○大矢半次郎君
只今議題となりました七つの
法律案について、大蔵
委員会における
審議の
経過並びに結果を御
報告申上げます。
先ず
砂糖消費税法の一部を改正する
法律案について申上げます。
本案は、砂糖消費税の負担の実情等に鑑み、分蜜白糖等につき、その税率を二割程度引上げると共に、含蜜糖については種別に応じて負担の調整を図り、又、課税済の砂糖等を原料として製造した第三種の砂糖以外の砂糖等を製造場から引取る場合には課税しないこととするほか、利子税を徴収する規定を新たに設けようとするものであります。
〔
議長退席、副
議長着席〕
本案
審議におきましては、国内産甘味料である水飴、葡萄糖との関連、砂糖消費税を引上げる
理由等について慎重なる
質疑応答が交されたのでありますが、その詳細は速記録により御承知願いたいと存じます。
質疑を終了し、
討論に入りましたところ、菊川
委員より、「第一に、砂糖消費税の引上げは大衆に過重な税負担を課することとなること、第二に、製糖業者は庫出しの際徴収した税金を国庫に納付するまでの
期間を
利用して、巨額の資金融通を行な
つている事実、又、滞納の整理の規定が緩やか過ぎるため不当な利益を得ていること、第三に、法律の体裁が旧態依然としており、統一がとれていない」との反対意見が述べられ、次いで森下
委員より、「砂糖はその六割が家庭用に消費され、酒、煙草と異なり、消費規正をやりがたい必需品であり、大衆課税と言わざるを得ない。又、
戦前の物価水準に比して砂糖の値上りが低いから税率を引上げたという
政府の見解は、
所得税等において
戦前の水準に復帰させておらない実績を見ても納得できないもので、一連の減税措置がとられておる際、遺憾に堪えない」との反対意見が述べられ、更に平林
委員より、「今回の引上げ措置は千慮の一失ともいうべき失政であり、次年度において必ず是正を図るよう要望する」との
希望を付して
賛成意見が述べられ、
採決の結果、多数を以て原案
通り可決すべきものと決定いたした次第であります。
次に
富裕税法を廃止する
法律案について申上げます。
本案は、富裕税の施行状況等に鑑みまして、租税負担の調整と税制の簡素化を図るため、
昭和二十八年分からこれを廃止いたそうとするものであります。なお、本年度において富裕税廃止による減収額は十八億九千九百万円でありまして、一方、
所得税の税率引上げにより六億五千七百万円の増収が見込れております。
本案
審議に当
つては、慎重なる
質疑応答が交されたのでありますが、その詳細は速記録により御承知願いたいと存じます。
質疑を終了し、
討論に入りましたところ、菊川
委員より、「今回の改正においては一応
所得税の累進税率を引上げておるが、無記名預金制度、特別減税国債等、富裕階級に極めて有利な財産運用の途が講ぜられている、而も百パーセント捕捉されている給与所得者と比較して、これら富裕階級に対する捕捉が十分に行われていない点に鑑み、富裕税の廃止は、
所得税の基礎控除、扶養控除の大幅な引上げと同時に行わるべきものである」との反対意見が述べられ、次いで森下
委員より、「自由党
政府は大衆に対して常に減税を宣伝しているが、実質的には富裕階級のみが特典を受けている。本税を存置したまま
所得税の最高税率を六五%にするならば納得できるが、現下の
情勢においては富裕税を廃止すべきではない」との反対意見が述べられ、更に平林
委員より、「保守党内閣は大衆の信頼を受けねば存立の意味がないのに、今回の措置は極く少数の富裕階級のみに特典を与えるものであるから、本案の撤回を要請する」との反対意見が述べられ、
採決の結果、多数を以て原案
通り可決すべきものと決定いたした次第であります。
次に
有価証券取引税法案について申上げます。
本案は、今
国会に別途
審議されている
所得税法の一部を改正する
法律案において有価証券の譲渡所得に対する課税が廃止されることとなりますので、これに代る措置として、有価証券の譲渡があつた場合に、軽度の税率により課税を行おうとするものであります。即ち、公社債券、株券、出資証券、証券投資信託及び
貸付信託の受益証券の譲渡があつた場合に、その譲渡価額を課税標準として譲渡者に課税することといたしております。但し短期国債証券及び
国民貯蓄債券の譲渡については課税しないこととし、又、公社債及び
貸付信託の受益証券の譲渡については、向う一年間は課税しないこととしております。
次に税率につきましては、有価証券の取引を阻害しないことを考慮して、公社債券及び
貸付信託の受益証券については万分の七、株券、出資証券及び証券投資信託の受益証券については万分の十五とし、又有価証券の譲渡者が証券業者である場合には、譲渡が頻繁に行われる点等を考慮して、それぞれ万分の三及び万分の六という低い税率を課することとしております。なお、証券投資信託の信託財産に属する株券の譲渡については、証券投資信託の育成の見地から、今後二年間を限
つて万分の六に軽減いたしております。このほかできるだけ納税の簡素化を図る方法を講じ、利子税、加算税、罰則等についても所要の規定を設けております。
本案
審議に当りましては、税収入見込の算出根拠、有価証券に対する課税方法の変遷、課税率に差異を設けた事由等について、慎重なる
質疑応答が交されたのでありますが、その詳細は速記録によ
つて御承知願いたいと存じます。
質疑を終了し、
討論に入りましたところ、別に
発言もなく、
採決の結果、
全会一致を以て原案
通り可決すべきものと決定いたした次第であります。
次に
閉鎖機関令の一部を改正する
法律案について申上げます。
本案は、閉鎖
機関の整理の一層の促進を図ると共に、その最終的な処理体制を整えるため、
戦時中、主として外地で
活動していた閉鎖
機関につきまして、従来禁ぜられている社債の弁済及び残余財産の分配を認めるほか、閉鎖
機関の指定を解除し、又、株式
会社である閉鎖
機関につきまして
会社の継続又は新
会社の
設立の途を開こうとするものであります。
以下、改正の主
要点についてその概要を申上げますと、第一に、
大蔵大臣の指定した外地銀行、外国銀行及び特殊
戦時機関の、ごとき在外
活動閉鎖
機関は、現行法によりますと、社債の弁済及び残余財産の処分が禁止せられておりますが、これを改めまして在外債務の総額が在外資産の総額を超える場合の超過額と、政令で定める一定の額との合計額に相当する国内財産を留保すれば、社債の弁済及び残余財産の処分をなし得ることといたしますほか、
大蔵大臣は閉鎖
機関の指定を解除することができることとしたことであります。第二に、株式
会社である閉鎖
機関が国内財産を以て新
会社を
設立することができることとしたことであります。即ち、株主の十分の一以上が特殊清算人に対し新
会社設立の申立をいたしますと、特殊清算人はその申立の
趣旨に
従つて新
会社設立計画案を作成し、株主総会の決議を経、
大蔵大臣の認可を受けて新
会社を
設立することができることとなるのであります。ただ、この場合、在外債務を有するものにありましては、前述のように、国内財産を留保しなければならないことにな
つておるのであります。第三に、株式
会社である閉鎖
機関が指定を解除された場合は、現行法では、民法及び商法の規定によ
つて清算を結了するほかなかつたのでありますが、これを改めまして株主総会の決議によ
つて会社を継続することができることとしたことであります。
なお、本案は
衆議院において次のように修正せられたのであります。即ち、第一に、新
会社設立計画案についての株主総会の決議は、
政府原案では、株主二分の一以上の
賛成を要することとしておりましたのを、出席株主の三分の二以上で、且つ株主の十分の一以上の議決を以てすればよいこととしたこと、第二に、金融
機関再建整備法の規定により、金融
機関から調整勘定の利益金の分配を受ける権利の譲渡を認めることができることとしたこと、第三に、閉鎖
機関は調整勘定の利益金の分配を受ける権利及び
大蔵大臣の指定する債券を信託することによ
つて、債務及び残余財産の分配義務を免れることとしたことであります。
本案の
審議に当りまして、「国内財産を保留した後の財産を以て新
会社を
設立する方法をとらないで、新
会社に第二勘定を設けるような方法で処理したらどうか」。「清算はいつ頃完了するか」。「閉鎖
機関の指定解除及び新
会社設立の見込はどうか」。「中央食糧営団の残余財産はどう処理されるか。」等の
質疑が行われましたが、その詳細は速記録によ
つて御承知願いたいと存じます。
質疑を終了し、
討論に入り、
採決の結果、
全会一致を以て原案
通り可決すべきものと決定いたした次第であります。
次に、
厚生保険特別会計法の一部を改正する
法律案について申上げます。
御承知の
通り、日雇労働者の生活基盤を安定せしめるために、これに健康保険制度を創設しようとする日雇労働者
健康保険法案が、別途、厚生
委員会において
審議されておるのでありますが、この法律が施行されました場合に、日雇労働者健康保険事業の経理を明確にするため、本案は、厚生保険特別会計に新たに日雇健康勘定を創設しようとするものであります。
その内容を申上げますと、日雇健康勘定においては、保険料、
一般会計及び郵政事業特別会計よりの受入金、積立金より生ずる収入、借入金並びに附属雑収入を以て歳入とし、保険給付費、借入金の償還金及び利子、一時借入金の利子その他の諸費を以て歳出とするほか、決算上剰余を生じた場合の積立金の積立及び運用、借入金及び一時借入金をなし得ること等について規定し、保健施設及び福祉施設について業務勘定の規定を整備し、更に日雇労働者健康保険印紙の売りさばき代金の日雇健康勘定への繰入れについて、郵政事業特別会計法に改正を加えようとするものであります。
本案につきましては、別段の
質疑もなく、
討論、
採決の結果、
全会一致を以て原案
通り可決すべきものと決定いたした次第であります。
次に、
日本専売公社法の一部を改正する
法律案について申上げます。
本案は、専売事業の企業的運営を図るため、日本専売公社の会計制度に関する規定に所要の改正を加えようとするものであります。
改正の主
要点について申上げますと、第一に、公社はその業務に関連し、且つ業務の運営に必要な事業に投資することができることとしたことであります。第二に、公社の予算の弾力性に関する一条を新設し、予算に、需要の増加、経済事情の変動その他予測することができない事態に応ずることができる弾力性を持たせると共に、予算の流用及び繰越に関する制度を緩和し、事業経営の一層の円滑化を図ることとしたことであります。第三に、専売納付金の計算に当
つては、棚卸資金の増加額を控除しないこととしたことであります。第四に、能率の向上により収入が予定より増加し、又は経費を予算より節減した場合は、これによ
つて生じた金額のうち、その一部を、予算の定めるところにより、
大蔵大臣の
承認を受けて、特別の給与として支給することができることとしたことであります。なお、このほか、予算の形式、内容、
手続の規定及び現金の取扱に関する規定についても、それぞれ所要の改正が加えられております。
本案の
審議に当りまして公社の行う投資の計画、公社の会計制度のあり方、たばこ消費税制度
実施に関する当局の
意向等について種々熱心な
質疑が行われましたが、その詳細は速記録によ
つて御承知願いたいと存じます。
質疑を終了し、
討論に入りましたところ、小林
委員より、本案は、前
国会、本
委員会において要望せられたところを十分に取入れられている点は誠に多とするものであるが、専売益金制度は成るべく速かに改め、たばご消費税のような別個の税を徴収する制度を確立せられたいとの要望を付して
賛成の意見が述べられ、次いで平林
委員より、専売益金制度は速かに課税制度に改めると共に、鋭意、たばこ小売価格の引下げ、及び葉たばこ収納価格の引上げに努め、明年度はその実現を期せられたいとの要望を付して
賛成の意見が述べられ、
採決の結果、
全会一致を以て原案
通り可決すべきものと決定いたした次第であります。
最後に、
国際復興開発銀行からの外資の受入れについて日本開発銀行又は日本輸出入銀行が発行する債券の利子に対する
所得税の免除に関する
法律案について申上げます。
本案は、御承知のごとく、
国際復興開発銀行からの外貨資金の借入金に対して支払う利子については、
国際復興開発銀行協定に基きまして
所得税を課税しないこととな
つておりますので、同行からの外貨資金の借入契約に基いて、日本開発銀行又は日本輸出入銀行の発行する債券についても、
国際復興開発銀行以外の本邦非居住者が所有する場合には、その利子に対して
所得税を免税いたそうとするものであります。
本案につきましては、慎重
審議の後、
討論採決の結果、
全会一致を以て原案
通り可決すべきものと決定いたした次第であります。
以上御
報告申上げます。(
拍手)