議員            小澤佐重喜君            竹山祐太郎君            根本龍太郎君   国務大臣    外 務 大 臣 岡崎 勝男君   大 蔵 大 臣 小笠原三九郎君    文 部 大 臣 大達 茂雄君    農 林 大 臣 保利  茂君    国 務 大 臣 安藤 正純君    国 務 大 臣 緒方 竹虎君   国 務 大 臣 大野木秀次郎君    国 務 大 臣 木村篤太郎君   政府委員    法制局長官   佐藤 達夫君    経済審議政務次    官       深水 六郎君    外務政務次官  小滝  彬君    大蔵政務次官  愛知 揆一君    大蔵省主計局長 河野 一之君    農林大臣官房長 渡部 伍良君    通商産業政務次    官       古池 信三君    通商産業大臣官    房長      石原 武夫君    通商産業省公益    事業局長    中島 征帆君   事務局側    常任委員会専門    員       野津高次郎君    常任委員会専門    員       長谷川喜作君    常任委員会専門    員       正木 千冬君   —————————————   本日の会議に付した事件 ○昭和二十八年度一般会計予算内閣  提出衆議院送付) ○昭和二十八年度特別会計予算内閣  提出衆議院送付) ○昭和二十八年度政府関係機関予算  (内閣提出衆議院送付)   —————————————
  2. 青木一男

    委員長青木一男君) これより委員会を開きます。  御報告を申上げることがあります。昨日委員長理事打合会を開きまして、審議方法について協議いたしたのでありますが、予算案が本委員会に付託されたのが予定より非常に遅れておりまするので、委員会慎重審議に困難を感ずる次第でありますが、他方予算の通過ということが国民の要望であるに鑑みまして、委員会としてはできるだけ勉強して、この遅れを取返すために今後五時頃まで審議をやろう、二十六日の日曜にも出て勉強しよう、そうして二十八日のまあ午後一時頃までを目標として国務大臣に対する一般質疑を終ろうというところまで、昨日申合せをしたのでございます。ついては暑い折柄でありますが、委員各位の御精励をお願いいたします。同時に私は政府に対しましても、この状況を御承知の上に、委員会に対する国務大臣等出席等については、万障を差繰つて時間を励行されんことを強く要望いたします。
  3. 中田吉雄

    中田吉雄君 只今委員長の御発言がありましたが各省大臣に対する質問を大体二十八日の午前中に終るというような御発言でしたし、それから本日の新聞の二、三におきましては、三十一日までの日程がすでに申合わされたというふうになつておりますので、これは非常に昨日の理事会決定と反しておりますので、二十八日までの一応の暫定の日程として各省大臣に対する質問を二十八日までやつて見る、それを以て最終というような決定はいたしていないと思いますので、本日二、三の新聞に三十一日までの議事日程が組まれたように出ておりますが、これは新聞社の人の大体の予想ですか、委員長はそういう記者団会見でもして御発表になつたのですか、その辺一つはつきりしておいてもらいたいと思います。
  4. 青木一男

    委員長青木一男君) お答えいたします。私も今朝その新聞を見たのであります。私は昨日の打合会新聞記者に会つておりません。従つて発表するはずもありません。私の想像では昨日の打合会を公開しておりましたから、あの状況を御覧になつた上に書かれた記事と私は推測をしておる次第であります。申合せ内容については今中田委員の述べられた通りでございます。
  5. 木村禧八郎

    木村禧八郎君 昨日の委員長理事打合会におきましては、一応二十八日までの日程は組んだわけです。併し新たなる事態については別途考慮する、こういうことになつておるわけであります。これは委員長もその通りと思われていると思う。ところで本日の新聞を見ますと、新たなる事態は私は生じておると思います。この二つの点でこれは重大なる私は問題であると思います。即ち改進党と自由党との問において八百円の供出奨励金の問題について申合せができた。昨日保利農林大臣はこの八百円の奨励金供出完遂奨励金であつて供出完遂されなければこれは出さないのである、こういうことを、結果においてそうなんだということをはつきり言われたわけです。それにもかかわらずこの申合せが行われて、完遂奨励金供出完遂と否とにかかわらず、供出終了後支払うこととする、右によつて実質的には供出、即ち割当分全部に交付するが、免税の関係より米価と同町には支払わない、こういう申合せができておる。これでは政府が我々に答弁したこととは違うのであります。こういうように、政府は一応我々は完遂しなければ出さないと言いながら、裏面において自由党改進党の申合せでは、完遂しなくても出すという申合せをしておるのであります。この食違いをどうする。まるで政府は我々予算委員を愚弄しておるものです。予算委員ばかりではありません。国民をだましておるのですこれは。従つてこういう新たなる事態が生じた以上、我々はこの問題をこれから一般質疑に入る前に、この取扱を明らかにしておかなければ入れないと思います。昨日までは私は知りませんでした。政府の言う通りであると思つてつた。ところが申合せによつてこういうことになつている。これは私は重大な問題だと思う。従つてこれが明らかにならなければ審議ができないじやありませんか。ですからこれは予算委員会としてはこの点を一つはつきりさしてもらいたいと思います。  それから第二は、造船利子補給の問題です。これも今日の朝日新聞に出ております。利子補給の範囲を拡大して保守三派で修正した、これを又申合せておるのであります。即ち第七次後期建造のタンカー三隻、更に国外からの買船四十隻の融資残高に対する金利を引下げることをきめた、こういうわけです。そうなると予算総則の十条というものが又変つて来なければならん。政府は我々に答弁しているときと、それからその裏面において改進党と自由党との申合せというものと違つておる。これは闇取引であるのであります、これでは。こんなことで我々は予算審議することはできません。こういうような内容は私は審議に値しないと思う。従つて今度の修正案の一番重点はこの二点にあります。米価の問題とこの造船利子補給の問題、これが一番重大なる修正点、これについて政府答弁と、それから予算総則に出ておるところと、それから自由党改進党との申合せというものと違つておるのです。ですから最初からこの取扱が問題であつた。私は委員長にこの新たなる事態としてこの取扱について私はどうするかをきめて頂きたいと思うのです。
  6. 中田吉雄

    中田吉雄君 関連して……。私も、自由、改進分派自由党の三派でなされたヤルタの秘密協定にも当るような重大なる申合せ事項ができています。それは昨日調印がなされておるはずであります。木村さんは二点について申されたが、まだ広汎な関連を持つ協定がなされているわけであります。予算修正された三派においてそういう協定がなされているわけでありますから、これを白日の下に示して頂くことが予算審議の基本的な条件である。只今木村委員が縷々と述べられましたように、修正権の侵害をしないような形で実際は出されているが、その執行に当つては全くそれと相反する決定がなされておりまして、このようなことで二十八年度予算審議に当ることは断じてできないわけである。我々は与党三派のその協定の全文をはつきり示して頂くことが予算審議前提条件だと思いますので、私はその問題を先ず委員長においても適当にお計らい願いたいし、政府のほうから答弁される際にも、木村委員答弁に対してもそのことを含んではつきりして頂きたいと思うわけである。
  7. 亀田得治

    亀田得治君 それに対して私も実は本日一般質問をする予定準備をして参りました。ところが只今木村委員から発言された問題を新聞で拝見いたしまして、こういうことでは私どもが夜遅くまで準備をしていろいろ聞きたいところを質そう、それに対して如何なる答えを頂きましても駄目なんです。私は木村委員から出されておる動議、これは極めて当然だと思いますし、筋の通つた動議だと考えます。恐らく、昨日委員長を中心として理事会を開かれましても、今朝の新聞にこのような記事が載ろうとは、理事皆さんがたもお考えにならなかつたでしよう。従つて先ほどのような一応二十八日までの議事日程が作られたようでございますが、併し私どもがこういう新聞記事を見ますと、これは全く当てにならない、質疑応答というものは。私どもはこの修正の問題につきましては、いずれ発案者から御説明を聞くべき段階があろう、ほかにもいろいろ問題がありますから、そう考えていたのでありますが、最初に取上げられておる米の問題について、すでにこのような事態が起きておる。従いまして、私は先ほどの木村委員の要求に附加えまして理事会をお開き願いまして、そこで一つ取りあえず具体的に新聞で問題になつておるこの食い違いの問題、これを明確にするために、本日早速発案者のかたがたに御連絡を願つて、ここに呼んでもらいたいと思います。具体的の私は解決の方法としてはそれを明確にして、私も次の次に質問の順序が廻つて来ておりますが私もいたしたいと考えておりますが、そういう問題が解決つかない以上は、私は順番が参りましても、本当に良心的に質問をするような気持にはなれません。こういう意味一つ木村委員の御発言に同意すると共に、具体的な措置としては委員長の御一任はいたしますが、できることなら理事会によつてこの問題の取扱をよく御研究願いたいと、私は考えるのであります。
  8. 井野碩哉

    井野碩哉君 只今木村委員その他の御発言の問題でございますが、この問題は私が委員会の当初、総括質問の際に大蔵大臣に対してお尋ねをいたし、大蔵大臣の御答弁三浦改進党の政策委員長説明とが食違つておりますから、そこは政府は折角三派修正案に対して同意をしておる以上、三派修正案意見通り一つ取扱いを願うように御答弁願いたい、それが今日政局安定のゆえんではないか、最も捷径な方法ではないかということを申上げたのであります。そうしてそのときにはまだその問題が三派の問題で一応の話合いができておつても、まだはつきりしない点があつたのではないか、だからそこはよく政府と三派の間で話合いをつけて、そうしてこの委員会の開催の間に政府はつきりした答弁をお願い申上げたいということを、私は留保してその質問を終えておるのであります。昨日の三派のいろいろの話合いで大体話もきまつたようでありますし、修正案の問題は改進党が当初提案したような意向にまとまつたようでありますから、ここで政府としてその意向を取上げられまして、そうして改めて一つ大蔵大臣なり農林大臣から御答弁を頂ければ、この問題は解決すると思うのであります。でありますから、委員長からそういうふうにお取計らいを願いたい。そうして議事進行を図つて行きたい。
  9. 小林孝平

    小林孝平君 只今井野委員からお話がありまして、政府から統一的見解が発表されればそれで終るというふうな話でございますけれども、私はそれは先ず第一の条件でありますけれども、それだけでは終らないと思うのであります。私は仮にこの三派の共同修正案通り政府がやるといたしましても、こういう八百円の問題については将来なお検討すべき点が多々あるのでございまして、私は先般総括質問の際に委員長まで、三浦政策審議会長参考人として呼んで頂いて御質問をいたすことを申出たのでありますけれども議事を順調に進行させる都合上、他日に譲る、一般質問の際に譲る、こういうことにいたしておつたのであります。私は本日劈頭至急呼んで頂くように申出ようと、こう思つてつたのでありますから、単に政府から統一的見解があるといたしましても、その後更に三派の代表のほうからも来て頂きまして、詳細これについて御意見を承わりたい、こういうふうに考えておりますので、至急理事会を招集の上その手続をとつて頂きたいと思います。
  10. 高橋進太郎

    高橋進太郎君 私は各省大臣質問で、この問題或いはその他木村さんの指摘したような問題が残つておるのであります。従つて各省大臣の今後の質問において論議を尽され、必要によつては三派の代表をお呼びになり、これは十分審議を尽されたらよいと思います。併しながらそれはそれとして、やはり一応これは質疑でございますから、予定通り昨日の申合せ一つ進行して頂いて、その間において今の問題を順次解明する、こういう工合に御進行願いたいと思います。
  11. 亀田得治

    亀田得治君 只今自由党のほうから、それはそれとして一応予定質問を続けたらどうかという御発言がありました。私も先ほど申上げましたようにたくさん準備して来ておる、今日一日中やつてもできないくらいの準備を昨夕やつておる。ところがこういう問題が起きているから、我々が良心的に質疑応答をやるとするならば、その点ははつきりしなければいけない。緑風会井野さんやそのほかの人から何遍もあの問題は念を押して質問をしておる問題なんです。たくさんの委員発言しているのですよ。それに対して政府が何遍も同じことを答えて来ておる。それをどうも参議院予算委員会の空気が妙になりそうだ、そんなことを心配して、何か裏で申合せをして、それを一つ発表しようじやないか、そういうものでは何も信用ができない。そういうことで済むのならこういう公開の質疑応答なんというものは要らない。私はそういう意味で、田村さんも恐らく質問の時間が狂つて御迷惑でしようが、私も迷惑です。併しこれははつきりしなければならない。こういうことが堂々と新聞に書かれて、そうして参議院がのんべんだらりと質疑応答を続けておる。そういう質疑応答を一体国民が本当に新聞を読んでくれますか、絶対に読んでくれません。八百長じやないんですから、私はそういう意味で早急に一体真相はどうなのか、提案者を呼ぶなりして明確にして欲しいと私は考えます。そうでなければこの議事進行は、誰が考えてもこれは無理だと考えるのです。
  12. 青木一男

    委員長青木一男君) ちよつと申上げます。議事進行についての各委員の御発言趣旨はよくわかりました。御指摘の問題を早急に明らかにすることは私も必要だと思います。併しこれは時期の選び方については、理事会を招集いたしますから、そのときに御相談することにいたしたいと思います。成るべく早くそういう方法について協議いたしますから、それで田村委員の御質問予定通り進行したいと思います。ちよつと速記をとめて。    〔速記中止
  13. 青木一男

    委員長青木一男君) 速記を始めて。
  14. 木村禧八郎

    木村禧八郎君 動議が出ておりますから、それを問うて頂きたい。
  15. 青木一男

    委員長青木一男君) それでは今の議事進行についての……。
  16. 木村禧八郎

    木村禧八郎君 動議意味はつきりいたします。
  17. 青木一男

    委員長青木一男君) わかりました。田村委員質問の前に理事会を開くように要望されておるようでありますが、反対の意見もありますから、田村委員質問の前に理事会希望される方の……。
  18. 木村禧八郎

    木村禧八郎君 ちよつと違うのです。簡単ですから申上げます。それは新たなる事態が生じましたので、我々今言つているのは、委員長理事申合に反しておるのではないので、新たな事態が発生したから、ああいう三派の申合について、審議に入る前にその全容を発表してもらいたい。そういうことについてこれは明らかにしないと、我々に提出されておる予算案修正案、それから陰においていろいろ取引が見られる、そういうものと二つあるように見られるので、予算審議に入れない。そういう意味田村委員審議に入られる前にその取扱いについて理事会を開いて頂きたいという動議なんであります。(「委員長進行」と呼ぶ者あり)
  19. 青木一男

    委員長青木一男君) それでは田村委員質疑を終りましたらば、すぐ理事会を開いて御相談いたすことにいたします。田村委員
  20. 田村文吉

    田村文吉君 先ず副総理にお伺いをいたしたいのでありまするが、道義高揚ということにつきましては、今国会の初めにも唱えられましたが、以前から歴代内閣は常に言つておることなんであります。併し独立をなし遂げた日本の現在といたしまして、その道義高揚という問題は誠に必要なことであるが、総理意見から言いますと、そうかといつて戦争中における国民総動員をやつたというような意味における道義高揚をやつても、恐らくは今日の若い人も納得しないだろうし、そういうことは面白くないと、こういうような言葉をお使いになつておるのでありまするが、併しどういろいろ考えて参りましても、今日の政治の行き方或いは経済の行き方、その根幹を流れるものはやはり道義高揚でなければならない。道義という筋金が入つて参りませんとどんな立派な言論でもどんな立派な政策でも有終の美を収めることはできない、こう考えますので、私は一番今日道義高揚という問題で痛感いたしておりまするのは、如何にも国民剛健質朴の気風というものがもう終戦後においてなくなつてしまつた、こういうことが第一、又関連しておりまするけれども、如何にも国民のすべての階層に亘りまして依頼心が多くなつて参つている。或いは外国に頼ろうとする考え、或いは又地方は中央に頼らんとする気持、又市町村においては各府県に頼らんとする気持個人自体が或いは国或いは公共団体に頼りまして自分の目的を達したい、こういうような誠に卑屈な依頼心が出て来ておる。こういうような点、この二つの点につきまして私は非常に心配しておりますると同時に、今までのように、ややもすればかような言論について推進的な態度を政府がとることはどうかというような御遠慮をなさつていること自体が、いつまでも八千五百万の国民の向うところをはつきりきめない、こういうことに相成つておるように考えるのでありまするが、この問題につきまして緒方総理はどういうふうにお考えになつておいでになりましようか、先ずお伺いいたしたいと思います。
  21. 緒方竹虎

    国務大臣緒方竹虎君) お答えを申上げますが、只今指摘のように占領政策が少し長過ぎた結果も影響いたしまして、国民精神が卑屈に流れておる、独立気魄を失つておるということはいろいろな方面にこれを見出し得るのでありまして、これは日本が今後再建段階を進めて行きますにつきましても、あらゆる施策をして国民気魄を取戻し、道義高揚させて行かなければならんと考えます。これについては政府といたしましては、何としても現在この世代を背負つております者は言うまでもなし、更に又次の世代の人間に対して希望を与えなければならない。今のところ日本が将来果して再建が可能であるかどうであるかということに対する疑いが私は多数国民気魄高揚させない。従つて、卑屈に流れしめる一番大きな原因になつておるのじやないかと考えるのであります。道義高揚と申しましても、只今お話の中にもありましたように、ただ抽象的な戦時中にやりました国民精神総動員というようなものを政府が掛声をしてもできるものではないのでありまして、いろいろな施策を総合する中につきましても、特にやはり普通の常識から申しまして、国民経済をよくして行く、生活水準をだんだんに高めて行くということが根幹にならざるを得ないのではないかと考えております。衣食足つて礼節を知るというような言葉は、古い言葉ではありますけれども、やはり国全体の民族の道義高揚考える場合には、政府としてはどうしてもその責任に先ず以て任ずべきであると考えるのであります。国民生活水準は、国民各位の御協力によりましてだんだんに改善をして参りました。特に農村方面におきましては戦前よりは或る部分はよくなつておる数字も出ておりますけれども、併しながら何となしに先の明るみが出て来ない、国民希望を与えないということが大きな原因になつております。そこでやはり私は自立経済達成ということが先ず以て政府施策としては手を加えるべきものではないか、それには国内自給度の向上を図りますと同時に、正常貿易振興をいたしまして、何としても今日の日本経済外国依存度が高いのでありますから、国際収支均衡をとつて行く、それには特に発展的と申しますか、積極的な均衡をとつて参つて国民経済をだんだんよくして行く、これは単に日本経済自立のためばかりでなく、国民精神高揚道義を高めるという目的もそのうちに達せられるのじやないか、そういうことを考えて、折角自立経済達成に苦慮いたしておる次第であります。  勿論道義高揚というものはそれだけでは参らんのでありまして、文教の刷新とかその他諸多の政府施策を総合いたしまして、そうして国民に一応の安心を与え、将来に対する希望を持たせる、そこまで参らなければ本当の道義高揚というものはむずかしいのじやないか。昨年第四次吉田内閣の組織に当りまして、特に道義高揚を治安の確保等々と同時に政府の旗印といたしました趣旨もそこにあるのでございます。
  22. 田村文吉

    田村文吉君 現内閣がこれについて非常に苦慮をしておるという点はわかるのでありますが、どうもいつまでも国民というもののどこに向うべきかという、いわゆる士気の振興でありまするか、そういうものが行われて行かないというところに私の非常に不安と不満を感ずるのであります。只今の副総理の御答弁の中に衣食足つて礼節を知る、これは一面の真理でありまして、決して衣食の足ることを我々は努力しないわけではない。当然であるのでありますが、御承知のように経済白書が示しておるように、昭和二十七年というものは非常に生活水準というものが向上しておるのであります。なお私はこういうことであるから先ず衣食を足らしてやるという政治家気持は有難いが、併し衣食足らねばこそ本当に道義というものを高揚して行かねばならんのだ。場合によつて耐乏生活に耐えねばならんのだ、こういうのが先になります。衣食足つて礼節を知るということで物事を片付けられて行つたんでは、いつまでたつてもこれはそういう道義振興というようなことはできない、こう私は考えておるのでございまして、明治の初年におきまして福澤諭吉先生独立自存という言葉を与えて、今まで封建治下にあつた国民にどうかしてお上に頼らんで自分たちは自分たちの力で立上る独立自存という四つの言葉を与えたということが、いわゆる明治文化の初めとなり国民精神振興なつた基であつたかとも考えるのでありまするので、私は特に留意したいのは、昨今いわゆる外国の長を採り短を捨てるなら結構ですが、外国の短を採り東洋の持つてつた長を捨てるというような現在の状況下にございまするあの淫蕩な風を先ず一つ取去らなければならない。第二には今申した独立自存の精神というものをもつと振興して行かねばならん、こういう点につきまして、私はなお各省の御関係の大臣にお伺いいたしたい問題があるのでございまするが、ただ衣食足つて礼節を知るという思想の下におやりになつておるのでは、いつまで経つてもこの国民の士気というものは上つて行かない。こう私は考えまするので、この点について重ねて副総理にお伺いいたしたいのであります。
  23. 緒方竹虎

    国務大臣緒方竹虎君) お答えをいたします。衣食足つて礼節を知るという言葉がお耳ざわりであつたようでありまするが、私は国民精神高揚をいたしまする上に何としても日本自立経済達成して行くことが必要である、その自立経済達成する一つの形容でありまして、勿論今日の占領時代からの淫蕩な気風、又外国から徒らに高級な消費物資を輸入して目先の享楽に甘んじておる今日の一部の状態は、これは決して国民道義高揚するゆえんでないのでありまして、それに効果がありますれば、いわゆる耐乏生活と申しまするか、政府といたしましてもそういう不急不要物資の輸入抑制に手を付けることも道義高揚の一助にもなろうかとも考えます。併し根本におきまして、やはり国民生活の自立経済達成、而うして生活水準の向上というようなことが、私は何としても今日の国民、更に次の世代を担う人々に希望を与えることで今日としては非常に必要でないか。そういう考えから、政府施策といたしましては、抽象的な国民精神総動員的なものよりも、やはり自立経済達成ということに中心をおいて行くのが当然でないかと考えております。
  24. 田村文吉

    田村文吉君 御意味はわからんではないのですが、これは文部大臣に御関係のあることでございますからお伺いするのですが、一体道義々々というが、今後日本国民の行くべき道義は何を基準にして行くか。先に天野文部大臣は或いは曾つての教育勅語に類するようなものを作つて行こうか、こういうようなことを発案されましたが、直ちに反動思想であるというような、いわゆる甘い世間の言葉のために消えてしまつた。こういうようなことでありまして、ただ私どもは、今国民は一体どういう思想でおるのだ、民主主義というものが無論道徳というものを含まないという意味じやないのでありますけれども、ただ民主主義で行くのだという誠に軽薄な言葉で、ただ問題をほうむつてしまつている現今では、私はこういう点について日本の今後の行くべき、国民を率いるべき一体道徳の標準は何かこういうことを先ずお伺いいたしたいのであります。
  25. 大達茂雄

    国務大臣(大達茂雄君) お答えいたします。御指摘通り、今日のような我が国が国の内外に亘つて非常な困難な場面に当面をしておるこの困難を切り開いて国の再建をするというためには、どうしても根本において国民道義高揚せられなければならんということを特に痛感をしておるのであります。今日の道義というものが果して頽廃をしておるか、或いは弛緩をしておるか、これは見る人々によつて違うと思うのであります。非常に困つたものだと考える人もあれば、或いは新らしい道徳が芽ばえつつある、こういうふうに見る人もありましよう。従つて今日道義が頽廃しておるかどうかということを一概に断定することは私はできないと思うのでありますが、併しながら今日国家の実情に鑑みて、いやが上にも道義高揚するということが、我が国再建の根本であるということを信じておるのであります。然らばどういう意味道義、まあ言葉が悪いのですけれども、ということであるとすれば、何と言つても民族の道義国民道義というものが、一朝一夕に作り上げられるものではないと思うのであります。我が民族が長い間実践をし来り、又かくなければならん、こういう何と申しますか、民族の伝統的な道徳精神というものは、はつきりあると思うのであります。そうしてこの伝統的な道徳精神というものが基礎になつて、そうしてこれが新時代に適応する形、具体的に申上げれば、今日我が国の新国家としての目標である、高度の文化国家、或いは健全な民主国家、その社会において必要とせられる道徳的の要求に副う形を以て、我が国の長い間の伝統的な道徳精神が発揚せられるということが最も望ましいことであると思うのであります。従来の伝統的な道徳精神を捨てて、一朝にしてあたかも無から有が生ずるように国民の道徳というものが成立するものであるとは思つておらんのであります。その意味におきまして私は従来の、従来と申しますか伝統的の道徳精神というものに基礎をおいて、そうしてこれが新らしい時代に適応する形において国民道義が発揚せらるべきものだ、かように信じております。
  26. 田村文吉

    田村文吉君 もう少し私は大達文相から端的に御所信を伺いたいと存じたのでありまするが、ややもするとこの文教問題につきましては、終戦後の空気からいたしまして非常に言論をはばかつておいでになるようなのであります。歴代ともそういうような傾向であるのでありまするが、占領治下においてはこれは止むを得なかつた。殊に私は甚だ、邪推する意味ではありませんけれども、恐らくはアメリカが日本に上陸したときに、この日本の兵隊さんが途方もない強い兵隊さんで、いわゆる特攻隊のような精神を持つて来たということは、これは軍国主義という何か知らんが、日本には特別な教育があるのだ、先ずこれはぶちこわしてしまえ、こわさなければ将来とも日本の軍国主義というようなもの、或いは極端なる国家主義というものが排除できん、こういうような考え方からすべてのものをこわして、あらゆる新らしい教育制度というものを作られた。こういうことであつたのでありまするが、今日日本が本当に生きようというのには先ほども申上げましたように、経済でも政治でもすべての根幹をなすものはいわゆる道徳である。その道徳に対してそういつまでも遠慮した見解をお持ちになつておる必要はないのだ、もつと私は伝統的な精神、或いは昔は教育勅語というようなものもあつた。併しそういう点でこういう点がいけないから、こういう点は今後の日本の民族としては取り去つて、こういう精神で行くべきである。こういうようなことははつきりと私は文教の府にある大臣から示されるべきだ、若しそれを単独でやることが悪いならば十分にそれぞれの学者の考えもあるでしよう。併し今日のは大部分の、私は甚だ失礼でございまするけれども、学者には尊敬しかねる、余り民論にこびる、甘い意見にこびる、こういうような形でございまするのでその辺は斟酌されまして、いわゆる大連文教としては思い切つた一つ施策をなさるべきではないかこれは国民がもうすべてがはらの中では実は待望している問題だとこう私は考えるのであります。  そこで地理歴史科を復活しようというようなお話もあるようでございますけれども、私は非常に結構なことで、過去において我々が間違つたこともないじやなかつた、確かにあつたけれども、大部分は我々の二千五百年の伝統によつて生きて来た日本民族というものは、一つの立派な儒教、仏教その他のものを集めて、なお今日ではキリスト教の精神も併せた立派な教えがあるわけであります。それによつてお進めになるべきであると私は考えておるのでありまするが、従つてこの地理、歴史というようなものについて大連文相が至急復活しようというお考えのようでありまするが、近いうちにこれは復活をなさる御意思でお進めになるのかどうか。併せて前年来問題になつておりましたいわゆる修身教育或いは倫理の教育というものについて、真にいわゆる国民の若い人たちのしつけであり、若い人たちの今後の心がまえというものを、今日では宗教によるといつたところで、宗教はいろいろございます。なかなか学校の生徒がそういう宗教に行つて救われるというわけに行かない。そうするとどうしても学校教育においてはこういう精神教育というものについての御配慮が要るのだ。こう考えますので、そういう問題につきましても文部大臣はどうお考えになつておるかということをお伺いいたしたい。
  27. 大達茂雄

    国務大臣(大達茂雄君) お答えいたします。地理歴史は従来いわゆる社会科の内容として教えられておつたのでありまして、全然閑却されておつたというわけではないのであります。併し従来の教え方ではどうも系統的な知識が児童生徒に与えられておらん。こういううらみがありますので、そうして児童生徒は我が民族の過去の歩み来つた道並びに現在を明らかにする、又進んで我が国が世界において、過去において、現在において、どういう地位を占めておるかということを知らせるということは、これは祖国を愛し国土を愛するさような愛国心を涵養する基礎にもなることでありますから、極めて重要な問題と思うのであります。文部省といたしましては従来より一歩を進めまして地理歴史を系統的に教えることにいたしたい、かように考えて着々その準備を進めております。ただこれが教科書となつて現われるというようなことになりますと、ながく時間がかかりましてすぐ来年からというわけには参らんようでありまするが、併しこれにつきましては成るべく取り急いで、仮に教科書ができませんまでも学習指導要領というものがありますので、これをその意味において改正を加えまして、そして地理歴史の系統的な知識を与えるようにいたしたい。従来は事情がございまして文部省では学習指導要領というものを作りますけれども、これを各地方々々の学校の先生にその趣旨を徹底させることをしていなかつたのであります。このたびにおきましては文部省のその専門の職員をそれぞれ地方に派遣いたしまして十分その趣旨の徹底するように、この歴史地理の教育がその効果を収めまするように努力をいたしたい、かように思つております。  それから修身科と申しますか、道徳教育の問題でありますが、これもいわゆる公民科のうちというわけではありませんが、各教科の全体を通じて道徳的の訓練をする、人格の陶冶に資するというのが従来の考え方であります。併しこれも教職員の素質の問題その他いろいろの関係がございまして、現状を以て十全を期するわけには参らないのであります。この点につきましてもできるだけ速かにはつきりした形にして参りたい。ただ小学校の低学年の児童に対しまして頭から教え込むということはなかなかいいか悪いかわかりませんので、先ず低学年におきましては、しつけと申しますか主として実際上の行動習慣、そういう実践の面からよく指導して、していいことと悪いことを判別することのできるように仕附けて行く。又実際のそういうしつけを体得させて行く。それから子供の智能の発育の段階に応じましてそれぞれ道徳的の知識を教え込んで行く。こういうことになると思うのでありますが、これは結局教育技術といいますか、どういうように教え込むのが一番効率的であるかという問題でありまして、おのずからその方面の専門的な検討を経なければなりません。文部省といたしましては今日教育課程審議会というものがございまして、さようなことを審議検討しておるのであります。これも極く近いうちに答申が出て参る段どりとなつておりますので、この答申が出ますれば一日も早くその方向に進みたい、かように考えでおります。
  28. 田村文吉

    田村文吉君 折角お考えになりました事柄もなかなか実行に移れないということは一番遺憾に思いますので、そういう点については、私はお考えがあるなら万難を排してこれをなし遂げるということをお願いいたしたい。実は私はこの間さるところの招待によつて浅草の或る劇場に参つた。そこでいわゆるかたのごとく西洋物の恋愛物の映画をやつておりまして、その後において少女歌劇をやつておる。前に私どもの見ました時分の少女歌劇よりかなり露骨になつておりまして、いわゆる性の描写というようなものが非常にはつきりしておる。そこへ丁度バスが盛んにやつて参りますので見ておりますと、田舎から出て参りました中学生の男女の生徒が続々と入つて来て見ておる。そうすると私は一体何のために都会に修学旅行によこしておるのか、こういうような甚だ感心しない所へ修学旅行に入つて来るような今日の状況下にございますことを私はもう実に危険だ、非常にあぶない。こう感じましたので、私は特に文教の大臣に一つ御奮発を願つて、ただ子供にはしつけのことをやる、私はしつけというようなことは、行を以て見せることが教育的の効果があるというのは尤な話であるが、併し言うことが全然効果がないというわけでもないのであります。私は今日殆んど事実的に宗教というものを失つておる日本の若い人たちには、どうしても学校においてそういう精神教育、そういうものが絶対に必要なんだ。これをちよつと言い出すといわゆるインテリ層の学者が反対すればすぐ引込める、こういうことでは私はどうしても日本の将来というものはあぶない。こういうふうに感じまする意味から文部大臣に特に私どもはその点について、どういう御決意を持つておるかどうかということをお伺いいたしたいのであります。
  29. 大達茂雄

    国務大臣(大達茂雄君) 御指摘通り、今日の学校教育においては、とかく放縦に流れ過ぎる、こういうことはしばしば世間でも批判を招いておるのであります。殊に映画とか妙な見世物とかいうものは、これは非常に大きな影響力を持つておると思うのありますが、この映画のほうには風教上思わしくないものをとめるとか校閲するとかいうことは、今日できない建前になつております。文部省といたしましては、文部省自身が教育上有益な映画を作るとか、或いは民間の映画の中で教育上有益だあると思うものを認定をするとか、さような方法をとつておるに過ぎません。学校の教職育を指導して、良識を以て児童、生徒がいかがわしい映画を見たりするようなことがないように指導することが一番大切であります。又家庭の主婦等において、この点に留意せられることが一番有効である、こう思うのでありますが、その意味におきまして、文部省といたましては、教職員の諸君に対して、その点特に慎重に留意せられるように指導して参りたい、かように考えております。
  30. 田村文吉

    田村文吉君 御答弁の御趣旨は、それで結構なんでございますが、要は今日の国民の向うところが甚だはつきりしないで、実は皆子を持ち孫をお持ちになつて見れば、これはわかると思う。皆うちの子供がどういう教育を受けておるかということを非常に御心配になつておる。千五百万なら千五百万の家庭が皆心配しておる。こういう問題は、ただ一部の人たちがこういうことを、つまり援助するとか心配するとかいうことでなさるなら、私はこれはいかんと思う。一つもつと思切つてこういう点についての所信を断行して頂きたいということをお願いいたします。  もう一つ文部大臣に私が希望として申上げます。これは私は御質問申上げるとは申上げないのでありますが、これは希望として申上げます。現在の教科書、これは私は国民の思想を統一して頭の中に入れることはいかんというので、いわゆる民主主義だということをアメリカさんが言つたのでありますが、併し実は非常にこれくらい不経済なものはないのであります。在来の国定教科書或いはこれに類似した方法でもよろしいのでございますが、今は転校するたびに教科書を買わなければならん、又、貧しい人たちが兄の使つたものを使うとというこもあつたのでありますが、今日ではそういうことがだんだんなくなつた。こういうようなことで、教科書が非常に多く出ておるのであります。私は昔の自分の子供の時分のことを考えるのでありますが、当時におきまして、いろいろの教科書が出るということはあつたのでありますが、明治何年でございましたか、非常に大きな疑獄事件を起したことがある。こういうようなことで、こういう問題につきましても、実は思い切つて、国定教科書を作るとか或いは国定教科書に似通つたようなものを一つ立派な教科書で、全国みな共通のものを考えるというようなことをお考え願いたい。これは今御答弁願わなくても結構ですが、そういう輿論もあるのです。又この貧乏の日本が、極めてそういう点について無尽蔵に紙があるように考えて、そうしてむやみやたらに各種の教科書ができて、展示会等において選択してしらつしやる。どうも私どもから見ますというと、非常に不経済なことを、国の費用を浪費しておるような感じがするのであります。こういう点について御考慮頂きたいということを申上げて、文部大臣に対する御質問を終ります。  関連いたしまして副総理に伺いたいのでありますが、戦争の結果、かなり都会の人口というものは、地方に分散いたしたのでありますが、又昨今になりまして都会にみな戻り始めたということで、だんだん都会に人口が集中して参るような傾向があるのでありますが、私はこの傾向は決して健全な方法でないことと、いわゆる社会悪等がますます育成される機会を作りつつあると思うのでありまして、願わくば文化、産業というものはもつと地方に分散されることを希いたいと思うのでありますが、それに対するお考えは如何でございましようか。
  31. 緒方竹虎

    国務大臣緒方竹虎君) 只今お話趣旨政府といたしましても全く同感でございまして、その一つ施策といたしましては、政府として東北又北海道は日本の産業資源の重要な未開発地域であるという観点から、この総合開発を前年来計画しておるような次第であります。北海道につきましては北海道開発法によりまして、北海道開発局を作つてすでにその仕事を進めております。東北地方におきましても北上川の総合開発をやつておりますし、その他本年度からは最上、阿仁、田沢、能登地域につきましても計画、審議の終り次第、この仕事を進めて参りたいと思つております。なお今回九州その他西日本の災害にも鑑みまして、次の年度におきましてはこの方面の治山治水その他の事業に重点を置いて参りますと同時に、只今のような趣旨考えまして、国の財政の許す限り、何とか新しい方面経済、地理的な開拓をして参りたい、そういう考えを持つておる次第であります。
  32. 田村文吉

    田村文吉君 只今お話のございました北海道、東北等にできるだけ人口分散をすることも考えているというお言葉であつたのでありますが、要はやはりその土地に住み易いということが一番の大きな条件だろうと思うのでありますが、不幸にして北海道にいたしましても東北にしても北陸にいたしましても、非常な降雪であり、又酷寒である。こういうようなために人が住まないのであります。御承知でもございましようが、積寒地帯というものは日本の領土の全部の六割を占めておる。そうしてそこに住んでおる人口というものは漸く三割の人しか住んでおらない。なぜそうなるかといえば、誰しも同じ条件で住いをするならば、機会あるごとに暖かい国、住み易い所に移住するということは事の自然でございますから、相当に子供ができるのでありますけれども、皆南のほうに出る、こういうようなことで未だに今日はそういう人口状態であるのであります。若し今日いわゆるそれらの地方を除き、全般の日本の人口の密度に伴いまして、これらの地方に人口を分散することが可能であるとするならば、けだし六千万の人口を包容することができる、こういうような統計が出てするのであります。かようなわけであるが、いかんせん誠に住みずらい、だから住みずらい所には住みよくして行く、こういうことが当然の問題であり、これが将来の日本の人口問題の解決の上から行きましても、国土の総合開発の観点から考えましても、極めて自然であり当然なすべきことである。でありますが故に、終戦後の国会におきまして、或いは公務員に対しては特別の手当をつけてやる。又単作地帯に対しては若干の、極めて微少なものでありますが、若干の土地改良費等のものを支出してやる。或いは平衡交付金においても極めて僅かでありますが、若干の考慮をするというようなことが始まつたのでございますけれども、大部分の住民、公務員にあらざる一般の住民というものは、何らこれらの地方に住居することについての恩恵というものを皆受けておらん。それも私は止むを得ないと、かように考えておるのでありますが、北海道は石炭というものがある、これは非常にあの地帯における工業を発達させる要素として重要な資源であります。ところが東北方面、北陸方面になりまするというと、それに代りまするものとしては、誠に豊富な水力電気を持つておる。ところがその水力電気は今どうなつているかといいますというと、猪苗代湖或いは信濃川系統、この電気というものは全部東京に来ておる。そして北陸地方におきましては、黒部川にしましても、庄川にしても、皆これが関西に行つている。こういうようなわけで、地元では却つて高い料金の電気を業種によつては使つていなければならん。こういうような非常に矛盾したことがあるのでありまして、私は第一に、大蔵省からこの点について考えて頂きたいことは、公務員にだけ手当を出して、一般の人たちには一体何を以てこれを補つて行かれるという考えなのか、私は税の特別措置等の方法によりまして、来る年も来る年も雪に埋められ、寒さにさいなまれているこれらの地方の人々に対する方法考えてやるのが当然ではないか、こういうことを先ず大蔵当局に申上げると共に、電力の今のような僅かに残されたものを皆都会に持つて来る。当時は田舎で水力を利用して工場がどんどんできたのでありますけれども、今日はさような恩恵が殆んどない。ないから、何のためにこの山の中、雪の深い所、この寒さの強い所へ工場を持つて来たかということを皆後悔している。こういうような状況でございますると、私のさつき申上げた今後日本の人口の六千万を収容することができる、こういう土地をもつと早く、もつと住みやすい所にして、もつと産業の振興のできるような土地にしてやるということを、政府としてはお考えになるべきではなかろうか、こういうことを先ず考えまするので、副総理の御見解を伺いたいのであります。
  33. 緒方竹虎

    国務大臣緒方竹虎君) 誠に御尤もな御意見でありまして、今日ではそういう考えも無論政府で持つておるのでありまするが、財政の状況、或いは今日のこの政治のあり方にも多少原因があるかと思いますが、とかく乏しい財源を全般的に分配する——言葉に不適切なものがあるかも知れませんが、傾向がありまして、集中的に筋の立つた、大きな将来を見通した総合的な計画を行うことに甚だ不便な場合があるのであります。併しこれは今日これだけの国土に今申される人口を本当に分布して行つて、そうして将来明るい日本を作つて行きますためには、何としても政府が中心になつて、総合した一つの見通しのある計画を立てて参らなければならない。これには先ほど僻遠の地方の特別措置のお話もありましたが、そういう措置も怠らずやりますると同時に、根本的に計画を立てる、それによつて日本の人口が自然に適切な分布をして行くような方向に導いて行かなければならん、そういう考えを持つておるのであります。なお只今指摘の点も十分に参考にいたしたいと考えております。
  34. 田村文吉

    田村文吉君 さような意味におきまして、積寒地帯における本当の科学的の調査というものが実は十分でないのであります。今お話がありまして、どうも散漫的に政治機構の関係から金が分布される、重点的なそういう大きな国策がネグレクトされておるということをお認めになつたようであります。これは私一例を申上げるのでありますが、新潟県下の各市町村における積雪はいつから始まるか、毎日の記録をとつて最高のときは幾らになつておる、そうしていつ雪が消えたか、こういうような統計を新潟県全町村に亘つてつておるのであります。これは実は別に金を使つているのじやありません。長岡における雪の科学研究所から各小学校の校長先生がたに御依頼申上げて、そうして先生がたが生徒さんと協力して、そうしてそういう統計をお作りになつている。こういうことで必ずしも金が余計なければものはできん、調査はできんというものではないのであります。こういう科学的な調査が非常にネグレクトされているということを非常に私ども痛感している。なお又一例を申上げまするというと、例えば天候における温度の関係、こういう問題は仮に関東方面が十二月、一月、二月というものは非常に火事が多い。その場合における温度というものはどうだということが、今統計を持つておりませんが、非常に乾燥しておりまして、その湿度というものが統計図に出ておる。その時分における裏日本の天気はどうかということになると、湿度というものが三倍も四倍も高い。でありまするから火事がない代りに、産業によつては全然やつてはならん産業がある、こういうような関係も非常に多いのであります。こういう点は私はやりはもつと科学的にやらなければならんと思う。科学的にやるということは、政府に本当に熱意がおありになつて、そういう途を開いて下さるならば、私は各地方の人が喜んでこれに協力して調査を完成することができると考えまするので、ただ徒らに時間や経費の問題だけで、この問題を片付けないようにいたしたい、こう希望しておきます。  それから通産大臣はお見えなつておりますか。
  35. 青木一男

    委員長青木一男君) 政務次官が見えておられます。
  36. 田村文吉

    田村文吉君 それではちよつとお伺いしたいのでありますが、時間がないので簡単に申上げたいと思います。先ほど来申述べました問題と関連をいたしておるのでございまするが、電気の発電の原価というものは、各配電会社によつてつておりまして、非常に差異があります。然るにかかわらず、これの配分に当りましては、電気の料金というものは余り大きな差がないということで、私はもつとこれは地域差というものを大きくすべきだ、即ち今申上げましたような北陸とか、東北とか、こういう方面における産業の今まで起つたが、今後起らない理由ですね。それは即ち電力を皆こつちへ持つて来ちやつた、そして現在ではその地方には決して安くない電気が残つておる、こういうような状況でございますることは、以上申上げましたような点にも符合いたしませんので、私はもつと地域差というものを強く付けるべきだ。例えば戦争前でございまするというと、関東方面と北陸方面においては、電気の料金は二分の一から三分の一の料金であつた。であるからその地方に産業というものが起きた、ところが今日では極めてその差というものが少いのであります。それだけならまだよろしいのでありますが、御承知のように、いわゆる火力料金と申しますか、そういうようなものを、自分のところで水力があるにかかわらず、火力料金というものを或るアロケーシヨン以上のものに対しては押付けられている、こういうことに相成つておるのでございまするが、こういう点について是正をなさるお考えはあるかないか、この点一つお伺いをいたしたい。
  37. 古池信三

    政府委員(古池信三君) お答え申上げます。  電気料金につきましては御承知のように、戦前日本発送電株式会社ができまして以来は、いわゆる卸売料金によつて調整をとつて参りましたので、全国的に見ました場合には、料金は比較的平均化されておつたのであります。然るに一昨年電力再編成が行われまして、九つのブロックに設立された電力会社は、それぞれ企業努力を高めて独立採算制をとるという原則に相成つたのでありますから、そこに従来と比べますと、大きな地域的な差異が生じて来るわけであります。併しこれが急激に余りに大きな地域的な差異ができますと、現在ありまする産業に及ぼす影響が甚大でございますので、法令を以ていわゆる水火調整金というものを設定して、五カ年の間過渡的措置としまして、これによつて水力地帯と火力地帯との間の調整を図つて参つておるのが現状でございます。  お説のように、電力料金は原則といたしましてはコスト主義で行くべきものと考えまするので、将来この五カ年の水火調整金の制度が終りました暁には、十分に検討をせねばならんと考えております。
  38. 田村文吉

    田村文吉君 それで私は今日は通産大臣に御出席願いたかつたのでありますが、こういうような非常に不公正な、一方においては国土の開発、及び総合計画においてこういうことを考えなければならんと言つておるにかかわらず、或いは雪の多い地方或いは寒さのひどい地方に水利が満々と豊富であるにかかわらず、原価主義によらないで暖い方面にその電気料金をコンペンシエートしておる。こういうようなことはどうしても私は一刻も早く是正なさるべき問題である。こういうことを一体通産大臣はじめ総理府で御承知になつておるかどうか、こういう私は実は疑いを持つておる。こういう点から私は今のような気長なことを仰せらるべきでありませんで、こういう点を即時改正すべきものではなかろうか、こういうふうに私は考えておるのであります。その点について如何ですか。
  39. 古池信三

    政府委員(古池信三君) 只今のお説御尤もに存じますが、すでにこれは一昨年の電力再編成の際にさようにきまつたのでありまして、そのとき相当な議論があつたことは御存じの通りであります。なおその後も石炭価格の騰貴に従いまして、いわゆる火力を主としておる西日本方面の電力料金は改訂ごとに高くなつておりますので、現在も相当の地域差のあることは御承知通りと存じます。従つて我々としましては、何もわざと気長に考えておるわけではなく、やはりその間の推移の円滑化と申しますが、過渡的な措置はこれはどうしてもとる必要がある、かように考えております。
  40. 田村文吉

    田村文吉君 時間がありませんから、残念ながら又他日の機会に譲りまして、もう一つ電気の問題についてお伺いしたいのですが、私はあらゆる問題について、統制というものは米価以外には撤廃されておる、こう考えて行きたいのでありますのにかかわらず、電気に関しては未だはアロケーシヨンがある。それは平等にお互いに制限を受けるならこれは議論はないのであります。ところが特殊の産業によりましてはアロケーシヨン一〇〇%以上を受けておる。普通の産業では六〇%、七〇%の規制を受けておる。こういうようなことがありますと、それは規制ではないのだ、ただお前たちにその不足の三割に対しては、高い十倍もする火力料金をただ課するだけなんだ、こういう御説明なんであります。それは併し非常に今日の輸出貿易の振興の点から考えても、不合理極まるものである、こういうものをいつまでもお残しになつておるということは、誠に不本意なんでありまして、殊に皮肉なことは、今度造船奨励金として若干の利子の補給を造船関係補給なされる、造船業などは非常に高いほうの電力料金の部に入つておる。こういうようなことは、いわゆる今日世間では、電力の料金は化け物料金である、こう称して、一体今月の我々が払う電気は幾ら使つたけれども幾ら払うのか、来月は幾らの原価になるのか、そういうことが全然わからない。こういうような状況に、不明朗な而も非常に複雑怪奇な状況におおきになることは、一日も早く撤廃すべきであると私は考えるのでありまするが、この点につきましてそれぞれの御意見もあるかも存じませんが、代表して承わりたい。
  41. 古池信三

    政府委員(古池信三君) お答え申上げます。成るほど電気料金はこれを自由にいたしまして、統制的な扱いをしない、割当等をしないということはお説の通り私は尤もだと思いますが、何しろ現在の日本の電力事情は御承知のように、需要と供給との間のバランスがとれておりませんので、止むを得ずかような措置を講じておるのであります。従つてこのバランスがとれ次第当然に割当というようなことはなくすべきものと考えております。なお、只今業種別の不公平があるではないかというようなお話でありまするが、これは現在いわゆる標準料金と火力料金との組合せによつて料金制度ができております。これにもいろいろの批判のあることは承知しておりますが、その標準料金の割当に当りましては、特に例えば運輸交通事業であるとか、水道事業であるとか、こういう公共性の高い公共事業又は非常に原料的に電力を多く使う事業であつて、現今の日本の情勢からして特に育成をしなければならんというような僅少の事業に限つて若干の手心を、調整はいたしておりまするけれども、その他一般の産業につきましてはいわゆる小品、大口の別によつて、或いは需要の実績に基いて、或いは需要の想定に基きまして基準によつて計算されておるのでありまするから、その辺のところは余りわからないというような計算の仕方は出て来ないはずだと考えております。
  42. 田村文吉

    田村文吉君 そうおつしやると、私は材料を出さなければならんことになるのでありまするが、二十七年の二四半期における料金を一応調べて見たのであります。仰せの通りに、国鉄が一キロ一円四十二銭、私鉄が二円四十二銭、水道が二円五十三銭、ガスが一円九十九銭、石炭が三円三十三銭、鉱山精錬が二円四十六銭となつております。さつき申上げた船舶は三円六十五銭、肥料は一円四十二銭、化学工業が一円九十銭……、電気において一円も違つたら大変なことですよ。こういうことをあなた自体承知ないからそういうようなことをおつしやるのでありまするが、こういう非常な不公正が行われて而も全然表面に出ないでおるということは、これは以てのほかの話であると私は考える。だから私は決してアロケーシヨンが、電気が足りないのだから或る程度節約を五分しろ、一割しろということは私はわかる。これはお互いがすべきなんだ、けれども各種の業種によつてこんな差別待遇があるということは著しい不公正である。こういうことこそ今日は一日も早く撤廃すべきものであると私は考えるので申上げた、如何ですか。
  43. 古池信三

    政府委員(古池信三君) お言葉を返すようでありまするが、公共事業の電力料金は、これを相当程度上げまする場合には、一般の交通料金その他にすぐに影響が及んで参るのでありまして、これによつて国民生活或いは産業上に与える影響も自然大きいものがあろうかと存じます。又肥料等につきましては、これは御承知のように、特殊料金、特殊電気というものを相当量を使つておるはずであります。常時電力と特殊電力と比べますれば、当然特殊電力は相当割安になつておるということは、これも申上げるまでもないと存じますので、その点どうか御了承願います。
  44. 田村文吉

    田村文吉君 今特殊料金のことは私申しておるのじやありません。一般の需用料金と火力の料金ですね、そういうものを併せて平均した数字がこうなつておるということを申上げておるのでありまするが、こういう結果はどういうことになるかということは、あなたは一つ考えて頂きたい。その結果はどういうことになるかと申しますると、仮にそういう肥料の工場であるとか、国鉄とか、そういうものが非常に多い需要者である場合には、それ以外の需要者がいろいろその料金の高いところを背負わなければならない。その結果はこれは私の紙に関係する一つの問題でございまするけれども、一番発電圏で優位な位置にあると称せられる北陸の地における製紙工場の料金は三円五十六銭、ところが東京は二円九十銭、この遠路を二五%の電気のロスを凌いで持つて来たこの東京における同じ製紙工場の電気の料金は二円九十銭、一体こんな矛盾をどうして説明ができるか。こういう矛盾が起るということは、そもそも今のようなアロケーシヨンを各業種別になすつて、その余計料金をもらうところの事業が多くあれば、それ以外の会社は皆その犠牲になる。そういうような問題を私はそのまま放置されるというその御了見がわからない。これは一日も早くこんな業種別、それは船舶も必要であろう、肥料も必要であろう。だからお互いに電気の足らないときには三分でも五分でも一割でも電気を節約してこそ真の合理化ができるのであります。然るに特殊のものには何も統制をしない。つまり火力料金だけを考えておる他の産業においては、二割も三割も高い、十倍もする火力料金を課すると、こういうようなことでは私は政治というものは公正でない、そういう点はわからないからといつてつたらかしておくべき問題ではなくて、一日も早くこういう問題は是正なさるべきではないか、こういうことを私は申上げているのです。
  45. 古池信三

    政府委員(古池信三君) 私も只今の電力料金が全面的によい制度であるとは考えておりません。殊に御指摘のような火力料金の制度というものは非常に不合理な点があるのであります。従つて次回電力料金の改訂の場合には十分にそういう点は考慮に入れて実施したいと考えております。なお先ほど申しましたような割当問題も、今事務当月のほうで検討を加えておりまするが、できるだけ早く、こういう制度は撤廃して参りたいとかように考えております
  46. 田村文吉

    田村文吉君 私は最後にこの問題について副総理の御見解を質したいのでありまするが、かような不公正なものがやはりアロケーシヨンとして残つておるということを十分に御認識頂いて、かようなものは公に或いは利子の補給をやるとか、或いはこういう補給金をやるのだというならそれでいいのです。そうでなくてわけのわからない方法で以て莫大な補給になる。こういうやり方は一日も早く、一時間も早くやめて欲しい、こういう希望を副総理に申上げまして、どうか善処されることを希望するのでありまするが、これに対する副総理は、若し私の申上げることに間違いがあつたら、これは私は潔く兜を脱ぎますけれども、私も又資料を全部取りまとめて研究した結果、未だにこの制度はなかなか直らない。こういうことについて、非常に不満と政治の不公正を私は歎いておる。こういう点について副総理のお考えを……。
  47. 緒方竹虎

    国務大臣緒方竹虎君) 私自身十分の予備知識を持つておりませんから、とくと研究してみます。
  48. 青木一男

    委員長青木一男君) 暫時休憩いたします。    午後零時四分休憩    —————・—————    午後三時三十二分開会
  49. 青木一男

    委員長青木一男君) 休憩前に引続いて会議を開きます。  先ほど委員長理事打合会におきまして、供米完遂奨励金の問題について改めて政府の所見を質すことになりました。なおこれに関連いたしまして、衆議院における予算修正案発議者代表者のおいでを願うことになりましたので、衆議院議員竹山祐太郎君の出席を求めております。この供米完遂奨励金の問題につきましては、先般井野委員より政府に統一した意見を改めて述べるように要求されておりましたが、この点の答弁がありませんので、委員長より改めて政府代表して御答弁を促します。
  50. 亀田得治

    亀田得治君 ちよつとその点について、理事の打合会における決定は、政府並びに三党を一緒にして報告を願う、これはもうはつきり議論になつてそのように申合わされておるのであります。これは大変普通な場合と違うと思うのです。で、政府からどういう報告をされましても、各党のとり方が違つたのでは、いつもあとに何か問題が残る。そういうことで初めは政府だけの答弁を一応求めようじやないかということになりましたが、やはり各党も出てもらつたほうがはつきりしていいのじやないか、初めに政府のやつを願つて、あくる日又各党ということになつては、却つて問題が長引くだろう、そういうことで、各党の代表に来てもらう、これは改進党と自由党が同じ立場に立つてこのことをやられたのであれば、そんな必要はないのです。ところが各党の考え方が違うことは、これはもうみんなが、世間の人も全部知つておるのであります。だから、これは、やはり自由党も又分自党の代表のかたも来てもらいまして、そうして政府の発表を聞き、それに対する各党の考え方も明確にしてもらいませんと、結局又もう一遍やり直しと、こういうことに必ずなるのみならず、これは先ほどの理事会決定委員長は絶えず理事会決定ということを言われるのですが、それ自身にも反しておると私は考える。だから、これは如何なるいきさつでお一人だけをお呼びになつたか、若しこういうことにされるのであれば、再度理事会を開いてもらつて、そこで了解を得てもらいませんと、私、中田委員に代つて理事会に出ておるものの責任はちよつととれません。どういうことになりますか。
  51. 青木一男

    委員長青木一男君) 申上げます。委員長理事の打合会におきましては、提案者側を代表する人という決定でありまして、各派一人ずつという申合せは私はなかつたと思います。先般提案者修正案発議者を参考人として呼びますときも先例がありまして、一人のかたが代表されております。本日の竹山君も恐らく三派を代表する意味において出席されておることと思いますからして、委員長理事打合会趣旨に違反しないものと委員長考えます。(「異議なし」と呼ぶ者あり)
  52. 亀田得治

    亀田得治君 これは、私、理事会に出て、直接それが問題になつて来たものなんですから、今委員長がおつしやつたように、三党の中の代表一人でよろしい、そんなことは一つも聞いておりません。各党代表に出てもらうということは言つております。その場合に三人と解釈するか、一人でいいと解釈するか、そんなことは何も論議の対象になつておりません。むしろそのときの空気では、問題の性質上出てもらいたいと言つておるのですから、当然各党という意味で私はほかの委員のかたも考えておられる委員が相当あろうと思うのです。(「代表々々」と呼ぶ者あり)それは代表ですむものなら政府答弁だけを聞いたらいいのです。各党に連絡してもらつて、それは問題の性質上駄目だということになつておるのですから、そういう委員会決定自身に疑義があるのであれば、再度お聞き願いたい。恐らく木村委員にしても、ほかの委員のかたも、これは少し納得が行かんだろうと私は考えます。
  53. 西郷吉之助

    西郷吉之助君 只今亀田君から御発言がありましたが、先ほどの委員長理事打合会におきましては、今委員長が言われた通りに、三派の修正提案者代表ということで私どもは了承しておりますので、亀田君が言われるような三派の一名ずつというふうには聞いておらないのであります。
  54. 木村禧八郎

    木村禧八郎君 その点は西郷さんはそう了解されたと思うのですが、私、実は森さんがもう指摘されておるのですから、事実は今亀田さんが言われたようなことになつておるのでして、代表が一人ということにはなつていなかつたと私は思います。ですから、そのときの申合せの事実は、やはり三派から代表が来る、こういう意味になつておると私は思つておるのです。
  55. 森八三一

    ○森八三一君 この問題は、理事会で私が発言いたしましたことに皆様の御同意を願つたのでありますが、私の発言いたしました内容木村委員発言に関連して申上げたのでありまして、私の申上げた要旨は、三派間においてはそれぞれ話合いが交わされまして、意見一つになつておるものと理解をいたしておりましたので、その代表のかたに来て頂くということで、質すという意味で、私は発言をいたしたのでありますので、自分の当時の心境を申上げておきます。
  56. 亀田得治

    亀田得治君 その心境は私どもは少し受取れないところがある。森さんがお話しになつた点は、主として政府だけの答弁を求めたらいいじやないか、緑風会答弁がまだ残つておるはずだから、こういう点が重点であつたと思うのです。それだけでは却つて議事が渋滞する、一緒のほうがいいのだということを提案したのは木村委員なり私どものほうなんです。そうすれば提案者の意思を尊重するという意味から言つて、どちらがいいかわからないという場合には、こちらのほうに聞くべきでしよう。私はそれが当然だと思う。私もそういうふうに理事会決定を党の会合には報告いたしております。党の会合といたしましては、さようであるならばそれは極めていい処置であると思うから、政府に対して、改進党に対して、更に自由党に対して、更に分自党に対して、おのおの質問が別々になるのです。そういうふうに用意をして各委員が出て来ておるわけですから、それは、もう、ともかくおかしいですよ。これは理事会の時の空気は確かにその通りなんです。ほかも連れて来てもらいたいと言つたのは私どもなんです。
  57. 堀木鎌三

    ○堀木鎌三君 静かにあの時分の話合い考えてみますと、先ず第一に政府の責任ある答弁を求めようじやないか、その答弁の模様によつて、場合によれば又改めて衆議院側の提案者意向を聞かなければならん、非常に能率を害する、だから提案者側の代表を呼んでもらいたい、こういうふうに私は経過的にはなつたと考えております。
  58. 木村禧八郎

    木村禧八郎君 代表として来られても、私、堀木さんにあの席で質問したのですが、三派の協定案というものがあつて、三派が完全に意見が一致して、そしてそういう案がきちんときまつて、責任を持つて三派の意見を述べられるならばいいのですが、そういうような、きちんとしたものはない、こういう御意見であつたと思うのです。はつきりしたものはない、だけれども大体の了解点のようなものはあるかも知れない。そこでやはり各派の代表が来まして、そうしてそれが例えば竹山氏が御説明したことは自由党も分自党も同じ意見である、こういうことになつて、初めてそこに、はつきりした統一した意見が出て来るのであつて従つて私は、三派の代表というのは、各派の代表、三つの代表、そういう意味で私は了解しているのです。そうしませんと、一つ協定案というものがあつてそれを代表説明されるのならばわかるのですが、そういうものはまだないこういうお話ですから、やはり三派の代表、つまり各派の代表が三人くらい来られませんと又そこに食い違いができる、私はそう思うのです。
  59. 堀木鎌三

    ○堀木鎌三君 私の名前が引かれましたから特に申上げておきたいのですが、何か現在ここでお話しになる供米奨励金のことに関して言つておることと木村さんの言われるあの席上での三派協定というのは、供米以外の場合について全体としてそういうものがあるはずだとおつしやるから、それはない、併し供米に関しては昨日から今朝にかけてできたものがあるはずだと、はつきり私は申上げております。だから、供米の部分とその他の部分と、それに関しての私ども説明をここで混同されることは困る。それだけは、はつきり私はここで申上げられると思うのです。
  60. 松澤兼人

    ○松澤兼人君 先ほどの理事会におきまして決定をされましたことについて、いろいろ疑義があるようでございますが、この点につきましては私もその会合に出席し、私も発言いたしましたので、私の見るところを申上げたいと存じます。  先ず政府より統一したところの見解を発表してもらう、ただ併し政府だけでは果して修正提案者がその通りであるかどうかということがわからないから、同時に修正提案者の出席を求める、私の申しましたことは、三派で修正されたその修正提案者代表という意味で申したのでございました。それが図らずもこの席にはただお一人しか見えておらないのであります。これは委員長がただお一人でいいから出て来てくれと仰せになりましたのか、或いは衆議院側としてただ一人の代表者で適当とお考えになつて竹山君を出席せしめられたのか、その辺のところは私には了解が行かないのでございますが、ただ願わくば、いろいろ議論もありましたことでありますから、ただ一人ということでなく、代表代表でございますけれども、ただ一人ということでなく、各派の意向も聞き得るような人を代表の中に加えて頂いたら結構だと思うのであります。若し議事進行上、今直ちに他の会派のかたを呼ぶことができないといたしますならば、進行過程でもいいと思います。そういうふうに取計らつて頂けばいいと思います。
  61. 小林孝平

    小林孝平君 私は理事会に出席いたしませんので、只今の論議についてはわかりませんけれども委員長只今発言なされた中に重大な誤りがあるのであります。それは先般出席されました三浦政策審議会長のことでございますが、只今委員長は先般の三浦氏の先例もあるからというふうに言われましたけれども、あれは何ら先例の資格はないのであります。我々としては、如何なる資格で以て出席をしたかということを委員長にお尋ねし、委員長は答えることができなくて、これはただ聞きおくものであるということで、あれは話を聞いたのです。如何なる資格で出席されたかわからないものをとつて先例ということは甚だ不穏当であります。そういう考え方で委員長は判断されるから、三派それぞれ出席をしなければならんというような取極めになつているのに、そういう間違つた考え方で以て考えておられるから、一人でもいいということになるのではないかと思うのです。この点明らかにして頂きたい。
  62. 青木一男

    委員長青木一男君) 申上げます。委員長は一人ということは指定いたしません。三派において相談されて竹山君が出席されたものと思います。但し只今小澤君が出席されましたから、この点を併せて御報告申上げます。
  63. 亀田得治

    亀田得治君 すぐ連絡をして来てもらえないですか、あと一人ですから……。私どもの用意しておる質問が三党に対して別々なのです。結局又明日改めてということであれば、私も貴重な質問の順位を又待たなければならんので、甚だ私としても、心外なのです。すぐ連絡下さつたら党の政策委員会の誰かがお越しになれると思います。
  64. 松澤兼人

    ○松澤兼人君 只今亀田君からそういう発言がございましたので、委員長において善処して、できるだけ速かに三派の方々がお揃い下さるようにお取計らい下さいまして、進行して頂くようにお願いいたします。
  65. 亀田得治

    亀田得治君 いろいろ時間も経ち過ぎても困ると思いますから、別の機会に一つ来て頂くことに了解いたしまして、議事進行をやつて結構です。説明を求めておる間に若し間に合えば来られると思いますから、一応連絡だけは、さして下さい。間に合わない場合には別の機会にお願いします。(「賛成賛成」と呼ぶ者あり)
  66. 青木一男

    委員長青木一男君) 先般井野委員より御質問がありました供米完遂奨励金の問題について、改めて政府より統一した見解を述べて頂たいと思います。
  67. 小笠原三九郎

    国務大臣(小笠原三九郎君) 過日井野委員より御要求のございました供米完遂奨励金の件につきましては、修正案発議者とも打合せをいたしましたが、完遂奨励金は、供出完遂したる市町村に対し、その市町村内の個々の農家に交付することといたします。右政府代表してお答え申上げます。
  68. 小林孝平

    小林孝平君 只今政府の見解は非常に重要でありますので、後刻印刷をして配付して頂きたいと思います。急速に。そこでこの際三派の代表の竹山議員に御質問してよろしうございますか。
  69. 青木一男

    委員長青木一男君) よろしうございます。
  70. 小林孝平

    小林孝平君 先般三派の代表として御出席になりました改進党の政策審議会会長の三浦さんのお話では、全部の供出した農家、一石でも供出した者には八百円を出すという御説明でございましたけれども、三派の代表の統一した意見はこれと違いありませんかどうか、お尋ねいたします。
  71. 竹山祐太郎

    衆議院議員竹山祐太郎君) 只今大蔵大臣の述べられましたことは、三派の見解と一致をいたしております。小林君の御質問については、これは御承知通りニュアンスの違う三党の申合によつてできたものでありますから、その結果を実行する政府に信頼をし、又我々も監督の立場に立つて実行をすることに期待をいたしておりますから、今大蔵大臣の述べられたことで我々は所期の目的を達し得ると考えております。
  72. 小林孝平

    小林孝平君 そういたしますと、先般三浦政策審議会長説明されたことは間違いであつたということに了解してよろしうございますか。
  73. 竹山祐太郎

    衆議院議員竹山祐太郎君) 申上げたことは、それも間違いではないと申上げます。
  74. 小林孝平

    小林孝平君 只今政府の言われた声明は正確な印刷物がありませんからわかりませんけれども、市町村が完遂した場合に農家に出す、こういうことでございます。従つて全部の市町村が完遂するとは思われんのでありまして、原則的には全部出すとは了解しがたいのであります。従つて先般の三浦氏の説明とは相当根本的に食い違つておるのであります。この点竹山さんの御意見は如何でございますか。
  75. 竹山祐太郎

    衆議院議員竹山祐太郎君) 先ほど申上げましたように、三党で考えておきました結論として作りました予算は、今大蔵大臣の御答弁のような方法によつて実行すれば我々の目的は達し得ると、かように考えております。
  76. 小林孝平

    小林孝平君 どうしてそれが同じであるか、達成できるかということを御説明願いたいのです。これははつきりと違うものであります。違うものを同じであると言われるのはおかしいです。竹山さんは改進党の代議士である、政府委員ではないと思う。いつの間にか政府委員と同じような極めてあいまいなる答弁をやられておる。もつと政府委員と違つて、もつと我々と同じ資格で丁寧懇切に所信を表明せらるべきであろうと思うのです。
  77. 竹山祐太郎

    衆議院議員竹山祐太郎君) 決して政府委員なつたつもりではありません。併しお話のようにいろいろ人によつて説明の仕方が違うということは、これは決してその中味が違うというのではないので、先ほど申上げましたように、三党はそれぞれ独立政策を持つておる、その政党がこの問題について今申すような結論に到達をして、それを政府に実行をせしむるということでありまして、その細かい行政処置については我々は政府を信頼をしてやるよりほかには方法はありません。従つて何ら政府委員のつもりで答弁を申し上げておるのではありませんで、どうぞ御了承を願いたいと思います。
  78. 小林孝平

    小林孝平君 三派がおのおの考え方が違うということはわかるのです。そんなことを今聞いておるのではなくて、三浦代議士の言われたことは、全部の農家に、而も一石でも供出した場合には出すとはつきり言われておる。只今大蔵大臣の言われたのは、その市町村が完遂した場合に、その際にその農家に出すと、こう言われておる。全然違います。私は竹山さんのような専門家が、そういうあいまいな答弁をされるというのは甚だ、心外であります。もつと明確に答弁をしなければいかんと思います。
  79. 竹山祐太郎

    衆議院議員竹山祐太郎君) 私たちの立場としての答弁は、これ以上のことは、政治的な立場で協定をしたのでありますから、その具体的な行政処置について、若し私の答弁で御不満であるならば、政府からお求めを頂く以外に私は方法論では述べられません。
  80. 小林孝平

    小林孝平君 これは政府に対して政府考え方はどうだ、こう聞いたら、修正案については我々は関知しない、これは発議者の責任であるということを明確に答弁されておる。法制局長官もこれははつきりと言つておるのであります。そこで我々は今あなたにお伺いいたしておるのであります。政治的にその協定をしたのだ、その協定内容政治的にきまつたかも知れないけれども、きまつた文書の内容は、全く今三浦代議士と竹山代議士の言われておることは違つておるのであります。そこでそれを追究いたしてはつきりとしてくれ、そうむずかしいことではないのです。全部の農家に出すのか、特定の農家に出すのか、その差だけを聞いておるのであります。
  81. 竹山祐太郎

    衆議院議員竹山祐太郎君) 私はいろいろ今ご質問、心持はよくわかりますが、政府がこれを実行するのでありますから、我々の考えた方向に向つて大蔵大臣答弁をされた以上は、与党と政府関係から考えても、我々は期待した通りにこれで目的は達し得る、こう考えておる次第であります。
  82. 青木一男

    委員長青木一男君) ちよつと御報告いたします。只今衆議院議員根本龍太郎君が出席されました。
  83. 小林孝平

    小林孝平君 これは予算を執行するのは政府であることは我々よく知つております。如何にして執行するかということは、その決定がなければできないわけであります。だからどういうふうに全部の農家に八百円を出すのか、特定の農家に八百円を出すかということをここできめなければ、これは政府は執行ができないのであります。それを今聞いておるわけであります。竹山さんは非常に政治的な答弁ばかりされておりますけれども、そうむずかしい問題ではないのですから、非常に農政通を以て自他ともに許す竹山さんがそういうあいまいな答弁をされるのは甚だ心外であつて、これは政府委員にいつの間にか転ぜられたと考えるよりしようにないと思うのであります。もつと絶えず野党は、今の吉田内閣は極めて首相以下答弁が不親切であるということを我々は改進党も含めて追及しておつたのであります。ところがいよいよ政府委員類似の立場になつたら豹変いたしましてかかる簡単なことすら答弁できないというのは、いつの間にか側か米価の問題で協定されましたけれども、そのほかに近く連立内閣でもやる(笑声)というような協定をされたのかどうかということも併せてお尋ねいたします。
  84. 竹山祐太郎

    衆議院議員竹山祐太郎君) 甚だ迷惑であります。私は今日は政府委員でもなければ何でもありませんのが説明補助員として要求をされて参つたことは米の問題であつて、甚だ改進党の政治的立場に対しておだやかならざる私は御発言だと思います。これは一つお取消しを頂きたい。我々はさようなことをこの機会に(発言を求むる者多し)おつしやられるとは考えておりませんでした。我々は飽くまで予算修正の問題に亙つては、政府との間に話合をきめて農村のためによりよくなるようにという努力はいたして参りましたけれども、そのことが何ら政治的な協定とか何とかということは絶対にありません。(発言を求むる者多し)
  85. 小林孝平

    小林孝平君 甚だおだやかならないというのはどこを指摘されてそういうことを言われるのか、私は心外であります。先般副総理並びに首相はこの予算修正に当つては忍びがたきを忍んでこれを受入れた、併しこの執行に当つては、改進党その他の三派の協力を得てこれを執行すると言われておるであります。そこで我々は、この協力とは如何なることであるかということを、先般もこれは連立内閣であるか、或いはその他の閣外協力というような形でやるのかということを質問しておるのでありまして、決して私は少しも改進党に対して不穏当な言葉を吐いたのでありません。現在健全野党として活躍されております改進党の立場を尊敬いたしまして竹山さんに質問しておるのであります。そういうことを言われては甚だ我々のこれからの質問に際して脅迫されるものだと私は考えるのであります。(発言する者多し)
  86. 竹山祐太郎

    衆議院議員竹山祐太郎君) 脅迫がましくお聞きとりあつたらこれは甚だ私の発言がおだやかでなかつたかも知れませんので、これは私のほうから先に取消します。ただ私の気持は何かこの予算の共同修正をいたしたことが、改進党が全面的に政策協定によつて与党化したかのごとき御発言ととりましたので、これは我々政党の立場といたしましては容易ならざることだと私は多少語気を荒くして申したことはお許しを頂きたい。
  87. 松澤兼人

    ○松澤兼人君 二点についてお伺いしたいのでありますが、竹山さん大変興奮されましたけれども、第一点は政府協定をいたしたということでありますが、我々は協定内容というものについては全然知らされていないのである。従つて我々の立場からすれば何かそこに修正に対する政府と三党との間に秘密協定があるかのごとき印象を与えるのであります。事実巷間うわさされるところによれば、何か協定ができて関係当事者の間に調印をせられたということも聞いているのであります。こういう事実がありますならば、予算審議には非常に重要な関係があると存じますので、そういう協定が秘密でないのでありますならば、どうぞ予算委員会に御提出を願いたいと考えます。  第二には、この修正に対して改進党としては最初から、只今の竹山さんのお話にあつたのでありますが、政府が同意して政府が執行する場合においては、十分なる監督をして我々の意思を予算の実施に具現してもらうつもりであるということを言つておられるのであります。或いは政府を信頼してという言葉も使つておられるのであります。併し監督するということは如何なる法律的な意味を持つものでございましようか。国会議員として或いは政党として監督するということは、予算の執行にまで立入つてこれを監督するということを意味しておるのでございましようか。或いは又国会の審議の上において、単に実施が適切になされておるかどうかということを軽い意味で監督するという意味でございましようか。この監督するという言葉は我々聞きなれない言葉でございますので、如何なる御意思で監督するということを声を大にしておつしやるのか承わりたいのであります。
  88. 竹山祐太郎

    衆議院議員竹山祐太郎君) 第一点の秘密協定があるのかということでありますが、これはございません。何もまだ調印をした事実もありません。松澤さんも御承知のように、当初から世間が問題にいたしたように、この米の問題につきましては三党それぞれ見解が違つてつたのであります。併しながらこれを我々は今日の情勢からいたしまして、多少お互いに忍べるところは忍んで農村の生産力増大のために、この際実質的に農家の収益を殖やして、而して又消費者米価を不当に上げられないような政策の実行さえできれば、この際我々としてはこの問題の解決ができると、かように考えましてできたのがこの予算でありますから、その他の問題といえどもすべて話合の結論の予算でありますから、その他に秘密協定というふうなものがあろうはずがないわけであります。従つてこれを実行面に移すものは政府であり而して自由党も与党としてこの案に同意をいたしておるのでありますから、政府も恐らく我々の折衝の間においてお互いにその考え、立場は違いますけれども、究極において農村のために又国家の食料増産のためになることに政府は努力するものと信頼をする、この点は社会党の皆さんも御同感をいたされることと私は固く信じております。従つてこの他これに関する実施の面等において、我々は監督という言葉は或いは妥当でないかも知れませんが、与党たる立場といたしましては、我々はこのできました予算が我々の考えの線に沿つて、大きく国家のために又農村の期待に副い得るように実行できることに、終始注意を払つて行くということは当然の義務なりと考えて、松澤さんのように私は法律はわかりませんから決して法律的な意味で申したつもりではない、政治的な立場で申したのでありますから御了承を頂きたいと思います。
  89. 松澤兼人

    ○松澤兼人君 それでよくわかりました。そこでもう一つだけお伺いいたしたいことは、改進党は二重米価の設定のために非常な御努力をなされておつたのでありますが、これは大いに我々も敬意を表しております。併し行当り八百円の供米完遂奨励金というものは、二重米価として採用されたものであるか、予算の性格からいつてこれを二重米価として受取ることができるかという問題であります。或いは改進党としては忍がたきを忍ぶということは、二重米価を放棄したというお考えでございますか、この点明らかにして頂きたいと存じます。
  90. 竹山祐太郎

    衆議院議員竹山祐太郎君) 三党代表でなくて改進党に対する御質問考えますから、改進党の立場からお答えをいたします。二重米価という言葉は、私たちは依然としてあると思います。これはあたかも今政府と我々がやつておる再軍備の問題のごとく、今政府のやつておるものすら我々は二重米価と心得ております。これを一段と拡張をしたものと考えておりますが、立場を異にする政府は、これは二重米価でない、おつしやつておるのですから、これを抑えるわけには行きません。おのおの党の立場で自分の立場を主張をすることは、社会党の各位と共にこれは飽くまで主張はいたさなきやならん。従つて今回のものが自分たちの主張に合つたか合わんかということは世間の御批判を待つよりいたし方ないと思います。
  91. 戸叶武

    戸叶武君 この修正予算案提出せられて以来、参議院で問題になつたのは、この修正案に対する政治的な、法律上の問題であつたと思うのです。で、政府側においては当初修正予算修正された部分に対しては責任を負わんと言い、二回目には又変りまして政治的責任は負うが、法律上の責任は負わんと言い、三転いたしまして、政治的責任も法律上の責任も負うということになつたのですが、その三回君子豹変した政府を相手に、我々はこの修正予算案審議して行かなければならないのでありまして、この修正者の責任ということをここで我々は改めて又問題にしなければならないと思うのであります。政府側においては、発案権と提案権を持つている予算案に対して、始まりは国会に委ねた以上は、国会のなすがままに、生まれた子供は人様が作つたのだから私は責任を負わんと言つて、自分の母体を痛めたのにもかかわらず、無責任なことを言う。而もこの混血児予算の種が改進党、自由党、分自党から入つている。この混血予算の責任を三つの人に聞かなければならんというような、非常にあいまいな面があるのでありますが、而もこの修正者は、我々が極めて地味に供米完遂奨励金の問題におきまして、前にその協定ができたあとに、単なる参考人であつたが、改進三浦氏がここに来たときには、供出した農家にはすべて金を渡すというのに、今日に至つては同じ党派における竹山氏が来て、而もそれとは違う意見を言う、あの協定ができたあとにおけるこの変化は如何なるものであるか。而もあの当時における意気込みというものは、三浦さんが修正予算案代表して説明に当るような意気込みで、こちら側に参考人としての御地位でしかなかつたのですけれども、出て来たのであります。その修正予算案は衆議院において成立したのであります。衆議院において成立した修正予算案修正部門を改進党を代表して三浦氏が説明し、而も参議院の手に移つたときにおいて、衆議院においてかかる解釈をしながら、参議院に入つたとたんにおいて、改進党の竹山氏は違つた説明をする、果してここに、修正者の如何なる立場に立つておるかという疑惑が湧くのでありまして、それを明瞭にしてもらいたい。  もう一点は、即ち市町村内の個々の農家に渡すと言いますが、完遂されない市町村に渡さない結果になるであろうが、それはどうかという具体的な質問に対して何ら答えないということは、それ自身が秘密協定ではありませんか。渡すのか渡さないのか簡単な質問であります。こういう質問に答えられないようで、予算修正を加えた責任者としての政治的な道義的な責任があると言えるでありましようか。これに対して秘密協定なきやと疑惑が湧くときに、直ちに憤激を催すというようなのは、図星を衝かれた弱みを露呈したものではないかと疑わざるを得ないのでありますが、これに対して明瞭なるお答えを願います。
  92. 竹山祐太郎

    衆議院議員竹山祐太郎君) 別に図星とも何とも思つておりません。今前段の三浦君の言つたことと私の言つたことと違うじやないかとおつしやられましたが、私は違うということを申した覚えはございません。ただ政府が申しておることで、我々は三浦君と同様に目的を達し得ると申したつもりでございます。  それから答弁ができないじやないかと申しましたが、私は今まで答弁をして来たので、まだ答弁残りはないつもりであります。
  93. 戸叶武

    戸叶武君 完遂しなくとも供出したものには石当り八百円を出すというのと、今の説明とは違うではありませんか。非常に不明瞭な言葉で竹山氏は言われましたが、それでは三浦氏が言つたと同じような言葉でここで発言されることを願います。
  94. 竹山祐太郎

    衆議院議員竹山祐太郎君) 私は今日は独立答弁者でないから、政府答弁に我々は今それで間違つておるかどうかということで、最初に出ましたから申したのであつて、依然として石八百円を出した農家に払うということには、そういうことはしないということは大蔵大臣は言つてないのであります。
  95. 戸叶武

    戸叶武君 では大蔵大臣にお尋ねします。供出完遂しなくとも、供出した農家に対しては八百円を出しますか。
  96. 小笠原三九郎

    国務大臣(小笠原三九郎君) お答えいたします。供出完遂したる市町村に対し、その市町村内の個々の農家に交付することといたします。
  97. 戸叶武

    戸叶武君 供出完遂しない市町村には出すことができませんか。
  98. 小笠原三九郎

    国務大臣(小笠原三九郎君) 供出割当の適正を期しますので、さような市町村はないと信じます。
  99. 戸叶武

    戸叶武君 而もまだ文書が来ておりませんが、供米完遂奨励金供出完遂したる市町村に渡す、市町村内の個々の農家に渡すというような説明つたと思いますが、その市町村に渡した場合に、市町村長は供出完遂しないものに対しても、これを渡すことになつておりますか、大蔵大臣に承わりたい。
  100. 小笠原三九郎

    国務大臣(小笠原三九郎君) 私は大蔵大臣といたしましては、供米を完遂した市町村に対しまして、その市町村に対して、その市町村内の完遂した農家に交付する、こう言つておるのであります。
  101. 戸叶武

    戸叶武君 これは今後の前例になりますから政府はつきり答えてもらいたい。今後こういう形において供出完遂しない場合においても、完遂したと同様の待遇を行うというような責任を政府は持てますか。
  102. 小笠原三九郎

    国務大臣(小笠原三九郎君) 供出完遂しない市町村に対しましては、完遂奨励金は行わないのでありますから。
  103. 戸叶武

    戸叶武君 責任を市町村長だけに転化しようとしておりまするが、市町村長に渡されたときに、市町村長が供出完遂しない者にこの金を渡さなくともよいということになりますか。
  104. 小笠原三九郎

    国務大臣(小笠原三九郎君) 繰返し申す通り完遂した市町村に対して私は渡すのであります。
  105. 木村禧八郎

    木村禧八郎君 言うまでもなく、政府はこの予算案に基いて予算を執行しなければならんと思います。ところがこの予算案完遂奨励金というのは目に掲げてあります。この完遂奨励金は、これまではこの目に掲げてある完遂奨励金というものは、どういう形で農家に支給されましたか。これは単に市町村だけではないのであつて完遂した農家にこれは与えるのではないか、これまでの支給の方法完遂奨励金のこれまでやつて来た意味です。而して先ほど竹山氏が申されましたが、竹山氏が若し三浦氏が述べたようなことを、政府にこの完遂奨励金の目の名によつて行わせようとしたならば、これは財政法の違反を、これを政府に対して勧告するということになる。財政法違反を行うように政府に協力するということになるのだ。この点私は重大であります。従つて、これまで完遂奨励金というものは具体的にどういう形で出されたか、この点について伺いたい。
  106. 保利茂

    国務大臣保利茂君) 昨年の石八百円の供出完遂奨励金完遂市町村の内における、完遂市町村の完遂農家に出しております。
  107. 木村禧八郎

    木村禧八郎君 そうしますと、やはり完遂しない農家には出せない、結論として……、而してこの予算の目に掲げてある完遂奨励金ですね。大蔵大臣、これ今度は仮にきまつたとき、執行する場合ですよ。完遂しない農家にこれを与えた場合はこれは予算に違反するわけです。財政法違反です。そういうことになると思うのです。この目に掲げてある完遂奨励という意味は、完遂しない農家には出さないという、そういう目であります。今のお話によつてもそれをですよ、三浦氏が説明したところによれば、完遂しない農家にも、即ちこれまでの完遂奨励金と違つた意味でとはつきり述べておる。違つた意味での奨励金である。そうして、竹山氏は三浦氏と意見は違わないと言つておる。そうしますと、この予算がきまつたときに、予算を執行する場合、若し完遂しない農家にこれを支払つたならば、この予算の違反であります。財政法違反なんです。会計検査院がこれは厳重に取締らなければならん。そういう予算に違反することを予定して、予定してこういう協定をするということに対して、我々は予算委員として、こういうことは認められない。こんな不明朗なことはありません。従つて大蔵大臣にこの点について明確に私は御答弁願いたい。なぜこれをはつきりと款項を起して、新らしい予算項目を組まないか。性質は違うのであります。この点について大蔵大臣の御答弁を願いたい。
  108. 小笠原三九郎

    国務大臣(小笠原三九郎君) 国会が御修正になつたのであります。(笑声)
  109. 岡田宗司

    ○岡田宗司君 極めて簡単なことからお伺いしますが、一つ一言々々御答弁願います。大蔵大臣にお伺いします。或る村が千石の割当てを受けた。その村の農家が百戸ございまして、そしてまあこれを十石ずつ出すことになつておると仮定します。その場合そのうちの二戸の農家が何かのことで五石しか出せない。ところが他の農家が十五石出したことによつて、この村は完遂したことになります。そこで問題になるのは、この村は完遂したのでありますから、大蔵大臣の言う通りにちやんと完遂奨励金は石八百円千石あたりやつて来る。そのうちで何かの都合で五石しか出なかつた家は石八百円、五石分もらえるのかもらえないのか。又十五石出した農家は十石分しかもらえないのか、十五石分もらえるのか、その点の御答弁を……。これは簡単な、予算よりもむずかしくない算術的答弁ですから、一つ余計なことを言わないで数字を御答弁願いたい。
  110. 保利茂

    国務大臣保利茂君) 便宜私からお答え申上げます。今回の修正は先ほど来提案者からもお話がございましたように、如何にせば所要の供出量を確保することができるかという政治的配慮から修正が行われたと存じます。従いまして所要の供出を確保いたしまする末端の責任区としましては、私ども市町村を考えておるわけなんです。従いまして適正な割当が行われます以上は、必ずや今日まで農家の方々の協力を得て来て供出というものも行われているわけでございますから、必ず割当供出はできるという考えの上に立つておるわけでございます。従いましてその町村内において割当てられましたものが完遂せられました以上は、その完遂せられました全部に対しまして石八百円の奨励金を支払つて参りたい、こういうふうに政府としては扱つて行きたい、こういうふうに考えております。
  111. 岡田宗司

    ○岡田宗司君 私はそういう政治的な御答弁を伺いたいのじやない。政府は執行するというから執行には方法がある。その執行の方法の場合に今私が申上げたようなことが起り得る、そこでお伺している。よござんすか。供出はあなたは割当てられたら必ず出るものだというようなお答えであつた。そんなら今までの農林大臣はのほほんとしておれば勤まつていた。根本さんも供出で随分お苦しみになつていた。ほかの農林大臣もお苦しみになつていた。そこで出ない例がある。だから私は今例を設けて、そういう場合にどうするかということをお伺いしているのです。端的にお答えを願いたい。
  112. 保利茂

    国務大臣保利茂君) 行政措置としてそういうことが起らないようにいたしたいと申上げておるのであります。
  113. 岡田宗司

    ○岡田宗司君 行政措置として起らないようにいたしたいということは、まあ成るべく供出をさせたいとは、みんなさせたいと言うのだけれども、去年でも一昨年でも、一昨々年でも、村でさえ割当てられた一〇〇%も供出完遂できないで、九〇%で済んでおる所がある、九九%の所もある、そして又今度村の中を見ますと、一〇〇%、一〇二%出た所におきましても、中は凸凹なんです。今年はそれじやそういうふうに全部が一〇〇%ずつちやんと出るということをあなたお約束できますか。私はまあそんなことを聞いておるのじやないが、とにかく去年までの例からいつて、私の申上げたような例が事実起つておる。この場合に一体どうするか。これに対してあなたのほうは村に渡した金を分ける基準を何か示さなければならない。その基準はどうやつて示すのです。それをお伺いしたい。
  114. 保利茂

    国務大臣保利茂君) これはもういろいろの場合を想像すれば、いろいろの場合が起り得ると思いますけれども、ともかくも今回の修正の国会の意思というものが明らかでございます以上は、その意思に従いまして十分責任のとれるような措置を講じて参りたい、こう申上げるよりほかないと思います。
  115. 岡田宗司

    ○岡田宗司君 国会の意思が明らかであるとかないとか言つておりますが、この三派修正案食違いがあつて明らかでないから聞いておる。そこでそれじやどうも保利さんに聞いてもしようがないから、私は三派の代表のうちで、一つ根本さんにお伺いします。根本さんはそういう場合にこの五石しか出さない者にやはり完遂奨励金は行くものとお解しになつて、この三派の協定を作られたのかどうか。
  116. 根本龍太郎

    衆議院議員根本龍太郎君) 我々が供米完遂奨励金を出すに当つての了解に当りましては、先般三浦君が御説明なつ通り、五行の供出をした人にも、いわゆる個人割当全部を完全に遂行しなくともこれは出すべきものなりとの了解の下に、我々は改進党とは了解しておるのであります。
  117. 岡田宗司

    ○岡田宗司君 実にはきりしておるのであります。だからこそ三派の代表においでを願つたわけであります。竹山さんはどうも改進党の三浦さんの御意見とも違うようでございます。併しそれはそれといたしまして、今のような了解事項でこれが成立しておるということはまぎれもない事実であります。而も昨日は大蔵大臣はつきりと完遂しない農家には出さない、こう言つておる。今日は完遂した町村に出すと、その中において完遂しない者がある場合にどうするかということにはお答えになつておらないのでありますが、とにかく昨日佐藤幹事長と竹山改進党副幹事長等との間で、この問題についてお話合いができたようであります。そのお話合いが今根本さんの言われたようなお話合いであつたかどうかを先ずお伺いしたいと思います。
  118. 根本龍太郎

    衆議院議員根本龍太郎君) お答え申上げます。佐藤幹事長と改進党の関係者の諸君とどういうお話合いしたか私は存じておりません。従つてこれに対して私は答弁する必要はないと思います。
  119. 岡田宗司

    ○岡田宗司君 そういたしますと、どうも三派の修正案が固まつて今日の大蔵大臣のお答えになつたとは思われないのであります。先ほどどなたかが秘密協定と言われましたが、どうも今の様子を見ますというと、改進党と自由党の間に何か秘密協定があつたというふうにもとれる。併しまあそれは別といたしまして、竹山さんにお伺いしたい。一体根本さんは、三浦さんが言われたように、完遂しない農家でも出すと、こうはつきり言つておられる。これが三派のほうで、而も改進党もそう考えておつたと、こう言われる。今その問題について竹山さんは如何にお考えになつておるか。或いは又昨日の自由党との話合いはどういうものであつたか、一つそれを明らかにして頂きたい。又この点について自由党改進党の間に或る種の文書ができておりましたならばそれを見せて頂きたい。
  120. 竹山祐太郎

    衆議院議員竹山祐太郎君) 先ほどから申上げましたように、今根本さんのおつしやられたことは、私のほうの三浦君の言つたことと同じであつて、そういう考え方があることを何も私は初めから否定をしておるのではありません。そういう考え方、それが三派の間で実行のまとまり方を今政府が言つておられるので、私は今大蔵大臣答弁によつて、今申したような考え方が実施し得ると考えておるから、そのことをお答え申したようなわけでありまして、何らその間において根本さんと我々との考えが違つておるとは考えておりません。なお文書でどうこうということでありますが、先ほども申上げましたように、何ら秘密協定はございません。併しいろいろこの間話合い等が政党間で、これだけの大問題でありますから、出ることはこれは止むを得ないといいますか、当然のことであつて、そのことがいろいろに伝えられることも、これはいたし方ないと考えます。まあ私はいろいろ御質問なさるお気持も十分わかりますし、率直に申せば、我々から見ておりますと、参議院の御論議に対しては敬意は表しますが、又半面政府側も余りに皆さんがたの憲法違反論、木村さんの鋭鋒に対して怖じけをふるつたか、法律論的答弁だけをしておるということを私は感じております。勿論法律を無視してどうこうではありませんけれども、款項目を新設することは憲法違反なり、或いは財政法違反なりというそういう問題だけにとらわれて、今日国家の重大な段階に来ておる国内食糧増産のために、この修正予算という、限られた枠の中で、この問題を解決するために我々は努力をいたしましたことの気持は、社会党の各位も御理解を頂けるものと信じます。従つて政府も私から言えば、率直に申せば、余り法律論の末梢の議論の答弁をなさらないで、改進党の考え方は社会党の各位と私はいささかも違つておらないと思いますから、さような意味において政府政治的にもつと率直に、木村さんのお許しを得るならば、憲法の許し得る範囲においてこれを刻下の重大な時局に対応し得るように、国民の税金を有効に使うことに政府は勇気を出したらいいじやないか。かように考え、私の意見を附け足して誠に申訳ありませんけれども、先ほどからの御質問に対して、率直に私の気持を申上げて補足をいたす次第であります。
  121. 岡田宗司

    ○岡田宗司君 どうも大変能弁に、顧みて他を言われたので、どうかと思うのですけれども、次に小沢さんもお出でになつておりますから、小沢さんにお尋ねいたします。国会対策委員長といたしまして、この問題にはいろいろ御苦労を重ねられたと思うのです。そこで先ほど私が申上げました設例、即ち或る村で完遂をした供米の代金が来る。そのうち二戸が何かの都合で五石しか完遂できなかつた、そこにもこれを渡すように政府は執行の際に指示するということを前提としておきめになつたか、話合をおつけになつたかということを率直に一つお答えを願いたい。
  122. 小澤佐重喜

    衆議院議員小澤佐重喜君) 一口に答弁をすれば、大蔵大臣の答えた通り、竹山君の答えた通りというだけなんですが、皆さんの衝こうとするところは、大体わかつておるのです。ですからざつくばらんに内輪を話しますが、つまりお互いの協定に際しましては、改進党はどこまでもあなたが質問のように、供出が完了しなくとも八百円は出すという意見だ、私のほうはそれじや困るという意見なんです。そこでうんと議論した結果、これは行政措置であるから、これは政府は我々の希望を容れて最も適切なことをやるのが適当じやないかという話であつた従つて政府はこの両党の考えを如実に表わすような施策をするものと私は信じております。
  123. 岡田宗司

    ○岡田宗司君 小澤さんは私のほうは反対だ、併し政府では改進党或いは鳩山自由党のほうの意見を容れて、一つ執行に当つては十分考えるというお答えであるといたしまするならば、それは憲法論はともかくといたしまして、はつきり改進党、鳩自に八〇%お譲りになつたものと了承いたしますが、そう解釈してよろしうございますか。
  124. 小澤佐重喜

    衆議院議員小澤佐重喜君) そこまで言われては困るのですが、やつぱり自由党も相手方の人ですから、やはり尊重の仕方は五分五分でやつてもらいたい。その意味政府に一任……。
  125. 岡田宗司

    ○岡田宗司君 ここまでお聞きすれば私は三党のかたには御用ない。それで、大蔵大臣にお伺いしたい。大蔵大臣は今の小澤さんの答えを聞かれて、そうして昨日の完遂しない農家には出さないというあの御答弁は責任を以てお取消しになるのか。それともあの答弁を発展せしめたものが今日の答弁であるのか。お取消しになつたのならお取消しになつて、実は新らしく今日の答弁をしたのである、二派の話合いが昨日できたので、そういうことにしたのである……、この点を一つはつきりお答えを願いたい。
  126. 小笠原三九郎

    国務大臣(小笠原三九郎君) どうも私としては答弁を取消すということでなくて、供米を完遂した市町村に対して、その市町村内の農家に交付する、こういうのでありますから、而もこれを農林大臣のほうへ確かめてみれば、供出割当の適正を期するから、完遂しない者はないと、こういうふうに聞いて私は承知しておるので、今なお取消しとか、そういうことじやなく、やはり完遂農家に出す、こういうことにいたしております。
  127. 岡田宗司

    ○岡田宗司君 私はとにかく三派の話合で小澤さんがあそこまで言われたのだから、そこで大蔵大臣も先ほど竹山さんの言われたような法律的な答弁でなく、政治的な答弁政治的な答弁といつても、私が先に申上げましたような、説明をごまかすのでなく、何かもうちつと率直に言えば、色のついた話ができそうなもんだと思うのですが、あなただつて腹の中に持つてないことはないと思う。保利農林大臣でもそうだと思う。あなたがたがこれを食糧事務所のほうへずつとやる場合に、この金の支払いについて何か政令なり、規則なりいろいろなものを出すのでしよう。そのときの考え方というものを私はやはりこれは完遂しない農家には出さんという建前で行くのか、ぼやかして小澤さんが今言われた程度のもので何とか出されるのか、どつちかはつきり御返答願いたい。
  128. 保利茂

    国務大臣保利茂君) この問題は昨日来申上げて参つておりまするように、要は三党間において国内食糧を如何にして確保するかという政治的な配慮から修正が行われておるわけでございますから、その三党修正の御意向に沿いまして、支障なく執行をいたすように手続をいたしたい、こう申上げたのであります。
  129. 岡田宗司

    ○岡田宗司君 支障なき執行は大変結構でございます。その支障なき執行の際に誤解や混乱が起ると困ると思うので、先ほどこれは怠けて出さないとか何とかというのでなくて、たまたまいろいろな客観的な事情から出せない人も出て来るのだということで、先ほどから問題にしておるのでありますが、完遂せる農家でなくて、何とかそこは完遂させるためにとか何とかということの、言葉のニュアンスが匂うようなものを出せるかどうかということをお伺いしたい。
  130. 保利茂

    国務大臣保利茂君) そのことは申上げておるつもりでございますが、町村において割当量が完遂せられましたならば、個々の農家にはその全量について石八百円をお払い申上げます。
  131. 岡田宗司

    ○岡田宗司君 それでは次に農林大臣にお伺いしたいのは、例えばいろいろな事情で町村で完遂非常に困難だという場合に、その町村はどうお取扱いになるか。これは三派のかたにもお伺いしたい。又農林大臣にもお伺いしたい。その場合にどうか、一言ずつお願いいたします。
  132. 保利茂

    国務大臣保利茂君) こう申せば又言い逃れをするとお叱りを受けるかも知れませんけれども供出の割当が如何に困難であるか、適正公正を期することが困難であるかということのそれは裏からお話の点だろうと思います。この奨励金取扱いにつきましては、割当の適正を飽くまで期して行かなければならぬ、それによりまして支障なく執行できるようにいたしたい。
  133. 岡田宗司

    ○岡田宗司君 どうも禅問のような答弁で私頭が悪いので一向わからないのでありますが、完遂のできないような事態が起る、例えば本年度のこういうような天候の場合には往々にして起る。表面だけはいいけれども、取つてみたらえらい少いという場合も起る。補正の問題も起つて来るのであります。そこでお伺いしたい。まだ完遂しない農家があつて、いろいろ例えば早場米の場合なんか見ますというと、早場米は相当出るけれども、或る村からの完遂は相当遅くなる。そういう場合には早く早場米を出す人々にこれは別にこの八百円をつけてポツと払うのか、それとも十二月の末なり翌月の二月になつて完遂するまでこの八百円をお預けにしておくのか、その点も一つお伺いしたい。
  134. 保利茂

    国務大臣保利茂君) 私はこの修正案を執行いたしますためには、町村供出が完了いたしましてから支払うべきものであるというように理解をいたしております。
  135. 岡田宗司

    ○岡田宗司君 そういたしますと、二度に分けてお払いになる。それでその二度に分けてお払いになるのについて第一回供出、特に早場米の場合日におきましては、支払が二月の中旬までに或いは払われる、もつと早いのもあるかと思うのでありますが、例えばその場合に割当量の補正等でいざこざしておりまして、それが非常に延びた場合に、年内に農民が相当金が要る場合にもこれは払わないで、例えば年が明けて金が足りなくて困つているときにも払わないで、年が明けて完遂してから払うというようなことをやるのか。それともそういう建前ではあるが、いろいろ執行上には問題もありますので、便宜を図るおつもりなのか、その点をお伺いしたい。
  136. 保利茂

    国務大臣保利茂君) 無論これは生産農家の便宜ということも考えなければならんと存じますけれども、同時に又国民全体の血税でございますから、この支払いについては厳正に行なつて行かなければならんという上から言いますれば、やはり一応完遂市町村にお支払いをするという建前で行くべきがいいのじやないか、それは私の考えでございます。
  137. 岡田宗司

    ○岡田宗司君 今私の考えということでございますが、執行の責任はこれは農林大臣がおとりになる。そこで一つ三派のかたにお伺いしたいのですが、そういう意味で解して分けて払う、そうしてその間に便宜が認められないというふうに御了解になつてつたのでございますか。
  138. 竹山祐太郎

    衆議院議員竹山祐太郎君) 先ほどから申しておるように、政府が執行をする細かい点まで三党できめるということにはできませんから、これは我々は信頼して目的に達するように、保利農林大臣が言わなくても十分これはやつてくれるものと考えておりますので、個々の問題については我々は個々にきめてはおりません。
  139. 岡田宗司

    ○岡田宗司君 どうも竹山さんの答弁は一向私どもは頭が悪いので理解ができないのですが、先ほどは監督をされる、こう言つておる。執行の監督をするのもただ漫然とやつておるのじやなくて、何か考えがあつておやりになるだろうと思いますから、このくらいのことはお考えになつていなければならんはずだと、私は少くともこの問題については十分御造詣の深い竹山さんは考えておられないはずはないと思う。そこで根本さんも農林大臣の御経験で十分にこういう問題には行政上措置がどういう作用を及ぼすかということをよく御存じと思う。ちよつとその点は根本さんに執行上の問題をどうお考えになるかお伺いしたい。
  140. 根本龍太郎

    衆議院議員根本龍太郎君) お答え申上げます。只今竹山君から御答弁なつ通り、我々は執行の細部について一々これについて協定したのではございません。従つてその点は挙げて政府の執行の便宜、我々の趣旨従つて最も有効適切にやることを期待しまして、これは何ら協定はいたしておりません。
  141. 小林孝平

    小林孝平君 先ほど根本さんは、三浦さんの御説明通りだと、こうおつしやつた。ところが小澤さんと竹山さんの話は、三浦さんの話と違うのであります。そうしますと、初めは三派協定ということでございますけれども、いつの頃か知らないけれども、両派ということになつたのでありますが、その点只今でも三派協定という線は狂つておらんのかどうか、根本さんにお尋ねいたします。
  142. 根本龍太郎

    衆議院議員根本龍太郎君) 我々が衆議院においてこの修正予算を出す場合においては、若干の解釈上の主観的な食い違いがあつたと思いますけれども、我々がこれに協定したときに私はこれに立ち会いましたが、その当時におきましては、三浦君が言われた通りに了解しまして、我々はこれに賛意を表した次第でございます。
  143. 小林孝平

    小林孝平君 そうしますと、初めは完全に三派、同じ三浦さんの言われた通り意見であつたのが、本日になつたら根本さんだけではずされて、自由党改進党の両派だけ、若干の三浦さんの解釈、当初の三派の協定と違つた協定をなされた、こういうふうに解釈することになりますが、それで差支えありませんか。根本さんにお尋ねいたします。
  144. 根本龍太郎

    衆議院議員根本龍太郎君) お答え申上げます。私はその後変更になつたとは何らの通告を受けておりませんので、さようには存じておりません。
  145. 小林孝平

    小林孝平君 そうしますと、これは非常に問題でありまして、委員長ちよつと御注意をして頂きたいのでございまするけれども、先ほどこの会議を開くに当りましても、政府と三派の代表者だけ呼べば、一人呼べばいいということで、強硬に委員会の再開を要求されたのであります。ところが今聞いてみますと、相当食い違つておると、こういうことでございますから、もう少し慎重にこの事態の移り変りを委員長においても十分注意されまして、今後の審議に当つて頂きたいと思います。  次にお伺いいたしますが、大蔵大臣供出の割当は適正に行なつておるからそういうことは絶対ないと言われますれども、如何なる根拠に基いてかようなことを言われるか。例えば昨年度全国の最大の生産県であるところの新潟県においては、供出を完了した農家と、完了できなかつた農家とは同じ数の農家があるのであります。半分は供出が完了できなかつたのであります。又数量においても、完了した数量と、完了できなかつた数量は同様であつたのでありまして、大蔵大臣は、この新潟県の農家の半分は供出を怠慢の結果供出でなかつたと言われるのかどうかをお伺いいたします。これは新潟県の農家にとつては極めて重大なることでありますから、お伺いいたします。
  146. 小笠原三九郎

    国務大臣(小笠原三九郎君) 今度は市町村がこういうふうに供米完遂奨励金について責任を持つことでもございまするし、又今のような例等に鑑みて、適切なる農林大臣のほうで責任を持つて、この各農家の完遂ができるような割当をすると、こういうことを言つておられるのだから、自分も同僚たる農林大臣施策を信じて、これに賛成しておるわけであります。
  147. 小林孝平

    小林孝平君 それならば農林大臣にお尋ねいたしますが、本年度に限つて従来とどういう方法の変化があつて適正なる割当ができることになつてか、従来何年も何年もやつても、これは供出は適正に行かないことは、天下周知の事実であります。各農家は非常に不満を持つておるけれども、止むを得ず国家の要請に応えて無理をして供出しておるのであります。それを供出が適正であるからと言われますけれども、農林省は昨年までの割当と今年の割当と如何なる方法が変つたか、どういう新たなる科学的な方法を採用されることになつたかをお伺いいたします。
  148. 保利茂

    国務大臣保利茂君) これは専門家の小林さんでございますから、供出の割当が非常に困難だということは、もうその通りでございます。恐らく神様でもなかなか困難なむずかしい問題でございますが、併し、よりできるだけ人力の及ぶ限り、適正な方法を講じて行かなければならん。併し今年度の割当をどうするかと言いますることは、これからの作況等にもかかつて参りますから、作況作柄等を勘案しまして、できるだけ実情に即して適正な割当ができるように検討をいたして参りたいと考えております。
  149. 小林孝平

    小林孝平君 そういう極めて政治的な御答弁を今お伺いしておるのじやなくて、全国の農家はそういうむずかしい政治的な答弁を聞いてもわからんのであります。具体的に非常に割当が下公正である。今農林大臣は作況、作柄を勘案してと言われておつたけれども、これは例年勘案しておる。そうしてできるだけ適正にやろうとしておるのです。ところがどうしても不公正になる。そこで非常に不満であるけれども、やつておるわけです。それを今年どういう方法を新たに採用されたかということをお尋ねいたします。従来と同じであれば又同じ結果になるので、そこをはつきりと農家にもわかるように説明してもらわなければ困るのであります。
  150. 保利茂

    国務大臣保利茂君) 只今まあ大体水害等によりまして、やつと植付の終つた所もある程度でございます。今後の作柄を見なければ、これを具体的にどう割当てるかと言われても、今日はちよつと無理だろうと思います。
  151. 小林孝平

    小林孝平君 まあこれは幾らやつても仕方がありませんからやめますけれども大蔵大臣は先ほど村に今年は割当をするのだから、それで村が責任を持つてやる、いつからそういうことに割当当がなつたのですか。供出割当というのは個人に行われ、個人の責任においてこれが行われるのであります。村に割当てられ、村の責任ということはないのであります。これはいつからそういうように法律が変りましたか、大蔵大臣にお伺いいたします。
  152. 保利茂

    国務大臣保利茂君) 便宜私からお答えいたしますけれども、私も実は余り詳しくないのでございますが、結局国は県に割当をし、県から郡に割当をし、そうして郡から市町村に割当をして、そうして市町村内において個々の農家に割当をして行く。そこでどれだけどこで一体出て来ることが、食糧事情から来る国の要請に応えて頂く最低のところであるかと言えば、やはり市町村でございますから、そこで市町村の割当供出ということに重点を置いて行くことが一番実情に即しておるのじやないか、こういうように考えております。
  153. 小林孝平

    小林孝平君 農林大臣の御説明は、そういうことは説明にならんのであります。市町村長にその供出の責任はないのであります。供出をするという責任はないのであります。割当をするかも知れないけれども、責任は個々の農家であります。だから農林大臣はそういうことをおつしやつても、それは説明にならんのであります。甚だこちらも迷惑いたします。そこで具体的に申せば、市町村長が割当をする、市町村長が非常に不合理な割当をした結果、供出ができないことになる、市町村長の責任を個々の農家が負えということでありますが、そういうことができるかどうか、農林大臣はおわかりになるだろうと思う。一体市町村長が不適正なる割当をやつた結果、供出ができなくなつた、その農家が、完遂奨励金はもらえないということになつたら、それはその農家としても非常に不満だろうと思います。そういう説明では納得できません。
  154. 保利茂

    国務大臣保利茂君) これは併し小林さんにそういうことを言うと、又怒られるかも知れませんけれども、農林省が個々の農家に割当てるものでないことはわかり切つたことでございます。結局末端の市町村に来ますれば、市町村長が農民の利益代表機関であるところの農業委員会意見を聞いて、そしてできるだけ適正な割当をいたして参る、そういうことになつておりますから、それはそれでよかろうかと思います。
  155. 小林孝平

    小林孝平君 そんなことをお尋ねいたしておるのではありませんけれども、これは審議の都合もありますからやめますけれども、私は竹山さんにお伺いいたしたいのは、今度の完遂奨励金は二百四億円出ておるのです。これは予定供出割当量が二千五百五十万石、これに八百円かけて二百四億円になつておるのであります。そこで当初このように全部二千五百万石を割当ててそれに全部を出すという考え方だから、この予算でそういうふうな計算になつておるのです。ちやんと金があるのにもかかわらず、それをやらんというのは、一体どういうふうにしてそういうお考えになつたのか、ちよつとお尋ねいたしたいと思います。これは大蔵大臣と竹山さんにお伺いいたします。
  156. 竹山祐太郎

    衆議院議員竹山祐太郎君) 先ほど根本さんに御質問のときに私にも関連ありと考えたから、先にそのことを申上げたいのは、三党間で少しも今日まで話合いは変つておりませんことを明瞭にいたしておきます。それから今の御質問については、お話通り我々は供出数量というものについては、三党間できめたのではありません。石八百円ということだけをきめたのでありますから、これを何石にかけて幾らの予算になるかということは、政府がはじき出したのでありますが、併し趣旨として全部出せるようにというのが我々の主張でありますから、さような予算ができたことと私は考えております。
  157. 小林孝平

    小林孝平君 甚だ重大なことを竹山さんが今おつしやつたのですけれども、自分たちは八百円を出すということだけで、あとは幾ら供出数量があつて、そして金額が幾らになつたということは政府がやつた大蔵大臣お話によりますと、これは全然関知しないと、こう言つておられる。これは非常に重大な食い違いであります。それならばこの計算は誰がやつたか、政府がやつたと、今竹山さんが言われたのですが、先ほどからの、先般来の御説明と全然違うのですか。どうですか。
  158. 小笠原三九郎

    国務大臣(小笠原三九郎君) この修正内容については提案者のほうでやつたのでありますけれども、この予算は二千五百五十万石、八百円としてこれは編成されているのであります。
  159. 竹山祐太郎

    衆議院議員竹山祐太郎君) 私の答弁が足りなかつたようで、誠に政府にも皆さんにも御迷惑だつたと思います。私の申した意味は、供出数量というものを幾らにするかということは三党協定内容ではない、従つて石当り八百円ということを三党協定できめたのですから、当初の政府原案の供出数量に基いてこういう予算ができたのだということの中間の説明を抜きましたので、或いは御理解ができなかつたか、この点を補足をいたします。
  160. 小林孝平

    小林孝平君 そこでそういうことだろうと思つてさつきの御質問をいたしたのです。割当が二千五百五十万石だ、これに全部やろうということであるから、八百円をかけて今の二百四億という金が出たのであります。それを竹山さんにお尋ねしたのです。初めから全部やろうということでなければこの数字は出て来ない、それをお尋ねいたしたい。
  161. 竹山祐太郎

    衆議院議員竹山祐太郎君) その点は三党の協定で全部にやることがこの際の狙いである、ただ御質問のようにやれないものもできるじやないかという御心配は、政府は、両大臣はそういうことにならんように全力を挙げて善処をすると言つておられることで、予算としてはそのやれそうもない分というものを算出して除いておくということは不可能だと思いますから、そこで十分全部出せるように予算を組まれたものと私らは考えております。
  162. 小林孝平

    小林孝平君 只今までのいろいろの質疑でいろいろ重大なことがわかつたのでありまするけれども、これは後刻又お尋ねすることにいたしまして、最後にお尋ねいたしたいのは、政府の統一せる見解によりますれば、この八百円をどういう農家に出すか、その対象は何にするかということは、挙げて国会に任せたということを大蔵大臣法制局長官はつきり言われておるのであります。ところが現在までに出ている意見というものは、政府の初めに言われた、完遂した農家にだけ出す、それから本日言われました市町村単位に完遂した際に出す、こういう二つ意見、それから三浦政策審議会長の言われた全部の農家に出すという案、それから竹山さんが先ほどから言われているように、これは全部政府に任した、こういうような四つの意見があるのでありまして、我々はこの四つの意見に基いて、今までの政府の統一せる見解のように、我々が勝手にどれにきめてもいいかということをもう一度政府に改めてお伺いいたしまして、私の質問を終ります。
  163. 小笠原三九郎

    国務大臣(小笠原三九郎君) 政府といたしましては先にお答え申上げた通り完遂奨励金供出完遂した市町村に対しその市町村内の個々の農家に交付することと、かように解釈しておることに一定いたしております。
  164. 中田吉雄

    中田吉雄君 竹山議員にお伺いしますが、低米価を改めて適正米価にしようというこの政策的な意図は明らかに一歩前進といたしまして、十分ではありませんが、私はその努力には敬意を表します。併しこれが改進党なりその他根本さんのほうの協調を得られた趣旨が実現するためには、産米検査の規格が不必要に厳重にされないということが非常に大切ではないかと思うのです。私昭和二十一年から昨年まで、並びに戦前この全供出量の等級別のパーセントを調査して見たのです。ところが昭和二十四年は二等が一二%ぐらいあつたものが、最近は非常に厳重になりまして、二%ぐらいになつておる、三等が四等になり、四等が五等になるというようになつて、昨年度出されました六千数百万俵というものが仮に昭和二十四年の等級別のパーセントとするなら、百姓は実際四百四十四億たくさん得ていなくてはならんという結果になつているわけなんです。そこで私としましては、この趣旨が活かされるためには、大体昭和二十四年頃から特別な天候上の異変でもない限り農家の産米が非常に改良されていますので、どうしても不必要に産米検査が厳重にされて格付を落されてしまつて、この八百円というものが無にならないような政府に対する要望なり措置を国会として意思をはつきりしなくては、この立法上の趣旨が活かされないと思うわけでありますが、その点については何らの御心配をお持ちでないでしようか、お伺いしたいと思うのであります。
  165. 竹山祐太郎

    衆議院議員竹山祐太郎君) いやそういう御心配も是非一つ一緒に解決をして参りたいと思つておりますが、三党の協定内容には盛込んではございませんでした。
  166. 湯山勇

    ○湯山勇君 この問題はいろいろやるといつても、もつと具体的資料で問題を片付けるべきでありますから、ここ数年間おけるあところの供出状況の資料を農林大臣から出してもらいたい。それは一つ供出農家の数、完遂農家の数、完遂ができなかつた農家の数、それから完遂できたところの市町村、完遂ができなかつたところの市町村、この数字が明瞭にこの問題を論議するところの数字的な資料となりますから、これを農林大臣から成るべく早く提出してもらいたいと思います。
  167. 保利茂

    国務大臣保利茂君) どこまでの資料がございますか、私の手許にはございませんが、できるだけ御要求の資料は提出いたすように、整います限り提出をいたします。
  168. 湯山勇

    ○湯山勇君 これは抽象的な論議では水掛け論になるから、私はこの数字的な資料を求めたのでありますから、少くともこの供出問題をめぐつての論議が今日中心になるときに、農林大臣がその資料を整えてここに出ていないというのは、非常に私は怠慢ではないかと思いますから、これは明日でも即刻提出をお願いしたいと思います。  もう一つの問題は、この予算案修正予算案というものが衆議院で成立いたしまして、衆議院においてその見解は、速記録にも残つているように、修正者の見解も又政府の見解も明らかになつておるのでありまして、この修正された予算案というものが参議院に移つて参つて来たのであります。而も参議院にすでに渡されてしまつてから、修正予算案というものの解釈が勝手に修正せられてよいものかどうか。参議院自身においてこれに対する審議なり修正がなされたのなら別でありまするけれども、すでにその予算案は衆議院の手から離れて、参議院に渡つたのであります。而も参議院に渡つて、その参考人とは称しながらも、改進党の三浦氏から明確なこの修正予算案に関するところの説明がなされたのであります。それと今日におけるところの説明が食い違つておるのでありまするが、衆議院において修正せられたところの予算案が、衆議院の手を離れて参議院に渡つてからなお且つこの修正予算案に対するところの修正権を衆議院がこの参議院審議の過程において持つているものか。この問題に対して政府側から責任ある人の御答弁を願います。
  169. 小笠原三九郎

    国務大臣(小笠原三九郎君) 参議院は独自の立場において修正をなさるのなら御修正をなさり、又御審議を頂きたいと存じております。
  170. 木村禧八郎

    木村禧八郎君 簡単に一言質問いたします。先ほど私の質問に対して大蔵大臣お答えになつておりませんでして、ただ国会がきめたのである、こういうようなことを言われましたが、私の質問はこの竹山さんの先ほどの憲法論議の御意見もございましたが、竹山さんの御専門家の御意見は十分私も敬意を表し尊重しておるのであります。併し予算委員としてこの予算、或いは財政法に違反したことを……我々は明らかに違反することを認めるわけに行かないのです。ここはこの矛盾をどう調整するかということも一つの問題であります。そこで完遂奨励金というこの目において政府がこれを実行する場合、先ほど完遂しない者までもこれを出すということは、これは財政法、予算に違反するのではないか、この点を伺つているのです。違反するかしないか、この簡単などちらかの御答弁を頂けばよろしいのであります。大蔵大臣から重要でありますから……。
  171. 小笠原三九郎

    国務大臣(小笠原三九郎君) 代つて政府委員から答弁いたさせます。
  172. 河野一之

    政府委員(河野一之君) 私から便宜申上げますが、毎年の予算の科目は毎年の予算できまることでありまして、その科目で如何なる経費を出すかということは毎年の国会の議決できまるわけであります。従いましてその前年こうであつたからということで今回はそれが仮に違うということにいたしましても、それは財政法の問題では私はないだろうと思います。
  173. 木村禧八郎

    木村禧八郎君 そういう御説明ですと何ですね、完遂奨励金という今度は新らしい項目が、別なものが出て来ると思うのですよ。同じ言葉で目に去年これが出ているならば、通念としてこれはやはり供出しない農家に出さないのであるということが当り前であつて、この点では深く質問いたしません。矛盾があることは明らかなんでありますから、あとで……ただ意見として私は問題にするだけであつて、今の御答弁では満足できません。併し徒らに時間を取りますから、私はこの質問はここでまあ繰返しません。あとで又自分自身の時間に十分申上げます。
  174. 亀田得治

    亀田得治君 もう審議の時間も経過しておりますので、最後に一つだけお伺いしたいのですが、先ず根本さんに先にお伺いしたいと思う。私どもは先だつて三浦さんの説明を聞きました場合に、奨励金を出す際に、財源は取りあえず食管会計から出しておきます。併しながらうち百億は適当な時期に補正予算一般会計から出す含みである。こういうふうに説明を受け、文書にも幾らか書いてあつたかと思いますが、そのような御了解は三党で最初に交渉されたときにありましたか。
  175. 根本龍太郎

    衆議院議員根本龍太郎君) お答え申上げます。その通り我々了解しております。
  176. 亀田得治

    亀田得治君 小澤さん如何でしよう。
  177. 小澤佐重喜

    衆議院議員小澤佐重喜君) その通りです。
  178. 亀田得治

    亀田得治君 竹山さんも同じですね。
  179. 竹山祐太郎

    衆議院議員竹山祐太郎君) その通りであります。
  180. 亀田得治

    亀田得治君 これは適当な時期というのはいつ頃を考えておられますか。そういう細かいことは話には出いおらないのですね。大体の目標ですね。
  181. 竹山祐太郎

    衆議院議員竹山祐太郎君) これはどこかで答弁をされておるように新聞で拝見いたしましたが、政府は最も近い臨時国会においでなされるものと我我は了解いたしております。
  182. 亀田得治

    亀田得治君 まだまだお尋ねしたいことが山積いたしておりますが、本日実は明らかになりましたことは、衆議院で修正案が通つたときの意味と、今参議院に出て来て、私ども審議をしておる意味とが非常に食い違つております。そのことだけは本日の速記録なんかを対照して見れば極めてこれは明確になると思う。竹山さんは盛んに同じだと言つておられますが、本日この質疑応答を聞かれておる方は全部そこに食い違いがあると、これは確認されておると思うのです。私どもはこういうことになりますと、予算案というものが衆議院を通つたときと、参議院においてそれが出されておるときと違つた性格で論議されておる。未完遂者にも、未完遂の町村に対しもしこれを与えるかどうか、こういう一つの問題も違えば、又今お尋ねいたしました一般会計から近いうちに百億を廻す、こういうことも昨日大蔵大臣はこれを否定いたしております。これは速記録にはつきりしておる。小林委員がこのことを特に重要だとして質問をしておるのです。まあこういう状態でありまし、そのほかまだいろいろ御説明を求めれば相当時間がかかると思う。  そこで議事進行のために御提案いたしますが、再びこれは一つ理事会をお開き願いまして、本日のところは時間も経過しておるから散会を願いたい。そうして本日この各党から出て頂きまして、これは実に私効果的だつたと思う。午後の審議に入る前に一党でいいかどうか、こういうことが問題になりましたが、一党でありますればこのようにてきぱきといろいろな事情がわからなかつた。これは三党一緒に出てもらつて、いろいろ忌憚のないところをお話つたので初めてこれがはつきりした。而もこのはつきりした結果によりますると、私は予算案というものが衆議院と参議院において違つた形で論議されておる。これは憲法上の重大な問題だと思う。予算修正権の問題もございますが、それと又別個にここに私新たな憲法問題が起きて来ておる。私はそういう意味で、この問題を一つ整理するための理事会を散会後お開き願いたいということを要求いたしておきます。
  183. 小笠原三九郎

    国務大臣(小笠原三九郎君) 今の御発言中、昨日私が補正予算云々を否定したかのごときことを言われましたが、昨日はつきり申上げたことは、御提出している書類に、後日ということがありますので、補正予算を出すということを申上げておるのでありまして、今仰せられたこととは全然違いますから、この点は速記録を御覧願えればわかると思います。
  184. 亀田得治

    亀田得治君 これは時間がありませんので、簡単には片付きませんから、これは明日にいたします。
  185. 戸叶武

    戸叶武君 先ほどの私の質問に対して大蔵大臣答弁は明確に答えておりませんので、大蔵大臣としては明確なる回答はしずらいと思うのでありますが、これは予算案審議に対して極めて前例を作ることでありますから、重大な問題であるから、政府のほうでしつかりと意見をまとめて頂きたいと思う。衆議院を通過したところの修正予算案は、衆議院の議決によつてすでに衆議院の手を離れて参議院提出せられたのであります。参議院提出せられてしまつてから三党と政府との話合いというようなものでいろいろな解釈をしておるようでありまするが、而もそこに政府修正者との間の意見が食い違いもありますけれども参議院に衆議院の議決になつたところの修正予算案をここに出されまして、それを審議修正するところの権能はあるのです。併し参議院自身に与えられたものであります。参議院においてその修正予算案審議せられている途中において政府と衆議院のほうで以て、修正者と政府と会合いたしまして、その修正予算案に対するところの修正意見というようなものが出されて果してよろしいものであるかどうか。我々はこの修正予算案審議するに当つて最初提出せられて受取つたところの修正予算案に対する解釈と、今日に至つて説明されたところのこの修正案に対するところの審議と幾つにも様々に、今後又この審議過程において政府とこの修正者と話し合つて又こういう解釈をするというようなものが出されて行く限りにおいては、責任を以て如何なる形の修正予算案を我々が審議したらよいかわからなくなつて来るのです。そのけじめに対して明確なる回答を成るべく早く出してもらいたいと思います。
  186. 小笠原三九郎

    国務大臣(小笠原三九郎君) 衆議院よりこちらへ修正予算が参りましたときに申しました通り内容については私も説明申上げますが、併しどういう意図の下になされたか、或いは又どういう経過を辿つたかは発議者でないとわからんと申しておいたのであります。従いまして衆議院の決議を私ども政府として了承したものをここへ御説明申上げた通りでございまして、なお今の米の問題については、政府といたしましては発議者とも打合せの上、さつきはつきりした一括した答弁を申上げておるのでございまするから、さよう御了承をお願いいたします。
  187. 青木一男

    委員長青木一男君) 本日はこの程度で散会いたします。    午後五時二十五分散会