運営者 Bitlet 姉妹サービス
使い方 FAQ このサイトについて | login

1953-07-08 第16回国会 参議院 予算委員会 第11号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和二十八年七月八日(水曜日)    午後二時九分開会   —————————————  出席者は左の通り。    委員長     青木 一男君    理事            西郷吉之助君            高橋進太郎君            森 八三一君            中田 吉雄君            堀木 鎌三君            木村禧八郎君            三浦 義男君    委員            伊能 芳雄君            石坂 豊一君            石原幹市郎君            上原 正吉君            大谷 贇雄君            小野 義夫君            白波瀬米吉君            高橋  衛君            瀧井治三郎君            中川 幸平君            吉田 萬次君            田村 文吉君            中山 福藏君            亀田 得治君            佐多 忠隆君            戸叶  武君            永井純一郎君            最上 英子君            平林 太一君   政府委員    調達庁総務部長 山内 隆一君    保安庁長官官房    長       上村健太郎君    保安庁人事局長 加藤 陽三君    保安庁経理局長 窪谷 直光君    大蔵省主計局次    長       正示啓次郎君    大蔵省主計局次    長       石原 周夫君    保安庁装備局長 中村  卓君   事務局側    常任委員会専門    員       野津高次郎君    常任委員会専門    員       長谷川喜作君    常任委員会専門    員       正木 千冬君   —————————————   本日の会議に付した事件 ○昭和二十八年度一般会計予算内閣  送付) ○昭和二十八年度特別会計予算内閣  送付) ○昭和二十八年度政府関係機関予算  (内閣送付)   —————————————
  2. 青木一男

    委員長青木一男君) これより委員会を開きます。保安庁窪谷経理局長から説明をいたします。経理局長
  3. 窪谷直光

    政府委員窪谷直光君) 昭和二十八年度保安庁予算案につきまして、その概略説明いたします。  昭和二十八年度保安庁歳出予算案の総額は約七百十九億円でありまして、これを昭和二十七年度歳出予算額約五百九十二億円に比べますと約百二十七億円の増加なつております。このほか船舶建造及び施設整備につきまして、その工程及び支払が昭和二十九年度に及ぶ分につきましては、国庫債務負担行為として、船舶建造について六十五億円、施設整備について三十五億円、計百億円を計上いたしております。従つて保安庁昭和二十八年度における支出負担行為予定額歳出予算案金額国庫債務負担行為案金額を加えて約八百十九億円となるわけであります。  先ず、予算案見積の基礎であります職員定数について申上げます。保安官定数は十一万名でありまして、昭和二十七年度と比べて増減ございません。警備官定数は一万三百二十三名でありまして、昭和二十七年度の定数七千五百九十名に比べて二千七百三十三名の増加なつております。その増加内訳は、第一に、米国から借り受ける千四百三十トン型警備船PF)を八隻増加する計画でありますので、その乗組員として千六百五十二名、第二に米国から借り受ける警備船乗組員は、昭和二十七年度におきましては米国における定数と同数といたしたのでありますが、日本人の体格等から多少増員の必要を認めますので、この関係で百八十名、第三に船隊の編成に伴う司令部要員等で六十一名。第四にヘリコプター及び軽飛行機搭乗員整備員等として四百三名、第五に、管理事務その他陸上にあります機関に勤務する要員等として四百三十七名でありまして、以上を合計いたしますと増加数は二千七百三十三名となります。保安官及び警備官以外の職員定数は二千八百二十九名でありまして、昭和二十七年度の定数二千三百五十七名に比べて四百七十二名の増加であります。その増加内訳官房各局及び保安研修所における事務処理のため三十九名、技術研究所における研究及び事務処理のため七十五名、保安大学校における教育及び事務処理のため百二名、保安隊における調達事務等のため百二十八名、警備隊における事務処理のため百二十八名であります。  次に保安庁歳出予算案約七百十九億円を維持運営のために必要な維持的な経費施設整備船舶建造等に必要な臨時的な経費に区分いたしますと、維持費は約四百四十億円、臨時費は約二百七十九億円となります。維持費のうち、官房各局並びに附属機関即ち保安研修所保安大学校、技術研究所における事務処理研究教育等に必要な経費は約五億円であります。保安隊維持費は約三百七十一億円でありまして、そのうち俸給、諸手当等人件費は約百四十六億円、被服糧食器材等物件費は約二百十五億円、その他の経費は約十億円であります。なお、保安隊使用いたします武器類昭和二十七年度と同様に米軍のものを使用することとして、その購入費計上いたしておりません。  警備隊維持費は約六十四億円でありまして、運行船舶米国から借り受ける千四百二十トン型警備船PF)十八隻、二百五十トン型警備船LSSL)五十隻、在来保有掃海船五十三隻及びその他の雑船予定いたしております。そのうち俸給、諸手当等人件費は約十八億四千万円、被服糧食器材等物件費は約四十四億四千万円、その他の経費は約一億二千万円であります。  次に歳出予算案臨時費は二百七十九億円でありますが、そのうち船舶建造及び施設整備に要する経費につきましては、国庫債務負担行為案として計上いたしました金額と一体をなしておりまして、国庫債務負担行為案金額を合せて昭和二十八年度において支出負担行為を行うことを予定しておりますので、計画の全般を明らかにするため、歳出予算案金額国庫債務負担行為案金額を加えて御説明いたします。  保安隊警備隊共に発足後夫だ日浅く、昭和二十七年度までは既存施設を極力利用して、主として隊員収容施設等整備を行なつて参つたのでありますが、昭和二十八年度におきましては、保安隊及び警備隊訓練の充実、能率的な運営に必要な施設に重点をおいて整備することといたしております。臨時費国庫債務負担行為を含む)のうち、官房各局及び附属機関並びに保安隊関係は約二百二十一億円(うち歳出予算案額約百九十億円、国庫債務負担行為案額約三十一億円)でありまして、その内訳は(イ)装備品予備約四十五億円(歳出予算案計上)、(ロ)軽飛行機五十機、ヘリコプター十二機の購入費約十六億円(歳出予算案計上)、(ハ)一般倉庫、車庫、弾薬庫燃料タンク修理工場等保管貯蔵修理のための施設整備費約四十九億円、(ニ)訓練場買収整備費約二十八億円、(ホ)中央病院一カ所、地区病院二カ所及び駐屯地病院三カ所の病院新設費約十七億円、(ヘ)保安大学校及び保安隊の幹部、業務、衛生の三学校の新営費約十億円、(ト)軽飛行機基地整備費約五億円、(チ)老朽営舎の建替乃至補強費約十九億円、(リ)保安庁本部及び技術研究所新設費約二十億円、(ヌ)通信施設宿舎整備費及び施設関係附帯事務費約十二億円、以上施設費(ハ)乃至(ヌ)の計約百六十一億円(うち歳出予算案額約百二十九億円、国庫債務行為案額約三十一億円)となつております。  警備隊関係は約百五十八億円(うち歳出予算案額約八十九億円、国庫債務負担行為案額約六十九億円)でありまして、その内訳警備船千六百トン型二隻四十八億円、千トン型三隻四十八億円、四十トン乃至六十トン型六隻九億円、補給工作船千トン型一隻八億円、掃海船六百トン型二隻七億円、三百二十トン型四隻十億円及び交通艇その他の雑船十四隻約一億円、附帯事務費約一億円、合計船舶建造費約百三十二億三千万円と相成る次第でございます。このうち歳出予算案計上した金額六十七億三千万円、国庫債務負担行為案計上した金額六十五億円と相成る次第でございます。次に警備隊関係の軽飛行機五十機の購入費約七億五千万円、掃海用具等の初度購入費約三億円、庁舎、宿舎倉庫病院通信施設港湾施設等施設整備費約十五億二千万円を計上してございます。このうち歳出予算案計上いたしました金額は約十一億二千万円、国庫債務負担行為案計上した金額約四億円となつておる次第であります。  最後に国庫債務負担行為案につきまして説明を補足させて頂きます。  国庫債務負担行為案船舶建造費六十五億円、施設整備費三十五億円、計百億円でございます。船舶建造につきましては、さきに述べました警備船及び掃海船合計十八隻の建造費は約三十億円でありまして、これに関する契約昭和二十八年度において締結をいたすのでございますが、建造工程昭和二十九年度に及ぶため、昭和二十八年度中に支払われる予定の額六十五億円を歳出予算案計上し、昭和二十九年度に支払われる予定の額六十五億円を国庫債務負担行為案計上いたした次第でございます。次に施設整備費につきましても、営繕、港湾等の工事の工程昭和二十九年度に及ぶため、昭和二十八年度中に支払われる予定の額約百四十億三千万円を歳出予算案計上し、昭和二十九年度に支払われる予定額三十五億円を国庫債務負担行為案として計上いたしました次第でございます。  以上を以ちまして、保安庁予算案概略の御説明を終ります。
  4. 中山福藏

    中山福藏君 これは今ちよつとお尋ねしていいですか。
  5. 青木一男

    委員長青木一男君) どうぞ。
  6. 中山福藏

    中山福藏君 ちよつとお尋ねしたいのですが、六頁ですね、六頁のこの五行目ですが、「保安隊使用いたします武器類昭和二十七年度と同様に米軍のものを使用することとして、その購入費計上いたしておりません。」、この計上いたしておりませんというのは、これは何かわからないために、これは計上せないのですか。何か理由があるのですか。
  7. 窪谷直光

    政府委員窪谷直光君) 今保安隊使用いたしております武器類は、御承知のように、米軍所有のものを事実上使つておる、そういうことに相成つております。従いまして、従来ともこれの購入費計上をいたしてございません。その貸与の、貸与と申しますか、正確には向う所有のものであり、而も向う管理しておりますものを、事実上好意的に使わしてもらつておるというような恰好でございますが、これにつきましては、別に借料を支払つておるというわけでもございませんし、更に事故等による亡失の場合につきましても、損害賠償責任も別に負つておりませんので、無償使用をいたしておるのでございます。従いまして、その購入費予算には計上せず、従来通りの方式で二十八年度はやつておる、こういう意味でございます。
  8. 中山福藏

    中山福藏君 それは無償というが、協定か何かで紐つきなつているのですか。ちよつとお尋ねいたします。
  9. 窪谷直光

    政府委員窪谷直光君) これは、まだ米軍との間には協定はございませんで、米軍の好意に基きまして、向う所有しておりますものを事実上こちらで使用をいたしておるという状況でございます。
  10. 亀田得治

    亀田得治君 今中山委員からお尋ねになつた点ですね。実際上もらつたものと、これは解釈していいのですか。使用料も払わないし、別にそれが損傷を受けても文句を言われるわけでもない。実際上はもらつたことと解釈しては違いますか。
  11. 窪谷直光

    政府委員窪谷直光君) 使用料も払つておりませんし、事故等の場合も別に損害賠償責任がないのでございますが、まだ所有権は勿論向うにあるわけでございます。別にこちらでもらつてまつたというふうな関係には立つておりません。
  12. 亀田得治

    亀田得治君 大体その武器ですね。これは中古品ですか。どういう品物なんです。
  13. 窪谷直光

    政府委員窪谷直光君) 武器類は殆んど全部と言つていいかと思いますが、新らしいものではございませんで、大体古い物ということでございます。
  14. 佐多忠隆

    佐多忠隆君 今の保安隊貸与を受けておる武器種類数量その金額等お示し願いたい。
  15. 中村卓

    政府委員中村卓君) お答え申上げます。只今のところ保安隊が事実上、只今経理局長から御説明ございましたように、使わせてもらつておるというものについて個々的に申上げてみますと、自動拳銃九千五百、騎銃等、これはいわゆるカービンと申しますもので、その等でございますが、それが七万三百、小銃二方二千三百、自動小銃三千、短機関銃千六百、軽機関銃八百、重機関銃千五百、高射機関砲二十、二・三インチのロケット発射筒、いわゆるバズーカというものでございます。五千、三・五インチのロケット発射筒三百四十、五七、ミリの無反動砲十五、七五ミリの無反動砲同じく十五、六〇、ミリ迫撃砲三百八十、八一ミリ迫撃砲四百七十、七五ミリ榴弾砲四十五、一〇五ミリ榴弾砲百七十、一五五ミリ榴弾砲七十、八インチの榴弾砲二十七、それから一五五ミリ砲、これは榴弾砲でございません、砲でございます、十二、ハーフトラック等四百、特車等三百四十、軽飛行機五十、そういうことになつております。これの価格につきましては、的確な資料が私どもの手にはないのでございますが、少し古い資料米国雑誌等にも載つておりますものから推算いたしますと、これを新品で計算いたしまして大体二百四十億円前後になるのではないかというふうに推定されておりますが、先ほど経理局長からも申上げましたように、中古品なんでございますので、それの六〇%くらいと見当を付けますと、百四十五億円くらいになるようでございます。
  16. 佐多忠隆

    佐多忠隆君 警備隊の……。
  17. 中村卓

    政府委員中村卓君) 警備隊の分は御承知のようにPFを十八隻と、LSという上陸支援艇を五十隻、この前御承認頂きました条約で借りることになつておりますが、そのうち現在来ております分はPFが十隻、それからLSが四十二隻でございます。
  18. 中山福藏

    中山福藏君 ちよつとお伺いいたしますが、保安大学経費というのはどれくらいになつておりますか、これは一括して書いてありますからはつきりわかりませんが、ちよつと保安大学の分だけを教えて頂きたい。
  19. 窪谷直光

    政府委員窪谷直光君) 保安大学校の経費昭和二十八年度の予算で一部着手いたすことに相成つております。これが二十七年度の予算で三億円、それから二十八年度の予算で見込んでおりますものが約六億円、これで両方合計いたしまして九億円で、差当り整備をいたすということに相成つております。保安大学は御承知のように、四学年まででございますが、二十八年度で整備をいたしますものは、二学年までの施設ということにいたしておりますが、三学年、四学年につきましては、昭和二十九年度の予算の御審議を願います際に計上いたして御審議を仰ぎたいというふうに考えております。
  20. 佐多忠隆

    佐多忠隆君 先の警備隊の借りる艦船は、六十八隻の予定のうちに今五十二隻を借りてありますが、あとはいつ頃までに貸与が完了するのですか。
  21. 中村卓

    政府委員中村卓君) お答え申上げますが、PFは残り八隻が八月、九月に来る予定なつております。LSのほうは七月、八月に八隻来ることになつております。
  22. 佐多忠隆

    佐多忠隆君 それの金額はどれくらいになりますか。
  23. 中村卓

    政府委員中村卓君) これもはつきりしたことはわかりませんのでございますが、当初の建造費アメリカのほうの情報によりますと、PF単価二日五十四万二千ドル、LSのほうは単価五十五万二千四百ドルというふうになつておりまして、六十八隻分の建造質は約七千三百三十七万ドルというようになつておるようでございます。併し船齢等も相当古うございますので、時価によりますとPF単価は約五億円くらい、LS単価は一億五千万くらいではないかと推定されておりますか、正確な資料はございません。
  24. 佐多忠隆

    佐多忠隆君 今の六十八隻分を新品にしては幾らになりますか、六十八隻分だつたら……。
  25. 中村卓

    政府委員中村卓君) 只今申上げましたように六十八隻分の建造費は七千三百三十七万ドル、これを三百六十円で、恐縮でございますが……。
  26. 佐多忠隆

    佐多忠隆君 七千三百三十七万ドル……。
  27. 中村卓

    政府委員中村卓君) はあ。
  28. 佐多忠隆

    佐多忠隆君 今の数字その他を書類にしてお出し願いたいと思います。  それから先ほどちと問題になりましに保安隊使用いたします武器類昭和二十七年度と同様に米軍のものを使用するというのは、今お挙げになつ保安隊が借りているものをそのまま継続使用するという意味なんですか。更に増加貸与がある、それは併し金が要らないから使用計上していないというりか、その辺をお聞きしたい。
  29. 窪谷直光

    政府委員窪谷直光君) なお若干借受けたいというものがございますが、これにつきましては無償でございますので、その予算計上いたしてございません。なおその借受けましたものの修理等も大体部品は向うからもらうというふうなことでやりまして、而も隊員練訓を兼ねて整備をいたして行くというふうなことから、予算金額には影響なかろうということで計上いたさなかつた次第でございます。
  30. 佐多忠隆

    佐多忠隆君 二十八年度で新たに手に入れるものが……。私の聞きたいのは予定しておられるのは、さつき挙げられたのを単に補充する意味で、若干不足分を一部更に追加貸与されるのか。そうでなくて、新らしい形において何らかの供給があつてそれを予定しておられるのか、そのいずれかという点をお聞きしている。
  31. 窪谷直光

    政府委員窪谷直光君) 種類につきましては今装備局長から御報告を申上げましたようなものでございます。若干数量の点につきましてやや増加をいたしたいというものがございます。
  32. 佐多忠隆

    佐多忠隆君 そうすると、ただ一、二補完的に余すものだとか何とか、補充的な増加貸与を要求されるという意味なんですか。それともこれはこれとして、新たに何かまとまつたものを交渉するという意味なんですか。
  33. 窪谷直光

    政府委員窪谷直光君) 今借りておりますものの補完的なものということございました。まとまつたものを大重に向うから更に借受けるというふうなことは考えておりません。
  34. 亀田得治

    亀田得治君 関連して。補完的ということの意味ですね、数量的にいつて側パーセントになりますか。現在持つておられる分に対して大体の見当でおつしやつてもらえば、私どももよくわかるのですが。
  35. 窪谷直光

    政府委員窪谷直光君) 若干品物が数種に亙つておりますが、総体的に今借りておりますものから見ますと、二割程度出ないと思いますが。
  36. 亀田得治

    亀田得治君 それじや補完的にしては随分数が多いように感ずるのですか、あれは何ですか、使つている間に全然駄目になつて使えないようになるのも相当あるのですか、一年の間に。
  37. 窪谷直光

    政府委員窪谷直光君) 何分にも向うから借りておりますものが相当古いものでございまして、そういうものはこちらのほうで使えないようになりますと、アメリカのほうに返すということにいたしております。従いましてアメリカ軍のほうでは若干そういうようなときにも差支えないように、或る程度予備を持たしたいというような考えもあるようでございますが、今のところまだその予備を持つというふうな段階までは至つておりません。
  38. 亀田得治

    亀田得治君 もう一つ聞きますが、中古品とおつしやつておるのですが、これはアメリカ軍隊としては平生はそういうものは使つておらないのですか、現在。
  39. 窪谷直光

    政府委員窪谷直光君) 同種類のもりにつきましてはなおそういうものを拠つておるものもございます。又すでにアメリカ軍としては、制式が古くなりまして、もうすでに本国では製造をやめておるようなものもあるように聞いておりますけれども、何さま向う状況が私どもよくわかりませんので、はつきりしたことは申上げかねる次第でございます。
  40. 亀田得治

    亀田得治君 細かいことはわからんでしようが、武器のことですから、性能というものは、これは随分使つておられるかたが絶えず関心を持つておられると思う。そういう立場から、非常に大まかなところでいいのですが、全体の何割くらいというものが、もうすでに時代が過ぎ去つたものであるか、今お使いなつておられるもので……。
  41. 中村卓

    政府委員中村卓君) ちよつとそのお答には今のところ的確な資料を持つておりませんのでございますけれども、まあおおむね古いことは古いですか、向うの使つておるものと大体同じであるというふうに私たちのほうでは考えております。
  42. 亀田得治

    亀田得治君 これは併し保安隊におらない外部の私どもでも随分関心を持つておる問題ですから、どういうものをお使いなつておるか。例えばこういうことは研究されたりお調べになつたことはないですか。アメリカとは比較しなくとも、例えばビルマの軍隊とか、こういうものも私ども外形だけは見て参りましたが、ああいう所の軍隊武器比較したり、これは古いものであつても、おれたちのほうがもつといいんだとか、或いはその程度だとか、何かそういうような比較はどんなところにあるのですか。
  43. 中村卓

    政府委員中村卓君) 実は私たちそういう点の研究がまだ不十分でございまして、はつきりとした比較をしたこともございませんので、はつきりお答えできかねる次第でございます。
  44. 亀田得治

    亀田得治君 併しこれは自分の持つておる刃物ですから、非常に大事なことだと思うのです。十分やはり早く研究してもらいたいと思うのです。  それからもう一つ確かめておきたいのですが、何かこれは武器形式上は使わしてもらつておる恰好になつておるのですが、武器使用に関する契約書か何か取交してあるのですか。
  45. 窪谷直光

    政府委員窪谷直光君) 米軍との関係は事実上の関係でございまして、従いましてその間に契約書の交換というふうなものはございません。ただ実際問題として、こちらで使つておりますのですから、これだけのものを預かつたというまあ預り証的なものが、向うにそれぞれ監理の責任者に出ておるという恰好になつております。
  46. 亀田得治

    亀田得治君 これは、これだけ厖大なものですから、アメリカにしたつて幾ら金があつたつて、そう気前よく証文一つもなしにどさどさ出して行くという、こんな性質のものではなかろうと思うのです。それから我々のほうとしたつて只でこれを使わしてもらつておるとしても、使つている以上これは国のやはり一つの権利として実質的には所有権がもう移つておると解釈できる面もある。そういうことになれば、これは非常に大事なことであり、一挺の銃といえども、これは非常に重大な問題になると思う。そういう意味で何かあると思うのですが、そういう簡単なものしかないのですか。
  47. 窪谷直光

    政府委員窪谷直光君) 従来の武器使用関係は、向うの組織の内部のことでございまして、的確なことは申上げかねますが、私どもの聞いておりますところでは、駐留軍の中に保安隊のいろいろなことについて相談にあずかる顧問団というのがございます。その顧問団が正規の軍から一応、その保安隊使用させますために、保管転換と申しますか、そういう形で受けまして、観閲団の将校がその物を管理する、そしてその管理をいたしております物を必要に応じて保安隊に使わせてもらうという恰好になつております。勿論それも例えば小銃等につきまして、一々その武器倉庫に納まるというわけではございません。実際問題といたしましては、宿舎のそばに銃を格納いたしておるわけであります。その間は事実上ともかく顧問のほうの管理は一応しておることにはなつておりますが、実際の管理日本側でいたしておるわけでございます。これらのことを明らかにいたしますために、預り証のような一種の、向う言葉で申しますメモランダム・レシートという言葉があるらしいのです。これは所有権が移転するわけでもない、又その管理権が全面的に移るわけでもないというふうなときに使うという言葉のようですが、そういう形式のものとして向側は整理をいたしておるようであります。それに対応いたしまして、日本側で確かにその物を預つておるということを証拠立てるようなものを出しておるという関係に相成つております。
  48. 亀田得治

    亀田得治君 そうすると、実際上は顧問団に対してその書類を渡すのですか、事実行為としては……。
  49. 窪谷直光

    政府委員窪谷直光君) これは各部隊の日本側におきます責任者から、各部隊に駐屯をいたしておりますアメリカ顧問の将校に、そういう受取書を提出するということになつております。
  50. 亀田得治

    亀田得治君 その書類は何か共通のものですか。部隊々々によつて適宜なものを用いておるのですか。何か一つり規格を用いて数字さえ書込めばいいようになつておりますか。
  51. 窪谷直光

    政府委員窪谷直光君) これは先ほど申上げましたように、向う米軍内におきます整理の方法に準じまして書式を作つておるはずでございます。
  52. 亀田得治

    亀田得治君 そうしたら、これはやはり日本と外国との関係というのは、出発点をややこしくしておきますと、先だつての朝鮮における取引の後始末のような問題がやはり起きる場合があつうかと思いますので、大体そういう大通的の書類が使われておれば、一つ是非参考に本委員会のほうに御提出を願釈いたいと思います。それは差支えありませんね。
  53. 窪谷直光

    政府委員窪谷直光君) 向う書類でございますので、ちよつと私どもかり提出いたすということは或いはできかねるかと思います。
  54. 亀田得治

    亀田得治君 向うから渡されて、こりらからそれに書込んで出すわけですね。そうすると、それの控とか何とかというものは、これは一札入れるのですから、必ず各部隊にあると思うのです。これは絶対にあるわけですよ。自分が判を捺したのですから、控のないというようなことは、とても考えられないのですが。
  55. 窪谷直光

    政府委員窪谷直光君) 勿論それぞれ控は持つておると思いますが、その書式そのものが向うのものでございますので、私どもが提出するのも如何かというふうに考える次第でございます。
  56. 亀田得治

    亀田得治君 それは別に秘密の文書でも何でもないのでしよう。私どもはただ一つこういう関係で存在しておるというふうに考えられるのはその書類だけなのです。その書類でも拝見させてもらえば、非常に手がかりの少いこういう問題の性格、こういうことについては、やはり各委員が正当に客観的に評価できる一つの足がかりになろうかと思います。そういう意味でお示し願いたい。ほかにいろいろ正式な契約書とか、そういうものがあれば、これは何も私はそんなことは言いませんか、それしかないのですから、それだけでも見てみれば、大体こういう考え方で処理されておるということが客観的によくわかろうと思いますね。これは一つお調べになれば、どこの部隊でも、その書類の中で、こういう条件こういう条件、こういうものがついておる、若し写がなくとも、その内容かなんかちやんとはつきりわかつておると思います。
  57. 青木一男

    委員長青木一男君) 亀田君に伺いますが、その雛型を一つ出せ、こういうことですか。
  58. 亀田得治

    亀田得治君 そういう意味です。それは必ず書類を出させるのですから、余分の紙をあちらからこちらによこしているのです。或いは余分でなくとも、書類を出す以上は、控を必ず部隊は持つているのです。それがなければ、何か後から武器が、数がどうであつたかというふうなことが問題になつたときに、こつち側の書類がなかつたら、文句の言いようがないでしよう、起つたことを言われても……。返せということにはならんでしようけれども、併し形式的にはなお且つ使用ということになるのであれば、殊に無償使用であれば、民法の原則からいつて、これはいつでも返還を要求できる、そういうものですから、これは必ずあると思うのです。だから是非これは一つ我々の勉強のためにお示しを願いたい。
  59. 中村卓

    政府委員中村卓君) 今のお尋ねの点につきましては、後刻相談と申しまか、上司の意見も聞きまして、更に又アメリカ軍のほうとも了解を求める必要があろうかと思いますので、さよう御了承賜りたいと思います。
  60. 佐多忠隆

    佐多忠隆君 関連して……。
  61. 青木一男

    委員長青木一男君) 今の武器の関連ですか。
  62. 佐多忠隆

    佐多忠隆君 まだ私のさつきのは済んでなかつたのです。保安隊が今借りしおる装備、これで大体装備は完全にじきているというふうにお考えになつておられるのか。更にこれを完成する上には、若干の装備換をしなければなりないのではないかというふうにお考えになつているのか。その辺はどういうふうにお考えですか。
  63. 中村卓

    政府委員中村卓君) お答え申上げます。先ほど経理局長から大体お答え申上げたと思いますが、若干の補完的なものが殖えるという点はございます。本質的には十一万の編成では只今のところで、大体ほぼ装備は、武器関係といたしましては完了しておると考えます。
  64. 佐多忠隆

    佐多忠隆君 そうすれば、予算で人員は殖やさない、けれども質的にもう少し向上を図るのだとおつしやつておるのは、さつきお話の二割程度の補完をやれば、それで大体できる、武器に関する限りはそれでいいというふうなお見込みですか。
  65. 中村卓

    政府委員中村卓君) 只今お話の通りに、大体そういうふうに考えております。
  66. 佐多忠隆

    佐多忠隆君 そうすると、ダレスが九月五日の上下両院の外交委員会の合同会議で対日援助をやるのだ、而もそれには保安隊に完成装備を施し、警備隊に若干の小艦艇を供与するという供述をしておりますが、これは全然必要はないという、今の御答弁だと、こういうものは、今としては日本側から見れば全然必要はないというふうにお見込みかどうか。
  67. 中村卓

    政府委員中村卓君) まあそういうことにつきましては、私たちといたしましては何も情報を得ておりませんし、研究したこともございませんので、今御審議をお願いしております予算程度で二十八年度はやつて行きたいというふうに考えております。
  68. 佐多忠隆

    佐多忠隆君 交渉しておられないかり正式な連絡がないかも知れないが、私たちが乏しい資料をあさつて断片的に見てもこの程度はわかつておる。それを専管しておられる部局において何らわかつてないということはないと思うのですが、仮にそれでは日本の側では必要はない、今のところ何にもそういうことは予定してないということを一応前提にして、ダレスが言つておる完全な装備或いは若干の小艦艇というようなものは、どういうものを考えておるのか、その辺はあなたがたから見れば、どういうふうに推測しておられますか。
  69. 中村卓

    政府委員中村卓君) 先ほど申上げましたように、内容につきましては、私たちは何も存じておりませんし、又推測すべき余りはつきりした根拠も持つておらないのでございますが、小艦艇ということにつきましては、先ほど申上げましたように、或いは残りのPFの八隻とLSの八隻がございますが、そういうことは考えられないことはございませんけれども、なおそのほか警備船につきましては、先ほど経理局長からお説明申し上げましたように、来年度或る程度警備船の新造計画を二十八年度に考えておりますので、そういう関係も或いは若干できるかと考えております。
  70. 堀木鎌三

    ○堀木鎌三君 先ず第一にお聞きしたいことは、大蔵省からお出しになつ資料でございますが、大体二十七年度においては予算額が五百九十一億で、前年度からの繰越が百五十一億、ラウンド・ナンバーで申し上げます。七百四十三億使いたい。そのうちで大体二十七年度中に支出したというのが、四百二十九億あつて、不用額三十二億を落すと二十八年度に繰越したのが二百八十億ある、こういうふうな計算になつておるのですが、そうしてこの二百八十億のうちで支出負担行為が済みましたのが百四十四億、それから支出負担行為が全然済まないものが百三十六億、こうあるのですが、大体現状において、これをお認めになるように保安庁のほうはなつておりますかどうかということを先ずお聞きします。
  71. 窪谷直光

    政府委員窪谷直光君) 大蔵省のほうから提出されました数字、或いは四月末日現在かとも思いますが、その後整理をいたしまして、五月三十一日の数字によりますと、千万円台のところで少し食い違つておりますが、今概数を言われましたところには間違いございません。
  72. 堀木鎌三

    ○堀木鎌三君 そういたしますと、繰越された額が二百八十億でありますが、その二百八十億の支出負担行為済額が百四十四億あるというのは、どういう根拠でどういうものを支出負担行為済の額として挙げられておるのか、その点をお聞きしたいと思います。
  73. 窪谷直光

    政府委員窪谷直光君) これは昭和二十七年度中に契約の済みましたものでございます。ただ契約はいたしましたけれども、まだ年度末の状態におきましては製造業者のほうが製造中でございます。従いまして納品がまだ納まつておりません。そういうために予算としては一応繰越をいたしまして、製品が納入されましてから代金の支払いというために、繰越の明許をいたしたわけでございます。
  74. 堀木鎌三

    ○堀木鎌三君 そうすると、第二点お聞きしますことは、大体百四十億、これはあなたのほうは予算がなくても、国庫負担の契約があればどんどんできるわけですか、それが一点。それからその契約をなさつた種類のものがどういうものであるかということ。それからついでにお聞きしておきますが、支出負担行為がまだ済んでない百三十六億というものはどういうものを考えておるか。これは大体従来の納期その他の関係から見るとどのくらいの期間がかかる、そういうことをお聞きしたいと思います。
  75. 窪谷直光

    政府委員窪谷直光君) 二十七年度につきましては、支出負担行為というものは保安庁にはございません、全部予算額でございます。この繰越をいたしますにつきましても、財政法令計法の規定に従いまして繰越をいたすのでございますが、保安庁の今この繰越をいたしましたものにつきましては、二十七年度予算の中におきまして繰越明許の御承認を国会から頂いておるのでございまして、その条項に基きまして、大蔵大臣の更に御承認を得て繰越の手続をいたすということに相成つてつております。なお年度内に契約はできたけれども、製品が納つてないという大部分のものは車輌、通信施設の機械類が大部分でございます。それからなお機材類のほかに陸上の施設整備をいたしておるのがございますが、これもまだ建物が建設途中でございまして、その建物の完成を待つて支払をいたすために繰越をいたしております。それから年度内に契約ができませんでしたものも、器材につきましては今申しましたような種類でございますが、何分にも市販のものをそのまま採用するというわけに参りませんので、いろいろ規格の決定等にも相当の研究を必要といたしまするし、更に机上におきまして規格を決定して、直ちに所要数量の、総数量を買取るということは甚だ危険な状況も考えられましたので、一部の試作的な発注をいたしまして、その試作品の納入を待つて、性能のテストをいたしまして、それで改良を加えるべきところは改良を加えた上で、所要数の発注をいたしたいということから、未契約で繰越したものがございます。それからなお陸士の施設等につきましても、土地の取得に若干の日数を要しました。従いましてその上に具体的な現地についての建物の設計をいたしまして、入札をして契約をするという運びに至りかねたものがございまして、そういうものが契約をいたすことができませんで、繰越したのでございますが、これも同様に予算と同時に、予算の中におきまして御承認を得ました繰越の明許の条項によりまして、大蔵大臣の御承認を得て繰越をいたしました次第でございます。
  76. 堀木鎌三

    ○堀木鎌三君 大体まあ保安庁のお仕事の関係から、何と申しますか。初期時代においては相当その種のものが起るということも私ども十分御苦労の点はわかるのです。わかるのですが、率直に申しますと、保安庁経費というのは余りにも繰越額が多額に上つておる。これもまあ草創時代であるからそうだということは言い得ると思いますけれども、二十七年度におきましても前年度からの繰越があるし、常に繰越が多いという点から見ますと、率直に申して繰越が行われて参りますと、一年分くらいの繰越にじきなつてしまう、そういうような傾きが出て参ります。今年二十八年度には七百十八億を今御説明によつたものでも見込んでおるわけですが、そうするとざつと考えましてもこの七百十八億に対して、更に繰越の出て参ります分を加えますと、二十八年度に実質的に保安庁経費としてお使いになるのは、この二百八十億が更に加わつたものになると考えていいと思うのです。そうすると約一千億近いものが保安庁経費として使える。そうすると、一体今の保安庁で一千億に近いものが、一年間で整備する能力があるだろうかどうだろうか、特に何らかの問題が起らなければ、やはり相当額繰越される。経理面から見た保安庁の能力というものは、大体五、六百億が限度だ、こういうふうに考えられるのですが、特にその点で大蔵当局と保安庁の両方から、この点についてのお考え方を、事務的に見た正直な考え方を承つておきたい、こう思うのです。
  77. 窪谷直光

    政府委員窪谷直光君) 二十六年度から二十七年度へと繰越額が増加いたしておりますので、これは御疑問を持たれるのは御尤もだと存じます。二十七年度につきましては、実は二十六年度の繰越が、二十六年度から二十七年度に百五十億ばかりございました。二十七年度はそういうことでなしに、予算を目的としましたところは年度内に実現をいたしたいということでやつたのでありますが、丁度そのときに三万五千人のまあ増員の問題が出て参つたのでございまして、差当りその増員の人たちを収容するという仕事に大部分のまあ精力を初期の時代において注ぎ込まなければならなかつたという状況でございますのと、更に幹部のそういう方面のことを処理いたしますものが、年度の上半期におきましては、非常に手薄でございました。これをだんだんに充足いたして参りますと同時に、入隊をいたしましてから、その訓練を経て参りました後半期に至りましてはその能力は非常に伸びて来たのであります。その状況を以ていたしますれば、二十八年度には二十七年度のようなことにはならないで、大体予算で目的としておることを年度内に実現して行けるのではないかというふうに事務的には見ておる次第でございます。
  78. 正示啓次郎

    政府委員(正示啓次郎君) 堀木先生から大蔵当局にもというお話でございますからお答えを申上げます。お話の通り保安庁の繰越は年々相当額出ております。二十六年度六十八億、二十七年度は只今の百五十二億、今年は二百八十億出ております。(「もう少し大きい声で」と呼ぶ者あり)でこれは只今申されたようないろいろな事情があるわけでありますが、まあ私どもとしましても、率直に反省をいたしまして、予算が御承知のように成立が遅れました関係もございまするので、今回は特に百億を予算契約に廻したわけであります。この点は御趣旨には一応或る程度沿つておると思うのであります。なお全体の考え方といたしましては、もとより不要の予算を組むことは、これはいけないことでございまして、最小限度にいたすべきであります。併しながら細まれました予算を実行する態度といたしましては、いわゆる微に入り細に至るまで無駄を排除するということが、極めて必要であるかと思います。先ほど保安庁経理局長から申上げましたように、見積、試作その他には極めて慎重な態度を以て臨んでおります。従いまして最初のいわゆる草創の時期におきましては、多少こういう時間的なズレが出て参るのも止むを得ないかと思います。今後は予算の組み方にいたしましても、これらの点を十分考慮に入れまして、無駄のない予算を組みたい、又実行も無駄なく行いたい、そういうふうに大蔵省は考えております。
  79. 堀木鎌三

    ○堀木鎌三君 実は私何もそういう悪意があつて言つているのじやないのですが、この繰越が多くなつているということは、継続費でないからやはり明らかになりますが、昔よく官吏が継続費で予算がゼ口でも一年分くらいは十分仕事ができたという事例を見ているのです。保安庁経費もそうなつてしまわないかという心配を非常にするのです。殊に保安庁経費はどうも議会で以て繰越が多いじやないかないかと言われたために、前の補正のとき繰越が多いじやないかと言われたために、急に契約を相当なすつたような形跡がないでもない。この金額の模様から見るとそういう気がするのです。それで特にお聞きしたのですが、その点については無論十分無駄のないように実行される必要があるのですから、成るべく予算があつても、無駄のないようになさるということは当然のお勤めだと思います。  ただもう一つお聞きしたいのは、どうもさつきから佐多委員その他のかたのお話を承わつてつて考えられることは、現在どの程度の装備があり、どの程度施設があるということと、そうしてここに二十八年度の御説明になる分と合してみると、一体総合してどうなるのかということが一番知りたいのです。で、まあ今御説明願うのも無理かと思いますが、できますならば、佐多君やその他のかたの質問によつて材料をお出しになるときに、二十八年度の完成の姿、保安庁保安隊及び警備隊の完成したときの一応姿というものが一覧できるように合して頂戴すればなお結構です。  それからもう一つ御注文しますが、もう一つはもう二十九年度の予算をやつておられる。これは大蔵省と折衝中だろうと思うのですが、二十九年度にこれ又繰越ができるにきまつているのですが、二十九年度に繰越されるとすると、二十九年度に計画と合して完成される、そういうものもできて来ると思う。それがなくちや……。この整備をすると、ただ二割、どうも中村さんの御説明では、二割というふうな点では満足できないのです。当然二十八年度完成する姿——二十八年度から恐らく債務負担行為で百億お出しになつた。我我百億じや少いと思いますが、御趣旨を汲んでと折角おつしやるが、御趣旨を汲まれるならば百億じやとても問題にならん。これは事務当局のほうがよく御承知です。大臣は嘘が言えるけれども、事務当局は嘘は言えないはずなんだから。で、正直に言うと、少くともあなたがた予算で債務負担行為で百億というものを最小限度出しておる。そうすると二十九年度に債務負担行為を使つて、更に二十九年度の予算として保安庁保安隊及び警備隊等の経費についての、それと合した構想があるはずです。それを具体的にどうなるのだということをお出し願えましようか、願えませんか、その点はつきりお答え頂きたい。
  80. 窪谷直光

    政府委員窪谷直光君) 二十八年度末の状況、勿論これには一応国庫債務負担行為として御審議をお願いいたしておりますものも加えまして、それまでに出来上ります姿を何かこう一目瞭然と申しますか、一覧できるような表を工夫いたしてみたいと思います。  それからなお二十九年度の概算要求の問題でございますが、実はまだそこまで作業が進んでおりません。むしろ二十八年度の予算の実行について今研究をいたしておるというふうなことでございます。二十九年度の概算要求につきましては、もう少しいたしませんと、部内といたしましても作業は始まらんのでございまして、いわんやまだ大蔵省と交渉いたしておるというような段階には至つておらないのであります。この点は御了承を賜わりたいと思います。
  81. 堀木鎌三

    ○堀木鎌三君 債務負担行為を百億別にお見込みにならなければ、二十九年度は推定するのはおかしいのだろうと思うのです。併し二十八年度に債務負担行為として百億を七千二百億のほかに別に見込んでおられるとすれば、これは完成年度はどうせ二十九年度でしよう。そうすると二十九年度の分が出て来なければおかしいのです。で、まあ私は木村放言がどうだこうだなどというようなことは余り取上げませんが、併し少くとも二十九年度に大体整備すると思うのか。或いは新たなる整備がなければそれは別ですが、やはり債務負担行為のほかに、予算要求として或る程度考えられることは当然だと思うのです。二十八年度、二十九年度を通じて見て、大体あなたのほうで事務的にこの保安庁整備についてどうお考えになるのか。まあそのほかの事柄につきましても、MSAが出て参りましたときに、それがどう変るかということも、そういう基礎があつて初めて甘い得ることで、今水掛論しておつても始まらないと思うのです。私はそういう点で、地道にあなたがたのほうで事務的にお考えになるのは、二十九年度もなくちやこの債務負担行為は出て来ない。どうしてもそう思われる。で、ただ何といいますか、債務負担行為だけで百億、そして、二十九年度にでき上るようなものを考えられるというなら、二十九年度の構想もなくちやいけないのだと、こう考えますが、何といいますか、そう責任をお逃れにならなくても大丈夫です。その点は御心配にならないで、何かこうきわものと結付けられると困ると思いますが、もつと事務的に考えて出して頂きたい、重ねて理由を……。
  82. 窪谷直光

    政府委員窪谷直光君) 国庫債務負担行為として百億円の御審議をお願いをいたしておりますのは、別に二十九年度の計画のはしりというわけでは全然ございません。これはできますれば、二十八年度中に完成をいたしたいということで、当初の予算にはお願いをいたしたのでございまして、例えば船について申しますと、当初不成立に終りました予算の中には、全額を予算額に計上いたしたのでございます。併しながら、当時におきましては、国会におきまして御説明を申上げました通り、二十八年度内に船が竣工するという計画ではございません。それで、繰越しの明許の御承認を併せてお願いをいたしておつたのでございますが、予算の成立の時期が遅れましたのと、更に若干この部内の能力がそこまで及ばんのじやないかというふうな考え方から、更に船につきましては、工程を再検討いたしまして、二十八年度中に竣工する工程につきまして予算計上し、二十九年度の工程の分について国庫債務負担行為にお願いをするということでございまして、できますれば、二十八年末までに完成をいたしたいと存じたのでございますが、それがそういう事情によつて事実上不可能でもございましたし、又そういうふうに当初からとても年度内には支払いの立つ見込みのなさそうなものを予算計上するのも如何かというふうなことから、国庫債務負担行為に廻したのでありまして、二十九年度の計画をそこに考えて国庫債務負担行為をお願いしておるというふうな状況ではございませんので、又二十九年度の我々の構想につきましても、まだ全然着手いたしかねておるような状況でございまして、もう暫く時間をおかし願いたいと思います。
  83. 堀木鎌三

    ○堀木鎌三君 それではもう一つ申上げたいのですが、無論二十八年度の計画として、二十九年度に完成するものについて百億を見込まれたという点は、そうだろうと思うのです。その点は明らかですが、ただ今度逆にお聞きいたしますが、今保安庁では事務的に見ておると、大臣の言つておる保安隊の内容を整備するというのは、二十八年度のこの七百十八億に、百億の債務負担行為を得れば完成するというお考えですか、完成しないというお考えでお進めになつているのですか、どつちですか。
  84. 窪谷直光

    政府委員窪谷直光君) ただ必ずしも完成するというふうには考えておらないのでございますが、財政等との睨合いもございましよう。二十八年度としてはこれでやつて行くということでございます。
  85. 堀木鎌三

    ○堀木鎌三君 そうすると揚げ足をとるつもりはありませんが、二十八年度で木村さんの言う保安隊警備隊の内容を整備するということが完成していないとすれば、完成するというのはどういう姿なのですか、その点をはつきりさせて頂きたい。それから完成しない以上は、当然完成するというところはどこであるか。内容の整備という趣旨の完成はどこなんだという点ははつきりしているはずです。それでなければ完成もくそもないんです。これは確かにだから私がその点をはつきりしたいのです。二十九年度も出して頂きたいというのは、いつになつて完成するのだろう。それから又それは無論取替えが起るとかいろいろな問題が起りますよ。併し事務的に見てそう言えばいつまでたつても完成しないのです。併しともかくも一応完成するという姿はどこなんですか、それをお聞きしたいのです。それを予算に結付けてお聞きしたい。これは事務当局として十分にお考えになつているはずなんです。政治家はいろいろなことを言いますが、事務当局では常に事務をとられるときには、この完成というものから予算が出て来るはずなんです。それでなければ査定できない。大蔵省もそれでなしに金額を盛つているとすれば、余ほどどうかした大蔵省なんで、それは大蔵省もありようがないし、いわんや当の責任者である保安庁の大臣が完成するのだと言つて、それがまだ未完成だという以上は、完成される姿を我々に見せて頂きたい、それを金額的に内容的に見せて頂きたい、特にこれをお願いする。あなたでお困りだつたら木村君に聞きます。併し木村君は憲法解釈を変えようとする人だから何を言うかわからない。もつとあなたに聞くほうが信頼できるだろうと思うから事務的に聞いておる。だから是非それはやはり大胆に率直に、一応それは事業は一つの仕事ですから、いつまで経つても完成しないと言えば言えるでしよう。そういう言い訳は幾らでもできる。併し一応の目標というものはあるはずです。それを見せて頂きたい。
  86. 窪谷直光

    政府委員窪谷直光君) 保安隊警備隊の完成の時期はいつかという非常に事務当局としてもむずかしい御質問でございますが、保安隊につきましては、国内で調達をいたします車両でございますとか、通信機械でございますとかいうものにつきましては、保安隊限りといたしましては、もう少し実は整備をいたしたいという希望はございます。大蔵省のほうに概算要求をいたしましたのは七百十八億、或いは国庫債務負担行為を加えまして八百十八億、勿論大きな金額でございまして、その大体要求が満されれば、保安隊につきましては一先ず完了というふうなことになろうかというふうな要求をいたしたのでございます。その中には勿論要求側でございますので、私どもとしては相当切詰めた要求をいたしたつもりではございますけれども、財政当局の目から見ますれば、なおなおそこに削減の余地があろうという見方もございます。又先ほどから問題になつておりますように、実現の可能な程度というような判定もございます。そういうことから二十八年度としては、当初は八百三十億、現在におきましては七百十八億と国庫債務負担行為の百億で二十八年度は整備をやろうというふうな考え方に立つておるわけでありまして、従いまして二十八年度につきましては、財政当局と意見の調整をいたしまして、例えばこの器材類につきましては、米軍から借受けます武器につきましては、先ほど申しましたように、若干増加をいたしたいという考えがございますが、国内で調達をいたしますものにつきましては、二十八年度としてはとにかくこれでやつて行く、それで従つて国内調達の装備品等につきましては増加の要求は原則として取りやめていたのであります。増加要求いたしましたのはこれは飛行機ヘリコプターのみでございまして、あとの機材につきましては、今まで全然予備がございませんでした。民間のローリング・ストック程度の、これは全部ではございませんが、極く一部のものについて約一割三分程度予備を持ちたいということで、二十八年度の予算案を計上いたしましたような次第でございます。従いまして私どもといたしましては、この予算が成立をいたしますれば、これに基きまして諸々の調達を急いで、これによつて部隊の訓練をやつて見た上で、更に装備を変更すべき必要があるかどうかというふうなことを検討いたしたいというふうに考えておりますので、まあ国内調達の器材類につきましては二十八年度の予算で一応の完了ということに相成ろうかと思います。更にそれ以上に増加する必要があるかどうかということは、保安庁といたしましても実地の訓練を経た上で考慮をいたしたいというふうに考えておる次第であります。
  87. 堀木鎌三

    ○堀木鎌三君 どうも私は余り追及はしたくないんですが、どうも大臣が常に今後は保安隊の質の充実なんだ、装備その他施設訓練等は整備するんだ、そこに重点を置くんだ、こう言つておられる以上は、大体大臣がそういう考えがあれば、事務当局がそれと合したものがあるだろうと思います。併し今日は長官も来ておられないようだし、あなたから御答弁をはつきり頂くのも無理かとも思うんですが、ともかく一応それでは今の言葉をそのままとつて、二十八年度で保安隊の一応装備は完成するんだ、こう我々で考えていいと、こう了承していいだろうと思います。ただもう一つお願いしておきたいことは、先ほどお読みになつた中で、保安隊警備隊の問題で経常費的なものは別にいたしまして、臨時費的なものももう少し詳しく内容的にお示しを願いたい。いずれにしましても、そのお示しになるときに丁度従来の、さつき言いましたように二十八年度及び二十九年度に完成されることあるべき、百億というものを使つて二十九年度に完成すべきときの保安隊の姿というものだけを一覧表に作つて詳しくお出しを願いたい。それだけお願いしておきます。
  88. 窪谷直光

    政府委員窪谷直光君) 今お尋ねの件につきましては、一覧表を作成いたしまして御提出いたします。
  89. 佐多忠隆

    佐多忠隆君 又さつきの続きですが、先ほど御説明なつアメリカから借りている武器、これは日本では別に法律なり何なりを必要とすることな上に、事実行為として借りているわけですね。アメリカのほうで日本に貸与している場合には、アメリカはどういう法律に基いて、これを日本に貸与しているかそれをお聞きしたい。
  90. 窪谷直光

    政府委員窪谷直光君) その辺の事情につきましては、私どもよく承知いたしておりません。米軍のほうで、予算は少くとも陸軍省の予算で調達をされたもののようであります。それからそれが向うのどういう法律に基いてされておりますのか、よく承知いたしておりません。
  91. 佐多忠隆

    佐多忠隆君 そうすると問題になるのですが、私の聞き及んでいるのでは、向うでもその点が非常に問題になつたために、特に予算審議でいろいろ論議されて、今度はそういうもぐりの貸与はやめるということになつたと私は承知しているのですが、そうだとすると、先ほど更に追加借用の二割程度のものというのは、これは法律的にできなくなつて来る。その点はちやんとお見込みの上で、別途な計画で更に二割程度の補充貸与が行われるだろうというふうに見通しておられるのかどうか。
  92. 上村健太郎

    政府委員上村健太郎君) お答え申上げます。現在保安隊が使つておりまする武器は、アメリカの軍事費予算から米軍が購入いたしましたものを廻して来て使わしてくれているようであります。従いまして来年度の予算においてアメリカの軍事費がどうなるかは承知をいたしておらないのでありますけれども、少くともアメリカの今年度予算、六月末までの予算におきまして、すでに調達をいたしたものについては、従来通り貸してくれるような話を向うではしておるのであります。併しながら情報によりますると、向うでアクトを作つて、これを法律できめるというような話が来ておりまするが、その点については大使館に外務省のほうから問合せをして頂いております。その結果どうなるかということは、私どもにもまだわかつておらないのであります。
  93. 佐多忠隆

    佐多忠隆君 今年六月末までの予算において調達がなされたにしても、今後はそういうものを外に貸与することができない。皆んなMSA一本にまとめるのだという予算審議の決定だつたと私は記憶しているのです。そこでそうなると、今おつしやつたような問題はMSAの問題になるか、さもなければ別途新しい単行法になるか、そういう問題になると思うのですが、そういう問題を的確にお考えになることなしに、ただ単にもう二割程度は借りるのだというようなふうに漠然とお考えの上に、この予算計画がなされておるかどうか。
  94. 窪谷直光

    政府委員窪谷直光君) 今後の問題につきましては現在起つておりますMSA援助との関連がどうなりますのか。私どもといたしましては、現在の段階ではまだ的確な見通しはつかないのでありますが、大体従来私どもと接触をいたしておりました顧問の人たちの話では、MSAとは別個に、すでに今年の六月末までの軍事費予算で調達されたものは、引続いて保安隊のほうに使用させていいのじやないかというふうな話はいたしておりますが、大体そういうことになるのではなかろうかというふうに考えておる次第であります。
  95. 佐多忠隆

    佐多忠隆君 そうすると、今ちよつとお話が出た単行法その他でその処理をつけるというのでなしに、従来の慣行通りに一応貸与がなされて、MSAはそれと別途に又新たな問題として行うというふうに考えておいていいのですか。
  96. 上村健太郎

    政府委員上村健太郎君) MSAの問題と関連してどうかということにつきましては、米軍顧問団のほうから何もまだ話を受けておりませんので、ただ新聞紙上その他でアメリカの議会にアクトが出たそうだ、或いは出す用意をしているという話を聞いておるだけでありまして、現在のところ、私どもとしましては、従来通り借り得られるものだと、こういうようなつもりでおります。
  97. 佐多忠隆

    佐多忠隆君 その点は早い機会に明確に一つして頂きたいのです。何か単行法が出て、それで処理をつけられるのか。従来通りの方法で、調達が前年度予算だから、その後の実行としては、貸与の行為は年度を過ぎた場合でも、調達資材が前の年度のものであれば貸せられる、事実行為として貸せられるというような扱いになるのか。その辺は一つはつきりしたものを前提にして、この予算を組んで頂いて、この次に本審査をするときには、はつきりしたものに一つしておいて頂きたい。  それからこれまでにお聞きした警備隊或いは保安隊武器貸与等々の問題から見れば、凡そ一年間にどのくらい出したかということがわかるので、そういうことで判断をしてMSAの武器援助というようなものが若し行われれば、どれくらいになるだろうというようなことがあらまし見当がつくのじやないかと思いますが、その辺はどういうふうに見当をつけておられますか。
  98. 上村健太郎

    政府委員上村健太郎君) MSAの問題につきましては、外務省から何の連絡もございませんし、又米軍関係からも何も聞いておらない次第でございまして、これと関連してどのくらいというようなことも、私どもといたしましては全然見当をつけておらないような状態でございます。
  99. 佐多忠隆

    佐多忠隆君 じや向うからくれるもの、向うから援助してくれるものについての見当はつかないが、こつちから必要だと思うものの見当はおつきになるか、殊に一昨日でしたかの朝日新聞の夕刊に、アメリカからの電報によれば、この援助の内容或いは金額が決定するのは、向うにも大体の肚ずもりはあるけれども、その前に日本側から金額、内容を提示してもらつて、その必要度を勘案した上で決定をするんだということになつていると思うのですが、そういう意向だということが伝えられているんですが、そうだとすれば、こちら側はそれをどの程度必要だとお考えになつておるか。
  100. 上村健太郎

    政府委員上村健太郎君) 只今も申上げました通り、MSA関係につきましては、何らの政府関係からの指示もございませんし、又外務省関係からも連絡がございませんので、これに関連しまして私どもがどの程度必要だと思うかという計算なり研究はできておらないのでございます。
  101. 佐多忠隆

    佐多忠隆君 併し内閣においては、すでに受けることを前提にして、今後はどういう形で、どういう内容のものを、どういう条件で受けるかという問題の折衝に入るんだと、而もその折衝の場合には、単に相互防衛協定協定文だけでなくて、実施細目についても同時決定をするんだ、その細目の決定の場合には、外務省以外に大蔵省、通産省、経済審議庁、保安庁等の直接の係官も参加して協議をするんだと、而もその協議は今週ですか、始まるんだというようなことがいわれておるのですが、若しそういうふうに事態が進捗しておるというのであるならば、それの当面の責任者である保安庁においては、必ずや何かお考えになつていなければならないはずだが、もう少しその点を御説明願いたいと思います。
  102. 上村健太郎

    政府委員上村健太郎君) お答え申上げます。MSA関係につきまして、政府がこれを受けるということを決定いたし、或いはこの実施細目について先方と交渉するということがきまりますれば、当然私どものほうに対して、内容についての指示なり、或いは研究の結果、案を出せというようなことになるかと思いますけれども、まだ何らこちらに対して連絡も指示もございませんものですから、そういう成案を作つておるというようなことは、まだない次第でございます。
  103. 佐多忠隆

    佐多忠隆君 受けることになればというのは、この間の閣議決定では受けることを前提として交渉に入る、従つて問題は実施細目等々の問題で、それらを審議するのだ、而もアメリカ側から催促をしておるのは、こつちの必要限度内容を示してもらつて、話に入ろうじやないかといつておるのだから、それに何らの用意がないというようなことは考えられないと思うのですが、そういうことは何にも考えないで、この予算を組んでおられるのかどうか。ということは差迫つた必要はないので、そういうことは考えていないのだ、従つて若しくれると言えば、それはいらんお節介で荷厄介なんだというつもりでおられるのか、その点伺いたい。
  104. 上村健太郎

    政府委員上村健太郎君) 予算編成につきましては、MSA関係はまだ話にもなつておりませんでしたので、全然考慮して編成しておるということはございません。実施納品の交渉が始まりまして、私どものほうに指示なり連絡なりございますれば、保安庁のそういう方面の研究担当者を動員いたしまして、立案を当然することになろうと思いますし、又そういう案を作るだけの資料といいますか、準備作業といいますか、そういうものは着々やつておる次第でございます。
  105. 佐多忠隆

    佐多忠隆君 そうすると、少くとも日本側は必要を感じていないのだけれども、何も必要を感じていないので、今の予算の形で、そうして先ほど御説明のあつた二割程度の補完貸与が行われれば、それで大体いいと、日本側では思つておるのだけれども、少くともこの予算を編成したときまでは、そういうふうに思つていないのだけれども向うから無理やりにくれるというから、くれるなら、それじやこつちもどういうものが欲しいかという研究をしてみよう、そうしてその話合に応じようという態度であると了解していいのですか。
  106. 上村健太郎

    政府委員上村健太郎君) 予算編成当時におきましては、先ほども申上げました通りに、必要を感じておる、いないにかかわりませず、米国からMSAの援助をしてやろうというような話もございませんし、又こちらからも申出をしておりませんので、全然これを予定に入れるわけに行かないわけでございまして、現在のような予算を組んであつたわけであります。要らないのかというお話になりますると、装備の充実その他について考えて見ますれば、要らないということはないというわけでございます。
  107. 佐多忠隆

    佐多忠隆君 いや、先ほどの御説明によると、大体必要なんだ、それで二割程度の補完が必要なんで、その補完は今度受けることを予定をしておる。それ以外には国内の調達で大体できるのだ。而も国内の調達としては、今予算査定されたものより、百億でしたか、二百億ぐらい殖やして考えていたのだけれども、だから希望としてはそれだけのものがあれば、まあ大体よかつたのだが、それがああ査定されたので、その限りにおいては希望には沿つていない。けれども今のようなお話だと、その程度の不満はあるけれども、是が非でもアメリカから借りてでも、或いはもらつてでも拡充をしなければならないという必要の緊切度はないのだ。というのは予算の編成される当時、すでに三月或いは五月等には相互安全保障プログラムができて、その説明書もちやんとあつて予算審議をされて、而も日本に大体一億一千五百万ドルだとか一億五千万ドルだとかいうような金額が上げられて、而もその内容は先ほども申上げましたように、保安隊に完成装備を与えるのだ、警備隊に小艦艇を供与するのだというようなことまでいろいろ論じられて、向うはやろう、やろうと言つておる。それにもかかわらず、こつちは必要を感じなかつたから計画をしておられないのだ、計画はしておられないのだから必要はなかつたのだというふうにしかとれない。少くとも今までの御説明ではそうとしかとれないのですが、若しそうでなくて、いや、必要はあつたのだけれども、けれどもとおつしやるのならば、先ほどからお尋ねをしておるように、どの程度のものを更に必要であるとお考えになつておるのか、その点のお示しを願いたい。
  108. 上村健太郎

    政府委員上村健太郎君) 私ども事務当局といたしましては、政府がどういうふうにアメリカと交渉いたしまして、どの程度の援助を事実上もらうのかどうかということがはつきり指示がございませんので、従いまして予算編成当時におきましては、これを予定して予算を組むというわけにも参らんわけであります。ただ必要でないからそういうことを考慮に入れなかつたのではないかというお話でございますけれども、〔委員長退席、理事西郷吉之助委員長席に着く〕  そういうことではないのでありまして、政府がアメリカとの間において、MSAの援助を受けようというような話になりますれば、私ども事務当局といたしましても、装備の充実という観点からいたしまして、是非或る程度武器はMSAによつて借り得られたら、保安隊警備隊運営に十全の働きができるわけではないかと、こういうふうに思つておる次第でございます。ただ現在それじやどのくらい必要なのか、どのくらい要るということなのかというその計画はないかというお尋ねでありますと、現在まだMSAの関係につきまして正式に政府からも、又内閣からも、又外務省からも連絡を受けておりませんので、資料となるべき事項について研究はいたしておりますけれども、どの程度必要かということについて、結論を申し上げるような段階には至つておらない次第でございます。
  109. 佐多忠隆

    佐多忠隆君 結論でなくていいですが、どういう事情、どういう問題が研究をされておるのか、その点を一つお話願いたいと思います。
  110. 上村健太郎

    政府委員上村健太郎君) どういうものが、又どのくらいの数量というようなことにつきましては、今申し上げかねるのでございますが、我々といたしましては、警備の万全を期しますために、どのようにどの程度までに増強したらいいかというようなことを、事実上いろいろな資料を集めまして研究だけはしておるのでありますが、又どのようなものをどの程度までに、それでは増強したらいいのかというようなことにつきましては、只今のところ私どもといたしまして結論を得ておりませんし、申上げるような段階にも達しておらない次第でございます。
  111. 佐多忠隆

    佐多忠隆君 結論を聞いておるのではなくて、どういう点が問題になるのかということをお示し願えばいいのです。それで結論が付かなければ、我々のほうで結論を付けます。
  112. 上村健太郎

    政府委員上村健太郎君) どういう点が問題になるのかと申しますと、ちよつと私にはわかりかねるのでありますが、例えて申しますならば、武器なり装備なり、その他通信機材なり車両なりというものをどの程度持つたらいいか、又どの程度に拡充したらいいかというようなことだろうと思いますが、ちよつとどういうことをお尋ね下さいましたのでしようか。
  113. 佐多忠隆

    佐多忠隆君 今おつしやつたようなことですが、先ほど資料の提供をお願いしておりますので、その資料と併せて、更に今おつしやつたような理想的な形においてもつと完成するとすれば、どういう装備になるのか、どういうことを、どういうものをどの程度必要とするのかということは、それじや他の機会に資料としてお出し願いたい。
  114. 亀田得治

    亀田得治君 少し別な面から今の問題をお聞きしたいと思います。正面から聞いておると、なかなか同じような問題を繰返されますので、我々としても非常に心外であります。あなたのほうから出された文書によりましても、保安庁の任務ですね。これは国内の平和と維持を図る、秩序の維持を図る、人命及び財産を保護する、こういうことが書かれておる。これは法律にも書いてあることで、この通りだと思います。そこでお聞きしたいのは、保安庁が現在いろいろな本日御説明なつたような装備を持つておられます。又今年の計画として考えておられることを先ほどから聞きました。これだけのものを揃えておれば、ここに書かれておる保安庁の任務、これは十分全うできると、こういうふうにお考えになつておりますか。
  115. 上村健太郎

    政府委員上村健太郎君) 保安庁長官から国会におきまする同じような御質問に対しまして、たびたび御答弁申上げておる通りでございますが、私ども保安庁法に書いてありまする目的を達成いたしますためには、そのときどきの治安情勢と申しますか、そういうものに左右いたされますので、現在においてどうかというお尋ねがございますれば、予算編成当時におきまして、私どもが要求いたしました予算程度のものは必要であろうということを考えておつたのでございます。ただ財政当局の査定もございましたし、予算を削減されましたから、現在の予算だけを以て治安維持に十分な装備であるかどうかということは、私どもといたしましては、これが理想的であるということは言えないと思うのでございますが、(亀田得治君、結論だけ言つて下さい」と述ぶ)現在の装備だけでは私どもは十分だとは思つておりません。
  116. 亀田得治

    亀田得治君 そういたしますと、今度出されておる予算を以てしては、法律に掲げられておる任務、これは必ず全うできない、こうお聞きしていいですね。
  117. 上村健太郎

    政府委員上村健太郎君) 私どもが理想としますものには達しないかも知れませんけれども、現在の装備の範囲内におきまして、できるだけの全力を挙げて保安庁法の任務を達成しなければならんというふうに考えております。
  118. 亀田得治

    亀田得治君 あなたの理想とされるほうは、金額で言うと何パーセントぐらい殖えますか。
  119. 上村健太郎

    政府委員上村健太郎君) その点につきましては、具体的に先ほど申上げました通りに、結論を得ておりませんけれども、併しながら現在の装備だけで十分かとおつしやいますれば、必ずしも十分でないということだけは申上げられると思います。
  120. 亀田得治

    亀田得治君 大蔵省に対して予算の請求をされたのでしよう。具体的に数字を出してされたのですから、それとの比較から考えて何パーセントぐらい皆さんのほうでは不服なのか、これはもう具体的にお答えが願えると思います。
  121. 窪谷直光

    政府委員窪谷直光君) 二十八年度におきまして、大蔵省に対しまして、保安庁から概算要求をいたしました金額は、千二百二十五億ということに相成つております。
  122. 亀田得治

    亀田得治君 数字だけにして、その判断はこの際は省略いたしまして、そこでお聞きしたいのは、やはり保安庁の任務というものが法律に書いてある。恐らく皆さんが予算の要求をされる場合には、その法律を忠実に守る、こういう立場からやられておると思う。そこでそういう要望があればこそ足るとか、足らんとかこういう問題が出ておるわけですね。そこで端的にお聞きしたいのは、現在では少し足らないようでありますが、現在どういう事態が国内で起きたら、今日の保安隊では足らない、こういうふうにお考えになつておりますか。具体的にお聞きしたほうが、わかりが早いと思います。どういうような事態が起きたら、今日のあれでは足らない、こういうことが言えるのですか。
  123. 上村健太郎

    政府委員上村健太郎君) これも国会におきまして保安庁長官からたびたび申上げております通りでございますが、現在の世界各国におきまして、その情勢を見ますると、警察力を以てしては到底鎮圧のできないような相当大規模な内乱、騒擾というようなものが起つております。我が国におきましても、こういうような外国に見られまするような相当大きな規模の騒擾というものが起らないとはいえないのでありまして、こういうものに対処いたしますために必要な装備と申しますると、現在の装備においては十分とは申せない、こういうことでございます。
  124. 亀田得治

    亀田得治君 例えば東独で不測の問題が起きております。ああいう程度のものが起きましたら駄目ですか。
  125. 上村健太郎

    政府委員上村健太郎君) 具体的の問題になりまするとどうかわかりませんが、殊に東独と同じようなものが起つたらどうかということにつきましても、そのときの国内の情勢にもよりましようし、種々の政治的な条件にもよることと思います。従いまして一概にあれと同じ程度のものが起つた場合に間に合うかどうかということは申上げられないと思います。
  126. 亀田得治

    亀田得治君 これは併し極めて不明確な答弁ですが、実際に治安を預つておる当局としては、非常に研究が足らんと思うのです。皆さんたちの場合は普通の国警とか自治警なんかとは違つて平常は動かないのですよ。それでもやれない予備的な、極めて稀な場合における国内の治安、こういう問題なんです。そうすればたまにしか起らないような世界的な事件、これは十分一つ研究されておるのが当り前だと思う。私どもですらああいう問題が起きれば、これはあなた、政治家としていろいろ検討します。況んやあなたのほうが、そのときの政治的な条件でどうこうというふうなことじやなしに、もつと突つ込んで、あの程度のものが起きたら今の保安隊では困難だ、いいとか、悪いとか、これが当然研究されておるべきだと私は思う。日本の昔の参謀本部なんかがあつた場合には、それはもう、どこにどういう事件が起つたつて、直ちに緻密にいろんな検討をやつております。皆さんの場合でも必らず私はなされておられると思うから、これはお聞きするのですが、本当にそういうことははつきりしないのですか。
  127. 上村健太郎

    政府委員上村健太郎君) 東独と同じ状態の叛乱が起りました場合におきましても、我が国の政治的の環境、政治的の条件その他がございまするので、例えば何万人が騒動を起して、そうして焼打ち事件をやつたとかいうようなことだけでは、私どもはこれにどう対抗できるかどうかということは判定いたしがたいと思うのであります。
  128. 亀田得治

    亀田得治君 保安隊の装備を先ほどから聞かされまして、我々としてはこれは相当なものをお持ちになつておると思うのだけれども、そうすると、デモとかそういつたものは、これは各国どこでも大体似たりよつたりのものです。大体これは人数によつてその強さというものが、何といいますか、これはそのときの政治情勢やいろいろなことで強さも大小ありますが、大体人数によつて、これはどの程度のものであれば対抗ができるか、これは結論が出て来ると思うし、又それを対象として考えておるのでしよう。だからその研究かされておるのは当り前です。ですから東独の問題は別として、あなたが今持つておられるのは一体どの程度のものだつたら間に合うのですか。
  129. 上村健太郎

    政府委員上村健太郎君) 現在の我が国の情勢におきましては、通常の騒擾事件等は一般警察で間に合うと思います。又一般警察で力の及ばないような大きな、相当程度の内乱、騒擾が起るといたしましても、これが同時に国外からする直接侵略乃至は干与、干渉等が行われない限りは、現在の保安隊警備隊を以て当然対処できるし、又可能であると思うのであります。
  130. 木村禧八郎

    木村禧八郎君 関連して……。装備の点ですが、二十八年度の予算として要求しておるのは千二百二十五億ですね。これは装備からいつて、これまでのいわゆる兵器よりも更に進んだ兵器を要求するということが入つているのですか、千二百二十五億の要求の中には……。兵器関係から言つてどうですか。
  131. 窪谷直光

    政府委員窪谷直光君) 千二百二十五億円の要求をいたしましたのも、武器につきましては従来同様米軍のものを使用するということを原則としております。日本側で調達をいたしたいということで要求をいたしましたのは、これは武器と言えるかどうかちよつと疑問に思いますが、ヘリコプターを十二機、それから軽飛行機を百機という程度のものを、機材関係では要求をいたしました。それから海のほうにつきましては、先ほど御説明いたしましたような警備船建造を若干やりたいという要求をいたしたのでございます。それ以外につきましては、別に新らしい武器の要求はいたしておりません。
  132. 木村禧八郎

    木村禧八郎君 保安庁のほうに伺いたいのですが、この前いわゆる兵器の内容を示して頂きましたね。あれ以後新らしい兵器というものはお使いなつておりませんか。又アメリカのほうとの何か折衝で新らしい兵器が来ておりませんか。
  133. 中村卓

    政府委員中村卓君) お答え申上げます。若干新らしいものが参つております。例えて申しますと五十七ミリと七十五ミリの無反動砲
  134. 木村禧八郎

    木村禧八郎君 それはどういう機能をするのですか。
  135. 中村卓

    政府委員中村卓君) 砲でございます。
  136. 木村禧八郎

    木村禧八郎君 ですから何か高射砲みたいなものですか。
  137. 中村卓

    政府委員中村卓君) そうじやありません。空に向けて射つものではございません。
  138. 木村禧八郎

    木村禧八郎君 そういうものは来ておりませんか。
  139. 中村卓

    政府委員中村卓君) 四十ミリ高射機関砲が二十門ばかり、それからこの前来ておりませんで、来ておりますのは、百五十五ミリの砲と、八インチの榴弾砲、これだけでございます。
  140. 木村禧八郎

    木村禧八郎君 じやそれはあとで、高射砲などはそれをどこに据えるのか、そういうことも一緒に資料を待つことにして、それからさつきの装備が不十分だ、十分にするにはもう少し理想的にしなくちや、警備をするには不十分だと言いますけれども、これはジエツト機とか航空母艦、そういうものはやはり必要とすると考えておるかどうか。それからMSAの場合、そういうものはやはり来ることが予想されるのか。それからジエツト機とか或いは航空母艦、航空母艦というのはそう大きいものじやないかも知れませんが、そういうものはやはり必要と考えているか、或いはMSAで来ると予想されるかということについて……。
  141. 上村健太郎

    政府委員上村健太郎君) ジエツト機や空母は予想しておりません。又現在こういうものを持ちたいとも考えておりません。
  142. 木村禧八郎

    木村禧八郎君 それはあとで又伺いますが、いわゆる防衛計画という中には、そういうものが入つているやに我々は聞いておるのですが、それでは又別にその点はあとで聞きます。それでは伺いますが、MSAが来た場合にその兵器を以て訓練する人が必要だと思うのです。それと人員との関係はどうなんですか、人員は殖えないのかどうかということですね。
  143. 上村健太郎

    政府委員上村健太郎君) MSAの関係につきましては、どういう武器がくるか見当はつかないのでありますが、若しこれを受けまして、小艦艇を貸してくれる、或いはヘリコプターなど貸してくれるということになりますれば、現在の人員のなかからさきますか、それができませんければ、増員の予算をお願するよりほかないと思つております。
  144. 木村禧八郎

    木村禧八郎君 増員せんと言つておるのだがそれは少しおかしいのです。今のお話ではヘリコプター、小艦艇が入ると言われましたが、一幕のほうについてはどうですか。二幕のほうはわかるのですが、一幕の地上部隊関係ですね。それから航空機もヘリコプターでなく、もう少し高度なものにすれば、そういう人員が増えるのですか、やはり今の人員で賄えるのですか。
  145. 上村健太郎

    政府委員上村健太郎君) 今年度予算におきましては増員をしないという言葉が新聞に伝えられておりますけれども、御承知通り船の建造予算を組んでおりますので、これができ上りますれば当然人員の増をお願いすることになりましようし、又今年度におきましてはPFLSSLの追加で、海のほうの増員はお願いしております。陸のほうにおきましては、飛行機を増しましたり、ヘリコプターを増しましたり、予算計上いたしておりますけれども、この方面については十一万定員のなかで賄うことになるので、保安隊といたしましては増員の計画は現在のところではございません。
  146. 木村禧八郎

    木村禧八郎君 今の船や何かできますれば増員になると思いますけれども、そういうものも資料としてどの程度の増員になるのか出して頂きたいのです。今後の増員の予想です。それから人数が陸のほうじや増やさない、併しMSAでいろいろな武器がくる。こういう場合それは備蓄しておくのか、使わないでしまつておくのか、余計きた場合、仮に航空機なんか、ジエツト機はこないとは言いますが、そういうことは予定していないと言われますが、来た場合にそういうものは備蓄しておくのか。もう一つ最後に伺つておきたいのですが、質的強化ということを保安隊言つておるのですが、質的強化ということはどういうことなんですか。今の十一万の範囲内で質を強化する、防衛力を強化する、これは十一万の範囲で人数を増やさなくても、はつきりと再軍備はできるわけです。質的強化ということをもう少し専門的に話して頂きたい。
  147. 上村健太郎

    政府委員上村健太郎君) MSAにつきましては、先ほども申上げましたが、私ども何も聞いておりませんので、皆目今のところ見当がつかないのでありまするが、若しこれを受けるといたしまして、艦艇を日本に貸してくれるとか、くれるとかというようなことになりますれば、これに必要な人員は現在の警備隊の定員では間に合わなくなるだろうと思います。従いまして一幕のほうは何を貸してくれますか、或いは飛行機ぐらい貸してくれるかと思いますけれども、これは十一万の定員のなかで間に合いますか間に合いませんかという見当は、飛行機を貸してくれる数によりますので、これが少なければ十一万定員のなかでやりくりをして間に合うかと思います。海のほうは何分にも定員が一万以内でございますので、船を貸してくれますると、船の運航に要する人員というものは、かなり多数要ると思います。これは或いは増員をお願いしなくちやならないかと思います。なお質的な強化ということはどういうことかというお尋ねでございますが、装備の点もございまするけれども訓練教育、或いは募集について優秀なものを採用するとか、その連中を又十分訓練教育して行くとかというような問題も、これに含まれると思うのであります。
  148. 木村禧八郎

    木村禧八郎君 私そういうようなことを聞いているのじやないのです。それは前にドイツが、ベルサイユ条約やそれからワイマール憲法をカンニングして再軍備しましたね。人数は殖やさなくたつてああいう形での再軍備ということはあり得ると思います。私は当然保安庁は、ああいう形のものを研究しているのじやないかと思う。それを質的強化、こう呼んでいるのではないかと私は見ているのです。ですから恐らくそういう研究もされているのじやないか。十一万の範囲内で、この頃幹部教育といつて、幹部教育に切換えられているのです。ですからあの幹部教育というのは、具体的に何を意味しているか、十一万をどの程度幹部教育しているか、十一万の幹部の切換えの程度というものを具体的に聞きたいのです。どの程度の幹部教育をして行くのか、又アメリカにやはり幹部を派遣するといいますが、その問題もやはりどういうことを習つて来るのか、それを聞きたいのです。もう一つアメリカのほうからどれだけ来るのだかわからないというお話ですが、木村保安庁長官は、自衛は日本においてみずからやるのだと、こういうのです。日本のほうの計画がなくて、向うからどれだけだかわからないものが来る、来たらそれに従つて何かやる、こんな構想なのかどうか。向うから来るものには来れば迷惑な場合、それからあまり来れば困るから、この程度のものは必要であるということは、一応作業をして、この段階に来たら具体的折衝に入るのですから……、さつき佐多君も言われましたが、MSAがどうであろうとこの程度のものが不足である、こういう作業はできていなければ、私は怠慢だと思うのです。そうでなくて、向うから何が来るのだかわからない、来てからやるのだという、こんな妙な話はないのです。そこのところをもう少し事務的に、あまり政治的なあれは考慮せずに伺いたいのです。何かなければならんわけです。
  149. 上村健太郎

    政府委員上村健太郎君) 保安庁長官が質的強化ということを申しておりますのは、申すまでもなく、これで再軍備をしようというようなことではないと思うので、やはり装備及び教育訓練を強化して行こうということだと思います。それから幹部教育をやつているじやないかというお話でございますが、幹部教育は盛んにやつております。併し保安隊の幹部の定員というものは予算できまつておりますから、それ以上に幹部を多くするというような計画は、現在のところないわけでございます。又このMSAの幾ら来るかわからないということを申上げましたのは、向うさんの意向次第できまるのだということの意味でなくて、勿論日本が自主的にアメリカと折衝いたしまして、そうしてどうきまるか、私どもにはわからないということで申上げたのであります。恐らく実際の折衝に移りますれば、私どもは私どもの立場として、どの程度のものが必要であるかということについて案を出して見ろというような、御指示なり連絡なりがあることだと思つております。又そういうことがありますれば、私どもといたしましても、一案は作つて出すだけの資料なり研究準備の作業はやつている次第でございます。
  150. 木村禧八郎

    木村禧八郎君 まあそれはいいです。その研究準備の作業というのがいわゆる防衛計画なわけですが、併し交渉をこれからやるのでしよう。やるときにこちらで自主的に考えてやるというのだから、何か案があつてやらなければ、交渉の過程において出て来るというのはおかしいと思う。こちらで持つていて、それから交渉を始めると思うのです。ですからそれは私は一応なければならんと思う。若しなければ非常におかしいことなんです。(「改めて出すことを要求しておいて下さいよ。」と呼ぶ者あり)それでは私は改めてこういう資料を要求いたします。今向うとの折衝過程においてどの程度のものを出してくれば、すでに準備は整つていると言いますから、我々もその準備資料を見たいのです。見てこの程度の準備資料において、我々はこの程度アメリカへ要求すべきであるかどうかということを、我々国会議員として判断したい。その予備資料として、今言われました、あらゆる場合を想定しての準備作業はできていると言いますから、その準備作業の基礎資料です。それで我々は我々として検討して見たいのです。そういう意味でできたらそれを出して頂きたい。  それから幹部の人数は予算できまつていると言いますが、今後はどうなんですか。今後やはり幹部を殖やして行く方向に行くと思うのですが、その点はどうなんですか。本年度限りは一応今の予算できまつているでしようが、今後の幹部教育の方針はどうなんですか。
  151. 上村健太郎

    政府委員上村健太郎君) 準備作業ということを申上げましたが、これは資料としてお出しするような性質のまとまつたものはございません。従いまして御要求がございましても、御検討願うような資料は持ち合せておられないのでございます。  それから幹部の率はどうかというお尋ねでございますが、幹部は現在のところ現予算の定員の比率を増すような考え方はいたしておりません。
  152. 木村禧八郎

    木村禧八郎君 現在を聞いているのじやない。
  153. 上村健太郎

    政府委員上村健太郎君) 将来増すような意図は持つておりません。
  154. 木村禧八郎

    木村禧八郎君 それでは私は了承できないのですが、アメリカでどういう幹部教育を受けるのか、これもお聞きしたいのですが、その前に資料の問題ですが、先ほどは、いつどの程度の規模のものを作つて見ろという場合、いつでもできる体制になつているというお話でございましたが、例えば一部隊単位どのくらいの経費が要るか、そういうものはできていなければならん。一人員ユニットについて、それでないと向うから来たらすぐできるわけがないじやないですか。制度調査委員会はそれをやつていたのでしよう、ずうつと長く……。それは隠しても駄目ですよ。正直に言われて、あなたがたとして出せないと言うなら出せないでいいのです。やつていないというのだつたら……、じやあ制度調査委員会は何の費用でやつたか。私は予算項目でそんな無駄なことをやつているのだつたら、これは重大な問題だと思うのです。一体何をやつておつたのですか。制度調査委員会はそういうことをやつていたんであると思う。だから制度調査委員会でやつた作業を我々に出してくれればいいのです。そういう意味資料の要求なんです。
  155. 上村健太郎

    政府委員上村健太郎君) 只今のお尋ねのような、例えば保安隊員一人について要する調弁費でありますとか、或いは維持費でございますとかというような資料はございます。従いまして具体的にこういうものを出せということでございましたらばございますものは提出いたしまするけれども、準備作業というものは何をやつていたのだということで、準備作業の資料を出せということをおつしやつて頂きましても、これは我々の頭の中にあるものはございまするが、記録してまとめておるものはございませんので、その点は御了承願いたいと思います。又制度調査委員会保安庁運営上、参考となりますような諸外国の大規模な内乱、騒擾等の実例でございますとか、或いは外国における治安維持機構の規模でございますとか、又やり方というようなものを研究いたしております機関でございまして、将来、保安隊警備隊をどうするか、又今後起りますようなMSAに関連して、どういう武器をどういう程度にというような作業をしておる委員会ではないのでございます。
  156. 木村禧八郎

    木村禧八郎君 それじや私次の機会に具体的にこういうものを出してくれということを要求いたしますから、それに基いて出して頂きたい。それから制度調査委員会は各国の制度等を研究しておると言いますけれども、それは防衛委員会等でおやりになつたことであつて、最初に作つたのは防衛委員会という形で作られた。それがどうもおだやかでない。そのときに十何項目でか、ずつと研究されて、それで本年一月頃かと思うのですが、制度調査委員会、そういうものに変つて、そこでいわゆる防衛関係作業に入つておるように私は思うのです。ですから前に防衛委員会というのはあつたのでしよう。防衛委員会というものが制度調査委員会なつたわけでしよう。防衛委員会というものが今お話のことをやつていて、それが更に進んで制度調査委員会なつてから、ああいう具体的作業に入つていると思うんです。その防衛委員会というものがいつ頃できたもので、制度調査委員会はいつ頃できたのか、その関係ちよつと説明しておいて下さい。
  157. 上村健太郎

    政府委員上村健太郎君) 防衛委員会というのは新聞で私承知いたしましたのですが、保安庁内に防衛委員会というのは作つたことはございません。制度調査委員会は昨年の確か九月の末か十月だと思いますが、当初から制度調査委員会という名前を以ちまして発足いたしております。
  158. 木村禧八郎

    木村禧八郎君 それはあれですね。保安隊になる前ですね。吉田首相が保安庁長官だつた頃ですね。
  159. 上村健太郎

    政府委員上村健太郎君) 保安庁法が施行されまして以後、保安隊に正式に切り変ります前でございます。でございますから長官は吉田総理大臣でございます。
  160. 木村禧八郎

    木村禧八郎君 今まで保安庁内には防衛委員会というのは作つていないといいますけれども保安庁以外の何か各省連絡的にそういうものは何かできておつたのですか。
  161. 上村健太郎

    政府委員上村健太郎君) 役所関係におきまして、そういう委員会を作つているということは私聞いたことはございません。
  162. 木村禧八郎

    木村禧八郎君 やや私も事実を調べてあるんです。ですからもつと私は正確に、今の御答弁を基礎にして、それで私が調べたところが違つておるのかどうか、私は防衛委員会というもので発足して、それから制度調査委員会に移つているということは、私調べたところではそうなつています。ですから又あなたのほうでもお調べになつておいて頂きたいと思います。又我々も更にはつきりしたことを調べてから又伺います。更に資料については具体的に項目を出しますから、その点について後でお願いいたしたいと思います。
  163. 佐多忠隆

    佐多忠隆君 人員の問題ですが、先ほど経理局長の御説明の三ページから四ページにかけて、以上合計して増加数が二千七百三十三名ということになつておりますが、同時に予算では施設整備、特に船舶建造等が相当なされるのですが、これが完成したときには、更に又搭乗員その他の人員増加の要求が出て来るのか。そういうものが少なくとも今年中に建造するものに対する乗組員は全部要求済みになつているのか、その点はどうなんですか。
  164. 上村健太郎

    政府委員上村健太郎君) 船舶につきましては、本年度中に竣工いたす見込はございませんし、又来年度に亙りまして予算支出のような結果になつておりますので、搭乗員につきましては竣工いたしましてから、即ち来年度以降におきまして、予算計上を要求するつもりでございます。
  165. 佐多忠隆

    佐多忠隆君 そうしたら今予定している船舶建造ができたら、それに合わす乗員の増加数はどれくらいでございますか。
  166. 窪谷直光

    政府委員窪谷直光君) まだ的確な数字は計算をいたしておりませんが、本年度の予算で御審議をお願いしております船舶が竣工いたしますと、約千三百名の警備官の増員を必要とするかと存じます。
  167. 佐多忠隆

    佐多忠隆君 それからMSAの援助の場合に、武器援助が来るということを言われておりますが、その武器援助がどれくらいかということをさつきもらいろいろお尋ねをして、大体の見当を付けようと思つているのですが、これはまあさつきお尋ねしたこと、アメリカで言われておること等を勘案して行けば、大体の概数は出るかと思いますが、もう一つ問題になるのは、訓練費を援助するのだというふうに言つているようでありますが、そこでその見当の問題になりますが、一体今保安隊に来ているところの顧問団、それはどれくらいの人数でどういうことをやつているのか、それが訓練費としてどれくらいの経費がかかつていると計算しておられるのか、それを一つ……。
  168. 上村健太郎

    政府委員上村健太郎君) 米軍顧問団は全国の各部隊におりますのを合せまして正確な数は私ども承知しておりませんが、五百から六百くらいの間だろうと思います。海のほうは六、七名でございますが、陸のほうが大部分でございます。現在は保安隊警備隊運営につきましては、殊に訓練、演習等について米軍顧問団の指揮だとかを仰いでいないことは勿論のこと、指示も仰いでおりません。陸のほうの、全国の各部隊におりまする顧問団は、現在保安隊使用をさせてもらつておりまする武器、この武器米軍の保管責任によつて保管せられておりますので、保安隊の各部隊における武器の保管責任者として各キャンプに将校一、下士官二、五名くらいの程度で駐屯していると思います。又この顧問団がどのくらいの経費を使つて日本におるだろうかということにつきましては、私どもといたしまして、全然見当がつかない次第であります。
  169. 佐多忠隆

    佐多忠隆君 これは当然に問題になるべきだと思います。今御調査がなければ至急に一つ調査して頂いて、見当を付けて頂きたい、これはこういう従来の顧問団がそのまま引継いだ形になるのか、新らしい形で来るのか、その点がわかりませんので、更に各国にいる顧問団、特に台湾であるとかインドネシア、ビルマあたりの経済援助あたりをやつている場合の顧問団の問題もあると思いますが、それらはまあ直接にあなたがたの関係でないでしようから、少くとも軍事顧問団、特に台湾あたりのものがどういう状況なつて、どれくらいの訓練費というようなものを使つているか、それらも一つお調べの上で、他の機会に御報告を願いたいと思います。  それから次に留学生をアメリカに相当出しておられると思うのですが、この留学生をどれくらい出して、どういうことをやらしておるか、いつ頃帰つて来るのか、それらの状況一つ詳しく伺いたい。
  170. 上村健太郎

    政府委員上村健太郎君) 現在保安隊の幹部で米国へ派遣をいたしましたのは、合計いたしまして百四十三名でございます。向うへ行きまして、いろいろの学校に入校しておるのでありまするが、本年の三月から大体六月までの間、数次に分けて入校いたしまして、期間は向う学校の教程によつて違いまするけれども、七週間乃至十五週間となつております。
  171. 佐多忠隆

    佐多忠隆君 どういう学校に入つているのですか。
  172. 上村健太郎

    政府委員上村健太郎君) 学校の数が非常に多いのでありますけれども、大体米国の正規の陸軍の将校を訓練する学校ではないのでありまして、州兵或いはコースト・ガードの幹部を訓練する学校であります。その種類向うの歩兵学校、砲兵学校それから施設学校武器学校、業務学校でございます。
  173. 佐多忠隆

    佐多忠隆君 それが正規の陸軍の学校でないというのは、どういう意味なんですか。
  174. 上村健太郎

    政府委員上村健太郎君) 正規の陸軍将校を訓練する学校ではないのでありまして、コースト・ガードその他を教育する学校であります。その学校のアンシエイト・コースというので……、ちよつと間違いまして申訳ございません。訂正さして頂きますが、派遣先学校は正規の陸軍の学校であります。併しその教程は、派遣先学校の準教程という幹部教程でありまして、準教程と申しますると、正規の教程に対する言葉であつて、州兵・予備兵・コースト・ガード、空軍、海軍等正規の陸軍以外の生徒を教育する教程である、こういうことでございます。
  175. 佐多忠隆

    佐多忠隆君 正規の陸軍以外の人というのは、アメリカ人なんですか、外国人ですか。
  176. 上村健太郎

    政府委員上村健太郎君) この学校の正規の教程のほうは、米国の陸軍の正規軍人が入つております。こちらが入つておりますのは準教程という正規の陸軍軍人以外の幹部を講習する教程でありまして、これには他の国の者も入つておるようであります。
  177. 佐多忠隆

    佐多忠隆君 それから外国の留学生が来ていますね、これは何ですか。日本以外の人たちは。
  178. 上村健太郎

    政府委員上村健太郎君) これは正確には存じませんが、恐らくこの間新聞に出たところを見ますというと、韓国でありますとか、フイリピンでありますとかの軍人であろうと思います。
  179. 佐多忠隆

    佐多忠隆君 どういう訓練をやらしているんですか。
  180. 上村健太郎

    政府委員上村健太郎君) 大体保安隊の編成装備というものが、アメリカ陸軍と訓練方法等が似ておりまするので、米国の陸軍の訓練におきまして、我々が保安隊として学ぶべき点、殊に科学的、能率的方式というものを、米国の陸軍の長所を、保安隊の部隊行動をする上にとり入れて、能率の向上を図ろうと、こういう趣旨でございます。
  181. 佐多忠隆

    佐多忠隆君 そういうものを訓練されて来いという任務で行つておるのですか。どういう任務を与えてやらせているのですか。
  182. 上村健太郎

    政府委員上村健太郎君) 只今申上げました通りのことの訓練を受けて来いという命令を出したのであります。
  183. 佐多忠隆

    佐多忠隆君 国防総省歩兵学校側が説明しているところによると、自由諸国軍隊の標準化、規格化をやるのだ、その訓練をやつているのだ。外国の留学生を入れてそういう自由諸国軍隊の標準化、規格化をやるのだ、その訓練をやつているのだというのが、国防総省、今言つている歩兵学校側の説明と我々は聞いている。更にジヨージア州フオートペニイング歩兵学校の校長のメロイ少将はこういうことを言つている。MSA援助に基いて米国と共同防衛の態勢にある諸国の軍隊と共同作業を行う場合を想定して、兵器の規格化、軍隊の性格の標準化を図ろうとしているのだ。こういうふうに日本の留学生諸君が演習をやつているときに、特別にジャーナリスト諸君を大量によこして、そこで少将は、校長はそういうふうに意見を述べている。これは当局では御存じなんですか。
  184. 上村健太郎

    政府委員上村健太郎君) そういうことは新聞記事で見ましたのでありまするが、私どものほうといたしましては、先ほども申上げました通り米軍の編成装備訓練方法等と我々の保安隊のほうと似ておりまするので、向うの長所を取り入れる。ところが日本の国内におきましては、駐留米軍は野戦軍でございまして、学校を持つておりませんので、特別に向うへ派遣いたしまして、科学的、能率的な方式というようなものについてよく勉強をして来るようにということで派遣をした次第であります。
  185. 佐多忠隆

    佐多忠隆君 そうすると、こちらから授けられた任務と、向うでやつている訓練の目的とは食違つている。これは日本の憲法に反することをやつていると思うので、直ぐにお引上げになる用意があるか。
  186. 上村健太郎

    政府委員上村健太郎君) 私ども米軍顧問団とこの問題について折衝いたしまして、派遣をいたしました際には、勿論そういうこともございませんし、又行つている学校の先の校長さんが、どういうことを言われたか私ども新聞で知つている限りでどうかわかりませんが、私どもといたしましては、飽くまでも先ほど申上げました通りのことでございまして、先方の校長さんがどういうことを言われたにいたしましても、憲法違反の訓練を受けるのだというようなつもりは持つておりません。
  187. 佐多忠隆

    佐多忠隆君 こつちではそういうつもりではなくて、別な任務を持つて行かれたか知らんけれども向うでは明らかにそう言つておるのだから、あなた方のほうで、その少将は、その校長はそう言つておるけれども、そうでない、かくかくの訓練を受けておるのだという具体的な指示がない限り、そういう弁解にはならないと思いますが、これはいずれ他の機会に大臣との間で質疑したいと思います。他の機会に譲ります。
  188. 亀田得治

    亀田得治君 ちよつと一つだけ、海外に対する留学生ですね。保安庁の目的からいいますと、アメリカの警察関係へお送りになるのが正当だ、こう思うのです。アメリカとしては、国内に対する治安はすべて警察が引受けてやつているはずです。それは何か論議になりましたか。
  189. 上村健太郎

    政府委員上村健太郎君) アメリカの警察学校に派遣するというつもりはございません。
  190. 亀田得治

    亀田得治君 どうしてです。
  191. 上村健太郎

    政府委員上村健太郎君) 日本の保安隊の編成なり装備、訓練方式というものが、米国陸軍の訓練の長所を採り入れて、部隊活動、或いは運営をしたほうがいいというふうな観点から、米国の軍の学校に派遣いたしたわけであります。
  192. 亀田得治

    亀田得治君 目的から言つたらちよつと変じやないですか。アメリカの警察というものは相当大規模なデモに対してでも対処するだけのちやんと準備を整えておる。アメリカ軍隊というものは、これは明らかに対外戦争を目的としたものです。はつきりとアメリカの法律はそうなつておる。我々はこの法律の建前から行けば、やはり目的の似かよつたところへ持つて行くのが当り前です。そういう立場から矛盾しませんか。
  193. 上村健太郎

    政府委員上村健太郎君) 先ほど申上げましたその学校の準教程と申しまする州兵、コースト・ガード等を教育する課程は、米国の州兵は警察の力を以て足りないときに出動するような任務を持つている部隊でありまして、向う学校におきましても、例えば集団暴徒の鎮圧でございますとか、そういうような訓練をやつているのであります。
  194. 亀田得治

    亀田得治君 それは併し極めて例外的な場合でしよう、アメリカの警察自体としてはデモに対する準備はちやんと整えております。そちらの研究は勿論それは軍隊のほうでもやれることはやれます。やれるが、一方ではちやんと準備ができておれば、やはりその方法を見習うのが正道でしよう。主たる目的がほかにあるようなものに初めから真似に行くというのは、これは本当に警察の補充だというものであれば、ちよつと変じやないですか、それをお聞きしている。
  195. 上村健太郎

    政府委員上村健太郎君) 場米国の警察学校がどういうものだか知りませんが、恐らく日本の警察学校と同様であろうと思います。日本の警察学校におきましては集団暴徒に対する鎮圧というものも一部にございます。併しながら大部分は犯罪を捜査し、又交通風紀その他の課程を教育しているのでありまして、日本の警察学校アメリカの警察学校とは大体は同じだろうと思います。従いまして保安隊といたしましては、そういうような警察学校に派遣いたしましても、私ども保安隊運営については利するところは少いのではないかと思います。
  196. 佐多忠隆

    佐多忠隆君 もう時間がありませんから、ただお願いをしておきますが、これは大蔵省にお願いをしたいのですが、MSAの援助に関連して非常に問題になつている日本の自衛力を、日本の政治的及び経済的安定と両立する限度においては、経済的にどのくらいの負担であると算定されておりますか。それは或いは自国の実力、資源一施設及び一般経済状態が許す限度のものでということは、どれくらいのお見込になつておりますか、それをこの次の機会に御説明願いたい。
  197. 正示啓次郎

    政府委員(正示啓次郎君) 最後に大変難問題を出されたのでございますが、先ほど来MSA論議で、佐多委員からも非常にいろいろ御質問がございまして、保安庁当局からお答えをいたしたのですが、実は私どもももとよりこれはいろいろの場合を予想して研究をいたすべきだと思うのでありますが、まだ何しろ具体的な事務の作業の段階になつておりません。この次にとおつしやられましても、ちよつと間に合いかねるかと思います。いずれは出さなければならんものと思いますが、この次の機会ということにはお約束いたしかねますので、この点だけお断りいたします。
  198. 西郷吉之助

    ○理事(西郷吉之助君) それでは本日はこれにて散会いたします。    午後四時五十分散会