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政府委員(武岡憲一君) さきに提出いたしました
資料に基きまして、
昭和二十八年度の地方財政計画の概要を御
説明申上げたいと存じます。
昭和二十八年度の地方財政計画によりますと、この年度における地方財政の運営の全体の規模は八千四百七十七億二千三百万円と相成る見込みでございます。この算定の
基礎につきまして以下御
説明申上げます。
先ず歳出でございますが、歳出につきましては、第一に百既定財政規模といたしまして七千四百三億二百万円と策定をいたしております。この既定財政規模は
昭和二十七年度の最終地方財政計画における規模でございまして、即ち
昭和二十五年度の決算額を基にいたしまして、これに対する
昭和二十六年度及び
昭和二十七年度の新規の財政需要額をそれぞれ加えまして
推計をいたしたものでございます。この
昭和二十七年度末における七千四百三億二百万という規模に対しまして、
昭和二十八年度中に殖えて参りまする新規の財政需要額は千三十九億三千八百万円と相成る見込みでございます。その算定の
基礎につきましては、
資料を提出してございまするので、これによります内容を御
説明申上げますが、先ず第一は
給与の
改訂に伴つて殖えて参りまする
給与関係の経費でございます。これは昨年の十一月に実施されましたいわゆる
給与改訂の平年度化に伴いまして増加して来る経費でございまして、その算定の
基礎は、
資料の四ページにございますが、基本的
給与におきまして二百五十八億百万円、そのほか期末手当、勤勉手当、或いは共済組合費、恩給費といつたような
給与に伴いまする関係諸経費が約七十四億一千万円殖えて参るのでございます。この算定は
昭和二十七年度の財政規模の策定に用いました
給与単価に、昨年行われました
給与改訂に伴いまする
改訂率並びに
昇給率及び
勤務地手当の
改訂に伴いまして殖えて参りますところの率、これらを見込みまして、新たな
給与単価を
予定をいたしまして、その単価に
人員をかけて、二十八年度の全体の
給与見込額を算出いたしました。これから二十七年度中に見込んでおりまする既定のものを差引きまして、二十八年度の新規財政需要額を算定する、かような
方法によつておるのでございます。なお同様な考え方によりまして、それぞれ各種の手当その他の諸
給与費を算定いたしたのでございまして、その総額が二十八年度におきまして三日三十二億一千百万円増加して参るのでございます。
その次に行政整理に伴う不用額といたしまして十八億四千九百万円を控除いたしておりますが、これは
昭和二十七年度の財政計画の算定に当りまして、
一般職員について五%の行政整理を見込んだのでございますが、その際に行政整理が一時に行われがたい
事情に鑑みまして、年度内四カ月分だけの経費を人件費並びに物件費について計上いたしてお
つたのでございますが、その分が不用になりまするので、二十八年度からはこれを削除いたすのでございます。これが十八億四千九百万円ございます。
その次は教育
委員会の設置に要する経費増でございますが、これは
資料の六ページにございますように、大体算定の考え方といたしましては
昭和二十七年度の修正財政計画におきまして計上いたしましたのとほぼ同じ考えでございまして、ただ去年と異つておりまするのは、都市の教育
委員会事務局に職員を更に一名追加いたしまして、指導主事一名、事務職員一名という配置を見込んでいるのであります。その他は大体前年度と同様でございまして、これに所定の
給与改訂等を見込んで計上いたしました。これによりますると、
昭和二十八年度の教育
委員会設置に要します経費は総額で二十四億九千七百万円と相成るのでございますが、そのうち
昭和二十七年度にすでに計上してございます十億八千四百万円を控除いたしまして、
昭和二十八年度には十四億千三百万円が殖えて来る、かような算定をいたしているのでございます。
その次は自治体警察の廃止に伴いまして二億三千三百万円が不用と
なつて参るのでございます。これは昨年の六月一日以降自治体警察を廃止いたしましたのに伴います分は
昭和二十七年度において二カ月分の財政需要額を見ておりましたので、この分を差引きますのと、更に今年の四月一日以降廃止になる分がございますので、その総額を既定の分から差引きいたしたのでございます。合せまして、二億三千三百万円と算定いたしております。
次は人口等の増加に伴う経費の増といたしまして四十二億九千四百万円見込んでおりますが、これは平衡交付金の算定の
基礎に用います基準財政需要額の算定につきまして、各行政項目の測定単位ごとにその数値を基にして
計算をいたしますが、その数値の中で人口でありますとか、或いは児童数、生徒数というものが自然に増加して参りますので、この分の増加を見込んでおるのでございまして、まあ普通行政費の自然増の額というわけであります。この
計算は
昭和二十八年度までの
推計人目を基にいたしましてそれが二十七年度から幾ら殖えるかという数値を出し、これに平衡交付金の算定に用いておりまする補正係数をかけまして、出て参りました数値に単位費用をかけて需要額を
推計する、かような
方法でございまして、その内容は
資料の八ページに明細に書いてございます。
その次は恩給費の増でございますが、そのうち
一つは昨年制定せられました恩給の特別措置に関する
法律が本年度から施行に相成りまして、これに伴いまする新規の地方負担額が約十億七千四百万円出て参るのでございます。そのほか
給与関係の経費といたしましては、
給与改訂に伴いまして五億九千七百万円、合せまして恩給費としては十六億七千百万円本年度において新規に増加いたす見込でございます。
その次は公債費の増でございますが、
資料の十ページにございますように、
昭和二十二年度以来二十八年度までの借入済みの額並びに借入見込額を合計いたしまして、これに対する
昭和二十八年度の償還元金並びに支払の利子見込額を
計算をいたしておるのでございますが、これによりますと、
昭和二十八年度の償還元金は百四億三千三百万円、支払利子が百四十六億六千百万円、合せまして二百五十億九千四百万円の元利償還金がある見込でございます。でこの関係につきましては、前年度すでに百七十一億千二百万円というものが既定財政規模の中に計上されておりますので、差引二十八年度の自然増といたしましては七十九億八千二百万円、これだけを見込んでおる次第でございます。
その次は国の行政施策に伴う増でございますが、そのうち全額を地方経費で負担いたしております分につきまして、法令の改廃等に伴いまして負担の増減するものを
計算いたしております前年度よりもこの関係では十億八千三百万円減少いたすのでございます。これはその内容は
資料の十一ページにございますように、各種の
経済統制に関しまする業務の廃止に伴いまして経費か不用に
なつて参ります。それかから殊に大きなものといたしましては、前年度行われました教育
委員会の選挙に関しまする経費約十三億円ほどが本年度は不用に
なつて参る。そのほか半面増加に
なつて来る経費もございますが、差引きいたしますと、大体十億八千三百万円が前年度よりも負担減に
なつて参るのでございます。それからその次は、国の補助負担金の増額に伴いまして地方の経費の増加して来る分でございますが、これは
一つは児童保護費の関係でございます。児童保護費は御承知のように前年度までは全額地方負担で実施しておりましたが、本年度から八割の国庫負担
制度が実施されることになりましてしこれに伴う増減を
計算いたしますと、二十八年度は十七億三千六百万円、この関係で殖えて参るのでございます。その他の各種の普通補助金につきましては、地方経費の増が三十七億五千二百万円ございます。その算定の
基礎は
資料の十二ページにございますように、国の補助金におきましては、二十八年度は前年度より若干減つて参るのでございますけれども、地方負担分が殖えております。これはまあ総体的に見まして補助率が若干引下つて参るという関係からであります。この関係で結局国の行政施策に伴いまして、地方負担の増減を
計算いたしますると、全体で四十四億五百方円増加と、かような
計算が出て参つておるのでございます。
その次は臨時事業費の増でございますが、そのうち一般公共事業費におきましては、地方経費の増が三百七十八億九千四百万円、災害事業費におきましては三十四億二千五百万円の減と
なつております。これは一般公共事業費におきましては国の補助金が増加して参つておりますので、それに伴つて殖えておりますが、災害復旧費につきましても国の補助金は殖えておるのでございますが、これは昨年御承知のように
法律改正によりまして、土木災害復旧事業並びに農林災害復旧事業におきまして、それぞれ国の補助率が高められておりますので、総体の事業費といたしましては、地方の負担が減少して参るという
計算に相成つておるのでございます。この関係で公共事業費といたしましては、差引三百四十四億六千九百万円の増と
なつておるのでございます。
その次は失業対策事業費でございますが、これも国の補助金の増、殊に本年度におきましては労務費、事務費及び資材費、いずれも補助金額が
引上げられております。それに伴いまして、地方の経費も総体で十九億七千八百万円増加と相成る見込みでございます。
次は単独事業費でございますが、単独事業費の増加の見込みの
計算は、大体国の公共事業が伸びる
程度とほぼ同じ
程度で地方の単独事業も伸びて来るというような
計算方法を従来からとつて参つております。これによりますと、
昭和二十八年度におきましては、国の公共事業費が前年度よりも二創四分八厘殖えておりますので、単独事業費におきましても二十七年度の既定財政規模の中に見込んでおりした単独事業費五百十三億に同率をかけまして
推計をいたしまして、更にこのほか歳入のほうで申上げますが、雑収入の増加を二十八年度において若干見込んでおりますので、その分は財政計画上は地方の単独事業費がそれだけ殖えて来るものである、かような前提の下にこの分を更に差し加えたのでございます。
更にいま
一つ義務教育の施設、いわゆる老朽、危険校舎を復旧いたしまする事業の極めて緊急であるのに鑑みまして、特にこの分といたしまして、国の
政府資金の
状況等とも睨み合せまして十五億を差し加えたのでございます。これによりまして
昭和二十八年度には前年度よりも単独事業費が六百七十八億九千七百万円増加という計画を立てたのでございます。
以上が大体
昭和二十八年度において新規に殖て参ります財政需要額でございまして、総計が先ほど申上げました千三十九億三千八万円と相成るわけでございます。
次に富裕団体における超過財源等の増加額、これは本年度三十四億八千三百万円前年より殖えて参りますが、これは御承知の
通り本年度におきまして
義務教育費の半額国庫負担
制度が実施されますのと、又先ほども
ちよつと申上げましたように、児童保護費につきましても同様国庫負担
制度が実施されることになりましたので、さような関係からこのいわゆる超過財源というものが殖えて参るわけでございます、以上が大体歳出の増加の見込額でございまして、これを
集計いたしますと
昭和二十八年度の歳出の総見込額が八千四百七十七億二千三百万円、かように算出せられるのでございます。
次に歳入について申上げます。歳入のうち先ず第一に地方税でございますが、地方税は
昭和二十八年度の見込額といたしましては三千四十七億四千七百万円を掲げてございます。これは前年度に比べますと、百十二億八千七百万円の増収の見込でございます。その各税目別の増減の見込額は
資料の十五ページに明細を示してございますが、要点だけ申上げますと、前年度に比べまして地方税全体として殖えて参りますのは百二十億八千七百万円でございますが、そのうち道府県税の関係におきましては前年度よりも二十六億七千九百万円が減少になる見込であり、市
町村税分におきましては百四十億五千七百万円の増収の見込でございます。道府県の普通税におきましては、道府県関係におきましては大体減つて参りますのが、事業税において十六億四百万円、入場税におきまして二十億八千五百万円、遊興飲食税におきまして約二億円というように、まあ主な税目についてそれぞれ減収が見込まれておるのでございます。それから市
町村税のほうにおきましては、市
町村民税におきまして六十一億七千九百万円、固定資産税におきまして八十三億八千六百万円、電気ガス税におきまして十一億千八百万円、いずれも増収の見込でございまして、最終的には先ほど申上げましたような増減の関係に相成る見込でございます。なお本
国会に地方、税法の一部
改正法律案を提出いたしまして別途御
審議を願うことに相成つておるのでございます。それから次は地方財政平衡交付金でございますが、これは
昭和二十八年度千二百五十億円が
予算に計上いたされておるのでございまして、これを前年度の千四百五十億円に比べますと一応二百億円の減と相成りますが、これは御承知の
通り前年度におきましては
義務教育に要しますところの経費の全額地方が負担してお
つたのでございますが一本年度からはこの関係の経費は半額国庫負担となりまして、別途国庫支出金のほうに計上いたされておりますので、平衡交付金だけの関係で申しますと二百億の減ということに相成りますが、これに
義務教育の国庫負担金五百四十億円を加えてみますると前年度よりも三百四十億円ほど増加に
なつて来る、かような
計算に相成るのでございます。
その次の国庫支出金、これはいずれも今回提案いたしておりまする
予算に計上せられているものをそのまま計上しているのでございます。総額におきましては二千三百五十五億七千百万円でございまして、前年度分よりも七百八十三億九千五百万円の増に
なつております。次は地方債でございますが、
昭和二十八年度の地方債の計画につきましては
資料の三ページのほうを御覧頂きたいと思いますが、普通会計におきまして九百二十八億、企業会計におきまして二百三十五億、合わせまして千百六十三億の発行
予定をいたしております。このうち
政府資金引受けのものは普通会計におきまして七百二十億円、企業会計におきまして百六十五億円、合計八百八十五億でございまして、前年度よりも百六十五億殖える見込でございます。
次に公募公債市場の一般資金に求めまするものは二十八年度は
一般会計が百十億円、企業会計が七十億円、合せて百八十億でございまして、前年度の計画に比べますと百億の増加発行を
予定いたしているのでございます。そのほか本年度におきましては
一般会計におきまして九十八億円の交付公債を
予定いたしております。これは国の直轄事業に伴いまする地方団体の国に対する分担金の納付に関しまして、今日の地方財政の
状態にも鑑みまして、今年度からはこれを公債という形で国庫に納付せしめたいということで、別途法案を提案いたして御
審議をお願いいたしておるのでございますが、この分といたしまして本年度九十八億を
予定いたしておるのでございます。以上が二十八年度の地方債計画の概要でございます。
最後の雑収入でございますが、雑収入は
昭和二十八年度は見込額八百九十六億五百万円でございまして、前年度よりも七十四億三千九百万円の増を見込んでおります。そのうち使用料手新料の関係は前年度よりも五十二億三千五百万円の増でございまして、これは例えば水利使用料でございますとか或いはその他の使用料、手数料につきまして、従来からの実績或いは本年度の財政計画等を勘案いたしまして、大体平均いたしまして二割前後の増収を
予定いたしているのでございます。その内容は
資料の十六ページにございますが、それによりまして本年度二百九十七億千八百万円の収入を期待いたしているのでございます。それから雑収入は、本年度五百九十八億八千七百万円で、前年度よりも二十二億四百万円。大体四%
程度の増でございますが、これは二十六年度の実績をもとにいたしまして二十八年度の収入見込額を計上いたしたものでございます。以上によりまして歳入の見込額は総計八千四百七十七億二千三百万円、かようなことに相成る次第でございます。
以上概略でございますが、内容を御
説明いたしました。