○井野
碩哉君 農林大臣はまだ就任日が浅いのであられますから、この計画について十分の検討を加えておられないと思うのでありますが、今お話のように、この計画は
総理の手許で
委員会を作り、いろいろ検討した結果を農林省に移さして、そうして農林省で立てた計画なんで、相当に農林省としましては試験場の調査も参酌し、又農家の実態も調べまして、相当苦慮して作り上げた案と私は
思つております。併しそれは
総理も御存じないというような案であれば、非常心細い案だと思うのでありますが、食糧自給促進法案は、そうい
つた意味でこれを
予算的に
裏付けるということには
法律上はな
つておりませんが、調査会を設けてこの計画案をもう一度
審議しなおすというためには、私はあの法案をお出しに
なつたほうがいいのじやないか。
総理としてはまだ御承知もないような
内容の案が農林省だけで出来上
つたのでは
意味をなさないのです。あの法案によ
つて調査会ができて、そうしてそこに権威のある五カ年計画というものが立ちますれば、これは国民も信頼しますし、
総理も又これには御信頼をなさると思うのであります。
総理は干拓事業に非常に御関心を持
つておられて、最近なんかオランダの国から干拓の技師まで呼んだらどうかという農林大臣にお話もあ
つたくらいで、非常にまあこの問題には関心を持
つておられるのでありますから、こうい
つた問題は本当に真剣に国民のために調査会くらいは設けて、そうして本当の五カ年計画を立てて、十カ年後にはもう食糧の自給はできるというくらいの決意を
政府としてお示し頂きますれば、国民も、民生の福祉の上から又日本の再建の上から、非常に私はこれは
政府としての善政であろうと思のでありますが、この点は
一つ十分にお
考え頂きたいと思うのであります。
予算も本年この五カ年計画に基きまして、初め大蔵省に要求いたしましたのは、本年度
予算として五百八十三億七千万円要求したのでありますが、それが二百六十六億に半分に削られてしま
つたのであります。こういうことの五カ年計画として初め五カ年後に一千七百万石をとる計画だ
つたのが、これが減らされましたために、後年度において今度
予算が非常にふくれることになり、而もその目的が一千五百万石に減
つてしま
つたのであります。そういうようなふうに折角立てました計画も、財政の
都合で削られるということはこれは仕方ないと思うのです。農林省が財政の権限を持
つていない以上、大蔵省のお
考えで
予算を削られても、これはもう黙
つてしまわなければならん。ところが今度あの
政府としての妥協案で行政費が百億も又余る、余ると言つちや語弊がありますが、そうい
つた節約ができるということでありますれば、まだ大蔵省にはそうい
つた方面のいろいろの財源をお持ちにな
つておるのじやなかろうか。又現に本年の剰余金は
昭和二十六年の剰余金に加えて
昭和二十七年の剰余金がまだ千億円以上あると思うのでありますが、そうい
つた金もこういう一番大事な方面にお廻しになれば、当初農林省が計画しました五カ年計画というものが完遂できるのであります。これが完遂できますれば、すべての産業が一切興
つて来るのでありまして、農村のいろいろの問題もおのずから解決されて来るのでございますから、この点には
一つ総理としましてもできるだけお力添えを頂きたい。又そのお
考えで
一つそういう方向にお進め願いたいということ申上げまして、ただそれに対して賛成かどうかという御所見だけ伺えば結構であります。