○堀木鎌三君 やや
大蔵大臣の構想に期間が入
つております。今まで私が頭が悪くてわからなか
つたところが期間が入
つて参
つたので
一つの結ぼれが解けて参りました。必ずしも矛盾したことだけおつしや
つておるのじやないということはわかります。併し小笠原
大蔵大臣に特にここでお願いしたいことは、我々が回顧してみますと、朝鮮動乱が起りましたときは、実は企業合理化を行
なつたときなんです。もう或る
程度進行を始めた時期であります。ところが朝鮮の特需が起
つて日本の経済は急激にドツジ・ラインから解放されまして、苦しさに堪えかねていたものを解放して、そうして朝鮮動乱以後三カ年
日本経済は何をしたか、私は今に
なつてこういうことを我々がお互いにこの議場で言わなければならない大臣と我々自身がその責任を尽していないような気がするのです。率直に申上げますと、あなたがたのおとりに
なつておる経済は自由主義経済、大体において。で自由主義経済で以て行われて、而も二カ年の期間に今そういうことをおつしやるなら少くとも私は統制経済とは言いません。併しその計画性を保証するだけの具体的方策がなくちや私はならないと思うんです。だから私が実はあなたのおつしやることに疑いを持つというのは、池田君の、まあこれは池田君と小笠原さんとは違うかも知れませんが、同じ吉田
内閣の性格から私が類推するのも止むを得ない処置だと私は
考えます、と同時に、でありまするから
外貨を保有……実際今おつしや
つた特需なり、恐らく
アメリカは二カ年保証するでしよう、併し今財界に横溢しているのは丁度選挙の時分にあなたがたが
アメリカから二年ぐらいは朝鮮動乱がなく
なつてもやや、何といいますか、朝鮮特需
程度は保証するだろうということを御発表に
なつた。そのときに、実はなぜあれは御発表になるかといえば、まあそういうことを言つちや申訳ありませんが、朝鮮動乱が終
つたらこりや大変だと目覚めたのに、いや安心しろと、自由党の天下だと、そうは申しませんが、自由党の天下だと、ともかくも
アメリカから二年保証してくれる、これで財界がほつとした。この頃御覧なさい、M・S・Aを受けるとなるとM・S・A、M・S・Aとい
つて何でもM・S・Aに頼ろうとする空気が起
つておる。政治家のなさることはその空気を迎合なさることだ
つたら朝鮮事変と同じになります。もつとM・S・Aが来た
つて深刻な
日本経済の実態というものを掘下げて、そうしてそれを国民の前に曝け出して自分の政策を是認してもらう態度に立たなくちや私は実際できないと思うんです。で、無論今お挙げになりました
個々の問題について私
どもも
考えられます。石炭の値下りも率直にいえば、何と申しますか、需要減退から果してこの竪坑は
一つも完成して……まあ
政府が予定した
通り行つていやしないことは事実です。竪坑ができたらこれも又石炭の値が下るとおつしやることも事実です。併しまあ実際のところをいえば今の消費需要がないために貯炭が殖えて来ている、これがやはり
一つの大きな原因だと私は思う。無論鉄鋼については合理化が最近進んでいるようです。併しそれについては御
承知の
通り船の鋼材なんかは特殊規格でありまするから規格料を取らなくちやならんと言
つておる。まあそれらについてもいろいろあるんですが、船の問題についてもおやりになることが実際私は一番……もう
一つ申上げたいことは吉田
内閣の経済政策のもう
一つの欠点はスピードの合わないことだと思うんです。そう言つちや失礼ですが、まあこれは我々自身がや
つてもなかなか合わないかも知れませんが、ともかくもこれを合せて……
日本の経済
関係の官僚機構の私は鈍感な点だと思う。でぶつか
つてから慌てる。そのために無駄をし立遅れをしなければならんという傾向がある。現にまああなたの御責任じやないが、前にも例えば御
承知のように世界が軍拡的な傾向が強く
なつて、そうして
日本が
輸入物資を慌てて買出した時分には高いとき買
つて困
つたことも御
承知の
通りです。ところが西独なんかもその前に買
つておるというふうなこともこれはまあ占領下のときでしたからいろいろな
事情もあると思います。併しかくもいろいろな問題が先を見て機を失わずにできておるとは私は思わない。この頃の
貿易振興、
貿易振興というのは馬鹿の
一つ覚えに誰でも言います、併しこれで以て今に
なつて見れば西独々々と今頃に
なつて言
つている。西独がやり出した時分に、実績を挙げた時分に我々のほうが慌てて今や
つているというふうな姿ではとても勝てない、これは国際競争というものに勝てつこない。私はそういう
意味で二年間にきちつと国際競争に立ち得るとおつしやるが、最近の
貿易の今年の計画は、
内閣の計画としてはむしろ逆に二十七年度よりは殖える傾向にお見積りであります。これについても議論が私はあると思うが、そう安心しているわけにいかないのです。現にです、現に
輸入制限なら
輸入制限だと言
つて他国のせいにしておられるけれ
ども、
輸入制限にぶつか
つたのは消費資材ばかりです。生産資材だ
つたらちやんと売れているはずです、現に買
つてる国がちやんと生産資材を入れてるんですから。併し消費資材を持
つて行くから、而も高いからどうしても売れない。それから去年の、今日発表に
なつた経審の新聞に出ております経済分析でも御
承知の
通り、二十七年度からの景気の主なるものは何かと言えば皆消費的な支出で以て購買力が償われている、それで景気を支えてお
つた、異常な厖大である。
日本の国の今の敗戦国の中から国を建直そうというときに、こういう現象がもう明らかに顕著に出ている。どこかに経済の政策が悪いところがあるに相違ないのでありますから、私はあとは議論になりますから申上げませんが、いずれ別に、関連
質問じやなしにお聞きしたいと思いますが、どうも二年とおつしやいますと、どうかしてこれは小笠原さん、M・S・Aを当てこんで二年間
大蔵大臣なさ
つているかどうかは別にしても、三年た
つたらお前おれの言
つたことが本当になるからと今おつしやるのですが、方向だけ、経済は毎日々々が大切で、それを積み重ねて私は三年後に実は小笠原さんが私にそれ見たかとおつしやるように
なつてほしい。併し経済はその方向に向かなければ、実際のところを言えば毎日々々の歩みの方向がそつちへ向
つた方向に向いてなければ、二年た
つたつて三年た
つたつてできつこない。だからここからスタートしなければならん。そのスタートに当
つての方向だけは、今おつしや
つたインフレにもならずデフレにもならずじや困るのだが、方向だけははつきりこうするのだ、まあインフレにならずデフレにならずでも結構でございます、国際価格と鞘寄せする、或いはドツジ氏がいみじくも言
つたように、お前
幾ら言
つたつて買
つてる品物の原材料より輸出している品物の割合のほうがずつと上
つてるじやないか、そこに
日本の経済自身の欠陥があるのじやないかと言
つて指摘したのは、今だ
つてその
通りなんです。だからその点については、私は
大蔵大臣として、ここら辺でこの金融問題については、総合的にお
考えをまとめてこの
予算委員会の間に御説明願えるそうですが、そういう点につきまして特に心配いたしますので、お答えがなければそれでも結構で、
意見に亘りましたからお答えがなくても結構でございますが、非常にそれを心配いたします。是非そういう点について
大蔵大臣としてここら辺ではつきりとその点を、方向をはつきりさして頂きたい。それがなければ私は二年後のお約束を信用できないということを申上げたいのであります。