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1953-07-22 第16回国会 参議院 郵政委員会 第6号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和二十八年七月二十二日(水曜日)    午後一時三十九分開会   —————————————   委員の異動 七月十七日委員中川幸平辞任につ き、その補欠として松野鶴平君を議長 において指名した。 七月二十二日委員松野鶴平辞任につ き、その補欠として中川幸平君を議長 において指名した。   —————————————  出席者は左の通り。    委員長    池田宇右衞門君    理事            柏木 庫治君    委員            中川 幸平君            深水 六郎君            村上 義一君            三木 治朗君            最上 英子君   国務大臣    郵 政 大 臣 塚田十一郎君   政府委員    郵政省郵務局長 松井 一郎君   事務局側    常任委員会専門    員       勝矢 和三君   —————————————   本日の会議に付した事件 ○郵便物運送委託法の一部を改正する  法律案内閣提出衆議院送付)   —————————————
  2. 池田宇右衞門

    委員長池田宇右衞門君) 只今より郵政委員会を開会いたします。  本日は郵便物運送委託法の一部を改正する法律案について御審議をお願いいたしたいと思いますが、本法律案は、この二十一日衆議院において修正の上、更に附帯決議を付して議決されたものであります。衆議院修正案附帯決議はお手許に配付いたしておきましたが、念のため朗読いたしたいと思います。専門員をして朗読をいたすことにいたします。
  3. 勝矢和三

    専門員勝矢和三君) 朗読いたします。  郵便物運送委託法の一部を改正する法律案の一部の次のように修正する。  第四條第一項第四号の改正規定中「第八條第一項に掲げる者の運営する運送施設を利用するとき、又は同項に掲げる者以外の」を削る。    附帯決議  一、これによつて事業施設改善技術向上及び能率増進を期すること。  二、郵便業務国家専掌とする本旨にかんがみ、委託業務は漸次出来得る限り縮小すること。就中通常郵便物の取集、配達等請負とすることは、特例の場合を除き避くきこと。  三、委託業者監督を厳にし、苟も誠実を欠く行為があれば直ちに解約すること。  四、委託契約更新に当つては、少数業者私的独占の弊に陥らないよう留意すること。  五、不当の利潤を抑制するため、委託料金の公正を期すること。
  4. 中川幸平

    中川幸平君 一、二お尋ねいたしたいのであります。  この郵便物運送委託業者は、先ず郵政省委託運送でありますから、非常に堅実な仕事であります。現に相当隆盛に営業を継続いたしておる状態で、一般運送業者は最初の長年の非常に苦労をして来たことも考えないで、かようなところへ割込みたいというようにいろいろ窺われるのであります。契約更新の際にまじめにその業務を行いたいというよりも、その入札とか或いはそれらの際に何か利潤を持たうというような気持で今日までいろいろとそこに策動して来たという事実も聞いておるので、これらの点から考えられてこの改正案を出されたことと存ずるのであります。さてこの改正を実施した際ですね、現在の業者がこれで永久的に独占できたというような気持になりはせんかという心配もあるのでありまして、それらの点について当局の御意見を承わりたいと思うのであります。
  5. 松井一郎

    政府委員松井一郎君) 私どものこの改正案を提出いたしました大きな理由は、大臣提案理由の説明に申上げられましたように、ともかく誠心誠意つておるというその気持というものをできるだけ尊重して、事業の円滑な運営を図つて参りたいということに尽きるのであります。従つてこの改正ができたからと申しましても、ひとたび受命者となれば、どんなことをやつてつてもいつまでもやれるというような、そこまでの保証はこの改正案も決して期待しているわけじやございません。我々は委託業者がどういうふうにやつているかということを監察官の手により、或いは現地の郵便局長報告によつて目々の業務をよく見まして、これは大丈夫であるというもののみに対してその期間更新ということをやりまして、その際にいかがわしいようなものについてまでも期間更新をやろうというようなことまでは、さらさら考えておりません。これによつて本当にむしろ励みが出て来るというふうに運営して参りたいと思つております。
  6. 中川幸平

    中川幸平君 衆議院附帯決議を今御紹介がありましたが、非常に適切な附帯決議と存じまするが、この改正によりまして、受命業者郵政当局と長い期間に亘つて特別の関係になる、まあ特別の親密の関係になることはよろしいが、非常に監督もしにくいというようなことになりはせんかという心配をされる人もあるようでありまするが、それらの点について当局の御意見を承わりたいと存じます。
  7. 松井一郎

    政府委員松井一郎君) この監督は何よりも毎日々々の日常業務が行われておるかどうかということを日常見なければならんという意味におきまして、確かにただ書面とか、そういうものだけでは監督し尽し得ないという部面がある意味において、只今中川委員から御指摘のような懸念も一応持たれるのでありますが、幸いに私ども郵政省には司法警察権を持つた六百名の特別監察官もおります。こういう人たち大臣の命令によりまして本当にうまく組織的に使つて行くならば、この監督については私はそう懸念することもないのじやないか、まあ只今はかように考えておる次第でございます。
  8. 三木治朗

    三木治朗君 只今この衆議院修正及び附帯決議は一応尤もだと思うところもあるのですが、この委託されている会社ですね、数はどのくらいあるのですか。
  9. 松井一郎

    政府委員松井一郎君) 全部でございますか。
  10. 三木治朗

    三木治朗君 ええ、全国で……。
  11. 松井一郎

    政府委員松井一郎君) 私どものほうでいわゆる専用自動車という形のものだけで六十五社ございます。そのほかに、バス会社とか、私鉄とか、船会社とかいうものはもつとずつと数はたくさんございます。
  12. 三木治朗

    三木治朗君 一地方に同じ仕事請負つていると言いますか、委託されている会社は一会社ですか。二つも三つもあるのですか。業務の同じような……。
  13. 松井一郎

    政府委員松井一郎君) 私どもの従来のやり方を申上げますと、郵便局を中心にいたしまして、或る逓送線路というものがあります。この或る一定逓送線路単位にとりまして、そうして奏おの入札に付して来たわけでございます。その一つの区間に関する限りは一社しかないわけでございます。併しこれは地区々々によつてたくさん区切つてございますから、その同一地方とおつしやる言葉が、例えば同一府県とかなんとかいう言葉でございますれば、それは数社ございますが、同じ所で競争をやつているという事例はございません。
  14. 三木治朗

    三木治朗君 仮に一府県ならば一府県の中で、同じ神奈川の中で小田原と平塚というように両方に会社があつたとして、一方が悪かつた場合に片方の小田原なら小田原に一括してしまうというような措置がとれるのですか、どうですか。
  15. 松井一郎

    政府委員松井一郎君) どの程度の規模を一つ単位としてこれを請負契約にするかということは、自動車の配車の経済性と申しまするか、只今余り小さくこれを切りましても、自動車相互融通というものが効きませんので、まあそれが或る一定のつながつたラインにおける合理的な会社というものがで貸る限界をまあ見ております。従つてそこにおいて或る一社の業務というものを見ておりまして、これはとても行かないといつた場合には、もうその契約は破棄いたしまして、又本則に戻つた競争入札を他の業者との間においてやるということでございます。
  16. 三木治朗

    三木治朗君 そういう建前に立つと、一社区分的には独占という形になつているし、悪かつたときに取替えるという場合に、これが特殊の車両を持ち、馴れた従業員を持つているものですから、直ちに他の入札に附して、他の会社がやつても直ちにやれるものですか、どうですか。
  17. 松井一郎

    政府委員松井一郎君) 勿論私どもこれは長年の技術があつて従業員の末にまで至つて立派な訓練を積んだところが望ましいのでございますが、併しどうしても悪い場合にはこれは車自身最小限度の問題として、一般トラックには或る程度の装置をすれば別に運ぶこと自身特別支障がないわけでございますから、そういう場合に代替者を得ることが非常に困難だとも思いません。必ずそういう地方にはやはりまじめな業者のほうでやつて見ようという業者のかたが出て来るのじやないかと期待しておりますが、従来事典といたしましては、非常に営業成績が不良で、そういうことをやめてもらつたという例は極く僅かしかありません。その際にはその地区における他の業者のまじめなかたにあとを引受けて頂いて、円満にやつているようでございます。
  18. 三木治朗

    三木治朗君 普通の運送はまだいいと思いますが、いわゆる郵便物の取集め、配達、これは今どのくらいの範囲に行われておりますか。
  19. 松井一郎

    政府委員松井一郎君) 小包郵便物については全国に相当多数これはやつております。これはずつと戦争前からもやつておりますが、通常郵便物につきましては、全国的に見ましてもこれは大取集区と申しますか、特に自動車を以て取集しなければならんような地区にしかそういうことは起きておりませんので、大体現在のところ三十局くらいだろうと思います。
  20. 池田宇右衞門

    委員長池田宇右衞門君) 他に何かございませんか。
  21. 中川幸平

    中川幸平君 この程度質疑打切つて、直ちに討論採決に入ることの動議を提出しますから、お諮り願います。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  22. 池田宇右衞門

    委員長池田宇右衞門君) 只今中川委員から質疑打切動議が出ましたが、御異議ございませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  23. 池田宇右衞門

    委員長池田宇右衞門君) 御異議ないものと認めます。  それではこれより討論に入ります。討論のおありのかたは賛否を明らかにしてお述べ下さらんことをお願いいたします。
  24. 中川幸平

    中川幸平君 私はこの法律案賛成の意を表明いたしたいと存じます。  郵便物運送委託について行政管理庁の監察部監察の対象として全国一斉に昨年やつたことを覚えているのでありますが、それは馴れ合いの入札をしたのじやなかろうか、又日常運送業務契約と甚だしく違つたやり方をしておりはせんかということで大々的な監察をいたしたのであります。多少そこに一、二の小さい事柄がありましたけれども、大体において大した事実もなかつたのであります。又党におきましても、運送委託更新問題についていろいろ検討されて、いたずらに競争入札ということも果していいことかどうかというような議論もいたしておつたことがあるのであります。かような点から考えられて、私は次の希望意見を述べます。  一、これによつて事業施設改善技術向上及び能率増進を期すること。  二、郵便業務国家専掌とする本旨にかんがみ、委託業務は漸次出来得る限り縮少すること。就中通常郵便物の取集、配達等請負とすることは、特例の場合を除き避くべきこと。  三、受託業者監督を厳にし、荷も誠実を欠く行為があれば直ちに解約すること。  四、委託契約更新に当つては、少数業者私的独占の弊に陥らないよう留意すること。  五、不当の利潤を抑制するため、委託料金の公正を期すること。   以上を以つて法律案賛成をいたしたいと思う次第であります。
  25. 三木治朗

    三木治朗君 私はこの郵便事業能率化し、機械化して行くことは必要なことだとは考えます。それは当然なことであるのでありますが、今お伺いしてみますと、随分の数の委託会社があるわけであつて事業を運営する上において、この法律があるためにだんだん拡大して行く憂いが多分にある。而もこの取集め、配達等に至るまでも請負わせるということは、郵政事業本来の目的に反するのじやないかと思うのです。省自体が機械化し、能率化するということは当然でありますが、最も安易な委託によつてつて行くということは真に郵政事業の発達をもたらすものじやない。又その委託会社がいわゆる営利会社であつて一つの悪く言えば利権とも見られる節がありまするし、又その利権のあるところにはいろいろと悪い好ましからざる問題の起きる憂いもある。それがだんだん殖えて行く傾向にあるということは、これは綱紀粛正の上から言つても慣しまなければならんのじややないかと思います。そういう意味において残念ながら反対いたします。
  26. 柏木庫治

    柏木庫治君 私はこの改正案賛成をいたすものであります。衆議院修正は案の生命に少しも傷つきませんので修正通りで結構と思います。附帯決議でありますが、こういう附帯決議に若し異議があるとするならば、第二の「郵便業務国家専掌とする本旨にかんがみ、委託業務は漸次出来得る限り縮小すること。就中」ここからでありますが、「通常郵便物の取集、配達等請負とすることは特例の場合を除き避くべきこと。」ここだけに異議を見出すのでありまして、あと決議はもうすでに現に行われていることなんです。その行われていることを更にもう一度述べたという程度でありまして、私の賛成する意味は、この附帯決議通りにすでに行われておるという前提の下に、私は賛成をいたすのであります。  それからもう一つは、この改正は精神の美しい、良識のある者同士の実行であるところに非常に意義があるのでありまして、万一業者なり、或いはさせるほうで少しでも不純なものがありますならば、これはこの改正を根本的に傷つけ、覆えすものであります。でありますから、独占的になりやすい仕事は、郵政省当局が最も人を選び、そうして美しい気持を以て遂行されたい、又遂行されておると信ずるが故に、この改正を危な気なく私は賛成をいたすのであります。この賛成をする奥には、不純なものがこれからもう起らないという前提の下でありますから、どうぞ当局は、私ども委員当局良識とその心持を最も固くごごで信じておるということを御承知頂いて、行政に携わられたい。そうして私は賛成いたします。
  27. 最上英子

    最上英子君 私は只今審議郵便物運送委託法の一部を改正する法律案に落する修正案に対し、改進党を代表し、衆議院においで修正通り賛成いたします。  附帯決議に対し、契約実施に当り、不正等の行わるることなきよう決議したものでありますから、その趣旨に副うて実行せられるよう要望して、賛成の意を表します。
  28. 池田宇右衞門

    委員長池田宇右衞門君) 他に御発言もないようですから、討論は終局したものと認めて御異議ございませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  29. 池田宇右衞門

    委員長池田宇右衞門君) それではこれより採決に入ります。  郵便物運送委託法の一部を改正する法律案を、衆議院送付通り可決することに賛成のかたの起立を求めます。    〔賛成者起立
  30. 池田宇右衞門

    委員長池田宇右衞門君) 多数と認めます。よつて本案衆議院送付通り可決すべきものと決定いたしました。  なお、本会議における委員長口頭報告等、後の手続は例によりまして、委員長に御一任願います。  それから本案を可とされたかたは順次御署名を願います。   多数意見者署名    柏木 庫治  中川 幸甲    深水 六郎  村上 義一    最上 英子
  31. 池田宇右衞門

    委員長池田宇右衞門君) 本日はこれにて散会いたします。    午後二時六分散会