○
岡三郎君
只今議題とな
つておりまする略称三本建の
給与法案に対しまして、
只今から私は
反対の
討論をいたすものであります。
反対の
討論の
要旨といたしまして、この
法案が特に謳
つているところの
職域差を設けることが果していいのか悪いのか、これが
教育を振興させる真の方途となり得るかどうか、この問題と、第二項は
義務制と
高等学校の
最高号俸に、教諭においては二
号俸、
校長においては三
号俸の差を設けているのであるが、果して個々の有能な
教員にこれを当てはめたときには、機械的に過ぎるのではないか、真にこれが現場の
職員に納得され得るかどうかという、この問題の二点が、
内容として重要だと
考えるのであります。更に、この
法案の当然の
裏付けとしての
財政措置が一体妥当になされているのかどうか、真にこの
法案が活かされて行くのかどうかという点について申上げまして、更にこの
法案の
提出に重要な
関連のある
人事院の
給与ベースの
改訂と
給与準則との
関連において、この
法案がこの
会期末に
提出されたということが、
議員立法として、良心的で、妥当な、公正なものであるかどうかという点についての
検討を加えたいと思うのであります。(
拍手)
最後に、そのような
検討の結果、この
法案が真に
教職員の利益を
考えて
提出された
法案であるのか、或いは
教職員の相互間に
混乱と疑惑と反目を助長して、
日本の
教育を
混乱させ、いわゆる
教職員団体の軋轢を
目的としたものであるかどうか、こういう点について分析を加えて、私はこの
反対討論に代えたいと思うのであります。
先ず第一点の、
職域差をこの
法案のご
とくに明確に設けることは妥当であるかどうかという点でありまするが、この点については、中正なる
意見を吐くところの
人事院さえもが、さえもという
言葉は、最近、
人事院は
政府に引つ張られて、我々は公正を欠いておるのではないかという見解を持
つているので、この
言葉を
使つたのでありまするが、その
人事院さえもが、二年
有余かか
つて、
各種給与法規及び
教育基本法その他
教育職員免許法或いは
教育公務員特例法等を参照し、専門的に加えた
検討の結果としても、さすがに、
職域差を明確にして、
高等学校にのみ一号かぶせるという、
義務制を馬鹿にした、
教育を阿呆にした、
新制教育、今の学制を根本的にゆるがすような、このようなことは、公平であるべき
給与政策としてはできないという
観点で、私はあのような
勧告が出されたということを思うのであります。そのような二年有半に亘るところの
検討の結果のその結論を「あえて早々の間に出して来た、その
理由として、
提案者は、
高等学校は、
高等普通教育のほか、
只今委員長が
報告せられましたように、「域る種の幾らか専門的な
教育を施し」
伝云と称して、そこに、よりどころを求めておるのであります。ところが、この
専門的教育云々ということは、
学校教育法の
高等学校の部の
目的の条項にある字句でありまして、これは、我々が専門的に
検討した結果、この専門的というのは、
工業高等学校とか
商業高等学校とか或いは
商船高等学校とかいうふうに、
高等学校の中のテクニカルな
学校のいわゆる
教育を指すのであ
つて、一般普通の
高等学校を指すものではないという点を追及したのであります。最終的に、いろいろと申しておりましたけれども、さすがに
赤城宗徳氏も、
質問者の通りであるということで兜を脱いだのであります。このことが分明にな
つて来た以上、
提案者が当初誤解をしていたこの事柄がはつきりした以上、
職域差を設けるということは誠にあいまいにな
つて来ているのであります。そういう意味において、冒険的に
職域差をあえてここに強行するという
意図が奈辺にあるか、公正なる見地からこれを付度するならばわからないのであります。(
拍手)そのわからないものを、無理に、ここに幾らかの専門的なものがあるという
言葉によ
つて、明確に
義務教育を馬鹿にし劣等視するが、ごとき
給与体系を作ることについて、第一に私は明確に
反対しなくてはならないと存ずるのであります。(
拍手)
次に
最高号俸の点でありますが、どんなに優秀な
中学校の
校長でも、田舎の片隅の
高等学校という名前の付く
校長には三
号俸低くならなければならないという、これが
俸給表なんです。これは現在の
免許法を
云々いたしておりますが、
免許法を言うならば、現在の
新制大学を出た者は
小学校に
行つたならば
仮免許状なのであります。正式な
免許状は得られないのであります。
高等学校において二級、
中学校において一級というふうな対比の仕方をしてごまかして、
新制大学卒業生が
小学校に
行つた場合は
正規の
資格が得られない。そこに、
教育の複雑微妙な、単に専門的な知識では乗り越えることのできない
教育の重要さがあるのであります。その点において、現在の六三三四制を通ずる新
教育というものは、広汎なる人材の中において、
新制大学卒業者がいずれの
学校にも
給与その他の
差別取扱がなくて、
各種の
学校の相関的な密接な連繋によ
つて、
学校教育の真の振興を図ることが
目的にな
つておる以上、このようなことが如何に馬鹿げたものであるかということがわかるのであります。私は少くとも、
東京なり域いは大分県でもよろしい。その県において、
中学校の中において、
校長が何百人おるか知らないが、その中において、五人なり、十人なり、二十人なり優秀な者がいたならば、その者は
高等学校の
校長と堂々と肩を並べるだけの見識を持
つておるものと確認して、そこまで行けるようにすることが、これが
教育の真の興隆と、真に
日本の独立を守るような、本当の
経済建設にも寄与する
教育政策になることを私は信ずるのであります。(
拍手)単にこれは私が党派の
利己心で
言つておるのではなくて、形式的な、画一的な、封建的な、身分給的な
考えを、今以てこの
教育の
行政に加えるならば、みずから芽生えたところの新しい意欲を摘み得るという結果にこの
法案がなることを、私は指摘しておくのであります。(
拍手)
而もこの方法によ
つて高等学校の
先生方の
陥没を救うということは、私は
高等学校の
先生の
陥没を救
つて合理化することは絶対に
賛成なのであります。併しながら、それが、
小学校、
中学校の
教育の
陥没を来たすようなことに
なつたならば、一体何のこれが
改正案になるのでありましようか。
片方を高め、
片方を低めることによ
つて、総体的に五十万になんなんとするところの
学校教職員と千二百万人の学童に対しまして、不可解なる、理窟の通らぬこのようなことが
実施されたとするならば、
教育に甚大なる影響が来ることを予見するのであります。心ある
高等学校の諸
先生方も、この点はひとしく認めてもらえることを私は信ずるのでありまして、現在
高等学校の諸
先生方が真に望んでおるところ、私はそれをよく知
つておるのであります。二九二〇
ベース改訂以来、いわゆる
生活給のみに偏向されたかのごとき
給与の中において、
切替に無理があ
つたことも認めておるのでありますが、併し、その根本的な問題は、
学歴が
勤続年数とほぼ同様な
加算率によ
つて給与が設定されてお
つたこと、
つまり一年
学校へ
行つても
勤年一年と変らない。だから、
短期大学を出ても
新制大学を出ても、一緒に職場に就いたときには変りがないというところに、或る種の
不満があることを我々は了とするものであります。併しこの問題も分析すれば非常にむずかしい問題だと思うのてありますが、更に
前歴計算におきまして〇・五ということにな
つておるのでありますが、この問題も非常にむずかしい問題で、特に
兵歴を零に換算しておることも酷な点でありまして、このような
不満は何とか
給与の
合理化に
努力してもらいたいという声が出て来ておることを我々は十分承知しておるのであります。併しながら、このように
教育を破壊する
方式でなくして、それの
方式がとれないかどうかというふうに
検討を進めたときに、私は、現在の
学歴一年を
勤年一年に見ておるのを一・五に換算すれば、
新制大学を卒業して、机を並べたときに、
短期大学の人と二
号俸の差が出るのであります。
人事院の
勧告にしても、この
俸給表にしても、最終的に二
号俸の差ということを仮に認めるとするならば、
学歴の
是正によ
つてこの
目的は十分に達せられます。而も我々が懸念しておるところの
前歴計算を〇・八以上教職にあ
つたものを一と見るならば、更にその不
合理が
是正されまして、
現状においてはほぼ九九彩の
高等学校の
職員は満足することになることは明瞭なのであります。そのような
観点において私たちがこの表を見るときに、以上のような点について、我が
日本社会党は以上の
要旨を
盛つた修正案を用意したのでありまするけれども、多数の圧力によ
つて時間を制限せられ、遂にここに本
会議に
反対討論をせざるを得なく
なつたことを、誠に遺憾と存じておるのであります。
而もこれらの欠陥のある
法案の
裏付けとしての
財政措置は一体どうしてなされておるか。誠に
でたらめの一言に尽きるのであります。
修正予算において一千八百万の金が
国家全形長としての
教員に今計上されております。ところが
提案者から出されました
資料に基いてこれを計算すると、ほぼ五千八百万
有余の金が要るのであります。皆さん、現在
法律をどうするかということを論じ、その
予算の
裏付けを論じておるときに、
補正予算を組まなければならないということが明確に
なつた
法律をそのまま鵜呑みにするということは、これは常識的なものではない。誠に非常識極まる私は
審議だと思うのであります。(
拍手)今
審議しておる
予算が
補正予算を組まなければならんというふうな、そういうものであるならば、当然その
措置をとらなければならん。この点について
大蔵大臣に
最後まで明確にしてもらいたいために
努力したのでありまするけれども、与党の
諸君は、政治的な
意図でありましようか、むやみと
動議の濫用をいたしまして、我々にその余裕を持たせなか
つたのでありますが、この四千万円の
補正については当然
提案者その他この
国会が
責任を持つべきものと、私はここに明確に
言つておきたいと思うのであります。更に
地方公務員に対する三億六千万円の金にいたしましても、この
法律によ
つてはほぼ一千五百万円の
経費で事足りるのであります。そうすると二億一千万円というところが、金が足りん足りんという
政府がこれを放
つたらかしておるのが
現状であります。(「それが
党利党略だ」と呼ぶ者あり)これについては、当初、改進党の
田中衆議院議員が
参議院の
予算委員会において、これは不
合理是正に使うのだということを明確に
言つているが、
塚田長官なり或いは
小澤自由党議員は、そうではないと
言つて、お互い三
党協定のこの
予算修正が、
内容は
でたらめのまま通過したことを、私は、はつきり確認したのであります。(
拍手)このようなことは、
立法政府としてのこの
国会、特に
参議院の
権威を失墜すること誠に
古今未曾有のことだと私は断言して憚らないのであります。(
拍手)
つまり我我の
努力としては、この
残つた二億一千万円が徒らに
地方に流されて雲散霧消することなく、真に各
学校を通じたところの不
合理是正に消費されることをはつきりとお願いして、私はこの
財源措置について監視する必要があると思うのであります。全
職員にこの点は
一つ協力を依頼すると共に、このようなばらばらな、
でたらめな
法律が、なぜ無理に通らなければならないかということを、私は
国会議員として悲しむものであります。
職域差は不明確であるし、
最高号俸についても重要なる
教育予算措置が誠に不明確である。今後二億一千万がどうなるかもわからない。このさりな角度の中において今
討論しておるのでありまするが、このようなことを
考えて、最終的に私は
人事院の
給与ベースの問題と相関して
考えますというと、
給与ベースの
勧告は昨年よりもやや早くて
国会中に出されました。十八日に出されました。
給与準則も出されておるのです。
給与準則の中には
教育職員も含むところの
給与表が出されておるのであります。而も
現行の
給与の表は誠に不
合理であるということが、この
参議院において、先般の
国会において確認されて速かに今の
俸給表を直さなければ立法府としての
権威にかかわるということにな
つておるのであります。これは
緑風会の
溝口委員のみではなくして、良心的な方々はすべてこれに賛同しておるのであります。そのような
段階にこの
給与ベースの
改訂が
人事院の
努力において、ともかくなされた。我々は一刻も早く、
大蔵大臣が
言つておるような、物価が横すべりだとか、へちまだとか、こういうことではなくして、潜在的に不
合理なこの旧
俸給表を直すために、百六十億
程度の金は何としても我々はこれを捻出して行かなければならん
責任があると
思つてお
つたのです。ところが
小笠原蔵相はその言とは
違つて、
勧告を無視するかのご
とくに、
財源措置ができないので明年四月から
云々と
言つておるのであります。
財政措置のできぬ大蔵省が、何に使われるかわからない一億一千万円という金は文句も言わずに、徒らに
勧告を引延ばすということは、
国会の名誉にかけても、私は
人事院というものの創設された経緯に鑑みても、これを見逃してはならんということ、これが
国会議員の良識であろうと私は存ずるのであります。(
拍手)特に
教育公務員を抜き出して、
国家公務員の技能
職員なり或いは医療
職員と同じく特別な職場において困難な仕事をされておる人がたくさんある。早くあの
俸給表を直してもらいたいと
言つておる人がたくさんあるわけであります。その人がたを差しおいて、四年以来の懸案だからと
言つてこの
教育公務員をやる気持はわかるけれども、やはり公平の原則によ
つて給与が図られなければならないという、この原則を我々が正しいと認めるならば、やはり、
給与準則、
ベース改訂と並行的に、同時にこの問題は
審議されても遅くはない。なぜならば、この
法案の
施行は明年の一月一日からであるということであります。何故にこの
会期末の忽々の間に……、臨時
国会が予想され、或いは通常
国会が予想される、この欠陥が暴露されて来ておる、このようなことを勘案して慎重
審議検討すべきであるのに、徒らにこれを
動議々々で持
つて行つた自由党、改進党その他の
諸君の良心的な反省を求めると共に、このような
法案が将来速かに
改訂されることに心あるならば協力すべきであるということが、私は
国会議員の責務であると思うのであります。このようないろいろな問題を含んでおるこの
法案が、政党の
党利党略という面ならば、これは飽きるほど見ておるのでありまして、その一つの露骨な現われであるということも明言できるのでありまするが、而もこれらの
法案について、一部の同じ
学校の
教職員が利己主義と団体エゴイズムによ
つてこれを遂行しておるということについて、私は歎かざるを得ないのであります。(
拍手)勿論、
教育団体の行き吾ついてはいろいろと批判がありましよう。ありましようけれども、少くともそれをこの
給与にしわ寄せして、江戸の仇を長崎でとるがごとき卑怯未練なる行為は、
国会としては断じてとらないことが正しいと思うのであります。(
拍手)
このように
考えて最終的な
討論を進めて参
つたときに、私は大達文部大臣がしばしば現場の
職員に
教育の中立性を説いて来ておるのでありますが、一体何の
教育の中立性ぞやと私は言いたいのであります。このような
法案に対してぬけぬけと賛意を表し、現場の多くの
職員が、絶対多数の
職員が猛
反対しておるのを、与党の
政府の文相であるからとい
つて裏切ることは、将来の重大なる禍根に私はなると思うのであります。このような悪辣な
意図を知
つたときた、
日本の
教職員は、果して今の文部省が、教師に対し、
教育に対して、中立を呼号するところの真の価値が果してあるのかどうか。こういう疑いを持つことは明確であります。(
拍手)徒らに自由党の走狗とな
つて、
日本教育に対して、厚かましくも、ぬけぬけと
教育の自由を主張する大連文相に対して、私は厳重に抗議を申入れる次第であります。(
拍手)国民の血と膏の税によ
つてこのような二億一千万円の金或いは将来四千万円
補正を組むというような事柄、誠に
でたらめな
予算、これが
党利党略を図ると言われても私は
答弁ができんではないかと思うのであります。
日本の教師の多数は、飽くまでも正しい
教育の民主化と現今吹きすさぶ逆コースに
反対し、生々壌刺とした、昔の師範
教育、高等師範
教育のような、ああいうセクト的な
教育を
排除して、飽くまでも新時代に即応する青少年を養成する
意図に燃えているのでありまして、このような
法案が、このような教師、児童を扱
つている職場の
教職員に甚大なる悪影響を与え、一言にして言えば
義務教育を軽視するということになることを皆様方に訴えたいと思うのであります。特に、先般、
教育八十周年記念の祝典を
政府は催し、各
教育界の功労者を表彰したのであります。その中には、霜を頂いた
小学校、
中学校の
校長が数多く列席しているのであります。それらの
校長に対して、お前たちは
高等学校よりも低いんだぞというレッテルを貼
つて何の
教育の功労の表彰がありましようか。このような
法案には良識ある
議員各位の政党政派を乗り超えた立場において否決してもらいたいのでありまするけれども、
国会の
現状は如何ともしがたいことを私は思うのであります。併しながら、少くとも
参議院が
衆議院と立場を異にして……私は同じならば
参議院は盲腸的存在だと思うのであります。これは要らない存在であ
つて、そのような
衆議院と同じならば、これは国民の税金を多く使うということになるので、或いは廃止する意向が濃厚になるかとも思うのでありまするが、併しそうではなくして、飽くまでも二院制の建前から
議員諸公の御
検討を今後とも煩わしたく、あえて言うならば、
合理的な
法案ならば、党派に拘泥せず、純理を尽し、
討論を尽して、お互い寄るところは寄
つて正しい
修正案を可決するようにお願いしたいのであります。
最後に、いろいろと
討論上出過ぎた
言葉があるかもわかりませんが、その点は御容赦を頂くと共に、事
教育の問題については、他の職よりも一面変
つている点が多いのであります。それは千二百万の学童と数多くの父兄が納得しなければならないという一点が大きく異な
つているのであります。どうか皆様方に、
最後にこのような悪法が将来消滅することを訴えると共に、私は、
国家公務員に属する附属の高中小の中で、中学、
小学校しかない人が、大達さんに言わすれば、併任すればいい、兼任すればいいと
言つておりますが、
高等学校のないところは兼任ができないのであります。
高等学校のないところは何の兼任ができましようか。そういうところには、やはり適切なる
措置をと
つて行かなければ、
教育研究の十全は期せられないのであります。便法
措置は
程度問題であります。なお、先ほど
委員長が
報告された通り、盲聾唖
学校等の特殊の
学校については速かにこれを改善し、やがて来たる臨時
国会、通常
国会において、
給与ベースの
改訂と共に、この準則が真剣に
討論されることをお願いすると共に、この悪法に対して以上数多く
反対討論を申上げまして、終結といたします。(
拍手)
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