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1953-07-20 第16回国会 参議院 予算委員会 第18号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和二十八年七月二十日(月曜日)    午前十時四十六分開会   —————————————   委員の異動 本日委員小沢久太郎君辞任につき、そ の補欠として、大谷贇雄君議長にお いて指名した。   —————————————  出席者は左の通り。    委員長     青木 一男君    理事            西郷吉之助君            高橋進太郎君            小林 武治君            森 八三一君            中田 吉雄君            松澤 兼人君            堀木 鎌三君            木村禧八郎君            三浦 義男君    委員            石坂 豊一君            石原幹市郎君            泉山 三六君            大谷 贇雄君            小野 義夫君            鹿島守之助君            佐藤清一郎君            白波瀬米吉君            関根 久藏君            高橋  衛君            瀧井治三郎君            中川 幸平君            宮本 邦彦君            吉田 萬次君            井野 碩哉君            柏木 庫治君            岸  良一君            田村 文吉君            高木 正夫君            中山 福藏君            岡田 宗司君            亀田 得治君            小林 孝平君            佐多 忠隆君            藤原 道子君            湯山  勇君            加藤シヅエ君            棚橋 小虎君            戸叶  武君            永井純一郎君            武藤 常介君            松原 一彦君   国務大臣    内閣総理大臣  吉田  茂君    外 務 大 臣 岡崎 勝男君   大 蔵 大 臣 小笠原三九郎君    厚 生 大 臣 山縣 勝見君    農 林 大 臣 保利  茂君    国 務 大 臣 緒方 竹虎君   国 務 大 臣 大野木秀次郎君    国 務 大 臣 木村篤太郎君   政府委員    内閣官房長官  福永 健司君    法制局長官   佐藤 達夫君    法制局次長   林  修三君    法制局第一部長 高辻 正己君    大蔵政務次官  愛知 揆一君    大蔵省主計局長 河野 一之君   事務局側    常任委員会専門    員       野津高次郎君    常任委員会専門    員       長谷川喜作君    常任委員会専門    員       正木 千冬君   —————————————   本日の会議に付した事件 ○昭和二十八年度一般会計予算内閣  提出衆議院送付) ○昭和二十八年度特別会計予算内閣  提出衆議院送付) ○昭和二十八年度政府関係機関予算  (内閣提出衆議院送付)   —————————————
  2. 青木一男

    委員長青木一男君) これより委員会を開きます。  去る十八日、委員長及び理事打合会を開き本委員会運営について協議いたしました結果、本日は先ず以て吉田内閣総理大臣緒方国務大臣小笠原大蔵大臣及び佐藤法制局長官出席を求め、予算修正に関する憲法上、財政法上などの問題について質疑を行うことになりました。さよう御了承を願います。  それではこれより質疑に入ります。
  3. 岡田宗司

    岡田宗司君 修正案性格等につきまして、先ず吉田総理大臣の御所見を承わりたいと存じます。  衆議院におきまして予算が大巾に修正をされ、その修正案が本院に回付せられて参つたのであります。この修正案一体本院において取扱う上におきまして、誰が修正案提案者であるか、或いは又この修正案に対して誰が責任を負うかという問題は、憲法に定められましたる予算提出権の問題と関連いたしまして重要な問題でございます。そこで先ず総理にお伺いいたしたいのは、この修正案政府がこれを了承をしたはずでございます。政府はこの修正案について責任を負われるものであるかどうかという点を総理大臣より御答弁願いたいのであります。
  4. 吉田茂

    国務大臣吉田茂君) お答えをいたします。政府は、政府と申すか、私ども考えとしては政界の安定並びに財界の安定を得るためにはどうしても予算を通過せしめなければならない、成立せしめたいという希望でできるだけの了承はいたす考えでございます。そのつもりでその修正に応じたわけでありますが、併しながらこれは国会において修正権がある以上は、国会修正をしてこれに政府が応ずるこれは当然のことであると思うのであります。但し全然予算方針を覆すような、基礎を覆すような修正に応ずることはできませんが、併しながらその予算基礎を動かさない程度においては財界の安定を得るために予算成立を希望する国民の声についてできるだけのことをいたしたい、こういう考え修正に応じたわけであります。
  5. 岡田宗司

    岡田宗司君 そういたしますと、政府は本予算案修正を応諾されまして、この修正について責任を負われると。こういうことでございますか。
  6. 吉田茂

    国務大臣吉田茂君) 修正に応じた以上は、政府としては責任を無論負うつもりであります。
  7. 岡田宗司

    岡田宗司君 修正案に対しまして政府責任を負うということを言われたのでございますが、そういたしますならば、この修正案につきましては、政府はなぜこれを予算を組替えて、この修正を取入れたものとして御提出にならなかつたのであるか、この点を先ずお伺いしたい。
  8. 吉田茂

    国務大臣吉田茂君) 組替える程度修正でないのであります。即ち予算編成方針を覆す、基礎を動かす程度のものと政府が認めてないから組替に応じなかつたわけであります。
  9. 岡田宗司

    岡田宗司君 只今政府は組替をしないと、こういうことでございます。そういたしますと、ここに問題になりますのは、修正案なるものが改進党、自由党鳩山自由党の三派によつて提出されてこちらに回付されて参つたわけでございますが、この本院に回付されて参りました性質の点からいたしまして、政府修正案のままでこちらへ回付して参るということになりますというと、この修正案は誰が提出されたことになるのか、これを吉田総理大臣はどうお考えになりますか。
  10. 吉田茂

    国務大臣吉田茂君) これは衆議院提出して、そうして参議院に送付いたしましたのであります。でありますからして、政府としてはこれを了承して、そうして予算編成はいたさないが、組替はいたさないが、修正には応じたということは只今も申しました通りであります。
  11. 岡田宗司

    岡田宗司君 非常に重大な問題でございます。事実上は改進党自由党鳩山自由党三派の共同修正案でございますが、この修正案衆議院において成立をした。それがこちらに回付された。只今首相の御意見ですというと、これは衆議院によつて修正案が案出されたものである。そういたしますと、憲法におきましては、予算提出権はこれは内閣だけに限られておる。政府だけに限られておる。そういたしますと、これは憲法に違反することになるのではないかと思います。この点について吉田総理大臣はどうお考えになるか、これをお伺いしたい。
  12. 吉田茂

    国務大臣吉田茂君) 予算提案権はお説の通り政府にありますが、同時に国会としては、衆議院としては修正する権能を、修正権を持つておるのであります。この修正権によつて修正して、そうして予算が通過した、これが経過であります。政府としては譲るべきものは譲りたい、予算成立せしめたいという考えからその修正に応じたということは只今申した通りであります。修正権がある以上は修正に応ずるということは当然なことであると私は思います。
  13. 岡田宗司

    岡田宗司君 修正権があるから修正に応ずるのは当然です、私はそのことを聞いておるのではない。先ほど総理大臣はこちらに回付されて参りました修正案は、これは衆議院提出されたのだ、こうおつしやる。そこで私は予算提出権というものは政府にのみあつて、他にはないのだ。そういたしますと、今の首相のお言葉から聞くと、非常な変則と言いますか、憲法違反と言いますか、そういう形になつて参ります。そこでその点について政府はどうお考えになつておるかということをお伺いしたのでありまして、政府がこの修正案に応ずるとか応じないとかそういう実態の問題をお伺いしておるのではないのであります。今の点を明確に御答弁を願いたいと存じます。
  14. 吉田茂

    国務大臣吉田茂君) 私のお答え只今まで申した通りであります。これに対しまして御意見は違うかも知れませんが、法律論としては法制局長官からお答えいたします。
  15. 佐藤達夫

    政府委員佐藤達夫君) 非常に素朴なことをお答え申上げて恐縮でございますけれども政府から予算衆議院提出いたしまして、衆議院がそれに対して審議権を持ち、且つ或る限度において修正権をお持ちになつて、そうしてそれに修正を加えられたということで、それを衆議院議長の名において参議院に送付されて来たわけであります。その間に政府がお取次ぎを申上げるとか、或いは中継ぎをするとかいうような政府の手が入る段階がないわけであります。この点は政府提出法律案衆議院修正されて、それがそのまま参議院に送付されて参ります場合と全然同じと考えております。
  16. 岡田宗司

    岡田宗司君 そんなことはお伺いしないでもわかつておる。先ほど首相がこれは衆議院によつて提出されたものだ、こうおつしやるから、私はどこにそれじやその法的根拠があるのか、これをお伺いしておる。今の佐藤法制局長官お話は、私どもも別にあえてお伺いする必要はない。先ほど修正案については政府責任がある、こういうふうに御答弁なつた。そういたしますと、これは政府案として、つまり前の政府案のうちに合体せしめて、そうして出されるのが当然だろうと思う。そうすればこういう性格上の問題の論議はなされないのでありますが、そういう手続をなされないでこれが出された。そうしてこれについて政府責任を負うということになつて参ると、そこに矛盾があるのではないか。又昨日この修正案説明について衆議院のほうからおいでになりました。若し政府責任を負うものであるといたしますならば、当然この修正案について政府自体がこれを受託した以上は、政府もこれを政府案の一部として御説明になるというのが当然じやないか。何だか非常に中途半端であり、矛盾をしておるのでありますが、その点についてもう一度重ねて法制局長官の御意見を承わりたい。
  17. 佐藤達夫

    政府委員佐藤達夫君) 総理大臣衆議院提出したという言葉を使われたのですが、それは先ほど私が申上げたところで分析いたしますれば、衆議院において衆議院議員の多数の人によつて修正案提出されて、そして修正されたのが衆議院議長参議院に送られて来たということの二つの概念を含んだ言葉だと思つております。それはそれだけのことでありますが只今お尋ねは、むしろその中途の段階において、政府のほうで組替えるというようなことをなぜしなかつたかという点が一つあつたと拝承いたしますが、その点は結局衆議院において、或いは参議院も同様ですが国会側において修正権を厳としてお持ちになつておる以上は、特にそれをさしおいて差出がましく政府から組替要求をすべきであるかどうか。これは修正権のある以上どちらによるかということは、むしろ国会の御意思に待つべきことであろうと思うわけであります。  それから責任関係お話がございましたが、これは今回の予算修正をめぐつて責任関係というものは、いろいろ分析いたしますと非常に細かくなると思いますけれども、大体総合して申しますれば、先ほど総理大臣からお答えした通りだと思います。
  18. 佐多忠隆

    佐多忠隆君 総理大臣修正された予算案について政府責任を持つというふうにおつしやいましたが、法制局長官はそういう点はどういうふうにお考えになつておりますか。
  19. 佐藤達夫

    政府委員佐藤達夫君) 先ほど申しましたように、これを分析いたしますと、いろいろな項目に私はわかれて論ぜられなければならないと思います。併し大きな言葉で申しますれば、政治的には或る種の責任はあるだろうと申上げざるを得ないわけであります。
  20. 佐多忠隆

    佐多忠隆君 一昨日は法制局長官議運において、修正された部分については政府責任がないということをおつしやつた。ところが今は責任があると総理はおつしやる。それでその総理の言明に従つて今日は責任があるとおつしやる。それはどういうふうに見解を変えられたのか、どういうふうな解釈の違いなのか、もう一回明快に御答弁を願いたい。
  21. 佐藤達夫

    政府委員佐藤達夫君) 予算の今回の修正をめぐつて責任関係先ほど申しましたようにいろいろ分析しなければならないと思いますけれども議院運営委員会お答えした趣旨は、私の了解しておりますところでは本会議財政方針変更のためにする演説とか、或いは施政方針変更関係演説というようなことをむしろ中心の議題として御論議があつたように私は承わつておつたわけであります。その関係から今回の修正についての修正部分修正された部分についての責任関係はどうだという問題が恐らく中心であつたと思います。  そういたしますというと、私ども法律の立場から申しますというと、三権分立の建前から言つて国会内閣とが対立して、内閣提案に対して国会修正を加えた。而してこの修正に対しては旧憲法時代とは違つて政府としては完全に受身の形で、修正についての同意権もありませんし、予算の成果を調整する権能もありませんし、従つて完全に受身でございます。従つてそれに対して権限のない以上は権限のないところに責任のあるはずはございませんという法律論を申上げたわけであります。従つて政府側から積極的に進んで修正内容について責任を負うと、本会で御説明を申上げなければならんという筋にはなりますまいという気持であつたわけであります。
  22. 岡田宗司

    岡田宗司君 私一昨日議運に出まして、この問題について緒方総理お尋ねをした。最初緒方総理責任はない、はつきりお言い切りになつた。そうしてあとでは、それは言い過ぎである、こういうふうに言われた。今日は吉田首相責任がある、それから佐藤法制局長官は分析してみるといろいろな点がある、何が何だか私どもにはわからない。政府答弁なるものは一つも統一がとれておらんわけです。で、今佐藤法制局長官意見を伺いますというと、いや一昨日の議運における問題は、ただ財政演説をする責任があるとかないとかいうだけの問題のように言われておるのであります。あのときに問題になりましたのは、勿論その問題も一つでありましたが、この問題をきめる過程におきまして、この修正案に対する政府責任というものについてお伺いしておる。ところが最初緒方総理が明らかに責任はないとはつきり言い切られた。そうして私がこれに対して責任がないということについて追及いたしました。ところが言を左右にされて、これは言葉言い過ぎであつたと言われた。一体責任があるのかないのか。この点において私は非常に重大な問題があろうと思う。そうして今のお話を聞いておりますというと、政治的責任がある。法律的責任がない。何のことだかちつとも私どもには了解できません。一体法律的責任ということについて種々むずかしい問題がある、いろいろな点があるというのでしたら、先ず法制局長官はいろいろな点をここで一つ皆並べて我々に説明してもらいたい。それが又政府見解であるのかどうか、統一された見解であるのかどうかを改めて私は又お伺いしたい。
  23. 佐藤達夫

    政府委員佐藤達夫君) 次々と恐らくお尋ねがあろうと思つて、いろいろな点ということでぼかしておりましたけれども、今一応の披露をせよということでございまするから、一通り申上げたいと思います。  この修正部分についての責任について議運で申上げた点は、さような通りでありますけれども、今度は実際上の、或いは政治的事実と申しますか、その点からの観点になつて参りますというと、政府与党一体であるというような関係から、その与党も加わつて賛成されておるのじやないかという意味で政府側が若しそれに反対であるならば、与党の人に是非反対してくれというような申入れをして、極力反対すべきではないかというような点をめぐつて態度についての、まあ言葉を使えば責任という言葉を使つたらよろしうございましようが、そういう政治的事実に関連しての責任関係というものは否定できないということが修正部分について私は申し得ると思います。  それから修正に関連してということになりますと、恐らくあとでどなたからか質問があろうと思つてつたのですが、この予算が非常に大幅な修正であるということに関連しての、政府原案に対する面目問題というようなことを中心としての批判が世の中にはあり得るということは考えられます。その場合に仮に政府基本政策とするところが今回の修正によつて全面的に、覆がえされてしまう。それは言い換えれば不信任決議と何ら選ぶところがないという仮定をいたしますならば、その場合に政府はなぜ解散をしないか、或いは総辞職をしないのかという、その場合における処すべき政府態度についての責任追及の議論が出て来ると思います。観念的の問題としてはさようなことはあるけれども、今あとに申しました部分は、今回の修正についてはこれは全然当てはまらないところでございますから、特にここに附加えて申上げるだけの、今回のは関係のないことと御了承願いたいと思います。
  24. 戸叶武

    戸叶武君 我々が聞いているのはそういうような説明ではなくて、もつと政府国会をめぐつての根本的な問題だと思うのです。内閣憲法第七十三条において予算案提出権を持ち、国会は八十六条において予算案に対し議決権を持つ。但し予算審議したあとにこれを議決する。従つて憲法においては国会はこの過程において予算に対して修正権を持つのです。その御説明はその通りだと思いますが問題は政府予算案提出権と、国会予算案修正権をめぐつて解釈の仕方であります。衆議院において予算修正がなされたとき、この予算案参議院に持ち込む場合に、その予算案に対する責任政府にありや、修正者にありや、その問題を明確にせずして参議院に持ち込んで来たのでは、参議院として、これに対する審議の前にその問題を明確にしなければ、これを受取ることができないではありませんか。今まで政府はそれを明瞭に言つておらないと思います。吉田首相からその問題に対して明確な答弁をお願いします。
  25. 吉田茂

    国務大臣吉田茂君) 私が申した言葉が足りないかも知れませんが、修正に応ずる必要を政府先ほど申述べたのであります。予算成立せしめなければならん。そうして財界は存定しなければならんから、政府としては忍んで妥協してこの予算修正に応じて、修正に応じたという政治上の責任政府にありということを私は申しておるのであります。法律上の責任については、佐藤法制局長官から申上げさせます。
  26. 木村禧八郎

    木村禧八郎君 先ほど修正案に対して政府責任を持つと言われましたがその責任内容です。責任はこの修正案編成提出に関する責任、こういうものを政府が持つというのか、或いは又緒方総理が一昨日議運で言われたように、この予算案成立した場合における執行責任、こういうものの責任ということを意味しているのか。この責任ということは両方私は含めての責任解釈するのですが、昨日の議運では緒方総理はそういうふうに説明した。編成提出については責任を持たない、執行について責任を持つ、こういうあれでしたが、総理先ほど責任を持つと言われましたが、その責任という内容はどういう内容であるか、これを明らかにして頂きたい。
  27. 佐藤達夫

    政府委員佐藤達夫君) お言葉にあります通りに、編成提出することについての責任と、執行についての責任とその双方であります。
  28. 木村禧八郎

    木村禧八郎君 そうしますと、編成とそれから提出に関して政府責任を持つと言うのですけれども、それならばなぜ、なぜこの修正に対して閣議でこれを確認して組替えて出して来ないか。先ほどこの修正は些細のことであるから政府閣議でこれを確認して組替えないのだと言いましたが、そうではないのであつて、逆であつて、これを閣議できめて政府予算を組替えては、これは重大な政策であるために、政府生命に関するような重大な修正であるために、政府は組替ができない、こう解釈すべきだと思う。若し些細な修正であればこれは閣議政府が組替えても何ら差支えないはずじやありませんか、些細なものならば。この修正が本来ならば、これはあとで私は質向いたしますが、予算編成権政府編成提出権国会予算増額修正権とのこの矛盾については、すでに第九十二帝国議会のときに問題になつておるのです。そうしてその当時の石橋湛山氏がはつきりと、この政党内閣である以上与党が或いは基本政党が、政府生命に関するような重大な修正はするはずがないから、政府のみに予算編成提出権を認めるとこういうふうになつているのだ。重大な修正があつたら当然内閣はやめるべきであるということを当時の石橋湛山氏がはつきり第九十二帝国議会において言つておるのです。この問題が当時国会と裁判所と会計検査院のこの三独立機関予算編成提出権と関連してこれは相当論議されて、或る程度の結論に達しておる。今回のような与党修正案であつたならば、これは当然内閣がやめるべき修正案であるということは過去のこの記録から明らかになるんです。従つて法制局長官が重大な発言をされました。予算編成提出権についても政府責任を持つと言われたのでありますから、まあ昨日は緒方総理編成提出権については責任を持たない、その執行について責任を持つ、こういうことを言われておるのです。この矛盾撞着、私はこの今回の修正憲法上、財政法上、政治上重大な疑義があるのです。これは一日論議してもまだまだ足りない。こんな修正を、憲法上、財政法上、政治上、こんな重大な予算提出されておる。更に又我々には予備審査というものをされていない。国会法によれば、必ず予備審査がなければならん。参議院に出されたとき、この修正案に対して予備審査がない。昨日岡田宗司君が三浦君の提案理由を聞くときに、あれは参考として聞いたのでありますが、本審査として聞くのか、予備審査として聞くのかというのに対して、これは予備審査ではない、本審査…であると言う。予算国会法によつてちやんと予備審査というものがある。予備審査がないのは参議院を無視しておることです、予備審査を省くのは……。こういう点についてはまだたくさん疑義があります。これはまだ私の質問時間ではありませんが、只今予算編成提出権についても政府責任を持つと言われた。緒方総理は昨日修正についてはその責任を持たないと言う。この矛盾をどうするか。この点について御答弁を伺いたい。
  29. 佐藤達夫

    政府委員佐藤達夫君) 私どもの申しております予算編成提出権というものは、憲法七十三条に言つておる内閣権限として原案提出する権能という趣旨で申上げておるわけです。原案提出しました以上、その原案に対しては責任を負わないということは全然成り立たない。十分責任を負うべきである。ただ政府提案いたしました後、今度は衆議院或いは参議院の独自の御意思によつてこれに修正をする、そうしてこれは政府のやることではないのであります。修正提出は、参議院或いは衆議院議員方提出権を以て出された修正案提出と、原案提出とは私ははつきり区別してお答えいたしております。
  30. 岡田宗司

    岡田宗司君 只今の御意見を伺つておりますというと、修正案議員によつて提出されたということを言つておる。一体予算修正案なるものは、これは単なる法律案などと違いまして、ちやんと提出権政府にある。今のお話を聞いておりますと、修正権のことは明瞭でありますけれども提出権があるという御解釈になつておる。一体衆議院議員予算提出権があるのか、その前提といたしまして、私は一体予算修正案なるものは予算案の一部をなすものか、或いは政府提出した予算案と別個の予算案であるのか、その点を一つ明らかにして頂きたいと思う。
  31. 佐藤達夫

    政府委員佐藤達夫君) 私の申上げますのは、予算については全然もう修正権はない。削減の修正権はあるけれども、増額の修正権はないという説はありますけれども、併し削減の場合を考えれば、やはり修正権があるわけです。その修正権というものは誰が提案権を持つておるかと申しますと、それは国会のほうの議員がたがお持になつておるということで、その修正案提案者は今回の場合においては、これは議員のほうからお出しになつたのでありますということを言つておるわけです。
  32. 岡田宗司

    岡田宗司君 私の言うことを御理解になつておらん。私が先ほどからお伺いしておるのは、修正権議員にあるということはこれは明瞭なんである。併しその事実上内容的に修正した部分というものが、これは予算案の一部であるかどうかということそれとも又別個に議員によつて提出されて、政府案と二本になつて出て来ておるものであるかどうかということから先ずお伺いしたいと思う。それをお答えにならないじやありませんか。
  33. 佐藤達夫

    政府委員佐藤達夫君) 大変申訳ございません。これは御承知のように、旧憲法時代でも第三回国会で大分論議があつた問題であります。併し新憲法下におきましては、我々は政府の出しました法律案衆議院修正の場合と完全に同じと考えていいではないか。即ち修正のかぶさつたものが、即ち政府原案修正を加えられたものが、そのままこちらの審議の対象として衆議院議長から送られておるというふうに考えてよろしいと思います。
  34. 岡田宗司

    岡田宗司君 かぶさつて来たものには、従つて送られて来たものには違いないのだが、その修正案参議院へ回付されるときにその一体責任は誰がとるのかというそこをお伺いしておる。かぶさつて来て、政府がこれを認めて、内容的にかぶさつて政府が承認したのだこれは政府提出予算案のすでに一部になつておるのだということであれば別問題でありますけれども政府法律的に責任を負わない修正案だという以上は、やはりこの修正案というものは政府提出のものでない。誰か別個の人が提出したものであるということになつて来る。それが衆議院であろうと何であろうと、そういうことになつて来る。そこでその提出者は誰であるか。そうしてこれは参議院に回付されるときに誰が提出したものかということをお伺いしておる。それを明らかにしてもらいたい。
  35. 佐藤達夫

    政府委員佐藤達夫君) これは全く内閣提出法律案衆議院修正を受けまして、それが廻つて来た場合と全然同じ、どこが違うだろうかという疑問を私は持つておるわけであります。政府がこの修正案は承認いたしませんから、参議院へ届けて頂いては困りますということを分けに衆議院議長にでも申入れる権能を持つておれば、それはなぜそれを申立てなかつたか、異議を言わなかつたかという議論が出て参りますけれども、全然受け身でありまして、衆議院で直されれば、それを自動的に衆議院議長からこつちへ送られて来るのであります。何ら異議を申立てる法的立場はないのであります。それは法律案の場合と全然同じであります。
  36. 永井純一郎

    永井純一郎君 今の法律案の場合と同じだという法的根拠、それを示して下さい。なぜ同じか。
  37. 佐藤達夫

    政府委員佐藤達夫君) 法律案の場合と予算の場合と違う点は、提案権憲法上違う点は、提案権内閣予算のほうは独占されております一法律案については独占されておりません。(「全然違うじやないか」と呼ぶ者あり)それから第二に、修正権の限界について御承知のような問題がありますけれども、併しそれは二つとも、いずれにしましても法律案の場合でも、内閣法律案を出す場合にはこれはあるわけでありますから、内閣提案法律案について衆議院修正された場合を考えれば同じのような気がいたします。
  38. 永井純一郎

    永井純一郎君 気がいたしますということは、そういうことは法律答弁にはならないと思う。法律的根拠がどうして……今の説明では法律的根拠に私はなつていないと思う。明らかに違つたきめ方を予算案について憲法がしているのに、法律案提案の場合と全然違つた権限というものを特に持ち出しているのは、これは行政権は内閣にあるという六十五条によつて当然なんです。予算については特にそうなんだという意味なんです、これは。今法制局長官説明では法律的根拠は何らないのであつて衆議院がそういうことをしてしまつたから困つておるのであつて、その言訳をするために、そういう気がする。法律案と同じに扱うより扱いようがないという意味だろうと思うのです。そうでなしにはつきり法律的根拠を、その条文を示してちやんと説明されなければ、私どもは今一番困つているのは、衆議院はどうしてもやはり政争の場になりやすいと思うのです。勢い余つてああいうことが行われて憲法の運用を私は誤つたやり方をして来たんだと思う。そこで与野党を問わず、第二院としては困つておるわけです。この取扱いに。そのことを明らかにしようというのが今日の一日の委員会の目的なんです。今のもう少し法律的に……気がするということでなしにはつきり一つ
  39. 佐藤達夫

    政府委員佐藤達夫君) 気がするということでお叱りを受けましたけれども、たびたび私がいつも独断的なことをここで発言するというお叱りをしよつちゆう受けましたから御遠慮申上げたつもりでございます。併しその趣旨は、気がするというのは、政府といたしましてはその通り思つておりますとはつきり申上げていいところだろうと思います。要するに法律案の場合も予算の場合も、国会審議に乗せられた後における問題で、どこが違うかという点が私は重点であろうと思います。その場合に問題になるのは、先ほど触れましたように、法律の場合には無制限に修正権がおありになる。ところが予算の場合にその修正権に限界があるのじやないかという問題、そのときの問題の解決に出て来るのが、提案権内閣憲法上独占されておるから、修正権に限界があるのじやないかという問題で提案権の問題は、審議過程において出て来る場面としては修正権の範囲の問題としてのみ出て来る。これ以外の場合には、内閣衆議院提出した法律案衆議院でこう修正なつた、それがこちらに廻つて来た場合と私は完全に同じだと信じます。
  40. 永井純一郎

    永井純一郎君 今の点がまだはつきり法律的にしていないと思うのです。法律案予算案と同じに扱つていいのだという法律的根拠を具体的にお示し願いたい、そのことを聞いておる。先ずそれを示してもらわなければ、今おつしやつたところの意見については、私は自分の持ち時間に質問を続けることができない。今は関連質問ですが、それをはつきりしなければみんなの質問が先に進めないのです。
  41. 佐藤達夫

    政府委員佐藤達夫君) 予算に関しての国会審議権については憲法八十三条或いは八十六条に書いてございます。殊に旧憲法時代になかつた言葉として、八十六条のほうには、予算内閣提出して、国会審議を受けという言葉が書いてあります。それには修正権ですが、審議に伴うての修正権というものは十分インプライされておるというふうに考えております。
  42. 永井純一郎

    永井純一郎君 ですから……。
  43. 青木一男

    委員長青木一男君) 関連ですか、簡単に。
  44. 永井純一郎

    永井純一郎君 法律案予算とどこがどの条章によつて違うのか、違えておるのかということで言つておるどの条章によつて……。
  45. 佐藤達夫

    政府委員佐藤達夫君) 特に違えておるという明文がなければ同じだと申上げなければなりません。違えてあるという点は今申しましたように衆議院参議院の優越性の問題、これはこれに関係のないことでございますから申上げませんけれども……。
  46. 永井純一郎

    永井純一郎君 違えてない……、明らかに違えておるのです。予算案の取扱いを明らかに違えておるじやありませんか。法律案の取扱いと法律的に違えていないということを言われるが、予算案の取扱いを違えておるのです、積極的に……。ですからあなたの答えというものは、法律的には何ら根拠がない気がする程度じやないのですか、それはやはり明らかにしないと進めないと思います。
  47. 佐藤達夫

    政府委員佐藤達夫君) これは国会審議に付せられるということは同じであります。そこでその場合にどこが違うかという点につき、提案権が違う、それに関連して修正権も違うだろう、それから衆議院参議院の優越性の問題が違う、それだけの点が違う以外は同じだという結論になるのではないかと思います。
  48. 永井純一郎

    永井純一郎君 そういうめちやちやなことを言うと大変困る。憲法の条章に明らかになつておるのです。予算の取扱いを違えるということは、それは行政権を持つ者の裏はらの権限として、他の者には持たせないのであつて提案権は唯一にして政府だということをわざわざ憲法に規定してあります。規定しておる。おるのですから、これは違つた取扱いをするということは過ちなんです。なお、修正権の点に従つてその論拠から入つて行くのですが、それはあとに譲るとして、根拠が明らかでないと思います。あなたが示さなければ、根拠がないものとして二日も三日も論議が続いてしまうのであります。そういうことでは、こういう条章によつてこうなるということがはつきりしない以上は…これは今の問題は根本的な私は問題と思いますから、もう少し明らかに法律的に説明をしてもらいたいと思います。
  49. 佐藤達夫

    政府委員佐藤達夫君) 違うと書いてない以上は同じだと答えた、その証拠のほうを申上げますと、例えば国会法の第十章の「両議院関係」というのがございまして、その八十三条に……。
  50. 永井純一郎

    永井純一郎君 ちよつと待つて下さい。
  51. 佐藤達夫

    政府委員佐藤達夫君) 国会法の第十章の八十三条にございまして、「国会の議決を要する議案を甲議院において可決し、又は修正したときは、これを乙議院に送付し、」とございます。この議案はすべての議案、予算案は勿論、法律案は当然のこと、予算案も包含しておる。特に法律案予算案はと書いてなければ同じ観念上議案なるものの扱い方はみなここに入る。ところが違いはどうかと言いますと、そのあとの八十五条でございますが八十五条に、予算、条約に関する両院協議会というのがあります。特に違うという点は、予算なら予算ということを取上げて書いてある。取上げて書いてない分は皆議案として扱う、そういうことで申上げたわけであります。
  52. 永井純一郎

    永井純一郎君 この八十三条の条文は、こうして読んでみると、そういう提案権について、予算提案権について侵していいという何ら積極的な規定はないじやないか。そういう解釈ができるわけじやないじやないか。憲法に明らかに行政の執行権を持つ者だけにあらゆる政策を盛る予算提案権限責任を持たしておるのでそういう基本的な憲法の条章にそれを排除する何らの積極的な規定がないのに、この八十三条なんてそんなふうに解釈できますか。それは私は間違いと思います。そういうことにこれは解釈できませんよ。
  53. 佐藤達夫

    政府委員佐藤達夫君) お尋ね趣旨をちよつと了解しませんが、今のお話は今度は例えば審議権内容の問題ですが、例えば修正権があるかないかとか……。
  54. 永井純一郎

    永井純一郎君 修正権以前のこと……。
  55. 佐藤達夫

    政府委員佐藤達夫君) 提案権のことは、憲法七十三条、八十六条にあります。内閣提出することになります。それから提案されたあと国会の御審議関係においては、例外のない限りは違いはございませんということを申上げておるんです。
  56. 永井純一郎

    永井純一郎君 そこで、これはあなたが先ほど岡田君の質問に、あのとき関連質向で言おうと思つたんですが、岡田君の質向に法制局長官が答えられたときに、修正されて衆議院から参議院に送られたときに、予算案について政府がその間に中継ぎをする時間が時間的にないのだという説をとるからそういうことになる。それは提案権というものが厳として、財政と予算とについてつ三の原則を憲法は明らかに規定をしておる、三つの原則である。この原則は私は動かないと思う。行政権は内閣にあるんだということ、それから提出権ということは、従つてその行政の執行をするところの政府以外にはないんで、それは唯一であるという点と、それから議決はすべて議会がやるんだという、この三原則は動かすことができない。そこでです、あなたが今言われることは、私どもには従つて強弁になつてしまうのですが、そこで八十三条の解釈も、当然今の三原則を運用する面において、今度の衆議院はこれは誤つて私はやつて来たと思う。併しその誤つてつて来たことを、私どもは必ずしも救済の途がないとは考えていないんです。それはこれから先の政府態度と相談によると思うのですが、そこで修正権を侵さない……、修正権じやない提案権を侵さないで物事が私は進められなければならないと思う。これは八十三条の場合は、政府予算提案権を侵害する限度においては一切この八十三条の行使はできないはずだと思う。例えば、私は修正権の論に入つて行かなければならんわけですけれども修正は私はあらゆる点についてできると思う。今度の新しい憲法においてはできるという説をとりますが、それは軽微な場合は勿論のことです。新しい項目を作らず、そして又減額するというような場合はこれはまあ当然のことですが、そうでない修正でも当然これは国会が私はできると思う。そこで今度の衆議院が取扱いを誤つたのは、政府はつきり提案権を、憲法がきめた提案権を侵さないでですね、政府提案権に基いて物事を処理しておらないということが私は誤ちだと、こう思うんです。それを認めることによつて参議院では又はかに法律的には私はやはり方があると思う。それをあなたがたはないと思つているから、むりやりに今のようなことを押付けようとしておるのではないか。この八十三条についても、私は予算についてはそういう解釈はできないと、こう思うのですが、どうですか。
  57. 佐藤達夫

    政府委員佐藤達夫君) 八十三条は、国会の窓口に受付けられて、国会のルートに入つたときのことを言つておるんです。窓口に差出すのは、先ほどから申しました七十三条によつて政府衆議院の窓口に予算原案を出します。そこでそれは言い換えますと、国会に対する政府提出行為はそこで終つたということになる。それからあと衆議院参議院の独自のお働きによつて事が進んで行く。そこで例えば衆議院のほうで可決されれば、それは政府が間に立つて、もう一遍それをお下げ渡しを願つて、改めて参議院の窓口に駈けつけて、そこで参議院へ改めて政府提出をするということになればいろいろ疑問は出て来ますが、これは国会法の建前からは、衆議院修正或いは修正なしでも可決されれば、それは政府の手を煩わさずに衆議院から参議院議長名で送付されるということになつておりますから、先ほど言葉にありましたように、政府が中継ぎをする時間があるとかないとかという、こういう問題ではなくて、中継ぎをするチャンスが全然ないということです。
  58. 永井純一郎

    永井純一郎君 そうしますと、その修正部分に対する責任政府にありませんね。あなたの今の法律論から言うと。
  59. 佐藤達夫

    政府委員佐藤達夫君) 先ほど申しましたのは、法律論から言うとございませんということを申上げた。
  60. 永井純一郎

    永井純一郎君 そうすると、でき上つた予算に対する執行権はどこか、日本の内閣にないわけですね。
  61. 佐藤達夫

    政府委員佐藤達夫君) およそ国会意見として衆議院の意思だけではまだ国会の意思になりません。参議院原案通りお通しになるかもわかりませんが、理論上は、参議院衆議院の意思が一致して、予算内容国会の意思として確定した暁においては、その予算執行については、政府が行政府として執行責任を負うことは申し上げるまでもないことであります。(「明快」と呼ぶ者あり)
  62. 永井純一郎

    永井純一郎君 その執行責任がある者だけに予算提案権があると書いてあるのじやないですか。憲法はそれをその他の人が、議員などが提案をする権限はあるとあなたはおつしやつたが、ないのです。そんなことは間違いですよ。それは混淆してしまつているんです。法理論にならないじやないですか。立論基礎を途中で変えてしまつたことになるのじやありませんか。
  63. 佐藤達夫

    政府委員佐藤達夫君) そうでありますから今のお話は、大体国会予算案についての修正権があるとかないとか、今の御推測で言えば、修正権があるのが正しいという結論になると思いますが、そこで学者にいろいろ議論がありますけれども、新憲法の精神、又憲法八十三条、八十六条の趣旨から申しまして、我々には提案権を害しない程度修正権はあるだろうというのが政府考え方であります。
  64. 永井純一郎

    永井純一郎君 それは、あなたは憲法基礎的な本質の議論とその運用とを混汚していると思う。私どもは、今憲法の原則をここに解釈を確立して行つてから、そしてそれに基く運用というものは又別にあるのですよ。ところがその運用のことを頭に入れながら根本の議論をやつているから、ときどき立論の基礎が変つてつて、一貫して行かないと思うのです。その運用の面は又別にしてですよ、純粋に法律論として明らかにされなかつたら、私、今の執行権のある者でなければ憲法予算提出権を認めておらないのです。あなたが言うように、修正部分について責任がないなどというようなことは、それは重大なことじやありませんか。それでいいのですか。
  65. 青木一男

    委員長青木一男君) どうですか、関連質問ですから、あなたの番のときに、ほかに質問がありますから……。
  66. 永井純一郎

    永井純一郎君 このまま僕の番にしちやつたらどうですか。今の点をはつきりさせておきましよう。
  67. 青木一男

    委員長青木一男君) それでは…。
  68. 永井純一郎

    永井純一郎君 修正部分について政府には責任がないということを確認してよろしうございますね。
  69. 佐藤達夫

    政府委員佐藤達夫君) 修正部分について憲法上の或いは法律上の責任はないと申上げます。
  70. 戸叶武

    戸叶武君 先ほど法制局長官説明された説明は、説明として成立ちますが、今問題になつている中心の題目というものは、政府予算案提出権と、国会議決権との間におけるところの、この修正権の問題をめぐつての論争なのです。而も政府側においてこの提出権の問題に対して極めてあいまいな態度を以てするならば、政府に対応する国会というものは、政府態度が明瞭化するまでこの審議には当れないのです。予算案提出権というものは、永井氏が言われましたように、政府にとつて極めて大きな権限であります。三権分立の上においても、特に予算案をめぐつて政治的な論争から、責任内閣制が樹立したゆえんのものは、この予算案提出権にありと思うのであります。国会においてこれを修正する修正権があるといたしましても、修正されたからと言つて政府の持つているところの提案権が崩れているのではないと思うのであります。そこに問題はあるのだと思うのです。国会提案した以上は、国会がどういうようにするのも御勝手で、料理されてしまえば料理したほうの責任であるかのような無責任態度で果してこの責任政治がなされるでありましようか、明らかにこの予算案は混血児です。この混血児的な修正予算をめぐつて、この生みの親であるところの政府が私の意思でなくてほかの人に作れらたのだから向うで聞いてくれというようなことを言うことは、如何に混血児の修正予算なりと言つても、それで政府政治的節操というものが成り立つでありましようか。私はこの予算案提出権の問題をめぐつて政府側の明瞭な見解法制局長官なり総理大臣から明確化されない以上は、この問題は推し進めることができなくなると思うのです。どうぞ御答弁をお願いいたします。
  71. 佐藤達夫

    政府委員佐藤達夫君) この問題は、結局は国会において自主的におきめ願うことになるわけでございましようが、私どもが今の修正権の限界について考えておりますところは、只今お尋ねの根本趣旨と繋がるところがあると思うのでございます。その点は非常に心強く思うのでございますが、結局我々は新らしい款項の創設というようなことは、修正権の限界を超えていると思います。ということは、原案の基本精神に全然ないような、政府の基本方針に全然ないようなとんでもない方策が新らしい隷項の形でどんどんどんどんと加わつて、それで提案権がそのまま一体維持されたと言えるかどうかという問題は当然出て来る。そこで我々の見解というものは、これは間違つていないのじやないかというふうにむしろ自信を強めるわけでございます。
  72. 戸叶武

    戸叶武君 その内容の問題でなく、問題は政府のほうにも大分苦悩があるようでありますが吉田首相が政界の安定なり或いは財界の安定ということを考慮して予算案成立せしめたいというので韓信股潜りの隠忍自重をやつたというお気持はわかります。併し問題は政府がこの予算案に対して如何なる形において責任を持つかどうかです。而も法制局長官解釈の中において、予算案法律案をごつちやにするような、極めて安易な解釈がときどき出て来るのでありますが、法律案においては国会議員立法の途もあります、提案もあります。併し少くとも予算案政府において絶大な権限を持つているのであり、それに従つて政府責任というものが重くなつているのであります。頬被りをしてこの予算を通せというようなふざけた態度で、今後において真の国会運営ができますか。私はその点を総理大臣から明瞭に説明してもらいたいと思います。
  73. 吉田茂

    国務大臣吉田茂君) お答えいたします。先ほど法制局長官からして説明をせられ、答弁をせられたこと、即ち私の答弁と御承知を願います。
  74. 木村禧八郎

    木村禧八郎君 問題の所在をもつと明確にしませんと、ただ徒らにこの論議が続くわけでありますから、一応私がこれまでの過去のいわゆる国会の増額修正権と、それから予算編成提案権との矛盾ですね、この問題についてどういう問題が起つてつて、どいうふうな処理になつているかということについて一応私は意見を述べて見たいと思うのです。そうしませんと幾ら経つて論議が尽きない。これは全然解決されてない問題です。まだ未解決の問題なんです。従つて初めて今度ここに起つて来た問題であつて今度の修正を機会に、これは国会でこれからきめなければならん問題なんです。重大な問題なんです。非常な疑義があるのです。この前九十二帝国議会の当時において……。
  75. 青木一男

    委員長青木一男君) 木村君にちよつと申上げますが、岡田委員の関連質問としては……又離してあなたのときその問題をやられたらどうかと思うのですが、そういうふうに願いたいと思います。
  76. 木村禧八郎

    木村禧八郎君 じや簡単に私は質問いたしますが。
  77. 青木一男

    委員長青木一男君) 関連ですか。
  78. 木村禧八郎

    木村禧八郎君 いや私の質問に対して整理されてない面がありますから、その点。さつき政府修正案について責任を持つと言われましたが、法制局長官は最初予算提案権或いは修正権についても責任を持つというようなことを含めて言われたにもかかわらず、後で修正している、政府原案に対する編成提案権これは当り前のこと、さつき総理責任を持つと言われたことは編成権提案権を含めて責任を持つということをはつきり言つています。速記に出ています。そういう食言をさるべきじやないと思う。そこで緒方総理は昨日は……一昨日は提案権、或いは編成権については責任を持たない。執行について責任を持つと、こういうことを述べている。それは新聞にそういうふうに出ている。若しそうでなければ、これをはつさりさせて頂きたい。その矛盾はつきりさせて頂きたい。この点についてまだ答えられこおらない。
  79. 吉田茂

    国務大臣吉田茂君) 私が責任を持つということは、重ねて申上げますが、修正に応じた責任を持つと申すのであります。
  80. 緒方竹虎

    国務大臣緒方竹虎君) 只今木村委員からの御発言に対してお答をいたしまするが、私が一昨日議運で申ましたのは、政府予算提出権ですか、提案権ですかについて責任を持たんとは決して言つておりません。私の考えでは予算先議権というものの意味が旧憲法のときと今日と変つている、実質的に変つている、旧憲法のときにはこれは衆議院に先に提出することはありますけれども予算審議権につきましては貴族院も衆議院も全然同等であります。然るに今度民主憲法になりまして、現憲法におきましては、憲法の第六十条の規定によりましても、少くとも予算に対する地位は、参議院衆議院によつて違つております。それで政府といたしましては予算提出権を行使いたしますのは、衆議院に対して提出いたしまして、無論それには責任を持ちます。そうして衆議院においてこれが修正されました場合に、それは旧憲法によりまするというと、改めて原案を貴族院に提出しておりましたのでありますけれども、今日では修正された、修正を被せたその予算案衆議院参議院に送付いたすのであります。政府といたしましてはその間の経過を説明し、又御質疑に対して答える責任はありますけれども、私はそれを政府が組替をして提出するなにはない。これは衆議院からまつすぐ参議院に送付されるのだということを以て提出するということを申したのであります。提出権政府にないということは申しておらないつもりであります。
  81. 湯山勇

    ○湯山勇君 岡田委員の御質問の最初のポイントは提案者は誰かということであつたと思うのですが、それが法制局長官説明がいろいろ綾を持つてなされたために、焦点がぼやけてしまつていると思うのです。端的にお尋ねいたします。現在我々が審議しようとしておる原案は二本建か、一本建か、このことが一点、と申しますのは、法制局長官説明によりますと、この案は本院で成立しなければいけないということを申されましたし、本院の審議によつては又原案に帰るかも知れないというようなことを言つておられますので、一体二本建で審議するのか、一本建か、この点を先ず明確にして頂きたい。  次に一本建とするならば一体いずれが対象になるか、これが第二点です。第三点は若し衆議院から送付された修正案審議対象とするならばその提案者は誰か、総理大臣衆議院提案者であるということをはつきりさつきおつしやつたのですが、この点については憲法上の疑義がある、従つてこの提案者一体衆議院か、内閣か、このいずれかを明確にしてもらいたい。以上簡明にお答え願いたいと思います。
  82. 佐藤達夫

    政府委員佐藤達夫君) 最初の一本建か、二本建かということは、正にこの参議院そのものにおいてのお取扱いによることでございますから、この点検からどうこうは申したくはありませんけれども、我々が理論上考えている結論から言うと、旧憲法時代においては先ほど触れましたように問題があつたにせよ、新憲法においては一本建であつて政府案修正が加えられたその形のものが一本として御審議の対象になると我々は考えております。従いまして原案に帰ると私が口をすべらしましたのは、結局衆議院修正の加わつたものを御審議になつて、これを又修正なさつた結果が、図らずも政府案になるということもございましよう。又その中間のものになることもある。これは御審議権内容によつて何とも予断はできない、そういうことを申上げたつもりであります。従いまして総理大臣の申しました先ほど衆議院から提出されたという言葉は、法律的に分析すれば、衆議院議員によつて修正が加えられた。それが衆議院議長によつて参議院に送られて来たという二つのことを含んでいるものと了解いたします。
  83. 湯山勇

    ○湯山勇君 最後のことですが、衆議院から送られて来たというのではなくて、我々が審議する場合に提案者は誰と認識して審議して行けばよいかということなんです。
  84. 佐藤達夫

    政府委員佐藤達夫君) 国会における御審議はとにかく事柄を明らかになさるためのことでございましようから、政府部内のもの、或いは民間人を参考人にお呼びになるといういろいろな方法があるそういうあらゆる適切とお認めになる方法をお尽しになればよろしいのではないかと思うのであります。
  85. 岡田宗司

    岡田宗司君 先ほど緒方総理お答えでありますというと、予算は先に衆議院提出しなければならんのだ、こういうことなんですが、これは憲法の六十条に書いてある。そうすると一体後に提出されるのは参議院なのですが、それはいつ提出されるのですか、その点を先ず一つお伺いしたい。
  86. 佐藤達夫

    政府委員佐藤達夫君) これはなんでございます、予算国会の窓口にお届けするときの内閣総理大臣名の表参書きがございますがこれは吉田茂という内閣総理大臣の名前によつて国会提出するという宛名になつております。国会提出するという宛名でお出ししております。その窓口はどこかというと、今お話がありましたように衆議院に先に出せと書いてあるから衆議院の窓口のほうへ先に持込んだというだけのことであります。
  87. 岡田宗司

    岡田宗司君 まさか憲法の六十条に窓口を衆議院に先にしなければならん、そういうことが書いてあるとは考えられない。これは衆議院先議の問題と関連をして、先に提出するということになつていると思う。そうして憲法によると、つまり衆議院においてこれが議決をされまして、それが参議院に廻つて来るときに、これが参議院提出されるものというふうに解釈しなければ、今言つたように六十条はあなたの言うような窓口だけのものになる。憲法が窓口だけの問題をきめておるとは私は思わない。そこで参議院衆議院で通過をした後に、これは修正であろうと或いは無修正であろうと、通過した後に参議院に廻つて来るということになつたときが参議院への提出のときだとするというと、この修正案というものは、一体誰が提出者かということが又問題になつて来るのであります。その点を一つはつきりとお伺いしたい。
  88. 佐藤達夫

    政府委員佐藤達夫君) 憲法上は内閣国会という形になつておりまして、その国会が内訳をすれば衆議院参議院との両院になつておるというわけであります。我々として提出申上げるのは国会に出す。国会審議権でありますから国会に出す。それは先議権が衆議院にある関係上、衆議院提出すれば政府としては国会宛の提出作用は終つたということになる。そこで衆議院審議が終えて、他の一院である参議院に廻つて来るのは提出という観念ではなくて、今の国会法にもありますように送付の観念で扱つておるのであります。
  89. 岡田宗司

    岡田宗司君 それならばわざわざ六六十条に、予算衆議院に先に提出しなければならぬなどという重々しい規定をしなくたつていいはずです。これが重々しく規定されておるところに私は問題があると思う。成るほど国会提出されたという形をとる。併し私ども衆議院からそれが廻つて来るまでは予備審査として委員会ではやつておるのです。併し提出しなければならないという規定を厳密に解釈いたしますればこれは衆議院において審査されたのちに参議院に回付される。そのときに参議院においてこれを改めて審査をすることになる。それを規定してあるのだと思う。そういたしますとこの六十条を表向きから解釈して参りますれば、改めて参議院提出されることになるのではないか。そこに又修正案提出者という問題が起つて来るのではないかと思うのですが、どうでしようか。その点もう一遍お答え願いたい。
  90. 佐藤達夫

    政府委員佐藤達夫君) こういうことでございましよう。法律なれば衆議院へ先にお出ししようと、参議院へ先にお出ししようと構いません。ところが今の条文によつて参議院に先に出してはいけないよということを憲法にきめた。その点は法律と違いますというだけのことであつて国会宛にお出しすることは法律と全然同じだ、窓口が違うだけだ、その他は法律の場合と全然同じだと思います。
  91. 堀木鎌三

    ○堀木鎌三君 非常に論議が何と申しますか循環しておるわけでありますが、佐藤法制局長官お話によると、憲法七十三条によると予算編成国会提出する内閣提出権国会に出されたときから国会の終りまで提出権そのものはずつとそれに伴つて出したのだ、こういうふうにお考えになるので、つまり国会一つ一体である。だから政府国会関係であつて衆議院参議院関係はない、こういうふうに解釈できるようであります、と同時に、一方においては国会修正権に基くものは、その修正権に基いて衆議院におきまして議案が修正されたのだ、こういうお話になりますと、さつきからいろいろその点について御論議があつたのですが、言葉を換えてもう一遍お聞きしたいと思うのは、そうすると我々が受取つておるのは政府予算提出権に基くところの最初のものと、それから衆議院自身の修正権に基くところの修正案と、この二つが併立して我々の審議の対象になつたのだとおつしやらなければ私は論理が一貫しないような気がする。ところが他の場合には我々の審議の対象になつているのは一本建か二本建かという質問に対しては、衆議院からの修正がかぶさつてつて、そうして政府原案というよりは修正案と、修正案を除く政府原案というものが一本になつて我々の審議の対象になつておるようにも言われるのであります。そうするとここに私は何らかのものがなくてはならない。どうもあなたのお話はあつちとこつちとを押詰めて参ると、全く対立したものが出て参る、結論が二つ対立したものが出参る。最後にいろいろわからなくなるとそれは参議院が手を尽してお考えなつたらいいでしようというところに隠れ蓑を持つて行かれる。そういうふうな今朝ほどからの議論は要約して見るとそういうように私は感ぜざるを得ない。この三つを一つ一つにつき御答弁にならないで、今申上げました三つのことについて政府法律見解、それを法制局長官のお職柄当然明らかに我々にされる任務があると思いますから、その御答弁を私は要求したいと思うのであります。
  92. 佐藤達夫

    政府委員佐藤達夫君) 問題の根本を考えますと、一体予算に対して国会審議をなさるということは、政府予算計画を立てて行くことについての許可をするのだと、単なる許可にとどまるか或いは予算案政府が素材を整えて持つて来るが、それに国会の意思を加えて立派なものとして作つてやろうという御趣旨が主になるのかどうかという分れ口から来ることだと思います。旧憲法時代考え方は、むしろ政府に対する議会の許可というような面が非常に根本的な考え方になつてつたのではないかと思いますから、増額修正の問題などもそういう面からも否定されておつたのではないかと思います。新憲法においては、やはり財政権というものは、根源は国会がお握りになつておるような条文があちらこちらに見えます。従つて政府案を土台として国会の意思を加えた立派な予算が作り上げられるということがやはり許されておるのではないか。併しその場合に、飽くまでも提案権というものは憲法内閣に独占されておりますか、ら、提案権を害するような修正はこれはできないと、それに至らない限度において立派なものに仕上げて頂くということは、国会のお力が加わつてできるのではないか。従いまして原案内閣から出しまして、それをもつとよくしてやろうというわけで衆議院の意思が加わつて変更がなされればその加わつたものが今度参議院に参りまして一本として御審議の扱いになるのではないか。その点は法律の場合と同じだろうと考えておるわけであります。
  93. 堀木鎌三

    ○堀木鎌三君 どうもあなたのお話は、今私が一つ一つ促えて御質問すると、ああでもない、こうでもないというお話になるから、三つの点を総合して端的に法律上のお答えをお願いしたわけであります。結局提出権とそれから修正権とを架ける橋がない以上は、そこには何らかの法律行為がない以上は二つが出て来ておる。二つが一本になる一つの何らかの法律行為がなければならんはずであります。それがないとおつしやるのなら、我々の審議の対象になつておるのは、要するに政府衆議院に出しました、国会に出した案と、それから衆議院自身が修正権に基いて出した案と二つがあると、それを一本にする何らかの法律上の行為がなければ一本になりようがないではありませんか。だからその提出権に基く原案と、そうして修正権に基く修正案と、この二つが我々のほうにそのままかかつて来ておると言うべきであるのに、それを一本だと考えるのには、一本にする法律上の行為がなければならない、そういうふうに考えられますが、その点は如何でございましようか。
  94. 佐藤達夫

    政府委員佐藤達夫君) これは非常に素朴に考えますが、法律の改正の場合でも、第一条を次のように改めるという改正法律成立した場合に、それがなぜ法令輯覧を開いた場合にうまくはまつてずつときれいに出るだろうかという議論と根本的においては同じだろうと思います。従つて修正の意義というものは、そういうものと関連して考えるか、別建のものであつて二本と考えるか、これは私は考え方としては率直に言つて両方成り立つ考えだと思います。従つて政府がかれこれ独断的に申上げることではないと思いますから、ぼかすのでありますが、私としては先ほどから申しましたように、これは勿論一本だと審議権というものを非常に強く考える立場から言いますれば、政府原案はそれによつて衆議院限りの修正としてはそこで変更されても、それが参議院にかかつて参議院がそれをどう御比判になつてお改めになろうとも、それは又別です。
  95. 堀木鎌三

    ○堀木鎌三君 どうも何だか法制局長官は、法律上は何と言いますか、私の考えではないが、佐藤君の意見を演縛して参りますと、要するに提出権による原案と、それから修正権による修正案と二つが並んであるようだという解釈も立つということをはつきりおつしやつたと思うのであります。そういう説もあるというので、それを政府の案としておとりになるのかと思うと、すぐあとから、どうしても一本になつてつて来ておるのだというふうに言われるのであります。一本になつて来ておるということについて、何らかの法律上の根拠がなければ、一本になつておるということは、私は佐藤さんの判断が独断的だと言い得るのです。およそ法律家としてそういう解釈を、一本になつて来ておると、二本建という解釈も成り立つが、一本建になつて来ておるんだと解する以上は、それに対する法律上の解釈がなければならん。その解釈は、今おつしやつたことだと、審議権に重きをおくと一本になるんだと、こうおつしやるのですが、審議権に重きをおくと一本になつて来る、そういうふうなことは、私ちよつと頭が悪くてどうこれを論理的に結び付けるかわからないのであります。その結び付け方と、政府においてはそれについてこういうふうな見解を持つておる、参議院参議院で自由に自主的に解釈しろ、これは立派に成り立つ議論だと思いますが、政府としてはやはり一応こういう考えを持つておるという考えがおありのはずだと思うのですが、その点をもつと明瞭にお答えつていいと思います。
  96. 佐藤達夫

    政府委員佐藤達夫君) それではお許しを願いましたからもつとはつきり申上げさして頂きますが、要するに政府国会にお出しした原案が、衆議院に先に出した原案が、仮に衆議院の何らの意思も加わわることなしに、ずるずると参議院に辿り着くはずはないという前提が考えられます。そうすると、今度の予算についての行き方を見ますというと、右国会提出するとして衆議院の窓口にお出ししたものが、衆議院の意思としてどういうふうな形になつてまとまつたかと申しますと、衆議院予算委員長修正を組込んだ形のものを予算委員長の報告として本会議にお出しになつて修正の加わつた形として本会議の意思を問うてそこで多数で賛成されたのですから、衆議院の意思の加わつたものは本来何かと言いますと、修正前の政府の案というものは何ら意思は加わらないで捨てられてしまつた修正が組込まれた形のものが可決されて、そうしてこちらへ来たということになりますから、私は飽くまでもそういうものがこの一本の形において参議院審議の対象になるのじやないかということを確信をいたします。
  97. 堀木鎌三

    ○堀木鎌三君 先ほど質問で終ろうと思つたのですが、今非常に明確な御答弁があつた。そうすると、我々の前に参りましたのは、修正部分を除く政府原案修正案とが来ておるのではなくて政府原案修正部分修正された一つ一体予算案、一つ予算案がここに出ておるんだと思う。それについて政府責任がないとおつしやるのはどういうことなんでしようか、その点についてお聞きしたい。
  98. 佐藤達夫

    政府委員佐藤達夫君) 一本になつたものがお手許に届きましたけれども政府提案したものと比べてみますと違つておるところが大分あるはずだということが最初に出て来た。そうすると、その違つておる部分は、政府提案申上るときに着き込んだことは政府責任として書き込まれたことである。これは当然でありましようけれども、そうすると、政府責任において提案されたものと違つた形のものが加えられて参つておるわけであります。そこで今度は、衆議院審議段階においてそういう違つた形のものができかかつておる。そのときに、政府として公の立場においてこれは不賛成でありますから、従つて政府は同意しないからこの修正はやめてくれということを、昔の例の法律費、義務費等についての同意権のような力があつて、正式に申入れる権限を持つておるならば、それは申入れるべきにもかかわらず、申入れなかつた責任、或いは申入れたことについての責任というものはわかりますけれども先ほど来申しましたように、法律的には全然受身の形でございますから、それについて経過の説明はできるでありましようけれども、実質について法律的責任を以てのお答えはどうしても出て来ないのじやないかということであります。
  99. 堀木鎌三

    ○堀木鎌三君 そうすると、佐藤さんのお話だと私は非常に重大な問題になつて来ると思う。我々の審議の対象になつている予算案一つです。それは政府が初め出した原案とは一応全く違つたものを、修正部分を含んで全く違つたものとして参議院に送付して来た。だから私ども政府が全然法律責任を感じない予算案審議しなければならない。審議するかしないかはこれは別な観点からでありますが、一応審議してくれということになつて参つたと結論せざるを得ないように思います。そうすると、総理大臣はもつと何と申しますか、佐藤さんのような巧敏な法律論というものから離れて、端的に素朴に修正案についても政府責任を負う、そうして説明の衝に当るのだと言われること、そのこととよほど変つた結論にならざるを得ない。併しいずれにいたしましても私は総理大臣との食い違いと申しますか、総理大臣にあえて法律上の、そういう佐藤さんとの応答を元にした法律論吉田さんにお答え願おうとは思いませんが、少くとも佐藤さんのお話だと、法律政府責任を負えないたつた一つ予算案が我々の前に出されておるという結論にならざるを得ない、こういうふうに考えますが、その点についてどうお考えになりましようか。
  100. 吉田茂

    国務大臣吉田茂君) 私の法律論は落第をいたしましたからお答えいたしませんが、修正せられた修正案に同意をした政府政治上の責任は当然持つべきである。そうして修正せられた原案参議院に送付せられた場合に、修正に応じた政府としては、修正せられた原案説明に当ることは当然であると思います。(「よろしい」と呼ぶ者あり)
  101. 永井純一郎

    永井純一郎君 今の総理大臣お答えはまあ政治上の立場からの論である。それを私は法制局に聞きたいのですが総理に対する質問は別として、先ほどの堀木君が言つておりました点について確めたいのですが、衆議院の意思が加わつた一本の予算案として参議院に廻つと来ておるのだということを言つておられる。先ほど修正部分については憲法上の、法規上の責任がない、こうはつきり答えられたのにそのことは無責任のまま修正部分予算執行され、何人が責任を持つか法律上わからないまま修正部分予算執行されるということは法律上の議論となつて来る。先ほどの点は、今は一本の予算案参議院に来ておるのだということを言われた。それからもう一つの点は)これに関連する修正としての問題で、提出権を侵さない範囲での修正が行われて来たから、国会に出した予算案は初め窓口を衆議院にやつたの提案権を侵さないまま修正が行われてそのまま参議院のほうに来ておるのだ、こういうことだつたのです。そうだと、一本の予算案衆議院の意思が加わつて、而もそれは政府提案権を侵さないで参議院に廻つてきたのだということを卒直に言えば言えると思う。あなたの説明は……。それと憲法上、法規上の責任がないことは全く矛盾するじやありませんか。法律上には明らかに参議院としては私は知つておく必要があると思う。これは重大な矛盾だと思う。そうでないということになれば今総理が答えられたことも又我々はうなずけて来る点です。もう一度はつきりとされたほうが私はいいのじやないかと思う。
  102. 佐藤達夫

    政府委員佐藤達夫君) これは申すまでもございませんが、第一にお話のありました執行の部面は、これはおよそ国会の意思、衆議院参議院の意思が合致して国会において予算案の御制定があつた場合については当然これは執行の全責任を持つてその執行に当ることは当然であります。
  103. 永井純一郎

    永井純一郎君 法律上のですか、憲法上の……。
  104. 佐藤達夫

    政府委員佐藤達夫君) それは憲法上の問題で、丁度例を挙げますと、議員提出法律政府の意向にかかわらず成立してしまつた。然るにやはり政府として、成立した以上はそれに対立する執行責任があることは行政府の立場として憲法上当然のことである、そういう意味で申上げたのであります。もう一つあつたと思いますが、提案権を侵していないということを言つたの矛盾であるというお話ですが、私どもは今度の修正は実は我々の見解から言うと提案権を侵害していないと思つております。思つておりますが仮に提案権を侵害するような修正ができた場合に、我々はどういう立場において当るかということをお考え頂けば、侵害したものはこれは無効だ無効だと如何に政府衆議院に対してどなり立てたところで、衆議院は、国会は、そういう政府見解に拘束されることはありませんから、独自の見識を持つて措置されることと思います。あとは最高裁判所に訴えられれば訴える方法があるかも知れません。そういうことはただ意見をお求めになりますから我々政府当局が法律をあずかつているものとしては、かような筋合において考えますということを申上げているだけのことであります。そこをお考え願いたいと思います。
  105. 岡田宗司

    岡田宗司君 只今吉田首相からいたしまして修正案について政府政治的責任を負う、そうしてその説明政府においていたしますと、こういうことを言われた。今まで政府修正案について法律的責任を負わないということで、いろいろと法制局長官その他が言つて来られたのは、この政府説明をしないという立場をとつておられた。一昨日の議運におきましても、それで政府説明しない、こういうことで参りました。一昨日のこの委員会におきましても、説明は改進党の三浦君になさしめようというつもりで、こちらに呼んだ。併し私どもがそれに疑義があるから今日までこの問題についての論議を重ねて参つたのであります。修正案について政府責任を負う、こういうふうに言われたことは、これは政府があの修正案成立過程におきまして、内閣においても了承し、又閣僚も一人々々が、吉田総理その他のかたがたがあの修正案に投票をされたことから見ても当然であります。従いまして本院におきましては、当然この修正案をも含む予算案説明政府がいたさなければならんのであります。私は吉田首相がこの修正案説明をすると言われました以上、ここに一応この委員会を休憩いたしまして、そうして理事会を開きまして、この説明の問題について御協議を願いたいと存ずる次第であります。
  106. 木村禧八郎

    木村禧八郎君 その岡田君の提案は私は賛成でありますが、その前に、政府が今責任をとると言いましたがそれでは国会法の五十八条に対する責任、それから財政法二十八条に対する責任も当然持たれるものと思います。ところが政府責任を持たれると、青いながら米だに国会法第五十八条における「内閣は、一の議院に議案を提出したときは、予備審査のため、提出の日から五日以内に他の議院に同一の案を送付しなければならない。」、この規定に基いて予備審査の議案が出ておりません。更に又財政法第二十八条、予算の添付参考書類、これは全部政府が出されるのかどうか、今まで責任があると言われたのですから政府が出すべきである。そうしなければ予算審議はできないということになりますが、こういう点についても理事会においてこれは取計らうべきであると思います。(「異議なし」「休憩」「賛成」と呼ぶ者あり)この点についてあと答弁を求めたいと思います。
  107. 青木一男

    委員長青木一男君) 暫時休憩いたします。午後一時半から再開いたします。    午後零時二十一分休憩    —————・—————    午後二時三十三分開会
  108. 青木一男

    委員長青木一男君) 休憩前に引続き会議を開きます。  質疑を継続いたします。
  109. 永井純一郎

    永井純一郎君 午前中の質疑におきまして法制局のほうの意見を聞きそれから又総理のお考えを伺つたわけでございまするが、その結果法制局長官の私が確認をしたことに対する答弁では、修正部分については憲法上或いは法規上の責任がないということを私が確めたのに対してはつきりと答えておるのでございまするが、総理はこれに対して責任があるのだというような答弁だつたと思うのです。そこで私は先ず法律論として法制局長官にお伺いしたいのは、若し修正部分について憲法上法規上の責任がないということになりますと、その部分については当然憲法の規定の上からは執行権が行政権がその部分についてはないというような結論が出てしまう。そこで法律論としては、政治的にはどうしてもその内閣はやめるよりほかしようがないということになるのじやないですか、その点お伺いしたいと思います。
  110. 佐藤達夫

    政府委員佐藤達夫君) 内閣国会との予算をめぐつての立場の終局的の関係は、結局予算というものが国会の御審議によつて成立する、した以上はそれを誠実に実行する、これだけになります。ただ予算成立するまでの過程の問題として、内閣国会との交渉関係、これがいろいろな形で出て来てる、そうすると、先ほど来問題になつている点がそういうことになるのであります。できました以上は当然実行すべきことは、法律成立しましたのちにおいて、その執行責任を以てなすべきことと同じことであると思います。
  111. 永井純一郎

    永井純一郎君 そうすると、これははつきり取消してもらつたらいいと思います。やはり修正部分についても責任があるという、法律的にもそういう結論だということを育つてもらえばいいと思います。それはあなたがほかの説明をされていることを考え合して見るとそうなるのです。今のお答えが又大分ぼやけて来ましたが、先ほどはそのほかに原案修正部分とは一応別建ではあるけれども修正部分が加わつて参議院に来た予算というものは、やはり一本であるのだというような意味のことを一つ言つておられる。それからもう一つは、提案件に基いて国会提案したのだ、それは衆議院に窓口として先にやつたのだそうしてそれが衆議院の意思が加わつて参議院のほうに送付されて来たのだ、それだからやはり提案権に基いたところの予算案というものが、政府提案権に基いた予算案というものが、参議院のほうには修正の意思は加わつているけれども、そのまま参議院のほうに来ているのだ、こういうふうな趣旨であつたと思うのです。そうすると、結論は、修正部分についてもみづからの提案に基いてそれに同意を、総理が言われたように、それに同意をしているのですから、その意味においてはやはり提案権に基く予算であつて修正部分についても法規的に責任を持つのだということをはつきりされたら非常に筋が私は通ると思うのですが、そうじやないですか。
  112. 佐藤達夫

    政府委員佐藤達夫君) ちよつと私御質問趣旨を取違えておるかも知れませんが、筋を更に正して見ますと、大体提案権というものは内閣にある以上は、国会は何らそれに附加すべき意思というものはないのじやないか。即ち提案権内閣に独占されている以上は国会はそれをいいか悪いか、全面的にいいか悪いかしか判断できんじやないかというように、旧憲法時代の説として一つあり得たわけです。まあ削除ぐらいはできるだろう。その程度のこと。そこで問題の要点は、国会が自己の意思を創設して、クリエートして、政府の出した原案に何らかをプラスすることができるかできないか、そこがいわゆる審議権或いは修正権の限界の問題として争われておるところであります。そこで我々の立場として前前から申上げましたように、提案権を害しない程度、即ち通常の款項内における相当額修正国会の意思としてそれをクリエートして政府原案にプラスすることができる。その審議権はお持ちになつておるという前提からすべてお話をしておるわけです。そこで国会がみずからの意思をクリエートしてプラスした、そのプラスした部分については、政府は異議を申立てる法律的な立場は新憲法においては持つておりません。如何に反抗したところで国会の力には背き得ない立場にあるわけでありますから、そこにその修正部分に対して、それじや政府一つ責任を追及しよう、どうしてこんな修正が入つたのだか、この修正の金額は間違つておるじやないかというような、政府のほうへお尻が来たところで、政府としては本来それに対して権限がないのでありますから、法律的にその責任に応じてお答えすべき立場にはないというのが根本の考え方でございます。
  113. 永井純一郎

    永井純一郎君 それは今法制局長官が言われておる説明は前と後ろと矛盾して来るのです。あなたの言われておることは……。それで修正権部分従つてつて行かなければなりませんが、おつしやるように、この修正権には限界があつて、そうして、その範囲は今後の場合も、その範囲は私は二重米価なり、或いは補給金政策をとつたというふうなことについて、それが非常に軽微な修正であるか、或いは政策を変えるような修正であるかどうかの論議は又後日にするとして、一応あなたの議論の立場に立つて、一定の限界を持つて修正をされて、そうして政府がそれに対して、一応与党も加わつて修正でありますから、それに同意を与えたという場合には、それはもう明らかに衆議院に先に政府提案権に基いて提案した予算というものは、参議院に来てもやはり政府提案者としての予算案であるということには変りがないのであつて、あなたの窮屈な議論のように、修正部分については質問に答えたりする責任がないのだという議論が出て来ないと思うのです。やはり依然として参議院に今日来ている予算についても、提案権というものは政府にあるのだという建前をとれば、そこは私どもが追及する場合、法律上そういうふうになつあとでの追及というものは、初めに言つた政府政策と違うから、そういう点を政策的に或いは政治的に私どもが質するということはあるのだけれども、手続上の問題、憲法上の取扱いの問題としては、私が言うようなことであるならばもうそれでいいわけなんですから、そのこと自体については追及はもうしなくていいわけですから、どこまでも政府提案権があるという建前をとつて、そうして参議院に今修正はされたけれども来ているところの予算案というものは、一定の限界における修正修正権に限界がてつて、その範囲での修正が行われたに過ぎないのでそれに対しては政府は同意を与えているのだ、そこで憲法に言う提案権というものは少しも侵されていないので、その提案権に基くところの予算案というものが今参議院に来ているのだ。従つて修正部分についても行政権を持つところの政府がやはり責任を持つのだということでいいじやないですか。私ども政治的に追及はしますよ。併し法律論としてはそれでいいじやないですか。そのことをお聞きしているのです。
  114. 佐藤達夫

    政府委員佐藤達夫君) 政治論としてはそういう御追及をなさることは、これはもう勿論御自由ということになりましようが法律論としてそれを批判した場合に、私が申上げましたように、結局権限のないところに責任はないというのがすべてを通じての私は大原則であろうと思います。今回衆議院で加えられた修正案に対して政府が仰らかの権限を持つて働きかけ得るというならば、それについての権限の裏としての責任があるはずでありますけれども、それが全然ないのでありますから、今の理論から行きますと、私の先ほど申上げた通りというふうに考えます。
  115. 永井純一郎

    永井純一郎君 そういうふうな一般の普通の議論をされるならば、やはり行政権とそれから予算提案権との関係の根本の議論をするということになつてしまうと思うのです。そうすれば、やはり行政の責任を持たないものには予算提案権を与えないというのが憲法の精神なんですから、それであるならば、あなたが言われるように言うならば、政府は改めて衆議院にも又その責任をとれるような、つまり自分が行政権者としての地位を維持しようと思うならば、それはやめれば別です。今やめていないのですから、憲法に言う行政権者としての地位を維持しようと思うならば、あなたの議論を以てするならば、再び衆議院のほうにも、改めて提案権に基く修正内容を持つ提案を再提出して、財政演説をして、そうして国会審議に答える国会はそれに対して憲法による審議権に基いて審議して、そうして議論していずれかにきめるということになつて行くわけです。それを今やらなければならんということになるのじやないですか、あなたの言い方では……。それは困るのだろうと思うのです。困るというか、運用の面で……。私が言うようならば法律論としては筋が通つて行くと思うのです。あなたの言われるように言うと、そういうふうに初めからやり直さない限りは、それはやはり提案権執行権との憲法上の関係はつきりして来ないということになると思うのですが、その点如何ですか。
  116. 佐藤達夫

    政府委員佐藤達夫君) この予算に対して変更を加えるには議会としての一方的修正というものはあり得ない。今のお話を非常につきつめて行きますと、本来執行に当るものは、その執行のための予算を組んでそこで独占的な提出権が認められるのじやないか。それで行きますと、国会としてはもう丸呑みに承認するか、不承認かということで、それは話は簡単に済むと思います。それは如何にも国権の最高機関としての今日の新憲法から言うと、そういうふうな解釈は今日は出て来ないということから、話のスタートは違つて来るわけであります。併し現実に見ますと、予算を変えたいという場合方法は三つあります。議会がみずから修正権を行使して変える場合、それから社会党でおやりになつているように、組替要求の決議をして差戻すという方法もある。更に政府が自発的に修正を申入れて、国会の同意を得て修正の手続をとるという、方法は三つあります。ありますけれども、私は政府が自信のない原案を出しておれば途中で自発的に、ちよつと待つて下さいという修正申入をするということはあり得ますけれども、自信を持つて出している以上は、政府側がみずから進んで修正を申入れるということは、筋合としては考えられないことだろうと思います。従つて国会では修正権をお持ちになつているという前提の下に修正権を行使されるならばそれをやめて下さいということは勿論言えませんし、なお又それを押しのけて、政府から編成替の申入をするというようなことは、これは順序としては極めて不自然な形になるというふうに考えるわけであります。
  117. 永井純一郎

    永井純一郎君 私が言うのは、私はむしろ逆なんです。修正権限はすべてあると思う、その修正権に対していろいろのやり方があると思う。今言われたようにいろいろな修正権の行使の仕方があると思う、こう思うのですが、私の言つているのはそうでなくして、私が言う結論が、修正権がないということを言つているのじやなくて、あなたが言われたように、修正権というものには限度があるという建前をあなたはとられたわけです。そこで、それはどこまでも提案権を侵さない、先ほど言われたように提案権を侵さないところの範囲における修正だというならば、今参議院に来ている予算案は、提案権を侵さない限度で修正されたものであるから、提案権は依然として政府に今もあるのだということに法律上なるじやないかということを先にお答え願いたいと、こういう意味なんです。如何でしよう。
  118. 佐藤達夫

    政府委員佐藤達夫君) 提案権先ほど申しましたように、国会宛の提出書を衆議院の窓口に持込んだということが提案権の行使になるのです。それからあと国会の御審議にお任せしているということであります。
  119. 永井純一郎

    永井純一郎君 そうすると、提案権は今も政府にあるのですね、衆議院送付予算案については……。政府提案権に基いた予算案なんですね、修正されている……。
  120. 佐藤達夫

    政府委員佐藤達夫君) 提案権に基いて衆議院に受付けられたものが、いろいろ纂薬を貼られて参議院に参つているという形であります。
  121. 永井純一郎

    永井純一郎君 従つてその提案権というものは侵されていないのであつて提案権政府にあるのですか、憲海の条章通り
  122. 佐藤達夫

    政府委員佐藤達夫君) それが修正権提案権との関連の問題になると思うのですが、この提案権というものがとことんまで徹底してくれば、先ほど来たびたび申上げますように、修正ということはとにかく提案者の意向を変更するわけですから、全然できないわけであります。或いは削減すらもできないというのが潔癖な議論だろうと思いますけれども、これを国会予算審議をお願いするという大乗的な建前から言つて予算政府原案に対して国会が意思をクリエートされて、適当なりと認められて意思を附加されるということは一概に否認するわけじやない、それが新らしい憲法上における国会の地位である、併しながら、飽くまでもその提案権政府に保留されているという枠だけは動かすわけに参りませんから、政府が全然意図しておらない、例えば新らしい項目をプラスされるということは、政府提案の際に意図していない部分でありますから、そこに限界の問題が出て来るであろうという考え方であります。
  123. 永井純一郎

    永井純一郎君 そこであなたの議論は、修正権提案権を侵さない、侵害しない範囲のものである、そうして今度の予算の場合は特にそうであるということは、初めから説明をされておりますから、提案権というものは憲法上の提案権というものは少しも侵されておらないのであつて、それに基く予算案がただ事務的にこちらに送付されて来て、ここに予算というものはあるのだ。こう見ていいのですね。私どもがこれから審議する予算従つてそれは責任があるということになりますがね。それは当然、そうであれば、責任がないというならば、それを法律的に明らかにされないと、なかなか一向わからないということになると思うのですがね。
  124. 佐藤達夫

    政府委員佐藤達夫君) 我々は横合いから見ておつて衆議院でおやりになつたことをいろいろ検討してみると一どうもこれは提案権を侵害したという結論にはならんだろうというのが、我々の学説として容認すべきであろうと思います。これは学者によつて違いますけれども政府としては政府の学理上の見解からは、そういうことが考えられるということであつて、それは政府責任と、そこはどこで結び付くことになるのか、これはもう少し詳しくお教えを受けないと私見当がつきません。
  125. 永井純一郎

    永井純一郎君 そこまで議論がはつきりして来ればあとはおのずからそれで明らかだと思う。つまり提案権が侵されなければその範囲での修正であつた場合は、当然行政の責任を持つておるところの政府修正部分についても、責任を以てその執行の賛に任ずるということを、これはもう法律の議論として当り前のことであると思います。憲法ちやんと書いてある。そのことを認められれば先ほど総理が言われたように、私は責任を持つと言われるので、私は総理の言われた答弁通りだと思う。その点はあなたと食い違うからはつきりしておかないと、これからも理事会で、しばしば申上げるように、吉田内閣が続く以上予算修正というものは私は行われると思うのです。今度の取扱を参議院において或る程度憲法上の疑義をちよつといたしておきませんと、又次にそういうことが起きたとき、もう初めから議論をやり直さなければならないということは非常にむだだと思うのですね。そこを私は総理責任があると言われた言葉は正しいと思う。法律上も、道義上も、政治上の責任は当然のことであります。これは議論するまでもない。あなたが妙な違つた、いろいろなことを言われたからみんなが非常にこんがらがつかて来ておりますから、その点を明らかにして頂きたい。こういう意味なのです。
  126. 佐藤達夫

    政府委員佐藤達夫君) 大変非常識な忖度になりますけれども、今の、我々が提案権の範囲内であるという、如何にも承認したというような……。政府が公の立場として衆議院のやつたことを、許可したというと言い過ぎかも知れませんが、政府が公にこれを承認した、政府が公に承認しない限りは、提案権を侵害するような修正権成立たないという原理でもあれば、政府がオーソライズした、同意したということについての政府責任ということもありましようけれども、仮に提案権を侵害するような修正がなされても、政府は公の立場から異議を申立てるべき権限は全然ない。ただ先ほど政府の立場としては気持はどうかと言われますから、我々は法律書生として考えておる理窟を申上げておるだけであります。政府提案権の侵害でないと言つたからといつて衆議院の行為がそこで正当な要求、合法的なものになるということはないわけでありますから、どうしてもそこに責任とのつながりということが、お話の筋合いがよくわかりません。
  127. 永井純一郎

    永井純一郎君 行政権なり予算提案権なり持つてつて、その裏に責任があるというのは法律の普通の議論じやありませんか。提案権それに基く憲法がきめておるいろいろな責任については不明確だというような、そんな法律論成立つわけがございませんよ。それはそれこそ、なぜそういうことを曲つた答弁を強行しなければならんかということは私どもはわかるのです。衆議院があんな調子でやつて来てしまつておりますから、併しそれは運用の面で私は救い途はあると思つているのです。実は思つておるのだが、そういうことは又あと理事会なり何なりで議論すればいいことであつて、今は筋を通すべき参議院が特に憲法上の疑義の筋の通らないものを筋を通しておくということをしなければならん。第二院としてしなければならん。こう思うから私どもはこの点を明らかにしたい、こう思つておるわけなのです。提案権を認めながら、それにつながるところの行政を担当する政府責任が明らかでないというような議論はそれはもう幾らやつてつて委員会は通るわけはありません。参議院の中では通らないと思う。その点は明らかにそうであるということを言われない限りは、いろいろな角度からこの点について議論しなければならないのですが、なぜ責任がないのか、法律上の根拠がそれこそないと思う。或いは責任がないということは法律上ないと言われるのか、或いはいろいろ現在の実際上の予算がこうなつて来ておるから、これは取扱上困るという意味なのか、お伺いしたいと思います。
  128. 佐藤達夫

    政府委員佐藤達夫君) 曲つた答弁とおつしやいますけれども、先刻来申上げますように、これは国会が独自におきめになる事柄であつて、我々が曲つた答弁をする実益も何もないのであつて、ただ法律を学んでおる者としての見解はどうかという点で、或いは政府は一方の当事者でありますから、その意味で公の見解を申上げる立場におりますけれども、それは国会に対して何らの拘束力を持つものでも何でもない。これは曲つた答弁をしなければならない実益はないわけです。そういう実益のない事柄でありますから、私は、或いは政府はその良心に従つて正しいと信じておるところをただ申上げておるだけであります。
  129. 永井純一郎

    永井純一郎君 そうすると、法制局意見提案権なり、或いはそれにつながる責任の問題は、参議院がきめればいい、こういう意味なんですか。
  130. 佐藤達夫

    政府委員佐藤達夫君) 提案権なり、或いはそれの修正権の限界なり、或いは提案権修正権に伴う責任の問題ということはついては、それは我々が今申しましたように、正しいと信じますところの筋を申上げておるわけであります。併しそれに対して政府のほうで、これは責任のないことであるからと申上げましたところで国会に対する拘束力はございませんから、従つて曲つたというお言葉を特にお使いになりますから、私が曲つた答弁をしているということになると、これは大変なことでございますから、その点の弁明を申上げまして、政府としての見解は飽くまで私は正しいと思つてここで申上げているわけであります。
  131. 永井純一郎

    永井純一郎君 それでは角度を変えて私はお伺いいたしますが、修正権提案権を侵さない限度ではあるこういうふうな法制局意見なんです。それでは一方から言いまして、憲法はこの八十三条で、財政のことに関するあらゆる処理をする権限国会の議決に基かなければならないということを規定しておりますから、そこでその運用の私はあらゆることをきめる議決権の中に当然修正権というものがあると思います。その中に含まれている。そうしたらこの八十三条に基く修正権考えて来ますと、如何なる修正でもできると思う。新らしい増額の新項目も設置することも、増額することも勿論できると思うんです。そこでこの八十三条に基いて国会が議決する。そうして政府にこの予算はまずいから組直して来いという議決をした場合、これにはいろいろな場合が考えられると思いますが、勿論一般的に議決が行われた場合にはそれに基いて政府はみずからの提案権に基いてそうして改めて組替えの案、修正された予算提案をするということが私はなし得ると思うんですが、それはどういうふうにお考えですか。
  132. 佐藤達夫

    政府委員佐藤達夫君) 組替え要求の決議というようなことは国会法にも憲法に文字としては、条文としては現われておりませんけれども、これは国会の作用として私は可能なことであると思います。ただそれには従わなければならんかどうかということは、むしろ政治問題であつて一議院において多数の意思によつて組替え要求の決議が成立したという場合に政府がその要求に応じない限りいつまでたつて予算審議はして頂けないのであります。して頂くためにはそれを尊重した形で、又組替えて再提出しなければならない、実際上はそうなると思います。
  133. 永井純一郎

    永井純一郎君 そこで今のそういう決議が行われる場合、或いは決議まで至らない場合もあると思うんです。実際問題として……。これは今運用の問題について言つているわけなんですが、決議まで至らなくとも、或いは決議をする場合も、与党が全部挙つて、民主主義の下における議会主義を、日本は憲法において明らかにとつておるわけなんですから、それを前提として言うわけなんですが、与党だけが力を合してそういう決議が通つたという場合には、これは当然民主主義下における政党政治でございますから、これはもう辞職するなり解散するなりということが行われなければならん。ところがそうでない場合も考えられる。与党中心にして、他の一党又は数党がこれに協力をしまして、そうして修正が行われるということがもう一つ考えられる。今度の場合はそういうケースをとつておると思うのです。これは非常な私はこの場合には意義があると思う。この場合は院議でもつて、議決などをしなくても、あらかじめ政府与党中心になつて、他の一党と、或いはその他の数党と話合いをしてやつたのであるから、みずからの同意を政府がすると同時にこれは当然、これに応じて組替えなりということが行われるということが考えられる。その場合に私は一番理想的にはやはりみずからが持つ、政府が持つ提案権に基いて提案をし直して来るのが一番手続上いいのだと思う。併しそうではなかつた場合が今起つておるからどうするかということで考えて行きますと、これは解釈上救済の途があると思う。それは別途にあると思う。こういう場合を考えて来ても、なお今日の予算案審議の方法にあると思うのだが、あなたのように、修正意見提案権を侵さない限度だけで認められるのであつて、そうして議運答弁をされておるように、新らしい項目などを設けるときには、提案権侵害となつてそれはいけないのだというような建前を逆にとるならば、当然今日ここに廻つて来ておる予算案政府提案権に基く予算であつて、それに基くところの行政権を持つ政府責任があるということは、これは当然じやないのですか、私はなお更当然だと思う。こういうふうに、具体的に運用から考えましてもそうだと思うのですよ。これに対する、私の考えに対するそれこそ今度はそちらの所見を承わらなくちやならん。
  134. 佐藤達夫

    政府委員佐藤達夫君) どうも修正というものが提案権の範囲内であるならば、その議会でなされた修正行為なるものは、政府の代りに、政府の代行機関としてのその提案権の範囲内で行動して下さつたというふうにこれは見ることができれば、今のお話は割合につながつて来るのですが、私どもは何も政府の代行機関として修正をして頂いたとは毛頭思つておりません。独自の権限によつてなされておるものと思いますが、その提案権の範囲内で修正がなされるのか範囲外でなされるのかということによつて政府責任に関連が出て来るとはまだ考えられません。
  135. 永井純一郎

    永井純一郎君 私が言うのは執行権者の、憲法上に言う執行権を持つ執行権者の地位におる間は……やめれば別ですよ、そのことによつて辞職すれば別です。併し修正してもなお且つ執行権者の地位を持続させようとすれば当然責任があるわけなんです。そこで今度の具体的な場合は、政府与党が中必になつて、他の一党或いは二党の協力を得て修正したのだから、私はそれに対して、而も政府が同意したのでありまするから、私は今となつて参議院においては、これはやはり衆議院における手続も誤つている。本当は提案権に基いて改めてそういう修正内容を持つところの予算案として再提出して、それに対して議決が行われる、審議されて議決が行われるという手続をとつて来なければならなかつたのだけれども、今となつて衆議院ではそういう手続はとらなかつたけれども与党中心になつて修正をし政府がこれに同意を与えたのであるから、やはり提案権に基いたところの予算案が実質的にはそのまま侵されずに参議院に参つて来ているというふうに私はみなさざるを得ないと思うのです。運用から言つてみなさざるを得ない。そうすれば誠に取扱上、衆議院では不都合はあつたけれども参議院としてはその事実をそういうふうにみなして、これをやはり政府提案権に基く一本の法律予算案である、そうしてそういう意味で政府を相手にして審議を続けて行く。そうしてきまつたならば、その一切の執行の責は政府が負うということでなければ、それは話の筋が全然通りませんよ、それ以外の議論というものは……。私はそう思うのですが、この点でどこが悪いか言つてもらいたい。
  136. 佐藤達夫

    政府委員佐藤達夫君) 悪いということは申上げられませんけれども、どうも国会修正をされたということと、先ほどお触れになりましたように、組替えの要求があつて、それに基いて政府がその名において組替えして御提案申上げたというものとの違いは、私は法律的にははつきり違う。その関係から責任関係も又はつきりして来ると思います。ただ今のお話だと、どうせ与党も一緒になつているということもありますから、政治的或いは実質的の関連性があるだろうというその点は、全然ないということは私は言いません。法律的には勿論ありませんけれども、事実上の問題としては関連性があるだろう。それは言うことはできましよう。併し法律的に申上げた場合には、組替え要求に応じてやつている。それは非常に、政府が前に修正手続をとつた場合とは全然違うのですが、今の憲法の建前から言えば、国会内閣のまあ議院においての行動は、多数決による行動は院議となる、それだけのことであります。
  137. 永井純一郎

    永井純一郎君 いや非常にこだわつて法制局長官答弁しておりますが、私は更にくだいて言いますと私はこういう場合に二つ考える。それは非常に軽微な、つまり政府原案性格を変えないような修正抽象的に申上げまするが、そういつた場合には、私は当然組替え決議や何かによらなくても、今度のような場合にすつと来ても私は性格を変えない、つまり提案権を侵さないものであるから、当然手続上少しは間違つてつても、事実上政府はみずからの提案権に基いて参議院提案をして来たのだとみなさざるを得ないと思うのですね。それはね、軽微の性格を……あなたが言うように性格を変えない軽微の修正案であるなら。併し重大な修正をされた場合、性格を変えるような重大なそれに修正をされるような場合には、これはそういうことは許されないと思う。どうしてももう一度提案権に基く提案をするか、辞職をするか、どちらかになると思う。併しそうでない場合、一応今度のものが重大でないと見て、その点については私はそう思つてないのだが、一応ですよそこのところはお互いに意見が対立し一たままで行くわけですから性格を変える予算であるか変えない予算であるかということは、場合によつて考え方が違うのだけれども、それは一応別として、重大でないもの、つまり提案権を侵さないものであるというならば、私が言うように、それはやはり政府提案権に基いて提案して来ている予算だ、併しやり方が間違つてつても、参議院としてはそうみなしてこれを取扱うということでなければ、あなたが言われるようなふうにやつてたら私どもはこの予算を取扱う前提が何にもないことになる。責任のないことについて、執行の責を負わない部分についての審議というものは参議院はすることができない。修正部分はそれでは抜かして、参議院予算審議をしなければならん審議の対象にならないのです。憲法八十七条に言う審議権の対象になつて来ないじやありませんか、あなたのようなことを言われると……ですからその処置は、私はむしろ総理の説にあなたは賛成をされたほうがいいのじやないかと思いますが、どう思いますか。
  138. 佐藤達夫

    政府委員佐藤達夫君) 私は総理に刃向つて総理の説に反対を述べているようにおつしやいますけれども、これは全く違うので、私の言つてるのは全く数字的の法律論を几帳面にやつているだけでありますから、すべての考慮というのは全然のけての話であるというふうに御了解願えると思います。そこで言葉は変ですが、重大とか重大でないということは非常に手がかりとして有益な手がかりだと思います。私どもは今のように法律的に考えておりますから、重大であると言つても、いじられた項目の数が非常に多いから重大である、そんなことを永井委員はおつしやつてるのじやないと思う。そんなことは法律的には同じです。ただ憲法論に引つからんで出て来るのは、政府施政方針なり、基本的政策というものを、仮に全面的にこれを否定されるような修正衆議院成立した。これは私あなたのおつしやるように、重大な修正ということになると思います。その場合において、言い換えれば、不信任決議と同じことになる。従つてその場合には、政府は解散をするのか或いは又総辞職の途をとるという、そこには政治的の判断をすべき責任の場面が出て参ります。それはわかります。併しながら今回の修正が、お言葉にもありましたように、その意味での重大性は全然持つていないということは申すまでもないことであると思います。
  139. 戸叶武

    戸叶武君 前回吉田首相が極めて明快にこの修正予算に対する責任政府がとるということを言明したのでありますから、法制局長官が、永井さんが指摘せられたように今まで発表された御見解というのは、参考意見としてであるという程度で、余り権威がないと見なければならないのであります。それはやはり政治的苦衷を察して弁護に努めたと思うのでありますが、法制局長官は、国会はその予算案修正する権限を持つておる、その修正した部分については政府法律的に責任がないと言つているというようなことを、そのような見解の模様でありましたが、吉田首相が言われたように、よし国会において修正されたといつても、それは政府責任であるというのが妥当である。この混迷が生まれましたのは、即ち何とかして七重の膝を八つに折つてもこの予算案を通したいという、政府のこの卑屈性から、結局この政治的な出所進退に明朗を欠いたのです。修正に対して不満であるならば、飽くまでも闘つて、解散をやるなり、或いはそれに敗れて、自分たちがこの予算案をば抱いて、総辞職しなければならないならば、総辞職するなり、その予算案提出者としては、その修正に応ずるなり、拒否するなり、途は残されているのであります。併しながら政局の、政界の安定という名の下に、解散を断行する勇気もなく、財界の安定という名の下に、この混血児的な修正予算を呑まざるを得ない。この政府の苦衷は察して余りあるものでありますが、その出所進退に至つては、まさにこの憲法上における今日の疑義を生むような醜態を演ぜざるを得なかつたのですが、その点は非常に自分の法律論は間違いであつて、皆さんの言うのが大体その通りだというふうに、非常にあつさり吉田首相は兜を脱がれたのでありますから、その上に立つて、我我今後この予算案に対する論議を進むべきである。それでないとするならば、この修正予算案に対する責任を、予算提出権提出者としての政府が持つならば、それ相応の体制を備えて、この参議院にまみえてもらいたい。今までのように、修正された部分責任は持たないとか或いは何とかというような、法制局長官の非常に無駄な口を排除して、率直に吉田さんの言うように、この参議院政府は相まみえてこの予算審議に対して政府は即刻堂々の陣を張つて来てもらいたいことをお願いいたします。
  140. 佐藤達夫

    政府委員佐藤達夫君) 先ほどまでは法律論を申上げておつたのでございますが、只今永井委員からも吉田総理のいろいろ言われた言葉と食い違いがあるのじやないかというような意味のお言葉がありましたから、一応私申上げておつたのでございますが、総理大臣が言われたのは、もとより政治的の見解をおつしやつたと思います。そしてその意味は、結局この修正部分についての責任問題ということでなくして、この修正を受けた、修正されたということについて了解しておる、了承しておるということをおつしやつているわけですが、その意味についてこれは私から言えば、これは非常に消極的な責任だと思いますけれども、その意味でその点については政治的責任の問題になろうということであつたように私は聞いております。
  141. 岡田宗司

    岡田宗司君 先ほど首相お答えになりましたのは、明らかに修正案内閣において了承したのでそれで政治的責任が生じたという意味でその御答弁をなされていると思うのであります。とにかく与党がこの修正案了承し、而もこれは受動的に了承したのではなくて、与党である自由党が、みずからこの修正案の発案者になり、閣議がそれを了承し、而も吉田首相以下が、これに白票を投じておるのです。そのことを、いや、その部分についてではないのだ、それはもう消極的なものだというようなことは、これは勝手に佐藤法制局長官言つておるだけの話で、もう一度私は修正案の、つまり予算案修正された部分について、首相政治的責任を負うものであるかどうかということを念を押したいと思うのであります。首相の御答弁をお願いしたい。
  142. 吉田茂

    国務大臣吉田茂君) 私の答弁について大分拡大解釈が進められたようであります。私の申したことは、財界の安定から考えて見ても、予算成立せしめたい故に妥協に応じた、妥協に応じて、修正案に応じたという政治的の責任をとる、こう申しておるのであります。
  143. 岡田宗司

    岡田宗司君 それではもう一度首相にお伺いいたします。若しこの修正案閣議了承されたといたしますならば、その閣議で以て修正案了承したということは、この修正案政府として執行することをちやんと予定されて、そうしてされたのではないか。そういたしますれば、これは立派に政治責任が生じておるものと言わざるを得ない。単に修正案を認めたという以上のものをちやんと了承して、この修正案に臨まれた。そうして又白票を投じられたのはそのためであります。何のためにこれを了承されたのか、或いは何のために白票を投じられたのか。それを閣議で以てこれを受けられたこと、及び吉田首相以下全閣僚が白票を投じられたことに対する、その問題についてもお伺いしなければならんのであります。もう一度改めてこの修正部分に対する政治的責任についてお伺いしたいと思います。
  144. 吉田茂

    国務大臣吉田茂君) 繰返して申しますが、政府として、又内閣といいますか、妥協……、修正案に応ずることが適当なりと考えて、予算成立せしむるため、或いは財界の安定を図るためにも、この際において修正案に同意するということが適当なりと考えたのであります。故に適当なりと考え政治上の責任はとると申したのであります。どうぞこれは拡張して御解釈にならないように希望いたします。
  145. 岡田宗司

    岡田宗司君 只今修正案は適当であると言われました。適当だと、こういうことは、これは賛成をされたことを意味すると私は思う。又それなるが故に御投票もあつたと思う。そうして修正案が適当である、而も財界の安定のためとか、いろいろな理由を以て、積極的にこれを呑まれて、そうして適当であるとお考えなつた以上、この修正案なるものを政府はやはりいろいろ論議をされた場合には、デイフエンドしなければならんことになるのじやないですか。これを攻撃された場合に、やはり政府としては、閣議了承した以上、これを擁護する立場に立たざるを得ないのじやないか、これを放つたらかして置くわけには行かないのじやないか、あなたがたは、その責任政治的に負わざるを得ない。先ほどこの予算案について、修正された予算案について政府説明いたしますというのは、ただ経過を説明するだけではない、又経過を説明するに当りましても、これは政府としてどうして受けたかということの内容説明もしなければならん。その受けた経緯なり、政府が受けるに至つた理由もこれは説明しなければならんと思う。そうして政府説明するということになりますれば、これを放つたらかして他人事のように考えられる予算修正案ではない。私はそう思う。吉田首相は、これはいや受けたことは受けたのだがこれは説明責任もない、おれのほうは知らんのだ、お前のほうで勝手にこれは論議しろ、こういうことであるのかどうか。先ほど言われた、それでは政府修正された予算説明をするということは一体これはどういうことなのか、もう一度はつきりして頂きたいと思うのであります。
  146. 吉田茂

    国務大臣吉田茂君) 私が申すことは、即ち修正案に応ぜざるを得ないその当時の事情を説明する。内容まで進んでそうして説明をする、説明責任を引受けて、この内容説明までは引受けられませんが、併しながら妥協に応じた、修正案に応ずることの止むを得ざること、必要なることを考え、そうしてこの妥協に応じた、修正案に応じたということの政治上の責任はとると、こう申したのであります。
  147. 永井純一郎

    永井純一郎君 総理にお伺いするのですが、先ほどからのは、政治上の責任ということはわかるのです。それは当然のことなんです。あなたが政治上の責任をおとりになるのは当然のことなんです。そこで佐藤法制局長官と私との間でやりとりをすることは、私は政治上の責任をとられることは、内閣閣議にまでかけてきめられたことでありますから当然のことであつて、ところがその政治上の責任は、当然私は憲法上の責任にこれはつながるものだと思うのです。そのことは法律論としても又言えると思うのです。そのことをはつきりさせたいために法制局論議を今しておるわけです。総理考え方が、又法制局から言われて、いろいろ変つたふうに言われると、又こんがらがつて来ると思う。そういうふうな答弁をされると、今度はそれでは憲法上の責任は、総理はとらないのかという質問をせざるを得ない。これは如何なる国務大臣でもとらないとは言えない、憲法上の責任は、あなたに行政権の一切があるわけですから、あなたは政治上の責任はとるが、それでは憲法上の責任をとられるかどうか、佐藤長官は憲法上法規上の責任はないと言つておる。私は総理大臣にそれではあなたは政治上の責任はおとりになるが、憲法上の責任はおとりにならないのか、修正部分について。こういう質問をするわけです。
  148. 吉田茂

    国務大臣吉田茂君) 私のお答えいたすことは当り前のこと以外にお答えできないのであります。故にあなたが当り前とお考えになることは当り前に申しただけのことであります。而うして私の申すのは政治上の責任それが直ちに憲法上の責任法律上の責任になるかならないかは、あなたの考えられることは何であるか私にはわかりませんが、併し私もはつきり申しますのは修正案に応じた政府政治的責任は無論政府の負うところである、これだけを申しておるのであります。これが直ちに憲法上の責任になるか、如何なる憲法上の責任に変化するか、無論政府として当然憲法上負わなければならない責任までも回避する考えはございません。
  149. 永井純一郎

    永井純一郎君 今の憲法が民主憲法であつて、そして財政と予算について三つの原則を掲げておる。そうして如何なる政府ができてもこの憲法の条章によらずして責任ある政治をすることができないと思う、この条章以外に。こういう基本的な問題について政治的責任というものは当然憲法上の責任と合致すべきものなんです。これは当り前のことなんです。私も当り前のことを言つておる。ですからあなたは帆当然、私は政治上の責任をとられるか上から、憲法上の責任を私はとらるべきだと思う。又内閣総理大臣憲法上の責任がわからんのだということは言えないはずなんです。はつきり憲法上の責任は立憲政治でありますから、とる、こう答えらるべきものだと思いますが如何ですか。
  150. 吉田茂

    国務大臣吉田茂君) 先ほど申しました通り、私の申す政治上の責任なるものが、それが直ちに憲法上の責任になるかならないかが問題であります。あなたのお話のように、私の申した政治上の責任というものを以て直ちに憲法上の責任なりと御解釈になるのがいいかどうか、私はよくわからないのであります。
  151. 永井純一郎

    永井純一郎君 それでは直ちに答えができないということでありまするから、あとでもいいのです。ちやんと御相談願つて、今日なり明日中なりにこれははつきりさして頂きたいと思います。特に委員長に申上げますが、委員長もその職責においてこの御答弁総理に督促されることを私はこの委員会で申添えておきます。  それから更に続いて法制局にお伺いをしますが、それではまああなたがいろいろと余り私が了解はできない法律のいろいろな議論を答弁をして頂いたのですが、まあそういうふうに提案権に基いておると一面言いながら、半面修正部分についての責には任じられないのだというようなことを言われた。そこで一本であるべき予算が、実際は、あなたが一本だと言うが二本になつて来ると思うのです。その証拠には改進党の提案者と称する人々がこの参議院に来て修正部分について説明をするということになると思うのです。又それをしようとしたのです、昨日。併しそれを私どもは取扱について法律憲法上の疑義があるから、本日一日その疑義を前提としてここに委員会が開かれておるわけですが、それならばその衆議院議員の改進党の諸君がここに来て説明をし答弁に応ずるのは、如何なる一体法律上の地位に基き、或いは権限に基いて答弁をするのか、この点をお伺いしたいと思います。
  152. 佐藤達夫

    政府委員佐藤達夫君) ちよつと大事なことでございますから……先ほどのお言葉の中に、提案権に基いておるというお言葉がありましたが、私どもはそこに恐らく永井先生の誤解がきるのじやないかと思いますが、基いてとは考えておりません。提案権を侵害しないという範囲のものだと思います。その点念のために申上げておきたいと思います。  それから今のお尋ねでございますが、これは先ほど来由しましたように、法律内閣提出法律衆議院修正された場合に、政府としては普通の場合は委員会でかよう、かくかくの経過で衆議院修正されましたということをお答えしてお取次を申上げておる、今まではそれで済んだのであります。ただ参議院のほうの委員会でそれだけではちよつと十分納得できないという場合には、委員会の御意向として参議院のほうに修正の発議者なり何なりに来てもらつたらどうかということを委員会として働きかけてその措置をおとりになるというように了解しております。
  153. 永井純一郎

    永井純一郎君 こちらの委員会でそういうふうに例えばして、多数の力でそういうことになつて改進党から来て説明をするでしよう、事実問題としては。その場合、それでは如何なる法律上の地位に基くか、有権的な答弁になるかどうか。執行について責任を持つために答弁をするのですから、それは一体どういうことなのか、こういうことです。
  154. 佐藤達夫

    政府委員佐藤達夫君) これは私政府の役人でございまして、参議院の議事規則或いは国会法について、今のような手続問題については何ら権威を持つたお答えをすべき地位にございません。恐らく法制局長が見えておると思いますが、参議院のほうの事務のかたに一つ権威のあるお尋ねをなすつて頂きたいと思います。
  155. 永井純一郎

    永井純一郎君 法制局のほうに、それは或るほど参考のために聞いてもいいのですが、政府はこれについてみずからの執行にいて責任は当然あるわけだし、又与党と改進党と共同でこの予算修正しておるのですから、それがどういう責任を持つて権限に基いてこの説明に当らせるかということを知らないというようなことは、これはおかしいと思うのです。法律的には何にもそれはないんだ。便宜、参考人としてやるならやる、一応参議院では今参考人ということでやらしております。今後も参考人としてやるということのほうがいいかどうか、私は政府考えを持つておらなければおかしいと思う。
  156. 佐藤達夫

    政府委員佐藤達夫君) どうも永井先生のは、よく御承知の上で私を試験していらつしやるように思われてしようがないのですが、要するに、仮に衆議院議員の発議の場合については、その提案した人が参議院に来て御説明申上げることができるということに、国会法でありましたか、なつておると思います。併しその修正の場合にその提案の場合の条文がかぶるかどうかという解釈問題は、私はあると思うのです。併しそれは別として、参議院側としては、要するに委員会審査上必要であれば今の参考人を呼ぶ、民間の人でさえもお呼びになるんですから、これは今の衆議院議員のおかたに出て頂くということを要求することは当然可能でありますし、又、私の承知している限りでは実例もあるように聞いております。
  157. 永井純一郎

    永井純一郎君 それが、予算の場合に、提案権というものがあり、執行権というものがはつきりしている問題であるから、問題になつて来るわけです。参議院としては、何ら有権的なものでない権限に基かない人の答弁なり説明を相手にして審議をするわけに行かないのです。私はそれは憲法上の審議権の対象にならないと思うのです。ですからその点が明らかにされなければ、参考人なり公述人とかいうのはそういう意味で聞くのじやないのすから……、それで判断をして、そうして又答弁をするが、執行について責任を負うというようなことにならないんですから、そういう場合に、だから改進党の諸君が来て説明をするということは、一体何らの権限に基かない、法律上の地位もないということになりますと、これは参議院としては、その審議がやりたいのだけれども不可能だということになつて来ざるを得ない。ですから、私が聞くのは法律はつきりしておらないなら、しておらないと、こう答えをしてもらわないとこれ又いつまでたつてもわけがわからないということになるわけです。
  158. 佐藤達夫

    政府委員佐藤達夫君) 衆議院予算修正された行為そのものが全然無権限の行為である、こういう場合ならば、その予算修正にたずさわつた人を呼んで来るのは全然ナンセンスであります。併しながら私は、衆議院における修正行為というものは権限ある行為であると思いますから、丁度法律において権限に基く修正をなさつた議員のおかたが参考のために出席をお求めになつてここへ出て説明されるということは、法律の場合と何ら興るところはないと存じます。
  159. 永井純一郎

    永井純一郎君 そうなりますと、その権限に基いて修正をやつた、それでありますから、そういう権限に基いて来て説明をするのだということであれば、その修正権限というものは、あなたが言われるように、提案権を犯さない範囲の修正権しかあなたは認めていないのですね。それであるから、あなたの言われておることは明らかに矛盾してしまうのじやないですか。それであつたらやはり提案権政府にあるから政府説明をしなければならない。参議院に改進党の諸君を呼んで説明をされる場合は、私は少くともそれは政府答弁の補助者に過ぎない。修正案を作ることにタツチしたから法律上は私は単なる補助者に過ぎないと思う。従つて、それはなぜかというと、改進党という党が行政権を持たないからなんです。そういうことは私は法律上明らかだと思う。予算の場合には政府委員でも何でもないのですから、単なる説明の補助者だと認めなければならない。そういう意味で、まあ通俗的に言えば参考人、そういう意味しか私は法律上の地位はない、こう思うのですが、この点についてもつとはつきりして頂きたい。
  160. 佐藤達夫

    政府委員佐藤達夫君) どうも私ども素朴に考えまして、委員会等における御審議というものは、その実態を究めて、よりよきものにしよう、いいものか悪いものか判定しようということで本来ならばあらゆる手段を尽しておやりになるので、従つて政府の者を呼び出して説明をお聞きになることもありましようし、或いは民間の人を呼び出してお聞きになることもある。その手段は平等であると思います。これが政府をお叱りになるお座敷だということになりますというと、叱られる資格のない者は出て来れないということになりましようけれども、私はそういうふうに考えておりませんから、審議の御都合によつて適当と思われる者を呼び出す要求をなさる御権限は、応ずるか応じないかは別として、広くあるのじやないかと思います。
  161. 永井純一郎

    永井純一郎君 それでは、改進党の修正をした諸君が説明するのですが、それらの人は予算執行について法律権限を持つ、或いは責任を持つことができるか、お伺いします。
  162. 佐藤達夫

    政府委員佐藤達夫君) その場合に、恐らく参議院の当委員会でお喚びになるとすれば、この修正はどういう理由でなされたものかということをお調べになるためのものであろうと思う。執行については、成立した暁には政府が全責任を負いますから、その気持については政府お尋ねになるのが当然でございます。けれども、どうしてできたのか、修正案がどうして成り立つたのか、含んでおる趣旨はどういう趣旨かということをお尋ねになるのは、その当の修正関係のお方ということになろうと思います。
  163. 永井純一郎

    永井純一郎君 そうすると、結論は何ら執行についても権限はないので、従つて普通喚ぶところの公述人だとか参考人だとか、こういうものと法律上は同じ地位である、こういうようになりますね。
  164. 佐藤達夫

    政府委員佐藤達夫君) 国会法に挙げましたさつきの条文を根拠とすれば、多少違うかも知れませんけれども、やはり参議院議員でないお方という意味においては私は今のように広く言えば同じようなことじやないかというふうに考えております。
  165. 永井純一郎

    永井純一郎君 そうなるともうお話がすつかりわかつたわけですが、そうなれば、これは修正案について改進党は何ら参考人程度以外のものではないということなんです。そうして執行権並びに提案権を持つ政府が一切の責任を負うものだそれでないと責任を負う人はないじやありませんか、今の御答弁を総合すれば、結論はそうならざるを得ないのですよ。
  166. 佐藤達夫

    政府委員佐藤達夫君) 責任を負うというお言葉から言いますと、どうも責任を追究して行こうという形を前提にされておるように思いますけれども、我々としては、正しい結論を得るためのいろいろな資料或いは津明を求めるという御趣旨であろうかと思いますから、その権威ある説明をなし得る人、最も正しい正確な説明をなし得る人ということで周囲を眺めてみれば、その修正に直接参画された議員のお方というものが最も適当な人になるという結論、これは私は当然の条理であろうと考えます。
  167. 戸叶武

    戸叶武君 まだ政府予算案をめぐつて政府国会のあり方に対してはつきりしたものを持つていないようであります。政府予算案提出権というものは極めて重いのです。国会に我々が予算案提出せられましたときに、先議権によつて一応とにかく衆議院に出されるのでありますが、更に法制局長官の話によりますると、衆議院予算案提出して、修正されて、それを参議院に送付したというような、極めて不用意な言葉を吐いておりまするが、国会は御承知のように衆議院と共に参議院は二院制度によつて成立しているのであります。衆議院提出せられた予算案参議院修正されて送り込まれたときにおいても、その提案者としての政府提案権というものに何らの変化がないのです。従つて修正されようが、修正されまいが、参議院予算案提出するときにおいては、提出権は飽くまで政府にあり、その責任政府にあるのです。吉田首相先ほど答えた答えは明快であります。ただ法制局長官首相との間に、非常に考え方の齟齬があるので、その齟齬を衝かれては醜態だと思つて、非常に苦労人の吉田さんは思いやりのある弁護をてしおると思うのでありますが、少くとも政治的責任法律上の責任とは別個であるというような解釈は、非立憲的な旧憲法下における政府の当事者の言葉ならいざ知らず、今日において、政治上の責任は即ち憲法上の責任にまで及んでいなければならないのであつて、そんな薄弱な基礎の上に憲法は立つておるとは思えないのであります。而も法制局長官のものの考え方の混濁があとまで続いておる。即ち予算案に対する提出権予算案と一般の法律案との混滞から来ておるのでありまして、我々が予算案における提出権というものを極めて重大に考えるのは、責任政治の根拠というものがここにあるのです。政府予算案提出者であると同時に執行者であります。これが修正されたから修正部分に自分は責任をとらんというような態度予算案提出者としての権威がどこにあるのですか。国会の権威は認めてもらいたいのです。併し政府の持つている権限国会における権限とは明瞭に把握して、そこに統一的な行動をとることが、良識あるところの政府のとるべき態度だと思いますから、その変なごちやちやした議論はよして、簡明率直に、私は、政府はこの修正予算案に対して責任をとつて責任ある態度でもつて説明に当る、そのたらないところ、修正されたところが、自分はまだはつきりしていないというならば、改進党にでも何でも頼んで、そうしてその説明を参考意見として我々は承わればよろしいであろうが、そういう曖昧な二党の頭で以つて吉田内閣の頭と、又改進党の頭で二頭立てでもつてどこえ行くのか、責任の所在が不明瞭なようなこの混血児予算に対しては、我々は絶対それが明瞭にされない限りは受取るわけには行かんと思います。(「そうだ」「その通りだ」と呼ぶ者あり)
  168. 佐藤達夫

    政府委員佐藤達夫君) はつきりと重ねて申上げておきたいのは、如何に原案と変つた修正であろうとも、その修正部分が両院の院議が一致いたしまして国会の御意思となつて予算成立した以上は、政府はその執行について全責任を負わなければならん。それは提案された最初の原案部分のみでなしに、そのでき上つた、修正で加えられた部分についても全責任を負つて行かなければならん、これは当然のことであろうと思います。ただその中間の過程において、今ここでは、このお座敷で修正部分に対して説明をすべき立場にある者は誰かというお話でございましたから、自分の責任を以てやつたことでないことについてお答えをしても経過の説明くらいしかできませんでしようからお役には立ちますまいという意味のお答えをしておるのです。
  169. 戸叶武

    戸叶武君 今の説明執行権の問題です。両院を予算案が通つたときにおいてはその説明で足ります。少くとも予算案国会にかかつておる期間中というものは、如何に修正を加えられようとも、予算案に対する提出者としての政府責任は回避することができないので、政府提出権というものは崩れていないと私は思うのです。衆議院修正せられて参議院に入るときに、堂々と表門から入れないで、非常にこつそり裏口から入つて来るというような態度でなくて、飽くまでも二院制度の上におけるところの審議を受けんとするならば、かくのごとく修正された、かくのごとき態度で以て自分たちはこの修正意見を受入れて、参議院に御審議してもらう、この謙虚にして率直な態度がなぜできないのですか。早く予算案を通しさえすれば、いい加減にごまかしても、頬かぶりしても行けるというような野卑な態度で臨んでは、今後においてこの問題をめぐつて、私は憲法上における論争を巻き起すと思うのであります。そういう不明朗な態度を避けるために、少くとも衆議院において、或いは参議院において、この予算案審議されている期間においては、その期間、政府提出権は飽くまでも政府にある。その予算案に対する責任政府にある。この点を明瞭にしてもらいたいと思うのが我々の要求です。
  170. 佐藤達夫

    政府委員佐藤達夫君) 非常に卑近な言い廻しでございますが、衆議院政府の案を提出して、衆議院修正を加えられた、可決された。それを政府衆議院の門から一応お渡しを願つて、それを担いで参議院の裏門から入つて来たというのでありますれば、非常にこれは如何かということになりましようけれども先ほど来、申しましたように、国会宛の提出の表書きになつて国会宛として衆議院の受付口に持込んだというだけのことであります。それから先のことは、二院制度の実際の動きによりまして、衆議院の御審査が終れば衆議院議長からすぐこつちに送つて頂くのであり、それは恐らく裏門からでなしに、表門から送り届けられたと思うのであります。いずれにしても、政府がその間にあつて猫ばばしたり、裏口から担いだりしたようなことは全然ありません。
  171. 戸叶武

    戸叶武君 参議院に入つたときにでも、如何に修正せられても提出権政府にあるのでありまして、政府がその予算案に対する説明を出す、その修正箇所を如何にして自分たちが受入れなければならなかつたかという見解を明らかにして、そうしてその点が不明瞭ならば、修正を加えた人々の参考意見ということを参議院で聞く場合もあるでしようけれども、少くとも参議院に出されたところの修正予算案というものが、修正者説明を聞いて、我々がそれの論議に入るというようなことは、順序を私は崩しておるのじやないかと思うのです。政府は成るたけ簡略にこの予算案を通したいというお気持かも知れませんが、これは簡略とか何とかの問題でなくて、この予算案提出権と、審議権議決権をめぐつて今後問題になる問題だと思うのでありますから、そういうところは政府としてやはり明瞭にしてもらわなければ困ります。
  172. 佐藤達夫

    政府委員佐藤達夫君) 政府修正を申出て、修正手続をとつたとか或いは組替えの手続をとつて修正をしたとかいうことであれば、もとより政府のなしたことでありますから、それに対する事実はよく知つており、責任あるお答えをすべき立場にあることは申すまでもございませんが、たびたび申上げます通りに、これは政府の一存としては何とも仕方ない。衆議院の力によつて加えられた修正でございますから、こちらで仮に御答弁申上げるにしても、こちらの委員各位から、こういう修正では執行上困りはせんかというお尋ねがありましたら、いや、これは大抵大丈夫でしよう、これは困りますというような、そういう意味の御答弁は、これは、私、執行の立場から責任を以てお答えすべきことであると思います。ただ成立ちそのものについての、どういう理由でというところまで責任があろうはずは私はないと考えます。(「おかしい」と呼ぶ者あり)
  173. 戸叶武

    戸叶武君 今の修正予算案一体どこに責任があるのです。誰が責任を持つのですか。その予算修正案の今後における具体的処理は誰がなすのですか。
  174. 佐藤達夫

    政府委員佐藤達夫君) 国会権限によつてなされるということになれば、その権限の裏には私は必ず責任があると思いますから、その意味で権限責任とは相伴つておるであろうという考えであります。
  175. 戸叶武

    戸叶武君 提出権を持つた政府修正を加えられた途端にその提出権を喪失するような不明朗さが出て参りますが、それでよろしいのですか。
  176. 佐藤達夫

    政府委員佐藤達夫君) これが憲法解釈の問題として、私ども申しますように法律案の場合と同様に、国会としては国会の御意思に基いて必要なる変更ができるということを前提にしておりますからしてこれは国会独自の行動であろうというふうに申上げざるを得ないわけです。
  177. 戸叶武

    戸叶武君 衆議院においてはそういう形において一応予算案通りましたけれども参議院に持ち込む場合のこの修正予算案の持ち込み方が当初から問題になつておるのですが、どういう形でこれを持ち込もうとしておるのですか。
  178. 佐藤達夫

    政府委員佐藤達夫君) これは政府の手に渡りませんですから、我々普通の気持で見ておるわけですが、たしか衆議院議長から参議院議長宛の送付の手続になつておると思います。これは普通の法律案の送付の場合とたしか同じ手続になつております。
  179. 戸叶武

    戸叶武君 予算案と普通の法律案とは違うと思うのです。ここに同じような解釈をしているところに、政府側における重大な欠陥があるのじやないか。
  180. 青木一男

    委員君(青木一男君) 戸叶君に申上けます。今の問題は事実問題でありますから、修正予算が誰からどういう形で来たのかということを取寄せて一度見るのが、これは時間の節約上必要かと思います。そういうことにしたら如何ですか。
  181. 永井純一郎

    永井純一郎君 事実を見てから…。
  182. 戸叶武

    戸叶武君 政府側意見を少しまとめて来たほうがいいのじやないかと思うのですが、やはり総理なり法制局長官の喰い違いなどもあるようですし、やはりそこにまだ政府の体制ができていないのじやないかと思う。よく政府側で研究してこれはやつて来ないと、あとで問題になると思う。
  183. 永井純一郎

    永井純一郎君 それでは私の質問を締括りたいのですが、結局、法制局長官意見は、修正部分については責任はないということが一つと、それからこの改進党の説明員といつたようなものが、法律上の地位はどうかというようなことについては、これは別に法律上の地位がこうこうということではなくて、修正の経過等を知つているから、常識的に非常に便利だから、この人たちが来てこの人たちの意見を聞いて参議院がものをきめるということが当然であるし、そういう意味でこれは来るのだ、大体こういう点と、従つて第三点は、国会責任ある権限に基く説明というものは、提案者以外にはこれは法律的にはないのだ、一番始めとお終いは私は矛盾があると思うが、あなたは矛盾はしないと考えるのかもしれませんが、それは別として、この三つは明かですね。それを確かめたいのと、それからまあ、総理憲法上の責任についてはあとお答えを願うということになつたわけですがその結果、憲法上の責任は、佐藤法制局長官なんかの意見を合せて、とれないというようなことになつたときに、これは私は当然辞職すべきものだと思うのですがこれはあと憲法上の責任をどうとるかということをこれからおきめになるわけですが、そのときに合わしてとらないときはどうするか、みずからの内閣責任はどうするか。辞職するかしないか、そういうことを……、と同時に、そのときに私は総理から承わりたい、こう思うのです。これは総理関係は明日でいいのですがあと三つを確かめておくのと、もう一つは主計局長にお尋ねするのですが、仮にこれが修正された修正予算案政府提案に基いて審議がされる場合に事務上どういう書類をどのくらいに出して来なけれでならないのか。提案権に基いて提案された場合には、それにどういう書類を、事務的にはこの財政法が要求しておる書類をここに出して来なればならないか。これは仮りの問題ですが、こういうものが必要であろうということを一番あとにこれは回答して頂きたい。
  184. 佐藤達夫

    政府委員佐藤達夫君) ちよつと先ほど言葉の中でこちらから確かめておきたいと思いますが、私ども考えておりますのは、説明の立場の問題についてですが、この修正の経過などは政府も横におつて承知しておるわけでありますが、その説明総理が申上げた通りにできるでありましよう。ただ修正の実態そのものについては、責任ある説明者、衆議院修正に携さわられた、即ち修正権限をみずから行使された方々から御説明するのが責任ある御説明となると思います。こういうことであります。
  185. 永井純一郎

    永井純一郎君 そう言うと又違つてくる。責任あるということになりますと、じや法律上どういう地位だからそれが責任があるのかということ、それは先ほどあなたが答えないから、私が締括りとして、常識的な意味において、よく物事を知つておるから、その人たちから聞いて参議院はものをきめたらいいのじやないかという意味じやないのですか。
  186. 佐藤達夫

    政府委員佐藤達夫君) 余計なことを申しまして……、それは、事実を明らかにするためには、その方々が一番よく正確な知識をお持ちでございましようから、それはそれでも結構でございます。
  187. 河野一之

    政府委員(河野一之君) 審議の参考の書類といたしまして要求があれば、それはお出ししなければならないかと思いますが、ただ衆議院修正でございますので、私のほうといたしまして私のほう独自で出し得る資料は或いは限られているかと思います。
  188. 永井純一郎

    永井純一郎君 そうじやないのですよ。財政法にきめてある書類を……、二十八条にきめている、いろいろなことがここに書いてございますから、そういうものは当然提案権に基いて再提案された場合には、要求に基くものでなしに、財政法上当然出さなければならないものは何々か、こういうことです。
  189. 河野一之

    政府委員(河野一之君) 財政法第二十八条の書類は、国会提出します予算にはかくかくの書類を添付しなければならないとありまして、修正をせられた結果につきまして予定経費要求書を提出することは規定されておらないのであります。
  190. 永井純一郎

    永井純一郎君 ですから、それを仮に、……そのことが今きまらないから、お互いそのことについて論議している。それはどちらがいいということがきまらない。仮に今修正された内容を持つた予算案が私どもが議論するようなことで再提案された場合には、二十八条に規定する書類というものは全部改めて出して来なければならないのか、或いは今出している一般予算関係内容をずつと整理修正すればいいのか、或いは改めて出すのか、それからもう一つは……、なぜかというと、今参議院に来ているのはガリ版刷りの修正の概要というようなものを三浦君が説明されたものしか来てないのですから、そういうものでもいいのかどうかということを言つているのです。
  191. 河野一之

    政府委員(河野一之君) 二十八条の書類は国会に最初に提出するときに出しておるのでありまして、これが衆議院修正なつた場合においてどういうものを提出するのか、二十八条の書類を提出する必要があるかどうか。これは私は法律の二十八条の上から政府には提出申上げる権限もなく、又義務もないのではないかというふうに考えております。
  192. 永井純一郎

    永井純一郎君 それは私は仮に言つているわけなんですがそれについて答えてもらえばいいのです。仮りに修正案内容というものが再提案された場合のことを言つているのです。その場合には、今出ているやつを、今あなた方からもらつたやつを、一番初め大蔵大臣から説明を受けたときにもらつた関係資料を全部ただ修正すればいいのか、或いは改めて出すのか、こういうことを言つているのです。
  193. 河野一之

    政府委員(河野一之君) 仮りにと申されますが、私は再提案ということはないのだと思います。衆議院提出をいたしておるのでありまして……。
  194. 永井純一郎

    永井純一郎君 仮りに提案されたことを答えてもらいたい。
  195. 河野一之

    政府委員(河野一之君) 私は再提案ということはないので、衆議院提出されました予算修正になりましたので、その見解でありますので、更にその書類を再提案考えて出すというお問いに対してはお答え申上げることはできない。
  196. 永井純一郎

    永井純一郎君 それでは今出ておる関係修正案があなたのほうから出ましたね。全部私も見ていないが、大したものではないが出ているのですが、これはどこの責任で出したのですか。修正部分に対する関係書類を出している。どの法律に基いて出したのか。我々は一つも要求してない、それについて……。
  197. 河野一之

    政府委員(河野一之君) これは衆議院におきまして予算修正になりましたので、その事実及びその内容を私どもが知悉しておりますことをお出し申上げたのであります。
  198. 永井純一郎

    永井純一郎君 それはただ参考として出したのですね。そういう修正という事実が起つたから、衆議院で……。そうすると如何なる権限にも基かないのですね、あなたのほうは……。
  199. 河野一之

    政府委員(河野一之君) 参考の書類でありましてこれは委員会から要求があつて出すこともありますし、私のほうから予算審議を促進して頂くという意味合いで積極的にお出しすることもあるのであります。予算説明書のごときにそういうことで出ているわけであります。衆議院において修正がございましたので、かくかくの修正がございましたということを出すことは当然であろうと考えたのであります。
  200. 永井純一郎

    永井純一郎君 そうすると、先ほど法律論として議論をしておるところが結局そういう点に波及して来て、すべてが割切れなくなる。責任政府提案権に基いてやつておるのだという、私が一番初め言うことを貫き通せば、すべての問題が割切れるのに、解決できるのに、佐藤法制局長官なんかのようなことを言うから。あなたのほうが、どうして、どこに基いて……政府修正部分について責任がないと言つておるのに資料なんか要求もしないのにどうして出して来たか。参考としてただ出して来たとこういうだけでは、これはどうもおさまらないと思うのです。何のために出したかということです。
  201. 河野一之

    政府委員(河野一之君) 要求がないのに出して、お叱りを受けて、なんでありますが、(笑声)従来の例によりまして、委員会でかくかくの資料を出せということでお引受けして出したこともございますし、こちらから積極的にお出ししたこともたびたびあるのでございます。現に予算説明のごときは、別に御要求がないけれども予算説明として出しておるわけであります。
  202. 永井純一郎

    永井純一郎君 そうすると、この出してくれた資料というものの責任は持つのですね。
  203. 河野一之

    政府委員(河野一之君) 衆議院でかくかくの修正がございました、数字はかようでございますという意味におきましては、その事実を述べておるつもりであります。
  204. 永井純一郎

    永井純一郎君 それだつたら結局責任を持つということであるわけで事実だけ述べて、それが事実であるか、嘘がどうかということを疑わずに、あなた方が出したものをあなた方が責任を持つということになるのですから、そうすると、やはり法制局長官に話が戻つて来るのだが、おかしいのです。やはりどうも一貫しない。そういう議論をいつまでやつて見ても……。結局責任をとらざるを得ないのじやないですか。そういうことを言つても、すべての責任政府になかつたら、これは予算審議も何もできませんよ。我々は何ら有権的なものでない書類をいじくり廻したり、そういう人間を相手にして審議を進めるということはあり得ないと思うのです。大蔵省も参考人、改進党も参考人、そうすると、結局誰も憲法上のはつきりした責任政治の遂行者というものがないということになる。私はそれらの点を一応ここに確かめた上で一応私の質問を終りたいと思います。
  205. 木村禧八郎

    木村禧八郎君 関連質問ですが、只今財政法第二十八条によるところの参考のための書類の添附は、これは単に参考に出すのじやなくて、「国会提出する予算には、参考のために左の書類を添附しなければならない。」となつておるのです。参考に出すのじやなく添附しなければならないのですよ。それで、国会が要求したときには更に出すものもありますが、この二十八条に項目的に並んでおるものについては、国会提出する予算にはこの書類を出さなければならないのであつて、それが、政府が出す予算であるとか、或いはその他の修正案であるとか、そういうことは限定されてないのです。とにかく「国会提出する予算には、参考のために左の書類を添附しなければならない。」なぜならば、これは財政民主化の精神からいつて予算というものが十分に国民の意思を反映して慎重に審議される、そのために、従来政府の出して来る資料はばらばらであるから、ここではつきり財政法上で出さなければならないと規定しておるのであります。従つて、これが修正案があろうが、政府が出した予算案であろうが、予算案には変りはないのです。ですから、さつき私が質問したのはこれなのです。これは出さなければなりません。ですから、これをいつ出すか、これが渡されなければ審議できない。これは政府の案とか修正案とか、そういうことじやないのです。この点、主計局長に伺いたい。
  206. 河野一之

    政府委員(河野一之君) お答え申上げます。二十八条に「国会提出する予算には、参考のために左の書類を添附しなければならない。」修正された予算についてはどうという規定はないのであります。これは飽くまでも国会に最初に提出するときの書類の問題でございまして、このことは財政法の二十条にございますが、第一項に「大蔵大臣は、毎会計年度、第十八条の閣議決定に基いて、歳入予算明細書を作製しなければならない。」十八条の閣議決定は概算の閣議決定であります。それから第二項に「各省各庁の長は、第十八条の閣議決定のあつた概算の範囲内で予定経費要求書というものを大蔵大臣に送付しなければならない。」この予定経費要求書及び歳入予算明細書を受けて二十八条が規定してあるのであります。飽くまでも当初に国会予算提出するときの参考書類でありまして、修正せられた結果につきましては、この予定経費要求書というものはないのであります。
  207. 木村禧八郎

    木村禧八郎君 それは今こういう問題が起きたからそういう御答弁をされるのであつて、この財政法二十八条をきめた経過、これをお考えになれば、河野さんはそういう説明をされるべきではないと思うのです。これはアメリカの予算及び会計法第二百一条にならつたものであつて、この国会において特に民主憲法の一番不要なところであつて、その予算案審議が本当に民意を反映して十分審議されるためなのであつて、それが政府が出したからとか或いは修正案だからという限定はされておりません。国会法第百四条によれば、「各議院から審査又は調査のため、内閣官公署その他に対し必要な報告又は記録の払出を求めたときはその求めに応じなければならない。」こうなつてつて、そうして二十八条以外の資料もこれはいつでも求めることができるのですが特にこの予算案については、二十八条において、一番重要な問題であるからこれは「添附しなければならない。」となつております。今の河野さんの御説明は、この問題が重要になつたからそういうように言つているのであつて、この二十八条を設けた精神、その由来から見れば、今言われたような御答弁ではこの精神に反するのです。この意味で、やはりその二十八条で要求する参考添附書類がなければ正式の予算案の体をなさないのです。もう一度御答弁願いたい。
  208. 河野一之

    政府委員(河野一之君) これは、折角でございますが、財政法の問題というよりは国会法の問題であろうと思うのであります。政府予算国会提出する場合には、かくかくの生産の基礎であつて、こういう理由に基くものであるということで、予定経費要求書或いは歳入予算明細書を出すわけであります。ところがこれを御審議の結果、修正を受けた場合に、一院において修正した場合、他院にこれを持つて行きまして、これがどういう意味の修正をしたか、或いはその計算の基礎はどうであるかということにつきまして、政府先ほど法制局長官の御意見もありましたように、法律的な問題としてはその点について責任はないということを考えまするならば、それは国会内部のことであり、我々政府としてそれを法律上二十八条の規定によつて出すべきものではないと考えます。ただ二十八条に準じてそういうものがどうであろうかということになりますれば、これは修正されたほうの議院の意見等を参酌しての問題ではありますが、私は少くともこれは法律上の問題ではない、こう思うのです。
  209. 木村禧八郎

    木村禧八郎君 それはおかしいです。さつきから一番基本的な問題になつているのは衆議院から参議院に送付された修正案を含む予算案はこれは一本である、一本であるということになれば、最初政府参議院に対していわゆる予備審査として出したものと違うのです。ですから、改めて新らしい予算参議院にここに送付されて来たと解すべきであつて従つてそれに対して二十八条にいうところの参考書類が提出されてないということは私はおかしいと思う。今までそれが一番の議論になつていたのであつて参議院が最初政府原案審議して、それから修正案審議するという、こういう形じやないのでありまして、又ここに今衆議院から送つて来た予算案は一本なんだ、新らしい予算なんです。衆議院では成るほど政府原案審議して、それで修正案が通つたということになるでしよう。併し参議院に持つて来たときは一本であります。その予算審議するときに二十八条のこれが思料されないという方法は私はないと思う。それは実はそういう虞れがあるので、今回に限つてはそういう手続を省略するという法律案衆議院に出すはずであつたと言われておるのです。ところが政府は、最初は衆議院修正案に対して責任を持たぬと、こういう解釈をとつたからそこで起つて来た、ところがこの予算審議過程において政府参議院に送付した予算はこれは一本である、こういうふうにはつきり先ほどここで法制局長官も確信を持つて言われたのです。そうならば予算審議の実体、実質問題から言つて、この二十八条に規定された参考添附資料をここに政府は出さなければ、一本として予算案の体をなさない、一つのそれは要件なんです。この点について、もう一度私は御答弁を要求します。
  210. 河野一之

    政府委員(河野一之君) これは折角木村さんがおつしやいますが、私どもは二十八条というのを、添附書類は政府予算を出すときに、これを要求申上げるときの参考書類である、これが修正をされた結果については、これは衆議院の御意思によることであり、その御意思によつて各党の要求があれば、内容はきまるわけでありますから、政府自体が、法律上の少くとも二十八条から、これを出す筋合いの義務はないものだろうと考えております。
  211. 木村禧八郎

    木村禧八郎君 政府が出したいろいろな添附資料が変更されるのですよ、変るのです。今まで政府が出したあの資料というものは参考にならないのです。なるものもありますが、ならんものもあるのです。政府責任じやあありませんか。今まで出して来たものはそのままこれは参考の対象にならないのです、変つて来るのですから……。それを政府が変らないままにやはり出しておつたのでは、二十八条に言うところの参考の資料にならないのです。当然修正されたら修正された部分について、例えば政府資金の散布超過になるとか或いは引揚超過になるとか、政府資金の需給関係についても変つて来るのです。これまでの我々に配付された資料では役に立たない。そのほか各省のいろいろな経費の見積りについて、これまで出して来た参考資料は参考にならん部分がたくさんある、これは政府責任あるわけであります。
  212. 河野一之

    政府委員(河野一之君) 私は所見を異にするのでございまして、衆議院において予算修正を受けた場合におきまして、その修正内容、その積算の基礎というようなものにつきまして、出す必要があるとすれば、それは修正の発議者の問題ではないかと思うのであります。少くとも二十八条の、書類として政府が出すことは法律上の要件ではないと思います。ただ二十八条と同じように考えたら、どうなるかという問題はあるとは思いますが、少くとも二十八条で、これを添附しなければならないという木村さんの御解釈につきましては、私は意見を異にするものであります。
  213. 木村禧八郎

    木村禧八郎君 それは政府が今までこちらに出して来たものが参考にならなくなつたらどうするのです。それは参考にならなくなつた。これまでの政府資金の需給表は参考になりませんよ、食管で今度多く大蔵証券を発行すれば……。その参考にならないものを政府は出して来ているということになる。(「参考になるよ」と呼ぶ者あり)いやならん。そういう違つた計数を元にして審議はできない。
  214. 青木一男

    委員長青木一男君) 木村君にお尋ねしますが、御質問の意味は、政府法律上の義務を怠つておるという意味でお尋ねになつておるのか。「それとも法律上では規定しなくても、そういうものがなければ不便だという……。
  215. 木村禧八郎

    木村禧八郎君 そういう意味ではありません。法律上の義務を怠つておると、こういう質問であります。大蔵大臣に責任ある答弁を願います。
  216. 小笠原三九郎

    国務大臣小笠原三九郎君) 主計局長が答弁しました通り法律上の義務はないと信じております。
  217. 永井純一郎

    永井純一郎君 委員長もう少しまとめて下さい。今木村さんから言われた点を大蔵大臣にまとめておいてもらいたいのですが、仮に二十八条がそのままの場合、どうするかということが一つと、それは仮の場合だからお答えがなくてもいいのですが、さつきからお答えがないから……。それからもう一つ修正されてから、政府修正部分について出して来た書類資料というものは、これは重大なんですが、二十八条に別に基かないで、あなたのほうはただ参考に出したのだというのです。それは、修正部分については責任がないと法制局長が言つておるから、そう答えなければしようがないですからこれはただ参考に出しておるのだということが一点と、参考に出して責任はあなたのほうが持たない、そうすると、資料については、やはりただあなたのほうの見解から言うと、他の改進党の説明者か何かがやはり責任を持つのか、資料の数字等について……。こういうことに狭ばまつて来ますから、その点は大蔵大臣はこの参考資料については責任はないのだ今おつしやつたように法律上当然法律の義務で出しておるのじやない。従つて参考として修正部分についてただ政府は出しておるのだ、こういうことにまとまるわけですね。
  218. 小笠原三九郎

    国務大臣小笠原三九郎君) その点はさつき主計局長が申しました通り、私どもとしては参考として出しておる次第であります。それから改進党のほうから書類を出すのか、こういうような今のお尋ねにつきましては、これはそういうことについては、本院で御決定なさるべきことだと存じております。(永井純一郎君「話にならん」と述ぶ)
  219. 堀木鎌三

    ○堀木鎌三君 法制局長官との議論は非常にたくさんあると思います。併しそれを繰返して言つても、幾らたつても私は並行線で、先ほど質問者と答弁者の考え方を見ておりますと、並行線である。殊に私は政府執行責任があるということは、これはもうどなたも肯定しておる。そうすると、大よそ修正を受けたときに、執行責任がとれるかとれないかということを、先決に考えられるべきもので、そこに初めて私は政治責任内閣責任性というものが出て参ると思いますが、さつき理事会の打合せでは、大体質問者が四時までに終るような話だつたのですが、非常に長くなつて参りましたので、法制局長官の従来の答弁に関する部分は、それは留保いたしたいとこう考えます。ただ私ども法制局長官がどう答弁になろうが、この修正権に基く修正案国会修正権に基く修正案と、政府提出権に基く原案とが、どういうふうにして一体になるのかということは、これは法制局長官も認められておるように国会がみずから自主的に判断すればいいことだ、参考にはなるわけでありますが、そういう点については、我々自身が一応解釈権をつて政府にそれを要求すればいいことであるというふうにも考えます。そのときに、併し今のままで行つたら、政府国会との解釈の差から来るいろいろな問題が起るでありましようが、それはとも角といたしまして、総理大臣に申上げます。総理大臣は午前中におつしやつことを拡張解釈をして解釈ちやいけない、こうおつしやいます。ですから私は元来総理大臣が午前中におつしやつたことを実はもうこれでたくさんだと思いますが、政府の権威ある解釈は、これでたくさんだと思う、法制局長官が何と申しましようとも、或いは主計局長が来と申しましようが、私は総理大臣のおつしやつたことそのままでいいのだ、併し拡張解釈もいたしませんし、狭ばまつて解釈いたしません。吉田総理は私の質問に対しまして、午前中、修正された修正案に同意された政治上の責任は当然持つべきである、修正された原案参議院に送付された場合に、修正に応じた、政府としては、修正原案説明に当ることは当然である、こうおつしやつておるのです。私は実はもう再び御答弁なさる必要はございません。午前中におつしやつたその言葉そのままに私どもはとつていいんだ。政府はつまり責任をお持ちになつて修正説明に当るのが当然であるとされておる。このままで私はこれでいいんだと考えますし、総理大臣のおつしやつたことは、これのほかにはないというふうな考え方を持ちまして、一応質問を留保いたしまして、私の質問順序をここで打切りたいと思います。
  220. 木村禧八郎

    木村禧八郎君 これまでの質疑応答で大分明らかにはなつて来たんですが、私まだどうしてもはつきりしない点について一つ明確に答弁して頂きたいと思うのです。それは法制局長官のこれまでの御答弁ですと、結局、国会修正権もある。予算編成提出権もある、こういう結論になりますね。
  221. 佐藤達夫

    政府委員佐藤達夫君) 国会内閣の持つておる提案権を侵害しない限度において修正権があると考えます。
  222. 木村禧八郎

    木村禧八郎君 これまでの御答弁で、先ほど法制局長官は、内閣予算編成提出権については独占的なものである。独占的なものであるというものはアブソルートのものである。従つて、絶対的な予算編成提出権を、これをこの程度の差によつて、これが侵されたり侵されなかつたりするということはあり得ないと思うのです。私はどうしても国会には修正の権利はあるが、予算編成提出権は飽くまでもこれは内閣にある、これは矛盾なんです。あくまでも矛盾なんです。この矛盾を、どうこれを調整するかということが問題の焦点です。それを法制局長官は、国会予算編成提出権があると、こういう解釈において、但しそれは程度の差であつて政府の例えば総理大臣や或いは大蔵大臣が再び施政方針演説財政演説をしなきやならない、そういう程度修正であつたならば、これは侵すが、そうでなければ侵さない、こういう御意見ですが、これは私は根本的に間違つていると思うのです。なぜならば、同じ吉田内閣の時であります。九十二帝国議会において、これは宮沢俊義氏がこの問題について質問しているのでありますが、当時の政府委員であります野田卯一氏は、はつきり内閣のみが予算編成して提出する権限を持つている、こういうふうに言つております。これは新憲法においても、旧憲法においても変りありません。これは明らかに矛盾したところであります。この矛盾を如何に矯正するか。それについて当時問題になりましたのは、国会と裁判所と会計検査院この三機関がこれは独立の編成権を持つているとなると、内閣予算編成権がこれは侵害されますので、一応独立な編成権を持つているけれども、併しそれは話合いによつて、あらかじめ政府国会、裁判所、会計検査院の意向を聞いて、そうして政府はあらかじめ予算を組む、又政府が組めない場合は、国会、会計検査院、裁判所に、こういう財源を持つて組むべきであるという財源を明かにして組まなければ、政府予算編成権なり提出権が侵害されてしまう。従つてこの問題は法制局長官が言われたことによつて問題が解決しているのではないのです。国会程度の差によつて予算編成権提出権があるという問題じやありません。これは絶対的なものです。政府に、内閣にのみあるということをはつきり吉田内閣の下における野田卯一氏が言つておる。問題はこの矛盾をどうするかということなんです。それを明かにしないで、矛盾がないということを育つているのです、法制局長官は。私は矛盾があると思うのです。この点についてはつきりしておきたい。
  223. 佐藤達夫

    政府委員佐藤達夫君) 矛盾のない形を仮に考えますならば、政府の出したものが原案としてそのまま両院を通つてつて、何らそれに変更は加えられないという形が恐らく矛盾のない形だと思う。併し今丁度お挙げになりました二重予算ですがそれはまさにそこに増額修正権というものがあるということを前提にしなければ、私は成立たない制度だと思うのです。それによつてむしろ我々の言つておることの裏付けとして、先ほど私も引用しようとしましたが、丁度お言葉がありましたから借用させてもらいたい。根本においては野田卯一氏が答えられた通り予算編成権、或いは提出権内閣にあるということは勿論でありますが、ただいわゆる増額修正がそれに対して予算編成権の侵害になるか、発案権の侵害になるかと言えば、それを以て直ちに発案権の侵害になるとは言えないということになる。
  224. 木村禧八郎

    木村禧八郎君 発案権、提出権を侵さない提出権というのがありますか提出権というものは内閣のみにある。内閣のみにあるのに、それを侵さない提出権というのはどつかよそにありますか。先ほどから法制局長官は絶対的なものだと言うのです。ですからその政府政策に影響あるかないか、程度の問題じやないのであつて、その予算編成提出権内閣のみにある。そこで私は伺いたいのは、なぜ予算編成提出権内閣のみに限つたか、この理由を伺いたい。そうでなければ実害があるから内閣のみにこれを限定しているのです。これを国会予算編成権がある、程度の差によつて、そういうことになれば、これは内閣予算編成提出権が侵害されるのです。それは程度の差ではありません。程度ということになれば、これはいつでも変り得るのです。尺度が変り得るのです。人の主観によつて変り得るのです。何か程度を計るのは客観的な一つの尺度がなければならないが、どの程度政府予算編成提出権を侵害するのか、どの程度が侵害しないのか、客観的な何か物指しがなければならんはずです。併しそういうことにると、非常にこれは政党の下にあつては、政党責任内閣のこの予算編成が崩れるから、予算編成権を、或いは提出権内閣のみに限つたと思うのです。それを何か程度の差によつて、これが認めることが侵さなかつたり、或いは侵したりということは、私はおかしい。この点についてもう一度伺いたい。
  225. 佐藤達夫

    政府委員佐藤達夫君) これはアメリカで例の予算局に提案権を与えるというのが改正の動機として伝えられているところを聞きますと、今の木村委員のおつしやるように予算が膨脹するであろうというようなことも、一つの理由になつておるかと思います。これは私は憲法上の立法、憲法立法問題としては或いはそういうことも言えるかも知れませんけれども、これは正面の理屈ではないので、やはり予算そのものを裸に考えた場合には、これは行政執行の粋なんでして、いわゆる純粋の意味での立法機関というもののその立法作業というものとは、これは性格の全然違うものである。行政の基準というものを何らかの形できめるという性格のものであつて、本来予算の確定ということは行政権の分野に属するものであろうという考え方が、私は本質的には成り立つて来ると思う。併し、それに対しては今の国会制度の沿革から申しまして、結局財政権の根本も国会に握つて頂くという建前で、これを国会にお出しして、その御審議を受けるという形になつて、今の憲法はできているわけであります。従いまして、この行政の立場からのすべての配合調整というものは、政府がそれを立案或いは編成し七、そうして国会に御審議を受けるという形が立つて来たのであるというふうに思います。
  226. 戸叶武

    戸叶武君 今の御説明を聞くと、全く予算案法律案とを同じように見ている間違つた見方から来ているのだと思います。少くとも近代民主憲法を我我が理解する上においては、この憲法成立せしめた背景の立憲政治の発達と国家学的な観察によつて、それを検討して行かなければならないと思うんです。今これは法制局長官といつまで問答しておつても際限ないと思いますから、吉田首相に我々は質問をいたします。予算案提出権政府にあり、それを審議し或いは修正し議決するところの権限、この議決権国会にあります。そうして予算案成立して、その執行権は政府に移ります。この予算案提出権から予算案成立に至るまでの過程が今日問題になつておるのでありまするが、そこに提出権といわゆる執行権との混合がなされては我々は困ると思うんです。やはり国会において予算案成立をするまでの期間は、政府予算案提出した以上、それが審議せられ、修正せられ、議決せられるに至るまで如何ようなことがあつても、その提案権というものは崩れていないと思うのであります。法制局長官解釈におきましては、一面から見れば、進歩的と思われるような国会権限が高まつた点を非常に強く解釈しております。併し我々は国会権限を弱めようとするのでもなく、過度に高めようとするのでもないのです。政府権限国会権限というものが明瞭にならなければ、政府国会と相対峙してこの予算案成立せしめることができないではありませんか。そういう意味において、吉田首相が午前中に言われた言葉は、極めて明快な御回答でありまするが、重ねて吉田首相からこの予算案提出者としての政府が、予算案修正せられて、その修正せられた予算案参議院に持込む場合に、どういう態度でこの予算案を我々に審議してもらおうという心構えを持つているか、それを明瞭にしてもらいたいと思います。
  227. 吉田茂

    国務大臣吉田茂君) 政府としては成るべく早く成立さしてもらいたいと思います。詳細は法制局長官から御答弁申上げます。
  228. 戸叶武

    戸叶武君 それでは吉田首相の御見解は午前中の御見解と同様の御見解解釈してよろしうございますか。
  229. 吉田茂

    国務大臣吉田茂君) 午前午後を通じて申したことが私の意見であります。
  230. 木村禧八郎

    木村禧八郎君 まだはつきり私は納得が行かないのですが、内閣予算編成提出権が絶対的にある。併し程度の差によつて国会予算提出権があるという、こういう話なんですが、その限界は具体的に何によつてきめるか。若しそうならば、これがなければならん。法制局長官はその具体的限界は仮にあるとすればそれを何に求められるか。
  231. 佐藤達夫

    政府委員佐藤達夫君) いろいろな限界の立て方はあると思いますが、最も典型的なものとしては、まあ形式に捉われますかも知れませんが、款項を新たにお設けになるというようなことは提案権に差障りが出て来るというふうに考えます。
  232. 木村禧八郎

    木村禧八郎君 その新規項目なるものが出て来た場合にそういうことも含まれるのですね。
  233. 佐藤達夫

    政府委員佐藤達夫君) さように考えております。
  234. 木村禧八郎

    木村禧八郎君 若しそういう新規項目があつた場合、新規項目がこの修正案にあつた場合ですよ、あつた場合にはそれでは内閣予算提出権が侵害されるものとして、これは責任をおとりになりますか、これは総理大臣にお伺いしたいのです。そういうものがあつた場合です、責任をおとりになるんですか。
  235. 吉田茂

    国務大臣吉田茂君) 仮定の問題にお答えができない。
  236. 木村禧八郎

    木村禧八郎君 仮定の問題ではないと思います。大蔵大臣どうですか。
  237. 小笠原三九郎

    国務大臣小笠原三九郎君) 実質的に款項の新設でなければ、差支えないと考えております。
  238. 木村禧八郎

    木村禧八郎君 そういうものがあつた場合です、新規項目があつた場合に、これは責任をおとりになりますか。これは仮定ではありません。
  239. 小笠原三九郎

    国務大臣小笠原三九郎君) 款項の新設はないと信じております。
  240. 木村禧八郎

    木村禧八郎君 実質的にあつた場合には、やはり内閣予算編成権提出権が侵害されておると考えられないかどうか、大蔵大臣にお伺いしたい。そういうものが実質的にあつた場合ですよ。
  241. 小笠原三九郎

    国務大臣小笠原三九郎君) 仮定の問題でありますが、款項に対するそういう新設等があつた場合には、これは予算編成慎等に触れるものであると思います。
  242. 木村禧八郎

    木村禧八郎君 それはそういうものがあるかないかは、あとでわかつて来る問題ですから、これは又後日の質問に残しておきます。私は実質的に今質問しているんです。更に伺いたいことは国会予算編成提出権がないが、修正権はある、併し内閣にのみ予算編成提出権がある、この矛盾をどう解決をつけるかということについては、前にやはり石橋湛山氏が答弁しているのがあるんです。石橋湛山氏は当時やはり吉田内閣の大蔵大臣です。こういうふうにまあ答弁している。「全体の予算修正権に付きましては、是は今迄の超然内閣違つて、今後は国会中心内閣で、所謂政党内閣でやるから、事実に於ては政府が非常に困るような修正は起るものではない。若し起るような時には、それは政府自身が居られない時であるから、特にどういう修正は出来ないということをはつきり決める必要はないのぢやないか、政治的な考えから理論的には出来るということにして置いた方が宜かろう、斯ういうような考えでやつて居ります。」、こう答弁しているんです。従つて法制局長官が言うように、国会予算編成提出権があるという解釈ではないんです。はり内閣にのみあるという解釈で、これをどう調整しようかと考えたときに、政党内閣であるから、その政府がよつて立つ政党が内閣を困らせるような修正をするはずがない、修正したときにはその政党を基礎として立つている内閣であるから、当然にこれは内閣において予算を組替えて国会に出すでしよう。そうすれば矛盾はないんです。予算提案権修正権矛盾はない。従つてこういう紛議が起るのは、今度の修正案について、内閣閣議でこれを認めて組替えて出して来ないからこういう紛議が起るんです。これは今度の法制局長官答弁によつて国会程度の差によつて予算編成提出権があるという解釈政府がとられたことは、これはこれまでの解釈違つて重要なる解釈なんです。その程度を如何にするかということによつては、今言われたようなただ款項の違いが変更がなければいいという程度じやないと思う。これは主観的ないろいろな物指しが出て来て、これは整理がつかなくなると思う。こういうことを認めることは私は政党責任内閣政治をこれは破壊することだと思う、破壊することです、これは……。超然内閣みたいになつてしまう。それだからこそ内閣にのみ予算編成提出権を認めているのであつて、若しそうでなかつたならば、その主倒的判断によつてしよつちゆうそういうふうに国会予算編成提出権をにぎつたらどうなりますか。特に私は内閣のみにこの予算編成提出権を限つた理由の大きな一つとしては財源が問題であると思います。歳入が問題である、国会がやたらにやれば財源というものが非常に重要である。そこであの裁判所と司法、会計検査院、国会、この三つについては財源というものをあらかじめ示すということが一番その筋になつておる。財源を示してそうして修正点を認めるということになる。これは政府のほうが財源を示す、従つて今まで法制局長官が言われたことは、これは重大な私はこれまでの予算編成提出権に対する解釈変更である。重大な私は問題だと思うのです。これは簡単に法制局長官が言われたように私は受取ることができない。この点についてもう一度、今までの審議の経過は今私がお話した通りになつておるのです。これは法制局長官もよくお調べで御存じだと思います。この点について……。
  243. 佐藤達夫

    政府委員佐藤達夫君) 当時の石橋大蔵大臣の言われと同じことを仮に私がここで述べたとすれば、それはごまかしだと言つてお叱りを受けることと思いますが、要するに我々の考えておりますところは、この国会審議権というものを考え態度に尽きると思います。予算について全然増額修正権がないという学説もございます。申上げるまでもなく、美濃部達吉氏は旧憲法時代とその点はちつとも変りなく増額修正権はないと言つておる、そういう立場をとつております。一方には増額修正権ありという学説を唱える学者もあると思いますが、これはむしろ多数であろうと考私ます。ただ今のお言葉にもたびたび出て来ますように、全然無制限な枠のない増額修正権というものを認めれば、お言葉通り提出権というものを内閣に与えたという根拠は全然意味がなくなつてしまうわけです。併しながら一方考えますというと、とにかく旧憲法と新憲法とでは建前が違うのじやないか、事実財政の章のあたりにたくさん国会権限というものを掲げられたという見地からいつて、全然増額修正権はないという行き方は、私は国会を軽視する考え方であろうという建前で、やはり或る種の枠内において増額修正権はあるというのが正しい解釈である。そこで今申しましたように、提出権を侵害しない限度というものはどこに求めるか、これは私は合理的解釈によつてその限界を引くほかはありません。従つて先ほど言葉にあつたように一つの基準としては款項の創設というようなものは、それに当るものが多いだろうと思うということを申上げたわけであります。これは一つの基準であろうと思います。たびたびお言葉に出ます裁判所、国会の二重予算の制度、これは私はむしろこういう修正権があることを裏から立証するものである。その財源をつけてという言葉もございましたが、これは修正をしやすくするための便宜で、特にこれは財源を明示しようという意味である、こう私は考えております。
  244. 木村禧八郎

    木村禧八郎君 裁判所、会計検査院、国会の増額修正権を認めておる、国会の全体の予算に対する増額修正を認めておるということについては、私もその立場に立つておる。ただその場合予算編成提出権との問題なのです。ですからこの独立三機関について提出権は問題があるんですよ。今あなたのお話のようにそれでは国会が今度の修正案に対するように、いわゆる編成提出権を持つ、それと同じように独立三機関が持てる。予算編成提出権がこうなつたら、やはり問題が起きて来るのでないですか。そこに内閣のみにこの予算編成提出権を限つた非常に重要な理由があるのである。これを崩さないでも、政府が組替えて出せば、この政党を基礎とするいわゆる責任内閣政治の下では可能なんです。それをやらないから問題なんです。できないならば内閣はやめるべきなんです。石橋湛山氏もはつきり言つておる。ところが政府は些細な修正であるから組替えないと言つている。そうじやないんです。逆であつて、これを修正したら内閣はやめなければならんような重大な内容を持つておるから組替えられない。そんな些細なものでしたら組替えたらよさそうなものです。組替えることによつて国会修正権予算編成提出権との矛盾がここで解消するのです。些細なものならなぜやらないか、これを私はお聞きしたい。
  245. 佐藤達夫

    政府委員佐藤達夫君) どうも私一々木村先生のおつしやることを逆に考えておるのですが、些細なものだから組替えようというのは、まさに逆であつて政府提出権を侵害するような重大な変更を加えようというときに、これは修正権の限界の外になるから、組替えの方法しかない。従つてその方法をとる。小さな修正なら修正権を侵さずに直ちにその場で修正になればいいのだというように考えるのであります。正にそれはお話とは逆のように考えるわけであります。
  246. 木村禧八郎

    木村禧八郎君 大きな修正だつたら内閣はやめなければならん。ところが実質的に今度のは内閣がやめなければならんような修正である。これは後で審議過程で明らかになると思う。それだから矛盾した、責任を回避する態度政府はとつて、そしてこれを組替えないで、修正部分については責任がとれんと言つておる。そうしてこれまではつきり認められておつた内閣予算編成提出権があるというこの原則を政府はここで覆しておる。初めて覆したのです。程度の差によつて国会にその予算編成提出権があるのだ、こういう解釈なつた。これは重大なのです。  もう一つお伺したいのですが、国庫債務負担行為についてはどうなのですか。
  247. 佐藤達夫

    政府委員佐藤達夫君) 国庫債務負担行為についても同じであります。増額することは勿論できると思います。
  248. 木村禧八郎

    木村禧八郎君 国庫債務負担行為についても、国会予算編成提出権がある、こういうわけですね。
  249. 佐藤達夫

    政府委員佐藤達夫君) 国会予算編成提出権があるというのでなく、私の言うのは修正権があると申上げたのであります。その修正権の限界については、内閣が持つておる提出権との間の交渉関係で妥協点があるだろうということです。
  250. 木村禧八郎

    木村禧八郎君 国庫債務負担行為について修正として、政府がこれを組替えに応じないで、国会だけの修正においてこれを出すことができますか、どうか。
  251. 佐藤達夫

    政府委員佐藤達夫君) これは予算の増額修正の場合と私は同じ原理であろうと存じます。
  252. 木村禧八郎

    木村禧八郎君 これは又あとで問題になつて来ると思います。国庫債務負担行為についても同じである、それからその他の歳出予算についても同じである、これは私も同じことだと思う。そこで国庫債務負担行為も同じだとなると、これは又あと程度の差ということで問題になつて来ますよ。これはあとでやります。これは私はあとで非常に重要になると思うのです。それから先ほど私要求しておきましたが、国会法の五十八条の予備審査の議案です。これはどこが出されるのか。それから又いつ出されるのか、これも出さなければならないのですね。
  253. 佐藤達夫

    政府委員佐藤達夫君) 私は今条文をちよつと見ておりませんが、恐らくその条文にありますのは、議案を政府提出したときはその提出と同時に参議院のほうに、他院のほうに予備審査のためにそれを送るということでありましようから、その手続はずつと前におとりしてあるわけです。
  254. 木村禧八郎

    木村禧八郎君 これは同時にということじやないのですが、「内閣は、一つの議院に議案を提出したときは、予備審査のため、提出の日から五日以内に他の議院に同一の案を送付しなければならない。」こうなつております。そうしますと、さつき法制局長官は確信を以て、衆議院から参議院に送付して来た予算案は一本なんです。我々は政府原案審議して、今度はそこに修正案が加わつたという審議の仕方じやないのです。今までは政府案審議しておりましたが、今度は一本の新らしい予算がここに出て来た、我々はそう解釈するわけです。そうなると衆議院に議案が提出された日から五日以内に予備審査のために参議院に対して同一の案が送付されなければならないのです。「送付することを得」じやなくて、しなければいけないのです。ところがそれが廻つて来てないのです。廻つて来てない、これはどういうことですか。
  255. 佐藤達夫

    政府委員佐藤達夫君) それは廻つて来ておらんということになると大変なことでございますがもうすでに本予算は前に衆議院提出しておるのでありますから、それから五日以内に確かにお届けしてあるわけです。
  256. 木村禧八郎

    木村禧八郎君 本予算言つても、それじやないので、さつきあなたが一本になつていると言われたあれですよ。修正されたあれですよ。
  257. 佐藤達夫

    政府委員佐藤達夫君) 私ども修正修正といいますか、これは今の条文にもありましたように、内閣提出したときのことでございましよう。その提出行為が第一提出行為、第二提出行為というのですか、二度、三度とあれば、それは勿論その都度やらなければなりません。或いは衆議院に対する提出行為或いは参議院に対する提出行為があれば、それはその都度お出ししなければならないのは当然だと思います。併しながら先ほど申しましたのは、予算そのものをお出ししたのは国会にお出ししておる、たまたまその窓口として憲法の条章に従つて衆議院の窓口に運び込んだということでありますから、その提出の日から五日以内にこちらにお出ししてあれば何ら遺漏はないということです。
  258. 木村禧八郎

    木村禧八郎君 それですからこれは不備なんです。そういうことが全然予想されてないのです。今日までのような、衆議院修正された予算案が一本になつて、新らしい予算案となつて参議院に廻つて来るというようなことは、これまで予想されてないのです。ですから五十八条を貫くならば、やはり今度は内閣の代りに衆議院とか何とかいうものがなきやならん。ところが全然そういうものはないのです。ないということは、こういう形の予算修正の仕方というものは、今日まで予想されてないのです。それは政府予算編成提出権を侵害されていながら侵害されてないのだと、そういうふうに強弁して、依然として参議院には元の政府原案というものは予備審査として来ているという頭なんです。そこが非常な違いのところなんです。ですからこれは五十八条ばかりじやないのです。あらゆる規定が今日のような事態が予想されておらないから、非常に不備な、さつきの二十八条による資料の添附もそうなんです。こういうことは全然予想されていない。而も政府は独断的に、法制局長官が独断的に、国会予算編成提出権があるという解釈に立つて説明するから、非常な矛盾が出て来る、この点どうなんですか。
  259. 佐藤達夫

    政府委員佐藤達夫君) どうもこの五十八条に、「内閣は、一の議院に議案を提出したときは……」、先ほども永井委員お答えしたように議案の中にはまさに法律案も入つております、予算案も入つております、その他のものも入つております。従つて法律案の場合をお考えになればこれはしよつちうあることでありまして、法律案衆議院内閣としてお出しいたしますると同町に参議院に送つております。ところがその間衆議院修正を加えられた、その場合に今度修正済のものについての予備審査の議案というものをお出しするかどうかという場面はたくさんありますけれども、そんなことは事実上私はできないと思います。これは法律の不備だとおつしやいますけれども、私は何もこれは政府立法ではございませんから、国会法の弁護はいたしませんけれども、併し実際この間の衆議院修正過程を見ましても、修正案というものが可決されるとたんまでは、予備審査の議案を作ろうといつたつてできないわけです。一昨日からゆうべに出たものを、それが成立すれば、本ものが直ちに参議院に来るのであつて、本ものと併せて予備審査のものをお送りすることは実際上ナンセンスであると思うわけであります。
  260. 木村禧八郎

    木村禧八郎君 ですからそういうナンセンスのような修正の仕方になつて来ているのです。だからそこにその問題があるわけです。  私は最後に総理に伺いたいのですか、今度のようないわゆる国会予算編成提出権を、政府がこれは内閣予算編成提出権が侵されたのではないとこういうふうに解釈して、そうしてここに臨んでいるようですが、このことはあとで具体的に今度の修正案内容について質問するときに非常に明らかになつて来ると思うのですが、これは私はいわゆる政党内閣政治というものを破壊する一歩になつて来ておると思う。その点で総理政治的な立場からこの問題をどういうようにお考えになつておりますか。いわゆる政党責任政治とこの予算編成提出権との問題について伺いたい。
  261. 吉田茂

    国務大臣吉田茂君) 今まで法制局長官が縷々説明せられた通りに、政府予算提出権は侵害されておらないと政府考えております。
  262. 木村禧八郎

    木村禧八郎君 私は今までこの予算修正の問題については、憲法上にも、財政法上にも、政治上にも重大な疑義があると思います。そこでまだいろいろ具体的に質疑をしたいのでありますが、時間も相当経ちましたから、私はこの程度で今日の質疑は終りますが更に又改めて私は具体的に質疑したいと思いますので、今日はこの程度に私は終つておきます。
  263. 中田吉雄

    ○中田吉雄君 暫時休憩しまして理事会を一つ開いて頂きたいと思います。大体四時頃になつて一応理事会を開くようにお打合せしていますからお諮り願いたい。
  264. 青木一男

    委員長青木一男君) この会議はどうしますか、委員会は……、今の意味がはつきりしなかつたから……。    〔「今の発言に賛成」「異議なし」とと呼ぶものあり〕
  265. 亀田得治

    ○亀田得治君 本日は政府側見解を我々としては一応囲いたわけです。随分まだ明確でないところもたくさんあります。で有権的な解釈としては、これは政府よりも我々自身が明確にこれは一致させなければならない問題だと思うのです。で、参議院予算委員の中で見解が分れていたのでは、案自体の扱い方が大変困ると考えます。そういう渋味で一応ここで理事会を開いてもらつて理事会としてこの問題をどう取扱うか、或いはここですぐ解釈が出ればよろしいですが、そういう点について、やはりこれは慎重に御審議理事会でやつてもらいたいと思います。そういう意味で、只今の中田氏の御提案に御賛成願つて、然るべく御審議を願いたいと思います。私どももなお質問の通告をしておるし、ほかの委員のかたもたくさんまだ残つておるわけですが、相当政府側見解を一応聞きましたから、この程度一つ理事会を先ほど申上げましたような意味で御開催を願いたい。
  266. 青木一男

    委員長青木一男君) 中田君の意味は委員会を休憩してという意味ですか。
  267. 中田吉雄

    ○中田吉雄君 先ほどの休憩を散会に訂正いたします。
  268. 青木一男

    委員長青木一男君) それでは本日はこの程度で散会いたします。    午後五時一分散会