○堀木鎌三君 大体
吉田総理が長期の計画
経済は書生論であり、そうして従来の御言説からみるとお嫌いだと推測される御言動があり、御行動があ
つたことは事実でありますが、今御
説明によ
つてともかくもそういう見通しと企画性を持
つた総合的、有機的なものを立てる必要性は認められておるようであります。ということならば、私はこの際が一番いいことでなかろうかと思う。御
承知の
通りに財界におきましても、
経済界におきましても、この指針なくしては
日本経済は立たないというふうにな
つておるのでありますから、併し
総理大臣であります以上、是非ともこの
方向について今回の
内閣はできるだけの御努力をして頂きたということを併せて
希望いたします。
次に
総理は貿易振興を説いておられます。問題は如何にして貿易を振興するか。やはり誰でも貿易振興を説かないものはない。確かに
総理の言われるように、
世界経済の後退期に際しまして、各国とも関税の障壁を高くするとか、或いは輸入の制限をするとかというふうな問題が
日本の貿易の進捗に非常に支障に
なつたことは確かであります。又各国自身がすでにその点について反省期に入
つた。結局とういうブロック
経済では
世界の幸福はもたらされないという反省期に私は入
つておると思うのですが、この際にこれらについては通商外交によ
つて打開をされるということが特に大切だと思いますが、と同時に
日本自身に内在しておる原因を除去しなければなりません。これらについて細かく言いますと与えられた時間が少いのでありまするから、極く簡単に、一つの点についてどうお
考えになるかということを申上げておきます。
日本の国には一方においては三百六十円の為替を堅持しよう、そうして通貨の健全性を維持しよう、これは嚴たる一つの
方向であります。然るに
吉田総理は過去の
内閣におきまして物価はそのままになされたのであります。
言葉は又尻尾をつかまえられるかも知れませんが、少し誇張して言えば、野放しの物価
政策であ
つた。これは池田君の大蔵大臣の時分から私がたびたび申上げたことなんでありますが、御
承知の
通りに英米においても
朝鮮事変以来は物価はテン・パーセント内外より上
つておりません。然るに
日本は五〇%以上上
つておる。又為替レートを設定しましたときからみれば、
日本の物価は七〇%高にな
つておる。そうすると一方におきまして三百六十円の為替レートを設定されており、一方において物価を野放しにしていますと、これはどうしてもいわゆる為替レートを堅持すべきか、
日本の物価を下げるか、或いは為替レートを変更するというふうな問題に入
つて参るわけでありますが、これに対しまして
総理大臣は貿易振興の中で
日本の内在的の原因である物価高というものをどういうふうな
方向へお持ちになろうにお思いになりますか、この点についての御所見を……。